音楽療法士本音本のおすすめ人気ランキング24選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
「音楽療法士 本音」で調べたんですけど、出てくるのは資格の種類と年収の話ばかりで、現場で何を感じているかがわかる本がほとんど紹介されていないんです。それ、すごく気になります!
佐藤メバル
いいところに気づいたね。僕が書店で音楽療法の棚を作ったときも、まったく同じ壁にぶつかった。教科書は「音楽療法とは何か」を定義から丁寧に積み上げるけれど、セッションが始まる前の静けさや、うまくいかなかった日の記録の書き方は、別の種類の本にしか載っていない。
橘ナナミ
種類が違うんですか?
佐藤メバル
大きく四つある。理論と医学の土台を作る教科書、対象別の実践事例集、実践者の言葉が残った実践論やエッセイ、そして楽譜とプログラム集。たとえば『音楽療法の道しるべ』のあとがきには「一音楽療法士が一生の中でできる実践は限られていますが、音楽療法の実践は、健常者も含めた全ての人と交流するために、大切で極めて有効な方法であることを確信しております」と書かれている。これは解説ではなく、臨床家本人の総括なんだ。
橘ナナミ
実践者の言葉だから「本音」なんですね。
佐藤メバル
そう。だから最初に決めてほしいのは「自分がどの立場で読むか」。養成校の学生なのか、介護職からの学び直しなのか、子どもの療育に関わりたい人なのか。そこが決まれば選書はほとんど自動的に決まる。軸を一つずつ見ていこう。
音楽療法士本音本の選び方
目的別——入門理解・資格対策・実践事例・研究
橘ナナミ
目的別だと、どう選び分けるんですか?
佐藤メバル
全体像をつかむなら『音楽療法のすすめ』。基礎編と実践編に分かれ、肢体不自由児、自閉症児、精神障害者、認知症高齢者といった対象別の章から逆引きできる。研究や論文まで見据えるなら『医学的音楽療法』で、がんや疼痛、認知症などの疾患別の各論に加えて「学会発表や論文にまとめる方法」の章とブックガイドが付いている。症例報告と事例研究の書き分けまで扱う本は貴重だよ。資格対策の定番は、養成校で指定されることも多い『標準音楽療法入門(上(理論編))改訂版』。医学的知識は医師が、実践テクニックは現場経験の豊富な音楽療法士が分担して書いている。
レベル別——初学者・養成校生・現役と転向組
橘ナナミ
レベルで分けると?
佐藤メバル
初学者は『音楽療法のすすめ』か、津山祐子さんの『音楽療法』。後者は最後に「困った時どうすればいいのでしょう?」というQ&A編があって、迷ったときの逃げ場になる。養成校生は理論編の教科書に、対象別の事例集を一冊足す。現役や他職種からの転向組は『人と人との関係 音楽療法 実践論』のように、セラピストの姿勢そのものを扱う本が効く。「待つということ」を章立てで論じている本は、経験を積んでから読むと刺さる。
資格ルート別——認定校・協議会・通信・独学
橘ナナミ
通信講座と本は、どう使い分ければいいですか?
佐藤メバル
通信で座学を進める人は、そのテキストの補助線として読みやすい入門書を並べる。独学の人は、まず理論の骨格を一冊で持つこと。ただし資格は各認定団体の要件によるもので、本だけで完結するものではない。実技の評価は別の場で受ける必要がある。ここは後半でもう一度触れるよ。
対象別——高齢者・児童・障がい・精神科・医療
橘ナナミ
対象別だと、どれが代表ですか?
佐藤メバル
高齢者なら『最新研究による 高齢者音楽療法』。2020年代の研究、エンドオブライフ・ケア、リモートでの実践まで並び、必要な章から読める。明日の現場に直結する曲が欲しければ『音楽療法の必須100曲(高齢者編)』で、高齢者の声域に合わせたキーに移調した全曲伴奏譜に、回想キーワードとトーク例が付く。楽譜に不慣れなら、CDとQR音源付きの『CD・QR音源付ですぐに使える! 高齢者のための音楽レクリエーション』がある。
佐藤メバル
子どもの領域は選書が一番難しい。感覚統合との接点から入る『感覚統合を活かして子どもを伸ばす!音楽療法』、ABC分析で「ねらい」と「活動のながれ」を整理し14の音あそびレシピにする『応用行動分析学(ABA)×音楽療法』など、切り口が違う。精神科・医療なら、精神病院からターミナルケアまで並ぶ飯森眞喜雄・阪上正巳編『音楽療法』が現場の幅を示してくれる。
形式別——教科書・体験エッセイ・事例集・楽譜
橘ナナミ
形式で選ぶこともありますよね。
佐藤メバル
ある。読んで動くなら楽譜とプログラム集、読み物として持ちたいなら実践論やエッセイ。『イキイキ音楽療法のしごと場』は「あそび」から音楽療法を見直す、日本人が創る音楽療法へのヒント、療法は「出会いと関係」の場づくり、といったテーマを実践スコア付きでまとめた技法集だ。『音楽療法・音あそび 新装改訂版』も、オリジナル曲集と活動の解説、手作り楽器、プログラムの組み方まで一冊に入っている。
情報鮮度・発行年——国家資格化や研究の更新を見る
橘ナナミ
古い本は避けたほうがいいですか?
佐藤メバル
理論の古典は古くても効く。ただし法制度や国家資格化の議論、研究の潮流は更新されるから、そこは新しい本と一次情報で確かめる。『音楽療法の道しるべ』のように、基礎から実践までを今日的視点で説き直す本を一冊持っておくと、情報の鮮度を測る物差しになるよ。
音楽療法士本音本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、24冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
音楽療法士本音本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい
標準音楽療法入門(上(理論編))改訂版
篠田知璋 著|春秋社(千代田区)
¥3,080(税込)
音楽療法士養成の必修科目をバランスよく収めた理論編。医学一般・心身医学・精神医学・心理療法など、従来の音楽療法書では不足しがちだった医学的知識を、療法に理解と経験のある医師がわかりやすく解説する。現場経験の豊富な音楽療法士が、欧米の最新知見をふまえて対象と現場に即したテクニックを指導。総説・歴史・理論・音楽心理学・臨床心理学・医学的知識という章立てで、学びの地図を持つ感覚が得られる。手順書ではなく、なぜ効くのかを理論から押さえたい人に向く。
こんな人におすすめ
音楽療法士養成課程で学ぶ学生、資格取得を目指して理論から固めたい人、医療や福祉の職として音楽療法を取り入れたい人。上巻の理論編を先に読み、実践の根拠を自分の言葉で説明できるようになりたい場面に。
良い点
- 必修科目を網羅し偏りがない
- 医師が医学的知識を平易に解説
- 欧米の最新知見をふまえている
気になる点
- 理論編のため実践手順は少ない
- 刊行が古く図版は古典的
- 下巻とそろえて初めて完結する
出版社
春秋社(千代田区)
発売日
1998年07月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「音楽療法 士 本音 おすすめ」で探すと実践本ばかり出てくるんですけど、最初に読むなら理論から入ったほうがいいんでしょうか。
佐藤メバル
いい質問だね。この本は音楽療法士養成の必修科目をバランスよく並べた理論編で、医学一般や心身医学、精神医学、心理療法といった、従来の音楽療法書では薄くなりがちな部分を、療法に理解のある医師が書いている。
総説、歴史、理論、音楽心理学、臨床心理学、医学的知識という並びで、学びの地図を持つ感覚が得られるよ。
橘ナナミ
なるほど。でも理論だけだと、実際のセッションでどう動けばいいのか分からなくなりませんか。
佐藤メバル
そこは現場経験の豊富な音楽療法士が、欧米の最新の知見をふまえて、対象と現場に即したテクニックを指導しているから、地続きで読める。
手順だけを急いで知りたい人には遠回りかもしれない。でも、なぜその働きかけが効くのかを説明できる人になりたいなら、最初にここを押さえる価値は大きいよ。
音楽療法のすすめ
小坂哲也 著|ミネルヴァ書房
¥2,420(税込)
音楽のもつ生理的・心理的・社会的な働きを用いた音楽療法を、代替療法として注目される背景から説く入門書。医療施設や福祉施設で患者・利用者への援助や治療を行う関係職種、そして基礎知識の習得を目指す人を対象に、概要と実践現場の技法を学べる。基礎編で理論と現場を押さえ、実践編では肢体不自由児、自閉症児、精神障害者、認知症高齢者といった対象別に踏み込む。対象別に読み分けられるのが、理論書と実践書の橋渡しになる強みだ。
こんな人におすすめ
医療や福祉の施設で援助・治療に携わる関係職種、音楽療法の基礎を一冊で見渡したい初学者、対象別の実践例を短時間で把握したい人。自分の現場に近い章から読み始め、全体像をつかむ使い方に向く。
良い点
- 基礎編と実践編の二部構成で整理
- 対象別の実践例が豊富
- 関係職種向けに平易な記述
気になる点
- 上級者の技法研究には物足りない
- 楽譜や音源は付属しない
- 刊行から年数が経っている
出版社
ミネルヴァ書房
発売日
2006年05月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
次は「音楽療法のすすめ」ですね。タイトルだけ見ると、ふわっとした啓発本に見えるんですけど。
佐藤メバル
そこが誤解されやすいところで、これは医療施設や福祉施設で患者・利用者への援助や治療を行う関係職種に向けた入門書なんだ。
音楽の生理的・心理的・社会的な働きを使う療法として、代替療法としての位置づけから丁寧に説明している。
基礎編と実践編の二部構成になっているよ。
橘ナナミ
実践編には、どんな対象が出てくるんですか。
佐藤メバル
肢体不自由児、自閉症児、精神障害者、認知症高齢者といった具合に対象別に並んでいる。自分の現場に近い章から読めるのがありがたくて、理論書と実践書の間を埋めてくれる一冊なんだ。
まず全体像をつかんでから、必要な対象を深掘りしたい人にちょうどいいね。
音楽療法の道しるべ
佐治順子 著|春秋社
¥2,750(税込)
「音楽療法は心の避難所」という言葉から始まる、臨床研究の第一人者による実践と科学的検証の書。基本篇では音楽療法士の役割、ことばを超えた音楽、同質の原理・カタルシス・固有テンポ・引き込み現象といった基本原理、古代ギリシャから各国の動向までの展開を扱う。実践篇では準備・実践中・実践後の流れ、東日本大震災での避難所や仮設住宅での取り組み、量的研究と質的研究の違いまで踏み込む。災害時の音楽療法まで具体例で語られる点に類書にない厚みがある。
こんな人におすすめ
音楽療法士として実践を続けている人、セッションの組み立てを原理から見直したい人、被災地支援や地域での音楽活動に関心がある人。科学的検証まで含めて、この領域の現在地を確かめたい場面に。
良い点
- 基本原理から実践の流れまで一貫
- 震災での実践記録が貴重
- 研究手法の解説まで収録
気になる点
- 分量が多く通読は重い
- 初学者には専門的すぎる箇所
- 新しい刊行で入手は今後次第
出版社
春秋社
発売日
2025年08月04日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「音楽療法の道しるべ」って、あとがきの言葉が印象的だったんですよ。音楽療法は心の避難所だ、って。
佐藤メバル
そう、そこがこの本の芯なんだ。臨床研究の第一人者が、基礎と方法論から実践までを今日的な視点で説いていて、同質の原理、カタルシス、固有テンポ、引き込み現象といった覚えておきたい基本原理が一つの章に整理されている。
第2章では古代ギリシャから各国の動向まで歴史もたどるよ。
橘ナナミ
原理の名前だけ聞くと難しそうですが、実際の現場の話も入っているんですか。
佐藤メバル
入っているよ。準備、実践中、実践後の三段階の進め方に加えて、東日本大震災で避難所や仮設住宅、高台住宅の集会場で行われた実践まで書かれている。
これは他の入門書にはない厚みだね。研究の計測方法まで触れているから、実践と検証を両方やりたい人に向く。
音楽中心音楽療法
ケネス・エイゲン 著|春秋社(千代田区)
¥3,850(税込)
シンプルかつ根源的な人間の欲求である音楽、それ自体に臨床の力を見出す、伝統的かつ最先端の音楽療法の理論と実践。会話や解釈を前面に出すのではなく、あくまでも音楽を中心にすえる立場の真髄を示す。著者のケネス・エイゲンと鈴木琴栄による、音楽を手段ではなく主役に置く視点が全編を貫く。対象別の実践集や医学的エビデンスの本とは立ち位置がはっきり違い、即興や演奏そのものへの信頼から音楽療法を考えたい人に向く。
こんな人におすすめ
即興演奏や音楽そのものの力を臨床に活かしたい音楽療法士、音楽療法の理論的な立場の違いを整理したい人、演奏家として療法に関わる人。音楽中心という立場から、自分の実践を組み立て直したい場面に。
良い点
- 音楽中心という立場が明確
- 理論と実践を一冊で提示
- 訳書で国際的な視点が得られる
気になる点
- 対象別の手順書ではない
- 前提知識がないと難解
- 価格がやや高め
出版社
春秋社(千代田区)
発売日
2013年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「音楽中心音楽療法」って、名前からして他と雰囲気が違いますね。音楽を道具にするんじゃない、ということですか。
佐藤メバル
まさにそこなんだ。シンプルで根源的な人間の欲求としての音楽、それ自体に臨床の力を見出す立場で、伝統的でありながら最先端でもある。
ケネス・エイゲンと鈴木琴栄が、音楽を手段ではなく主役に置く理論と実践の真髄をまとめているんだよ。
橘ナナミ
じゃあ、会話やカウンセリングの技術を学ぶ本とは、読後感がかなり違いそうですね。
佐藤メバル
かなり違う。対象別の手順を並べた本ではなく、音楽経験そのものをどう臨床に置くかを問う本だから、即興や演奏に信頼を置いている人ほど刺さる。
逆に、まず対象別の実践例が欲しい人には遠いかもしれない。自分の立ち位置を確かめるための一冊だね。
人と人との関係 音楽療法 実践論
小山美保 著|晃洋書房
¥2,860(税込)
精神療法も音楽療法も技術は大切だが、心のつながりこそ重要だという立場から書かれた実践論。クライエントとセラピストの相互交流関係、臨床場面での音楽を実際のセッションの流れに沿って詳述し、クライエントが体験する「自己再体験」を実践的な観点から考える。セラピストの基本姿勢として「待つということ」や間の意味を一章使って論じ、自己内コミュニケーションという切り口まで踏み込む。技法書とはひと味違う角度だ。
こんな人におすすめ
心理療法としての音楽療法を深めたい人、セッションで「待つ」ことの意味に悩んでいるセラピスト、クライエントとの関係づくりを見直したい人。実践例から学ぶことを重視したい場面に。
良い点
- 関係性と自己再体験を軸に一貫
- 実践例が具体的で追いやすい
- 心理療法との接点を丁寧に整理
気になる点
- 技法の手順集ではない
- 対象や年齢層は限られる
- 理論書としてはやや内省的
出版社
晃洋書房
発売日
2022年11月11日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「人と人との関係 音楽療法 実践論」って、技法より関係性の話なんですね。そういう本、意外と少ない気がします。
佐藤メバル
少ないと思うよ。まえがきに寄せられた言葉にも、技術も大切だが心のつながりこそ重要だという趣旨があって、そこがこの本の軸なんだ。
クライエントとセラピストの相互交流、そしてクライエントが場面で体験する自己再体験を、実際のセッションに沿って論じている。
橘ナナミ
自己再体験、ですか。ちょっと想像しにくいんですけど、章としてはどこが読みどころでしょう。
佐藤メバル
自己内コミュニケーションとして整理している章で、セラピィが展開する条件を実践例から拾い上げているのが読みどころだね。
セラピストの基本姿勢として「待つということ」を一章使って論じているあたり、手順だけでは埋まらない部分に関心がある人に届く本だよ。
医学的音楽療法
日本音楽医療研究会 著|北大路書房
¥3,520(税込)
エビデンスを重視した医学的音楽療法のスタンダードを提示する一冊。総論では音や音楽の作用機序を、注意、認知能力、リズムと運動、生理作用、言語、感情、コミュニケーションの観点から解説。各論ではがん、疼痛、うつ病、認知症、発達障害、パーキンソン病、失語症、産婦人科まで、疾患別に適応と方法を実践的に示す。治療を目的とした音楽療法は法的制限を受けるという留意点まで明記し、症例報告を論文にまとめる方法まで収録する網羅性が光る。
こんな人におすすめ
医療現場で音楽療法を導入したい医師や看護師、疾患別の根拠を確認したい研究者、症例報告や事例研究を書く必要がある人。疾患別に引く辞書として、座右に置く使い方に。
良い点
- 疾患別の適応と方法が網羅的
- 研究論文のまとめ方まで収録
- 無理な主張をしない堅実さ
気になる点
- 価格帯が高く分量も多い
- 一般読者には専門的すぎる
- 読了には相当の時間が要る
出版社
北大路書房
発売日
2014年07月11日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「医学的音楽療法」は、かなり分厚いですね。これ、全部読むものなんですか。
佐藤メバル
通読するより、引く本として使うのが現実的かな。総論で音や音楽の作用機序を押さえて、あとは疾患別に必要な章を開く。
第5章には、治療を目的とした音楽療法は法的制限を受けるという実施上の留意点がきちんと書かれていて、そこを曖昧にしない誠実さがいいんだ。
橘ナナミ
その姿勢は信頼できます。対象はどんな疾患までカバーしているんですか。
佐藤メバル
がん、終末期、疼痛、統合失調症やうつ病、外傷性脳損傷、認知症、パーキンソン病、失語症、ALS、発達障害、レット症候群、低出生体重児、産婦人科と幅広い。
最後に症例報告や事例研究を論文にまとめるための基礎まで付いているから、臨床と研究の両方で使える一冊だよ。
音楽療法の実践
加藤美知子 著|星和書店
¥4,015(税込)
日本とアメリカにおいて、音楽療法が実際にどのような現場で、どのような制約を乗り越えながら行われているかを克明に紹介する一冊。音楽療法とは何かから始めて、実践、米国ツアー報告、日本の現場の紹介、課題、考察、そしてこれからの音楽療法へと進む。理論だけでは見えない現場の制約と工夫をそのまま記録している点が貴重で、海外の動きと国内の実情を並べて見られる構成になっている。手順書というより現場の記録として読む本だ。
こんな人におすすめ
音楽療法の現場に入る前に実際の制約を知りたい人、日本の施設と米国の現場を比べてみたい人、療法の課題と展望を俯瞰したい人。現場報告を読み物として味わいたい場面に。
良い点
- 日米の現場を並べて比較できる
- 課題と展望まで踏み込む
- 現場の生々しさが伝わる
気になる点
- 刊行が古く状況は変化
- 体系的な教科書ではない
- 図表や資料は限られる
出版社
星和書店
発売日
1995年06月10日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
今度は「音楽療法の実践」ですね。米国ツアー報告と日本の現場の紹介が入っているのが面白そうです。
佐藤メバル
そこがこの本の持ち味なんだ。日本とアメリカで、音楽療法がどんな現場で、どんな制約を乗り越えながら行われているかを克明に書いている。
理想論ではなく、現場の制約と工夫がそのまま残っているのが貴重だよ。
橘ナナミ
なるほど。でも刊行が1995年ですよね。今読んでも役に立ちますか。
佐藤メバル
制度や環境は変わっているから、そこは割り引いて読む必要がある。ただ、現場が何に困り、どう工夫してきたかの記録は今も参考になるんだ。
課題を扱う章、これからの音楽療法に向けての章まで並ぶ構成だから、歴史としても、今の議論の下地としても読めるよ。
イキイキ音楽療法のしごと場(vol.2)
あおぞら音楽社
¥1,760(税込)
病院・施設・学校・地域で音楽療法をどう場づくりに活かすかを集めた技法集。「あそび」から音楽療法を見直し、あそびが持つ即興性からかかわりの即興性へ、手あそびがもたらした世代間交流へと展開する。日本人が創る音楽療法のヒントとして、お年寄りの越天楽アンサンブルや南部鉄のハンドベル開発にも触れ、療法を出会いと関係の場づくりとして捉える。即興演奏の実践スコアや伴奏術の講座まで付き、現場目線が徹底している。
こんな人におすすめ
施設や学校で音楽の時間を担当する人、あそびを通したかかわりを増やしたい音楽療法士、ボランティアとして現場に入る人。世代間交流のアイデアや和の素材を探している場面に。
良い点
- あそび視点の技法が具体的
- 実践スコアと伴奏術を収録
- 地域や和の素材まで扱う
気になる点
- シリーズの一巻で単体は限定的
- 体系的な理論書ではない
- 図版中心で文字情報は少なめ
出版社
あおぞら音楽社
発売日
2003年04月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「イキイキ音楽療法のしごと場」って、タイトルにvol.2が付いていますね。あそびから音楽療法を見直す、というのが気になります。
佐藤メバル
この巻の柱のひとつがそこなんだ。あそびが持つ即興性を、かかわりの即興性へつなげていく。それから日本人が創る音楽療法のヒントとして、お年寄りの越天楽アンサンブルや、南部鉄に魅せられてハンドベルを開発した話なんかも載っているよ。
橘ナナミ
和の素材が出てくるのは珍しいですね。実際に弾く譜面も入っているんですか。
佐藤メバル
入っているよ。即興演奏ってどうやるの、という実践スコア付きの特集や、伴奏術のABC、あそびや生活の中のリズムの扱いまで収めている。
病院・施設・学校・地域という幅を、出会いと関係の場づくりとして捉える編集方針がはっきりしているね。
音楽療法
飯森眞喜雄 著|岩崎学術出版社
¥3,080(税込)
精神病院、精神科・心理クリニック、精神科デイケア、児童領域、自閉症児、重症心身障害児、高齢者、痴呆性高齢者のケア、ターミナルケアと、幅広い現場を章立てで並べた一冊。人格障害など非精神病性障害を対象とした章や、集団歌唱活動の現場、高齢者音楽療法に求められる音楽の検討など、現場ごとの違いを丁寧に描く。ひとつの方法論を押し通すのではなく、場面の多様さそのものを学べる構成になっている。
こんな人におすすめ
精神科領域で音楽療法に関わる人、児童から高齢者、終末期まで対象の幅を見渡したい人、集団歌唱活動の実際を知りたい人。領域ごとの違いを比較しながら読みたい場面に。
良い点
- 精神科から終末期まで網羅
- 集団歌唱の現場記述が具体的
- 領域別に章が整理されている
気になる点
- 刊行が古く用語に時代差
- 理論的な統一感は薄い
- 実践手順の詳細は限られる
出版社
岩崎学術出版社
発売日
2004年08月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
今度は同じ「音楽療法」というタイトルで、岩崎学術出版社の本ですね。章立てがすごく幅広いです。
佐藤メバル
そう、精神病院から始まって、精神科・心理クリニック、デイケア、児童領域、自閉症児、重症心身障害児、高齢者、痴呆性高齢者のケア、そしてターミナルケアまで並ぶ。
ひとつの理論を押し通す本ではなく、現場ごとの違いを積み上げていく本なんだ。
橘ナナミ
人格障害など非精神病性障害を対象にした章があるのも、ちょっと珍しい気がします。
佐藤メバル
そこは実践者にとって助かる部分だね。集団歌唱活動の現場から何が見えるか、高齢者音楽療法にはどんな音楽が求められるか、といった問いが章ごとに立っている。
用語には時代差があるから、そこだけ注意して読めば、領域の広さをつかむ地図になるよ。
音楽療法
津山祐子 著|ナカニシヤ出版
¥2,750(税込)
音楽療法とは何か、音楽の機能、歴史、実践するにあたっての心構え、音楽療法の機能、音楽療法士のための心理学と、基礎を順に積む構成。高齢者、発達、発達障害、精神疾患、ストレスと対象別の章が並び、最後に「困った時どうすればいいのでしょう?」というQ&A編が置かれている。学びの途中で立ち止まれる設計で、実践に入ってから疑問が出てきた人の戻り先になる。全体を見渡す入り口として使いやすい。
こんな人におすすめ
音楽療法をこれから学ぶ学生、資格取得の勉強を進める人、現場で困ったときに基本に戻りたい実践者。Q&A編を辞書代わりに開き、対象別の章で全体像をつかむ使い方に。
良い点
- 基礎から対象別まで一冊で
- 心理学の章が学習の助けに
- 困ったときのQ&Aが実用的
気になる点
- 各章は簡潔で物足りない
- 高度な研究知見は少ない
- 専門書ほどの深さはない
出版社
ナカニシヤ出版
発売日
2008年03月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「音楽療法」というタイトルの本が続きますね。ナカニシヤ出版のほうは、Q&A編があるのが気になります。
佐藤メバル
そこがこの本の使いどころなんだ。音楽療法とは何か、音楽の機能、歴史、実践するにあたって、音楽療法士のための心理学と基礎を積んで、高齢者、発達、発達障害、精神疾患、ストレスと対象別に進む。
最後に「困った時どうすればいいのでしょう?」というQ&A編が付いている。
橘ナナミ
学んでいる途中でつまずいたときに開けそうですね。逆に、物足りなく感じる人はいますか。
佐藤メバル
各章は簡潔だから、研究知見をがっつり求める人には軽いかもしれない。ただ、対象別の章が短くまとまっているぶん、まず全体を見渡して、必要になったら詳しい本に進む入り口として優秀だよ。学生の独学にも向いているね。
魂から奏でる
ハンス・ヘルムート・デッカー・フォイクト 著|人間と歴史社
¥3,850(税込)
音楽療法における心理的機能と治療的成功のプロセスを扱う一冊。第1部で音楽聴取を基礎として、日常に必要な音楽と非常事態に対処する音楽、世界に通じる耳といった論点を並べる。第2部は受容的音楽療法として、脅威から楽しみへ、そして「私の」音楽というテーマへ。第3部は活動的音楽療法として、即興における演奏と音楽聴取、心のエネルギーのコンタクト障害とその音楽的な表現まで踏み込む。聴くことと奏でることの両側から心理療法を考える構成だ。
こんな人におすすめ
受容的音楽療法と活動的音楽療法の両方に関心がある人、即興を心理療法として捉えたい人、音楽聴取の意味を深く考えたい人。心理療法としての音楽をじっくり掘りたい場面に。
良い点
- 聴取と即興を両輪で扱う
- 心理療法との接続が濃い
- 三部構成で論点が明確
気になる点
- 抽象的で読み手を選ぶ
- 実践手順の解説は少ない
- 訳語にやや癖がある
出版社
人間と歴史社
発売日
2002年01月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「魂から奏でる」って、タイトルがすごいですね。これも心理療法の話なんですか。
佐藤メバル
そう、音楽療法における心理的機能と、治療的成功のプロセスを扱っている。第1部は音楽聴取、第2部は受容的音楽療法、第3部は即興を中心にした活動的音楽療法と、聴くことと奏でることの両側から組み立てているんだ。
橘ナナミ
即興における影の演奏、とか、心のエネルギーのコンタクト障害、とか。言葉が詩的で、少し身構えてしまいます。
佐藤メバル
そこは好みが分かれるところだね。ただ、受容的音楽療法の技法や「私の」音楽という章は、選曲や聴取の意味を考え直す材料になる。
カタログ的な実践書に飽きた人が、音楽と心の関係をじっくり考えたいときに手に取る本だよ。
心にとどく高齢者の音楽療法 [楽譜]
師井和子 著|ドレミ楽譜出版社
¥2,200(税込)
著者が20年近く取り組んだ音楽療法と、米国で学んだ基礎的理論を実践に取り入れ直した結果、さらに学生に講義した内容をまとめた一冊。高齢者の現場で音楽をどう届けるかに絞り、初心者にも分かるように基礎的な要点をしっかり捉えている。楽譜としての体裁も持ち、実際の体験と理論をかみ合わせて思索した独自の表現が随所に工夫されている。高齢者分野に特化した入門として位置づけやすい。
こんな人におすすめ
高齢者施設で音楽療法を始めたい人、米国で学んだ理論を日本の現場に落としたい人、講義の教材を探している指導者。初学者向けの要点から、無理なく入りたい場面に。
良い点
- 高齢者分野に焦点が絞られている
- 実体験と理論のかみ合わせが丁寧
- 楽譜としても使える体裁
気になる点
- 刊行が古く選曲は更新したい
- 他領域の実践は扱わない
- 図版や資料は控えめ
出版社
ドレミ楽譜出版社
発売日
1999年09月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「心にとどく高齢者の音楽療法」は楽譜として出ているんですね。楽譜と本の中間みたいなものですか。
佐藤メバル
楽譜の体裁を持ちながら、中身は高齢者の音楽療法の入門になっている。著者が20年近く現場で取り組んだ実践と、米国で学んだ基礎的理論を、もう一度実践に取り入れて、さらに学生に講義した内容までまとめているんだよ。
橘ナナミ
20年分の蓄積が一冊に入っていると考えると、読み応えがありますね。
佐藤メバル
そうだね。初心者にも分かるように基礎的な要点をしっかり押さえつつ、体験と理論をかみ合わせた表現を工夫している。
刊行は古いから選曲は今の現場に合わせて足す必要があるけれど、高齢者の音楽療法を最初の一冊にするなら外せないよ。
音楽療法の必須100曲(高齢者編)
菅田文子 著|あおぞら音楽社
¥2,530(税込)
高齢者の集まる場で歌の時間を担当する介護職員、音楽療法士、作業療法士、音楽訪問スタッフ、音楽ボランティアに向けた曲集。後期高齢者の現場で歌われる定番100曲を、高齢者の声域に合わせたキーに移調した全曲伴奏譜で収める。曲ごとに回想キーワードとトーク例が付き、40曲にはベル譜も用意されている。伴奏は初見で弾けるくらいシンプルに、と考える理由まで前書きで説明されていて、現場感覚が徹底している。
こんな人におすすめ
高齢者施設で歌の時間を担当する介護職員、音楽療法士や作業療法士、音楽訪問スタッフ、音楽ボランティア。61鍵の電子キーボードしかない現場でも、響きを整えて歌いたい場面に。
良い点
- 全100曲に伴奏譜が付く
- 回想キーワードとトーク例が便利
- 40曲にベル譜を用意
気になる点
- 歌詞や曲の解説は最小限
- 子ども編と用途が分かれる
- 選曲の好みは現場次第
出版社
あおぞら音楽社
発売日
2009年09月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「必須100曲」って、量がすごいですね。これ、現場でどう使うんでしょう。
佐藤メバル
高齢者の現場で歌の時間を持つ人が、そのまま開いて弾ける曲集なんだ。後期高齢者の現場で歌われる定番を100曲、高齢者の声域に合わせてキーを移調してある。
前書きには、伴奏は初見で弾けるくらいシンプルにする理由も書かれていて、そこが読みどころでもあるよ。
橘ナナミ
回想キーワードとトーク例が付いているのは、歌うだけじゃないってことですね。
佐藤メバル
まさにそう。歌から思い出の会話に広げるための材料が曲ごとに用意されている。電子キーボードとピアノを弾き分ける話や、歌に合わせたベル活動の話もあって、40曲にはベル譜も付く。現場で何度も開くタイプの一冊だね。
CD・QR音源付ですぐに使える! 高齢者のための音楽レクリエーション 音楽療法のプロが教える
武知治樹 著|メイツ出版
¥1,848(税込)
歌詞やリズムにあわせた動きをイラストで図解し、楽譜が読めなくても安心して使える構成の一冊。グループの特性や季節、地域に合わせてアレンジできる内容で、福祉の現場ですぐに役立つように作られている。進め方と準備、身体を動かす活動、楽器、グループ活動のコツ、季節の曲と章が並び、1年を通して使える設計。付属のCDとQR音源があるから、ピアノが演奏できなくても紹介された活動を始められる。
こんな人におすすめ
介護施設や地域の集まりでレクリエーションを担当する人、ピアノが弾けないけれど音楽活動をしたい職員、認知症予防の場づくりをしたい人。楽譜が読めなくても始めたい場面に。
良い点
- イラスト図解で動きが伝わる
- CDとQR音源付きで即使える
- 季節と行事の章が使いやすい
気になる点
- 療法的な深掘りは控えめ
- 高齢者以外には向かない
- 収録される音源の曲数は限られる
出版社
メイツ出版
発売日
2022年08月16日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
この本、CDとQR音源付きと書いてあります。ピアノが弾けなくても大丈夫なんでしょうか。
佐藤メバル
そこを狙った本だね。歌詞やリズムに合わせた動きをイラストで図解していて、楽譜が読めなくても進められる。
進め方と準備や楽器の紹介、身体を動かす活動、楽器を使う活動、グループで楽しむ活動とコツ、1年の季節と行事の曲という順に並んでいるんだ。
橘ナナミ
グループの特性や地域によってアレンジできる、というのも助かりますね。
佐藤メバル
画一的なプログラムを押しつけないのがいいところで、そのぶん療法的な深掘りは控えめなんだ。福祉の現場でレクリエーションとして音楽を始めたい人、まず場を楽しませたい人に向く。
伴奏曲集と並べると、役割の違いが見えてくるよ。
最新研究による 高齢者音楽療法
貫行子 著|株式会社音楽之友社
¥2,970(税込)
高齢化が進む社会で求められる音楽療法の視点を、定義や理論から実践、最新研究まで積み上げた一冊。監修は高齢者音楽療法の先駆者で、脳機能と音楽、フレイルと精神医学、プログラム構成理論、実践の工夫を丁寧に扱う。2020年代の研究を紹介する章、エンドオブライフ・ケアの章、リモートによる実践例を含む章があり、エンドオブライフと遠隔という新しい論点まで届いている。必要な章ごとに読める構成も実用的だ。
こんな人におすすめ
次世代の音楽療法士を目指す学生、医療関係者、高齢者のいる家庭で音楽の関わり方を知りたい人。最新研究と遠隔実践の現在地を確認したい場面に。
良い点
- 2020年代の研究を紹介
- エンドオブライフの章が貴重
- 章ごとに読める構成
気になる点
- 全体を通読すると重い
- 研究知見には変動がある
- 実践用のスコアは付かない
出版社
株式会社音楽之友社
発売日
2024年12月17日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「最新研究による 高齢者音楽療法」って、2024年の本なんですね。何がそんなに新しいんでしょう。
佐藤メバル
2020年代の研究を紹介する章、リモートによる音楽療法の実践例を含む章、それにエンドオブライフ・ケアの章かな。
高齢化率の高い社会で、音楽療法が何に貢献できるかを最新の知見から組み直しているんだ。
橘ナナミ
エンドオブライフというのは、人生の最終段階を生きる人たちのことですよね。音楽療法がそこに関わるのは想像していませんでした。
佐藤メバル
そこがこの本の射程の広さで、ナラティヴアプローチやスピリチュアリティまで扱う。最後の章では音楽療法の究極の目標をヒトのWell-beingに置いていて、理論書としても読み応えがある。
必要な章ごとに読めるから、家庭で介護している人が一部だけ開く使い方もできるよ。
認知症のお年寄りの音楽療法・回想法・レク体操
田中和代 著|黎明書房
¥2,860(税込)
認知症のお年寄りが幸せに過ごすための音楽療法、回想法、レクリエーション、体操を、実践例を交えて紹介する一冊。車イスの人も一緒にできるリハビリ体操やタオル体操が取り上げられ、付属のCDですぐに実践できるようになっている。好評だった前の本を改題・改訂しており、音楽だけでなく身体と回想を組み合わせる設計が現場の実情に合っている。ひとつの活動に偏らないのが持ち味だ。
こんな人におすすめ
認知症の人のケアに関わる介護職員、家族として在宅で関わる人、デイサービスのプログラムを組む人。車イスの人も一緒に参加できる活動を探している場面に。
良い点
- 音楽・回想・体操を一冊で
- 付属CDで実践しやすい
- 改訂で内容が整理されている
気になる点
- 対象が認知症高齢者に限定
- 療法理論の説明は控えめ
- 体操は安全確認が前提
出版社
黎明書房
発売日
2022年02月28日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「認知症のお年寄りの音楽療法・回想法・レク体操」って、タイトルからして盛りだくさんですね。
佐藤メバル
実際に盛りだくさんなんだ。認知症のお年寄りが幸せに過ごすための音楽療法、回想法、レクリエーション、体操を、実践例を交えて並べている。
音楽だけでなく身体と回想を組み合わせるところが、現場の実情に合っているんだよ。
橘ナナミ
車イスの人も一緒にできる体操、というのが気になります。介護の現場だと、そこが悩みどころなので。
佐藤メバル
そう、そこを落とさないのがこの本のいいところ。タオル体操など、座ったままでもできる活動が示されていて、付属のCDですぐ始められる。
前に出た本を改題・改訂しているから内容も整理されている。認知症の人のケアに関わる人に向く実践書だね。
実践・発達障害児のための音楽療法
エディス・ヒルマン・ボクシル 著|人間と歴史社
¥4,180(税込)
数多くの発達障害の人々と交流し、芸術と科学の両側面にわたる広範で密度の高い経験から引き出された実践書。全体的展望から始まり、発達障害児のための一次的処遇様式としての音楽療法、アセスメントと治療計画、処遇の理念としての覚識の連続体、プロセスとしての処遇、プロセス指向型音楽療法の実際へと進む。音楽療法の資源となる素材やプログラムの組織化まで収録し、実践の設計図として使える。
こんな人におすすめ
発達障害児の支援に携わる音楽療法士、アセスメントと治療計画を立てる必要がある人、療育の場で音楽活動を組み立てたい人。プロセス指向の実践を学びたい場面に。
良い点
- アセスメントから計画まで一貫
- 素材と組織化の章が実用的
- 経験に裏づけられた具体性
気になる点
- 訳書で表現が硬め
- 価格が高めで分量も多い
- 刊行が古く制度は変化
出版社
人間と歴史社
発売日
2003年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「実践・発達障害児のための音楽療法」……覚識の連続体、って聞き慣れない言葉が出てきました。
佐藤メバル
そこがこの本の独自性で、処遇の理念として覚識の連続体という考え方を置いている。アセスメントと治療計画、プロセスとしての処遇、そしてプロセス指向型音楽療法の実際へと進んでいく。
計画から実践までを一本の線で描く構成なんだ。
橘ナナミ
数多くの発達障害の人と関わってきた経験から出ている本なんですね。
佐藤メバル
そう、芸術と科学の両側面にわたる経験が土台にある。音楽療法の資源となる素材の章、プログラムの組織化の章は、そのまま現場で使える部分だよ。
訳書だから表現は硬めだけど、療育の場で音楽活動を設計する人には骨太の一冊になる。
障害児の音楽療法
土野研治 著|春秋社(千代田区)
¥2,640(税込)
人を支え、繋げる音楽という視点から、特別支援教育における音楽活動など、さまざまな場面の実践の技法と音楽療法の原理をまとめた一冊。楽器・声・身体運動の扱い、セッションの手順、特別支援教育との接続まで、現場で必要になる要素を順に押さえる。障害児を対象とした音楽療法を知るのに適した入門として位置づけられ、教育と療法の橋渡しを意識して読める構成になっている。
こんな人におすすめ
特別支援学校や特別支援学級で音楽を担当する教員、障害児の療育に関わる人、音楽療法の原理から学びたい学生。教育の現場で活かしたい場面に。
良い点
- 楽器・声・身体運動を横断して扱う
- 特別支援教育との接続が明確
- 入門として過不足が少ない
気になる点
- 対象は障害児に限定される
- 高度な研究知見は少ない
- 高齢者分野には触れない
出版社
春秋社(千代田区)
発売日
2014年05月20日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「障害児の音楽療法」は、特別支援教育の音楽活動も視野に入っているんですね。
佐藤メバル
そこが特徴で、人を支え、繋げる音楽という見方から、楽器・声・身体運動の扱い、セッションの手順、そして特別支援教育の場面までを並べている。
教育と療法の橋渡しを意識した構成なんだ。
橘ナナミ
学校の先生が読むことも想定されているんでしょうか。
佐藤メバル
想定されていると思うよ。障害児を対象とした音楽療法を知るのに適した一冊として推薦の言葉も寄せられている。
ただ、対象が障害児に限られているから、高齢者や精神科の実践を探している人には向かない。原理から入って、現場の活動に落としたい人にちょうどいいね。
感覚統合を活かして子どもを伸ばす!音楽療法
柿崎次子 著|明治図書出版
¥2,266(税込)
音楽療法と感覚統合療法は基本的に異なる方法で実践されるが、どちらも感覚刺激を扱うという点で共通する。その接点を通して、感覚統合の考え方を音楽療法に活かす道筋を示す一冊。もっとも重要な接点は、療法を受ける子どもたちにあるとし、すべての子どもたちが健やかに育つことを願う立場から書かれている。発達支援の視点を音楽活動に取り込みたいときに手がかりになる。
こんな人におすすめ
子どもの発達支援に関わる音楽療法士、作業療法士や保育者、感覚統合の視点を音楽活動に取り込みたい人。感覚刺激の扱いを見直したい場面に。
良い点
- 二つの療法の接点が明確
- 子どもの発達視点で一貫
- 実践への応用を意識した構成
気になる点
- 感覚統合の予備知識が要る
- 大人の音楽療法は対象外
- 内容はやや専門寄り
出版社
明治図書出版
発売日
2016年06月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「感覚統合を活かして子どもを伸ばす! 音楽療法」……感覚統合って、音楽療法とは別のものなんですよね。
佐藤メバル
基本は別の方法で実践されるんだけど、どちらも感覚刺激を扱うという点で共通している。その接点を通して、感覚統合の考え方を音楽療法に活かそうというのがこの本なんだ。
もっとも重要な接点は、療法を受ける子どもたち自身にあると書いているよ。
橘ナナミ
なるほど。音楽療法だけを学んできた人でも読めますか。
佐藤メバル
感覚統合の予備知識があったほうが読みやすいけれど、子どもの発達をどう支えるかという視点で貫かれているから、作業療法士や保育者にも届く。
逆に大人の音楽療法を探している人には向かない。子ども支援の引き出しを増やしたい人向けの一冊だね。
音楽療法・音あそび 新装改訂版
下川英子 著|株式会社音楽之友社
¥2,640(税込)
子どものための音楽療法士として長年療育の現場で活躍してきた著者による曲集と音楽活動ハンドブック。著者のオリジナル曲を中心に伴奏楽譜を載せ、その曲でグループを行う「音あそび」の活動を解説する。手作り楽器の作り方やプログラムの組み方も紹介し、ハンドベル、トーンチャイム、レインスティックなどテーマ別の活動として整理されている。障がいのある子だけでなく健常の子にも役立つ内容だ。
こんな人におすすめ
療育や保育、幼稚園、特別支援教育に関わる先生、音楽療法士を目指す学生、手作り楽器で遊びたい保護者。グループでの音あそびを組み立てたい場面に。
良い点
- オリジナル曲の伴奏譜が充実
- 手作り楽器とプログラム解説付き
- テーマ別に活動が整理されている
気になる点
- 曲の好みが分かれる可能性
- 大人の現場には不向き
- 巻頭の理論は簡潔
出版社
株式会社音楽之友社
発売日
2024年03月04日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「音楽療法・音あそび」って、題名のとおりあそびが中心なんですね。楽譜がたくさん載っていそうです。
佐藤メバル
著者のオリジナル曲を中心に伴奏楽譜が並んでいて、その曲を使ってグループで行う音あそびの活動が解説されている。
始まりの認識、活性化、空間認識、発散とコントロール、ハーモニーの認識、鎮静といったテーマ別の活動として整理されているから、ねらいから選べるんだ。
橘ナナミ
手作り楽器の作り方も入っているんですか。それ、家でもできそうです。
佐藤メバル
入っているよ。それにプログラムの組み方や、統合保育・特別支援学級でのプログラム例まで付いている。長く読まれてきた本の新装改訂版で、障がいをもつ子どもだけではなく健常の子どもにも役立つと書かれている。保育や療育の現場で長く使える一冊だよ。
応用行動分析学(ABA)×音楽療法 気になる子への音あそびレシピ
野呂文行 著|学苑社
¥2,200(税込)
音楽の楽しさが子どもの行動を変えるという立場から、応用行動分析学と音楽療法を融合した音あそびを紹介する一冊。楽譜と音源付きで、ねらい、活動のながれ、発達支援の視点を詳細に解説した14の「音あそびレシピ」を収録する。良い行動を増やし、困った行動を減らすためのヒントが満載で、さまざまな子どもが参加できるための実践を扱う。ABC分析という共通言語で音楽活動を組み立てる点が類書にない。
こんな人におすすめ
保育者や特別支援教育の担当者、発達障害のある子の支援に関わる音楽療法士、行動の理解を音楽活動に活かしたい人。集団の中での支援を設計したい場面に。
良い点
- 14の音あそびレシピを収録
- 楽譜と音源付きで実践しやすい
- ABC分析の視点が具体的
気になる点
- 刊行予定で入手時期に注意
- ABAの前提知識があると尚可
- 高齢者分野は対象外
出版社
学苑社
発売日
2026年06月15日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「応用行動分析学(ABA)×音楽療法」って、掛け算になっています。ABAは聞いたことがあるんですが、音楽とどう組むんでしょう。
佐藤メバル
鍵はABC分析なんだ。先行事象と後続事象を手がかりに子どもの行動を理解して、音楽を先行事象として活用する。
良い行動を増やし、困った行動を減らすためのヒントを、14の音あそびレシピとして具体化しているんだよ。
橘ナナミ
レシピには楽譜と音源が付くんですか。
佐藤メバル
付くよ。ねらい、活動のながれ、発達支援の視点まで書かれているから、保育や特別支援の場でそのまま試せる。
監修は応用行動分析学の研究者で、著者は音楽療法士と臨床発達心理士。集団の中で支援を組み立てたい人に向く、新しいタイプの一冊だね。
発達障害のある子への音楽療法あそび
加藤博之 著|明治図書出版
¥2,310(税込)
音楽療法の楽しいあそびを通して、子どもの発達を支える活動を紹介する一冊。音楽の力で身体の使い方を高め、情緒を安定させ、対人関係や社会性を育てていく。子どもの特性や課題に応じて指導のねらいを明確にした、すぐにできる実践的アプローチを届けることを狙っている。特性と課題に応じてねらいを立てるという組み立てが、活動ありきの本との違いになっている。
こんな人におすすめ
発達障害のある子の指導に関わる教員、療育や児童発達支援のスタッフ、家庭で音楽あそびを取り入れたい保護者。ねらいから活動を選びたい場面に。
良い点
- 身体・情緒・社会性を横断して扱う
- ねらいが明確で選びやすい
- すぐ実践できる構成
気になる点
- 刊行予定で詳細は未確認
- 楽譜や音源の有無は不明
- 高度な理論には触れない
出版社
明治図書出版
発売日
2026年08月03日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
また発達障害の子向けの本が出てきました。「音楽療法あそび」という言い方が柔らかいですね。
佐藤メバル
そう、音楽療法の楽しいあそびを通して、子どもの発達を支える活動を紹介する本で、音楽の力で身体の使い方を高め、情緒を安定させ、対人関係や社会性を育てていく。
特徴的なのは、子どもの特性や課題に応じて指導のねらいを明確にすると打ち出しているところだね。
橘ナナミ
活動を先に決めるんじゃなくて、ねらいから考える、ということですか。
佐藤メバル
そこが大事なところで、ただ楽しければいいという本ではないんだ。すぐにできる実践的アプローチとして届けることを狙っている。
応用行動分析の本と並べると、支援の設計のしかたが違って見えてくるよ。指導に関わる人が手元に置く本だね。
音楽療法の必須100曲(子ども編)
菅田文子 著|あおぞら音楽社
¥2,530(税込)
子どもと音楽するすべての人に向けた曲集で、障がいのある子どもと音楽で関わる指導員、音楽療法士、保育園や幼稚園、認定こども園、小学校、放課後児童クラブ、特別支援学校、療育教室、児童デイサービスなどの指導者を想定している。童謡からクラシック、ディズニー曲、テレビやアニメの曲まで人気100曲を精選。はじまり・歌う・動く・合奏する・締めくくりというセッションの流れに沿って配列し、全曲に使い方の具体例と演奏のアドバイス、74曲にベル和音奏譜を付ける。
こんな人におすすめ
保育園・幼稚園・認定こども園の先生、特別支援学校や療育教室の指導者、児童デイサービスで音楽活動を担当する人。セッションの流れに沿って曲を選びたい場面に。
良い点
- 活動の流れに沿った配列
- 全曲に使い方と演奏の助言
- 74曲にベル譜を用意
気になる点
- 大人の現場には使えない
- 楽曲の使用許諾は別途必要
- 理論の解説は最小限
出版社
あおぞら音楽社
発売日
2010年04月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
高齢者編の次は子ども編ですね。同じ100曲でも、選び方は全然違うんでしょうね。
佐藤メバル
全然違うよ。童謡からクラシック、ディズニー曲、テレビやアニメの曲まで、子どもの人気曲を精選している。
並べ方も工夫されていて、はじまり・歌う・動く・合奏する・締めくくりというセッションの流れに沿った分類になっているんだ。
橘ナナミ
前書きに、譜面ばかり見ていると子どもが置いてきぼりになる、と書いてありました。厳しいですね。
佐藤メバル
そこがこの本の肝で、伴奏は子どもの反応を引き出すためのものだと言い切っている。全曲に使い方の具体例と演奏のアドバイスが付き、74曲にはベル和音奏譜も付く。
保育や療育、特別支援の現場で音楽を担当する人に手に取ってほしいね。
ピアノソロ ノードフ=ロビンズ・センター編集「音楽療法のための小品集」 Themes for Therapy from Nordoff-Robbins
カオル・ロビンズ 著|ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
¥3,300(税込)
音楽療法の現場で用いられるピアノと歌のための小品を集めた楽譜集。ノードフ=ロビンズ・センターのスタッフが制作・編集したオリジナル作品を全39曲収録し、いずれも1〜3ページほどの規模に収まる。クライヴ・ロビンズ博士をはじめ、ミッシェル・リットホルズ博士、アラン・タリー博士らによる曲で、やさしく単純で静かな旋律に挨拶や呼びかけを中心とした言葉が付けられている。即興の入り口としても使いやすい。
こんな人におすすめ
ピアノで音楽療法のセッションを組み立てたい療法士、ノードフ=ロビンズの方法に関心がある人、即興や呼びかけの素材を探している人。やさしい小品から始めたい場面に。
良い点
- 39曲すべてが小品で扱いやすい
- 挨拶や呼びかけの言葉付き
- 由緒あるセンター編集の楽譜
気になる点
- 歌詞は英語由来の内容
- 演奏技術より使い方の工夫が要る
- 理論解説は付かない
出版社
ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
発売日
2023年03月27日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
最後は「音楽療法のための小品集」。ノードフ=ロビンズ・センターって、名前だけ聞くと何だか由緒がありそうです。
佐藤メバル
日本の音楽療法の学会が学んだアメリカのセンターで、そこが制作・編集したピアノと歌のための小品集なんだ。
全39曲、どれも1〜3ページほどで、やさしく単純で静かな旋律に、挨拶や呼びかけを中心とした言葉が付けられているよ。
橘ナナミ
短い曲ばかりなら、セッションの中で使いやすいですね。技術はどのくらい必要ですか。
佐藤メバル
技巧を誇る曲ではないから、求められるのは演奏技術より、その場でどう差し出すかの工夫だね。クライヴ・ロビンズ博士やアラン・タリー博士らの作品で、即興や呼びかけの素材としても使える。
対象別の実践書と並べて置くと、選曲の幅がぐっと広がるよ。
現場のリアルを本でどこまで掴めるか——仕事内容・雇用・やりがい・大変さ
橘ナナミ
年収とか給料のリアルって、本を読めばわかるものなんですか?
佐藤メバル
正直に言うと、待遇の実数は本の役割ではないと思っている。書籍は「どんな仕事か」を描くけれど、給与や雇用形態は求人票や公的統計、団体の公表資料のほうが新しい。だから二段構えで、土台は本、実数は一次情報。この順番を守ると、数字だけを追って仕事像を見失うことがなくなる。
橘ナナミ
やりがいや大変さは、やっぱり実践者の本のほうが濃いんですか?
佐藤メバル
濃いね。『音楽療法の実践』は、日本とアメリカで音楽療法が実際にどのような現場で、どのような制約を乗り越えながら行われているかを克明に紹介している。米国ツアー報告と日本の現場紹介が並ぶ構成が、そのまま「理想と現実の差」を語っているんだ。『魂から奏でる』は音楽聴取と心理療法としての受容的音楽療法、即興における演奏まで踏み込み、治療的成功のプロセスを追う。大変さというのは、失敗談ではなくプロセスの記述のなかに立ち現れるものなんだよ。
橘ナナミ
活躍の場の広さも、本から見えるんですか?
佐藤メバル
見える。飯森眞喜雄・阪上正巳編『音楽療法』は、精神病院、精神科デイケア、児童領域、自閉症児、重症心身障害児、高齢者、痴呆性高齢者のケア、ターミナルケアまで章が並ぶ。目次そのものが「活躍の場の地図」になっている。高齢者・障がい・児童・医療という区分が、実は地続きだと実感できる一冊だ。
資格の種類と学習コスト、そして国家資格化をどう見極めるか
橘ナナミ
資格の種類がいくつもあると聞いて、そこも混乱しています。
佐藤メバル
学会認定、協議会の加盟校、民間の通信講座、そして独学。ルートによって必要な本は違う。『イキイキ音楽療法のしごと場』には「主婦や社会人が音楽療法士の資格を取るには」という項目まであって、当時から関心の高さがうかがえる。学習にかかる費用と期間は団体ごとに変わるから、必ず最新の募集要項で確認すること。書籍で古い金額を鵜呑みにするのは危険だよ。
橘ナナミ
国家資格化の動きは、本で追えますか?
佐藤メバル
動きのある領域だから、断定はできない。だからこそ、新しい本と団体の一次情報を突き合わせる。判断材料として面白いのが『医学的音楽療法』で、「『治療』を目的とした音楽療法は法的制限を受ける」という章と、音楽療法士に対する医学教育の章を置いている。資格と法律の関係を考える入口になる。
本では埋まらない実技の壁——独学の限界と補い方
橘ナナミ
独学だと、どこでつまずくんでしょう?
佐藤メバル
音の出し方、間の取り方、楽器の扱い。ここは活字では身につかない。補い方は三つある。一つは楽器のハードルを下げること。『音楽療法の必須100曲(高齢者編)』は現場の61鍵キーボード前提のシンプルなアレンジで、40曲にベル譜が付く。『音楽療法の必須100曲(子ども編)』も、はじまり・歌う・動く・合奏する・締めくくりというセッションの流れに沿って配列され、74曲にベル和音奏譜が付いている。
橘ナナミ
残りの二つは?
佐藤メバル
二つめは、アセスメントの枠組みを本から借りること。『実践・発達障害児のための音楽療法』はアセスメントと治療計画、プロセス指向型の臨床実践まで書いている。三つめは、自分の実践を言葉にする訓練。『医学的音楽療法』の論文執筆の章や、『音楽療法の道しるべ』の量的研究と質的研究の違い、記録のフィードバックの項は、独学の人ほど効く。即興の入り口としては、全39曲が1〜3ページほどの短い作品で、挨拶や呼びかけの言葉が付いた『ピアノソロ ノードフ=ロビンズ・センター編集「音楽療法のための小品集」』も心強い。
よくある質問
音楽療法士の入門書でおすすめはどれですか?
橘ナナミ
音楽療法士の入門書でおすすめはどれですかについて教えてください。
佐藤メバル
全体像をつかむなら『音楽療法のすすめ』が読みやすく、基礎編と実践編に分かれて対象別の章から逆引きできます。津山祐子さんの『音楽療法』も、最後に「困った時どうすればいいのでしょう?」というQ&A編があり、初学者の迷いを拾ってくれます。
音楽療法は独学で学べますか?本だけで資格は取れますか?
橘ナナミ
音楽療法は独学で学べますか?本だけで資格は取れますかについて教えてください。
佐藤メバル
本で理論の骨格を身につけることはできますが、資格は各認定団体の要件によるもので、本だけで完結するものではありません。実技の評価や実習は別の場で受ける必要があるため、独学の場合は実技をどう補うかを先に設計しておきましょう。
音楽療法士の資格取得に必要なテキストは何ですか?
橘ナナミ
音楽療法士の資格取得に必要なテキストは何ですかについて教えてください。
佐藤メバル
養成校や講座ごとに指定が異なるので、必ず自分の所属先の指示に従ってください。理論の定番としては『標準音楽療法入門(上(理論編))改訂版』があり、医学的知識と実践テクニックを分担して解説しています。
通信講座と本はどちらで学ぶべきですか?
橘ナナミ
通信講座と本はどちらで学ぶべきですかについて教えてください。
佐藤メバル
対立させるより併用が現実的です。通信講座のテキストは体系的なぶん硬いので、読みやすい入門書を補助線として並べると理解が定着します。独学の人は、まず理論書を一冊決めて最後まで通すことから始めましょう。
音楽療法士の本音や大変さがわかる本はありますか?
橘ナナミ
音楽療法士の本音や大変さがわかる本はありますかについて教えてください。
佐藤メバル
『音楽療法の実践』は日本とアメリカの現場が置かれた制約を克明に描き、『人と人との関係 音楽療法 実践論』はセラピストが「待つということ」を章立てで論じています。『音楽療法の道しるべ』も、実践と科学的検証の両方を一人の臨床家の視点で書いた一冊です。
音楽療法士の年収や将来性がわかる本はありますか?
橘ナナミ
音楽療法士の年収や将来性がわかる本はありますかについて教えてください。
佐藤メバル
待遇の実数は書籍より求人票や公的統計、団体の公表資料のほうが新しく、本は仕事内容の土台を掴む役割と考えてください。将来性は、最新研究やエンドオブライフ・ケア、遠隔での実践まで扱う新しい本と一次情報を組み合わせて判断するのが安全です。
音楽療法士は国家資格になる予定はありますか?
橘ナナミ
音楽療法士は国家資格になる予定はありますかについて教えてください。
佐藤メバル
制度の議論が続いている領域なので、断定的なことは言えません。発行年の新しい本と認定団体の一次情報を必ず突き合わせ、古い書籍の記述だけで判断しないようにしてください。
養成校・認定校で指定される教科書は何ですか?
橘ナナミ
養成校・認定校で指定される教科書は何ですかについて教えてください。
佐藤メバル
指定は学校ごとに異なります。理論編の定番として『標準音楽療法入門(上(理論編))改訂版』が挙げられ、これに対象別の事例集を併用するケースが多いです。まずは入学・受講時に配られるシラバスを確認しましょう。
まとめ
橘ナナミ
今日、選び方の軸がこんなに多いと知って、正直びっくりしました。
佐藤メバル
軸が多いのは、読む人の立場が多いからだね。養成校の学生と、介護の現場で歌の時間を任された人と、子どもの療育に関わる人では、同じ「音楽療法の本」でも必要な一冊がまるで違う。だから順位より先に、自分の立ち位置を確かめてほしい。
橘ナナミ
じゃあ「この一冊が正解」はないんですね。
佐藤メバル
ない。でも「今日の自分に効く一冊」は必ずある。理論の教科書を一冊、対象別の実践書を一冊、そして実践者の言葉が残った本を一冊。この三点セットから始めれば、迷子にはならないよ。
橘ナナミ
実践者の言葉の本は、最初から読んでも大丈夫ですか?
佐藤メバル
大丈夫。むしろ先に読んだほうがいい。理論は後から何度でも戻れるけれど、「現場でどう感じたか」という記述は、その人の人生に一度しか書けない。先に読んでおくと、教科書の一行一行が急に重みを持ちはじめる。
橘ナナミ
なるほど…読む順番まで変わりました。
佐藤メバル
音楽療法の本は、正解を書き写す楽譜じゃない。相手のテンポを聴き取るために、自分の楽器を調弦する道具なんだ。調弦してから、現場というステージに立つ。まずは一冊、指でめくってみよう。
