書影
中級者ルイス・キャロル棚賞受賞(1968年)世界三大ファンタジー(指輪物語・ナルニア国ものがたりと並ぶ古典として評価)
【要約・書評】『影との戦い ゲド戦記』の評判・おすすめポイント
アーシュラ・K.ル=グウィン|岩波書店|2009-01-15|320ページ
★★★★★4.5
(4件)この本を一言で言うと
傲慢な若き魔法使いゲドが自ら解き放った「影」と対峙する旅を通じ、真の勇気と自己受容を学ぶ世界三大ファンタジーの一作。
この本の概要
アーキペラゴと呼ばれる多島海の世界。ゴント島に生まれた少年ゲドは天性の魔力を持ち、魔法学院ロークへと入学する。しかし優秀さへの傲慢さと、同期生への対抗心から禁忌の魔法を使ってしまい、世界の均衡を崩す暗い「影」を呼び出してしまう。
一命を取り留めたゲドはそれ以降、自分が解き放った影に追われ続ける。いつしかゲドは逃げることをやめ、自ら影を追い始める。影の正体とは何か。その答えが明かされるとき、物語はファンタジーを超えた深い人間の真実へと到達する。1968年刊行以来、「指輪物語」「ナルニア国ものがたり」とともに世界三大ファンタジーと称されるシリーズ第一作。宮崎駿が映画化したことでも知られる。
ゲド戦記を読むまで「影」の意味が分からなかった
学生時代に読んでおけばよかった、と心底思った本。
ゲドって最初、好きになれないんです。天才なのに傲慢で、対抗心から禁忌の魔法を使って世界に「影」を放ってしまう。自業自得だろう、と思いながら読んでいた。
でも物語が進むにつれて、この「影」が単なる怪物じゃないことに気づいてくる。ゲドが影を追いかけるシーン、あの転換点が本当に鮮やかで。「追われる者が追う者に変わる瞬間」というのがここまで劇的に描けるのか、と唸った。
自分の専門が文学なので、「影」をユング的な「シャドウ」として読む視点もあるのだが、それ以前にフィクションとして純粋に面白い。1968年に書かれた本が今でも読まれ続ける理由が体感できた。
宮崎アニメを先に見た学生が「なんか違う」と言ってくる理由もよくわかる。これは映像化しにくいタイプの物語だ。ゲドの内面が主戦場なのだから。
シリーズ5冊全部読むことを強くおすすめする。
— 38歳・大学教員(文学専攻)の男性
この本で学べること
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本の目次
- 1第一章 ゴント島の少年
- 2第二章 影
- 3第三章 追跡
- 4第四章 均衡
- 5第五章 影との対決
良い点・気になる点
良い点
- ○1968年刊行ながら今も色褪せない普遍的なテーマの深さ
- ○世界設定の独創性が高く、言語・魔法・文化の設定が一貫している
- ○自己との対峙という哲学的テーマが、エンターテインメントとして成立している
気になる点
- △ゆっくりとした語り口のため、展開のテンポを求める読者には物足りない場合がある
- △宮崎駿アニメ映画との乖離が大きいため、映画のイメージで読むと混乱する
みんなの評判・口コミ
★★★★★5.0
最後の「影の正体」の明かされ方で、ページをめくる手が止まった。単純なモンスターを倒す話じゃなくて、ゲドが自分自身と戦う話だったんだと気づいたとき、鳥肌が立った。これが50年以上前に書かれた本だとは信じられない。
★★★★★4.5
「真の名前」という概念が面白くて、名前を知ることが力を持つというルールが物語全体に効いている。テーマが重くてゆっくり読んだが、だからこそ心に残った。自分の「影」について考えさせられた。
★★★★★4.0
映画を先に見ていたが、原作は全然違う話でびっくりした。でも原作の方が深くて、ゲドの若さと傲慢さと成長が丁寧に描かれている。映画ではわからなかった「影の正体」が腑に落ちた。
★★★★★3.5
最初はゲドがいじわるに感じて好きになれなかったが、読み進めると彼の弱さや不安が見えてきて、いつの間にか応援していた。読書感想文はたくさん書けた。ただもう少し展開が早いといい。
著者について
こんな人におすすめ
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よくある質問
Q. 宮崎駿の映画「ゲド戦記」の原作ですか?▼
A. 映画は原作シリーズを参考にしていますが、ストーリーは大きく異なります。映画は主にシリーズ3巻の要素を含んでいますが、本書(1巻)はゲドの少年時代を描いた内容です。
Q. シリーズの続巻は何冊ありますか?▼
A. 全5巻です(影との戦い・こわれた腕環・さいはての島へ・帰還・テハヌー)。各巻が独立した視点で書かれていますが、シリーズを通して読むことで世界観が深まります。
Q. 子どもが読んでも大丈夫ですか?▼
A. 岩波少年文庫から出版されており、10歳以上を対象にしています。ただし物語のテーマが自己と向き合うという哲学的なものなので、ある程度人生経験がある方がより深く楽しめます。