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夏目漱石ファンタジア
中級者ファンタジー小説

【要約・書評】『夏目漱石ファンタジア』の評判・おすすめポイント

零余子|KADOKAWA|2024-02-19|0ページ

4.5
(4件)

この本を一言で言うと

「森鴎外の手術で漱石が一葉の身体に蘇る」——第36回ファンタジア大賞受賞の荒唐無稽な近代文豪伝奇小説

この本の概要

「森鴎外による禁忌の医術を受け、夏目漱石は樋口一葉の身体で蘇った」——このあらすじだけでSNSがざわついたのが受賞発表時のこと。第36回ファンタジア大賞・大賞受賞作として2024年2月に登場した本作は、その荒唐無稽さとは裏腹に「圧倒的な知識量と文章力」が絶賛される名作だ。 舞台は虚実が入り混じった架空の明治。夏目漱石のTSもの(性別転換もの)として読めるが、それだけでなく同時代の文豪——野口英世、与謝野晶子、學天則——が次々と登場し、それぞれの史実エピソードをファンタジーとして再構成する。 読者が驚くのは、「荒唐無稽に見えて元ネタへの誠実さがある」こと。蒔田内禰子のネーミングが漱石の代表作の書き出しを内包するギミック、前期三部作の要素が仕込まれた構成など、近代文学のファンが唸るネタが散りばめられている。 2巻も刊行されており、「近代文学ファンをラノベに引き込み、ラノベ読者を近代文学に興味を持たせる」希有な作品として各方面から絶賛されている。

改題で損してる作品の典型、「シン・夏目漱石」時代の話題性を知らない人に全部話したい

書評ブロガーとして恥ずかしながら言うと、この作品、受賞発表時のSNSの盛り上がりは知ってたんです。「シン・夏目漱石」という応募時のタイトルで、「夏目漱石が一葉の身体で蘇る!?」って話題になってたやつ。でも刊行タイトルが「夏目漱石ファンタジア」に変わっていたので、最初は別の作品と思って見逃してた。 読んだのは2刷が出て「やっぱり売れてるんだ」と気づいてから。買って最初の数ページで、あ、これはやばい、と思った。 何がやばいかというと、荒唐無稽さと誠実さの比率が絶妙なんです。「漱石が一葉の身体で蘇る」というのは完全にトンデモ設定で、そこはもう開き直ってる。でもその上で、漱石の代表作の書き出しを文中の人物名に仕込んでたり、前期三部作の要素を伏線として仕込んでたり、史実の細かいエピソードを設定に落とし込んでたりする。 蒔田内禰子という登場人物の名前。これ最初読んだ時は普通に読んでたんですけど、「あ!」ってなった瞬間がある。気づいた人は「コイツやられた」って思うやつ。(ネタバレになるので詳細は伏せます。) 野口英世のキャラクターが実は主人公の漱石より魅力的という評価があって、読んでみると確かにそうだった。史実で「問題のある人物」として知られる野口が、このファンタジアでは漱石の相棒として動く。そのギャップが面白くて、歴史好きほど楽しめる構成になってる。 一発ネタに見えて2巻まで引っ張れてるのは、作者が近代文学をちゃんと愛してるからだと思う。愛があるから、ネタにしながら敬意がある。その塩梅が読者に伝わっている。 国語の教科書で漱石を読んで嫌いになった人こそ読んでほしい。この作品を読んでから漱石の原作を読み直すと、また別の景色が見えます。

なな / ブロガー / 30代

この本で学べること

第36回ファンタジア大賞・大賞受賞、SNSで話題沸騰した荒唐無稽な傑作

「森鴎外の手術で漱石が一葉の身体で蘇る」というあらすじがSNSでバズり、刊行前から話題に。受賞時タイトル「シン・夏目漱石」の衝撃は今も語り継がれる。

近代文学のネタを全力で詰め込んだ伝奇ファンタジー

夏目漱石・野口英世・与謝野晶子・學天則など明治の著名人が実名で登場し、史実エピソードをファンタジー設定に再構成。知識量と文章力への評価が極めて高い。

荒唐無稽でありながら元ネタへの誠実さが同居

トンデモ設定でありながら、漱石作品のネタが人物名・展開に仕込まれるなど近代文学ファンが唸る密度の伏線が散りばめられている。

近代文学とラノベの橋渡しとなる希有な立ち位置

近代文学ファンをラノベに引き込み、ラノベ読者を近代文学に興味を持たせるという両方向の架け橋として機能している異色作。

良い点・気になる点

良い点

  • 荒唐無稽なあらすじと圧倒的な知識量・文章力の組み合わせが独特
  • 明治の著名人が生き生きと動くキャラクター描写
  • 近代文学への誠実なリスペクトが随所に感じられる
  • 知らなくても楽しめ、知ってるとさらに楽しめる二層構造

気になる点

  • タイトル改題で受賞時の話題性が伝わりにくくなっている
  • 一発ネタと思われて読まれないリスクがある

みんなの評判・口コミ

なな

ブロガー

5.0

書評ブロガーとして「改題で損してる」と強調したい一作。受賞時の「シン・夏目漱石」時代から知ってたのに刊行後にスルーしかけたの本当に後悔してる。

y
yuki

大学院生

4.5

国文学の人間として「よくこれだけ詰め込んだな」という圧倒感。蒔田内禰子の名前のギミックに気づいた時の感動を忘れない。

ひなた

大学生

4.5

国語が苦手だった自分でも漱石の名前のネタ拾えて楽しかった。読み終わって国語便覧広げてニヤニヤした。

中村

個人投資家

4.0

野口英世のキャラクターが特に良い。史実の「問題のある人物」がファンタジーでこう動くのか、という面白さ。2巻も楽しみにしてる。

著者について

こんな人におすすめ

近代文学(夏目漱石・野口英世等)が好きな人

「荒唐無稽でも知識が詰まっている」作品が好きな人

伝奇・歴史ファンタジーのファン

ラノベで近代文学の新しい楽しみ方を発見したい人

よくある質問

Q. 近代文学の知識がなくても楽しめますか?
A. 知識がなくても面白く読めます。知識があると伏線やギミックがわかってさらに楽しめる二層構造になっています。
Q. 受賞時のタイトルと違うのはなぜですか?
A. 応募時のタイトル「シン・夏目漱石」から刊行時に「夏目漱石ファンタジア」に改題されました。SNSでの話題は受賞発表時のタイトルで広まったため、別作品と思っている方もいます。
Q. 2巻も出ていますか?
A. はい、2巻も刊行されています。一発ネタと思いきや2巻まで展開できる深みがある作品として評価されています。

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