畑建築岡山本のおすすめ人気ランキング25選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
佐藤さん、今日のお題は「畑 本 建築 岡山」です。……正直に言うと、最初に聞いたとき「畑の本?」「建築の本?」って頭の中でバラバラになっちゃいました。
佐藤メバル
いい質問だね。そこがこの記事の入口なんだよ。畑本建築は岡山・総社で伝統工法に取り組んでいる工務店で、手刻みや墨付け、ほぞ加工といった在来の木組みで家をつくる。だから「畑本建築」と「岡山」が一本の線でつながる。その線を、本を道しるべにしてたどってみようという企画だね。
橘ナナミ
でも、畑本建築そのものを解説した本があるわけではないですよね。何を読めばいいんですか?
佐藤メバル
ここが腕の見せどころでね。伝統工法の技術を学ぶ本、岡山の建築文化を知る本、木材や材料の基礎を押さえる本、家づくりのお金と進め方の本。この4系統を組み合わせると、工務店と話すときの解像度がぐっと上がる。ひとつの会社を囲い込むように読む、という感覚かな。
橘ナナミ
なるほど! 研究で先行文献を集めるときと、ちょっと似てます。周辺から攻めるんですね。
佐藤メバル
まさにそれ。書店員時代、住宅コーナーの棚は「これから建てる人」と「建築を学ぶ人」が混ざっていて、よく迷子が出た。だから今日は軸ごとに分けて案内するよ。
畑建築岡山本の選び方
目的別:施主か、建築学生か、職人志望か
橘ナナミ
まずは目的別からお願いします。
佐藤メバル
家を建てたい施主なら、最初は『岡山での家づくり』シリーズがいい。岡山県の工務店の実例に加えて、資金計画の特集や家づくり用語集まで一冊に入っている。そこから『岡山・広島・山口で上質な住宅を建てる Japan Brand Collection Luxe 2025』で設計事務所やビルダーの邸宅実例を見ると、自分の好みの方向がつかめる。
橘ナナミ
建築を学ぶ学生だと?
佐藤メバル
『岡山・広島圏の建築家と建築』だね。岡山圏と広島圏の2部構成で、305項目の作品が竣工年と建築家とともに地図にプロットされている。巻頭文では、この地域が日本の戦後モダニズム建築の重要な起点だったことも語られる。読み物としても資料としても強い。写真から入るなら『おかやまの建築家』や『岡山建築散策マップ』が取っつきやすいよ。
レベル別:写真中心か、図解か、実務書か
橘ナナミ
難易度の順番も知りたいです。
佐藤メバル
入門は写真と地図の本。『岡山ハイカラ建築の旅』や『岡山の明治洋風建築』は岡山文庫の判型で手に取りやすく、近代建築を街歩きの延長で理解できる。中級は図解と論考がある本で、『〝江川式〟擬洋風建築』は江川三郎八が手がけた9作品を写真で追いながら、独自の小屋組みの仕組みまで踏み込む。実務に寄せるなら『住宅建築』の特集号で、古民家再生や国産材を核にした在来技術の再編を扱った号がある。
佐藤メバル
順番としては、写真で土地勘をつくる → 図解で仕組みを知る → 実務書で数字と納まりを押さえる。この三段階が無理がないよ。
形式別:写真集・図鑑/技術解説書/エッセイ・ルポ
橘ナナミ
形式で選ぶならどうでしょう。
佐藤メバル
写真集・図鑑の好例は『岡山の木造校舎』で、現存する戦前の校舎の一部31校を記録している。風化する前に残す、という目的がはっきりした本は強い。細部を見るなら『岡山の門』『岡山の多層塔』『岡山の親柱と高欄』のように、部位で切り取った岡山文庫も面白い。エッセイ・ルポ寄りなら『岡山を歩く』や『出雲街道』、手を動かす技術解説なら演習つきの『建築と造園をつなぐ ランドスケープデザイン入門』も選択肢になる。
工法・内容別:伝統工法か、材料か、設計か
橘ナナミ
畑本建築の手刻みに直結する本はどれですか?
佐藤メバル
手刻みだけを扱った本は多くないから、材料と設計の両側から挟むといい。材料なら国産材を特集した『住宅建築 2004年9月号』、設計なら設計者と施工者がどう協働するかを扱う論考が効く。畑本建築でいえば、上平設計室のような設計と現場の関係がよく話題になる領域だね。地域の文脈は『岡山のトリセツ』や『岡山の本』で地形や産業から押さえておくと、なぜ岡山で木の家なのかが腹に落ちる。
橘ナナミ
なるほど……本の組み合わせで、畑本建築の仕事の背景が見えてくる感じがします。
畑建築岡山本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、25冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
畑建築岡山本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい

岡山・広島圏の建築家と建築 (シリーズ:地域の建築家と建設 03)
岡山・広島圏の建築家と建築編集委員会 著|㈱建築技術
¥3,520(税込)
岡山圏142件・広島圏163件、計305作品を収めた地域建築の集成です。県境を越えて瀬戸内海の島々や山口県西部まで圏域に含め、40万分の1の全体図から5千分の1の街路図まで64点のMapが訪ね歩きの道しるべになります。各作品の解説は編集委員とその教え子の学生が執筆。地域を拠点とする建築家の円卓会議や、江川三郎八、丹下健三・村野藤吾、広島派の系譜をめぐる論考も収録し、写真中心のガイド本とは一線を画します。
こんな人におすすめ
建築を学ぶ学生や設計者、瀬戸内の近代建築を実際に訪ねたい人。岡山と広島をまたいで旅の計画を立てるなら地図から入る使い方が効きます。円卓会議や論考を読めば、地域で設計することの意味を考えたい実務者の座右の書にもなります。
良い点
- 305作品と64点のMapで網羅性が高い
- 円卓会議や論考で地域性まで踏み込む
- 県境を越えた圏域で旅の計画が立つ
気になる点
- 352頁・3520円で持ち歩きには重い
- 写真中心の観光ガイドではない
- 入門者には記述が専門的に感じられる
出版社
㈱建築技術
発売日
2025年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
岡山と広島の建築の本って、まずこれを買えばいいんでしょうか。352頁って、けっこう厚いですけど……。
佐藤メバル
厚さは伊達じゃないよ。岡山圏142件、広島圏163件で合計305作品。県境を越えて瀬戸内の島々や山口県西部まで圏域に入っている。
Mapは40万分の1の全体図から5千分の1の街路図まで64点あって、これが建築を訪ねるガイドになる。
円卓会議や、江川三郎八、丹下健三・村野藤吾をめぐる論考も収録されている。
橘ナナミ
解説を学生が書いている部分があるって聞いて、そこが気になります。
佐藤メバル
各作品の解説は編集委員と、その先生が教えている大学の学生が執筆している。円卓会議も岡山と広島それぞれで、地域を拠点にする建築家が集まっているから、当事者の言葉がそのまま残る。
僕の書店員時代の経験で言うと、こういう地域の集成は後から手に入りにくくなる。訪ねる前に手元に置く価値があるよ。

おかやまの建築家
JIA日本建築家協会 著|吉備人出版
日本建築家協会(JIA)が関わり、地元の吉備人出版から出た208頁の一冊です。タイトルどおり「おかやまの建築家」に焦点を当て、設計する人を軸に岡山の建築を見渡すところが、作品を並べた圏域の作品集とは違う角度。実際に家や店を建てたい人が、どんな設計者に相談するかを考える手がかりにもなります。地元出版社から出ている点も、地域に根ざした内容をうかがわせます。
こんな人におすすめ
岡山で家や店の設計を頼みたい人、地元の建築家の仕事を知りたい人、建築家という職業に関心がある学生。設計者名から調べたいときの入口になり、圏域の作品集と並べて使うと理解が深まります。建築関係の贈り物にも向く一冊です。
良い点
- JIAが関わる信頼感のある一冊
- 設計者を軸にした珍しい切り口
- 208頁で手に取りやすい分量
気になる点
- 圏域作品集ほどの網羅性はない
- 地図や道案内の役割は薄い
- 初めての建築本には少し固い
出版社
吉備人出版
発売日
2003年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
JIA日本建築家協会って、名前は聞いたことがあるんですけど、何をしている団体なんですか?
佐藤メバル
建築家の職能団体でね、地域ごとに支部があって、設計の仕事をしている人たちが集まっている。この本はその協会が関わって、地元の吉備人出版から出ている。
タイトルどおり“おかやまの建築家”に焦点を当てた一冊で、作品を並べる本とは違って、設計する人を軸に岡山を見渡せる。
実際に建てたい人が相談先を考えるときにも役立つよ。
橘ナナミ
なるほど。さっきの岡山・広島圏の作品集と並べると、違いが見えてきそうです。
佐藤メバル
そう、そこが大事なところ。あちらは305作品とMapで圏域をまるごと押さえる大全、こちらは人に寄った見取り図。
同じ棚に並べると、岡山の建築地図が立体的に見えてくる。書店で両方開いて、自分の関心が“土地”か“人”かで選ぶと失敗しにくいよ。

岡山建築散策マップ
吉備人出版
¥2,505(税込)
吉備人出版から出た202頁の散策ガイドです。タイトルどおり、地図を手がかりに岡山の建築を歩くための一冊。どこに何があるかを地図で確かめながら動けるのが、写真や論考が中心の建築本と決定的に違うところです。圏域の作品集で気になった建物を、実際に訪ねる段階で開く。机上の一冊と手元の一冊、両方そろえて初めて建築散策が完成します。
こんな人におすすめ
休日に岡山の街を歩きたい人、建築を見に出かけたい人、道順を組み立てたい旅行者。訪ねる当日に鞄へ入れる用途に向きます。圏域の作品集とセットにして、行きたい建物を先に決めてから地図で動線を引く使い方がおすすめです。
良い点
- 地図ベースで実際に歩きやすい
- 202頁で持ち歩けるサイズ感
- 訪ねる計画づくりに直結する
気になる点
- 解説の深さは作品集に及ばない
- 写真を眺める本ではない
- 地図の読み方に少し慣れが要る
出版社
吉備人出版
発売日
2003年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
散策マップって、地図が主役の本なんですか? 建築の解説を読む本かと思っていました。
佐藤メバル
そこが使い分けのポイントだね。この本は吉備人出版から出ていて、地図を手がかりに岡山の建築を歩くための一冊。
どこに何があるかを地図で確かめながら動けるのが、写真や論考が中心の建築本と決定的に違う。圏域の作品集で気になった建物を、実際に訪ねる段階で開く。
机上の一冊と手元の一冊、両方そろえて初めて散策が完成するんだよ。
橘ナナミ
なるほど、じゃあ作品集のほうを読んでから買う順番でもいいんですね。
佐藤メバル
その順番がおすすめ。まず作品集で行きたい建物を決めて、このマップで動線を引く。202頁あるから、行き当たりばったりより効率がいい。
ただ解説の深さは作品集には及ばないから、現地で「もっと知りたい」と思ったら戻って調べる。この往復が楽しいんだよ。

岡山ハイカラ建築の旅: 近代建築 (岡山文庫 196)
河原馨 著|日本文教出版岡山
¥880(税込)
河原馨さんが、岡山の近代建築を「ハイカラ」という言葉でくくった旅の一冊。日本文教出版岡山の岡山文庫で157頁、880円という手に取りやすい造りです。明治以降に移入された洋風の意匠を、街を歩きながら味わう。建築の専門書のように図面を追うのではなく、建物の表情を見に行く本なので、建築の予備知識がない人でも旅の延長として読めます。
こんな人におすすめ
岡山の街をぶらぶら歩くのが好きな人、レトロな建物に惹かれる人、岡山文庫を集めている読者。観光の合間に建物を見上げるときの伴走者になります。持ち歩きやすい文庫サイズなので、日帰りの町歩きの鞄にひとつ忍ばせておくのが向いています。
良い点
- 880円で手に取りやすい
- 旅の読み物として軽快
- 岡山文庫で揃えやすい
気になる点
- 収録範囲は近代建築に限定
- 専門的な設計論は扱わない
- あくまで旅の視点の本
出版社
日本文教出版岡山
発売日
1998年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
タイトルの「ハイカラ」って、今ではあまり使わない言葉ですよね。どういう意味なんですか?
佐藤メバル
明治から昭和のはじめにかけて、洋風の新しいものを指して使われた言葉だね。この本は、岡山に残る近代建築をその“ハイカラ”という目線で見て回る旅の一冊。
河原馨さんが書いて、日本文教出版岡山の岡山文庫から出ている。157頁で880円だから、旅先の鞄にちょうどいい。
橘ナナミ
建築の知識がなくても大丈夫ですか? 図面ばかりだったら挫折しそうで……。
佐藤メバル
そこは安心していい。建物の表情を見に行く本であって、図面を読み解く本じゃないからね。街を歩く延長として読める。
ただ収録は近代建築に限られるから、神社や民家まで知りたいなら別の本と組み合わせてほしい。小さな文庫は、旅先で買ってそのまま歩く人に向いているんだよ。

岡山の明治洋風建築 (岡山文庫)
中力昭 著|日本文教出版(岡山)
¥880(税込)
中力昭さんが岡山の明治期の洋風建築をまとめた岡山文庫の一冊です。「ハイカラ」という情緒的な切り口より、明治という時代に絞って洋風建築を見渡すのが特徴で、河原馨さんの旅の本と姉妹のように並びます。価格も同じ880円で、まずはこの二冊を並べて開き、自分の興味が時代か街歩きかで選ぶ。岡山文庫ならではの作りです。
こんな人におすすめ
明治期の建築に関心がある人、岡山の近代化の歩みを辿りたい人、岡山文庫を読破したい人。時代から入って建物を調べる調べ物の入口に向きます。地域史や郷土史を書く人が資料として手元に置くのにも適した一冊です。
良い点
- 明治期に絞った整理がしやすい
- 880円で揃えやすい価格
- 岡山文庫で姉妹本と並ぶ
気になる点
- 対象は明治期に限られる
- 道案内としては使えない
- ハイカラ建築の旅と内容が近い
出版社
日本文教出版(岡山)
発売日
1977年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『岡山ハイカラ建築の旅』と、この『岡山の明治洋風建築』は何が違うんですか? 同じに見えるんですけど……。
佐藤メバル
いいところに気づいたね。河原馨さんの本が“ハイカラ”という情緒で街を歩く旅の一冊なら、中力昭さんのこちらは明治という時代にぐっと絞って洋風建築を見渡す本。
旅か時代か、入口が違う。価格はどちらも880円で揃えやすいから、書店で両方開いて、自分の興味が街歩きか時代かで選ぶといいよ。
橘ナナミ
じゃあ両方買ってもいいくらいですね。並べて読むと何か見えてきますか?
佐藤メバル
見えるよ。同じ建物が、旅の視線と時代の視線でまったく違って語られる。さらに『技師を志した 江川三郎八の建築』を足すと、建てた人の視点まで加わる。
3冊で、街・時代・人の三方向から岡山の洋風建築が見られる。岡山文庫の強みは、こうして小さな本が積み重なるところなんだ。

岡山の木造校舎 (岡山文庫 247)
河原馨 著|日本文教出版岡山
河原馨さんが、懐かしく貴重になった木造校舎を風化する前に記録しておこうと取材を始め、現存する戦前の校舎の一部31校を紹介した岡山文庫です。懐かしさと資料性が同居するところがこの本の核。同じ岡山文庫の近代建築本が街の建物を扱うのに対し、こちらは学び舎という生活の記憶に寄り添います。156頁の一冊です。
こんな人におすすめ
自分の母校や通った小学校を思い出したい人、木造建築や戦前の学校建築に関心がある人、郷土史を調べる人。卒業アルバムの延長のような気持ちで開けるのが心地よく、建築の専門知識は要りません。地域の記録を残す活動をしている人にも。
良い点
- 現存31校をまとめた記録性
- 思い出として読める親しみ
- 岡山文庫で入手しやすい
気になる点
- 対象は戦前の校舎に限られる
- 設計論の解説は中心でない
- 木造以外の校舎は扱わない
出版社
日本文教出版岡山
発売日
2007年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
木造校舎って、私の母校はもう鉄筋だったので、実際に入ったことがないんです。それでも読めますか?
佐藤メバル
読めるどころか、そういう人にこそ開いてほしい。河原馨さんが、懐かしく貴重となった木造校舎を風化する前に記録しておこうと取材を始めて、現存する戦前の校舎の一部31校を紹介している。
木の床や高い天井の教室が、写真と記録で残っている。同じ著者の『岡山ハイカラ建築の旅』が街の建物を扱うのに対し、こちらは学び舎という生活の記憶に寄り添っているんだ。
橘ナナミ
31校も残っているんですね。建築として見ると、どこが面白いんでしょう?
佐藤メバル
梁の見せ方や窓の取り方、増築の跡——長く使われてきたからこその継ぎ足しが面白い。設計当時の姿ではなく、使われ続けた姿が見られるのが学校建築の魅力だね。
郷土史を調べている人にも資料になる。ただ対象は戦前の木造校舎だから、鉄筋の校舎は出てこない。そこは期待しないでほしい。

技師を志した 江川三郎八の建築 (岡山文庫 324)
上田恭嗣 著|日本文教出版岡山
¥1,220(税込)
上田恭嗣さんが、江川三郎八の生き方と建物をたどった岡山文庫です。会津若松に生まれ福島県庁に着任、人との出会いに恵まれ、岡山県民のために岡山県人として建物を建てた——人物の物語として読めるのが、作品を並べた建築本との違いです。160頁1220円。擬洋風建築という言葉も、この一冊なら人物の歩みとともに自然に腑に落ちます。
こんな人におすすめ
明治の洋風建築に興味を持ち始めた人、建築家や技師の生涯を読みたい人、会津と岡山という二つの土地のつながりを追いたい人。人物から建築に入る最初の一冊に向き、伝記としても読めます。
良い点
- 人物から建築に入れる構成
- 会津と岡山の両方が見える
- 1220円で手頃な岡山文庫
気になる点
- 作品全体の図版は多くない
- 岡山以外の仕事は限定的
- 設計論の専門書ではない
出版社
日本文教出版岡山
発売日
2021年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
江川三郎八って、岡山の建築の本に何度も出てくるんですけど、どんな人なんですか?
佐藤メバル
幕末生まれの元宮大工でね。会津若松に生まれて福島県庁に着任し、人との出会いに恵まれて、やがて岡山へ。
岡山県民のために、岡山県人として建物を建てた人物だよ。上田恭嗣さんのこの一冊は、作品だけでなく生き方を追っている。
人から入ると、擬洋風建築という言葉も自然に腑に落ちる。
橘ナナミ
会津と岡山、ずいぶん遠いですね。そこが面白そう。
佐藤メバル
そう、そこがこの本の芯。故郷の福島と赴任先の岡山、二つの土地に西洋の風をもたらした。伝記として読めるのが作品集との違いで、160頁1220円だから入りやすい。
まず人物を知ってから建物を見に行くと、現地での印象がまるで変わるよ。

〝江川式〟擬洋風建築 江川三郎八がつくった岡山・福島の風景 (LIXIL BOOKLET)
齋藤隆夫 著|LIXIL出版
¥1,980(税込)
元宮大工・江川三郎八が福島と岡山に残した擬洋風建築を、撮下し写真と古写真で案内するLIXIL BOOKLETです。洋式の橋梁構造にヒントを得た「江川式小屋組み」が最大の見どころで、映画「ALWAYS 三丁目の夕日」の舞台になった遷喬尋常小学校本館の講堂が好例。現存9作品を個々の特徴ごとに見せる構成は、伝記と対になる初めての江川式ガイドです。
こんな人におすすめ
江川三郎八の建築を写真で味わいたい人、遷喬尋常小学校や映画の舞台を知りたい人、木造の小屋組みに関心がある設計者。現地へ行く前に予習する用途に最適で、69頁と薄いので持ち歩きにも向きます。
良い点
- 撮下し写真で意匠が伝わる
- 古写真で失われた建物も追える
- 69頁で読み切りやすい
気になる点
- 現存9作品に絞られている
- 人物の生涯は深く扱わない
- 1980円で薄さの割に高め
出版社
LIXIL出版
発売日
2019年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
さっきの江川三郎八の本と、この『江川式』の本はどう使い分けるんですか?
佐藤メバル
人物と作品、役割がはっきり分かれているね。こちらは齋藤隆夫さんが、現存の江川式擬洋風建築9作品を撮下し写真で、かつてあった作品は古写真で案内する。
真骨頂は、洋式の橋梁構造にヒントを得た独自の「江川式小屋組み」。映画「ALWAYS 三丁目の夕日」の舞台になった遷喬尋常小学校本館の講堂が好例で、圧巻の大空間を作っている。
橘ナナミ
映画の舞台になった建物なんですね。写真で見られるのがいいなあ。
佐藤メバル
写真が大きいのが強みで、69頁と薄いから現地の予習にも持ち歩きにも向く。ただ現存9作品に絞られているから、網羅的に知りたいなら伝記のほうを先に。
順番としては人物を読んで、この写真集で意匠を確かめる。そうすると「江川好み」の癖まで見えてきて、建物を見る目が一段細かくなるよ。
![住宅建築 No.463(2017年06月号) [雑誌] 岡山 古民家再生工房の30年](https://img.shelf-y.com/items/15686.jpg)
住宅建築 No.463(2017年06月号) [雑誌] 岡山 古民家再生工房の30年
建築思潮研究所 著|建築資料研究社
¥3,914(税込)
建築思潮研究所の雑誌『住宅建築』の一冊で、「古い民家をモダンリビングに」をテーマに、民家の特性を生かしながら現代的な機能を加えてきた古民家再生工房の30年の活動成果と最新事例を紹介します。同じ会社の仕事を30年分まとめて見られるのは雑誌ならでは。単発の実例集では見えない方針の積み重ねが読め、判断材料になります。
こんな人におすすめ
古民家を買って再生したい人、リノベーションを検討している人、民家のディテールを学びたい設計者。長く付き合える相手を選びたいときに、30年の仕事を並べて見られるのは強い味方です。住宅建築のバックナンバーを集めている読者にも。
良い点
- 30年の変遷を通して読める
- 最新事例と成果がセット
- 雑誌ならではの図版量
気になる点
- 140頁で3914円と高価
- 一社の仕事に限定される
- バックナンバーで入手が不安定
出版社
建築資料研究社
発売日
2017年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
雑誌のバックナンバーって、今から買う意味あるんですか? 30年前の話ですよね。
佐藤メバル
この号は意味があるんだよ。『住宅建築』の一冊で、古民家再生工房の30年の活動成果と最新事例をまとめている。
ひとつの会社の仕事を30年分並べて見られる機会はなかなかないから、方針がどう積み重なったかが読める。
単発の実例集では絶対に見えない部分だね。
橘ナナミ
なるほど。でも140頁で3914円は、ちょっと迷います……。
佐藤メバル
そこは好みだね。ただ古民家再生は、リフォームとは違って構造や素材の判断が長く効いてくる。どの会社に頼むかで30年後の住まいが変わるから、判断材料としては安いと思う。
一社の仕事に限定される点、バックナンバーで入手が不安定な点は了承したうえで、古民家を本気で考えている人には勧めたい一冊だよ。

住宅建築 2004年9月号 【特集】今こそ「日本の木」で!/Part1 森から住宅を考える2004イベントレポート/Part2 国産材を核にした在来技術の再編/【第二特集】暮らしをつなぐ 住まいと人間の記憶を先代から引き継ぐ/【特別記事】岡山、出石町、まちづくりの可能性 他〈第354号〉
平本和也、安藤邦廣ほか 著|建築資料研究社
特集は「今こそ『日本の木』で!」。森から住宅を考えるイベントレポートに始まり、国産材を核にした在来技術の再編を追い、第二特集では住まいと人間の記憶を先代から引き継ぐ暮らしを扱います。特別記事には岡山、出石町のまちづくりの可能性も。一本の木が家になるまでの流れを通しで追える構成です。
こんな人におすすめ
無垢材や国産材で家を建てたい人、工務店と木材の話をしたい人、木の家づくりの議論を調べる人。材料から家を考えたいときに読むと、設計の前段の判断が整理されます。バックナンバー収集や研究の資料にも向きます。
良い点
- 国産材と在来技術を深掘り
- 暮らしの記憶という視点が秀逸
- 岡山のまちづくり記事も収録
気になる点
- 2004年号で情報は古い
- 価格や流通は現在と異なる
- 入手は古書頼みになる
出版社
建築資料研究社
発売日
2004年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
2004年の『住宅建築』って、20年以上前ですよね。国産材の話は今と変わっているんでしょうか。
佐藤メバル
特集は「今こそ『日本の木』で!」。森から住宅を考えるイベントレポートに始まり、国産材を核にした在来技術の再編を追い、第二特集では住まいと人間の記憶を先代から引き継ぐ暮らしを扱っている。
特別記事には岡山、出石町のまちづくりの可能性もあってね。一本の木が家になるまでの流れが通しで読める。
橘ナナミ
技術の再編、という言葉が気になります。今読んでも役に立ちますか?
佐藤メバル
役に立つよ。むしろ20年経って、当時の議論がどこまで実現したかを確かめられるのが面白い。木材の選び方や工務店との話し方の土台になる。
ただし2004年号だから、価格や流通は今と違う。そこは頭に置いて読んでほしい。バックナンバー収集や研究の資料としても価値があるよ。

住宅建築 1998年9月号 【特集】中庭のある住まい ―都市型の家・コートハウスへの誘い 【人と作品】Apartment傳 ―泉幸甫建築事務所/農家の増築 ―秋田雅之+クアトロ綜合計画事務所 【まちを見る】北屋のとんぼが宙を飛ぶ ―岡山の生活提案型家づくり/北屋建設+飛夢房の活
特集は「中庭のある住まい」。都市型の家、コートハウスへの誘いを軸に、人と作品では泉幸甫建築事務所のApartment傳、農家の増築を取り上げます。まちを見るには岡山の生活提案型家づくりとして北屋建設+飛夢房が登場。1998年という時代の住宅観がそのまま残っていて、今読むと中庭型住まいの原点が見えます。
こんな人におすすめ
狭い敷地で家を考えている人、中庭やコートハウスに惹かれる人、住宅設計の系譜をたどりたい設計者。住まい方から間取りを発想したいときに効きます。古い号を資料として集めている読者にも手応えのある一冊です。
良い点
- 中庭型住宅の事例が豊富
- 岡山の家づくり記事も収録
- 設計者の思考に触れられる
気になる点
- 1998年号で図面は旧い
- 古書での入手が前提
- 全頁が中庭の話ではない
出版社
詳細情報なし
発売日
詳細情報なし
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
タイトルが長い! 「中庭のある住まい」「コートハウス」……これも昔の号なんですよね。
佐藤メバル
1998年の号で、特集は中庭型の住まい。人と作品では泉幸甫建築事務所のApartment傳、農家の増築を扱っている。
そして「まちを見る」に、岡山の生活提案型家づくりとして北屋建設+飛夢房が登場する。今、中庭やコートハウスを見直す人が増えているけれど、原点はこのあたりにあるんだよね。
橘ナナミ
狭い土地に家を建てるときに、中庭って有効なんですか?
佐藤メバル
採光とプライバシーを同時に取れるのが中庭の強みだね。この号を読むと、その発想がどう組み立てられてきたかがわかる。
ただ1998年号だから図面は旧いし、全頁が中庭の話というわけでもない。それでも、住まい方から間取りを発想したい人には刺激になる。古書で見かけたら手に取ってほしい。

岡山の建築 (1966年) (岡山文庫)
1966年に出た岡山文庫の一冊で、203頁。半世紀前の視点で岡山の建築を記録した本という点にこそ価値があります。現在の建築ガイドや散策マップと読み比べると、街の見え方の違いが浮かび上がるはずです。内容の細部は現物で確かめたいところですが、郷土史と建築のあいだに置く資料として息が長い一冊です。
こんな人におすすめ
郷土史や建築史を調べている人、古い岡山文庫を集めている人、街の変遷を記録で追いたい人。現在のガイドと読み比べる使い方が面白く、調べ物の背景資料として手元に置くのに向きます。図書館で探す楽しみもある一冊です。
良い点
- 1966年刊の記録的価値
- 203頁の読み応え
- 岡山文庫でシリーズに連なる
気になる点
- 古書でしか入手しにくい
- 現在の街とは情報がずれる
- 刊行年が古く情報は更新されない
出版社
詳細情報なし
発売日
詳細情報なし
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
1966年の『岡山の建築』……半世紀以上前の本を、今読む意味ってあるんでしょうか。
佐藤メバル
あるよ。半世紀前の視点で岡山の建築を記録した本というところに価値がある。現在の散策マップやガイドと読み比べると、街の見え方の違いが浮かび上がる。
当時どこに注目が集まっていたか、その視線そのものが資料になるんだ。
橘ナナミ
内容は今とだいぶ違うんでしょうね。図書館で探すしかないですか?
佐藤メバル
古書で探すことになると思う。203頁あるから、目次を眺めるだけでも岡山の建築の捉え方がわかる。郷土史と建築のあいだに置く資料として息が長い一冊だよ。
ただ刊行年が古い分、情報は更新されない。現在の街を知りたいなら、この本と新しいガイドを並べて読むのがおすすめだね。

岡山の親柱と高欄 (岡山文庫 220)
渡邉隆男 著|日本文教出版岡山
¥880(税込)
渡邉隆男さんが、岡山の橋の「親柱」と「高欄」に焦点を当てた岡山文庫です。普段は素通りしてしまう橋の手すりや柱を主役に据える——この切り口自体が新鮮で、街の見え方が一段細かくなります。橋を渡るときに足元を見る習慣がつく、157頁880円の小さな発見の本です。
こんな人におすすめ
街歩きが好きな人、土木や橋の意匠に関心がある人、岡山文庫を集めている読者。通勤や散歩の途中で橋を見上げるときの楽しみを増やしてくれます。写真を撮る人や、郷土の風景を記録したい人にも向きます。
良い点
- 親柱という類書の少ない切り口
- 880円で試しやすい
- 街歩きの視点が増える
気になる点
- 橋梁全体を扱う本ではない
- 図版は小ぶりの文庫判
- 建築本ほどの専門性はない
出版社
日本文教出版岡山
発売日
2002年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
親柱と高欄って、橋の手すりのことですよね? それだけで一冊になるんですか?
佐藤メバル
なるんだよ、これが。渡邉隆男さんが岡山の親柱と高欄に焦点を当てている。普段は素通りしてしまう橋の柱や手すりを主役に据える——この切り口自体が新鮮でね。
橋を渡るときに足元を見る習慣がつく。157頁880円の、小さな発見の本だよ。
橘ナナミ
確かに、橋なんて渡るだけで、見たことなかったです。
佐藤メバル
そうそう。街の風景って、見る対象をひとつ決めるだけで解像度が変わる。親柱は橋の顔だから、そこに意匠が凝らされている。
ただ、橋梁全体を扱う本ではないし、図版は文庫判の小ぶりなもの。そこは理解しておいて。写真を撮る人や、風景を記録したい人にも向く一冊だね。

岡山の門 (岡山文庫 136)
小出公大 著|日本文教出版岡山
¥880(税込)
小出公大さんが岡山の「門」を集めた岡山文庫です。日常で毎日くぐっているのに、実は見ていない——学校の門、寺の門、屋敷の門を173頁かけて並べます。神社仏閣の建築を扱う本とは違い、暮らしに近い場所の門に目を向けるところが面白く、街歩きの解像度が上がります。880円の一冊です。
こんな人におすすめ
寺社や旧家の門に惹かれる人、町の景観を記録したい人、岡山文庫を読破したい人。通学路や通勤路にある門を見直すきっかけになり、写真を撮る趣味の人にも向きます。880円なので気軽に手を出せます。
良い点
- 身近な対象を正面から扱う
- 173頁で事例が豊富
- 880円で手に取りやすい
気になる点
- 対象は門に限定される
- 道順の案内は中心でない
- 専門的な図面は少ない
出版社
日本文教出版岡山
発売日
1988年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
今度は門ですか。学校の門とか、毎日くぐっているのに、確かに見てないですね。
佐藤メバル
それに気づける人が読む本だよ。小出公大さんが岡山の門を集めている。学校の門、寺の門、旧家の門——日常で毎日くぐっているのに実は見ていないものを、173頁かけて並べている。
神社仏閣の建築を扱う本とは違って、暮らしに近い場所の門に目を向けるのが面白いんだ。
橘ナナミ
同じ門でも、時代や用途でずいぶん違うんですか?
佐藤メバル
そこを比べるのが醍醐味だね。880円だから、街歩きの視点を増やす入門としてもいい。ただ対象は門に限られるから、道順の案内は期待しないでほしい。
通勤や通学の途中で門を見直すだけで、毎日の景色が少し変わる。そういう本だよ。

岡山の多層塔 (岡山文庫 163)
小出公大 著|日本文教出版岡山
同じく小出公大さんによる岡山文庫で、今度は「多層塔」を扱います。何層も重なる塔の姿を、地域ごとに追うという切り口。五重塔のような著名な塔だけでなく、岡山の各地に残る塔をまとめて見られる点が貴重です。門を扱った一冊と並べると、著者のまなざしの幅がよくわかります。
こんな人におすすめ
塔のある寺社を訪ね歩きたい人、仏塔の形式に関心がある人、岡山文庫を揃えている読者。寺を訪ねる前に予習する使い方に向き、現地で塔を見上げたときの理解が変わります。郷土史の調べ物の資料としても役立ちます。
良い点
- 塔に絞った珍しい一冊
- 地域の塔をまとめて比較できる
- 岡山文庫で揃えやすい
気になる点
- 塔以外の伽藍は対象外
- 写真中心の豪華本ではない
- 入手は古書が中心になる
出版社
日本文教出版岡山
発売日
1993年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
多層塔って、五重塔みたいなものですか? 岡山にそんなに塔があるんですか?
佐藤メバル
五重塔のような著名な塔だけでなく、岡山の各地に残る塔をまとめて見られるのが貴重なところ。同じく小出公大さんの本で、今度は多層塔を扱っている。
何層も重なる塔の姿を地域ごとに追うという、なかなか類書のない切り口だね。
橘ナナミ
門の本と同じ著者なんですね。並べると面白そう。
佐藤メバル
まなざしの幅が見えるよね。寺を訪ねる前に予習しておくと、現地で塔を見上げたときの理解が変わる。ただ塔以外の伽藍は対象外だし、写真中心の豪華本でもない。
古書で探すことになると思うけれど、郷土史の調べ物をしている人には心強い味方になるよ。

岡山・広島・山口で上質な住宅を建てる Japan Brand Collection Luxe 2025 (メディアパルムック)
メディア・パル
¥1,540(税込)
岡山・広島・山口で上質な住宅を建てるためのメディアパルムックです。中国エリアを代表するハウスメーカー、ビルダー、設計事務所の邸宅実例を美しい写真と文章で編集し、一流ホテル・旅館の美空間デザインや高級家具、ハイエンド設備まで収録。168頁1540円、住まいの美意識を引き上げる読み物として使える一冊です。
こんな人におすすめ
注文住宅で上質な仕上げを考えている人、ハイエンドな住まいの実例を見たい人、設備や家具の選び方に迷っている人。写真から自分の好みを探す用途に向き、設計事務所やビルダーと話す前のイメージづくりに役立ちます。
良い点
- 邸宅実例を写真で豊富に紹介
- 設備や家具まで視野が広い
- 岡山・広島・山口をまとめて見られる
気になる点
- 価格帯は高めの事例中心
- 工法や性能の解説は薄い
- 年度版なので更新される
出版社
メディア・パル
発売日
2024年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
これは家づくりの本、というより写真集みたいですね。実用になるんでしょうか。
佐藤メバル
実用書というより、美意識を引き上げる読み物だね。中国エリアを代表するハウスメーカー、ビルダー、設計事務所の邸宅実例を写真と文章で編集している。
一流ホテル・旅館の美空間デザイン、高級家具、ブランドテーブルウェア、ハイエンド設備まで載っているから、仕上げや設備のイメージづくりに効くんだ。
橘ナナミ
なるほど。工法や性能の話は載っているんですか?
佐藤メバル
そこは中心じゃない。価格帯も高めの事例が多くなる。だから、建てる前の「こういう暮らしがしたい」を固める段階で開くのがいい。
168頁で1540円。設計事務所やビルダーと話す前の予習として使うと、話が早くなるよ。

岡山での家づくり 2026 秋・冬号 vol.19 (家づくり学校)
家づくり学校岡山校 著|KG情報
¥550(税込)
家づくり学校岡山校が監修・発行する、岡山県での家づくりに役立つ一冊です。厳選工務店61社の最新建築実例を一挙紹介し、理想のマイホームをかなえた先輩たちの実例44邸を生の声とともに掲載。資金計画や間取り、用語集、学区表まで詰め込んだ552頁で、価格も550円と手に取りやすい実用誌です。
こんな人におすすめ
これから岡山で家を建てる人、地元の工務店を比較したい人、住宅ローンの計画を立て始めた人。検討の最初の一冊として、会社選びと基本知識を同時に押さえられます。モデルハウス巡りの前に読むのにも向きます。
良い点
- 工務店61社を一冊で比較できる
- 実例44邸と先輩の声が豊富
- 550円で試しやすい価格
気になる点
- 掲載は厳選された企業に限られる
- 552頁で全部は読み切れない
- 季刊誌で内容が更新される
出版社
KG情報
発売日
2026年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
552頁で550円って、すごくないですか。家づくりの本ってこういうものなんですか?
佐藤メバル
家づくり学校岡山校が監修・発行している岡山県の家づくりの解説本でね、厳選工務店61社の最新実例と、先輩の実例44邸を生の声つきで載せている。
資金計画、間取り、用語集、学区表まで入っている。「失敗、後悔しないための家づくり解説本」というコンセプトどおりの作りだよ。
橘ナナミ
岡山で建てるなら、まずこれを見ればいいんですね。
佐藤メバル
最初の一冊としては最適だね。ただ掲載されるのは厳選された企業だから、それ以外の選択肢もあると知っておくこと。
552頁を頭から読む必要はなくて、資金計画と工務店のところから拾い読みで十分。モデルハウス巡りの前に一通り目を通すと、質問の質が変わるよ。

岡山での家づくり 2026 春・夏号 vol.18
家づくり学校岡山校 著|KG情報
同じく家づくり学校岡山校による春夏号です。巻頭では理想のマイホームをかなえた先輩の実例46邸を紹介し、「9つのピース」の解説やコンパクトな家の提案、窓選び、金利上昇リスクに備える資金計画術まで収録。秋・冬号とは特集の切り口が変わるので、両方並べると家づくりの論点が立体的につかめます。
こんな人におすすめ
家づくりを始めたばかりの人、コンパクトな家を考えている人、窓や断熱の選び方を知りたい人。季節号を2冊並べて読むと、特集の違いから自分の優先順位が見えてきます。工務店61社の比較にも向きます。
良い点
- 実例46邸と暮らしの声を収録
- 資金計画の記事が実践的
- 工務店61社を横並びで見られる
気になる点
- 秋・冬号と内容が重なる部分
- 掲載企業は厳選されている
- 季刊誌で在庫が変動する
出版社
KG情報
発売日
2026年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
これ、さっきの秋・冬号と何が違うんですか? 同じシリーズですよね。
佐藤メバル
特集の切り口が違うんだよ。春夏号の巻頭は先輩の実例46邸。それに「9つのピース」の解説、コンパクトな家の提案、窓選び、金利上昇リスクに備える資金計画術が並ぶ。
秋・冬号が間取りや資金計画に寄っているのに対して、こちらは性能や窓、住まいの規模に目が向いている。
橘ナナミ
じゃあ両方買うと、比較できていいかも。
佐藤メバル
2冊並べると論点が立体的につかめるね。工務店61社を横並びで見られるのも共通の強み。ただ内容が重なる部分もあるから、まず気になる特集があるほうを選んで、必要ならもう一冊、でいいと思う。
季刊誌だから在庫が動く点も頭に置いておいて。
![広島・岡山の注文住宅 2013年春夏号 [雑誌]](https://img.shelf-y.com/items/15696.jpg)
広島・岡山の注文住宅 2013年春夏号 [雑誌]
リクルート
リクルートが出していた住宅情報誌の2013年春夏号です。完成した家を見て回る「お住まい拝見レポート」73件、広島の注文住宅レポート38件、岡山16件、見学会とイベント情報42件。当時の会社と価格の空気がそのまま残るのが古い号の面白さで、今と比べると住宅市場の変化がよくわかります。
こんな人におすすめ
住宅会社の比較の仕方を知りたい人、昔の住宅情報誌を資料として集めている人、広島と岡山をまたいで住まいを考えている人。現在の情報誌と読み比べることで、何が変わり何が変わらないかが見えます。
良い点
- 実例レポートの件数が多い
- 当時の価格感が残る資料
- 広島と岡山を同時に扱う
気になる点
- 2013年号で情報は古い
- 現在の会社状況とは異なる
- 入手は古書に限られる
出版社
リクルート
発売日
2013年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
2013年の住宅情報誌……さすがに古すぎませんか? 今さら読む意味あるんでしょうか。
佐藤メバル
資料としての価値があるよ。リクルートが出していた誌面で、完成した家を見て回る「お住まい拝見レポート」が73件、広島の注文住宅レポート38件、岡山16件、見学会とイベント情報が42件。
当時の会社と価格の空気がそのまま残っている。今と比べると市場の変化がよくわかるんだ。
橘ナナミ
へえ、当時の相場がわかるのは面白いですね。
佐藤メバル
そう、そこが読みどころ。ただ2013年号だから、会社の状況も価格も今とは違う。そのまま参考にするのは危ない。
現在の情報誌と読み比べる資料として使うのが正解だね。広島と岡山を同時に扱っている誌面は意外と少ないから、その意味でも残しておきたい一冊だよ。

岡山の本 (LMAGA MOOK)
京阪神エルマガジン社 著|京阪神エルマガジン社
¥1,300(税込)
京阪神エルマガジン社の80頁のガイドです。巻頭特集は岡山市や倉敷の定番から、備前市、瀬戸内市、児島、宇野といった南部の注目エリアまでを徹底ガイド。第2特集では岡山県北部で開かれる国際芸術祭「森の芸術祭 晴れの国・岡山」を軸に、温泉やご当地グルメ、自然を紹介します。
こんな人におすすめ
岡山へ旅行に行く人、森の芸術祭をきっかけに岡山を知りたい人、建築散策の合間に食事や温泉も押さえたい人。旅の計画をまとめて立てる用途に向き、南部と北部は日程を分けるのがおすすめです。1300円の一冊です。
良い点
- 南部と北部を分けて案内
- 芸術祭と観光を同時に押さえる
- 80頁で読みやすい分量
気になる点
- 建築の解説は中心でない
- 掲載情報は変わっていく
- 内容はやや軽めのガイド
出版社
京阪神エルマガジン社
発売日
2024年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『森の芸術祭 晴れの国・岡山』って、聞いたことがあります。この本はそのガイドですか?
佐藤メバル
第2特集がそれだね。2024年9月28日から岡山県北部で開かれる国際芸術祭で、その情報に加えて温泉やご当地グルメ、自然まで紹介している。
巻頭は岡山市や倉敷の定番から、備前市、瀬戸内市、児島、宇野といった県南部の注目エリアの歩き方。80頁のガイドだよ。
橘ナナミ
建築目当ての旅にも使えそうですか?
佐藤メバル
使えるよ。建築散策の合間に、食べて泊まる情報を足してくれる。ただ県南部と北部は距離があるから、一日で両方は無理だと思ったほうがいい。
日程を分けて、南部は街歩き、北部は芸術祭と温泉、という組み方が現実的。建築の解説は中心じゃないから、そこは別の本で補ってね。

岡山本 (エイムック 2964)
エイ出版社
エイ出版社の街ラブ本シリーズで岡山を扱った127頁のガイドです。観光目線ではなく、そこに住んでいる人たちも楽しめるDEEPな目線で紹介するのが方針。名店、細い路地の隠れた店、テーマ別の散策、地元おすすめの手土産、岡山ラーメンの新時代、カフェ案内まで収録しています。
こんな人におすすめ
岡山に住み始めた人、地元をあらためて歩き直したい人、出張の空き時間を楽しみたい人。観光ガイドには載らない店を探す用途に向き、手土産選びの場面でも役立ちます。街歩きの休憩先を決めるのにも便利です。
良い点
- 地元目線の店選びが濃い
- 散策提案と土産情報が便利
- 127頁で持ち歩きやすい
気になる点
- 建築の情報は少なめ
- 掲載店は変わりやすい
- 観光の王道は別途必要
出版社
エイ出版社
発売日
2014年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『岡山の本』と『岡山本』、タイトルがそっくりで混乱します……。どう違うんですか?
佐藤メバル
いい質問だね。『岡山の本』は京阪神エルマガジン社の旅行ガイド寄り、こちら『岡山本』はエイ出版社の街ラブ本シリーズで、テーマは“地元の人が楽しむ”こと。
観光目線ではなく、名店や細い路地の隠れた店、テーマ別の散策、地元おすすめの手土産、岡山ラーメン、カフェ案内まで入っている。127頁だよ。
橘ナナミ
DEEPな目線、というのが気になります。観光ガイドには載らない店があるんですね。
佐藤メバル
そういう本。岡山に住み始めた人や、出張の空き時間を楽しみたい人に向く。建築を歩いた合間に寄る店を探すのにも便利だよ。
ただ店の情報は変わりやすいし、建築の解説は少ない。手土産選びの場面でも活躍するから、旅の後半で開くとちょうどいい。

岡山のトリセツ
昭文社旅行ガイドブック編集部 著|昭文社
¥1,980(税込)
昭文社が地形、交通、歴史、産業をあらゆる角度から分析したマップエンターテインメントです。瀬戸内海の成り立ち、児島湖、笠岡のカブトガニ、瀬戸大橋、幻の三蟠鉄道、鬼ノ城、吉備国と大和朝廷、備前焼に白桃、水島コンビナートまで。建築を見る前に土地の成り立ちを知ると、街の形の理由が腑に落ちます。
こんな人におすすめ
岡山に引っ越した人、街の成り立ちから建築を理解したい人、ドライブや旅行の下調べをする人。地図を片手に確かめに行く楽しみ方を提案してくれる一冊で、建築散策の背景資料としても効きます。
良い点
- 地形から産業まで視野が広い
- 地図と解説のバランスが良い
- 郷土の意外な素顔に出会える
気になる点
- 個別建築の解説はない
- 県全体を扱うので細部は浅い
- 情報は刊行時点で止まる
出版社
昭文社
発売日
2021年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『岡山のトリセツ』って変わったタイトルですね。トリセツ=取扱説明書ですか?
佐藤メバル
そのとおりでね、昭文社が地形、交通、歴史、産業をあらゆる角度から分析した一冊。瀬戸内海の成り立ち、児島湖、笠岡のカブトガニ、瀬戸大橋、幻の三蟠鉄道、鬼ノ城、吉備国と大和朝廷、備前焼に白桃、水島コンビナートまで出てくる。
地図を読み解くマップエンターテインメントだよ。
橘ナナミ
建築の本ではないですよね。それでも建築散策の役に立ちますか?
佐藤メバル
むしろ先に読んでほしいくらい。土地の成り立ちがわかると、なぜそこに建物が集まったのかが腑に落ちる。児島湖や干拓の話を知ってから街を歩くと、景色の見え方が変わるんだ。
ただ個別の建築解説はないし、県全体を扱うから細部は浅い。背景資料として使うのが正解だね。

岡山を歩く: 精選101コ-ス
岡山徒歩の会 著|山陽新聞社
岡山徒歩の会が編み、山陽新聞社から出た312頁の散歩ガイドです。精選101コースを収録し、歩く目的に合わせてコースを引き出せるのが強み。地元で歩き続けている会が作っているので、観光ガイドとは違う足元の情報が期待できます。建築散策の下地として街の全体像をつかむのにも向く一冊です。
こんな人におすすめ
休日に歩く習慣を作りたい人、岡山の街を網羅的に知りたい人、散策コース選びに迷う人。建築スポットまでの道のりを決めるときの土台になり、家族や友人と歩く計画にも使いやすい。312頁とボリュームがあります。
良い点
- 101コースという圧倒的な数
- 地元の徒歩の会による編集
- 312頁で長く使える
気になる点
- 建築の解説は中心でない
- コース数が多く選びにくい
- 刊行時点の道の情報になる
出版社
山陽新聞社
発売日
1990年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
101コースって、多すぎません? 全部歩くのは無理ですよね……。
佐藤メバル
全部歩く本じゃないよ。岡山徒歩の会が編んで、山陽新聞社から出た312頁の散歩ガイド。目的に合わせてコースを引き出す辞書のように使うんだ。
地元で歩き続けている会が作っているから、観光ガイドとは違う足元の情報が期待できる。
橘ナナミ
じゃあ、建築を見に行く日のコース選びにも使えますか?
佐藤メバル
使えるよ。まずこの本で街の全体像をつかんで、行きたい建物までの道のりを決める。それが建築散策の下地になる。
ただ建築の解説は中心じゃないし、コースが多くて選びにくいのは確か。刊行時点の道の情報だから、現地の変更は頭に置いておいて。長く使える一冊だよ。

出雲街道: 岡山の出雲街道 (岡山文庫 183)
片山薫 著|日本文教出版岡山
片山薫さんが岡山の出雲街道をたどった岡山文庫です。建築を「点」ではなく「道」でつなぐ視点が得られるのがこの一冊の持ち味で、宿場や道筋の風景から、なぜそこに建物が集まったのかが見えてきます。157頁と薄く、街道歩きの導入としても読みやすい。建築散策の視野を広げてくれます。
こんな人におすすめ
街道歩きが好きな人、宿場町の風景に関心がある人、建築を道のつながりで理解したい人。歩くルートを街道単位で組むときに役立ちます。岡山文庫を集めている読者の一冊としても手に取りやすい。
良い点
- 街道という切り口が独特
- 文庫サイズで持ち歩ける
- 道から建築を考えられる
気になる点
- 出雲街道以外は対象外
- 図版は多くない
- 建築の設計には踏み込まない
出版社
日本文教出版岡山
発売日
1996年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
出雲街道……岡山から出雲へ向かう道のことですよね。建築の本とはちょっと違う気がします。
佐藤メバル
そこが面白いところでね。片山薫さんが岡山の出雲街道をたどっている。建築を「点」ではなく「道」でつなぐ視点が得られるんだ。
宿場や道筋の風景を見ていくと、なぜそこに建物が集まったのかが見えてくる。157頁と薄いから、街道歩きの導入としても読みやすいよ。
橘ナナミ
なるほど。建築散策が行き詰まったときにもよさそうですね。
佐藤メバル
そう、視野を広げるのにちょうどいい。ただ出雲街道以外は対象外だし、設計の話には踏み込まない。文庫サイズだから持ち歩いて、実際に歩きながら読むのがいちばん似合う。
道から建築を考えるという発想を持ち帰ってもらえれば、この本の役目は果たされると思うよ。

建築と造園をつなぐ ランドスケープデザイン入門
鈴木あるの 著|学芸出版社
¥3,080(税込)
鈴木あるのさんによる、建築設計に関わるランドスケープデザインの入門書です。計画や歴史、植物の知識と配植、プレゼン手法、職種や職能までを豊富な図版で解説し、各章末の13の演習問題と解説付き。住宅の庭から公共施設の広場、歩道まで、敷地の余白をどう設計するかを一冊で学べます。
こんな人におすすめ
建築を学ぶ学生、外構や庭の設計を任された設計者、製図試験の外構対策をしたい受験生。建物の周りまで設計する姿勢を身につけたい人に向き、岡山の建築を訪ねるときも、建物と風景の関係を見る目が変わります。
良い点
- 13の演習問題と解説付き
- 図版が多く実務的
- 歴史から職能まで網羅
気になる点
- 156頁で価格は3080円
- 岡山の事例は扱わない
- 造園の実作業は別途必要
出版社
学芸出版社
発売日
2025年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
これは岡山の本ではないですよね? なんでこの並びに入っているんですか?
佐藤メバル
岡山の建築を訪ねると、必ず建物の周りの庭や外構、道に出会う。そこを見る目を養うのがこの一冊なんだよ。
鈴木あるのさんによるランドスケープデザインの入門書で、計画や歴史、植物の知識と配植、プレゼン手法、職種や職能まで、豊富な図版で解説している。
橘ナナミ
入門書なんですね。演習問題があるのが気になります。
佐藤メバル
そう、各章冒頭にディスカッション問題、章末に住宅の庭や公共施設の広場、歩道などのデザインを考える演習問題と解説が13問ついている。
建築士製図試験の外構対策にも役立つ構成だ。156頁で3080円と値は張るけれど、建物の周りまで設計する姿勢が身につく。岡山の風景を見る目も変わるよ。
伝統工法と木材を「本で裏づける」
橘ナナミ
さっきから手刻みとかほぞ加工って言葉が出てきますけど、それってどういう意味なんですか?
佐藤メバル
墨付けは、どこをどう削るかを木に線で書き込む作業。ほぞは、柱と梁を差し込んで組むための突起で、手刻みはそれを機械任せにせず手道具で仕上げていくことだね。木は乾燥で動くから、含水率が高いまま加工すると組んだ後に緩む。だから乾燥と強度の知識が要る。こうした基礎は、木材や在来技術を特集した『住宅建築』の号で、写真と図面つきで追える。
橘ナナミ
含水率……聞いたことはあります。
佐藤メバル
数値の目安は本によって書き方が違うから、鵜呑みにせず複数冊を突き合わせるといい。技術書は「答え」より「判断の材料」を渡してくれるものだと思って読むと、失敗が少ないよ。
工務店選びと費用を、本の知識で体系化する
橘ナナミ
実際に工務店を選ぶとなると、何を基準にすればいいんでしょう。
佐藤メバル
順番は、工法と材料の方針が自分の希望と合うか、設計と施工を誰が担いどう連携するか、保証とアフターの窓口はどこか、見学会や相談の場で職人と直接話せるか。この4点を本で裏づけながら確認する。設計と施工の協働は前述のとおり、書籍でも考え方が学べる領域だね。
橘ナナミ
費用の相場も気になります。坪単価ってよく聞きますけど。
佐藤メバル
坪単価は地域・構造・仕様で大きく動くから、記事で断定するのは避けたい。ただ、資金計画の組み立て方は本で学べる。『岡山での家づくり』には年代別の資金計画を解説する特集や、断熱・耐震リフォームのポイント、用語集まで入っている。県産材の利用に対する補助金や助成金も、制度の中身や要件は年度で変わるから、本と自治体の窓口の両方で確認するのが確実だよ。
橘ナナミ
本と窓口、両方ですね。あと、断熱とか耐震の基準も今は変わってきていますよね。
佐藤メバル
そう。省エネや耐震の基準は更新されていくから、古い実務書の数字をそのまま使わないこと。事例は『岡山・広島圏の建築家と建築』や『Japan Brand Collection Luxe』のように写真と図面で大屋根や吹き抜け、自然素材の使い方を眺められる本で「好き」を見つけてから、基準と予算で絞る。この順番が後悔を減らすよ。
他工法と比べる視点を持つ
橘ナナミ
伝統工法だけを読んでいると、視野が狭くなりませんか?
佐藤メバル
いいところに気づいたね。在来軸組だけでなく、ツーバイフォーや現代木造の本も一冊は混ぜる。比較軸を持つと、なぜ手刻みに価値があるのかを自分の言葉で説明できるようになる。『住宅建築 1998年9月号』のように中庭や増築、まちづくりを扱った号は、住宅を単体ではなく街と暮らしの単位で見る目をくれる。『岡山・広島圏の建築家と建築』の円卓会議やコラムも、地域の建築家が何を考えてきたかの記録だね。
橘ナナミ
逆に、江川三郎八のような昔の技師の本を読むと、技術って誰かが受け渡してきたものなんだなって思います。
佐藤メバル
そこは大事なところ。『技師を志した 江川三郎八の建築』や『岡山の建築』のような本を挟むと、いま建てる家が、岡山の建築の歴史の延長線上にあると感じられるはずだよ。
よくある質問
畑本建築はどんな会社で、どんな家を建てるのか?
橘ナナミ
畑本建築はどんな会社で、どんな家を建てるのかについて教えてください。
佐藤メバル
岡山・総社を拠点に、手刻み・墨付け・ほぞ加工といった伝統工法に取り組む工務店です。機械任せにしない在来の木組みを大切にし、岡山県産の杉・檜・欅などの地域材や、大屋根・吹き抜け・自然素材を生かした住まいづくりが話題になります。対応範囲や実績は見学会や公式の情報で直接確かめるのが確実です。
伝統工法や手刻みについて学べる本はどれか?
橘ナナミ
伝統工法や手刻みについて学べる本はどれかについて教えてください。
佐藤メバル
手刻みだけを扱った単独本は多くないため、木材と在来技術を特集した『住宅建築』のバックナンバー(国産材を核にした技術再編を扱った号など)と、独自の小屋組みを写真で追う『〝江川式〟擬洋風建築』を組み合わせるのが入口になります。技法の背景は『技師を志した 江川三郎八の建築』も参考になります。
岡山県産材や地域材について学べる本はあるか?
橘ナナミ
岡山県産材や地域材について学べる本はあるかについて教えてください。
佐藤メバル
国産材を特集した『住宅建築 2004年9月号』は、森から住宅を考える視点と在来技術の再編を扱っていて地域材の入門に使いやすいです。『岡山のトリセツ』で産業や地形の成り立ちを押さえ、『岡山の木造校舎』で地域の木がどう使われてきたかを眺めると、理解が立体的になります。
家づくりを初めて学ぶ人が最初に読むべき本はどれか?
橘ナナミ
家づくりを初めて学ぶ人が最初に読むべき本はどれかについて教えてください。
佐藤メバル
『岡山での家づくり』シリーズが最初の一冊に向いています。家づくり用語集や基本ガイド、先輩の実例がまとまっていて、予備知識ゼロでも全体像がつかめます。次に『岡山・広島・山口で上質な住宅を建てる Japan Brand Collection Luxe 2025』で実例の写真を見ると、自分の好みが見えてきます。
工務店選びで失敗しないために読むべき本はあるか?
橘ナナミ
工務店選びで失敗しないために読むべき本はあるかについて教えてください。
佐藤メバル
『岡山での家づくり』の工務店紹介と先輩の実例、『広島・岡山の注文住宅』のお住まい拝見レポートや見学会情報が実践的です。判断基準は、工法と材料の方針、設計と施工の連携、保証とアフターの窓口、職人と話せる機会の4点に絞っておくと整理しやすくなります。
木造建築の技術書は初心者でも理解できるのか?
橘ナナミ
木造建築の技術書は初心者でも理解できるのかについて教えてください。
佐藤メバル
本によって難易度差が大きいので、順番が大切です。まず写真と地図の本で土地勘をつくり、次に図解のある解説書、最後に実務書という流れなら無理がありません。演習つきで手を動かせる『建築と造園をつなぐ ランドスケープデザイン入門』のような本を挟むのも理解の助けになります。
建築関係の書籍はどこで買うのがおすすめか?
橘ナナミ
建築関係の書籍はどこで買うのがおすすめかについて教えてください。
佐藤メバル
岡山文庫や地元出版社の本は地域の書店が強く、実際に手に取って比べやすいのが利点です。専門書は建築専門書店や出版社の直販、品切れの号は図書館や古書店も選択肢になります。絶版に近いものは図書館で内容を確認してから購入を決めると失敗しません。
畑本建築のような工務店に相談する前に読む本はあるか?
橘ナナミ
畑本建築のような工務店に相談する前に読む本はあるかについて教えてください。
佐藤メバル
施主目線なら『岡山での家づくり』、実例の目を養うなら『岡山・広島・山口で上質な住宅を建てる Japan Brand Collection Luxe 2025』、技術面なら国産材特集の『住宅建築』が役立ちます。読んだうえで疑問を箇条書きにし、見学会や相談窓口でそのまま質問するのがおすすめです。
まとめ
橘ナナミ
今日の話を聞いて、本って「答えを教えてもらうもの」じゃなくて「質問をうまく作るための道具」なんだなと思いました。
佐藤メバル
その言い方、すごくいいね。工務店との打ち合わせで黙ってしまうのは、たいてい聞きたいことが浮かばないからなんだ。本を一冊読むだけで、聞けることが10個増える。
橘ナナミ
じゃあ、いきなり畑本建築さんに相談に行く前に、まず一冊、というのもアリなんですね。
佐藤メバル
アリというより、それが本来の順番だと思う。写真で土地の記憶を知り、木材の理屈を知り、お金の枠組みを知る。そのうえで見学会に行くと、同じ家の見え方がまったく変わるんだよ。
橘ナナミ
木に線を引く前に、墨壺の位置を決める。……そんな感じですか?
佐藤メバル
まさにそれ。墨付けは、一本目の線を引いた瞬間に家の形が決まると言われる作業だ。焦って刻み始めるより、まず自分の墨壺——判断の基準——を手に入れること。その時間が、本を読む時間なんだよ。
