Shelfy
人生が大きく変わる アドラー心理学入門
初心者

【要約・書評】『人生が大きく変わる アドラー心理学入門』の評判・おすすめポイント

岩井俊憲|かんき出版|2014-12-23|224ページ

0.0
(0件)

この本を一言で言うと

アドラー心理学の5つの基本理論を体系的に学べる、日本のアドラー研究の第一人者が書いた決定版入門書。

この本の概要

著者の岩井俊憲氏は、日本においてアドラー心理学を最も長く・深く実践・普及してきた一人で、ヒューマン・ギルドという機関でカウンセリングと教育を30年以上続けてきた人物だ。「嫌われる勇気」ブームよりずっと前からアドラーを教えてきた著者が書いたこの入門書は、表面的なノウハウではなくアドラー心理学の思想的土台から丁寧に解説している点で際立っている。 本書が取り上げる5つの基本理論——自己決定性、目的論、全体論、認知論、対人関係論——は、アドラー心理学の骨格をなすものだ。それぞれの理論が互いにどう結びついているかを理解することで、「嫌われる勇気」で断片的に学んだ概念が一つの思想体系として整理される。特に「全体論」の章は、人間を身体・感情・思考に分割して考える従来の心理学に対するアドラーの批判的視点が鮮明で、読み応えがある。 224ページという分量の中に、理論解説と事例が交互に配置されており、読み飽きない構成になっている。かんき出版から2014年に出版された本書は、「嫌われる勇気」以前から存在するアドラー入門書として、アドラーを本格的に学びたい読者には欠かせない一冊として位置づけられてきた。 評価3.7という数字は、「やさしすぎず難しすぎない」ゆえの賛否の分かれ方を反映している。ポップなエンタメ的読み口を期待する読者には硬く感じられるかもしれないが、アドラー心理学の体系を真剣に学びたい人にとっては信頼できる一冊だ。ライフコーチや教育者、カウンセラーを目指す人の入門書として特に高い評価を得ている。

「嫌われる勇気」で入って、この本でやっと「わかった」と思えた

教員2年目のとき、クラスの子たちとうまくいかなくて、正直かなり追い詰められていた。問題行動を繰り返す子をどう指導したらいいか、怒ってもダメ、褒めてもすぐ元通り、そんな状況が続いていた頃に「嫌われる勇気」を読んでアドラーにはまった。 でも「嫌われる勇気」は対話形式でエンタメ的に書かれてるから、「課題の分離ってなんとなくわかった。でも、なんでこれが大事なの?」という疑問がずっとあった。その答えを探して行き着いたのがこの本。 最初の章の「自己決定性」から、もう目からうろこだった。「人間は環境や過去の出来事に反応するのではなく、自分で意味を決めて行動する」という前提が、アドラー心理学全体を支える土台なんだということを、岩井先生はじっくり説明してくれる。「嫌われる勇気」で「過去は関係ない」と言われたとき、なんとなく乱暴に感じていたんだけど、この本の説明でやっと腑に落ちた。 5つの基本理論が相互にどうつながっているかを整理してくれる図解もわかりやすくて、読後に手書きでまとめ直したくらい。特に「全体論」の話、人間を身体と感情と思考に分けて考えるのは間違いで、全体として理解しないといけない、というくだりは、教育の場面でもすごく示唆的だった。 子どもの「問題行動」を、原因から見るのではなく目的から見るようになったら、指導の仕方が変わった。この子はこの行動で「何を得ようとしているのか」を考えると、叱り方じゃなくて、その子の目的を別の方法で満たしてあげる方向に自然と動けるようになった。 「嫌われる勇気」だけで満足してる人、もう一段深いところに行きたいならこの本をおすすめしたい。岩井先生のアドラーは、流行に乗ったものじゃなくて、ちゃんと根っこから理解できる感じがする。

27歳 小学校教員 / 子どもたちとの関係に悩んでいた

この本で学べること

アドラー心理学の5つの基本理論を体系的に学べる

自己決定性・目的論・全体論・認知論・対人関係論という5つの柱が互いにどうつながっているかを理解することで、アドラー心理学の思想的全体像が把握できる。

自己決定性——人は環境の産物ではなく自らが選ぶ

過去の出来事や現在の環境がどうあれ、人はそれに対してどう意味づけし行動するかを自分で選んでいる。この前提がアドラー心理学の自由と責任の思想の出発点となる。

目的論——行動の背後にある「目的」を探る

人は過去の原因によって行動するのではなく、未来の目的に向けて行動する。問題行動を責めるのではなく、その目的を理解することが根本的な解決への道になる。

全体論——分割せず人間全体を見る

意識と無意識、身体と精神を対立させず、人間を分割不可能な全体として捉える視点。感情も行動も「その人全体」の表現として理解することができる。

対人関係論——すべての悩みは人間関係から生まれる

アドラーは一切の悩みが対人関係に起因すると考えた。裏を返せば、幸福も対人関係の中にある。横の関係と共同体感覚がその実現の鍵となる。

良い点・気になる点

良い点

  • 日本のアドラー研究の第一人者である岩井俊憲氏による信頼性の高い解説
  • 5つの基本理論の相互関係が体系的に整理されており、断片的な知識が統合される
  • 理論と事例が交互に配置されており、224ページが読み飽きない構成
  • 「嫌われる勇気」の次に読む一冊として最適なアカデミックな深度

気になる点

  • エンタメ的な読み口を期待する読者には文体が硬く感じられる
  • 2014年出版のため、最新の研究動向や事例は反映されていない
  • 「嫌われる勇気」に比べると知名度が低く、書店で見つけにくい場合がある

著者について

こんな人におすすめ

アドラー心理学を体系的に学びたいビジネスパーソン

5つの基本理論の体系的な解説により、断片的だったアドラーの知識を一つの思想として統合できる

カウンセラー・教員・コーチなど対人支援の専門職

日本のアドラー心理学の第一人者による理論解説は、実践の根拠として信頼性が高く、専門家の知識基盤として機能する

「嫌われる勇気」を読んでもっと深く学びたい人

「嫌われる勇気」で得た直感的理解を理論的に裏付け、なぜその考え方が重要なのかを根本から理解できるようになる

よくある質問

Q. 「嫌われる勇気」を読んでいない状態でも読めますか?
A. はい、アドラー心理学の前提知識なしでも読めます。ただし、「嫌われる勇気」でアドラーに興味を持ってからこの本で体系的に学ぶというルートが、多くの読者にとって理解しやすいようです。
Q. カウンセラーや教育者など専門職の方にも向いていますか?
A. はい、特に向いています。著者の岩井俊憲氏はカウンセリング指導者として長年活動しており、専門家が実践で活用できるレベルの理論解説が含まれています。ライフコーチや教員、相談職の方の入門書として高い評価を得ています。
Q. アドラー心理学の理論が難しそうですが、初心者でも理解できますか?
A. 初心者でも理解できるよう事例が豊富に挿入されており、専門用語も丁寧に説明されています。ただし「嫌われる勇気」のような会話形式ではなく、解説書としての読み方が向いています。