日本車について学べる本のおすすめ人気ランキング24選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
佐藤さん、「日本の車の本」で調べると図鑑ばかり出てきて、どれから読めばいいのか分からなくなっちゃいました。書店でも表紙しか見られないんです。
佐藤メバル
いいところに気づいたね。車の本は同じ棚に並んでいても、図鑑・評論・産業論・レース史で別ジャンルなくらい性格が違う。目的が決まらないまま買うと「思ってたのと違う」になりやすいんだ。
橘ナナミ
書店員だったころ、そういうお客様を見てきたんですか?
佐藤メバル
よく見たよ。徳大寺有恒の『ぼくの日本自動車史』を探しに来るお客様は「あの時代の空気を思い出したい」、『いま蘇る 昭和・平成 日本車カタログ図鑑』を狙うお客様は「あのカタログの紙とコピーをもう一度見たい」。同じ車好きでも欲しいものが違う。まず自分が何を知りたいかを決めるのが先だよ。
橘ナナミ
なるほど……じゃあ、その決め方から教えてください!
日本車について学べる本の選び方
目的別で選ぶ — 歴史・仕組み・旅・眺める・買い替え
橘ナナミ
目的別だと、どう分ければいいんでしょう?
佐藤メバル
歴史なら『ぼくの日本自動車史』か鈴木均の『自動車の世界史』。仕組みなら飯塚昭三の『自動車用動力源の現状と未来』と『図解即戦力 自動車業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』。ドライブ気分なら『クルマ好きだったらこんな街で暮らしてみたい』、眺めて愛でるなら『国産スポーツカー クロニクル 昭和編』、買い替え検討なら島下泰久の『間違いだらけのクルマ選び』だね。巻末に車種別の採点簿がついているから、試乗前に自分の判断軸を作れる。
レベル別で選ぶ — 入門・中級・マニア
橘ナナミ
入門の人がいきなり厚い専門書に行くのは危ないですよね。
佐藤メバル
そう。まずは写真が大きくて文章が短いもの。『いま蘇る 昭和・平成 日本車カタログ図鑑』は当時の販売カタログを高精細スキャンで並べているから、読むというより眺めるだけで入っていける。中級なら福野礼一郎の『クルマ論評8』や『スポーツカー論2』で「なぜそう作ったのか」を味わう。マニアなら『カタログでたどる 日本の小型商用車』や『初代スカイラインGTR戦闘力向上の軌跡』のように、一カテゴリ・一車種を掘る本へ進むといい。
形式別で選ぶ — 大判図鑑・新書・専門書・ムック
橘ナナミ
判型でも選び方が変わるんですか?
佐藤メバル
変わるよ。手軽に読める新書なら『自動車の世界史』、写真を大きく見たいなら『国産スポーツカー クロニクル 昭和編』のような大判、ガレージの雰囲気まで味わうなら『国産旧車カスタムグラフティ』のようなムック、業界を体系的に知るなら図解型の実用書。持ち歩いて読むのか、家で開くのかで選ぶと失敗しない。
予算別で選ぶ — 手頃な1冊から限定版まで
橘ナナミ
予算の目安も知りたいです。
佐藤メバル
1000円前後なら『自動車の世界史』や『ぼくの日本自動車史』。2000〜3000円台が一番層が厚くて、『クルマ論評8』『スポーツカー論2』『企業風土とクルマ』がここに入る。5000円前後になると『日本の自動車レース史』『戦前日本の自動車レース史』のような資料性の高い本。さらに上の特別仕様が、350部限定・専用外箱・直筆サイン入りカード付きの『プリンス自動車工業の歴史 特別限定版』だね。記録として残すなら後者、読んで楽しむなら前者だよ。
年代別で選ぶ — 戦前・昭和・平成・現行
橘ナナミ
「日本車の歴史」といっても、扱う時代が全然違いますよね。
佐藤メバル
そこは大事な視点だね。戦前から戦後すぐは『戦前日本の自動車レース史』と『日本の自動車レース史』、1950〜60年代は『ぼくの日本自動車史』や『プリンス自動車工業の歴史』、1980〜90年代は『いま蘇る 昭和・平成 日本車カタログ図鑑』、現行車とこれからは『間違いだらけのクルマ選び』『ポストCASE時代の競争戦略』。100年を一本で追いたいなら『自動車の世界史』と『企業風土とクルマ』が軸になる。
入手経路別で選ぶ — 新刊・限定・絶版・電子
橘ナナミ
欲しい本が古いと、買えないことってありますよね。
佐藤メバル
ある。1999年の『クルマ好きだったらこんな街で暮らしてみたい』、2008年の『ディーゼルエンジンの挑戦』、1994年の『フォード主義対トヨタ主義』あたりは新刊で並んでいないことが多い。まず図書館の蔵書検索、次に古書店、そのうえで電子版の有無を確認する順番がおすすめ。限定版や絶版本は価格が動きやすいから、「定価より高いのが普通」と知ったうえで急がないことだね。
日本車について学べる本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、24冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
日本車について学べる本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい
ぼくの日本自動車史
徳大寺有恒 著|草思社
¥990(税込)
1955年、初代クラウンが登場した年に著者は運転免許を取った——。徳大寺有恒が、戦後に登場した国産車のほとんどに同時代の人間として乗りまくった体験的自動車史です。スカイライン、スバル1000など、無謀なまでの情熱で生まれた名車が続々登場し、「クルマはその国の国民性を体現したクルマになる」という視点で綴られます。カタログやスペックを並べる図鑑とは違い、実際にハンドルを握った人間の記憶と批評が軸。大きな変革期にある自動車の来し方を振り返り、行く末を見極めたい人に効く一冊です。
こんな人におすすめ
昭和の国産車に憧れる若い読者、当時を生きた世代の回想、そして自動車評論の原点を読みたい人。スペック表ではなく、実際にハンドルを握った人の記憶から日本のクルマ史を掴みたい場面に向いています。図鑑を眺める前に、一本の物語として読み通したいときにも。
良い点
- 同時代の実体験に裏打ちされた説得力
- 名車の背景と国民性まで語られる
- 変革期の今こそ読める来し方の記録
気になる点
- 2011年刊で以降の動向は追えない
- 著者個人の好みが強く出る
- 写真資料は多くない
出版社
草思社
発売日
2011年06月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
日本車の本で最初に読むなら、やっぱり古い名著からなんですか? タイトルだけ見ると、ちょっと昔の本すぎるかなって思ったんですけど。
佐藤メバル
いい質問だね。この本は1955年、初代クラウンが登場した年に著者が免許を取ったところから始まる。戦後に出た国産車のほとんどに、同時代の人間として実際に乗っている。
クルマはその国の国民性を体現したクルマになるという言葉が軸にあって、スカイラインやスバル1000がどんな熱量で作られたかが体で伝わってくる。
図鑑ではなく体験の記録だから、読み物として面白いんだ。
橘ナナミ
なるほど、スペックの羅列じゃなくて“乗った人の記憶”なんですね。今のEVの時代を考えるのにも役立ちますか?
佐藤メバル
そこが薦めたい理由でね。いま自動車は大きな変革期にある。行く末を見極めるには来し方を知るのが近道で、この本はその入口になる。
ただし2011年の本だから、その後の動きは別の本で補う必要がある。そこは正直に言っておくよ。
いま蘇る 昭和・平成 日本車カタログ図鑑 〜美麗なカタログで振り返る1980〜90年代 日本のクルマ黄金時代〜 スープラ フェアレディZ セリカGT-FOUR スカイラインGT-R RX-7 セルシオ シーマ インテグラ NSX MR2 ランエボ AE86 ハイラックス Be-1 CR-X AZ-1 インプレッサ カプチーノ ジェミニ シャレー
前田尋之 著|スタンダーズ
¥2,860(税込)
昭和から平成の名車・絶版車の販売カタログを、高精細スキャンで多数掲載した保存版です。スープラ、フェアレディZ、スカイラインGT-R、NSX、AE86、カプチーノ、AZ-1…と並ぶ車名だけで胸が高鳴ります。ポイントは紙質や写真、コピー、レイアウトまで含めて当時の空気ごと味わえること。単なる懐古趣味に留まらず「時代を映すデザイン資料集」として読めるのが、実車写真集との違いです。ゲームや漫画、アニメで初めて知った世代にも、どんなクルマだったかを確かめる入口になります。
こんな人におすすめ
昭和から平成の名車に憧れる旧車ファン、当時のディーラーでカタログをもらった世代、ゲームやアニメから日本車に興味を持った若い読者。手元に置いて繰り返し眺めたい場面や、資料として参照したいときに。
良い点
- 高精細スキャンで当時の質感が残る
- 扱う絶版車が幅広く資料価値が高い
- デザイン資料としても眺められる
気になる点
- 実車の走行インプレッションは載らない
- 絶版車中心で現行車は対象外
- 造本が大きく置き場所を選ぶ
出版社
スタンダーズ
発売日
2026年10月28日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
カタログ図鑑って、要は昔のパンフレットの復刻ですよね? それって中古の実車写真集と何が違うんですか?
佐藤メバル
そこが面白いところでね。カタログは紙質、写真の切り方、コピー、レイアウトまで、その時代の空気が全部入っている。
スープラやフェアレディZ、スカイラインGT-R、NSX、AE86、カプチーノ、AZ-1といった絶版車のカタログを高精細スキャンで並べているから、時代を映すデザイン資料集としても読める。実車写真集とは情報の質が違うんだ。
橘ナナミ
なるほど、クルマそのものより“時代の空気”が資料になるんですね。私みたいに実車を知らない世代でも楽しめますか?
佐藤メバル
むしろ著者の前田尋之が、ゲームや漫画、アニメで初めて知った世代にもどんなクルマだったかを知るきっかけになってほしいとコメントしている。
ただ走行インプレッションは載っていないから、走りの評価が読みたいなら別の本と組み合わせるといいよ。
国産スポーツカー クロニクル 昭和編
モーターマガジン社
¥2,860(税込)
70年以上にわたるモーターマガジン社の取材活動で得た写真と資料、当時の試乗記をもとに、1960年頃以降に登場した国産スポーツカーの姿を後世に残す保存版です。大きな写真と詳細スペックのカタログページを軸に、車種ごとの注目技術の解説と当時の試乗インプレッションまで収録。さらにモーターマガジン誌やホリデーオート誌に載った広告からクルマ史と文化を振り返るコーナーもあり、当時の熱気ごと味わえます。写真集でも評論でもない、雑誌アーカイブならではの一冊です。
こんな人におすすめ
昭和のスポーツカーをリアルタイムで見ていた世代、旧車イベントやサーキット観戦が好きな人、当時の誌面や広告ごと歴史を味わいたいコレクター。資料として長く手元に置きたい場面や、じっくり読み込む時間があるときに。
良い点
- 当時取材の写真と試乗記が貴重
- 技術解説とカタログページを両立
- 広告資料まで収録した文化史
気になる点
- 昭和編で平成以降は扱わない
- 図版中心で文章量は多くない
- 保存版ゆえ価格はやや高め
出版社
モーターマガジン社
発売日
2026年05月28日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
モーターマガジン社って雑誌の出版社ですよね。雑誌のアーカイブをまとめた本って、どんな価値があるんでしょう?
佐藤メバル
70年以上の取材で撮り貯めた写真と、当時の試乗記が使えるのが強みだね。1960年頃以降に登場した国産スポーツカーを、大きな写真と詳細スペックのカタログページで振り返りつつ、車種ごとの注目技術と当時の試乗インプレッションまで載せている。
現物の実車が少なくなった今、同時代の記録は代えがたいんだ。
橘ナナミ
今の目で読んでも面白いんですか? 古い試乗記って、評価が古びてしまいそうな気もしますけど。
佐藤メバル
そこが逆に効く。当時の評価と今の評価を比べると、技術の進歩も見方の変化も見えてくる。それにモーターマガジン誌やホリデーオート誌の広告からクルマ史と文化を振り返るコーナーもあって、コピーまで含めて時代の熱気が伝わる。
昭和編なので平成以降を知りたい人は別に補ってね。
日本の自動車レース史ー多摩川スピードウェイを中心として 大正4年(1915年)-昭和25年(1950年)
杉浦孝彦 著|三樹書房
¥4,950(税込)
多摩川スピードウェイを中心に、大正4年から昭和25年までの日本の自動車レース史を掘り起こした一冊です。1936年の第1回全日本自動車競走大会、内山駒之助やオートモ号、アート商会とカーチス号、本田宗一郎の談話、そして関係者の子孫による寄稿まで収録。レース・リザルトや年表、競技規則といった一次資料が積み上げられ、読み物と資料集の中間のような濃さがあります。黎明期の熱を裏付けから知りたい人に向きます。
こんな人におすすめ
モータースポーツの起源に関心がある人、戦前史や昭和初期の都市文化が好きな読者、クルマ史を一次資料から確かめたい研究者やコレクター。時間をかけて読み込む場面や、手元に置いて参照したいときに。
良い点
- 一次資料とリザルトが充実
- 関係者の寄稿で人物像が立つ
- 年表と競技規則まで収録
気になる点
- 価格が高く気軽には手が出ない
- 図版より資料寄りの構成
- 戦前と戦後初期に範囲が限られる
出版社
三樹書房
発売日
2026年02月27日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
多摩川スピードウェイって、聞いたことはある気がするんですけど、戦前に本当にサーキットがあったんですか?
佐藤メバル
あったんだよ。1936年6月7日の第1回全日本自動車競走大会をはじめ、多摩川スピードウェイでのレースがこの本の中心になる。
内山駒之助やオートモ号、アート商会とカーチス号、戦前のオオタとダットサン、そして本田宗一郎の談話まで。
レース・リザルトや年表、競技規則まで収録していて、読み物であり資料集でもあるんだ。
橘ナナミ
リザルトや年表だけだと無機質な感じがしますけど、人の記憶の寄稿も入っているんですね。誰が書いているんですか?
佐藤メバル
藤本軍次の孫、片山豊の息子、小早川元治や川越豊の孫など、当時を支えた人たちの家族が寄稿している。日産モータースポーツも「多摩川」発祥という証言もあってね。
裏付けを積み上げるタイプの本だから、価格は張るし読み応えも相当。じっくり向き合う覚悟がいる一冊だよ。
プリンス自動車工業の歴史 特別限定版ー日本の自動車史に大きな足跡を残したメーカー
当摩節夫 著|三樹書房
¥6,930(税込)
2023年刊の増補三訂版をベースに、コレクターズアイテムとして350部限定で作られた特別愛蔵版です。専用外箱の表面には1965年発売の「プリンス スカイライン2000GT」の当時の写真、表紙は特別仕様の黒基調。日産ヘリテージコレクションに収蔵されて現存するプリンス・スカイライン2000GTの写真を収めた、著者直筆サイン入り特製カードが封入され、最終仕上げはハンドメイド、シリアルナンバー入りの検印まで付きます。中身はメーカーの歴史そのものです。
こんな人におすすめ
プリンスとスカイラインの系譜を追うコレクター、限定愛蔵版を資料として長く保管したい人、増補三訂版を読み込んだうえで特別版も手元に置きたい愛好家。手に入ったら早めに判断したい場面に。
良い点
- 350部限定のシリアル入り検印
- 現存車の写真カードが封入
- ハンドメイド仕上げの愛蔵版
気になる点
- 限定部数のため入手が難しい
- 価格が高く気軽には買えない
- 内容は増補三訂版がベース
出版社
三樹書房
発売日
2023年09月22日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
7000円近い本で、しかも350部限定って……。中身より“モノ”としての価値が中心なんですか?
佐藤メバル
中身は『プリンス自動車工業の歴史』の増補三訂版がベースで、そこはしっかりしたメーカー史だ。そのうえで特別限定版は、専用外箱に1965年のプリンス スカイライン2000GTの当時写真、黒基調の表紙、現存するスカイライン2000GTの写真を収めた著者直筆サイン入りカード、ハンドメイドの仕上げにNo.001から350までの検印まで付く。蒐集品としての要素が強いね。
橘ナナミ
検印にシリアルナンバーまで入るんですね。これって普通の書店で買えるようなものなんでしょうか?
佐藤メバル
限定製作だから流通は限られる。見かけたら早めに判断したほうがいい類の本だよ。ただ中身はメーカーの歴史だから、読み物としてプリンスを知りたいなら増補三訂版で十分。
特別版は手元に置いておくためのものだと思って選ぶといい。
2022年版 間違いだらけのクルマ選び
島下泰久 著|草思社
¥1,650(税込)
「間違いだらけのクルマ選び」の名を継ぐ2022年版です。島下泰久が、ホンダ、スポーツカー大国ニッポン、VWゴルフの3特集を軸に、EVシフトの甘さ、充電をめぐる面倒、マツダの再攻勢まで論じます。良い点も悪い点もはっきり書く車種別の徹底批評と巻末の採点簿が肝で、ヴェゼルやGR86/BRZ、NX、シビック、アリアなど具体名で評価が並びます。著者のYouTubeチャンネルとQRコードで連動するので、文字と映像の両方から判断できるのが似た本との違いです。
こんな人におすすめ
近いうちに新車を買いたい人、候補車を絞り込む前に辛口の評判も知りたい人、車種別の比較を採点付きで確認したい人。ディーラーでの試乗前に、評価の裏取りをしておきたい場面にも。
良い点
- 車種別の批評と採点が具体的
- EVや水素など潮流も論じる
- 動画連動で判断材料が増える
気になる点
- 2022年版で情報は当時基準
- 辛口ゆえ好みが分かれる
- 外国車の掲載は限られる
出版社
草思社
発売日
2021年12月24日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『間違いだらけのクルマ選び』って有名なシリーズですよね。こういう辛口の本は、鵜呑みにしないほうがいいんでしょうか?
佐藤メバル
読むときのコツはあるよ。この2022年版はホンダ、スポーツカー大国ニッポン、VWゴルフの3特集に加えて、EVシフトや充電の課題、マツダの再攻勢まで論じている。
良い点も悪い点もはっきり書く車種別の徹底批評と巻末の採点簿があるから、自分の候補と照らし合わせて使うのが正しい付き合い方だね。
橘ナナミ
QRコードから動画が見られるって書いてありますけど、本とYouTubeって、どう使い分けるんでしょうね?
佐藤メバル
文章で論理を追い、動きや乗り味は映像で確かめる、という分担がいい。著者のチャンネルと連動しているのはそのためだね。
ただ2022年版だから、その後の新型や価格の変更は反映されていない。当時の判断の筋道を学ぶ本として読むと価値が高いよ。
福野 礼一郎のクルマ論評8
福野礼一郎 著|三栄
¥1,980(税込)
福野礼一郎のクルマ論評シリーズ8冊目です。ルノー・アルカナ、日産サクラ、マツダCX-60、フェアレディZ、メルセデスEQ、アリア、セレナなど、実車に即した辛口の評が並びます。読みどころは後半の「モーターファン ロードテスト 現在の視点」で、3代目プレリュード、5代目シルビア/180SX、8代目スカイラインR32を今の目で読み直す試み。新車評と過去の名車検証が同じ一冊に入る構成は、他の論評集にはない持ち味です。
こんな人におすすめ
新車の評を構造から読みたい人、プレリュードやシルビア、R32の再評価に関心がある旧車ファン、評論の書き方そのものを学びたい読者。シリーズを追う楽しみも味わいたい場面に。
良い点
- 新車評と名車再検証を同時収録
- 構造から語る評に厚みがある
- ベストワーストで総括も読める
気になる点
- 辛口で好みが分かれる
- 図版より文章が主体
- シリーズ未読だと前提が飛ぶ
出版社
三栄
発売日
2023年11月13日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『クルマ論評』って、試乗した感想を並べた本かなと思っていたんですけど、8巻も続いているんですね。
佐藤メバル
ただの感想ではないんだ。ルノー・アルカナ、日産サクラ、マツダCX-60、フェアレディZ、メルセデスEQ、アリア、セレナ…と実車ごとに踏み込んで評している。
それに後半が面白くて、モーターファンのロードテストを現在の視点で読み直す企画がある。3代目プレリュード、5代目シルビア/180SX、8代目スカイラインR32だ。
橘ナナミ
R32って、いまでも人気が高い車ですよね。今の目で読み直すと、評価は何か変わるんでしょうか?
佐藤メバル
そこは読んでのお楽しみだけど、当時の評価と今の視点を重ねると、その間に何が進んで何が失われたかが見えてくる。
新車評と過去の名車検証が同じ一冊に入っているのは、シリーズでも珍しい構成だね。辛口なので好みは分かれるけれど。
福野礼一郎 スポーツカー論2
福野礼一郎 著|三栄
¥3,960(税込)
福野礼一郎が最新のスポーツカーに乗り、本職エンジニア直伝の設計論を展開する全18章です。ランボルギーニ・レヴェルトとウルス、日産GT-R NISMO、コルベットC8、ロータス・エミーラ、テスラ・モデルS、アストンマーティンDB12、AMG GT、新生モーガン、RZ34…と幅広い。夜の東京を走りながら構造から魅力の本質に迫る構成で、タミヤ模型やAUTOartをめぐるインタビューも収録。第一弾から収録車数を約1.5倍に増やした読み応えです。
こんな人におすすめ
スポーツカーのメカニズムを設計の言葉で理解したい人、模型やミニカーも含めてクルマ文化を楽しむ読者、前巻を読み込んで物足りなかった人。じっくり時間をとって読みたい場面に。
良い点
- 18台を設計論で読み解く濃さ
- 模型やミニカーの話題も収録
- 前巻より収録車数が増加
気になる点
- 価格が高めで内容も専門的
- 図版より文章が中心
- ある程度の前提知識が要る
出版社
三栄
発売日
2025年07月02日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『スポーツカー論』の2冊目で、しかも前より厚くなっているんですね。1冊目を読んでいないと置いていかれますか?
佐藤メバル
各章は独立しているから、気になる車から入っても大丈夫。レヴェルトとウルス、GT-R NISMO、コルベットC8、エミーラ、モデルS、DB12、AMG GT、新生モーガン、RZ34…と18台を扱っていて、夜の東京を走りながら構造から魅力に迫るという組み立てなんだ。前巻の約1.5倍の車数になっている。
橘ナナミ
模型やミニカーのインタビューが入っているのが意外なんですけど、クルマの評論に模型の話って、どうつながるんですか?
佐藤メバル
ミニカーやプラモデルは、多くの人が実車より先に触れる最初のスポーツカーだろう。タミヤ模型とAUTOartの秘密を探る記事が入ることで、実車の設計論と趣味の入口がつながるんだ。
ただ価格は張るし内容も濃いから、じっくり読む覚悟はいるよ。
企業風土とクルマ
桂木洋二 著|グランプリ出版
¥3,080(税込)
1911年に日本初の自動車会社「快進自働車工場」が生まれてから、日産とトヨタをはじめ各メーカーが参入し、今日につながるまでの100年を描きます。焦点は経営トップがどう行動し、会社の方向性を決めていったか。会社が持つ文化や特性がクルマづくりにどう影響してきたかという問いを軸に、戦前の創業期からグローバル化までを年代順に追う構成です。名車の話ではなく、会社の性格から日本車を理解したい人に向きます。
こんな人におすすめ
自動車メーカーの経営史を読みたいビジネスパーソン、就活や転職で業界研究をする学生、日産とトヨタの違いを組織の側から知りたい読者。会社史をまとめて押さえたい場面に。
良い点
- 創業期から通史で追える
- 経営トップの意思決定に迫る
- 企業文化と製品の関係を考えられる
気になる点
- 2011年刊で以降は扱わない
- 図版は少なめ
- 会社史の知識があると前提が楽
出版社
グランプリ出版
発売日
2011年05月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
企業風土とクルマ……。車の本なのに社風の話なんですね。それって、読んでて面白いものなんですか?
佐藤メバル
これが意外と面白い。1911年に日本初の自動車会社「快進自働車工場」が生まれて、日産とトヨタをはじめ各社が参入していく。
その過程で経営トップがどう行動し、方向性を決めたか、そして会社が持つ文化や特性がクルマづくりにどう影響してきたかを100年分追いかける本なんだ。
橘ナナミ
トヨタと日産で会社の性格が違うっていうのは、なんとなく聞いたことがあります。それも書かれているんですか?
佐藤メバル
日産とトヨタの創業時代から、戦後の混乱期、乗用車開発、経済成長、オイルショックと排気規制、海外進出、グローバル化まで章が続いていく。
経営トップごとの判断が積み上がって今の性格になったと見える。2011年の本だから、その後の再編は別で補ってね。
クルマ好きだったらこんな街で暮らしてみたい
いのうえ・こ-いち 著|二玄社
¥1,650(税込)
クルマ好きが暮らすならどこか——その答えとして御殿場を丸ごと描いた1999年の一冊です。箱根を控え、世界でも有数の自動車ギャラリーが集まり、東京から1時間。土地もマンションも3割かた安いという現実的な条件から、ガレージ付きの暮らし、水と空気、霊峰を望む満天の星まで語られます。御殿場のパイオニアや自動車デザインの現場にいた人たちへのインタビューも収録され、街の文化誌として読めます。
こんな人におすすめ
クルマ趣味と住環境を両立させたい人、御殿場や箱根周辺への移住を考えている読者、ガレージ付きの住まいに憧れる愛好家。街とクルマの関係をじっくり考えたい場面に。
良い点
- 御殿場の暮らしを具体的に描く
- 自動車に携わる人の声が読める
- 街と趣味の関係を考えさせられる
気になる点
- 1999年刊で情報は古い
- 特定の街に内容が偏る
- 移住の実務手順は載らない
出版社
二玄社
発売日
1999年02月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
御殿場ってアウトレットのイメージしかなかったんですけど、クルマ好きの街として紹介されているんですか?
佐藤メバル
箱根を控えて走りを楽しめる場所で、世界でも有数の自動車ギャラリーがいくつもある。東京から1時間で、土地もマンションも3割かた安いと書かれている。
水はいいし空気もおいしい、霊峰を望む満天の星がある——暮らしの条件から御殿場を描いているんだ。
橘ナナミ
自動車ギャラリーって、美術館みたいなものなんでしょうか? 関係者のインタビューも入っているみたいですけど。
佐藤メバル
御殿場のパイオニアや、自動車デザインの現場にいた人、地域のまとめ役といった面々の話が収録されている。
ただ1999年の本だから、店や土地の情報は当時のものとして読んでほしい。移住の実務書ではなく、街とクルマの関係を書いた文化誌だね。
車王国群馬の公共交通とまちづくり
高崎経済大学附属産業研究所 著|日本経済評論社
¥3,520(税込)
群馬県は交通機関別旅客輸送分担率で自家用車が90%を占める“車王国”。その結果、バスをはじめ公共交通の衰退が進み、車を運転できない人にとって移動の自由が奪われかねない状況が生まれています。自治体が補助金を出し、自前で代替バスを運行する苦悩まで具体的に描き、あるべき交通環境と解決策を提言するのが本書。高崎を中心に路面電車の再評価まで扱う、都市政策の側からクルマを考える一冊です。
こんな人におすすめ
地方の公共交通やまちづくりを学ぶ学生・研究者、行政で交通政策に関わる人、車社会の限界をデータから考えたい読者。群馬の事例を出発点に、地域交通を考えたい場面に。
良い点
- 分担率90%という具体から始まる
- 自治体の対応を実例で追う
- LRT再評価まで視野に入れる
気になる点
- 2001年刊で状況は変化している
- 学術書で読み口は硬め
- 群馬以外の地域は対象外
出版社
日本経済評論社
発売日
2001年03月31日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
群馬が車王国というのは、なんとなく納得してしまいますね。でもこれ、車の本というより行政の本じゃないんですか?
佐藤メバル
そこが面白いところで、自家用車の分担率が90%だと、バス路線はどんどん縮んで、運転できない人は移動の自由を奪われる。
自治体が補助金を出したり、自前で代替バスを走らせたりする苦悩まで書いてある。車好きの本棚にも、こういう一冊があっていいと思うよ。
橘ナナミ
路面電車の再評価という章が気になります。車王国と言われる場所で、なぜ今さら電車を見直すんでしょうか?
佐藤メバル
車だけに頼ると、高齢者や免許を持たない人の足がなくなる。そこで鉄道とバスの連携やLRT導入の視点が出てくる。
高崎を中心にした都市圏の分析や市民の声、財政の話まで含めて、まちづくりとして交通を組み直す提言になっている。
2001年の本なので、今の状況は自分で更新して読んでほしい。
EVガラパゴス
船瀬俊介 著|ビジネス社
¥1,980(税込)
「世界はEV開発ラッシュ、日本は周回遅れ」という強い問題提起で書かれた2022年の一冊です。EUのガソリン車規制、米中欧のEVシフト、ノルウェーと日本の普及率の差、テスラの垂直統合、水素自動車への疑問、そしてエピローグではトヨタの動きまで扱います。著者は「性能が良すぎて作れません」と幻の国産EVを潰した経緯から説き起こします。賛否は分かれますが、争点を整理して自分で考える材料になる本です。
こんな人におすすめ
EVシフトの論争を追いたい読者、自動車産業の今後を経営目線で考えたい人、強い主張を読んで自分の意見を組み立てたい人。反対意見とセットにして、議論の材料を集めたい場面に。
良い点
- 論点が章立てで整理されている
- 海外動向の比較が多い
- 著者の主張が明確で議論しやすい
気になる点
- 断定が強く数字の出所は要確認
- 2022年刊で状況が動いている
- 批判的な立場に偏る
出版社
ビジネス社
発売日
2022年02月19日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『EVガラパゴス』って、タイトルからしてかなり強いですよね。これって、そのまま信じていい本なんですか?
佐藤メバル
鵜呑みにはしないほうがいいけれど、論点の整理としては役に立つ。EUのガソリン車規制、米中欧のEVシフト、ノルウェーと日本の普及率の差、テスラの垂直統合、水素自動車への疑問——争点が章ごとに並んでいる。
著者は「性能が良すぎて作れません」と幻の国産EVを潰した話から説き起こすんだ。
橘ナナミ
幻の国産EVというのは、あのIZAのことですよね。そういう話から入るなら、ちょっと読みたくなってしまいます。
佐藤メバル
ただ著者の主張は明確に一方へ寄っている。断定の強い部分は数字の出所を自分で確かめながら読むのがいい。
2022年の本だから、その後の各社の動きは自分で更新する前提でね。反対意見とセットで読むと、いっそう力になる一冊だよ。
自動車用動力源の現状と未来ーカーボンニュートラル時代に向けて
飯塚昭三 著|グランプリ出版
¥2,200(税込)
2050年カーボンニュートラルに向けて、自動車の動力源を技術の側から整理した2025年の一冊です。高効率・低燃費エンジン、ガソリンとディーゼル、ハイブリッド、代替燃料、電池と急速充電規格、EV化の課題、モーター、そしてバイオ燃料やe-fuel、水素まで。走行中にCO2を出さないEVにも技術的課題があり、当面は内燃エンジンの熟成も重要という視点で貫かれています。感情論ではなく仕組みから比べたい人向けです。
こんな人におすすめ
EVかエンジンかの議論を技術から理解したい人、自動車業界の脱炭素を調べる学生や技術者、ニュースに出てくる言葉の意味を正確に押さえたい読者。議論の土台を作りたい場面に。
良い点
- 動力源を技術別に比較できる
- e-fuelや水素まで網羅
- 2025年刊で話題が新しい
気になる点
- 専門用語が多く入門向けではない
- 図版中心の構成ではない
- 政策論までは踏み込まない
出版社
グランプリ出版
発売日
2025年01月28日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
EVかエンジンかって、ネットだと感情的な言い合いになりがちじゃないですか。こういう本を読むと落ち着いて考えられますか?
佐藤メバル
まさにそのためにある本だね。エンジンの高効率化、ディーゼル、ハイブリッド、代替燃料、電池と急速充電規格、EV化の課題、モーター、そしてバイオ燃料やe-fuel、水素まで。
走行中にCO2を出さないEVにも技術的課題があり、当面は内燃エンジンの熟成も重要という立場で整理している。
橘ナナミ
e-fuelって名前は聞いたことがあるんですけど、説明はできないんですよね。それもしっかり載っているんですか?
佐藤メバル
カーボンニュートラル燃料とエンジンの章で、バイオ燃料とe-fuel、水素燃料とその動力源まで扱っている。
巻末には主要元素や主要分子まで載っていて、仕組みから押さえたい人には嬉しい作りだよ。ただし用語は専門的だから、入門書を一冊挟んでからでもいい。
ディーゼルエンジンの挑戦改訂新版
鈴木孝(自動車工学) 著|三樹書房
¥2,090(税込)
世界に誇るエンジンの誕生を、開発の内側から書いた一冊です。戦車からトラック、バスへ、戦後初の戦車のエンジン、戦車屋が作ったルノー4CVとコンテッサ、ヒノ・プロトとヒノ・サムライ、レース屋が作ったトラックディーゼル、HMMS、空力トラックと電子制御、インタークーラー付きターボ、断熱エンジンとEP100型の融合、P11C型、ACE、そしてパリ・ダカールまで。機構の名前が並ぶ目次そのものが開発史になっています。
こんな人におすすめ
ディーゼル機関の技術史を追いたいエンジニア、商用車やトラックに関心がある読者、日野の開発史を現場の記録として読みたい人。ものづくりの判断の理由まで知りたい場面に。
良い点
- 開発の順序が目次で追える
- トラックからレースまで扱う
- 改訂新版で内容が整理されている
気になる点
- 2008年刊で最新規制は扱わない
- 専門用語が多く前提知識が要る
- 図版は多くない
出版社
三樹書房
発売日
2008年04月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ディーゼルの専門書って、普通の読者にはハードルが高そうです。しかも目次に戦車とか出てくるんですけど。
佐藤メバル
そこが面白いんだよ。戦車のエンジンからトラック、バスへと技術が移っていく流れが描かれている。戦車屋が作ったルノー4CV、コンテッサ、ヒノ・プロト、ヒノ・サムライ、HMMS、空力トラックと電子制御、断熱エンジンとEP100型の融合、P11C型、そしてパリ・ダカールまで。開発史そのものが目次になっている。
橘ナナミ
パリ・ダカールまで出てくるんですね。レースとトラックのエンジンが、同じ本に入っているのが不思議です。
佐藤メバル
商用車のディーゼルを磨くことが、そのまま耐久レースの強さにもつながる。著者自身が現場に関わった立場で書いているから、判断の理由が生々しいんだ。
ただ2008年の本だから、その後の排出ガス規制の動きは別で補って読んでほしい。
初代スカイラインGTR戦闘力向上の軌跡増補新訂版
青地康雄 著|グランプリ出版
¥2,200(税込)
日本のモータースポーツ黎明期に登場した初代スカイラインGT-Rが、レースで50勝を超える成績を残すまでの過程を、当時のチーム監督が解説する一冊です。レース仕様車の開発開始、デビューレース、1969年の日本グランプリ、ライバル車に勝つための熟成、テールウイングの開発とエンジン性能の向上、ハードトップGT-Rの登場、そして50勝達成まで。勝利の裏側にある開発判断が順を追って読めます。
こんな人におすすめ
初代スカイラインGT-Rと旧車レースのファン、モータースポーツの黎明期を当事者の視点で知りたい人、日本グランプリの歴史を追う読者。証言から当時を組み立てたい場面に。
良い点
- チーム監督本人による証言
- 50勝までの開発過程が追える
- R380系の開発にも触れる
気になる点
- 内容は当時の範囲が中心
- 写真は多くない
- 旧車の知識があると前提が楽
出版社
グランプリ出版
発売日
2014年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
スカイラインGT-Rって、どうしてもR32のイメージが強いんですけど、初代からレースで強かったんですね。
佐藤メバル
レースで50勝を超える成績を残している。この本は当時のチーム監督だった著者が、レース仕様車の開発開始からデビューレース、1969年の日本グランプリ、ライバルに勝つための熟成、テールウイングの開発とエンジン性能の向上、ハードトップGT-Rの登場、50勝達成までを勝利の裏側にある開発判断として書いている。
橘ナナミ
テールウイングの開発って章があるのが気になります。見た目の話じゃなくて、性能のための開発なんですね。
佐藤メバル
空力が勝敗を分けると分かっていたからね。それに鈴鹿での第1・第2回日本グランプリの回顧や、R380・R381・R382の開発と走行の章もあって、当時のレース界が立体的に見えてくる。
当事者の記録だから、写真の多さより証言の濃さで読む本だよ。
国産旧車カスタムグラフティISSUE 01
メディアプラス
¥2,200(税込)
巻頭特集は「憧れの国産旧車6輪生活」。ハコスカ、Z、ケンメリといった人気旧車に加え、カワサキZ-IIやCBなどの人気バイクも所有するオーナーたちが登場します。クルマとバイクを保管するガレージの所有まで含めて、こだわりの空間と愛車、生活スタイルをたっぷり紹介するのが特徴です。整備やカスタムの技術解説本とは違い、所有する人の暮らしそのものに焦点を当てた読み物になっています。
こんな人におすすめ
旧車とバイクの両方を楽しみたい人、ガレージ付きの暮らしに憧れる読者、オーナーの生活スタイルを眺めたい愛好家。ページをめくりながら、自分の理想の形を思い描きたい場面に。
良い点
- 旧車とバイクを同時に楽しめる
- ガレージや空間の紹介が厚い
- 暮らし目線で読みやすい
気になる点
- 整備や技術の解説は中心ではない
- 費用や維持の現実は載らない
- 創刊号で扱う車種は限られる
出版社
メディアプラス
発売日
2024年05月29日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
“6輪生活”って、クルマの4輪とバイクの2輪を足して6輪ということですよね。けっこういい言葉だなあ。
佐藤メバル
巻頭特集がまさにそれでね。ハコスカ、Z、ケンメリなどの人気旧車に加えて、カワサキZ-IIやCBといった人気バイクも持っているオーナーが登場する。
クルマとバイクを保管するガレージまで含めて、こだわりの空間と愛車、生活スタイルを紹介しているんだ。
橘ナナミ
ガレージを持てる人って限られていそうですけど、そういう前提も込みで眺めるのが楽しいんでしょうね。うらやましい。
佐藤メバル
ただこの本は整備やカスタムの手順を教える技術書ではないんだ。オーナーの暮らしに焦点を当てた読み物だから、工具を握るというより、ページをめくって憧れる本だね。
創刊号なので扱う車種は限られているけれど、シリーズで広がっていくのを期待したい。
カタログでたどる 日本の小型商用車
小関和夫 著|三樹書房
¥4,180(税込)
戦後に隆盛を極めた小型三輪トラックに代わり、トヨエースSKB型に代表される四輪の小型商用車が、街の商店や物流で活躍し、高度成長を支えた歩みをカタログでたどります。カラー図版400点以上、120種類以上というボリュームで、戦前の小型商用車からキャブオーバー、バン&ピックアップ、ボンネットトラック、新世代まで章立てで変遷を解説。年表や主要諸元、生産台数まで付く資料性の高さが、写真集との違いです。
こんな人におすすめ
商用車やトラックに関心がある読者、昭和の街と物流の歴史を調べたい人、カタログ資料を手元に置いて参照したいコレクター。自動車博物館では見られないモデルを確かめたい場面に。
良い点
- 図版400点超のボリューム
- 年表と生産台数まで収録
- 戦前から新世代まで通史
気になる点
- 価格が高く造本も大きい
- 乗用車の話題は少ない
- 文章は資料解説が中心
出版社
三樹書房
発売日
2021年06月28日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
小型商用車って、軽トラとか町で見るトラックのことですよね? そういう地味な車の本が4000円を超えるんですか。
佐藤メバル
それが意外に濃いんだ。戦後に隆盛を極めた小型三輪トラックに代わって、トヨエースSKB型のような四輪の小型商用車が、街の商店や物流で活躍して高度成長を支えた。
カラー図版400点以上、120種類以上を収録して、キャブオーバーやバン&ピックアップ、ボンネットトラックまで章で追っている。
橘ナナミ
生産台数まで載っているんですね。自動車博物館でも見られないようなモデルがあるっていうのは、本当なんですか?
佐藤メバル
そう書かれているよ。年表や主要諸元、メーカー別の生産台数まで付いているから、眺めるだけでなく参照する本として使える。
ただ大型で価格も張るし、乗用車の話は少ない。商用車に関心が向いている人ほど、値打ちが分かる一冊だと思う。
図解即戦力 自動車業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書 [改訂2版]
GB自動車業界研究会 著|技術評論社
¥1,760(税込)
自動車業界を、基礎知識から最新動向、メーカー、仕事、販売、部品、サービス、海外進出、法令、未来まで10章で図解する教科書です。業界の規模やグループ関係、組織と業務、働く人の仕事内容までカバーし、約3年半ぶりの改訂でBEVやFCEV、e-fuel、燃費規制、CASEやMaaS、ウーブンシティまで更新。就活生はもちろん、新たなビジネスチャンスを探している人にも効く、辞典代わりの一冊です。
こんな人におすすめ
自動車業界を志望する就活生、業界研究をやり直したい社会人、取引先や市場の全体像を短時間で把握したいビジネスパーソン。まず地図を手に入れたい場面に。
良い点
- 図解で全体像がつかめる
- 改訂で最新動向も反映
- 就活から実務まで使える
気になる点
- 各論の深さは限られる
- 学術的な議論は扱わない
- 入門者向けの平易な記述
出版社
技術評論社
発売日
2025年09月11日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
“図解即戦力”って就活の定番シリーズですよね。自動車業界版もあるんだ。私、別の業界で使ったことあります。
佐藤メバル
この改訂2版は約3年半ぶりの更新でね。業界の規模やグループ関係、組織と業務、働く人の仕事内容まで図を交えて説明している。
BEVやFCEV、e-fuel、燃費規制、CASEやMaaS、ウーブンシティまで入っているから、就活だけでなく業界の地図がほしい人にもいい。
橘ナナミ
基礎から最新までを1冊で、となると、逆に浅くなったりしませんか? 深く知りたい人には物足りないかな。
佐藤メバル
そこは使い方次第だね。全体像をつかんで、自分が突き詰めたい論点を見つけるための本なんだ。各論の深さは限られるから、たとえば電動化の技術を掘りたいなら専門書に進めばいい。入口として最も使いやすい一冊だよ。
「ものづくり」自動車産業論〈第2版〉
李泰王 著|中央経済社
¥2,860(税込)
ものづくりのあり方を「擦り合わせ型」「組み合わせ型」に加えて「詰め合わせ型」として提示した初版に、EVをはじめとするエコカー技術革新の行方をめぐる考察を加えた第2版です。日本の強みとされてきた類型を、そのまま持ち上げずに相対化するところが読みどころ。技術論と産業論を橋渡しし、電動化でその型がどう揺らぐのかを考える枠組みを与えてくれます。経営書でも技術書でもない位置づけが独特です。
こんな人におすすめ
自動車産業の競争力を理論から考えたい学生・研究者、製造業の戦略に関わるビジネスパーソン、日本のものづくり論を再点検したい読者。入門書の次の一冊として。
良い点
- 独自の類型で整理できる
- 電動化の考察を追加
- 技術と経営の橋渡しになる
気になる点
- 学術書で読み口は硬い
- 事例は限定的
- 図表が少なめ
出版社
中央経済社
発売日
2023年03月24日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
“擦り合わせ型”“組み合わせ型”は聞いたことがあるんですけど、そのうえで“詰め合わせ型”って、どういう意味なんですか?
佐藤メバル
日本のものづくりは擦り合わせ型が強いと言われてきたけれど、著者はそれだけでは説明できないとして第三の型を提示する。
そのうえで第2版ではEVをはじめとするエコカー技術革新の行方についての考察が加わっている。型が電動化でどう揺らぐか、考える枠組みがもらえるんだ。
橘ナナミ
経営の話と技術の話が混ざっている感じですけど、これは、どちらかというと何が専門の人向けなんでしょうか?
佐藤メバル
どちらか一方ではないのが持ち味でね。技術の中身を踏まえて産業の競争力を論じるから、製造業の戦略に関わる人にも通じる。
ただ学術書なので読み口は硬めだ。入門書を一冊読んだあとに挑むと、理解が一段深くなるよ。
日本自動車産業の海外生産・深層現調化とグローバル調達体制の変化
清〓一郎 著|社会評論社
¥5,280(税込)
日系自動車メーカーの海外生産が進むなか、現地調達がどこまで深くなるか——「深層現調化」を軸に、グローバルな調達体制の変化を分析した研究書です。トヨタのサプライチェーン管理や、インド市場でのスズキとトヨタの関係、タイ洪水時のサプライヤー対応、ミャンマーやメキシコ、南米、インドネシアの事例まで各地域をたどります。生産・調達・開発のつながりをロジスティクスの視点で捉えるのが特徴です。
こんな人におすすめ
サプライチェーン研究に関わる学生・研究者、海外拠点や調達を担当する実務家、インドや東南アジアの自動車産業を調べる読者。地域別の事例を参照したい場面に。
良い点
- 地域別の事例が豊富
- 調達と物流を一体的に扱う
- 中小サプライヤー支援まで触れる
気になる点
- 価格が高く学術書である
- 2017年刊で状況は変化している
- ある程度の前提知識が必要
出版社
社会評論社
発売日
2017年03月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
“深層現調化”って初めて聞きました。現地調達が深くなる、という意味ですよね? そんなに専門的な本を、普通の読者が読む意味はあるんでしょうか。
佐藤メバル
言葉は硬いけれど、中身は今のニュースにつながる。海外に出た日系メーカーが、どこまで現地で部品を作るか。
トヨタのサプライチェーン管理や、インド市場でのスズキの急成長とトヨタの適応、タイ洪水のときのサプライヤー対応まで、地域ごとに具体的なんだ。
橘ナナミ
タイの洪水の事例まで入っているんですね。あのとき世界中で生産が止まったのを、ニュースで覚えています。
佐藤メバル
ホンダのケースとして章が立てられている。ほかにもミャンマー、メキシコ、南米、インドネシアの日系中小サプライヤーまで扱うから、地域研究としても使える。
ただし2017年の本で価格も高い。研究者か実務家向けの一冊だと正直に言っておくよ。
ポストCASE時代の競争戦略
赤羽淳 著|白桃書房
¥3,199(税込)
CASE以降の自動車産業を、主要メーカーの戦略から読み解く研究書です。序章で事業環境の変化と競争構図を整理し、第I部でトヨタの事業構造改革とウーブンシティ、第II部で日産・テスラ・BYDの比較分析と経営戦略、第III部でBEVの受託生産という鴻海の革新的ビジネスモデルを扱います。日本のメーカーの対応の遅れを指摘しつつ、変化を脅威より機会と捉えて提言する構成が特徴です。
こんな人におすすめ
自動車産業の競争構造を分析したいビジネスパーソン、CASEやMaaSの行方を経営視点で追う学生、業界の未来予測を読みたい読者。現状分析から未来予測まで通して読みたい場面に。
良い点
- 主要各社の戦略を比較できる
- 受託生産という新しい視点
- 未来予測まで踏み込む
気になる点
- 学術書で読み応えが重い
- 刊行が待たれる段階の一冊
- 専門用語が多い
出版社
白桃書房
発売日
2026年05月01日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
刊行がこれから先の本なんですね。トヨタ、テスラ、BYD、日産、そして鴻海……鴻海って、あの電子機器の会社ですよね? なぜ自動車の本に?
佐藤メバル
そこがこの本の狙いで、BEVの受託生産というビジネスモデルを掲げているからなんだ。トヨタは事業構造改革とウーブンシティ、日産・テスラ・BYDは比較分析と経営戦略、そして鴻海はシャープ買収の背景からBEV事業まで章が割かれている。
競争の構図が変わりつつあることを示しているよ。
橘ナナミ
日本のメーカーの出遅れってよく言われますけど、この本は最終的にどういう結論を出しているんでしょう?
佐藤メバル
変化を脅威ではなく機会と捉え、経営者はアンテナを研ぎ澄ませと説く。自動車産業という概念自体があいまいになり、モビリティの周辺にビジネスチャンスが広がるという見方だ。
現状分析にとどまらず未来予測まで踏み込むので、業界の外の人にも読みどころがあるよ。
フォ-ド主義対トヨタ主義
フランス計画庁 著|創風社
¥3,520(税込)
フォード主義とトヨタ主義を対比させ、フランスと日本の自動車システムを比較した1994年の古典です。資材調達関係、科学技術のダイナミズム、生産を組織し管理すること、トヨタ主義と日本主義の違い、技能資格の形成と職業教育、雇用と賃金のシステムの転換まで7章で構成。当時のフランス側の目で日本的生産方式を分析した資料として、いま読むと見え方が変わってくる貴重な一冊です。
こんな人におすすめ
生産システム論を学ぶ学生・研究者、トヨタ生産方式の源流を比較の視点で読みたい人、雇用や技能形成の歴史に関心がある読者。翻訳資料として手元に置きたい場面に。
良い点
- 比較の視点が明確
- 調達から雇用まで範囲が広い
- 当時の分析として資料価値が高い
気になる点
- 1994年刊で前提が古い
- 翻訳調で読みにくい
- 具体例は当時のもの
出版社
創風社
発売日
1994年09月25日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
1994年の本ですよね。いま読んでも意味があるんでしょうか? トヨタ生産方式の本なら、もっと新しいのがありそうですけど。
佐藤メバル
新しい解説書はたくさんあるけれど、これは当時のフランス側が日本的生産方式をどう見ていたかの記録なんだ。
資材調達、科学技術のダイナミズム、生産の組織と管理、トヨタ主義と日本主義の違い、技能資格と職業教育、雇用と賃金まで論点が広い。
橘ナナミ
雇用や賃金の話まで、生産方式の議論に入ってくるんですね。けっこう、技術だけの話ではないものなんですね。奥が深い。
佐藤メバル
そこがフォード主義との違いでもある。フランス計画庁がまとめた調査だから、翻訳調で読みにくいところはあるけれど、当時の日本企業の強さがどこから来たのかを外から見ている。
いま読むと、当てはまらなくなった部分も見えて、それがまた面白いよ。
自動車の世界史
鈴木均 著|中央公論新社
¥1,056(税込)
19世紀末のドイツとフランスに端を発する自動車開発から、1908年のT型フォード登場と爆発的普及、そして欧州・アメリカ・日本・中国が入り混じる激しいシェア争いまでを描く通史です。その歴史に国際関係の栄枯盛衰が色濃く反映されるという視点が貫かれ、冷戦下における日本車の躍進、低燃費・EV・自動運転の時代における中国の台頭までを一冊で追えます。新書サイズで全体像をつかめるのが強みです。
こんな人におすすめ
自動車と世界史の関係をまとめて知りたい読者、日本車の躍進と中国の台頭を流れで理解したい人、まず通史から入りたい初学者。手軽に百年の流れを押さえたい場面に。
良い点
- 百年史をコンパクトに追える
- 国際関係と絡めて描く
- 新書で手に取りやすい
気になる点
- 各国の細部は薄くなる
- 技術解説は中心ではない
- 2023年刊で以降は追えない
出版社
中央公論新社
発売日
2023年11月20日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
新書で自動車の世界史って、千円ちょっとで買えちゃうんですね。これなら私みたいな素人でも読めそうです。
佐藤メバル
19世紀末のドイツとフランスから始まって、1908年のT型フォード、欧州・アメリカ・日本・中国が入り混じるシェア争い、冷戦下における日本車の躍進、そして低燃費・EV・自動運転の時代における中国の台頭まで。
その歴史に国際関係の栄枯盛衰が色濃く反映されるという見方で貫かれている。
橘ナナミ
クルマの歴史が、そのまま国際政治の歴史でもあるっていうのが面白いですよね。技術の話は少なめなんでしょうか?
佐藤メバル
技術の細部より、誰がどの市場を取り、どこで負けたかという流れが中心だね。だから各国のエンジンや車種の違いを深く知りたい人には物足りないかもしれない。
逆に、まず百年の流れを一本の線でつかみたい人には最適な入口になるよ。
戦前日本の自動車レース史ー1922(大正11年)-1925(大正14年) 藤本軍次とスピードに魅せられた男たち
三重宗久 著|三樹書房
¥4,950(税込)
1922年11月12日、東京・洲崎埋立地で開かれた日本初の自動車レース「第1回自動車競走」。その発端は、同年2月にレースカー・ハドソン号とともに米国シアトルから帰国した日系移民・藤本軍次でした。彼の周りに集まったスピードに魅せられた男たちを、急行との競走、洲崎の2回、大震災、立川飛行場、鶴見埋立地、代々木の6部構成で描きます。藤本隆宏による巻頭言と年譜も収録した、徹底した文献調査の成果です。
こんな人におすすめ
モータースポーツの起源を人物から読みたい人、大正期の都市と技術の文化史に関心がある読者、藤本軍次という人物を追いたい愛好家。資料と物語の両方を味わいたい場面に。
良い点
- 膨大な文献調査に裏打ちされる
- 人物の群像として読める
- 年譜と巻頭言も収録
気になる点
- 価格が高い
- 戦前の4年間に範囲が限られる
- 図版は多くない
出版社
三樹書房
発売日
2022年04月26日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
日本で最初の自動車レースが1922年って、思っていたよりずっと早いんですね。しかも東京の洲崎埋立地で行われたんですか。
佐藤メバル
1922年11月12日の「第1回自動車競走」だね。発端は同年2月、レースカー・ハドソン号とともに米国シアトルから帰国した日系移民の藤本軍次。
彼の周りに集まったスピードに魅せられた男たちが、その後の日本の自動車産業にも影響を与えていく。人物から入るレース史なんだ。
橘ナナミ
急行との競走って章があるんですけど、列車とクルマで競争したってことですよね。それ、どっちが勝ったんでしょう。
佐藤メバル
そこが読みどころでね。洲崎の2回、大震災、立川飛行場、鶴見埋立地、代々木と6部構成で進んでいく。著者は自動車史研究者で、国内外の文献を徹底的に当たっているから裏付けがしっかりしている。
藤本隆宏による巻頭言と年譜も収録されていて、資料としても読み物としても価値が高いよ。
図鑑は「読み比べ」で選ぶ — 何を証言として残した本か
橘ナナミ
図鑑って、どれも同じに見えるんですけど……。
佐藤メバル
収録の範囲と資料の種類が全然違う。『いま蘇る 昭和・平成 日本車カタログ図鑑』はスープラ、フェアレディZ、セリカGT-FOUR、スカイラインGT-R、RX-7、NSX、AE86、カプチーノなど1980〜90年代の絶版車の販売カタログを高精細スキャンで並べたもの。『国産スポーツカー クロニクル 昭和編』はモーターマガジン社が長年の取材で得た写真と当時の試乗記で昭和のスポーツカーを振り返る。同じ「昭和」でも、前者はカタログという販売資料、後者は雑誌という報道資料。何を証言として残したい本なのかを見ると読み分けられる。
橘ナナミ
なるほど、資料の種類が違うんですね。商用車やレース史まで行くと?
佐藤メバル
『カタログでたどる 日本の小型商用車』は三輪トラックからキャブオーバーまで、カラー図版を多数収録して変遷を追う。『日本の自動車レース史』は多摩川スピードウェイを軸に戦前から戦後まで、年表やリザルトまで収めている。乗用車の図鑑には絶対に出てこない歴史だから、棚に1冊あると視野が広がるよ。
紙・電子・図書館・中古 — 入手と使い分けの実践
橘ナナミ
電子版ってあるんですか? 引っ越しが多いのでKindleで読みたいんです。
佐藤メバル
本によって対応が違うから、買う前に各電子書店で書名を検索して確認するのが確実だね。ただ、図鑑や大判の本は紙のほうが写真をじっくり見られる。逆に『自動車の世界史』のような新書は電子でも快適。「眺める本は紙、読む本は電子」が僕の基本だよ。
橘ナナミ
絶版の本はどう探せばいいんでしょう。
佐藤メバル
まず図書館の蔵書検索と相互貸借。大学の附属研究所が出している『車王国群馬の公共交通とまちづくり』のような学術書は、地元の図書館が強いこともある。次に古書店で版と状態を確認する。外箱や付属カードの有無まで見ること。プレゼントなら、この事情を踏まえて新刊で手に入る本を選ぶのが無難だね。
定番と最新刊を組み合わせた読書ロードマップ
橘ナナミ
結局、どの順番で読むのがいいんでしょう?
佐藤メバル
僕なら『自動車の世界史』で100年の流れをつかんで、『企業風土とクルマ』でメーカーごとの性格を知る。そこから興味のある時代に分岐して、80〜90年代ならカタログ図鑑、レースなら戦前から戦後のレース史、技術なら動力源の本へ。最後に福野礼一郎の評論を読むと、「なぜこの設計なのか」という見方が身につく。
橘ナナミ
逆に、一過性の本を避けるコツはありますか?
佐藤メバル
評論や業界本は、書かれた時点の「今」を扱っている。評価が固まっていく歴史・資料系と、判断が動く評論・業界本を分けて、両方を揃えるのが強い。『ポストCASE時代の競争戦略』のような新しい本は、数年後の答え合わせも含めて読むと面白いよ。
よくある質問
車の本は何から読み始めればいいですか?
橘ナナミ
車の本は何から読み始めればいいですかについて教えてください。
佐藤メバル
目的で決めるのが近道です。100年の流れをつかむなら『自動車の世界史』、写真から入るなら『いま蘇る 昭和・平成 日本車カタログ図鑑』。文字を追うのが苦にならないなら、徳大寺有恒の『ぼくの日本自動車史』のような体験談から始めるのもおすすめです。
日本車の歴史がわかるおすすめの図鑑は?
橘ナナミ
日本車の歴史がわかるおすすめの図鑑はについて教えてください。
佐藤メバル
1980〜90年代なら『いま蘇る 昭和・平成 日本車カタログ図鑑』、昭和のスポーツカーなら『国産スポーツカー クロニクル 昭和編』が挙げられます。商用車まで含めたいなら『カタログでたどる 日本の小型商用車』がカラー図版を多数収録しています。自分の知りたい時代に合わせて選んでください。
車好きにプレゼントするならどの本が喜ばれますか?
橘ナナミ
車好きにプレゼントするならどの本が喜ばれますかについて教えてください。
佐藤メバル
相手が何を愛しているかで変わります。旧車好きなら『国産旧車カスタムグラフティ』のようなムック、資料として残したい相手なら専用外箱と直筆サイン入りカードを封入した『プリンス自動車工業の歴史 特別限定版』のような造本のしっかりした本が向きます。予算より「相手の興味の年代」を優先するのがコツです。
絶版・中古の車の本はどこで買えますか? 高騰している本の見分け方は?
橘ナナミ
絶版・中古の車の本はどこで買えますか? 高騰している本の見分け方はについて教えてください。
佐藤メバル
まず図書館の蔵書検索と相互貸借、次に古書店やネット古書の在庫検索、という順が現実的です。限定版や絶版本は価格が動きやすいので、外箱・付属カード・帯の有無を確認し、定価と比べて極端に高い場合は一度保留するのが安全です。
車の仕組みが学べる初心者向けの本は?
橘ナナミ
車の仕組みが学べる初心者向けの本はについて教えてください。
佐藤メバル
飯塚昭三の『自動車用動力源の現状と未来』は、エンジンからハイブリッド、電池、カーボンニュートラル燃料までを整理してくれます。業界の構造から知りたいなら『図解即戦力 自動車業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』が図解中心で読みやすいです。
Kindleや電子版でも読める車の本はありますか?
橘ナナミ
Kindleや電子版でも読める車の本はありますかについて教えてください。
佐藤メバル
本によって対応状況が違うため、購入前に各電子書店で書名を検索して確認してください。大判の図鑑や写真中心の本は紙のほうが細部まで見やすく、新書や文字中心の読み物は電子でも快適です。図書館で紙を試してから電子を選ぶ方法もあります。
新車購入の参考になる本は?
橘ナナミ
新車購入の参考になる本はについて教えてください。
佐藤メバル
島下泰久の『間違いだらけのクルマ選び』が定番です。車種ごとの論評に加えて巻末に車種別の採点簿がついており、試乗前に自分の評価軸を作れます。発売時点の情報なので、最新の試乗情報と併用するのがおすすめです。
車好きの子供向け・入門書はどれ?
橘ナナミ
車好きの子供向け・入門書はどれについて教えてください。
佐藤メバル
文字が多い本から入る必要はありません。当時の販売カタログを高精細スキャンで収録した『いま蘇る 昭和・平成 日本車カタログ図鑑』は、写真を眺めるだけでも楽しめます。まずは「見て楽しい本」から始めて、興味が出たら歴史の本へ進む流れが自然です。
まとめ
橘ナナミ
今日のお話、けっこう目からウロコでした。車の本って「読む本」だけじゃないんですね。
佐藤メバル
そう。眺める本、調べる本、考える本、懐かしむ本。全部違う。同じ「車の本」でも、ページをめくる速さがまったく変わるんだよ。
橘ナナミ
わたし、最初は図鑑から入ろうと思ってました。でも先に『自動車の世界史』で流れをつかんでから、カタログ図鑑を開くほうが楽しそうだなって思いました。
佐藤メバル
それがいい順番だね。流れを知ってから図鑑を開くと、一枚のカタログ写真が「時代の答え」に見えてくる。逆に図鑑だけだと、かっこいい写真の羅列で終わってしまう。背景を知った目で見る写真は、情報量が倍になるんだ。
橘ナナミ
なるほど……。あ、でも全部そろえるのは無理ですよね。
佐藤メバル
そろえる必要はないよ。1冊ずつ、自分の興味が動いた場所で選べばいい。図書館で試してから手元に置くのでも全然かまわない。僕も書店員時代、給料の大半を車の本に溶かして、あとで図書館で同じ本を借りて苦笑いしたことがある。
橘ナナミ
それ、ちょっと安心します(笑)。じゃあ最後に、ひとことお願いします。
佐藤メバル
車の本棚は、一台のクルマを味わう順番と似ていると思うんだ。まず外から眺めて惚れ、次にエンジンをかけて走り、最後にボンネットを開けて中を見る。図鑑で眺め、評論で走り、産業論や技術書でボンネットの中を見る——その3冊がそろったとき、日本車という一台が、やっとあなたの前に全開で姿を現すんだよ。
