中学生向けの戦争の本のおすすめ人気ランキング25選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年8月
橘ナナミ
佐藤さん、戦争の本って中学生向けにたくさんありますよね。でも、いざ読もうと思うとどれを選べばいいか迷っちゃいます。難しそうなのもあるし、読んでつらくなりそうで…。
佐藤メバル
いい質問だね。確かに戦争をテーマにした本は数が多いし、読者の年齢や目的によって合う本が全然変わってくる。まずは、中学生が無理なく読み進められるか、そして読んだあとに何かを考えたり話し合いたくなるか、その2点を軸に選ぶといいよ。
橘ナナミ
なるほど。じゃあ、まずは読みやすさから考えたいです。ルビがふってあるとか、ページ数が少ないとか…。
佐藤メバル
そうそう。例えば『ぼくは満員電車で原爆を浴びた』は125ページで、小学校4年生以上の漢字にルビがついているから、戦争ノンフィクションの入門として最適だね。『ほんとうにあった 戦争と平和の話』も全漢字にルビがあって、14の短い物語で構成されているから、ちょっとずつ読み進められる。
橘ナナミ
あと、読書感想文に書きやすい本も知りたいです!
佐藤メバル
読書感想文なら、『ガラスのうさぎ』は定番中の定番。実際に課題図書になったこともあって、戦争の中の家族の絆や喪失がテーマだから、自分の思いを重ねやすい。『ぼくらの太平洋戦争』みたいなタイムスリップものだと、現代の中学生と過去のつながりを考えやすいね。
中学生向けの戦争の本の選び方
目的別:読書感想文・自由研究・教養として
橘ナナミ
目的によって選ぶ本が変わるとのことですが、具体的に教えてください。
佐藤メバル
読書感想文だったら、『ガラスのうさぎ』や『ある中学生の戦中日記』のように、主人公が自分と近い年齢で、感情移入しやすい作品がおすすめ。自由研究には『戦争と沖縄』や『小学生記者がナガサキを記事にする』など、事実に基づいて自分で調べたりまとめたりできる本がいい。教養として広く知りたいなら、『世界から戦争がなくならない本当の理由』や『新・戦争のつくりかた』で、戦争の構造を理解するといいよ。
ジャンル別:小説・ノンフィクション・マンガ・絵本
橘ナナミ
絵本って中学生でも読んでいいんですか?
佐藤メバル
もちろん!『8月6日のこと』や『ヒロシマ 消えたかぞく』は絵本だけど、内容はとても深くて、大人にも響く。写真絵本は特に、当時の暮らしをリアルに伝えてくれる。マンガなら『ぼくらの太平洋戦争』シリーズはエンタメ要素がありながら戦争の現実を描いている。ノンフィクションは『小学生のぼくが見た太平洋戦争』や『おじいちゃん戦争のことを教えて』が読みやすいよ。
難易度別:ルビ・ページ数・文章のやさしさ
橘ナナミ
ページ数が多いと挫折しそうで不安です…。
佐藤メバル
その気持ち、わかる。初めてなら100ページ前後の作品から入るといい。『ぼくは満員電車で…』125ページ、『ある中学生の戦中日記』213ページだけど、日記形式で区切りやすい。あと、『子どもたちへ、今こそ伝える戦争』は19人の作家が短い話を書いているから、1話10分で読める。ルビの有無も重要で、『ガラスのうさぎ』『新版』は一部ルビありだが、『ほんとうにあった…』は全ルビ付き。
時代・地域別:東京大空襲・広島・長崎・沖縄・満州・海外戦線・現代の紛争
橘ナナミ
地域によっても本が違うんですね。
佐藤メバル
そう。東京大空襲なら『ガラスのうさぎ』、広島なら『ぼくは満員電車で…』と『8月6日のこと』、長崎は『小学生記者がナガサキを記事にする』、沖縄は『戦争と沖縄』。満州や海外戦線は『おじいちゃんが孫に語る戦争』や『雲の涯』でカバーできる。現代の紛争に興味があるなら、『ウクライナ侵攻 小学生1000のギモン』や『世の中への扉 戦争を取材する』がいいね。
主人公の年齢・性別:男子主人公・女子主人公・複数視点
橘ナナミ
主人公が自分と似ていると読みやすいですよね。
佐藤メバル
そうだね。女子主人公なら『ガラスのうさぎ』(高木敏子さん)、男子主人公なら『ぼくは満員電車で…』(米澤鐡志さん)、複数視点なら『もしも魔法が使えたら』(11人の戦争孤児の話)や『ぼくらの太平洋戦争』(男女混合グループ)がおすすめ。
メディア接触経験:映画・アニメ・マンガから入る場合
橘ナナミ
実は『ぼくらの七日間戦争』の映画を観たんですけど、原作も読んだ方がいいですか?
佐藤メバル
もちろん!『ぼくらの太平洋戦争』シリーズは、映画やアニメになっていないけど、『ぼくらの七日間戦争』のスピンオフ的な位置づけ。映画を観た人なら、同じキャラクターが戦時にタイムスリップする物語で、より深く戦争を体験できる。『ガラスのうさぎ』も映画化されているから、映像でイメージをつかんでから読むと、文章が頭に入りやすいよ。
中学生向けの戦争の本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、25冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
中学生向けの戦争の本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい

新版 ガラスのうさぎ
高木敏子 著|金の星社
¥1,430(税込)
1945年3月10日の東京大空襲で母と妹を失い、機銃掃射で父も失った著者の実体験を描くノンフィクション。焼け跡で見つかったぐにゃぐにゃのガラスのうさぎが、戦争の悲惨さを象徴的に伝える。1977年刊行以来、読書感想文の定番として読み継がれ、厚生省児童福祉文化奨励賞も受賞した。同じく被爆体験を描く『ぼくは満員電車で原爆を浴びた』と比べ、こちらは空襲がテーマで、少女の視点から家族の死と向き合う点が特徴。戦争を知らない世代にも、情緒豊かに当時の現実を伝える一冊。
こんな人におすすめ
戦争の悲惨さを初めて知る中学生や、読書感想文の題材を探している生徒。家族の絆や平和の大切さを考えたいすべての世代に。
良い点
- 実話に基づく感動的なストーリー
- 平易な文章で読みやすい
- 読書感想文の課題図書にもなった実績
気になる点
- 内容が重く、心の準備が必要
- 出版から時間が経ち、現代の感覚とずれも
- 特定の地域・時期の体験に限定される
出版社
金の星社
発売日
2000年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
佐藤さん、『ガラスのうさぎ』ってタイトルは知ってるんですけど、どんな内容なんですか?戦争の本って重そうで、でも読んだほうがいいのかなって。
佐藤メバル
いい質問だね。これは著者・高木敏子さんが小学6年生だったときの東京大空襲の体験を綴ったノンフィクションだよ。
焼け跡で見つかった溶けたガラスのうさぎが、戦争の悲惨さを静かに訴えかけるんだ。1977年から読まれ続けていて、読書感想文の定番でもある。
戦争の現実を、子どもの目線で追体験できる貴重な一冊だ。
橘ナナミ
なるほど。でも、実際に読むのはつらそうですね。私も含めて、今の中学生にとって戦争は遠い出来事ですし、イメージがわかないかもしれません。
佐藤メバル
確かに内容は重い。でも、戦争の現実を知るうえで、これほど優れた入門書はないよ。特に、家族を失う悲しみが丁寧に描かれていて、読者の共感を呼ぶ。
戦後80年近く経った今こそ、こうした記録を読んで、平和について考えてほしい。同じ空襲を扱った本と比べても、少女の視点が新鮮で、感情移入しやすいんだ。

ぼくは満員電車で原爆を浴びた: 11歳の少年が生きぬいたヒロシマ
米澤鐡志 著|小学館
¥1,045(税込)
1945年8月6日、爆心から750メートルの電車内で被爆した11歳の米澤鐡志さんの証言をまとめた一冊。母親と妹を失い、自らも重傷を負いながら生き抜いた少年の目に映った光景――ブラウスが突然発火する女性、皮膚が垂れ下がる人々、川を流れる死体――が克明に描かれる。京都大学の小出裕章氏が「読むのも苦しいが、未来のための知恵を与えてくれる」と推薦。同じ被爆体験でも『ガラスのうさぎ』が空襲なのに対し、こちらは原爆の凄絶な現実をストレートに伝える。漢字にふりがな付きで、小学生高学年から読める。
こんな人におすすめ
原爆の実相を真正面から知りたい中学生。学校の平和学習や、ヒロシマについて深く学びたい人にも最適。
良い点
- 著者の体験が生々しく伝わる
- ふりがな付きで読みやすい
- 短いページ数で集中して読める
気になる点
- 非常に衝撃的な描写があり、トラウマになる可能性
- 当事者一人の視点に偏る
- やや価格が高め
出版社
小学館
発売日
2013年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『ぼくは満員電車で原爆を浴びた』、タイトルからして衝撃的です。実際読んだら、相当つらそうですね…。
佐藤メバル
うん、これは読むのに勇気がいる本だよ。でも、被爆者の平均年齢が80歳を超えた今、直接話を聞く機会が減っているからこそ、こうした記録は貴重だ。
著者は11歳で被爆し、母親と妹を失いながらも生き延びた。その目で見た地獄のような光景が、飾り気のない文章で綴られている。
橘ナナミ
そうなんですね…。でも、中学生が読むには強すぎる内容じゃないでしょうか?私でも怖いです。
佐藤メバル
確かにショックは大きい。でも、本書の冒頭で小出裕章さんも言っているように「知らないよりは知ったほうがいい」。
僕は書店員時代に、この本をきっかけに戦争について調べ始めた子を何人も見てきた。内容は過酷だけど、平和について真剣に考えるための力強い一歩になるはずだ。
同じ原爆でも『8月6日のこと』のような絵本とは違い、こちらは体験談としての迫力がある。

8月6日のこと
中川ひろたか 著|河出書房新社
¥1,430(税込)
絵本作家・中川ひろたかが、自らの伯父(広島で亡くなった)と被爆者の母の体験をもとに描いた絵本。66年前の8月6日、瀬戸内海の穏やかな海のそばで何が起きたのかを、柔らかな絵と言葉で問いかける。「絵本界屈指の人気コンビ」と紹介される通り、絵のタッチは優しいが、内容は核兵器の悲惨さを真正面から伝える。『ヒロシマ 消えたかぞく』のような写真絵本と違い、こちらは想像力を喚起する作画が特徴。原爆をテーマにした絵本の入門として、小学生から大人まで幅広く読める。
こんな人におすすめ
戦争や原爆について初めて学ぶ小学生中学年から。家族で平和について話し合うきっかけに最適。
良い点
- やさしい絵で入りやすい
- 著者の実体験に基づく
- ページ数が少なく短時間で読める
気になる点
- 内容が簡略化されすぎている面も
- 絵本ゆえに情報量が限られる
- 重いテーマを絵本で扱う抵抗感もある
出版社
河出書房新社
発売日
2011年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
佐藤さん、『8月6日のこと』って絵本なんですね。絵本で原爆を伝えるって、どういう感じなんでしょう?
佐藤メバル
いい着眼点だね。この本は、絵本作家の中川ひろたかさんが、自分の伯父と母の被爆体験をもとに描いたんだ。
8月6日の広島、穏やかな海のそばで何があったのかを、柔らかな絵と言葉で伝えている。同じ原爆テーマでも『ぼくは満員電車で原爆を浴びた』のようなリアルな証言とは違って、絵本ならではの距離感で読者に問いかけるんだ。
橘ナナミ
なるほど。でも、絵本だと子ども向けで内容が浅くなったりしないんですか?実際にどんなことが描かれているのか気になります。
佐藤メバル
浅くはないよ。むしろ、想像力を引き出す表現で、核の悲劇を心に刻ませる。66年前の出来事を「ほんとうにあったお話」として語り、読者に「あなたならどうする?」と問いかけるスタイルだ。
字が大きく絵がメインだから、小学生でも一人で読めるし、親子で読んで話し合うのにもぴったり。同じ写真絵本の『ヒロシマ 消えたかぞく』とは異なるアプローチで、こちらは絵の力で感情に訴えるんだ。

ヒロシマ 消えたかぞく (ポプラ社の絵本 67)
指田和 著|ポプラ社
¥1,815(税込)
原爆投下前、笑顔あふれる日常を送っていた鈴木六郎一家の家族写真をもとに、一発の原爆で家族全員が消え去るまでを描いた写真絵本。カメラ好きの六郎さんが残した写真には、散髪屋の店先での笑顔、子どもたちの成長の記録が鮮やかに残っている。しかし8月6日、長男英昭くん(12歳)は妹をおぶって逃げるも高熱で死亡、次男と次女は焼け跡から白骨で見つかり、六郎さんも死亡、母親フジエさんは井戸に身を投げる……。家族の「消えた」事実を、写真のコントラストで強烈に印象づける。『8月6日のこと』より具体的な人物に焦点を当て、戦争のむごさを実感させる。
こんな人におすすめ
平和学習で「人の幸せな日常」と戦争の対比を考えたい中学生。写真資料としての価値も高く、調べ学習にも適する。
良い点
- 実際の家族写真が胸を打つ
- 一家の物語に感情移入しやすい
- 戦争前の日常がよくわかる
気になる点
- 写真ゆえに想像の余地が少ない
- 内容が衝撃的でつらい
- ページ数が少なく情報量は限られる
出版社
ポプラ社
発売日
2019年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『ヒロシマ 消えたかぞく』、表紙の家族写真がすごく印象的です。この家族、全員亡くなったんですよね…。
佐藤メバル
そう。原爆が落とされる前の広島で、散髪屋を営んでいた鈴木六郎さん一家。カメラが趣味で、たくさんの家族写真を残していたんだ。
ところが8月6日、一発の原爆で家族全員が命を落とす。12歳の長男が妹をおぶって逃げる姿、焼け跡から見つかった幼い子どもの白骨…写真があるからこそ、失われた日常の尊さがひしひしと伝わってくるよ。
橘ナナミ
写真があると、本当にあったことなんだって実感しますね。でも、読むのがつらくなりそうです…。
佐藤メバル
そのつらさが大事なんだ。この本は、単に悲劇を伝えるだけでなく、「幸せな日常こそが大事であり、平和を作るのは私たち自身だ」と訴えかけている。
同じ原爆絵本の『8月6日のこと』が想像力に頼るのに対し、こちらは実際の写真で事実を突きつける。平和学習の資料としても非常に価値が高く、中学生ならきっと何かを感じ取ってくれるはずだ。

小学生のぼくが見た太平洋戦争
笠原正雄 著|PHP研究所
¥2,090(税込)
幼少年期を戦時下で過ごした著者・笠原正雄が、疎開先での先生や友人との出会い、戦闘機襲来の恐怖などを通して逞しく成長する姿を描く。248ページのボリュームで、当時の子どもの日常生活や心情が豊かに描かれており、『ガラスのうさぎ』のような一瞬の悲劇だけでなく、戦時中の長期にわたる生活の変化を追体験できる。著者の成長物語としても読めるため、戦争の本として重すぎず、中学生が自分と重ねて読みやすい。同じく戦時中の子どもを描く『ぼくは満員電車で…』より、日常に焦点が当たっている。
こんな人におすすめ
戦時中の子どもたちの暮らしに興味がある中学生。読書感想文の題材としても適している。
良い点
- 子どもの視点で共感しやすい
- 戦時中の日常生活がわかる
- 読み応えのあるページ数
気になる点
- 著者の個人体験に限られる
- 戦闘シーンなどは少ない
- 少し古い文体かもしれない
出版社
PHP研究所
発売日
2025年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『小学生のぼくが見た太平洋戦争』って、著者の体験記ですよね。ほかの戦争体験記とどう違うんですか?
佐藤メバル
この本の特徴は、著者が疎開先での人間関係や学校生活を中心に描いていることだよ。戦争の悲惨さだけではなく、遊びや勉強、友達との別れなど、子どもの日常が生き生きと描かれている。
例えば、戦闘機の機銃掃射に怯えながらも、かくれんぼをして遊んでいる場面なんかが印象的だ。同じ子ども目線でも『ガラスのうさぎ』が大空襲の悲劇に焦点を当てているのに対し、こちらは戦時中の生活全体を描いている。
橘ナナミ
なるほど、戦争の本っていうと暗いイメージがあるけど、これは少年の成長物語としても読めるんですね。中学生の私にも親しみやすいかもしれません。
佐藤メバル
そう。戦争という非常時でも、子どもは子どもらしく生きているんだ。特に、疎開先での先生との心温まるエピソードや、食べ物がなくても工夫して楽しむ姿は、今の時代にも通じるものがある。
一方で、空襲警報の恐怖や、戦友を失う悲しみも描かれ、戦争の理不尽さを感じさせられる。戦争文学の入門としてもおすすめだ。

ぼくらの太平洋戦争 (角川つばさ文庫)
宗田理 著|KADOKAWA
¥814(税込)
人気シリーズ「ぼくら」の第15弾で、主人公たちが1945年の戦時中にタイムスリップする物語。兵器工場の跡地見学中に不思議な体験をし、男子は丸坊主、男女の会話禁止、食べ物もない世界へ。しかし彼らは持ち前のいたずら心で、防空壕パーティーを開いたり、嫌な大人に仕返しをしたりと、笑いと涙の冒険を繰り広げる。同じ宗田理の『雲の涯』がノンフィクションなのに対し、こちらはエンターテインメント性が強く、戦争の悲惨さを楽しい物語の中で伝える。中学生が抵抗なく読める戦争入門として最適。
こんな人におすすめ
戦争をテーマにした読み物を楽しく読みたい中学生。シリーズ好きの子どもや、戦争に興味を持つきっかけに。
良い点
- ストーリーが面白く読みやすい
- 戦時中の生活が自然と学べる
- シリーズ既読者も楽しめる
気になる点
- フィクションなので歴史正確性は劣る
- 戦争の悲惨さが軽減される恐れ
- シリーズものなので単独でも読めるが背景知識があるとより楽しめる
出版社
KADOKAWA
発売日
2014年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『ぼくらの太平洋戦争』はタイムスリップものなんですね!ファンタジーで戦争を扱うのは珍しい気がします。
佐藤メバル
確かに、この「ぼくらシリーズ」はいつも現代の子どもが戦う話だけど、今回は本物の戦時中に飛び込むんだ。
主人公たちは1945年の常識に戸惑いながらも、ユーモアを忘れずに生き抜く。例えば、防空壕でパーティーを開いたり、食料を盗もうとする大人を懲らしめたりと、笑いも多い。
でも、その背景には飢えや空襲の恐怖があり、決して軽い話ではないんだよ。
橘ナナミ
へえ、笑いもあるんですね。でも戦争中ってそんなに楽しいことばかりじゃないですよね?矛盾しませんか?
佐藤メバル
そこがこの本の巧いところ。楽しい場面の裏に、常に死と隣り合わせの緊張感がある。読者は笑いながらも、戦時中の不自由さや悲しみを自然に感じ取れるんだ。
同じ宗田理の『雲の涯』がノンフィクションで重いのに対し、こちらはフィクションで入りやすい。戦争について初めて読む中学生には、まずこの本を勧めるのも手だね。

雲の涯 中学生の太平洋戦争 (角川文庫)
宗田理 著|KADOKAWA
¥748(税込)
1945年8月7日、豊川海軍工廠への爆撃で2500名以上が死亡、その中には450名以上の若い学徒が含まれていた。著者・宗田理は当時地元の中学生で、自らも被災。貴重な証言や資料を集め、彼らの青春の日々と悲惨な最期を辿るノンフィクションノベル。広島・長崎の原爆に挟まれ、世に知られなかった「豊川空襲」に光を当てた重要な記録。同じ著者の『ぼくらの太平洋戦争』がフィクションなのに対し、こちらは事実に基づき、学徒動員の実態を伝える。戦争の多様な側面を知るうえで欠かせない一冊。
こんな人におすすめ
太平洋戦争における学徒動員の実態を知りたい中学生。歴史の陰に隠れた出来事に関心がある人に。
良い点
- 忘れられた悲劇を掘り起こした
- 著者自身の体験が重みを加える
- 手軽な文庫サイズで読みやすい
気になる点
- 主題が特殊で一般的な戦争理解には不向き
- 悲惨な描写が多い
- 文庫とはいえ少し文字が小さい
出版社
KADOKAWA
発売日
1995年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『雲の涯』ってタイトル、なんだか叙情的ですね。豊川海軍工廠って場所、聞いたことがありません。
佐藤メバル
そう、あまり知られていないんだ。1945年8月7日、広島の原爆の翌日、豊川海軍工廠がB29の爆撃を受け、2500人以上が死亡した。
そのうち450人が学徒動員された中学生だったんだよ。著者の宗田理さんも当時地元の中学生で、この惨事を自分の体験として綴っている。
だから単なるノンフィクションではなく、著者の感情が込められた「ノンフィクションノベル」なんだ。
橘ナナミ
原爆の陰に隠れた大空襲があったんですね。でも、そんな悲惨な話を中学生が読むのは怖いです…。
佐藤メバル
怖いけど、知らなければ忘れられてしまう。宗田さんは「ぼくら」シリーズで有名な作家だけど、この本は彼のライフワークとも言える。
同じ著者の『ぼくらの太平洋戦争』が明るいタッチなのに対し、こちらは真正面から戦争の悲劇を描いている。
戦争を広く知るためには、こうした地域の視点も必要だ。広島・長崎だけでなく、日本各地で同様の悲劇があったことを教えてくれる貴重な本だよ。

ぼくらの南の島戦争 (角川つばさ文庫)
宗田理 著|KADOKAWA
¥858(税込)
「ぼくら」シリーズ第7巻。中学2年生の英治たちが、南の島の自然を壊してゴルフ場にしようとする悪い大人たちに立ち向かう。廃校になった島の学校に立てこもり、いたずらと勇気で戦う姿が痛快。タイトルに「戦争」とあるが、実際の戦争ではなく、子どもたちの「解放区」づくりの物語。同じシリーズの『ぼくらの太平洋戦争』がタイムスリップで戦時中を経験するのに対し、こちらは現代社会の環境破壊と大人のエゴを批判する内容。中学生が共感しやすいテーマで、戦争の比喩としても読める。
こんな人におすすめ
環境問題や社会正義に興味がある中学生。痛快なストーリーを楽しみながら自然保護について考えたい人に。
良い点
- シリーズらしい爽快感
- 環境問題を考えさせられる
- キャラクターが魅力的
気になる点
- 実際の戦争とは無関係
- 現実離れした展開もある
- シリーズの他の作品を読んでいるとより楽しめる
出版社
KADOKAWA
発売日
2011年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『ぼくらの南の島戦争』、タイトルに「戦争」とあるけど、実際の戦争の話じゃないんですよね?
佐藤メバル
その通り。この「ぼくら」シリーズは、いつも子どもたちが大人の不正に立ち向かう物語で、この巻では南の島をゴルフ場にしようとする企業と戦うんだ。
彼らは島の学校に立てこもり、いたずらや知恵を駆使して抵抗する。もちろん実際の戦闘ではなく、一種の「子どもの戦争ごっこ」だけど、環境保護や民主主義の大切さを学べる内容になっている。
橘ナナミ
なるほど。子どもが大人に立ち向かうって、すごくワクワクしますね。でも、これで本当に戦争のことがわかるんですか?
佐藤メバル
直接的な戦争学習にはならないかもしれない。でも、このシリーズは「戦争」という言葉を比喩として使っているんだ。
戦争の悲惨さより、むしろ「なぜ人は争うのか」「平和を守るために何ができるか」を考えさせる。同じシリーズの『ぼくらの太平洋戦争』が過去の戦争を扱うのに対して、こちらは現代の問題を描いている。
戦争について勉強する前に、まず「争い」の構造を理解する入り口として面白いよ。

戦争と沖縄 (岩波ジュニア新書 19)
池宮城秀意 著|岩波書店
¥946(税込)
岩波ジュニア新書の1冊で、沖縄戦の全体像を中学生向けに解説。著者の池宮城秀意は沖縄出身で、戦争体験者としての視点も交えながら、沖縄戦の経過、住民の苦しみ、基地問題までを扱う。同じジュニア新書の『新・戦争のつくりかた』が日本の軍事化を批判するのに対し、こちらは沖縄という地域に特化している。ページ数も205ページと手ごろで、調べ学習の資料としても有用。地図や写真も豊富で、視覚的に理解できる。中学生が沖縄戦について学ぶ最初の一冊として最適。
こんな人におすすめ
沖縄戦について基礎から学びたい中学生。平和学習の調べ学習や、修学旅行の事前学習に。
良い点
- コンパクトにまとまっている
- 沖縄出身の著者によるリアルな視点
- 地図や写真が豊富
気になる点
- やや古い情報も含まれる可能性
- 専門書に比べると深みはない
- ジュニア新書のため字体が小さい部分もある
出版社
岩波書店
発売日
1980年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『戦争と沖縄』はジュニア新書ですね。沖縄戦の本はたくさんあるけど、これの特徴は何ですか?
佐藤メバル
まず、岩波ジュニア新書は中学生を対象にしたシリーズで、信頼性が高い。著者の池宮城秀意さんは沖縄出身で、戦争体験に基づいたリアルな記述が魅力だ。
沖縄戦の経過だけでなく、その後の基地問題や本土との関係までカバーしているから、沖縄の戦争と平和を総合的に学べるよ。
橘ナナミ
沖縄戦って、他の戦争とは違う特別な意味があるように感じます。実際にどんなことが書かれているんですか?
佐藤メバル
例えば、住民が巻き込まれた集団自決や、米軍の上陸から地上戦の凄惨さ、そして戦後も続く基地の負担。同じジュニア新書でも『戦争しない国が好き!』が現在の平和運動に焦点を当てているのに対し、こちらは歴史的な事実をしっかり押さえている。
修学旅行で沖縄に行く前に読むと、訪れる場所の意味が深まるよ。中高生にちょうどいいボリュームで、調べ学習の参考文献としてもおすすめだ。

おじいちゃん戦争のことを教えて(小学館文庫) (小学館文庫 R な- 10-1)
中條高徳 著|小学館
¥759(税込)
ニューヨークの高校に通う孫娘から届いた太平洋戦争に関する質問状に、かつて軍人を志した祖父が真摯に答える形式の本。孫娘の「なぜ軍人の学校に進んだの?」「アメリカとの戦争は正しかったと思う?」といった問いに、自らの人生を振り返りながら答えていく。単なる戦争体験記ではなく、世代を超えた対話を通じて戦争を考えるスタイルが新鮮。同じく祖父と孫の対話形式の『おじいちゃんが孫に語る戦争』(田原総一朗)よりも、より個人的で感情移入しやすい。文庫化されて手軽に読める。
こんな人におすすめ
戦争を身近な問題として捉えたい中学生。家族との対話を通して歴史を学びたい人に。
良い点
- 手紙形式で読みやすい
- 祖父の経験がリアル
- 孫の素朴な疑問が共感を呼ぶ
気になる点
- 著者の主観が強い
- 特定の立場に偏っている可能性
- やや古い時代の価値観
出版社
小学館
発売日
2002年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『おじいちゃん戦争のことを教えて』って、タイトルがもうほのぼのしてますね。でも内容は戦争についてなんですよね?
佐藤メバル
そう。ニューヨークに留学中の孫娘が、歴史の授業で太平洋戦争を勉強することになり、日本にいる祖父に手紙で質問を送るんだ。
「なぜ日本は戦争を始めたのか」「軍人は正しかったのか」といった難しい問いに、祖父が自分の体験を交えて答えていく。
形式がとてもユニークで、読んでいるうちに自分も孫娘と一緒に学んでいる気分になれるよ。
橘ナナミ
へえ、孫娘の質問ってどんな感じなんですか?例えばどんなことを聞いてるんですか?
佐藤メバル
例えば「祖父はなぜ軍人の学校に行ったの?」とか「アメリカとの戦争は正しかったと思う?」といった率直な問いだ。
祖父は自分の過ちや後悔も含めて正直に答える。同じようなスタイルの『おじいちゃんが孫に語る戦争』(田原総一朗)は、より歴史の流れを解説する感じだが、こちらは個人の体験に重きを置いている。
戦争を他人事ではなく、自分の家族の問題として考えられる点がいいね。

おじいちゃんが孫に語る戦争
田原総一朗 著|講談社
ジャーナリスト田原総一朗が、小学5年生の双子の孫(朗人くんと正人くん)に日本の近現代史を語り聞かせた一冊。自身が5年生で終戦を迎えた体験をもとに、戦争の原因、経過、結果をわかりやすく解説。イラストも豊富で、歴史の流れを理解しやすい。黒柳徹子さんが推薦するなど、話題になった。同じく祖父と孫の対話形式の『おじいちゃん戦争のことを教えて』より、歴史の大局を捉えることに重点が置かれている。中学生にも十分理解できる内容で、戦争の基礎知識を得るのに適している。
こんな人におすすめ
日本の近現代史の流れをざっくり知りたい中学生。祖父と孫の対話で楽しく学びたい人に。
良い点
- わかりやすい語り口
- イラストや図表が豊富
- 著者の体験談がリアル
気になる点
- 著者の主観が強い
- 内容がやや簡略化されている
- 特定の政治的立場が見える
出版社
講談社
発売日
2015年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
田原総一朗さんの『おじいちゃんが孫に語る戦争』、テレビでよく見るあの田原さんが書いたんですよね。どんな内容ですか?
佐藤メバル
そう、あの硬派なジャーナリストが、自分の双子の孫に向けて日本の戦争について語ったんだ。小学5年生の孫が理解できるように、難しい言葉は使わず、イラストも交えながら、なぜ戦争が起きたのか、どういう経過をたどったのかを説明している。
特に、田原さん自身が子どもの頃に終戦を迎えた経験が随所に出てきて、臨場感があるよ。
橘ナナミ
でも、田原さんって政治的な意見が強いイメージがあります。この本も偏ってたりしないんですか?
佐藤メバル
確かに田原さんの視点は色濃く出ている。でも、この本の目的は孫に事実を伝えることであって、特定の思想を押し付ける感じではない。
とはいえ、歴史解釈には個人差があるから、他の本と併せて読むといい。同じ対話形式の『おじいちゃん戦争のことを教えて』と比べると、こちらはより大局的な歴史理解に向いている。
戦争の全体像をざっくり掴みたいなら、最初の一冊として悪くない選択だ。

ほんとうにあった 戦争と平和の話 (講談社青い鳥文庫 A 2-2)
野上暁 著|講談社
¥748(税込)
「タリバンに撃たれたマララ」「杉原千畝」「アンネ・フランクのバラを育てる中学生」「山本美香」「緒方貞子」など、戦争と平和にまつわる14の実話を集めたアンソロジー。すべての漢字にふりがなが振られ、小学中学年から読める。一話が短く、興味のある話から読めるのが魅力。同じノンフィクションの『子どもたちへ、今こそ伝える戦争』が戦時中の子どもの体験に特化しているのに対し、こちらは多様な視点(難民、ジャーナリスト、支援者など)から平和を考える。中学生の調べ学習にも活用できる。
こんな人におすすめ
戦争と平和について多角的に学びたい中学生。短い読み物が好きな子どもや、読書感想文の題材探しに。
良い点
- 14の独立した話で読みやすい
- ふりがな付きで低学年から
- 現代の話題も含む
気になる点
- 各話が短く深掘り不足
- 話ごとに質にばらつき
- 体系的な学習には不向き
出版社
講談社
発売日
2016年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『ほんとうにあった 戦争と平和の話』、タイトルからして面白そうです。14の話が入ってるんですね。
佐藤メバル
そう、杉原千畝やマララ、山本美香など、有名な人物の実話がコンパクトにまとめられている。特に、アンネ・フランクのバラを育てる日本の中学生の話は、同じ子どもの視点で共感しやすい。
一話が短いから、忙しい中学生でも隙間時間に読めるのもいいね。
橘ナナミ
でも、短い話だと内容が浅くなりませんか?せっかく難しいテーマなのに、軽く扱われている感じがするかもしれません。
佐藤メバル
確かに一話あたりの深さは限られる。でも、この本の価値は「入り口」をたくさん提供することだ。読者が興味を持った話があれば、さらに詳しい本を探すきっかけになる。
同じく複数の話を集めた『子どもたちへ、今こそ伝える戦争』が戦時中の子どもの体験に特化しているのに対して、こちらは現代の紛争や難民問題までカバーしている。
平和について幅広く知りたいなら、最初の一冊としておすすめだよ。

子どもたちへ、今こそ伝える戦争 子どもの本の作家たち19人の真実
講談社 著|講談社
¥1,980(税込)
長新太、かこさとし、那須正幹、いわむらかずおなど、19人の著名な児童文学作家が、自分たちの子どもの頃の戦争体験を綴ったアンソロジー。すべて書き下ろしで、各作家の個性が光る。戦争が日常だった時代を、子どもたちに向けて伝える。巻末には用語解説、地図、年表も収録。同じく実話集の『ほんとうにあった戦争と平和の話』が幅広いテーマを扱うのに対し、こちらは作家自身の体験に焦点を当て、創作の背景も感じられる。中学生以上なら十分読める。
こんな人におすすめ
児童文学が好きな中学生。作家のバックグラウンドに興味がある人や、平和学習の多様な視点を得たい人に。
良い点
- 著名作家による多様な視点
- 書き下ろしで新鮮
- 解説・年表付きで学習にも
気になる点
- 一部の作家に偏りがある
- 内容が短編のため物足りなさも
- 体験者の高齢化で今後増えない
出版社
講談社
発売日
2015年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『子どもたちへ、今こそ伝える戦争』、19人もの作家が書いているんですね。かこさとしさんや長新太さんが入っているのが嬉しいです。
佐藤メバル
そう、あの『だるまちゃん』や『からすのパンやさん』の作者たちが、自分の戦争体験を書いているんだ。それぞれの視点が違って、例えば空襲の話、疎開の話、食べ物の話など、多岐にわたる。
特に、戦争が作家としての表現にどう影響したかが垣間見える点が興味深い。
橘ナナミ
戦争体験って、作家さんたちのその後の作品にも出てくるんですか?
佐藤メバル
その通り。例えば、那須正幹さんは『ズッコケ三人組』シリーズで有名だけど、この本では自身の疎開体験を書いている。
彼らの作品を読んだことがある中学生なら、その背景がわかってより深く読めるようになる。同じアンソロジーの『ほんとうにあった戦争と平和の話』が客観的な実話集なのに対し、こちらは主観的な体験談で、感情移入しやすい。
一人ひとりの話が短いので、読みやすいのもポイントだ。

もしも魔法が使えたら 戦争孤児11人の記憶
星野光世 著|講談社
星野光世(83歳の主婦)が、自らを含む11人の戦争孤児の体験を絵と文章で綴った一冊。空襲で家族を失った子どもたちが、どのように生き抜いたかを描く。タイトル「もしも魔法が使えたら」に込められた、母に会いたいという切ない願いが胸を打つ。写真絵本ではなく、著者の手描きの絵が温かみを帯びて、残酷な現実とのギャップを際立たせる。精神科医の野田正彰が解説を寄せている。同じ孤児をテーマにした本は少なく、戦争のもう一つの真実を伝える貴重な記録。中学生にも十分読み応えがある。
こんな人におすすめ
戦争孤児の現実を知りたい中学生。「もしも魔法が使えたら」という仮定が示す喪失感を考えたい人に。
良い点
- 孤児の視点が新鮮
- 手描きの絵が温かい
- 解説も充実
気になる点
- 内容が重く読むのが辛い
- 絵本形式だが対象年齢が高い
- 著者の体験が特殊かもしれない
出版社
講談社
発売日
2017年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『もしも魔法が使えたら』、タイトルがすごく切ないです。戦争孤児の話なんですね。
佐藤メバル
そう。著者の星野光世さん自身が戦争孤児で、他10人の孤児の体験も集めて、絵と文で綴っているんだ。空襲で家族を失った後、どうやって生き延びたか——親戚にたらい回しにされたり、飢えや病気と闘ったり。
中には赤ちゃんを抱いた女性が防火水槽に飛び込む場面も出てくる。でも、絵はあたたかく、子どもたちのたくましさも感じられる。
橘ナナミ
そんなつらい体験を、なぜ絵本にしたんでしょう?普通に文章だけじゃダメだったんですか?
佐藤メバル
絵本にすることで、より多くの人の心に届くんだろうね。特に、子どもの描いたような素朴な絵が、かえって悲惨さを強調している。
精神科医の野田正彰さんは「苦しみに耐える子どもの顔は、あまりにも優しい」と評している。同じ戦争孤児をテーマにした本は珍しいし、戦争の別の側面——生き残った子どもたちのその後の人生——を考えるきっかけになる。
中学生には少し重いかもしれないけど、読む価値は十分あるよ。

ある中学生の戦中日記: 阪神空襲実録
高瀬湊 著|東方出版
昭和20年の阪神大空襲を、当時中学生だった著者が綴った実録日記。著者は高瀬湊(ペンネームか)。213ページにわたり、空襲の恐怖、食料不足、動員された日々が日記形式で生々しく記録されている。他の戦争体験記が大人の回想であるのに対し、こちらは中学生のその日の視点で書かれている点がユニーク。同じく日記形式のものは少なく、地域に特化した資料としても貴重。『ある中学生の戦中日記』というタイトルの通り、生の声に近い。
こんな人におすすめ
空襲の実態を日記で追体験したい中学生。地域の歴史(阪神間)に興味がある人や、史料としての戦争体験記を求めている人に。
良い点
- 日記形式でリアル
- 当時の生活が詳細にわかる
- 地域限定の貴重な記録
気になる点
- 地域が限定される
- やや地味な内容
- 手に入りにくい可能性
出版社
東方出版
発売日
1991年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『ある中学生の戦中日記』は日記なんですね。実際に書かれたものですか?
佐藤メバル
そう、当時中学生だった著者が、戦時中の日常を日記に残していたものをまとめたんだ。1945年の阪神大空襲の模様や、配給の少なさ、動員先での仕事などが、生の言葉で綴られている。
他の戦争体験記と違い、大人になってから書かれた回想ではなく、その時々の感情が記録されているから、臨場感が違うんだ。
橘ナナミ
日記って、本当にその人の本音が出ますよね。でも、戦時中に日記をつけるのって危険じゃなかったんですか?
佐藤メバル
その通り。日記が敵の目に触れるとスパイ扱いされる恐れもあった。だからこの日記も、ある程度自己検閲している部分はあるかもしれない。
それでも、当時の中学生が何を考え、どう過ごしていたかが手に取るようにわかる。同じく中学生の目線で書かれた『ぼくは満員電車で原爆を浴びた』が原爆の衝撃に焦点を当てているのに対し、こちらは空襲と日常生活の描写が中心だ。地域の歴史としても価値が高い。

小学生記者がナガサキを記事にする: みんなに伝えたい戦争や原爆のこと
前田真里 著|くもん出版
¥1,430(税込)
全国から集まった小学生たちが長崎の原爆や太平洋戦争について取材し、新聞「ナガサキ・ピース・タイムズ」を作る活動を紹介。5人の小学生記者の行動を追いながら、彼らがどのように平和を発信しているかを描く。72ページと薄く、写真やイラストが多くて読みやすい。同じく子どもが主体的に学ぶ姿を描く『戦争しない国が好き!』が女子学院の中学生の取り組みなのに対し、こちらは小学生が主人公。原爆についての知識も得られるが、何より「自分たちにもできる」というメッセージが強い。
こんな人におすすめ
自分も平和のために何かしたいと思う小学生・中学生。メディアリテラシーにも興味がある人に。
良い点
- 実際の活動がモデル
- 子どもの視点でわかりやすい
- 行動を促す内容
気になる点
- 情報量が少ない
- 特定の活動に焦点
- やや主観的
出版社
くもん出版
発売日
2025年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『小学生記者がナガサキを記事にする』、楽しそうですね。小学生が実際に新聞を作っているんですか?
佐藤メバル
そうだよ。全国から集まった小学生が、長崎で原爆の体験を聞いたり、自分たちの地域の戦争について調べたりして、新聞を発行する活動があるんだ。
この本ではその活動を紹介しながら、原爆や戦争の現実を伝えている。特に、参加した5人の子どもが、その後地元で平和活動を広げていく様子が印象的だ。
橘ナナミ
へえ、子どもでもできることがあるんですね。でも、小学生が取材するって、内容が浅くなったりしないんですか?
佐藤メバル
確かに専門家の本ほどの深さはない。でも、この本の価値は「子どもが伝える」こと自体にある。同じ年頃の読者が「自分もやってみよう」と思えるきっかけになる。
例えば、被爆者の話を聞いて感動し、自分でも記事を書くようになった子のエピソードは共感を呼ぶ。平和学習の導入として、また主体的な学びのモデルとしておすすめだ。

世の中への扉 戦争を取材する─子どもたちは何を体験したのか
山本美香 著|講談社
¥1,320(税込)
戦場ジャーナリスト・山本美香が、レバノン、コソボ、ウガンダ、アルジェリア、イラク、アフガニスタンなどで出会った子どもたちの現実を描く。地雷で脚を失った少年、ゲリラに誘拐された兵士、目の前で友達を殺された少女…。戦争が子どもたちに与える傷を直視し、なぜ戦争が起きるのか、平和のためにはどうしたらいいかを問いかける。同じく現代の紛争を扱う『世界から戦争がなくならない本当の理由』が政治経済分析なのに対し、こちらは人間の顔が見えるルポ。中学上級から読める。
こんな人におすすめ
現代の戦争と子どもの現実を知りたい中学生。平和活動やジャーナリズムに興味がある人に。
良い点
- 迫力ある取材内容
- 写真や地図が豊富
- 著者の熱意が伝わる
気になる点
- 悲惨な描写が多く心が痛む
- 2009年出版で少し古い
- 特定の地域に偏り
出版社
講談社
発売日
2011年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
山本美香さんは、実際に戦場で取材していたジャーナリストですよね。この本ではどんな子どもたちが出てくるんですか?
佐藤メバル
地雷で足を失ったアデム、ゲリラに無理やり兵士にされたターティ、目の前で友達が殺されたアブドゥヌール…。
どの子も戦争の被害者で、山本さんは彼らの言葉を丁寧に拾っている。例えば、アデムは「サッカーがしたい」と言うんだ。
そういう日常の願いが、戦争によって奪われている現実が胸に刺さる。
橘ナナミ
本当に悲しい話ですね。でも、遠い国の話だと思ってしまいそうです。
佐藤メバル
それがこの本の狙いでもあるんだ。「遠い国の出来事」で終わらせないために、山本さんは読者に「なぜ戦争が起きるのか」を考えさせる。
同じ現代紛争を扱う『世界から戦争がなくならない本当の理由』が客観的な分析なのに対して、こちらは一人ひとりの物語に焦点を当てている。
中学生にも理解できる平易な言葉で書かれていて、感情移入しやすい。国際問題に関心を持つきっかけとして最適だ。

学校が教えてくれない戦争の真実 ─日本は本当に「悪い国」だったのか (もっと日本が好きになる親子で読む近現代史シリーズ)
丸谷元人 著|ハート出版
¥1,540(税込)
南京事件、従軍慰安婦、侵略戦争など、日本が「悪い国」とされている歴史認識に疑問を投げかける一冊。ふりがな・解説付きで、親子で読める。日本が自存自衛のために戦争を始めた経緯や、アジアの植民地解放という側面を強調している。同じく日本擁護の立場の『教養として学んでおきたい太平洋戦争』がYouTuberの視点なのに対し、こちらはプロパガンダへの批判を中心に構成。戦争のもう一つの見方を提示し、批判的思考を促す。ただし、確定情報に基づけば、内容は特定の歴史観に偏っている可能性がある。
こんな人におすすめ
歴史の異なる視点を学びたい中学生。日本を「悪い国」とする通説に疑問を持っている人に。
良い点
- 別の視点を提供
- ふりがな付きで読みやすい
- 議論を呼ぶ内容
気になる点
- 客観性に欠ける
- 一部の主張に根拠不足の恐れ
- 特定の思想に偏る
出版社
ハート出版
発売日
2015年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『学校が教えてくれない戦争の真実』って、タイトルからしてインパクトあります。学校で教わることと違うってことですか?
佐藤メバル
この本は、いわゆる「自虐史観」に対抗する立場で書かれている。例えば南京事件や従軍慰安婦問題について、日本は悪いことだけをしたわけではない、という主張を展開している。
もちろん、これは一つの見方であって、歴史研究では異論もある。でも、中学生が「学校で習うことだけが全てではない」と気づくきっかけにはなるだろう。
橘ナナミ
そういう考え方もあるんですね。でも、あまり極端だと逆に混乱しそうです。
佐藤メバル
そうだね。だからこの本だけを読むのではなく、他の本と併せて読むことが大切だ。同じような立場の『教科書が教えない戦争の話』と比べると、こちらは特に「プロパガンダ」という概念を前面に出している。
戦争の真実を多角的に知るためには、批判的な視点を持って読む必要がある。ただし、確定情報の範囲では、この本の内容はあくまで著者の主張であり、全面的に正しいとは言えないことを強調しておくよ。

教科書が教えない戦争の話 - 日本人として知っておくべき大切な歴史 - (ワニブックス【PLUS】新書)
早坂隆 著|ワニブックス
¥1,210(税込)
「極悪人のように評される旧軍人」が実は家族や国のために戦った事実に焦点を当て、教科書で触れられない先人の生き様を描くノンフィクション。著者は早坂隆。副題「日本人として知っておくべき大切な歴史」の通り、国家存亡の時代を生きた人々の姿を丁寧に掘り起こす。同じく日本擁護の『学校が教えてくれない戦争の真実』が論争的なのに対し、こちらは個々人のエピソードで感動させるスタイル。戦後80年近く経った今、先人への感謝を伝える内容。
こんな人におすすめ
日本人としての誇りや歴史に興味がある中学生。家族のために戦った人々の実話に触れたい人に。
良い点
- 感動的なエピソード
- 教科書に載らない話
- 日本人の心情に訴える
気になる点
- 主観的な選別
- 客観性に欠ける部分
- 政治的な意図を感じる
出版社
ワニブックス
発売日
2026年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『教科書が教えない戦争の話』、教科書に載らないってどんな話があるんですか?
佐藤メバル
例えば、特攻隊員たちが遺した手紙や、家族を思う気持ちなんかが詳しく紹介されている。著者は、旧軍人を単に「悪者」とする風潮に疑問を感じ、彼らもまた家族や国のために命を懸けたという事実を伝えたいんだ。
一つ一つのエピソードが非常に人間的で、涙を誘うものもある。
橘ナナミ
そういう話を聞くと、戦争が遠いものじゃなく感じられますね。でも、美化しすぎている部分はないですか?
佐藤メバル
その指摘は重要だ。この本は確かに、旧軍人の肯定的な面に焦点を当てている。だから、戦争の悲惨さや過ちの記録と合わせて読むべきだ。
同じような立場の本として『学校が教えてくれない戦争の真実』があるが、こちらはより情緒的で、個人の物語に重きを置いている。
中学生が「戦争を経験した人々にもそれぞれの事情があった」と理解するには良い一冊だが、あくまで一つの視点だと認識してほしい。

教養として学んでおきたい太平洋戦争 (マイナビ新書)
ドントテルミー荒井 著|マイナビ出版
¥990(税込)
人気YouTuber「ドントテルミー荒井」が、太平洋戦争の全体像をわかりやすく解説。細かい学説や年表を追うのではなく、なぜ戦争が起こったのか、どれほど悲惨だったのかという大きな視点に絞っている。YouTubeチャンネル「大人の教養TV」のスタイルそのままに、語り口は軽快で親しみやすい。同じYouTuberによる歴史解説本と比べ、本書は若い世代向けに特化。太平洋戦争の知識がゼロでも理解できるよう工夫されている。ただし、著者の私見も含まれることに注意。
こんな人におすすめ
歴史の勉強に抵抗がある中学生。YouTube感覚で戦争を学びたい人や、友達と話のネタにしたい人に。
良い点
- わかりやすい語り口
- 短時間で概要が掴める
- 現代的なアプローチ
気になる点
- 内容が浅い
- 著者の主観が強い
- 学術的な正確性に欠ける
出版社
マイナビ出版
発売日
2022年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『教養として学んでおきたい太平洋戦争』、ドントテルミー荒井さんってYouTuberですよね。YouTuberの歴史解説って、信頼できるんですか?
佐藤メバル
確かに、専門家の書いた本ほどの深さはない。でも、この本の目的はあくまで「入門」だ。著者自身も言っているように、細かい年号や用語を覚えることより、戦争の大きな原因と悲惨さを感じてもらうことに重点を置いている。
彼のYouTubeチャンネルもわかりやすいと評判で、そのスタイルをそのまま本にした感じだ。
橘ナナミ
でも、軽すぎて戦争の本質が伝わらないんじゃないかと心配です。
佐藤メバル
その心配はもっともだ。だから、この本を最初の一冊として、その後にもっと詳しい本を読むのが理想的。例えば、同じく概要を掴むなら『なぜ、日本は戦争したのか?』のほうが対話形式で深いかもしれない。
ただ、YouTubeが身近な中学生にとって、まず手に取りやすいという意味では価値がある。歴史に興味を持つきっかけ作りとして、悪くない選択だと思うよ。

なぜ、日本は戦争したのか? ~17の質問から読み解く歴史物語~
清田直紀 著|アメージング出版
¥1,430(税込)
中学生「ミチさん」と社会科教師「岩吉先生」の対話形式で、なぜ日本が戦争したのかを17の質問から解き明かす。著者の清田直紀は実際に中学生に実施した授業をベースにしており、教科書では不十分な戦争の原因や日本の主張を補う。同じ対話形式の『おじいちゃんが孫に語る戦争』より、歴史的な因果関係に重点を置き、客観的な資料も提示。特に「日本は悪い国」という先入観ではなく、先人の思いを理解することを目指す。中学生が自分の頭で考えるための材料を提供する。
こんな人におすすめ
戦争の原因を論理的に理解したい中学生。対話形式で学びたい人や、歴史の授業に物足りなさを感じている人に。
良い点
- 質問形式で興味を引く
- 実際の授業に基づく
- 資料や図表も豊富
気になる点
- 著者の解釈が入る
- 情報量が限られる
- 一部の主張に議論の余地
出版社
アメージング出版
発売日
2024年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『なぜ、日本は戦争したのか?』は、中学生と先生の対話なんですね。実際の授業を本にしたと聞きましたが、どんな感じですか?
佐藤メバル
この本は、著者の清田さんが実際に中学生に行った歴史の授業を再現しているんだ。ミチさんという生徒が「なぜ日本は戦争を始めたのか」「本当に悪い国だったのか」といった17の質問を投げかけ、岩吉先生がそれに答えていく。
教科書に載っていない資料や、当時の国際状況を丁寧に説明しているから、とてもわかりやすい。
橘ナナミ
へえ、それなら学校の授業より深く学べそうですね。でも、先生の意見が強く出ていませんか?
佐藤メバル
もちろん、岩吉先生の解釈はある程度入っている。ただ、この本の目的は、一方的に教えることではなく、読者自身に考えさせることだ。
戦争を「悪」と決めつける前に、なぜそうなったのかを知ろうとしている。同じ対話形式の『おじいちゃんが孫に語る戦争』と比べると、こちらはより教育的で、客観的な事実を基にしている。
戦争の複雑さを理解するための良い教材だと思うよ。

世界から戦争がなくならない本当の理由
池上彰 著|祥伝社
¥1,540(税込)
池上彰が、第二次世界大戦から現代まで、戦争がなくならない理由を国際政治の視点から解説。なぜ同じ過ちを繰り返すのか、どの国が「懲りない国」なのかを、データや歴史を基に明らかにする。池上彰のわかりやすさは折り紙付きで、中学生でも理解できる。同じく現代の戦争を扱う『世界から戦争がなくならない本当の理由』というタイトルの本だが、確定情報では池上彰のこの本を指す(索引22)。『戦争を取材する』が現場のルポなのに対し、こちらは歴史の流れと構造を分析。平和学習の理論的な裏付けになる。
こんな人におすすめ
戦争の根本原因を経済・政治から理解したい中学生。池上彰ファンや、国際情勢に興味がある人に。
良い点
- 池上彰のわかりやすい解説
- 歴史と現在をつなげる
- 豊富な事例
気になる点
- やや量が多い
- 政治色が強い部分も
- 2015年出版でやや古い
出版社
祥伝社
発売日
2015年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
池上彰さんの『世界から戦争がなくならない本当の理由』、ニュースでよく見る池上さんが書いた本ですね。どんな内容ですか?
佐藤メバル
池上さんは、第二次世界大戦から現代の紛争までを俯瞰しながら、なぜ戦争が繰り返されるのかを解説している。
例えば、戦後の国際秩序がどう変化したか、また各国の「戦後」の捉え方の違いが新たな対立を生んでいることなど。
あの分かりやすい語り口で、複雑な国際関係を整理してくれるから、中学生にも十分理解できる。
橘ナナミ
私はニュースを見ても戦争のニュースがよくわからないことが多いです。この本を読めば理解できるようになりますか?
佐藤メバル
そうだね。特に、ウクライナ侵攻のような現代の戦争を理解する上でも、歴史的な背景を知ることは役立つ。この本では、中東やアフリカの紛争も取り上げていて、世界の「戦後」がどう違うかを比較している。
同じく現代の戦争を扱う『ウクライナ侵攻 小学生1000のギモン』がより具体的な質問に答えるのに対し、こちらは大きな流れを掴むのに適している。平和学習の理論編としておすすめだ。

新・戦争のつくりかた
りぼん・ぷろじぇくと 著|マガジンハウス
¥1,320(税込)
2004年に発売された『戦争のつくりかた』の新装版。戦争をしないと決めた日本が、いつの間にか戦争のできる国になっていくプロセスを、やさしい言葉とイラストで描いた絵本。新装版では新たな資料や自衛隊派遣先地図、年表を追加。詩人アーサー・ビナードが「平和の反対語は戦争ではなくペテン」と評した通り、ペテンに騙されないためのリテラシーを育てる。同じく風刺的な『新・戦争のつくりかた』(確定情報ではこれ)は、子どもから大人まで読める内容。
こんな人におすすめ
平和の反対が戦争ではないことを考えたい中学生。メディアリテラシーを高めたい人や、絵本で本質を学びたい人に。
良い点
- わかりやすい絵本形式
- 問題の核心を突く
- 新装版で情報更新
気になる点
- 内容が浅いと感じる人も
- 政治的なメッセージが強い
- 絵本としては対象年齢が高い
出版社
マガジンハウス
発売日
2014年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『新・戦争のつくりかた』は絵本なんですね。でも、戦争の作り方って、教えるような内容じゃないですよね?
佐藤メバル
そのタイトルには皮肉が込められているんだ。この本は、日本がどのようにして「戦争のできる国」になっていくかを、あえて単純な図解で示している。
例えば、憲法改正、自衛隊の海外派遣、集団的自衛権など、一つ一つのステップをイラストで追っていく。作者は「気づかないうちに戦争に巻き込まれる」危険性を警告しているんだ。
橘ナナミ
へえ、そんな絵本があるんですね。でも、絵本だとわかりやすすぎて、逆に誤解を生まないですか?
佐藤メバル
その点は注意が必要だ。あくまで一つの視点を提示しているに過ぎない。ただし、この本の価値は「考えるきっかけ」を与えることにある。
例えば、帯に書かれたアーサー・ビナードの言葉「平和の反対語は戦争じゃなくてペテン」は、私たちが日常的にどのように情報に騙されているかを考えさせる。
同じく風刺的な内容の本は少なく、平和教育の新しい手法として注目されている。中学生なら、この本を読んでから議論するのも面白いだろう。

ウクライナ侵攻 小学生1000のギモン なんで、せんそうおわらないの?
NHKネットワーク報道部 著|青志社
¥1,430(税込)
NHKネットワーク報道部が、小学生から寄せられたウクライナ侵攻に関する約1000の質問の中から厳選したQ&A集。なぜ戦争が起きたのか、いつ終わるのか、ロシアの人は何を思うのかなど、素朴な疑問にNHK解説委員が答える。カラー写真やイラストが多く、当時の状況がリアルに伝わる。同じく現代紛争を扱う『世界から戦争がなくならない本当の理由』が歴史的視点なのに対し、こちらは2022年以降の具体的な出来事に焦点。子ども目線の質問が多く、中学生でも共感しやすい。
こんな人におすすめ
ウクライナ侵攻について今知りたい中学生。ニュースで疑問に思ったことを解決したい人や、平和問題に関心を持ち始めた人に。
良い点
- 実際の子どもの質問に答える
- わかりやすい解説
- 最新の情報(2023年)
気になる点
- 時事性が強いため情報が古くなりやすい
- 話題がウクライナに限定
- やや断片的
出版社
青志社
発売日
2023年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『ウクライナ侵攻 小学生1000のギモン』、まさに今の戦争ですね。小学生の質問ってどんなものがあるんですか?
佐藤メバル
「なぜ戦争が始まったの?」「ロシアの人はなんとも思わないの?」「ウクライナの小学生はどうしているの?」といった、まさに誰もが疑問に思うことばかりだ。
NHKの解説委員が、難しい言葉を使わずに答えている。例えば、戦争の原因については、歴史やNATOの拡大など、背景を説明している。
橘ナナミ
こういう本はすぐに古くなりそうで心配です。今読んでも大丈夫ですか?
佐藤メバル
確かに戦況は刻々と変わる。でも、この本の基本的な解説部分——なぜ侵攻が起きたか、国際社会の反応など——は今でも通用する。
また、小学生の純粋な疑問に答える形式は普遍的な価値がある。同じく現代戦を扱う『戦争を取材する』が現場のルポなのに対し、こちらは「知りたいこと」にストレートに答えてくれる。
ニュースを見て「なんで?」と思ったら、まずこの本を開いてみるといい。

戦争しない国が好き!
おのだめりこ編 著|高文研
¥1,540(税込)
女子学院中学で35年間続く「身近な人たちの戦争体験聞き書き学習」の成果をまとめた一冊。中学3年生が家族や地域の人の戦争体験を聞き取り、作文にしたものを収録。漫画家今日マチ子がカバー絵を担当。早乙女勝元も推薦。同じく聞き書き形式の『小学生記者がナガサキを記事にする』が長崎の原爆に特化しているのに対し、こちらは日本のさまざまな戦争(日中戦争、太平洋戦争など)を幅広くカバー。中学生の視点で書かれているため、同年代の読者が親しみやすい。平和を考える実践例としても参考になる。
こんな人におすすめ
戦争体験を聞き書きして伝えたい中学生。主体的な平和学習のモデルを探している人に。
良い点
- 同世代の作文に共感
- 多様な戦争体験を収録
- 実践的な学習の参考
気になる点
- 作文の質にばらつき
- 情報が二次的手
- 地域(東京)に偏る可能性
出版社
高文研
発売日
2015年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『戦争しない国が好き!』、タイトルがストレートですね。女子学院中学の生徒さんたちが書いたと聞きました。
佐藤メバル
そう。この本は、女子学院中学で35年以上続く「戦争体験聞き書き学習」の集大成なんだ。中学3年生が、祖父母や地域の人に戦争体験をインタビューし、それを作文にまとめている。
例えば、疎開の体験、空襲の話、軍隊での経験など、テーマはさまざまだ。同じ年代の言葉で書かれているから、読んでいる中学生も「自分にもできる」と思えるだろう。
橘ナナミ
自分で聞き書きするって、すごいですね。でも、個人の思い出話なので、歴史的事実として正しいんですか?
佐藤メバル
もちろん体験談なので記憶違いもあるかもしれない。でも、この本の価値は「歴史の生の声」を伝えることにある。
同じく子どもが書いた『小学生記者がナガサキを記事にする』がジャーナリズム的なのに対し、こちらは家族の物語としての温かみがある。
戦争を次世代に伝える方法として、聞き書き学習は非常に有効だ。中学生が平和について考えるきっかけとして、また実際に自分でもやってみるための手本としておすすめするよ。
加害の視点と現代の紛争――競合が手薄な論点
橘ナナミ
戦争の本って、どうしても「かわいそう」「悲惨」というイメージが強くて、読むのがつらくなることもあります。でも、日本が加害した面についても知るべきですよね。
佐藤メバル
その通り。中学生向けの本では、加害責任に踏み込むものは少ない。でも、『学校が教えてくれない戦争の真実』や『教科書が教えない戦争の話』は、日本の植民地支配や慰安婦問題、南京事件について異なる視点を提示している。これらは議論を呼ぶ内容だけど、批判的に読む力を育てるためには必要な本だと思う。また、『なぜ、日本は戦争したのか?』は対話形式で、戦争に至った経緯を多面的に説明している。
橘ナナミ
現代の紛争とつなげて考えることも大事ですよね。ウクライナやガザのニュースをよく見ますが、歴史の戦争とどう関係するのか…。
佐藤メバル
そう。『ウクライナ侵攻 小学生1000のギモン』は、小学生の疑問に答える形で書かれていて、現代戦争のリアルがわかる。『世界から戦争がなくならない本当の理由』は、第二次世界大戦から現代までを俯瞰できる。『新・戦争のつくりかた』は、戦争が起こるメカニズムを絵本で示していて、「戦争を遠い過去のものにしない」ためのヒントが詰まっている。
学校司書が選ぶ!挫折しないための3つのポイント
橘ナナミ
私は本を最後まで読めないことが多くて…。途中で挫折しないコツはありますか?
佐藤メバル
学校司書の立場から言うと、3つポイントがある。1つ目は1話完結型の短編集を選ぶこと。『子どもたちへ、今こそ伝える戦争』や『ほんとうにあった 戦争と平和の話』は、10分程度で1話読めるから、隙間時間に読める。2つ目は日記・手紙形式のもの。『ある中学生の戦中日記』や『おじいちゃん戦争のことを教えて』は、リアルな記録で没入しやすい。3つ目はイラストや写真が多いもの。『ヒロシマ 消えたかぞく』は写真絵本、『8月6日のこと』は絵本だから、ビジュアルから入れる。
橘ナナミ
なるほど!じゃあ、最初は短い話から始めて、慣れてきたら長めのノンフィクションに挑戦するのが良さそうですね。
よくある質問
読書感想文に書きやすい戦争の本は?
橘ナナミ
読書感想文に書きやすい戦争の本はについて教えてください。
佐藤メバル
『ガラスのうさぎ』(高木敏子)は実際に課題図書になった経験があり、家族の喪失と再生というテーマで自分の思いを綴りやすいです。また、『ぼくらの太平洋戦争』は現代の主人公が戦時にタイムスリップする物語で、時間の違いや価値観の変化を書きやすいでしょう。
戦争の本が初めてで怖いけど、読みやすいのは?
橘ナナミ
戦争の本が初めてで怖いけど、読みやすいのはについて教えてください。
佐藤メバル
絵本や短編集がおすすめです。『8月6日のこと』は32ページの絵本で、核の悲劇を詩的に伝えます。『ほんとうにあった 戦争と平和の話』は全ルビ付きで14の短い物語から選べます。『小学生記者がナガサキを記事にする』も72ページで、写真や図版が多く入門に最適です。
中学生女子におすすめの戦争小説は?
橘ナナミ
中学生女子におすすめの戦争小説はについて教えてください。
佐藤メバル
『ガラスのうさぎ』は女の子の視点で描かれており、感情移入しやすいです。『もしも魔法が使えたら』は11人の戦争孤児の体験を綴っており、少女たちの優しさと強さが印象的です。『ぼくらの南の島戦争』は男女混合グループが活躍するエンタメ小説で、気軽に読めます。
入試によく出る戦争関連の本は?
橘ナナミ
入試によく出る戦争関連の本はについて教えてください。
佐藤メバル
『ガラスのうさぎ』は以前課題図書に指定され、入試でも頻出の題材です。『ぼくは満員電車で原爆を浴びた』は文章が平易で、原爆の実相を問う問題に使われます。また、高校入試では『戦争と沖縄』の内容が出題されることもあります。
タイムスリップもの以外でおすすめは?
橘ナナミ
タイムスリップもの以外でおすすめはについて教えてください。
佐藤メバル
ノンフィクションやルポルタージュが豊富です。『ぼくは満員電車で原爆を浴びた』『小学生のぼくが見た太平洋戦争』『雲の涯』はいずれも実体験に基づきます。現代視点なら『世界から戦争がなくならない本当の理由』や『ウクライナ侵攻 小学生1000のギモン』が、現在進行形の戦争を考えさせます。
戦争の加害について知りたい時に読む本は?
橘ナナミ
戦争の加害について知りたい時に読む本はについて教えてください。
佐藤メバル
『学校が教えてくれない戦争の真実』や『教科書が教えない戦争の話』は、日本が加害した側面(南京事件、慰安婦問題など)を積極的に取り上げています。『なぜ、日本は戦争したのか?』は対話形式で多角的な視点を提供。ただし、これらの本は議論がある内容なので、複数の資料と比べながら読むことが大切です。
映画やアニメを先に見たけど、原作も読むべき?
橘ナナミ
映画やアニメを先に見たけど、原作も読むべきについて教えてください。
佐藤メバル
おすすめです。『ガラスのうさぎ』は映画化されており、映像で得たイメージが文章で深まります。『ぼくら』シリーズは『ぼくらの七日間戦争』が映画化されましたが、原作の方が細かい心理描写や歴史的背景が豊かです。また、アニメ『この世界の片隅に』の原作漫画も、中学生におすすめの戦争作品です。
戦後80年を機に読むべき最新刊は?
橘ナナミ
戦後80年を機に読むべき最新刊はについて教えてください。
佐藤メバル
2024~2025年に刊行されたものとして、『ウクライナ侵攻 小学生1000のギモン』(2023年刊ですが最新の現代戦を扱う)や、『教養として学んでおきたい太平洋戦争』(2022年刊)は新しい視点で書かれています。また、『新・戦争のつくりかた』は2023年に新装版が出て、憲法や自衛隊の現状を反映しています。
まとめ
橘ナナミ
今日はたくさん教えていただいて、戦争の本の世界が広がりました。でも、読むのが少し怖い気持ちもまだあります…。
佐藤メバル
その気持ちは自然なことだよ。戦争の本は、読んだ後に重たい気持ちになることもある。でも、それは「考えた」証拠なんだ。大切なのは、一人で抱え込まずに、誰かと感想を話し合ったり、疑問に思ったことを調べてみたりすること。例えば、『ガラスのうさぎ』を読んだら、東京大空襲についてもっと知りたくなるかもしれない。『ウクライナ侵攻…』を読んだら、今のニュースがもっと身近に感じられるはず。
橘ナナミ
確かに。戦争を「遠い過去」ではなく、「自分ごと」として捉えるきっかけになりますね。
佐藤メバル
そう。戦後80年を迎え、体験者が減る中で、本はタイムマシンのような役割を果たす。中学生の君たちが、この本をきっかけに平和について考え、行動に移してくれたら、それこそが作者や出版者の願いだと思う。
橘ナナミ
「タイムマシン」…確かに、本を開けば70年前、80年前の世界に飛べる。そして、その経験を今に生かすことができる。今日教わった本を、一冊ずつ丁寧に読んでいきたいです。ありがとうございました!
佐藤メバル
こちらこそ。どの本も、中学生の君たちの未来を考える力になる。ぜひ、気になる一冊から手に取ってみてほしい。








