音楽の授業に役立つ本のおすすめ人気ランキング25選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
佐藤さん、大学院の友達が教育実習で音楽を担当することになったんですけど、「どの本を買えばいいか分からない」って言ってて。書店の音楽科の棚、似たような本ばかりで私も迷いました。
佐藤メバル
いい質問だね。音楽科の本は、大きく「読む本」「引く本」「明日の授業で開く本」に分かれているんだ。そこを混ぜて買うと、分厚い本が積まれたままになりやすい。書店員時代、教育書の棚を作っていて、新任の先生が事典だけ買って「読めなかった」と戻ってきた場面を何度も見たよ。
橘ナナミ
あー、それ気になります! じゃあ最初は何を基準に選べばいいんですか?
佐藤メバル
軸は6つ。校種、目的、経験年数、理論書か実践書か、予算、そして学習指導要領に対応しているか。順に見ていこう。
橘ナナミ
お願いします!
音楽の授業に役立つ本の選び方
校種で選ぶ
橘ナナミ
小学校と中学校って、やっぱり本が違うんですか?
佐藤メバル
違うね。小学校なら高見仁志さんの『新しい小学校音楽科の授業をつくる』が土台になる。平成29年版学習指導要領に対応していて、歌唱・器楽・音楽づくり・鑑賞の四領域から、ICT、異文化の音楽、日本の伝統音楽、学習評価、指揮法、音楽理論、共通教材の伴奏譜まで一冊で行き渡る。教員養成のテキストとして書かれているから、用語の確認にも向いているよ。
橘ナナミ
中学校は?
佐藤メバル
清水宏美さんの『これでできる! 音楽科の授業創り』。中学校音楽科の教師として31年間積み上げてきた指導観が、授業創りの10箇条、学習指導案の書き方、年間指導計画、ワークシートに落ちている。『夏の思い出』や『魔王』、雅楽『越天楽』など具体的な教材で事例が並ぶのが心強い。
橘ナナミ
特別支援はどうでしょう。私は当事者じゃないので想像なんですけど、通常学級とは選ぶ本が変わりそうです。
佐藤メバル
そこは岡ひろみさんの『特別支援学校の音楽づくり』がある。トガトンやボンゴ、マリンバに加えて、お鈴や机、調理用ボウルまで使い、叩けば必ず音が出る打楽器で音楽をつくる。正解も失敗もない音楽づくりを通して、表出する意思を読み取るという視点が書かれている。通常学級でも参考になる考え方だよ。
橘ナナミ
高校に特化した本はありますか?
佐藤メバル
この並びでは多くない。ただ『音楽的思考を育てる資質・能力スタンダード』には、高等学校歌唱で《箱根八里》を扱った実践事例が収録されている。校種をまたいで「音楽的思考」を軸に読める本だね。
目的で選ぶ
橘ナナミ
歌唱・器楽・鑑賞…って、目的ごとに分けて買うものなんですか?
佐藤メバル
最初の一冊は全体像、二冊目からは目的特化、が基本だね。歌唱なら丸山久代さんの『歌う力を育てる! 歌唱の授業づくりアイデア』。第2章が現場の疑問にQ&Aで答える形で、「音取りの時間が単調」「どうしても音がとれない子」といった悩みに直接触れている。共通教材を一つずつ追うなら、城佳世さんと八木正一さんの『たのしくできる歌唱共通教材の授業プラン』が1年から6年まで学年別に並び、QRコードから電子黒板・タブレットで使えるデジタル教材に飛べる。
橘ナナミ
器楽と鑑賞は?
佐藤メバル
器楽は初山正博さんの『楽しい! おもしろい! すごい! と子どもが感じる器楽指導』。リコーダー、鍵盤ハーモニカ、木琴・鉄琴、打楽器の指導のポイントから、電子楽器の活用法、合奏の音量バランス、表現の工夫まで理論立てて説明している。感覚に頼りがちな合奏指導を言葉にできる本だよ。鑑賞は中島寿さんの『中島先生の鑑賞授業の教材研究メモ』で、教材研究の仕方から授業の組み立てまで段階的に紹介している。
橘ナナミ
音楽づくり、ICT、評価も気になります!
佐藤メバル
音楽づくりは『小学校 音楽づくりの理論と実践』。各章が「実践の背景(理論)」「実践(例)」で並んでいる。ICTは『新しい小学校音楽科の授業をつくる』に「音楽科とICTの活用」の章があり、『「教える」から「学びを深める」うた授業へ』は常時活動・歌唱共通教材・合唱・ICTの四本柱でQRコードから実演動画を視聴できる。評価なら『音楽的思考を育てる資質・能力スタンダード』で、評価計画の立て方まで踏み込んでいる。
経験年数で選ぶ
橘ナナミ
新任とベテランでも違いますよね。
佐藤メバル
新任なら手順が書いてある本。中学校は『これでできる! 音楽科の授業創り』、小学校低学年の学級担任なら小梨貴弘さんの『こなっしーの 低学年だからできる! 楽しい音楽!』。音楽に苦手意識のある学級担任に向けて、授業規律のつくり方から音楽会の取り組み方まで書かれている。伴奏に不安があるなら平野次郎さんの『一人ひとりが輝く音楽授業アイデア26』で、弾きやすい伴奏楽譜とワークシートが付く。中堅なら『小学校音楽イチ押し授業モデル中学年』や『みんなで深める! 小学校音楽あそび70』で授業の質を上げ、ベテランは『音楽教育実践学事典』や新山王政和さんの『新しい視点で音楽科授業を創る!改訂版』で研究の視点へ。
理論書か実践書かで選ぶ
橘ナナミ
両方いるんですか?
佐藤メバル
役割が違う。理論書は「なぜその活動をするのか」を説明してくれる。実践書は「明日どう動くか」をくれる。『音楽教育実践学事典』で「知覚・感受の指導」を引いてから『小学校音楽「魔法の5分間」アクティビティ』の50の活動を開くと、5分間の意味が変わって見える。実践だけを集めると、なぜ効いたのかが分からず他の単元に応用できないんだ。
予算・入手しやすさで選ぶ
橘ナナミ
全部買うのは難しいですよね。
佐藤メバル
だから優先順位をつける。全体像が一冊あれば、あとは必要になった分野から足せばいい。価格の目安でいえば『たのしくできる歌唱共通教材の授業プラン』や『子どもがもっとアクティブに! 小学校音楽「言葉がけ」のアイデア100』は比較的手に取りやすいほう。事典やCD付きの合奏本は厚みがあるぶん価格も上がる。古い本は在庫が薄いこともあるから、見つけたら状態を確認しておくといい。
学習指導要領に対応しているかで選ぶ
橘ナナミ
ここが一番むずかしそうです。
佐藤メバル
見分け方はシンプル。内容紹介や目次に「平成29年版学習指導要領」「新学習指導要領」と明記されているかを見る。『新しい小学校音楽科の授業をつくる』は、資料として小学校学習指導要領(平成29年3月)の抄を収録している。『「我が国の音楽」の魅力を実感できるワクワク音楽の授業』も、新学習指導要領の目標や内容に準拠した理論と実践になっている。明記がない本は、対応を自分で確かめてから使う。これだけで選書の失敗はかなり減るよ。
音楽の授業に役立つ本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、25冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
音楽の授業に役立つ本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい
新しい小学校音楽科の授業をつくる
高見仁志 著|ミネルヴァ書房
¥2,750(税込)
平成29年版学習指導要領に対応し、小学校音楽科の授業づくりを序章から17章まで網羅した教職課程のテキストです。教科専門の知識と教科の指導法を切り離さず、両者を融合させるという考え方を軸に、歌唱・器楽・音楽づくり・鑑賞の4領域から、ICT活用、異文化の音楽、日本の伝統音楽、アクティブ・ラーニング、学習評価、学級経営、保幼小連携、指揮法、音楽理論、共通教材の伴奏譜まで踏み込みます。類書が実践アイデア集に寄るなか、理論と指導法を一本につなぐ構成が際立ちます。
こんな人におすすめ
小学校の音楽専科を目指す学生、教職課程で音楽を学ぶ人、現場で指導法を見直したい先生。学習指導案や評価の考え方を根拠から押さえたいときに。指導要領の改訂を踏まえた手元の一冊として、実習前の確認にも向きます。
良い点
- 4領域を17章で体系的に網羅
- 理論と指導法の融合を軸に構成
- 共通教材の伴奏譜まで収録
気になる点
- 演奏のコツは実践書ほど詳しくない
- 分厚く通読には覚悟が要る
- 初学者にはやや硬い文体
出版社
ミネルヴァ書房
発売日
2018年03月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
佐藤さん、小学校の音楽の授業って、歌やリコーダーのイメージしかなかったんですけど、この本は目次を見ると指揮法や音楽理論まで入っていて。これは先生になる人向けの本なんですか?
佐藤メバル
いい質問だね。これは教職課程の「音楽科」のテキストで、平成29年版学習指導要領に対応しながら、小学校の音楽科を一冊で見渡せるように作られているんだ。
歌唱、器楽、音楽づくり、鑑賞という学習の柱から、ICTの活用や日本の伝統音楽、評価、学級経営、保幼小連携まで並んでいる。
教科専門の力と指導法を別々にせず融合させる、というのがこの本の軸なんだよ。
橘ナナミ
融合、というのが面白いですね。歌がうまい先生が、そのまま教え上手とは限らないですもんね。学生のうちから読んでおくと、実習で慌てずに済みそうだなと思いました。
佐藤メバル
そこがこの本の狙いだね。音楽の専門性だけでも、指導テクニックだけでも足りないという前提に立っている。
加えて最後の方には共通教材の伴奏譜や学習指導要領の抄録まで入っていて、実習の直前に開く使い方もできる。
全部を読み切るのは大変だけど、指導案や評価で迷った章から拾い読みするのが現実的だよ。
これでできる! 音楽科の授業創り
清水宏美 著|株式会社音楽之友社
¥3,080(税込)
中学校音楽科の教師として31年間教壇に立った著者が、その指導観とノウハウを一冊にまとめた授業づくりの手引きです。柱は「音楽科授業創りの10箇条」。音楽室の環境づくり、掲示物と板書、学習形態の切り替え、年間指導計画、題材名のつけ方、発問、実技テスト、評価まで、日々の判断が順に整理されます。さらに学習指導案の書き方とワークシートのつくり方を扱い、歌唱・器楽・創作・鑑賞の実践例を収録。明日の授業に持ち込める具体性が持ち味です。
こんな人におすすめ
中学校の音楽科の先生、とくに新任や経験の浅い方。研究授業の指導案を書く人、ワークシートや評価の作り方に迷っている人。10箇条から必要な項目を拾う使い方にも向き、ベテランが自分の指導を点検するのにも役立ちます。
良い点
- 10箇条で授業づくりを整理
- 指導案とワークシートが具体的
- 実践事例の教材が豊富
気になる点
- 小学校には直接使いにくい
- 教科書がないと追いにくい箇所も
- 31年の経験談は好みが分かれる
出版社
株式会社音楽之友社
発売日
2022年04月11日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
中学校の音楽の先生向けの本ですよね。10箇条の第1条が『魅力ある音楽科の先生になりましょう』から始まるのが、ちょっと意外でした。技術の前に、そこからなんですね。
佐藤メバル
そうなんだ。著者は中学校で31年間教えてきた人で、その経験から出てくる順番なんだろうね。第2条は音楽室の環境、第3条は掲示物と板書と続いていく。
授業は教師の準備の総量で決まるという視点だね。そのあとに学習指導案の書き方、ワークシートのつくり方、実際の事例と並んで、書き方と実物がセットで示されるのがこの本の強みなんだ。
橘ナナミ
ワークシートが載っているのは助かります。自分でゼロから作るのって、研究のアンケート設計みたいに時間がかかるので。
事例の教材も『夏の思い出』や『魔王』など、聞いたことのある曲が並んでいますね。
佐藤メバル
そこが使いやすいところだね。歌唱の共通教材、合唱、リコーダー、旋律創作、鑑賞と、領域ごとに事例が並んでいるから、自分の単元に近いものを探して真似できる。
雅楽の『越天楽』や歌舞伎とオペラを並べた鑑賞の事例まで入っているのは守備範囲の広さだね。ただ中学校向けなので、小学校で使うなら読み替えが要るよ。
小学校音楽「魔法の5分間」アクティビティ
阪井恵 著|明治図書出版
¥2,200(税込)
授業の導入にたった5分の活動を入れるだけで、子どもの心と体がウォーミングアップする——そんな50の活動を集めた一冊です。友達の出す音に耳をすませる、みんなで体を動かす、先生とリズムでおしゃべりする。音素材で遊ぶところから、リズム、歌唱、器楽、音楽づくり、鑑賞まで、活動の種類が偏らずに並んでいます。1年間続ければ音楽の基礎的な力も育つという設計で、導入の引き出しを増やしたい人に向きます。
こんな人におすすめ
小学校の音楽専科、学級担任、音楽が苦手で授業の導入に困っている先生。朝の会や短い時間で音楽に触れさせたい場面、単元の入り口で気持ちを切り替えたい場面に。毎回の出だしを変えたいときに手元に置きたい一冊です。
良い点
- 50の活動を5分単位で使える
- 領域が偏らず選びやすい
- 継続で基礎力が育つ設計
気になる点
- 単元の中心にはならない
- 学年の指定は緩やか
- 音源は別途用意が必要
出版社
明治図書出版
発売日
2015年06月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
5分間だけ、というのがいいですね。授業の最初って、子どもたちがまだざわざわしていて、そこから歌に入るのが一番難しいって聞いたことがあります。
先生とリズムでおしゃべり、という活動が気になります。
佐藤メバル
そこだよね。この本は導入の5分に絞って、50の活動を並べている。音素材で遊ぶところから始まって、リズムにのって体を動かす、歌う、楽器を鳴らす、みんなで音楽をつくる、いろいろな音楽を聴く、という順に広がっていく。
5分で笑い声がこぼれるくらいの軽さが大事で、その後の時間が変わるんだよ。
橘ナナミ
1年間続けると基礎的な力も上がる、というのも面白いですね。毎回違うことをするより、同じ活動を積み重ねるほうが効くんでしょうか。
佐藤メバル
両方だね。この本の活動は、どれも短いけれど中身は音楽的な要素に触れている。音を聴き分ける、拍を感じる、声を出す、そういうことが5分の中にしこんである。
だから続けると力になる。ただ単元の山場を作る本ではないから、そこは別の教材と組み合わせて使うといいよ。
小学校音楽「常時活動」のアイデア100
岩井智宏 著|明治図書出版
¥2,200(税込)
友達の肩をトントンと叩く、声を解放する「フー切り」、鍵盤ハーモニカの音の特徴を知る、拍にのって遊ぶ——5〜10分で友達と楽しみながら音楽的能力と知識が身につく常時活動を100本集めた一冊です。歌唱、器楽、音楽づくり、鑑賞といった領域ごとにアイデアが並び、毎時間の頭に置く定番の活動を決めたいときに効きます。短時間で積み上げる設計がはっきりしているのが持ち味です。
こんな人におすすめ
小学校の音楽の先生、学級担任。授業の入り口を固定して安定させたい人、毎回の始まりに迷いたくない人。歌・器楽・音楽づくり・鑑賞を少しずつ積みたいとき、行事前でまとまった時間が取りにくい時期にも向きます。
良い点
- 100本と数が多く選びやすい
- 5〜10分で完結する設計
- 領域別で目的から探せる
気になる点
- 単元構成までは踏み込まない
- 活動名だけでは内容が想像しにくい
- 学年対応は緩やか
出版社
明治図書出版
発売日
2020年02月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
常時活動、という言葉を初めて聞きました。毎時間の最初に決まってやる活動のことですよね。100本もあると、逆にどれを選べばいいか迷いそうです。
佐藤メバル
そこは目的から選ぶといいよ。この本は友達の肩をトントンと叩くような心の解放から始まって、発声、器楽、音楽づくり、鑑賞と並んでいる。
たとえば鍵盤ハーモニカの音の特徴を知る活動なら、器楽の単元の前に置く。毎時間の定番を一つ決めると、子どもは安心して音楽のモードに入れるんだ。
橘ナナミ
あ、それいいですね。ゼミでも、始まりの手順が決まっていると議論が進みやすいので、似ているかも。5〜10分という短さも、続けるハードルが低そうで。
佐藤メバル
そう。短いことと続くことはセットだからね。同じ活動を続けるうちに、子どもの側に余裕が出てきて、音やリズムに注意が向くようになる。
100本全部やる必要はなくて、学年や学級に合うものを数本選んで回すのが現実的だよ。慣れてきたら自分でアレンジしてもいい。
歌う力を育てる! 歌唱の授業づくりアイデア
丸山久代 著|音楽之友社
¥2,200(税込)
歌唱・合唱指導のスペシャリストが、歌唱の授業づくりの考え方とノウハウをまとめた一冊です。第1章では「歌うって何?」から始まり、歌うための環境、楽曲と歌声、低学年・中学年・高学年それぞれの歌唱、行事とのかかわりを順に扱います。第2章はQ&A形式で、音取りが単調になる、全校合唱がうまくいかない、パート分けは希望か教師か、音がとれない子への対応、卒業式の選曲など現場の疑問に答えていきます。困りごとから引ける構成が使いやすい。
こんな人におすすめ
小学校の音楽専科、学級担任、合唱部や行事で歌を指導する人。低学年から高学年までの歌唱の見通しを立てたいとき、音取りやパート分けなど具体的な場面で詰まっているときに手に取りやすい一冊です。
良い点
- Q&A形式で現場の疑問に直答
- 低・中・高学年の歌唱を段階で解説
- 行事や卒業式の選曲まで扱う
気になる点
- 楽譜や音源は別途必要
- 理論の網羅性は事典に劣る
- 連載まとめで話題が行き来する
出版社
音楽之友社
発売日
2017年03月28日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
Q&Aの質問がすごく具体的で。『音取りの時間が単調になってしまいます』とか、現場の声そのままですよね。
著者は合唱コンクールで金賞を何度も取っている方だと紹介されていて、その人が答えてくれるんですか。
佐藤メバル
そう。ただ、すごい実績の人が書いたからこそ、答え方が現場寄りなんだ。たとえばパート分けを子どもの希望にするか教師が決めるか、といった悩みに正面から答えている。
第1章で歌うことの意味や環境から押さえて、第2章で個別の困りごとに向き合う流れだから、今日の悩みから逆引きできるよ。
橘ナナミ
逆引き、いいですね。卒業式の選曲の相談まで載っているのが意外でした。歌の授業って、行事と切り離せないんですね。
佐藤メバル
切り離せないところが小学校の歌唱の難しさでもあるんだ。この本は担任の先生と一緒に行事をつくる章を立てているくらいで、日常の授業と行事をひとつながりに見ている。
低学年から高学年まで段階を追って書かれているから、持ち上がりで見通しを立てたい人にも向いているよ。
授業のための合唱指導虎の巻
眞鍋淳一 著|音楽之友社
¥2,200(税込)
「音楽の授業の中で生徒が変わる瞬間をどれだけつくれるか」を軸に、著者が実践してきた手だてを60項目にまとめた合唱指導の一冊です。新学期の環境づくり、教師の心構え、姿勢や発声、変声期への対応、指揮、パート練習、合唱コンクールの選曲と運営、そしてワンランク上の歌声を目指す練習まで。何か手だてを打つとプラスの作用と同時にマイナスの作用も起こる、だから副作用に効く手だても考える——ベテランの視点がにじみます。
こんな人におすすめ
中学校・高等学校で合唱指導に関わる先生、合唱コンクールの担当者。変声期の声に向き合う場面、行事の運営まで見通したい場面に。小手先で終わらせない指導を組み立てたいときに支えになります。
良い点
- 60項目で具体的な手だてが並ぶ
- 作用と副作用まで考える視点
- 変声期の対応が手厚い
気になる点
- 読者に歌唱経験を前提とする面がある
- 小学校低学年には学年が合わない
- 項目数が多く通読は重い
出版社
音楽之友社
発売日
2017年08月07日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
タイトルに『虎の巻』とついていて、ちょっと強そうですね。中身はアイデアが60項目。『エア歌い』とか『ぞうさん』とか、名前だけでは想像できないものが並んでいて、わくわくします。
佐藤メバル
名前だけでは分からないだろうね。たとえば変声期のところでは、音域の確保やファルセットのすすめ、声を出さずに歌う練習まで並んでいる。
思春期の声は日によって変わるから、その日の状態に合わせる手だてを持っておくことが大事なんだ。この本の核は、手だてには副作用があるという視点だよ。
橘ナナミ
副作用、という言い方が印象的です。うまくいった方法でも、別のところにしわ寄せが出るということですか。
佐藤メバル
そういうこと。たとえば大きな声を求めれば、乱暴な歌い方になる子が出る。だから逆の手だても用意しておく。
著者は長く現場にいる人で、その往復を60項目で示している。指揮やパート練習、合唱コンクールの選曲と運営まで含むから、行事の担当になったときの支えにもなるよ。
音楽教育実践学事典
日本学校音楽教育実践学会 著|音楽之友社
¥3,520(税込)
理論と実践の往還関係に基づく「教育実践学」を提唱してきた学会が、20年余の研究成果を集大成した事典です。音楽教育実践学の原理、音楽経験と思考、教育目標と教育内容、学力と評価、教材の働きと開発、授業デザイン、音楽科の拡がり、幼児の音楽表現、特別支援教育、教員養成と教師教育という10章立て。研究者・学生・現場教員に必携とされる網羅性で、用語から引ける辞書的な使い方ができます。
こんな人におすすめ
音楽教育を研究する大学院生・研究者、教員養成課程の学生、指導法を理論から押さえたい現場教員。卒論や修士論文の文献として、また校内研究の拠りどころとして、実践書と並べて置きたい一冊です。
良い点
- 10章立ての圧倒的な網羅性
- 理論と実践の橋渡しが明確
- 用語索引的に引ける作り
気になる点
- 通読には向かない分量
- 価格はやや高め
- 実践の手順は簡潔に留まる
出版社
音楽之友社
発売日
2017年08月21日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
事典、とついていますが、けっこう厚そうです。私、修士で音楽そのものは専門じゃないんですけど、メディア論の研究で音楽教育の制度を調べていて、こういう本があると助かるなと思いました。
用語の定義から確認できるのは大きいです。
佐藤メバル
そういう使い方が一番合っているよ。この本は学会が20年余りの研究成果を持ち寄ったもので、音楽教育実践学の原理から、評価、教材開発、授業デザイン、幼児の音楽表現、特別支援教育まで10章で並んでいる。
辞書として引く前提の作りだから、必要な項目から入って、そこから参考文献をたどるのがいい。
橘ナナミ
なるほど。逆に、授業のアイデアがすぐ欲しい人には向かない感じですか。
佐藤メバル
そこは正直に言っておきたいね。評価の観点や用語の枠組みは非常に細かいけれど、明日の一時間の手順は書かれていない。
理論の地図を持っておくと、実践書の記述がなぜそうなっているのか分かるようになる。だから実践書と並べて置くのがいちばん効くよ。
音楽的思考を育てる資質・能力スタンダード
日本学校音楽教育実践学会 著|図書文化社
¥2,640(税込)
子どもが生き生きと学ぶ音楽科を実現するために、何を育て、どう見取るか。長年の研究成果をもとに「音楽的思考」を軸とした資質・能力スタンダードを示した一冊です。音楽的思考とは何か、育成を軸としたスタンダード、授業デザイン、そして小学校歌唱《ゆかいに歩けば》、小学校鑑賞《春の海》、中学校鑑賞《魔王》、高等学校歌唱《箱根八里》の実践事例で思考のはたらきを具体的にたどります。指導と評価の一体化を考える土台になります。
こんな人におすすめ
音楽科の評価に悩む小学校・中学校・高等学校の先生、校内研究で評価をテーマにする人。見取りの基準を言葉にしたいとき、単元のどこを見ればよいかを事例から確かめたいときに。
良い点
- 評価の枠組みが具体的
- 小・中・高の事例を収録
- 思考のはたらきを言葉で整理
気になる点
- 実践アイデア集ではない
- 用語の抽象度が高め
- 授業の手順は簡潔
出版社
図書文化社
発売日
2024年09月10日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『音楽的思考』って、聞いたことはあるけど説明はできない言葉です。評価のスタンダードというのは、観点別評価の項目が並んでいるイメージで合っていますか。
佐藤メバル
近いけれど、もう少し踏み込んでいる。この本は、子どもが音や音楽について考えていることをどう見える形にして、どう評価し、次の指導につなげるかを整理している。
たとえば《春の海》の単元では【構想】と【価値づけ】、《魔王》でも同じ組み合わせがどうはたらくかを事例で追っている。
思考のはたらきに名前をつけるのが狙いなんだ。
橘ナナミ
名前をつける、というのは研究の論文と同じですね。ただ、現場の先生が読んでも使えるんでしょうか。抽象的な言葉が多そうで。
佐藤メバル
そこは事例が助けてくれる。小学校の歌唱から高等学校の歌唱まで4つの事例が入っていて、単元の流れと子どもの姿が具体的に書かれている。
理論だけ読むと遠いけれど、事例と往復すると自分の授業のどこを見ればいいか分かってくる。評価を校内研究のテーマにしている人には、共通の言葉を作る材料になるよ。
新しい視点で音楽科授業を創る!改訂版
新山王政和 著|スタイルノート
¥2,200(税込)
「より多くの人に受け入れられる音楽の普遍性」や「永く皆が大切にしてきたなにか」を子どもに気づかせるための実験的な実践を報告した論集です。能動型鑑賞、イメージングを通した表現づくり、グループダイナミクスを生かした活動、ユビキタス社会における基礎・基本の問い直しなど、小学校から中学校までの授業研究を収録。学習指導案のモデルや評価シートのサンプル、指導要領比較表といった資料も付き、実践と資料の往復ができます。
こんな人におすすめ
鑑賞指導や音楽づくりを研究テーマにする先生、校内研究で授業をまとめたい人。指導案モデルと評価シートを手元に置きたいとき、複数の実践を比べて自分の単元に近い例を探したいときに。
良い点
- 実践報告が具体的で数が多い
- 指導案モデルと評価シート付き
- コラムで論点が立ち上がる
気になる点
- 初版からの年数が経っている
- 報告ごとに文体が異なる
- 索引がなく探しにくい
出版社
スタイルノート
発売日
2011年08月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
改訂版とあるので、最初の版から時間が経っているんですね。目次に『pseudoなもの』『realなもの』というコラムがあって、ここだけでも読みたくなりました。
音楽の授業で、にせものと本物ってどういうことだろう。
佐藤メバル
そこは著者が繰り返し書いている論点だね。型を身につけずに自由にやらせるだけでは、多くの人の心を動かす音楽にはならない。
一方で、型を守らせるだけでは自分たちの表現にならない。その間で何を教えるかを、実践の形で報告している。
制約の中で工夫するという言い方が軸になっているよ。
橘ナナミ
なるほど。私の研究でも、形式を守ることと内容を出すことの両立は悩みどころなので、少し通じるものがあります。鑑賞の実践も多いんですね。
佐藤メバル
能動型の鑑賞活動の報告が中心にある。『大地讃頌』を発展的な教材として、自分なりの意味を持たせた聴き方を体験させる、といった具体的な試みが並んでいる。
巻末には指導案のモデルや鑑賞用評価シートのサンプルもあるから、研究で資料が必要なときにも助かる。複数の書き手による論集だから、関心のある章から読めばいいよ。
子どもがもっとアクティブに!小学校音楽「言葉がけ」のアイデア100
岩井智宏 著|明治図書出版
¥2,046(税込)
「しゃきっと立ちができているね」「ピッタリリズムできるかな?」「みんな発見名人だね」——授業の場面で交わされる前向きな言葉がけを100集めた一冊です。歌唱や心の解放、器楽、音楽づくり、鑑賞、そしてオンラインの場面まで、子どもの動きを引き出す言い方が並びます。前向きな声かけの積み重ねで、気になるあの子もじわじわ動き出すという見立てが全体を貫いています。言葉ひとつで場面が変わることを実感できる構成です。
こんな人におすすめ
小学校の音楽の先生、学級担任、初めて音楽を教える人。授業中に声をかける言葉に迷う場面、オンラインで子どもの反応が見えにくい場面に。ほめ方や促し方の引き出しを増やしたいときに。
良い点
- 100の言葉がけを場面別に収録
- オンラインの場面もカバー
- すぐ真似できる短さ
気になる点
- 理論的な解説は少なめ
- 声かけだけでは授業は完結しない
- 学年の指定は緩やか
出版社
明治図書出版
発売日
2021年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
言葉がけ、って軽く見られがちですけど、私はけっこう大事だと思っていて。塾で子どもに教えていたとき、同じ内容でも言い方で全然反応が違ったので。
『画面に手が出ているのはやる気』というのが、なんだかいいですね。
佐藤メバル
そういう実感がある人にはすっと入る本だね。この本は、しゃきっと立てているね、といった立ち方への言葉から、リズム、発見、オンラインまで、場面ごとに100並べている。
特別な技術ではなく、前向きな声かけを積み重ねることで、様子を見ていた子が動き出すという考え方が土台にある。
橘ナナミ
なるほど。でも、言葉だけ真似しても、心がこもっていないと伝わらない気もします。
佐藤メバル
いいところに気づいたね。だからこの本は、どの場面で、子どもの何を見て言うか、という形で並んでいる。たとえば立ち方なら姿勢を、リズムなら拍を、教師が見ている対象がはっきりしている。
それを踏まえて自分の言葉に置き換えるのがいい。同じシリーズの常時活動の本と組み合わせると、活動と言葉がそろって使いやすくなるよ。
一人ひとりが輝く音楽授業アイデア26
平野次郎 著|学事出版
¥2,200(税込)
思考力・判断力を表現につなげる音楽実践として、26の授業アイデアと7つのミニネタを収めた一冊です。息をそろえて拍に合わせる活動、リズムで集まれ、仲間を増やソング、『幸せなら手をたたこう』で学級の雰囲気を高める、といった具体な手順が並びます。子どもの活動を支える音楽づくりのワークシートと、ピアノが苦手でも弾ける伴奏楽譜が付いているのが実用的。伴奏に自信がない先生への配慮がはっきりしています。
こんな人におすすめ
小学校の学級担任、音楽が専門でない先生、初任の方。ピアノの伴奏に不安がある人、学級の雰囲気づくりから音楽に入りたい人。ワークシートと伴奏譜をそのまま使いたいときに。
良い点
- 伴奏が苦手でも使える楽譜付き
- 音楽づくりのワークシート付き
- 26例にミニネタを加えた手ごろさ
気になる点
- ページ数は多くない
- 対象学年は幅広め
- 発展の記述は簡潔
出版社
学事出版
発売日
2014年07月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ピアノが苦手でも楽しく弾ける伴奏楽譜が付いている、という一文で、ちょっと安心しました。音楽の先生って全員ピアノが得意なわけじゃないですよね。
担任の先生が音楽も持つ、という小学校あるあるだと思います。
佐藤メバル
そこを分かっている本だね。伴奏に自信がない先生が音楽の時間を憂うつに感じる、という現実がある。だからこの本は、易しい伴奏譜とワークシートをセットで付けている。
内容も、息をそろえて拍に合わせるところから始まって、リズムで集まれ、仲間を増やソングと、体を動かしながら入る活動が並ぶ。
橘ナナミ
『幸せなら手をたたこう』で学級の雰囲気を高めよう、というのも面白いですね。歌を学級づくりに使う発想。
佐藤メバル
そこがこの本の性格だね。音楽の技能を積むというより、思考や判断を表現につなげることを狙っている。だから学級の空気をつくる活動が最初に来る。
26という数は多いほうではないけれど、一つひとつの手順が丁寧に書かれている。ミニネタのリコーダー練習や音取りの工夫も、日常のちょっとした場面で使いやすいよ。
みんなで深める!小学校音楽あそび70
石上則子 著|明治図書出版
¥2,266(税込)
子どもの「音楽的な見方・考え方」を培い、子ども自身がそれを働かせて音楽の学習に主体的に関われるようにする——そのための音楽あそびを70収めた一冊です。現在の音楽科教育の動向を踏まえ、4つのパートで構成され、遊びの形を取りながら音楽の要素に触れていきます。ただ楽しいだけで終わらせず、遊びの中に学びの視点を埋め込んでいるのが特徴で、遊びと学びの橋をかける発想が学べます。
こんな人におすすめ
小学校の音楽専科、学級担任、低〜中学年で音楽に親しませたい人。授業の導入に遊びを置き、そこから何を見取るかを考えたい場面に。遊びを学びにつなげる視点が欲しいときに。
良い点
- 70の遊びを収録して数が多い
- 見方・考え方を軸にした構成
- 主体的な学びにつながる設計
気になる点
- 遊びの手順は簡潔な記述
- 評価への言及は少なめ
- 準備物は別途確認が必要
出版社
明治図書出版
発売日
2020年09月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『あそび』とひらがなで書いてあるのがいいですね。ただ、遊びだと、ただ楽しんで終わってしまうこともありそうで、そこが心配です。
佐藤メバル
その心配に答える作りになっているよ。この本は音楽的な見方・考え方を培うことを最初に置いて、子どもがそれを自分で働かせて学習に関われるように、という視点で70の遊びを選んでいる。
遊びの中に学びの視点を埋め込むのが狙いで、ただの息抜きではないんだ。
橘ナナミ
なるほど。4つのパートに分かれているんですね。音楽の要素ごとに並んでいるんでしょうか。
佐藤メバル
現在の音楽科教育の動向を踏まえた構成になっていて、遊びながら音や音楽の要素に近づいていく順序になっている。
低学年から中学年あたりで使いやすいものが多いけれど、遊びの形は学年を問わず応用がきく。指導案を書くときに、導入の活動としてこの遊びを置き、そこから何を見取るかを自分で足していく使い方がいいと思うよ。
こなっしーの 低学年だからできる! 楽しい音楽!
小梨貴弘 著|株式会社音楽之友社
¥2,200(税込)
『教育音楽 小学版』の連載を書籍化した、小学校低学年の音楽に特化した一冊です。音楽に苦手意識を持つ学級担任でも自信を持って指導できるよう、授業づくり、歌唱、共通教材の扱い、器楽、鑑賞、共通事項、常時活動、児童の発言への価値付け、評価までを段階的に扱います。低学年でどこまで技能を教えるか、音楽専科とどう連携するかという踏み込んだ論点も収録。学級担任の不安に寄り添う構成です。
こんな人におすすめ
小学校1・2年の学級担任、音楽専科、低学年の指導に慣れていない先生。音楽会や発表会の準備を進める場面、低学年で何をどこまで教えるかと迷ったときに手元に置きたい一冊です。
良い点
- 低学年に特化した内容が濃い
- 専科との連携まで論じる
- 授業づくりから発表会まで
気になる点
- 中学年以上には直接使えない
- 連載まとめで話題が広い
- 実践学年は1・2年に限られる
出版社
株式会社音楽之友社
発売日
2019年06月04日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
低学年に絞った本って、案外少ない気がします。しかも『低学年の集中力の限界は20分?!』なんて見出しがあって、そこから設計を考えているのが現実的ですね。
佐藤メバル
そこがこの本の持ち味だね。低学年は歌も楽器も、まず楽しさが先に立つ。だから授業の流れをパターン化して定着させるとか、教科書の曲をしっかりやるとか、続けられる形をつくることが書かれている。
低学年でどこまで技能を教えるか、という問いにも正面から答えているよ。
橘ナナミ
音楽専科の先生との連携の話も入っているんですね。担任と専科で方針が食い違うと、子どもが混乱しそうです。
佐藤メバル
まさにそこが大事なところで、この本は専科との連携を一つの章として立てている。あわせて音楽会や発表会の取り組み方も扱っていて、楽器担当の選び方や指揮の伝え方、伴奏の工夫まで具体的だ。
1年生の担任になった人が、4月から年度末まで見通せる作りになっているのがありがたいね。
小学校音楽イチ押し授業モデル中学年
今村行道 著|明治図書出版
¥2,420(税込)
新学習指導要領の内容の理解を深める丁寧な解説と、それを踏まえた歌唱・器楽・音楽づくり・鑑賞の実践を指導案形式で収録した一冊です。中学年の授業モデルに絞り、実力のある先生方の実践事例を、授業展開から評価まで通して読めます。若手には手順の見本として、ベテランには自分の読みとの違いを確かめる材料として使える構成。指導案の形で読めるのが、アイデア集との大きな違いです。
こんな人におすすめ
小学校3・4年の音楽を担当する先生、初任や若手の方。学習指導案を書く前の見本が欲しいとき、展開と評価のつながりを確かめたいとき。ベテランが授業を見直すのにも向きます。
良い点
- 4領域を指導案形式で収録
- 展開から評価まで一貫
- 中学年に内容を絞っている
気になる点
- 他学年にはそのまま使えない
- 学校事情への調整は必要
- 解説と実践の分量差がある
出版社
明治図書出版
発売日
2020年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
中学年、というくくりがいいですね。3年生はリコーダーが始まる学年で、私の記憶でも、あの辺りから音楽の難易度が上がった気がします。
佐藤メバル
そう、3・4年は歌唱も器楽も幅が出てくる時期だね。この本は学習指導要領の解説を丁寧に置いてから、歌唱、器楽、音楽づくり、鑑賞の実践を指導案の形で載せている。
展開と評価が一直線につながっているので、指導案を書くときの骨格の参考になるよ。
橘ナナミ
指導案って、大学の講義で書いたことはありますが、実際の授業の流れとどう対応するのか、いまいち実感がなくて。
ここに載っている事例は、何人かの先生の実践なんですよね。
佐藤メバル
そう、実力のある先生方の実践だから、ねらいの書き方から発問、評価の取り方まで生きた形で見られる。中学年に絞っているぶん、3年生でリコーダーをどう導入するか、音楽づくりをどう組むか、といった具体的な場面に落ちている。
ただ自分の学校の実態に合わせる調整は必要で、そこは読み替えながら使うといいよ。
たのしくできる歌唱共通教材の授業プラン
城佳世 著|学事出版
¥1,980(税込)
小学校の歌唱共通教材について、1年から6年までの授業プランを学年別に並べた一冊です。『うみ』『かたつむり』から『越天楽今様』『ふるさと』まで、各学年の教材ごとに指導の流れを示し、歌唱指導のアイデア、歌う意味、声の見える化、共通教材の存在理由も解説します。電子黒板やタブレットですぐ使えるデジタル教材がQRコードで参照できるのが実用的。教材名から引ける構成が使いやすい。
こんな人におすすめ
小学校の音楽専科・学級担任。歌唱共通教材の指導に不安がある人、持ち上がりで6年間の見通しを立てたい人。QRコードのデジタル教材を使って準備の時間を短くしたい場面にも。
良い点
- 1〜6年の共通教材を網羅
- QRコードでデジタル教材に接続
- 教材名から引ける構成
気になる点
- 器楽や鑑賞は扱わない
- QR先を見る環境が必要
- 実践の深さは学年で差がある
出版社
学事出版
発売日
2022年05月25日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
歌唱共通教材って、教科書に必ず載っている曲のことですよね。『うみ』『虫の声』『もみじ』……懐かしい。
でも、なぜこの曲たちが選ばれているのかは、考えたことがなかったです。
佐藤メバル
その問いに答える章があるんだ。なぜ歌唱共通教材があるのか、どうして人は歌うのか、といったところから始まって、学年ごとの教材の授業プランが続く。
声の見える化で自信を持たせる、という視点も面白い。1年から6年まで一冊で並んでいるから、持ち上がりの見通しも立てやすいよ。
橘ナナミ
電子黒板やタブレットですぐ使えるデジタル教材がQRコードで付いているのは、いまの授業らしいですね。準備の時間が減るのは助かります。
佐藤メバル
そこは実用的な工夫だね。ただ器楽や鑑賞は扱っていないから、歌唱に絞った本だと割り切って使うといい。学年ごとに4曲ずつ並んでいるので、自分の学年のところから開いて、前後の学年とつなげて読むと、子どもの育ちが見えてくるよ。
聴き合う耳と響き合う声を育てる合唱指導
寺尾正 著|音楽之友社
¥3,300(税込)
第1部の授業編では、歌い継がれてきた日本のわらべうたにポリフォニーの技法を取り入れた「わらべうた課題」で、聴き合う耳を育てます。楽譜や鍵盤楽器を使わず、聴き覚えを頼りに、聴きながら歌い歌いながら聴く力を身につける設計。第2部の合唱編ではヨーロッパのポリフォニー作品をエクササイズとして用い、音高の保持や各種唱法、発声を積み上げます。急がば回れという主張が全体を貫いています。
こんな人におすすめ
小学校の音楽専科、合唱部の指導者、中学校の合唱担当。耳を育てる基礎練習を体系的に組みたいとき、特別活動や合唱団の練習に取り入れたいときに。低学年の授業から使えます。
良い点
- わらべうたで基礎を学ぶ独自性
- 授業編と合唱編の二部構成
- 音痴の直し方まで言及
気になる点
- 楽譜の読み取りが前提の章がある
- 内容が専門的でやや硬め
- 添付映像との併用が望ましい
出版社
音楽之友社
発売日
2017年08月10日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
わらべうたで合唱の基礎を学ぶ、というのが意外でした。『だるまさん』をユニゾンで歌うところから始まって、カノン、二重カノン、オルガヌム……段階がついているんですね。
でも、楽譜を使わないで進めるって、音楽の授業で成立するんでしょうか。
佐藤メバル
そこがこの本の主張なんだ。教室での指導は聴き覚えをポイントにして、楽譜や鍵盤楽器に頼らず、聴きながら歌い、歌いながら聴く力を育てる。
急がば回れで、ポリフォニーで鍛えることが合唱の精度を高める道だと言い切っている。歌っている本人が楽しいかどうかにも気を配っているのがいいところだね。
橘ナナミ
歌っている人が楽しいかどうか、という視点、大事ですね。第2部はカノンやグレゴリオ聖歌まで出てきて、合唱団向けの内容になっていくんですね。
佐藤メバル
そう。第2部はヨーロッパのポリフォニーをエクササイズとして使い、正確な音高の保持、レガート唱法、発声のトレーニングを積み上げる。
最後には指導者からの質問に答える章もあって、パート分けやノン・ヴィブラートの悩みまで扱っている。低学年の授業から合唱団の練習まで、同じ原理で通しているのがこの本の面白さだよ。
「教える」から「学びを深める」うた授業へ 〜常時活動から歌唱共通教材、合唱へとつながる新しい学び方〜
ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
¥2,420(税込)
常時活動、歌唱共通教材・合唱曲、ICTの効果的な活用という3つの柱で、子どもが歌うこと・声を出すこと・表現することに楽しさを感じられる授業を提案する一冊です。現役の小学校教諭3名が、学習指導要領をベースに、子どもと音楽との多様な関わり方を解説。常時活動のアイデア、24の歌唱共通教材、合唱曲、ICT活用までが並び、QRコードから実演動画や学習動画の一部を参照できます。学ばせ方から見直すのが特徴です。
こんな人におすすめ
小学校の音楽専科・学級担任。歌の授業を安心して進めたい人、ICTや動画教材を取り入れたいとき、校内研修で歌の授業を話題にしたい場面に向きます。
良い点
- 常時活動から合唱まで一冊で
- QRコードで動画を参照できる
- 現役教諭3名の視点が生きる
気になる点
- 動画は一部のみの収録
- 章をまたぐ内容の重複がある
- 器楽は中心ではない
出版社
ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
発売日
2023年10月30日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
著者3名の先生が現役の小学校教諭というのがいいですね。『学ばせ方改革スタート』という見出しが、ちょっと強い言葉で目を引きました。教え方ではなく、学ばせ方。
佐藤メバル
そこがこの本の軸だね。教師が教える量を増やすのではなく、子どもがどう学ぶかの手順を設計する。常時活動、歌唱共通教材、合唱、ICTの章で、その具体が並んでいる。
子どもと音楽との関わり方を増やすという言い方をしているのが、この本らしいところだよ。
橘ナナミ
常時活動の章に『さんぽジャンケン』『おてぶし遊び』なんて遊びが並んでいて、ここから入るのかと。歌の授業なのに、という気もします。
佐藤メバル
その入り口が大事なんだ。体を動かし、拍を感じ、友達とやりとりしてから歌に入ると、声も出やすい。そのあとに歌唱共通教材が24曲続いて、合唱曲、ICT活用と進む。
授業アイデアのページにQRコードが付いていて、実演動画や学習動画の一部を見られる。ただし全部の教材の動画があるわけではないから、そこは期待しすぎないようにね。
イラストでみる合唱指導法
竹内秀男 著|教育出版
¥2,640(税込)
長年にわたり児童・生徒と学び、蓄積してきたものを発声法と合唱指導法の具体例としてまとめた一冊です。専門的な知識や技術に走らず、小学生や中学生でも理解できるイラストを多く取り入れ、イメージ化して指導しやすくしているのが特徴。各項目を1ページに限定し、必要な部分だけを取り出せるようにした配慮も行き届いています。1ページ1項目で引ける合唱指導の手引きです。
こんな人におすすめ
小学校・中学校の合唱を指導する先生、初めて合唱指導を任された人。発声の伝え方に困ったとき、指導中に該当ページをすぐ開きたい場面、短時間で確認したいときに。
良い点
- イラストで伝え方が分かる
- 1ページ1項目で引ける
- 小中学生にも通じる説明
気になる点
- 発行から年数が経っている
- 図版の再現は環境次第
- 最新の知見は別途必要
出版社
教育出版
発売日
2003年08月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
イラストでみる、というのが率直にありがたいです。声の出し方って、言葉で説明されても体のどこをどうするのか分からなくて。
私、高校の合唱祭でずっと『響かせて』と言われ続けた記憶があります。
佐藤メバル
その経験、多くの人が持っているよね。この本は、専門的な知識や技術に走らず、小学生や中学生でも理解できるようにイラストを多く使って、イメージ化して指導できるようにしている。
1ページに1項目という区切りも、必要なところだけ開けるようにする配慮なんだ。
橘ナナミ
1ページ1項目は使いやすいですね。発声法と合唱指導法の具体例、とありますが、何か一冊通しての主張のようなものはあるんでしょうか。
佐藤メバル
著者は、失敗を重ねながら長年子どもと学んできた蓄積をまとめたと書いている。だから理論を振りかざすのではなく、現場で効いた手だてが並ぶ。
ただ発行年が古いので、いまの指導要領や用語と突き合わせながら読むといい。発声の伝え方に迷ったときの座右の書として、長く使える一冊だよ。
中島先生の鑑賞授業の教材研究メモ
中島寿 著|株式会社音楽之友社
¥2,200(税込)
『教育音楽 小学版』の連載を書籍化した、鑑賞授業の教材研究に特化した一冊です。小学校の鑑賞教材曲を取り上げ、どのように教材研究をし、授業をどう組み立てるかを段階的に紹介します。『カルメン』『白鳥の湖』『動物の謝肉祭』『ピーターとおおかみ』、和楽器の音色、『夕やけこやけ』、そして書き下ろしの『運命』と『春』まで、曲ごとに研究の視点が並びます。自分の聴き方ができる子どもを育てるという問いが芯にあります。
こんな人におすすめ
小学校の音楽専科・学級担任。鑑賞の授業づくりに悩む人、教材研究の手順を知りたいとき、標題のある曲から音そのものに向き合う曲まで選びたい場面に。中学校の鑑賞指導にも応用できます。
良い点
- 曲ごとに教材研究の視点が並ぶ
- 書き下ろしの2曲を追加収録
- 鑑賞の意味から問い直す構成
気になる点
- 歌唱や器楽の指導は扱わない
- 音源は別途用意が必要
- 記述の密度に差がある
出版社
株式会社音楽之友社
発売日
2020年11月19日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
鑑賞の授業って、曲をかけて感想を書かせる、くらいの記憶しかなくて。正直、何を学ばせる時間なのか分かっていませんでした。この本はそこから迫っているんですね。
佐藤メバル
そう、まさにIntroductionで『自分の聴き方ができる子ども』を育てるには、と問いを立てている。
曲ごとに教材研究メモが並んで、どこに耳を向けさせ、どう授業を組むかまで書かれている。教材研究の手順がそのまま見えるのが、この本のいちばんの価値だね。
橘ナナミ
曲の幅も広いですね。『ワルツを踊るねこ』みたいな親しみやすい曲から、和楽器の音色、『運命』やヴィヴァルディの『春』まで。
書籍化にあたって書き下ろした2曲というのは『運命』と『春』ですか。
佐藤メバル
そう、その2曲が追加で収録されている。標題のある曲から、音そのものに耳を向ける曲まで並んでいるから、学年や単元に応じて選べる。
鑑賞は答え合わせではないという前提が全体にあるので、感想を書かせて終わりにしない授業の作り方が見えてくるよ。
小学校 音楽づくりの理論と実践
丸林実千代 著|学文社
¥2,420(税込)
小学校の音楽づくりについて、教員を目指す学生向けに、実践の背景となる理論を整理しながら構想と実践を紹介する一冊です。各章がエッセイ、実践の背景(理論)、実践(例)、学生のみなさんへ、という項目で構成され、全5章。子どもの聴く耳を呼び覚ますところから、ミニマル・ミュージック、イメージと音の行き来、物語を音楽で表す活動、わらべうた遊びまで扱います。理論と事例の往復で音楽づくりがつかめます。
こんな人におすすめ
教員養成課程で音楽を学ぶ学生、初めて音楽づくりを教える先生。音楽づくりの理論的な裏づけが欲しいとき、巻末の資料編で実践構想を確かめながら指導案を組みたいときに。
良い点
- 各章が理論・実践・メッセージの三部作
- 実践例が学年付きで具体的
- 巻末に実践構想の資料
気になる点
- 学生向けで語り口が平易
- 演奏技能の解説は少なめ
- 事例の学年は限られる
出版社
学文社
発売日
2026年01月10日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
音楽づくり、って授業でやった記憶がほとんどないんです。リコーダーと歌が中心で。だから、そもそも何をする時間なのかを知りたくて。
『実践の背景(理論)』と『実践(例)』が対になっている構成は、研究の論文みたいで読みやすそうです。
佐藤メバル
そこがこの本の作りで、各章がエッセイ、理論、実践、そして学生のみなさんへ、という並びになっている。第1章は子どもの聴く耳を呼び覚ますところから始まり、第2章はミニマル・ミュージック、第3章は音とイメージの行き来、第4章は物語を音楽で表す活動、第5章はわらべうた。
理論から入って実践で確かめる流れだね。
橘ナナミ
『もけらもけら』のイメージを音で表す、という実践が気になります。絵本を音楽にするんですね。巻末に実践構想の資料も付いていると。
佐藤メバル
そう、各章の実践構想が資料編にまとまっているから、指導案を書くときの下地になる。子どもが内発的に音や音楽を追いかける姿を、長く実践してきた人のエッセイが起点になっているのがいい。
教員を目指す学生向けに書かれているけれど、現場の先生が音楽づくりの単元を組むときにも十分使えるよ。
たのしい楽器あそびと合奏の本 伴奏CD付き
赤羽美希 著|ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
¥3,300(税込)
楽器導入指導の決定版として、はじめての合奏にぴったりの内容をまとめた一冊です。まずゲームをしながら音を聴く姿勢や楽器の扱い方を学び、次に失敗のない合奏アレンジで音を出し、自信がついたところで基本のリズムパターンを体験し、歌や伴奏に合わせて合奏する——という段階を踏みます。よく知られた32曲を収載し、ピアノ伴奏譜と伴奏音源CD付き。指導者が一人でも進められる設計です。
こんな人におすすめ
幼稚園・保育園の先生、小学校低学年の担任、ピアノ教室の指導者。はじめての合奏に取り組む場面、発表会や音楽の授業で伴奏の手段を選びたいときに向きます。
良い点
- 音を聴く姿勢から段階を踏む
- 32曲と伴奏CD付きで使いやすい
- 対象年齢が低く入りやすい
気になる点
- 高度な合奏には進みにくい
- 曲の好みは分かれるかも
- 中学年以上には易しい
出版社
ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
発売日
2025年01月30日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
対象年齢が3歳以上というのに驚きました。3歳で合奏ってできるんですか。でも、まずゲームをしながら音を聴く姿勢を学ぶ、とあるので、そこから始めるんですね。
佐藤メバル
そう、いきなり楽器を持たせないのがポイントなんだ。音を聴く姿勢と楽器の扱い方を先に学んで、次に失敗のないアレンジで音を出してみる。
自信がついたらリズムパターンを体験して、歌や伴奏に合わせて合奏する。段階を踏むから崩れないようになっている。
橘ナナミ
伴奏CDが付いているのもいいですね。ピアノが弾けない先生でも、CDがあれば合奏を進められます。曲も『おもちゃのチャチャチャ』『村まつり』『ソーラン節』など32曲で、けっこう幅があります。
佐藤メバル
保育や授業、発表会、ピアノ教室まで使えると書いてあるとおり、場面を選ばないラインナップだね。ピアノ伴奏譜もあるから、弾ける先生は生伴奏で、弾けないときはCDで、と切り替えられる。
ただあくまではじめての合奏が対象だから、ある程度演奏が進んだ子には物足りないかもしれない。
楽しい! おもしろい! すごい! と子どもが感じる器楽指導
初山正博 著|株式会社音楽之友社
¥2,640(税込)
月刊誌『教育音楽 小学版』の連載をまとめた、小学校の器楽合奏指導の一冊です。リコーダー、鍵盤ハーモニカ、木琴・鉄琴、打楽器という各楽器の指導のポイントから、電子楽器の活用法、拍や音量バランスといった合奏の指導法、曲想にふさわしい表現の工夫までを理論立てて説明します。合奏指導は教師の感覚に頼りがちなところを、根拠のある手順に置き換えていく構成です。
こんな人におすすめ
小学校の音楽専科・学級担任、音楽会や卒業式で合奏を担当する人。合奏指導を理論から組み立てたいとき、楽器ごとのポイントを確認したいとき、電子楽器の使い方に迷った場面に。
良い点
- 楽器ごとの指導ポイントが明確
- 電子楽器の活用法まで扱う
- 合奏の表現の工夫を体系的に解説
気になる点
- 連載まとめで記述がやや硬い
- 実践の音源は付属しない
- 高学年向けの内容も含む
出版社
株式会社音楽之友社
発売日
2025年10月08日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『楽しい!おもしろい!すごい!』というタイトル、いいですね。子どもがそう感じるかどうかを基準にしているのが分かります。
でも中身は理論立てて説明しているとあって、そこが気になります。
佐藤メバル
そこがこの本の売りなんだ。器楽合奏は音楽会や卒業式と結びつくことが多くて、ある程度の完成度が求められる。
でも指導はどうしても教師の感覚になりがちだった。それを筋道立てて説明するのがこの本の役割で、楽器ごとのポイントから入って、合奏の指導法、表現の工夫へと進む。
橘ナナミ
電子楽器の活用の章があるのが意外でした。シンセサイザーと電子キーボードの違い、音色の活用……学校でそんなに電子楽器を使うんですか。
佐藤メバル
意外に幅があるんだよ。音色を変えれば、少ない人数でも合奏の厚みが出せる。ただ電子楽器は音の仕組みを理解して使わないと宝の持ち腐れになるから、その基礎から書いてある。
全体に高学年向けの内容も含むから、自分の学年に合わせて拾い読みするといいよ。
特別支援学校の音楽づくり 子どもが見つけた音でつくる楽しい授業
岡ひろみ 著|クリエイツかもがわ
¥2,200(税込)
東南アジア発祥の竹楽器「トガトン」やボンゴ、マリンバだけでなく、お仏壇のお鈴、机、調理用ボウルまで使って、音の世界に浸る音楽づくりを紹介する一冊です。特別支援学校の教諭としての経験をもとに、叩けば必ず音が出る打楽器を使い、発達年齢にとらわれず、正解も失敗もない音楽をつくります。音楽づくりを通して子どもの表出する意思を読み取る指導力や関係性づくりにも触れ、特別支援教育の本質に迫ります。
こんな人におすすめ
特別支援学校・特別支援学級の先生、音楽を通して子どもと関わる人。音を入り口にした関係づくりを考えたいとき、通常学級で正解のない音楽づくりに取り組みたい場面にも参考になります。
良い点
- 身近な物を楽器にする発想が豊か
- 打楽器中心で参加しやすい
- 実践編とアンケート調査を収録
気になる点
- 通常学級への応用は要工夫
- 図版の有無は環境次第
- 理論編は歴史的背景が中心
出版社
クリエイツかもがわ
発売日
2024年09月11日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
お仏壇のお鈴や調理用ボウルを使う、というのに驚きました。楽器じゃないものを楽器にする発想が、なんだか自由でいいですね。
特別支援学校の音楽は、普通の音楽の授業とは違うんでしょうか。
佐藤メバル
違うというより、音楽づくりの原点が見えるんだ。この本は叩けば必ず音が出る打楽器を中心にして、発達年齢にとらわれず、正解も失敗もない音楽をつくる。
音を出すことそのものが参加になるから、意思の表出を読み取るところから指導が始まる。トガトンやマリンバのような楽器も登場するけれど、机やボウルでも同じことが起きるんだよ。
橘ナナミ
正解も失敗もない、という言葉がいいですね。音楽の授業って、音を外したらどうしようという空気がありませんでしたか。
私、合唱で隣の音につられて焦った記憶があります。
佐藤メバル
その空気を外すのがこの本の狙いだね。Part1で音楽づくりとは何かを整理し、Part2が実践編、Part3が歴史的背景、Part4が特別支援学校の音楽授業に関するアンケート調査という構成になっている。
実践と調査の両方が入っているから、授業の作り方と現場の実情を合わせて見られる。通常学級で音楽づくりを考えるときにも参考になるよ。
はじめてでもわかりやすいリトミックを活用した授業アイデア 小学校音楽
井上恵理 著|明治図書出版
¥2,310(税込)
いつもの授業にすぐ取り入れられる73のアイデアを収めた、リトミックを活用した音楽授業の一冊です。遠くにある椅子に「おはよー!」と呼びかけてみる、円になって合唱してみる——そんな小さな工夫で子どもが生き生きする様子を、具体的な場面として示します。教材研究にも教材としても使える音源や動画が視聴できるのが実用的。動きながら音を感じる活動を増やしたい人に向きます。
こんな人におすすめ
小学校の音楽専科・学級担任、初めて音楽を教える先生。体を動かす活動を授業に取り入れたいとき、導入の声かけに困ったとき、音源や動画も併用して準備を軽くしたい場面に。
良い点
- 73のアイデアをすぐ使える
- 音源と動画を参照できる
- 小さな工夫から始められる
気になる点
- リトミックの理論解説は少なめ
- 高学年には易しい内容も
- 動画の視聴環境が必要
出版社
明治図書出版
発売日
2024年09月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
遠くにある椅子に『おはよー!』と呼びかける、というのが載っているそうで、たったそれだけで子どもが生き生きする、というのが不思議です。声を届ける意識が生まれるんですかね。
佐藤メバル
そういうことだね。遠くに届けるには息を流して声を出す必要がある。歌う前に、声を飛ばす感覚を遊びでつかんでおくわけだ。
円になって合唱する、というのも同じで、互いの声が聞こえる位置を体で覚える。動きながら音を感じるのがリトミックの考え方なんだ。
橘ナナミ
73ものアイデアがあると、毎回の導入に困らなさそう。教材研究にも教材としても使える音源や動画が視聴できる、というのも、準備の助けになります。
佐藤メバル
そこは実用的だね。ただ理論の説明は厚くないから、リトミックそのものを深く知りたいなら別の本が要る。あくまで、いつもの授業にすぐ入れられる手だての集まりとして使うのがいい。
低学年でとくに効く内容が多いけれど、高学年でも声や拍の感覚を確かめる活動として使い直せるよ。
「我が国の音楽」の魅力を実感できるワクワク音楽の授業
津田正之 著|学事出版
¥2,420(税込)
理論と実践をバランスよく学べる構成で、我が国の音楽の授業づくりを支える一冊です。第1部と第3部で理論を、第2部で実践を扱い、文字情報だけでなく学習指導場面の映像を通しても学べるのが特徴。指導が難しいとされる音楽づくりの活動の具体例も示されます。伝統文化教育に協力した日本舞踊の家元へのインタビューや、授業に役立つ書籍・映像資料の情報も収録。新しい学習指導要領に準拠しています。
こんな人におすすめ
小学校・中学校の音楽専科・学級担任。和楽器や伝統音楽の授業に不安がある人、映像資料や参考情報を探しているとき、単元を指導要領の目標から組み立てたい場面に向きます。
良い点
- 理論と実践のバランスがよい
- 映像で指導場面を学べる
- 音楽づくりの具体例がある
気になる点
- 映像の視聴環境が前提となる
- 扱う題材は我が国の音楽に限定
- 内容の分量はやや多め
出版社
学事出版
発売日
2020年05月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
和楽器とか日本の伝統音楽って、指導が難しいと聞きます。先生自身が学校で習っていないことが多いから、という理由でしょうか。
この本は映像で学習指導場面を見られるのがいいですね。
佐藤メバル
そこが大きい。我が国の音楽は、言葉だけでは伝わりにくい。だからこの本は第1部と第3部で理論を、第2部で実践を扱って、実際の指導場面の映像も通して学べるようにしている。
理論と実践を往復しながら、自分の授業に落としていける構成だね。
橘ナナミ
日本舞踊の家元の方のインタビューが載っているのも珍しいです。伝統文化教育に協力してくださった方の話を、授業づくりに生かすんですね。
佐藤メバル
そういう外部の力の借り方も含めて書かれているのが実用的だよ。指導が難しいとされる音楽づくりの活動の具体例が示されているのも助かる。
ただ映像を見る環境が前提になる部分があるから、そこは確認しておいて。新学習指導要領の目標や内容に準拠しているので、単元を組むときの拠りどころになるよ。
理論書・実践書・資料集をどうつなぐか
橘ナナミ
さっきの「役割分担」の話、実際にはどうつなげるんですか?
佐藤メバル
たとえば「評価が不安」というとき。まず『音楽的思考を育てる資質・能力スタンダード』で、資質・能力スタンダードと評価計画の考え方を押さえる。次に『音楽教育実践学事典』を開くと、観点別評価やパフォーマンス評価、ポートフォリオ評価、評定・成績評価が項目として引ける。そこで出てきた「知覚・感受」という言葉を、今度は『小学校音楽「常時活動」のアイデア100』の活動に当てはめてみる。理論→用語の確認→明日の活動、という順でつながるんだ。
橘ナナミ
本が参考文献でつながっている、みたいな感じですね。
佐藤メバル
そう。『小学校 音楽づくりの理論と実践』は各章が「実践の背景(理論)」「実践(例)」「学生のみなさんへ」の三つで構成されていて、橋が本文の中にかけられている。学生向けに書かれているけれど、現職の先生が読んでも整理になるよ。あと忘れがちなのが資料集の役割。『新しい小学校音楽科の授業をつくる』には共通教材の簡易伴奏と通常伴奏、さらに音楽理論の章と指導要領の抄まで入っている。一冊が「読み物」と「資料」を兼ねている本は、手元にあると強い。
授業の「困った」から逆引きする
橘ナナミ
読者の人って、たぶん「授業がうまくいかない」という場面から探すと思うんです。そういう引き方はできますか?
佐藤メバル
「集中しない」なら、岩井智宏さんの『子どもがもっとアクティブに! 小学校音楽「言葉がけ」のアイデア100』。「しゃきっと立ちができているね」のような前向きな声かけが100並んでいて、オンラインの場面の言葉がけも入っている。導入の5分でつまずくなら『小学校音楽「魔法の5分間」アクティビティ』、5〜10分の常時活動なら『小学校音楽「常時活動」のアイデア100』で、歌唱・器楽・音楽づくり・鑑賞にまたがって紹介されている。低学年の音楽会なら『こなっしーの 低学年だからできる! 楽しい音楽!』が、楽器担当の決め方や演出まで書いていて心強いよ。
橘ナナミ
あがりやすい、声が出ない、という悩みはどうでしょう。私は発表の前、毎回手が冷たくなるので他人事じゃないです。
佐藤メバル
からだの話は意外と手薄にされがちだけど、本はある。寺尾正さんの『聴き合う耳と響き合う声を育てる合唱指導』は、呼吸法と横隔膜の使い方、ハミングで声帯筋群を鍛える練習、気導音と骨導音を聴き分けるところまで、身体の使い方として書いている。眞鍋淳一さんの『授業のための合唱指導虎の巻』には、姿勢や脱力、フェイストレーニング、ヴォイストレーニング、そしてメンタルトレーニングまで60のアイデアとして並ぶ。竹内秀男さんの『イラストでみる合唱指導法』は1ページに1項目、イラストで発声法と合唱指導法を示す構成だよ。
橘ナナミ
伝統音楽や和楽器、それから音楽史や教養の本は?
佐藤メバル
『「我が国の音楽」の魅力を実感できるワクワク音楽の授業』が理論と実践をバランスよく置いていて、指導が難しいとされる音楽づくりの具体例や、日本舞踊の家元へのインタビューも入っている。『新しい小学校音楽科の授業をつくる』にも「異文化の音楽」「日本の伝統音楽」の章がある。音楽史や教養は、『音楽教育実践学事典』の「音楽と生活・社会・文化」「いろいろな音楽」の項目群が入口になる。雅楽、箏曲、尺八音楽、歌舞伎、人形浄瑠璃、諸民族の音楽と楽器、西洋音楽の各時代、ポピュラー音楽、現代音楽まで並ぶので、扱う曲の背景を調べる資料として強い。
予算の組み立てと、選書で失敗しがちなパターン
橘ナナミ
失敗しがちなパターンって、ありますか?
佐藤メバル
三つある。一つは分厚い理論書から入って読めなくなるパターン。二つめは、目次に「新学習指導要領」と書いてあるかを確かめずに買い、内容が前の指導要領期のままというパターン。三つめは校種を確かめずに買うパターン。中学校向けの題材や発達段階のまま小学校で使おうとして、しっくりこない、というのはよくある相談だよ。
橘ナナミ
絶版で手に入らない本の相談も来そうですね。
佐藤メバル
そのときは役割で代替を考える。イラストで発声を掴みたいなら『授業のための合唱指導虎の巻』や『聴き合う耳と響き合う声を育てる合唱指導』、能動型の鑑賞を組み立てたいなら『中島先生の鑑賞授業の教材研究メモ』、常時活動を探しているなら『小学校音楽「常時活動」のアイデア100』や『「教える」から「学びを深める」うた授業へ』。同じ目的を別の角度から書いた本が必ずあるから、一冊に固執しなくていい。
橘ナナミ
予算が少ないときは?
佐藤メバル
まず全体像を一冊。次に、今年いちばん困っている分野を一冊。この二冊で始めるのが現実的だよ。評価の本、ICTの本、器楽の本を最初から揃える必要はない。
よくある質問
音楽の授業づくりの本は何から読めばいいですか?
橘ナナミ
音楽の授業づくりの本は何から読めばいいですかについて教えてください。
佐藤メバル
まずは校種に合った全体像を一冊。小学校なら『新しい小学校音楽科の授業をつくる』、中学校なら『これでできる! 音楽科の授業創り』です。どちらも歌唱・器楽・音楽づくり・鑑賞から評価までを一冊で見渡せる構成なので、最初に読む土台になります。二冊目以降は、今年いちばん困っている分野から選ぶと迷いません。
小学校と中学校でおすすめの本は違いますか?
橘ナナミ
小学校と中学校でおすすめの本は違いますかについて教えてください。
佐藤メバル
変わります。扱う題材名や発達段階が違うからです。『新しい小学校音楽科の授業をつくる』は小学校の四領域と評価、『これでできる! 音楽科の授業創り』は中学校音楽科の教師として31年積み上げた指導観と学習指導案の作り方。一方で『音楽教育実践学事典』や『音楽的思考を育てる資質・能力スタンダード』は校種をまたいで読めます。校種特化の一冊と横断的な一冊を組み合わせるのが堅い選び方です。
新任の音楽教員が最初に買うべき本はどれですか?
橘ナナミ
新任の音楽教員が最初に買うべき本はどれですかについて教えてください。
佐藤メバル
手順が書いてある本を選ぶのがコツです。中学校なら『これでできる! 音楽科の授業創り』で、授業創りの10箇条と学習指導案・年間指導計画・ワークシートが揃います。小学校低学年の学級担任なら『こなっしーの 低学年だからできる! 楽しい音楽!』が、授業規律のつくり方から音楽会の取り組み方までを扱っています。伴奏に自信がなければ、平野次郎さんの『一人ひとりが輝く音楽授業アイデア26』の弾きやすい伴奏楽譜が助けになります。読むより先に、明日の動きが分かる本から始めましょう。
歌唱指導が苦手でも参考になる本はありますか?
橘ナナミ
歌唱指導が苦手でも参考になる本はありますかについて教えてください。
佐藤メバル
あります。丸山久代さんの『歌う力を育てる! 歌唱の授業づくりアイデア』は第2章がQ&A形式で、「音取りの時間が単調」「音がとれない子」など現場の疑問に答えています。共通教材を学年ごとに追うなら『たのしくできる歌唱共通教材の授業プラン』、からだの使い方から入るなら寺尾正さんの『聴き合う耳と響き合う声を育てる合唱指導』。自分の苦手な場面を目次で探して、その章だけ開く読み方で十分です。
学習指導要領に対応した本はどう選べばいいですか?
橘ナナミ
学習指導要領に対応した本はどう選べばいいですかについて教えてください。
佐藤メバル
内容紹介や目次に「平成29年版学習指導要領」「新学習指導要領」と明記されているかを確認してください。『新しい小学校音楽科の授業をつくる』は資料として小学校学習指導要領(平成29年3月)の抄を収録していますし、『「我が国の音楽」の魅力を実感できるワクワク音楽の授業』は新学習指導要領の目標や内容に準拠した理論と実践です。明記がない本は、対応を自分で確かめてから使うと安全です。
予算が少ないとき優先して買うべき本は?
橘ナナミ
予算が少ないとき優先して買うべき本はについて教えてください。
佐藤メバル
全体像を一冊、そして今年いちばん困っている分野を一冊。この二冊で始めるのが現実的です。価格の目安でいえば『たのしくできる歌唱共通教材の授業プラン』や『子どもがもっとアクティブに! 小学校音楽「言葉がけ」のアイデア100』は比較的手に取りやすいほう。評価・ICT・器楽を最初から揃える必要はありません。買う順番を決めることのほうが、冊数より効いてきます。
絶版で手に入らない本の代わりになる本はありますか?
橘ナナミ
絶版で手に入らない本の代わりになる本はありますかについて教えてください。
佐藤メバル
目的で置き換えると考えやすいです。イラストで発声を掴む『イラストでみる合唱指導法』が見つからなければ、『授業のための合唱指導虎の巻』や『聴き合う耳と響き合う声を育てる合唱指導』。能動型の鑑賞を組み立てたいなら『中島先生の鑑賞授業の教材研究メモ』、常時活動を探しているなら『小学校音楽「常時活動」のアイデア100』や『「教える」から「学びを深める」うた授業へ』があります。一冊に固執せず、役割で代替しましょう。
楽典や音楽理論の勉強におすすめの本はどれですか?
橘ナナミ
楽典や音楽理論の勉強におすすめの本はどれですかについて教えてください。
佐藤メバル
この並びに楽典の専門教本はないので、正直に分けて考えます。『新しい小学校音楽科の授業をつくる』には音楽理論の章があり、譜表と音名、音符と休符、音階、移動ド唱法、音程、三和音、コード記号、移調、音楽用語を一通り確認でき、共通教材の伴奏譜も収録されています。『音楽教育実践学事典』は「音楽の仕組みと表現」の項目で音色・リズム・拍子・音階・調・旋律・テクスチュア・形式などを引けます。まず授業で必要な範囲をこの二冊で押さえ、さらに深く学ぶなら楽典の専門書を別に用意するのが近道です。
まとめ
橘ナナミ
佐藤さん、今日の話を聞いて、本は「全部読まなきゃ」と思っていた自分に気づきました。
佐藤メバル
それでいいんだよ。音楽の授業の本は、楽譜に近い。最初から最後まで通して弾く必要はない。単元のここで困ったな、と思った小節を開いて、必要な和音だけ拾えばいい。
橘ナナミ
読むっていうより、弾くんですね。
佐藤メバル
そう。で、開いただけでは音は出ない。自分の教室で一度やってみる。うまくいかなかったら、また別の本の別の小節を開く。この往復が、たぶんいちばん力になる。読んだ冊数は、授業の上手さとは比例しないからね。
橘ナナミ
本棚が、私の楽譜棚になる感じですか?
佐藤メバル
いいまとめだね。理論書は「なぜ」を教えてくれて、実践書は「どう動くか」を教えてくれる。どちらか一方だけでは、授業は演奏にならない。
橘ナナミ
じゃあ友達には、まず全体像を一冊、そして今年いちばん困っている分野を一冊、って伝えます。全部そろえなくてもいいんですよね。
佐藤メバル
そう。本棚はスコア、教室はホール。最初の一音は、いつでも先生自身が鳴らすんだよ。
