Shelfy
ミミズクと夜の王 完全版
初心者第13回電撃小説大賞 大賞受賞

【要約・書評】『ミミズクと夜の王 完全版』の評判・おすすめポイント

紅玉いづき|KADOKAWA|2022-03-24|368ページ

4.5
(4件)

この本を一言で言うと

死にたがりの少女が夜の王と出会い命の意味を見出す——電撃大賞受賞の純粋なラブファンタジー

この本の概要

奴隷の少女ミミズクと夜の森の魔物の王が織りなす、絶望から再生への物語。少女は魔物に食べてもらうことを望んで深夜の森へ迷い込むが、夜の王は彼女を食べることを拒む。 第13回電撃小説大賞「大賞」受賞作として2006年に刊行されたのち、完全版として外伝「鳥籠巫女と聖剣の騎士」を併録した形で2022年に再刊行された。日本ファンタジー小説の中でも特に心情描写が深く、読者に長く愛され続けている。 「ゆるされる」という概念を軸に、愛を知らずに育った少女が少しずつ変わっていく様子が丁寧に描かれる。明確な悪役が登場せず、すべての登場人物が自分なりの正義と傷を抱えて動く。 日本産ファンタジーの名作として、ライトノベルの枠を超えた感動を持つ一冊。読後にじんわりと広がる温かさは、ほかの作品では代えがたい体験となっている。

「ゆるされる」という言葉の重さが、ずっと心に残っている

正直に言うと、この本を最初に読んだのは高校生のころで、そのときは「切ない話だな」くらいの感想しかなかった。でも社会人になって再読したとき、もう全然違う読み方になってしまって、途中で何度か本を閉じた。 ミミズクという少女は、奴隷として扱われてきたせいで自分の命に一切の価値を見出せていない。魔物の森に迷い込んで「食べてください」と夜の王に頼むシーンは、読んでいてじわじわ胸が痛くなる。夜の王のほうも、人間嫌いを公言しながらどこか孤独で、この二人が少しずつ距離を縮めていく様子が本当に繊細に描かれていた。 この物語で印象的だったのは、ミミズクが愛されることに気づいたとき「ゆるされるってこういうことなのかな」と言う場面。許されるじゃなくて「ゆるされる」という表現。ただ存在していることを認めてもらえる、受け入れてもらえる、そういうことがどれほど特別なことか——知らずに生きてきた子供の言葉として、これ以上ないほど正確な表現だと思った。 完全版には外伝「鳥籠巫女と聖剣の騎士」も収録されていて、こちらは本編とは少し違うトーンだけど、登場人物への理解がさらに深まる。フクロウがあんなに不器用で不愛想な理由も、外伝を読むとなんとなくわかる気がしてくる。 日本のファンタジー小説の中で「これを読まずにいたの?」と言いたくなる一冊。ライトノベルというジャンル分けをして敬遠している人にこそ手にとってほしい。

ファンタジー好きの会社員・28歳女性

この本で学べること

電撃大賞「大賞」受賞の純粋ラブファンタジー

2006年に第13回電撃小説大賞で大賞を受賞。単純な恋愛ではなく「自分の存在を認められる」という体験を軸に物語が展開する。

日本ならではの「傷ついた魂の再生」テーマ

西洋ファンタジー的な冒険より内省的な心の旅が中心。少女の心の回復を丁寧に追う構成が日本産ファンタジーの良さを体現している。

完全版には外伝「鳥籠巫女と聖剣の騎士」を収録

本編の補完となる外伝を加筆修正のうえ収録。本編の登場人物たちへの理解がより深まる構成になっている。

読後にじんわり広がる温かさ

バトルや派手な魔法よりも、登場人物の感情の動きと関係性の変化に焦点を当てた作風。読後感が非常に良いと評判。

良い点・気になる点

良い点

  • 読後感が非常に良く、心に温かさが残る
  • 登場人物全員に悪人がおらず、感情移入しやすい
  • 電撃大賞受賞作らしい確かな文章力
  • 外伝込みで物語が完結しており満足度が高い

気になる点

  • バトルや壮大な世界観を期待すると物足りなく感じるかもしれない
  • 展開が静かなため読み始めに少し時間がかかる

みんなの評判・口コミ

5.0

ファンタジー小説ってもっとバトル系かと思ってたんですが、これは全然違いました。ミミズクの心の変化がじっくり描かれていて、最後のシーンで涙が出た。日本のファンタジーにしか出せない繊細さがある。

4.5

この本のすごいところは、愛を知らない子供の感覚を正確に言語化しているところ。ミミズクの台詞一つひとつが重くて、再読すると全然違う読み方ができる。

4.5

夜の王の不器用さがたまらない。怖い存在のはずなのに、ミミズクの頭を撫でるシーンとか、ちゃんと人間的なんですよね。完全版の外伝まで読むと彼の過去も少し見えて良かった。

4.0

ジャンル分けが難しい本。ライトノベルと言うと違う気がするし、一般文芸かというとそれも違う。ただ確かなことは、日本のファンタジーとして正真正銘の名作だということ。

著者について

こんな人におすすめ

心温まるファンタジーが読みたい人

電撃文庫・ライトノベル系に興味があるが入口を探している人

傷ついた心の再生をテーマにした物語が好きな人

関連書籍との比較

タイトル著者レベル評価価格
かがみの孤城辻村深月中級者★★★★★ 4.5¥858
空色勾玉荻原規子中級者★★★★★ 4.5¥1,870
夜市恒川光太郎中級者★★★★★ 4.5¥792

よくある質問

Q. ミミズクと夜の王はどんな話ですか?
A. 奴隷として生きてきた少女ミミズクが魔物の森に迷い込み、森を支配する夜の王と出会う物語です。死にたがりの少女が、愛されることを通じて生きる意味を見出していく純粋なラブファンタジーです。
Q. ライトノベルですか?
A. 電撃文庫から刊行されたライトノベルです。ただし一般文芸的な深みもあり、ライトノベルを普段読まない方にも楽しめる内容です。完全版はメディアワークス文庫から刊行されています。
Q. 外伝も一緒に読む必要がありますか?
A. 完全版には外伝「鳥籠巫女と聖剣の騎士」が収録されています。本編単体でも完結しますが、外伝まで読むと登場人物への理解がより深まります。
Q. 他の十二国記や守り人シリーズと比べてどうですか?
A. 世界観の規模は守り人や十二国記より小さいですが、心理描写の繊細さは群を抜いています。日本ファンタジーが得意とする「感情の旅」を純粋に楽しみたい方に向いています。
Q. 何歳から読めますか?
A. 中学生以上を対象に書かれています。ただし奴隷制度や自傷的な心理が背景にあるため、内容は少し重めです。大人が読んでも十分に楽しめる深みがあります。