建築とインテリアが学べる本のおすすめ人気ランキング25選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
佐藤さん、今回のテーマは「建築 インテリア 本」なんですけど、調べ始めたら種類が多すぎて、最初の一冊で手が止まってしまいました。
佐藤メバル
いいところで止まってるね。この2つは隣り合って見えるけど、本棚のつくり方が違うんだ。建築は「建物がどう成り立っているか」、インテリアは「その中で人がどう過ごすか」。どちらに体重をかけるかを決めると、選書は一気に絞れるよ。
橘ナナミ
なるほど……でも私みたいに、両方ちょっとずつ知りたい人はどうすればいいんですか?
佐藤メバル
それなら『超図解で全部わかる インテリアデザイン入門【増補改訂版】』が入り口として強い。業種・職種から色彩計画、照明計画、寸法とモジュール、構造と仕上げ、法規、図面やプレゼンボードまでが一本につながっている。書店員時代、専門学校の子が研修で持ち歩いていたのをよく見たよ。骨格を先に通しておくと、あとがすごく楽になる。
橘ナナミ
逆に、きれいな写真を眺めて「いいな」から入るのは邪道ですか?
佐藤メバル
とんでもない。ただ「眺める本」と「読む本」は役割が違う。『建築デザインの解剖図鑑』は坂道や暗渠、路面電車、屋台のサインまで見方を教えてくれる。読んだあと街がまるごと教材になるタイプの本で、これが一番実践的だったりするんだ。
建築とインテリアが学べる本の選び方
目的別:理論を学ぶ/実例を見る/資格対策/実務で使う
橘ナナミ
目的で選ぶなら、何を基準に分ければいいですか?
佐藤メバル
理論の骨格なら『図解事典建築のしくみ』。構造と各部構法、設備・性能、エクステリア・インテリア、生産という5カテゴリーに157のキーワードが並び、見開き2ページで図解される。辞書的に引けるから手元に置く価値がある。資格の基礎なら『実践につながる インテリアデザインの基本』で、色彩理論から室内環境、マテリアル、日本と世界のインテリア史まで章立てで追える。実務の寸法や法規は『インテリア計画の知識 第2版』が、改訂で法令基準の見直しを反映しているよ。
レベル別:未経験・学生・新人実務者・プロ
橘ナナミ
未経験の人と、プロが読む本はやっぱり違いますよね。
佐藤メバル
違う。未経験なら『建築デザインの基礎』がいい。製図道具の説明から線の描き方、平面図・断面図、透視図、模型、そして椅子や照明をつくる演習まで段階を踏む。学生が一人で迷ったときの道しるべになる。逆にプロが繰り返し開くのは『新・伊礼智の住宅設計』のような図面集で、実施図面が巻末資料として大量に収録され、設計の標準化がどう進化したかを図面から読み取れる。通過本と手元本は分けて考えてね。
形式別:体系書/図鑑・写真集/事典
橘ナナミ
形式で選ぶって、つまりどういうことでしょう?
佐藤メバル
体系書は通読して血肉にする本、図鑑や写真集は眺めて感性を養う本、事典は辞書的に引く本。たとえば『アルヴァ・アアルトのインテリア』は椅子や照明、木製家具、ガラス器、テキスタイルを、写真とスケッチ、図面で追う写真集寄りの一冊。『超図解 インテリア用語辞典』は名称・寸法・構造を引くための事典で、俗語や略語、カタカナ語まで拾っている。役割が違うから、同じ棚に並べても代替にはならないんだ。
予算別:千円台の入門書から専門書まで
橘ナナミ
予算が限られているときは、安い本だけで足りますか?
佐藤メバル
目的による。暮らし目線なら『小さい部屋で心地よく』や『整う住まい。』のように、設えや収納、素材の話を読みやすくまとめた本で十分に学べる。一方で『日本インテリアデザイン史』や『図説・近代日本住宅史新版』のような通史・研究書は厚みも価格帯も別格で、これは図書館で借りてから「手元に要る」と判断して買う順番が失敗しないよ。
媒体別:紙/電子/図書館/中古
橘ナナミ
図面や図版が多い本だと、電子だと見づらい気がします。
佐藤メバル
そこは大事な判断。図版を追いながら書き込む本は紙が強い。逆に用語を引く辞書的な本は電子のほうが検索できて便利。絶版や品切れの専門書は古書か図書館頼みになるから、まず図書館で現物の判型と図版の密度を確かめてから買うと後悔が少ないよ。
版別:最新改訂版か、旧版・絶版か
橘ナナミ
同じタイトルで「改訂版」が並んでいると、どちらを買えばいいか迷います。
佐藤メバル
迷ったら新しいほう。改訂版は法令の見直しや事例の更新が入っていることが多く、『インテリア計画の知識』や『暮らしの空間デザイン手帖』は改訂で内容が大きく更新されている。旧版が悪いわけじゃないけど、法規や基準が絡む分野は旧版だと判断を誤るリスクがある。版元のページで目次と版次を確認する癖をつけてね。
建築とインテリアが学べる本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、25冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
建築とインテリアが学べる本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい
図解事典建築のしくみ
建築図解事典編集委員会 著|彰国社
¥4,180(税込)
構造と各部構法、設備・性能・機能、エクステリア・インテリア、生産という5つのカテゴリーに157のキーワードを体系的に収録した図解事典。各キーワードは見開き2ページ単位で、とらえ方や考え方と図解が幅と奥行をもって展開される。設計の入門書ではなく、複雑に成り立っている建築のあり方を丁寧に解き起こす「しくみ」から入る点が、同じ彰国社の実務書とも性格を分ける。全体と部分、形と性能の関係が確実につながる。
こんな人におすすめ
建築を学び始めた学生、インテリアを扱うが構造や設備の言葉に自信がない人、住宅の図面を読み解きたい人。通読するのではなく、辞書的に手元へ置き、わからないキーワードから開いて見開きで完結させる使い方が向く。
良い点
- 157キーワードが見開きで引ける
- 図解中心で初学者に親切
- 構造から設備まで横断できる
気になる点
- 古い刊行のため最新法規は別途
- 読み物としては淡々としている
- 索引を使いこなす前提がある
出版社
彰国社
発売日
2001年02月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
佐藤さん、この「図解事典建築のしくみ」って、タイトルからすると辞書みたいな本ですよね。入門書を読む前に、こういうのを開くものなんですか?
佐藤メバル
いい質問だね。これは読む本というより、手元に置いて引く本なんだ。構造と各部構法、設備・性能・機能、エクステリア・インテリア、生産という5つのカテゴリーに157のキーワードが体系的に収まっていて、どれも見開き2ページで完結する。
だから「今この言葉がわからない」というときに開くと、その場で答えが返ってくる。書店員時代、建築を学び始めた人に真っ先に薦めていた一冊だよ。
橘ナナミ
見開き2ページで完結って、忙しいときでも助かりますね。でも、けっこう前に出た本だから、内容が古くなっていないか心配です。
佐藤メバル
そこは正直に言っておくと、法規や設備の最新事情は別の本で補う必要がある。ただ、建物のしくみの基本——全体と部分、しくみとはたらき、形と性能——は、そう簡単に変わるものじゃないんだよ。
土台になる言葉を固める本としては、今でも十分に現役だと思う。まず骨組みを作ってから、新しい情報を足していく読み方が向いているね。
超図解で全部わかる インテリアデザイン入門【増補改訂版】
Aiprah 著|エクスナレッジ
¥2,640(税込)
インテリア業界の全体像や仕事に必要な専門知識、表現スキル、業務の進め方といった「押さえどころ」を体系的にまとめた入門書。業種・職種から家具・設備・色彩計画・照明計画・寸法やモジュール・構造と仕上げ・材料・法規、さらに図面やプレゼンボード、建築パースまでオールカラーの写真・CG・イラストで図解する。大手店舗施工・ディスプレイデザイン会社の研修テキストに採用され、インテリア製図通則に準拠。ふわっとしたセンス本とは一線を画す。
こんな人におすすめ
インテリアデザイナーを目指して勉強している学生、設計・デザイン事務所やインテリア関連会社に勤めて間もない新人、資格の前に業界の地図と図面の約束事を押さえたい人。資料集成として手元に置く使い方にも向く。
良い点
- 業界の全体像から入れる
- オールカラーの図版が豊富
- 製図通則準拠で実務に接続
気になる点
- 趣味の模様替え本ではない
- 分量が多く通読は重い
- 最新の法規は追いにくい
出版社
エクスナレッジ
発売日
2019年03月11日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
次は「超図解で全部わかる インテリアデザイン入門」ですね。これ、タイトルからして「仕事をするための」という匂いがします。趣味で部屋を飾る人には大げさですか?
佐藤メバル
そこは分けたいところだね。これは趣味のコーディネート本じゃなくて、業界の全体像から図面の描き方までを体系化した入門書。
色彩計画や照明計画、寸法とモジュール、材料、法規、プレゼンボードや建築パースまで、オールカラーの写真やCG、イラストで図解している。
大手店舗施工・ディスプレイデザイン会社の研修テキストにも採用されていて、インテリア製図通則にも準拠している。プロを目指す人の地図だね。
橘ナナミ
製図通則って、名前は聞いたことがあるんですけど、説明はできません。それに準拠していると何がいいんですか?
佐藤メバル
インテリア図面を描くときの標準ルールのこと。線の種類や記号の使い方を業界で共有するための約束事で、これに沿って描くと、初対面の職人さんや施工会社にも意図が伝わる。
独学だとここが抜けがちで、僕も書店員時代に図面の読み方でつまずくお客さんを何人も見てきたよ。この本は、その約束事から入れるのが強みなんだ。
建築デザインの基礎
本杉省三 著|彰国社
¥2,420(税込)
製図道具の説明から線の描き方、平面図・断面図・立面図、配置図、アクソメ図、一点透視図、模型のつくり方、スケッチ、プレゼンボードまで手を動かして学ぶ。さらに照明をつくる、椅子をつくるという製作を経て、4m×6m×9mの空間をデザインし、シェアハウスという生活空間まで踏み込む。描く技術と考える技術を往復できる構成が、製図だけの教本とも空間論とも違うこの本の核。
こんな人におすすめ
建築・インテリアを学び始めた学部生、図面の描き方を独学で整えたい人、課題で椅子や空間の設計に取り組む人。手を動かす授業や設計課題の前後に開くと、学びの順序が見えてくる。
良い点
- 製図から空間まで一貫
- 製作課題が具体的で実践的
- 与条件つきの設計演習が付く
気になる点
- 図面の予備知識が少し要る
- 演習は自分で進める必要
- 色彩表現までは踏み込まない
出版社
彰国社
発売日
2010年05月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「建築デザインの基礎」は、目次を見ると製図道具の説明から始まっています。いきなり線の描き方から入るんですね。
もっと設計の思想みたいなところから始まるのかと思っていました。
佐藤メバル
そう、そこが大事なところで、この本は手を動かす前提で組まれている。線の描き方、平面図・断面図・立面図、アクソメ図、一点透視図、模型のつくり方、スケッチ、プレゼンボードまで一通り押さえたうえで、照明をつくる、椅子をつくるという製作に進み、最後は4m×6m×9mの空間やシェアハウスをデザインする。
描く技術と考える技術を往復できる構成なんだ。
橘ナナミ
4m×6m×9mって、寸法が最初から決められているんですね。狭いような広いような、微妙な数字です。
佐藤メバル
その与えられた寸法から空間を立ち上げるのが課題の狙いで、自由すぎると逆に何も決められないんだよね。生活空間としてのシェアハウスまで扱っているのは、いまの住まい方を踏まえているから。
設計課題に取り組んでいる学生が、課題の前後に開くと息がつながる本だと思うよ。
建築デザインの解剖図鑑
スタジオワーク 著|エクスナレッジ
¥1,760(税込)
建築はもちろん、洞窟、湧水、坂道、暗渠、水路、路面電車、ガード下、屋台、サインまでを対象に、身近なものの見方を変える解剖図鑑。地形を読み解き、まちなみを探り、建築探訪へ誘い、細部のこだわりを見て、まちに出るという順序で進む。江戸・明治・大正・昭和のデザインが重なって見えるのがこの本ならでは。専門書ではなく街歩きの目を鍛える一冊。
こんな人におすすめ
まち歩きが好きな人、街の風景を地形や歴史から読み解きたい人、建築を学ぶ前段として視点を増やしたい人。休日に街へ出る予定を立ててから読むと、歩く場所の選び方まで変わってくる。
良い点
- 坂道や暗渠まで対象が広い
- 時代の層が重なって見える
- 歩きながら使える実践性
気になる点
- 体系的な建築史ではない
- 写真中心で文章は短め
- 地域によって差が出る
出版社
エクスナレッジ
発売日
2013年06月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「建築デザインの解剖図鑑」って、表紙がすごく楽しそうですね。でも洞窟、湧水、暗渠、路面電車……建築の本なのに、建築じゃないものが出てきて戸惑います。
佐藤メバル
そこがこの本の面白さでね。建築だけでなく、洞窟、湧水、坂道、暗渠、水路、路面電車、ガード下、屋台、サインまで対象にしている。
地形を読み解き、まちなみを探り、建築探訪へ誘い、細部のこだわりを見る、という順番で進むから、街を歩く目そのものを鍛える一冊なんだ。
江戸・明治・大正・昭和のデザインが重なって見えてくるのが気持ちいい。
橘ナナミ
時代が重なって見えるって、どういうことですか? 同じ道を歩いているだけなのに、そんなに変わるものでしょうか。
佐藤メバル
たとえば坂の名前には江戸っ子のメッセージが込められていたり、隅田川の復興橋梁には意匠の見どころがあったり、親柱にアール・デコの香りが残っていたりする。
同じ風景の中に、時代の層が何枚も重なっているんだよ。書店員時代、この本を片手に街へ出る常連さんがいてね、戻ってくると必ず新しい発見を話してくれた。歩く予定のある人にこそ薦めたいね。
図説 日本建築のみかた
宮元健次 著|学芸出版社
¥2,640(税込)
神社・寺院・住宅・茶室・城郭を網羅し、一般には難解と思われている日本建築のみかたを平易な文章と500点に及ぶ図版で説く。鳥居や本殿、拝殿といった神社の要素から、和様・大仏様・禅宗様・折衷様、寝殿造・書院造・町屋と民家、草庵茶室、現存する天守まで、用語の解説と実例が結びついている。巻末には架構・外装・内装のしくみと年表、日本建築マップ、訪問ガイドも収録。
こんな人におすすめ
寺社仏閣めぐりや歴史散歩を楽しむ人、日本建築の用語を実例と結びつけて覚えたい人、旅行の前に予習して帰ってから復習したい人。読み物としても面白く、入門書としても使える。
良い点
- 神社から城郭まで網羅
- 500点の図版で見て分かる
- 巻末資料とマップが充実
気になる点
- 実例が多く通読は重い
- 写真は白黒が中心
- 最新の学説は別途必要
出版社
学芸出版社
発売日
2006年02月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「図説 日本建築のみかた」は、神社・寺院・住宅・茶室・城郭って、もう和風建築の全部ですよね。500点の図版ってすごい量です。旅行の前に読むには重すぎませんか?
佐藤メバル
そう、そこがこの本の核で、一般には難解と思われている日本建築のみかたを、平易な文章と500点に及ぶ図版で説いている。
鳥居や本殿、拝殿といった神社の要素から、和様・大仏様・禅宗様・折衷様といった寺院の様式、寝殿造・書院造・町屋と民家、草庵茶室、現存する天守まで、用語の解説と実例が結びついているんだ。
橘ナナミ
巻末に「日本建築のしくみ」があって、架構とか外装とか、急に構造の話になるのが気になります。ここはどう使うんでしょう。
佐藤メバル
いいところに気づいたね。本編で実例を見たあとに、柱や組物、屋根や瓦、天井や須弥壇といったしくみを確認できるから、見た目と構造がつながる。
年表や日本建築マップ、訪問ガイドも付いているから、旅行の前に予習して、帰ってから復習する使い方ができるよ。
寺社めぐりが好きな人には、これ以上ない伴走者だね。
西洋の名建築がわかる七つの鑑賞術
中島智章 著|エクスナレッジ
¥2,420(税込)
「西洋建築の多くは看板建築です」「石だけじゃなく、木と石でできています」といった七つの要点から入る鑑賞術。鉄とコンクリートという大発明、ローマ・ギリシアの建築技術が長い間失われていたこと、初期キリスト教建築への原点回帰が様式を生んだこと、横へ広がる古典主義系と縦にそびえる中世系、そしてインテリアが美術とともに発展したこと。覚える順番を変えるだけで名建築の見え方が変わる。
こんな人におすすめ
西洋建築の様式名が覚えられず途中で諦めてしまう人、海外旅行で大聖堂や宮殿を前に立ち止まりたい人、絵画やインテリアの背景まで知りたい人。写真や図版が多いので鑑賞の手引きとして使える。
良い点
- 要点が七つに絞られている
- 写真と図版が豊富
- インテリアの章まで届く
気になる点
- 網羅的な様式事典ではない
- 用語はある程度必要
- 地域による偏りはある
出版社
エクスナレッジ
発売日
2022年05月07日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「西洋の名建築がわかる七つの鑑賞術」、七つだけって言い切っているのが逆に気になります。様式って覚えることが多すぎて、私はいつも途中で諦めてしまうんです。
佐藤メバル
その気持ち、よくわかるよ。この本は「西洋建築の多くは看板建築です」「石だけじゃなく、木と石でできています」といった七つの要点から入る。
鉄とコンクリートという大発明、ローマ・ギリシアの建築技術が長い間失われていたこと、初期キリスト教建築への原点回帰が様式を生んだこと、横へ広がる古典主義系と縦にそびえる中世系、そしてインテリアは美術とともに発展したこと。
覚える順番を変えるだけで、名建築の見え方が変わるんだ。
橘ナナミ
「看板建築」って、日本の看板建築とは違うんですか? 同じ言葉なのに指しているものが違うと、余計に混乱しそうです。
佐藤メバル
ここでいうのは、建物の表に見えているデザインが、実は構造そのものではない、という捉え方だね。たとえばオーダーと呼ばれる円柱のデザインが、柱として立っているのか、壁の一部として貼られているのか。
その違いが分かると、パルテノン神殿もバロック建築も別物に見えてくる。写真や図版が多いから、読んでから実際に見に行くと解像度が上がるよ。
建築・インテリアのための伝わるパースの描き方
湯浅禎也 著|エクスナレッジ
¥2,750(税込)
透視図法などのパースの基礎から、遠近表現、陰影、インテリアと外観それぞれの下描き、鉛筆仕上げ、水彩での着彩、質感表現、マーカーや色鉛筆、風景画風、不透明水彩まで段階を追って解説する。色の三つの性質や水彩でよく使う色、塗り方まで踏み込むのが特徴で、描画力と表現力の両方を養うことを狙っている。着彩の章が二つある構成が、他のパース本との違い。
こんな人におすすめ
手描きパースをプレゼンに使いたい学生、インテリアコーディネーターを志す人、下描きはできるが着彩でつまずく人。線を描く本と色の本の間を埋めたいときに効く。
良い点
- 下描きから着彩まで段階式
- 色と質感表現に章を割く
- 道具と塗り方の説明が具体
気になる点
- 手描き前提でデジタルは薄い
- 練習量は自分で確保が必要
- 作例の作風に癖がある
出版社
エクスナレッジ
発売日
2018年09月05日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「建築・インテリアのための伝わるパースの描き方」——「伝わる」って部分が気になります。上手に描く本とは違うんですか?
佐藤メバル
そこがこの本の立ち位置だね。透視図法などの基礎から、遠近表現や陰影、インテリアと外観それぞれの下描き、鉛筆仕上げ、水彩での着彩、質感表現、マーカーや色鉛筆、風景画風、不透明水彩まで、段階を追って進む。
描画力と表現力の両方を養うのが目的で、色の三つの性質や水彩でよく使う色、塗り方まで踏み込んでいる。
橘ナナミ
私、下描きはそこそこ描けるんですけど、色を塗った瞬間に安っぽくなるんです。そういう人にも効きますか?
佐藤メバル
まさにそういう人のための章があるよ。着彩の基本で色の三つの性質や道具、下描きの準備、よく使う色を押さえてから、インテリアと外観を実際に塗っていく。
質感表現も別立てになっているのが親切だね。プレゼンで伝わる絵を描きたいなら、線より先に色の順番を学ぶ。それが遠回りに見えて近道なんだよ。
実践につながる インテリアデザインの基本
橋口新一郎 著|学芸出版社
¥3,080(税込)
計画やエレメントからパースの基本まで、豊富な図版でインテリアデザインの幅広い内容を押さえた教科書。配置・素材・リサーチ・差別化・防犯・不利な条件の克服といった発想の工夫から、業務、人間工学、室内環境と設備、バリアフリー、色彩理論、内装・造作・開口部、マテリアル、世界と日本のインテリア史、実践の進め方まで及ぶ。プロ目線のひとことコメントと作品例で実務に接続する。
こんな人におすすめ
インテリアコーディネーター等の資格試験の基礎学習をしたい人、実務に入る前に全体を押さえたい新人、大学や専門学校のテキストを探している学生。気になる章からつまむ読み方にも向く。
良い点
- 発想から実務まで広い
- 図版が多くやさしい
- 歴史が世界編と日本編に分かれる
気になる点
- 各章はやや浅め
- 分量が多く通読は重い
- 実践経験の補完が必要
出版社
学芸出版社
発売日
2018年04月15日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「実践につながる インテリアデザインの基本」は、目次が13章もあって圧倒されます。これ一冊で全部やろうという本ですか?
佐藤メバル
全部を浅くではなく、幅を押さえて実務につなげる教科書だね。発想の工夫——配置、素材、リサーチ、差別化、防犯、不利な条件の克服——から始まって、業務、計画、室内環境と設備、バリアフリーとユニバーサルデザイン、色彩理論、内装・造作・開口部、エレメント、マテリアル、世界と日本のインテリア史、パース、実践の進め方まで。
プロ目線のひとことコメントが要所に入っていて、独学でも実務の感覚に触れられる。
橘ナナミ
資格試験の基礎学習にもいいと聞きました。テキストとして使うなら、どの章から進めるのがいいですか?
佐藤メバル
まず第1章で発想の引き出しを見て、次に計画と色彩、内装・造作あたりを押さえると、学科の骨格ができやすい。
歴史の章が世界編と日本編に分かれているのも、暗記ではなく流れで覚えられるからいいんだよ。じっくり本文を読み込むより、図版を見ながら気になる章をつまむ読み方のほうが、この本は力を発揮するよ。
インテリア計画の知識 第2版
渡辺秀俊 著|彰国社
¥2,970(税込)
インテリア計画に必要な基本知識と表現方法をまとめた初学者向けの教科書。室内空間の「何をどうつくるのか」という知識と「どう伝えるか」という知識を、実測例、室のアイデア事例、矩計図の書き方とともに収録する。改訂では2008年以降の法令基準の見直しや、住まいを取り巻く環境の変化で新たに求められる知識を反映。ワークブックで手を動かせるのが講義用テキストとしての強み。
こんな人におすすめ
インテリアを体系的に学び直したい人、法規や構法、矩計図など実務の前提を確認したい人、授業の教科書を探す学生。手を動かす実測の課題まで含めたい人に向く。
良い点
- 基礎から表現まで一貫
- ワークブック付きで実践的
- 改訂で新しい基準に対応
気になる点
- 演習は自力で進める必要
- 図版は控えめな印象
- 独学には道案内が必要
出版社
彰国社
発売日
2024年07月02日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「インテリア計画の知識 第2版」、2024年に改訂されたばかりなんですね。改訂で何が変わったんでしょう?
佐藤メバル
2008年以降の法令基準の見直しと、住まいを取り巻く環境の変化で新たに求められる知識が加わっている。
ただ構成の核は同じで、1章でインテリアと歴史、住生活、人間、環境、安全、構法、関連法規という基礎知識を押さえ、2章で住まいと施設の設計、3章で図面の描き方とプレゼンテーション、4章のワークブックで実測や行動場面のアイデア事例、矩計図の書き方を練習する。
何をどうつくるかと、どう伝えるかが両輪なんだ。
橘ナナミ
矩計図って聞いたことがあるんですけど、人に説明できる自信がありません。この本で書けるようになりますか?
佐藤メバル
建物の断面を細かく描いて、床・壁・天井・屋根の納まりを示す図だね。インテリアの仕事でも、仕上げや下地がどう重なるかを知らないと成立しない。
この本は実測例と矩計図の書き方を収録しているから、手を動かしながら納まりの感覚がつかめる。法規や構法を確認したい人が、辞書的に使うのにも向いているよ。
超図解 インテリア用語辞典
町田ひろ子インテリアコーディネーターアカデミー 著|エクスナレッジ
¥3,080(税込)
名称・寸法・構造の疑問が引けるインテリア用語辞典。インテリアと造形、色彩、歴史、環境への取組みから、平面計画、室内環境計画、法規、建築構造、造作、リノベーション、住宅設備、内装材、エクステリア、照明、家具、寝装、ファブリックス、ウィンドウトリートメント、アクセサリー、ビジネス、表現技法、業務まで網羅する。ウェブでは調べきれない俗語や略語、カタカナ語も収録しているのが頼もしい。
こんな人におすすめ
住宅やインテリアの仕事で言葉に迷う人、設計・不動産・小売の現場で使う人、小説や漫画の背景作画の資料がほしい人。卷頭の仕上げ材や代表樹種、色彩チャート、照明のページから眺めても楽しい。
良い点
- 分野の網が細かい
- 俗語や略語まで収録
- 巻末の人名資料が役立つ
気になる点
- 通読する本ではない
- 図版の大きさは控えめ
- 内容の重複が少しある
出版社
エクスナレッジ
発売日
2024年03月15日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「超図解 インテリア用語辞典」——辞典なのに「アイデアがどんどん湧いてくる」と書いてあるのが不思議です。
調べる本なのに、なぜ発想が生まれるんでしょう。
佐藤メバル
そこが普通の用語集と違うところでね。名称、寸法、構造の疑問が引けるのは前提として、たとえば仕上げ材の項目を読み進めると、次の手が思いつくように作られている。
平面計画、造作、リノベーション、住宅設備、内装材、照明、家具、寝装、ファブリックス、ウィンドウトリートメント、アクセサリー、ビジネス、表現技法、業務まで、分野の網が細かい。
ウェブでは調べきれない俗語や略語、カタカナ語も収録しているのが頼もしいね。
橘ナナミ
小説や漫画の背景作画にも役立つって書いてあって、そこも意外でした。調べる辞典が、絵を描く役にも立つんですか?
佐藤メバル
うん、実はよく効くんだよ。部屋を描くとき、床材や窓まわりの名前が分からないと、線が曖昧になる。用語が具体的になれば絵も具体になる。
巻末には覚えておきたい人名と代表作品、マークやラベルの資料も付いているから、調べる入口としても出口としても使える。
手元に一冊あると、仕事でも創作でも強い味方になるよ。
椅子改訂版
井上昇 著|建築資料研究社
¥3,080(税込)
著者が主宰する「井上昇の椅子塾」での10年間にわたる椅子づくりの経験から、誰でも椅子が設計できるよう要点をまとめた一冊。前半の学習編で考え方を押さえ、後半の椅子製作編では椅子塾の最初の5年間における塾生50名の作品を収録する。座って選ぶための本ではなく、つくる側に立つための設計の手引きであることが、椅子の写真集との決定的な違い。
こんな人におすすめ
家具を自分で設計・製作したい人、木工や家具の教室に通う人、椅子の構造を図面から学びたい人。既製品を選ぶときにも、構造を見る目を養いたい人に向く。
良い点
- 設計の要点が整理されている
- 塾生50名の作例が貴重
- 座面から脚まで踏み込む
気になる点
- 工作環境がないと実践難
- 図版は素朴な印象
- デザイン史の話は少ない
出版社
建築資料研究社
発売日
2008年08月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「椅子 改訂版」。椅子ってひとつで本になるんですね。しかも椅子塾……佐藤さん、そんな教室があるんですか?
佐藤メバル
著者が主宰している「井上昇の椅子塾」での10年間にわたる椅子づくりの経験から、誰でも椅子が設計できるよう要点をまとめた一冊なんだ。
前半の学習編で考え方を押さえ、後半の製作編では椅子塾の最初の5年間における塾生50名の作品を収録している。
座り心地を語る本ではなく、つくる側に立つための設計の手引きだね。
橘ナナミ
50名の作品が載っているということは、うまい人のお手本だけじゃないんですね。むしろ未完成なものもありそうで、そこが気になります。
佐藤メバル
そう、そこがこの本の誠実さでね。塾生の作品には試行錯誤の跡があるから、どこで迷い、どう解決したかが読み取れる。
設計の要点を押さえたうえで、実際に作られた椅子を見比べると、寸法や部材の選び方が腹に落ちる。家具を自分で作りたい人だけでなく、既製品を選ぶときに構造を見る目が欲しい人にも効く本だよ。
美しい光でつくる暮らしの照明
石井幹子 著|朝日出版社
¥2,420(税込)
家庭のインテリア照明の基本から和のあかりの見直しまで、世界で活躍する照明デザイナーが提案するあかりのエッセンス。玄関は安らぎと安全を意識したあかりに、という調子で、陰翳礼讃から和のあかりを捉え直し、ソーラー発電で創エネを考える話、木蔭や海辺の別荘のあかり、焔のあかり、光のデザインの系譜、器具の使い方まで及ぶ。照明を選び方ではなく設計として語っている。
こんな人におすすめ
新築やリフォームで照明計画を考えている人、和のあかりに惹かれる人、照明器具の選び方に迷っている人。暮らしの場面ごとに読めるので、一部分だけでも実践しやすい。
良い点
- 暮らしの場面ごとに整理
- 和のあかりの見直しが厚い
- 器具の紹介まで付いている
気になる点
- 写真の分量は控えめ
- 住宅以外は対象外
- 実作業は電気工事が必要
出版社
朝日出版社
発売日
2013年01月25日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「美しい光でつくる暮らしの照明」、照明デザイナーの方が家庭の照明を書いているんですね。世界で活躍する方が、玄関の話から始めるのが意外です。
佐藤メバル
そこがいいんだよ。家庭のインテリア照明の基本から和のあかりの見直しまでを、暮らしの場面ごとに提案している。
玄関は安らぎと安全を意識したあかりに、という調子で、陰翳礼讃から和のあかりを捉え直し、ソーラー発電で創エネを考える話も出てくる。
木蔭や海辺の別荘、焔のあかり、光のデザインの系譜まで含めて、照明を選び方ではなく設計として語っている。
橘ナナミ
我が家はシーリングライトひとつで済ませているので、正直、反省しながら聞いています。まず何から手をつければいいんでしょう。
佐藤メバル
それでいいんだよ、出発点は誰でもそこだから。大事なのは、明るさを上げるのではなく、どこに何を落とすかを決めること。
この本には照明器具の使い方のポイントと、おすすめの器具の紹介もあるから、まず一箇所だけ変えてみるといい。
机の脇に小さなあかりを足すだけで、部屋の印象は驚くほど変わるよ。
整う住まい。-いつも心地よく、いつまでも美しくー
エクスナレッジ
¥1,760(税込)
合理的な動線、的確な収納計画、視覚的なノイズの少ない空間、時を経てなお魅力を増す素材——それらが建築家の設計によって緻密に統合された13の住まいを集めた一冊。見えないところも美しいから時を経ても暮らしやすい、という視点が貫かれている。すっきりを願いではなく設計の問題として扱うのが、写真のきれいな実例集との違い。設計事務所の名前とともに追える。
こんな人におすすめ
家づくりを検討中の人、収納や動線の考え方を実例から学びたい人、設計事務所への依頼を考えている人。打ち合わせの前に読むと、自分が何を頼みたいのか言葉にしやすくなる。
良い点
- 動線と収納の視点が明確
- 13の実例で比較できる
- 素材の記述が具体的
気になる点
- 平面図は多くない
- 予算の話は少なめ
- 施工主の声は控えめ
出版社
エクスナレッジ
発売日
2021年03月13日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「整う住まい。」——見えないところも美しい、というコピーが刺さります。13の住まいが載っているそうですが、これは単なる事例集なんですか?
佐藤メバル
事例集ではあるんだけど、軸がはっきりしているのが特徴でね。ルーティーンの家事を軽やかにこなせる動線、必要なものを必要な場所に収められる収納計画、視覚的なノイズの少ない空間、古びてなお魅力を増す素材——この四つが建築家の設計によって緻密に統合された13の住まいを集めている。
すっきりを願いではなく設計の問題として扱っているのが、他の実例集との違いなんだ。
橘ナナミ
収納の話って、写真を見ても中身までは分からないですよね。この本はそこまで踏み込んでいるんでしょうか。
佐藤メバル
そう、だからこそ設計の順番が書いてあるのが価値なんだよ。動線があって、必要なものが必要な場所に収まる収納があって、そのうえで空間が整う。
順番を逆にして「おしゃれな収納」から入ると、たいてい続かない。家づくりを考えている人が、設計事務所との打ち合わせの前に読むと、話すべきことが見えてくるよ。
小さい部屋で心地よく
建築家二人暮らし 著|エクスナレッジ
¥1,540(税込)
6畳・8畳・10畳のインテリアシミュレーションから始まり、「どう過ごしたいか」から考える設え、兼用して広く暮らす工夫、家具選びの具体、色や質感のそろえ方、観葉植物の置き方、収納、器や珈琲道具まで扱う。ワンルームの自宅を発信してきた建築家夫婦ならではの、実寸に即した現実的な提案が核。家具を置くものではなく暮らし方の道具として選び直す本。
こんな人におすすめ
ワンルームや狭い間取りで暮らす人、家具を買い替えたい人、ひとり暮らしの部屋を整えたい学生。模様替えの前に、過ごし方から逆算して家具のサイズを決めたい人に向く。
良い点
- 6畳から10畳まで具体的
- 家具選びの理由が明確
- 器や道具まで及ぶ
気になる点
- 間取りの前提が限られる
- 予算感は示されない
- 家族向けの情報は少ない
出版社
エクスナレッジ
発売日
2021年07月28日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
これは私に一番近い本です。「小さい部屋で心地よく」、6畳・8畳・10畳のシミュレーションから始まるんですね。まさにひとり暮らしの部屋そのものです。
佐藤メバル
橘さんには実感があるだろうね。この本は「どう過ごしたいか」からインテリアを考えるところから始まる。兼用して広く暮らす、過ごし方から家具のサイズを決める、テレビのない生活でレイアウトの自由と快適さを得る、といった具体が並ぶ。
背の低いソファ、サイドテーブル、二人並べるワークデスク、調理台と食卓と食器棚を兼ねるカウンター——家具を置くものではなく暮らし方の道具として選び直す本だね。
橘ナナミ
著者がワンルームに暮らす建築家夫婦なのが、妙に説得力あります。観葉植物の置き方なんて、普通の本ではあまり見ないです。
佐藤メバル
実寸で試している人の言葉だからね。色柄より質感と肌触りで選ぶ、家電はわき役に徹してもらう、収納は手順で考える、といった細かい知恵が効く。
後半では器や珈琲道具まで扱っていて、部屋だけでなく生活の密度を上げる話になっている。狭さを我慢ではなく設計で解く、という姿勢が一貫しているよ。
新・伊礼智の住宅設計
伊礼智 著|エクスナレッジ
¥5,500(税込)
ロングセラー図面集『伊礼智の住宅設計』の第2弾で、実施図面155枚を巻末資料に収録する。提唱した「設計の標準化」がこの10年でどう進化したのかを、時代の流れに合わせて高性能化を美しく取り入れた最新の事例によって図面から読み解く。写真集ではなく図面で読む住宅設計集であることが、完成写真を並べた住宅本との決定的な違い。
こんな人におすすめ
住宅設計を学ぶ学生や若手の設計者、標準化と性能の両立に関心のある建築家、設計事務所に依頼して家づくりを考えている施主。図面を読み込む時間を取れる人に向く。
良い点
- 実施図面155枚が収録
- 標準化の現在が追える
- 高性能化の扱いが具体的
気になる点
- 価格帯は高め
- 図面の読解力が要る
- 入門的な説明は少ない
出版社
エクスナレッジ
発売日
2025年09月02日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「新・伊礼智の住宅設計」は価格も高めで、しかも実施図面が155枚。佐藤さん、これは誰が読む本なんですか? 正直、私には敷居が高いです。
佐藤メバル
住宅を設計する人、そして本気で家を考えている施主だね。ロングセラーの図面集『伊礼智の住宅設計』の第2弾で、提唱した「設計の標準化」がこの10年でどう進化したのかを、時代の流れに合わせて高性能化を美しく取り入れた最新の事例で図面から読み解く。
写真集ではなく図面で読む住宅設計集というのが、他と一線を画すところなんだ。
橘ナナミ
標準化というと、同じ家が量産されるイメージでした。それで豊かになる、というのが私にはうまくつながらないんです。
佐藤メバル
そこが著者の主張の核でね。寸法や納まりを標準化しておくと、迷いが減って、その分だけ敷地や暮らしに合わせた工夫に力を割ける。
結果として豊かになる、という考え方なんだよ。巻末の155枚の図面は、その裏づけとして読める。若手の設計者には、美しい写真よりこの図面のほうが学ぶところが大きいと思うよ。
プロ建築士が絶対しない家の建て方
YouTube不動産印南和行 著|日本実業出版社
¥1,760(税込)
住宅専門チャンネル「YouTube不動産」を書籍化した一冊で、家づくりの正解は「後悔」が教えてくれる、という立場に立つ。人気YouTuberで一級建築士が、後悔しない家づくりを説き、読者からは「事前に知ることができてよかった」という声が紹介されている。うまくいった例ではなく失敗を先回りして避けるための本で、美しい実例集とは役割が正反対。
こんな人におすすめ
これから住宅購入や建築を考える人、施工会社や設計者との打ち合わせ前に知っておきたい人、家族で家づくりを進めている人。実例集と読み合わせて使うと効果的。
良い点
- 失敗の回避に焦点がある
- 打ち合わせ前の予習に最適
- 動画の補助として読める
気になる点
- 写真の美しさは主眼でない
- 地域差への配慮は薄い
- 情報の更新は別途必要
出版社
日本実業出版社
発売日
2022年08月20日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「プロ建築士が絶対しない家の建て方」——「しない」ことから書く本って珍しいです。しかもYouTube発なんですね。
佐藤メバル
そう、住宅専門チャンネル「YouTube不動産」の書籍化で、人気YouTuberで一級建築士の著者が後悔しない家づくりを説いている。
この本の立場ははっきりしていて、家づくりの正解は「後悔」が教えてくれる、というところから始まる。うまくいった例ではなく、失敗を先回りして避けるための本なんだ。
読者の「事前に知ることができてよかった」という声が紹介されているのも、性格をよく表しているね。
橘ナナミ
きれいな事例写真を見ていると夢が膨らみますけど、実際は失敗のほうが怖いですよね。打ち合わせの前に読むべきですか?
佐藤メバル
まさにそのタイミングが一番効く。住宅購入や建築を考える人が、施工会社や設計者と話す前に読むと、聞くべきことが具体的になる。
美しい実例集と読み合わせて使うのがおすすめで、片方で理想を見て、もう片方で落とし穴を確認する。夢と現実を両方持って打ち合わせに臨むと、話の質がまるで変わるよ。
暮らしの空間デザイン手帖 改訂版
森清敏 著|エクスナレッジ
¥2,420(税込)
町並みに対する建ち方から細部にわたるまで、論理的な思考に基づき考え抜かれた住宅を、豊富な図版と写真で解き明かす。敷地の外に価値を見つけ、土地に耳を澄ませ、街との間を考え、居場所を用意し、影をいざなうあかり、間取りと間、細部へと進む章立てが、そのまま設計の思考の順序になっている。改訂箇所は70%以上、コロナ禍以降の住まい方にも多くのページを割く。
こんな人におすすめ
建築設計を志す初学者からベテラン設計者まで、家づくりを考えている人、住まいと街の関係を考えたい人。事例を眺めるだけでなく、思考の運び方を学びたい人に向く。
良い点
- 章立てが思考の順序
- 図版と写真が豊富
- 改訂で現代の住まいに対応
気になる点
- 文章はやや硬め
- 価格は中位から上
- 実務の詳細は別途必要
出版社
エクスナレッジ
発売日
2021年12月22日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「暮らしの空間デザイン手帖 改訂版」、章の名前が「敷地のソトに価値がある」「家は街との間が大事」など、少し詩的ですね。思想の本でしょうか。
佐藤メバル
でも中身は論理的でね。町並みに対する建ち方から細部にわたるまで、考え抜かれた住宅を豊富な図版と写真で解き明かしている。
敷地の外に価値を見つけ、土地に耳を澄ませ、街との間を考え、ネコもつくる居場所を用意し、影をいざなうあかり、間取りと間、そして細部へ。
章の順番がそのまま設計の思考の順序になっているんだ。
橘ナナミ
改訂箇所が70%以上というのも驚きです。コロナ禍以降の住まい方の変化も入っているとか。
佐藤メバル
そこが新版の意味でね。在宅の時間が増えて、家に何を求めるかが変わった。その変化に多くのページを割いているから、今の日本にふさわしい住まいとは何か、という問いに答えようとしている。
初学者からベテランの設計者まで満足できると書かれているのは、思考の筋道が丁寧だからだと思うよ。付章の「50000m2から50m2へ」も面白い視点だね。
行正り香の家作り ヒュッゲなインテリア
行正り香 著|講談社
¥1,760(税込)
デンマーク親善大使を務めた著者が、人と人とを結ぶ心地よく温かい空間や時間を意味する「ヒュッゲ」をキーワードに家作りを紹介する。デンマークでは「衣食住」ではなく「住・食・衣」の順に大事にされる、という視点から始まり、心地よい空間の作り方、インテリアを決める色、家具のスピリット、会話が生まれる照明、家を飾ることへ続く。家をどう飾るかより、どう過ごすかが軸。
こんな人におすすめ
北欧の暮らし方に惹かれる人、色や照明から部屋を整えたい人、家で人を招く時間を大切にしたい人。インテリアの前に生活の順序を考え直したい人に向く。
良い点
- 暮らしの哲学から入れる
- 色と照明の章が実践的
- 招く時間の視点がある
気になる点
- 具体の寸法は少ない
- 北欧的な前提がある
- 写真より文章が中心
出版社
講談社
発売日
2018年12月14日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「ヒュッゲ」って、よく聞くんですけど、人に説明できるほど理解していません。この本を読めば分かりますか?
佐藤メバル
この本では「人と人とを結ぶ、心地よく温かい空間や時間」と説明されている。著者はデンマーク親善大使を務めた人で、デンマークでは「衣食住」ではなく「住・食・衣」の順に大事にされる、と紹介しているんだ。
家をどう飾るかより、どう過ごすかから始まる構成で、心地よい空間の作り方、インテリアを決める色、家具のスピリット、会話が生まれる照明、家を飾ること、そして空間の選び方へと続く。
橘ナナミ
「家具はスピリット」という言い方が気になります。家具の選び方の話だとしたら、けっこう具体的なんでしょうか。
佐藤メバル
そう、物としての形や値段ではなく、その家具がどんな暮らしを生むかという視点で語られている。同じく「会話が生まれる照明」も、明るさの話ではなく人が集まる位置の話だね。
この本の違いは、北欧のインテリアを写真で見せるのではなく、色・家具・照明・飾りという順番で自分の家に落とし込めるようにしてあること。暮らしの哲学から入る珍しい一冊だよ。
日本インテリアデザイン史
内田繁 著|オーム社
¥5,280(税込)
インテリアデザインの通史を書き記す初の試みとされる一冊。戦前の明治・大正期における社会の変化とライフスタイルの変化から、インテリアデザインが生まれる背景を解き明かし、それが花開く1960〜80年代にいたるまでのおよそ一世紀の流れを、一つの筋書きとして描こうとする。巻末に内田繁と吉岡徳仁の特別対談を収録。ものの歴史ではなく、暮らしがデザインを呼んだ歴史として読める。
こんな人におすすめ
インテリアの歴史を日本の文脈で押さえたい人、デザイン史を研究する学生、昭和の空間デザインに関心のある人。レポートや研究の土台として手元に置きたい人に向く。
良い点
- 日本のインテリア通史として貴重
- 対談が現在につながる
- 年表と資料が充実
気になる点
- 価格は高め
- 図版中心ではない
- 前提知識があると読みやすい
出版社
オーム社
発売日
2013年11月25日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「日本インテリアデザイン史」、価格も高い大著ですね。インテリアの歴史を日本で通史として書くのは初めての試みだと聞きました。
本当に一冊で筋が通っているんでしょうか。
佐藤メバル
そう、戦前の明治・大正期における社会の変化とライフスタイルの変化から、インテリアデザインが生まれる背景を解き明かし、それが花開く1960〜80年代にいたるまでのおよそ一世紀の流れを、一つの筋書きとして描こうという試みなんだ。
ものの歴史ではなく、暮らしがデザインを呼び寄せた歴史として読めるのが面白いところだね。
橘ナナミ
巻末に内田繁さんと吉岡徳仁さんの特別対談が入っているのも、贅沢ですね。本編より先に読んでもいいんでしょうか。
佐藤メバル
そこは資料としても読み物としても効く部分でね。時代を作った人と、いま最も注目されているデザイナーが向き合うと、通史が現在につながる。
研究やレポートの土台にするなら、まず対談を読んでから本文に戻るといい。日本のインテリアを言葉で考えたい人には、代わりのきかない一冊だよ。
図説・近代日本住宅史新版
内田青蔵 著|鹿島出版会
¥3,520(税込)
洋館から和風邸宅、モダニズム、環境・再生住宅、そして都市と集住の変遷まで、近現代の生活文化を500点の図版で解剖する。西洋館との出会い、江戸の町から明治の都市へ、上流階級の住まいの近代化、中流住宅の模索、住宅改良運動、都市政策と住宅地、戦後復興と住まいの民主化、住宅産業の台頭、揺れ動く家族像まで。家族の形が変われば間取りが変わる、その連動が見えてくる。
こんな人におすすめ
日本の住宅の成り立ちを通史で知りたい人、建築史を学ぶ学生、古い住宅や団地に関心のある人。図版を眺めるだけでも時代の空気がつかめるので、資料としても読み物としても使える。
良い点
- 図版500点の密度が高い
- 住まいから社会を読める
- 戦前から現代まで一貫
気になる点
- 文章はやや硬質
- 地方の事例は限られる
- 最新動向は別途必要
出版社
鹿島出版会
発売日
2008年02月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「図説・近代日本住宅史 新版」、500点の図版で近現代の生活文化を解剖する、という紹介がかっこいいです。
住まいの歴史って、建築史と何が違うんでしょう?
佐藤メバル
住まいの側から社会を見る、という視点だね。西洋館との出会い、江戸の町から明治の都市へ、上流階級の住まいの近代化、中流住宅の模索と展開、住宅改良運動、都市政策と住宅地、集合住宅とニュータウン計画、住宅産業の台頭、揺れ動く家族像、環境と再生のデザインまで。
家族の形が変われば間取りが変わる、その連動が図版で見えてくるんだ。
橘ナナミ
中流住宅の「模索」という言葉に、当時の人たちも悩んでいたんだなと思いました。今の間取りも、誰かの試行錯誤の結果なんですね。
佐藤メバル
そう、そこが面白いところでね。いま当たり前だと思っているダイニングキッチンやリビングの形も、誰かが試行錯誤して定着したものだということが分かる。
図版が豊富だから、写真や図面を眺めるだけでも時代の空気がつかめるよ。古い住宅や団地に関心がある人、建築史を学ぶ学生には、通史として頼りになる一冊だね。
新装版 絵でわかる建物の歴史
エドゥアルド・アルタルリバ 著|エクスナレッジ
¥1,980(税込)
古代エジプトのピラミッドから、パンテオン、サグラダ・ファミリア、ブルジュ・ハリファ、さらには未来の火星基地まで、人類が築いてきた建築の歴史を、カラフルで親しみやすいイラストで紹介する。絵本として楽しめる一方、パルテノン神殿では建物を支える仕組みや荷重の考え方を、産業革命の時代では鉄骨構造やリベット技術を解説する本格派。入口はやさしく、出口は深い。
こんな人におすすめ
建築に興味を持ち始めた子ども、専門書は難しそうだと感じている大人、建築の基礎を俯瞰してから学び直したい人。子どもと一緒に読むと質問が飛んできて、こちらも勉強になる。
良い点
- イラストで全体像がつかめる
- 古代から未来まで一冊
- 建築家の思想まで触れる
気になる点
- 細部の図面は少ない
- 入門の次は別途必要
- 頁数は限られている
出版社
エクスナレッジ
発売日
2026年08月04日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「絵でわかる建物の歴史」は、ピラミッドから火星基地まで載っていると聞いて、振り幅がすごいです。これは子ども向けの本なんですか?
佐藤メバル
子ども向けの絵本として楽しめる一方で、内容は本格派なんだ。パルテノン神殿では建物を支える仕組みや荷重の考え方を、産業革命の時代では鉄骨構造やリベット技術を解説している。
ミース・ファン・デル・ローエやザハ・ハディドといった建築家の思想や作品、持続可能な建築や宇宙建築まで扱う。
入口はやさしく、出口は深い。それがこの本のいいところだね。
橘ナナミ
桂離宮やヴァナキュラー建築まで出てくるのが、海外の本なのに面白いです。地域に根ざした建築にも触れているんですね。
佐藤メバル
そう、そこが偏りなくて安心できる。建築物の基本的な構成要素や建築家の仕事とは何か、という章まであって、「建築とは何か」を体系的に学べる構成になっている。
専門書は難しそうだと感じている大人が、まず全体の地図を持つための一冊としてもおすすめだよ。子どもと一緒に読むと、質問が飛んできてこちらも勉強になる。
アルヴァ・アアルトのインテリア
小泉隆 著|学芸出版社
¥3,520(税込)
上質な建築の真価は内部空間に現れる、という立場から、北欧を代表する建築家アルヴァ・アアルトが、自ら設計した建築のインテリアの隅々まで使いやすさと美しさを追求した過程を追う。パイミオのサナトリウム、サヴォイ・レストラン、マイレア邸などの建築と、そこから生まれた椅子、木製家具、照明、ガラス器、テキスタイル120作品を500点以上の写真・スケッチ・図面で紹介。建築とプロダクトが別々の仕事ではないことが伝わる。
こんな人におすすめ
北欧家具や照明が好きな人、建築とプロダクトの関係を知りたい人、インテリアデザインを学ぶ学生。椅子の形の理由を、風土や加工技術から知りたくなったときに開く本。
良い点
- 建築と家具が一続きに見える
- 図版500点の密度
- 加工技術の背景まで解説
気になる点
- 価格は高め
- 通読には時間がかかる
- 北欧以外は扱わない
出版社
学芸出版社
発売日
2020年10月28日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「アルヴァ・アアルトのインテリア」、120作品を500点以上の写真・スケッチ・図面で紹介……これは作品集というより資料集に近いですか?
佐藤メバル
近いんだけど、読み物としても組まれていてね。上質な建築の真価は内部空間に現れる、という立場から、アアルトが自ら設計した建築のインテリアの隅々まで使いやすさと美しさを追求した過程を追う。
パイミオのサナトリウム、サヴォイ・レストラン、マイレア邸、国民年金会館本館、ルイ・カレ邸、ハーバード大学図書館のポエトリールームといった建築と、そこから生まれた椅子、木製家具、照明、ガラス器、テキスタイルが一続きに見える。
建築とプロダクトが別々の仕事ではないことが伝わってくるんだ。
橘ナナミ
椅子の章だけでも、スツール60やパイミオチェア、Yレッグ、Xレッグと名前が並んで、奥が深すぎます。覚えきれる気がしません。
佐藤メバル
そう、しかも曲げ木の加工技術や白樺の活用といったフィンランドの風土と結びついているから、形の理由が分かる。
マルセル・ブロイヤーとの相互関係のような人物のつながりも描かれている。北欧家具が好きな人が、なぜこの形なのかを知りたくなったときに開く本として、とてもよくできているよ。
AINO AALTO
ウッラ・キンヌネン 著|TOTO出版
¥4,180(税込)
北欧モダニズムを牽引したアルヴァ・アールトの数々の名作は、妻アイノとの協働によるものだった——女性ならではの視点で建築・インテリアのみならず、今も愛され続けるプロダクトを世に送り出したアイノ・アールトの作品集の邦訳。建築家として、インテリアと家具のデザイナーとして、そして写真家としての仕事が作品リストとともに追える。一人の天才の物語を、二人の仕事に戻す一冊。
こんな人におすすめ
アアルト夫妻の仕事を多面的に知りたい人、デザイン史をジェンダーの視点でも読みたい人、北欧デザインの資料を探している人。アルヴァ側から語る本と並べて読むと効果的。
良い点
- アイノの仕事に光を当てる
- 建築以外の顔も追える
- 作品リストが資料になる
気になる点
- 図版の網羅性は限定的
- 価格は高め
- 制度史の記述は少ない
出版社
TOTO出版
発売日
2016年07月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「AINO AALTO」——アルヴァ・アールトの妻、アイノの作品集なんですね。名作が妻との協働だった、という紹介が気になります。
単独の功績を夫から奪う話ではないですよね?
佐藤メバル
奪う話ではなく、共同作業の実像を戻す話だね。北欧モダニズムを牽引したアルヴァの数々の名作が、実はアイノとの協働によるものだった、という視点から、女性ならではの視点で建築・インテリアのみならず、今も愛され続けるプロダクトを世に送り出したアイノの仕事を追う。
建築家として、インテリアと家具のデザイナーとして、そして写真家としての姿が作品リストとともに紹介されている。
一人の天才の物語を、二人の仕事に戻す一冊なんだ。
橘ナナミ
写真家でもあったというのが意外でした。そういう記録の仕事も、デザインの資料として使えるものなんですか?
佐藤メバル
使えるよ。インテリアや家具の仕事が、どんな視線で記録されていたかが分かると、資料の見え方も変わる。アルヴァ側から語られる本と並べて読むと、共同作業の輪郭がいっそうはっきりする。
デザイン史をジェンダーの視点でも読みたい人、北欧デザインを多面的に知りたい人には、持っていて損のない一冊だと思うよ。
有名建築事典
種田元晴 著|学芸出版社
¥2,750(税込)
建築士試験の分析や学会賞受賞作、世界遺産や国宝を含む建築史上の重要作品から、建築を学ぶ人が必ず知っておきたい「有名」500作品を厳選。神殿・教会堂・モスクから、寺院・神社・茶室、宮殿・城郭、戸建住宅、集合住宅、教育施設、医療施設、美術館、劇場、図書館、商業施設、宿泊施設、官庁施設、生産施設、運動施設、交通施設、広場や公園、集落やまちづくりまで19章構成。試験のためにも建築巡りのためにも使える。
こんな人におすすめ
建築士試験の対策をしたい人、建築巡りの計画を立てる人、設計のヒントを事例から引きたい実務者。章末のコラムや所在地マップ、索引があるので辞書的に引く使い方にも向く。
良い点
- 500作品の選定が実用的
- 手描きイラストが記憶に残る
- マップと索引が付く
気になる点
- 解説は簡潔で短い
- 図面は収録されない
- 各作品の写真は限られる
出版社
学芸出版社
発売日
2025年06月06日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「有名建築事典」、500作品を19章に分けて、しかも手描きイラスト付き。これは試験対策の本ですか? それとも建築巡りの本ですか?
佐藤メバル
どちらにも使えるのが強みだね。建築士試験の分析や学会賞受賞作、世界遺産や国宝を含む建築史上の重要作品から、学ぶ人が必ず知っておきたい「有名」500作品を厳選している。
神殿・教会堂・モスクから、寺院・神社・茶室、宮殿・城郭、戸建住宅、集合住宅、教育施設、医療施設、美術館、劇場、図書館、商業施設、宿泊施設、官庁施設、運動施設、交通施設、集落やまちづくりまで、19章に整理されている。
試験のためにも建築巡りのためにも使えるんだ。
橘ナナミ
章末のコラムで「与条件と有名建築」「環境配慮と有名建築」なんて切り口が出てくるのが面白いです。作品の並びとは違う見方ですよね。
佐藤メバル
そう、ただの作品リストで終わらせず、西洋建築史と日本の建築文化、建築家の受賞作、建築資料、構造、建築家の職能といった横串を刺してくれる。
所在地マップと索引、さらに理解を深める次の100冊の案内まで付いているから、ここから先へ自分で進める。
手元に置いて、気になった作品を一つずつ潰していく使い方が一番楽しいと思うよ。
テキスト建築意匠
平尾和洋 著|学芸出版社
¥3,520(税込)
設計理論、かたちの操作、構造表現、空間、光、都市といったテーマで、設計を巡る思考の助けとなる基礎的知識や、最低限知っておくべき理論的フレームを、意匠という言葉で広く捉えつつ解説する。近代への変容、世紀末転換期、前衛運動、近代建築の3巨匠、歴史主義・合理主義・構造主義、戦後日本の建築、建築表記の射程、建築の原点、要素、かたち、部分と全体、光、空間へと積み上がる。意匠を勘ではなく言葉で考えるためのテキスト。
こんな人におすすめ
設計の理論的な裏づけがほしい学生、講義の教科書を探している人、意匠を言葉にして実務で説明したい実務者。巻末の一問一答で理解度を確かめながら進めたい人に向く。
良い点
- 理論の骨格が体系的
- 戦後日本まで視野に入る
- 巻末に問題集を収録
気になる点
- 分量が多く難度は高め
- 前提知識があると読みやすい
- 図版は補助的
出版社
学芸出版社
発売日
2006年12月10日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
最後は「テキスト建築意匠」。「近代の建築」「現代の建築」「戦後日本の建築」から始まって、最後は「空間について」まで。
これ、理論書ですか? 正直、名前からは中身が想像できませんでした。
佐藤メバル
設計理論、かたちの操作、構造表現、空間、光、都市といったテーマで、設計を巡る思考の助けとなる基礎的知識や、最低限知っておくべき理論的フレームを、意匠という言葉で広く捉えつつ解説している。
近代への変容から、世紀末転換期、前衛運動、近代建築の3巨匠、歴史主義・合理主義・構造主義、戦後日本の建築、建築表記の射程、建築の原点、要素、かたち、部分と全体、光、空間へと積み上がっていく。
意匠を勘ではなく言葉で考えるためのテキストだね。
橘ナナミ
巻末に一問一答スタイルの問題集があるんですね。講義で使う前提だからでしょうか。自分ひとりでも進められますか?
佐藤メバル
そう、講義の進捗を自分で把握できるように工夫されている。ルイス・カーンによる元初への問いやゲニウス・ロキ、日本の内と外の曖昧な境界、床・屋根・壁・柱・門と窓といった要素の章は、読み返すたびに発見がある。
設計の理論的な裏づけがほしい学生にも、意匠を言葉にしたい実務者にも向いている。最後に置くのにふさわしい、骨太な一冊だよ。
実務で何度も開く「手元本」と、一度読めばいい「通過本」
橘ナナミ
さっき「手元本」と「通過本」って言葉が出ましたけど、線引きは何ですか?
佐藤メバル
引き出しに入れて、案件のたびに開くのが手元本。用語を引く『超図解 インテリア用語辞典』、事例を探す『有名建築事典』、図面を見返す住宅設計の図面集は典型的な手元本だね。対して『テキスト建築意匠』や『西洋の名建築がわかる七つの鑑賞術』は、通読して視点そのものを変える通過本。前者は設計を巡る思考の枠組みを章立てで与えてくれるし、後者は七つの要点で西洋建築の見方が組み替わる。通過本は一度読めば役目を終えることも多いから、新品で揃える必要はないよ。
橘ナナミ
手元本は、高いほど良いんですか?
佐藤メバル
高さと役立ちは比例しない。大事なのは図版の数、索引の有無、判型。索引がない事典は手元本として失格に近いし、判型が大きすぎると開いたまま作業できない。逆に索引が充実した本は中古でも価値が落ちない。買う前に「自分は何回開くか」を想像してごらん。
橘ナナミ
学習の順番も知りたいです。入門から専門へ、どう並べればいいんでしょう。
佐藤メバル
まず図解や用語辞典で語彙を入れる。次に『実践につながる インテリアデザインの基本』や『インテリア計画の知識 第2版』で計画と法規の骨格を通す。そのうえで『建築・インテリアのための伝わるパースの描き方』のような表現の技術に進むと、頭の中の設計が人に伝わる形になる。最後に『図説 日本建築のみかた』や『西洋の名建築がわかる七つの鑑賞術』の歴史で、自分の立ち位置を測る。順番を飛ばすと、用語だけが浮いてしまうんだ。
資格・実務・最新情報——周辺の論点まで押さえる
橘ナナミ
資格対策と、住宅づくりの実務書の話も聞きたいです。
佐藤メバル
インテリアコーディネーターを目指すなら、基礎学習の土台として『実践につながる インテリアデザインの基本』が章立てで整理しやすい。計画、室内環境と設備、色彩、内装・造作、マテリアル、歴史まで一冊で横断できるから、過去問で用語にぶつかったときの戻り先になる。建築士を視野に入れるなら『有名建築事典』が、建築士試験を分析して重要作品を厳選しているから、試験対策と建築巡りの両方に効くよ。
橘ナナミ
名作椅子や照明の本は、どこから選べばいいですか?
佐藤メバル
椅子なら『椅子改訂版』。椅子塾での10年にわたる経験から設計の要点をまとめ、後半は塾生の作品を収めている。座って美しいだけでなく「つくる」側に立った本だね。作家的な視点なら『AINO AALTO』で、アルヴァ・アールトの名作が妻アイノとの協働から生まれたことが見えてくる。照明は『美しい光でつくる暮らしの照明』で、住まいのあかりの基本から和のあかりの見直しまで、照明デザイナーの視点で語られる。住宅実務は『プロ建築士が絶対しない家の建て方』のように後悔を先回りで潰す本と、『暮らしの空間デザイン手帖 改訂版』のように思考の枠組みを与える本を一冊ずつ持つと強い。
橘ナナミ
最新の情報は本で追いつくんでしょうか。雑誌や読み放題サービスのほうが速い気もします。
佐藤メバル
速さと体系は別物。トレンドは雑誌で拾い、体系は本で組む。読み放題サービスの対象かどうかはタイトルごとに違うから、借りて読み、手元に要ると判断したら買う。新刊チェックは版元のサイトで目次を確認するのが最短だよ。改訂や新装で図版が増えていることもあるから、旧版を安さだけで選ばないこと。これが一番の失敗回避策だね。
よくある質問
インテリア初心者が最初に読むべき1冊は?
橘ナナミ
インテリア初心者が最初に読むべき1冊はについて教えてください。
佐藤メバル
全体像を先に一本通したいなら『超図解で全部わかる インテリアデザイン入門【増補改訂版】』が有力です。業種・職種と業務の流れから、色彩計画、照明計画、寸法とモジュール、構造と仕上げ、材料、法規、図面やプレゼンボードまでをオールカラーの図版でつないでいるので、用語の置き場所が最初から決まります。読む順番に迷ったときの土台として使いやすい一冊です。
建築とインテリアの両方を学べる本はありますか?
橘ナナミ
建築とインテリアの両方を学べる本はありますかについて教えてください。
佐藤メバル
『実践につながる インテリアデザインの基本』は、建築の概要や造作・内装・開口部、室内環境と設備、家具や照明器具まで扱うので、建物側と室内側の橋渡しになります。骨格を図解で押さえたいなら『図解事典建築のしくみ』も有効で、構造と各部構法、設備・性能、エクステリア・インテリア、生産という並びで建築全体が見渡せます。
インテリアコーディネーター資格に役立つ本は?
橘ナナミ
インテリアコーディネーター資格に役立つ本はについて教えてください。
佐藤メバル
基礎学習の土台には『実践につながる インテリアデザインの基本』が向いています。計画、室内環境と設備、人にやさしいインテリア、色彩理論、内装・造作、マテリアル、日本と世界のインテリア史まで章立てで横断でき、資格試験の基礎学習にも最適とされています。用語の確認用には『超図解 インテリア用語辞典』を並べておくと、過去問で詰まったときの戻り先になります。
配色やスタイリングの理論を学べる本は?
橘ナナミ
配色やスタイリングの理論を学べる本はについて教えてください。
佐藤メバル
体系的に学ぶなら『実践につながる インテリアデザインの基本』の色彩理論の章で、色彩心理、色彩の表記、色彩調和と色彩計画、色と質感まで順に追えます。実践寄りなら『超図解で全部わかる インテリアデザイン入門【増補改訂版】』の色彩計画の項目、暮らしに落とすなら『小さい部屋で心地よく』の「色の系統をゆるくそろえる」「色柄より質感と肌触りで選ぶ」といった考え方が参考になります。
名作椅子や名作家具を詳しく知れる本は?
橘ナナミ
名作椅子や名作家具を詳しく知れる本はについて教えてください。
佐藤メバル
『アルヴァ・アアルトのインテリア』は、椅子、木製家具、照明、ガラス器、テキスタイルを多数の写真・スケッチ・図面で紹介する決定版的な一冊です。制作の背景から知るなら『AINO AALTO』が、名作が妻アイノとの協働から生まれたことを伝えています。自分で設計したい人には、椅子塾の経験をまとめた『椅子改訂版』が制作の要点を示してくれます。
電子書籍やKindle Unlimitedで読めるインテリア本は?
橘ナナミ
電子書籍やKindle Unlimitedで読めるインテリア本はについて教えてください。
佐藤メバル
配信状況はタイトルごとに異なり、同じ本でも時期で変わります。図面や図版を追いながら書き込むタイプは紙、用語を検索して引くタイプは電子が向いています。読み放題の対象かどうかは各ストアの該当ページで必ず確認し、気に入ったら紙で買い直す前提で試し読みするのが安全です。
高額な専門書は買う価値がありますか?中古や図書館で十分でしょうか?
橘ナナミ
高額な専門書は買う価値がありますか?中古や図書館で十分でしょうかについて教えてください。
佐藤メバル
判断基準は「何回開くか」です。用語辞典や図面集のように案件ごとに参照する手元本は、索引の有無と判型を確認したうえで買う価値があります。一方、通史や研究書のように一度通読すれば視点が得られる通過本は、まず図書館で借り、手元に置きたいと確信してから中古も含めて探すと失敗が少ありません。
改訂版と旧版はどちらを買うべきですか?
橘ナナミ
改訂版と旧版はどちらを買うべきですかについて教えてください。
佐藤メバル
法規や基準、事例が絡む分野は新しい版を選んでください。『インテリア計画の知識』は改訂で法令基準の見直しや住まいを取り巻く環境の変化が反映され、『暮らしの空間デザイン手帖』も改訂で内容の大部分が更新されています。旧版は安くても判断を誤るリスクがあるため、必ず目次と版次を確認してから選びましょう。
まとめ
橘ナナミ
今日の話を聞いて、最初の一冊を決められそうです。まずは骨格の本を一冊、眺める本を一冊、ですね。
佐藤メバル
その組み合わせがいい。骨格の本で「なぜそうなっているか」を押さえて、図鑑や写真集で「いい」と感じる心を動かす。順番はどちらが先でも構わないけど、両方ないと片足になる。
橘ナナミ
片足、たしかに。知識だけだと図面の説明になっちゃうし、感性だけだと再現できない。
佐藤メバル
そう。で、余裕が出たら歴史に手を伸ばしてほしい。『図説 日本建築のみかた』は神社・寺院・住宅・茶室・城郭を図版で読み解く一冊で、街で見た建物の意味が急に立ち上がってくる。『日本インテリアデザイン史』は、日本のインテリアデザインが時代とどう向き合ってきたかを描く通史で、巻末にはデザイナー同士の特別対談も収められている。歴史は「今」を測るものさしになるからね。
橘ナナミ
なるほど……なんだか、本棚が家みたいに見えてきました。体系書が躯体で、図鑑が窓で、用語辞典が配線みたいな。
佐藤メバル
いい例えだね。で、読み終えた本は少しずつ内装になっていく。壁の色や家具の置き方みたいに、あなたの見方そのものが、あとから効いてくる。準備は整ったから、まずは一冊、開いてみようか。
