Shelfy
バーガーキング流 逆襲のマーケティング UNDERDOG MARKETING - MAIN

【要約・書評】『バーガーキング流 逆襲のマーケティング UNDERDOG MARKETING』の評判・おすすめポイント

野村一裕|日経BP|2026-03-06|328ページ

★★★★4.5
(4件)

この本を一言で言うと

マクドナルド優位の市場で埋もれていたバーガーキングが、限られた予算と顧客の熱量を武器に存在感を取り戻す過程を描く——話題化・競合対比・出店・商品価値をひとつの戦略に束ねる「アンダードッグの勝ち方」が学べる一冊

この本の概要

本書は、バーガーキング・ジャパンの社長である野村一裕が、日本市場で自ら実行したアンダードッグ戦略の全体像を当事者の言葉で描いたケースブックである。2019年以降の立て直しを起点に、弱い立場だからこそ取れる打ち手が単発の話題づくりで終わらず、ブランドの再定義として積み上がっていく流れが見える。圧倒的な王者がいる市場で「自分たちは何者か」を問い直すところから始まる構成は、外食産業に限らず広く応用できる。 全12章に加え楠木建との特別対談を収録し、話題化施策出店戦略商品戦略、コラボ戦略といったテーマを順に掘り下げていく。各章は具体的な施策エピソードから入り、その背景にある意思決定を解説する構成で、読み物としてのテンポがいい。現場で何を考え、なぜその判断に至ったかが一人称で語られるため、教科書的な抽象論とは手触りが違う。 特に重要なのは、「想起」という概念を軸に施策がつながっている点だ。バーガーキングの派手なPRは単にバズを狙ったものではなく、消費者が食事を選ぶ瞬間に「あ、バーガーキングがあった」と思い出してもらうための想起獲得の設計として位置づけられている。顧客の声をSNSで拾い、それを出店判断や広告コピーに変換していく仕組みは、顧客起点のブランド運営がどう実装されるかを具体的に示している。 SNS時代のマーケティング本は数多いが、本書の価値はPR・商品・出店・コラボを一本の戦略線で語り切っている点にある。広告費で劣る企業がどう勝ち筋を作るかという問いは、外食に限らず競合が圧倒的に強い市場で戦うすべての事業担当者に刺さる。派手な表紙に反して中身は地に足のついた戦略書であり、実務で使える示唆の密度が高い。

奇抜に見える施策の裏に、弱者が勝つための地味で強い設計があった

バーガーキングのSNS投稿を見るたびに「うまいな」と思いつつ、うちでは絶対できない施策だよな、と半ば諦めていた。外食チェーンでブランドマネージャーをやっている34歳、担当は全国に中規模で展開しているチェーンで、競合にはCMをばんばん打てる大手がいる。正直、予算で勝てる見込みはない。そういう立場で毎日プランを考えていると、バーガーキングのポスターや施策が目に入るたびに「あれはバーガーキングだからできることでしょ」とどこかで片づけていた。 この本を手に取ったのは、上司から「話題化ってうちでもできないの?」と言われたのがきっかけだった。正直、話題化の本なら他にもある。でも読み始めて最初に引っかかったのは、バーガーキングが目指していたのはバズではなく「想起」だったという話だ。つまり、SNSで盛り上がること自体がゴールではなく、消費者が「今日どこで食べよう」と思ったときに選択肢として浮かぶかどうか。ここを取りにいっていたと分かった瞬間、自分がずっとモヤモヤしていたことの正体が見えた気がした。うちのチームも「バズらせよう」と「売上を取ろう」の間でずっとフワフワしていたのだ。 読み進めて一番刺さったのは、マクドナルドの裏を突くという戦略が、挑発ではなく自己定義だったという点。あの有名な比較広告やコピーは、相手を攻撃しているのではなく、「自分たちはこういう存在だ」を際立たせるための比較軸として使っている。これは目からウロコだった。自分も競合との差別化を考えるとき、つい相手の弱点を突く方向に行きがちだったけれど、本書の言うポジショニングはもっと根本的で、「比較されることで輪郭がはっきりする」という発想だった。 もうひとつ、実務的にめちゃくちゃ参考になったのが顧客の声の使い方だ。「バーガーキングを増やそう」というSNS上の声を出店の意思決定に組み込んだり、顧客から弱点を教えてもらう仕組みを作ったり。普通、顧客の声を聞くというとアンケートやNPSの話になるけれど、本書ではSNS上の生の反応を企画のインプットとしてリアルタイムに回している。これは予算がなくてもできる。いや、予算がないからこそ顧客の熱量に頼るしかなかった、という文脈がリアルで響いた。 「リアルフード」の章も良かった。ファストフードなのに素材や調理の質を打ち出すのは矛盾に見えるけれど、商品の価値をブランドの約束として言語化することで、話題化だけに頼らない足腰ができている。広告がバズっても商品がついてこなければリピートは生まれない。当たり前のことだけど、それをちゃんと戦略の一部として組み込んでいるのが地味に強い。 正直に言うと、この本を読んでも「うちでもすぐ再現できる」とは思わなかった。バーガーキングには「直火焼き」という明確な差別化要素があるし、グローバルブランドとしての遊びのある文化もある。でも、少ない資源で勝つための設計思想——想起を取る、比較で自己定義する、顧客を巻き込む——は業態を超えて使える。少なくとも、来週のブランド会議で「バズ」と「想起」を分けて話す準備はできた。競合が強すぎてしんどい、でも正面突破の予算はない。そういう人にこそ読んでほしい一冊だと思う。

34歳 外食チェーンのブランドマネージャー

この本で学べること

王者の裏を突くアンダードッグ戦略

本書の軸は、強者と同じ土俵で消耗するのではなく、比較される構図そのものを利用して差異を際立たせる考え方にある。マクドナルドとの対比は挑発ではなく自己定義の手段であり、弱者の自覚を戦略資産に変えるプロセスが具体的な施策とともに描かれる。

話題化は認知ではなく想起を取りにいく手段

派手なキャンペーンの目的は一時的な認知拡大ではなく、消費者が食事を選ぶ瞬間に思い出される想起ポジションの獲得にある。広告費が限られる環境でも蓄積型のブランド記憶を作れる理由が、施策の設計意図とともに明かされる。

顧客の声を広告・出店・改善の素材に変える

SNS上の反応やファンの要望を、単なるエンゲージメント指標ではなく意思決定の直接的なインプットとして扱っている。「バーガーキングを増やそう」の声を出店判断に変えるなど、顧客参加型の企画がリサーチ・PR・ロイヤルティ形成を同時に回す装置として機能している点が実務的に参考になる。

商品価値とスピードを二者択一にしない

「リアルフード」の考え方は、ファストフードの利便性と素材価値の両立という一見矛盾する課題への答えになっている。ブランドの約束を商品面から裏打ちすることで、話題化だけに依存しない持続的な競争力を作り出している。

コラボは新規顧客を広げるための入口設計

コラボ施策は既存ファン向けの賑やかしではなく、「大人向け」という固定イメージをほぐして新たな客層との接点を増やす戦略的な役割を持つ。ブランドらしさを壊さずに入口を広げるバランス感覚が、具体的な事例を通じて学べる。

本の目次

  1. 1はじめに
  2. 21 なぜGSはバーガーキングを買ったのか?
  3. 32 「暗黒期」からの脱却
  4. 43 あえてマクドナルドの裏を突く「アンダードッグ戦略」
  5. 54 お金がないなら知恵を出せ!
  6. 65 話題化施策で「想起」を獲得する
  7. 76 広告の正解は顧客に聞け!
  8. 87 「バーガーキングを増やそう」と言い続ける
  9. 98 たった一枚の看板が大バズりした理由
  10. 109 「リアルフード」と「ファストフード」の両立に挑む
  11. 1110 「特別なときに行く店」からの脱却
  12. 1211 脱ファストフードで新たな顧客をつかめ!
  13. 1312 「大人向け」のイメージを一新するコラボ戦略
  14. 14特別対談 楠木建×野村一裕 競争戦略に「情緒的価値」を持ち込め
  15. 15おわりに

良い点・気になる点

良い点

  • バーガーキングの具体施策を通じて、弱者のポジショニング戦略が立体的に理解できる
  • SNS・PR・商品・出店がひとつのブランド戦略としてつながって見える
  • 成功施策の裏にある顧客起点の意思決定が、実務レベルで想像しやすい
  • 外食チェーンの事例でありながら、競争の激しい他業界にも応用しやすい

気になる点

  • 成功事例が中心のため、失敗施策や撤退判断の掘り下げは相対的に少ない
  • KPIや投資対効果の数値は限定的で、再現条件は読み手側で補う必要がある
  • マクドナルドとの対比が前提になるため、日本の外食市場の文脈が薄いと解像度が落ちる

みんなの評判・口コミ

みさき

広報担当

★★★★4.5

広報目線でかなり面白かったです。バーガーキングの施策は派手に見えるのに、本書を読むと全部が"話題になること"ではなく"思い出してもらうこと"につながっているのが分かります。SNSで拾った声を企画や出店に返していく流れも参考になりました。広報やSNS担当が単独で読むより、事業責任者と一緒に読むと会話が進みそうです。

S
S

新規事業開発

★★★★4.5

新規事業の人間としては、仮説検証の置き方がすごく実務的に感じました。 顧客の声をそのまま聞くのではなく、企画に変換して需要と熱量を見にいくやり方がうまいです。 特に出店と話題化を分けずに考えているところが良かった。 派手なマーケ本に見えて、実際はかなり泥臭い検証の本でした。

太田

事業部長

★★★★4.0

競合が圧倒的に強い市場で、どう存在感を作るかの考え方が整理されていた。単なる広告論ではなく、店舗網、商品価値、ブランドイメージまで一気通貫で見ている点を評価したい。反面、経営判断として見たときの数値管理はもう少し読みたかった。とはいえ、現場の意思決定に落ちる戦略書としては十分に読む価値がある。

ひなた

大学生

★★★★4.0

マーケティングを勉強したくて読みましたが、事例が多いので想像しやすかったです。バーガーキングの広告がなぜ話題になるのかを、ただ"おもしろいから"で終わらせずに説明してくれるのがよかったです。 大学生でも読み進めやすいですが、出店戦略や競争戦略の章は少し難しめでした。 就活で企業分析をするときにも役立ちそうだと思いました。

著者について

こんな人におすすめ

少予算で戦うマーケター

広告費で勝てない状況でも、想起と話題化をどう設計するかのヒントが得られる。

ブランド担当者

SNS施策だけでなく、商品、出店、PRを含めたブランドの一貫性を考えたい人に向いている。

事業責任者・経営企画

強い競合がいる市場で、正面対決以外の勝ち筋をどう作るかをケースで学べる。

外食・小売の実務家

店舗ビジネスにおける顧客の声の拾い方や、出店と話題化の連動を具体的にイメージしやすい。

よくある質問

Q. 『バーガーキング流 逆襲のマーケティング UNDERDOG MARKETING』はマーケティング初心者でも読めますか?
A. 事例が具体的で読みやすい部類です。ただし『バーガーキング流 逆襲のマーケティング UNDERDOG MARKETING』は用語集ではなく実戦ケース集なので、競争戦略やブランド論の基本に少しでも触れていると、各施策の意図がより深く理解できます。
Q. 『バーガーキング流 逆襲のマーケティング UNDERDOG MARKETING』はバーガーキングの社史ですか?
A. 社史ではなく、2019年以降の立て直し局面で何を考え、どんな施策を組み合わせたかを追う戦略書です。『バーガーキング流 逆襲のマーケティング UNDERDOG MARKETING』は会社の沿革よりも、限られた資源で勝ち筋をどう設計したかに焦点を当てています。
Q. 『バーガーキング流 逆襲のマーケティング UNDERDOG MARKETING』で学べるフレームワークは何ですか?
A. 図解のフレームワーク集ではありませんが、アンダードッグ戦略、想起獲得、顧客起点の企画化といった考え方が全編を貫く軸になっています。『バーガーキング流 逆襲のマーケティング UNDERDOG MARKETING』は理論を抽象的に説明するのではなく、具体的な施策を通じて腹落ちさせるタイプの本です。
Q. 『バーガーキング流 逆襲のマーケティング UNDERDOG MARKETING』はSNS担当にも役立ちますか?
A. かなり役立ちます。『バーガーキング流 逆襲のマーケティング UNDERDOG MARKETING』ではSNSを投稿チャネルとしてだけでなく、顧客の声を回収して企画や出店判断に変える場として活用しています。投稿のネタ探しではなく、SNS運用の戦略的な位置づけを考え直すきっかけになります。
Q. 『バーガーキング流 逆襲のマーケティング UNDERDOG MARKETING』はBtoBでも応用できますか?
A. 業界は異なりますが、強者と同じ土俵で消耗せず比較軸で自己定義するという発想はBtoBにも応用できます。『バーガーキング流 逆襲のマーケティング UNDERDOG MARKETING』の価値は、外食の事例を通じて差別化の軸をどう設計するかの思考法を学べるところにあります。
Q. 『バーガーキング流 逆襲のマーケティング UNDERDOG MARKETING』の強みはどこですか?
A. 施策単体ではなく、ポジショニング・商品・出店・PRが一本の戦略としてつながって語られている点です。『バーガーキング流 逆襲のマーケティング UNDERDOG MARKETING』は派手なバズの裏にある意思決定プロセスまで追えるため、表面的な事例集では得られない実務的な示唆があります。
Q. 『バーガーキング流 逆襲のマーケティング UNDERDOG MARKETING』はどんな人には合わないですか?
A. すぐ使えるテンプレートや細かな数値分析を求める人にはやや物足りないかもしれません。『バーガーキング流 逆襲のマーケティング UNDERDOG MARKETING』は現場の思考法を読み取り、自分の事業文脈に翻訳して使う読み方に向いた本です。

経営フレームワーク集

実践で使える経営フレームワーク20選を無料でダウンロード

※ 登録いただいたメールアドレスは資料送付にのみ使用します