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まちづくり仕組み図鑑 ビジネスを生む「地元ぐらし」のススメ
初心者副業

【要約・書評】『まちづくり仕組み図鑑 ビジネスを生む「地元ぐらし」のススメ』の評判・おすすめポイント

佐藤 将之|||0ページ

★★★★4.0
(4件)

この本を一言で言うと

建築家やデザイナーが副業で手がけた12のまちづくり事例を図解で徹底解剖——初期投資から事業収支まで数字を隠さず公開した、地域ビジネスの実践ガイド

この本の概要

『まちづくり仕組み図鑑』は、自分が暮らすまちで主体的にビジネスをつくり出す「地元ぐらし」という生き方を提案する一冊だ。著者の佐藤将之氏(早稲田大学教授)らは、まちとの関わり方を深化型・拡大型、セレンディピティの起こし方をファシリテート型・共創型といったフレームワークで整理し、「偶然の出会いは設計できる」という視点から理論と実践の両面でまちづくりを読み解いている。 本書の核となるのは、建築設計者やグラフィックデザイナーなど専門職が副業・複業として立ち上げた12の実践事例だ。駄菓子屋を併設してデザイン業の幅を広げた「ヤギサワベース」、曜日限定カフェで人脈と仕事を掘り起こす「Casochi」、銭湯再生をきっかけに建物再生の連鎖を生んだ「快哉湯」——いずれも小さく始めて地域に根を張ったビジネスモデルが、ストーリーとともに具体的に描かれる。 各事例で目を引くのは、事業関係者の相関図、初期投資額、月次の事業収支がオープンに示されている点だろう。「想いだけでは続かない」という前提に立ち、法人設立の選択肢やマーケティングの基礎知識にまで踏み込んでいるのが実務家にとってありがたい。まちづくり本にありがちな精神論ではなく、数字で語る姿勢が本書の最大の強みだ。 パート1で「地元ぐらし」の考え方と幸運な出会いのつかみ方を、パート2で12事例の詳細な読み解きを、パート3でビジネスの組み立て方と事例から抽出したキーワードを解説する3パート構成になっている。図解が豊富で、まちづくりの経験がない読者でも全体像をすんなりつかめるのがうれしい。

「副業でまちづくり」のリアルが詰まってた

まちづくり系の本って、正直なところきれいごとばかりのイメージがあった。「地域の人と仲良くなりましょう」「想いを大切に」みたいな。でもこの本は最初の数ページでその先入観をぶっ壊してくれた。 自分の話をすると、去年都内のデザイン事務所を辞めて地方に引っ越して、フリーランスとして独立した。仕事はリモートで回せてるけど、困ったのが地元の人との接点がほとんどないということ。打ち合わせはZoom、クライアントは都内。近所の人とは挨拶するくらいで、肩書なしで付き合える人が周りにいない。この本の冒頭で「あなたには地元で、肩書なしで付き合える人がいますか?」と問いかけられて、うっとなった。 読み進めると出てくる12の事例が、とにかく生々しい。事業関係者の相関図、初期投資がいくらかかったか、月の売上はいくらか、数字がぜんぶ載っている。なかでも「ヤギサワベース」という駄菓子屋兼デザイン事務所の事例には心を掴まれた。まさに自分がやりたいことに近くて、何度も読み返している。 特に響いたのが「小さく始める」というメッセージ。大きな初期投資なんて必要なくて、空き店舗を週末だけ借りるとか、本業の合間に店番するとか、そういうゆるいスタートで回っている事例がいくつもある。「大人の部活動」という表現がすごくしっくりきて、身構えなくていいんだと思えた。これは気持ちの面でだいぶ救われた。 フレームワークの章は少し読みづらいところもあった。整理の軸が事例によって微妙にズレている気がして、頭の中でうまくマッピングできなかった部分がある。あと、補助金を活用している事例もいくつか含まれていて、補助金が切れたあとどうなるんだろう?という疑問は残る。 それでも、トータルではかなり満足している一冊。図解のクオリティが高いので視覚的にスッと入ってくるし、読み終えたあとに「自分もなにか小さくやってみよう」という気持ちが自然に湧いてきた。移住したけど地元との距離感をうまくつかめていない、そんなフリーランスの人にはぜひ手に取ってほしい。

地方移住してフリーランスデザイナーをしている20代後半

この本で学べること

「地元ぐらし」という新しいまちづくりの概念

自分が住む・働くまちで主体的に暮らしを楽しみ、出会いの場を生みながらビジネスをつくるライフスタイルを「地元ぐらし」と定義。大規模な地域活性化ではなく、個人が肩書なしで地元の人と付き合える関係づくりを起点にする考え方だ。

12の実践事例を初期投資・事業収支まで公開

建築設計者やグラフィックデザイナーが副業・複業で手がけた12ケースすべてに事業関係者の相関図、初期投資額、事業収支を掲載。まちづくり本にありがちな精神論ではなく、数字で語るリアルさが際立っている。

セレンディピティ(幸運な出会い)を設計する

偶然の出会いは意図的に育てられるというのが本書の核心的な主張。「関わりたいときだけ関われる仕組み」や「ゼンブラニティの避け方」など、出会いの質と量をデザインする方法論が具体的に解説される。

小さく始める副業型ビジネスモデル

曜日限定カフェや週末だけの店舗運営など、初期投資を最小限に抑えつつ本業と両立できるモデルを多数収録。「大人の部活動」という感覚で、大きなリスクを取らずにまちづくりに参入できるアプローチを示している。

4つの事業類型フレームワーク

地域との関わり方を深化型・拡大型、セレンディピティの起こし方をファシリテート型・共創型、ビジネスタイプを本業関連型・本業非関連型の軸で分類。自分に合ったまちづくりの型を見つけるための座標軸として機能する。

本の目次

  1. 1パート1「地元ぐらし」のススメ
  2. 2 1. 地元ぐらしとは
  3. 3 2. 幸せな出会いのつかみ方
  4. 4 3. 暮らしとつながるビジネス
  5. 5パート2「地元ぐらし型まちづくり」の仕組み
  6. 6 1.「地元ぐらし型」の類型
  7. 7 2. 12事例を読み解く
  8. 8 1)拠点をつくる(ヤギサワベース、Casochi、まちぐみ)
  9. 9 2)建築を引き継ぐ(喫茶キャプテン、ミサキステイル、快哉湯)
  10. 10 3)外部空間を楽しむ(たもんじ交流農園、古小烏公園、DIY STORE 三鷹)
  11. 11 4)町並みを生かす(箱バル不動産、スタジオ伝伝、PAAK HOTEL 犀)
  12. 12パート3「地元ぐらし型ビジネス」のハウツー
  13. 13 1. ビジネスの組み立て方
  14. 14 2. 12事例にみるキーワード

良い点・気になる点

良い点

  • 12事例すべてに初期投資額・事業収支・関係者相関図が掲載されており、まちづくりビジネスのリアルな数字を把握できる
  • 図解が豊富で視覚的に理解しやすく、まちづくり初心者でも全体像をつかみやすい
  • 副業・複業で小さく始められる事例が中心で、大きなリスクを取らずにまちづくりに参入するイメージが持てる
  • 「地元ぐらし」の理論から実践ハウツーまで一冊で網羅しており、構成に迷いがない

気になる点

  • フレームワークの整理軸が事例によってやや異なり、直感的にわかりにくい部分がある
  • 補助金・公金を活用した事例も含まれており、補助金終了後の持続可能性に疑問が残るケースがある
  • 東京近郊・都市部の事例が多く、過疎地域にそのまま適用できるかは別途検討が必要

みんなの評判・口コミ

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フリーランスデザイナー

★★★★4.5

デザイナーが副業でまちづくりに関わるというコンセプトが自分にぴったりだった。事例ごとに関係者の相関図と収支が載っているのが、この本の一番の価値だと思う。ヤギサワベースの駄菓子屋兼デザイン事務所とか、DIY STORE三鷹のマルシェ運営とか、クリエイティブ職の人間が地域に入っていくロールモデルが具体的に見えてかなり参考になった。図解のクオリティも高くて、さすが日経アーキテクチュア系の編集。ただフレームワークの章は分類の軸がちょっと込み入っていて、事例ごとの整理のされ方にばらつきがあるように感じた。

のり

ソリューション営業

★★★★4.0

営業職として地方のクライアントと仕事をするなかで、地域ビジネスがどう成り立っているかを知りたくて読んだ。12事例の収支データが公開されているのはかなり貴重で、まちづくり系の本にありがちな精神論で終わらない構成が好印象だった。空き店舗活用や事業承継の話も具体的で、地方創生がらみの提案に使えるネタがたくさんある。一方で、補助金ありきで回っている事例がいくつか含まれていて、民間の力だけで持続できる仕組みをもう少し深掘りしてほしかった。

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エンジニア

★★★★4.5

プロダクト開発で地域課題に取り組むプロジェクトをやっているので、まちづくりビジネスの構造を俯瞰で把握するのに重宝した。パート1の「セレンディピティを設計する」という考え方がおもしろくて、偶然の出会いを仕組みとして育てるという発想はプロダクト設計にも通じるものがある。事例の分類も拠点、建築、外部空間、町並みの4軸で整理されていて、自分のプロジェクトがどこに位置づけられるかを考えるきっかけになった。

ゆうと

EC企業マーケター

★★★3.5

まちづくり入門としてはかなり読みやすいし、図解が多いのでざっと全体を把握するのに向いている。ただ、ECやデジタルマーケの立場からすると、集客やブランディングの話がオフライン寄りで、SNSやWebを活用した事例がもう少しほしかった。12事例どれもおもしろいけれど、デジタル施策と組み合わせるところまで踏み込んでいたらもっと実用的だったと思う。地域ビジネスに興味はあるけどまだ動けていない人が最初に手に取る一冊としてはちょうどいい。

著者について

こんな人におすすめ

副業・複業でまちづくりに関わりたい専門職

建築家・デザイナー・エンジニアなど専門スキルを持ちながら、地元で小さなビジネスを始めたい人に具体的なロールモデルと収支データを提供する。

地方移住を検討中のビジネスパーソン

IターンやUターンで地域に入った後のビジネスの立ち上げ方や地域コミュニティとの関わり方が、12の実例を通じて具体的にイメージできる。

空き家・空き店舗の活用に興味がある人

物件探しから改修、運営拡大までのプロセスが事例ベースで解説されており、初期投資や事業収支のリアルな数字を参考にできる。

関連書籍との比較

タイトル著者レベル評価価格
小さくはじめよう —自分らしい事業を手づくりできる「マイクロ起業」メソッド斉藤 徹初心者★★★★ 4.0¥1,802
地方創生の「現場力」 地域と金融機関の持続可能性向上のために小宮啓二朗中級者★★★★★ 5.0¥1,980
改訂版 地方起業の教科書中川直洋初心者★★★★ 4.0¥1,650

よくある質問

Q. 『まちづくり仕組み図鑑』はどんな人向けの本ですか?
A. 『まちづくり仕組み図鑑』は、副業や複業で地域ビジネスを始めたい建築・デザイン系の専門職や、地方移住を考えているビジネスパーソンに向けた一冊です。まちづくりの経験がなくても、図解が豊富なので初心者でも無理なく読み進められる構成になっています。
Q. 『まちづくり仕組み図鑑』の12事例にはどんなものがありますか?
A. 『まちづくり仕組み図鑑』では、駄菓子屋を併設したデザイン事務所「ヤギサワベース」、曜日限定カフェ「Casochi」、銭湯再生の「快哉湯」、都市農園「たもんじ交流農園」、古民家ホテル「PAAK HOTEL 犀」などが取り上げられています。拠点づくり・建築継承・外部空間活用・町並み活用の4カテゴリに分けて12事例が紹介される構成です。
Q. 『まちづくり仕組み図鑑』には事業の収支データは載っていますか?
A. はい、『まちづくり仕組み図鑑』では12事例すべてに事業関係者の相関図、初期投資額、事業収支が掲載されています。まちづくり関連の書籍でここまで数字を公開しているものは珍しく、ビジネスのリアルな実態を把握できるのが本書ならではの特徴です。
Q. 『まちづくり仕組み図鑑』は建築・デザインの専門知識がないと読めませんか?
A. 専門知識がなくても問題ありません。『まちづくり仕組み図鑑』は図解が豊富で視覚的に理解できる構成になっており、パート1で「地元ぐらし」の基本的な考え方から丁寧に解説してくれるので、まちづくり初心者でも安心して読み進められます。
Q. 『まちづくり仕組み図鑑』の「地元ぐらし」とは何ですか?
A. 『まちづくり仕組み図鑑』でいう「地元ぐらし」とは、自分が住む・働くまちで出会いの場を生みながら主体的に暮らしを楽しむライフスタイルのことです。大規模な地域活性化プロジェクトではなく、「大人の部活動」感覚で個人が地域に関わっていくアプローチを指しています。
Q. 『まちづくり仕組み図鑑』はKindle版もありますか?
A. はい、『まちづくり仕組み図鑑』は紙書籍(2,640円)に加えてKindle版(2,376円)も販売されています。
Q. 『まちづくり仕組み図鑑』の著者はどんな人ですか?
A. 『まちづくり仕組み図鑑』の主著者である佐藤将之氏は早稲田大学の教授で、共著者に馬場義徳氏、安富啓氏、日経アーキテクチュアが名を連ねています。建築・都市計画の専門家チームによる執筆です。

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