この本を一言で言うと
上司・部下・同僚との摩擦をアドラー心理学で解きほぐす、職場の人間関係専門の実践書。
この本の概要
前作「アドラー心理学を実生活に取り入れてみた」でコミュニケーション全般を扱った小泉健一氏が、今度は職場に完全フォーカスした続編。上司からの理不尽な指示、部下のやる気のなさ、同僚との微妙な関係性など、会社員なら誰もが抱える悩みをアドラー心理学の視点から一つひとつ解剖していく。
本書の中心的なテーマは「縦の関係から横の関係へ」の転換だ。日本の職場では上司部下の縦関係が当然のものとされているが、アドラー心理学では人間はすべて対等な存在として扱う。この「横の関係」を職場で実践するとき、どんな言葉を使い、どんな態度を取るべきかが、豊富な具体例で示されている。
特に「部下の育て方」の章は読み応えがある。成果を出せない部下を責めるのではなく、その行動の「目的」を探る視点が紹介される。人は意味のある目的のために行動しているというアドラーの前提に立つと、パフォーマンスの低い部下の行動がまったく違って見えてくる。
前作との違いは「ビジネス文脈の密度」にある。職場特有の場面設定が多く、すぐに使える会話例や言い換えフレーズも充実している。前作を読んだ後に本書で職場特化の知識を補強するか、あるいは職場の悩みが特に深刻なら本書から先に読むという使い方もできる。評価も4.1と前作より高く、特定のニーズに絞った分だけ満足度が高い構成になっている。
部下に怒鳴るのをやめたら、チームの雰囲気が変わった話
去年、チームの離職率が上がって上から「お前のマネジメントに問題があるんじゃないか」と言われた。自分なりに一生懸命やってきたつもりだったので、正直かなりショックだった。その時期にたまたまKindleのランキングで見つけたのがこの本。
前作も読んでいたんだけど、こっちのほうが職場の話に絞られてるから刺さり方が違った。最初の章にある「上司が怒鳴るのは、怒鳴ることで何かを得ているから」っていう目的論の話、読んだとき「俺のことだ」と思った。怒鳴ることで「自分が真剣である」と示せていると思っていたし、なんとなく怖がられることで言うことを聞かせようとしていた部分があった。そのことを、理論として突きつけられた感じがした。
一番参考になったのは「課題の分離×職場版」の解説。部下が締め切りを守らないとき、「なんで守らないんだ」と追及するのではなく「何が障害になってるのかを一緒に考える」に変える。言葉にすると簡単だけど、実際にやるのはなかなか難しかった。最初の2週間はすごくぎこちなくて、部下に「何かあったんですか?」って聞かれたくらい。
でも3ヶ月続けたら、チームの空気が変わった。特に声が大きくなった感じはないんだけど、朝礼で自分から話してくれる人が増えた。小さいことかもしれないけど、以前とは確実に違う。
転換期はどこだったかっていうと、「勇気づけ」を意識して言葉をかけた日だと思う。ミスをした部下に「なんでやったんだ」じゃなくて「次どうするか一緒に考えよう」って言ったとき、その部下の顔が変わった。防御的なじゃなくて、前向きな顔に。
管理職として悩んでる人、特に「怒鳴っても変わらない」と感じてる人にはマジで読んでほしい。答えは全部ここにある、とは言わないけど、少なくとも自分は変わるきっかけになった。
— 39歳 中間管理職(製造業) / 部下のマネジメントに悩んでいた
この本で学べること
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縦の関係から横の関係への転換
上司部下の縦関係ではなく、役割は違えど人間として対等な「横の関係」を意識することで、心理的に安全なチームが育まれる。権威ではなく信頼をベースにしたマネジメントの土台となる考え方。
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部下の行動を「目的」から読む
やる気がない、遅刻する、報告が遅いなどの問題行動には、その人なりの「目的」がある。原因追及ではなく目的を探ることで、効果的な支援策が見えてくる。
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職場での「課題の分離」実践法
部下のパフォーマンスを「自分の評価への影響」として過度に背負うことがマネージャーのバーンアウトの一因。誰の課題かを整理することで、適切な関与度を保てる。
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フィードバックを「勇気づけ」に変える
ダメ出しではなく、行動の変化を認め次のチャレンジを後押しする言葉がけが「勇気づけ」。具体的なフレーズが豊富に紹介されており、すぐに実践できる。
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同僚との対等な協力関係の築き方
ライバル視や嫉妬ではなく、共同体の一員として同僚の成功を自分のこととして喜べる関係性が、長期的な職場満足度を高める。
良い点・気になる点
良い点
- ○職場特有の場面設定が豊富で、すぐに使える会話例が充実している
- ○前作よりも高い4.1評価が示す通り、特定ニーズへの満足度が高い
- ○上司・部下・同僚のすべての関係性をカバーしている
- ○Kindle版で手軽に読め、職場への通勤中に読み進めやすい
気になる点
- △前作と重複するアドラー心理学の基本説明がやや多い
- △日本的な職場文化を前提にしており、外資系やスタートアップには合わない場面もある
- △電子書籍のみで紙の本としては入手できない
著者について
こんな人におすすめ
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部下のマネジメントに悩む中間管理職
部下の行動を目的論から読み解き、勇気づけで自発性を引き出す具体的な方法が職場の実例とともに学べる
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上司との関係に疲れているビジネスパーソン
課題の分離の職場版で、上司の言動に必要以上に振り回されない心の持ち方と対処法が身につく
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前作「実生活に取り入れてみた」を読んで職場編も深めたい人
前作の応用として職場に特化した内容が充実しており、シリーズとして合わせて読むことで理解が深まる
よくある質問
Q. 前作「実生活に取り入れてみた」を読んでいないと理解できませんか?▼
A. 前作を読んでいなくても理解できます。ただし、前作でアドラー心理学の基本を学んでから本書で職場への応用を深めると、より体系的に理解できます。職場の悩みが特に強い場合は、本書から先に読むのもありです。
Q. 管理職だけでなく、一般社員でも参考になりますか?▼
A. はい、十分に参考になります。上司への接し方、同僚との関係性、自分の仕事の取り組み方など、管理職以外の視点からも読める内容が多く含まれています。
Q. 読後にすぐ職場で実践できますか?▼
A. 具体的な言葉がけの例やフレーズが豊富なので、翌日から実践しやすい構成です。ただし、慣れない言葉遣いは最初はぎこちなく感じることもあるので、少しずつ取り入れていくことをおすすめします。

