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THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス - MAIN
中級者累計10万部突破マーケティング営業

【要約・書評】『THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス』の評判・おすすめポイント

福田康隆|翔泳社|2019-01-30|328ページ

★★★★★5.0
(4件)

この本を一言で言うと

顧客が営業に会う前から購買検討を進める時代に、マーケティングからカスタマーサクセスまでを一本の売上プロセスとして設計し直すための実践書——分業の形をなぞるのではなく、自社のボトルネックと市場条件から独自のレベニューモデルを組み立てる視座を与えてくれる。

この本の概要

本書は、SaaS時代の営業組織をどう作るかを論じた本でありながら、実際には営業改革だけでなく事業設計組織運営まで射程に入れた一冊です。著者がオラクル、Salesforce、マルケトで見てきた変化を起点に、営業担当者が最初に接触する時点で購買検討がかなり進んでいるという前提を置き、従来型の「一人の営業が最初から最後まで握る」やり方が通用しにくくなった背景を整理します。売り方だけの話ではなく、買い方が変わったからこそ組織を変える必要がある、という順序で語られるのが腹落ちしやすいポイントです。 中盤では、マーケティングインサイドセールスフィールドセールスカスタマーサクセスの4機能を、ただ縦に分けるのではなく顧客ステージに沿ってどうつなぐかを解説します。MQLやSQLの考え方、部門間の受け渡し基準、前工程で品質を担保する発想などが扱われ、属人的な営業から再現性あるプロセスへ移行する道筋が具体的に見えてきます。分業によって生まれる副作用にも正直に触れている点が、実務者にとって信頼できる構成です。 本書の核は、分業体制そのものよりも共業全体最適にあります。第4部では市場戦略リソースマネジメントパフォーマンスマネジメントの3本柱を示し、誰に売るか、どこに人と予算を張るか、どの数字で異常を見つけるかを一体で考えさせます。KPIは絶対値だけでなくトレンドや複数指標の組み合わせで見るべきだという指摘も実務的で、数字を集めることと実態を理解することは別物だという視点が繰り返し強調されます。 終盤では、制度やツールだけでは組織は回らないという前提のもと、人材採用組織づくりリーダーシップまで掘り下げます。強い営業プロセスはテンプレートの移植ではなく、自社の市場・顧客・人材に合わせて作り替える必要があるというメッセージが一貫しています。読後には「The Modelを導入する」ではなく自社のレベニューモデルを設計するという見方に変わるはずで、流行語としてではなく原理原則の書として長く使える本です。

分業の本だと思って読んだら、経営の本だった

去年、うちにもインサイドセールスを入れた。立ち上げの旗振りをしたのは自分で、「The Modelってこういうことでしょ」と分かったつもりでいた。BtoB SaaSの営業企画という立場で、社員200名ほどの会社の新しい武器を作るつもりだった。マーケがリードを取って、ISがアポを切って、FSが商談して、CSがオンボーディングする。4つに分ければ回る、くらいの理解だった。 この本を手に取ったのは、立ち上げて半年くらい経った頃。ISからFSへの商談パスがうまくいかなくて、「受注率が落ちたのはISの質が悪いからだ」「いや、マーケのリードがそもそもズレてる」みたいな話が出はじめていた。部門間の溝が広がりかけていて、正直しんどかった。何か手がかりが欲しくて読み始めた、というのが本音だ。 タイトルだけ見ると、インサイドセールスやSFA運用の実務書に見えるかもしれない。自分も最初は「マーケから商談をどう受け取り、どう営業に流すか」のハウツーを期待していた。ところが第1部から、著者がオラクルやSalesforce、マルケトで経験した変化が語られていて、分業の手順書ではなく、なぜその分け方が必要になったかの設計思想の本だと気づいた。顧客が営業に会う前からかなり調べている時代に、一人の営業が最初から最後まで握るやり方では限界がある。その前提を、著者自身の体験を交えて腹落ちする形で説明してくれるのが、まず強い。 特に刺さったのは、「The Modelをそのまま真似しても機能しない」とはっきり書いている点だった。世の中では4部門に分けることとか、8つのフェーズを置くことばかりが独り歩きしがちだけど、本書はそこをかなり冷静に見ている。大事なのは、顧客の購買プロセスに合わせてどこで役割を切り、どこで情報をつなぎ、どこにボトルネックがあるかを見極めること。つまり完成品を輸入するんじゃなくて、自社に合ったレベニューモデルを作ることが目的だとわかる。これを読んだとき、うちのIS立ち上げが「形を真似た」だけだったことに気づいて、ちょっと冷や汗が出た。 もうひとつ印象的だったのは、第4部の3つの基本戦略——市場戦略・リソースマネジメント・パフォーマンスマネジメント——だ。マーケ、営業、CSの役割説明だけで終わらず、誰にどう売るか、どこに人と予算を張るか、どの数字で異常を見つけるかまで踏み込んでいるので、現場本というより事業運営の本として読める。KPIの章もよくある「この数字を見よう」で終わらず、単一指標の怖さや、絶対値よりトレンドを見る発想、主観が入る数字と入らない数字を分けて考える姿勢が実践的だった。数字を集めることと、実態を理解することは別物だという当たり前だけど難しい話を、かなり具体的に教えてくれる。自分がダッシュボードの数字を毎週見ていたのに、何が起きているか分かっていなかった理由がここに書いてあった。 読み終わって一番変わったのは、部門間の問題を「受け渡しの精度」だけで語らなくなったことだと思う。以前は「MQLの定義を厳しくすればいいんじゃないか」とか「パス基準を変えよう」みたいな対処療法ばかり考えていたけど、今は全体のどこが詰まっていて、なぜ詰まっているのかから考えるようになった。そうすると、ISの質が悪いという話もマーケのリードがズレてるという話も、実は同じボトルネックを別の角度から見ているだけだったりする。 営業責任者やマーケ責任者はもちろん、PdMや事業開発の人が読んでも得るものは多いと思う。逆に、単なるアポ獲得術やトークスクリプト集を期待するとちょっと違う。ただ、売上を作るプロセスを部門横断で見直したい人にとっては、今でも十分に読む価値がある。流行語としてのThe Modelではなく、売上が生まれる仕組みそのものを考えたいなら、かなり長く使える一冊だと思っている。

34歳 BtoB SaaSの営業企画マネージャー

この本で学べること

The Modelは完成形の模倣ではない

本書は、Salesforce由来の分業体制をそのまま移植することを勧める本ではありません。成功に至った意思決定のプロセスを理解し、自社の市場・顧客・商材に合わせてレベニューモデルを再設計することこそが本書の中心テーマです。形だけなぞっても機能しないと著者自身が明言しています。

4機能を顧客ステージに沿って接続する

マーケティングインサイドセールスフィールドセールスカスタマーサクセスを、縦割りの部署ではなく一連の顧客体験として設計します。MQLやSQLの定義、部門間の受け渡し基準、前工程の品質管理といった仕組みを通じて、前工程の質が後工程の成果を左右するという因果関係を具体的に示しています。

分業の先にあるのは共業と全体最適

部門ごとのKPIを個別に達成しても、顧客体験と売上は最適化されません。本書は部分最適の副作用——たとえば商談数を追うあまりリードの質が落ちる現象——を指摘し、情報共有や仮説検証を横断的に回す共業プロセスへの転換を提唱しています。

3つの基本戦略で売上プロセスを支える

第4部では市場戦略(誰に売るか)、リソースマネジメント(どこに人と予算を張るか)、パフォーマンスマネジメント(どの数字で異常を見つけるか)を営業組織の土台として整理します。この3本柱を一体で考えることで、現場の役割論にとどまらず事業運営レベルの判断に使える構成になっています。

KPIは絶対値より解釈が重要

数字を見るときは単月の結果だけでなく、トレンド複数指標の組み合わせで捉えるべきだと説きます。受注率や商談数をそのまま比べる危うさ、定義の揺れや主観の混入を前提に「何が起きているか」を想像する力の重要性を、具体的な事例を交えて解説しています。

本の目次

  1. 1序文 アレン・マイナー
  2. 2はじめに
  3. 3第1部 アメリカで見た新しい営業のスタイル
  4. 4第1章 マーク・ベニオフとの出会い
  5. 5第2章 営業のプロセス管理
  6. 6第3章 「ザ・モデル」のその先へ
  7. 7第2部 分業から共業へ
  8. 8第4章 2つの変化
  9. 9第5章 分業の副作用
  10. 10第6章 レベニューモデルの創造
  11. 11第3部 プロセス
  12. 12第7章 マーケティング
  13. 13第8章 インサイドセールス
  14. 14第9章 営業(フィールドセールス)
  15. 15第10章 カスタマーサクセス
  16. 16第4部 3つの基本戦略
  17. 17第11章 市場戦略
  18. 18第12章 リソースマネジメント
  19. 19第13章 パフォーマンスマネジメント
  20. 20第5部 人材・組織・リーダーシップ
  21. 21第14章 人材と組織
  22. 22第15章 リーダーシップ
  23. 23おわりに

良い点・気になる点

良い点

  • 分業体制の背景と設計思想まで理解でき、表面的な導入で終わりにくい
  • マーケ・営業・CSを横断する共通言語が得られる
  • KPI・ボトルネック・パイプラインの見方が具体的で、実務にそのまま落とし込みやすい
  • 市場戦略から人材・組織まで扱っており、事業責任者の目線でも読み応えがある

気になる点

  • SaaSやBtoB営業の用語に不慣れだと、序盤で少し引っかかる場面がある
  • 即使えるテンプレート集というよりは、考え方を自分で組み立てていく本に近い
  • 2019年刊のため、RevOpsやPLGなど近年の発展形は別途補完すると理解が深まる

みんなの評判・口コミ

のり

ソリューション営業

★★★★★5.0

営業本として読むとかなり濃いですが、実際は営業だけの本ではありません。マーケからCSまでを一本の流れで見直す視点があり、大手向け提案営業をやっている自分にも刺さりました。商談化率や受注率だけを追うと部分最適になる、という話は現場感があります。インサイドセールスを単なるアポ取り部隊として見ていた頃の考えがかなり修正されました。管理職に近い人ほど効く本だと思います。

D
D

プロジェクトマネージャー

★★★★4.5

toB SaaSのPdMとして読むと、部門間ハンドオフの解像度がかなり上がりました。 営業の本というより、顧客接点をどう設計するかの本です。とくにCSまで含めて売上プロセスを設計しているので、導入後の体験をプロダクト側がどう支えるかも考えさせられます。数字の章もよくて、KPIをダッシュボードで眺めるだけでは不十分だと痛感しました。機能開発の優先順位を考えるときにも間接的に役立ちます。

S
S

新規事業開発

★★★★4.5

新規事業で営業体制を作る立場だと、いちばん学びがあるのは「真似るな、考えろ」というメッセージでした。The Modelという名前だけ先に入れて、役割分担やKPIを置けば回るわけではないとよくわかります。市場戦略とリソース配分の章は、0→1から1→10へ移るときの悩みに直結しました。部門を増やす前に、まずどこが詰まっているのかを見るべきだという整理がありがたいです。流行語としてではなく、事業を作る本として読むのが正解だと思います。

太田

事業部長

★★★★★5.0

事業責任者の立場で読むと、最も価値があるのは第4部でした。現場の役割論だけでなく、市場戦略、リソースマネジメント、パフォーマンスマネジメントまで整理されているので、PL責任を持つ側の視点でも読み応えがあります。 受注率のような単一指標をそのまま比較しない、という指摘も非常に実践的でした。数字を見て何を判断し、どこに追加投資するかの考え方がぶれにくくなります。営業改革の本に見えて、実際は経営の本だと感じました。

著者について

こんな人におすすめ

BtoB売上プロセスを再設計したい人

マーケ、営業、CSを個別最適ではなく一続きの流れとして見直したい人に向いています。

インサイドセールス導入前に全体像を掴みたい人

役割だけを切り出して導入する危うさと、前後工程との接続まで理解できます。

SFA・MAの数字を意味ある管理に変えたい人

KPIを集計するだけでなく、ボトルネックや異常の兆候をどう読むかの視点が得られます。

SaaSやサブスク事業の責任者

継続課金モデルにおける顧客獲得から定着・拡大までの設計思想を体系的に学べます。

営業組織の属人化を減らしたいマネージャー

再現性のあるプロセス設計と、人材・組織づくりをセットで考えたい人に有効です。

よくある質問

Q. 『THE MODEL』はSaaS企業向けの本ですか?
A. 出発点はSaaSやBtoB営業ですが、『THE MODEL』の中心にあるのは顧客ステージに沿った売上プロセスの設計思想です。部門連携やKPI管理の考え方は製造業や金融など他業種にも応用しやすく、BtoBで売上プロセスを持つ組織であれば業界を問わず参考になります。
Q. 『THE MODEL』はインサイドセールスの入門書ですか?
A. 『THE MODEL』はインサイドセールスを詳しく扱いますが、それだけの本ではありません。マーケティングからカスタマーサクセスまで含めた全体像の中でISをどう位置づけ、前後工程とどう接続するかを学ぶ本です。IS単体のノウハウではなく、売上プロセス全体の設計がテーマです。
Q. 『THE MODEL』のいちばん重要な論点は何ですか?
A. 『THE MODEL』が最も強調するのは、分業の形を真似ることではなく、自社のボトルネックと市場条件に合わせて仕組みを設計することです。特に第4部の市場戦略・リソースマネジメント・パフォーマンスマネジメントの3本柱は、本書の骨格として押さえておきたい部分です。
Q. 『THE MODEL』は営業担当者個人にも役立ちますか?
A. 役立ちますが、『THE MODEL』は個人の営業テクニック本ではありません。自分の仕事が前後の部門や顧客体験とどうつながっているかを俯瞰的に理解したい営業担当者に向いています。視座が上がることで、日々の商談の位置づけが変わるはずです。
Q. 『THE MODEL』は初心者でも読めますか?
A. 『THE MODEL』は平易な文体で書かれていますが、MQL・SQL・SFAなどBtoB特有の用語はそれなりに登場します。営業やマーケティングの基本用語を少し知っていると、より読みやすく感じるはずです。用語に不安があれば、巻末や文脈での説明を頼りに読み進められます。
Q. 『THE MODEL』を読めばそのまま組織導入できますか?
A. 『THE MODEL』はテンプレートの配布本ではなく、設計の考え方を学ぶ本です。読後は、自社の市場・顧客・商材・リソースに合わせてプロセスと指標を作り直す前提で活用するのが著者の意図に沿った使い方です。
Q. 『THE MODEL』はなぜ今も読まれているのですか?
A. 『THE MODEL』は一時的な流行語としてのThe Modelではなく、売上を再現可能にする原理原則を扱っているためです。部門連携の課題やKPI運用の難しさは時代が変わっても残り続けるので、読み返すたびに新しい気づきが得られる構造になっています。

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