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公務員のためのマーケティング講座: 成果を最大化する政策・施策・事業づくり

【要約・書評】『公務員のためのマーケティング講座: 成果を最大化する政策・施策・事業づくり』の評判・おすすめポイント

長浜 洋二|||0ページ

★★★★★5.0
(4件)

この本を一言で言うと

自治体の限られた経営資源で住民ニーズに応えるために、マーケティングの5つの実践ステップとコーディネーション手法を豊富な事例とともに解説する入門書 —— 「全住民」ではなくターゲットを絞り、行動変容を設計し、5Cで事業を立案する具体的なプロセスが身につく

この本の概要

厳しい財政状況と人手不足のなか、多様化する住民ニーズや災害対応に追われる自治体職員にとって、従来のやり方では成果が出にくくなっているのが現実だ。本書は、民間企業のマーケティング手法を自治体の文脈に翻訳し、公務員が明日から使える実践フレームワークを提供している。著者の長浜洋二氏はNTT・マツダ・富士通で約15年のマーケティング実務を経験した後、NPOや自治体の支援に転じた異色のキャリアの持ち主だ。 本書の核となるのは「自治体マーケティングの5つの実践ステップ」である。ビジョンと成果の確認から始まり、ターゲット設定、行動変容ステージの設計、マーケティングの5C(Customer Value・Cost・Communication・Convenience・Comfort)による事業立案、そして指標と目標値の設定へと進む。民間の4Pとは異なる非営利組織ならではの5Cフレームワークが、公共サービスの特性にフィットしている点が大きな特徴だ。 各ステップには京都市の観光ディマーケティング、福山市の9つのペルソナ設定、春日部市のシビックアクション推進など全国の自治体の具体的な事例がふんだんに盛り込まれている。抽象的な理論で終わらず、「うちの自治体でもやれそうだ」と思える解像度で書かれているのが嬉しいところだ。 第3部では、マーケティングの実効性を左右するコーディネーションとファシリテーションに紙幅を割いている。多様なステークホルダーをつなぐコーディネーターとしての公務員像を描き、PDCAを回すためのコミュニケーション技法やワークショップの進め方まで実務的にカバーしている。前著『NPOのためのマーケティング講座』から10年の実践知が凝縮された、行政マーケティングの決定版と言える一冊だ。

「全住民が対象です」が口癖だった自分に刺さりまくった

正直に言うと、公務員がマーケティングなんて必要あるの?って思ってた。税金で動いてるわけだし、利益を追求する民間企業とは違う。そう思い込んでたんだけど、この本を読んで完全に考えが変わった。 自分は自治体の企画課で住民向けの施策を担当してるんだけど、いつも上司に「ターゲットは?」って聞かれると「全住民です」って答えてた。でも本書の「ターゲット=全住民では誰にも伝わらない」っていう一文を読んだとき、まさに自分のことだと思ってグサッときた。そりゃチラシ配っても反応ないわけだよ。 特に勉強になったのはマーケティングの5Cのところ。民間でよく聞く4P(Product、Price、Place、Promotion)とは違って、Customer Value、Cost、Communication、Convenience、Comfortという切り口になっている。これが公共サービスにめちゃくちゃフィットする。たとえば千葉市の呼び出し番号プッシュ通知とか、今治市の移動市役所とか、「住民の負担を減らす」という視点で設計された事例が出てきて、「こういうことか!」と腹落ちした。 個人的に一番ありがたかったのは、行動変容の5つのステージ設計の章。施策って「やりました、終わり」になりがちなんだけど、住民がどういうステップで行動を変えていくのかを事前に設計しておくという発想がなかった。春日部市のシビックアクション推進の事例では、認知→関心→行動→継続→波及というステージが具体的に描かれていて、そのまま自分の仕事に使えそうだった。 後半のファシリテーションの章も地味に良い。庁内の合意形成とか、住民ワークショップの進め方って、誰も教えてくれないのに実務では毎回必要になる。豊田市のグラフィック・レコーディングの事例とか、生駒市の戦略的ワークショップとか、すぐに参考にできるものばかりだった。 200ページとコンパクトなのに中身がぎっしり詰まっていて、1〜2日で読み切れるのもいい。理論書というよりは実践ガイドブックに近い感覚で、机の横に置いて事業計画を書くときに何度も見返すタイプの本だと思う。公務員はもちろん、NPOとか地域おこし協力隊の人にも読んでほしい一冊。

自治体の企画課で3年目、住民向け施策のPRに悩んでいる20代後半の地方公務員

この本で学べること

自治体マーケティングの5つの実践ステップ

ビジョン確認→ターゲット設定→行動変容ステージ設計→5Cによる事業立案→指標・目標値設定という、公務員が実務で使えるマーケティングの一連のプロセスを体系的に解説している。

民間の4Pとは異なる「マーケティングの5C」

Customer Value・Cost・Communication・Convenience・Comfortという非営利組織に特化した5つの切り口で事業を設計する。利益追求ではなく住民の行動変容を促すための独自フレームワークだ。

全国の自治体事例が豊富

京都市の観光ディマーケティング、福山市のペルソナ設定、和気町の移住サイト活用など、実際に成果を上げている自治体の取り組みが各章に散りばめられており、理論を実務に落とし込みやすい。

行動変容ステージの設計手法

住民の行動を認知から継続・波及まで段階的に設計する考え方を導入。施策を「実施して終わり」にせず、成果につなげるための道筋を事前に描く方法論を提示している。

コーディネーションとファシリテーション

マーケティング戦略の実効性を高めるには庁内外の協働が不可欠。公務員をコーディネーターと位置づけ、PDCAを回すコミュニケーションやワークショップの基本技法まで実践的にカバーしている。

本の目次

  1. 1まえがき
  2. 2第1章 公務員にとってのマーケティングを理解する
  3. 3 1. 公務員にもマーケティングが必要な理由
  4. 4 2. 企業との違いにみる自治体の特徴と社会的役割
  5. 5 3. 自治体マーケティングの4つの特徴
  6. 6 4. 自治体が目指すのは住民のウェルビーイング
  7. 7 5. 公務員にとってのマーケティングの定義
  8. 8 6. 自治体マーケティングの5つの実践ステップ
  9. 9第2章 自治体マーケティングの5つの実践ステップを学ぶ
  10. 10 ステップ1 目指すビジョンと成果の確認
  11. 11 ステップ2 ターゲットの設定
  12. 12 ステップ3 5つの行動変容ステージの設計
  13. 13 ステップ4 マーケティングの5Cによる事業の立案
  14. 14 ステップ5 指標と目標値の設定
  15. 15第3章 マーケティングに不可欠なコーディネーションを学ぶ
  16. 16 1. 自治体マーケティングに求められる協働と連携
  17. 17 2. 公務員は多様な主体をつなぐ「コーディネーター」
  18. 18 3. PDCAサイクルを活性化するコミュニケーションの実践
  19. 19 4. 公務員に不可欠なファシリテーションスキル
  20. 20 5. 実務に活かすファシリテーションの基本的な技法
  21. 21 6. ファシリテーターの「やり方」と「あり方」
  22. 22【参考】自治体マーケティングの5つの実践ステップ作成例
  23. 23あとがき

良い点・気になる点

良い点

  • 民間マーケティングの理論を自治体業務に翻訳しており、公務員が即座に実務に活かせる実践性の高さ
  • 京都市・福山市・春日部市など全国の自治体事例が豊富で、「自分の自治体でもできそう」と感じられる
  • 200ページとコンパクトながら、戦略立案からファシリテーションまで幅広くカバーしている
  • 5Cフレームワークが非営利組織の特性にフィットしており、NPOや地域活動にも応用可能

気になる点

  • 公務員・行政職員に特化した内容のため、民間企業のマーケティング担当者には物足りなく感じる可能性がある
  • デジタルマーケティングやSNS活用の解説は限定的で、オンライン施策の深掘りを期待する人には不向き
  • 入門書の位置づけのため、マーケティングの基礎知識がある人には既知の内容も含まれる

みんなの評判・口コミ

のり

ソリューション営業

★★★★★5.0

営業として民間のマーケティングフレームワークはひと通り知っていたけど、自治体向けにこう翻訳するのかと感心した。5Cのフレームワークは公共セクターだけでなく、BtoBのソリューション営業でも応用できそう。特に行動変容ステージの設計は、顧客の購買プロセスを設計するのと本質的に同じで、自分の仕事にもヒントが多かった。200ページで読みやすいのも好印象。

ゆうと

EC企業マーケター

★★★★4.5

マーケターとして読んだけど、非営利組織のマーケティングという切り口が新鮮だった。民間の4Pに対して5Cを提示するあたり、著者の実務経験の深さを感じる。事例が自治体中心なのでEC業界の自分にはそのまま使えるわけではないが、ターゲット設定やペルソナ設計の考え方は業種を問わず参考になる。公共マーケティングに興味がある人には間違いなくおすすめ。

けんじ

Web担当者

★★★★★5.0

Web担当として自治体サイトの改善案件に関わることがあるので手に取った。千葉市のプッシュ通知や鴨川市のユニバーサルデザインHPなど、デジタル寄りの事例も入っていて参考になった。ただ全体的にはオフラインの施策設計が中心なので、Webマーケに特化した話を期待すると少しズレる。それでも自治体のサービス設計の全体像を掴むには最適な本だと思う。

m
mai

データアナリスト

★★★★4.5

データアナリストの視点では、第2章ステップ5の指標と目標値の設定が特に良かった。SMARTゴールの考え方やバックキャスティングでKPIを設定する世田谷区の事例など、定量的に成果を測る文化が弱い行政組織にこそ必要な内容だと感じた。自治体DXの文脈で読んでも示唆が多い。公共セクターに関わるコンサルやアナリストにもおすすめしたい。

著者について

こんな人におすすめ

自治体の企画・政策部門の公務員

住民向け施策の企画立案や事業評価に携わっている方。ターゲット設定や成果指標の設計など、すぐに実務に活かせるフレームワークが手に入る。

NPO・非営利団体のスタッフ

限られた予算で社会課題に取り組む団体の方。5Cフレームワークは営利を目的としない組織のマーケティングに広く応用できる。

自治体向けコンサルタント・ベンダー

行政との協業で提案やプロジェクト推進を行う方。自治体側のロジックや意思決定プロセスを理解する上で、共通言語として役立つ。

地域おこし協力隊・まちづくり関係者

地域活性化に取り組む方。住民の行動変容を設計し、多様な主体との協働を進めるための実践的なヒントが得られる。

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よくある質問

Q. 『公務員のためのマーケティング講座』はマーケティング初心者でも読めますか?
A. はい、マーケティングの基礎知識がなくても理解できるように書かれた入門書です。専門用語も丁寧に解説されており、5つの実践ステップに沿って段階的に学べる構成になっています。
Q. 『公務員のためのマーケティング講座』は民間企業の人が読んでも役に立ちますか?
A. 直接のターゲットは公務員ですが、非営利組織のマーケティングや行動変容の設計手法は、BtoBマーケティングやCSR活動など民間企業の業務にも応用できます。自治体との協業に関わる方には特におすすめです。
Q. 『公務員のためのマーケティング講座』と前著『NPOのためのマーケティング講座』との違いは何ですか?
A. 前著はNPOを対象としていましたが、本書は公務員に対象を移し、サービスマーケティングの視点を中心に据えています。また、行動変容ステージの設計やファシリテーション・コーディネーションの章が新たに追加されており、著者の10年間の実践知が反映されています。
Q. 『公務員のためのマーケティング講座』で紹介されている「マーケティングの5C」とは何ですか?
A. Customer Value(価値)、Cost(コスト)、Communication(コミュニケーション)、Convenience(利便性)、Comfort(快適さ)の5つの要素です。民間企業で使われる4P(Product、Price、Place、Promotion)を非営利組織向けに再構成したフレームワークです。
Q. 『公務員のためのマーケティング講座』にはどのような自治体の事例が載っていますか?
A. 京都市の観光ディマーケティング、福山市のペルソナ設定、春日部市のシビックアクション推進、千葉市のプッシュ通知、今治市の移動市役所など、全国20以上の自治体の具体的な取り組みが紹介されています。
Q. 『公務員のためのマーケティング講座』は電子書籍で読めますか?
A. 2025年5月の発売時点では単行本(ソフトカバー)のみの販売です。Kindle版の有無については出版社や各書店サイトで最新情報をご確認ください。

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