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ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う (講談社現代新書)
初心者副業

【要約・書評】『ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う (講談社現代新書)』の評判・おすすめポイント

坂本 貴志|||0ページ

★★★★4.0
(4件)

この本を一言で言うと

豊富な統計データと現場取材で「定年後の仕事」の実像を丁寧に解きほぐし、「小さな仕事」が個人の幸福と社会の持続性を同時に支えるという静かな希望を描く一冊——坂本貴志著

この本の概要

本書は、リクルートワークス研究所の研究員・坂本貴志が、政府統計と独自インタビューをもとに「定年後の仕事」の実像を徹底的に解剖した経済新書だ。多くの人が漠然と恐れる「定年後」というステージを、思い込みではなくデータで正面から切り取っている。「年収は300万円以下が大半」「稼ぐべきは月60万円から月10万円へ」といった15の事実は、一見厳しそうに映るが、読み進めるうちに多くの読者が拍子抜けするほどの安堵を覚える構成になっている。 第1部では定年後の就労実態を「15の事実」として体系的に整理する。70代男性の就業率は45.7%、80代就業者の約9割が自宅近くで働くなど、データが浮かび上がらせる定年後の姿は「細く長く、ゆるやかに続ける」スタイルだ。収入は現役時代より大幅に下がるが、支出もほぼ同じペースで縮小するため、生活水準の急激な悪化は起きにくいという分析は、老後不安を煽るメディアの語り口とは対極にあり、冷静な説得力がある。 第2部は7つのインタビュー事例で構成される。元管理職が一プレイヤーとして現場に立つ話、包丁研ぎ職人として独立した元サラリーマン、地元の小学校で補助教員を続ける元教員など、「小さな仕事」に就いた人々が仕事に深い意義を感じているリアルが丁寧に描かれる。責任と収入が下がるとともにストレスから解放され、仕事そのものを純粋に楽しめるようになるという逆説的な幸福感が、各事例を通じて鮮明に伝わってくる。 第3部では個人の話を離れ、企業の高齢社員人事管理のあり方と、労働供給制約時代における社会・行政の課題へと論点が広がる。著者は「小さな仕事の積み重ね」こそが経済の実態であり、シニアの就労を社会システムとして設計し直すことが少子高齢化時代の日本に不可欠だと説く。データに基づく冷静な筆致でありながら、読後にじんわりとした希望を感じさせる、珍しい構成の一冊だ。

「定年後が怖い」と思っていたけど、読んだら少し楽になった

正直、手に取るまでちょっと躊躇した。「定年後の現実を直視しろ」系の本ってだいたいしんどいじゃないですか。老後2000万円問題とか、年金崩壊とか、そういう不安を煽るやつには正直もう食傷気味で。でもこの本、読んでみたら全然違った。 著者の坂本さんはリクルートワークス研究所の研究員で、元は厚労省・内閣府のエコノミスト。数字の扱いに慣れた人が書いているから、感情論じゃなくてデータで淡々と語ってくれるのが助かった。「年収300万円以下が大半」というのは最初ちょっとドキッとするんですよ。でもそこに「支出も同じくらい下がる」「月10万円稼げれば家計が成立するケースが多い」というデータが続くと、あれ、それって意外といけるんじゃ?ってなってくる。数字って並べ方ひとつで印象がこんなに変わるんだなと。 個人的にいちばん刺さったのは第2部の事例集。元管理職が一兵卒として現場に戻り「この働き方のほうが楽しい」と言い切る話とか、包丁研ぎ職人を目指して独立した元サラリーマンの話とか。地位も収入も下がったはずなのに、なぜか生き生きしているんですよ。読んでいて「責任が減る」ことがこんなにも人を解放するのかと、素直に驚いた。営業だからわかる気がする。数字を追うプレッシャーがなくなった瞬間のあの感覚、本当に自由だろうなって。 もちろん批判的な意見もあって、「政府統計ベースで理想論すぎる」「地方の実態とかけ離れている」というレビューも確かにある。都市部と地方では求人の量も質も全然違うわけだし、そこは割り引いて読む必要はある。自分が地方出身だからよけいにそこは気になった。 でも、「定年後=人生の終わり・縮小」という思い込みをひっくり返してくれる本としての価値は相当高いと思う。50代前半の先輩に薦めたら「少し肩の荷が下りた」と言っていたし、30代の自分には少し早いかなとも思ったけど、今のうちに「キャリアの後半をどう考えるか」の入り口として読んでおいて損はない。とにかく重くならない。不安を煽らずに終わる本って、案外少ないんですよね。

のり / ソリューション営業 / 30代

この本で学べること

本の目次

  1. 1第1部 定年後の仕事「15の事実」
  2. 2事実1 年収は300万円以下が大半
  3. 3事実2 生活費は月30万円弱まで低下する
  4. 4事実3 稼ぐべきは月60万円から月10万円に
  5. 5事実4 減少する退職金、増加する早期退職
  6. 6事実5 純貯蓄の中央値は1500万円
  7. 7事実6 70歳男性就業率45.7%、働くことは「当たり前」
  8. 8事実7 高齢化する企業、60代管理職はごく少数
  9. 9事実8 多数派を占める非正規とフリーランス
  10. 10事実9 厳しい50代の転職市場、転職しても賃金は減少
  11. 11事実10 デスクワークから現場仕事へ
  12. 12事実11 60代から能力の低下を認識する
  13. 13事実12 負荷が下がり、ストレスから解放される
  14. 14事実13 50代で就労観は一変する
  15. 15事実14 6割が仕事に満足、幸せな定年後の生活
  16. 16事実15 経済とは「小さな仕事の積み重ね」である
  17. 17第2部 「小さな仕事」に確かな意義を感じるまで
  18. 18事例1 再就職先で一プレイヤーとして活躍
  19. 19事例2 週末勤務で会社を支える
  20. 20事例3 包丁研ぎ職人を目指して独立
  21. 21事例4 近所の学校で補助教員として働く
  22. 22事例5 同僚、患者とのやり取りを楽しむ
  23. 23事例6 幕僚監部から看護師寮の管理人に
  24. 24事例7 仕事に趣味に、人生を謳歌する
  25. 25第3部 「小さな仕事」の積み上げ経済
  26. 261. 定年後も働き続ける人に必要なこと
  27. 272. 高齢社員の人事管理をどう設計するか
  28. 283. 労働供給制約時代における経済社会のあり方

良い点・気になる点

良い点

  • 政府統計・独自調査に基づくデータドリブンな分析で、感情論に流れず信頼性が高い
  • 「15の事実」という整理が明快で、定年後の実態を体系的に把握しやすい
  • 個人事例と社会論を三部構成でバランスよく展開しており、読み飽きない
  • 定年後を悲観でも楽観でもなく実態ベースで捉え直すことで、読後に落ち着いた安心感が得られる

気になる点

  • 政府統計を主なデータ源とするため、地方や非正規雇用が中心の層には当てはまりにくい部分がある
  • 「月10万円で足りる」という結論は、ある程度の年金を受給できる都市部の読者を前提にしているとの指摘がある
  • 企業・行政への提言は理念的な色が強く、具体的なアクションプランには乏しい

みんなの評判・口コミ

のり

ソリューション営業

★★★★4.5

50代の先輩と一緒に読みました。「怖いもの見たさ」で手に取ったのに、読み終わったら不思議と気持ちが楽になっていた。データで淡々と現実を示してくれるのがよくて、煽られている感じがしないんですよね。事例のパートが特によくて、肩書きがなくなっても生き生きしている人たちの話は素直に刺さりました。先輩も「これ読んでよかった」と言っていたので、一緒に読む本としてもおすすめです。

s
sho

メーカー営業

★★★★4.5

人材系の営業なので、シニア人材の話には日常的に触れているんですが、この本のデータの見せ方はかなり丁寧だと感じました。「60代管理職はごく少数」という事実は肌感覚ではわかっていても、数字でちゃんと示されると納得の重みが違う。自分自身のキャリアの後半をどう設計するかという視点でも読めたし、営業トークの引き出しとしても使えそうです。

m
mai

データアナリスト

★★★☆☆3.0

データアナリストとして読むと、政府統計を使った分析の限界がどうしても気になってしまいます。平均値・中央値は示されているんですが、分布の広がりや外れ値の処理について踏み込んでほしかった。「定年後の現実」を語るなら、その分散こそが重要なはずなので。ただ、テーマの切り口自体はユニークで、縮小していく生活を「均衡」として肯定的に位置づける視点は新鮮でした。

りん

会社員

★★★3.5

経理をやっているので、退職金の減少と年金の話はリアルで参考になりました。自分でも数字を追いかけているテーマだけに、著者の整理は読みやすかったです。ただ純貯蓄の中央値1500万円という数字は、うちの親の状況と照らし合わせると正直かなり楽観的に映る。地域差や職種差をもう少し丁寧に掘り下げてくれていたら、もっと高い評価をつけられたかもしれません。

著者について

こんな人におすすめ

定年まで10〜20年の会社員

今のうちにキャリア観を転換し、「小さな仕事」を受け入れる心構えを作るための基礎書として最適

定年後の働き方に不安を感じている50〜60代

データと事例が「定年後=悲劇」という思い込みを丁寧に解きほぐしてくれる

シニア人材の活用に悩む人事・管理職

高齢社員の就労実態と人事管理のヒントが第3部に整理されており、実務の参考になる

老後の家計設計を始めたい人

「月10万円を稼ぐ」という現実的な収入目標と支出の縮小傾向が具体的な数字で示されている

日本の労働経済・社会保障に関心がある人

少子高齢化時代における経済社会のあり方を、ミクロの就労実態から積み上げて論じる視点が得られる

関連書籍との比較

よくある質問

Q. 『ほんとうの定年後』はどんな人に向けて書かれていますか?
A. 定年を控えた40〜60代のサラリーマンを主な読者として想定していますが、シニア人材の活用に悩む経営者・人事担当者や、日本の労働経済に関心のある人にも幅広く読まれています。『ほんとうの定年後』はデータを軸に書かれているため、職種や業種を問わず参考にしやすい内容です。
Q. 『ほんとうの定年後』が示す「月10万円」という収入目標は現実的ですか?
A. 著者は政府統計をもとに、定年後は生活費が月30万円弱に縮小し、年金と合わせると月10万円の就労収入で家計が成立するケースが多いと説明しています。ただし地域・職種・年金受給額によって個人差が大きいため、『ほんとうの定年後』のデータを出発点に、自分自身の状況に当てはめて確認することが重要です。
Q. 『ほんとうの定年後』の第2部の事例は実在する人物を取材したものですか?
A. はい。著者が直接インタビューした実在のシニア就労者の話をもとに構成されています。元管理職・元自衛官・元教員など、さまざまなバックグラウンドを持つ人々が「小さな仕事」へ転換していく様子が、『ほんとうの定年後』の中でリアルに描かれています。
Q. 『ほんとうの定年後』は定年後の投資や資産運用についても扱っていますか?
A. 投資・資産運用の具体的な手法は扱っていません。『ほんとうの定年後』の焦点はあくまで「就労」と「働き方の転換」にあります。純貯蓄の中央値など家計の実態データは紹介されますが、資産運用の指南書とは性格が異なります。
Q. 『ほんとうの定年後』を読んで批判的な意見はどんなものがありますか?
A. 「政府統計に依拠しているため地方や低所得層の実態と乖離している」「月10万円で足りるという結論は楽観的すぎる」といった批判があります。『ほんとうの定年後』の分析は相対的に恵まれた層に当てはまりやすいという点は念頭に置いたうえで読むと、より参考になるでしょう。
Q. 著者・坂本貴志の経歴を教えてください。
A. 1985年生まれ。一橋大学国際公共政策大学院修了後、厚生労働省で社会保障制度の企画立案、内閣府で「経済財政白書」の執筆を担当。三菱総合研究所エコノミストを経て、リクルートワークス研究所研究員・アナリスト。著書に『統計で考える働き方の未来』(ちくま新書)がある。
Q. 『ほんとうの定年後』と同じ著者の本はありますか?
A. 坂本貴志の著書には『統計で考える働き方の未来――高齢者が働き続ける国へ』(ちくま新書)があります。また同じ講談社現代新書から出版された姉妹作的な位置づけで『ほんとうの日本経済』も好評です。
Q. 『ほんとうの定年後』は電子書籍やオーディオブックでも読めますか?
A. はい。Kindle版(ASIN: B0B8Z268P6)とAudible版(ASIN: B0B9RSV8C3)が提供されており、紙書籍(¥1,012)に対してKindle版は¥957で購入できます。

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