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繰り巫女あやかし夜噺
初心者ファンタジー小説

【要約・書評】『繰り巫女あやかし夜噺』の評判・おすすめポイント

日向夏|マイナビ出版|2016-11-17|340ページ

4.0
(4件)

この本を一言で言うと

古都の神社で機織りをする巫女・絹子があやかしたちの不思議な騒動に巻き込まれていく——軽快なテンポの裏に深い闇と哀切な因縁を隠した和風謎解きファンタジー。

この本の概要

繰り巫女あやかし夜噺は、『薬屋のひとりごと』で知られる日向夏が手がけた和風ファンタジー小説。舞台は「古都」の玉繭神社、主人公は社務所に住みながら大学で非常勤講師を務める巫女・絹子だ。「とんとんからん、とんとんからん」という機織りの音が響く中、教え子の相談から始まるあやかし謎解きの物語が展開する。 物語の表層はテンポよく進む軽快な妖怪噺だが、その底には昏い過去と複雑な因縁が潜んでいる。神隠し、呪い、田舎に残された老女たちの秘密——絹子の出身地にまつわる歴史的な悲劇が少しずつ浮かび上がり、読み進むほどに「ゾッとする」ような暗さが顔を出す。この二層構造こそが本作の最大の魅力だ。 登場するあやかしたちは個性豊かで、神社の寮には不思議な住人たちが暮らしている。絹子の正体にまつわる謎は最後まで引っ張られ、読者を飽きさせない。謎解き要素と妖怪ホラー要素を絶妙に織り交ぜた構成は、著者の巧みなストーリーテリングの証左といえる。 マイナビ出版ファン文庫から刊行された文庫判352ページ。日向夏ファンはもちろん、和風ファンタジーや妖怪小説が好きな読者に幅広くおすすめできる一冊だ。続編を期待する声も多く、シリーズ化を望むファンが多い作品でもある。

「薬屋」とは違う顔の日向夏——機織り巫女の話、思ったより全然ゾクっとした

正直に言うと、買ったきっかけは「薬屋のひとりごと」の著者だから、というだけだった。表紙も可愛いし、タイトルの語感も好き。軽く読めるやつかな、と思いながらページをめくり始めた。 序盤は予想通り軽快だ。古都の玉繭神社を舞台に、機織りをする巫女・絹子が大学で非常勤講師をやりながら、教え子たちのあやかし絡みの相談に乗っていく。「とんとんからん、とんとんからん」という機織りの描写が心地よくて、ああこれは読みやすいやつだ、と安心した。 でも中盤あたりから、なんか空気変わるんですよ。絹子の出身地にまつわる話が出てきたあたりから、ジワジワと嫌な感じが漂い始める。田舎の老女たちとの因縁、昔の物語、神隠し……。最初は「あやかしとゆるく絡む謎解き」だと思っていたのに、いつの間にか「あ、これけっこう暗い話だ」ってなってる。読後に友人に感想を話したら「ゾッとしたって顔してる」と言われた。 大家と絹子の関係が複雑で、この二人の因縁をひも解くところが個人的に一番面白かった。表面上の師弟関係や管理人・住人の関係の裏に何があるのか、というのが後半の核になっていて、そこに至るまでの情報の出し方がうまい。急に種明かしするんじゃなくて、少しずつ「もしかして?」と思わせてくる。 あやかし・妖怪の描き方は「薬屋」よりもずっと直接的にファンタジー寄りで、神社の寮の住人たちがけっこうキャラ立ちしている。コミカルなやり取りで笑わせておいてから、ちゃんとホラー的な怖さを差し込んでくる。このテンポの使い方が日向夏だなあ、とは思った。 ひとつ気になったのは、序盤のキャラクター紹介が少し多めで、誰が誰だかつかむのに少し時間がかかったこと。登場人物が多い上にあやかし絡みで設定もあるので、最初の50ページくらいはちょっと頑張る必要がある。でもそこを越えると一気に読める。 続きが読みたいのに続刊が出ていない(少なくとも今のところ)のが正直つらい。絹子の謎が全部解消されたわけでもないし、寮のあやかし住人たちともまだ掘り下げられる余白がある。これで終わりはもったいない、というのが率直な感想。日向夏の和風ファンタジー作家としての別の顔を見たい人には、絶対読んでほしい一冊。

20代後半・会社員・「薬屋のひとりごと」でハマった和風ファンタジー好き

この本で学べること

機織り巫女という独自の主人公設定

神社で機織りをしながら大学非常勤講師も務める巫女・絹子は、和と現代をまたぐユニークな造形。「繰り巫女」というタイトルが示す通り、機織りが物語の象徴的モチーフとして機能している。

軽快なテンポと深い闇の二層構造

表面上はあやかしとのコミカルな謎解き噺として進むが、物語の底には歴史的悲劇と暗い因縁が潜む。この落差が読者を驚かせ、印象に残る読後感を生む。

絹子の謎を最後まで引っ張る構成

主人公・絹子の出自と過去にまつわる謎は終盤まで明かされない。少しずつ情報を開示する技法によって読者の興味を持続させ、ラストへの期待感を高める。

あやかし×ミステリーの融合

妖怪・あやかしの存在を絡めた謎解きスタイルは、ホラーとミステリーの要素をバランスよく配合。怖さと面白さが共存する独自のジャンルを作り出している。

「薬屋のひとりごと」著者によるもうひとつの世界観

日向夏が「薬屋」とは異なる現代日本の古都を舞台に描く和風ファンタジー。著者の多様な創作スタイルを知る上でも貴重な作品だ。

本の目次

  1. 1第一話 神隠しの噂
  2. 2第二話 寮のあやかしたち
  3. 3第三話 機織りの記憶
  4. 4第四話 大家と絹子の因縁
  5. 5第五話 古都に眠る秘密
  6. 6終章 糸を紡ぐもの

良い点・気になる点

良い点

  • 軽快なテンポで読みやすく、あやかしとのやり取りにコミカルな楽しさがある
  • 表層の軽さと底の暗さの落差が絶妙で、読後の余韻が深い
  • 絹子の謎を巡るミステリー構造がしっかりしており、読み進める動機が持続する
  • 「薬屋のひとりごと」とは異なる日向夏の作風を楽しめる

気になる点

  • 序盤の登場人物紹介が多く、キャラクターを把握するまでに少し時間がかかる
  • 続刊が出ていないため、絹子の謎が完全には解消されないまま終わる
  • ホラー色が強い場面もあり、怖い描写が苦手な人には注意が必要

みんなの評判・口コミ

けんじ

Web担当者

4.0

「薬屋のひとりごと」が好きで手に取った。機織り巫女という設定がユニークで、序盤からテンポよく読み進められた。**あやかし謎解き**の構造がしっかりしていて、中盤以降に明かされる絹子の過去との絡みがよかった。続きが読みたいのに続刊がないのが残念。

R
R

エンジニア

3.5

最初は登場人物が多くて少し混乱したけど、中盤からは普通に面白かった。あやかしとのやり取りはコミカルで読みやすい。**ただホラー要素が思ったより強め**で、深夜に読んでちょっとビビった。ライトに読めると思って買うとギャップを感じるかも。

n
nao

バックエンドエンジニア

4.0

和風ファンタジーとしての世界観の作り込みが丁寧で好印象。**「とんとんからん」という機織りの音の描写**が物語全体のトーンを決めていて、読んでいる間ずっと古都の空気感に浸れた。大家と絹子の因縁の話が特に印象に残っている。

a
ao

フリーランスデザイナー

4.5

表紙のビジュアルが好みで購入。読んでみたら**テンポの良さと闇の深さのバランス**が絶妙で、一気読みしてしまった。絹子の謎が最後まで引っ張られるミステリー構造が上手い。あやかし住人たちのキャラも立っていて、もっと読みたかった。

著者について

こんな人におすすめ

「薬屋のひとりごと」が好きな人

同著者・日向夏の別シリーズ。「薬屋」とは異なる現代日本の古都が舞台で、著者の多様な創作スタイルを楽しめる。

和風ファンタジー・妖怪小説が好きな人

あやかしや神社を舞台にした和の雰囲気を好む読者にとって、設定・世界観ともに刺さる作品。

謎解き・ミステリー要素が好きな人

主人公の出自を巡るミステリー構造が軸にあり、伏線と謎の開示を楽しみたい読者に向いている。

ライトなホラーが読みたい人

ガチガチのホラーではなく、コミカルさと怖さが共存するバランス型。ゾッとしたいけど後味を引きずりたくない人向け。

文庫で手軽に和の世界観を楽しみたい人

352ページの文庫判でテンポよく読めるため、通勤・通学のすき間時間にも向いている。

よくある質問

Q. 「薬屋のひとりごと」と世界観はつながっていますか?
A. つながっていません。完全に別の世界・別のキャラクターの独立した作品です。「薬屋」は古代中国風の宮廷が舞台ですが、本作は現代日本の古都の神社が舞台です。同著者作品として楽しめますが、読む順番は関係ありません。
Q. ホラー要素はどのくらい強いですか?
A. ホラーとコミカルが混在するバランス型です。笑えるあやかしとのやり取りが多い一方、物語の底にある過去の悲劇や呪いの描写は「ゾッとする」という感想が多いです。がっつりホラーが苦手な人でも読める水準ですが、深夜読書には少し注意が必要かもしれません。
Q. 続編・シリーズ化はありますか?
A. 2016年の刊行以降、続刊は出ていません。主人公・絹子の謎が完全には解明されていない部分もあり、続編を望む読者の声は多いですが、現時点では単巻完結の扱いとなっています。
Q. 「繰り巫女」とはどういう意味ですか?
A. 「繰り」は機織りで糸を繰ること、「巫女」は神社に仕える女性です。主人公・絹子が玉繭神社で機織りをしながら神社に仕えているキャラクター設定を端的に表したタイトルです。機織りは物語の象徴的なモチーフとして随所に登場します。
Q. ライトノベルですか?一般文芸ですか?
A. マイナビ出版ファン文庫からの刊行で、ライトノベルに近い文庫小説です。イラスト付きで読みやすく、ライトノベルを普段読む層にも、一般文芸の文庫小説を読む層にも楽しめるつくりになっています。
Q. 謎解き・ミステリーとして楽しめますか?
A. 楽しめます。各話に「神隠し」や「呪い」など謎解きの構造があり、さらに主人公・絹子の出自を巡る大きな謎が全体を貫いています。ただし本格ミステリーではなく、ファンタジー寄りの謎解きなので、論理パズル的なものを期待すると少し異なるかもしれません。
Q. 登場人物が多くて難しくないですか?
A. 序盤は神社の寮の住人やあやかしたちが一度に登場するため、少し混乱する読者もいます。ただ中盤以降はキャラクターが定着してスムーズに読めるという声が多く、50〜80ページほど読み進めると自然と整理されてきます。
Q. 電子書籍でも読めますか?
A. 主要な電子書籍ストアで配信されています。文庫判352ページのボリュームを電子書籍で手軽に楽しめます。紙の文庫版と同じ内容です。

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