yuki
@yuki_grad
社会学の院生。修論のテーマ探し中。質的調査が好き。
9冊の本をレビュー
読んだ本
レビュー

修論の息抜きに読んでいます。江戸時代の妖怪観や信仰の描き方が興味深くて、民俗学的な視点でも面白い。謎解きよりも人間関係の描写が丁寧で、一太郎の成長を見守るような感覚で読み進められます。

霊狐という存在の描き方が民俗学的に興味深い。野火は単なる「かわいい妖怪」ではなく、人間とも動物とも異なる独自の倫理観を持っている。上橋菜穂子さんの文化人類学的なバックグラウンドがこういうところに活きていると思います。

民俗学を学んでいる立場から見ても、この作品の陰陽道描写は非常に丁寧で感動的です。晴明の呪術は単なるフィクションではなく、平安時代の実際の信仰に基づいた描写が随所にある。博雅との会話シーンの文体が特に好きで、何度も読み返しています。

架空世界の構築の仕方が学術的にも興味深い。山内は日本的な美意識を持ちながら、現実の日本史の知識なしに読める独立した世界。烏の習性と人間の政治が組み合わさった設定は独創的で、ファンタジーの世界観設計として秀逸だと思います。

子どもが「理解できない恐怖」に直面する時の反応が面白い。大人なら合理化できることを子どもは丸ごと受け止めるしかない。そのリアルさが好き。

勇者という概念の解体という意味では面白かった。デスゲームの構造が「何のためにやってるのか」という問いを常に意識させる作り。

国文学の人間として「よくこれだけ詰め込んだな」という圧倒感。蒔田内禰子の名前のギミックに気づいた時の感動を忘れない。

「人間とは何か」という問いをSFファンタジーの形式で問う小説。ハルの選択が終盤で刺さった。人間性と非人間性の境界を考えさせられる。

異能バトル系の文法をきちんと守りながら独自の要素を入れてる。キーホルダー陰湿魔剣っていう通称でもう世界観の方向性がわかるのが笑える(好き)。
