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小学生向けファンタジー小説のおすすめ人気ランキング20選【2026年版】

最終更新: 2026年3月20冊を比較
「うちの子にファンタジー小説を読ませたいけど、どれが小学生向けか判断しづらい」——保護者からよく聞く悩みだ。ファンタジーは種類が多く、対象年齢も幅広い。暗くて怖い表現が多い大人向け作品から、子どもが安心して楽しめる作品を選ぶのは意外と難しい。 このリストでは「小学生が自分で読めて、読んだあとに何かが残る」ことを基準に20冊を厳選した。長く読み継がれてきた海外の名作、日本の児童書の定番、そして今の小学生の間でも人気のシリーズと幅広くカバーしている。読書が得意な子も、あまり本を読まない子も、ここから一冊を手に取れるよう、難易度のバランスも意識して選んだ。

本の選び方

小学生向けファンタジー小説を選ぶときのポイントは3つある。 ひとつめは「対象学年の目安」。低学年(1〜3年生)なら、文章が短くてひらがなが多い作品、または章が短い作品が向いている。エルマーのぼうけん、霧のむこうのふしぎな町、銭天堂あたりが入りやすい。高学年(4〜6年生)になると、ハリー・ポッター・はてしない物語・ゲド戦記など、読み応えのある長編にも挑戦できる。 ふたつめは「テーマと雰囲気」。「魔法・魔女・魔法学校」系、「異世界・冒険旅行」系、「ちょっと不思議な日常」系と大きく3パターンある。子どもが好きなゲームや映画のジャンルと重ねて考えると選びやすい。 みっつめは「シリーズか単巻か」。銭天堂・クレヨン王国・魔女の宅急便はシリーズ展開があり、一冊気に入ればその後も自分で続きを読む習慣につながりやすい。一方、エルマーのぼうけん・穴・不思議の国のアリスなど1冊完結の作品は、読書習慣が少ない子でも取り組みやすい。

比較一覧

#書影書籍名レベルおすすめ対象評価価格
1
ハリー・ポッターと賢者の石
ハリー・ポッターと賢者の石

J.K.ローリング

初心者読書が苦手な子どもにも最初の一冊として強くすすめたい定番
4.5
¥2,750
2
霧のむこうのふしぎな町
霧のむこうのふしぎな町

柏葉幸子

初心者低学年から読める日本語ファンタジーの入門として最適な一冊
4.5
¥748
3
ふしぎ駄菓子屋 銭天堂
ふしぎ駄菓子屋 銭天堂

廣嶋玲子

初心者本が苦手な子の入口に最適、章が短くて読みやすいシリーズ
4.5
¥990
4
新装版 魔女の宅急便
新装版 魔女の宅急便

角野栄子

初心者自立と成長のテーマを自然に体験できる、女の子に特におすすめの一冊
4.5
¥792
5
ライオンと魔女
ライオンと魔女

C.S.ルイス

初心者王道のファンタジー世界に浸りたい、中学年以上の子どもに
4.5
¥913
6
モモ
モモ

ミヒャエル・エンデ

初心者親子で読んで語り合いたい、深いテーマを持つ高学年向けの一冊
4.5
¥880
7
エルマーのぼうけん
エルマーのぼうけん

ルース・スタイルス・ガネット

初心者低学年の最初の一冊として保護者・先生から長年愛されてきた定番
4.5
¥1,540
8
だれも知らない小さな国
だれも知らない小さな国

佐藤さとる

初心者日本の児童文学に触れさせたい、人と秘密の友情を描いた名作
4.5
¥660
9
不思議の国のアリス
不思議の国のアリス

ルイス・キャロル

初心者好奇心旺盛で想像力豊かな子どもに特に響く、世界文学の入口
4.5
¥605
10
はてしない物語
はてしない物語

ミヒャエル・エンデ

中級者本が好きな高学年に最高のプレゼント、物語の中に吸い込まれる体験
4.5
¥3,146
11
クレヨン王国の十二か月
クレヨン王国の十二か月

福永令三

初心者四季や自然に親しみながら詩的なファンタジーを楽しみたい子に
4.5
¥660
12
たまごの魔法屋トワ 1
たまごの魔法屋トワ 1

宮下恵茉

初心者低学年・読み始めの子に自信を持って渡せる、やさしいファンタジー
4.5
¥1,320
13
ブレイブ・ストーリー
ブレイブ・ストーリー

宮部みゆき

初心者本格的な長編ファンタジーに挑戦したい、読書好きな高学年の子に
4.5
¥924
14
ハウルの動く城1 魔法使いハウルと火の悪魔 (徳間文庫)
ハウルの動く城1 魔法使いハウルと火の悪魔 (徳間文庫)

ダイアナ・ウィン・ジョーンズ

初心者ジブリ映画が好きな子が原作小説に進む最初の一冊として最適
5.0
¥935
15
新装版 地下室からのふしぎな旅
新装版 地下室からのふしぎな旅

柏葉幸子

初心者タイムスリップという設定が好きな子、読書感想文にも使いやすい
4.5
¥660
16
影との戦い ゲド戦記
影との戦い ゲド戦記

アーシュラ・K.ル=グウィン

中級者読書好きな高学年が次のステップに挑戦する一冊、達成感が大きい
4.5
¥902
17
穴 HOLES
穴 HOLES

ルイス・サッカー

初心者伏線と謎解きが好きな高学年に、読書感想文としても書きやすい
4.5
¥748
18
ページズ書店の仲間たち1 ティリー・ページズと魔法の図書館
ページズ書店の仲間たち1 ティリー・ページズと魔法の図書館

アナ・ジェームス

初心者読書好きの子が「さらに本が好きになる」最高のループ構造の一冊
4.5
¥1,760
19
ホビットの冒険 上 (岩波少年文庫 58)
ホビットの冒険 上 (岩波少年文庫 58)

J.R.R. トールキン

初心者映画ファンの高学年が原作世界に飛び込む入口、本格ファンタジーの登竜門
4.5
¥968
20
獣の奏者 I闘蛇編
獣の奏者 I闘蛇編

上橋菜穂子

中級者動物や生き物が好きな高学年、本格ファンタジーへ移行したい子に
4.5
¥748

おすすめ20

1

世界5億部の魔法物語、本好きへの入口として最強の一冊

ハリー・ポッターと賢者の石

ハリー・ポッターと賢者の石

J.K.ローリング|静山社

4.5
(4件)¥2,750
初心者読書が苦手な子どもにも最初の一冊として強くすすめたい定番

魔法使いの両親を持ちながら普通の家庭で育った少年ハリーが、ホグワーツ魔法魔術学校に入学し、闇の魔法使いとの宿命的な対決に向かって歩み出す物語。

シリーズ累計5億部以上を誇る、世界中の子どもたちを本好きにしてきた魔法物語の金字塔。主人公ハリーが11歳で魔法学校ホグワーツに入学し、親友ロンとハーマイオニーとともに謎に挑む第1巻。登場人物の性格が丁寧に描かれていて、クラスや友達関係など「学校あるある」を重ねながら読める。読み進めるほど伏線が回収されるプロットの巧みさは大人も唸るレベルで、「本を読むのが嫌い」という子が最後まで読んでしまうことも珍しくない。巻を重ねるごとに内容が深くなるシリーズ構成も、読書習慣を育てるのに最適。まずここから始めてほしい一冊。

良い点

  • テンポがよく、スラスラ読めるのに読み終えた満足感が大きい
  • キャラクターが個性的で感情移入しやすい
  • 世界中で愛された普遍性があり、映画との比較も楽しめる

気になる点

  • 後半シリーズ(4巻以降)と比べると本書はまだスケールが小さく、重厚さはこれから増していく
  • 翻訳の問題で原語のニュアンスが一部失われている箇所がある(英語で読む選択肢も)
2

日本ファンタジー児童文学の原点、霧の向こうへの旅立ち

霧のむこうのふしぎな町

霧のむこうのふしぎな町

柏葉幸子|講談社

4.5
(4件)¥748
初心者低学年から読める日本語ファンタジーの入門として最適な一冊

夏休みにひとり旅に出た6年生のリナが、霧の向こうに広がるふしぎな町で個性豊かな住人たちと出会い、成長していく名作ファンタジー。

1975年に刊行された日本のファンタジー児童文学の先駆け的作品で、今もなお読み継がれている。小学生のリナが夏休みに霧の向こうの不思議な町へ迷い込み、魔女のおばあさんの家で住み込みで働くことになる。設定のユニークさもさることながら、リナが自分の力で問題を解決していく成長譚としての側面が強く、読後に清々しい余韻が残る。日本語で書かれているのでハリポタより読みやすく、低学年でも親と一緒に楽しめる。「霧の向こうに何があるのだろう」という好奇心が最後まで持続する語り口は、子どもの読書体験として最上質なもののひとつだ。

良い点

  • 読みやすい文体で児童文学の入門として最適
  • 個性豊かな登場人物が多く、読んでいて楽しい
  • 懐かしさと新鮮さが同居する、温かみのある世界観

気になる点

  • 大人が読むと物語のスケールがやや小さく感じることがある
  • ふしぎな町のルールや設定がやや曖昧で、深い謎解きを期待すると物足りない
3

図書館で一番借りられている理由がわかる、圧倒的な面白さ

ふしぎ駄菓子屋 銭天堂

ふしぎ駄菓子屋 銭天堂

廣嶋玲子|偕成社

4.5
(4件)¥990
初心者本が苦手な子の入口に最適、章が短くて読みやすいシリーズ

不思議な駄菓子屋に迷い込んだ子どもたちが願いを叶える菓子を手にする——欲張ると思わぬ結末が待つ、因果応報のファンタジー短編集。

2014年の刊行以来、小学生の間で爆発的な人気を誇るシリーズの第1巻。不思議な駄菓子屋「銭天堂」の駄菓子はどれも願いを叶えてくれるが、使い方を間違えると恐ろしいことになる。各話の主人公が変わるオムニバス形式なので、どこからでも読みやすく、章が短いので本が苦手な子でも読み続けやすい。「ちょっとコワくてちょっと楽しい」絶妙な匙加減で、子どもが夢中になる理由がよくわかる作品。シリーズが続いているので、気に入れば次の巻へと自然につながるのも親としてはうれしいポイント。「学校の図書室で一番借りられている本」の常連でもある。

良い点

  • 1話完結で読みやすく、読書が苦手な子にも入りやすい
  • ドキドキ感があり子どもが夢中になりやすい
  • 道徳的テーマを押し付けることなく楽しく伝える

気になる点

  • 少しゾッとする展開があり、敏感な子には不向きな場合も
  • シリーズが長くなりすぎて途中で止まる子もいる
4

魔女のキキが教えてくれる、自分の力で生きることの大切さ

新装版 魔女の宅急便

新装版 魔女の宅急便

角野栄子|KADOKAWA

4.5
(4件)¥792
初心者自立と成長のテーマを自然に体験できる、女の子に特におすすめの一冊

13歳の魔女キキが見知らぬ町でひとり立ちし、失敗と出会いを重ねながら自分らしさを見つける——成長の喜びと切なさが詰まった冒険物語。

13歳の魔女キキが一人前になるため、見知らぬ町で宅急便屋を始める物語。角野栄子の文章はテンポよく読みやすく、キキのポジティブなキャラクターに引っ張られるように最後まで読んでしまう。ジブリのアニメ映画を先に知っている子も多いが、原作小説の方が内面描写が豊かで、「魔女でも悩む、失敗する、立ち直る」過程がより丁寧に描かれている。自立・仕事・友情というテーマは、保護者から見ても読んでほしい内容ばかりだ。シリーズ全6巻あり、キキの成長を長期間追って読める点も魅力。中学年から高学年にかけて特におすすめしたい。

良い点

  • 映画との比較で読書への興味が広がる
  • 自立や成長のテーマが自然に伝わる
  • 文章がやわらかく小学生でも読みやすい

気になる点

  • 映画版と内容が異なる部分があり、映画が好きな子は戸惑うことも
  • 全6巻読み切るには時間がかかる
5

たんすの向こうに広がる雪の王国、古典ファンタジーの傑作

ライオンと魔女

ライオンと魔女

C.S.ルイス|岩波書店

4.5
(4件)¥913
初心者王道のファンタジー世界に浸りたい、中学年以上の子どもに

タンスを抜けた先に広がる雪の魔法の国ナルニアで、4人きょうだいが魔女と戦い、ライオンのアスランとともに世界を救う冒険物語。

ナルニア国ものがたりシリーズ第1巻(刊行順では第2巻)。4人きょうだいが衣装たんすをくぐると、いつの間にか雪と氷の魔法の国ナルニアへと続いていた——そんな夢のある導入から始まる物語は、子どもの「隠し通路や秘密の場所」への憧れをダイレクトに刺激する。ライオンのアスランを中心とした善と悪の戦い、そして犠牲と復活のドラマは大人が読んでも力強い。C.S.ルイスが書いた7巻シリーズの中でも最も読みやすく、まずここから入るのがベスト。ファンタジーの古典的名作として長く読み継がれており、この一冊で世界文学への入口にもなる。

良い点

  • 短くて読みやすく、小学校低学年から楽しめる
  • ナルニアの世界観が瑞々しく、想像力をかきたてる描写が随所にある
  • 大人が読んでも深みのある寓意的なテーマが楽しめる

気になる点

  • 宗教的な含意(キリスト教的象徴)が強く、知識があるとより深く読めるが、なくてもわかるようには書かれている
  • 現代のファンタジーに比べると展開がシンプルで、アクション場面が少ない
6

時間泥棒の寓話が教えてくれる、本当に大切なものの見つけ方

モモ

モモ

ミヒャエル・エンデ|岩波書店

4.5
(4件)¥880
初心者親子で読んで語り合いたい、深いテーマを持つ高学年向けの一冊

時間どろぼう「灰色の男たち」に奪われた人々の時間を、不思議な少女モモが取り戻す哲学的ファンタジーの傑作。

「時間を節約すればするほど時間がなくなる」という逆説を、孤独な少女モモと灰色の男たちの物語で描いたエンデの傑作。一見シンプルな冒険談だが、読み進めると「本当の豊かさとは何か」という深いテーマが浮かび上がる。子どもが読んでも楽しいが、親が読み聞かせて一緒に話し合うとさらに豊かな体験になる。「ゆっくり聴くことの大切さ」「時間をどう使うか」という視点は、スマホやゲームで忙しい現代の子どもたちにとってむしろ今こそ刺さるテーマだ。文章は決して易しくないが、高学年ならしっかり読み通せる。読んだあとに家族で話し合える本として特におすすめ。

良い点

  • 時間・自由・人間らしさについて、物語を通じて深く考えさせてくれる
  • 子どもから大人まで楽しめる重層的な構成で、読む年齢によって受け取り方が変わる
  • 読後に自分の生き方を見直したくなる強い余韻がある

気になる点

  • 序盤の子どもたちのごっこ遊び描写が長く、テンポが遅いと感じる読者もいる
  • 翻訳文体に慣れが必要で、子どもによっては少し読みづらい場合がある
7

日用品で竜を助ける機転の利いた冒険、低学年に最初の一冊

エルマーのぼうけん

エルマーのぼうけん

ルース・スタイルス・ガネット|福音館書店

4.5
(4件)¥1,540
初心者低学年の最初の一冊として保護者・先生から長年愛されてきた定番

9歳の少年エルマーが頭と勇気で困難を乗り越えながら子竜を救い出す——持ち物の使い方が絶妙な、世界中で愛され続ける冒険ファンタジーの名作。

エルマーという少年が、竜の子どもを助けるために危険な島へ旅に出る。リュックの中にあるのはチューインガム、飴玉、ピンセット、歯ブラシなど日用品ばかり——それをどう使って危機を乗り越えるかが読みどころだ。短い文と丁寧な地図・挿絵で、低学年でも読み進めやすく、「読書が苦手」という子の最初の一冊として何十年も前から保護者や先生に愛用されてきた。「自分で考えて問題を解決する」という体験を楽しく味わえる構成で、論理的思考の芽生えにもなる。続編2冊もあり、エルマーの冒険を3冊通して楽しめる。

良い点

  • 問題解決思考が楽しく育まれる
  • 読書入門に最適なボリュームと内容
  • 親世代も読んだ名作で共読しやすい

気になる点

  • 少し古い作品なので時代感を感じる箇所も
  • 絵が多い作品を好む子には絵が少なく感じる場合も
8

クローバーの下で出会った小さな友達との、大切な秘密の物語

だれも知らない小さな国

だれも知らない小さな国

佐藤さとる|講談社

4.5
(4件)¥660
初心者日本の児童文学に触れさせたい、人と秘密の友情を描いた名作

小さな野山に暮らす親指サイズの小人・コロボックルと出会った少年の物語——自然と共存する小さな命への敬意を教えてくれる日本児童文学の名作。

セナはある日、クローバーの葉の下で小さな人「コロボックル」に出会う。人間と小人の友情、そして秘密を守ることの意味を丁寧に描いた、日本の児童文学の名作だ。1959年初版ながら今も読まれているロングセラーで、のちに「指輪物語」などの影響を受けたという佐藤さとるの独自世界観が光る。文章は非常に読みやすく低学年でも楽しめる一方、「約束を守ること」「弱い存在を大切にすること」という普遍的なテーマが静かに刻まれている。シリーズ続編もあり、コロボックルたちの世界をもっと知りたくなる。子どもに「いい本」を渡したい保護者に自信を持っておすすめできる一冊。

良い点

  • 日本の伝説をベースにした親しみやすい世界観
  • 自然への敬意が自然に育まれる
  • 親世代も読んだ名作なので共読しやすい

気になる点

  • 文体が古めで現代の子には少し読みにくく感じる場合も
  • 展開がゆっくりで刺激を求める子には物足りないかも
9

常識のない不思議の国で感じる「なぜ?」が止まらない古典名作

不思議の国のアリス

不思議の国のアリス

ルイス・キャロル|新潮社

4.5
(4件)¥605
初心者好奇心旺盛で想像力豊かな子どもに特に響く、世界文学の入口

白ウサギを追って不思議の国に迷い込んだ少女アリスが、奇妙な住人たちとの支離滅裂な会話と冒険を繰り広げる、1865年刊行の世界文学の傑作ファンタジー。

ウサギを追いかけて穴に落ちたアリスが、不思議な国で次々と奇妙な出来事に巻き込まれる。常識が通用しない世界の描写は、今読んでも驚くほどシュールで、子どもの「なんで?」という好奇心を刺激し続ける。1865年発表の古典だが、チェシャ猫や帽子屋のお茶会など、現代のゲームや映画でも引用され続けている普遍的なイメージに満ちている。ゲームやディズニー映画でキャラクターを知っている子が多く、馴染みやすい入口としても機能する。翻訳版によって読みやすさが大きく変わるので、岩波少年文庫や角川つばさ文庫など子ども向け翻訳版を選ぶと安心。

良い点

  • 短くコンパクトにまとまっており、ファンタジー文学の入口として最適
  • ナンセンスユーモアと言葉遊びが随所にあり、大人が読んでも発見がある
  • 160年以上読み継がれる普遍的な魅力があり、文学の古典として価値が高い

気になる点

  • 訳者によって文体や雰囲気がかなり異なるため、版を選ぶ際に注意が必要
  • ストーリーに一貫した筋道が少なく、起承転結を求める読者には物足りないことがある
10

本の中に入り込む少年の物語が、読書好きの心を鷲づかみにする

はてしない物語

はてしない物語

ミヒャエル・エンデ|岩波書店

4.5
(4件)¥3,146
中級者本が好きな高学年に最高のプレゼント、物語の中に吸い込まれる体験

本を読むうちに物語の世界へ引き込まれた少年バスチアンが、ファンタージエン国の救済者となり「自分自身」を賭けた冒険に挑む壮大なメタファンタジー。

本の中の世界に入り込んだ少年バスチアンが、自分の名前を呼ばれてファンタジアの世界を救う冒険に出る。「読書好きの子どもへの最高の贈り物」とも称される、物語の中に物語が入れ子になった独特の構造が特徴だ。本が好きな子ならバスチアンに自分を重ねて没頭するはずで、読後には「自分にも何かができる」という感覚が残る。文章量は多く、小学校中学年から高学年向けの作品だが、読み始めると止まらない吸引力がある。モモと同じミヒャエル・エンデの作品なので、モモを楽しんだ子の次の一冊としても最適。

良い点

  • 「物語の中に入り込む」感覚を読書体験そのもので味わえる唯一無二の構造
  • アドベンチャーとして読んでも、哲学的寓話として読んでも成立する多層的な内容
  • 原書の美しい装丁が日本語版でも再現されており、本としての質感が高い

気になる点

  • 589ページと分量が多く、特に後半の展開が読者によって好みが分かれる
  • 価格が3000円超とやや高め。文庫版は現状存在しないため手軽に手を出しにくい
11

十二か月を旅する色彩豊かな物語、日本児童文学の不朽の名作

クレヨン王国の十二か月

クレヨン王国の十二か月

福永令三|講談社

4.5
(4件)¥660
初心者四季や自然に親しみながら詩的なファンタジーを楽しみたい子に

わがままなシルバー王妃が十二か月の旅を通じて本当の優しさを学ぶ——カラフルな王国の冒険と成長を描く日本児童ファンタジーの名作。

四月から三月まで、十二か月を舞台にしたクレヨン王国のファンタジーシリーズ第1巻。クレヨン王国のフロレンス王妃が季節の使者たちの助けを借りて旅をする、詩的で色彩豊かな物語だ。各月が擬人化されて登場する発想がユニークで、国語的な表現力も自然に育つ。低学年から読める読みやすさで、月ごとの章が独立しているので途中から読んでも楽しめる。シリーズは50冊以上続く大長編だが、この第1巻だけでも完結していて入口として最適。「日本の児童文学で何かいいものを」と探している保護者に、自信を持っておすすめできる安定の名作。

良い点

  • わがままな主人公の変化が子どもの自己振り返りを促す
  • カラフルな世界観が想像力をかき立てる
  • シリーズが豊富で読書習慣が続きやすい

気になる点

  • 古い作品のため現代の子に少し時代感を感じさせることも
  • シリーズが多すぎてどれを選ぶか迷いやすい
12

小さな魔法使いとの出会いが、引っ込み思案な少女を変えていく

たまごの魔法屋トワ 1

たまごの魔法屋トワ 1

宮下恵茉|小学館

4.5
(4件)¥1,320
初心者低学年・読み始めの子に自信を持って渡せる、やさしいファンタジー

不思議なたまごが変身してくれる魔法屋に転校生の少女が迷い込む——友情と魔法が詰まった、女の子が夢中になるキラキラファンタジー。

おとなしい女の子トワが、たまごの中に入った小さな魔法使いとともに魔法を学んでいく、ほんわかした雰囲気の国産ファンタジーシリーズ。難しい漢字が少なく、章も短いので低学年でも1人で読みやすい。主人公が自信をつけながら成長していく物語は、引っ込み思案な子や自己肯定感を育てたい子どもに特に響く内容だ。絵も多くて入りやすく、「なんか難しい本は嫌だ」という子の最初のファンタジーとしても使いやすい。シリーズが続いているのでハマれば続きが楽しみになる。最近出た新しいシリーズなので、古い本が嫌いな子にも手に取りやすい。

良い点

  • 転校・新生活の悩みに強く共感できる
  • 現代的な感覚で今の小学生に刺さる
  • イラストが多く読みやすい

気になる点

  • 女の子向け要素が強く男の子には刺さりにくい
  • 魔法の設定がゆるいと感じる子も
13

現実と異世界を行き来しながら少年が成長する、宮部みゆきの傑作

ブレイブ・ストーリー

ブレイブ・ストーリー

宮部みゆき|KADOKAWA

4.5
(4件)¥924
初心者本格的な長編ファンタジーに挑戦したい、読書好きな高学年の子に

家族の崩壊に傷ついた小学5年生の少年が、運命を変えるため「幻界」と呼ばれる異世界に旅立ち、仲間と共に冒険する王道ジュブナイルファンタジー。

宮部みゆきが書いた本格ファンタジー大作の第1巻。12歳の少年ワタルが現実の悩みから逃げるように「幻界(ヴィジョン)」という異世界に入り込み、「運命の塔」を目指す旅に出る。日本語で書かれた本格RPG的な異世界冒険譚の先駆けとして、今でも高学年に人気が高い。途中でやや重いテーマが出てくるが、現実と向き合う力を育てる内容で、「子どもに難しすぎず大人すぎない」ファンタジーを探している保護者に特におすすめ。文庫版で2分冊になっており、ページ数は多いがその分読み応えもある。「本当に面白い長い本を読みたい」高学年向き。

良い点

  • 子どもから大人まで楽しめる王道ファンタジーの構成がしっかりしている
  • 主人公の心理描写が丁寧で、家族問題という重いテーマも読みやすく描かれている
  • 異世界の設定が丁寧に作り込まれており、読み進めるほど世界観に引き込まれる

気になる点

  • 上中下の三巻構成で、上巻は現実パートが長く、異世界冒険本格化まで少し時間がかかる
  • ページ数が多いため、読書が苦手な子どもには完走がハードルになることがある
14

映画よりも魔法が深い、ハウルとソフィーの原作でしか味わえない世界

ハウルの動く城1 魔法使いハウルと火の悪魔 (徳間文庫)

ハウルの動く城1 魔法使いハウルと火の悪魔 (徳間文庫)

ダイアナ・ウィン・ジョーンズ|徳間書店

5.0
(4件)¥935
初心者ジブリ映画が好きな子が原作小説に進む最初の一冊として最適

魔女に老婆に変えられた少女ソフィーが魔法使いハウルの動く城に転がり込む——宮崎映画の原作として有名だが原作は映画をはるかに超えたユーモアと魔法の傑作

ジブリ映画の原作として有名だが、映画より原作の方が設定の細部が豊かで、「映画と違う!」という新鮮な驚きも楽しめる。強い魔法使いハウルの城で働くことになった、気の強い少女ソフィーの物語。魔法と呪い、自己変容というテーマをユーモラスに包んだ語り口が読みやすく、中学年以上なら十分楽しめる。映画ファンの子どもへの贈り物にも最適で、「映画を観た子が原作を読む」入口としても機能する。ダイアナ・ウィン・ジョーンズの文章はウィットに富み、英国ファンタジーの上質さを感じさせる。続編も2冊あり、気に入ればシリーズで楽しめる。

良い点

  • 映画を見た人でも全く新しい驚きがある
  • ソフィーというユニークな主人公が魅力的
  • ユーモアと感動のバランスが絶妙

気になる点

  • 映画版と異なる点が多くファンにとって戸惑いがある
  • 原作独自の複雑なプロットが最初は分かりにくい
15

地下室の戸棚が時空の扉、二人でチームを組む手に汗握る冒険

新装版 地下室からのふしぎな旅

新装版 地下室からのふしぎな旅

柏葉幸子|講談社

4.5
(4件)¥660
初心者タイムスリップという設定が好きな子、読書感想文にも使いやすい

古い屋敷の地下室から異世界への扉が開く——「霧のむこうのふしぎな町」の柏葉幸子が描く、少女の冒険と不思議な世界の旅の物語。

小学生のシンジとナナが地下室の古い戸棚から別の時代・場所へ飛んでしまう、タイムスリップ系ファンタジー。講談社青い鳥文庫の人気シリーズで、読みやすい文章と適度な長さが特徴。「もしも違う時代に飛んだら?」という子どもの空想を上手くすくい上げていて、読書感想文の定番作品でもある。主人公が二人でチームを組んで行動する展開は、友情とチームワークの大切さを自然に伝えてくれる。シリーズ続編が豊富なので、気に入れば長く楽しめる。本好きに育てたい低学年から中学年の子どもに、安心してすすめられる一冊。

良い点

  • 千と千尋ファンが喜ぶ同系統の世界観
  • 自分で考える力を楽しく育てる
  • 怖さと楽しさのバランスが絶妙

気になる点

  • 「霧のむこうのふしぎな町」を先に読んだ方が楽しめる場合も
  • 異世界の独特な設定に慣れるまで少し時間がかかることも
16

自分の影と戦う魔法使いの物語、世界ファンタジー文学の最高峰

影との戦い ゲド戦記

影との戦い ゲド戦記

アーシュラ・K.ル=グウィン|岩波書店

4.5
(4件)¥902
中級者読書好きな高学年が次のステップに挑戦する一冊、達成感が大きい

傲慢な若き魔法使いゲドが自ら解き放った「影」と対峙する旅を通じ、真の勇気と自己受容を学ぶ世界三大ファンタジーの一作。

アース海の島々を舞台に、若き魔法使いゲドが自分の内なる闇と向き合う旅を描いた、世界ファンタジー文学の頂点に立つ一冊。1968年の作品ながら色あせず、文学的完成度の高さから今でも世界中で読まれている。「敵を倒す」のではなく「自分の影と和解する」という内面の旅は、小学校高学年以上が読むと深く響く。文章は少し難解な部分もあるが、読み通した達成感が大きく、「大人の本にも挑戦できる」という自信を子どもに与えてくれる。読書好きで「本当に凄い本を読んでみたい」という高学年の子への贈り物として、これ以上のものはなかなかない。

良い点

  • 1968年刊行ながら今も色褪せない普遍的なテーマの深さ
  • 世界設定の独創性が高く、言語・魔法・文化の設定が一貫している
  • 自己との対峙という哲学的テーマが、エンターテインメントとして成立している

気になる点

  • ゆっくりとした語り口のため、展開のテンポを求める読者には物足りない場合がある
  • 宮崎駿アニメ映画との乖離が大きいため、映画のイメージで読むと混乱する
17

砂漠で穴を掘り続ける少年が辿り着く、驚きの真実と友情の物語

穴 HOLES

穴 HOLES

ルイス・サッカー|講談社

4.5
(4件)¥748
初心者伏線と謎解きが好きな高学年に、読書感想文としても書きやすい

冤罪で送られた矯正施設で毎日穴を掘らされる少年が、その意味の謎に迫る——ユーモアと謎解きが詰まった米国の児童文学ベストセラー。

砂漠の地に建つ少年院「グリーン・レイク」に送られた少年スタンリーが、穴を掘り続けるうちに祖先の秘密と出会う。ファンタジー的な設定ながらリアルな少年院生活、友情、家族の過去が絡み合う独創的な物語構造で、ニューベリー賞を受賞した現代児童文学の傑作だ。伏線の回収が鮮やかで、「読み終えたあとにもう一度最初から読みたくなる」という感想が多い。差別や不公正といったテーマも自然な形で盛り込まれており、社会的な視野を広げるきっかけになる一冊でもある。翻訳版で読みやすく、高学年ならすらすら楽しめる。

良い点

  • 謎解き要素で読書が苦手な子も最後まで読める
  • ユーモアある文体で重い話でも読みやすい
  • 友情・正義のテーマが心に残る

気になる点

  • 矯正施設という少し重い設定がある
  • 314ページとやや長め
18

書店のキャラクターが本の中から出てくる、本好き必読の物語

ページズ書店の仲間たち1 ティリー・ページズと魔法の図書館

ページズ書店の仲間たち1 ティリー・ページズと魔法の図書館

アナ・ジェームス|小学館

4.5
(4件)¥1,760
初心者読書好きの子が「さらに本が好きになる」最高のループ構造の一冊

本の世界に迷い込んだ少女ティリーが、物語の登場人物たちと冒険する——本好きの子どもに贈る、本の中の本を巡る魔法のファンタジー。

「本の中のキャラクターたちと友達になれる書店」という、本好きの子どもが絶対に夢中になる設定の海外児童小説シリーズ第1巻。主人公ティリーが祖父母の経営する書店で物語の中のキャラクターに出会い、不思議な事件を解決していく。本を読むことの喜びが物語の核心にあり、「読んだ本のキャラクターが現実に来たら」という空想を形にした作品。文章は読みやすく、章も短いので本が苦手な子でも取り組みやすい。シリーズ2巻目は1297番でDB登録済み。「本が好きな子どもへのプレゼント」として大人からも評価が高い作品。

良い点

  • 本好きの子に強く共感できる設定
  • 古典文学への興味を引き出す
  • 書店・図書館への親しみが育つ

気になる点

  • 311ページとやや長め
  • 古典文学の登場人物を知らないと一部の楽しさが減る
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ドラゴン退治へ旅立つホビットの冒険、世界ファンタジーへの扉を開く一冊

ホビットの冒険 上 (岩波少年文庫 58)

ホビットの冒険 上 (岩波少年文庫 58)

J.R.R. トールキン|岩波書店

4.5
(4件)¥968
初心者映画ファンの高学年が原作世界に飛び込む入口、本格ファンタジーの登竜門

臆病なホビットのビルボが竜の財宝を奪還する旅に引き込まれる——指輪物語の前日譚にして「最初の一冊」にふさわしいファンタジーの古典

「指輪物語」の前日譚として書かれた冒険譚で、ドラゴンを倒すために13人のドワーフと魔法使いガンダルフとともに旅に出るホビットのビルボの物語。トールキンが子どもたちのために語り聞かせたのが起源の作品で、「指輪物語」より遥かに読みやすく親しみやすい。冒険・謎解き・ドラゴンと、ファンタジーの楽しい要素が盛りだくさん。指輪物語に連なる世界観への入口としても機能するため、将来もっと深い世界文学へつながる可能性を秘めた一冊でもある。映画を観た子も多く馴染みやすい。高学年なら余裕をもって楽しめる。

良い点

  • 指輪物語より短く読みやすい翻訳ファンタジーの入門書
  • ユーモアと緊張感のバランスが絶妙
  • ゴラムや竜スマウグなど印象的なキャラクターが多い

気になる点

  • ドワーフ13人の名前が多くて覚えにくい
  • 上下巻構成で続きが必要
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音で生き物を操る少女の旅、精緻な世界観が引き込む本格ファンタジー

獣の奏者 I闘蛇編

獣の奏者 I闘蛇編

上橋菜穂子|講談社

4.5
(4件)¥748
中級者動物や生き物が好きな高学年、本格ファンタジーへ移行したい子に

兵器として育てられた巨大な蛇・闘蛇の世界で母を失った少女エリンが、自らの力と意志で運命を切り開いていく傑作成長ファンタジー。

「生き物を音で操る」という独自の設定で描かれた日本ファンタジーの傑作シリーズ。闘蛇と呼ばれる猛毒の生き物を操る一族の少女エリンが、禁じられた野獣「王獣」を育てることになる。上橋菜穂子が文化人類学者でもあるため、食文化・言語・社会制度といった世界の細部がリアルに構築されており、読めば読むほど深みが増す。小学校高学年向けで、青い鳥文庫版は読みやすいルビ付きだ。動物好き・生き物好きの子に特に強く刺さる内容で、「ファンタジーは苦手だけど動物の話なら」という子の入口にもなる。「精霊の守り人」と並ぶ上橋ワールドへの扉。

良い点

  • 母の喪失から始まる少女の成長が丁寧に描かれ、感情移入しやすい
  • 生物学・生態学的な設定のリアリティが世界観への没入感を高める
  • NHKアニメと合わせて楽しめ、ビジュアルで世界観を掴んでから原作に入ることもできる

気になる点

  • 第1巻は世界観と登場人物の紹介が中心で、スケールの大きな展開は2巻以降になる
  • 闘蛇の設定や王国の政治構造の説明が多く、序盤は少し情報過多に感じることがある

まとめ

20冊を選んでみて改めて気づくのは、子ども向けファンタジーの名作には「子どもが主役で、子ども自身が問題を解決する」話が多いということだ。大人に頼らず、友達と力を合わせて、自分の頭で考えて乗り越える——そういう物語は子どもの自己肯定感にもいい影響を与える。 本を読まない子どもにまず手渡すなら、1位のハリー・ポッターか2位の霧のむこうのふしぎな町をすすめる。どちらも最初の数ページで物語に引き込まれる書き出しで、「続きが気になって止まらない」という感想が多い作品だ。気に入った一冊が見つかれば、あとは子ども自身が同じ作家の他の本や、似たジャンルの本を探すようになる。そのきっかけになれば嬉しい。