茶室建築について学べる本のおすすめ人気ランキング25選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
佐藤さん、今日は「茶室」の本を調べているんですが、検索しても専門書ばかりで、最初の一冊がまったく決まりません……。しかも値段が2,000円台から1万円超まであって、余計に迷っています。
佐藤メバル
いいところに気づいたね。茶室の本は「多すぎて選べない」んじゃなくて、書かれた目的がまったく違う本が同じ棚に並んでいるのが混乱の原因なんだ。たとえば『世界で一番やさしい茶室設計 最新版』は、お茶の知識から茶室の設計までを115のキーワードで解く本で、茶の湯とは何かから古今の名作、近代・現代の名作まで一冊で通す。まず全体の地図がほしい人向けだね。
橘ナナミ
なるほど、あれは“全部入り”の入門なんですね。じゃあ建てる予定はないけど見に行きたい、という人は何を読めばいいんでしょう。
佐藤メバル
その場合は『茶室の名席ハンドブック』がいい。一畳台目から十六畳、立礼の茶室まで61席を、写真と炉の位置がわかる見取り図で紹介している。見学の前後に開く辞書みたいに使える。写真を大きく眺めたいなら『a+u 茶室33選 利休・遠州から近代まで』のようなビジュアル本が向いているよ。
橘ナナミ
目的で全然ちがう……。でも本屋さんの棚では、その違いがわからないんですよね。写真集と施工図集が同じ「茶室」の隣に並んでいる感じで。
佐藤メバル
そう、そこなんだ。だから選ぶときは順位より軸で考える。目的、レベル、形式、予算、そして手に入るかどうか。この5つを押さえると、どの一冊が今の自分に必要かが見えてくる。順番に見ていこうか。
茶室建築について学べる本の選び方
目的別に選ぶ
橘ナナミ
一番大事なのはやっぱり目的ですよね。建てたい人と、見学したい人と、歴史を追いたい人で、まったく別の本になりそうです。
佐藤メバル
建てたい・設計したいなら『ほんとうに使いやすい茶室をつくる』。戸建・ビル・新改築のタイプ別プラン13件を、詳細図面と写真で見せている。実務なら『住宅建築別冊18 数寄屋建築詳細図集-茶室・水屋・露地編』のように、茶室・水屋・露地という“一番難しいとされる部分”の図面を集めた本が要る。歴史を学ぶなら藤森照信さんの『茶室学講義 日本の極小空間の謎』で、二畳の待庵から堀口捨己、白井晟一、磯崎新との茶室談義までを建築史として読める。
橘ナナミ
稽古に活かしたい、という目的もあると思うんです。炉がどこにあるか、みたいな。
佐藤メバル
それこそ『茶室の名席ハンドブック』の見取り図が効く。あと『茶室がほしい。』は、著者がお茶の稽古に通いはじめ、京都の町屋を買って茶室を造るまでを書いた本で、作り手ではなく通う側の目線で読める。
レベル別に選ぶ
橘ナナミ
レベル別だと、初学者はどこから入るのが安全ですか。
佐藤メバル
まず『世界で一番やさしい茶室設計 最新版』か『茶室空間入門』。前者はキーワード解説、後者はタイトルどおり空間へ入るための入門だね。実務者は『茶室建築の実際』や『茶室の材料と構法』のように材料と構法から積み上げる本、研究者なら古今の茶室1,159件をデータ化して平面図から分類した『茶室の解明』——これは読み物というより分析の道具だ。
形式別に選ぶ
橘ナナミ
図面の本と写真の本は、どっちから読むべきですか。
佐藤メバル
役割が違うんだ。図面本は「どう作るか」に答える本で、『茶室平面集』や『数寄屋(茶室)』の設計図面、『最新版 納まり詳細図集 和風住宅・茶室編』の納まりがそれにあたる。写真本は「どう見えるか」、文章主体は「なぜそうなっているか」に答える。中村昌生さんの『新版 中村昌生が語る建築講座 古典に学ぶ茶室の設計』は、間取り、柱づくり、床の構成、窓の意匠、天井、水屋の配置と、一講ずつ言葉で解いていく。
橘ナナミ
写真で憧れて、文章で理由を知って、図面で手を動かす、という順番ですね。
予算別に選ぶ
橘ナナミ
予算の話も現実的で……。2,000円台と1万円超の差は何なんですか。
佐藤メバル
ページ数と図面の密度だね。2,000円前後なら『茶室手づくりハンドブック』や『“しくみ”で解く茶室』、3,000円台なら『世界で一番やさしい茶室設計 最新版』や『茶室空間入門』。1万円を超えるのは『茶室建築の実際』のような大部の実務書で、現場で引くための本だから、読む用と割り切ると高い買い物ではないよ。
入手性別に選ぶ
橘ナナミ
絶版の本もあるんですよね。古い写真集とか。
佐藤メバル
ある。1971年に出た『茶室入門―写真でたのしむ有名茶室50席』は、いま新刊で並ぶことはまずないから中古や図書館を当たることになる。『茶室(和風建築シリーズ)』は絶版本をスキャンした復刻本として出ていて、発売当初の現物とは品質が異なると明記されている。電子・中古・新品のどれで手に入るかを先に確かめてから、内容で選ぼう。
茶室建築について学べる本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、25冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
茶室建築について学べる本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい

世界で一番やさしい茶室設計 最新版 (建築知識 30)
桐浴邦夫 著|エクスナレッジ
¥3,300(税込)
「茶の湯とは何か」から間取り、点前座・水屋、外観、そして古今の名作や幻の茶室、近代・現代の名作まで九つの章で追う。115のキーワードで解説する構成なので、辞書のように引きながら通読もできる。設計者が建て主から茶室の話を持ちかけられたときの拠りどころであり、2011年刊のムックを最新情報で増補改訂した点も安心材料。図面集のように納まりを深掘りはしないが、茶室の全体像を一冊で見渡せる入口として独自の位置を持つ。
こんな人におすすめ
茶室の話を建て主から振られて困っている設計者、和風住宅を見直し始めた人、お茶の文化ごと茶室を理解したい人。最初の一冊として通読し、実際に建てる場面では索引のように引き直す使い方が向く。
良い点
- 茶の知識から設計まで一冊で
- 115キーワードで引きやすい
- 幻の茶室まで章立てで追える
気になる点
- 個別の納まり詳細は薄め
- 設計実務の図面量は多くない
- お茶の稽古には直結しない
出版社
エクスナレッジ
発売日
2020年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「茶室 建築 本 おすすめ」でまず名前が挙がりそうなのがこれですね。115のキーワードで解説って、辞書みたいな使い方になるんですか?
佐藤メバル
辞書というより、茶室を設計する人が最初に開く教科書です。茶の湯の作法から間取り、点前座や水屋、外観、そして古今の名作や幻の茶室、近代・現代の名作まで九章で追いかける。
茶室の全部を一冊で見渡せる構成なんです。増補改訂で情報を新しくした最新版という点も大きいですね。
橘ナナミ
設計者向けでも、茶室やお茶文化に興味があるだけでも楽しめる、と紹介文にありますね。
佐藤メバル
そこがこの本の懐の深さで、お茶の知識から茶室の設計までをやさしく語る作りになっています。急に建て主から茶室の話を振られて、知識がまったくないわけにはいかない、という場面でまず助けになる一冊ですよ。

茶室空間入門
船越徹 著|彰国社
¥3,080(税込)
タイトルどおり、茶室を「空間」として捉えるところから始める入門書。139頁とコンパクトな分量で、寸法や納まりの技術書というより、なぜあの狭さが豊かに感じられるのかを考える作りになっている。設計図の寄せ集めではないぶん、図面集を読む前の視点づくりに効く。彰国社の建築系出版物らしい落ち着いた体裁で価格も手頃。詳細図を求める人には物足りないが、入門の一歩目としては筋が通っている。
こんな人におすすめ
茶室に興味を持ち始めたばかりの人、意匠や歴史よりも空間の成り立ちから理解したい人、図面集の前に考え方を整えたい人。139頁と短いので、通勤や休日の短い時間でも無理なく通読できる。
良い点
- 139頁で通読しやすい
- 空間論として筋が通る
- 価格が手頃で試しやすい
気になる点
- 納まり図は期待できない
- 作例の網羅性は高くない
- 寸法の実務資料にはならない
出版社
彰国社
発売日
1992年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
139ページって、茶室の本にしては薄いほうですよね。写真集みたいな感じなんですか?
佐藤メバル
図版と文章で空間を読む本です。設計図の寄せ集めではなく、茶室という空間をどう捉えるか、というところから入っていく。
入門と名乗るだけあって分量も価格も控えめで、寸法の本ではなく考え方の本なんですよ。
橘ナナミ
じゃあ、納まりの図が欲しい人が読むと物足りないかもしれないですね。
佐藤メバル
そう、そこは用途が分かれます。細かい納まりを見たいなら別の本を当たってください。こちらは、なぜあの狭さが豊かに感じられるのか、という問いから読み始める本。
図面集の前に一冊挟むと、その後の見え方が変わります。

初めての茶室: 京都・大徳寺で基本を学ぶ (コンフォルト・ライブラリィ 7)
佐藤理 著|建築資料研究社
「初めての茶室」と銘打ち、京都・大徳寺という場を手がかりに基本を押さえていく構成。用語から入るので、茶室の呼び名や部分の名前がわからない人でも迷わない。149頁と短く、コンフォルト・ライブラリィの一冊として写真と図版の扱いも丁寧。名席を並べた事典型の本とは違い、学ぶ順番を示してくれる点が独自で、現地を訪ねる前後に読むと見どころが立体的になる。
こんな人におすすめ
茶室に初めて触れる人、京都の寺を訪ねる予定がある人、専門用語でつまずきたくない人。写真と図で追える構成なので旅行前の予習にも使える。名席の事典より先に手に取る順番がおすすめ。
良い点
- 大徳寺を軸に基本を整理
- 用語から入るので迷わない
- 149頁で一気に読める
気になる点
- 作例数は多くない
- 詳細図面は中心ではない
- 現地に行けないと想像が要る
出版社
建築資料研究社
発売日
2000年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
大徳寺って、お茶の本で何度も出てきますよね。そこで基本を学ぶっていうのは、現地の写真を見ながら進む感じですか?
佐藤メバル
タイトルどおり、初めて茶室に触れる人に向けて、大徳寺という場を手がかりに基本を押さえていく構成です。
「初めての」と銘打つだけあって、用語の確認から入っていける。149頁なので、枕元に置いて一晩で読めてしまいますよ。
橘ナナミ
私、京都にまだ行ったことがないんですけど、それでも大丈夫でしょうか。
佐藤メバル
写真と図で追えるので大丈夫。むしろ先に読んでおくと、実際に訪ねたときに「ここが本に載っていたところだ」と見どころが几帳面に見えてきます。予習と復習の両方に効く作りです。

茶室がほしい。 (茶室から入る茶の湯の愉しみ)
永江朗 著|六耀社
¥2,699(税込)
10年前にふとしたきっかけでお茶を体験し、その奥深さに感銘を受けて稽古に通い始め、ついには京都の町屋を購入して茶室を造る。その過程そのものが読みどころで、設計の知識ではなく建てる側の気持ちと愉しみが手に入る。図面集や技法書とはまったく性格が違うが、専門書の数字に体温を与えてくれる208頁。
こんな人におすすめ
自分が茶室を欲しくなっている人、建て主の立場を知りたい設計者、お茶を始めたばかりで先の景色を見たい人。専門書の合間に挟んで、図面の数字に体温を足す読み方にも向いている。
良い点
- 建て主の実感が伝わる
- 208頁で読み物として軽快
- 図面集の前後に挟める
気になる点
- 設計の技術情報は少ない
- 図面や寸法は期待できない
- 体験談ゆえ一般化はしにくい
出版社
六耀社
発売日
2014年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
これ、設計の本じゃなくて体験記なんですね。京都の町屋を買って茶室を造るって、ずいぶん思い切った話です。
佐藤メバル
そう、ふとしたきっかけでお茶を体験して稽古に通い始め、京都の町屋を購入して茶室を造るところまで行く。
その過程から見えてくる愉しみを書いた本なんです。図面も寸法も出てきませんが、建てる人の気持ちがとても具体的に伝わります。
橘ナナミ
先にこれ読んでから他の本読むと、印象変わりそうですね。
佐藤メバル
まさにそういう順番がおすすめです。専門書の数字って、読み方を知らないと冷たいんですよ。この本を先に読むと、納まりの一本一本に「なぜそこまでするのか」が乗ってくる。
書店員時代、こういう読み物から入ったお客様のほうが長く茶室の本を読み続けるのを見てきました。

茶室学講義 日本の極小空間の謎 (角川ソフィア文庫)
藤森照信 著|KADOKAWA
¥1,276(税込)
利休が戦場の仮設茶室としての囲いに惹かれ、たった二畳の待庵を建てたという見立てから始まる。極小空間に何を封じ込めたかを、数寄屋造の成立、堀口捨己や白井晟一がモダニズムを取り込んで茶室をリヴァイヴァルしていく流れへとつなげる。磯崎新との茶室談義も収録され、第一人者による新しい茶室の建築史として読める。角川ソフィア文庫で352頁でも身構えずに済む。
こんな人におすすめ
茶室を建築史の流れで眺めたい人、近代建築とのかかわりに関心がある人、文庫サイズで持ち歩きたい人。設計の手引きではなく読み物として選ぶ一冊で、図面集の合間の息継ぎにもなる。
良い点
- 文庫で手に取りやすい
- 近代建築とのつながりが読める
- 磯崎新との談義を収録
気になる点
- 設計手順は書かれていない
- 図面は中心ではない
- 建築史の前提知識が少し要る
出版社
KADOKAWA
発売日
2019年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
藤森照信さんって建築史の方ですよね。文庫で茶室の歴史を読めるの、ちょっと嬉しいです。
佐藤メバル
利休が戦場の仮設茶室としての囲いに惹かれ、二畳の待庵を建てた、という見立てから始まります。極小の空間に何を封じ込めたのかを、住宅様式の変化や、近代の建築家たちがモダニズムを取り込んで茶室をリヴァイヴァルしていく流れまでつなげて語るんですよ。
橘ナナミ
磯崎新さんとの茶室談義が入っているのも気になります。対談って読みやすいですし。
佐藤メバル
そこが読みどころのひとつですね。文庫なので価格も手頃ですし、設計図の本を読んでいる途中に挟むと、視点がふっと立ち上がります。
うちの棚でも、技術書と並べて置くと売れ方が変わる一冊です。

名茶室の工夫: 茶室建築のアイデアを学ぶ
飯島照仁 著|淡交社
¥2,200(税込)
名茶室が何をどう工夫してあの空間をつくったのかを、アイデアとして学ぶ本。先人の手つきを集めたような構成で、思い切った造形の理由をひとつずつ確かめられる。同じ著者の『茶の匠』が職人の技を扱うのに対し、こちらは空間の工夫に重心がある。191頁で価格も手頃なので、意匠の本を初めて読む人の入口としても使いやすい。
こんな人におすすめ
茶室の意匠を学びたい設計者、真似ではなく理由を知りたい人、名席の写真集に物足りなさを感じた人。最初の意匠の一冊として、また作例を見るときの観察眼を鍛える本として向く。
良い点
- 工夫をアイデアとして読める
- 191頁で負担が少ない
- 価格が手頃で入門向き
気になる点
- 詳細な実測図は載らない
- 施工の話は中心ではない
- 網羅的な事典ではない
出版社
淡交社
発売日
2016年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
タイトルの「工夫」って、具体的には何が載っているんですか?
佐藤メバル
名茶室が何をどう工夫してあの空間をつくったのか、それをアイデアとして取り出して学ぶ本です。先人の手つきを集めたような一冊で、なぜそこを削ったのか、なぜそこを残したのかが見えてきます。
橘ナナミ
じゃあ、そのまま真似してもいいものなんですか?
佐藤メバル
真似するというより、理由を読むのが正解ですね。191頁で2200円ですから、意匠の最初の一冊にもちょうどいい。
同じ飯島照仁さんの『茶の匠』と並べると、空間の工夫と職人の技という違いがはっきりして、読み比べが面白くなりますよ。

茶室の名席ハンドブック
神谷宗ちょう 著|淡交社
¥1,650(税込)
一畳台目から十六畳、立礼の茶室まで61席を厳選し、端的な解説と豊富な写真に加えて炉の位置がわかる見取り図を掲載する。ハンディサイズながら茶室の歴史、茶人の工夫、用語解説の頁も設けられ、351頁でこの価格というのは資料として破格。設計詳図を載せる本ではないので詳細な納まりは別に補う必要があるが、名席を引きながら比較する用途では代えがたい。
こんな人におすすめ
名席をすぐ引ける形で持ち歩きたい人、炉の位置を確認しながら作例を見たい人、茶室の用語を整理したい人。淡交ハンドブックの定番で、茶席に持参するのにも向く大きさ。
良い点
- 61席を一冊で比較できる
- 炉の位置が見取り図でわかる
- 用語解説まで付いて手頃
気になる点
- 詳細図面は収録されない
- 写真の大きさは控えめ
- 施工の情報はない
出版社
淡交社
発売日
2014年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
61席って多い! しかもハンドブックってことは、持ち歩ける大きさなんですか?
佐藤メバル
淡交のハンドブックシリーズの一冊で、一畳台目から十六畳、立礼の茶室まで61席を厳選しています。炉の位置がわかる見取り図と豊富な写真、さらに用語解説の頁まで付いている。手元に置いておきたい一冊です。
橘ナナミ
この価格で351ページはすごいですね。これ一冊で足りちゃいませんか?
佐藤メバル
足りない部分もあって、見取り図が中心なので納まりの詳細は載っていません。ただ、名席を引きながら比較する用途ならこれで十分。
設計図集の隣に置いて、行き来しながら使うのが一番おいしい使い方ですよ。

茶室入門―写真でたのしむ有名茶室50席 (1971年)
¥6,296(税込)
写真で有名茶室50席をたのしむ、というタイトルどおり、眺めて味わうタイプの一冊。1971年の刊行で、新品ではまず出回らず価格も高めになっている。今の写真集とは紙と印刷の質感が違い、資料的価値と愛玩性が同居する。図面や寸法を求める人には向かないが、古い写真ならではの落ち着いた視線で名席を見たい人には魅力的な本だ。
こんな人におすすめ
古い資料を集めている人、写真で茶室を味わう読み方をしたい人、名席の記録を手元に置きたい人。古書店を巡る楽しみも含めて付き合うことになる一冊。
良い点
- 50席を写真でたのしめる
- 古い印刷の質感が味になる
- 資料として希少性がある
気になる点
- 新品では入手しにくい
- 価格が高くなりやすい
- 図面や寸法は期待できない
出版社
詳細情報なし
発売日
詳細情報なし
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
1971年の本!? しかも価格がけっこうしますね。古いからですか?
佐藤メバル
写真で有名茶室50席をたのしむ、というタイトルどおり眺める本で、1971年の刊行ですから、新品ではまず出てきません。古書として巡り合う形になりますね。
橘ナナミ
今の写真集とは、やっぱり違うものなんでしょうか。
佐藤メバル
紙と印刷の質感がまるで違います。写真の階調が落ち着いていて、茶室の陰影が今より深く出るんですよ。書店員時代、この手の古い写真集は「内容より紙を買うお客様」がいるんだと教わりました。
資料としても愛玩としても、両方の値打ちがある本です。

a+u2022年11月臨時増刊/茶室33選 利休・遠州から近代まで
エー・アンド・ユー 著|エー・アンド・ユー
利休・遠州から近代まで、という線引きで33室を選び224頁にまとめた臨時増刊。日英併記で、海外の建築家にも読まれる前提のつくりになっている。写真と図面のバランスがよく、茶室を現代建築として見る視点が手に入るのが強み。数を揃える事典型ではなく、選んだ33室をじっくり見る編集なので、比較より鑑賞に向く一冊だ。
こんな人におすすめ
写真と図面を同時に味わいたい人、現代建築としての茶室に関心がある人、海外の建築関係者に紹介したい人。雑誌ゆえ在庫は限られるので、見つけたときに手に取りたい。
良い点
- 写真と図面のバランスがよい
- 日英併記で資料性が高い
- 33室をじっくり見られる
気になる点
- 雑誌のため在庫が不安定
- 詳細な仕様は限られる
- 事典的な網羅性はない
出版社
エー・アンド・ユー
発売日
2022年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
建築雑誌の臨時増刊なんですね。33選って、選び方がはっきりしていて読みやすそう。
佐藤メバル
利休・遠州から近代まで、という線引きで33室。日英併記で、海外の建築家にも読まれる前提の作りです。
この「選んだ数を絞る」編集が、事典型の本にはない緊張感を生んでいます。
橘ナナミ
雑誌だと、写真が大きいのも嬉しいですね。
佐藤メバル
そこが強みです。図面と写真のバランスがよく、茶室を現代建築として眺める視点が手に入る。ただ雑誌なので在庫は限られます。
見かけたときに確保するのが鉄則で、棚でも入荷するとすぐ捌ける類の一冊でした。

茶室(和風建築シリーズ)
和風建築社 著|建築資料研究社
¥7,920(税込)
和風建築シリーズの一冊として、図面と写真で茶室をまとめた資料。絶版本をスキャンしたデータからのPOD復刻本で、発売当初の現物とは品質が異なると明記されている。内容の骨格は貴重だが、印刷の再現性は期待しすぎないこと。177頁で、原本が手に入らないときの選択肢として意味を持つ。価格も原本より高くなることが多く、目的をはっきりさせて選びたい。
こんな人におすすめ
原本が入手できない資料を参照したい人、内容が読めれば十分という人、和風建築の図面資料を揃えている人。きれいな図版を求めるなら原本を探すか、他を当たる判断も必要。
良い点
- 絶版資料を読める形で残す
- 図面と写真で構成される
- 177頁で見通しがよい
気になる点
- 原本とは印刷品質が違う
- 価格が高めになりやすい
- 図版の細部は見にくい
出版社
建築資料研究社
発売日
1998年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「amazon POD」って何ですか? 聞き慣れない言葉で戸惑っています。
佐藤メバル
絶版本をスキャンして、注文ごとに印刷して届ける形で復刻したものですね。この本には発売当初の現物とは品質が異なる、とはっきり書かれています。そこを承知で使う資料です。
橘ナナミ
じゃあ、きれいな図版を期待しないほうがいいんですね。
佐藤メバル
そう、印刷の再現性は割り切ってください。ただ内容そのものは貴重で、原本が手に入らないときの選択肢としては意味があります。
和風建築の図面を揃えているお客様には、必ずこの注意書きを先に伝えるようにしていました。

現代の茶室建築 (学芸和風建築叢書 4)
建築フォーラム 著|学芸出版社
¥8,180(税込)
古典の写しではなく、現代に建てられた茶室をどう考え、どう作るかを写真と図面で追う一冊。学芸和風建築叢書の一冊として、和風建築の現在形を資料として残している。174頁で価格は高めだが、建築の実例集はこの価格帯が普通。意匠の工夫と架構の処理を同時に見られるので、検討段階で開く本として選ばれている。
こんな人におすすめ
現代の住宅に茶室を組み込みたい設計者、実例から学ぶタイプの人、和風建築の資料を揃えている人。価格を納得したうえで、事務所の常備本として置く使い方が現実的。
良い点
- 現代の茶室の実例が見られる
- 写真と図面の両方がある
- 叢書として資料性が高い
気になる点
- 価格が高め
- 入門には向かない
- 冊数は多くない
出版社
学芸出版社
発売日
1989年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
タイトルに「現代の」がつくと、何が違ってくるんですか?
佐藤メバル
古典の写しではなく、現代に建てられた茶室をどう考え、どう作るか。そこに焦点を当てて写真と図面で追う本です。
学芸和風建築叢書の一冊として、和風建築の現在形を資料として残しています。
橘ナナミ
価格はちょっと高いですね。この値段は普通なんですか?
佐藤メバル
建築の実例集はこの価格帯が普通なんですよ。174頁で意匠と架構の処理を同時に見られるので、設計事務所が常備する使い方に向きます。
書店でも、こういう本は個人のお客様より事務所のまとめ買いが多かったですね。

茶室建築の実際
松嶋重雄 著|理工学社
¥14,340(税込)
タイトルどおり、茶室を実際に建てる側の視点で303頁を割いた本。図面や仕様にとどまらず、実務の段取りまで踏み込む情報量があり、そのぶん価格も資料として覚悟がいる部類に入る。写真で眺める本でも意匠のアイデア集でもない。まず図書館で確かめてから手元に置くかを決める、という付き合い方が現実的だ。
こんな人におすすめ
施工や設計の実務に踏み込みたい人、厚い資料を手元に置きたい人、茶室建築を仕事にする人。買う前に図書館で中身を確かめる段取りをおすすめしたい。
良い点
- 303頁の情報量がある
- 実務の流れまで踏み込む
- 仕事で使う資料になる
気になる点
- 価格が高額
- 入門にはまったく向かない
- 持ち運びにくい厚さ
出版社
理工学社
発売日
1994年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
303ページ!? ずいぶんがっつりした本ですね。価格もそれなりです。
佐藤メバル
名前のとおり、実際に建てる側の本です。実務の段取りまで踏み込む厚い一冊で、情報量に対して価格も覚悟がいる部類。
写真で眺める本でも、意匠のアイデア集でもありません。
橘ナナミ
こういうのは図書館で見る感じですか?
佐藤メバル
まず図書館で確かめて、手元に置きたい人は持つ、という判断でいいと思います。私も書店にいたとき、この手の大著は「中身を見てから」とおっしゃるお客様が多かった。
中身を見れば価値はわかる本ですから、焦らなくて大丈夫です。

茶室―設計詳図とその実際
千宗室 著|淡交社
数寄屋匠の実測秘伝の設計詳図を軸に、詳細な仕様書と解説で建築学的に集大成した320頁。茶室のほとんどが文化財指定のために実測も文献研究も難渋し、10年の準備期間を要したとされる。茶室研究の決定版とされる一冊で、読むというより参照する使い方になる。価格が表示されないのも、資料としての性格を物語っている。
こんな人におすすめ
茶室の実測図を資料として必要とする設計者、文化財の茶室を研究する人、仕様書まで確認したい人。図書館や設計事務所の常備本として据えるのが合っている。
良い点
- 実測設計詳図が軸になる
- 仕様書と解説が詳細
- 研究の決定版とされる
気になる点
- 気軽に買える価格ではない
- 通読向きではない
- 前提知識が要る
出版社
淡交社
発売日
1959年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「10年の準備期間」って、それだけで痺れます。そんなにかかるものなんですね。
佐藤メバル
数寄屋匠の実測秘伝の設計詳図を軸に、詳細な仕様書と解説で建築学的に集大成した320頁です。茶室のほとんどが文化財指定のために実測も文献研究も難渋して、10年の準備期間を要したとされる。茶室研究の決定版とされる一冊ですね。
橘ナナミ
あれ、この本は価格が載っていないんですね。
佐藤メバル
それだけ資料としての扱いの本なんですよ。読むというより参照する使い方になります。文化財を相手にした成果ですから、手元に置くというより、必要なときに開ける場所に据えておく。そういう付き合い方をする本です。

茶室の材料と構法
北尾春道 著|彰国社
¥7,799(税込)
どういう材料を、どう組むか。意匠の前に素材の理屈から入る本で、モノとしての茶室に正面から向き合っている。261頁と厚く、彰国社の建築技術書らしい落ち着いた体裁。意匠や歴史の本を読んだあとにこれを開くと、なぜその形になるのかが腹に落ちる。写真で眺める本ではないので、設計や施工に関わる人ほど効いてくる。
こんな人におすすめ
材料と構法から茶室を理解したい設計者、意匠の理由を知りたい人、施工の実務に関わる人。図面集や意匠の本と並べて、行き来しながら読む使い方が向いている。
良い点
- 材料と構法を正面から扱う
- 261頁で情報量がある
- 意匠の理由づけに効く
気になる点
- 価格が高め
- 眺める本ではない
- 入門には敷居が高い
出版社
彰国社
発売日
1967年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「材料と構法」って、木の話だと考えると合っていますか?
佐藤メバル
どういう材を、どう組むか。モノとしての茶室に正面から向き合う本です。デザインの前に素材の理屈を知りたい人に向いていて、261頁と厚いぶん、扱っている範囲も広いんですよ。
橘ナナミ
見た目より、中身の話なんですね。
佐藤メバル
そう。意匠の本を読んだあとにこれを行くと、なぜその形になるのかが腹に落ちます。逆に先にこれを読むと、意匠の本が「なぜそう見えるか」の本に変わってくる。
順番で味が変わる、いい組み合わせの一冊です。

茶室平面集: 茶室の基本を考える
岡田孝男 著|学芸出版社
平面だけを集めて茶室の基本を考える一冊。平面図を並べて見ると、間取りの引き出しの多さが一目でわかり、寸法の感覚をつかむのに向いている。158頁とコンパクトで、他の本と併用しやすいのも利点。写真や納まりの詳細は中心ではないので、眺めて楽しいタイプを探す人には不向きだが、設計の下地をつくる本としては信頼できる。
こんな人におすすめ
設計の下地として平面を読み込みたい人、間取りの引き出しを増やしたい人、他の資料と併用したい人。コンパクトなので、事務所と自宅を行き来させる使い方にも向く。
良い点
- 平面に絞った構成が明快
- 158頁で使いやすい
- 他の資料と併用しやすい
気になる点
- 写真は中心ではない
- 納まりの詳細は載らない
- 眺めて楽しい本ではない
出版社
学芸出版社
発売日
1992年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
平面だけ集めた本って、正直ちょっと地味じゃないですか? 写真集のほうが楽しい気がします。
佐藤メバル
ところが平面は雄弁なんですよ。平面図を並べて見ると、間取りの引き出しの多さが一目でわかる。寸法の感覚をつかむのに、これほど効率のいい見方はありません。
橘ナナミ
設計する人にとっては必須に近い感じですか?
佐藤メバル
必須に近いですね。158頁でコンパクトだから、他の本と併用しやすいのもいいところです。書店員時代、意匠の写真集とこれをセットで買っていくお客様がいて、なるほどなと感心しました。
眺める本と読む本は、やっぱり両方いるんです。

数寄屋(茶室) (絵で見る建築工程図シリーズ)
建築資料研究社 著|建築資料研究社
数寄屋建築の施工工程を、ある茶室を例に整地・測量から基礎工事、建方、上棟を経て造作、建具、設備工事、竣工まで解説する。平面・立面・展開・矩計・伏図・軸組図などの設計図面も収録され、工程と図面が結びついて理解できるのが独自の強み。ただし電子版は文字の拡大や検索ができない仕様なので、図をじっくり見たいなら紙が向く。
こんな人におすすめ
施工の流れを図で追いたい人、工程と図面を結びつけたい人、数寄屋の建て方を学ぶ実務者。図を大きく見たいなら紙を、手軽に持ち歩きたいなら電子版を選ぶとよい。
良い点
- 着工から竣工まで図解
- 設計図面を多数収録
- 工程と図面が結びつく
気になる点
- 電子版は文字拡大不可
- 検索や引用ができない
- 価格や在庫は要確認
出版社
建築資料研究社
発売日
1988年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「工程図」って、建てる順番が絵で見られるってことですか?
佐藤メバル
そう、整地・測量から基礎工事、建方、上棟を経て造作、建具、設備工事、竣工まで、ある茶室を例に全工程を追います。
平面・立面・展開・矩計・伏図・軸組図といった設計図面も収録されていて、工程と図面が結びつくのが強みですね。
橘ナナミ
あ、注意書きで「文字を拡大できない」って書いてありますね。
佐藤メバル
電子版ならではの制約です。図をじっくり見たい人は紙を選んだほうがいい。逆に現場に持ち歩いて確認したいなら電子版が便利で、用途で分けるのが正解ですよ。

最新版 納まり詳細図集 和風住宅・茶室編 (ディテールシリーズ2)
西大路雅司 著|エクスナレッジ
天井・壁・床・内法から床の間、水屋、屋根まで、和風住宅と茶室の納まりを詳細図で確認できる図集。第4章で茶室を独立して扱い、和室に使う銘木の選び方や木材テクスチュア図録も収録する。CADデータのCD-ROMが付くので、そのまま設計に使える前提のつくり。エクスナレッジのディテールシリーズらしく、実務の引き出しを増やす用途に強い。
こんな人におすすめ
町場の設計者、納まりの引き出しを増やしたい人、和風住宅と茶室を同時に扱う人。CD-ROMを読み込める環境があるかを、買う前に確認しておきたい。
良い点
- 茶室の納まりを章で独立
- 木材テクスチュア図録付き
- CADデータのCD-ROM付き
気になる点
- CDを読む環境が必要
- 意匠の解説は中心でない
- 歴史や背景の話は少ない
出版社
エクスナレッジ
発売日
2014年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「納まり」って、どういう意味ですか? 何度も出てくるので、そろそろ教えてほしいです。
佐藤メバル
材と材がどう収まるか、その部分の詳細図のことですね。この本は天井・壁・床・内法から床の間、水屋、屋根まで、ディテールを図で確認できる。
第4章で茶室をまとめて扱っているのが、ありがたいところです。
橘ナナミ
CADデータが付くの、実務っぽいですね。
佐藤メバル
そのまま設計に使える前提の作りですから、町場の設計者には強い味方です。ただCD-ROMなので、読み込める環境かどうかは先に確認してくださいね。
和室に使う銘木の選び方や木材テクスチュア図録も入っていて、資料としても重宝します。

住宅建築別冊18「数寄屋建築詳細図集-茶室・水屋・露地編」
建築思潮研究所 著|建築資料研究社
¥5,500(税込)
数寄屋建築の中でも一番難しいとされる茶室、水屋、露地について、60年以上数寄屋大工として活躍してきた俣野忠蔵棟梁の伝統的技法を、詳細図面と写真で紹介する。160頁に現場の手つきが凝縮され、職人の仕事を資料として残した点に価値がある。眺める写真集ではないので、目的をはっきりさせて選びたい。
こんな人におすすめ
数寄屋大工の技法を学びたい人、職人の図面を資料として見たい人、水屋や露地まで踏み込みたい設計者。価格は資料代として納得したうえで手に取りたい一冊。
良い点
- 茶室・水屋・露地を扱う
- 詳細図面と写真を収録
- 職人の技法が資料になる
気になる点
- 価格が高め
- 読み物としては硬い
- 入門書ではない
出版社
建築資料研究社
発売日
2023年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
60年以上、数寄屋大工として活躍してきた棟梁の技法が載っているんですね。
佐藤メバル
茶室、水屋、露地は数寄屋の中でも一番難しいとされる部分です。その難所を詳細図面と写真で見せる、現場の記録として貴重な一冊。
160頁に、手の仕事がそのまま資料として残っています。
橘ナナミ
図面はやっぱり手描きなんですか?
佐藤メバル
そこは実際に手に取って確かめてほしいところです。図面や写真の細部は、画面より紙のほうが伝わりますからね。
設計者にも大工にも効く本で、棚でも「これは仕事で使います」と買っていかれる方が多いタイプでした。

新版 中村昌生が語る建築講座 古典に学ぶ茶室の設計
中村昌生 著|エクスナレッジ
1999年刊の同名書の新装版で、茶室建築の第一人者・中村昌生が設計の基本から作例、古典の茶室や茶匠の考えの読み解き方まで語る。間取り、柱づくり、床、壁、出入口、窓、天井、点前座、水屋、外観、広間、立礼と、一講ずつ勘所を積み上げる構成が読みやすい。有楽・三斎・織部から遠州、宗和、石州、不昧へ視点が広がる。
こんな人におすすめ
茶室設計を体系的に学びたい人、古典と設計をつなげたい人、第一人者の語りで通読したい人。265頁を十三の講義として、少しずつ読み進められる。
良い点
- 講義形式で体系立っている
- 古典と茶匠の視点が入る
- 作例と理論の両方がある
気になる点
- 文章量が多く時間が要る
- 図面集ほどの図版はない
- 入門者には少し難しい
出版社
エクスナレッジ
発売日
2013年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
講義形式で十三講もあるんですね。これは読み応えがありそうです。
佐藤メバル
間取り、柱づくり、床、壁、出入口、窓、天井、点前座、水屋、外観、広間、立礼と、設計の勘所を一講ずつ積み上げていく。
1999年刊の同名書の新装版で、茶室建築の第一人者・中村昌生の語りがそのまま読める構成です。
橘ナナミ
「古典に学ぶ」ってところが肝なんでしょうか。
佐藤メバル
そこです。有楽・三斎・織部から、遠州、宗和、石州、不昧へと茶匠の考えを読み解く視点が入るので、単なる作り方の本で終わらない。
作例から古典まで幅広く学べる、茶室設計を学ぶ人には必携の一冊ですよ。

茶の匠: 茶室建築三十六の技
飯島照仁 著|淡交社
茶室建築の匠の仕事を三十六の技として拾い上げ、写真と解説で一項目ずつ読める形にした一冊。細部に宿る判断に焦点があり、同じ著者・飯島照仁の『名茶室の工夫』が名茶室のアイデアを扱うのに対し、こちらは職人の手の側から迫っている。173頁で扱いやすく、二冊を並べると見る側と作る側の両方の視点が手に入る。
こんな人におすすめ
職人の細部の仕事に関心がある人、名茶室の工夫と読み比べたい人、写真と解説で一項目ずつ進めたい人。短い時間でも区切りよく読み進められる構成。
良い点
- 技ごとに区切って読める
- 写真と解説の構成
- 名茶室の工夫と対になる
気になる点
- 体系的な教科書ではない
- 図面は中心でない
- 施工手順の詳細は少ない
出版社
淡交社
発売日
2002年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「三十六の技」って、技を数え上げていく本なんですか?
佐藤メバル
匠の手仕事を三十六の技として拾い上げ、茶室建築の細部に迫る本です。写真と解説で一項目ずつ読める作りなので、区切りよく進められますよ。
橘ナナミ
さっきの『名茶室の工夫』と同じ著者ですよね。どう使い分ければいいんでしょう?
佐藤メバル
あちらは名茶室の工夫、こちらは職人の技。見る側と作る側で、ちょうど対になっているんです。並べて読むと、同じ細部が別の角度から見えてくる。
書店でも、片方を買ったお客様がもう片方を後日買いに来る、ということがよくありました。

茶室の解明
根岸照彦 著|建築資料研究社
古今のさまざまな茶室1,159件を完全データ化し、平面図から系統的に分類・体系化したうえで、茶室特有の決まりや法則を導き出す。一件ずつ眺める本ではなく、統計的に茶室を見るという他にない立場の一冊。茶室設計に携わる人だけでなく、茶道家や茶道を学ぶ人にも必携とされる。写真集の合間に置くと見え方が一段変わる。
こんな人におすすめ
茶室の決まりごとを数字と分類から理解したい人、設計と茶道の両方に関わる人、平面図を大量に比較したい人。参照し続ける使い方に向いた一冊。
良い点
- 1159件のデータが土台
- 平面図から法則を導く
- 設計と茶道の両方に効く
気になる点
- 眺める本ではない
- 前提知識が要る
- 読み通すには根気がいる
出版社
建築資料研究社
発売日
2001年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
1,159件って……それ、全部調べたんですか? 想像がつかないんですけど。
佐藤メバル
古今の茶室1,159件をデータ化して、平面図から系統的に分類し、体系化したうえで決まりや法則を導き出す。
データで読む茶室、という他にない立場の本ですね。
橘ナナミ
設計する人にも茶道家にも必携、と紹介文にありますね。両方に効くのが面白いです。
佐藤メバル
そこがこの本の肝なんです。統計的に眺めると、あの寸法や配置が偶然ではないとわかる。茶道を学ぶ人が読むと、所作の裏側にある理屈が見えてくる。
逆に設計者は、数字の向こうにある茶の心を確認できるわけです。

“しくみ”で解く茶室 (チルチンびと建築叢書 1)
竹内亨 著|風土社
¥2,074(税込)
意匠や歴史ではなく、成り立ちの仕組みから茶室を説明する本。チルチンびと建築叢書の一冊で135頁と軽く、価格も含めて入り口として使いやすい。写真集を眺める前に理屈を整えておくと、名席の見え方が変わる。網羅性や図面の量を求める本ではないが、考える順番を教えてくれる点で独自の価値がある。
こんな人におすすめ
理屈から茶室に入りたい人、図面集の前段として考え方を整えたい人、短時間で一冊読み切りたい人。価格が手頃なので、まず試しやすい一冊になっている。
良い点
- 仕組みから説明する立場
- 135頁で軽い
- 価格が手頃
気になる点
- 作例や図面は少なめ
- 事典的な用途には不向き
- 踏み込んだ実務情報はない
出版社
風土社
発売日
2006年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「しくみ」で解く、ってどういうアプローチなんでしょう? 工夫とか歴史とは違うんですよね。
佐藤メバル
意匠や歴史ではなく、成り立ちの仕組みから茶室を説明する本です。チルチンびと建築叢書の一冊で、135頁と軽い。
理屈から入ると頭が整理されて、写真集の見え方が変わるんですよ。
橘ナナミ
入門の前段にちょうどよさそうですね。価格もそんなに高くないですし。
佐藤メバル
そう、2074円という手頃さもあって最初の一冊にしやすい。網羅性を求める本ではないので、これで全体を知ろうと思うと物足りませんが、考える順番を教えてくれる。
地図を買う前に方角を知る、みたいな役割の一冊です。

ほんとうに使いやすい茶室をつくる: 戸建・ビル・新改築、タイプ別プラン13件
淡交社建築部 著|淡交社
¥2,970(税込)
既刊『わが家に茶室をつくるには。』の続編として、一般住宅、店舗、学校、ビル内などタイプ別の13プランを詳細図面と写真で紹介する。茶室の設計・施工ノウハウを、材の選び方やディテールの仕上げまで踏み込んで伝える構成。淡交社内ビルに設けられた茶室の建設現場を取材したドキュメンタリー形式の頁も収録され、建てる流れまで見える。
こんな人におすすめ
実際に茶室を建てたい一般の人、施工のノウハウを知りたい工務店や設計者、住宅以外の場所を考えている人。131頁で見通しよく読み進められる。
良い点
- タイプ別に13プランを掲載
- 詳細図面と写真が豊富
- 建設現場の取材ページ付き
気になる点
- 理論や歴史の話は少ない
- プラン数は絞られている
- 続編ゆえ前作が前提の部分
出版社
淡交社
発売日
2017年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「使いやすい」って言葉が、茶室の本では珍しい気がします。普通は「名席」とか「伝統」ですよね。
佐藤メバル
そこがこの本の肝なんです。一般住宅、店舗、学校、ビル内などタイプ別に13件のプランを、詳細図面と写真で紹介しています。
材をどう選び、ディテールをどう仕上げるかまで踏み込んだ、ノウハウ集ですね。
橘ナナミ
ビルの中の茶室の建設現場が載っているのも気になります。
佐藤メバル
ドキュメンタリー形式のページがあって、建て方の流れまで見えるんですよ。前作『わが家に茶室をつくるには。』の続編という位置づけなので、まず前作から入るのもいい。
建てたい人と、建てる仕事をする人の両方に効く作りです。

茶室をつくる―茶の湯空間の工夫あれこれ (淡交 別冊 愛蔵版 数寄・日本の心とかたち No.49)
納屋嘉人 著|淡交社
中村昌生の論考に始まり、桐浴邦夫がAからZまでの項目で寄付、露地、炉、床の間、土壁、窓、天井、水屋などを一つずつ拾っていく構成。横山末子・竹中勤・飯島照仁による鼎談や、唐紙、水屋の構成、ビル・マンションの茶室といった周辺の論考も収録される。淡交の別冊で、資料としても読み物としても厚みがある。
こんな人におすすめ
茶室の要素を項目ごとに整理したい人、周辺の素材や論考まで読みたい人、ビルやマンションの茶室に関心がある人。鼎談から拾い読みを始めるのも楽しい。
良い点
- A to Zで要素を整理できる
- 鼎談や周辺論考を収録
- ビル内の茶室も扱う
気になる点
- 別冊のため入手が不安定
- 体系的な教科書ではない
- 図面集としての網羅性はない
出版社
淡交社
発売日
2006年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
目次がA to Zになってる! 寄付、露地、炉、床の間、土壁……項目を拾っていく作りなんですね。
佐藤メバル
桐浴邦夫さんのAからZまでの項目で茶室の要素を拾い、冒頭に中村昌生さんの論考、さらに横山末子・竹中勤・飯島照仁の鼎談も収録されています。読み物としても厚い一冊ですね。
橘ナナミ
唐紙とか水屋の話もあるんですね。要素の一つずつが深そう。
佐藤メバル
周辺の素材や、ビル・マンションの茶室まで踏み込むのが面白いところです。淡交の別冊なので在庫は落ち着きにくいですが、見つけたら確保したい。
気になる項目から開けるので、辞書とも読み物ともつかない、いい意味で中途半端な使い方ができますよ。

茶室手づくりハンドブック―はじめての茶の湯空間
岡本浩一 著|淡交社
¥1,980(税込)
畳の和室が減るなか、空間の制限が多いマンションや住宅で手軽に茶の湯空間を創出する工夫を紹介する。自宅マンションに十分な機能を備えた茶室を低価格で営む著者が、自分の工夫と体験を披瀝し、茶室を持つことの素晴らしさを語る。飯島氏による茶室の基本と応用の解説も併せて収録され、現代の茶の湯空間づくりを提言する157頁。
こんな人におすすめ
マンションや賃貸で茶の湯空間を持ちたい人、低価格で工夫したい人、和室がない住まいで茶道を続けたい人。手づくりの発想を学ぶ入口として選びやすい。
良い点
- マンションでの工夫が具体例
- 低価格で営む視点がある
- 基本と応用の解説も付く
気になる点
- 本格茶室の建て方は薄い
- 写真や図面は多くない
- 著者の環境に寄る部分がある
出版社
淡交社
発売日
2010年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「手づくり」って、日曜大工で作れるっていう意味なんですか? ちょっと想像がつかなくて。
佐藤メバル
マンションや住宅という制限の多い場所で、手軽に茶の湯空間を創出する工夫を紹介する本です。著者の岡本さんは、自宅マンションで十分な機能を備えた茶室を低価格で営んでいる方。その工夫と体験がそのまま載っています。
橘ナナミ
畳の和室が減っているから、こういう本は需要がありそうですね。
佐藤メバル
そう思います。飯島氏による茶室の基本と応用の解説も入っていて、現代の茶の湯空間づくりを提言する一冊になっている。
本格的に建てる前の段階の人こそ、最初に読むと発想が広がりますよ。
著者で選ぶ——三つの系譜をたどる
橘ナナミ
同じ「茶室の本」でも、著者によって性格が違う気がします。誰を追いかければいいんでしょう。
佐藤メバル
まず軸になるのが中村昌生さん。『新版 中村昌生が語る建築講座 古典に学ぶ茶室の設計』は、古典の茶室や茶匠たちの考えを読み解く方法まで扱っていて、内容紹介でも茶室建築の第一人者と記されている。原理から入りたい人はここ。
橘ナナミ
では設計の入口で名前を見る桐浴邦夫さんは?
佐藤メバル
桐浴さんは『世界で一番やさしい茶室設計 最新版』の著者で、『茶室をつくる』でも「茶室を知るためのA to Z」を担当している。用語を一つずつほどいて全体像を渡すタイプだね。もう一人、飯島照仁さんは『名茶室の工夫』『茶の匠 茶室建築三十六の技』を書き、『茶室をつくる』では鼎談や水屋の論考、『茶室手づくりハンドブック』では解説を寄せている。名席の工夫を実作から拾う系譜だ。
橘ナナミ
原理の中村さん、用語の桐浴さん、実作の飯島さん。なるほど、三人で三角形になるんですね。
絶版・大型本・電子——手に入れる前に知っておきたいこと
橘ナナミ
古い本や大きい本は、買えるかどうかも問題です。中古相場って見ておくべきですか。
佐藤メバル
相場は時期で動くから、特定の金額を覚えるより「新品・中古・復刻・電子」のどれで出ているかを確認する癖をつけたほうがいい。復刻本の例だと『茶室(和風建築シリーズ)』は絶版本をスキャンしたデータからの復刻で、品質が当初と異なると明記されている。古書で探す前に、まず図書館の蔵書と国立国会図書館デジタルコレクションを当たる。これで本文が読めるなら、手元に置く一冊は別に選べる。
橘ナナミ
電子で読めるものは、図面の本でも大丈夫なんですか。
佐藤メバル
そこは注意。『数寄屋(茶室)』や『茶室の解明』のような図版本は、タブレットなど大きい画面の端末向けとされていて、文字だけの拡大やハイライト、引用が使えないと商品説明に明記されている。図面をにらんで手を動かす本は紙が基本、文章中心の入門書は電子も快適、と分けて考えるといい。
読む順番と、実務での使いどころ
橘ナナミ
25冊もあると、順番を決めてもらえると助かります。
佐藤メバル
まず『世界で一番やさしい茶室設計 最新版』で茶の湯と茶室の言葉をそろえる。次に『茶室の名席ハンドブック』で実例の引き出しを作る。ここまでで「見る目」ができる。次が目的別で、原理なら『新版 中村昌生が語る建築講座 古典に学ぶ茶室の設計』、建てるなら『ほんとうに使いやすい茶室をつくる』、設計の詰めは『住宅建築別冊18 数寄屋建築詳細図集-茶室・水屋・露地編』や『最新版 納まり詳細図集 和風住宅・茶室編』、研究なら『茶室の解明』へ。これが無理のないロードマップだよ。
橘ナナミ
実務の現場では、どう使うんですか。確認申請とか監理とか。
佐藤メバル
『数寄屋(茶室)』は整地・測量から基礎、建方、上棟、造作、建具、設備、竣工までを工程順に追い、設計図面も収録している。施工の流れを前提に納まりを確認する本だね。『最新版 納まり詳細図集 和風住宅・茶室編』は水屋や天井・壁・床のディテールをCADデータ付きで持っているから、図面を描く段階で効く。手を動かす人は、この二冊を並べて開くといい。
橘ナナミ
最後に、流派の違いは本選びに影響しますか?
佐藤メバル
点前や作法を前提にした本と、建築の図面本は分けて考えること。『名茶室の工夫』や『茶室の名席ハンドブック』のように淡交社から出ている本は茶の湯の実践に近く、『茶室建築の実際』や『茶室の材料と構法』は構法寄り。自分の稽古と見学の両方で、棚を分けて持つのがおすすめだよ。
よくある質問
茶室の本は何から読めばいいですか?
橘ナナミ
茶室の本は何から読めばいいですかについて教えてください。
佐藤メバル
まず『世界で一番やさしい茶室設計 最新版』から始めるのが無理のない順番です。茶の湯の考え方から茶室設計の作法、古今の名作茶室までを115のキーワードで通しているので、用語の地図を先に手に入れられます。次に『茶室空間入門』で空間の見方へ進むと、写真や図面の意味が読み取れるようになります。
自宅に茶室を作りたいとき、どの本がおすすめですか?
橘ナナミ
自宅に茶室を作りたいとき、どの本がおすすめですかについて教えてください。
佐藤メバル
『ほんとうに使いやすい茶室をつくる』は戸建・ビル・新改築のタイプ別プラン13件を詳細図面と写真で見せていて、建て主側の研究に向きます。マンションなど面積の制約が大きい場合は、住環境の変化を踏まえて手軽に茶の湯空間を創出する工夫を紹介する『茶室手づくりハンドブック』が現実的です。
茶室の設計実務に役立つ本は?
橘ナナミ
茶室の設計実務に役立つ本はについて教えてください。
佐藤メバル
施工の流れを工程順に追う『数寄屋(茶室)』と、納まりを細部まで集めた『最新版 納まり詳細図集 和風住宅・茶室編』の二冊が実務の軸になります。さらに茶室・水屋・露地という難所の図面を集めた『住宅建築別冊18 数寄屋建築詳細図集』や、大部の『茶室建築の実際』を現場で引く用にそろえると安心です。
茶室の間取り・図面が見られる本は?
橘ナナミ
茶室の間取り・図面が見られる本はについて教えてください。
佐藤メバル
間取りから入るなら『茶室平面集』、設計図面まで見たいなら『数寄屋(茶室)』が平面・立面・展開・矩計・伏図・軸組図を収録しています。実例の位置関係をつかむだけなら『茶室の名席ハンドブック』の炉の位置がわかる見取り図が手軽で、見学前後の辞書代わりになります。
絶版になった茶室の本はどこで買える?
橘ナナミ
絶版になった茶室の本はどこで買えるについて教えてください。
佐藤メバル
まず図書館と国立国会図書館デジタルコレクションを当たり、本文が読めるかを確認するのが順番です。そのうえで古書店や中古市場を探します。『茶室(和風建築シリーズ)』のように絶版本をスキャンした復刻本として出ている例もありますが、当初の現物とは品質が異なると明記されている点は承知しておきましょう。
電子書籍で読める茶室の本はある?
橘ナナミ
電子書籍で読める茶室の本はあるについて教えてください。
佐藤メバル
ありますが、図版主体の本はタブレットなど大きい画面の端末向けとされ、文字だけの拡大やハイライト、引用が使えないと商品説明に明記されているものもあります。文章中心の入門書は電子が快適ですが、図面をにらんで手を動かす本は紙で持つのがおすすめです。
茶道初心者でも読める入門書は?
橘ナナミ
茶道初心者でも読める入門書はについて教えてください。
佐藤メバル
『茶室がほしい。』は、著者がお茶の稽古に通い、京都の町屋を購入して茶室を造るまでの体験をたどる読み物で、専門知識ゼロからでも追いかけられます。『初めての茶室』のように京都・大徳寺で基本を学ぶ構成の本も、初心者が最初の一歩を踏み出す入口になります。
1万円を超える大型本は買う価値がある?
橘ナナミ
1万円を超える大型本は買う価値があるについて教えてください。
佐藤メバル
目的次第です。『茶室建築の実際』のような大部の実務書は通読する本ではなく、図面や仕様を現場で引くための道具なので、設計や施工に携わる人には費用対効果が高い。逆に鑑賞目的なら、まず3,000円台の入門書と写真中心の一冊で足りるかを確かめてから判断すると失敗しません。
まとめ
橘ナナミ
最初は「多すぎて選べない」と思っていたのに、軸で分けたら急に静かに見えてきました。
佐藤メバル
本は、いきなり茶室に入るためのものじゃないからね。露地を歩いて、蹲踞で手を洗って、にじり口をくぐる。あの一連の手間があって、はじめて席の中の静けさが立ち上がる。本も同じで、入門書で言葉を覚え、写真集で情景を焼きつけ、図面で寸法を確かめる。その順番そのものが露地なんだ。
橘ナナミ
焦って1冊で完成させようとしなくていい、ということですか。
佐藤メバル
そう。書店員だった頃、お客さんに「一番いい本はどれですか」と聞かれて、うまく答えられなかったことがある。今なら「あなたは今、露地のどこを歩いていますか」と聞き返すね。建てる直前の人と、これから見学を始める人とでは、必要な一冊が違うから。
橘ナナミ
露地のどこを歩いているか……。じゃあ私、まずは入門書で足元を固めてから、名席の写真集を持って京都に行ってきます。
佐藤メバル
いいね。本で予習して、現地で「あ、ここか」と気づいて、帰って図面を見直す。その往復の回数だけ、茶室の見え方は深くなるよ。
