音楽デザイン本のおすすめ人気ランキング18選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
「音楽 デザイン 本」で検索したら、ジャケットの本と音響の本がいっしょに出てきて、正直どこから見ればいいのか分からなくなってしまって。
佐藤メバル
いい質問だね。音楽とデザインと言っても、「音そのものを設計する」本と「音を載せるビジュアルを設計する」本は別の棚なんだ。今回のラインナップは前者のサウンドデザインを軸にして、信藤三雄『新世界』で後者——レコードジャケットの世界も押さえる並べ方にしているよ。
橘ナナミ
サウンドデザインって、実際には何をする仕事なんですか?
佐藤メバル
緊急地震速報のチャイム、電車の発車音、動画の効果音——ああいう「音の役割」を設計する仕事だね。小久保隆『音でデザインする』は、その最前線を本人が語った一冊。読み終わると、街の音が全部「誰かの意図」に聞こえてくる。書店員だった頃、この手の本は音響の専門コーナーに固めていたけど、ほんとうは映像を作る人や企画職にも届けるべき棚だと思っていたよ。
橘ナナミ
なるほど…! じゃあ、選ぶときの軸を教えてください。
佐藤メバル
では、軸ごとに見ていこうか。
音楽デザイン本の選び方
目的別で選ぶ —— 眺める・作る・学ぶ
橘ナナミ
最初に決めるべきことって何ですか?
佐藤メバル
目的だね。「眺める」なら信藤三雄『新世界』。ジャケット1000作以上を手がけた本人の語りだから、読み物として強い。「作る」なら坂本昭人『映像・動画制作者のためのサウンドデザイン入門』でBGM・効果音・MAの流れを掴む。「学ぶ」なら岩宮眞一郎『音と音楽の科学』で、心地よさの理由から入る。
レベル別で選ぶ —— 未経験/実務1〜3年/ディレクター
橘ナナミ
経験の差でも変わりますか?
佐藤メバル
変わる。未経験なら岩宮眞一郎『図解入門 よくわかる最新 映像サウンドデザインの基本』。実務1〜3年なら沢口真生ほか『サウンドデザインバイブル』でミックスの手順を型として持つ。ディレクター層なら『音響学の展開』のように、音のデザインを学術の文脈で俯瞰できると、現場の判断に言葉を与えられるよ。
収録形式別で選ぶ —— 事例型・技法型・理論型・ジャケット型
橘ナナミ
本の「型」でも分けられますか?
佐藤メバル
4層で見ている。事例・語り型は『新世界』と『音でデザインする』。技法解説型は『映像・動画制作者のためのサウンドデザイン入門』や横川理彦『サウンドプロダクション入門』。理論・歴史型は鳥越けい子『サウンドスケープ』や岩宮真一郎『音の生態学』。名盤ジャケット型は今のところ『新世界』が担う、という地図だね。
価格帯別で選ぶ
橘ナナミ
安い本と高い本、何が違うんでしょう?
佐藤メバル
3000円を切る帯なら『音でデザインする』や『音と音楽の科学』。3000〜5000円の帯は『サウンドデザイン』『サウンドデザインバイブル』『音響学の展開』のように、図版や頁数、専門の深さに投資する値付けだと思えばいい。洋書は今回のラインナップには入れていないから、別の棚で探す前提でね。
紙か電子かで選ぶ
橘ナナミ
電子版のほうが持ち歩きは楽ですよね。
佐藤メバル
ただ、この分野は図版・譜例・QRコードを追う本が多い。『音でデザインする』はQRコードから音を聴きながら読み進める前提だから紙が快適。逆に手順を検索して引く実務書は電子の利点が出る。電子版の有無は出版社や販売サイトで必ず確認してね。
掲載アーティストのジャンルで選ぶ
橘ナナミ
好きな音楽のジャンルで選んでもいいですか?
佐藤メバル
いい視点だね。『新世界』は松任谷由実、Mr.Children、ピチカート・ファイヴなど邦楽の実例が中心。海外アートワーク史やアンビエント特化の本は今回のラインナップには入れていないから、そこは別途探す前提で。理論書はジャンルを問わず効くよ。
音楽デザイン本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、18冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
音楽デザイン本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい
新世界 -信藤三雄の音楽とデザインの旅ー
信藤三雄 著|玄光社
¥3,520(税込)
CD・レコードジャケットを1000作以上手がけたアートディレクター・信藤三雄の初の語り下ろし集。松任谷由実、Mr.Children、エレファントカシマシ、MISIA、AKB48、ピチカート・ファイヴ、オリジナル・ラヴなどの実例とともに、各作品の裏側の思いと信藤流のデザインメソッド、生い立ちまで赤裸々に語る。渋谷系の始祖と呼ばれた人物の思考の現場が読める。デザインの手順書ではなく本人の語りが主役で、他のサウンドデザイン入門書とは性質が違う。
こんな人におすすめ
音楽ジャケットやアートディレクションに興味がある人、渋谷系や90年代邦楽が好きな読者、CDが売れていた時代のビジュアルと音の関係を作り手の言葉で裏側から知りたい人、図版だけでなく読み物として当時の空気を味わいたい人。
良い点
- ジャケット制作の裏話が豊富
- 渋谷系の始祖本人の語り
- 実例アーティストが幅広い
気になる点
- 写真中心の作品集ではない
- デザイン手順の解説書ではない
- 読み応えがあり価格も高め
出版社
玄光社
発売日
2021年09月14日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
信藤三雄さんって、名前は知らなくてもジャケットは見たことがありそうです。1000作以上って、もう一人の音楽家みたいな量ですね。
佐藤メバル
そう、まさに“見えない共演者”だね。松任谷由実、Mr.Children、エレファントカシマシ、MISIA、AKB48、ピチカート・ファイヴ、オリジナル・ラヴまで実例が並ぶ。
小林武史が「プレゼンが一番カッコ良かった」と寄せているのも納得で、マニアックで多彩で攻撃的、その空気ごと本になっている。
書店員時代、この手の本は“眺める本”として棚に立てていたけど、これは読み物としても強い。
橘ナナミ
渋谷系の始祖という言葉も気になります。ジャケットって、音を選ぶ前の入口ですよね。
佐藤メバル
そこが肝で、本書は各作品の裏側にどんな思いがあり、信藤流のデザインメソッドがどう加わったかを本人が語る。
生い立ちや変遷も追うから、単なる作品集ではなく“旅”の記録になる。音を聴く前にジャケットで世界観を決めていた時代の熱量が伝わってくるよ。
サウンドデザインバイブル
沢口真生 著|兼六館出版
¥4,400(税込)
ミキシングを軸に、サウンドデザインとMixing、デザイン計画、モニター環境の構築、プロダクション・サウンド、Film Scoring、効果音とFoley Sound、フィールド録音、Pre Mixing、Final Mix、ツールとしてのDAW、ダミーヘッド録音までを章立てで整理。工程ごとに区切られているので辞書的に引ける。理念より手順と環境構築が中心の、実務の手元に置く技術書だ。
こんな人におすすめ
音楽制作や映像音響の現場でミックスを担当する人、自宅スタジオのモニター環境を見直したいエンジニア、フィルムや効果音の制作工程を体系的に押さえたい学生、機材の前に理論を確認したい実務者。
良い点
- 工程が章ごとに体系的
- モニター環境の構築に詳しい
- 効果音と録音も収録
気になる点
- 読み通すには厚い技術書
- 完全な初心者には前提が多い
- 専門書らしく価格は高め
出版社
兼六館出版
発売日
2015年07月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
サウンドデザインバイブル、目次を見ると“バイブル”という名前がしっくりきます。ミックスの前後にやることが細かく分かれているんですね。
佐藤メバル
うん、第1章のサウンドデザインとMixingから始まり、Final MixのあとにツールとしてのDAW、ダミーヘッド録音まで続く。
なかでも第3章のモニター環境の構築は、Project Studio Mixingを使う人に向けて書かれていて、自宅で混ぜている人に効く。
環境を整えること自体がデザインだと教えてくれる一冊だよ。
橘ナナミ
第6章の効果音とFoley Sound、第7章のフィールド録音も気になります。自分で音を録るところから始まるんですね。
佐藤メバル
そう。既成の音源を選ぶ前に、足音や布ずれを自分で録る発想に行き着く。Film Scoringの章もあるから、音楽と効果音を別々に考えない視点が持てる。
ただこれは読み物というより現場の道具でね。手を動かしながら必要な章を引く使い方がいちばん合っているよ。
サウンドデザイン
松村誠一郎 著|コロナ社
¥4,400(税込)
ビデオゲームの効果音制作、インタラクションを伴う共遊楽器、音のメディア考古学、建築と音楽の異分野共創、聴能形成、エンターテインメント分野のサウンドデザインという6つの章を、各分野の研究者が担当。どの章から読んでもいい独立した構成で、生成AIが音を扱う時代に人間の試行錯誤の価値を問い直す。事例集でも手順書でもない概観の本だ。
こんな人におすすめ
大学や大学院で音とテクノロジーを学ぶ人、ゲーム・建築・アートを横断して音の表現に関わりたい人、AI以前のサウンドデザインの蓄積を体系的に知りたい社会人、研究の入口を探している学生。
良い点
- 6分野を横断して俯瞰できる
- 各章独立で好きな所から読める
- AIとの共存まで視野に入れる
気になる点
- 文体はやや学術寄り
- 実作業の手順は少なめ
- 専門用語の前提が一部ある
出版社
コロナ社
発売日
2024年10月16日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
これ、文系や芸術系の学生も対象って書いてあって安心しました。でもゲーム、共遊楽器、メディア考古学、建築、聴能形成、エンタメって、かなり幅広いですよね。
佐藤メバル
それぞれ別の研究者が書いているから、独立した章として好きなところから入れる。たとえば第3章は《Rain Dance》や《Fire birds》といったサウンドアートを“発掘”して解釈し直す試みで、第4章は建築と音楽を異分野で共創する話。
音のデザインは音楽だけのものではないと腹に落ちる構成なんだ。
橘ナナミ
最後に生成AIの話が出てくるのも今っぽいですね。AIが作る時代に、人間の試行錯誤を読む意味って何でしょう。
佐藤メバル
著者たちは、原理原則や手と思考で積み上げた事例に目を通せば、人間の発想の豊かさに気づくはずだと言っている。
そしてAIとの住み分けや共存へのヒントもそこにある。道具の使い方より、考え方の地図として読む本だね。
サウンドデザイン論
石光俊介 著|養賢堂
¥2,750(税込)
自動車や家電の音環境を対象に、騒音対策からサウンドデザインへ移る流れ、フーリエ解析と時間周波数解析、耳の仕組みとマスキング、ラウドネスやシャープネスといった音質評価指標、官能検査の進め方、物理特性と聴感印象のひもづけ、心拍や呼吸との関係、アクティブノイズコントロールまで講義形式で解説。感覚を測ってから作るという順序が一貫している。
こんな人におすすめ
製品の音を設計・評価する立場の人、音質評価の指標と実験方法を実務で使いたい技術者、自動車や家電の音環境を見直したい設計者、大学の講義に近い体系で音響システムを学びたい学生。
良い点
- 評価指標と実験手順が具体的
- フリーソフト活用にも触れる
- 講義ベースで道筋が明快
気になる点
- 数式や解析の記述が多い
- 趣味の音楽制作向けではない
- 心理実験の知識が要る箇所
出版社
養賢堂
発売日
2022年11月01日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
家電や車の音って、意識したことはあっても“デザインされている”とは考えたことがなかったです。ボタンの押し音まで検討するんですね。
佐藤メバル
第6章でカーオーディオのボタン押し音を扱っている。ゴルフショット音の検討なんて例もあって、身近な音が評価の対象になる。
面白いのは順序で、音質評価指標で数値化し、官能検査で人の感覚を確かめ、最後に音質制御で作り込む。感覚を測ってから作るのがこの本の骨格なんだ。
橘ナナミ
ラウドネスとかシャープネスって、聞いたことはありますが、何を表す数字なんですか。
佐藤メバル
人が感じる大きさや、鋭さ、ざらつき、揺らぎを数値にする指標だね。本書はその意味と使い方、フリーソフトの活用法まで踏み込む。
だから“好き嫌い”で終わらせず、設計の根拠に変えられる。もとになった広島市立大学の講義名が「音響システム特論」なのも納得の堅さだよ。
映像・動画制作者のためのサウンドデザイン入門
坂本昭人 著|ビー・エヌ・エヌ新社
¥2,970(税込)
BGM、効果音、音声レコーディング、エフェクト、ミックス、MAまで、映像の音づくりを工程順に解説する。画の作り方は情報が多いのに音は学ぶ場が少ないという問題意識から、苦手意識のある人に向けて外せない基礎をまとめた。既存音源の選び方とオリジナル作曲の両方に触れるのが特徴で、音響学の理論書とは入口が違う。
こんな人におすすめ
映像や動画を制作していて音に苦手意識がある人、個人でYouTube動画を作るクリエイター、効果音やナレーション録りまで自分でやりたい制作者、撮影はできるのに音で止まっている人。
良い点
- BGMからMAまで工程順
- 効果音の作り方と演出が具体
- ダウンロード素材つきで試せる
気になる点
- 音響学の理論には深入りしない
- 上級の専門技法は限られる
- 機材の話には前提が要る
出版社
ビー・エヌ・エヌ新社
発売日
2020年02月25日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
これ、まさに私みたいな人間のための本かも。動画は撮るけど、音はとりあえず音量を上げておしまい、みたいな感じでした。
佐藤メバル
そこを正面から扱う本だよ。音の特性と信号処理という前提から入り、BGMの役割と既存音源のセレクト、オリジナル作曲、ラフミックス、エフェクト、ミックス、効果音制作、音声レコーディング、そしてMAまで進む。
音は最後に足すものではなく、企画の時点で決まると分かる構成になっている。
橘ナナミ
MAって聞き慣れないんですけど、何をする工程なんですか。
佐藤メバル
セリフ、音楽、効果音をまとめて整え、作品として聴ける形に仕上げる最終工程だね。本書はその最終調整で、定位、音質、音像、音量、音圧をどう見るかまで書いている。
画と同じように音にも段取りがあると知るだけで、次の作品の仕上がりは変わると思うよ。
図解入門 よくわかる最新 映像サウンドデザインの基本
岩宮眞一郎 著|秀和システム
¥1,870(税込)
映画、テレビ、YouTube動画にリアリティと感動を生み出す音楽、効果音、環境音を、映像メディアの音づくりとして包括的にまとめた入門書。図解と「よくわかる」を掲げたシリーズらしく、用語や仕組みの見取り図を先に得たい人に向く。工程を手順で追う実践書とは役割が違い、全体像の整理を担う一冊だ。
こんな人におすすめ
映像の音についてまず全体像をつかみたい人、音響の専門用語に自信がない学生、授業や研修の導入として音の基礎を押さえたい社会人、動画編集を始めたばかりの人。
良い点
- 図解中心で読み進めやすい
- 音楽・効果音・環境音を一望
- 入門として価格も手頃
気になる点
- 作業手順の細部は他書に譲る
- 上級者には目新しさが少ない
- ページ数は多くない
出版社
秀和システム
発売日
2023年02月01日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
“図解入門”って書いてあると身構えずに手に取れますね。映画もテレビもYouTubeも対象なんですね。
佐藤メバル
そう、映像メディアの音づくりを包括的に見渡す本だね。音楽、効果音、環境音という三つの要素が、どうリアリティや感動につながるかを整理してくれる。
まず地図がほしい人にはちょうどいい。先にこれを読んでから工程の本に入ると、迷子になりにくいよ。
橘ナナミ
環境音って、意識したことがなかったです。街のざわめきとか、そういうことですか。
佐藤メバル
そう、その場に流れている空気の音だね。音楽でも効果音でもないけれど、無いと急に嘘っぽくなる。本書はその三つを並べて扱うから、音を足し算ではなく配置として考えられるようになる。
厚い専門書の前の一本として薦めやすいよ。
音でデザインする 「緊急地震速報音」は、なぜ緊張するのか?
小久保隆 著|講談社
¥1,980(税込)
緊急地震速報音、iD電子決済音、横浜市のサウンドロゴなど、誰もが知る音を生み出した音環境デザイナーの小久保隆が、狙いと願いを初めて明かす。なぜ3回繰り返すのか、暗騒音をどう読むか、1/fゆらぎの正体は何か、六本木ヒルズや横浜の空間デザインまで。QRコードから実際に聴きながら読めるのが、他の概説書にない強みだ。
こんな人におすすめ
サイン音や音環境デザインの仕事に興味がある人、緊急地震速報音や電子決済音の理由を知りたい読者、街や施設の音を設計する立場の企画者、音で空間を演出したい人。
良い点
- 実際の音を聴きながら読める
- 第一線の設計者の狙いが読める
- 空間デザインの事例が豊富
気になる点
- 楽曲制作の技法書ではない
- 専門度が章によって異なる
- 作品リストは巻末が中心
出版社
講談社
発売日
2026年02月12日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
緊急地震速報音を作った人、という紹介だけで引き込まれます。あの音、鳴るだけで心臓が縮む感じがしますもんね。
佐藤メバル
そこを「眠っていても、絶対に気がつく音にしてください」という依頼から考え抜いた記録が第1章にある。3回の繰り返しにどんな意味があるのか、最初にプレゼンした音がどう失敗したのかまで書かれている。
音は感情を動かす装置だと、作り手の側から見せてくれる本だよ。
橘ナナミ
iDの決済音や横浜市のサウンドロゴも、この人が関わっていたんですね。QRコードで聴けるのもいいなあ。
佐藤メバル
読んで、聴いて、考える教科書という触れ込みどおりだね。第4章では波の音に癒される理由として1/fゆらぎを扱い、第5章の六本木ヒルズやクイーンズスクエア横浜の話では、その空間に合う音楽をどう選ぶかに踏み込む。
アートは無責任、デザインは有責任という言葉が重いよ。
サウンドスケープ
鳥越けい子 著|鹿島出版会
¥2,420(税込)
カナダの現代作曲家マリー・シェーファーが提唱したサウンドスケープについて、その思想と活動を紹介し、音を通して環境を認識し、新たな地平から風景を見直すことを提案する。音を聴く行為を環境の読み替えとして捉える視点が軸で、機器や工程を扱う技術書とは根本から発想が違う。
こんな人におすすめ
音環境やサウンドスケープを思想から学びたい人、まちづくりや環境教育に関わる立場の人、音を切り口に風景や記憶を考えたい読者、フィールド録音を趣味にする人。
良い点
- サウンドスケープの原点がわかる
- 環境と音を結ぶ視点が得られる
- 薄くまとまり読みやすい
気になる点
- 出版が古く図版は少なめ
- 実践手順は書かれていない
- 技術的な数値の話はない
出版社
鹿島出版会
発売日
1997年01月01日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
サウンドスケープって言葉は聞いたことがあります。でも、誰が始めたのかは知りませんでした。
佐藤メバル
カナダの作曲家マリー・シェーファーが提唱した概念で、この本はその思想と活動を紹介しながら、音を通して環境を認識することを提案している。
耳で風景を読み直すという発想で、騒音を減らす話とは方向が違うんだ。
橘ナナミ
具体的な音響設計のノウハウは、載っていない感じですか。
佐藤メバル
そこは割り切っていい。これは方法の本ではなく、ものの見方の本だからね。逆に、街の音や施設の音を仕事で扱う人ほど、ここに戻ってくると自分の案の前提が問い直される。
僕は棚を作るとき、この本を“入口”ではなく“戻り場所”として置いているよ。
音楽空間への誘い
日本建築学会 著|鹿島出版会
¥3,080(税込)
作曲家、指揮者、演奏者、プロデューサー、そして建築家が、音楽ホールの魅力とは何か、良いホールとは何かを語る。ステージサイドとアーキテクトサイドの両方から音楽空間を見て、その作り方の実践へ進み、年譜とホールデータの資料編も収録。残響時間や形状の解説本とは違い、演奏する側の言葉が並ぶのが大きな違いだ。
こんな人におすすめ
ホール設計や音響設計に関わる人、演奏者や主催者の立場から会場を選びたい人、音楽空間をめぐる思想と実務の橋渡しを知りたい学生、ホール運営に携わるスタッフ。
良い点
- 演奏者と建築家の両方の声
- ホールの歴史も押さえられる
- 資料編のホールデータが有用
気になる点
- 技術的な計算式は載らない
- 古い本で事例は限られる
- 通読向きの分量がある
出版社
鹿島出版会
発売日
2002年12月30日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
作曲家、指揮者、演奏者、プロデューサー、そして建築家が語るって、聞き手が五人もいるんですか。
佐藤メバル
そう、立場の違う人がそれぞれの言葉で“良いホール”を語る。第1部で魅力を問い、第2部はステージサイド、第3部はアーキテクトサイド、第4部で実践。
同じ空間を別の職業の目で見ているのが面白くてね。書店員時代、ホールの設計者と演奏家がこの本をきっかけに話し込んでいたのを覚えているよ。
橘ナナミ
残響時間の話は、出てこないんでしょうか。
佐藤メバル
数値の細かい話は他の本に譲るけれど、資料編に年譜とホールデータがまとまっているから、現場の感覚と照らし合わせられる。
奏者が何を頼りにホールを評価するのかを知ってから音響の本を読むと、数字の意味がぐっと具体的になるよ。
ハンドブック・オブ・サウンド・システム・デザイン
ジョン・M.アーグル 著|ステレオサウンド
¥3,980(税込)
PAやコンサートSRの初歩的な基礎理論から専門分野までを体系的かつ詳細に解説し、初心者からベテランのエンジニアまで、それぞれに必要な知識とノウハウを網羅する。現場で引けるハンドブックとして作られており、理論と応用を一冊で押さえられる。音楽を作る入門書とは対象が違い、空間に音を届ける側の設計が見える。
こんな人におすすめ
PAやコンサート、演劇、映像メディアのサウンドを担当するエンジニア、その仕事を目指す学生、現場の理論を一度整理し直したいベテラン、ライブ制作に関わるスタッフ。
良い点
- 基礎理論と応用を幅広く網羅
- 現場で引ける構成が便利
- 演劇や映像にも対応する
気になる点
- 発行が古く機材名は現在と差
- 通読には専門知識が要る
- 図版は多くない
出版社
ステレオサウンド
発売日
1998年02月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
“ハンドブック”って、最初から最後まで読む本ではないんでしょうか。
佐藤メバル
どちらでもいいけど、持ち味は現場で引くことだね。PAやコンサートSRの初歩の理論から専門分野まで、必要な知識とノウハウを体系的にまとめている。
音楽を作る技術ではなく、音を届ける技術の本だから、目的がはっきり違うんだ。
橘ナナミ
演劇や映像メディアの人にも役立つって書いてありますね。
佐藤メバル
そう、コンサートだけでなく演劇や映像まで対象に入っている。ただ出版から時間が経っているので、機材の具体的な名前は今の現場とずれる部分もある。
考え方の土台として読み、最新の機材は別で追う。その付き合い方が現実的だよ。
サウンドプロダクション入門
横川理彦 著|ビー・エヌ・エヌ
¥2,970(税込)
美学校の講座「サウンドプロダクションゼミ」をもとにしたDTM入門書。ビートとリズム、周波数、コードやメロディの基礎を学びつつ、DAWでの打ち込みやミックスを実践し、操作はAbleton Liveを具体例に進む。アーティスト研究の章でビリー・アイリッシュ、米津玄師、Yaeji、長谷川白紙を扱うのが、他の操作解説書と大きく違う点だ。
こんな人におすすめ
DTMをこれから始める人、耳コピーやリズムの作り方を基礎から学びたい人、機材の使い方だけでなく音楽そのものを考えたい作り手、DAWを買ったまま止まっている人。
良い点
- 基礎からミックスまで一冊で
- 音源をダウンロードして試せる
- アーティスト研究の章が独自
気になる点
- 操作はAbleton Liveが前提
- 他DAW勢は読み替えが必要
- 分量はしっかり厚め
出版社
ビー・エヌ・エヌ
発売日
2021年03月23日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
推薦の言葉が大友良英さんで、しかも“音楽哲学書でもある”って。DTMの入門なのに哲学ですか。
佐藤メバル
そこがこの本の面白さでね。リズム、コード、メロディ、ミックスと進みながら、最後に「アーティストとは何か?」まで行き着く。
ビリー・アイリッシュ、米津玄師、Yaeji、長谷川白紙を研究する章があるのも、ただの操作説明では出てこない構成だよ。
音楽とは周波数の時間分布であるという言い切りから始まるのも印象的だね。
橘ナナミ
実践はAbleton Liveを使うんですね。私は別のDAWなんですけど、大丈夫でしょうか。
佐藤メバル
操作の説明はAbleton Liveが前提だから、他のDAWなら読み替えは必要。でも五連符の作り方やクラーベの系譜、サチュレーションやパラレルプロセッシングの考え方は道具を問わない。
音源もダウンロードできるから、まず聴いて確かめながら進められるよ。
サウンドプログラミング入門
青木直史 著|技術評論社
¥3,278(税込)
サンプリング、サイン波、フーリエ変換、ディジタルフィルタ、PSG音源、アナログシンセサイザ、FM音源、PCM音源と、音を作る原理をC言語のプログラムで体験学習する。理屈をコードで確かめる構成で、DAWを操作して音を出す入門書とは学びの入口がまったく違う。加算合成と減算合成の考え方も手で追える。
こんな人におすすめ
音の生成原理をプログラムで理解したい人、情報系や音響工学を学ぶ学生、シンセや音源の中身を自分で書いてみたい開発者、理屈の側から音作りに入りたい人。
良い点
- 原理をコードで確かめられる
- 音源方式の違いが腹に落ちる
- 実験しながら進められる
気になる点
- C言語の基礎は必要になる
- DAW操作の話ではない
- 図だけで読むのは難しい
出版社
技術評論社
発売日
2013年03月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
サイン波、フーリエ変換、PSG音源、FM音源……。これ、音楽の本というより工学の本ですよね。
佐藤メバル
そのとおり。サンプリングから始まり、サイン波を鳴らし、重ね合わせ、周波数特性を分析し、加算合成と減算合成、PSG音源、アナログシンセサイザ、FM音源、PCM音源へと進む。
鳴らして確かめるから、式だけでは残らない理解が残るんだ。
橘ナナミ
DTMをやっている人にも、意味がありますか。
佐藤メバル
シンセのつまみが何をしているのか、音源方式がなぜ音色を変えるのか、体で分かるようになる。逆にC言語に触れたことがないと最初の一歩は重いから、そこは覚悟がいるね。
手を動かす授業の副読本としても使いやすい一冊だよ。
相澤直人の合唱デザイン
相澤直人 著|株式会社音楽之友社
¥2,750(税込)
第一線で活躍する合唱指揮者・作曲家の相澤直人が、自身の音楽観と技術を惜しみなく明かす合唱論。楽譜の背後に広がる豊かな源泉に触れ、込められた願いと誠実に向き合う「曲が喜ぶ演奏」を指針に、作曲家の脳内から楽譜を経て演奏家の身体、聴き手の心へ音楽が届く過程を、まなざし・練習・指揮・読譜・歌詩の5つの視座から解き明かす。
こんな人におすすめ
合唱の指導者と歌い手、指揮法や読譜を言葉で捉え直したい人、作曲家の意図とどう向き合うかを考えたい演奏家、合唱団で歌い続けている社会人。
良い点
- 5つの視座で全体を整理
- 作曲家本人の視点が読める
- 歌い手にも開かれた内容
気になる点
- 合唱以外への応用は限定的
- 譜例の読解に予備知識が要る
- 内容が濃く通読は骨が折れる
出版社
株式会社音楽之友社
発売日
2026年08月26日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
“曲が喜ぶ演奏”って言葉が素敵です。でも実際には、どういうことをするんでしょう。
佐藤メバル
楽譜の背後に広がる源泉に触れ、そこに込められた願いと誠実に向き合う、と著者は言う。第1章では作曲家・演奏家・聴き手という三つのまなざしを置き、第2章では共通非言語を育むリハーサルを論じる。
指揮者は音を出さない音楽家という立ち位置の定義から始まるのが鋭いんだ。
橘ナナミ
読譜や指揮の技術も、ちゃんと中身があるんですね。
佐藤メバル
第3章は身体と感性をつなぐ共鳴の回路として指揮を分解し、第4章ではリズムの力学、旋律の呼吸、和声の緊張と解放、ピタゴラスから平均律へという音律の話まで踏み込む。
歌う人にも指揮する人にも、自分の立ち位置を確かめる材料になるよ。
音響学の展開
日本音響学会 著|コロナ社
¥4,620(税込)
熱音響、アコースティック・イメージング、音バリアフリー、音のデザイン、音響教育、生物音響という新分野を紹介しながら、音響学の諸分野を俯瞰する。音をめぐる研究がどこまで広がっているかを一冊で見渡せるのが特徴で、デザインの実践書でも入門解説でもなく、学問の現在地を示す構成になっている。
こんな人におすすめ
音響学の全体像をつかみたい学生、研究テーマの横断的な見取り図がほしい大学院生、分野の新しい動きを追いたい技術者、音のデザインを学術の側から知りたい人。
良い点
- 新分野を6つまとめて紹介
- 俯瞰と専門のバランスが良い
- 引用文献が充実している
気になる点
- 数式や専門記述が多い
- 初心者には難度が高め
- 学術書らしい価格水準
出版社
コロナ社
発売日
2021年08月20日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
熱音響、アコースティック・イメージング、音バリアフリー……聞いたことのない言葉が並んでいます。
佐藤メバル
音響学がどこまで広がっているかを示す本だね。熱で音を動かし、超音波で体内を描き、聞こえの障壁を技術で減らす。
音バリアフリーの章では補聴器や人工内耳、防災行政無線まで扱う。音の研究は音楽の外側にも広いと実感できるよ。
橘ナナミ
第4章に「音のデザイン」があるんですね。デザインの本なのに、デザインが一章だけなのが意外です。
佐藤メバル
それだけ音のデザインが音響学の一分野として認められてきた証でもある。関数や現象の話が続くから読みやすい本ではないけれど、第6章の生物音響ではコウモリやイルカの反響定位まで出てくる。気になる章をつまむ読み方もできるよ。
音と音楽の科学
岩宮眞一郎 著|技術評論社
¥2,508(税込)
音と聴覚のしくみ、音の物理と心理、音楽のしくみ、音の空間性、オーディオ機器の歴史と原理、楽器の分類と発音のしくみまで、包括的かつ体系的に科学の目線でやさしく解説する入門書。協和を感じる理由や残響時間の考え方まで話題が広く、一冊で音の全体像と音楽の成り立ちを押さえられるのが類書にない強みだ。
こんな人におすすめ
音や音楽の理屈を基礎から知りたい人、音響や楽器に興味のある学生、趣味で音楽を楽しみつつ仕組みも理解したい社会人、ホールやヘッドホンの違いを言葉にしたい人。
良い点
- 物理から楽器まで体系的
- 図解と話題が豊富で読みやすい
- 音色や協和の話が具体的
気になる点
- 数式の記述がところどころ
- 実践の制作手順は扱わない
- 項目が細かく分量が多い
出版社
技術評論社
発売日
2020年03月04日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
波の音、耳の仕組み、音階、残響、レコードからCDまで……これは読み物としても面白そうですね。
佐藤メバル
そう、音を聴いて音楽を味わうところから始まり、なぜ協和して聞こえるのか、残響時間がホールの特徴をどう表すのかまで、科学の目線で丁寧に進む。
音色の印象は三次元で捉えられるといった整理もあって、聴くときの解像度が上がるんだ。
橘ナナミ
補聴器や人工内耳の話も入っているんですか。楽器の分類まで。ずいぶん欲張りですね。
佐藤メバル
欲張りだけど、それが体系的に並んでいるのがいい。項目が細かいから通読しなくても、気になった見出しから拾える。
趣味で音楽をやっている人が、理屈の側からもう一度音楽に近づくための一冊として薦めやすいよ。
音の生態学
岩宮真一郎 著|コロナ社
¥1,320(税込)
サウンドスケープという言葉が知られ始めた時期に、音をめぐる動きを「音の生態学」という枠組みで総括した一冊。愛着を覚える音も、忌み嫌う音も、日常生活の音も、記憶の中の音も、文芸に表現された音も、映像に組み合わされた音も対象にする。物理的な振動ではなく人が聞いている音を扱うのが最大の特徴だ。
こんな人におすすめ
音環境や音風景に関心がある人、環境教育やまちの音を扱う立場の人、文学や映像の中の音に興味がある読者、残したい音を選ぶ事業に関わる人。
良い点
- 音環境デザインの流れを総括
- 記憶や文芸の音まで対象
- 薄く手に取りやすい
気になる点
- 出版が古く記述は当時基準
- 実務手順は含まれない
- 数値データは少なめ
出版社
コロナ社
発売日
2000年06月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
“音の生態学”って、生き物と音の関係の話かと思いました。でも対象がすごく広いんですね。
佐藤メバル
愛着のある音も、忌み嫌う音も、記憶の中の音も、文芸に書かれた音も、映像に組み合わされた音も、全部対象にする。
人が聞いている音を扱うという宣言が大事で、空間の物理的な振動を測る話とは出発点が違うんだ。
橘ナナミ
残したい音風景を選ぶ事業とか、音名所とか、聞いたことがあります。そういう動きともつながるんですか。
佐藤メバル
つながるね。各地で音環境デザインが試みられ、環境教育に取り組むグループも出てきた流れを、この本は一つの枠組みで整理している。
手順書ではなく考え方の本だから、まちの音を扱う人ほど視界が広がるよ。
建築環境工学
堀越哲美 著|学芸出版社
¥3,300(税込)
健康で快適な建築を設計するための理論と手法を、光、熱、空気、音、都市環境、建築デザインとの接点、環境の心理まで幅広く学ぶ教科書。音については、人間の耳と聞こえ、騒音の評価、遮音と振動、残響と室内音響計画、オーディトリアムのデザインを扱う。音を建築全体の環境設計の中に位置づけるのが音楽書との違いだ。
こんな人におすすめ
建築を学ぶ学生、室内音響や遮音を設計に組み込みたい実務者、光熱空気音をまとめて環境として考えたい人、ホールや防音室の計画に関わる設計者。
良い点
- 音を建築環境全体で捉える
- 遮音や残響の計画まで踏み込む
- 章立てが講義に沿い使いやすい
気になる点
- 音だけを深く扱う本ではない
- 数式や単位の記述がある
- 発行から時間が経っている
出版社
学芸出版社
発売日
2009年04月10日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
建築の教科書に音が出てくるのが意外でした。音楽の本だと思って開くと、けっこう驚きそうです。
佐藤メバル
光、熱、空気、音を並べて環境として扱うのが建築環境工学で、この本は音についても、耳の仕組み、音の大きさの表し方、騒音の評価、壁の遮音性能、残響時間、オーディトリアムのデザインまで書いている。
音は部屋の性能の一部だと分かるんだ。
橘ナナミ
第7章に環境の心理学があるのも気になります。感覚量の定量化って、音の評価と似ていますね。
佐藤メバル
そこがこの本の懐の深さで、ウェーバー・ヘヒナーの法則から快適さの尺度まで触れている。音響だけを学ぶと見落としがちな、人がどう感じるかという土台がここにある。
ホールの設計や防音の相談をする前に読んでおくと、話が早くなるよ。
【POD】音楽家の思考実現術
津本幸司 著|デザインエッグ株式会社
¥2,447(税込)
なにもかもが上手く行く音楽家がいるのは、才能や実力ではなく思考実現のテクニックを知っているからだ、という立場から音楽家として生きる考え方を説く。著者が25年以上、世界中の音楽大学の教授陣を対象に開催してきた「音楽家コーチング・セミナー」の内容がもとになっており、どのセクションから読み始めても機能する構成だ。
こんな人におすすめ
音楽で生きる道を考えている人、演奏や創作の行き詰まりを感じている音楽家、指導者として人の成長を支えたい立場の人、音楽大学で学ぶ学生とその周囲の人。
良い点
- どの章からでも読める構成
- 教授陣向けセミナーがもと
- 思考の癖に気づける内容
気になる点
- 楽器や機材の技法は扱わない
- 内容の実践には継続が必要
- 立場によって印象が変わる
出版社
デザインエッグ株式会社
発売日
2025年12月13日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
“なにもかもが上手く行く音楽家がいる。それは才能や実力の問題ではない”って、けっこう強い言い方ですね。
佐藤メバル
そこが本書の出発点で、思考実現のテクニックを知っているかどうかだと著者は言う。25年以上、世界中の音楽大学の教授陣を対象に音楽家コーチング・セミナーを開いてきた人で、その内容が本になった。
潜在意識のコントロールという言葉が軸になっているよ。
橘ナナミ
どのセクションから読み始めてもいい、というのも珍しいですね。普通は順番に読む前提ですよね。
佐藤メバル
そこが優しい設計で、行き詰まっている場所から開ける。楽器の練習法や機材の本ではないから、技術書の棚とは別に置いておきたい。
演奏や創作で伸び悩んでいる人、そして人を教える立場の人にこそ効く一冊だと思うよ。
音楽デザイン本の全体マップ —— 4層で捉える
橘ナナミ
さっきの4層、もう少し詳しく聞きたいです。
佐藤メバル
いいよ。第1層は事例・語り型で『新世界』と『音でデザインする』。第2層は技法・実務型で『映像・動画制作者のためのサウンドデザイン入門』『サウンドプロダクション入門』『ハンドブック・オブ・サウンド・システム・デザイン』。第3層は理論・歴史型で『サウンドスケープ』『音の生態学』『音と音楽の科学』『音響学の展開』。第4層は製品・空間の音設計型で『サウンドデザイン論』や『音楽空間への誘い』。この4層を頭に置くと、同じ「サウンドデザイン」でも目的がまるで違うと見えてくる。
橘ナナミ
なるほど…! 同じ言葉なのに、中身はぜんぜん違うんですね。
佐藤メバル
そう。映像の音、製品の操作音、街のサイン音、コンサートホールの響き——対象が違えば読むべき本も変わる。収録点数や頁数ではなく、その本が誰のどんな場面に効くかで選んでほしい。
紙・電子・洋書 —— 手に入れ方で迷ったとき
橘ナナミ
洋書の音楽グラフィック本も気になります。でも今回のラインナップには入っていないんですよね?
佐藤メバル
そう、この記事は国内で入手しやすい本を軸に組んでいる。洋書は書店の洋書棚や版元のサイトで実物を見て選ぶのが確実だし、タイポグラフィやロゴ、アートワークの専門書も、必要になった時点で別の棚から足すのがいい。まずは音の設計とジャケットの実例を押さえてから広げれば、選ぶ目が育っている。
橘ナナミ
電子版の有無はどこで確認すればいいですか?
佐藤メバル
出版社の書籍ページと各電子書店で確認するのがいちばん確実。図版や譜例をじっくり見る本は紙、手順を検索して引く本は電子、と目的で分けると後悔が少ない。印刷の色再現や造本を味わう目的なら、やはり紙には敵わないね。
入門から次の1冊へ —— 読む順番の設計
橘ナナミ
最初の1冊の次は、どう選べばいいんでしょう?
佐藤メバル
未経験なら『図解入門 よくわかる最新 映像サウンドデザインの基本』で全体像をつかんでから、興味の方向で枝を選ぶ。映像なら『映像・動画制作者のためのサウンドデザイン入門』、音楽制作なら『サウンドプロダクション入門』、街や製品の音なら『音でデザインする』や『サウンドデザイン論』。理屈に進むなら『サウンドスケープ』『音と音楽の科学』へ。
橘ナナミ
作る側と学ぶ側、両方いけるんですね。
佐藤メバル
作る技術と、なぜそう聞こえるかの理屈は、行き来すると強くなる。類書を何冊も買うより、型の違う1冊ずつを重ねるほうが、引き出しは増えるよ。
よくある質問
音楽デザインの本は何から読めばいいですか?
橘ナナミ
音楽デザインの本は何から読めばいいですかについて教えてください。
佐藤メバル
未経験なら『図解入門 よくわかる最新 映像サウンドデザインの基本』で全体像をつかむのが最短です。映像を作るなら『映像・動画制作者のためのサウンドデザイン入門』、街や製品の音に惹かれるなら『音でデザインする』、理屈から入りたいなら『音と音楽の科学』。まず目的をひとつ決めてから選ぶと迷いません。
『あたらしい音楽のデザイン』は初心者にも向きますか?
橘ナナミ
『あたらしい音楽のデザイン』は初心者にも向きますかについて教えてください。
佐藤メバル
当記事の選書には含めていないため、内容を確認してから判断するのがおすすめです。入門書かどうかは、目次の第1章が用語の定義や基礎の説明から始まっているか、図版が多いかで見分けられます。タイトルで決めずに目次を見るのが確実です。
ジャケットデザインの作り方を学べる本はありますか?
橘ナナミ
ジャケットデザインの作り方を学べる本はありますかについて教えてください。
佐藤メバル
手順を体系的に教える技法書は多くありません。近いのは信藤三雄『新世界』で、1000作以上というジャケットの裏側とデザインメソッドが本人の語りで読めます。作り方の型は、音の設計の実務書で思考法を学びながら実作で覚えるのが現実的です。
CDジャケットのデザインを仕事にするには何を読むべき?
橘ナナミ
CDジャケットのデザインを仕事にするには何を読むべきについて教えてください。
佐藤メバル
まず信藤三雄『新世界』。アートディレクターの仕事の流れと発想が具体的に語られます。加えて横川理彦『サウンドプロダクション入門』で音の側の語彙を持っておくと、アーティストやレーベルとの会話が噛み合いやすくなります。
電子版がある音楽デザイン本はどれですか?
橘ナナミ
電子版がある音楽デザイン本はどれですかについて教えてください。
佐藤メバル
電子版の有無は出版社の書籍ページや各電子書店で確認するのが確実です。図版・譜例・QRコードを追う本は紙、手順を検索して引く実務書は電子と、用途で分けると快適です。
洋書の音楽グラフィック本でおすすめはありますか?
橘ナナミ
洋書の音楽グラフィック本でおすすめはありますかについて教えてください。
佐藤メバル
当記事は国内で入手しやすい本を軸に選書しているため、洋書は扱っていません。洋書は書店の洋書棚や版元のサイトで、判型や印刷の質を実物で確かめて選ぶのが確実です。
事例集と技法書はどちらを先に買うべきですか?
橘ナナミ
事例集と技法書はどちらを先に買うべきですかについて教えてください。
佐藤メバル
先に事例集で「良い音・良いジャケット」の引き出しを作り、次に技法書で再現の手順を入れる順番がおすすめです。信藤三雄『新世界』で実例に触れてから、『映像・動画制作者のためのサウンドデザイン入門』で手を動かすと吸収が早くなります。
予算3000円以内で最初の1冊を選ぶなら?
橘ナナミ
予算3000円以内で最初の1冊を選ぶならについて教えてください。
佐藤メバル
音の仕組みから入るなら岩宮眞一郎『音と音楽の科学』、街の音に興味があるなら小久保隆『音でデザインする』、映像畑なら岩宮眞一郎『図解入門 よくわかる最新 映像サウンドデザインの基本』。いずれも3000円以内で、最初の一冊として無理のない一冊です。
まとめ
橘ナナミ
今日は「音楽デザイン本」って、ひとつの棚じゃないんだなって分かりました。
佐藤メバル
そう。音を鳴らす本、音を測る本、音で街を設計する本、音を載せる絵の本。全部ちがう。
橘ナナミ
私だったら、まず『図解入門 よくわかる最新 映像サウンドデザインの基本』から読んでみようかな。動画を作っている友達がいるので、話を合わせられそうです。
佐藤メバル
いいね。で、読み終わったら街に出てみてほしい。改札の音、コンビニの入店音、エレベーターのチャイム。あれが全部「誰かが設計した音」に聞こえ始めたら、この分野の入口に立てている。
橘ナナミ
そっか……本を閉じてからが本番なんですね。
佐藤メバル
そういうこと。ジャケットも同じで、CDを手に取った瞬間に「なぜこの色なのか」と考えられる人は強い。音のデザイン本は、イヤホンを外した世界の解像度を上げてくれる。あなたの日常のBGMが、今日から少しだけ立体的に聞こえるはずだよ。
