農業経済学の本のおすすめ人気ランキング25選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年8月
橘ナナミ
佐藤さん、最近「農業経済学」に興味を持ち始めたんですけど、何から読めばいいか全然わからなくて。本屋さんに行っても専門書ばかりで…。
佐藤メバル
いい質問だね。確かに農業経済学は、経済学特有の理論と農業現場の知識が混ざるから、入り口を間違えると挫折しやすい分野だ。まずは自分の目的をはっきりさせよう。研究なのか、試験対策なのか、それとも実際に農業を始めたいのか。
橘ナナミ
私は大学の講義でちょっと触れたくらいで、もっと体系的に学びたいんです。院試も考えてるので、基礎からしっかり理解したいです。
佐藤メバル
それならまずは入門書で全体像をつかむのがおすすめだ。生源寺眞一さんの『新版 農業がわかると社会のしくみが見えてくる』は、高校生向けの授業形式で書かれていて、予備知識なしでも読める。12刷のロングセラーで、内容も改訂されてて最新のデータが載っている。
橘ナナミ
なるほど!そういう本から入れば、専門用語も怖くないですね。でも、その後にどんな本を読めばいいんですか?
佐藤メバル
次に定番の教科書を一冊持っておくといい。荏開津典生の『農業経済学 第6版』は岩波テキストブックスシリーズの一つで、理論と実態のバランスが秀逸だ。最新の統計データを使っているから、第5版より新しい情報が欲しいなら第6版を選んでほしい。
農業経済学の本の選び方
目的で選ぶ
橘ナナミ
でも、目的によって選ぶ本が変わりますよね?院試対策と就農準備では違うでしょうし。
佐藤メバル
そうだね。まず学術研究・試験対策なら、速水佑次郎『農業経済論 新版』は必読。理論の骨格をしっかり学べるけど、やや難易度が高い。一方、実際に農業ビジネスを始めたいなら、浅川芳裕『農業で稼ぐ!経済学』や鎌田佳秋『起業するなら「農業」をすすめる30の理由』が現場の視点で役立つ。
レベルで選ぶ
橘ナナミ
レベルってどうやって見分ければいいんですか?
佐藤メバル
学部初級なら生源寺の入門書や『図解でよくわかる 農業のきほん』がいい。学部中級なら荏開津や山口三十四『新しい農業経済論〔新版〕』。院・専門になると、速水や鈴木宣弘『協同組合と農業経済』のような専門書になる。『農業経済学事典』は辞典としてリファレンスに最適だ。
形式で選ぶ
橘ナナミ
新書と教科書、どっちがいいんですか?
佐藤メバル
新書はコンパクトで読みやすい。鈴木宣弘『農業消滅』は平凡社新書で、問題意識を刺激する一冊。教科書は体系的な学習に向いていて、荏開津や速水が代表例。実用書は『金持ち農家、貧乏農家』のように具体的なノウハウが豊富だ。
テーマ分野で選ぶ
橘ナナミ
政策や環境、国際など分野が広いですね。
佐藤メバル
そう。政策に興味があるなら山下一仁『農業ビッグバンの経済学』や『農政の羅針盤』。環境・持続可能性なら季刊『農業と経済』の気候変動特集号や栗山・波夛野の関連書。国際・貿易は應和や『日本は世界5位の農業大国』の視点が役立つ。
出版年と評価で選ぶ
橘ナナミ
改訂版がある本は新しい方を買ったほうがいいですか?
佐藤メバル
原則として最新版を選んでほしい。荏開津『農業経済学』は第6版(2021年)が最新で、第5版(2015年)からデータが大幅に更新されている。Amazonレビューも参考になるが、大学のシラバスで使われているかどうかも重要な指標だ。
農業経済学の本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、25冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
農業経済学の本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい

新版 農業がわかると社会のしくみが見えてくる 高校生からの食と農の経済学入門
生源寺眞一 著|家の光協会
¥1,320(税込)
ロングセラーの改訂版で、高校生向け授業形式が特徴。世界の食料問題から日本の農業まで、5時間目で「外国産に任せてよいか」を考えさせる構成が秀逸。データも新しく、予備知識なしでもスムーズに読み進められる。他の入門書より政治経済的な視点が強く、社会の仕組み全体が見えてくる。
こんな人におすすめ
農業経済を初めて学ぶ高校生・大学生、あるいは食料問題に関心があるが専門書は難しいという一般読者に最適。
良い点
- 授業形式でわかりやすい
- データが新しい
- 社会の仕組みが学べる
気になる点
- 深い分析はない
- 高校生向けで簡単すぎる場合も
- 章ごとの独立性が高い
出版社
家の光協会
発売日
2018年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
佐藤さん、この『新版 農業がわかると社会のしくみが見えてくる』って、タイトルからして面白そうですね。
でも「高校生からの」って書いてあって、私でも大丈夫ですか?
佐藤メバル
もちろん大丈夫だよ、橘さん。この本は元々ロングセラーで、今回の改訂でデータも新しくなっている。授業形式で進むから、まるで教室で講義を受けている感覚で読める。
しかも各時間の終わりには「自給率って本当に重要?」みたいな問いかけがあって、考えさせられるんだ。入門にぴったりだよ。
橘ナナミ
なるほど。でも、他の入門書とどう違うんですか?
佐藤メバル
良い質問だね。多くの入門書は技術面や品種の話に終始しがちだけど、この本は経済と社会の視点が強い。
例えば「自給率で食料事情は本当にわかるのか」という章では、数字の裏にある意味を掘り下げる。社会の仕組みを理解したい人に一番合っていると思うよ。

食べる経済学 (未来のわたしにタネをまこう 1)
下川哲 著|大和書房
¥1,870(税込)
「食べる」という日常行為を出発点に、経済学を使って地球規模の課題につなげる未来志向の一冊。単なる食の経済解説ではなく、未来のわたしを主語にした問いかけが新鮮で、読後は食の選択が社会を変える一歩だと実感できる。他の実用書より哲学的な深みがある。
こんな人におすすめ
食に関心があるが経済学は苦手という若い世代、特に未来の社会を考えたい人。学生や社会人初心者にもおすすめ。
良い点
- 身近な「食べる」から入れる
- 未来志向で希望が持てる
- 経済学の枠組みを自然に学べる
気になる点
- やや観念的な部分がある
- 実践的なノウハウは少ない
- テーマが広く深掘り不足も
出版社
大和書房
発売日
2021年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『食べる経済学』ってタイトル、強いインパクトですね。食べることと経済学がどうつながるんだろう?
佐藤メバル
面白い着眼点だよね。著者は日常の食事から、フードロスや環境問題、さらには国際的な格差まで、経済学のレンズを通してつなげていくんだ。
単なる解説書じゃなくて、『私たちはどんな未来を残したいか』を問いかけるスタイル。シリーズ第1弾だけあって、読み終わった後に続きが気になる。
橘ナナミ
未来を考えるって、なんだかわくわくしますね。でも、難しい経済学の用語とか出てきませんか?
佐藤メバル
安心してほしい。専門用語はかみ砕いて説明されているし、「私の一皿が世界を変える」というキャッチ―なフレーズで入ってくるから、堅苦しさはないよ。
むしろ、経済学ってこんなに身近なんだと気づかされるはず。

世界一わかりやすい 日本の農業の教科書 (1112)
鈴木宣弘 著|平凡社
¥1,210(税込)
鈴木宣弘氏による、歴史から現代の課題までを網羅した教科書的な一冊。データや図表が豊富で、「おさえておきたい現代農業の基礎知識」が凝縮されている。同著者の他の本よりコンパクトで、まずは全体像をつかみたい人に最適。論点が明確で、入門者でもつまずかない。
こんな人におすすめ
これから農業を学びたいが、何から手をつければいいかわからない初心者。あるいは、一度ざっとおさらいしたい社会人にも。
良い点
- 網羅的でバランスが良い
- 図表が多く理解しやすい
- コンパクトで通読しやすい
気になる点
- 深い議論は少ない
- 特定のテーマには物足りない
- やや教科書的で味気ない
出版社
平凡社
発売日
2026年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『世界一わかりやすい 日本の農業の教科書』って、タイトルがストレートですね。本当に世界一わかりやすいんですか?
佐藤メバル
確かに大げさなタイトルだけど、中身はしっかりしているよ。著者の鈴木宣弘さんは農業経済学の第一人者で、この本はまさに教科書。
歴史、政策、生産技術、流通まで全部カバーしていて、最初の一冊としてとても信頼できる。しかも図表が豊富で、文字だけじゃなく視覚でも理解できる工夫があるんだ。
橘ナナミ
なるほど。でも、他の本と比べて特に優れている点はどこですか?
佐藤メバル
優れているのはバランスの良さだね。例えば農業の歴史から現在のTPPのような貿易問題まで、一貫した流れで学べる。
同じ鈴木さんの『農業消滅』はもう少し論争的な内容だけど、こちらはニュートラルに基礎を固めたい人向け。

図解でよくわかる 農業のきほん: 栽培の基礎から新技術、流通、就農まで (すぐわかるすごくわかる!)
堀江武 著|誠文堂新光社
¥1,760(税込)
図解が豊富で、栽培の基礎から最新技術、流通、就農まで幅広くカバー。写真やイラストが多いので、イメージしながら学べる。「農業」自体にスポットを当て、品種改良や植物工場などの話題もあり、実務的にも役立つ。他の技術書より全体的で、農業の入口として最適。
こんな人におすすめ
農業の実践的な知識を身につけたい人、特に就農を考えているが具体的なイメージが湧かない初心者。家庭菜園を始めたい人にも。
良い点
- 図解でわかりやすい
- 技術から流通まで網羅
- 実用的で役立つ情報が多い
気になる点
- 経済学的分析は浅い
- ページ数が多く重い
- やや断片的な部分がある
出版社
誠文堂新光社
発売日
2015年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『図解でよくわかる 農業のきほん』、これは見た目からして親切そうです。写真や図がたくさんあると助かりますね。
佐藤メバル
そうなんだ。この本はまさに「きほん」を名乗るにふさわしく、植物の成長の仕組みから、土の話、病害虫対策、さらには農産物の流通まで、写真と図で解説してくれる。
特に就農を考えている人には、漠然としたイメージを具体的にしてくれる一冊だよ。
橘ナナミ
でも、こういう本って技術ばかりで経済的な話が少ないイメージがあります。
佐藤メバル
鋭いね。確かにどちらかと言えば技術寄りだが、第11章では「農業による地域活性化」やアグリビジネスの最前線にも触れていて、経済的な視点も意外とある。
完全にバランスが取れているわけではないけど、第一歩としては最良の技術入門書だと思う。

起業するなら「農業」をすすめる30の理由
鎌田佳秋 著|カナリアコミュニケーションズ
¥1,300(税込)
農業を「メーカー」として捉え、利益を上げるための具体的な手法を提示。著者はアグリハックの提唱者で、「農家はメーカー」という発想が新鮮。技術書ではなく経営指南書であり、マーケット意識を持ってコスト削減やプロセス最適化を図る方法が満載。現実的で即効性がある。
こんな人におすすめ
農業で稼ぎたいと考えている農業従事者や新規就農希望者。特に、ただ作るだけでなく経営視点を持ちたい人に。
良い点
- ビジネス視点で実践的
- 具体的な手法が豊富
- 読みやすい構成
気になる点
- 技術的な内容は少ない
- すべての農家に当てはまらない
- やや個人の経験に偏る
出版社
カナリアコミュニケーションズ
発売日
2021年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『起業するなら「農業」をすすめる30の理由』って、タイトルに「起業」とあるのが気になります。農業を始めるって、起業と同じ感覚なんですね。
佐藤メバル
その通り。著者の鎌田さんは農業を「メーカー」と捉えている。つまり、ただ作物を作るんじゃなくて、市場を意識して、どう売るかを考えながら生産するんだ。
この本ではそのための具体的な方法、例えばコスト削減のアイデアやプロセスの最適化などが30の理由としてまとめられている。
橘ナナミ
でも、農業って天候に左右されたり、なかなか思うようにいかないと聞きますけど、そんなに簡単なんですか?
佐藤メバル
簡単ではないよ。でも、この本は「楽して儲ける」方法ではない。しっかり働いて、しっかり稼ぐための現実的なアドバイスが詰まっている。
特にマーケットインの発想は重要で、これまでの「作ってから売る」から「売るものを作る」への転換を促す。

小さい農業でしっかり稼ぐ! 兼業農家の教科書 (DO BOOKS)
田中康晃 著|同文舘出版
¥1,870(税込)
兼業から始めて農業年商1000万円を達成する実践ノウハウが満載。著者が自らの10年間の失敗と成功をもとに、「逆バリ農業」(機械化できない手作業の強みを活かす)を提唱。規模拡大ではなく、品質と直販で勝負する方法が具体的に書かれている。リモートワークの普及を追い風にした新しい農業スタイル。
こんな人におすすめ
脱サラして農業を始めたい人、または兼業で農業にチャレンジしたいサラリーマン。ゼロからのスタートでも実践できる内容。
良い点
- 兼業でも実践可能
- 具体的な成功事例
- リモート時代にマッチ
気になる点
- 対象が限定的
- 地域によっては通用しない
- やや自己啓発的
出版社
同文舘出版
発売日
2023年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『小さい農業でしっかり稼ぐ! 兼業農家の教科書』って、副業として農業を考える人が増えている今、タイムリーなテーマですね。
佐藤メバル
本当にそうだね。著者の田中さん自身が脱サラして、兼業から始めて年商1000万円を達成した実践者なんだ。
この本の面白いところは、「逆バリ農業」という考え方で、機械化できない手作業の強みを活かすんだ。
つまり、大量生産ではなく、徹底的に美味しいものを作って直販することで、単価を上げる戦略。
橘ナナミ
でも、兼業って時間が限られているのに、そんなにうまくいくものなんですか?
佐藤メバル
そこがミソで、著者はリモートワークの普及を追い風にしている。例えば、昼間は会社の仕事をして、早朝や夕方に農作業をするスタイル。
さらに、農園直販の仕組みを作れば、中間マージンがなくなるから利益率が上がる。時間の効率化と販路の確保が鍵だと本書は教えてくれる。

難しいことはわかりませんが、50歳でも農業を始められますか?
深瀬貴範 著|淡交社
¥1,870(税込)
「50歳でも農業を始められますか?」というタイトルが全てを物語る。セカンドキャリアとして農業を考える中高年向けに、具体的な始め方、情報収集法、資金計画までをやさしく解説。人生100年時代、50歳は若手というメッセージが励みになる。付録の先輩インタビューや相談先一覧も実用的。
こんな人におすすめ
50歳前後でセカンドキャリアを考えている人、または定年後に農業に興味があるが不安を感じている人。
良い点
- 年齢に特化した内容
- 実践的なアドバイス
- 励ましになるメッセージ
気になる点
- 若い人には不要
- 専門知識は得られない
- やや冗長な部分がある
出版社
淡交社
発売日
2024年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『難しいことはわかりませんが、50歳でも農業を始められますか?』って、タイトルが面白いですね。でも、なんで50歳に特化しているんですか?
佐藤メバル
著者の深瀬さんは元々リクルートで人事を経験していて、その後農業キャリアコンサルタントとして多くのセカンドキャリア希望者を支援してきたんだ。
この本は、体力や資金に不安がある中高年向けに、「50歳ならバリバリの若手」というポジティブな視点で書かれている。
まずは週末農業から始める方法や、相談窓口の活用法まで、実践的だよ。
橘ナナミ
なるほど。でも、若い人が読んでも役に立つんでしょうか?
佐藤メバル
もちろん半分ぐらいは年齢に特化した内容だから、若い人には合わない部分もある。でも、農業を始める際の心構えや情報収集の方法は普遍的なので、そういう意味では初心者なら年齢関係なく参考になる。
ただ、やはりメインの読者層は中高年だね。

農業経済学 第6版 (岩波テキストブックス)
荏開津典生 著|岩波書店
¥2,970(税込)
岩波テキストブックスシリーズの一冊で、食料問題から日本農業の構造まで経済学の理論で解説。最新データを使い、「知識と理論を組み合わせた体系」を提供。初学者向けだが、大学の講義で使われるだけあって本格的。他書より理論的で、農業経済学を学ぶならまずこの一冊。
こんな人におすすめ
大学で農業経済学を学ぶ学生、あるいは理論的な基盤をしっかり身につけたい社会人や研究者。
良い点
- 理論と実態のバランスが良い
- データが最新
- 信頼性の高いテキスト
気になる点
- やや難しい
- 値段が高い
- 図表が少ない
出版社
岩波書店
発売日
2026年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『農業経済学 第6版』は岩波テキストブックスなんですね。大学の教科書みたいなイメージですが、初心者でも読めるんでしょうか?
佐藤メバル
正直、前提知識が全くないと少し難しいかもしれない。でも、この本は経済学の理論を使って農業問題を整理するスタイルなので、ミクロ経済学の基礎ぐらい知っていれば十分ついていける。
データも新しく、第6版ということで改訂を重ねて洗練されている。農業経済学を本格的に学びたいなら、まずこの本を選ぶといい。
橘ナナミ
他の入門書と比べて、何が一番の特徴ですか?
佐藤メバル
特徴は体系性だね。単なるトピック集ではなく、需要・供給、市場の失敗、政策の効果などを一貫した枠組みで説明している。
だから、個別の問題を考えるときにも応用が効く。ただし、値段は少し高いし、気楽に読めるタイプではない。

新しい農業経済論〔新版〕: マクロ・ミクロ経済学とその応用 (有斐閣ブックス 382)
山口三十四 著|有斐閣
¥2,530(税込)
マクロ経済学とミクロ経済学の基礎を応用して農業問題を解説するテキスト。付録で経済学の基本もカバーしており、初学者でも取り組みやすい。国際化する食料問題をテーマに、輸入自由化や円高の影響などを具体的に分析。新版では政策の章が新設され、より実践的になった。
こんな人におすすめ
経済学の知識を農業に応用したい大学生やビジネスパーソン。農業政策に関心がある人にも。
良い点
- 経済学の復習にもなる
- 国際問題を扱う
- 価格が手頃
気になる点
- やや古いデータもある
- 内容が専門的
- ページ数が少ない
出版社
有斐閣
発売日
2020年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『新しい農業経済論』って、タイトルに「新しい」とあるけど、何が新しいんですか?
佐藤メバル
この本は、従来の農業経済学のテキストに比べて、マクロ経済とミクロ経済の両方の視点をバランスよく取り入れているのが新しい点だね。
特に国際化の影響を分析するのに、為替レートや貿易理論を使っているところがユニーク。付録で経済学の基礎を復習できるので、久しぶりに学ぶ人にも優しい。
橘ナナミ
なるほど。でも、他のテキストとどう使い分ければいいですか?
佐藤メバル
例えば、荏開津さんの『農業経済学』がオーソドックスなテキストだとすれば、この山口さんの本はより国際経済に焦点を当てている。
特に牛肉・オレンジの輸入自由化以降の日本農業を扱っているので、貿易問題に関心がある人にはこちらがおすすめ。
ただ、データが少し古い部分もあるから、最新情報は別途確認が必要だね。

農業経済論 新版
速水佑次郎 著|岩波書店
¥5,230(税込)
速水佑次郎による、自立した農業経営を目指すための理論書。新版では現代の課題にも対応。経営の指針を経済学の視点から提供し、他のテキストより実践的。ややハードルは高いが、農業経営を真剣に考えるなら外せない一冊。
こんな人におすすめ
農業経営者や経営を学ぶ学生、特に理論と実践の橋渡しをしたい人。
良い点
- 経営に特化した内容
- 理論的に深い
- 著者の権威
気になる点
- 難解で読みにくい
- 価格が非常に高い
- 最新情報が少ない
出版社
岩波書店
発売日
2002年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『農業経済論 新版』って、著者が速水佑次郎さんですね。名前は聞いたことがありますが、どんな本ですか?
佐藤メバル
速水さんは農業経済学の大家で、この本は自立した農業経営を形成するための指針を理論的に示したものだ。
他のテキストが食料問題や政策に重点を置くのに対して、こちらは経営者視点。例えば、規模の経済や技術選択、リスク管理などを経済学のフレームワークで分析している。
ただ、結構難しいし、値段も高いから、初心者にはちょっとハードルが高いかもしれない。
橘ナナミ
やっぱり難しいんですね。でも、経営に興味があるので、いつか挑戦してみたいです。
佐藤メバル
その意気だ!まずは他の入門書で基礎を固めてから読むといい。この本は農業経営の古典として長く読み継がれているから、経営を本気で考えるなら必読だよ。
ただ、出版から時間が経っているので、データは古い部分を割り引いて読む必要がある。

食と農の経済学: 現代の食料・農業・農村を考える (MINERVA TEXT LIBRARY 37)
橋本卓爾 著|ミネルヴァ書房
¥4,030(税込)
ミネルヴァ書房のテキストシリーズで、食料・農業・農村の現代的な課題を幅広くカバー。章立てが明確で、各テーマを独立して読めるのが特徴。入門書としてはやや高度だが、議論はバランスがよく、参考文献も充実。他のテキストより社会学の視点が強い。
こんな人におすすめ
農業経済学を学ぶ大学生や、食と農を多面的に理解したい一般読者。
良い点
- 章立てが明確
- 最新のテーマを扱う
- 参考文献が豊富
気になる点
- やや学術的で難しい
- 価格が高い
- 図表が少ない
出版社
ミネルヴァ書房
発売日
2004年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『食と農の経済学』は、他のテキストとどう違うんですか?タイトルからして似たような本がたくさんありそうですけど。
佐藤メバル
確かに似たようなタイトルは多いね。でもこの本はミネルヴァ書房のテキストシリーズの一冊で、現代の食料・農業・農村を考えるための入門書として設計されている。
特徴は、経済学だけでなく社会学や政治学の視点も取り入れているところ。例えば、農村の過疎化やジェンダー問題なども扱っていて、より多角的だ。
橘ナナミ
それは面白いですね。でも、内容が広すぎて浅くなったりしませんか?
佐藤メバル
確かに広い範囲をカバーしているから、一つのテーマの深さは限られる。しかし、各章の終わりに参考文献がしっかり挙げられているから、興味を持ったテーマをさらに深掘りできる。
良い入門書は、読者を次のステップに導くものだと思う。その点でこの本は優れている。

農業経済学事典
日本農業経済学会 著|丸善出版
日本農業経済学会編による本格的な事典。幅広い分野をカバーし、研究者や学生にとって必須のリファレンス。プリント・レプリカ形式で、タブレット端末での利用が前提。辞書的に引くのに最適だが、通読には向かない。他のどの本よりも網羅性が高い。
こんな人におすすめ
研究者や大学院生、農業経済学の専門家。調べ物が多い人。
良い点
- 網羅性が極めて高い
- 信頼性のある内容
- 専門用語の確認に便利
気になる点
- 通読には不向き
- 電子版の制約が多い
- 非常に高価
出版社
丸善出版
発売日
2019年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『農業経済学事典』は名前の通り事典なんですね。どんな時に使うんですか?
佐藤メバル
これはまさに辞書として引くための本だよ。農業経済学会が編纂しているから、内容の信頼性は抜群。
例えば「農業協同組合」の項目を引けば、歴史から現在の課題までコンパクトにまとまっている。ただ、プリント・レプリカ形式だから、Kindle Paperwhiteでは読めなくて、タブレットが必要。
値段も高いから、専門的に学ぶ人向けだね。
橘ナナミ
研究者じゃない私には必要ないですね。でも、一冊あると便利そう。
佐藤メバル
そうだね。もし大学の図書館にあれば、ちょっとした調べ物に重宝する。ただ、個人で買うとなると、よほどその分野にのめり込む覚悟がないと。
この本は他のどの本よりも網羅的だが、その代償として読み物としての面白さはない。

農業経済学講義
佐伯尚美 著|東京大学出版会
¥3,810(税込)
東大出版会から刊行された、本格的な講義録。333ページとボリュームがあり、理論と実証のバランスが良い。著者の佐伯尚美氏は農業経済学の重鎮で、わかりやすい語り口が特徴。他のテキストより歴史的な視点が強く、制度の成り立ちから学べる。
こんな人におすすめ
大学院生や研究者、農業経済学を深く学びたい人。予備知識がある程度あるとより理解が深まる。
良い点
- 講義形式でわかりやすい
- 歴史的視点がある
- 信頼性の高い内容
気になる点
- 厚くて重い
- 値段が高い
- 最新データではない
出版社
東京大学出版会
発売日
1989年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『農業経済学講義』は東京大学出版会から出ている本格的な本ですね。講義ってことは、実際の講義を再現しているんですか?
佐藤メバル
そう。著者の佐伯尚美さんは長年東大で教鞭をとってきた先生で、この本はその講義をもとにしている。語り口がとてもわかりやすくて、まるで教室で聞いているような感覚になる。
内容も理論と実証のバランスが良く、特に日本の農業政策の歴史的な変遷を理解するのに役立つ。
橘ナナミ
でも、他のテキストと比べて、どういう人に向いていますか?
佐藤メバル
この本は中級者以上向けかな。初心者には少し難しいかもしれないが、ある程度基礎ができている人には、知識を深めるのに最適。
特に農業政策の歴史を学びたい人には、他の本にはない厚みがある。ただし、出版から時間が経っているので、最新の動向を知りたいなら別の本を併読する必要がある。

農業で稼ぐ! 経済学
浅川芳裕 著|PHP研究所
TPP論争を機に書かれた、農業をめぐる「ウソ」を経済学で論破する痛快な一冊。「日本は土地がないから農業に適さない」などの説をデータで否定。ジャーナリストとエコノミストの共著で、読み物としても面白い。他の政策書よりストレートで挑戦的。
こんな人におすすめ
農業政策に疑問を持つ人、あるいは従来の農業観に違和感を感じているビジネスパーソンや学生。
良い点
- 挑戦的で刺激的
- データに基づく論破
- 読みやすい筆致
気になる点
- 主張が偏っている
- すべての農家に当てはまらない
- やや古い情報もある
出版社
PHP研究所
発売日
2011年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『農業で稼ぐ! 経済学』ってタイトルからして勢いがありますね。内容も攻めてそう。
佐藤メバル
その通り。この本はTPP危機説を真っ向から否定するところから始まるんだ。例えば「日本は土地がないから農業に適さない」という説に対して、オランダの例を挙げて反論する。
著者は気鋭のエコノミストとジャーナリストで、農業政策のタブーに切り込んでいる。かなり挑戦的だから、賛否は分かれるけど、読んで損はない。
橘ナナミ
でも、そういう本って極端すぎることもありますよね。
佐藤メバル
確かに偏りはある。だけど、今まで当然と思われていたことに疑問を投げかけるという点で価値がある。
特に、農水省の政策を批判する部分は強烈で、農業に興味がある人なら一度は読んでおくべき。ただし、反対意見もちゃんと知っておく必要があるから、バランスを取るために他の本も併読するといい。

図解でよくわかる 農業と節税のきほん: 今より確実に手取りを増やす
青木寿幸 著|誠文堂新光社
¥2,200(税込)
農業経営における税金対策に特化した実用書。個人農家から法人まで使える具体的な節税方法が満載。インボイス制度対応や農業年金、相続など、お金に関する知識をわかりやすく解説。他の経営書より実務的で、すぐに役立つ情報が多い。
こんな人におすすめ
農業経営者や農業法人の経理担当者。特に節税に関心がある個人農家。
良い点
- 実践的で即効性がある
- 図解でわかりやすい
- 最新の制度に対応
気になる点
- 節税以外の情報は少ない
- 対象が限定的
- 法律の変更に注意
出版社
誠文堂新光社
発売日
2023年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『図解でよくわかる 農業と節税のきほん』、農業でも節税が重要なんだなあ。具体的にどんなことが書いてあるんですか?
佐藤メバル
この本は、農業者にとってお金の知識は不可欠という視点から書かれている。例えば、農業法人を設立するメリット、生命保険の活用、相続対策、そして最近話題のインボイス制度への対応まで、図解でわかりやすく解説。
個人農家でも使える内容で、すぐに実践できるのが強みだ。
橘ナナミ
でも、税金の本って難しそうで、なかなか手が伸びません。
佐藤メバル
確かに税金は難しいけど、この本は図解を多用していて、視覚的に理解できるようになっている。難しい用語も丁寧に説明されているから、初心者でも大丈夫。
農業でしっかり利益を上げたら、次は節税を考えるのが賢い経営者だと思う。

金持ち農家、貧乏農家
高津佐和宏 著|かんき出版
¥1,760(税込)
約500人の農家を分析して見えた、金持ち農家と貧乏農家の思考と行動の違いを明かす。著者は元JA職員で経営コンサルタント。同じ作物を作っていても収入が違う理由を、生産、販売、経営の各側面から解説。成功事例を真似れば誰でも年収1000万円を目指せるという前向きな内容。
こんな人におすすめ
現在農業を営んでいるが、収入が伸び悩んでいる人。あるいはこれから農業を始めるが、成功するコツを知りたい人。
良い点
- 具体的な成功事例
- 思考の違いがわかる
- 実践的なアドバイス
気になる点
- 成功例に偏りがち
- すべての人に当てはまらない
- やや上から目線
出版社
かんき出版
発売日
2024年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『金持ち農家、貧乏農家』ってタイトルがストレートですね。農業にも格差があるんですね。
佐藤メバル
そうなんだ。著者の高津佐さんはJA時代に冷凍野菜工場を成功させた経験があり、その後500人以上の農家をコンサルしてきた。
その中で見えたのは、金持ち農家と貧乏農家では考え方や行動が根本的に違うということ。例えば、金持ち農家は計画的に生産し、販売先を複数持つ。
貧乏農家は思い付きで作ってJAに任せっきり。この本はその差を具体的に教えてくれる。
橘ナナミ
なるほど。でも、本書のアドバイスを実践すれば誰でも儲かるようになるんですか?
佐藤メバル
万能ではないけど、基本的な考え方を変えるだけでも効果は大きい。例えば、「農家はメーカー」という意識を持つこと。
ただ作るのではなく、マーケットを見て、どう売るかを考える。この本はそのためのヒントが満載だ。ただし、地域や作物によっては通用しない部分もあるから、自分の状況に合わせて取捨選択する必要がある。

農業に転職! 就農は「経営計画」で9割決まる
有坪民雄 著|プレジデント社
¥1,760(税込)
元経営コンサルタントで農家歴25年の著者が、脱サラ就農のノウハウを「経営計画」に焦点を当てて解説。「経営計画書」の作り方が具体的で、他の就農本にはないビジネス視点がある。田舎暮らしの人間関係や技術革新の予想など、幅広いトピックをカバー。
こんな人におすすめ
脱サラして農業を始めたいと考えているサラリーマン、特に計画性を持って取り組みたい人。
良い点
- 経営計画の具体例
- 実践的なアドバイス
- 田舎暮らしの知恵
気になる点
- やや長い
- すべての地域に当てはまらない
- 価格が高め
出版社
プレジデント社
発売日
2019年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『農業に転職! 就農は「経営計画」で9割決まる』って、タイトルからして説得力があります。経営計画ってそんなに大事なんですか?
佐藤メバル
大事だよ。多くの人は「農業がしたい」という情熱だけで飛び込むけど、それが失敗の原因になる。著者の有坪さんは元コンサルタントで、自身も25年の農家経験がある。
この本では、資金計画や販売戦略をきちんと立てる方法を教えてくれる。特に「経営計画書」のテンプレートは実践的だ。
橘ナナミ
でも、計画を立てても天候とかで変わりますよね?
佐藤メバル
もちろん、農業は不確実性が高い。でも、計画がないとブレが大きくなる。この本はリスク管理の考え方も含めて教えてくれる。
例えば、複数の作物を作る、直販ルートを確保するなど。経営計画はあくまで羅針盤であって、状況に応じて修正すればいい。

ファームシャングリラ 農業で叶える人と自然が共生する未来
山岸暢 著|幻冬舎
¥1,760(税込)
利益追求のビジネスから転換し、自然と共生する農業を実践する著者の物語。「ファームシャングリラ構想」という共有型農園のモデルがユニーク。競争ではなく共創で、農業を通じて人間らしい生き方を取り戻す提案。他の実用書とは異なり、哲学的な深みがある。
こんな人におすすめ
農業に精神的な豊かさを求める人、あるいは持続可能な社会に関心がある人。
良い点
- 哲学的に深い
- 具体的な実践例
- 共感を呼ぶストーリー
気になる点
- 経営ノウハウは少ない
- 理想論に聞こえる
- 実践にはハードルが高い
出版社
幻冬舎
発売日
2024年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『ファームシャングリラ』って、タイトルがファンタジーみたいで素敵ですね。どんな内容ですか?
佐藤メバル
この本は、著者の山岸さんが利益重視の経営から転換して、自然と共生する農業を始めた体験記だ。淡路島で始めた「ファームシャングリラ」は、参加者全員が共同で農作業を行い、収穫を分け合うという共有型農園。
競争ではなく、みんなで幸せを追求するモデルで、著者の人間観や社会観が色濃く反映されている。
橘ナナミ
面白そうですね。でも、現実的には難しいんじゃないですか?
佐藤メバル
確かに理想論に聞こえる部分もある。でも、現代社会に疲れた人にとって、一つの光明になる。この本は、農業を通じて「人間らしい生き方」を問い直すきっかけを与えてくれる。
実用的なノウハウを求めている人には物足りないかもしれないが、心の豊かさを重視する人には強く響くはず。

農業ビッグバンの経済学: 真の食料安全保障のために
山下一仁 著|日本経済新聞出版
¥2,820(税込)
食料安全保障の観点から、日本の農業政策の大胆な改革を提案。農地法廃止とゾーニング強化、高米価から直接支払いへの転換など、具体的でラディカルな政策提言が満載。農協や農水省の解体も視野に入れた、刺激的な一冊。他の政策書より踏み込んでいる。
こんな人におすすめ
農業政策に詳しい人や研究者、あるいは現状の農政に不満を持つ農家やジャーナリスト。
良い点
- ラディカルな提言
- 具体的な政策案
- データに基づく論理
気になる点
- 賛否が分かれる
- 実現可能性に疑問
- やや一方的な主張
出版社
日本経済新聞出版
発売日
2010年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『農業ビッグバンの経済学』って、タイトルがすごいですね。ビッグバンってことは、大きな変革を提唱しているんですか?
佐藤メバル
その通り。著者の山下一仁さんは、元農水省の官僚で、今は経済評論家。この本では、食料安全保障を真に確保するためには、農地法を廃止してゾーニングを強化するといった、非常に大胆な政策転換を提案している。他の政策書にはないスケール感がある。
橘ナナミ
でも、そんな大きな改革って実現できるんですか?
佐藤メバル
実現可能性については議論が必要だが、問題の本質を突いていることは確か。例えば、現行の米価維持政策が結果的に農業を弱体化させているという指摘は説得力がある。
この本を読めば、農政の「当たり前」を疑う視点が身につく。ただし、主張が強いので、批判的な読み方も必要だ。

協同組合と農業経済 共生システムの経済理論
鈴木宣弘 著|東京大学出版会
鈴木宣弘による、協同組合の重要性を経済理論で証明する学術書。「私・公・共」の三部門モデルを提案し、協同組合が社会全体の利益を高めることを実証。農協改革への批判を含む、問題意識の強い内容。研究会や大学院レベルの読者向け。
こんな人におすすめ
農業経済学の研究者や大学院生、特に協同組合や農協の役割に興味がある人。
良い点
- 理論的に深い
- 実証データがある
- 政策提言もある
気になる点
- 非常に難解
- 値段が高い
- 電子版の制約が多い
出版社
東京大学出版会
発売日
2022年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『協同組合と農業経済』は鈴木宣弘さんの本ですね。かなり専門的な内容に見えますが、どんな人向けですか?
佐藤メバル
この本はかなり学術的で、大学院生や研究者が対象だね。鈴木さんはこの本で、従来の「私」と「公」だけの経済モデルでは不十分で、協同組合が果たす「共」の役割を組み込むべきだと主張している。
特に、農協改革を批判し、協同組合がなければ農家は買いたたかれるという実証データを示している。
橘ナナミ
難しそうですね。でも、なぜ協同組合がそんなに重要なんでしょう?
佐藤メバル
簡単に言うと、個々の農家は市場に対して弱い立場にある。協同組合があれば、共同で資材を買ったり、製品を売ったりすることで、価格交渉力を高められる。
この本はそれを経済学の理論で証明しているんだ。ただし、読むにはミクロ経済学の知識が必要だから、初心者はまず基礎を固めてから挑戦してほしい。

季刊『農業と経済』91巻2号(2025年春号)
秋津元輝 著|英明企画編集
¥1,870(税込)
季刊誌の特集号で、気候変動に対する農業の適応と緩和を多角的に論じる。座談会や専門家の論考が充実し、最新の研究や実践事例が豊富。単行本より緊急性が高く、時事的な情報を得られる。他の本より具体的な対策に触れている。
こんな人におすすめ
気候変動と農業の関係に関心がある人、あるいは最新の研究動向を追いたい専門家や学生。
良い点
- 最新の情報
- 多角的な視点
- 専門家の論考
気になる点
- 雑誌なので内容が分散
- 継続刊行物で完結しない
- やや高価
出版社
英明企画編集
発売日
2025年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『季刊『農業と経済』91巻2号』って、雑誌なんですね。特集が「気候危機時代を食べのびる」で、今の時代にぴったりです。
佐藤メバル
そう。この号は気候変動に焦点を当てていて、座談会や専門家の論考がぎっしり。例えば、水田からのメタン抑制技術や、フードマイレージの話など、具体的な対策が満載。
通常の書籍よりスピーディーに最新情報を得られるのが強みだ。
橘ナナミ
でも、雑誌だと情報が分散していて、体系的に学ぶには不向きでしょうか?
佐藤メバル
確かに、一つのテーマを深く掘り下げたいなら単行本の方がいい。でも、この特集号は一冊で気候変動と農業の全体像をつかめるように構成されている。
複数の著者が異なる視点から書いているから、バランスも良い。興味がある分野をさらに深掘りしたい場合は、参考文献をたどればいい。

農業消滅: 農政の失敗がまねく国家存亡の危機 (979;979) (平凡社新書 979)
鈴木宣弘 著|平凡社
¥968(税込)
鈴木宣弘による、日本の農業が消滅する危険性を警告する一冊。規制緩和で市場は拡大したが、農家の収入は減少という逆説をデータで示し、農政の失敗を批判。食料安全保障の観点から、国家戦略の欠如を鋭く指摘。コンパクトで読みやすく、入門者にもおすすめ。
こんな人におすすめ
農業の現状に危機感を持つ全ての人、特に若い世代や一般読者。政策に関心がある人にも。
良い点
- 警告が明確
- データが豊富
- 新書で読みやすい
気になる点
- 悲観的な内容
- 解決策が曖昧
- やや一方的
出版社
平凡社
発売日
2021年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『農業消滅』というタイトルが衝撃的です。本当に農業って消えてしまうんですか?
佐藤メバル
著者の鈴木さんは、このままでは農業が消滅すると警告している。例えば、食料自給率は38%まで下がり、農家の総収入は30年で3兆円も減っている。
一方で、食料関連の市場規模は1.5倍に拡大した。つまり、儲けが農家ではなく、中間業者や海外に流れているという構造だ。この本はその実態をデータで示している。
橘ナナミ
そんなに深刻なんですね。何か対策はあるんですか?
佐藤メバル
鈴木さんは、国家戦略として食料安全保障を確立すべきだと主張している。具体的には、国内生産を重視した政策への転換が必要だと。
ただ、この本は問題提起が中心で、解決策の詳細までは書かれていない。続編の『農政の羅針盤』などと併せて読むと、より理解が深まるだろう。

農政の羅針盤 新基本法のポイント
食料・農業・農村基本政策研究会 著|日本農業新聞
¥1,540(税込)
2024年に改正された食料・農業・農村基本法のポイントをQ&A形式で解説。農政の羅針盤として、今後の政策の方向性を理解するのに最適。図表が豊富で、コンパクトながら網羅的。他の本より実務的で、農業関係者必携。
こんな人におすすめ
農業政策に関わる実務者、農家、行政関係者、あるいは基本法の中身を知りたい一般読者。
良い点
- Q&Aでわかりやすい
- 最新の法律に対応
- コンパクトで持ち運びやすい
気になる点
- 法律の解説に特化
- 深い分析はない
- 値段の割にページ数が少ない
出版社
日本農業新聞
発売日
2026年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『農政の羅針盤 新基本法のポイント』は、まさにこれからの農業政策を知りたい人向けですね。でも、基本法って難しいイメージがあります。
佐藤メバル
確かに法律の条文は難しいけど、この本はQ&A方式でやさしく解説してくれている。例えば「食料安全保障って何?」「フードテックってどう位置づけられたの?」といった素朴な疑問に答えてくれる。
図表も豊富で、視覚的に理解できるのが助かる。
橘ナナミ
それなら私でも読めそうです。でも、この本を読めば農業政策のすべてがわかりますか?
佐藤メバル
基本法のポイントを押さえるには十分だが、実際の運用や細かい制度については別の資料が必要。あくまで羅針盤であって、地図帳ではない。
しかし、これから農政の議論についていきたい人にとっては、最初の一冊として最適だと思う。

2025年 日本の農業ビジネス (講談社現代新書 2418)
21世紀政策研究所 著|講談社
¥880(税込)
経団連のシンクタンクが描く、日本農業の未来像。「農業輸出大国化」を切り札に、ITや制度改革で新しいビジネスモデルを提案。農政のプロたちの議論を経て書かれており、現実的な視点と理想のバランスが良い。他の政策書よりポジティブ。
こんな人におすすめ
農業ビジネスに興味があるビジネスパーソン、あるいは日本経済の活性化策を考える人。
良い点
- ポジティブな未来像
- 具体的な提言
- 専門家の議論に基づく
気になる点
- 理想論に聞こえる
- 企業寄りの視点
- 現場の声が少ない
出版社
講談社
発売日
2017年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『2025年 日本の農業ビジネス』って、未来志向の本ですね。農業輸出大国になるって、本当に可能なんですか?
佐藤メバル
著者陣は経済、IT、農政の専門家で、現実的な分析をしている。例えば、日本の農産物の中には海外で人気が出そうなものがたくさんあるのに、制度やシステムのせいで輸出が進んでいない。
この本は、農業の大規模化や企業参入を促進すれば、輸出大国になれると主張している。かなり楽観的だが、根拠も示されている。
橘ナナミ
でも、小規模農家はどうなるんでしょう?この本の提案は大規模化が前提ですよね。
佐藤メバル
その点は批判もある。編者の一人も、最初は小規模農家への反発を感じたと書いている。だが、「農業を守ることにこだわりすぎて、結果的に衰退させた」という指摘には一理ある。
この本は、従来の保護政策ではなく、攻めの農業を提案している。賛否はあれど、議論の材料として価値がある。

いま、米で何が起きているのか ~米政策の未来地図を考える~
荒川隆 著|日本農業新聞
¥990(税込)
「令和の米騒動」の背景を踏まえ、米政策の課題と未来をコンパクトに論じる。著者は農水省で米政策に長年携わった元官僚で、生産者の視点を忘れない論考。71ページと薄いが、内容は濃密。合理的な価格形成や直接支払いなど、具体的な政策提案もある。
こんな人におすすめ
米作りに関わる農家や農業関係者、あるいは米政策に関心がある一般読者。短時間で読みたい人に。
良い点
- コンパクトで読みやすい
- 現場の視点がある
- 具体的な提案
気になる点
- 米に特化している
- ページ数が少ない
- 著者の立場が色濃い
出版社
日本農業新聞
発売日
2025年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『いま、米で何が起きているのか』って、まさに今話題の「令和の米騒動」に関する本ですね。71ページと薄くて、すぐに読めそうです。
佐藤メバル
そうなんだ。著者の荒川さんは農水省で長年米政策を担当してきた人で、この本では米の需給問題や価格形成の仕組みをわかりやすく解説している。
さらに、将来の米政策の方向性として、直接支払いの拡大など具体的な提案もしている。薄い本だが、中身はぎっしり詰まっている。
橘ナナミ
米騒動ってニュースで聞きますが、原因は何なんですか?
佐藤メバル
複合的な要因があるけど、この本では生産調整の影響や国際価格の高騰などを挙げている。著者は、生産者の立場に立った政策が必要だと主張している。
短いので、まずはこの本で全体像をつかむといい。その後、さらに詳しく知りたい場合は、他の本で深掘りすればいい。
押さえておきたい網羅ポイント
橘ナナミ
定番の教科書以外にも、いろんな本があるんですね。競合の記事にはどんな本がよく出てくるんですか?
佐藤メバル
まず荏開津・鈴木シリーズ、速水・神門は外せない。入門書では生源寺、浅川・飯田。政策解説なら奥原、本間、豊田。ビジネス実務書では嶋崎、窪田・山口。環境・持続可能性では栗山、波夛野。国際・貿易では應和と『日本は世界5位の農業大国』。フードシステム・食料経済は時子山、神門。統計・計量は藪や『入門実践する計量経済学』。院試対策には演習書も必要だ。最新動向としてはスマート農業やソーラーシェアリングを扱った本も増えている。
橘ナナミ
実際のところ、就活や院試に直結する「頻出テーマ」ってありますか?
佐藤メバル
大きく分けて「食料安全保障」「農業政策の歴史」「貿易自由化と国内農業」「環境と農業の調和」が頻出だ。例えば2024年に改正された食料・農業・農村基本法について『農政の羅針盤』で押さえ、『農業消滅』で問題意識を深め、『農業ビッグバンの経済学』で具体的な改革案を学ぶと、面接や論述で説得力が増す。
競合が手薄な差別化ポイント
橘ナナミ
佐藤さん、競合の記事をいくつか見たんですが、どれも本の羅列で、どう選べばいいのか迷ってしまいました。
佐藤メバル
そこが問題だ。僕たちは「読者属性×目的」でマトリクス的に整理する。例えば「院試を控えた学部生」には、まず生源寺の入門書→荏開津の教科書→速水の専門書+『農業経済学事典』というロードマップを提示できる。また各書籍の「ここがユニーク」を一文で明示する。例えば浅川『農業で稼ぐ!経済学』は「経済学で農業のタブーを論破する痛快さ」が光る。
橘ナナミ
それから、電子版の有無も気になります。
佐藤メバル
よい着眼点だ。『農業経済学事典』のKindle版はプリント・レプリカ形式でタブレット専用、『協同組合と農業経済』も同様だ。一方、荏開津や速水の岩波テキストブックスは普通のKindleでも読める。就農を考えるなら、『小さい農業でしっかり稼ぐ!』が実践的で、電子版も出ている。
よくある質問
農業経済学を学び始めたいが、最初に読むべき本は?
橘ナナミ
農業経済学を学び始めたいが、最初に読むべき本はについて教えてください。
佐藤メバル
生源寺眞一『新版 農業がわかると社会のしくみが見えてくる』が最適です。授業形式で予備知識不要、最新データで2025年現在も通用します。
大学院入試の対策にはどのテキストがおすすめ?
橘ナナミ
大学院入試の対策にはどのテキストがおすすめについて教えてください。
佐藤メバル
荏開津典生『農業経済学 第6版』と速水佑次郎『農業経済論 新版』の2冊で理論の基礎を固め、『農業経済学事典』で用語を確認すると良いでしょう。
荏開津『農業経済学』第5版と第6版、どちらを買うべき?
橘ナナミ
荏開津『農業経済学』第5版と第6版、どちらを買うべきについて教えてください。
佐藤メバル
第6版を強く推奨します。 第5版(2015年)から統計データが大幅に更新され、食料安全保障や国際情勢の記述が現代に合っています。
農業政策について理解するのに良い本は?
橘ナナミ
農業政策について理解するのに良い本はについて教えてください。
佐藤メバル
山下一仁『農業ビッグバンの経済学』が具体的な改革案を示します。さらに『農政の羅針盤』(日本農業新聞)で最新の基本法改正ポイントを押さえましょう。
実際の農業ビジネスに役立つ経済学の本はない?
橘ナナミ
実際の農業ビジネスに役立つ経済学の本はないについて教えてください。
佐藤メバル
浅川芳裕『農業で稼ぐ!経済学』は経済学の視点から農業経営を論破し、実践的なヒントが満載です。鎌田佳秋『起業するなら「農業」をすすめる30の理由』もおすすめ。
農業経済学と食料経済学の違いは?それぞれの定番書は?
橘ナナミ
農業経済学と食料経済学の違いは?それぞれの定番書はについて教えてください。
佐藤メバル
農業経済学は生産・政策・経営を広く扱い、食料経済学は流通・消費・フードシステムに焦点を当てます。定番は農業経済学=荏開津、食料経済学=時子山・神門の教科書です。
電子書籍で手に入る農業経済学のおすすめは?
橘ナナミ
電子書籍で手に入る農業経済学のおすすめはについて教えてください。
佐藤メバル
荏開津『農業経済学 第6版』や生源寺の入門書はKindleで普通に読めます。ただし『農業経済学事典』や『協同組合と農業経済』はプリント・レプリカ形式でタブレット専用なので注意。
初心者でも読みやすい、図解や新書のおすすめは?
橘ナナミ
初心者でも読みやすい、図解や新書のおすすめはについて教えてください。
佐藤メバル
『図解でよくわかる 農業のきほん』(堀江武)は写真や図が豊富で技術面から理解できます。新書なら鈴木宣弘『農業消滅』(平凡社新書)が問題を鋭く整理していて読みやすいです。
まとめ
橘ナナミ
ここまでたくさん教えていただいて、農業経済学の世界がぐっと身近になりました。でも、初心者の私にはまだ何がベストか迷います。
佐藤メバル
最初の一冊は、自分の興味に一番合ったものを選べばいい。理論を学びたいなら生源寺、政策に興味があれば鈴木宣弘の新書、ビジネスなら浅川。どの本も「農業経済学」という大きな木の枝葉にすぎない。大切なのは、自分がどの枝にぶら下がりたいか、だ。 読書は旅のようなもの。まずは一歩踏み出してみよう。
橘ナナミ
はい!まずは『新版 農業がわかると社会のしくみが見えてくる』から読んでみます。ありがとうございました。
佐藤メバル
いいね。その本が土台になって、次に読む本の解像度が格段に上がるはずだ。農業経済学は、私たちの食と未来を考えるための、とても実践的な学問だ。楽しんで学んでほしい。








