囲碁の歴史が学べる本のおすすめ人気ランキング25選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
「囲碁 歴史 本」で検索してみたんですけど、出てくるのが古い学術書ばかりで……正直、どれから手をつければいいのか分からなくなりました。
佐藤メバル
いいところに気づいたね。囲碁史は、茶道や将棋の歴史本に比べても「入口」が少ない分野なんだ。だからまず、史実を追う研究書と、棋士の人生を物語として読む歴史小説の二本立てだと捉えてしまうといい。
橘ナナミ
二本立て! 小説から入ってもいいんですか?
佐藤メバル
構わないよ。『幻庵』や『名人』のような歴史小説で人のドラマに触れてから、『囲碁文化の歴史を尋ねる』のような文化史へ進む読者は多い。逆に、先に制度や年表で骨格を入れておくと、小説の一場面がぐっと立体的に見える。
橘ナナミ
なるほど。私はどちらかというと、江戸の家元制度とか御城碁とか、仕組みのほうが気になります。
佐藤メバル
それなら『徳川時代の囲碁界を知る』のような専門書だね。水口藤雄さん、増川宏一さん、福井正明さんといった研究家の仕事を軸に押さえていくと、書誌の迷子になりにくい。
橘ナナミ
研究家の名前から入る、という手があるんですね。
佐藤メバル
うん。囲碁史は絶版や復刻本も多い分野だから、「誰が書いたか」を手がかりにすると、古い本でも信頼できる一冊にたどり着きやすいんだ。
囲碁の歴史が学べる本の選び方
史実を通史で押さえたいか、人物ドラマで味わいたいか
橘ナナミ
通史と小説、両方読むべきでしょうか。
佐藤メバル
目的で決めていい。制度や年号を正確に押さえたいなら文化史や研究書、心を動かされたいなら小説だね。『幻庵』のような歴史小説は、史実本で作った骨格に血を通わせてくれる。骨格が先か、血が先か、順番は好みで構わないよ。
知りたい時代から選ぶ——古代・中世・江戸・近代・AI期
橘ナナミ
時代で選ぶなら、どう分ければいいですか?
佐藤メバル
古代・中世は伝来と受容、江戸は家元制度と御城碁・名人碁所、近代は日本棋院の創立や新聞棋戦、そして現代はAI期。中国の古典籍なら『玄玄碁経』『忘憂清楽集』、その日本語訳や研究を通して読むことになる。知りたい時代を先に決めると、候補は一気に絞れるよ。
日本で完結させるか、東アジア・海外まで射程に入れるか
橘ナナミ
海外の囲碁史まで扱った本って、あるんでしょうか。
佐藤メバル
ここは日本語で読める本がぐっと少ない領域だね。だからこそ、中国・韓国・欧米への伝播まで視野に入れた一冊を持っておくと、日本中心の歴史観が相対化される。まず日本史を通してから海外へ広げる、という順番が現実的だよ。
図版・棋譜・年表の有無で読みやすさを見極める
橘ナナミ
難しそうな本でも、図版が多いと助かります。
佐藤メバル
そこは大事なポイントだね。棋譜や年表、系図が入っているかどうかで、同じ内容でも体感の難易度は変わる。文章で読み込む派か、ビジュアルで掴む派か、自分の型に合わせて選ぶといい。
入手性と価格で現実的に選ぶ
橘ナナミ
古い本ばかりだと、手に入らないものも多そうで……。
佐藤メバル
囲碁史の本は絶版・品薄も珍しくない。だから新品か、復刻本か、中古か、電子版か——を最初に確認してほしい。国会図書館や日本棋院などで閲覧できる場合もあるから、「買えないから読めない」とは限らないよ。
囲碁の歴史が学べる本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、25冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
囲碁の歴史が学べる本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい
新えいご・エイゴ・英語学
稲木昭子 著|松柏社
¥2,750(税込)
英語という言語を、使う側ではなく研究する側から見渡せる概説書です。世界のなかの英語、英語の歴史に始まり、音韻論・形態論・統語論・意味論・語用論・文体論、さらにコミュニケーション、人間・社会・文化、補遺のコンピュータと英語学まで章が並びます。英語学の地図を一冊で持てるのが最大の価値で、専門書へ進む前に用語の居場所を確認できます。英語史を通史として読む本とは違い、あくまで分析の道具立てを揃える本です。
こんな人におすすめ
大学で英語学に触れ始めた人、英文法を理論から捉え直したい人、英語を教える立場で言語の仕組みを確認したい人。辞書的に拾い読みして、レポートや卒論で用語の定義に戻る使い方が向きます。
良い点
- 10章と補遺で領域を網羅
- 各章が短く拾い読みしやすい
- 英語史の章も収録している
気になる点
- 2002年刊で記述は古い
- 練習問題は少なめ
- 初学者には密度が高い
出版社
松柏社
発売日
2002年02月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
佐藤さん、この『新えいご・エイゴ・英語学』って、英会話の本ですか? それとも英語について研究する本なんでしょうか?
佐藤メバル
いい質問だね。英語を「使う」ための本ではなく、英語という言語を対象として眺める英語学の入門です。音韻論、形態論、統語論、意味論、語用論と、音・形・意味・運用の層ごとに章が分かれ、最後はコンピュータと英語学の補遺まで。
棚に一冊あると、専門用語がどの領域の話なのか分かるようになります。
橘ナナミ
なるほど、地図みたいな本なんですね。それじゃあ、興味のある英語の歴史の章から読み始めても大丈夫なんでしょうか。
佐藤メバル
もちろんです。第2章の英語の歴史から入って、気になった用語を音韻論や統語論、意味論の章に戻って確認する。
書店員だった頃、英語学の棚は固い本が多くて敬遠されがちでしたが、この本は各章が短いので辞書を引く感覚で使えますよ。
室町人物伝 後醍醐天皇
加来耕三 著|ポプラ社
¥1,320(税込)
武士の世に即位した後醍醐天皇が、天皇中心の政治体制を築こうと鎌倉幕府に戦いを挑んだ生涯を描きます。何度失敗してもあきらめない姿が軸に置かれ、倒幕の結果だけでなく挑み続けた過程に光が当たるのが読みどころです。建武の新政を年表の一行として覚えるのではなく、一人の人間の執念として受け取れる。鎌倉から室町へ移る入口の人物像が、ぐっと身近になります。
こんな人におすすめ
室町時代に入る前に、人物から流れをつかみたい人。年表が苦手で、まず誰が何をしたのかを物語として知りたい中高生や学び直しの大人に向きます。後醍醐天皇を軸に鎌倉幕府滅亡までを追いたい場面で。
良い点
- 挫折も隠さず生涯を描く
- 倒幕までの過程が追える
- 天皇中心政治の意図が分かる
気になる点
- 室町時代全体は扱わない
- 内容は後醍醐天皇に限定
- 研究書ではない
出版社
ポプラ社
発売日
2015年01月02日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
後醍醐天皇って、名前は聞いたことがあるんですけど、実際に歴史上どんなことをした人だったんでしょう?
佐藤メバル
鎌倉幕府を倒そうとして、何度失敗しても諦めなかった天皇です。この本は、武士の世に即位しながら天皇中心の政治を築こうとした挑戦を、生涯を通して追っています。
結果だけを見ると建武の新政で終わってしまいますが、挑み続けた過程を読むと人物の輪郭がはっきりしてきますよ。
橘ナナミ
何度も失敗して、それでも諦めなかったんですね。室町時代の入口の本として並んでいるのも、なんだか納得しました。
佐藤メバル
そう、鎌倉幕府の滅亡から室町へ移る入口にこの人が立っているんです。何度も失敗しながら挑み続けたことが、結果として武士の世を大きく揺らした。
まず一人の人間の執念として読むと、次の時代がなぜ始まったのかが見えてきますよ。
大鏡 全現代語訳
保坂弘司 著|講談社
¥2,090(税込)
平安朝の藤原氏の栄華を、男の手による内部告発的な語りで描いた歴史文学『大鏡』の全現代語訳です。四人の話者が人物をあれこれ語り合う形なので、同じ事件でも見方が定まらず、謀略の真相が立体的に浮かび上がります。紀伝体で人物ごとにまとまり、和泉式部や紫式部も顔を出す。物語としての源氏物語とは違い、歴史の鏡として当代を見る面白さがあります。
こんな人におすすめ
平安貴族の世界を、小説のように読んでみたい人。古文で挫折したけれど内容は知りたい人、藤原道長の周辺を人物から追いたい歴史好きに向きます。まず通して読みたいときの一冊です。
良い点
- 四人の語りで多角的に読める
- 人物ごとの紀伝体で追いやすい
- 紫式部らも登場する
気になる点
- 現代語訳でも長編である
- 1981年刊の旧版
- 注釈は簡素
出版社
講談社
発売日
1981年01月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『大鏡』って古典の授業で名前だけ出てきました。これ、歴史の本なんですか? それとも文学の本なんでしょうか?
佐藤メバル
両方です。藤原氏の栄華を、男の手で内部告発的に描いた歴史文学作品で、紀伝体で人物ごとに語られていきます。
四人の話者が登場人物をあれこれ評するので、同じ事件でも見方が一つに定まらない。謀略の真相が立体的に見えてくるのが面白さです。
橘ナナミ
話者が四人もいるんですね。和泉式部や紫式部も出てくると聞いて、そこが気になります。
佐藤メバル
ええ、和泉式部も紫式部も顔を出すんですよ。道長を中心にした権力の動きを、まず人物の性格から入っていけるのがこの本の強みです。
紀伝体で人物ごとにまとまっているので、気になる人から拾い読みしても十分に楽しめます。
講孟箚記(上)
吉田松陰 著|講談社
¥2,090(税込)
下田渡海に失敗して野山獄に投ぜられた吉田松陰が、同じ獄の者たちに『孟子』を講義した記録の上巻です。再び世に出る見込みのない状況で語られるので、孟子の言葉が借り物になりません。日付ごとに講義が並び、思考の熱がそのまま残っています。孟子の注釈として読むより、思想家が自分の現在と格闘する記録として読むほうが迫力が伝わる一冊です。
こんな人におすすめ
吉田松陰の思想に触れたい人、幕末の志士が何を学んだのか知りたい人。注釈ではなく思索の記録として読みたいとき、孟子を手がかりに自分を問い直したい時間に向きます。
良い点
- 獄中の講義の生々しさがある
- 孟子を実存の問題として読む
- 日付順で思考の跡が追える
気になる点
- 漢文の素養があると尚良い
- 下巻と合わせて読む前提
- 1979年刊の旧版である
出版社
講談社
発売日
1979年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
吉田松陰の本ですよね。獄中で書いたって聞いて、ちょっとびっくりしました。
佐藤メバル
下田渡海に失敗して野山獄に入れられた松陰が、そこにいる者たちへ『孟子』を講義した記録です。外に出る見込みのない状況で語られたものだから、言葉が借り物にならない。
「我に在りては道を明らかにし義を正しうし」というあたり、孟子を越えて自分の問題として考えているんです。
橘ナナミ
孟子の解説本とは、やっぱり読み味が違うんでしょうか。
佐藤メバル
注釈として読むより、思想家が自分の境遇と格闘する記録として読むほうが迫力があります。八月から十一月まで、日付ごとに講義が並んでいて、考えが動いていく跡がそのまま残っている。
上巻だけでも、松陰という人の輪郭は十分に見えてきますよ。
日本書紀(上)全現代語訳
宇治谷孟 著|講談社
¥1,760(税込)
『古事記』と並ぶ古代史の必読文献『日本書紀』を、初めて全現代語訳した労作の上巻です。天武天皇の発意のもと舎人親王によってまとめられた30巻の完撰史で、漢文体の難解さから一般には遠い存在でした。神代から宣化天皇まで、神話と天皇の系譜を日本語でたどれます。古事記だけを読んできた人が、もう一つの古代の記録に触れる入口になります。
こんな人におすすめ
古代史に関心を持ち始めた人、古事記は読んだが日本書紀は未読という人。遺跡や展示を見る前の予習として、神代から天皇の系譜までを一続きで押さえたい場面に向きます。人名と系譜にまず慣れておきたい読者にも。
良い点
- 初の全現代語訳として貴重
- 神代から宣化天皇まで収録
- 古事記との読み比べができる
気になる点
- 上巻だけでは完結しない
- 訳文はやや硬めである
- 注は最小限
出版社
講談社
発売日
1988年06月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
日本書紀って、古事記と何が違うんでしょうか。どちらも同じ古代の話ですよね?
佐藤メバル
同じ時代を扱いますが、性格はかなり違います。日本書紀は天武天皇の発意で舎人親王のもとまとめられた30巻の歴史書で、漢文体の難解さから一般には遠い存在でした。
この本はそれを初めて全現代語訳した労作。神代から宣化天皇まで、まず日本語で流れを追えます。
橘ナナミ
30巻って聞くだけで身構えてしまいます。上巻から読むのがいいんでしょうか。
佐藤メバル
そう。まず神話と天皇の系譜に慣れるところから始めるのがおすすめです。神武天皇から宣化天皇まで、名の読みも添えられています。
古事記を読んだ人なら、同じ出来事の描き方の違いを比べるだけでも面白いですよ。
地盤地質学
今井五郎(土質力学) 著|コロナ社
¥2,750(税込)
土木技術者として身につけたい地質の基礎を、構造物づくりと結びつけて解説する教科書です。地層の形成と特性を平野部と丘陵・山岳部に分けて記述し、周辺地盤の個性に馴染む構造物をどう考えるかを軸に据えています。地震を避けて通れない国土の事情からプレートテクトニクスの章を置き、環境地質まで扱う。地質学そのものの入門書とは違い、常に現場との距離が近いのが特徴です。
こんな人におすすめ
土木・建設を学ぶ学生、地盤に関わる仕事に就く人、地質の知識を実務で必要とする技術者。設計や施工の前提として地盤を見る目を養いたいとき、平野部と山地の違いを整理したい場面に向きます。
良い点
- 平野部と山岳部を分けて解説
- プレートテクトニクスの章を設置
- 環境地質まで扱っている
気になる点
- 2002年刊で内容は古い
- 入門書としては専門的
- 図版の確認が必要
出版社
コロナ社
発売日
2002年07月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
地盤地質学というタイトルを見て、ふつうの地質学の入門書とは何が違うんだろうと思ったんですけど、どうなんですか?
佐藤メバル
読み手が土木技術者なんです。地層の生まれと個性を、構造物と関連させながら説明していく。平野部と丘陵・山岳部に大きく二分して、その土地ごとの癖を掴めるようにしているのが特徴です。
地震の章と環境地質の章も立てていて、現場で避けて通れないテーマを押さえています。
橘ナナミ
なるほど、地球の歴史を学ぶというより、目の前の土地を見極めるための本なんですね。土木の人が読むのが納得です。
佐藤メバル
その通り。地震を避けて通れない国土ですから、プレートテクトニクスを中心に据えた章を置いているのも自然な流れです。
地層の生まれと個性を、構造物と結びつけて考える。地質学の概説書を読んだ人が、実際の地盤に落とし込むときに向いていますよ。
物語ウクライナの歴史
黒川祐次 著|中央公論新社
¥946(税込)
ロシア帝国やソヴィエト連邦のもとで長く忍従を強いられながら、独自の文化を失わず人材を輩出し続けたウクライナの歴史を、スキタイの興亡から1991年の独立まで俯瞰します。キエフ・ルーシ公国の隆盛、コサックの活躍、中央ラーダの短い独立、ソ連の時代を経ての新生ウクライナまで、知られざる大国の素顔に迫る。地域史としても国際情勢の背景としても読める一冊です。
こんな人におすすめ
ウクライナ情勢の背景を知りたい人、東欧史をまとめて押さえたい人。人名や地名が混乱すると感じている読者が、まず一本の流れを手に入れるための最初の一冊です。ニュースや授業の予習にも向きます。
良い点
- スキタイから独立まで一冊
- 章立てで時代が追いやすい
- コサックの章が詳しい
気になる点
- 初版は2002年である
- 図版は多くない
- 最新情勢は範囲外
出版社
中央公論新社
発売日
2002年08月25日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ウクライナの歴史って、学校でちゃんと習った記憶がないんです。こういう本は、どこから読めばいいんでしょう?
佐藤メバル
この本はスキタイの時代から始まって、キエフ・ルーシ、コサック、そして1991年の独立までを一章ずつ追っていきます。
長く忍従を強いられながら文化を失わなかった、という視点が全体を貫いているのが特徴です。まず通史の一本を持っておくと、ニュースの理解がまったく変わりますよ。
橘ナナミ
コサックって名前だけは聞いたことがあります。歴史上の存在だったんですね。どのあたりで出てくるんでしょう?
佐藤メバル
ええ、コサックの栄光と挫折の章がきちんと立てられています。そのあとにロシアとオーストリアの帝国に支配される時代、中央ラーダのつかの間の独立、ソ連の時代と続いて、350年待った独立にたどり着く。道のりが長かったことが実感できますよ。
日本の英語教育200年
伊村元道 著|大修館書店
¥2,640(税込)
「日本の英語教育はダメだ」という批判に、歴史を調べれば納得できることもあるのに、と一英語教育者が異議を唱える一冊です。イギリス船がやってきたところから始まり、訳読という国産教授法、輸入教授法の時代、学習指導要領、戦前のリーダー、受験英語、学習英和辞典、小学校英語の歴史まで。制度と現場の積み重ねを丁寧にたどるので、評論ではなく史料に基づく議論が読めます。
こんな人におすすめ
英語教育に関わる教員、英語の学び直しを考えている社会人、教育政策を語る前に基礎を知りたい人。歴史の裏づけを持って議論したいとき、教員研修や勉強会の材料としても向きます。
良い点
- 200年の流れを一冊で追う
- 教授法の変遷が分かる
- 学習指導要領も扱う
気になる点
- 2003年刊の内容である
- 専門的で読み応え重視
- 実践指導法は扱わない
出版社
大修館書店
発売日
2003年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「日本の英語教育はダメだ」って、よく聞きますよね。この本は、その批判に正面から反論しているんですか?
佐藤メバル
そう、一英語教育者からの異議申し立てです。少し歴史を調べれば納得できることもあるのに、それをしないで批判が繰り返される、という問題意識から書かれています。
訳読という国産の教授法、輸入された教授法、学習指導要領、教科書の変遷と、項目がとても具体的なんですよ。
橘ナナミ
カナ発音の話とか、小学校英語の歴史なんて項目もあって驚きました。そんな昔から議論があったんですね。
佐藤メバル
そういう細かいところにこそ、当時の人たちの試行錯誤が出ます。御雇外国人からALTまで、英語教師が読む雑誌まで、項目が現場に即しているんです。
英語教育を語る前に、まず何が起きてきたのかを知るための本ですね。
幕末維新の個性(4)
吉川弘文館
¥2,860(税込)
薩長盟約、江戸無血開城、廃藩置県と近代化の基礎を築きながら、なぜ西南戦争を起こし悲劇の最期を遂げたのか。英雄から反逆者へという流れを軸に、西郷隆盛の生涯と激動の時代を描きます。薩摩藩と西郷家、斉彬の寵臣だった若き日、流刑の日々、復帰と倒幕、私学校と西南戦争まで段階を追う。多くの人を惹きつけた魅力に、政治史の側から迫る一冊です。
こんな人におすすめ
幕末維新を人物から読みたい人、西郷隆盛の評価がなぜ割れるのか知りたい人。薩長盟約や江戸開城の場面を、誰が何をしたのか整理しながら追いたいときに。小説やドラマの背景を確かめる用途にも向きます。
良い点
- 生涯を四つの段階で追う
- 西南戦争まで扱っている
- 政治史として整理されている
気になる点
- 小説的な読み物ではない
- 西郷以外は中心でない
- 2005年刊である
出版社
吉川弘文館
発売日
2005年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
西郷隆盛って、今でも人気がありますよね。なぜここまで慕われたんでしょう。この本で分かりますか?
佐藤メバル
この本はそこに正面から向き合っています。薩長盟約や江戸無血開城、廃藩置県で近代化の基礎を築いた人が、なぜ西南戦争を起こして悲劇の最期を迎えたのか。
英雄から反逆者へという流れを、薩摩藩と西郷家、流刑の日々から順に追っていくんです。
橘ナナミ
流刑の日々って、島に流されていた時期のことですよね。そこから復帰して活躍するなんて、ドラマみたいです。
佐藤メバル
そう、薩摩藩と西郷家の話、斉彬の寵臣だった若い頃、龍郷での謫居、そして久光の東上と流刑。復帰してからの薩長盟約や江戸開城と並べて読むと、人物の幅が見えてきます。
小説で西郷を知った人が、史実の側から確かめるのにも向いていますよ。
“林業再生”最後の挑戦
天野礼子 著|農山漁村文化協会
¥1,980(税込)
森の再生が可能かどうかの最後の局面にある日本の林業を、動き始めた人たちの側からレポートした一冊です。新生産システムで山が動くのか、崩れない道づくりをどう学ぶか、森林組合の立て直し、そして森の力になりたいと働き始めた若い人たちまで。林野庁の施策と現場の思想の両方を追うので、林業の厳しさだけで終わらない。聞き書きの積み重ねが読みどころです。
こんな人におすすめ
林業や森林に関心のある人、地方で働くことを考えている人、山の現状を現場から知りたい人。政策と現場の両方を一人の書き手の足で追いたいときに向きます。環境を仕事にしたい学生の入口としても。
良い点
- 林野庁の施策まで踏み込む
- 働く人の声が豊富である
- 道づくりの章が具体的
気になる点
- 2006年刊で状況は変化した
- 専門用語が多い箇所がある
- 写真は多くない
出版社
農山漁村文化協会
発売日
2006年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「最後の挑戦」というタイトルが気になります。林業の本って、なんだか衰退の話ばかりで暗いイメージがあるんですけど。
佐藤メバル
そこがこの本の面白いところで、再生に向けて動き始めた人たちを追いかけているんです。新生産システムで山が動くのか、崩れない道づくりとは何か、森林組合をどう立て直すか。
林野庁のメニューと現場の思想の両方を、聞き書きで重ねていきます。
橘ナナミ
四万十で働き始めた人の話も載っているんですね。若い人が現場に入っていく章があるのは、ちょっと意外でした。
佐藤メバル
ええ、森の力になりたいと四万十町の臨時職員になった人の話や、子どもの時からの憧れだったという造林会社の社員の話が実際に出てきます。
林業の厳しさだけで終わらせず、支える思想まで書いているのが、この本の誠実さだと思いますよ。
戦争の日本史(12)
吉川弘文館
¥2,750(税込)
大内・尼子・毛利・大友・島津・長宗我部ら、海外交易の実利と地域の覇権をかけて争った西国大名たちの激闘を追う一冊です。国人や土豪、村人まで視野に入れ、戦乱の世を生き抜こうとした人々の群像に迫ります。北九州と中国地方の戦乱から、毛利氏の山陰征服、大友との全面戦争、織田・毛利戦争、島津の隆盛と挫折まで。海外交易という経済の視点が全体を貫くのも特徴です。
こんな人におすすめ
戦国時代を西国の視点から見直したい人、毛利や島津の動きをまとめて押さえたい人。畿内中心の通史では物足りないと感じた読者に向きます。地域社会と交易の関係を追いたいときにも。
良い点
- 西国大名を横断して描く
- 国人・村人まで視野に入る
- 交易と覇権を結びつける
気になる点
- 2007年刊である
- 人名が多く地図が欲しい
- 畿内の記述は少なめ
出版社
吉川弘文館
発売日
2007年07月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
戦国の本って、どうしても畿内の英雄が中心になりがちですよね。この巻は、西国の大名が主役だと考えていいんですか?
佐藤メバル
そう、大内・尼子・毛利・大友・島津・長宗我部が主役です。海外交易の実利と地域の覇権をめぐって争うんですが、国人や土豪、村人まで目を配っているのがこの巻の持ち味です。
北九州と中国地方の戦乱から、毛利包囲網、織田・毛利戦争まで追いかけます。
橘ナナミ
大内や毛利、龍造寺に島津。名前は知っていても、実際に何をしていたのかはよく分かっていませんでした。
佐藤メバル
そこが埋まるのがありがたいところです。大友と毛利の全面戦争、毛利包囲網、織田・毛利戦争と、畿内の動きと西国の動きが噛み合っていく。
畿内中心の通史を読んだ後にこれを読むと、戦国の地図がぐっと立体的になりますよ。
吾妻鏡(1)
五味文彦 著|吉川弘文館
¥2,420(税込)
鎌倉時代の最も基本的な歴史書『吾妻鏡』の難解な原文を、待望の現代語訳にしたシリーズの第一巻です。治承4年、以仁王の平家追討の令旨に応じて東国の源氏が蜂起するところから、頼朝の挙兵、石橋山合戦の敗北、房総半島を経ての鎌倉入り、富士川合戦の勝利まで。89歳の老武者三浦義明の討死や黄瀬川での頼朝・義経の対面など、物語性の強い逸話が並びます。
こんな人におすすめ
鎌倉幕府の成立を一次史料から読みたい人、頼朝の挙兵から順に追いたい人。現代語で読めることを重視する読者が、源平の始まりを流れで押さえたいときに向きます。歴史小説の背景を確かめる用途にも。
良い点
- 難解な原文を現代語訳した
- 頼朝挙兵から始まる
- 逸話が豊富で読みやすい
気になる点
- シリーズの一冊である
- 人名が多く混乱しやすい
- 注は控えめ
出版社
吉川弘文館
発売日
2007年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『吾妻鏡』って名前は聞いたことがあります。鎌倉時代の歴史書ですよね。原文はやっぱり難しいんですか?
佐藤メバル
難解で知られていて、これまで一般には手が出しにくかったんです。このシリーズはそれを現代語訳してくれた待望のもの。
第一巻は治承4年、以仁王の令旨で東国の源氏が蜂起するところから、頼朝の挙兵と石橋山の敗北、房総を経ての鎌倉入り、富士川の勝利までを活写します。
橘ナナミ
黄瀬川で頼朝と義経が初めて会う場面も入っているんですよね。そこはぜひ読んでみたいと思いました。
佐藤メバル
ええ、89歳の老武者・三浦義明が討死する場面など、逸話が次々に出てきます。難解な原文を現代語訳で読めるというだけでなく、物語としても十分に面白い史料なんです。
鎌倉武家政権が生まれる瞬間を、そのまま追えますよ。
吾妻鏡(2)
五味文彦 著|吉川弘文館
¥2,530(税込)
頼朝が手綱を放ち、解き放たれた東国武士団が京都へ殺到して木曽義仲を撃破するところから、源平合戦が鎌倉軍と平氏の全面衝突へと展開する巻です。壇ノ浦での平氏滅亡まで、多くの人の運命が翻弄されていきます。一躍ヒーローとなった義経が、兄頼朝との対立から呆気なく没落し全国逃亡の身となるまでを収める。勝者の物語が次の対立へ反転する過程が読めます。
こんな人におすすめ
源平合戦の後半を追いたい人、義経と頼朝の関係がいつ崩れたのか知りたい人。前の巻から続けて、京都から壇ノ浦、そして義経の没落まで一気に進みたいときに向きます。軍記物語の背景確認にも。
良い点
- 義仲撃破から壇ノ浦まで
- 義経没落まで収録している
- 内乱の全体像がつかめる
気になる点
- 登場人物が非常に多い
- 前巻からの継続が前提
- 合戦の詳細は簡潔
出版社
吉川弘文館
発売日
2008年03月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
二巻は源平合戦のクライマックスですよね。一巻から続けて読めば、壇ノ浦の場面まで行くんでしょうか?
佐藤メバル
そうです。頼朝が手綱を放し、東国武士団が京都へなだれ込んで木曽義仲を撃破するところから、鎌倉軍と平氏の全面衝突へ。
そして壇ノ浦で平氏が滅びるまで、多くの人の運命が翻弄されていきます。この巻は源平合戦の後半をそのまま追える巻です。
橘ナナミ
義経がヒーローになった後に没落するまでが同じ巻に入っているのは、読んでいて切ない気持ちになりますね。
佐藤メバル
そこがこの巻の見どころです。一躍ヒーローになった義経が、兄との対立から呆気なく没落し、全国逃亡の身となる。
勝った側の物語が、次の対立へ反転していく過程がそのまま収められています。源平合戦の終わりが、そのまま次の争いの始まりになるんです。
吾妻鏡(3)
五味文彦 著|吉川弘文館
¥2,420(税込)
頼朝が藤原兼実を摂政に推挙し、後白河法皇に人事の申し入れを行うなど、幕府と朝廷の交渉が本格化する巻です。守護や地頭の権限がどこまで及ぶのか、武士による土地の押領が諸国で問題になり、地頭の権限は謀反人の旧所有地に限定されていく。閑院内裏の再建、重源の手による東大寺再建も始まります。追われる源行家は摂津で討たれ、義経は奥州へ向かう。政治の設計図が見える巻です。
こんな人におすすめ
鎌倉幕府と朝廷の関係を知りたい人、地頭や守護の権限の成り立ちを押さえたい人。制度の話と事件が並ぶ巻なので、政治史に関心のある読者に向きます。義経の逃亡の行方も追いたいとき。
良い点
- 朝廷との交渉が詳しい
- 地頭権限の限定が分かる
- 東大寺再建も扱っている
気になる点
- 事件より制度の記述が多い
- 前巻までの知識が必要
- 人名が密集している
出版社
吉川弘文館
発売日
2008年06月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
三巻は、合戦よりも朝廷との交渉や制度の話が増えていくんでしょうか。二巻までとの違いが気になります。
佐藤メバル
そうなんです。頼朝が藤原兼実を摂政に推挙し、後白河法皇に人事を申し入れる。守護や地頭の権限がどこまで及ぶかが争点になり、地頭の権限は謀反人の旧所有地に限定されていく。
制度が固まっていく過程が見えます。閑院内裏や東大寺の再建も始まりますよ。
橘ナナミ
義経はこの巻でもまだ逃亡中なんですよね。同じ追われる立場でも、源行家のほうは討たれてしまうんでしょうか。
佐藤メバル
ええ、行家は摂津で討たれ、義経は藤原秀衡を頼って奥州へ向かいます。合戦の続きと、地頭や守護の権限をめぐる政治の設計が同時に進んでいく巻なんです。
鎌倉幕府が統治の形を整えていく過程として読むと、ぐっと面白くなりますよ。
英語の歴史
寺澤盾 著|中央公論新社
¥902(税込)
5世紀半ば、ブリテン島の一部で使われていた英語が、15億人が使う国際言語になるまでの1500年を概観する一冊です。8世紀以降は北欧語、ラテン語、フランス語という侵入者から、16世紀以降は海外進出に伴ってアメリカやアジアの言語から、語彙・綴り・文法が影響を受けてきました。現代英語を意識しながら歴史を追い、近年の急変と未来まで描く。英語を学ぶ意味を歴史の側から考えさせられます。
こんな人におすすめ
英語を学んでいるけれど成り立ちを知らない人、語彙や綴りの不規則さに納得がいかない人。通史として一冊で英語の変化を押さえたいとき、英語史の授業の予習にも向きます。新書サイズで通読しやすいのも利点です。
良い点
- 1500年を通史で概観する
- 新書で通読しやすい
- 現代の変化まで扱う
気になる点
- 専門的な細部は省かれる
- 2008年刊の内容である
- 図版は少なめ
出版社
中央公論新社
発売日
2008年10月25日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
英語の歴史って1500年もあるんですね。そんなに長いと、どこから手をつければいいのか迷ってしまいます。
佐藤メバル
この本は現代英語を意識しながら、その1500年を一気に眺めていきます。北欧語、ラテン語、フランス語という侵入者たちから、語彙・綴り・文法がどう変わっていったか。
16世紀以降は海外進出に伴って、アメリカやアジアの言語の影響も受けていくんです。
橘ナナミ
スペルが不規則なのは、そういう歴史の積み重ねのせいだったんですね。ずっと不思議に思っていたので納得しました。
佐藤メバル
そういう「なぜ」が積み上がっていく本です。新書の分量なので通読もしやすい。近年の英米社会での変化と英語の未来まで描かれていますから、英語を学ぶ意味を歴史の側から考え直したいときに手に取ってほしい一冊ですよ。
百寺巡礼 第五巻 関東・信州
五木寛之 著|講談社
¥618(税込)
五木寛之が市井に立つ寺々を訪ねるシリーズの関東・信州編です。喧噪の巷から一歩入った境内に広がる空を手がかりに、江戸の賑わいを伝える浅草寺、漁師の信仰が支えた築地本願寺、寅さんへの憧憬を込めた柴又帝釈天、鎌倉武士の孤独を癒した建長寺や円覚寺、阿弥陀如来との結縁を果たす善光寺まで。寺を街の姿として見つめる、案内ではない巡礼記です。
こんな人におすすめ
寺を観光ではなく物語として味わいたい人、江戸・鎌倉・信州を歩く予定のある人。街と寺の関係をじっくり読みたいときに。旅の事前の読み物として持ち歩くのも楽しい一冊です。
良い点
- 10の寺を一冊で巡れる
- 街の歴史と重ねて描く
- 短編的に読める
気になる点
- 第五巻のみでは完結しない
- 写真中心の本ではない
- 案内情報は少なめ
出版社
講談社
発売日
2009年01月15日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
百寺巡礼というタイトルだと、お寺のガイドブックのような本なのかと思っていたんですけど、違うんですか?
佐藤メバル
案内というより、寺を街の姿として見つめる巡礼記です。浅草寺、増上寺、築地本願寺、柴又帝釈天、成田山、建長寺、円覚寺、高徳院、久遠寺、善光寺と、関東・信州の十か寺が並びます。
喧噪から一歩入った境内に広がる空、という視点で書かれているのがいいんですよ。
橘ナナミ
建長寺や円覚寺が「鎌倉武士の孤独を癒した」と書かれているのが気になります。どういう意味なんでしょう。
佐藤メバル
そこが読みどころですね。築地本願寺を支えた漁師の信仰、柴又帝釈天への憧憬、そして鎌倉武士の孤独を癒した建長寺や円覚寺。
江戸、鎌倉、信州と、街の歴史と寺を重ねて語ってくれます。旅先で開いても、家でゆっくり読んでも合いますよ。
藤原道長 「御堂関白記」 (上) 全現代語訳
倉本一宏 著|講談社
¥1,584(税込)
平安時代最大の権力者・藤原道長が絶頂期に記した日記『御堂関白記』を、自筆本・古写本・新写本から初めて現代語訳した上巻です。長徳元年、30歳で内覧に任じられたときから始まり、豪放磊落な筆致で宮廷政治と日常生活が綴られていきます。平安貴族がどんな世界で動いていたのか、日記という形式でそのまま覗ける。藤原氏の栄華を外から描く歴史物語とは違う、本人の視点が最大の魅力です。
こんな人におすすめ
平安貴族の日常を本人の記録で読みたい人、藤原道長の実像に近づきたい人。日記を資料としてではなく読み物として味わいたいとき、平安時代の政治の舞台裏を知りたい読者に向きます。
良い点
- 初めての現代語訳である
- 道長本人の視点で読める
- 日常生活の記述が豊富
気になる点
- 上下巻の前提となる
- 漢文日記由来で硬い箇所
- 系図がないと混乱しやすい
出版社
講談社
発売日
2009年05月11日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
藤原道長の日記が現代語訳で読めるんですね。でも日記って、そんなに面白く読めるものなんでしょうか?
佐藤メバル
これが面白いんですよ。長徳元年、30歳で内覧に任じられたところから始まるんですが、豪放磊落な筆致で宮廷政治と日常生活が一緒に書かれている。
儀式の準備も、人の出入りも、そのまま残っているんです。
橘ナナミ
平安貴族が実際に何をしていたかって、正直あまり想像できませんでした。そういうところも書いてあるんですか?
佐藤メバル
そう、そこがこの日記の価値です。自筆本や古写本・新写本から初めて現代語訳されたもので、藤原氏の栄華を外から語る歴史物語とは視点がまるで違います。
儀式や人の出入り、日々の暮らしまで、本人の目で平安を見てみてください。
吾妻鏡(6)
五味文彦 著|吉川弘文館
¥2,640(税込)
富士の巻狩りで突発した曽我兄弟の仇討ち、東大寺再建供養に伴う頼朝の二度目の上洛、そして頼朝の急死。重石を失った幕府が、若き鎌倉殿頼家の失政と有力御家人の対立で混迷へ入っていく巻です。頼朝以来の将軍近臣だった梶原景時が御家人たちの糾弾を受けて失脚し、滅び去るところまで収録。権力の空白が何を生むかが生々しく見えます。
こんな人におすすめ
鎌倉幕府がなぜ揺らぐのかを知りたい人、御家人同士の対立を追いたい人。頼朝亡き後の展開を、御家人の名を追いながら読みたいときに向きます。曽我兄弟の仇討ちが気になる読者にも。
良い点
- 頼朝の急死まで収録する
- 曽我兄弟の仇討ちが読める
- 梶原景時の失脚まで追う
気になる点
- 登場人物の把握が難しい
- 前巻からの継続が前提
- 合戦の記述は少なめ
出版社
吉川弘文館
発売日
2009年06月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
頼朝が急死してしまう巻ですよね。そのあと幕府はどうなっていくんでしょうか。御家人たちの争いが始まるんですよね?
佐藤メバル
まさに重石を失った幕府が混迷へ入るところです。富士の巻狩りでの曽我兄弟の仇討ち、東大寺再建供養に伴う二度目の上洛、そして頼朝の急死。
若い頼家の失政と、有力御家人同士の対立が一気に表面化します。
橘ナナミ
梶原景時が御家人たちに糾弾されて失脚してしまう話も入っているんですね。なんだか意外な展開でした。
佐藤メバル
ええ、頼朝以来の将軍近臣だった梶原景時が、御家人たちの糾弾を受けて失脚し、滅び去るところまで収められています。
権力の空白が何を生むのか、御家人の名前を追いながら読むとよく分かります。頼家の代の混迷が、そのまま次の時代の伏線になっていくんです。
藤原道長 「御堂関白記」 (下) 全現代語訳
倉本一宏 著|講談社
¥1,980(税込)
三女の威子を後一条天皇の中宮に立て、「一家三后」を実現した道長の日記の下巻です。長和4年から治安元年まで、宮廷での栄華が極まる一方で、胸病や眼病が暗い影を落とし、政治から身を引き、極楽往生を願う晩年が綴られます。「この世をばわが世とぞ思う」の歌に象徴される絶頂と、日記の最終条が念仏「十七万遍」であることの落差が胸に迫ります。
こんな人におすすめ
藤原道長の晩年と摂関政治の到達点を知りたい人、上巻を読み終えた人。栄華と病の両方を本人の記録で追いたいとき、望月の歌の背景を確かめたい読者に向きます。政治と信仰の関係も見えてきます。
良い点
- 一家三后の実現まで読める
- 晩年の病と信仰が生々しい
- 日記の最終条まで収録する
気になる点
- 上巻を読んでいる前提となる
- 事件の起伏は少なめ
- 和歌の注は控えめ
出版社
講談社
発売日
2009年07月13日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「この世をばわが世とぞ思う」って有名な歌ですよね。高校で習った記憶があります。その背景がこの巻で分かるんでしょうか?
佐藤メバル
三女の威子を後一条天皇の中宮に立て、一家三后を実現したときの道長です。宮廷の栄華が極まる一方で、明るさに胸病や眼病が影を落としはじめる。
政治から身を引き、極楽往生を願う晩年が綴られていきます。
橘ナナミ
権力の絶頂を知る人の日記の最後が念仏「十七万遍」で終わるというのが、なんだか印象的だと思いました。
佐藤メバル
そこなんですよ。権力の絶頂と、胸病や眼病を抱える日々と、極楽往生を願う信仰。その落差が同じ日記の中に並んでいる。
三女の威子を中宮に立てた一家三后の明るさと、政治から身を引く静けさが、一人の人間の全体として見えてきます。
東大英語長文が5分で読めるようになる【英単熟語編】2
小倉慶郎 著|語学春秋社
¥1,650(税込)
大阪府立大学の小倉慶郎教授による、通訳訓練のメソッドを使った英語学習書の第二弾です。クイック・レスポンスで秒速記憶、シャドーイングで口まね、サイト・トランスレーションで前から訳す。プロ通訳者が実践する3ステップを高校生向けにやさしくアレンジした構成で、練習問題39問は文化・教育・環境・歴史・科学など幅広い分野から出題され、最後の3問は東京大学の入試問題です。
こんな人におすすめ
大学入試の長文対策をしたい高校生、独学で読解とリスニングを伸ばしたい人。声を出して学ぶ訓練が苦にならない読者が、1日1レッスンずつ積み上げたいときに向きます。
良い点
- 3ステップ方式が明確である
- 音声が820分収録される
- 東大の問題まで含む
気になる点
- 音声環境が前提になる
- 単語集としては重い
- 2010年刊の問題選定
出版社
語学春秋社
発売日
2010年05月19日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「東大英語長文が5分で読める」って、すごく強いタイトルですね。本当にそんなに速くなるんでしょうか。
佐藤メバル
この本の狙いは速読そのものより、通訳訓練の3ステップを英語学習に持ち込むことです。クイック・レスポンスで単語を秒速で思い出し、シャドーイングで音を追い、サイト・トランスレーションで前から訳す。この順番で口を動かしていくんです。
橘ナナミ
音声が820分も入っているんですね。これって、黙って読むだけでは意味がない、声を出す前提の本なんでしょうか。
佐藤メバル
そこが肝です。問題は文化から科学まで幅広く、最後の3問は東京大学の入試問題。1日1レッスンずつ進めれば40日という設計も分かりやすい。
収録語数も多く、独学の人ほど、声に出す訓練を嫌がらずにやってほしい教材ですよ。
司馬遼太郎歴史のなかの邂逅(6)
司馬遼太郎 著|中央公論新社
¥733(税込)
日本史上最大のドラマともいうべき明治維新で、三傑と称された大久保利通、木戸孝允、西郷隆盛をはじめ、岩倉具視、江藤新平など立役者たちの足跡をたどる第六巻です。この国の将来像を描くヒントがちりばめられた二十一篇を収録。人物の評伝でも通史でもなく、史跡や資料を訪ねながら考えた記録として読めるのが持ち味です。
こんな人におすすめ
明治維新を人物から深く知りたい人、旅先で史跡をたどるのが好きな人。司馬遼太郎の視線とともに近代の出発点を考えたいとき、短編を少しずつ読み進めたいときにも向きます。
良い点
- 21篇を短編で読める
- 三傑以外の人物も並ぶ
- 史跡を訪ねる視点がある
気になる点
- 第六巻だけでは散らばる
- 構成は話題ごとに分かれる
- 2011年刊である
出版社
中央公論新社
発売日
2011年02月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
司馬遼太郎の歴史本って、小説とはやっぱり違うんですよね。明治維新の話だと聞きましたが、この巻には何が書かれているんでしょう。
佐藤メバル
明治維新の立役者たちの足跡をたどる一冊です。大久保利通、木戸孝允、西郷隆盛の三傑に加えて、岩倉具視や江藤新平まで出てきます。
この国の将来像を描くヒントがちりばめられた二十一篇を収録、という構成です。
橘ナナミ
二十一篇を一篇ずつ読めるんですね。ふつうの人物の評伝とは、やっぱり違うんでしょうか。気軽に読めそうでうれしいです。
佐藤メバル
評伝でも通史でもなくて、司馬遼太郎が史跡や資料を訪ねながら考えた記録なんです。だから一つの結論に押し込もうとしない。
二十一篇を少しずつ読むうちに、近代の出発点を自分の頭で考え直す時間が生まれます。そういう読み方に向いていますよ。
吾妻鏡(10)
五味文彦 著|吉川弘文館
¥2,640(税込)
寛喜の大飢饉、繰り返す大火・怪異・疫病・地震・洪水、そして日本最初の武家法典『関東御成敗式目』の制定と、評定衆による合議制の確立。天災と幕府運営に奮闘する執権北条泰時を軸に、執権政治が花開く鎌倉幕府の黄金時代が描かれます。泰時の孫の経時・時頼、甥の金沢実時ら次代の面々が元服を迎えるところまで収録。制度と災害の両方を追える巻です。
こんな人におすすめ
鎌倉幕府の統治の仕組みを知りたい人、御成敗式目の成り立ちを押さえたい人。災害と政治が同時に動く時代を、執権の立場から追いたいときに向きます。北条泰時の人物像にも触れられます。
良い点
- 御成敗式目の制定が読める
- 評定衆の合議制も扱う
- 災害の記述が具体的
気になる点
- 鎌倉幕府通史の一コマ
- 人物関係が複雑である
- 前巻の知識があると尚良い
出版社
吉川弘文館
発売日
2011年05月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
御成敗式目って、歴史の用語集で見た気がするんです。この巻では、制定の場面が読めるんでしょうか。
佐藤メバル
読めますよ。寛喜の大飢饉があり、大火や怪異、疫病、地震、洪水が繰り返し襲う。天災と幕府運営に奮闘する北条泰時がいて、日本最初の武家法典『関東御成敗式目』が制定され、評定衆による合議制が確立する。鎌倉幕府の黄金時代と呼ばれる時期です。
橘ナナミ
飢饉や地震の話と政治の話が同じ巻に入っているのが、逆にすごく生々しく感じます。泰時という人はどんな人なんでしょう。
佐藤メバル
そこなんです。大火や怪異、疫病、地震、洪水が繰り返し襲う時代に、泰時は幕府をどう運営したのか。孫の経時・時頼、甥の金沢実時ら次代の若者たちが元服を迎える場面まで収録されていて、制度と後継ぎの両方を追えます。統治の現実がよく分かる巻ですよ。
医療・介護のための死生学入門
清水哲郎 著|東京大学出版会
¥2,860(税込)
医療・介護従事者のリカレント教育を担ってきた東京大学の人文社会系教員たちが、臨床の死生の問題にアプローチする入門書です。医学が扱う生命を踏まえつつ、人生に注目し、〈死ぬ-看取る〉より〈最期まで生きる-ケアする〉ことに軸を置きます。共同決定とACP、死生のケアの現象学、死別をコミュニティで支える取り組み、終末期医療の法的課題、スピリチュアルケアまで章が並びます。
こんな人におすすめ
医療・介護の現場で働く人、ACPや意思決定支援を学びたい人、看取りに関わる家族。現場の言葉で死生の問題を整理したいとき、研修や多職種連携の共通の土台としても向きます。
良い点
- 東大の教員が分担執筆した
- ACPと共同決定を扱う
- 法・宗教・地域支援まで広い
気になる点
- 専門用語がやや多い
- 実践手順の本ではない
- 章ごとに著者が異なる
出版社
東京大学出版会
発売日
2017年08月29日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
死生学って、正直まだ私には遠いテーマだと思っていたんです。この本は、どんな人が読むものなんでしょうか?
佐藤メバル
主には医療・介護の現場で働く人に向けた入門です。でも「死ぬための死生学ではなく、生きるための死生学」というのがこの本の立場で、〈最期まで生きる-ケアする〉ことに関心を向けています。
だから門外の読者でも、読む価値があると思っています。
橘ナナミ
ACPや共同決定っていう言葉が目次に出てくるんですけど、聞いたことがなくて。どういう意味なんでしょうか?
佐藤メバル
事前の話し合いを積み重ねて、本人の意思決定を皆で支えていこうという考え方です。この本では、自己決定から共同決定へ、そしてACPへという流れで章が立てられていて、フレイルの知見も取り入れています。現場の言葉で整理できるのが強みですね。
JC新版 英語対訳で読む「経済」入門
大島朋剛 著|実業之日本社
¥1,100(税込)
ミクロとマクロの違い、アダム・スミスの「見えざる手」、インフレとデフレ、公的年金の現状、消費増税の流れ、そもそもお金とは何か、TPPの課題まで、経済の基礎を日本語と英語でやさしく解説する一冊です。日本語でもパッと説明できないことを英語でも説明できるようにする、という目標が分かりやすい。中高生の骨太な入門としても、ビジネスパーソンの常識確認としても使えます。
こんな人におすすめ
経済の基礎を英語と一緒に整理したい人、社会人の学び直しを考えている人。英語で説明する練習をしたいときに、用語集として辞書的に引く使い方も向きます。
良い点
- 主要な論点を日英で対訳
- 問いの立て方が具体的
- 新版で内容を更新した
気になる点
- 経済学の体系書ではない
- 英語は入門レベルである
- 図表は限られる
出版社
実業之日本社
発売日
2020年10月02日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「英語対訳で読む経済入門」……このタイトルだと、英語の本なのか経済の入門書なのか、どっちなんでしょう?
佐藤メバル
両方です。ミクロとマクロの違い、アダム・スミスの見えざる手、インフレとデフレ、公的年金、TPPの課題。
日本語でもパッと説明できない経済のことを、日本語と英語の両方で説明できるようにしよう、というのが狙いです。
橘ナナミ
なるほど、英語の勉強にもなるし、経済の用語も同時に覚えられるんですね。なんだかお得な気がします。
佐藤メバル
そういう本です。中高生には少し骨太な経済入門として、大学で経済を学ぶ人には副読本として、社会人には一般常識の確認として使える。
問いの立て方が具体的なので、辞書のように引く使い方もしやすいんですよ。
実例で学ぶ英語学入門
多々良直弘 著|朝倉書店
¥3,190(税込)
身近な実例を使いながら、認知言語学・社会言語学・語用論の各分野にまたがって日英語対照研究を解説する入門書です。事態把握と志向性、メタファーとは何かといった切り口から、言語学と英語学の違いへと導きます。アクティブラーニングで使える参加型の課題が付いているのが特徴で、読んで終わりにしない設計。抽象的な概説書でつまずいた人の次の一冊になります。
こんな人におすすめ
英語学の概説書を読んで難しかった人、実際の例から言語学を学びたい人。手を動かしながら学びたい授業やゼミ、独学の読者に向きます。日英語の違いを具体的に知りたいときにも。
良い点
- 実例中心で分かりやすい
- 3分野を横断して扱う
- 参加型の課題が付いている
気になる点
- 理論の全体像は概説書が別途必要
- 分量は多くない
- 通読より演習向き
出版社
朝倉書店
発売日
2022年03月09日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
英語学の入門書って、前にも読んだことがあるんですけど、用語が難しくて途中で止まってしまったんです……。
佐藤メバル
その経験がある人こそ、この本がいいと思います。身近な実例から入って、認知言語学・社会言語学・語用論をまたぎながら日英語の対照を解説していきます。
言語学と英語学の違いから丁寧に始まりますよ。
橘ナナミ
アクティブラーニングで使える課題も付いているんですね。読みっぱなしにならないのがいいなと思いました。
佐藤メバル
そう、参加型の課題があるので、手を動かしながら確かめられます。メタファーとは何か、事態把握と志向性とは何か、といった切り口が具体的で、日英語を比べながら読める。
概説書でつまずいた人の、次の一冊に向いていますよ。
囲碁史を「人」から辿る——算砂・道策・秀策・秀哉・呉清源
橘ナナミ
年表より、やっぱり人の話のほうが頭に入る気がします。
佐藤メバル
それなら棋士列伝から入るのがいい。初代本因坊の算砂、名人碁所に就いた道策、幕末の秀策、明治から昭和を生きた秀哉、そして呉清源——この五人を軸にすると、江戸から現代までの流れが一本の線になる。伝記を読むと、制度が「誰のためのものだったのか」が見えてくるんだ。
橘ナナミ
女性棋士の話は、この流れの中に出てきますか?
佐藤メバル
出てきにくい。それが囲碁史の弱点のひとつで、女性と囲碁の歴史という切り口は、いま書き足されつつある領域なんだ。だから通史を読むときは、「誰が書かれていないか」にも目を向けてみてほしい。
中国・韓国・欧米へ——日本中心史観を開く
橘ナナミ
中国の古典籍『玄玄碁経』『忘憂清楽集』は、どう読めばいいんでしょう。
佐藤メバル
原典そのものは漢文だから、まずは日本語訳や研究書の形で触れるのが現実的だね。そこから中国、韓国、そして欧米への伝播へと視野を広げると、囲碁が日本だけのものではないと分かる。日本語で読める本は多くないから、見つけたら貴重だと思っていい。
一次資料としての名局集・棋譜集・古碁の復刻本
橘ナナミ
名局集や棋譜集も「歴史本」に入るんですか?
佐藤メバル
入るよ。むしろ一次資料に近い。古碁の復刻本や棋譜集は、解説本では省かれてしまう一手の重みをそのまま伝えてくれる。入手難易度は高いけれど、復刻されたものや電子化されたものもあり、所蔵は国会図書館や日本棋院で確認できる場合もある。書誌情報を確かめてから探すのが基本だね。
橘ナナミ
出典まで見るクセをつけたほうがいいんですね。
佐藤メバル
そう。囲碁史は研究の蓄積がある分野だから、誰が、どの資料に基づいて書いたかが分かる本は、それだけで信頼できる。近代の新聞棋戦や日本棋院の歩みを扱った本も、当時の紙面という裏づけがあって初めて生きてくる。
よくある質問
囲碁の歴史を一冊で通して学べる本はありますか?
橘ナナミ
囲碁の歴史を一冊で通して学べる本はありますかについて教えてください。
佐藤メバル
古代から現代までを一冊で完結させる本は多くありません。通史の骨格として『囲碁文化の歴史を尋ねる』のような文化史を軸に、時代ごとに補っていく読み方が現実的です。まず通史、次に時代の順で揃えると迷いません。
囲碁史の入門書と専門書の違いは何ですか?
橘ナナミ
囲碁史の入門書と専門書の違いは何ですかについて教えてください。
佐藤メバル
入門書は流れと人物を物語として追える構成、専門書は家元制度や御城碁の仕組みを資料に基づいて検証する構成です。どちらが上ではなく、読む目的が違うものだと考えて選ぶと失敗しません。
江戸時代の家元制度や御城碁がわかる本はありますか?
橘ナナミ
江戸時代の家元制度や御城碁がわかる本はありますかについて教えてください。
佐藤メバル
『徳川時代の囲碁界を知る』のような専門書が該当します。水口藤雄さん、増川宏一さん、福井正明さんといった囲碁史研究家の著書を軸にすると、制度と資料の両方を押さえられます。研究家から入るのが確実です。
囲碁の起源や、中国・日本への伝来を学べる本はどれですか?
橘ナナミ
囲碁の起源や、中国・日本への伝来を学べる本はどれですかについて教えてください。
佐藤メバル
中国の古典籍『玄玄碁経』『忘憂清楽集』と、その日本語訳・研究が入口になります。伝来の時期や経路には諸説あるため、断定を避けて書き分けている本を選ぶと安全です。
『ヒカルの碁』や『幻庵』のような小説と史実本はどう使い分ければいいですか?
橘ナナミ
『ヒカルの碁』や『幻庵』のような小説と史実本はどう使い分ければいいですかについて教えてください。
佐藤メバル
史実本で年表と制度の骨格を作り、小説で人物の動機を味わう——この両輪が基本です。小説の描写を史実として引用しないことだけ気をつければ、行き来するほど理解が深まります。
囲碁史の本は絶版・入手困難なものが多いのでしょうか。復刻本や電子版はありますか?
橘ナナミ
囲碁史の本は絶版・入手困難なものが多いのでしょうか。復刻本や電子版はありますかについて教えてください。
佐藤メバル
絶版や品薄は珍しくありません。新品で揃えるのは難しいので、復刻本・中古・電子版・図書館(国会図書館や日本棋院の所蔵)を組み合わせて探すのが現実的です。
初心者が最初に読むべき本と、有段者向けの研究書はどれですか?
橘ナナミ
初心者が最初に読むべき本と、有段者向けの研究書はどれですかについて教えてください。
佐藤メバル
初心者は棋士の人物ドラマや文化史の入門から入ると挫折しにくいです。有段者は、名局集・棋譜集・古碁の復刻本など一次資料に近い本へ進むと、解説書では見えない一手の重みに触れられます。
海外や韓国・中国の囲碁史を扱った日本語の本はありますか?
橘ナナミ
海外や韓国・中国の囲碁史を扱った日本語の本はありますかについて教えてください。
佐藤メバル
数は多くありません。まず中国古典籍の訳・研究から入り、そこから中国・韓国・欧米への伝播へ視野を広げる流れが現実的です。見つけたら貴重だと思って、書誌情報を確かめて手に取ってください。
まとめ
橘ナナミ
今日の話で、だいぶ霧が晴れました。史実と小説、時代、日本か海外か、そして入手性——この四つで選べばいいんですね。
佐藤メバル
そう。あと忘れないでほしいのは、囲碁史の本は「読んで終わり」ではないということ。一冊読むと、次の一手が必ず見えてくる。
橘ナナミ
次の一手?
佐藤メバル
たとえば『幻庵』を読んでから文化史を開くと、制度の記述が急に人間くさく見える。逆に通史を先に読むと、小説の一場面が盤面のどこを指しているのか分かる。読書の順番そのものが、読み筋になるんだよ。
橘ナナミ
なるほど……布石みたいですね。最初の一冊で、この先の読みが決まる。
佐藤メバル
まさに。囲碁史の本は、碁盤の隅にそっと石を置く最初の一手。どの一冊から打っても、その石は必ず後の展開につながっていくよ。
