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保険代理店の人事・労務管理と就業規則
中級者経営副業

【要約・書評】『保険代理店の人事・労務管理と就業規則』の評判・おすすめポイント

森 慎一|||0ページ

★★★★4.0
(4件)

この本を一言で言うと

保険業法や委託型募集人の適正化など業界固有の法規制を踏まえた労務管理の実務を体系的に整理——歩合給設計から営業成績不振者の対応、就業規則の規定例まで、現場で即使えるかたちで解説した一冊

この本の概要

本書は、社会保険労務士として長年にわたり保険代理店の人事・労務管理を支援してきた森慎一氏が、保険業界特有の実務課題を体系的にまとめた専門書である。2014年の保険業法改正委託型募集人の適正化といった制度変更を背景に、多くの代理店が直面する労務管理上の問題を具体的に取り上げている。 前半では保険代理店の基礎知識保険業法の基本的な枠組みを整理したうえで、就業規則の策定方法を丁寧に解説する。保険代理店という業態ならではの雇用形態や募集人登録の問題を踏まえ、一般的な就業規則テンプレートでは対応しきれないポイントを明確にしている。 中盤以降は、労働時間管理と残業代歩合給を中心とする賃金制度、休暇制度の設計といった具体的テーマに踏み込む。とくに保険代理店で多く採用される歩合給制については、最低賃金との関係や固定残業代の設計など、トラブルが起きやすい論点を図表を交えてわかりやすく解説している。 終盤では営業成績不振者への対応退職・解雇をめぐる法的リスク、さらには労働基準監督署の調査対応と従業員の健康管理まで網羅する。各章に就業規則の規定例が収録されており、自社の規則を見直す際のひな形として実務に直結する構成となっている。

歩合給の設計で悩んでいた自分に、もっと早く届いてほしかった本

代理店を始めて8年、従業員が10人を超えたあたりから労務管理の問題が一気に噴き出してきた。歩合給の計算方法で社員から不満が出たり、成績が伸びない募集人をどう扱えばいいのか分からなかったり。正直、保険の営業には自信があっても、人事や就業規則は完全に手探りだった。 社労士に相談しても「保険代理店ならではの事情」がなかなか伝わらない。委託型募集人と正社員の違いとか、保険業法の体制整備義務との兼ね合いとか、一般的な労務の教科書には載っていないことだらけで困っていた。 この本を手に取ったのは、まさにそういう悩みのど真ん中にいたとき。読み始めて驚いたのは、保険代理店の現場を知っている人が書いているというのがすぐにわかること。「こういうケースあるある」という事例がたくさん出てくる。歩合給の設計で最低賃金を割り込んでしまうリスクとか、固定残業代を導入するときの注意点とか、まさに自分がつまずいていたところがピンポイントで解説されていた。 特に助かったのが就業規則の規定例がそのまま載っているところ。うちの就業規則はネットで拾ったテンプレートをベースにしていたんだけど、保険代理店特有の条項がまるっと抜けていたことに気づかされた。募集人の登録義務に関する条項とか、兼業規定の書き方とか、この本がなかったら放置していたと思う。 一方で、法律の条文や通達の引用が多いので、労務に馴染みがない人は最初とっつきにくいかもしれない。自分は必要なところから拾い読みした。第7章の賃金管理第8章の退職・解雇は何度も読み返している。 同業の代理店経営者にも薦めているけど、「うちは少人数だから大丈夫」と思っている人ほど読んだほうがいい。問題が起きてからでは遅いというのを、この本を読んで痛感した。

38歳 保険代理店経営者・従業員12名

この本で学べること

保険業法と労務管理の交差点を体系的に整理

保険業法改正委託型募集人の適正化といった業界固有の法規制が、日常の労務管理にどう影響するかを横断的に解説。保険代理店ならではの雇用形態の整理から始めることで、一般的な労務書籍ではカバーできない論点を明確にしている。

歩合給制度の設計と法的リスクを詳解

保険代理店で広く採用される歩合給制について、最低賃金との関係、固定残業代の組み込み方、インセンティブ設計のパターンを具体的な計算例とともに解説。賃金設計で起こりがちなトラブルを未然に防ぐための実務知識が得られる。

営業成績不振者への適正な対応手順

成績不振の募集人に対する指導・改善計画の立て方から、配置転換、退職勧奨、最終的な普通解雇の手続きまで、段階的な対応フローを示す。裁判例を引用しながら、法的に有効な対応とNGな対応の境界線を明らかにしている。

就業規則の規定例を多数収録

各章のテーマに沿った就業規則の条文サンプルが随所に掲載されており、自社の規則にそのまま取り込める実用性が高い。とくに募集人登録に関する条項兼業規定など、保険代理店向けにカスタマイズされた規定例は他書にはない特徴。

労基署対応と従業員の健康管理まで網羅

労働基準監督署の調査が入った場合の対応方法や、事前に準備すべき書類をリストアップ。加えて働き方改革関連法への対応や従業員のメンタルヘルス対策にも触れ、経営者が押さえるべき労務リスクを広くカバーしている。

本の目次

  1. 1第1章 保険代理店の基礎知識
  2. 2第2章 保険業法の基礎知識
  3. 3第3章 保険代理店の就業規則
  4. 4第4章 雇入れ時の実務
  5. 5第5章 保険代理店の労働時間管理と残業代
  6. 6第6章 働きやすい職場のために~休暇制度等~
  7. 7第7章 保険代理店の賃金管理
  8. 8第8章 退職・解雇をめぐる問題
  9. 9第9章 労働基準監督署対応と健康管理

良い点・気になる点

良い点

  • 保険代理店に特化しており、業界固有の法規制と労務管理の接点を一冊で学べる
  • 就業規則の規定例が章ごとに収録されており、自社の規則づくりに直接活用できる
  • 歩合給制度の設計について計算例を交えて具体的に解説している
  • 図表が豊富で、法律の知識が少なくてもポイントを把握しやすい

気になる点

  • 法令の条文引用や通達の記載が多く、労務初心者には読み進めるのに時間がかかる
  • 2019年刊行のため、その後の法改正(同一労働同一賃金の中小企業適用など)はカバーされていない
  • 生命保険・損害保険の区別による実務の違いにはあまり踏み込んでいない

みんなの評判・口コミ

R
R

エンジニア

★★★★4.0

保険代理店向けの労務管理本は他にほとんどないので、この本の存在自体がありがたい。就業規則のひな形をそのまま使えるのが実務的に助かる。ただ、出版から時間が経っているので法改正のアップデートがほしいところ。

s
sho

メーカー営業

★★★3.5

社労士として保険代理店のクライアントを担当しており、業界理解を深めるために購入。保険業法と労働法の交差する部分をここまで丁寧に整理した文献は少なく、参考になった。一方で、具体的な判例の分析がもう少し充実していれば実務での説得力が増したと思う。

りん

会社員

★★★☆☆3.0

歩合給の設計部分を期待して読んだが、自社の賃金体系がかなり独自なので、そのまま適用できる内容ではなかった。基本的な考え方を整理するには役立つが、複雑なケースへの応用は別途専門家への相談が必要だと感じた。

のり

ソリューション営業

★★★★4.5

損保会社で代理店支援をしていますが、この本のおかげで代理店経営者に労務管理の話ができるようになりました。テーマごとに章が分かれているので必要なところから読めるのも良い。社内の後輩にも勧めています。

著者について

こんな人におすすめ

保険代理店の経営者

従業員を抱える代理店で、就業規則の整備や歩合給制度の見直しを考えている方

保険業界を担当する社会保険労務士

保険代理店のクライアントに対して業界特有の労務アドバイスを提供したい方

損害保険会社の代理店支援担当者

代理店の経営改善や体制整備の指導にあたり、労務面の知識を補強したい方

保険代理店の人事・総務担当者

募集人の採用から退職までの実務フローを法令に沿って整理したい方

関連書籍との比較

タイトル著者レベル評価価格
人事労務・総務担当者の人へ 労務管理の基本的なところ全部教えちゃいます漆原 香奈恵初心者★★★★ 4.0¥1,760
士業事務所の「脱属人化」組織マネジメント古川 天中級者★★★★ 4.0¥2,530

よくある質問

Q. 『保険代理店の人事・労務管理と就業規則』はどのような人向けの本ですか?
A. 保険代理店の経営者・管理職を主な読者として想定していますが、保険業界を担当する社会保険労務士や、損害保険会社で代理店支援を行う方にも実務的に役立つ内容です。
Q. 『保険代理店の人事・労務管理と就業規則』に就業規則のテンプレートは載っていますか?
A. はい。各章のテーマに沿った就業規則の規定例が随所に収録されており、自社の就業規則を策定・見直す際のひな形として活用できます。
Q. 保険業法の知識がなくても『保険代理店の人事・労務管理と就業規則』は読めますか?
A. 第1章と第2章で保険代理店の基礎知識と保険業法の基本を解説しているため、前提知識がなくても段階的に理解できる構成になっています。
Q. 『保険代理店の人事・労務管理と就業規則』で歩合給制度についてはどの程度詳しく書かれていますか?
A. 第7章で歩合給制を中心とする賃金管理を詳しく解説しています。最低賃金との関係、固定残業代の設計、インセンティブの組み方など、計算例を交えた具体的な内容です。
Q. 2019年刊行ですが、働き方改革関連法には対応していますか?
A. はい。2019年4月施行の働き方改革関連法の内容はカバーされています。ただし、2020年以降に中小企業へ適用された同一労働同一賃金などの法改正は含まれていません。
Q. 『保険代理店の人事・労務管理と就業規則』は生命保険代理店にも使えますか?
A. 保険代理店全般を対象としていますが、主に損害保険代理店の事例が多く取り上げられています。生命保険代理店にも共通する労務管理の原則は十分に学べます。
Q. 営業成績が振るわない社員への対応について書かれていますか?
A. 第8章で退職・解雇をめぐる問題として、営業成績不振者への指導方法、改善計画の立て方、退職勧奨や解雇の手続きについて段階的に解説されています。

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