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【要約・書評】『はてしない物語』の評判・おすすめポイント

ミヒャエル・エンデ|岩波書店|1982-06-06|589ページ

4.5
(4件)

この本を一言で言うと

本を読むうちに物語の世界へ引き込まれた少年バスチアンが、ファンタージエン国の救済者となり「自分自身」を賭けた冒険に挑む壮大なメタファンタジー。

この本の概要

いじめられっ子の10歳の少年バスチアンは、書店で偶然手にした「はてしない物語」という本を盗み読みするうち、本の中のファンタージエン国が現実に消えかかっていることを知る。その国を救えるのは「人間の子ども」だけ——バスチアン自身だった。読み進むうちに自分が物語の中に入り込み、やがて願いを何でも叶える砂粒「アウリン」を手に入れるが、願いをかなえるたびに記憶を失っていく。ドイツ語原書では本文が赤と緑の2色刷りで書かれた凝った造本が有名で、日本語版も原書の装丁を再現した愛蔵版として親しまれている。「物語ること」と「自分が何者か」を問い続けるメタ構造が、読後に重く美しい余韻を残す傑作。

本が好きな人ほど「これは自分の話だ」と気づいて身震いする

仕事柄たくさんの本を読むけど、「本を読むことそのもの」がテーマになっている本で、これほど完成度の高いものは見たことがない。バスチアンが本を読み進めるほど、読んでいる自分と主人公の境界が曖昧になっていくあの感覚、本好きなら絶対に共鳴する。 後半はなかなかしんどい。バスチアンが願いを叶えるたびに記憶を失い、どんどん自分ではない何かになっていく。読んでいて怖かったし、「自分も好きなものを消費しながら何かを失っているんじゃないか」とか余計なことを考えてしまった。 岩波の愛蔵版は装丁が本当に美しくて、本棚に置いておきたくなる質感。ちょっと値が張るけど、これは紙で持つべき本だと思う。電子書籍で読むのはちょっと違う気がする。一生のうちに一度は読んでほしい。

29歳・出版社勤務の編集者

この本で学べること

本の目次

  1. 1第1章 バスチアン・バルタザール・ブックス
  2. 2第2章 アトレーユへの使命
  3. 3第3章 悲しみの沼
  4. 4第4章 オラクル・スフィンクス
  5. 5第5章 魔法の鏡の門
  6. 6第6章 南のオラクル
  7. 7第7章 ファルコールとアトレーユの飛翔
  8. 8第8章 廃墟の都
  9. 9第9章 幼ごころの君
  10. 10第10章 バスチアンの願い
  11. 11第11章 アウリン
  12. 12第12章 ファンタージエンの再生
  13. 13第13章 変わりゆくバスチアン
  14. 14第14章 記憶の喪失
  15. 15第15章 水の生命の泉
  16. 16第16章 帰還

良い点・気になる点

良い点

  • 「物語の中に入り込む」感覚を読書体験そのもので味わえる唯一無二の構造
  • アドベンチャーとして読んでも、哲学的寓話として読んでも成立する多層的な内容
  • 原書の美しい装丁が日本語版でも再現されており、本としての質感が高い

気になる点

  • 589ページと分量が多く、特に後半の展開が読者によって好みが分かれる
  • 価格が3000円超とやや高め。文庫版は現状存在しないため手軽に手を出しにくい

みんなの評判・口コミ

5.0

本が好きな人なら絶対に読んでほしい一冊。バスチアンが「自分も物語の中にいる」と気づく瞬間の感覚は、ほかのどの本でも味わえない。読んでいる自分と主人公が重なって、背筋がぞくっとする。本好きの性がこんなに美しく描かれた作品はないと思う。

4.0

映画しか知らなかったけど、原作はかなり違う。映画は前半だけで終わっている。後半のバスチアンがどんどん変わっていくパートが読んでいてつらいけど、それがこの作品の核心だと思う。後味は複雑だが忘れられない。

4.5

最初は本が分厚くて読めるか心配だったけど、読み始めたら止まらなかった。バスチアンが自分と似ていて、物語の中に入って英雄になれるなら自分もそうしたいと思った。でも最後の方は怖くなって、夢に出てきた。

3.5

メタフィクションとしての構造は完成度が高い。ただ後半はファンタジーの定型から外れすぎていてついていきにくい箇所があった。エンデの思想的なメッセージが強く出すぎていて、物語の純粋な楽しさが薄れる部分も。それも含めて考えさせる本ではある。

著者について

こんな人におすすめ

よくある質問

Q. 映画「ネバーエンディング・ストーリー」と同じ内容ですか?
A. 映画は原作の前半部分(アトレーユの冒険と幼ごころの君の救済)までを描いており、後半のバスチアン自身の冒険と成長を描く重要な部分はほぼ省略されています。原作の方がはるかに深いテーマを持っています。
Q. 文庫版はありますか?
A. 現在、日本語で流通している主流版は岩波書店の愛蔵版のみです。価格は3000円超ですが、原書の2色刷りを再現した特別な装丁が物語世界の一部になっています。
Q. 何歳から読めますか?
A. 小学校高学年から読めますが、後半の哲学的なテーマは中学生以上の方がより深く楽しめます。大人になってから読むと前半と後半で全く異なる感動があります。