Shelfy
闇の左手
上級者ヒューゴー賞受賞(1970年)ネビュラ賞受賞(1969年)ファンタジー小説

【要約・書評】『闇の左手』の評判・おすすめポイント

アーシュラ・K.ル=グウィン|早川書房|1977-07-18|380ページ

4.0
(4件)

この本を一言で言うと

性別が流動する人類が暮らす惑星ゲセンに派遣された地球の使節が、氷の荒野をともに渡る中で生まれる深い絆を描く、ヒューゴー賞・ネビュラ賞ダブル受賞の傑作。

この本の概要

地球連合の使節ゲンリー・アイは、惑星ゲセンへの外交任務を帯びてひとりで乗り込む。しかしゲセンの人々は「ケメル」と呼ばれる発情期にのみ男女のどちらかになる生物で、それ以外の時期は性別を持たない。アイはそこで政治的陰謀に巻き込まれ、ゲセンの政治家エストラベンとともに極寒の氷床を命がけで横断することになる。 1969年刊行。ル・グウィンがゲド戦記と並んで生み出した代表作で、「SFの歴史を変えた1冊」と評される。性別のない人類という思考実験を通じて、人間がいかに性別という概念に縛られているかを問い直す。ゲド戦記で少年の成長を描いたル・グウィンが、今度は文明と異文化理解のあり方を真正面から問い直した作品。

「性別がない」という設定が、これほど物語として機能するとは思わなかった

学生時代から翻訳に興味があって、文学的SFは一通り読んできたつもりだった。でも『闇の左手』はそれでも「こんな本があるのか」と思わせる体験だった。 ゲセン星人に性別がない、という設定は単なるアイデアじゃない。語り手の「アイ」がゲセン人に対して無意識に性別を当てはめようとする描写が丁寧で、読んでいる自分もどこかで「この人は男性っぽい、女性っぽい」と思い込んでいることに気づかされる。 後半の氷床横断は純粋に冒険小説として圧巻。二人の人物が信頼関係を積み重ねていく描写が、ファンタジーの皮をまとった人間ドラマとして読める。 ジェンダー論の観点から語られることが多い作品だけれど、読みやすさは思ったほど難しくない。SF入門に薦めたくなる本。

34歳・翻訳家志望の女性

この本で学べること

ヒューゴー賞・ネビュラ賞ダブル受賞、SFとファンタジーの金字塔的作品

性別を持たない人類という設定でジェンダーと人間の本質を問い直す思考実験的SF

ゲド戦記と並ぶル・グウィンの代表作で、文学的完成度が高い

良い点・気になる点

良い点

  • 1969年刊行ながら今も色褪せない、ジェンダーと文化差異という普遍的テーマ
  • 後半の氷床横断シーンが純粋な冒険小説としても圧倒的な緊張感
  • 主人公の視点の変化を通じて読者自身の固定観念を揺さぶる構成

気になる点

  • 世界観の把握に序盤がやや難解に感じる読者もいる
  • ゆっくりとした語り口のため、エンタメ的な爽快感を求める読者には向かない

みんなの評判・口コミ

a
ao

フリーランスデザイナー

4.5

ゲド戦記よりも哲学的な印象。ジェンダーについて深く考えさせられた。読み終わって日常の見え方が少し変わった気がする。

n
nao

バックエンドエンジニア

4.0

SFとして読んでいたが、後半は完全に人間ドラマだった。氷床を越えるシーンの緊張感が忘れられない。

m
mai

データアナリスト

4.5

文章が美しい。翻訳でこれだけ読ませるのはすごい。ル・グウィンの他の作品も読みたくなった。

ゆうと

EC企業マーケター

3.5

難しいと聞いていたが意外と読めた。ただ、最初の50ページを越えるまでが一番つらかった。そこを超えると止まらなくなる。

こんな人におすすめ

ゲド戦記を読んでル・グウィンの他作品を探している人

SFとファンタジーの境界を越えた文学的作品に関心がある読者

ジェンダーや文化差異をテーマにした物語が好きな人

関連書籍との比較

タイトル著者レベル評価価格
影との戦い ゲド戦記アーシュラ・K.ル=グウィン中級者★★★★★ 4.5¥902
ゲド戦記 2 こわれた腕環 (ソフトカバー版)アーシュラ・K・ル=グウィン中級者★★★★★ 4.5¥1,100
ゲド戦記 3 さいはての島へ (ソフトカバー版)アーシュラ・K・ル=グウィン中級者★★★★★ 5.0¥1,320

よくある質問

Q. SF作品ですが、ファンタジーとしても楽しめますか?
A. 宇宙を舞台にした設定はSFですが、雰囲気や文章はファンタジー的です。ゲド戦記と同じ作者なので、両方のファンが楽しめます。
Q. ゲド戦記と世界観は同じですか?
A. 別の世界観です。「ハイニッシュ・ユニバース」と呼ばれるル・グウィンのSF連作シリーズの一作で、ゲド戦記とは独立した作品です。
Q. どれくらい難しいですか?
A. SF的な設定(性別のない人類)を理解するまでやや時間がかかりますが、後半は純粋な冒険小説として読めます。大人向けの文学的作品です。

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