実話怪談の本のおすすめ人気ランキング25選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年8月
橘ナナミ
佐藤さん、実話怪談ってよく聞くんですけど、普通の怪談小説とどこが違うんですか?
佐藤メバル
いい質問だね。実話怪談は「実際にあった体験談」を語り手が再話するジャンル。創作怪談小説と違って、語り口や再話の過程が面白さの中心になる。たとえば『日本怪談実話』の田中貢太郎は、戦前に全国の体験談を集めた先駆者だよ。
橘ナナミ
なるほど。でも「実話」って全部本当なんでしょうか?
佐藤メバル
そこがミソで、完全な真偽判定は不可能に近い。だから「実話」という形式=語りの約束事として読むのがコツ。『怪談実話系ベスト・セレクション』は複数の再話が編集された作品で、語り手の個性と編集技術を同時に味わえる。ここから選び方の軸を整理していこう。
実話怪談の本の選び方
目的別:純粋に怖がりたい/不思議な話を楽しみたい/人間の闇に触れたい
橘ナナミ
私は「純粋に怖がりたい」ときと「不思議な話を楽しみたい」ときがあるんですけど。
佐藤メバル
それで選び方は変わる。怖がりたいなら『近畿地方のある場所について』は一気読みできる構成。不思議な話を楽しみたいなら『怪談和尚の京都怪奇譚』は現役住職の体験記で読み応えがある。人間の闇に触れたいなら『警察怪談 報告書に載らなかった怖い話』や『介護士の怖い話』のような職業ものがおすすめ。
形式別:短編集(読み切り)/長編(一気読み)/連作(じわじわ効く)
橘ナナミ
短編と長編は読み味も変わりますか?
佐藤メバル
変わる。短編は『日めくり怪談』、長編は『近畿地方のある場所について』、連作は『影踏亭の怪談』。自分の読書時間に合わせて選ぶと挫折しない。
実話度別:完全実話/実話ベース/モキュメンタリー
佐藤メバル
一口に実話と言っても度合いが違う。小説寄りのモキュメンタリーもあれば、実際に体験したノンフィクションもある。
橘ナナミ
モキュメンタリーって、ドキュメンタリー風のフィクションのことですよね?
佐藤メバル
そう。『近畿地方のある場所について』は小説として構成され、『事故物件怪談 恐い間取り』は体験者が書いた実話。どちらが正しいかでなく「どう伝えているか」を楽しむのがこのジャンルの醍醐味だ。
レベル別:初心者向け/中級者向け/上級者向け
橘ナナミ
初心者に読みやすい作品はどれですか?
佐藤メバル
『日めくり怪談』は語り口が明快。歴史に興味があるなら『戦前のこわい話』。中級者は『国道1号線怪談』、上級者は『村怪談 現代実話異録』。少しずつレベルを上げていくのも楽しい。
語り手別:作家自身の体験/収集・再話/霊能者・識者の記録
橘ナナミ
語る人が違うとそんなに変わるんですか?
佐藤メバル
大きく変わる。『怪談狩り 逆さ煙突』の中山市朗は収集家、『怪談和尚の京都怪奇譚』の三木大雲は僧侶、『ばちあたり怪談』のギンティ小林は当事者型。体験との距離感が違えば怖さも変わる。
雰囲気別:和製の湿った怖さ/現代的なジワジワ型/ハードコアなグロ
橘ナナミ
好みの「怖さ」を見つけるコツはありますか?
佐藤メバル
心霊・ヒトコワ・不条理・グロのどれに反応するかを見る。湿った和製の怖さなら『三陸怪談』『金沢怪談』、現代的なジワジワ型なら『日めくり怪談』、グロや不条理に近い厭な感覚なら『恐怖実話 奇想怪談』。自分がどの「怖さの質」に効くかで選ぶといい。
実話怪談の本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、25冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
実話怪談の本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい
![近畿地方のある場所について (ペーパーバック) / 背筋 (著)+[販売店ノベルティー]2025年07月25日発売 ホラー小説 怪談 実話系](https://img.shelf-y.com/items/12195.jpg)
近畿地方のある場所について (ペーパーバック) / 背筋 (著)+[販売店ノベルティー]2025年07月25日発売 ホラー小説 怪談 実話系
¥1,430(税込)
『情報をお持ちの方はご連絡ください』という一文から始まる、背筋さんの新刊実話怪談。近畿地方のある場所にまつわる怪談を集めていくうちに、恐ろしい事実が浮かび上がってくる構成です。読者に情報提供を呼びかけるスタイルが、一種の調査ファイルとしての臨場感を生み、物語へ引き込みます。2025年7月25日発売で、販売店ノベルティー付き。特定の土地をめぐる謎は、読んだ後に実際に調べたくなる魔力があります。実話系ホラーとミステリの境界を楽しみたい人に。
こんな人におすすめ
近畿地方で暮らす人、土地にまつわる怪談を集めるのが好きな人、調査ドキュメント風の怖さを味わいたい人に。さらに、発売されたばかりの新刊をいち早く読みたい人にも向いています。
良い点
- 情報提供を呼びかける斬新な趣向
- 土地の謎が追体験できる
- 新刊なので話題にしやすい
気になる点
- “ある場所”が明かされないまま終わるかも
- 土地勘がないと実感しにくい
- 情報がまだ少ない
出版社
詳細情報なし
発売日
詳細情報なし
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
“情報をお持ちの方はご連絡ください”という本の紹介文がすごく不気味です。著者の背筋さんは、実際に読者から情報を集めて書いているんですか?
近畿地方の「ある場所」ってどこなのかも気になります。
佐藤メバル
背筋さんは、近畿地方のある場所にまつわる怪談を集める過程で、恐ろしい事実にたどり着いたと言います。この本はその調査の記録であり、読者にも情報提供を呼びかけているようなスタイルが特徴です。
冒頭の一文だけでも、私たちが知らない“何か”がそこにあると予感させますね。新刊なので、これから多くの人が読んだときに、また新しい情報が集まるかもしれません。
橘ナナミ
なるほど、単なる怖い話の寄せ集めではなく、謎解きのように読めるんですね。実際に自分が住んでいる場所だったらどうしよう、と考え始めると怖くてたまりません。
佐藤メバル
その感覚が大事だと思います。背筋さんの作品は、日常に隣接した恐怖を描くのが得意ですし、この本は特に“場所”への呼びかけがあります。
販売店ノベルティーも付く2025年の新刊なので、書店で見かけたら手に取ってみてください。あなたが知る近畿の風景が、急に違って見えるかもしれませんよ。

戦前のこわい話〈増補版〉: 怪奇実話集 (河出文庫)
志村有弘 著|河出書房新社
¥792(税込)
明治から戦前までに実際にあったと伝えられる怪談実話、不可解な物語、猟奇事件を収めたアンソロジー。都市や村の民間伝承を丹念に取材しており、当時の人々が何に怯えて生きていたかを生々しく伝えます。2009年版には山之口貘の「無銭宿」が増補され、さらに読み応えが増しました。単なる怖い話としてだけでなく、戦前日本の世相を知る民俗資料としての価値も魅力です。歴史好きにも、怪談ファンにも、文庫ならではの手軽さで手に取れる一冊です。
こんな人におすすめ
戦前の日本に興味がある人、古典的な怪談や実話を読んでみたい人、歴史の資料として怖い話を楽しみたい人に。文庫なので手に取りやすいのもおすすめポイントです。
良い点
- 戦前の空気を実感できる
- 事件と怪談が混在する
- 文庫で手軽に読める
気になる点
- 古い話に馴染みがない
- 文体がやや古い
- 増補は一編のみ
出版社
河出書房新社
発売日
2023年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「戦前のこわい話」って、明治から戦前までに実際にあった話を集めたんですね。ニュースの記録みたいなのも入ってるんですか?
佐藤メバル
そう、明治から戦前にかけての実話アンソロジーです。都市や村に伝わる民間伝承を採集していて、たとえば不可解な出来事や猟奇事件が当時の空気とともに語られています。
2009年の増補版では、詩人の山之口貘による「無銭宿」も追加されました。怖さに加えて、歴史の記録としても読める内容です。
橘ナナミ
詩人の作品が入っているのは意外でした。当時の人たちがどんなことを怖がっていたのか、世相が見えてきそうですね。
佐藤メバル
その通りです。現代のホラーほど技巧的ではないけれど、実際にあったかもしれないという生々しさが迫ってきます。
特に戦前社会の不安や民俗的な世界観が背景にあるので、単なる怖い話では終わらない。歴史好きや民俗学に興味のある人にもぜひ読んでもらいたい一冊です。

日本怪談実話〈全〉 (河出文庫 た 52-1)
田中貢太郎 著|河出書房新社
¥990(税込)
実話怪談の先駆者として知られる田中貢太郎。その代表作を一冊に凝縮した『日本怪談実話〈全〉』には、『佐倉連隊の怪異』『三原山紀行』『飯坂温泉の怪異』『松井須磨子の写真』など全234話が収録されています。どれも単なる都市伝説ではなく、近代日本の社会や人々の心理が色濃く反映された語り口が魅力。後の怪談作家が影響を受けた“原点”を、この一冊で通覧できるのは大きな価値です。文庫とは思えぬボリュームも魅力的で、怪談入門から研究まで幅広く使えるでしょう。
こんな人におすすめ
怪談の歴史や源流を知りたい人、ボリュームのある古典をじっくり読みたい人、創作の種を探している人に。現代の実話怪談に物足りなさを感じた読者にも刺激になるはずです。
良い点
- 全234話の大ボリューム
- 近代日本を背景にした話
- 古典怪談の決定版
気になる点
- 文章が古めで読み飛ばしにくい
- 実話性の検証は難しい
- 似た題材が重複する
出版社
河出書房新社
発売日
2023年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
田中貢太郎って明治・大正の作家ですよね。この『全』には代表作が全部入っているというから、読むのが大変そうでもあり楽しみでもあります。
佐藤メバル
そう、彼は実話怪談の先駆者と言われていて、本書には『佐倉連隊の怪異』『三原山紀行』『飯坂温泉の怪異』など、彼の代表的な作品を中心に234話が収録されているんです。
全文庫化されたことで、時代を超えた怪談の森を歩くような体験ができます。
橘ナナミ
234話も入って990円なら、コスパはすごいですね。ただ、本当に全部読むのは時間がかかりそう。
佐藤メバル
一気に読もうと思わず、気になった話から拾い読みするのがおすすめです。田中貢太郎は後の怪談作家に大きな影響を与えた人物なので、どこを読んでも“源流”を感じられます。
この一冊から現代の実話怪談まで流れを追えるのは、ファンとしても嬉しいですね。

怪談実話系ベスト・セレクション (文庫ダ・ヴィンチ)
東雅夫/編 著|メディアファクトリー
『怪談実話系』シリーズの中から、編集者・東雅夫さんが厳選したベスト・セレクション。『成人』『これは怪談ではない』『嘘談』『数珠の糸』『浅草純喫茶』『お茶屋怪談』など、収録タイトルを見るだけでも個性的な語り口が想像できます。実話怪談の魅力は“実話”という看板と、それを語る人の文体との化学反応。この一冊にはその多彩な表情が凝縮されています。シリーズを読んだことがない人への入門編としても、すでに読んだ人が編者の視点で再発見するためにも最適です。
こんな人におすすめ
実話怪談を読み始めたい初心者、いろいろな語り手の個性を比べてみたい人、東雅夫さんの選書を信頼している人に。短編集なので通勤時間にも合います。
良い点
- 編者の選出で間違いなし
- 多彩な語り口が楽しめる
- 怪談実話系入門に最適
気になる点
- 既読者には重複が目立つ
- 収録話の傾向に偏りがあるかも
- タイトルだけで内容が想像しにくい
出版社
メディアファクトリー
発売日
2012年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「怪談実話系」ってシリーズがあるんですね。このベスト版は、編者の東雅夫さんが選んだお気に入りが詰まっているんでしょうか。
佐藤メバル
そうですね。東雅夫さんは怪談文芸に深く通じた編集者で、このベスト・セレクションでは「成人」「これは怪談ではない」など、タイトルだけでも強烈な個性を放つ作品が並んでいます。
実話怪談のアンソロジーは、語り手によって怖さの質がまったく違うのが面白いところ。その違いをまとめて味わえるのが魅力です。
橘ナナミ
同じ“実話”でも、文体によって怖さが変わるんですね。いろいろな人の話を読み比べてみたいです。
佐藤メバル
それこそがアンソロジーの醍醐味です。軽妙な人、淡々と語る人、文学的な表現でくる人……。一冊の中にいくつもの世界があるから、お気に入りの語り手が見つかるはず。
まだシリーズを読んだことがない人も、このベスト版から入れば間違いないと思います。

実話怪談 でる場所 (河出文庫 か 36-1)
川奈まり子 著|河出書房新社
¥128(税込)
川奈まり子さんの初となる実話怪談の文庫化で、全28話が収録されています。最大の特徴は、実際に遭遇した場所もあわせて記載されていること。読者は自分の通勤路や故郷と重ね合わせて想像することができ、単なる怪談以上の生々しい恐怖を味わえます。仕事仲間との体験、分身もの、事故物件ものなどバラエティも豊か。128円という文庫としても破格の価格は、著者の実話怪談への意気込みを感じさせます。実話怪談入門にも、コアなファンにもおすすめできる一冊です。
こんな人におすすめ
身近な場所の怪談を読みたい人、事故物件や分身など特定のテーマが好きな人、低価格で実話怪談を試してみたい人に。
良い点
- 遭遇場所が明記される
- テーマの幅が広い
- 文庫なのに破格の価格
気になる点
- 近所が怖くなる
- 場所が古い情報かも
- 28話と比較的少なめ
出版社
河出書房新社
発売日
2019年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
著者の川奈まり子さんって、実話怪談界では有名なんですか?この本は実際の場所も書いてあるから、余計に怖そうですね。
佐藤メバル
はい、川奈さんは実話怪談の書き手として知られています。この『でる場所』は著者初の文庫化で、全28話に実際の遭遇場所が記されているのが特徴です。
仕事仲間との体験、分身もの、事故物件ものなど、バラエティ豊かな話を収録しているので、読んでいるそばから“もしかして自分の知ってる場所?”と具に考えてしまいます。
橘ナナミ
場所がわかると、余計に現実味が増しますね。でも、もし自分の家の周辺だったら……想像するだけで震えました。
佐藤メバル
それが狙いと言ってもいいでしょうね。この本は単に怖がらせるだけでなく、日常の土地に隠れた別の顔を描き出します。
128円という価格も魅力的なので、実話怪談に興味がある人はぜひ手に取ってみてください。読後には、いつもの道が少し違って見えるはずです。

怪談和尚の京都怪奇譚 (文春文庫 み 40-1)
三木大雲 著|文藝春秋
¥726(税込)
京都・蓮久寺の住職である三木大雲さんが、実際に相談を受けたり体験したりした現代の怪異を綴った実話怪談集。悪霊、祟り、除霊、奇跡といったテーマは、いかにもお寺の現場ならでは。著者は「怪談和尚」として京都で知られ、講談調の語り口も魅力です。本書は“現代版・耳袋”とも呼ばれ、江戸時代の怪談集のような教訓性をも感じさせます。怖さの中に仏法の教えが息づく、読み応えのある一冊です。
こんな人におすすめ
京都が好きな人、お坊さんの視点から見た恐怖を知りたい人、怪談を通して人生や仏教に触れてみたい人に。短編集なので電車の中でも読みやすく、京都旅行のお供にもぴったりです。
良い点
- 現役僧侶ならではの実話
- 京都の土地柄が色濃い
- 現代版耳袋とも呼べる
気になる点
- 説教臭く感じるかも
- ページ数が少なめ
- 宗教的説明に馴染みがないと難しい
出版社
文藝春秋
発売日
2011年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
お坊さんが怪談を語るって珍しいです。実際に除霊や相談を受けた体験なんですか?
佐藤メバル
三木大雲さんは京都の古刹・蓮久寺の住職で、檀家や相談者から持ち込まれた体験をもとにした話を聞かせてくれます。
悪霊や祟り、除霊、さらには奇跡的に思える出来事まで。“現場”に立ち会う宗教者だからこそ見えるものがあるんですね。
現代版の『耳袋』と言われるのも納得です。
橘ナナミ
ただ怖がらせるだけではない、何か教訓が込められているんですね。
佐藤メバル
そうなんです。本人は「怖い話で終わらせない」と話していて、怪異の背景にある人間の業や心の闇にも切り込みます。
京都という土地に古くから流れる空気も相まって、読後は静かに自分を見つめたくなる。ホラーとしても人生論としても楽しめる一冊です。

怪談狩り 逆さ煙突 (角川ホラー文庫)
中山市朗 著|KADOKAWA
実話怪談の先駆者が、長年の怪異蒐集活動の中から厳選した話を収めた『怪談狩り 逆さ煙突』。1985年8月12日長野県で、スイミングキャンプ中の少女が見上げた西の空と、その言葉の意味に気づいたコーチの戦慄を描く『西の空』。新聞契約率が100%の営業マンに隠された真実が明らかになる『タサキさん』。孤独死した老人の遺体搬送に立ち会った公務員の『遺体搬送』など、どれも語り継ぎたくなる強烈な印象を残します。選りすぐりの一冊として、怪談ファンにはたまらない内容です。
こんな人におすすめ
中山市朗さんの語り口を初めて知りたい人、短い実話怪談を次々に読みたい人、怪談イベントで話すネタを探している人に。
良い点
- 選りすぐりの収録話
- キャンプ場や日常の風景が怖い
- 先駆者による語り口
気になる点
- 短編なので物足りない
- 既存の話と重複するかも
- 著者の主観が強い
出版社
KADOKAWA
発売日
2025年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
表題の「逆さ煙突」が気になりますが、収録されてる「タサキさん」は新聞契約100%という設定が妙に現実的で怖いですね。
佐藤メバル
中山市朗さんは実話怪談の先駆者。この本には、彼が厳選した怪談が収録されています。「タサキさん」は新聞の勧誘員が契約を取れない家には何がいるのか、新人配達員が気づいてしまう展開。
また「西の空」は1985年に長野県で起きた、少女の言葉とコーチの戦慄を描く話です。
橘ナナミ
どんな話も、日常の隙間から不気味なものが顔を出すタイプなんですね。読んだ後、ふとした瞬間に思い出しそうです。
佐藤メバル
それが“語り継がれる”怪談の力です。中山さんの選ぶ話は、どれも聞いた人の記憶に残る。怪談の語り口そのものも勉強になるので、話す側の人にもおすすめできます。
文庫なので気軽に手に取れるのもいいですね。

恐怖実話 奇想怪談 (竹書房怪談文庫)
丸山政也 著|竹書房
丸山政也さんが“奇妙な読み味”を追求した実話怪談集。『赤毛の友』ではいじめられっ子のルームメイトがある夜突然豹変し、『蛆虫と黄揚羽』では病床の弟が見る夢が傷口から虫が這い出すという不気味な風景へつながっていく。そして『集合写真』には写っているはずのない自分ではなく、変わりに写ったのは……。全41話収録とボリュームもあり、どれもやんわりと纏わりつくような厭な怖気を残します。驚かせることよりも、読後もずっとまとわりつく恐怖を求める人にぴったりです。
こんな人におすすめ
後を引く不気味さを楽しみたい人、奇想天外な話が好きな人、いわゆる定番の怪談に物足りなさを感じている人に。一話完結なので、寝る前に少しずつ読むのにも適しています。
良い点
- 41話と収録数が多い
- 奇想ならではの捻り
- じわじわ来る恐怖
気になる点
- 好みが分かれる内容
- 陰湿な雰囲気
- 実話として信じるのは難しい
出版社
竹書房
発売日
2017年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「集合写真に自分が写っていない」って、怪談の定番ですよね。代わりに誰が写っているのか、気になって仕方ないです。
佐藤メバル
その好奇心を満たしてくれるのが、丸山政也さんの『恐怖実話 奇想怪談』です。『赤毛の友』では、いじめられっ子のルームメイトが突然別人のように変わってしまう。
『蛆虫と黄揚羽』では弟の見る夢と現実が交錯する。全41話が、どれも普通の実話怪談とは少しズレた“奇想”に満ちています。
橘ナナミ
普通の怪談と違う角度から来るんですね。だからこそ、読んだ後にずっと引っかかる感じが残りそうです。
佐藤メバル
そう。驚かせて終わりではなく、やんわりと纏わりつくような怖さが本書の特徴です。実話怪談に慣れた人ほど、この“奇妙な味”にハマる。
寝る前に読むと、しばらく考え込んでしまうかもしれませんよ。

怪談実話傑作選 弔 (竹書房怪談文庫)
黒木あるじ 著|竹書房
実話怪談作家・黒木あるじさんが、デビューから6年、1000話以上にのぼる発表の中から厳選した59編に、書き下ろし6編を加えた初のベスト傑作選。どこまでも冥く、底が見えない怪異を描く作風は、多くのファンを魅了してきました。『弔』という書名には、語られなかった怪異を弔う、あるいは語り継ぐという想いが込められているかのようです。また、ホラー作家・平山夢明さんによる解説が作品理解をいっそう深めてくれます。これから黒木作品を読み始めたい人にも、ファンにも納得の一冊です。
こんな人におすすめ
黒木あるじさんの実話怪談を初めて読む人、重く深い恐怖を経験したい人、作家の集大成を味わいたい人に。60編以上収録されているので読み応えも十分です。
良い点
- 初の傑作選で読むべき話が揃う
- 書き下ろし6編も追加
- 平山夢明の解説付き
気になる点
- 全編が重くて読み続けられないかも
- 既読者には新規性が少ない
- 60編超は時間がかかる
出版社
竹書房
発売日
2016年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
1000話以上も発表してきた作家のベストか、すごいボリュームですね。最初に読むならこの本が良さそうです。
佐藤メバル
その通りです。黒木あるじさんはデビュー6年で1000話以上の怪談を発表してきた実力派。その中から厳選した59編に、書き下ろし6編を加えたのが本書です。
どこまでも冥くて底が見えない怪異を描く作風で、一話読むたびにじわじわと不安が積み上がっていきます。
橘ナナミ
読後に救いがない感じが、かえって忘れられなくなりそうです。解説が平山夢明さんというのも豪華ですね。
佐藤メバル
平山さんの解説を読むと、黒木さんの作品がさらに掘り下げて見えてきます。『弔』というタイトルも、怪異を弔うような静かな筆致を象徴しているよう。
実話怪談の持つ重い闇を、しっかり味わいたい人におすすめです。

怖すぎる実話怪談 文庫ぎんが堂/結城伸夫+逢魔プロジェクト(著者) ブランド登録なし
タイトルそのまま『怖すぎる実話怪談』。著者名は「結城伸夫+逢魔プロジェクト」で、プロジェクトチームによる編集を思わせる異色の一冊です。しかし、公式の内容紹介がほぼないため、収録されている話の詳細は不明。未知の怖さが詰まっているのか、それとも既存の怪談の再編集なのか、期待と不安が交錯します。だからこそ、タイトルに「怖すぎる」と掲げるからには、何か強烈な話が入っているに違いない。実話怪談好きなら、このミステリアスさを楽しみながら読めるはずです。
こんな人におすすめ
未知の作品に挑戦したい人、タイトルのインパクトで選びたい人、さっと読める怖い話を求めている人に。情報が少ないからこそ、トライする楽しさがあります。
良い点
- 直球なタイトルが魅力
- プロジェクト構成が個性的
- 未知の話との出会い
気になる点
- 内容の情報が少なすぎる
- 期待外れの可能性も
- 既存話の寄せ集めかも
出版社
詳細情報なし
発売日
詳細情報なし
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
この本、ネットの紹介にも「怖すぎる実話怪談」としか書いてなくて、内容が全然わからないんですよね。それなのにタイトルで押してくるのが逆に気になります。
佐藤メバル
不思議ですよね。著者名義の「結城伸夫+逢魔プロジェクト」からして、個人の体験談というより、プロジェクトが編集したアンソロジー的な位置づけかもしれません。
ただ、詳細な情報が明かされていないので、読んでみるまで本当に“怖すぎる”のかはわからない。それが逆に、未知への興味をそそります。
橘ナナミ
レビューや口コミもあまり見かけないですし、本当に謎ですね。でも、万が一とんでもない話が入っていたら……読みたくて仕方なくなってきました。
佐藤メバル
怪談ファンの心をくすぐる“情報の少なさ”もまた魅力ですよね。内容がわからないからこそ、本屋で見つけて衝動買いする楽しみがある。
もしかしたらこの本自体が、一種の怪異なのかもしれませんね。

影踏亭の怪談 (創元推理文庫)
大島清昭 著|東京創元社
第17回ミステリーズ!新人賞を受賞した表題作を中心に、全4編を収録した怪談×ミステリ。冒頭から、怪談作家の姉が密室で両瞼を自分の髪で縫い合わされて昏睡しているという強烈なシーンが描かれます。弟は彼女が取材中だった旅館『影踏亭』を訪れると、今度は密室で殺人事件が起きて自分が容疑者に。怪異の謎と推理が絡み合い、読者は最後まで目が離せません。『朧トンネル』『ドロドロ坂』『冷凍メロン』など他の3編も、それぞれ異なる怪異と謎を描きます。解説は朝宮運河氏。
こんな人におすすめ
ホラーとミステリの両方が好きな人、新人賞受賞作のクオリティを読みたい人、恐ろしいのに論理的に解き明かされる快感を味わいたい人に。読み応えのある長編としても楽しめます。
良い点
- ミステリーズ!新人賞受賞作
- 怪談と推理が融合した新感覚
- 全4編とも異なる趣向
気になる点
- 実話怪談ではない
- 文章が複雑で読み込みが必要
- ホラー要素はやや弱いかも
出版社
東京創元社
発売日
2023年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ミステリーズ!新人賞の受賞作と聞いて興味が出ました。怪談なのにミステリとして読めるんですね。冒頭から目を縫うという衝撃がすごい……。
佐藤メバル
最初のイメージは相当強いです。作家の姉が両瞼を自分の髪で縫い合わされて昏睡している。その原因が、彼女が取材していた旅館『影踏亭』の霊と関わっているのか?
弟が調査に向かうと、密室殺人事件に巻き込まれて容疑者になってしまう。怪異現象が起きるけれど、最後には推理として回収される、という新しい形のホラーミステリです。
橘ナナミ
逃げ場のない怖さと謎解きが、一つの物語に両立してるんですね。他の三編も気になります。
佐藤メバル
『朧トンネル』『ドロドロ坂』『冷凍メロン』も、それぞれに独特の怪異と謎を用意しています。どれも“怖い”で終わらず、考える楽しみがある。
解説は朝宮運河さんで、作品をより深く味わえますよ。

事故物件怪談 恐い間取り
松原タニシ 著|二見書房
¥1,135(税込)
“事故物件住みます芸人”として知られる松原タニシさんが、実際に住んだ事故物件をすべて間取り図付きで紹介した書き下ろし単行本。『住むとひき逃げに遭う部屋』『天井の穴から男の顔が飛び出す部屋』など、タイトルからして強烈です。2025年7月に映画化されるなど、シリーズ第1弾として社会現象を巻き起こしました。住んだからこそわかる“部屋の気配”を間取りと重ねて読めば、普通の部屋が一番怖いという著者の言葉が刺さります。恐怖と好奇心のバランスが絶妙な一冊です。
こんな人におすすめ
事故物件の話に興味がある人、部屋や間取りマニア、単行本でどっしり読める実話怪談を求めている人に。映画化を機にシリーズに触れたい人にもおすすめです。
良い点
- 間取り図で視覚的に怖い
- 実際に住んだ体験に基づく
- 映画化で話題
気になる点
- 読後に自分の部屋が怖くなる
- 事故物件の描写が生々しい
- 単行本でやや重い
出版社
二見書房
発売日
2018年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
事故物件に“住みます芸人”って、芸人さんがわざわざ危ない部屋に住むんですか?怖さよりも先に理由が気になります。
佐藤メバル
松原タニシさんは、事故物件を転々としながら体験をネタにする芸人さんです。この本はそこで起きた出来事を、部屋の間取り図とともに記録しています。
たとえば「住むとひき逃げに遭う部屋」「前も前の前も自殺している部屋」など、タイトルからして異様。事故物件に住むからこそ見えてくる“普通の部屋の怖さ”があると言います。
橘ナナミ
間取り図付きだと、ドラマを見ているように想像できて、怖さが倍増しますね。ほんとに住んでたと思うと背筋が凍ります。
佐藤メバル
しかも、この本はシリーズ第1弾で、2025年7月には映画化も公開されます。実際に住んだ体験の臨場感は、作り物のホラーには出せない迫力がありますよ。
怖いけど好奇心が勝ってしまう、中毒性のある一冊です。

警察怪談 報告書に載らなかった怖い話
藍峯ジュン 著|KADOKAWA
¥1,650(税込)
元警察官でYouTube配信者の藍峯ジュンさんが、全国の警察関係者から集めた実話怪談を厳選した一冊。表題の通り、公式の報告書には載らなかった事件現場の怪異です。たとえば『照射実験の夜』では、死亡事故の状況を再現するためヘッドライトで照らしたところ、立ち会った被疑者だけがパニックを起こす。彼だけに見えていたものとは何か。警察という組織の中で語られる内々の話は、独特の緊張感と現実味があります。職業ものとして新しい実話怪談の魅力に満ちています。
こんな人におすすめ
警察官や元公務員の体験談が好きな人、事件現場にまつわる日常の怪を読みたい人、YouTube配信者の本を楽しみたい人に。短編集なのでスキマ時間に最適です。
良い点
- 警察関係者による内部視点
- 事件現場ならではの緊張感
- 短めの話で読みやすい
気になる点
- 真偽の検証は難しい
- 事件の悲しみがにじむ
- 警察の業務を知らないと想像しにくい
出版社
KADOKAWA
発売日
2025年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
警察官って、実際の事件現場で心霊体験している人も多いんでしょうか?公の報告書には書けない話、というのが気になります。
佐藤メバル
この本の著者は元警察官の藍峯ジュンさん。YouTubeで警察関係者から寄せられた怪談を語り、人気を集めています。
本書はそこから選りすぐった実録集です。たとえば「照射実験の夜」では、死亡事故現場の再現中に被疑者だけが何かを見て恐慌してしまう。
警察内部だからこそ記録されない出来事が並んでいます。
橘ナナミ
警察の人は気が強そうだから、迷信を信じなさそうなのに……それでも体験してしまう話というのが逆に怖いですね。
佐藤メバル
そう、だからこそ“報告書に載らなかった”という言葉に重みがあるんです。職務として現場に立ち会う人たちだからこそ語る、内輪の不思議な話。
読み終わると、警察官が現場で何を見ているのか気になってしまいます。

介護士の怖い話 (竹書房怪談文庫, HO-797)
内藤駆 著|竹書房
¥880(税込)
介護の現場で働く人々が見聞きした怪異現象や不思議な話を収めた異色の実話怪談集。施設での出来事、訪問介護先での体験など、ケアの世界ならではの話が詰まっています。高齢者に寄り添う現場は、命の終わりに立ち会う場所でもあり、心霊的な出来事が報告されるのも当然かもしれません。本書はそうした“現場の声”をまとめており、ホラーとしての怖さだけでなく、介護という仕事の尊さも感じさせます。現役の介護士はもちろん、身近に介護がある人にも注目してほしい一冊です。
こんな人におすすめ
介護・福祉の仕事をしている人、高齢者のそばで起こる怪談に興味がある人、実際の現場の声を聞きたい人に。ホラーとしてだけでなく、介護への理解を深めたい方にも読んでほしい一冊です。
良い点
- 現場のリアリティが強い
- 介護職の共感を得やすい
- 終末期にまつわる話もある
気になる点
- 職場が特殊で共感しにくい
- 怖さが現実的すぎる
- 話の質にばらつきがあるかも
出版社
竹書房
発売日
2026年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
介護の現場で怪談……私の祖母も施設に入っているので、他人事じゃないなと思いました。夜勤中に何かあったりするんですか?
佐藤メバル
介護の現場は、命の終わりに近い場所で働くこともあって、不思議な話は少なくないようです。この本は施設や訪問介護に携わる人々が実際に見聞きした怪異を集めたもの。
利用者との間に起きた小さな違和感から、夜勤中の出来事まで、現実のケアの場ならではのエピソードが並んでいます。
橘ナナミ
そういう話は、介護する側が抱え込んでしまいそうです。本になることで、共有できるのがいいですね。
佐藤メバル
そうですね。怖い話として読むこともできますが、それ以上に、介護者が感じた違和感や寄り添いの現場が伝わってきます。
ホラーとして楽しみつつ、介護という仕事への理解も深まる一冊。ぜひ多くの人に読んでもらいたいです。

ばちあたり怪談 (二見文庫)
ギンティ小林 著|二見書房
¥968(税込)
ギンティ小林さんが心霊スポット、殺人現場、事故物件、謎の廃墟へと自ら足を運び、その恐怖体験を軽妙な文体で綴る怪談ノンフィクション。独特のユーモアと生々しい怪異の対比が、実話怪談に新しい風を吹き込んでいます。読んでいる最中は思わず笑ってしまいながらも、あとでじわじわと怖さが込み上げてくる。この“ケミストリー”こそが本書の魅力であり、タイトルの『ばちあたり』の意味にもつながっていきます。ガチガチの実話怪談に飽きた人におすすめです。
こんな人におすすめ
笑いと怖さを同時に味わいたい人、心霊スポットのルポが好きな人、軽妙な語り口の実話怪談を探している人に。肩肘張らずに読めるのが魅力です。
良い点
- ユーモアと恐怖の絶妙なバランス
- 実際に赴く行動力
- 読みやすく一気に進む
気になる点
- ふざけていると感じるかも
- 突撃ルポの危険が付きまとう
- 内容が軽くなりがち
出版社
二見書房
発売日
2023年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ギンティ小林さんって、お笑いのノリで心霊スポットに行く人ですよね?この本は真面目に怖いんですか?
佐藤メバル
そこが面白いところで、文体はとても軽妙なんです。でも行っている場所は心霊スポットや殺人現場、事故物件、廃墟といったガチの場所。
恐怖体験がユーモアとともに語られるので、読んでいるこちらは笑いと戦慄の間を揺れ動きます。タイトルの『ばちあたり怪談』の言葉通り、軽々しく行くと“ばちが当たる”系の話もあるようです。
橘ナナミ
笑って読めるのに、あとから怖さが追いかけてくる……。そのバランスが気持ちよくて、止まらなくなりそうです。
佐藤メバル
そう、実話怪談の語り口は重厚なものが多いけれど、これはまた一味違う。ギンティ小林さんの軽妙な語りだからこそ、怪異の生々しさが際立って感じられます。
怖い話は好きだけど重いのはちょっと……という人にぴったりの一冊です。

国道1号線怪談 (角川ホラー文庫)
吉田悠軌 著|KADOKAWA
東京・日比谷から大阪まで、日本の大動脈・国道1号線にまつわる実話怪談を集めた書き下ろしアンソロジー。神奈川・鶴見に現れる謎の“猿”、静岡の海岸に眠る首塚の祟り、愛知の神社に伝わる禁忌、三重の事故物件、滋賀・琵琶湖に沈む事件、京都で忽然と消えた道、大阪・淀川の河川敷に埋められた闇。土地ごとに異なる恐怖が連なり、まるで怪談のドライブマップをめくっているような感覚です。見慣れた国道の風景が異界への入口に変わる、戦慄の一冊。
こんな人におすすめ
ドライブや旅行が好きな人、地名と怪談をセットで楽しみたい人、国道沿いの土地に住んでいる人に。移動中に読めば道中の景色が変わります。
良い点
- 地理に沿って読める
- 書き下ろしで新鮮
- 土地ごとに語り手が変わる
気になる点
- 土地勘がないと伝わりにくい
- 話が短く駆け足
- 誰の実話か曖昧な部分も
出版社
KADOKAWA
発売日
2025年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
国道1号線って、東京から大阪までずっとつながっている道ですよね。その沿線の怪談を集めるというアイデアが面白いです!
佐藤メバル
そうなんです。タイトル通り、1号線沿いの各地に伝わる実話怪談を、複数の気鋭の作家が書き下ろしています。
日比谷公園の噴水から黒い塊が這い出る話、鶴見に出る謎の猿、京都で突然消えた道など、場所それぞれに違う恐怖が潜んでいます。
読み進めるうちに、自分が国道を北上・南下している感覚になるのが不思議です。
橘ナナミ
普段何気なく通っている場所が急に不気味に思えてきますね。旅行の前に読めば、道中の見え方が変わりそうです。
佐藤メバル
まさに。1号線を実際に走ったことがある人なら、あの交差点、あのトンネルと重ねて想像してしまうはず。アンソロジーなので、一話ごとに新しい語り手の個性も楽しめます。ドライブのお供にどうぞ。

日めくり怪談 (集英社文庫)
吉田悠軌 著|集英社
¥638(税込)
『一行怪談』で知られる吉田悠軌さんが手がける、全62話の書き下ろし短編怪談集。一話あたり5分もかからず読めるので、通勤や寝る前のちょっとした時間に最適です。『祖父が死ぬ前にかぶったお面』『ママの顔、お尻みたい』など、タイトルからもう不気味で、しかも誰かに話したくなるような内容がそろっています。日めくり形式なので、毎日少しずつ読むもよし、気になった話から読むもよし。忙しい現代人のための、まさに“日めくり”で楽しむ新感覚怪談集です。
こんな人におすすめ
短い時間でホラーを味わいたい人、毎日継続して読める本を探している人、人に話して怖がらせたいネタを集めている人に。1日5分の習慣にもぴったりです。
良い点
- 1話5分で読める
- 62話の豊富さ
- 日めくり形式が楽しい
気になる点
- 短すぎて物足りない
- 内容が軽い印象も
- 一気読みには向かない
出版社
集英社
発売日
2025年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
日めくりカレンダーみたいな怪談集って面白いですね。1日5分なら、私でも続けられるかも。どんな話が多いんですか?
佐藤メバル
短いけど印象に残る話が並んでいます。たとえば「団地の封鎖された3階部分で目にしたモノ」「祖父が死ぬ前にかぶったお面」「心霊動画に出て来た女」など。
タイトルを見るだけで物語が想像できる、というのが吉田悠軌さんのうまいところ。一話読むとすぐに次が気になってしまう。
全62話なので、日めくりで1日1話と決めても約2ヶ月楽しめます。
橘ナナミ
2ヶ月間、毎晩寝る前の5分が怖くなる……でもやめられない気がします。誰かにも話したくなりますね。
佐藤メバル
それこそがこの本の狙いです。“すぐ読めて誰かに話したくなる”短編こそ、吉田さんが得意とするジャンル。
一人で楽しむのもいいけれど、家族や友人に一つ話すと、そこから怪談話が広がっていく。日常に小さな戦慄をプラスしたい人におすすめです。

三陸怪談 (竹書房怪談文庫, HO-789)
小田切大輝 著|竹書房
¥825(税込)
八戸、久慈、宮古、釜石、大船渡、陸前高田、気仙沼……岩手県から宮城県にかけての三陸海岸沿いの町々に伝わる怪談や伝承を、地元の怪談師・小田切大輝さんが徹底取材しました。海と山に挟まれた土地ならではの、漁師や家族の間で語り継がれてきた話が収録されています。観光ガイドには載らない“土地の記憶”としての怪談は、実際にその場所を訪れたときの解像度を一段上げてくれるはず。地元の人にも“そうそう、あそこは”と言われる、リアリティのある一冊です。
こんな人におすすめ
三陸地方にゆかりがある人、東北の民俗や伝承に興味がある人、土地の空気を感じながら怪談を読みたい人に。実際に訪れる前に読むと、風景の見え方が変わります。
良い点
- 地元の徹底取材
- 具体的な地名が魅力
- 海辺の文化が香る
気になる点
- 地域を知らないと入りにくい
- 話が地味に感じるかも
- 限定的なテーマ
出版社
竹書房
発売日
2026年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
三陸の海沿いの町々って、独特の信仰や風習が残っていそうです。地元の怪談師が取材したというのが興味深いですね。
佐藤メバル
そう。小田切大輝さんは三陸の地元に精通した怪談師で、八戸から気仙沼まで、海沿いの町に伝わる怪談や伝承を丁寧に集めています。
海の仕事や家族の中での不思議な体験、かつてからの言い伝え……。ガイドブックには載らない話だからこそ、土地の空気がしっかり伝わってきます。
橘ナナミ
同じ東北でも、内陸とは違う風土の怖さがありそうですね。三陸に旅行に行く前に読んでみたいです。
佐藤メバル
それはいいですね。実際にその場所を訪れると、本書で読んだ話が風景に重なって全然違う眺めになります。“ただの港町”が、物語の舞台に変わる。
ローカルな実話怪談の魅力が詰まった一冊です。

金沢怪談 (竹書房怪談文庫, HO-791)
営業のK 著|竹書房
¥825(税込)
北陸の古都・金沢に伝わる怖い話を、地元在住の怪談作家「営業のK」さんが総力取材したご当地怪談集。金沢市内はもちろん、石川県下の不思議な話も収録され、観光地として知られる街の裏側が見えてきます。古い町並み、寺町、お茶屋町など、歴史ある場所には当然のように怪異が潜んでいる。地元の声を丁寧に拾い上げた語りは、“観光ガイドには載らない金沢”を教えてくれます。金沢が好きな人も、まだ行ったことがない人も、街の見え方が変わる一冊です。
こんな人におすすめ
金沢や石川県に興味がある人、観光前に土地の雰囲気を知りたい人、ご当地怪談を集めている人に。旅行のお供にも、出発前の予習にも最適です。
良い点
- 地元作家による取材
- 古都の風情を感じる
- 石川県下を幅広く扱う
気になる点
- 金沢を知らないと入りにくい
- 場所のイメージが湧きにくい
- やや地味な語りも
出版社
竹書房
発売日
2026年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
金沢って兼六園やひがし茶屋街が有名ですけど、古い街ならではの怪談が残っていそうですね。地元の作家さんが集めたというのが信頼できます。
佐藤メバル
そうですね。著者の営業のKさんは金沢在住の怪談作家で、市内はもちろん石川県下の不思議な話まで徹底取材しています。
観光地としての金沢ではなく、夜の路地や古い家に残る違和感——そういうものを集めた内容です。“地元だからこそ”聞ける話が詰まっています。
橘ナナミ
同じ場所でも、昼と夜では印象が違いますからね。この本を読んでから金沢に行くと、街の見え方が変わりそうです。
佐藤メバル
きっと変わりますよ。加賀百万石の歴史の裏側には、語られないことも多い。地元に住む人でも知らないような、うっかり口にできない話がここにある。
金沢を訪れる前の予習に、また旅の思い出に、ぜひ読んでみてください。

未読本 琉球怪談 現代実話集 闇と癒しの百物語 小原 猛 ボーダーインク
『琉球怪談 現代実話集 闇と癒しの百物語』というタイトルからして、沖縄・琉球にまつわる現代の実話怪談を百物語形式で収めた一冊。著者は小原猛氏で、出版社はボーダーインク。沖縄の文化や歴史を背景にした話が集まっていると予想されます。気になるのは“闇と癒し”という言葉。単に怖いだけではなく、語ることで心が癒やされる構造や、沖縄ならではの精神世界が描かれているのかもしれません。詳細な情報は少ないですが、それだけに手に取って確かめたくなるミステリアスな一冊です。
こんな人におすすめ
沖縄・琉球に興味がある人、百物語形式の連続する怪談を楽しみたい人、土地の文化とホラーを一緒に味わいたい人に。読み切りなのでどこから始めても大丈夫です。
良い点
- ローカルな視点が新鮮
- 百物語という形式
- 闇と癒しの対比
気になる点
- 情報が乏しく未知数
- 沖縄の知識がないと理解しにくいかも
- 入手困難な場合も
出版社
詳細情報なし
発売日
詳細情報なし
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「琉球怪談」って沖縄の話ですよね?しかも“闇と癒しの百物語”というサブタイトルが気になります。癒しもある怪談ってどういうことですか?
佐藤メバル
私も確かな情報はまだ少ないのですが、沖縄・琉球にまつわる現代の実話怪談を百物語として集めた一冊のようです。
沖縄には本土と異なる霊的風土や、ユタと呼ばれる人々の文化があります。“闇と癒し”というのは、怖い話の中にも、語り継ぐことで何かが救われるような話が含まれているからではないかと想像します。
橘ナナミ
土地の文化と結びついた怪談は、世界観が深くて好きです。一話ごとに心が揺さぶられそうですね。
佐藤メバル
そう思います。百物語には「百話目に本当の怪異が起きる」という伝承がありますが、この本がどのように締めくくられるのかも楽しみ。
ボーダーインクという出版社から出ていることも、沖縄ローカルの視点を感じさせます。ぜひ実際に読んで、その世界に入ってみてください。

竹書房怪談文庫 吉田悠軌 新宿怪談~実話怪談 心霊 新宿区 歌舞伎町
怪談実話の収集と研究で知られる吉田悠軌さんが、新宿区・歌舞伎町を舞台にした実話怪談をまとめた一冊。ビジネス街であり、夜の繁華街でもある新宿は、さまざまな人々の欲望と感情が渦巻く場所。当然、昼間の顔の裏には、誰も語らない怪異が潜んでいるのかもしれません。深夜の雑居ビル、飲食店の裏手、路地の奥——。吉田さんの丹念な取材によって、眠らない街の“暗部”が炙り出されます。都市型怪談のファンにはたまらない内容でしょう。
こんな人におすすめ
新宿・歌舞伎町に通い慣れた人、都市の怪談が好きな人、吉田悠軌さんの実話怪談を網羅したい人に。夜の街を知っているほど怖さが増します。
良い点
- 新宿という具体的な舞台
- 著者の実績抜群
- 深夜の街の雰囲気
気になる点
- 内容が予想できない
- 夜の街を知らないと怖さが減る
- 既存の歌舞伎町怪談と重なるかも
出版社
詳細情報なし
発売日
詳細情報なし
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
新宿の歌舞伎町って、昼間は買い物できる繁華街ですけど、夜はちょっと雰囲気が変わりますよね。あそこで怪談が起きていると思うと……
佐藤メバル
そう、その“昼と夜のギャップ”が都市型怪談には重要なんです。吉田悠軌さんは一行怪談や沿線怪談で知られるベテラン。
本書では新宿区・歌舞伎町に絞って、実話怪談を集めています。雑居ビルの階段、キャバクラのバックヤード、深夜の路地——。
眠らない街で働く人たちが体験した、表には出せない話を収録しているはずです。
橘ナナミ
具体的な街のイメージがあるからこそ、ここがそうなんだと想像できてしまいますね。新宿で働く人には特に刺さりそうです。
佐藤メバル
新宿は多くの人が行き交う街だけど、本当の顔は夜に現れる。この本はその闇をそっとすくい上げている。普段何気なく歩いている改札や交差点が、明日からちょっとだけ怖く感じるようになるでしょう。都市の怪談を味わいたい人にぜひ。

北海道怨念地図 平成18年度版 怪談 実話怪談 ホラー オカルト 恐怖
¥5,120(税込)
『北海道怨念地図』というタイトル通り、北海道各地の心霊スポットや実話怪談を地図上にまとめた一冊。平成18年度版とあるので、ある程度の調査や編集が積み重ねられたシリーズの一冊だと思われます。価格が5120円と高価なのは、詳細な地図情報や豊富なスポット紹介にコストがかかっているからでしょう。ただ単に怪談を読むだけでなく、実際に地図と照らし合わせて現地を訪ねるマニア向けの資料的要素が強いアイテムです。広大な北海道ならではの、逃げ場のない怨念のイメージが広がります。
こんな人におすすめ
北海道の心霊スポットを巡る人、実話怪談の現場を地図で確認したい人、ディープな資料を収集したい人に。マニア心をくすぐる一冊です。
良い点
- 地図で場所が特定できる
- 北海道全体を網羅
- 資料的価値が高い
気になる点
- 平成18年当時の情報
- 価格が高め
- 手に入りにくい可能性
出版社
詳細情報なし
発売日
詳細情報なし
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「北海道怨念地図」って、その名の通り地図で心霊スポットがわかる本なんですね。価格がちょっと高いけど、それだけの価値があるんでしょうか?
佐藤メバル
おそらく、北海道の各地に伝わる怨念や心霊スポットの情報を地図上にプロットした、資料的な一冊です。平成18年度版ということは、その時点の調査をまとめたものですね。
5120円という価格は、詳細な地図や写真、多数のスポット紹介が収録されているからだと思われます。単なる読み物というより、心霊スポット巡りガイドとしての性格が強いでしょう。
橘ナナミ
北海道は広いので、地元の人でも全部は知らない場所が多そう。地図で一目瞭然なのは心強いです。
佐藤メバル
ええ、広大な土地だからこそ、場所を特定できる地図は便利です。ただし、古い情報も含まれている可能性があるので、実際に訪れる際は十分な注意が必要ですね。
マニア心をくすぐる、コレクターズアイテム的な一冊です。

村怪談 現代実話異録 (竹書房怪談文庫 HO 550)
加藤一 著|竹書房
¥748(税込)
山梨、青森、小倉、四国……日本各地の村に伝わる恐ろしい風習や禁忌を、現代の実話として聞き集めた異色の一冊。収録25話のタイトルを見ただけで背筋が寒くなります。『四人集落』は迷い込んだ廃村から脱出するための問答、『言うことなし』は棺に蓋をせずに死者と一夜を過ごす土葬の村、『山神穴』は初子の誕生と引き換えに年長者を生贄にする話。神隠し、カミサマ、呪い屋——。閉鎖社会の村だからこそ残った闇に、民俗学的な好奇心と恐怖を同時に刺激されます。
こんな人におすすめ
日本の因習や民間信仰に興味がある人、閉鎖社会を描いたホラーが好きな人、ただ怖いだけではない重い話を求めている人に。読後にずっしり何かが残ります。
良い点
- 収録25話が全て濃厚
- 地方の禁忌を実話で伝える
- 読後に考え込む深さ
気になる点
- 非常に重い内容
- 差別的感情を想起させる
- すべてを信じるのは難しい
出版社
竹書房
発売日
2022年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「しびとの集落」って、亡くなった人の集落ってことですよね?この本は日本の田舎に残る怖い風習を集めたんでしょうか。
佐藤メバル
その通りです。加藤一さんが日本各地の村や集落に伝わる話を取材しています。山梨の廃村で問答を迫られる『四人集落』、土葬の風習が残る村で死者と話す『言うことなし』、初子が生まれたら年長者を山神に捧げる『山神穴』。
神隠し、生贄、呪い屋など、現代では考えられないような風習が実話として語られるのです。
橘ナナミ
読み終わった後、しばらく心に残りそう……。こうした話は単なるホラーというより、人間の闇と向き合う気がします。
佐藤メバル
まさに。本書は驚かせることよりも、閉鎖された村社会の中で生きてきた人間の業を描き出します。読んだ後に「自分だったらどうする?」と考え込んでしまう。
最近の軽い怪談に物足りなさを感じている人に、強くおすすめできる一冊です。

実話怪談 牛首村 村/島シリーズ (竹書房怪談文庫)
吉田悠軌 著|竹書房
富山県魚津市に残る廃ホテル・坪野鉱泉と、石川・富山県境の牛首トンネル。この北陸最凶とされる心霊スポットにまつわる実話怪談を徹底検証したのが本書です。実際に起きた少女失踪事件をはじめ、地元を震撼させた謎に迫りつつ、複数の作家が牛首の怪異を語ります。さらに日本各地の廃村を写真付きで紹介するという、読み物としても資料としても楽しめる内容。映画『牛首村』の舞台ともなった土地の闇を、実話怪談版として深掘りしています。
こんな人におすすめ
『牛首村』の映画を見て気になった人、北陸の心霊スポットについて詳しく知りたい人、廃村や廃墟に興味がある人に。読み応えのあるボリュームです。
良い点
- 実在の場所を扱う迫力
- 廃村写真が興味深い
- 複数視点の怪談が読める
気になる点
- 事件の重さを感じる
- 場所が特定されている怖さ
- 廃村マニア向けの要素あり
出版社
竹書房
発売日
2022年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
牛首トンネルって、映画にもなった心霊スポットですよね。実際に起きた失踪事件まで取り上げているんですか?
佐藤メバル
その通りです。この本は富山県の坪野鉱泉の廃ホテルと、牛首トンネルを中心に、実際に起きた少女失踪事件の謎や、周辺で語られる怪談をまとめています。
坪野鉱泉では、肝試しに訪れた少女二人が失踪する事件が起き、24年後に遺体が見つかりました。まだ謎が多い現場です。
本書はその現地検証ルポや、複数作家による怪談、廃村の写真など、多角的にアプローチしています。
橘ナナミ
単なる怪談集だと十分怖いのに、実際の事件や場所がからむとさらに生々しく感じますね。
佐藤メバル
そこが“実話怪談版・牛首村”の名の所以です。フィクションを超えたリアルさ、それでいて語り継がれてきた怪異の重み。
実際に現地を訪れたいとまでは思わなくても、読んでいるだけで足がすくみます。廃墟好きや心霊スポットファンにはたまらない内容です。

実話怪談 幽霊百話
左右田秋満 著|河出書房新社
¥1,255(税込)
1900年(明治33年)に刊行された『幽霊百話』を、現代語訳で読めるようにした一冊。明治に入って初めての実話怪談集ではないかともいわれる歴史的に貴重な内容です。左右田秋満が編んだ本書には、現代ではほとんど知られていない珍しい話が収められており、当時の人々が“実際にあった”と語り継いだ恐怖の記録として貴重です。現代語訳を担当した名手の手により、明治の空気を保ちながら、今の読者にもすっと入ってくる読みやすさになっています。怪談の歴史をたどりたい人におすすめ。
こんな人におすすめ
古典怪談に興味がある人、明治時代の記録文学を読んでみたい人、現代語訳で読みやすい古典を探している人に。貴重な一冊として手元に置きたくなります。
良い点
- 歴史的価値が高い
- 現代語訳で読みやすい
- 珍しい話が収録
気になる点
- 明治の語り口の風合いは薄れる
- 現代人には怖さがピンと来ないかも
- 話が短めで物足りない
出版社
河出書房新社
発売日
2021年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
1900年の本が現代語訳で読めるなんて、すごくレアですね。明治の人たちが実際に怖がっていた話って、今の私たちにも通じるんでしょうか。
佐藤メバル
通じるところは多いですね。明治期に入って初めての実話怪談集ではないかとも言われる本書は、当時“実際にあった”と伝えられた話を集めています。
幽霊や怪異を人々がどう語っていたか、時代背景も感じられて興味深いです。左右田秋満という編者がまとめた珍しい話を、現代語訳の名手が読みやすくしてくれています。
橘ナナミ
古い話ほど、人間の感情がストレートに伝わってきますよね。ただ怖いだけではなく、明治という時代の匂いも楽しめそうです。
佐藤メバル
そうなんです。現代のホラーと違って、飾らない語り口だからこそ、実話としての素朴な怖さが立ち上がってくる。
怪談の歴史的な流れを知りたい人にも、昔の人々の心に触れたい人にもおすすめです。ここから現代の怪談まで読み進めると、また新しい発見がありますよ。
実話怪談の歴史と系譜——古典から現代まで
橘ナナミ
実話怪談はいつ頃からあるジャンルなんですか?
佐藤メバル
ルーツは江戸の『耳袋』まで遡れる。近代では田中貢太郎の『日本怪談実話』が先駆。戦後は百物語や投稿サイトの流行で誰でも語り手になれる文化が生まれ、竹書房怪談文庫や角川ホラー文庫が定番になった。最近は『近畿地方のある場所について』のように実話の語り口を小説へ昇華する作品もある。
橘ナナミ
「実話」と「創作」の境目は、昔からあいまいだったんですか?
佐藤メバル
そう。聞き書きや再話の段階で編集が入るから、完全な実話も実話ベースの創作もモキュメンタリーも同じ流れの中にある。真偽を検証するより「誰が語ったか」に注目すると深く楽しめる。『怪談実話系ベスト・セレクション』は再話の編集力を感じられる一冊だ。
怖さの質と語り手——上級者が見る視点
橘ナナミ
怖い話には、心霊以外のタイプもあるんですね。
佐藤メバル
私は心霊・ヒトコワ・不条理・グロの4方向で整理している。『事故物件怪談 恐い間取り』は生活に潜む心霊、『警察怪談 報告書に載らなかった怖い話』は職業の生々しさ、『村怪談 現代実話異録』は因習の不条理。自分に効く方向を知ると選びやすい。
橘ナナミ
同じ実話でも、作家によってだいぶ違いますね。
佐藤メバル
語り手の属性は大きい。吉田悠軌は土地と怪談を結びつけ、黒木あるじは冥い作風、丸山政也は奇妙な読み味。海外の話と比べると、日本の実話怪談は土地や家、因習に根ざす作品が多く、地域シリーズが豊富なのが特徴だ。
実話怪談を楽しむ・語るための実践知識
橘ナナミ
書店にない本はどうやって探せばいいですか?
佐藤メバル
文庫レーベルは書店で見つけやすいし、電子書籍も多い。『北海道怨念地図』のように古書市場でプレミアが付いている本は、図書館や古書店を巡ると発見がある。投稿サイトで実話が公開されているのもこのジャンルの入口になる。
橘ナナミ
自分でも書きたい場合、参考になる本はありますか?
佐藤メバル
『実話怪談 幽霊百話』は明治の語りの名手による現代語訳で、間合いを学べる。『怪談実話系ベスト・セレクション』は再話の編集技術を参考にできる。書くときは「誰の話か」を明確にするとリアリティが出る。
よくある質問
実話怪談と怪談小説の違いは?
橘ナナミ
実話怪談と怪談小説の違いはについて教えてください。
佐藤メバル
実話怪談は「実際にあった体験談」を語り手が再話したもの、怪談小説は作者が創作した物語です。ただし、実話の体裁をとるモキュメンタリーもあり境界はあいまい。まずは『日めくり怪談』のような短い再話から読むと違いを掴みやすいです。
実話怪談のおすすめ入門書は?
橘ナナミ
実話怪談のおすすめ入門書はについて教えてください。
佐藤メバル
初心者には一話が短く読みやすい『日めくり怪談』が最適です。古今の実話に興味があるなら『戦前のこわい話』も入門としておすすめ。どちらも短編中心なので、まずは「語り口」に慣れるのが近道です。
本当に怖い実話怪談はどれ?
橘ナナミ
本当に怖い実話怪談はどれについて教えてください。
佐藤メバル
「怖さの質」は人それぞれですが、日常に潜む恐怖なら『事故物件怪談 恐い間取り』、因習や村の掟による不条理なら『村怪談 現代実話異録』、語りの迫力を求めるなら『怪談実話傑作選 弔』が候補です。自分に合う「怖さの質」を探して読み比べてみてください。
実話怪談を読む順番・おすすめのシリーズは?
橘ナナミ
実話怪談を読む順番・おすすめのシリーズはについて教えてください。
佐藤メバル
まず短編集でリズムをつかみ、気に入った作家やレーベルでシリーズを追うのがおすすめ。吉田悠軌なら『日めくり怪談』『新宿怪談』『国道1号線怪談』の順に読むと、土地と怪談の結びつきが広がっていく感覚を味わえます。
竹書房怪談文庫のおすすめ作品は?
橘ナナミ
竹書房怪談文庫のおすすめ作品はについて教えてください。
佐藤メバル
『怪談実話傑作選 弔』は黒木あるじのベスト盤で、1000話を超える語りから厳選された59編と書き下ろし6編を収録。『恐怖実話 奇想怪談』のような変わり種、『介護士の怖い話』のような職業ものも充実しています。竹書房怪談文庫はどの一冊も安定した怖さが味わえます。
実話怪談の短編を読みたいのですが、おすすめは?
橘ナナミ
実話怪談の短編を読みたいのですが、おすすめはについて教えてください。
佐藤メバル
『日めくり怪談』は全62話の短編で、1話5分で読めます。『怪談実話傑作選 弔』も収録59編+書き下ろし6編と見応えがあり、短編好きに好まれます。寝る前の数分で完結するので、通勤・就寝前の読書にぴったりです。
実話怪談の長編はありますか?
橘ナナミ
実話怪談の長編はありますかについて教えてください。
佐藤メバル
『近畿地方のある場所について』は、特定の場所にまつわる怪談を集めるうちに恐ろしい真実が浮かび上がる構成の長編。『国道1号線怪談』も複数の書き下ろしが一本の道でつながり、長めに楽しめるアンソロジーです。一気読みしたいならこのあたりがおすすめです。
実話怪談を自分でも書いてみたいのですが、参考になる本は?
橘ナナミ
実話怪談を自分でも書いてみたいのですが、参考になる本はについて教えてください。
佐藤メバル
『実話怪談 幽霊百話』は明治の実話怪談を現代語訳したもので、語りの間合いを学べます。『怪談実話系ベスト・セレクション』は複数の再話の編集を読めるので、話の選び方や構成の参考に。実際に書くときは「誰の話か」を明確にするとリアリティが増します。
まとめ
橘ナナミ
佐藤さん、たくさん聞いて、実話怪談って「怖さ」を決めるのは内容よりも「語り方」なんだって分かってきました。
佐藤メバル
その通り。同じ体験談でも、誰が語るか、どこで語るか、どんな構成で届けるかで、ぜんぜん違う体験になる。だから「ランキングで何位」より「今の自分に刺さる一冊」を選んでほしい。
橘ナナミ
今日はありがとうございました。今夜、まず『日めくり怪談』を読んでみます。一話が短いので、私でも続けられそうです。
佐藤メバル
いいね。それで合わなかったら、次は『事故物件怪談 恐い間取り』のような、生活に近いテーマに挑戦するといいよ。
橘ナナミ
最後に一つだけ——実話怪談って、怖いだけじゃなくて、読んでよかったことはありますか?
佐藤メバル
あるよ。実話怪談を読むと、普段見えている世界の“裏側”を想像する力がつく。地図に載らない路地を一歩だけ覗き込むようにして読む本。読み終わったあと、部屋の隅や通い慣れた道が違って見える——それがいちばんのおまけだね。








