音楽関係の本のおすすめ人気ランキング24選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
「音楽関係の本」で検索してみたんですけど、理論書からアーティストの評伝、楽器の教則本まで出てきて、棚ごとに全然違うのに全部いっしょくたに見えてしまって……。どこから読めばいいのか、正直お手上げです。
佐藤メバル
いいところでつまずいたね。音楽の本は、書店でも棚が分かれているんだ。楽典と音楽理論の棚、音楽史の棚、楽器教本の棚、音楽ビジネスの棚。まず「自分はどの棚に用があるのか」を決める。これだけで候補は一桁まで絞れるよ。
橘ナナミ
棚を決める、ですか。でも私、音楽が好きなだけで、学びたいのか聴きたいのかも曖昧で……。
佐藤メバル
それなら「癒す」の棚だね。伊東乾『人生が深まるクラシック音楽入門』は、交響曲を人生の季節に重ねて味わう本で、楽譜が読めなくても読み通せる。反対に「学ぶ」なら楽典や音楽理論、「語る」なら岡田暁生『西洋音楽史』や中山康樹『ロックの歴史』のような歴史書やディスクガイド、「知る・稼ぐ」なら文化政策や音楽ビジネスを扱う本。目的をこの4つに仕分けると迷いが減るんだ。
橘ナナミ
目的で分けると、同じ「音楽の本」でもまったく別の一冊になりますね……! ではその4つに、レベルや予算も足して選べるようにしてもらえますか?
音楽関係の本の選び方
目的別(学ぶ/稼ぐ/癒す/語る)で選ぶ
橘ナナミ
4つの中で、いちばん多くの人が最初に必要とするのはどれなんですか?
佐藤メバル
経験上は「癒す」か「語る」だね。聴く側から入る人が圧倒的に多い。ただ「学ぶ」に進みたくなったとき、いきなり和声の専門書に行くと大抵挫ける。最初の一冊は、佐々木邦雄『一目瞭然!目からウロコの楽典 <基礎編>』のように、見開きで図解され、問題集とヒントまで付いた本がいい。
橘ナナミ
「語る」は歴史や名盤ガイドですよね。ジャズとロックで分けるとどうなりますか?
佐藤メバル
ジャズなら中山康樹『ジャズの名盤入門』。50枚を選び、その聴きかたを細かく教えてくれる。ロックなら同じ中山康樹の『ロックの歴史』で、イギリスとアメリカが互いの音楽を「洋楽」として受け取り、誤読しながら進化させていく過程を追える。
橘ナナミ
では「稼ぐ」は? 音楽で食べていく話の本を探していたんです。
佐藤メバル
正直に言うと、この記事で扱う中核は理論・歴史・楽器の棚で、契約や著作権の実務書は別の棚になる。ただ現場感覚をつかむなら、城所孝吉『ベルリンから見た不思議おもしろ音楽事情』が効く。ドイツの助成金の実態、ホールと政治、ポストCD時代に何が起こるかまで、現地で音楽ジャーナリストとして活動してきた視点で書かれている。評伝なら中川右介『二十世紀の10大ピアニスト』で、巨匠たちが戦争や市場に振り回されながら生き残っていく様子が追えるよ。
レベル別(入門・中級・上級)で選ぶ
橘ナナミ
レベルって、どう見極めればいいんでしょう。
佐藤メバル
入門は「楽譜が読めなくても読めるか」。吉松隆『調性で読み解くクラシック』は現役作曲家が「運命」がなぜハ短調なのかを説く本で、調性の話から入れる。中級は「読譜とコードの話が前提になるか」。北川祐『ポピュラー音楽理論改訂版』は読譜と理論の基礎からコード・スケールまでを実用的にまとめた定番だ。ジャズなら中島久恵『ジャジーランドのジャズ理論講座 上巻』で、テンションやツー・ファイブを15日単位の講座形式で追える。
橘ナナミ
上級はもう、覚悟がいる棚ですよね。
佐藤メバル
そう。ベルリオーズとR.シュトラウス『管弦楽法』は、オーケストラの歴史を俯瞰できる原典で、価格も厚みも覚悟がいる。ニコラウス・アーノンクール『古楽とは何か』も、テンポやアーティキュレーション、古楽器の是非まで踏み込む専門書だ。西原稔『シューマン 全ピアノ作品の研究 上』は著者が10年を費やした研究で、文学との関わりから作品を読み解いていく。
形式別(紙・電子書籍・オーディオブック)で選ぶ
橘ナナミ
電子で読めるならそっちが楽なんですけど、音楽の本って向き不向きがありそうですね。
佐藤メバル
そこは見極めどころだよ。付属音源がある本は紙が前提になりやすい。長沼由美・二藤宏美『読んでわかる!きいてわかる!クラシック音楽の歴史』はCD付きで、本文で触れた作品を実際に聴ける構成になっている。新星出版社の『頭のいい子が育つクラシックの名曲45選』もCD2枚付き、トレヴァー・ワイ『初級用フルート教本 上』も模範演奏と伴奏のCD付きだ。
橘ナナミ
逆に、電子が向くのはどんな本ですか?
佐藤メバル
書き込み型の教則本は紙が強い。『一目瞭然!目からウロコの楽典』は書き込みしやすい判型で、見開きで解説と問題が並ぶ。ヤマハの『大人のためのピアノ悠々塾 基礎編』は独習前提でカリキュラムが組まれている。移動中に読みたい歴史書や評伝は電子が便利だけど、対応状況は版元の公式情報で必ず確認してほしい。推測で「読めるはず」と思って買うと痛い目を見るよ。
予算別(1000円以下・3000円前後・5000円以上)で選ぶ
橘ナナミ
学生なので、できれば安く済ませたいです……。
佐藤メバル
千円以下の帯に、実は名作が集まっている。講談社現代新書の『ジャズの名盤入門』と『ロックの歴史』、それに岡田暁生『西洋音楽史』。新書サイズで持ち歩けるから、通学の電車でも読める。野口啓吉『やさしく学べる三味線入門』のように、教本でも手に取りやすい価格のものがある。
橘ナナミ
3000円前後になると、内容がぐっと専門的になりますね。
佐藤メバル
この帯は「本気で一本やる」層だね。広瀬大介『楽譜でわかるクラシック音楽の歴史』は譜例を大量に載せた音楽史で、類例が少ない。友寄隆哉『大人のための音感トレーニング本』は耳コピーや移調の訓練用。5000円以上は『管弦楽法』『古楽とは何か』『シューマン 全ピアノ作品の研究 上』のような研究書で、これは「辞書を買う」感覚に近い。価格は変動するから、買う前に必ず確認してね。
入手しやすさ(在庫あり・復刊・絶版)で選ぶ
橘ナナミ
古い本だと、書店に置いていないこともありますよね。
佐藤メバル
ある。書店員時代、お客様に「この本はもう店頭にない」と何度も言ったよ。音楽書は刊行から年数が経つと重版がかかりにくい。だから、見つけたら「あとで買おう」は禁物。逆に復刊されて戻ってきた本もある。中島久恵『ジャジーランドのジャズ理論講座 上巻』は、かつて好評だった教本を復刻版として蘇らせ、内容を見直し索引も加えたものだ。
橘ナナミ
見つからないときは、どう動けばいいですか?
佐藤メバル
まず版元の在庫、次に図書館、そして古書店の順。図書館なら、アーノンクール『古楽とは何か』のような厚い専門書でも試せる。試してから手元に置くか決める、が失敗しない順番だよ。
読みやすさ(文庫・新書・専門書)で選ぶ
橘ナナミ
見た目の重さで選ぶのも、アリなんですか?
佐藤メバル
大いにアリ。新書は電車で読める。斎藤桂『〈裏〉日本音楽史』のように、伝統音楽や軍歌、唱歌、民謡を題材にしながら近代を捉え直す本は、値段も厚みも手頃で、教養として面白い。一方、西原稔のシューマン研究のような専門書は、机に向かって付箋を貼りながら読む種類の本だ。どちらが上ではない。読む場所で選べばいい。
音楽関係の本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、24冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
音楽関係の本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい
人生が深まるクラシック音楽入門
伊東乾 著|幻冬舎
¥946(税込)
作曲家であり指揮者、さらに国際的な音響の脳科学研究プロジェクトも率いた伊東乾さんが、クラシックを「人生の春夏秋冬」として語る入門書です。ベートーヴェンの交響曲第五番は猛然と勇気が湧いてくる曲、ブラームスの第四番は過ぎ去った日々への愛惜をかきたてる曲——同じ一曲が、聴き手の季節によって意味を変えていく。西洋音楽300年の歴史、楽器とホールの響きの秘密、名指揮者や演奏家の素顔まで、リスニングガイド付きで無理なく進めます。曲目事典でも理論書でもない、聴き手の側から書かれた一冊です。
こんな人におすすめ
クラシックに興味はあるけれど、どの曲から聴けばいいか決められない人。名盤ガイドの物量に圧倒された人。人生の節目に音楽を聴きたい大人。通勤や家事の合間に、一曲を自分の生活と結びつけて味わいたい読者。
良い点
- 人生の季節と曲を結ぶ視点が新鮮
- リスニングガイド付きで迷わない
- 音響の科学まで踏み込む厚み
気になる点
- 曲目の網羅的な事典ではない
- 譜面や専門知識の解説は控えめ
- 著者の語り口に好みが分かれる
出版社
幻冬舎
発売日
2011年07月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
クラシックって何から聴けばいいのか分からなくて。名盤ガイドを開くと知らない名前が並んでいて、心が折れます。
佐藤メバル
いい質問だね。まずは伊東乾さんの『人生が深まるクラシック音楽入門』を挙げたい。作曲家で指揮者、さらに音響の脳科学研究プロジェクトも率いてきた人が、ベートーヴェンの交響曲第五番を「猛然と勇気が湧いてくる」、ブラームスの第四番を「過ぎ去った日々への愛惜」と書いている。
曲を人生の季節に重ねて語る本なんだ。西洋音楽300年の歴史やホールの響きの秘密、名指揮者や演奏家の素顔まで、リスニングガイド付きで案内してくれる。
橘ナナミ
人生の春夏秋冬に寄り添う、というのがいいですね。聴く時期で同じ曲の意味が変わるんですか?
佐藤メバル
そう。曲は変わらないのに、聴き手の季節が変わる。それがこの本の核なんだよ。
理論を積み上げる前に、自分の生活と一曲を結びつける。順番としてはとても自然な入り方だと思う。名盤の名前を覚えるのは、そのあとでも遅くないんだ。
読んでわかる!きいてわかる!クラシック音楽の歴史 大人の音楽史入門 【CD付】
長沼由美 著|ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
¥1,980(税込)
各時代の概説とおもな作曲家の紹介で構成され、付録のCDで本文に出てくる作品をその場で実際に聴ける音楽史入門です。古代〜中世〜ルネサンスからバロック、古典派、ロマン派、近・現代までを追い、世界史・日本史のできごとと対照できる簡略な年表も添えられています。読む→聴く→歴史に置くという往復ができるのが強みで、用語だけが先に走る教科書的な音楽史とは体験の質が違います。手元に音源を用意しなくても話が進む構成も助かります。
こんな人におすすめ
音楽史の流れを一度つかみたい人。学校で習った用語を音と一緒にやり直したい人。年表を引きながら作曲家と時代を結びつけたい読者。音源を探す手間なく、古代から近現代までを時代順に聴いてみたい人。
良い点
- CD付きで本文の曲をすぐ聴ける
- 世界史・日本史と対照できる年表
- 古代から近現代まで一冊で追える
気になる点
- 作曲家個人の評伝は簡潔
- 収録CDの曲数は限られる
- 入門者にはやや情報量が多い
出版社
ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
発売日
2007年04月13日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
音楽史の本って、読んでも音が思い浮かばないまま終わりそうで、そこが心配なんです。
佐藤メバル
そこを埋めてくれるのが長沼由美さんと二藤宏美さんの『読んでわかる!きいてわかる!クラシック音楽の歴史』だね。
各時代の概説と作曲家の紹介を読みながら、付録のCDで文中に出てくる作品をその場で聴ける。古代から中世、ルネサンス、バロック、古典派、ロマン派、近・現代までを一冊で追う構成で、世界史や日本史のできごとと対照できる簡略な年表も付いている。
橘ナナミ
なるほど、読む、聴く、年表に置く、という三段構えなんですね。
佐藤メバル
そう。音と歴史を同時に手に入れられる。クラシックが苦手だった人ほど、この往復で景色が変わりやすいと思う。
年表があるから、なぜこの様式が生まれたのかも見えやすいんだ。歌詞やタイトルから入る人にも、歴史から入る人にも使える作りになっているよ。
西洋音楽史
岡田暁生 著|中央公論新社
¥990(税込)
18世紀後半から20世紀前半の西洋音楽史を、「芸術音楽と娯楽音楽の分裂のプロセス」として大胆に位置づける中公新書の一冊です。この時期の音楽が一般に「クラシック音楽」と呼ばれる——その呼び名そのものを歴史の中に置き直し、前史である中世・ルネサンス・バロックで何が用意されたのか、そして「クラシック後」に何がどう変質したのかまでを射程に入れます。音楽史という大河を一望のもとに眺めわたす試みで、個々の作曲家の解説本とは満足の種類がまったく違います。
こんな人におすすめ
「クラシック音楽とは何か」という根本から考えたい人。作曲家の名前だけでなく、制度や聴衆の変化を知りたい人。社会学や文化史の視点が好きな読者。新書一冊で通史を一周しておきたい人。
良い点
- 分裂という切り口が明快で記憶に残る
- 前史とその後の変質まで視野に入る
- 新書で通読しやすい分量
気になる点
- 曲目解説はほとんどない
- 作曲家の評伝は期待できない
- 大胆な整理に反論もある
出版社
中央公論新社
発売日
2005年10月25日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
そもそも「クラシック音楽」という呼び方、いつからあるんでしょう。ずっと引っかかっていました。
佐藤メバル
それこそ岡田暁生さんの『西洋音楽史』が真正面から扱っているテーマだね。18世紀後半から20世紀前半の西洋音楽史は、芸術音楽と娯楽音楽が分裂していくプロセスだった、と。
この時期の音楽が一般に「クラシック音楽」と呼ばれている、というわけ。前史の中世・ルネサンス・バロックで何が用意されたのか、そして「クラシック後」に何が変質したのかまで一気に見渡していく。
橘ナナミ
曲の解説というより、音楽という制度そのものの歴史なんですね。
佐藤メバル
そう。呼び名を歴史に置き直すという発想が痛快なんだよ。作曲家の名前を覚える前にこの地図を一枚持っていると、後のすべての本の読み方が変わる。
編集部でも、最初の一冊に挙げることが多いんだ。
楽譜でわかるクラシック音楽の歴史
広瀬大介 著|音楽之友社
¥2,750(税込)
一般大学の学部生など初学者を対象に、作曲家が得意とした音楽様式上の特徴を、実際の作品の譜例から具体的に学ぶ音楽史のテキストです。前古典派のギャラント様式やマンハイム楽派、ソナタ形式の確立、オペラ改革、ベートーヴェンの交響曲と室内楽、ドイツ歌曲、ピアノ音楽、交響詩、イタリアとドイツのオペラ、国民楽派、20世紀の新ウィーン楽派まで。ある程度の分量を有する譜例を数多く掲載した音楽史の本は類例がないとされ、読んで納得するだけで終わらせません。
こんな人におすすめ
楽譜が読めて、様式の違いを譜面で確かめたい人。大学の一般教養のテキストとして、あるいは独学の座右に置きたい人。音楽史の用語を、音ではなく形として理解したい学習者。
良い点
- 譜例が豊富で様式が目で追える
- 前古典派から20世紀まで網羅
- 独学の教材として体系立っている
気になる点
- 楽譜が読めないと厳しい
- 価格はやや高め
- 物語性より実学寄り
出版社
音楽之友社
発売日
2014年07月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
さっきの二冊は「読む」音楽史でしたけど、譜面で確かめる音楽史なんてあるんですか?
佐藤メバル
あるよ。広瀬大介さんの『楽譜でわかるクラシック音楽の歴史』だね。前古典派のギャラント様式、C.P.E.バッハ、マンハイム楽派から始まって、ソナタ形式の確立、オペラ改革、ベートーヴェン、ドイツ歌曲、ピアノ音楽、交響詩、国民楽派、20世紀の新ウィーン楽派まで、様式上の特徴を譜例で確かめていく。
一般大学の学部生など初学者を対象にしたテキストなんだ。
橘ナナミ
譜例をこれだけ載せた音楽史って、珍しいんですね。
佐藤メバル
そう、類例がないと言われている。耳で覚えた違いを、目で裏づける。楽譜が読める人なら、クラシックの聴こえ方が一段変わると思うよ。
曲を弾く人にも、聴くだけの人にも、用語の解像度を上げたい人にも向いている。
1冊でわかるポケット教養シリーズ 吉松 隆の 調性で読み解くクラシック
吉松隆 著|ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
¥1,045(税込)
「運命」はなぜハ短調で扉を叩くのか——現役作曲家の吉松隆さんが、クラシックの長調・短調には理由があると説く「調性」の本です。調性とは何かをメロディとハーモニーから説き、楽器からみた得意な調と苦手な調、自然倍音から音階・平均律へという科学の側面、聖歌から機能和声へという歴史、東洋の調性から天体の音楽まで、そして各調性の特徴と名曲へ。曲の印象を「なんとなく」で終わらせないための、ありそうでなかった切り口です。
こんな人におすすめ
曲の雰囲気の違いを言葉にしたい人。楽典でつまずいたけれど調の話だけは知りたい人。作曲やアレンジをしていて調選びに悩む人。音楽と科学の接点が気になる読者。
良い点
- 調性という切り口が一冊で完結
- 現役作曲家ならではの実感がある
- 科学と歴史の両面から迫る
気になる点
- 楽典の知識が多少あると快適
- 特定の曲の詳しい解説ではない
- 軽妙な語りの好みが分かれる
出版社
ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
発売日
2014年09月25日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
長調と短調で雰囲気が違うのは分かるんですけど、なぜハ短調なのかと言われると答えられません。
佐藤メバル
その問いのための本がある。吉松隆さんの『調性で読み解くクラシック』だね。「運命」はなぜハ短調で扉を叩くのか、というところから入って、調性とは何かをメロディとハーモニーの関係から説いていく。
楽器にとって得意な調と苦手な調があるという話も面白いし、自然倍音から音階や平均律へという科学の側面、聖歌から機能和声へという歴史も追いかける。
橘ナナミ
天体の音楽まで入ってくるんですか。現役の作曲家の本だけあって、視野が広いですね。
佐藤メバル
そう。調を「気分」ではなく「仕組み」として掴める。曲を聴いて感じたことを、自分の言葉で説明できるようになる。
それがこの本のいちばん気持ちいいところなんだよ。名曲の印象が、根拠のある感想に変わっていく。
古楽とは何か
アーノンクール,N.(ニコラウス) 著|音楽之友社
¥4,070(税込)
指揮者ニコラウス・アーノンクールによる、古楽をめぐる思考の記録です。音楽と解釈への基本的考察として、記譜法、アーティキュレーション、テンポ、音組織と音程法、響き、古楽器は是か否か、スタジオでの音響状況の復元、解釈の優先度までを論じ、続いて楽器と言葉、そしてヨーロッパのバロック音楽とモーツァルトへ。ヴィヴァルディ、テレマン、ヘンデル、バッハの組曲の舞曲、リュリとラモー、モーツァルトの手紙まで扱います。演奏する側の問いが軸の、読み応えある一冊です。
こんな人におすすめ
古楽やピリオド演奏に興味がある人。演奏する立場で音楽と向き合っている人。バロック音楽を聴くときの解像度を上げたい読者。原典の議論をじっくり読みたい人。
良い点
- 演奏解釈の古典として価値が高い
- バロックからモーツァルトまで広い
- 訳者による補助が手厚い
気になる点
- 価格が高めで分量も多い
- 予備知識ゼロだと重い
- 実践の手引きではない
出版社
音楽之友社
発売日
1997年06月01日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
古楽器の演奏って、聴いていて「当時の音に戻す」ことだと思っていました。それだけじゃないんでしょうか。
佐藤メバル
その疑問に真っ向から答えてくれるのが、指揮者アーノンクールの『古楽とは何か』だね。記譜法、アーティキュレーション、テンポ、音程法、響き、そして「古楽器は是か否か」、スタジオでオリジナルの音響状況を復元できるのか、解釈の優先度はどうつけるのか。
演奏家が実際に悩む順番で議論が並んでいる。
橘ナナミ
なるほど、復元というより解釈の話なんですね。
佐藤メバル
そう。古楽は「昔の音」ではなく「どう読むか」の問題なんだ。後半はヴィオラ・ダ・ガンバやバロック・オーケストラ、テレマン、ヘンデル、バッハの舞曲、モーツァルトの手紙まで広がっていく。
厚いけれど、聴く側の耳が確実に変わる一冊だと思うよ。
ジャズの名盤入門
中山康樹 著|講談社
¥924(税込)
「この50枚を聴けばジャズの真髄がわかる」と掲げ、今なお刺激的なジャズの必聴盤を厳選して、その聴きかたをつぶさに教える入門書です。BGM代わりに流すだけでは気づかない、名盤ならではの魅力とは何か——新しいメディアが生んだ「名盤の時代」、60年代に頂点を迎えた「レコード芸術としてのジャズ」、フュージョンの時代を経て一巡したジャズの歴史、という三つのパートで構成されています。聴き方の指南に重心を置いた、類書とはひと味違う一冊です。
こんな人におすすめ
ジャズをBGMでしか聴いてこなかった人。名盤の名前は知っていても違いを言葉にできない人。一枚をじっくり聴く習慣を作りたい人。ジャズ史をレコードの歴史として捉えたい読者。
良い点
- 50枚という具体的な道しるべがある
- 聴きかたの指南が丁寧
- レコード史としても読める
気になる点
- 選盤の好みは分かれる
- 演奏家の評伝ではない
- 譜面や理論の解説はない
出版社
講談社
発売日
2005年09月17日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ジャズって、おしゃれなBGMとして流しちゃうんですよね。それだと何かもったいない気がしていて。
佐藤メバル
まさにそこを突いた本がある。中山康樹さんの『ジャズの名盤入門』だね。この50枚を聴けばジャズの真髄がわかる、という前提で名盤を厳選し、その聴きかたをつぶさに教えてくれる。
BGM代わりに聴くだけでは気づかない、名盤ならではの魅力がある、というのが著者の立場なんだ。
橘ナナミ
構成はどんな感じなんですか?
佐藤メバル
新しいメディアが生んだ「名盤の時代」、60年代に頂点を迎えた「レコード芸術としてのジャズ」、フュージョンの時代を経て一巡したジャズの歴史、という三つのパートだよ。
ジャズ史をレコードの歴史として見る視点が気持ちいい。まず一枚、集中して聴く。その入口になってくれる本だと思う。
ロックの歴史
中山康樹 著|講談社
¥990(税込)
イギリスとアメリカが互いの音楽を「洋楽」として受容し、ときに誤読しながら進化・統合・分化させて、いまのロックが生まれるまでを解き明かす通史です。エルヴィス・プレスリーの限界、ビートルズが生まれた瞬間、黒いブルースから白いロックへ、なぜリヴァプールだったのか、ストーンズ登場、天才ギタリストたち、アルバムの時代の夜明け、ジミ・ヘンドリックス、ウッドストック、ディラン。さらにクリフ・リチャードやマディ・ウォーターズなど、これまで脇役とされてきた存在にも光を当てる。歴史を再定義する知的興奮があります。
こんな人におすすめ
ロックは聴いてきたが、流れを一本の線で説明できない人。ビートルズやストーンズ以前の土壌を知りたい人。音楽評論の文章そのものを味わいたい読者。
良い点
- 英米の相互影響で描く構成
- 脇役の再評価が刺激的
- 章立てが明快で追いやすい
気になる点
- 個々の名盤ガイドではない
- 断定調の語りが好みを分ける
- 最新の動向は範囲外
出版社
講談社
発売日
2014年06月18日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
さっき紹介してもらった中山康樹さんの本、ジャズ以外にもあるんですか?
佐藤メバル
あるよ。『ロックの歴史』だね。イギリスとアメリカが互いの音楽を「洋楽」として受け取り、ときに誤読しながら進化させ、統合し、分化していく過程で今のロックが生まれた——その大きなテーマを明快に説いていく。
エルヴィス・プレスリーの限界、ビートルズが生まれた瞬間、なぜリヴァプールだったのか、黒いブルースから白いロックへ、という章が並ぶ。
橘ナナミ
脇役のミュージシャンにも光を当てる、というところが気になります。
佐藤メバル
クリフ・リチャード&シャドウズ、マディ・ウォーターズ、レオン・ラッセルなんかだね。既存の解釈では主役にならなかった人の存在意義を知ると、ロック史の解像度がぐっと上がる。
ポール・マッカートニーもミック・ジャガーもボブ・ディランも七十代になり、ロックが歴史になった今だからこそ読める一冊だと思うよ。
CD2枚付 頭のいい子が育つクラシックの名曲45選
新井鴎子 著|新星出版社
¥2,530(税込)
小さな子どもに聴かせたいクラシックの定番曲を集めた、CD2枚付きの絵本です。モーツァルトの「トルコ行進曲」、ベートーヴェンの「運命」、ショパンの「子犬のワルツ」など45曲を選び、絵本ページでその曲の世界観をやさしい文章とカラーイラストで解説しています。よい音楽は子どもの心と脳を育むという考えで作られ、帯には脳科学者の茂木健一郎さんの推薦も付いています。曲名は知っているけれど、そこから先へ進めない家庭の最初の一歩に向いています。
こんな人におすすめ
小さな子どもと音楽を一緒に楽しみたい人。はじめてのクラシックとして家に一冊置きたい家庭。曲名だけは知っている名曲を、絵と短い言葉で紹介したい場面。出産祝いや誕生日の贈り物を探している人。
良い点
- CD2枚で名曲をまとめて聴ける
- カラーイラストで世界観が伝わる
- 脳科学者の推薦で安心感がある
気になる点
- 大人向けの深い解説ではない
- 収録曲の好みは分かれる
- CD再生環境が必要
出版社
新星出版社
発売日
2015年11月19日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
子ども向けのクラシックって、たくさんありすぎて選べないんです。私まだ子どもはいないんですけど、姪っ子に何か贈りたくて。
佐藤メバル
いい質問だね。定番として挙げやすいのが『頭のいい子が育つクラシックの名曲45選』。CDが2枚付いていて、モーツァルトの「トルコ行進曲」、ベートーヴェンの「運命」、ショパンの「子犬のワルツ」など45曲が入っている。
絵本ページでは、その曲の世界観をやさしい文章とカラーイラストで解説しているよ。帯には脳科学者の茂木健一郎さんの推薦も付いている。
橘ナナミ
曲の解説が絵で入っているのは、子どもには分かりやすいですね。
佐藤メバル
そう。音と絵と短い言葉がセットになっているのがこの本の強みなんだ。まず家で流してみて、子どもが反応した曲を親が後から深掘りする。
そういう使い方がいちばんいいと思う。贈り物としても、選ぶ側が迷わない作りだよ。
ベルリンから見た不思議おもしろ音楽事情
城所孝吉 著|株式会社音楽之友社
¥2,640(税込)
長年ベルリンで音楽評論家・ジャーナリストとして活動してきた著者が、現地だからこそ分かるクラシック音楽の裏側を綴るエッセイ集です。演奏会の正しいドレスコード、アフター・コンサートの食事問題、有名オペラ歌手の舞台衣装は買えるのか、音楽批評はなぜ必要か、コロナ禍が音楽界に与えた影響、ポストCD時代に何が起こるのか。ハーディングはなぜパイロットになったのか、カラヤンやバーンスタインの知られざるエピソード、シューマンの歌曲に秘められた想いまで。硬軟織り交ぜた話題が軽快な文章で並びます。
こんな人におすすめ
クラシックの演奏会やオペラに通い始めた人。舞台裏や業界の内実に興味がある読者。ベルリン・フィルの話題を追いたい人。誰かに話したくなるネタが欲しい人。
良い点
- 現地在住者ならではの生の話題
- 章立てが細かく拾い読みしやすい
- アーティストの逸話が豊富
気になる点
- 体系的に学ぶ本ではない
- 話題の好みに幅がある
- 価格はやや高め
出版社
株式会社音楽之友社
発売日
2026年10月07日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
クラシックのコンサートって、服装やマナーが分からなくて尻込みしてました。そういう素朴な疑問に答えてくれる本はありますか?
佐藤メバル
城所孝吉さんの『ベルリンから見た不思議おもしろ音楽事情』がぴったりだね。長年ベルリンで音楽評論家・ジャーナリストとして活動してきた人が、演奏会の正しいドレスコード、アフター・コンサートの食事問題、有名オペラ歌手の舞台衣装が買えるのか、なんて話題を親しみやすい文章で綴っている。
橘ナナミ
ドレスコードから食事の話まで。音楽の話だけじゃないのが面白いです。
佐藤メバル
そこがいいんだよ。現地にいないと分からない舞台裏が満載で、ベルリン・フィルの話題や、カラヤン、バーンスタイン、内田光子さん、小澤征爾さんのエピソードまで出てくる。
硬軟織り交ぜた読み物だから、すきま時間に拾い読みしても楽しい一冊だよ。
ポピュラー音楽理論改訂版
北川祐 著|リットーミュージック
¥2,750(税込)
ポピュラー音楽を理解するための理論を、実用的な視点からまとめた定番の教科書です。読譜や音楽理論の基礎から始めて、コードについての基本的知識、コード・スケールの基本と相互関係、そして一歩進んだ活用方法までを伝授する構成になっています。理論を実際の曲づくりに結びつける順番で組まれているのが特徴で、クラシックの楽典とは入口がはっきり違います。コードネームを見て手が動く人にも、譜面から入りたい人にも、橋をかけてくれる一冊です。
こんな人におすすめ
バンドや制作でコード進行を自分で考えたい人。独学で理論をやり直したい人。コードとスケールの関係を一冊で整理したい読者。作曲や打ち込みの土台を作りたい学習者。
良い点
- ポピュラーに特化した実用書
- コードとスケールを一冊で扱う
- 定番として情報が安定している
気になる点
- 古典派の楽典は扱わない
- 初版から年数が経っている
- 演習問題は多くない
出版社
リットーミュージック
発売日
2004年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
コード進行って、感覚で弾いちゃってるんです。理論で裏づけたいんですけど、クラシックの楽典から入るべきですか?
佐藤メバル
ポピュラーをやりたいなら、北川祐さんの『ポピュラー音楽理論』が定番だね。読譜と音楽理論の基礎から始まって、コードについての基本的知識、コード・スケールの基本と相互関係、さらに一歩進んだ活用方法まで伝授してくれる。長く使われてきた教科書なんだ。
橘ナナミ
クラシックの楽典とポピュラーの理論って、やっぱり別物なんですか?
佐藤メバル
入口が違うんだよ。コードネームから音を組み立てていくのがポピュラー側の流儀で、その順番で体系立ててある。
感覚で弾いてきた人ほど腑に落ちやすいと思う。自分の演奏を言葉にできるようになると、他の人との合わせ方も変わってくるよ。
一目瞭然!目からウロコの楽典 〜図解入り解説&問題集(解き方ヒント付き)〜<基礎編>
佐々木邦雄 著|ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
¥1,430(税込)
音楽教室を主宰し、音高・音大進学者を毎年輩出している著者が、レッスンで使っているテキストをもとに作った楽典の解説&問題集です。見開きページで展開する図解入りの項目別解説、ポイント入りの項目別ドリルと総合問題、解き方ヒント入りの解答集という構成で、自信がない部分からページを開いて読めます。読みっぱなしにしないための問題演習とヒントが付いているのが、類書との大きな違い。A4判で書き込みやすい作りです。
こんな人におすすめ
楽典を一度挫折した人。音高・音大受験を目指して基礎を固めたい人。独学で用語の穴を埋めたい音楽学習者。教える立場で教材を探している人。
良い点
- 図解と問題演習がセット
- 見開きで開きたい所から学べる
- 解答に解き方ヒントが付く
気になる点
- 基礎編なので範囲は限られる
- 内容はあくまで楽典
- 独学だと丸付けが必須
出版社
ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
発売日
2021年08月27日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
楽典の本って、読んだだけで終わっちゃうんですよね。覚えた気になるけど、身につかない。
佐藤メバル
その弱点を突いたのが、佐々木邦雄さんの『一目瞭然!目からウロコの楽典』だね。音楽教室を主宰し、音高・音大進学者を毎年輩出している著者が、レッスンで使っているテキストをもとに作っている。
見開きで展開する図解入りの解説に、ポイント入りのドリルと総合問題、解き方ヒント入りの解答が付く。
橘ナナミ
問題とヒントが付いているのは、独学でも進めやすそうですね。
佐藤メバル
そう。読む、解く、確かめるが一冊で回る。自信がない項目から開いていい、という設計もありがたいんだ。
基礎編なので、大人のやり直しにもちょうどいい範囲だと思う。レッスン現場で使われている実践的な問題というのも心強いよね。
ジャジーランドのジャズ理論講座 上巻
中島久恵 著|JAZZYLAND
¥2,970(税込)
ジャズの演奏やアレンジに必要な「活きた理論」を体系的に学べる、上下巻の上巻です。筆者自筆のイラストや鍵盤図を多く使い、独特のカジュアルな文体で、決してやさしくはないジャズ理論を楽しく解説します。イラストや鍵盤図が多いのは楽譜が読めない人向けではなく、分析能力やクリエイティブな応用力を鍛えるため。メジャー・スケールから始まり、コード、テンション、ボイシング、ツー・ファイブ、裏コード、代理コード、8分音符まで15日分。ジャズ以外の音楽に応用したい人にも開かれています。
こんな人におすすめ
ジャズを演奏したい、あるいはアレンジしたい人。ポップスやロックにジャズの要素を取り込みたい人。かつて挫折した理論書をもう一度開きたい人。日単位でコツコツ進めたい学習者。
良い点
- 15日単位で進めやすい構成
- 自筆イラストと鍵盤図が豊富
- 他ジャンルへの応用も想定
気になる点
- 上巻だけでは完結しない
- 理論の難しさ自体は残る
- 文体の好みは分かれる
出版社
JAZZYLAND
発売日
2022年11月25日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ジャズの理論書って難しそうで。しかも「楽譜が読めない人向けではない」と書いてあると、余計に身構えてしまいます。
佐藤メバル
中島久恵さんの『ジャジーランドのジャズ理論講座』の上巻だね。イラストや鍵盤図を多く使うのは、楽譜が読めない人向けにやさしくしているからではなく、分析能力やクリエイティブな応用力を鍛えるためなんだ、と著者自身が書いている。
メジャー・スケールからコード、テンション、ボイシング、ツー・ファイブ、裏コード、代理コード、8分音符まで、15日分に区切られている。
橘ナナミ
1日ずつ進められるなら、私でも続けられそうです。
佐藤メバル
もともと好評だったピアノ教則本を復刻したものに、内容の見直しと索引を加えた作りなんだよ。ポップスやロック、クラシックにジャズの要素を足したいという人にも効く。上巻から順に、がおすすめだね。
管弦楽法
エクトール・ベルリオーズ 著|音楽之友社
¥13,200(税込)
ベルリオーズの名著をリヒャルト・シュトラウスが改訂した、管弦楽法の原典です。大胆な切り口で管弦楽を変革したベルリオーズと、緻密な分析でまとめ上げたシュトラウスのコラボレーションが、ついに完訳されました。ピリオド系管弦楽法の原典であり、オーケストラの歴史を俯瞰できる歴史的名著とされています。音をどう積むかという思考の過程そのものを読める、他に代えがたい一冊。個々の楽器の扱いと、それを重ねる判断が、作品ではなく方法として残っています。
こんな人におすすめ
作曲や編曲でオーケストラを扱いたい人。楽器法・管弦楽法を本格的に学びたい学生。オーケストラの歴史に関心のある読者。資料として長く手元に置いておきたい人。
良い点
- 原典と改訂の両方に触れられる
- オーケストラ史の視点が得られる
- 完訳で参照しやすい
気になる点
- 価格が非常に高い
- 分量が多く専門的
- 実践には別の教本も必要
出版社
音楽之友社
発売日
2006年02月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
管弦楽法って、作曲する人だけのものですか? 聴くだけの私には縁がない気がします。
佐藤メバル
聴く側にも効くよ。ベルリオーズとリヒャルト・シュトラウスによる『管弦楽法』は、ピリオド系管弦楽法の原典で、オーケストラの歴史を俯瞰できる歴史的名著なんだ。
大胆な切り口で管弦楽を変革したベルリオーズを、緻密な分析でシュトラウスがまとめ上げた共作で、完訳されている。
橘ナナミ
二人の名前が並ぶだけで、ちょっと興奮しますね。何がそんなにすごいんですか?
佐藤メバル
音をどう積むかという思考の過程がそのまま読めることだね。オーケストラがどう変わってきたかが、作品ではなく方法として見えてくる。
値は張るし分厚いけれど、資料として一生モノだと思うよ。
大人のための音感トレーニング本
友寄隆哉 著|リットーミュージック
¥2,090(税込)
メロディを聴いてすぐ楽器で再現できる、正しいピッチで歌える、耳に入ってきたコード進行をその場で分析できる——そんな状態を目指す音感トレーニングの本です。譜面を見ながら正しいメロディを歌う、難しいキーの曲をすぐ簡単なキーに移調する、思いついたメロディを楽器なしで譜面に書く、耳コピーの効率を飛躍的に上げる、メロディを聴きながら即興で伴奏をつける、といった具体的な力が並びます。音感は才能ではなく訓練だと腹をくくれる一冊です。
こんな人におすすめ
耳コピーがうまくなりたい人。歌のピッチに自信がない大人。楽器は弾けてきたけれど移調が苦手な人。聴いた音楽を頭の中で分析できるようになりたい読者。
良い点
- 目標が具体的で練習しやすい
- 大人のやり直しを想定している
- 耳コピーと歌唱を同時に扱う
気になる点
- 毎日の練習が前提になる
- 効果には個人差がある
- 楽典の解説は最小限
出版社
リットーミュージック
発売日
2011年04月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
音感って、子どもの頃に身につけなかったらもう無理なんでしょうか。私、カラオケでピッチが怪しいんです。
佐藤メバル
あきらめる必要はないよ。友寄隆哉さんの『大人のための音感トレーニング本』は、まさに大人のやり直しを想定している。
メロディを聴いてすぐ楽器で再現する、正しいピッチで歌う、コード進行をその場で分析する、難しいキーを簡単なキーに移調する、思いついたメロディを楽器なしで譜面に書く——具体的な到達点が並んでいる。
橘ナナミ
コード進行がその場で分かる、というのは、ずいぶん遠い話に感じます。
佐藤メバル
でも順番に積めば届く範囲だと思う。音感は才能ではなく訓練、と腹をくくらせてくれる本なんだ。
耳コピーの効率が飛躍的に上がる、という一点だけでも、音楽の楽しみ方はけっこう変わるよ。
〈裏〉日本音楽史
齋藤桂 著|春秋社(千代田区)
¥2,640(税込)
西洋化と「日本らしさ」の確立に揺れた近代を、音楽をめぐる言説から捉え直す一冊です。その過程では、神話や都市伝説、怪談を持ち出して大真面目に「日本音楽とは何か」を説く音楽家や学者も現れました。非合理なのに魅惑的な言説の数々——そこから何が見えるのかを、伝統音楽、軍歌、唱歌、民謡を題材に考えていきます。音楽史というより言説の歴史として読むのが面白く、同時代の日本像そのものが揺さぶられる一冊です。
こんな人におすすめ
日本の伝統音楽や近代の音楽教育に関心がある人。メディア論や思想史の視点で音楽を読みたい人。唱歌や軍歌の背景を知りたい読者。研究の題材を探している学生。
良い点
- 近代日本の言説史として刺激的
- 軍歌や唱歌も題材に含む
- 研究の入口として使いやすい
気になる点
- 網羅的な音楽史ではない
- 専門的な語り口の箇所がある
- 曲そのものの解説は限られる
出版社
春秋社(千代田区)
発売日
2015年04月24日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
私、大学院でメディア論をやってるんですけど、「日本音楽とは何か」という言説を怪談と一緒に論じた本があると聞いて、すごく気になっています。
佐藤メバル
それが齋藤桂さんの『〈裏〉日本音楽史』だね。西洋化と日本らしさの確立に揺れた近代の過程で、神話や都市伝説、怪談を持ち出して大真面目に「日本音楽とは何か」を説く音楽家や学者が登場した。
非合理なのに魅惑的な言説の数々を、伝統音楽、軍歌、唱歌、民謡を題材に読み解いていく。
橘ナナミ
音楽の本というより、言説の分析なんですね。研究している身としては、そこが刺さります。
佐藤メバル
そう。音楽史を言説の歴史として読むという発想が新鮮なんだよ。何が「日本的」とされてきたのか、その語り方の裏側を見ると、近代そのものの姿が見えてくる。参考文献としても面白いと思う。
やさしく学べる尺八入門
田嶋直士 著|全音楽譜出版社
¥1,430(税込)
これから尺八をはじめる人のための入門教本です。「チューリップ」「つき」「はと」「茶摘」「夕焼け小焼け」といった誰でも知っている歌から、「こきりこ節」「越天楽今様」「ひえつき節」といった民謡・古謡、そして「アメージンググレイス」「赤とんぼ」「荒城の月」「さくらさくら」まで、幅広い曲を収載しています。知っている曲から指を覚える構成なので、楽譜を読む負担が少なく、音が出る喜びを早い段階で味わえます。
こんな人におすすめ
これから尺八をはじめる人。昔の童謡や唱歌を楽器で吹いてみたい人。教室に通い始めて自宅で吹く曲を増やしたい人。和楽器に触れてみたい大人。
良い点
- 知っている曲が多く収載されている
- 入門者向けで構成が親切
- 価格が手頃
気になる点
- 奏法の図解は限られる
- 独学だけだと音作りは難しい
- 高度な古典本曲は含まれない
出版社
全音楽譜出版社
発売日
2000年03月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
尺八って禅のイメージが強くて、いきなり難しそうなんですけど、入門書ってあるものですか?
佐藤メバル
あるよ。田嶋直士さんの『やさしく学べる尺八入門』だね。「チューリップ」「はと」「茶摘」「夕焼け小焼け」といった知っている歌から始まって、「こきりこ節」「越天楽今様」「ひえつき節」、さらに「アメージンググレイス」「赤とんぼ」「荒城の月」「さくらさくら」まで収載されている。
橘ナナミ
チューリップから尺八、というギャップが逆に安心します。
佐藤メバル
そうだろうね。知っている曲から指を覚えるというのは、どの楽器でも結局いちばん強いんだ。
音が出た瞬間の喜びを早く味わえるように作られている。独学の最初の一冊としても、教室の副読本としても使いやすいと思うよ。
やさしく学べる三味線入門
野口啓吉 著|全音楽譜出版社
¥770(税込)
楽器の知識から演奏法、応用曲までを一冊で扱う三味線の入門教本です。楽器の構造やサワリ、糸のかけ方と駒のつけ方、調弦への配慮、譜尺表、付属品、取り扱い方に始まり、文化譜と五線譜の知識、運指や奏法の記号、口三味線、構え方、バチの叩き方、爪弾き、ポジションまで丁寧に説明します。三下り・本調子・二上がりの練習曲と応用曲には、わらべ歌、童謡・唱歌メドレー、長唄「越後獅子」「勧進帳」、小唄とどどいつ、民謡、そして「コンドルは飛んで行く」まで。楽器の扱いから音楽までがつながっています。
こんな人におすすめ
これから三味線を習いたい人。長唄や民謡の曲を弾いてみたい人。楽器の手入れや調弦を独学で確認したい人。和楽器の教本を一冊手元に置いておきたい読者。
良い点
- 楽器の知識と演奏法が一冊に
- 三下り・本調子・二上がりを網羅
- 曲の幅が広く飽きにくい
気になる点
- 独学の音出しは難しい
- 譜尺表など道具の準備が要る
- 写真や図の量は限られる
出版社
全音楽譜出版社
発売日
2000年07月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
三味線って、まず楽器をどう扱うかから分からないんです。糸の張り方も調弦も見当がつかなくて。
佐藤メバル
野口啓吉さんの『やさしく学べる三味線入門』がちょうどいい。楽器の構造やサワリ、糸のかけ方と駒のつけ方、調弦への配慮、譜尺表の貼り方、付属品、取り扱い方から始まる。
そのうえで文化譜と五線譜、運指や奏法の記号、口三味線、構え方、バチの叩き方、爪弾き、ポジションと続いていく。
橘ナナミ
楽器の本と曲集が別々じゃないのが、ありがたいです。
佐藤メバル
三下り・本調子・二上がりの練習曲と応用曲がまとまっているからね。わらべ歌から長唄「勧進帳」、小唄とどどいつ、民謡、そして「コンドルは飛んで行く」まで入っている。
扱い方と音楽がひとつながりになっているのが、この本のいいところなんだよ。
やさしく学べる和太鼓入門
田村拓男 著|全音楽譜出版社
¥1,100(税込)
和太鼓をはじめる人のための入門書です。鋲打太鼓や大太鼓、楽太鼓、締太鼓、小鼓、大鼓、大拍子と桶胴といった皮の打楽器に始まり、銅鑼や当り鉦、双盤、鈴などの金属の打楽器、木魚や拍子木、笏拍子、竹鳴子といった木や竹の打楽器までを扱います。唱歌や地打ち、装飾音符のつけ方、合奏の例も収録。和太鼓だけでなく周辺の楽器まで見渡せる、資料性の高い一冊です。
こんな人におすすめ
和太鼓をはじめる人、教える立場の人。祭りや神楽の楽器の名前と役割を知りたい人。和楽器の打楽器をまとめて把握したい読者。合奏の中で自分の音の位置を知りたい人。
良い点
- 打楽器の種類を広く扱う
- 唱歌や地打ちの考え方が学べる
- 合奏の組み立てまで触れる
気になる点
- 独学の打音練習は難しい
- 写真中心の図鑑ではない
- 洋楽器との比較は少ない
出版社
全音楽譜出版社
発売日
2001年09月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
和太鼓の入門書って、太鼓の叩き方だけの本だと思ってたら、小鼓とか銅鑼まで出てくるんですね。
佐藤メバル
田村拓男さんの『やさしく学べる和太鼓入門』だね。鋲打太鼓、大太鼓、楽太鼓、締太鼓、小鼓、大鼓、大拍子と桶胴という皮の打楽器から、銅鑼、きん、妙鉢、チャッパ、当り鉦、双盤、鈴といった金属の打楽器、木魚や木鉦、簓、拍子木、笏拍子、竹鳴子、魚板という木や竹の打楽器まで並んでいる。
橘ナナミ
楽器の名前だけで、お祭りの音が次々と思い浮かびます。
佐藤メバル
唱歌の考え方や地打ちのリズムパターン、装飾音符のつけ方、合奏の例まで入っているからね。太鼓を打つ前に、周りで鳴っている音が分かる。祭りや神楽を聴く耳が変わると思うよ。
初級用フルート教本 上 [改訂新版]
トレヴァーワイ 著|音楽之友社
¥3,960(税込)
四半世紀にわたって愛されてきた初級用フルート教本のリニューアル版です。名指導者として知られるトレヴァー・ワイが、構え方から徐々に音域を広げ、様々な調で演奏できるようになるまで体系的に組んでいます。低音域からはじめて、全音域で良い音質をつくる基礎を身につけるのが特徴。独習用にも復習用にも使えるCDが付き、掲載曲はソロでもデュエットでも、ピアノやギターとでも演奏できるようになっています。簡潔な言い回しの新訳で、著者の口調そのままに学べます。
こんな人におすすめ
これからフルートをはじめる人。ブランクがあって基礎からやり直したい人。音域を広げる順番をきちんと知りたい学習者。先生に習いつつ自宅で確認したい人。
良い点
- 低音域から始める体系的な構成
- 著者自身の模範演奏CD付き
- 上巻で基礎を固めやすい
気になる点
- 上巻だけでは完結しない
- ピアノ伴奏譜は別売
- 価格はやや高め
出版社
音楽之友社
発売日
2013年10月23日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
楽器の教本って、どれも同じに見えるんですけど、差が出るものなんですか?
佐藤メバル
出るよ。たとえばトレヴァー・ワイの『初級用フルート教本 上』は、構え方から始めて徐々に音域を広げ、様々な調で演奏できるようになるまで体系的に組まれている。
低音域からはじめて、全音域で良い音質をつくる基礎を身につける——ここがこの教本の特徴なんだ。
橘ナナミ
低い音から始める、というのは意外です。高い音に憧れて先に挑戦しがちなので。
佐藤メバル
そこが落とし穴なんだよね。CDには著者自身の模範演奏とピアノ伴奏だけの音源が入っていて、独習にも復習にも使える。
掲載曲はソロでもデュエットでも演奏できるようになっている。四半世紀愛されてきた教本の新訳版だから、長く使えると思うよ。
うまくなろう!トランペット
板倉駿夫 著|音楽之友社
¥1,540(税込)
初めてトランペットやコルネットを手にした初心者に向けて書かれた一冊です。楽器の持ち方、吹き方を正しく学ぶことが技術の進歩にとって大切だという立場から、「音」を文章で表す難しさに触れつつ、できるだけやさしく具体的に書いています。必要なことは十分に入っているので、直接先生について学べない人でも独学できるように作られています。最初の姿勢と息の扱いを、あいまいにしないまま進められるのが強みです。
こんな人におすすめ
これからトランペットをはじめる人とその家族。独学で基礎を作りたい大人。部活で急に担当になった人。教える側が説明の言葉を探している場面。
良い点
- 初心者のつまずきに沿っている
- 独学を想定した丁寧な説明
- 価格が手頃
気になる点
- 写真や図は多くない
- 上級テクニックは範囲外
- 音の確認は自分で必要
出版社
音楽之友社
発売日
1999年10月01日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
トランペットって、まず音が出ないと話にならないじゃないですか。独学だと無理でしょうか。
佐藤メバル
板倉駿夫さんの『うまくなろう!トランペット』は、まさに初めてトランペットやコルネットを手にした初心者に向けた本だね。
楽器の持ち方、吹き方を正しく学ぶことが技術の進歩にとって大切だ、という立場で書かれている。なにごとも最初が肝腎、というわけだ。
橘ナナミ
「音」を文章で表すのは大変そうですね。それで本当に伝わるんでしょうか。
佐藤メバル
著者もそこは正直に書いている。とてもたいへんだと。でもできるだけやさしく、具体的に書いていて、必要なことは十分に入っている。
直接先生につけない人でも十分学べるように作られているから、最初の一冊として安心して開けると思うよ。
シューマン 全ピアノ作品の研究 上
西原稔 著|音楽之友社
¥4,620(税込)
雑誌での5年にわたる連載を単行本化した、シューマンのピアノ作品研究の上巻です。第1部「シューマンとその時代」では、19世紀前期ドイツの社会と音楽、ビーダーマイヤー文化、ロマン主義文学との関わり、調と表現、引用の機能などを論じ、第2部でピアノ・ソナタ第1番までを個別に解説します。ジャン・パウルやホフマン、アイヒェンドルフへの傾倒、クララや周囲の人物とのエピソードも織り込まれ、音符だけでは解けない要素に迫る一冊です。
こんな人におすすめ
シューマンのピアノ曲を弾く人、聴く人。作品同士の関連や引用の仕組みを知りたい人。ロマン派文学と音楽の関係に関心がある読者。研究や論文の出発点を探している学生。
良い点
- 文学と音楽の関係を丁寧に扱う
- 作品ごとの解説が具体的
- 著者10年の研究成果
気になる点
- 上巻のみで作品は途中まで
- 価格が高めで専門的
- 演奏の手引きではない
出版社
音楽之友社
発売日
2013年03月28日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
シューマンの曲って、弾いていても「この曲は何を言いたいんだろう」と分からなくなることがあります。
佐藤メバル
西原稔さんの『シューマン 全ピアノ作品の研究 上』は、まさにその疑問に応えてくれる。雑誌に5年間連載されたものを単行本化したもので、第1部でシューマンとその時代、19世紀前期ドイツの社会、ロマン主義文学との関わり、調と表現、引用の機能などを論じ、第2部でピアノ・ソナタ第1番までを一つずつ解説していく。
橘ナナミ
ジャン・パウルやホフマンの名前が出てくるんですね。文学との行き来があるんだ。
佐藤メバル
そう。著者は、シューマンの作品の難しさが音符だけでは解釈できない要素にある、と見ている。
作品同士の関連やクララとのエピソードも織り込まれていて、学術書としても読み物としても濃い。上巻だけでも、聴こえ方はかなり変わると思うよ。
二十世紀の10大ピアニスト
中川右介 著|幻冬舎
¥1,210(税込)
二十世紀を生きた10人の大ピアニストの物語です。当代一と名高く独創的なラフマニノフ、熱情と神技のホロヴィッツ、自由かつ情感溢れるルービンシュタイン——彼らが運命的に出会い、からみ合い、それぞれの人生と音楽を変えていく。第一次世界大戦、帝国の終焉とアメリカという新市場、レコード時代の到来、二つの独裁国家、第二次世界大戦、リヒテルとグールドの登場、そして和解と決着まで。歴史の流れと共に消えた最後の巨匠たちの物語です。
こんな人におすすめ
ピアノ音楽が好きで、演奏家の人生にまで踏み込みたい人。20世紀史と音楽の交差点に興味がある読者。評伝や群像劇を読みたい人。演奏家の名前を人柄と結びつけたい学習者。
良い点
- 10人の関係が立体的に見える
- 戦争と政治の影響も描く
- 新書で読みやすい分量
気になる点
- 演奏技法の解説は少ない
- 女性ピアニストの扱いは限られる
- 現在進行形の話ではない
出版社
幻冬舎
発売日
2011年07月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ピアニストの名前って、録音で聴くだけだとどうしても記号みたいに見えちゃうんです。
佐藤メバル
そこに血を通わせてくれるのが、中川右介さんの『二十世紀の10大ピアニスト』だね。ラフマニノフ、ホロヴィッツ、ルービンシュタインたち、十人の大ピアニストが運命的に出会い、からみ合いながら、それぞれの人生と音楽を変えていく。
第一次世界大戦、帝国の終焉とアメリカという新市場、レコード時代の到来、二つの独裁国家、第二次世界大戦、リヒテルとグールドの登場、そして和解と決着まで。
橘ナナミ
音楽の話と歴史の話が、一緒に進むんですね。
佐藤メバル
そう。歴史と共に消えた最後の巨匠たち、という視点がこの本の芯なんだ。同じ曲の録音が、人の物語として急に重みを持ちはじめる。聴き比べがもっと楽しくなると思うよ。
もう一度基礎からはじめたい 大人のためのピアノ悠々塾 基礎編[ 改訂]
ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
¥1,320(税込)
ピアノをもう一度学びたい大人のための独習書です。難易度は入門編・基礎編・初級編の三段階、各レベルに教則編とレパートリー編が用意されています。この基礎編では、右手のメロディが少し細かくなり、リズムも少しずつ複雑に。短音の上にとどまっていた左手も簡単な和音を押さえ、伴奏らしい動きが増えていきます。アウフタクトや臨時記号も登場し、到達点は「エリーゼのために」。忘れていた演奏の楽しさが戻ってくる構成です。
こんな人におすすめ
子どもの頃に習ったピアノを再開したい人。独学で両手の伴奏に慣れたい人。練習曲に童謡や定番曲があると励みになる人。教則編とレパートリー編を並行して進めたい読者。
良い点
- レベル分けと2本立てで迷わない
- 音楽用語も学べる構成
- 収載18曲でレパートリーが増える
気になる点
- 入門編からの積み上げが前提
- 曲の難易度は高くない
- 改訂で差し替えた曲がある
出版社
ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
発売日
2021年07月28日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
大人になってピアノを再開したいんですけど、子ども用の教本だと気持ちが続かなくて。
佐藤メバル
それなら「ピアノ悠々塾」シリーズの基礎編だね。入門編・基礎編・初級編の三段階、各レベルに教則編とレパートリー編が用意されていて、この基礎編では右手のメロディが少し細かくなり、左手も簡単な和音で伴奏らしい動きが出てくる。
アウフタクトや臨時記号も登場して、到達点は「エリーゼのために」なんだ。
橘ナナミ
「エリーゼのために」に届く、という目標が分かりやすいです。
佐藤メバル
収載は18曲で、四季の「春」、ます、蛍の光、旅愁、ムーン・リバー、グリーンスリーブス、愛の夢、草競馬、愛のロマンスなどが並ぶ。
音楽用語や知識も一緒に入ってくるから、頭からも学べる。自分に合うもの、好きなものを知っている大人のための独習書だよ。
「学ぶ→実践する→稼ぐ」につなげる読書順序
橘ナナミ
何冊も買うと、どれも途中で止まりそうで怖いんです。読む順番ってあるんですか?
佐藤メバル
あるよ。僕が勧めるのは4段階。第1段階は「音の言葉」を覚えること。佐々木邦雄『一目瞭然!目からウロコの楽典 <基礎編>』で譜面の記号と読み方を押さえる。第2段階で歴史に触れる。長沼由美・二藤宏美のCD付きの音楽史か、広瀬大介『楽譜でわかるクラシック音楽の歴史』で、様式の移り変わりを譜例と一緒に追う。
橘ナナミ
ここで初めて、理論書に進むんですね。
佐藤メバル
そう。第3段階が理論と実践。北川祐『ポピュラー音楽理論改訂版』でコードとスケールを、友寄隆哉『大人のための音感トレーニング本』で耳の訓練を。第4段階が現場とビジネス。城所孝吉『ベルリンから見た不思議おもしろ音楽事情』は、ドイツの助成金、ホールと政治、スタジオ録音とライヴ録音の質の議論、配信時代に何を頼りに聴けばいいかまで踏み込む。理論だけでは見えない景色がここにある。
橘ナナミ
逆に、いきなり第4段階から読むのはダメですか?
佐藤メバル
ダメではないよ。むしろ評伝から入るのはとてもいい。中川右介『二十世紀の10大ピアニスト』は、ラフマニノフやホロヴィッツたちが戦争やレコード市場の変化に翻弄されながら生き延びる物語で、先に読むと理論書の動機づけになる。順番は地図であって規則じゃない。
競合が素通りする棚——邦楽・民族音楽・音響・評伝
橘ナナミ
ネットのまとめ記事だと、クラシックとポピュラーの理論書ばかりで、邦楽の本がほとんど出てこないんです。
佐藤メバル
そこは大きな穴だね。邦楽の入門は「読む本」と「弾く本」が分かれている。読むなら斎藤桂『〈裏〉日本音楽史』。西洋化と日本らしさの確立に揺れた近代で、神話や怪談を持ち出してまで「日本音楽とは何か」を説こうとした人たちがいた——その言説の面白さを追う本だ。弾くなら田嶋直士『やさしく学べる尺八入門』、野口啓吉『やさしく学べる三味線入門』、田村拓男『やさしく学べる和太鼓入門』。三味線の本は楽器の構造や調弦から「越後獅子」まで、和太鼓は皮・金属・木竹の打楽器を章ごとに整理している。
橘ナナミ
音響やレコーディングの話は、どの本で拾えますか?
佐藤メバル
アーノンクール『古楽とは何か』が意外な一本だよ。テンポ、音組織、響き、そして「スタジオにおけるオリジナルな音響状況の復元」まで論じている。古楽の話から始まって、録音をどう考えるかに届く。音楽と脳の話なら、伊東乾『人生が深まるクラシック音楽入門』が、作曲家・指揮者でありながら国際的な音響の脳科学研究プロジェクトも率いる著者による「楽器とホールの響きの秘密」を扱っている。
橘ナナミ
ディスクガイドは聴きながら読む前提の本ですよね。
佐藤メバル
そう。中山康樹『ジャズの名盤入門』は50枚の聴きかたを教える。『頭のいい子が育つクラシックの名曲45選』は小さな子に聴かせる前提で、曲の世界観を文章とイラストで説明し、帯には脳科学者の推薦が付いている。親子で一枚ずつめくる使い方ができる。
電子・音声・入手難易度まで見据えた買い方
橘ナナミ
電子書籍やオーディオブックで探すときのコツはありますか?
佐藤メバル
まず、付属CDがある本は音源と本文がセットで設計されている。CD付きの音楽史、名曲集、フルート教本は、その前提を考えると紙が基本になる。逆に書き込み式の楽典や独習教本も、手を動かす前提だから紙が向く。電子や音声で読めるかどうかは版元の公式ページで確認するのが鉄則だ。まとめサイトの「対応」情報は古くなりやすいからね。
橘ナナミ
予算を抑えつつ、教養を厚くするにはどう組めばいいですか?
佐藤メバル
新書で3冊、教本で1冊、専門書は図書館で試す。この組み方なら出費を抑えつつ、棚を一通り見渡せる。岡田暁生『西洋音楽史』は「クラシック音楽」の前史からその後までを一望する本で、新書サイズなのに射程が長い。吉松隆『調性で読み解くクラシック』のように、作曲家が調性の意味を語る本を一冊挟むと、歴史書が急に立体的になる。
よくある質問
音楽の勉強を始めるなら最初に読むべき本は?
橘ナナミ
音楽の勉強を始めるなら最初に読むべき本はについて教えてください。
佐藤メバル
「聴く側から始めたい」なら伊東乾『人生が深まるクラシック音楽入門』、「譜面から始めたい」なら佐々木邦雄『一目瞭然!目からウロコの楽典 <基礎編>』を最初の一冊に勧めます。後者は見開きで図解と問題が並び、解き方ヒント付きの解答でつまずきにくい。楽器を弾くなら、教則本とこの一冊を並行させるのが最短です。
音楽理論は独学でどの本から読めばいい?
橘ナナミ
音楽理論は独学でどの本から読めばいいについて教えてください。
佐藤メバル
ポピュラー系なら北川祐『ポピュラー音楽理論改訂版』が読譜と理論の基礎からコード、コード・スケールの関係までを実用的にまとめています。ジャズなら中島久恵『ジャジーランドのジャズ理論講座 上巻』が、メジャー・スケールからツー・ファイブまで日単位の講座形式で進みます。独学は範囲を欲張らないことが続けるコツです。
音楽で食べていくにはどんな本を読めばいい?
橘ナナミ
音楽で食べていくにはどんな本を読めばいいについて教えてください。
佐藤メバル
契約や著作権の実務は音楽ビジネス専門の棚の本が担当します。この記事で扱う本のなかでは、城所孝吉『ベルリンから見た不思議おもしろ音楽事情』が助成金やホールと政治、ポストCD時代の話を扱い、中川右介『二十世紀の10大ピアニスト』が巨匠たちの生存戦略を物語として読ませてくれます。現場の温度は評伝とルポからつかむのが近道です。
楽典と音楽理論の違いと読む順番は?
橘ナナミ
楽典と音楽理論の違いと読む順番はについて教えてください。
佐藤メバル
楽典は譜面を読むための記号・約束事、音楽理論は和声やコード進行など「なぜそう響くか」を扱う領域です。順番は楽典が先。佐々木邦雄『一目瞭然!目からウロコの楽典 <基礎編>』で読み方を固めてから、北川祐『ポピュラー音楽理論改訂版』へ進むと、コードの説明が頭に入りやすくなります。土台なしに理論書へ飛び込むのが、いちばん多い挫折パターンです。
電子書籍やオーディオブックでも読めるおすすめは?
橘ナナミ
電子書籍やオーディオブックでも読めるおすすめはについて教えてください。
佐藤メバル
付属CDがある本は紙が前提です。長沼由美・二藤宏美の音楽史、『頭のいい子が育つクラシックの名曲45選』、トレヴァー・ワイ『初級用フルート教本 上』は音源とセットで設計されています。書き込み式の楽典やピアノの独習書も紙が向きます。電子・音声での提供状況は版元の公式ページで確認してから買うのが確実です。
絶版になった音楽本はどう入手すればいい?
橘ナナミ
絶版になった音楽本はどう入手すればいいについて教えてください。
佐藤メバル
版元の在庫、図書館、古書店の順に当たるのが定石です。アーノンクール『古楽とは何か』のような厚い専門書は、図書館で試してから手元に置くか判断するのが安全。中島久恵『ジャジーランドのジャズ理論講座』のように、かつての教本が復刻版として見直され、索引を加えて戻ってきた例もあります。見つけたら「あとで」と先延ばしにしないこと。音楽書は重版がかかりにくいジャンルです。
クラシックとポピュラーの理論書は別に読むべき?
橘ナナミ
クラシックとポピュラーの理論書は別に読むべきについて教えてください。
佐藤メバル
両方読む価値があります。クラシックは吉松隆『調性で読み解くクラシック』で調性の意味から入り、広瀬大介『楽譜でわかるクラシック音楽の歴史』で譜例を追う。ポピュラーは北川祐『ポピュラー音楽理論改訂版』でコードから入る。ジャズの理論を覚えると、ポップスやロックの作曲・アレンジにも応用が利きます。片方だけだと和声の見え方が偏るので、往復がおすすめです。
予算を抑えて音楽の教養を身につけるには?
橘ナナミ
予算を抑えて音楽の教養を身につけるにはについて教えてください。
佐藤メバル
新書を軸にするのが効率的です。中山康樹『ジャズの名盤入門』や『ロックの歴史』、岡田暁生『西洋音楽史』は新書サイズで持ち歩け、通学や通勤の時間がそのまま学びになります。専門書は図書館で試し、手元に置きたい一冊だけ選ぶ。買う冊数を絞り、聴き直しに時間を回すほうが、結果として教養が定着します。価格は変動するため購入前に確認を。
まとめ
橘ナナミ
最初は「音楽の本」がひと山に見えていたのに、いまは棚ごとに景色が違って見えます。
佐藤メバル
それが正解だよ。一冊目の目的を決めて、二冊目で時代を広げ、三冊目で手を動かす。すると棚がつながっていく。
橘ナナミ
つながる、というのがまだ実感できないんですけど……。
佐藤メバル
たとえば、だ。吉松隆『調性で読み解くクラシック』で「運命」がハ短調である理由を読む。次に広瀬大介『楽譜でわかるクラシック音楽の歴史』でベートーヴェンの譜例を目で追う。そしてベルリンオケの現場の話を知れば、同じ一音の重みが変わって聴こえる。本が先か、音が先かではなく、往復することで深くなる。
橘ナナミ
往復……! 本を読んでから聴き直す、を繰り返すんですね。
佐藤メバル
そう。音楽の本は、楽譜やCDのように「聴くため」の道具でもある。楽器を合わせるとき、まず基準の音でチューニングするよね。あの基準音が、最初に読む一冊だ。合わせ方が決まれば、あとは自分の音を重ねていくだけ。今日選んだ一冊が、あなたの演奏の始まりになる。
