高齢者向け絵本のおすすめ人気ランキング16選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年8月
橘ナナミ
佐藤さん、最近「高齢者向け絵本」ってすごく注目されてるみたいですね。私の祖母も最近、昔話の絵本を楽しんでいるんですけど、何か特別な効果があるんですか?
佐藤メバル
いい質問だね。実はここ数年、介護施設やデイサービスで絵本を取り入れる動きが急速に広がっているんだ。高齢者、特に認知症の方にとって、絵本は記憶の引き出しを開く鍵になることがあるんだよ。例えば、『ひだまりのきおく』のような静かな絵本は、声に出さなくても一緒にページをめくるだけで、ほっとした時間を共有できる。
橘ナナミ
なるほど。でも、普通の絵本じゃダメなんですか?文字が小さかったり、テーマが子どものままだったりすると、読みづらそうな気もします。
佐藤メバル
その通り。高齢者向けには、文字の大きさやテーマ、紙質まで考慮する必要がある。そこで今日は『高齢者向け絵本の選び方』をいくつかの軸で整理してみよう。
高齢者向け絵本の選び方
目的別:楽しみ・脳トレ・会話のきっかけ
橘ナナミ
目的によって選ぶ本が変わるんですか?
佐藤メバル
もちろん。例えば、ただ楽しみたいなら『大きな文字で見やすい うたの絵本』のように、懐かしい唱歌を大きな文字で歌える本がおすすめ。脳トレ目的なら『チワワのクゥちゃんとスマホの温かい光』は、五感を刺激する描写と問いかけが入っていて、能動的な思考を促す設計になっている。会話のきっかけには『おばあちゃん、私だよ!』のような、認知症をテーマにしたものだと、家族の話が自然と出やすい。
健康状態別:自立・要介護・認知症
橘ナナミ
認知症の程度で選び方も変わるんですか?
佐藤メバル
大事なポイントだね。自立した元気なシニアには、『オイドル絵っせい 人生、90歳からおもしろい!』のように、ユーモアと人生経験を楽しめる読み物が合う。要介護の方には、『夏のひとやすみ』のような静かで優しい絵本が、負担なく心を和らげてくれる。認知症の初期〜中等度には、『ばあちゃんのごちそうさま』のように、日常の何気ない行動を優しく描いたものが、本人の自尊心を保つのに役立つ。
活動形態:個人読み・読み聞かせ・グループ
橘ナナミ
一人で読むのと、誰かが読んで聞かせるのとでは、選ぶ本が違いますか?
佐藤メバル
大きく違う。個人で読むなら『太字大活字本 うさぎとリスのおはなし』のように、文字が大きくコントラストがはっきりしたものが最適。読み聞かせには、『どっちも じいじ』のように、子どもにも伝わるやさしい言葉で書かれたものが、声に出しやすくておすすめ。グループ活動では『シニアに捧げる読む絵本 チャタロウとおばあさん』のように、少し長めの物語をみんなで追うと、感想を言い合えて盛り上がる。
好みのテーマ:昭和レトロ・動物・感動・ユーモア
橘ナナミ
テーマはどんなものに人気がありますか?
佐藤メバル
特に人気が高いのは昭和レトロ。『大きな文字で見やすい うたの絵本』には『ふじの山』や『故郷』など子どもの頃に歌った曲が収録されていて、記憶を呼び起こす効果が高い。動物ものでは『しわのようせい』や『チワワのクゥちゃん』のように、ペットと過ごした思い出を刺激するものが好評。感動系では『ばあちゃんのごちそうさま』、ユーモアでは『じいちゃん、出発進行!』のような、認知症を明るく描いた作品も人気。
形式:大活字・イラスト主体・しかけ
橘ナナミ
紙の大きさや文字のサイズにも気を配るんですね。
佐藤メバル
そう。高齢者の視力に合わせて、大活字本(16pt以上)や、コントラストの高いはっきりしたイラストが重要。『うさぎとリスのおはなし』は白黒の線画で、文字も太くて読みやすい。また、『フラワール - 海底大冒険 -』のような鮮やかな色彩のものは、視覚的な刺激を楽しめる。しかけ絵本は難しいが、めくる楽しみを味わえるようにページ数は少なめ(20〜30ページ)が適切だ。
高齢者向け絵本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、16冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
高齢者向け絵本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい

やさしい時間の絵本【1】ひだまりの きおく: 高齢者といっしょに楽しむ えほん
まつだかずみ 著|Independently published
¥1,500(税込)
「思い出すこと」や「できること」を目的にしないという設計思想が秀逸。同じページを開き、同じ光を感じるだけで「参加になる」と定義することで、認知症の方や言葉を交わせない場面でも無理なく共有できます。静かな水彩とゆっくりしたページ構成が、高齢者と介護者の呼吸を合わせるきっかけを作ります。他の活動重視の本と一線を画す、ただ「そこにいる」ことを承認する一冊。
こんな人におすすめ
認知症のある方とのんびり過ごしたい家族、「何をしていいか分からない」と感じる介護初心者、グループより個別の落ち着いた時間を大切にしたい場面。
良い点
- 目的を課さず共在を大切に
- 静かな水彩とゆったり展開
- 読み聞かせ・自主閲覧両対応
気になる点
- ストーリー性はほぼない
- ページ数が少ない(36頁)
- 自費出版で入手がやや限定的
出版社
Independently published
発売日
2025年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
佐藤さん、この『ひだまりの きおく』って、他の高齢者向け絵本とちょっと雰囲気が違う気がするんです。何を目的にしているんですか?
佐藤メバル
いいところに気づいたね。この本、「うまくできること」を全く求めていないんだ。同じページを開いて、同じ光を感じるだけで「参加」とみなす。
認知症の方に「これは何?」と問いかける本が多い中で、これは問いかけすらしない。ただ一緒にいる時間を肯定する。静かでとても誠実な一冊だよ。
橘ナナミ
なるほど、だから「やさしい時間の絵本」なんですね。私、介護施設でボランティアした時に、何を声かけていいか戸惑った経験があるので、このアプローチはすごく魅力的に感じます。
佐藤メバル
その戸惑いにこそ応えてくれているんだ。介護者も「一緒にページをめくる」という明確な行為があるから、気負わなくていい。
著者のまつださんは現場の声を丁寧に拾って作ったそうで、使う人の負担を減らす視点が徹底しているよ。家族での読み聞かせや、少人数のデイルームにも合う。

やさしい時間の絵本【2】きょうは ここで やすみます: 入所時の不安に寄り添う 認知症ケア支援絵本
まつだかずみ 著
「ここにいて大丈夫」を伝えるために特化した構成が最大の強み。ショートステイや施設入所など環境変化に戸惑う高齢者に対し、理解を求めず、見せる・手渡すだけで安心感を与えます。大きな文字と短い言葉は認知症の方にも負担が少なく、介護職が「どう声をかけていいか分からない」瞬間の言語ツールとして機能します。同著者シリーズの1作目より実用性を前面に出した一冊。
こんな人におすすめ
施設入所直後やショートステイでの不安が強い高齢者、「言葉が出てこない」と悩む介護スタッフ、家族が面会時にさっと使えるコミュニケーションツールとして。
良い点
- 環境変化時の不安軽減に特化
- 見せるだけで使える簡単さ
- 介護現場の声を反映
気になる点
- 物語性が薄い
- 長時間の使用には向かない
- 自費出版で流通量に限り
出版社
詳細情報なし
発売日
2026年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
この『きょうは ここで やすみます』、前の作品と同じシリーズなんですね。でもこっちはもっと「介護現場向け」って感じがします。
佐藤メバル
その通り。前作が「一緒に過ごす時間」をテーマにしていたのに対し、こちらは新しい場所への不安に特化している。
ショートステイや入所時に「落ち着かない」様子を見せるとき、介護者はつい説明したくなるけど、この本は説明をしない。
ただ「ここで大丈夫」と伝える。言葉よりも先に絵とリズムで安心させるんだ。
橘ナナミ
ああ、確かに認知症の方に「ここは安全ですよ」と何度言っても伝わらないことがありますよね。この本なら、見せるだけで空気が変わりそう。
佐藤メバル
そう。大きな文字と優しい水彩、繰り返しのフレーズが、頭で理解させるのではなく感覚で安心させる。介護職が「どう声をかけよう」と悩む時間を減らし、そのまま手渡しできるのも実用的。
まつださんのシリーズは、どちらも「できないこと」ではなく「できること」に着目しているのが素晴らしい。

シニアに捧げる読む絵本『チャタロウとおばあさん』切なくも 愛に満ちた子猫との日々
MIKA 著|パレード
¥1,100(税込)
文字中心の「読む絵本」という新しいスタイルで、高齢者自身が読み物として楽しむことを想定。一人暮らしの老人がペットを飼うことの社会的障壁に切り込み、伴侶を失ったおばあさんと子猫チャタロウの日々を通じて、孤独と共生を描きます。挿絵はあくまで補助で、物語の深みを文章で味わうタイプ。ペットを飼いたい高齢者や、ペットロスを経験した方に響くでしょう。同ジャンルの「読む」絵本として他の視覚重視作品と差別化されます。
こんな人におすすめ
読書が好きで細かい文字も問題ないアクティブシニア、一人暮らしでペットを考える高齢者、ペットロスや孤独に寄り添う物語を求める方。
良い点
- シニアが読みやすい文字中心
- 社会的テーマを扱った内容
- 感情移入しやすいストーリー
気になる点
- 視力の弱い方には不向き
- 絵はあくまで挿絵程度
- 対象年齢が限定的
出版社
パレード
発売日
2023年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
佐藤さん、この『チャタロウとおばあさん』は「読む絵本」って書いてありますね。絵本なのに文字がメインなんですか?
佐藤メバル
そうなんだ。この作品は、視覚的に楽しむというより、文章で物語を味わうタイプ。挿絵は数ページに一枚程度で、高齢者が自分で読むことを想定している。
しかもテーマが深い。一人暮らしの老人はペットの里親に不適格とされる現実を描き、おばあさんが子猫を買うところから始まる。ペットを通した孤独と愛情の物語だ。
橘ナナミ
なるほど。ペットを飼いたくても、年齢や一人暮らしで断られる話を聞いたことがあります。この本は現実を直視しつつ、温かさもあって、シニアの方に響きそうですね。
佐藤メバル
そう。読者を子どもではなく、高齢者自身に設定しているのがユニーク。文字サイズも大きくて、横書きで読みやすい。
ただし目の悪い方には厳しいかもしれない。シリーズ化もされているので、気に入ったら続けて読めるのも魅力だよ。

【シニア絵本】 フラワール - 海底大冒険 -
葉月 著
最新AI技術で生成された繊細で美しいイラストが最大の特徴。花柄模様の魚フラワールが友情を育むストーリーはシンプルで、シニアにも読みやすい。文字は大きく、20ページと短め。視覚的な癒し効果を重視しており、認知機能の維持や感情の活性化を目的とした「シニア絵本」として企画されています。同じ著者の『つぶ太』と比べ、より海の幻想的な世界観が際立ち、話もより易しいです。
こんな人におすすめ
美しいイラストで心を癒したいシニア、認知症予防に関心があるが難しすぎる本は避けたい方、グループレクリエーションで使いたい介護職。
良い点
- AI生成の美しいビジュアル
- シンプルで分かりやすい物語
- 短時間で読了可能
気になる点
- ストーリーはごく基本的
- AIイラストに好みが分かれる
- 自費出版で入手性に注意
出版社
詳細情報なし
発売日
2024年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
この『フラワール』、表紙の魚がすごく華やかで綺麗ですね!でもAIで作られたって書いてあって、ちょっと驚きました。
佐藤メバル
最近はこういう作品も増えてきているね。AIが生成したイラストは非常に細かく、色彩も鮮やか。シニア向けに「視覚的な楽しさ」を追求した結果だろう。
ストーリーは友情と助け合いのシンプルなものだから、認知機能が低下した方でも追いやすい。ただ、あくまで物語はおまけ程度で、メインはイラストの美しさだ。
橘ナナミ
文字も大きくて、20ページなら集中力が続かない方でも大丈夫そうですね。介護施設のレクリエーションで使えそう。
佐藤メバル
そうそう。同じ著者の『つぶ太』と比べると、こちらの方がより小さな子どもにも通じるような純粋な冒険話。
ただ、AIイラストの「無機質さ」を気にする方もいるから、そこは好みだね。でも、視覚刺激が欲しい高齢者には効果的だと思う。

【シニア絵本】つぶ太とおじいちゃんの不思議な冒険 - 夜空の図書館 -
葉月 著
「夜空の図書館」という幻想的な舞台設定が魅力。つぶ太とおじいちゃんが星々の間を旅しながら様々な物語に出会う構成で、家族の絆や学びをテーマにしています。AI生成イラストは幻想的で美しく、46ページとややボリュームがある。高齢者自身が読むだけでなく、孫との読み聞かせにも適しています。同著者の『フラワール』より話が複雑で、世代間交流に使いやすい。
こんな人におすすめ
おじいちゃんおばあちゃんと孫の共通の読み物を探している家族、幻想的な美術を楽しみたいシニア、読み聞かせボランティア。
良い点
- 世代間交流に最適なテーマ
- 幻想的で美しいAIイラスト
- 物語に深みがある
気になる点
- ページ数がやや多い
- AIイラストの質に依存
- 自費出版で流通限定的
出版社
詳細情報なし
発売日
2024年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
今度は『つぶ太とおじいちゃんの不思議な冒険』。さっきの『フラワール』よりもページ数が多いですね。物語も結構しっかりしてそう。
佐藤メバル
そう、46ページで、夏休みにじいじの家に来たつぶ太が「夜空の図書館」へ旅するというファンタジー。星の間を巡りながら物語を集めるというメタ構造が面白い。
おじいちゃんがガイド役になることで、知識や経験を伝える構図になっていて、孫と一緒に読むのにぴったりだ。
橘ナナミ
なるほど、読み聞かせるおじいちゃん自身も楽しめそうですね。AIイラストですが、前作より幻想的な感じがします。
佐藤メバル
そう。同じ著者だからイラストの方向性は似ているけど、テーマが「夜空」なので青と紫のトーンが美しい。読みやすさも考慮して文字は大きめ。
ただ、物語がやや複雑なので、認知機能が低下した方には少し難しいかもしれない。元気なシニアや、孫とのコミュニケーションツールとしておすすめだよ。

おばあちゃん、 私だよ!: 認知症についての絵本
Y.Y.チャン 著|Little White Flowers Publishing
子ども目線で認知症を理解する日記形式の絵本。ライリーという少女が、おばあちゃんが自分を認識できなくなったことに気づき、思い出を日記に書くことで絆を取り戻そうとします。感情を日記で整理する方法を提案している点がユニーク。対象年齢は小学校低学年~中学生ですが、高齢者本人にも優しい気持ちを届けられます。イラストはかわいらしく、文章も平易。認知症を「怖いもの」ではなく「愛で包むもの」として描いています。
こんな人におすすめ
認知症の祖父母を持つ小学生から中学生の子ども、家族で認知症について話し合いたい家庭、子どもの気持ちをサポートしたい親。
良い点
- 子どもの視点で認知症を解説
- 日記を書く習慣を提案
- 優しいタッチのイラスト
気になる点
- 高齢者本人が読むには幼い
- ストーリーはやや単純
- 対象年齢が限られる
出版社
Little White Flowers Publishing
発売日
2026年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
この本、表紙がとても可愛いですね。『おばあちゃん、私だよ!』っていうタイトル、切ないけど温かい。
佐藤メバル
そうだね。主人公のライリーが、認知症になったおばあちゃんに向けて思い出を日記に綴るという形。
子どもに「認知症って何?」と聞かれた時に、一緒に読んであげられる絵本だよ。説明ではなく、感情に寄り添う内容で、最後は希望を感じさせる。
ただ、あくまで子ども向けなので、高齢者本人が読むには物足りないかもしれない。
橘ナナミ
なるほど。子どもが祖父母の変化に戸惑う気持ちを理解するのに良さそうです。でも、この本はどちらかというと子どもとその親のための本って感じですね。
佐藤メバル
その通り。このシリーズは「子どもに認知症をどう伝えるか」がテーマ。似たテーマの『どっちも じいじ』(後で紹介する)と比べると、こちらは日記というメソッドを具体的に提示しているのが特徴。
日々の感情を書き留めることで、子ども自身の心の整理にもつながる。

じいちゃん、出発進行! (絵本こどもに伝える認知症)
藤川幸之助 著|クリエイツかもがわ
¥1,980(税込)
認知症をファンタジーとして描く斬新なアプローチ。ある日頭をぶつけたら、主人公の子どもが認知症のじいちゃんと入れ替わってしまう、という設定。認知症の症状を「不思議な出来事」として捉え、子どもにも理解しやすく、笑いと驚きを交えながら伝えます。詩人の藤川幸之助が文を手がけ、リズミカルな文章が特徴。シリーズ「絵本こどもに伝える認知症」の1冊。他の作品より遊び心があり、読み聞かせで盛り上がるでしょう。
こんな人におすすめ
子どもが認知症の家族に対して「変だな」と感じ始めた時に一緒に読む、小学校低学年向けの読み聞かせ、保育園・幼稚園での認知症理解教育。
良い点
- ファンタジー設定で楽しく理解
- 詩的なリズムのある文章
- 子どもが親しみやすい
気になる点
- 現実的な認知症の厳しさは描かない
- ページ数が少ない(27頁)
- 大人向けではない
出版社
クリエイツかもがわ
発売日
2021年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『じいちゃん、出発進行!』ってタイトルが面白いですね。頭をぶつけたら子どもがじいちゃんになっちゃうって、すごく発想がユニークです。
佐藤メバル
これ、認知症を扱った絵本としてはかなり異色だよね。子どもとじいちゃんが入れ替わることで、認知症の「わからなさ」を非現実的に表現している。
詩人の藤川さんが書いていて、言葉のリズムが楽しい。例えば「エッ? エッ? エーッ」と叫ぶ感じが、子どもにウケる。
橘ナナミ
確かに、普通の認知症の絵本は説明っぽくなりがちですが、これはファンタジーとして楽しめそうですね。ただ、現実の認知症とは違うと誤解されないか心配です。
佐藤メバル
その点は注意が必要。あくまで入り口として、子どもに「認知症って不思議なことなんだな」と興味を持たせる役割。
その後、『どっちも じいじ』のような現実的な絵本で補足すると良い。この本は読み聞かせで笑いを取れるので、認知症をタブー視しないための最初の一歩として価値があるよ。

夏のひとやすみ: 認知症の方の心をやわらげる絵本 (こもれび舎)
こもれび舎 著
風景とともに「何もしない」ことの大切さを描く。やさしい猫たちと朝の光、風鈴、夕焼けなど、懐かしい夏の情景が淡々と続きます。認知症の方や疲れた人に「ほっと一息」を提供するコンセプト。ストーリーはほぼなく、各見開きに短い言葉とイラスト。文字は大きく、絵は猫が中心で温かみがあります。『ひだまりのきおく』と似た「共在」型ですが、より日常の情景に特化。
こんな人におすすめ
認知症で落ち着かない時に見せる「気分転換ツール」、デイサービスの休憩時間、介護疲れした家族自身の癒しにも。
良い点
- 懐かしい風景が心を落ち着かせる
- 文字が少なく見やすい
- 猫好きにはたまらない
気になる点
- 物語性がなく退屈に感じるかも
- 季節が夏限定
- 著者の情報が少ない
出版社
詳細情報なし
発売日
2026年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
この本、表紙の猫がすごく可愛いです。『夏のひとやすみ』ってタイトルからも、のんびりした雰囲気が伝わってきます。
佐藤メバル
そう、この本はストーリーではなく、「夏の一場面」を切り取ったアルバムのような絵本。風鈴の音、夕焼け、猫が日向ぼっこする姿……ただそれだけ。
でも、認知症の方にとっては、こういう「わかりやすい懐かしさ」が安心に繋がる。
橘ナナミ
なるほど。『ひだまりのきおく』と似た感じですか?
佐藤メバル
コンセプトは近いけど、むしろさらにストーリーを排している。猫が好きな人には特に効果的。認知症ケアでは、その人の好きだったものを話題にするのが良いと言われる。
猫好きの高齢者なら、この本を見せるだけで表情が和らぐだろう。ただ、夏以外の季節には使えないから、シリーズ化してほしいところだね。

ばあちゃんのごちそうさま 認知症ってなぁにシリーズ
たぬきの小杖 著
認知症の行動を否定せず、その背景にある物語を想像するという視点を提供。食事の後お皿をなめるおばあちゃんの姿を「おかしなことではない」と描き、読者に「ばあちゃんの物語を知れば笑顔になれる」と語りかけます。シンプルなイラストと短い文章で、介護者や家族が認知症の行動に対する見方を変えるきっかけになります。同テーマの『しわのようせい』より現実的で、日常の小さなエピソードに焦点。
こんな人におすすめ
認知症の家族の行動に戸惑っている介護者や家族、特に「どうしてそんなことをするの?」と疑問に思っている人、認知症本人を否定せず受け入れたい方。
良い点
- 行動の背景を考えさせられる
- 短くて読みやすい
- イラストが優しいタッチ
気になる点
- 情報量が少ない
- 自費出版で入手性
- 具体的なケア方法はなし
出版社
詳細情報なし
発売日
2025年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『ばあちゃんのごちそうさま』、タイトルからおばあちゃんがご飯を美味しそうに食べる話かと思いましたが、お皿をなめるって……ちょっと驚きました。
佐藤メバル
そう、認知症の行動の一つとして「お皿をなめる」ことを取り上げているんだ。**大事なのは「それはおかしなことじゃない」と書いてあることだよね。
** 認知症の人の行動を否定するのではなく、その人の物語を知れば笑顔になれると伝えている。
橘ナナミ
確かに、最初は驚くかもしれないけど、考え方一つで受け入れられますね。この本は、まさにその考え方を変えてくれるんですね。
佐藤メバル
そう。この本は「認知症ってなぁにシリーズ」の一冊で、とても短いんだけど、メッセージは強い。介護者が「どうして?」と悩むよりも、「この人にはこんな背景があるんだな」と想像するきっかけを与えてくれる。
ただ、具体策を期待する人には物足りないかもしれない。

しわのようせい ~『しわくちゃん』が認知症のばーちゃんとハナちゃんの絆を結ぶ、愛と感動のシワ物語~〔絵本〕
山崎史香 著|山崎史香
「しわ」に宿る妖精という独自の世界観で認知症を描く。おばあちゃんのしわに住む妖精「しわくちゃん」が、孫のハナちゃんとの絆を紡ぎます。現役介護福祉士の著者による手作り感あふれるイラストと、しわくちゃんの詳細な生態(身長4.8cm、好物は南高梅など)が遊び心満載。認知症の厳しさをファンタジーで包み込み、笑顔と癒しを届けます。他の認知症絵本よりコミカルで、読み聞かせにも最適。
こんな人におすすめ
認知症の話を重くせずに伝えたい家族、孫と祖父母の絆をテーマにした読み聞かせ、介護現場でのちょっとした息抜きに。
良い点
- ユニークな妖精設定で楽しい
- 介護福祉士の実体験に基づく
- イラストが手描きで温かい
気になる点
- ファンタジー要素が強い
- 自費出版で流通限定的
- 認知症の現実と乖離するかも
出版社
山崎史香
発売日
2013年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
この『しわのようせい』、しわくちゃんって妖精の設定が細かくて面白いですね!身長4.8cmで、豆大福が大好きだとか。
佐藤メバル
そう、著者の山崎さんは現役の介護福祉士で、現場の経験から生まれたユーモアと温かさが詰まっている。
しわ一本一本に妖精が住んでいて、認知症のおばあちゃんと孫のハナちゃんの絆を優しく結ぶ。しわくちゃんの口ぐせ「シワシワ だべぇ~」とか、もう完全に愛着が湧くキャラクターだよ。
橘ナナミ
認知症がテーマなのに、こんなに楽しい絵本があるんですね!子どもも喜びそうです。
佐藤メバル
そう、この本は「ほっこり」がコンセプト。認知症の暗いイメージを和らげ、むしろ笑顔に変える力がある。ただ、ファンタジーすぎて現実の認知症とは違うと感じる人もいる。
でも、介護現場で疲れたスタッフや家族が、ちょっとした癒しを求める時にぴったりだと思う。

チワワのクゥちゃんとスマホの温かい光: 大人/特にシニア層認知症予防のための絵本 クゥちゃんとAI
JINJIN 著
現代的なテーマ「スマホとAI」をシニア絵本に落とし込んだ意欲作。一人暮らしの文子おばあちゃんがスマホに戸惑う中、愛犬クゥちゃんの鼻先でAIが起動し、懐かしい思い出を次々表示。五感・記憶・想像力を刺激する工夫がされており、認知症予防効果が謳われています。絵はシンプルで、文字は大きめ。他のシニア絵本より技術との接点が新鮮。
こんな人におすすめ
スマホに興味はあるが難しさを感じている高齢者、認知症予防に関心がある方、犬好きなシニア。
良い点
- 現代的なAIテーマ
- 五感刺激で脳トレ効果
- 愛犬との温かいストーリー
気になる点
- AI描写に抵抗あるかも
- 自費出版で流通
- 物語はやや単純
出版社
詳細情報なし
発売日
2025年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
この絵本、チワワのクゥちゃんがスマホのAIを起動するって、すごく今っぽいですね。シニア向けでAIが出てくるのは初めて見ました。
佐藤メバル
面白い試みだよね。**「スマホの温かい光」というタイトルが象徴的で、テクノロジーを冷たいものではなく、思い出を呼び起こす温かいものとして描いている。
** 認知症予防のために五感や記憶を刺激するように設計されているところもポイント。著者のJINJINさんは、シリーズ化も予定しているそうだ。
橘ナナミ
認知症予防に効果がありそうな工夫って、具体的にどんなことですか?
佐藤メバル
例えば「風の匂い」や「夕焼けの色」を思い出させるような描写、そして「あなたはどう思う?」という問いかけ。
これらが脳の様々な領域を活性化させる狙い。もちろん医学的なエビデンスまでは分からないけど、読むこと自体が楽しいので、続けやすいのが良いね。

大きな文字で見やすい うたの絵本 懐かしい風景とともに
マール社編集部 著|マール社
¥1,320(税込)
楽譜と歌詞が大きな文字で印刷された、歌うための絵本。『ふるさと』『春の小川』『荒城の月』など25曲収録。各曲に懐かしい風景イラストが添えられ、レクリエーションや家族の団らんに最適。文字が極めて大きく、目の弱った高齢者でも歌いやすい。介護施設での合唱や、自宅でのカラオケ代わりに使えます。純粋な絵本ではなく、実用書に近い。
こんな人におすすめ
合唱レクリエーションをよく行う介護施設、歌が好きな高齢者へのプレゼント、デイサービスでのグループ活動。
良い点
- 超大きな文字で見やすい
- 懐かしの名曲を網羅
- イラストで情景も楽しめる
気になる点
- 物語性は全くない
- サイズが大きく持ち運びに不便かも
- ピアノ伴奏譜は簡易版
出版社
マール社
発売日
2015年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
これは絵本というより歌本ですね!大きな文字で楽譜まで載っている。確かに高齢者には嬉しい工夫です。
佐藤メバル
そう。この本の最大の強みは「読む」ではなく「歌う」ことに特化していること。認知症の方でも、昔馴染みの歌は口ずさめることが多い。
『ふるさと』『朧月夜』など25曲、全てに大きく見やすい歌詞と楽譜、そして情景を思い起こさせるイラストがついている。介護施設でよく使われるタイプだね。
橘ナナミ
なるほど。歌うことで脳が活性化されるとも言いますし、一石二鳥ですね。
佐藤メバル
そう。グループで歌えばコミュニケーションにもなる。ただ、個人で読む絵本としては使えないから、目的を明確にした方がいい。
この本はまさに「歌うための実用絵本」だよ。

【太字大活字本】うさぎとリスのおはなし: ヒーリス夫人の動物絵物語第1集 (ビアトリクスヒーリスの絵本)
ヘレン・ビアトリクス・ヒーリス 著|Independently published
¥1,778(税込)
世界的名作『ピーターラビット』を太字大活字で復刻。白内障などで細かい字が読めなくなった高齢読者に、読書の喜びを再び届けるために作られました。白黒の線画イラストは最初の版の雰囲気を再現。ピーターの他、ベンジャミン、ナトキンなど7話収録で231ページとボリュームたっぷり。編集者の母親が「これなら眼鏡なしで読める」と喜んだエピソードから生まれた、実証済みの読みやすさ。
こんな人におすすめ
昔読んだピーターラビットをもう一度読みたい高齢者、目の衰えで読書を諦めかけている方への贈り物、読書習慣を取り戻したいシニア。
良い点
- 太字大活字で抜群の読みやすさ
- 名作7話収録でお得感
- 白黒イラストが懐かしい
気になる点
- 白黒のみでカラーではない
- サイズが大きい?
- 既に持っている人には重複
出版社
Independently published
発売日
2026年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
この本、ピーターラビットのお話が太字で大きく印刷されているんですね。目が疲れにくそうです。
佐藤メバル
そう。実はこの本、編集者のお母さんが細かい字が読めなくなって、読書をやめてしまったことがきっかけで作られたんだ。
「太字で大活字」にすることで、眼鏡なしでも読めるようになった。ピーターラビットはもともと白黒の線画で出版された経緯もあり、この本はその雰囲気を大事にしている。
橘ナナミ
へえ!そんな背景があったんですね。だからこそ、目の弱った高齢者のニーズにぴったり合っているわけだ。
佐藤メバル
そう。7つのお話が231ページにぎっしり詰まっていて、読み応えもある。イギリスの美しい自然と動物たちの冒険は、世代を超えて愛される。
高齢の両親や祖父母へのプレゼントに最適だよ。ただし、イラストは白黒なので、カラーの絵本を期待する人には物足りないかも。

オイドル絵っせい 人生、90歳からおもしろい!
やなせたかし 著|フレーベル館
¥1,870(税込)
「オイドル=老い+アイドル」を提唱したやなせたかしの人生肯定エッセイ。90歳を過ぎても現役でいた作者が、老化を前向きに捉えるユーモアあふれる随想録。高知新聞連載をまとめたもので、巻頭には戸田恵子との特別対談も収録。342ページと分厚く、活字中心だが、イラストも所々にあり。高齢者自身が読んで元気をもらえる内容。介護絵本ではなく、自己啓発・エッセイに近い。
こんな人におすすめ
人生の後半を楽しく過ごしたいアクティブシニア、やなせたかしファン、介護される側ではなく「老いを楽しむ」視点を求めている人。
良い点
- やなせたかしのユーモア満載
- 老いを肯定するメッセージ
- ボリュームがあり読み応え
気になる点
- 絵本というよりエッセイ
- 文字サイズは標準的
- シニア向けとはいえ活字が多い
出版社
フレーベル館
発売日
2009年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
これは絵本じゃないですね。やなせたかしさんのエッセイ集。でも「人生、90歳からおもしろい!」ってタイトルがもう力強いです。
佐藤メバル
そう。これは「シニアに捧げる」というより、「シニア自身が読んで元気になる本」。**やなせさんはアンパンマンの作者で、晩年まで現役を貫いた。
『オイドル』という造語で、老いとアイドルを融合させ、老いを楽しむ姿勢を語っている。** 高齢者向け絵本というカテゴリの中では異色で、むしろ活字メインのエッセイ。
橘ナナミ
なるほど。認知症や介護の本が多い中で、これは「老いをポジティブに捉える」視点で新鮮ですね。ただ、絵本を期待している人には合わないかも。
佐藤メバル
その通り。この本は「読む絵本」というより、老いをテーマにした随筆。でも、高齢者本人が「まだまだこれからだ」と感じられる力がある。
介護者の視点ではなく、当事者の声を聞きたい方におすすめ。ページ数も342頁とたっぷりだから、読書が好きなシニアにぴったり。

わたし大好き: 認知症の人と・いっしょに声に出して読み・楽しむ絵本 (TWO-LAP BOOK/〈ひざを寄せて読む絵本〉)
リディアバーディック 著|童話屋
「わたし大好き」と声に出して読むことで自己肯定感を育む、インタラクティブな絵本。認知症の人と一緒にひざを寄せて読むことを想定した「TWO-LAP BOOK」シリーズの一冊。短いフレーズの繰り返しで、読む人のペースに合わせられる。イラストはシンプルで温かく、文字は大きめ。内容は「わたしは自分が大好き」というメッセージを中心に、肯定感を高めます。他の本よりポジティブ心理学の要素が強い。
こんな人におすすめ
自己肯定感が低下しがちな認知症の方、一緒に声を出して読みたい介護者、デイサービスでのグループ読み聞かせ。
良い点
- 声に出して読むことで効果大
- 自己肯定感を高める内容
- シンプルで誰でも参加できる
気になる点
- 自己主張が強い内容が合わない人も
- ページ数が少ない(28頁)
- 特定の文化に依存しないか?
出版社
童話屋
発売日
2006年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
この絵本、タイトルが『わたし大好き』って、すごくストレートですね。認知症の方と一緒に声に出して読むって書いてあります。
佐藤メバル
そう。この本は「読む」ことそのものに意味がある。**「わたしは自分が大好き」と繰り返し声に出すことで、認知症によって失われがちな自己肯定感を取り戻す手助けをする。
** シリーズ名の「TWO-LAP BOOK」は、ひざを寄せ合って読むという意味で、物理的にも心理的にも距離を縮める。
橘ナナミ
声に出すっていうのがポイントなんですね。黙読じゃなくて、一緒に唱和する感じでしょうか。
佐藤メバル
そう。介護者も一緒に声を出すことで、相互作用が生まれる。イラストも優しくて、文字は大きい。ただ、自己肯定感を高める内容が、日本の高齢者には少し照れくさいかもしれない。
でも、慣れれば効果的だと思う。認知症ケアにポジティブ心理学を取り入れた実践的な一冊だよ。

どっちも じいじ: 認知症で変わっていく姿を、子どもにどう伝える? 戸惑いを安心に変える家族の絵本 子どもに伝える絵本
米粉のひな 著
認知症を「頭の中の引き出しが混ざった」と例え、子どもの不安を解消する。靴のまま家に上がる、話が飛ぶなど具体的な変化を「外側のお洋服」と捉え、じいじの心は変わらないと伝えます。子どもにもすっと理解できるやさしい比喩が秀逸。同じテーマの『おばあちゃん、私だよ!』より具体的な日常事例が多く、家族で話し合うきっかけに最適。28ページと短く、読み聞かせにぴったり。
こんな人におすすめ
認知症の祖父母を持つ幼児から小学校低学年の子どもとその親、「どう説明したらいいか」に悩む家族、子どもが変化に戸惑い距離を置いてしまっている家庭。
良い点
- 比喩が分かりやすい
- 具体的な事例で共感しやすい
- 温かいメッセージで安心感
気になる点
- 認知症の進行度によっては非現実的
- ページ数が少ない
- 自費出版の可能性
出版社
詳細情報なし
発売日
2026年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『どっちも じいじ』ってタイトル、いいですね。認知症で変わっていくじいじも、前のじいじも、どっちもじいじなんだよって伝えてくれる。
佐藤メバル
そう、この本の核心は「じいじの心は変わらない」というメッセージ。お靴のまま上がったり、話が飛んだりするのは「外側のお洋服」で、じいじのまんなかにある心はずっと同じだと。
子どもにこう説明できるのは、とても力強い。
橘ナナミ
「頭の引き出しが混ざっちゃった」っていう例えも分かりやすいですね。子どもが「どうして?」と聞いた時に、この本を読んであげれば納得できそうです。
佐藤メバル
そう。この本は、認知症の家族を持つ子どもが戸惑いを安心に変えるために書かれている。同じテーマの『おばあちゃん、私だよ!』が日記という方法を提案しているのに対し、こちらは比喩を使って直接的に理解を促す。
読み終わった後、きっと家族みんなが優しい気持ちになれると思う。
高齢者に絵本が良い理由:脳科学・心理学の視点
橘ナナミ
佐藤さん、なぜ絵本が高齢者に良いのか、もっと専門的に教えてください。
佐藤メバル
良いよ。まず脳科学の研究では、絵本を読むことで複数の脳領域が同時に活性化することが分かっている。特に、視覚情報を処理する後頭葉、言語を司る側頭葉、感情を司る扁桃体が連動する。また、老年医学の観点では、回想法という心理療法があるんだ。昔の風景や出来事が描かれた絵本は、過去の記憶を呼び起こし、自己肯定感やアイデンティティの再確認につながる。例えば『ひだまりのきおく』は、「思い出すこと」を強要せず、ただその場の時間を共有する設計で、認知症の方へのストレスを減らす効果が期待できる。
橘ナナミ
認知症予防にも効果があるんですか?
佐藤メバル
直接的な予防効果を証明するエビデンスはまだ限られているが、社会的交流と知的刺激が認知症リスクを下げることは多くの研究で示されている。絵本を介して家族やスタッフと語り合うことで、孤立を防ぎ、脳に適度な負荷をかけられる。例えば『おばあちゃん、私だよ!』は、孫が日記を通じて祖母とコミュニケーションを取る物語で、読んだ後に「私も日記をつけてみようかな」と動機づけられる方もいる。
電子書籍と大活字本の比較・使い分け
橘ナナミ
最近、電子書籍の絵本もあるんですね。紙の本とどちらが良いんでしょう?
佐藤メバル
状況次第だね。電子書籍は文字サイズの拡大・背景色の変更が自由にできるので、視力が弱ってきた方には便利。ただし、画面の反射や重さ、操作の複雑さが障壁になることもある。一方、大活字本は紙の感触やめくる動作が残っていて、認知症の方には触覚的な安心感を与えやすい。『うさぎとリスのおはなし』のような太字大活字本は、白内障のある方でも眼鏡なしで読めるように設計されていて、ベッドサイドに置いておける手軽さが好評だ。
橘ナナミ
では、施設での利用を考えると、どちらを選べばいいですか?
佐藤メバル
両方を用意するのが理想。グループでの読み聞かせには紙の絵本が向いているが、個別の時間にはタブレットで電子書籍を利用するのも手。ただ、認知症の中等度以上の方には紙の本の方が安全。画面をタップする動作が混乱を招くこともあるからね。
多世代交流と施設実践マニュアル
橘ナナミ
最近、孫と一緒に読める絵本も多いと聞きます。どんな点に気をつければいいですか?
佐藤メバル
多世代交流では、子どもと高齢者の双方が楽しめるテーマが重要。例えば『じいちゃん、出発進行!』は、認知症の祖父と孫のファンタジーな冒険物語で、子どもはワクワク、高齢者は「自分もこうありたい」と共感できる。また、『どっちも じいじ』は、認知症で変わる祖父を子どもにどう伝えるかをテーマにした絵本で、読んだ後に家族で話し合うきっかけになる。
橘ナナミ
施設で実際に使うとしたら、どう進めればいいですか?
佐藤メバル
例えばこんなプログラムが考えられる。まず準備:参加者の体調に合わせて座席配置を整え、明るさを調整。進行は、①季節の歌を一曲歌って雰囲気づくり(『うたの絵本』から「故郷」など)、②読み聞かせ(5〜10分程度、途中で問いかけを挟む)、③感想を自由に話す時間。無理に発言を求めず、うなずくだけでもOK。フォローとして、読んだ絵本を自由に閲覧できるコーナーを設ける。特に『やさしい時間の絵本』シリーズは、声を出さずに見ているだけでも参加できる設計なので、初めての方にも安心。
よくある質問
高齢者に絵本は何歳から楽しめる?
橘ナナミ
高齢者に絵本は何歳から楽しめるについて教えてください。
佐藤メバル
年齢に上限はありません。認知症の有無に関わらず、誰でも楽しめます。大切なのは、文字の大きさやテーマがその方の状態に合っているかどうかです。例えば90歳以上の方でも、『うたの絵本』は懐かしい歌で自然と口ずさめるでしょう。
文字が小さくて読めない高齢者にはどうしたらいい?
橘ナナミ
文字が小さくて読めない高齢者にはどうしたらいいについて教えてください。
佐藤メバル
大活字本(16pt以上)や、太字でコントラストの強い本を選びましょう。『太字大活字本 うさぎとリスのおはなし』は白内障の方でも読みやすい設計です。また、電子書籍で文字サイズを調整する方法もありますが、操作が難しい場合は紙の本を優先してください。
認知症の方にも絵本は効果がある?
橘ナナミ
認知症の方にも絵本は効果があるについて教えてください。
佐藤メバル
効果が期待できます。回想法やリラクゼーションに役立ちます。特に『ひだまりのきおく』のような静かな絵本は、不安を和らげる効果があります。ただし、個人差があるので、無理に読ませず、その方のペースを尊重しましょう。
高齢者への読み聞かせのコツは?
橘ナナミ
高齢者への読み聞かせのコツはについて教えてください。
佐藤メバル
ゆっくり、はっきり、優しい声で。途中でページの絵について質問したり、参加者が自由に発言できるようにしましょう。『どっちも じいじ』のように、子どもにもわかる言葉で書かれた絵本は、読み聞かせに最適です。
高齢者へのプレゼントにおすすめの絵本は?
橘ナナミ
高齢者へのプレゼントにおすすめの絵本はについて教えてください。
佐藤メバル
好みや状態に合わせて選びます。元気な方には『オイドル絵っせい』のようなユーモア本、静かな時間を好む方には『夏のひとやすみ』、ペットが好きな方には『チワワのクゥちゃん』が喜ばれます。相手の健康状態や趣味を事前にリサーチすると良いでしょう。
図書館で高齢者向け絵本は借りられる?
橘ナナミ
図書館で高齢者向け絵本は借りられるについて教えてください。
佐藤メバル
多くの図書館で大活字本のコーナーや、高齢者向けの特集が組まれています。また、介護施設向けに団体貸出を行っている図書館もあります。地域の図書館に問い合わせてみてください。
大活字版の絵本はある?どこで買える?
橘ナナミ
大活字版の絵本はある?どこで買えるについて教えてください。
佐藤メバル
あります。『太字大活字本 うさぎとリスのおはなし』のような専用の大活字本や、出版社が発行する大活字シリーズがあります。Amazonなどのオンライン書店や、大型書店の大活字コーナーで購入できます。
介護施設で絵本を活用するにはどうすればいい?
橘ナナミ
介護施設で絵本を活用するにはどうすればいいについて教えてください。
佐藤メバル
まずは少人数から始めるのがおすすめ。『やさしい時間の絵本』シリーズは、個人でもグループでも使える設計です。定期的な読み聞かせの時間を設け、参加者の反応を見ながら本を選びましょう。スタッフ向けの研修も効果的です。
まとめ
橘ナナミ
今日はたくさん勉強になりました。特に、健康状態や目的によってこんなに選び方が変わるんだと驚きました。
佐藤メバル
そうだね。絵本は「子どものもの」という固定観念を外すと、高齢者の生活に深く寄り添うツールになる。
橘ナナミ
私は祖母に、『夏のひとやすみ』をプレゼントしようかな。彼女が昔飼っていた猫を思い出して、穏やかな気持ちになってくれるといいな。
佐藤メバル
それは素敵な贈り物だね。最後に一つ、高齢者向け絵本を選ぶときの比喩を紹介しよう。それは 「古びたアルバムを開くように」 だ。無理に思い出させようとせず、優しくページをめくることで、自然と記憶がよみがえってくる。絵本はそのアルバムの新しいページを増やすようなもの。あなたと大切な人が、そのページを一緒に見つめる時間こそが、最高の贈り物になるんだ。
橘ナナミ
素敵な言葉ですね。ありがとうございます!








