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七王国の玉座 上 (氷と炎の歌 1)
上級者全世界累計9000万部以上の大ヒットシリーズHBO大ヒットドラマシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」原作ローカス賞ファンタジー部門受賞

【要約・書評】『七王国の玉座 上 (氷と炎の歌 1)』の評判・おすすめポイント

ジョージ・R・R・マーティン|早川書房|2002-11-01|446ページ

4.5
(4件)

この本を一言で言うと

七つの王家が王位をめぐって争い誰も安全ではない七王国の物語——従来のファンタジーの法則を破り続ける容赦のない大河ファンタジーの始まり

この本の概要

『七王国の玉座』はジョージ・R・R・マーティンによる「氷と炎の歌」シリーズの第1巻。架空の大陸ウェスタロスを舞台に、7つの名家が鉄の玉座を巡って繰り広げる権力闘争が複数の視点人物を通じて描かれる。 主要視点のひとつはエダード・スタークで、北の守護者である彼が国王ロバート・バラシオンに請われ首相(ハンド)として都に出る。そこで彼が目にするのは陰謀渦巻く宮廷と、前任者の不審死の謎だ。「善い人が報われない」という従来のファンタジーの法則を破る展開が随所にあり、読者に強烈なショックを与える。 マーティンはファンタジーの外套を纏いながら、実質的には中世的な政治ドラマを書いている。魔法や剣より外交と謀略が支配する世界で、誰もが失脚し命を落とす可能性がある。「ゲーム・オブ・スローンズ」としてドラマ化されHBOの大ヒットシリーズとなったが、原作はより複雑で深い。 3つの物語の軸——王位争奪、北の壁の守護、ドラゴンを持つ王女ダナーリスの旅——が徐々に絡み合っていく。長大なシリーズだが第1巻だけで圧倒的な読み応えがある。

「主人公でも死ぬ」——そのショックが、この本を傑作にしている

ゲーム・オブ・スローンズのドラマを先に見ていたので、「分かってて読んだ」つもりだった。でも原作を読んで感じた衝撃は全然違った。 ドラマは映像の迫力で伝えるが、原作は各キャラクターの内面の独白が圧倒的に深い。 エダード・スタークが都に着いてからの宮廷描写、サーセイとの駆け引き、徐々に明らかになる前任ハンドの死の真相。一人称視点で描かれるから、キャラクターたちの焦りや怒りや悲しみが直に伝わってくる。 ジョン・スノウの視点も好きだった。庶子として差別されながら壁の守護者「ナイツウォッチ」に入隊し、北の向こうにある「真の脅威」を知っていく。この北の壁のエピソードが物語全体の伏線として機能していると後から気づく。 ダナーリスの物語は最初「なぜここで?」と思うような異質さだったが、読み進めるほどに「ああ、これが一番大きな軸なんだ」と理解できる。ドラゴン卵3個を持つ少女が、異民族のカラドー(騎馬民族の族長)と婚姻させられながら徐々に力を蓄えていく。この3軸が絡み合う構造の精巧さに、読み終えて唸った。 この本の最大の特徴は「善人が報われるとは限らない」こと。道徳的に正しく行動しようとしたキャラクターが報われない、むしろ政治的に正しく動いた者が生き残る。それが現実の政治を見ているようで、ファンタジーとして読みながら妙にリアルな苦みを感じる。 ファンタジーの醍醐味である「善が悪に勝つ」を一切保証しないのが、このシリーズの革命性だと思う。ドラマを見た人も原作を読むと全く違う体験ができる。膨大な登場人物に最初は戸惑うが、附録の人名表を片手に読めば問題ない。

33歳 会社員、大河ドラマ・政治小説好き

この本で学べること

従来のファンタジーの法則を破る容赦なさ

「主人公でも死ぬ」「善人が必ずしも報われない」という予測不能の展開が従来のファンタジーを読んだ読者ほど強いショックを与える。

魔法より外交と謀略が支配する世界

鉄の玉座を巡る権力闘争はファンタジーの外套を纏った政治ドラマ。中世的な権力と陰謀の描写が圧倒的にリアルだ。

3つの視点軸が絡み合う複雑な構造

王位争奪、北の壁の守護、ドラゴン王女の旅——3つのストーリーラインが精巧に絡み合う構成が長大な物語を一度も飽きさせない。

登場人物それぞれの内面が深く描かれる

複数の視点人物それぞれの独白が詳細に書かれており、善悪を超えた人間の複雑さが見えてくる。

本の目次

  1. 1エダード・スタークの召喚
  2. 2都への旅
  3. 3宮廷と陰謀
  4. 4北の壁の守護者
  5. 5ドラゴン王女の旅立ち
  6. 6鉄の玉座をめぐる謀略

良い点・気になる点

良い点

  • 予測不能な展開で最後まで手が止まらない
  • 権力と陰謀の政治ドラマとして非常に精緻
  • 複数の視点から描かれる各キャラクターの内面が深い
  • 「ドラマを超えた」と言われる原作の情報量の豊かさ

気になる点

  • 登場人物が非常に多く把握に時間がかかる
  • 価格が高めで全巻揃えると大きな投資になる

みんなの評判・口コミ

のり

ソリューション営業

5.0

ドラマより原作の方が圧倒的に良かった。各キャラクターの内面独白が深くて、ドラマでは分からなかった動機や葛藤がはっきり伝わる。登場人物が多くて最初は大変でしたが、一度入ってしまうと抜け出せない。

m
mai

データアナリスト

4.5

政治ドラマとしての完成度が高すぎる。善人が必ずしも勝てない世界観、複数の視点から見える同じ事件の多面性。ファンタジーとして読んでいるつもりが、現実の政治を見ているような感覚になる。

R
R

エンジニア

4.5

これ読んでから普通のファンタジーに戻れなくなりました。「誰も安全ではない」という緊張感が最後まで続き、読み終えた後も頭からキャラクターが離れない。翻訳も良くてスムーズに読めました。

s
sho

メーカー営業

4.0

登場人物多すぎ問題は確かにあります。でも人名索引をちょくちょく見ながら読んでいたら慣れました。ダナーリスの視点が最初は別の話みたいで戸惑いましたが、徐々に全体の核だと分かってきた。

こんな人におすすめ

GOTドラマファン

ドラマで描かれなかった各キャラクターの内面と伏線を原作で深く体験できる

政治ドラマ好き

権力と陰謀が支配するリアルな宮廷描写は政治小説ファンにも響く

本格ファンタジーの重厚感を求める人

軽快なファンタジーを超えた、複雑で予測不能な大河ファンタジーを求める人に

関連書籍との比較

タイトル著者レベル評価価格
影との戦い ゲド戦記アーシュラ・K.ル=グウィン中級者★★★★★ 4.5¥902
ライオンと魔女C.S.ルイス初心者★★★★★ 4.5¥913
はてしない物語ミヒャエル・エンデ中級者★★★★★ 4.5¥3,146

よくある質問

Q. ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」を見ていれば読まなくても良いですか?
A. ドラマと原作は大きく異なります。原作の方が各キャラクターの内面描写が深く、ドラマでカットされた重要な描写も多くあります。ドラマファンこそ原作を読む価値があります。
Q. 登場人物が多すぎて理解できませんか?
A. 初読では確かに大変です。本文末の人名索引や家系図を活用することをおすすめします。慣れると各家の特徴が見えてきて、かえって多さが面白さになります。
Q. シリーズは完結していますか?
A. 2026年時点では未完です。5巻まで刊行されており、残り2巻の執筆中とされています。日本語版も既刊分は翻訳されています。
Q. 残酷な描写はありますか?
A. 戦闘シーンや権力闘争の結末など、かなりハードな描写があります。成人向けのダークファンタジーとして覚悟して読むことをおすすめします。
Q. 価格が高いのですが、1巻だけ読む価値はありますか?
A. 十分あります。第1巻だけで完結した政治ドラマとして読み応えがあり、シリーズを続けるかどうかは読後に判断できます。