この本を一言で言うと
欲しいものは何でも手に入る異形の市場「夜市」に迷い込んだ少年が弟を身代わりに買い物をし、大人になった今、弟を取り戻すために再び夜市を訪れる表題作と、霊的な古道を描く「風の古道」を収録した幻想短編集。
この本の概要
恒川光太郎のデビュー作にして日本ホラー小説大賞受賞作。「夜市」と「風の古道」の二篇を収録した中編集。表題作「夜市」は、幼い頃に異形の市場に迷い込んだ祐司が、弟を代金代わりに支払って市場を脱出し、大人になった今、罪悪感とともに弟を救うために再び夜市を訪れるまでを描く。「怖い」というよりは、ノスタルジーと哀愁が滲む独特の世界観が魅力で、読後にじわじわと浸ってくる余韻がある。「風の古道」は霊的な道に迷い込んだ少年の話で、こちらも静かな恐怖と幻想性が同居している。ホラーというジャンルに分類されるが、血や暴力でなく「雰囲気と情緒」で読ませるタイプで、恒川光太郎の独特の文体がクセになる。薄くて読みやすいので、幻想文学への入門書としても最適。
「夜市」ってこんな話だったんだ。読んだ後しばらく頭から離れなかった
ホラーって基本あまり得意じゃなくて、血が出たりお化けがわあって出てくる系は特に無理で。でも「日本ホラー小説大賞」って書いてあって、Twitterでなんか話題になってたから試しに買ってみた。
で、読んだら全然怖くなかった。怖くない、というより「切ない」が正解。
夜市の設定がまずすごい。異形の市場で何でも買い物ができる、ただし代金は「何か大切なもの」で払わないといけない。そこで主人公の少年が弟を売ってしまって、大人になってからその罪悪感を抱えて生きていて。それでもう一回夜市に行くっていう話。
読みながらずっと「どういうラストになるんだろう」って気になって、止まれなかった。夜中に一気読みした。
読み終えた後、「夜市」という言葉を見るたびにこの本の雰囲気を思い出しそう。それくらいイメージが焼き付いた。薄い本なのに、この読後感はすごい。
— ホラーが少し苦手な28歳会社員女性
この本で学べること
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本の目次
- 1夜市
- 2風の古道
良い点・気になる点
良い点
- ○短くてさらっと読めるのに、読後の余韻と浸透感が大きい
- ○恐怖感より哀愁・ノスタルジーが前面に出ており、ホラーが苦手な人も読みやすい
- ○二篇収録でどちらも質が高く、コスパのよい読書体験
気になる点
- △「怖いホラー」を期待すると肩透かしを食らう可能性がある
- △短い分、世界観の深掘りや設定の詳細への欲求が満たされない部分もある
みんなの評判・口コミ
★★★★★5.0
「夜市」という設定の発想がまず天才的。欲しいものは何でも手に入る異形の市場というビジュアルが頭にありありと浮かんで、読んでいる間ずっとそこにいるような感覚があった。弟との話のラストは切なくて、しばらく引きずった。恒川光太郎を知らない人にまず勧めたい一冊。
★★★★★4.0
ホラーは得意じゃないけど友人に勧められて読んだ。怖くはなかった(という意味で安心した)。ただ不思議なノスタルジーがあって、読んでいて懐かしいような気持ちになった。子供の頃に迷子になった感覚を思い出す本。
★★★★★4.5
恒川さんの雰囲気の良さを最初に感じた本。「怖い」じゃなくて「切ない」が正しい感情。風の古道も好きだが、夜市の余韻のほうが長く残った。この人の書く「異世界」は必ず人間の後悔や罪悪感と結びついていて、そこが好き。
★★★★★3.5
話題になってたので読んでみた。雰囲気はとてもいいし文章は読みやすい。ただ謎の解明とかどんでん返しを期待していたせいか、物語がふわっと終わる感じが少し消化不良だった。ホラーや幻想小説に慣れている人には刺さりそう。
著者について
こんな人におすすめ
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よくある質問
Q. ホラーが苦手でも読めますか?▼
A. 読めます。血や暴力の描写はほとんどなく、「雰囲気と情緒」で描くタイプのホラーです。怖いより「切ない・哀愁がある」という感想が多い作品です。
Q. 「夜市」と「風の古道」はどちらが面白いですか?▼
A. 人によりますが、「夜市」の設定と余韻のほうが評価されることが多いです。どちらも短く読みやすい中編です。
Q. 恒川光太郎の他の作品も読んでみたい場合は?▼
A. 本書が気に入ったなら『雷の季節の終わりに』『草祭』などの短編・中編集がおすすめです。同様の幻想的な世界観を楽しめます。