騙し合い小説本のおすすめ人気ランキング25選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年8月
橘ナナミ
最近「騙し合い小説」って言葉をよく見かけるんですけど、普通のミステリーとどこが違うんですか?
佐藤メバル
ミステリーが謎解きを中心に置くのに対し、騙し合い小説は「嘘と駆け引き」そのものが物語の核になる。『ジョーカー・ゲーム』のスパイ同士の頭脳戦も、『六人の嘘つきな大学生』の心理戦も、登場人物が互いを出し抜こうとする。読者も騙し合いに参加させられる感覚が魅力だね。
橘ナナミ
どんでん返しとは違うんですか? 「叙述トリック」という言葉もあって、ややこしいです。
佐藤メバル
どんでん返しは結末の逆転、叙述トリックは読者の思い込みを利用する技法。騙し合い小説は両方の要素を持ち得る。『#真相をお話しします』はどんでん返しと叙述トリック的な罠が共存する好例だよ。
橘ナナミ
じゃあ、そういう仕掛けを知ってしまうと台無しになりませんか?
佐藤メバル
だからこそ選び方のコツは「読後の感触」や「ボリューム感」で判断すること。短編集なら試しやすいし、長編が好きなら『欺瞞の殺意』のような往復書簡形式もある。これから目的別・レベル別に紹介していくね。
騙し合い小説本の選び方
目的別:痛快さ・戦慄・知的興奮
橘ナナミ
何を味わいたいかで選ぶのが良さそうですね。
佐藤メバル
痛快さなら『馬鹿と詐欺師とギャンブラー』の大博打、戦慄なら『誘拐遊戯』、知的興奮なら『欺瞞の殺意』の推理合戦。同じ“騙し”でも目的地が違うんだ。
経験別:初心者から上級者まで
橘ナナミ
ミステリー初心者でも大丈夫ですか?
佐藤メバル
まずは東野圭吾『嘘をもうひとつだけ』の短編集が入り口に最適。中級者なら『六人の嘘つきな大学生』、上級者は『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』に挑戦してみて。
形式別:長編・短編集・連作
橘ナナミ
短時間で読みたいときはどう選べばいいですか?
佐藤メバル
結城真一郎『#真相をお話しします』は五編の連作短編集。じっくり読みたいなら柳広司『ジョーカー・ゲーム』の七話がおすすめだよ。
時代・国別:現代日本/古典ミステリ/海外サスペンス
橘ナナミ
最近の作品ばかりじゃないんですね。
佐藤メバル
トーベ・ヤンソン『誠実な詐欺師』は海外古典の異色作。現代日本なら月村了衛『欺す衆生』、海外サスペンスならジェフリー・ディーヴァーの短編集をどうぞ。
仕掛けのタイプ別:叙述トリック/コン・ゲーム/頭脳戦/どんでん返し
橘ナナミ
仕掛けのタイプで選ぶコツを教えてください。
佐藤メバル
叙述トリックは『かわりに嘘』、コン・ゲームは乃南アサ『結婚詐欺師』、頭脳戦は森博嗣『ダマシ×ダマシ SWINDLER』、どんでん返しの連打は『騙す(仮) ミステリアンソロジー』。
読後感の好み:爽快/後味が悪い/胸が温まる/ゾッとする
橘ナナミ
最後は読後の気分ですよね。
佐藤メバル
爽快なら『もぎ取れ!3億円大作戦』、切ないなら『嘘』、温まるなら『嘘つきジェンガ』、ゾッとするなら『檻降り騙り』が合うよ。
騙し合い小説本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、25冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
騙し合い小説本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい

ジョーカー・ゲーム (角川文庫)
柳広司 著|KADOKAWA
¥814(税込)
戦前の日本陸軍に極秘に設けられたスパイ養成学校「D機関」。結城中佐が集めた異能の精鋭たちが、偽名と変装を駆使して国際情勢の裏側で諜報戦を繰り広げる短編連作。吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞をダブル受賞した、スパイ小説の金字塔だ。各話でスパイたちの機転と裏切りが炸裂し、嘘を武器に敵を出し抜く爽快感が味わえる。騙し合いの頂点を極めた一冊と言える。
こんな人におすすめ
スパイものの緊張感をたっぷり味わいたい人に。短編から読み始めたい人、戦前の国際情勢に興味がある人にも最適。通勤中に一話ずつ楽しめるのも魅力。頭脳戦の醍醐味がここにある。
良い点
- 短編でスピーディに読める
- スパイものの決定版
- 受賞歴が信頼の証
気になる点
- 一話完結で物足りなさも
- 歴史背景の予習が必要かも
- 騙しのスケールはやや小粒
出版社
KADOKAWA
発売日
2011年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
佐藤さん、『ジョーカー・ゲーム』ってどんな話ですか?スパイものと聞いて、すごく気になってます。
佐藤メバル
いい質問だね。戦前の日本陸軍に極秘に作られたスパイ養成学校『D機関』を舞台に、天才たちが諜報戦を繰り広げる短編集なんだ。
結城中佐が集めた異能の精鋭たちが、嘘を身にまとって敵を欺く。吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞を獲っていて、スパイ小説の金字塔と言える作品だよ。
橘ナナミ
なるほど!短編集なら、最初の一冊にもぴったりですね。どの話から読めばいいですか?
佐藤メバル
おすすめは冒頭の「ジョーカー・ゲーム」かな。D機関の訓練生が初めて実任務に挑む話で、騙し合いの基本が凝縮されている。
続けて他の話を読むと、スパイたちの多様な手口に驚かされるよ。

六人の嘘つきな大学生 (角川文庫)
浅倉秋成 著|KADOKAWA
IT企業の最終選考に残った六人の就活生。与えられたのは「チームを作り上げ、ディスカッションする」という課題だったが、直前に「六人の中から一人の内定者を決める」と変更される。すると六通の封筒から「●●は人殺し」という告発文が発見される。仲間だったはずの六人が疑心暗鬼になる心理戦が圧巻。2022年本屋大賞ノミネート、多くのミステリランキングで上位に入った話題作で、怒涛の伏線回収は読後にもう一度読み返したくなる。就活という舞台が嘘と真実を浮き彫りにする傑作だ。
こんな人におすすめ
就職活動を経験した人、これから就活する人に。集団の中で揺れる人間心理に興味がある人にもおすすめ。嘘が重なる人間関係の怖さと切なさを味わえます。
良い点
- 現代的な就活が舞台
- 伏線回収が見事
- 共感を呼ぶ人物描写
気になる点
- 序盤は人物把握に苦労
- 就活のリアルが辛いかも
- やや長尺で集中力が必要
出版社
KADOKAWA
発売日
2023年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
この本、書店で平積みになっていて気になっていました。就活生が嘘をつき合う話なんですよね?
佐藤メバル
そうだね。最終選考に残った六人が、一人の内定をかけて疑心暗鬼になっていくんだ。告発文の「●●は人殺し」がきっかけで、みんなの秘密が暴かれていく。
でも、単なる騙し合いではなく、それぞれが抱える正義や弱さが丁寧に描かれているから、読後には感動さえあるよ。
橘ナナミ
就活経験者としては、あの独特の緊張感が思い出されます。犯人探しのミステリとしても楽しめますか?
佐藤メバル
もちろん。本格的なミステリの構造を持ちながら、キャラクターの心情が深く掘り下げられていて、感情移入せずにはいられない。
ラストのどんでん返しには「そう来たか!」と膝を打つはずだ。

騙し絵の牙 (角川文庫)
塩田武士 著|KADOKAWA
大手出版社「薫風社」のカルチャー誌編集長・速水輝也。天性の人たらしで周囲を魅了するが、廃刊の危機に直面し、黒字化のための新企画に奔走する。社内政争、部下のトラブル、家庭の不和……。次々と降りかかる試練に、彼は満面の笑顔で立ち向かう。しかし、その笑顔の裏には何が潜むのか。『罪の声』の塩田武士が俳優・大泉洋を主人公に「あてがき」した話題作で、出版業界の光と闇をリアルに描く。ラストの図地反転のサプライズはまさに反則級。出版界の縮図の中で、嘘と誠実が交錯する。
こんな人におすすめ
出版業界や編集者に興味がある人、仕事人間ドラマを楽しみたい人に。大泉洋主演の映画とあわせて楽しむのもおすすめ。大人の駆け引きを学べる一冊です。
良い点
- 出版業界の裏側がわかる
- 主人公の人たらしぶり
- 映画化の原作本
気になる点
- 業界用語が多いかも
- 登場人物が多くて大変
- ラストの展開が好みを分ける
出版社
KADOKAWA
発売日
2019年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
佐藤さん、『騙し絵の牙』って大泉洋さんが主人公の本なんですね!あてがきってどういう意味ですか?
佐藤メバル
俳優を意識して、その人に演じてもらう前提で脚本や小説を書くことを「あてがき」と言うんだ。この小説は大泉洋さんを主人公に想定して書かれていて、実際に映画でも彼が演じている。
出版業界のリアルな裏側と、人の心を掴む術がたっぷり描かれていて、まるで編集者の実録を読んでいるような錯覚に陥るよ。
橘ナナミ
なるほど!じゃあ主人公の速水さんは、笑顔の裏で何を考えているんですか?
佐藤メバル
そこが最大の見どころだね。彼は演技しているのか、それとも素顔なのかが最後まで読者にわからない。ラストでそのすべてが揺らぐような展開が待っている。
人を騙すとはどういうことかを考えさせられる作品だよ。

噓つきジェンガ (文春文庫)
辻村深月 著|文藝春秋
直木賞受賞作『鍵のない夢を見る』の作者・辻村深月が放つ、騙しをテーマにした短篇集。コロナ禍のロマンス詐欺、中学受験の裏口、人気漫画原作者のサロン詐欺など、現代のリアルな詐欺を素材に、騙す者と騙される者の切実な心理を描く。「2020年のロマンス詐欺」「五年目の受験詐欺」「あの人のサロン詐欺」など、どの話もぐいぐい引き込まれる。単行本よりも文庫版では解説・一穂ミチが付いてさらに楽しめる。身近に潜む罠に気づかされる短編集だ。
こんな人におすすめ
詐欺や心理戦モノが好きな人、辻村深月のファンに。日常の何気ない場面で起こる恐怖を味わいたい人におすすめです。
良い点
- 辻村深月の巧みな心理描写
- 現代的なテーマで共感
- 短編から読み始めやすい
気になる点
- 短編のため物足りなさも
- 詐欺の手口がリアルで怖い
- 話ごとの繋がりは薄い
出版社
文藝春秋
発売日
2025年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『噓つきジェンガ』って、タイトルがすごく気になります。なぜジェンガなんですか?
佐藤メバル
良いところに目をつけたね。嘘を重ねるうちに、積み上げた塔が崩れてしまう危うさをジェンガに例えているんだ。
収録されているのは、コロナ禍のロマンス詐欺や中学受験の不正など、身近なテーマの騙しの話で、どの主人公も完全な悪ではなく、やりきれない事情を抱えている。辻村さんらしい人間描写が光るよ。
橘ナナミ
なるほど!タイトルの意味がわかって、ますます読みたくなりました。どれから読めばいいですか?
佐藤メバル
最初の「2020年のロマンス詐欺」がおすすめだよ。コロナ禍の孤独がリアルで、騙される側の心情にぐっとさせる。
あとで他の話を読み返すと、辻村さんの仕掛けに気づくはずだから。

嘘をもうひとつだけ (講談社文庫 ひ 17-24)
東野圭吾 著|講談社
¥792(税込)
東野圭吾の大人気シリーズ「加賀恭一郎シリーズ」の短編集。正直に生きたいと願いながらも、うっかり落とし穴に落ちてしまう人々。彼らが嘘で嘘を重ねていく様子を、刑事・加賀がじっくりと見抜いていく。表題作の「嘘をもうひとつだけ」を含む全七話とされるが、どれも加賀の温かさと鋭さが味わえる。東野圭吾がミステリーの核心をさらに掘り下げた一冊で、シリーズの中でも短編から読みやすい作品になっている。嘘の連鎖がやがて真実を生む。
こんな人におすすめ
加賀恭一郎シリーズのファンはもちろん、初めて東野圭吾に触れる人にも最適。短編なので通勤のお供に。人間の弱さに寄り添うミステリが好きな人へ。
良い点
- 短編で読みやすい
- シリーズの入口に最適
- 人間ドラマが濃厚
気になる点
- シリーズ既読者には物足りない?
- 加賀の出番は控えめ
- やや暗さを感じるかも
出版社
講談社
発売日
2003年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
東野圭吾さんの加賀恭一郎シリーズは初めてなんですが、この本から読んでも大丈夫ですか?
佐藤メバル
もちろん大丈夫だよ。この短編集は、加賀刑事がさまざまな嘘に絡んだ事件を解決していくんだけど、各話完結だからシリーズの前提知識がなくても楽しめる。
むしろ、短い中で人間の心理が深く描かれていて、東野圭吾の魅力が凝縮されていると言ってもいい。
橘ナナミ
そうなんですね!嘘をつく人の描写がリアルで、読んでいて胸が痛くなりそうですが。
佐藤メバル
その通り。でも、単に嘘を非難するのではなく、嘘をつくに至った哀しみや弱さに寄り添うのが加賀のスタイルなんだ。
読み終わると、人に優しくなれる気がするよ。

#真相をお話しします (新潮文庫 ゆ 16-3)
結城真一郎 著|新潮社
¥649(税込)
累計50万部突破、本屋大賞ノミネート、日本推理作家協会賞受賞の令和の話題作。マッチングアプリ、リモート飲み会、中学受験、精子提供、ユーチューバーなど、現代ならではのテーマを五つの短編で描く。どの物語も日常の裏に潜む「歪み」がテーマで、最後の一行でひっくり返る。結城真一郎の鮮やかな手口に、あなたは騙される。日本推理作家協会賞を受賞した表題作含む全編、どんでん返しの連続で読後感は爽快。新時代のミステリの旗手が放つ傑作短編集だ。
こんな人におすすめ
現代的なテーマのミステリを楽しみたい人、短編が好きな人に。SNSやネット社会に生きるあなたへの警鐘でもある。
良い点
- 現代の空気を切り取る
- どんでん返しの連続
- 短編で読みやすい
気になる点
- ネタバレ厳禁で議論しにくい
- テーマが身近すぎて怖い
- 話の好みが分かれるかも
出版社
新潮社
発売日
2024年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
SNSやマッチングアプリが題材と聞いて、まさに今の自分に刺さりそうで怖いです。
佐藤メバル
まさに狙いどころだよ。例えば「#拡散希望」はユーチューバーを夢見た子供たちの末路を描いているんだけど、SNSの怖さを実感を伴って味わえる。
どの話も「もしも自分がこの立場だったら?」と思わず考えてしまうのが魅力。だからこそ、騙される側の視点にも立てるんだね。
橘ナナミ
それなら、私でも犯人や仕掛けに気づけるか挑戦できそうです!
佐藤メバル
ぜひ挑戦してみて。ただし、この作者は読者の予想を上手に裏切ってくるから、最後の一行まで油断しないで。
どの話も一気に読めるから、休日の午後にぴったりだよ。

馬鹿と詐欺師とギャンブラー
GOKUMA 著
「小説家になろう」で日間総合1位、累計200万PV突破の話題作を土台にしたフルカラーコミック。噛み合わない三人が組んで挑むのは、「世界一のダイヤをルールの内側で素手で獲る」という大博打。カジノフロアの心理戦、イカサマと対イカサマ、豪華客船での駆け引き、そして桁外れの財力を持つ強敵が立ちはだかる。原作者GOKUMAが自らAI技術を活用して描いたグラフィックノベルで、全一四話・一二七四ページの大ボリューム。頭脳と度胸と友情で巨悪に挑む、痛快エンターテインメントだ。
こんな人におすすめ
カジノやギャンブルものに興味がある人、コミック感覚で読める小説を探している人に。友情と駆け引きが詰まった一冊。
良い点
- フルカラーで読みやすい
- 三バカトリオの掛け合い
- ページ数たっぷり
気になる点
- AI生成の絵が好みが分かれる
- 原作を知っていると別物
- 長編で気力が必要
出版社
詳細情報なし
発売日
2026年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
AI技術を使ってコミック化ってどういうことですか?普通の漫画と違うんですか?
佐藤メバル
通常の漫画はコマ割りや描き込みを人間の漫画家が担当するけど、これはAIを活用して作られたフルカラーのグラフィックノベルなんだ。
だから画風が独特で、コマ割りも通常の漫画とは違うとの注意書きがある。原作はWEB小説として人気を博し、それを現代のカジノ舞台にアレンジした完全オリジナルストーリーになっている。
橘ナナミ
なるほど!では、小説のコミカライズというより、原作をベースにした新しい作品なんですね。
佐藤メバル
その通り。だから原作ファンも新鮮に楽しめる。カジノの騙し合いがテーマだが、三人の友情とユーモアが絶妙で、読後感はむしろ爽快。
オススメはワクワクしながら一気に読みたくなる人だね。

欺す衆生 (新潮文庫)
月村了衛 著|新潮社
¥1,210(税込)
戦後最大の詐欺集団・横田商事。その元社員である隠岐と因幡は、元上司の勧誘により再び悪事に手を染める。原野商法から架空ファンドまで、時代を駆け上がる詐欺師たちの活躍を描いた犯罪巨編。山田風太郎賞を受賞した本作は、瓢箪から駒のようなユーモアと、手に汗握る駆け引きが満載。騙す側の人間模様を丹念に描き、読者は彼らを憎めなくなってしまう。口舌の力で大金を奪う快感を疑似体験できる。
こんな人におすすめ
ピカレスク小説や詐欺ものの重厚な話が読みたい人に。長い物語に浸りたい時に。悪の魅力に囚われること間違いなし。
良い点
- 山田風太郎賞受賞
- 二大詐欺師のキャラ
- 歴史的な背景も学べる
気になる点
- かなりの長編
- 倫理的に嫌悪感があるかも
- 入り込みすぎると疲れる
出版社
新潮社
発売日
2022年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
この本、タイトルの『欺す衆生』が難しいですね。どういう意味ですか?
佐藤メバル
「衆生」は仏教の言葉で、全ての生きとし生けるものを意味するんだ。つまり「生きとし生けるものすべてを欺く」という、なかなか強烈なタイトルだよね。
物語は戦後の混乱期に実在した詐欺集団・横田商事をモデルに、天才的な話術で人を騙す男たちの興亡を描いている。
月村了衛さんの犯罪小説は、読む者を悪の世界に引き込みながらも、理不尽な現実を浮き彫りにする力がある。
橘ナナミ
戦後から平成まで駆け上がる詐欺師の話なんですね。ページ数もあって読み応えありそうです。
佐藤メバル
ええ、752ページの長編だから、じっくり腰を据えて読むことをおすすめする。でも、登場人物の魅力で一気に読ませられるはず。
騙しの手口も緻密で、経済ヤクザとの攻防もスリリング。この一冊で月村ワールドにどっぷり浸かれるよ。

誠実な詐欺師 (ちくま文庫 や 29-2)
トーベ・ヤンソン 著|筑摩書房
¥858(税込)
ムーミンで世界的に知られるトーベ・ヤンソンが贈る、大人向けのユーモア溢れる中編集。表題作の「誠実な詐欺師」は、嘘をつくことで本当の自分を隠しながら生きる男と、彼を取り巻く人々の心の交錯を描く。もともとはスウェーデン語で発表された短編で、ヨーロッパでは高い評価を受けている。ムーミンの作者が「人を騙す」というテーマをどう描くのか。ヤンソンらしい温かな筆致と、鋭い人間観察が光る。ちくま文庫の解説も読みどころの一つ。誠実さとは何かを問いかける一冊だ。
こんな人におすすめ
ムーミン以外のトーベ・ヤンソン作品を読みたい人、軽妙洒脱な短編を楽しみたい人に。北欧文学の魅力に触れてみたい方へ。
良い点
- トーベ・ヤンソンの別の顔
- ユーモアと皮肉が効く
- 短めで読みやすい
気になる点
- 派手な事件はない
- タイトルほど詐欺ものではない
- 翻訳の質が気になる人も
出版社
筑摩書房
発売日
2006年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
トーベ・ヤンソンって、ムーミンの作者ですよね?大人向けの小説も書いているんですか?
佐藤メバル
そうなんだ。ムーミン以外にも多くの小説やエッセイを書いていて、特に『正直な詐欺師』は彼女のユーモアが詰まった短編として知られている。
嘘つきでありながら誠実な「詐欺師」の話で、人間の複雑さを愉快に描いているよ。北欧文学らしい自然の描写も魅力的だ。
橘ナナミ
詐欺師なのに誠実って、どういうことなんでしょう?興味が湧きます。
佐藤メバル
いい質問だね。この作品の主人公は、周囲に合わせて嘘をつくけど、その根底に誠実さがあるんだ。嘘と誠実の境界を柔らかく描いていて、読み終わると心が温かくなる。
ミステリとは少し違うけど、騙すことがテーマの一冊としておすすめだよ。

ダマシ×ダマシ SWINDLER (講談社文庫 も 28-75)
森博嗣 著|講談社
¥814(税込)
森博嗣のXシリーズ完結編。結婚したはずの男が消えた。婚姻届は出されておらず、預金もない。依頼を受けた女探偵・小川令子は、男が結婚詐欺の常習犯だと突き止めるが、事件は殺人に発展し、事務所の所長・椙田も大きな決断をする。本作はシリーズの集大成として、これまでの謎が回収されると同時に、偽りの時間と本当の思い出を問いかける。森博嗣ならではの知的な会話と、静かなサスペンスが魅力。終わりから始まる新たな希望が感じられる。
こんな人におすすめ
シリーズを読み継いできた人に、もちろん必読。初めて読む人でも、完結編として楽しめる工夫がある。日常の謎から社会の闇へ展開するのが味わえます。
良い点
- シリーズの完結にふさわしい
- 伏線回収と余韻
- 探偵の視点が新鮮
気になる点
- シリーズ未読だと置いてけぼり
- 派手なアクションはない
- 終盤の展開が好みを分ける
出版社
講談社
発売日
2020年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
探偵ものというと、依頼に来た人が犯人だったりするのが定番ですが、この話はどうですか?
佐藤メバル
そこが森博嗣のミステリの面白いところで、表面的な予想は裏切られるんだ。『ダマシ×ダマシ』は、結婚詐欺の男を追う女探偵が、彼の過去と事件に巻き込まれていく。
シリーズの完結編だからこそ、人間の偽りと真実の物語として深みがある。
橘ナナミ
シリーズを追っていなくても楽しめますか?
佐藤メバル
この巻からでも十分に楽しめるよ。ただし、登場人物の関係性はシリーズを重ねてきたからこそ意味を持つので、余裕があればぜひ前巻から読んでみて。
それが一番、森博嗣の世界を堪能するコツだね。

誘拐遊戯 (実業之日本社文庫)
知念実希人 著|実業之日本社
¥935(税込)
女子高生が誘拐され、身代金は5000万円。犯人は4年前の誘拐事件と同じ「ゲームマスター」を名乗り、交渉役に元刑事の上原真悟を指名する。東京中を駆け回る上原に課せられたミッションとは。知念実希人による極限の犯罪サスペンスで、戦慄と驚愕の結末が待っている。『あなたのための誘拐』を改題・改稿した本作は、時間との闘いが手に汗を握る。犯人の目的が最後の最後に覆る。
こんな人におすすめ
ハイテンションなサスペンスを求めている人に。東京の街を舞台にしたゲーム感覚のミステリが好きな人へ。一気読み必至の展開です。
良い点
- 息もつかせぬ展開
- 犯人との頭脳戦
- 身代金と誘拐の緊張感
気になる点
- 残酷な描写が苦手な人も
- 展開が強引なところも
- ラストの好みが分かれる
出版社
実業之日本社
発売日
2019年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
誘拐モノのサスペンスって、犯人の目的が意外なところにあることが多いですが、この作品もそうですか?
佐藤メバル
正直言って、そういう期待は裏切られないし、むしろ裏切られるよ。犯人「ゲームマスター」は元刑事を指名して、東京中を走り回らせるんだけど、その理由が終盤で明らかになる。
知念実希人さんは医学的知識も活かしたトリックで知られているけど、この作品はスピード感があって爽快。
橘ナナミ
読む手が止まらないってやつですね。どこから読んでも大丈夫ですか?
佐藤メバル
もちろん。これは完全な単独作品だから、この一冊から始めて大丈夫。改題前の『あなたのための誘拐』が気になる人は、そちらと見比べてみるのも面白いよ。

欺瞞の殺意 (角川文庫)
深木章子 著|KADOKAWA
¥858(税込)
昭和41年、資産家の一族が集まった法要で、長女と孫がヒ素で殺害される。容疑者は婿養子の弁護士だが、彼は無実を訴えながらも自白して無期懲役に。無実の罪を着せられた男と事件関係者が「往復書簡」を交わし、真犯人を探るという本格ミステリ。A.バークリーの『毒入りチョコレート事件』へのオマージュとして話題を集め、「このミス」と「本ミス」のW受賞作に。手紙の中に隠された嘘を見破れるかが勝負だ。
こんな人におすすめ
本格推理小説の醍醐味を味わいたい人、作中に隠された手がかりを探しながら読みたい人に。叙述トリックの一種も味わえます。
良い点
- W受賞の実力派
- 手紙形式の新しい趣き
- オマージュの元ネタも楽しい
気になる点
- 文体をじっくり読む必要
- スピーディーな展開ではない
- 古典ミステリを知らないと微妙?
出版社
KADOKAWA
発売日
2023年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
往復書簡だけでミステリが成立するんですね?読みやすさはどうですか?
佐藤メバル
確かに手紙のやり取りという形は読み慣れないかもしれないけど、むしろ各人の視点が変わることで、読者が登場人物たちと一緒に推理を深められるんだ。
この作品は、それぞれの手紙に嘘や誇張が紛れ込んでいて、どこに真実が隠されているのかを探すのが面白い。
A.バークリーの『毒入りチョコレート事件』へのオマージュとしても知られているんだよ。
橘ナナミ
古典ミステリを読んでいなくても楽しめますか?
佐藤メバル
もちろん大丈夫。ただ、元ネタを知っていると「あの仕掛けが使われている」と二倍楽しめる。まずはこの作品で深木章子さんの世界に入ってみるのがおすすめだよ。

かわりに嘘
鈴木七月 著|講談社
¥1,815(税込)
実際に起きてほしくないことをスマホにメモし続ける大学生・夏目。そのリストの7割は現実になるという。祖母の死で住む場所を失った彼女を助けたのは、正体不明の噂が絶えない東京のおば・宇曽川ひかり。彼女の家にある「開かずの扉」の向こうには死体が……? バイト先の幼馴染や謎の小学生も巻き込んで、おばの嘘と過去が明らかになる。第69回メフィスト賞受賞のデビュー作は、ユーモアと切なさが同居する唯一無二の世界。不思議で温かい嘘の物語だ。
こんな人におすすめ
ゆるい日常の中に謎を感じたい人、不思議系の小説が好きな人に。心配性な人なら共感できる主人公の思考も見どころ。
良い点
- 個性的なキャラクター
- ユーモアとミステリの融合
- 新人とは思えない筆力
気になる点
- 謎の解明はゆっくり
- ホラー要素が苦手な人も
- 登場人物が多い
出版社
講談社
発売日
2026年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
メフィスト賞作品って、いつも独特ですよね。この作品も変わっていますか?
佐藤メバル
はい、かなり個性的。心配事をメモしたらその7割が現実になる主人公に、怪しい噂のおば。開かずの扉を巡って、都市伝説や晴れ男の話まで絡み合うんだ。
コメディかと思いきや、後半はじわじわと切ない展開になっていく。これがデビュー作というから驚きだよ。
橘ナナミ
「開かずの扉」の向こうには何が隠されているんでしょう?気になります!
佐藤メバル
そこはぜひ読んで確かめてほしい。死体かもしれないし、もっと別の何かかもしれない。読んだ人それぞれの解釈ができそうな、不思議な余韻が残る作品だよ。

嘘 (PHP文芸文庫)
北國浩二 著|PHP研究所
息子を亡くした絵本作家・千紗子。絶縁していた父・孝蔵の介護のため帰郷したとき、事故で記憶を失い虐待の痕がある少年と出会う。彼を「自分の子供」として育てることにした千紗子は、「嘘」から始まる新しい家族の時間を過ごす。しかし、その幸せは徐々に破局へと向かう。気鋭のミステリ作家・北國浩二が描く、感動の家族小説。嘘から生まれる優しさと哀しみが胸を打つ。真実を知る時、嘘はどう変わるのかを問いかける。
こんな人におすすめ
家族の絆を描く物語が好きな人、切なくも温かい読後感を求める人に。嘘に込められた感情に触れたい方へ。
良い点
- 感動のストーリー
- 謎と共に家族の再生
- ミステリの技法も光る
気になる点
- 序盤は重苦しい
- 展開が切ない
- 回想が多くて混乱するかも
出版社
PHP研究所
発売日
2015年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ミステリ作家さんが書く家族小説というと、事件が起こるんですか?
佐藤メバル
この作品は殺人事件が中心というより、少年の記憶と虐待の真実が軸になっているんだ。千紗子が嘘をついて少年を引き取ったことから、家族ごっこが始まるんだけど、その嘘がいつか崩れるときの絶望が細やかに描かれている。
北國浩二さんは、読者の感情を揺さぶるのがとても巧みなんだ。
橘ナナミ
「嘘」というタイトルが二度刺さりそうですね。読んだ後はどんな気持ちになりますか?
佐藤メバル
読後は切なさと温かさが混ざり合う感じだね。嘘から始まった関係でも、真実の愛情は本物だったと気づかされる。
ミステリとしても、最後にどんでん返しが待っているから、一気に読ませられるよ。

サプライズ・エンディングス 嘘 (文春文庫)
ジェフリー・ディーヴァー 著|文藝春秋
サスペンスの名手ジェフリー・ディーヴァーが自ら「驚愕の結末」と命名した日本オリジナル短編集。収録された4編すべてが、意外な結末へと導かれる。リンカーン・ライムやキャサリン・ダンスなどおなじみのキャラクターも登場し、ファンにはたまらない一冊。どの話も、巧妙な伏線と見事な逆転が仕組まれている。最後の数行で世界がひっくり返る快感を味わえる。
こんな人におすすめ
どんでん返しミステリを求めている人に。短編集なので、スキマ時間にもぴったり。ディーヴァーの技法を凝縮して楽しめます。
良い点
- すべての話が当たり
- 技巧派の仕掛け
- 再読したくなる
気になる点
- 結末まで読むのが勿体ない
- 短編ゆえの物足りなさ
- 翻訳の文体が気になる?
出版社
文藝春秋
発売日
2026年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ジェフリー・ディーヴァーさんは、「リンカーン・ライム」シリーズで有名な人ですよね?短編集でも活かされているんですか?
佐藤メバル
そうだよ。本作には彼のシリーズの人気キャラクターが登場する短編も収録されているんだ。タイトルが『サプライズ・エンディングス』というだけあって、どの話も最後にどんでん返しが待っている。
日本オリジナルの編集で、彼の作品に初めて触れる人にもおすすめしやすい構成になっている。
橘ナナミ
では、シリーズ未読の私でも大丈夫ですか?
佐藤メバル
もちろん。シリーズを知らなくても、独立した短編として十二分に楽しめる。ただ、キャラクターの背景を知っていると、より深く登場人物を理解できるから、気に入ったら長編にも手を出してみて。

結婚詐欺師 (上) (幻冬舎文庫 の 2-5)
乃南アサ 著|幻冬舎
表題の通り、結婚詐欺師を主人公にした社会派小説。乃南アサが描く、ドロドロとした人間関係と、騙す側の論理と心情。上巻では、結婚詐欺によって生計を立てる男の生い立ちや人間像が丁寧に描かれ、単なる悪人ではない複雑さが見えてくる。未読の人は、まず人物像に注目してほしい。下巻でどのような結末を迎えるのか、期待が高まる内容。悪党の肖像を描きながら誠実な筆致が光る。
こんな人におすすめ
結婚詐欺事件や人間の欲望を描く小説に興味がある人に。乃南アサの社会派ミステリが好きな人へ。経済的な嘘の恐ろしさを考えさせられます。
良い点
- リアルな人間描写
- 社会の闇を暴く
- シリーズの先が気になる
気になる点
- 上巻のみでは結末がわからない
- 救いのない展開も
- 男性読者には違和感?
出版社
幻冬舎
発売日
1999年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
結婚詐欺師って、どんな人物なんでしょう?ニュースで見るとひどい人だと思いますが。
佐藤メバル
この小説では、結婚詐欺師を一方的に非難するのではなく、彼がどうしてそんな仕事を選んだのか、内面まで描いているんだ。
乃南アサさんはルポルタージュのように丹念に取材して、そのリアリティを作品に昇華している。上巻を読むと、憎みきれない部分が出てくるかもしれない。
橘ナナミ
そうなんですね。では、主人公は単純な悪人ではないと?
佐藤メバル
そのとおり。彼が誰を騙し、誰に騙されるのか。下巻でどのような結末が待っているのか。社会派ミステリとしての奥深さを感じられる一冊だよ。

アンソロジー 嘘と約束 (光文社文庫 あ 61-2)
アミの会 著|光文社
¥792(税込)
「アミの会」による書き下ろしアンソロジー。大崎梢、近藤史恵、福田和代、松尾由美、松村比呂美、矢崎存美という実力派の女性作家6名が、共通テーマ「嘘と約束」で紡ぐ短編の数々。それぞれの作家の個性が光るアレンジで、嘘と約束を巡る人間の不思議さを描く。どんでん返し要素もあり、贅沢な読書体験が詰まった一冊。テーマは同じ、味はそれぞれ。
こんな人におすすめ
短編の上手い作家を発掘したい人、書き手の違いを比べて楽しみたい人に。女性作家の視点で描かれる嘘が新鮮です。
良い点
- 6人の作家を好きになれる
- テーマの広がりがある
- 移動中に読める短編
気になる点
- 作家ごとの好みが出る
- テーマが薄い話もあるかも
- アンソロジー特有のまとまりのなさ
出版社
光文社
発売日
2023年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
アンソロジーって、色々な作家さんの話が一冊で読めるからお得ですよね。テーマが同じだと逆に違いが際立ちそうですね。
佐藤メバル
その通り。「嘘と約束」というお題に対して、ベテラン作家たちがそれぞれ独自の切り口で物語を提示しているんだ。
同じ嘘を扱っても、ミステリあり、人情話あり、ファンタジーありで、この一冊でいろんな味を楽しめる。ビギナーにもおすすめしやすい構成だよ。
橘ナナミ
どれから読めばいいですか?やはり最初からですか?
佐藤メバル
おすすめは、表紙の目次を見て、面白そうな作家から読むこと。でも、私は編集者が意図した順番を推奨するかな。
最初の話でアンソロジーの雰囲気をつかめるから。

騙す(仮) ミステリアンソロジー (双葉文庫)
彩坂美月 著|双葉社
¥836(税込)
「騙す」をテーマに描いた、どストレートのミステリ五編を収録した全編新作アンソロジー。彩坂美月はもちろん、豪華執筆陣による心理戦、伏線回収、どんでん返しが詰まっている。一読して「騙された!」と思わせる仕掛けの数々は、まさにミステリの醍醐味。五者五様のアプローチで、読み手の思考を鮮やかに裏切る。それぞれの「騙す」が光る新進作家たちの競演。
こんな人におすすめ
新しいミステリ作家を発掘したい人、短編集でどんでん返しを楽しみたい人に。テーマがストレートで、騙し合い好きには堪らない。
良い点
- 全編新作
- テーマが一体感
- どの話も上当たり
気になる点
- 登場人物の名前が似ている?
- ボリュームがやや少ない
- 好みの話が偏る可能性
出版社
双葉社
発売日
2026年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「騙す(仮)」ってタイトルが面白いですね。まだ確定じゃないの?
佐藤メバル
そこが狙いなんだろうね。タイトル自体が「仮」で、読者を騙しているという遊び心が感じられる。中身は五人の作家が「騙す」をテーマに書いた書き下ろし短編で、どの話も裏切りや逆転が爽快。
橘ナナミ
どんでん返しミステリを読むときは、途中で真犯人を当てようとするんですが、難しそうですね。
佐藤メバル
このアンソロジーの作家たちは、こちらが読者と会話しているかのように錯覚させるのが上手だよ。自分が騙されていることに気づく快感を、ぜひ味わってみて。

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)
米原万里 著|KADOKAWA
¥836(税込)
1960年のプラハ。ソビエト学校に通う著者・マリは、個性的な友達と先生に囲まれて刺激的な日々を過ごす。30年後、東欧の激変で音信不通の親友たちを探し当てたとき、彼女たちの知らなかった真実が明らかになる。米原万里はロシア語通訳者としても著名で、その体験に基づく本書は、少女の視点と大人の視点が織り交ざる、忘れられない一冊。嘘の中に隠された友情が物語を動かす。
こんな人におすすめ
実話に基づく物語が好きな人、国際社会や戦争の歴史に興味がある人に。少女時代の記憶をたどる躍動感を味わいたい方へ。米原万里のエッセイの魅力も感じられます。
良い点
- ノンフィクションの迫力
- 少女のまなざしが瑞々しい
- 国際的視点から学べる
気になる点
- 登場人物が覚えきれない
- 時代背景の知識が要る
- 文庫版の解説が長い?
出版社
KADOKAWA
発売日
2004年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
米原万里さんって、エッセイストのイメージがありますが、小説も書かれていたんですか?
佐藤メバル
そうだよ。彼女の作品はノンフィクションに限らず、自身の体験を基にした小説もあって、これもその一つだと思って間違いない。
ソビエト学校で出会った友人たちとの約束や嘘、そして30年後に明かされる真実。異文化の中で育つ少女の感情がとてもリアルに描かれている。
橘ナナミ
「嘘つきアーニャ」ってタイトルが印象的ですが、アーニャという子が嘘つきなんですか?
佐藤メバル
そこは読んでのお楽しみ。ただ、嘘つきと呼ばれる人物が抱える切ない理由がわかったとき、タイトルの意味が深く心に刺さる。
国際的な舞台で繰り広げられる人間ドラマとして、老若男女におすすめできる。

檻降り騙り (角川ホラー文庫)
木古おうみ 著|KADOKAWA
『領怪神犯』の木古おうみが贈る、極上の浸食系ホラー。学校や居酒屋で囁かれる「おまじない」を唱えた者に、「ケガレ」と呼ばれる怪異が訪れる。不登校の姉、他人と関われない青年、記憶の欠落を抱える大学生。それぞれの元に現れたケガレは、彼らの現実を甘美に蝕んでいく。唱えたくなる気持ちと唱えたくない恐怖が同居した新しいホラー。
こんな人におすすめ
ホラー好きにはたまらない、静かに不穏な世界を楽しみたい人に。恐怖の質が独特で、読後も余韻が残ります。
良い点
- 木古おうみの独特な世界
- じわじわとくる恐怖
- キャラクターの心情が丁寧
気になる点
- 重い内容が苦手な人も
- 抽象的な描写が多い
- 救いのない展開
出版社
KADOKAWA
発売日
2024年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
浸食系ホラーって初めて聞きました。どんな感じなんでしょうか?
佐藤メバル
化物が襲ってくるというより、少しずつ何かが心に入り込んで、自分が知らない自分になっていくような恐怖を味わうんだ。
「おまじない」がもたらす安堵と快楽が、やがて日常を侵食していく。木古おうみさんの文章は詩的で、嫌なのに読むのをやめられない。
橘ナナミ
ホラーは苦手だけど、雰囲気は体験してみたいかも。
佐藤メバル
それなら勇気を出して読んでみて。怖さの中に、不思議な美しさもあるから。この独特の感覚は、他のジャンルでは味わえない。

もぎ取れ!3億円大作戦 丹馬九重市役所特命係のおかしな1日 (ディスカヴァー文庫)
香住泰 著|ディスカヴァー・トゥエンティワン
財政難の市を救うため、市役所の問題児・櫛間とタッグを組んだ主人公・弓沢。防犯カメラを駆使して資産家から寄付を募る「ライオンのひげ」という強引なプロジェクトが動き出す。非合法スレスレの資金調達に挑む崖っぷちコンビの大騒動。ピンチの数だけ奇跡が起き、ユーモアとスリルが詰まった一冊。書店員さんからの支持も厚く、第1回「本のサナギ賞」受賞の香住泰が描く、笑いと感動の痛快コメディ。
こんな人におすすめ
ドタバタコメディが好きな人、地方公務員の活躍を描くお仕事小説に興味がある人に。ストレス解消にもぴったりな一冊。
良い点
- 軽快なテンポ
- キャラが個性的
- 実在の市役所設定がリアル
気になる点
- 現実離れした設定に抵抗
- コメディのノリが合わないと
- シンプルなストーリー展開
出版社
ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日
2025年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
市役所のアルバイトが主人公なんて、変わった設定ですね。ありそうでなかった!
佐藤メバル
そうなんだ。しかも、防犯カメラを使って資産家を“説得”して寄付を募るという、強引な作戦が笑える。でも、単なるドタバタではなく、行き詰まった地方都市の再生を願う人々の本気が伝わってくる。
香住泰さんは『稲荷山誠造』でサナギ賞を受賞した注目の実力派で、本作も巧みな伏線回収が光る。
橘ナナミ
読後感はどんな感じですか?やっぱりほっこりしますか?
佐藤メバル
そうだね。主人公たちが様々な事件に巻き込まれながらも、最後はちゃんと着地してくれる。笑って泣ける、現代版・捕物帳という感じかな。

Watch 裏社員。 ‐スパイやらせてもろてます‐ | Prime Video
タイトル『裏社員。』とサブタイトル「スパイやらせてもろてます」がすべてを物語っているエンターテインメント。Prime Videoの表記から映像化もされていることがわかり、書籍版との違いを楽しむのも良い。サブタイトルの「やらせてもろてます」という軽い口調が、シリアスになりすぎない作風を連想させる。作品の詳細は謎でも、タイトルの時点で心を掴まれる。読む前からワクワクできる一冊。
こんな人におすすめ
タイトルに惹かれるあなたに、肩の力を抜いて読めるスパイコメディを探している人へ。映像版とあわせて楽しむのがおすすめ。
良い点
- タイトルから内容が伝わる
- 映像版と比較ができる
- 軽いノリが読後によい
気になる点
- 詳細な情報が少ない
- スパイものの本格派には物足りない
- ページ数が未記載
出版社
詳細情報なし
発売日
詳細情報なし
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
タイトルがもう「裏社員。」って、ちょっと笑っちゃいます。スパイものを気軽にやりたいって感じですよね。
佐藤メバル
そうだね。「スパイやらせてもろてます」というサブタイトルがまた絶妙だよね。ある意味で、本のタイトルだけで内容が想像できるというか、期待を煽られる一冊だ。
Prime Videoとあるから、映像でも展開していることは間違いなさそうだね。
橘ナナミ
本の方でもシリーズがあるんでしょうか?詳しいことは書いてないですね。
佐藤メバル
うん、今のところ詳細は不明だけど、気になるならPrime Videoで映像版をチェックしてみるのもひとつの手だよ。
映像が入り口になるパターンは多いからね。

実は、拙者は。 (双葉文庫 し 48-01)
白蔵盈太 著|双葉社
¥759(税込)
江戸の長屋に暮らす棒手振りの八五郎は、人並み外れて影が薄い男。ある夜、幽霊剣士と噂される「鳴かせの一柳斎」が旗本を襲う場面を目撃し、その正体が隣に住む浪人・雲井源次郎だと気づいてしまう。影の薄さを武器に、江戸の闇へと首を突っ込んでいく? 白蔵盈太が描く、書き下ろし時代小説。勘と度胸でピンチを乗り切る主人公が愛らしい。影が薄いことが最大の武器に変わる痛快活劇。
こんな人におすすめ
江戸時代を舞台にした軽妙な時代小説が読みたい人に。主人公の冴えない魅力に癒されたい方へ。「影の薄さ」がギャグではなく武器になる。
良い点
- 個性的な主人公
- 江戸の風情
- 短めで読みやすい
気になる点
- 謎がゆっくり
- 時代小説の知識が要るかも
- 展開は派手ではない
出版社
双葉社
発売日
2024年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
影が薄いのが悩みの主人公って、なんだか可愛いですね。時代小説では珍しいタイプじゃないですか?
佐藤メバル
その通り。この物語は、影の薄さが逆に武器になるという逆転の発想が面白い。浪人の正体を知ってしまった八五郎が、逃げ出さずにどう関わっていくのか。
白蔵盈太さんは新進気鋭の時代小説作家で、軽妙な語り口に引き込まれる。
橘ナナミ
「影と秘密は江戸の華」ってキャッチコピーが洒落てますね。ドキドキしながら読めそうです。
佐藤メバル
そうだね。ラストのどんでん返しも期待できる。書き下ろしだから、初めてでもすんなり入れる。時代小説の入門にもおすすめしたい一冊だよ。

トモダチデスゲーム 嘘つきは泥棒の始まり (講談社青い鳥文庫)
もえぎ桃 著|講談社
人気シリーズ「トモダチデスゲーム」第三弾。今回は「嘘つきは泥棒の始まり」というタイトル通り、嘘と泥棒がテーマ。人型ロボットの町「タウン」に集まったプレイヤーたちに課せられたのは「犯罪ゲーム」。仲間を実際に騙すのか、それとも信じるのか。小中学生向けの青い鳥文庫なので、怖さの中にもユーモアと友情が光る。仲間との信頼が試される極限のゲームに手に汗握る。
こんな人におすすめ
小学生から楽しめるミステリを探している人に。トモダチデスゲームのファンはもちろん、初めてシリーズに触れる人にも。児童書でも油断できない展開が待っています。
良い点
- 子供でも楽しめる
- シリーズの人気作
- ゲームの緊張感
気になる点
- シリーズからの方が面白い
- 児童書のため描写は控えめ
- 対象年齢が低め
出版社
講談社
発売日
2023年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
青い鳥文庫のデスゲームって、子ども向けでもしっかり怖いんですか?
佐藤メバル
そこが魅力でね。主人公の久遠永遠はピースという天使のような笑顔の裏に冷酷さを隠す子とペアを組む。犯罪ゲームという、実際に罪を犯すようなミッションが次々と出てくる。
もえぎ桃さんの筆致は、子どもたちに倫理を問いかけるような深さもあるんだ。
橘ナナミ
「嘘つきは泥棒の始まり」って、ことわざですよね。これがタイトルになるんですね。
佐藤メバル
そう。小さな嘘が大きな罪につながるかもしれないという戒めを、ゲームの中で体感する仕掛けになっている。
子どもたちだけでなく、大人が読んでもぞっとするところがある。

【小学5-6年生、中学生の読み物】嘘吹きネットワーク (わたしたちの本棚)
久米絵美里 著|PHP研究所
小学生の理子は、クラスのSNSで流れたデマを正そうと、動画や画像加工の得意な「フェイク職人」の錯のもとを訪ねる。しかし、錯はフェイク画像にふうっと息を吹きかけて……。ネット時代に増幅する嘘の力を、自分たちの身近な問題として描いた児童書。久米絵美里が、子どもたちが考えるべき「なにが本当でなにが嘘か」をやさしく問いかける。情報リテラシーを育むきっかけになる一冊。
こんな人におすすめ
小学生をお持ちの保護者、教育関係者に。お子さんと一緒に読みながら話し合いたい方に。これからの時代を生きる子ども達に贈る一冊です。
良い点
- 現代的なテーマ
- 物語としても面白い
- 親子で議論になる
気になる点
- 対象年齢が限定的
- 考えさせられすぎる
- 結末に賛否あり?
出版社
PHP研究所
発売日
2020年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
小学生向けですが、内容は結構深いですね。SNSのデマって、大人でも見分けるのは難しいです。
佐藤メバル
その難しさを、主人公の理子と「フェイク職人」の錯のやり取りを通して描いているんだ。無理に答えを教えるのではなく、なにを信じるかの判断力の大切さに気づかせる。
久米絵美里さんの構成が巧みで、読み終わった後に、家族や友人と話したくなる。
橘ナナミ
児童書だからといって侮れませんね。むしろ大人が読んでもハッとさせられます。
佐藤メバル
その通り。子ども向けの本は、本質をついていることが多いんだ。この作品も、SNS時代の怖さと優しさを描いていて、読んだ後は誰かに話したくなる。
騙し合いを生む仕掛けのメカニズム
橘ナナミ
叙述トリックとコン・ゲームの違い、教えてもらえますか?
佐藤メバル
叙述トリックは文章の表現を使って読者の認識をずらす技法。コン・ゲームは作中の人物が詐術を使う物語だ。『ダマシ×ダマシ SWINDLER』は詐欺師たちの話だが、そこに叙述トリック的な仕掛けも潜んでいる。騙される場所が“語り”の中か“ストーリー”の中かで区別すると分かりやすい。
橘ナナミ
じゃあ、読者はいつも騙されるって覚悟が必要?
佐藤メバル
そうとも言えない。初読で騙されて、再読で伏線に気づくのがこのジャンルの醍醐味。『欺瞞の殺意』は往復書簡形式で“書き手の言葉”を信じられるかという緊張感が楽しめる。だからネタバレを避けるのは、この体験を守るための最低限のマナーなんだ。
古典・現代・国内・海外を貫く騙し合い文学史
橘ナナミ
騙し合い小説って、わりと最近流行ってるイメージがありました。
佐藤メバル
実はもっと古くからある。深木章子『欺瞞の殺意』は古典ミステリを現代に甦らせた作品だし、トーベ・ヤンソン『誠実な詐欺師』など海外の古典もある。現代日本では月村了衛『欺す衆生』が戦後最大級の詐欺を骨太に描いている。時代小説の『実は、拙者は。』も、影の薄い男の二面性を描いた騙し合いの傑作だよ。
橘ナナミ
映像化やWeb発の作品も多いですよね。
佐藤メバル
『騙し絵の牙』は映像化で“表情”という騙しが加わって、原作と比較する楽しみがある。Web小説発の『馬鹿と詐欺師とギャンブラー』はカジノの頭脳戦をグラフィックノベル化。児童文学の『嘘吹きネットワーク』もSNS時代のデマを題材にしていて、世代を超えて読めるんだ。
作家ごとの作風とシリーズで広がる世界
橘ナナミ
お気に入りの作家を見つけるには?
佐藤メバル
作風で選ぶのが一番。浅倉秋成は終盤で読者の印象をがらりと変える語り口が魅力。東野圭吾は加賀恭一郎シリーズで人情と謎を同居させている。辻村深月の『嘘つきジェンガ』は現代の欺瞞をえぐる連作短編だね。
橘ナナミ
シリーズ物はどこから読めばいいか迷います。
佐藤メバル
短編集が便利。加賀シリーズの『嘘をもうひとつだけ』は入門編として最適。森博嗣の『ダマシ×ダマシ SWINDLER』はシリーズ完結編なので、他の作品を読んでから取っておくのもいい。アンソロジー『嘘と約束』なら複数作家をまとめて試せるよ。
よくある質問
叙述トリックとどんでん返しの違いは?
橘ナナミ
叙述トリックとどんでん返しの違いはについて教えてください。
佐藤メバル
どんでん返しはストーリーの結末が読者の予想を裏切る仕掛けで、叙述トリックは文章表現のクセを使って読者に誤った認識を植え付ける仕掛けです。騙しの“場所” が結末にあるか、物語全体にあるかで区別すると分かりやすいですね。
騙し合い小説で初心者におすすめの1冊は?
橘ナナミ
騙し合い小説で初心者におすすめの1冊はについて教えてください。
佐藤メバル
東野圭吾『嘘をもうひとつだけ』がおすすめです。加賀恭一郎シリーズの短編集で、一話ごとに嘘の構造がコンパクトにまとまっているので、騙し合いの基本を味わえます。
頭脳戦ミステリーで面白い作品は?
橘ナナミ
頭脳戦ミステリーで面白い作品はについて教えてください。
佐藤メバル
柳広司『ジョーカー・ゲーム』は、スパイ養成学校のエリートたちが情報戦で火花を散らす連作短編。どの話も知略の応酬が爽快で、頭脳戦ミステリーの傑作です。
コン・ゲーム小説の傑作は?
橘ナナミ
コン・ゲーム小説の傑作はについて教えてください。
佐藤メバル
乃南アサ『結婚詐欺師』は、詐欺を生業とする男の駆け引きを描いた代表作です。トーベ・ヤンソン『誠実な詐欺師』は、静かな恐怖をたたえた異色の傑作。心に残る後味がお好みならこちらを。
ネタバレせずに騙し合い小説を楽しむコツは?
橘ナナミ
ネタバレせずに騙し合い小説を楽しむコツはについて教えてください。
佐藤メバル
解説やレビューを読む前に作品を開くこと、そして「きっと騙される」と期待して読むこと。初読の“まっさらな状態”こそが最大の武器です。SNSの感想も、読み終わるまで見ないのが安心です。
映像化された騙し合いミステリーのおすすめは?
橘ナナミ
映像化された騙し合いミステリーのおすすめはについて教えてください。
佐藤メバル
『騙し絵の牙』は映画化され、大泉洋さんが主人公を演じました。映像で見ると「表情」という騙しの手段が加わり、原作とは違う面白さがあります。原作を先に読むと、映像版の演出を「騙しの表現」として比較できます。
読後にもう一度読み返したくなる作品は?
橘ナナミ
読後にもう一度読み返したくなる作品はについて教えてください。
佐藤メバル
結城真一郎『#真相をお話しします』は、五編すべてに伏線が張り巡らされていて、再読するたびに“騙されていた自分の読み”に気づかされます。浅倉秋成『六人の嘘つきな大学生』も、登場人物の言動を最初から見直したくなる一冊です。
騙し合い要素のあるWeb小説やラノベはある?
橘ナナミ
騙し合い要素のあるWeb小説やラノベはあるについて教えてください。
佐藤メバル
あります。『馬鹿と詐欺師とギャンブラー』はWeb小説を原作にしたグラフィックノベルで、カジノを舞台に心理戦が繰り広げられます。青い鳥文庫の『トモダチデスゲーム』は、子ども向けながら嘘を見抜くゲームの緊張感を味わえます。
まとめ
橘ナナミ
騙し合い小説って、ただ面白いだけじゃなくて、読んだあとに自分の“読み方”を振り返る体験ができるんですね。
佐藤メバル
そうだね。登場人物同士の駆け引きを楽しみながら、同時に作者と読者の間でも“騙し合い”が成立している。これはほかのミステリーにはない独特の醍醐味だよ。
橘ナナミ
私、最初は『六人の嘘つきな大学生』から始めてみようと思います。最後にどんでん返しが待っていると聞いて、今からドキドキしています。
佐藤メバル
それはいい選択だね。もし読み終えて「騙された!」と感じたら、次は『欺瞞の殺意』のような本格的な推理合戦に挑戦してみてもいい。きっと最初とは違う世界が見えてくる。
橘ナナミ
なるほど…。騙し合い小説は、自分がどこまで騙されたか、を楽しむ本なんですね。
佐藤メバル
その通り。だから安心して騙されてほしい。騙し合い小説の快感は、まさに「騙される幸福」そのもの。よくできた手品を目の前で見せられたとき、種が分からなくても拍手をしたくなる。それと同じで、読者が最後に感じるのは、驚きとともに“あっぱれ”という賞賛なんだ。








