この本を一言で言うと
『嫌われる勇気』から3年、教師になった青年が再び哲人を訪ね、アドラー心理学の「実践」と「愛」について深く掘り下げる完結編。
この本の概要
『嫌われる勇気』の3年後、青年は教師となりアドラー心理学を実践しようとするが壁にぶつかる。「褒めてもいけない、叱ってもいけない」を教育現場で実践した結果、学級崩壊寸前に。怒りを抱えて哲人を再訪するところから物語は始まる。
前作が「知る」ための本だったのに対し、本書は「使う」ための本。教育における賞罰の問題、「尊敬」の本質、そして最終的に「愛」というテーマに到達する。アドラーが語る愛とは、恋に落ちるような受動的な感情ではなく、「ふたりで成し遂げる課題」としての能動的な決断のこと。
前作よりも実践的で深い内容を扱うため、やや歯ごたえがある。しかし青年と哲人の対話は相変わらず熱く、特に後半の「愛とは何か」の議論は圧巻。前作で「理解した」つもりのアドラー心理学が、いかに実践において困難かを正直に描いている点も誠実だ。
『嫌われる勇気』を読んでアドラーに傾倒した末の壁を壊してくれた
前作を読んで感動して、教室で「褒めない叱らない」を実践したら見事に失敗した。まさに本書の青年と同じ状況で、もうアドラーなんてダメだと思っていた。
でもこの本を読んで気づいた。自分は「テクニック」としてアドラーを使おうとしていただけで、根本の「尊敬」が欠けていたんだと。子どもを変えようとするのではなく、まず自分が変わること。当たり前のようで、教育現場にいるとつい忘れてしまう。
後半の「愛」の議論は正直難しい。でも「愛とは落ちるものではなく、築くもの」という考え方は、結婚生活にもそのまま当てはまる。前作よりも実践寄りで、人生経験を積んでから読むとより沁みる一冊。
— 30代・小学校教員
この本で学べること
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教育の目標は「自立」であり、褒めることも叱ることも依存を生む
賞罰ではなく「勇気づけ」によって、子どもが自らの力で課題に向き合えるよう支援する。
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尊敬とは「ありのままのその人」を認めること
相手を変えようとせず、目の前の相手をそのまま受け入れることが、すべての人間関係の出発点。
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愛は「ふたりで成し遂げる課題」
恋に落ちる受動的な感情ではなく、愛することを能動的に決断し続ける行為。
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「わたし」から「わたしたち」への転換
自己中心性を脱して、人生の主語を「わたしたち」に変えることが幸福への鍵。
本の目次
- 1第一部 悪いあの人、かわいそうなわたし
- 2第二部 なぜ「賞罰」を否定するのか
- 3第三部 競争原理から協力原理へ
- 4第四部 与えよ、さらば与えられん
- 5第五部 愛する人生を選べ
良い点・気になる点
良い点
- ○前作の「理論」を「実践」に落とし込んでいる
- ○教育論としても読み応えがある
- ○「愛」についてのアドラー的考察が深い
- ○前作の疑問点や限界に正面から向き合っている
気になる点
- △前作を読んでいないと内容が理解しにくい
- △前作ほどのインパクトや爽快感は少ない
- △「愛」の議論が抽象的でやや難解
著者について
こんな人におすすめ
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『嫌われる勇気』の実践で壁にぶつかった人
理論を知ったあとの「じゃあどうすれば」に答えてくれる続編
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教育に携わる人
賞罰に頼らない教育の哲学と実践を学べる
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パートナーシップに悩む人
「愛は決断」というアドラーの考え方が新しい視点をくれる
よくある質問
Q. 前作を読まずにこの本だけ読めますか?▼
A. おすすめしません。本書は前作『嫌われる勇気』の3年後を舞台にした続編で、前作で説明された概念(課題の分離、目的論など)を前提に議論が進みます。
Q. 前作とどう違いますか?▼
A. 前作がアドラー心理学の「地図」だとすると、本書は「コンパス」。理論の紹介から、実際に人生で使うための実践論へとシフトしています。特に教育と愛がテーマです。
Q. 教育者でなくても読む価値はありますか?▼
A. あります。教育の話は導入部で、本質は「尊敬」と「愛」についてです。部下の指導、子育て、パートナーシップなど、あらゆる人間関係に応用できます。

