音楽の効果がわかる本のおすすめ人気ランキング16選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
作業中に音楽を流すと捗る気がするんですけど、これって気のせいですか? 「音楽 効果 本」で検索してみたら、自信がなくなってしまって。
佐藤メバル
いい質問だね。「気分や覚醒度に影響する」ところまでは研究の蓄積がある。でも「集中力が上がる」「記憶力が良くなる」という言い方になると、条件つきになる。その条件を落とさずに書いている本を選ぶのが大事なんだよ。
橘ナナミ
条件つき、というのが気になります。
佐藤メバル
歌詞のある曲かどうか、慣れた曲かどうか、音量、そして作業の種類。読書のように言語を扱う作業と、単純な作業では結果が変わる。『音と脳』は聴覚神経科学の立場から、音楽家の脳や騒音の影響まで含めて「音と脳の協調関係」を描いていて、この条件の部分をいちばん冷静に押さえられる一冊だよ。
橘ナナミ
なるほど…! じゃあ、いきなり「集中できる本」を探すより、しくみから入ったほうがいいんですね。
佐藤メバル
そう。それと、音楽の効果には「娯楽としての実感」と「治療としてのエビデンス」という別の階層がある。『音楽療法はどれだけ有効か』は、コクラン・ライブラリーのような信頼できるエビデンスの源に触れながら、認知症や失語症、パーキンソン病で何が確立していて何が途上なのかを分けて書いている。誇張しない本は、読者の期待を裏切らないんだ。
橘ナナミ
期待を裏切らない、という言い方が意外でした。効果を大きく見せる本のほうが読まれそうなのに。
佐藤メバル
書店員だった頃、効果をうたう帯の本ほど返品されるのを見てきたよ。読者は読み終えたあとに「で、自分は何ができるんだろう」と考える。だから今日は、その「で、どうする」まで届く本を選んでいこう。
音楽の効果がわかる本の選び方
目的別に選ぶ(集中・睡眠・運動・リラックス・記憶・認知症ケア)
橘ナナミ
目的別だと、たとえば睡眠に効く本はあるんですか?
佐藤メバル
『音楽療法はどれだけ有効か』の第6章では、睡眠障害や呼吸器疾患、痛みといったテーマごとにコクラン・ライブラリーの報告が整理されている。睡眠に音楽を使いたいなら、まずこういう一次情報に近い整理から入るといい。運動や高齢者のケアなら『最新研究による 高齢者音楽療法』が、フレイルや認知機能の変化、睡眠、痛み、がん関連まで2020年代の研究を章立てで追っている。
橘ナナミ
認知症ケアの現場だったら?
佐藤メバル
同じ本の第5章が高齢者音楽療法のプログラム構成、第8章がエンドオブライフ・ケア。『音楽で育てよう』や『感覚統合を活かして子どもを伸ばす!音楽療法』は対象が子どもだから、目的と対象がはっきり違う。誰に、どの場面で効かせたいのかを先に決めるのが出発点だね。
レベル別に選ぶ(入門・中級・専門職)
橘ナナミ
まったくの入門だと、どれから読めばいいんでしょう。
佐藤メバル
読みやすさで言えば『音楽療法はどれだけ有効か』。最新の知見を盛り込んで文庫化されているから、エビデンスの読み方から入れるのが強みだね。中級なら『標準音楽療法入門(上)理論編』で、総説・歴史・理論・音楽心理学・臨床心理学・医学的知識という養成課程の必修科目をバランスよく押さえられる。
橘ナナミ
研究者や専門職向けは?
佐藤メバル
『音楽と感情の心理学』は音楽と感情を扱った専門書で、演奏不安や映画音楽、日常の音楽聴取まで及ぶ。『絆の音楽性』は27の論考からなる学術書で、母子の音声相互作用から生まれた「コミュニカティヴ・ミュージカリティ」という概念を軸にしている。こちらは気軽に読む本ではなく、心理学の素養が要る。
エビデンスの種類で選ぶ(査読研究・専門家著・体験談)
橘ナナミ
「エビデンス」って、本によって意味が違う気がして…。
佐藤メバル
そこがいちばん大事なところ。査読論文を踏まえた研究書、専門家が現場経験から書いた実践書、個人の体験談。この三つは信頼度の層が違う。『音楽療法はどれだけ有効か』はハゲタカジャーナルへの注意まで書いていて、エビデンスの格付けそのものを教えてくれる。逆に『今すぐ「ヒーリングミュージシャン」になる方法』は、効果の証明ではなく活動の背中を押す本だと割り切って読むといい。
橘ナナミ
モーツァルト効果みたいな話は、どの本で確かめられますか?
佐藤メバル
効果をうたう本ほど出典を確かめたい。その言説がどんな実験で、どんな条件下で言われたのか。『音と脳』は音楽と言語・読字の関係を神経科学の側から丁寧に扱うので、俗説と研究知見の距離を測る物差しになるよ。
用途別に選ぶ(聴く・演奏する・支援する)
橘ナナミ
自分で演奏したり作曲する側の本もあるんですか?
佐藤メバル
『音楽療法で使う即興・伴奏・作曲』は、楽譜に書かれていないことを音にする技術を30日の課題で身につけるワーク集。対象者の動きや表情に合わせて演奏を変える「臨床即興」という考え方が丁寧に説明されている。『音楽療法の必須100曲(高齢者編)』は高齢者の声域に合わせたキーで全曲伴奏譜、40曲にベル譜も付いている。
橘ナナミ
支援する側、ケアする側は?
佐藤メバル
『歌うことが口腔ケアになる』は、歌うことが誤嚥性肺炎の予防や摂食嚥下リハビリにどう関わるかをQ&A形式で整理している。『音楽療法・レッスン・授業のためのセッションネタ帳』は現場の「ネタ」を集めた実践集。理論書のあとに開くと、現場の解像度が上がる。
形式・媒体で選ぶ(翻訳専門書・新書・理論書)
橘ナナミ
翻訳書って、訳が硬いと挫折しそうで…。
佐藤メバル
翻訳書は原著との対応と訳語のクセを見るといい。『音楽と感情の心理学』は原書名 Music and Emotion: Theory and Research の翻訳で、章立てが原著に対応している。『音と脳』は巻末に原注・索引・用語一覧があり、訳者あとがきと解説も付いているから行き来しながら読める。『音楽・情報・脳』は放送大学の教材で15章構成。こうした本は紙で手元に置き、必要な章から読む使い方もできる。
音楽の効果がわかる本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、16冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
音楽の効果がわかる本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい
音楽療法はどれだけ有効か
佐藤正之 著|化学同人
¥1,100(税込)
音楽療法は本当に効くのか——その問いにエビデンスの側から正面きって答える一冊です。コクラン・ライブラリーを基準に、認知症のBPSD、失語症へのメロディック・イントネーション・セラピー、パーキンソン病の歩行、脳卒中の上肢麻痺といった領域ごとに、有効性が確立したものと研究途上のものを分けて整理。御浜・紀宝プロジェクトなど著者自身の取り組みも交え、最新知見を盛り込んで文庫化されました。効果を過大に見せる本とも、全否定する本とも違います。
こんな人におすすめ
音楽療法に携わる人、医療や介護の現場で非薬物療法を検討している人、認知症や失語症の家族を支える人に向きます。効果の根拠を知ったうえで実践したい人、研究論文の読み方を学びたい学生にも。文庫版で手に取りやすいのも助かります。
良い点
- エビデンスの考え方から丁寧に説明
- 疾患別に有効性を切り分けて整理
- 著者自身の臨床研究も収録
気になる点
- 効果を過大に期待すると物足りない
- 専門用語が多く読み応え重視
- すぐ使える実践手順は少なめ
出版社
化学同人
発売日
2023年02月13日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
音楽療法って「気持ちが安らぐ」くらいのイメージだったんですが、この本は効果を測る話から始まるんですね。
佐藤メバル
いいところに気づいたね。土台はエビデンス、つまり根拠の質をどう見極めるかです。信頼できる情報源の話から入り、認知症のBPSDのようにほぼ確立した領域と、まだ研究途上の領域を分けて描きます。
著者自身が関わった御浜・紀宝プロジェクトも紹介されていて、誇張しない姿勢が印象的です。
橘ナナミ
じゃあ「効く・効かない」の白黒ではなく、どこまで分かっているかを地図みたいに示してくれる本なんですね。
佐藤メバル
そう、地図なんです。失語症にはメロディック・イントネーション・セラピーの日本語版、パーキンソン病では歩行とリズムの関係が検討される。
原因疾患によって内容が変わるという視点は、現場での組み立て方を変えてくれますよ。
音と脳ーーあなたの身体・思考・感情を動かす聴覚
ニーナ・クラウス 著|紀伊國屋書店
¥2,970(税込)
音が脳をつくり、脳が音をつくる——聴覚神経科学のトップサイエンティストが、言語・音楽・騒音・加齢・脳震盪までを「サウンドマインド」という概念で一本につなぐ大著です。音楽家の脳、リズムと社会化、読字と言語、自閉症、バイリンガル、鳥のさえずり、そして音楽療法の章も収録。米国出版協会の専門学術出版賞とノーチラス・ブック・アワード金賞を受賞した話題作です。
こんな人におすすめ
音楽と言語の関係や聴覚の働きに関心のある人、音楽療法や言語聴覚の現場に立つ人、教育や子育てで音環境を考えたい人に。専門書ですが、音楽を学ぶ学生や、加齢による聞こえの変化が気になり始めた人にも開いてほしい一冊です。
良い点
- 聴覚科学の全体像がつかめる
- 音楽と言語の章が手厚い
- 索引と用語一覧が充実
気になる点
- 価格もページ数も重厚
- 学術的な記述が中心
- すぐ役立つノウハウは少ない
出版社
紀伊國屋書店
発売日
2024年03月01日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ルネ・フレミングにミッキー・ハート、ザキール・フセイン……世界的なミュージシャンの推薦が並んでいますね。研究者の本なのに。
佐藤メバル
演奏家は耳と脳を仕事道具にしているから、響くんだろうね。軸になるのはサウンドマインド、音と脳が互いを形づくる協調関係という考え方です。
リズムと社会化、読む脳、自閉症、言語障害の性差、そして音楽療法まで、聴覚が常にオンであることを前提に組み立てられています。
橘ナナミ
「騒音」の章があるのも気になります。危険な騒音と、安全だと思われている騒音の違いって何なんですか?
佐藤メバル
そこが本書の面白さで、耳への損傷と脳への損傷を分けて論じます。「安全な」騒音でも脳には影響しうるという指摘は、一日中イヤホンで音を浴びている私たちには他人事じゃない。
加齢や脳震盪の章も含めて、音環境を選び直すきっかけになります。
音楽・情報・脳〔三訂版〕
仁科エミ 著|放送大学教育振興会
¥3,410(税込)
情報学と脳科学の側から「音楽とは何か」に迫る全15章です。聴く脳・見る脳の仕組み、感動する脳、変化を感じる脳、音の情報構造の可視化、ハイパーソニック・エフェクト、日本伝統音楽の超知覚構造、共同体を支える音楽、トランスの脳科学、そして情報医学・情報医療の枠組みまで。放送大学のテキストとして書かれた体系性があり、氾濫する脳科学情報を読み解く力も養います。
こんな人におすすめ
音楽と脳科学の接点を体系的に学びたい人、大学の授業やゼミのテキストを探している学生、音響や情報の仕事で感性の扱いに悩む人に。放送大学のテキストとして章ごとに読み進められるので、独学の指針にもなります。
良い点
- 全15章で体系立っている
- 伝統音楽の構造にも触れる
- 情報医療の枠組みまで論じる
気になる点
- 放送大学テキストの体裁
- 価格はやや高め
- 実践のハウツーはない
出版社
放送大学教育振興会
発売日
2023年03月20日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
放送大学のテキストなんですね。目次に「ハイパーソニック・エフェクト」という聞きなれない言葉があって、そこが気になりました。
佐藤メバル
可聴域を超えた高周波成分が感性に働くという考え方で、本書ではそれを含めて音の情報構造をどう可視化するかが論じられます。
情報学のアプローチで音楽を扱うのが特徴で、感動する脳、変化を感じる脳、トランスの脳科学まで、15章を貫く問いは「音楽とは何か」です。
橘ナナミ
脳科学の本って、すごい成果だけが独り歩きしている気がすることもあります。そこは大丈夫でしょうか。
佐藤メバル
そこを本書は自覚していて、氾濫する情報を適切に読み解く力を身につけることも目的に掲げています。効果を断定的に語るのではなく、情報医学・情報医療という枠組みの中で可能性と限界を並べて見せる。
テキストらしい慎重さが、逆に信頼できるんですよね。
音楽と感情の心理学
P.N.ジュスリン 著|誠信書房
¥6,600(税込)
音楽は感情の言語である——その一言を、心理学・生物学・音楽療法・演奏研究の各方面から突き詰めた論集です。音楽的構造が感情表現にどう影響するか、映画音楽の役割、演奏不安というネガティヴな情動、連続的測定による感情反応の捉え方、日常の音楽聴取、強烈な音楽体験まで。原書はMusic and Emotionとして知られる、この分野の参照点になった一冊です。
こんな人におすすめ
「なぜこの曲で泣けるのか」を理論から知りたい人、音楽療法・音楽教育・演奏指導に関わる人、心理学の研究テーマを探す大学院生に。学術書なので、辞書のように章をつまみ読みする使い方も向いています。
良い点
- 感情研究の古典的論集
- 演奏不安まで扱う射程
- 章ごとに著者が分かれる厚み
気になる点
- 価格はかなり高め
- 翻訳調で硬い箇所がある
- 入門書としてはいささか重い
出版社
誠信書房
発売日
2008年10月31日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
これは手元に置く覚悟がいる一冊ですね。でも「演奏不安」の章があるのが意外でした。本番で緊張する話も感情研究なんですか?
佐藤メバル
そう、演奏とネガティヴな情動という章で正面から扱われます。音楽と感情の関係を、心理学的展望、生物学的展望、音楽療法からの展望と三方向から整理したうえで、音楽的構造の感情表現、映画における音楽、自己報告による連続的測定、日常の音楽聴取まで並ぶ。論文集の厚みそのものが価値です。
橘ナナミ
自分の「この曲が好き」を語る言葉が、学問の言葉に置き換わると説得力が増しそうですね。
佐藤メバル
まさにそれがこの本の効き目です。感情反応を連続的に測定する方法が紹介され、日常の音楽聴取の章も置かれている。
実感を測る道具を手に入れる感じで、感想文と論文の間を埋めてくれますよ。
標準音楽療法入門(上(理論編))改訂版
篠田知璋 著|春秋社(千代田区)
¥3,080(税込)
音楽療法士養成の必修科目をバランスよく並べた、いわば教科書の理論編です。総説、歴史、理論、音楽心理学、臨床心理学、そして療法士に必要な医学的知識まで、指導的な医師と現場経験の豊富な音楽療法士が分担して執筆。医学の基礎を療法に理解のある医師が説き、欧米の知見を踏まえた実践的テクニックを現場の療法士が受け持つ構成です。
こんな人におすすめ
音楽療法をこれから学ぶ人、資格取得を目指す養成課程の学生、介護や医療の現場で音楽活動を始めたい人に。理論編なので、実践に入る前に全体像と共通言語を押さえたいときの一冊です。
良い点
- 必修科目を網羅した構成
- 医学的知識の章が手厚い
- 医師と療法士の分担執筆
気になる点
- 刊行から年数が経ち情報は古め
- 演習や曲目は下巻頼み
- 文体は教科書的
出版社
春秋社(千代田区)
発売日
1998年07月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
刊行から年数が経っていると聞くと少し身構えてしまいます。今から読んでも、入門書として意味のある一冊なんでしょうか。
佐藤メバル
いい質問だね。ここは理論の骨格を学ぶ本で、総説・歴史・理論・音楽心理学・臨床心理学・医学的知識という並びは、今の養成課程でも基本の形です。
とくに医学的知識の章は、療法に理解のある医師が書いているのが強み。土台として読み、最新の知見は別の本で補うのが現実的です。
橘ナナミ
なるほど。じゃあ「最初に読む一冊」というより、地図を広げてから細部を埋めるための本なんですね。
佐藤メバル
その言い方、うまいね。現場経験の豊富な療法士が、対象と現場に即したテクニックを書いているので、実践前の共通言語づくりに向いています。
ただし価格なりの分量があるから、まず目次で自分の必要な章を確かめてから開くのがおすすめです。
最新研究による 高齢者音楽療法
貫行子 著|株式会社音楽之友社
¥2,970(税込)
高齢者のウェルビーイングを軸に、定義や理論から実践、最新研究までを一冊にまとめたテキストです。2020年代の研究を紹介する章、人生の最終段階を生きる人へのエンドオブライフ・ケア、リモートによる実践例を含む章など、今後のトレンドになる内容が詰まっています。必要な章ごとに読めるつくりで、療法士以外にも開かれています。
こんな人におすすめ
高齢者施設や介護の現場で音楽活動を担う人、次世代の音楽療法士を目指す学生、エンドオブライフ・ケアに関心のある医療・福祉の専門職に。ご家庭で高齢の家族を看る人にも届く構成です。
良い点
- 2020年代の研究を反映
- 遠隔音楽療法まで紹介
- 章単位で読みやすい
気になる点
- 研究知見が中心で実践手順は限定的
- 用語はやや専門的
- 理論編の分量が多い
出版社
株式会社音楽之友社
発売日
2024年12月17日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
リモートの音楽療法の実践例が入っているのが驚きです。画面越しの音でも、セッションとして成り立つものなんでしょうか。
佐藤メバル
本書はその実践例を含む章に最新情報を詰め込んでいて、遠隔でも対象者の反応をどう捉えるかが論じられます。
全体は定義や理論、脳機能、フレイルと精神医学を押さえたうえで、高齢者音楽療法のプログラム構成論に入り、エンドオブライフ・ケアではナラティヴアプローチやスピリチュアリティまで踏み込みます。
橘ナナミ
最終章のタイトルが「音楽療法究極の目標はヒトのWell-being」。研究の本なのに、締めくくりが哲学みたいで胸に来ますね。
佐藤メバル
そこがこの本の性格で、Musickingという概念やcommunicative musicality理論を引いて、良い人間関係と幸福そのものを論じます。
効果の一覧ではなく、何のためにやるのかから組み立てられている。研究と臨床の橋をかける一冊です。
感覚統合を活かして子どもを伸ばす!音楽療法
柿崎次子 著|明治図書出版
¥2,266(税込)
音楽療法と感覚統合療法は基本的に異なる方法で実践されますが、どちらも感覚刺激を扱うという点で重なります。その接点を通して、感覚統合の考え方を音楽療法に活かそうという一冊です。両者のもっとも重要な接点は、療法を受ける子どもたち自身。すべての子どもたちが健やかに育つことを願って書かれた、現場の視点が濃い内容です。
こんな人におすすめ
発達支援の現場で音楽を使う人、感覚統合の視点を音楽活動に取り入れたい作業療法士や保育者、療育や子育てで音楽の力を借りたい保護者に。二つの療法を学ぶ学生の入り口としても手に取れます。
良い点
- 二つの療法の接点を整理
- 子ども中心の視点が明確
- 発達支援の現場に即す
気になる点
- 理論の網羅性は高くない
- 対象は子どもに限定
- 図版中心で文章は簡潔
出版社
明治図書出版
発売日
2016年06月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
感覚統合療法と音楽療法って、まったく別の領域だと思っていました。接点があると聞いて驚きました。どちらも感覚刺激を扱うから、ですか?
佐藤メバル
そう、そこが本書の出発点です。両者は基本的には異なる方法で実践されるけれど、扱う素材が感覚刺激という点で共通している。
だからその接点を通して、感覚統合の考え方を音楽療法に活かせる。もっとも重要な接点は、療法を受ける子どもたち自身だ、という結びが印象的です。
橘ナナミ
タイトルに「子どもを伸ばす!」とあるのは、療育の目標がそこにあるからなんでしょうね。
佐藤メバル
その通りで、本書は技術の寄せ集めではなく、子どもが健やかに育っていくことを願う姿勢が通底しています。
音楽療法の側から感覚統合を学び直したい人にも、感覚統合の側から音楽を見直したい人にも、橋になる一冊ですよ。
障害児の音楽療法
土野研治 著|春秋社(千代田区)
¥2,640(税込)
人を支え、繋げる音楽——その一言を軸に、障害児を対象とした音楽療法の原理と実践の技法をまとめた一冊です。楽器・声・身体運動の扱い、セッションの手順、特別支援教育における音楽活動など、さまざまな場面の実践が具体的に描かれます。日野原重明氏の推薦が寄せられ、障害児の音楽療法を知るための最適な一冊として位置づけられています。
こんな人におすすめ
特別支援教育や児童福祉の現場で音楽を扱う人、障害児と関わる音楽療法士や保育士、セッションの手順を具体的に知りたい初学者に。学校や施設で音楽活動を始めたい人、楽器や声の扱いを基礎から押さえたい人にも。
良い点
- 楽器・声・身体運動を扱う
- セッション手順が具体的
- 特別支援教育にも言及
気になる点
- 刊行から年数が経つ
- 対象は障害児に限定
- 理論より実践寄り
出版社
春秋社(千代田区)
発売日
2014年05月20日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「人を支え、繋げる音楽」という紹介の言葉がいいですね。障害児の音楽療法では、何をいちばん大事にするんでしょう?
佐藤メバル
本書は楽器・声・身体運動の扱いという、いちばん基本的なところから始めます。そしてセッションの手順、特別支援教育における音楽活動へと進む。
原理と技法の両方を、現場の場面に即して書いているのが特徴ですね。
橘ナナミ
障害のある子と音楽で関わるとき、技術より先に、どう向き合うかという構えのようなものが要りそうで。
佐藤メバル
だからこそ原理から入る構成なんです。日野原重明氏の推薦が寄せられたのも、音楽が人を支えるという一点に信頼が置かれたからでしょう。
障害児の音楽療法を知るための入口として、まずこの一冊からでいいと思います。
五臓の音符 気の音楽療法 CD付き
張明亮 著|ビイング・ネット・プレス
¥2,640(税込)
中国四大仏教名山の一つ、峨眉山を発祥とし、八〇〇年の歴史を持つ峨眉臨済宗丹道医薬養生学派の功法を紹介する一冊です。肝・心・脾・肺・腎それぞれの音符を発声して臓腑を振動させ、気血の流れを整えるという考え方で、導引煉形、吐納行気、観想存神といった鍛錬を含みます。CD付きで五臓養生楽を聴きながら練習できます。
こんな人におすすめ
東洋の養生や「気」の考え方に関心がある人、西洋式の音楽療法とは別の枠組みを知りたい療法士、声と呼吸でセルフケアをしたい人に。慢性病や難病を抱える人の養生にも適するとされる内容です。
良い点
- 800年の歴史を持つ功法
- CDで実践を確認できる
- 五臓ごとの章立てが明快
気になる点
- 西洋医学の枠外の理論
- 効果の実証は示されない
- 練習の継続が前提になる
出版社
ビイング・ネット・プレス
発売日
2018年12月03日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
肝・心・脾・肺・腎それぞれに音符があって、それを発声するんですか。ふつうの歌とは違うんでしょうか。
佐藤メバル
発声で臓腑を振動させ、気血の流れを改善するという考え方です。音楽理論篇で五音と五臓の対応を説き、前奏篇で姿勢・手の形・呼吸を整えてから、肝臓導引術のGE、WOといった具合に臓器ごとの章が続きます。
導引、吐納、観想が一体になった養生法ですね。
橘ナナミ
鎌田東二さんの序文、稲葉俊郎さんの解説と、顔ぶれが気になります。どんな位置づけの本なんでしょう。
佐藤メバル
東洋思想と医療の両側から光を当てているわけですね。CDに収められた五臓養生楽を聴きながら練習する構成なので、理論だけの本ではありません。
西洋の音楽療法とは前提が違うぶん、効果をどう捉えるかは読む人の姿勢が問われる一冊です。
音楽療法で使う即興・伴奏・作曲
菅田文子 著|あおぞら音楽社
¥2,090(税込)
楽譜に書かれていないことを音にする——音楽療法士に必要な即興・伴奏・作曲の技術を、30日の課題で手ほどきするワーク集です。コード付け、さぐり弾き、ペンタトニックの即興、基本拍を促す伴奏、体操や嚥下体操のための作曲、対象者の詞に曲をつける課題まで。独習用の70分CDが付き、1人の課題とペア課題に分かれています。
こんな人におすすめ
音楽療法士を目指す学生、施設で音楽活動を担い始めた人、伴奏や即興に苦手意識のあるプレイヤーに。ジャズのアドリブとは違う「臨床即興」を、30日の課題で体系的に身につけたい人に向きます。
良い点
- 30日単位で進められる
- 独習用CDが70分収録
- 対象者目線の即興論
気になる点
- 毎日の練習が前提になる
- 楽譜が読める人向け
- 伴奏の腕前に左右される
出版社
あおぞら音楽社
発売日
2013年09月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「臨床即興」という言葉が気になりました。ジャズのアドリブやクラシックの即興とは、何が違うんでしょう?
佐藤メバル
いいところに目をつけたね。ジャズのアドリブは演奏者の感性と技術の表現ですが、臨床即興は対象者のために行うもの。
相手の反応や表現を引き出すための演奏なんです。だから動きや表情、出す音から状態を感知して、自分の演奏をコントロールする外に開かれた意識が要る。
橘ナナミ
30日で身につける、というのは思い切りがいいですね。毎日ひとつずつ課題をこなしていくイメージでしょうか。
佐藤メバル
1日目は対象者を見ながら演奏するところから始まり、2日目の「春が来た」、3日目のペンタトニックへと進みます。
9日目以降は基本拍を促す伴奏、17日目からはリラックス体操や嚥下体操のための作曲。1音のためのアレンジまで扱うので、経験者にも発見がありますよ。
音楽療法・レッスン・授業のためのセッションネタ帳
Theミュージックセラピー編集部 著|音楽之友社
¥1,760(税込)
人と人との関わりを紡ぐ、職人たちの工夫のひとつひとつ——そんなかけがえのない「ネタ」を集めた一冊です。目の前のクライエントともっと楽しくなるには、もっと通じ合うには、と悩み抜いた末に生まれたアイデアが並びます。すでにあるアイデアの応用も含み、誰が最初に考えたかではなく「それをどう使うか」に力点が置かれています。
こんな人におすすめ
音楽療法や音楽レッスン、授業の場で進行に困った経験のある人、レパートリーを増やしたいセラピストや教師、ボランティアで音楽を届ける人に。ネタを眺めて自分の現場用に作り替えたい人にも向きます。
良い点
- 現場発のアイデアが豊富
- 応用前提で使いやすい
- 読み物としても楽しい
気になる点
- 理論的な解説は少ない
- 刊行から年数が経つ
- 対象や場面の情報は簡潔
出版社
音楽之友社
発売日
2005年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「ネタ帳」というタイトルがいいですね。正解を教える本ではなく、引き出しを増やす本という感じで。
佐藤メバル
そこがこの本の性格で、ネタが生まれた過程にイメージを膨らませながら眺め、読み、楽しむように作られています。
誰が最初に考えたかではなく、それをどう使うかに力点がある。だから自分の現場に合わせて作り替えていいんです。
橘ナナミ
セッションで固まってしまうのって、引き出しの数なのかなあ。私も学習支援のアルバイトで、間が持たないことがあります。
佐藤メバル
その感覚、よく分かるよ。この本は、もっと通じ合うにはどうするかを考え抜いた末に生まれた工夫が並んでいるから、眺めるだけでも自分の引き出しが増える。
すでにあるアイデアの応用も歓迎する姿勢が、現場の人にはありがたいはずです。
歌うことが口腔ケアになる
甲谷至 著|あおぞら音楽社
¥2,095(税込)
要介護者の死因のトップに挙げられる誤嚥性肺炎は、口腔を鍛えることで予防できる——その科学的メカニズムをQ&A形式で解き明かす一冊です。なぜ音楽療法と口腔ケアが関係するのか、歌うことの医学的効果、嚥下の仕組み、歌を使った摂食嚥下リハビリテーションの実践法まで、図と譜例を交えて紹介します。
こんな人におすすめ
介護施設でレクリエーションや口腔ケアを担当する人、音楽療法士として医療に貢献したい人、むせや誤嚥が気になる高齢者の家族に。歯科と音楽の接点を探す専門職にも届いてほしい内容です。
良い点
- Q&A形式で読みやすい
- 体操や評価法も収録
- 音楽療法と医療の橋渡し
気になる点
- 歯科の基礎知識が前提
- 刊行から年数が経つ
- 効果判定は限定的
出版社
あおぞら音楽社
発売日
2008年09月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「歌うことが口腔ケアになる」って、最初はどういう意味だろうと思いました。口を鍛えるということですか?
佐藤メバル
そこをQ&Aで一つずつ解いていく本です。口は命の入り口であり、病気の侵入口でもある。歌うことで口腔機能を鍛え、誤嚥性肺炎を防ぐメカニズムが説明されます。
改正介護保険法で口腔ケアが柱の一つになった背景も、ここで整理されますよ。
橘ナナミ
「寅さん体操」というネーミングが気になります。なじみの曲に合わせて、口を動かす体操なんでしょうか。
佐藤メバル
そう、食事の前に行う口腔ケアとして、なじみの曲を使った口腔機能アップの体操がいくつも紹介されます。「花」体操、「学生時代」体操といった具合に、歌と嚥下リハビリが結びつく。
付録には口腔機能評価表や唾液の湿潤度の測定など、効果判定の方法も載っています。
絆の音楽性
スティーヴンマロック 著|音楽之友社
¥19,800(税込)
母子相互作用の音源から、26秒のやりとりの分析を通して生まれた「コミュニカティヴ・ミュージカリティ」——人が生まれながらに持つ音楽性の概念を、全27の論考で多角的に考察する大著です。起源と精神生物学、乳児期、癒し、子どもの学び、演奏行為の5部構成。発達心理学のみならず言語学や脳科学、音楽療法論まで視野に入ります。
こんな人におすすめ
音楽と人の関わりの根源を考えたい研究者や大学院生、乳幼児の発達に関わる保育・医療の専門職、音楽療法の理論的な背骨がほしい人に。周産期や被虐待児の支援に関わる人にも示唆があります。
良い点
- 全27の論考を5部で構成
- 欧米の研究者が集結
- 音楽療法の理論的基盤
気になる点
- 価格が非常に高い
- 学術論文の翻訳調
- 通読には相当の時間
出版社
音楽之友社
発売日
2018年04月04日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
これは研究者が手元に置く本ですね。26秒のやりとりから概念が生まれた、という話が気になります。
佐藤メバル
そこが出発点です。トレヴァーセンが録り貯めた母子相互作用の音源を、マロックが音声分析の手法で解析し、その26秒のなかで母子が規則正しいパルスを共同生成し、音声を同期させ交代させながらナラティヴを作っているのを見出した。
それがコミュニカティヴ・ミュージカリティです。
橘ナナミ
それが音楽療法の章にも広がって、自閉症やレット症候群の子ども、被虐待児の支援まで射程に入るんですね。
佐藤メバル
そう、第3部が音楽性と癒し、第4部が子どもの学び、第5部が演奏行為です。乳児のリズム、対乳児発話と母親のうつ、紛争地域の子どもへの音楽、マインドフルネス、即興演奏の親密性まで、全27章が別の角度から同じ問いを照らしています。
音楽で育てよう
二俣泉 著|春秋社(千代田区)
¥2,310(税込)
発達障害の子どもと、親と、支援者のための音楽療法プログラム集です。音声言語をまだ獲得していない水準から5歳相当の発達年齢までを対象に、42のプログラムを収録。コミュニケーションの育ちと音楽、発達障害児への音楽療法の解説に続き、気づく、眼差しの共有、要求、みわける・ききわける、まねをするといった活動が並びます。
こんな人におすすめ
発達障害の子どもに関わる支援者や保育者、音楽療法を学ぶ学生、家庭で音楽を使って関わりを育てたい保護者に。療育の場でプログラムを組み立てる人や、音声言語以前の段階から関わりたい人にも。
良い点
- 42の活動を具体的に収録
- 発達段階ごとに整理
- 曲づくりの章まで充実
気になる点
- 対象は発達障害児に限定
- 理論編は簡潔
- 楽器や環境の準備が要る
出版社
春秋社(千代田区)
発売日
2011年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「眼差しの共有」とか「要求」とか、活動の見出しがそのまま発達のステップになっているんですね。
佐藤メバル
そう、そこがこの本の設計です。音声言語未獲得の水準から5歳相当まで、コミュニケーションの育ちに沿って42のプログラムが並びます。
まねをする、みわける・ききわけるといった活動が、音楽そのものを目的にせず、関わりを育てるために組まれている。
橘ナナミ
最後に「曲づくり・活動づくりのポイント」という章があるのがいいですね。既成曲を使うだけではないんですね。
佐藤メバル
そこが現場で効きます。対象の反応に合わせて曲を変えられるかどうかで、プログラムの届き方が変わる。第1部の解説で発達障害について押さえてから第2部の活動集を開くと、なぜこの活動かが見えてきますよ。
音楽療法の必須100曲(高齢者編)
菅田文子 著|あおぞら音楽社
¥2,530(税込)
高齢者の声域に合わせて移調した、全曲伴奏譜の楽譜集です。春から冬、そして全季節まで、長年現場で実績を積んだ音楽療法士たちが選んだ定番100曲を収録。短いイントロと歌い出しの声がけ指示、回想を引き出すキーワードとトーク例、世相ひとくちメモ付きで、40曲にはベル譜も添えられています。
こんな人におすすめ
高齢者施設やデイサービスで歌の時間を担当する介護職員、音楽療法士や作業療法士、音楽訪問スタッフや音楽ボランティアとして現場に出る人に。レパートリー選びに迷っている人にも頼れる一冊です。
良い点
- 100曲すべて伴奏譜付き
- 回想キーワードとトーク例
- 40曲にベル譜を用意
気になる点
- 楽譜が読めないと厳しい
- 選曲は昭和中心
- 移調の意図を理解する必要
出版社
あおぞら音楽社
発売日
2009年09月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
全部伴奏譜で、しかも移調済みなんですね。高齢者の方は原曲のキーだと声が出しにくいんでしょうか。
佐藤メバル
そう、原調のままだと高すぎて歌いにくい曲は低いキーに移調してあります。しかも現場で使う61鍵の電子キーボードを念頭に、初見で弾けるくらいシンプルなアレンジにしてある。
音楽療法士は演奏しながら対象者の反応を観察するので、余裕が要るんです。
橘ナナミ
曲ごとに「回想キーワード」と「トーク例」が付いているのは、歌の前後の会話まで想定しているからですか。
佐藤メバル
その通り。歌で思い出を呼び起こし、その想いに共感するために、当時の歌と出来事のきっかけを用意する。世相ひとくちメモで明治・大正・昭和の話題にも触れられます。
ただし楽譜集なので、伴奏の組み立て方は別の教本で補うと安心です。
【POD】今すぐ「ヒーリングミュージシャン」になる方法
七夕女織 著|デザインエッグ株式会社
¥3,498(税込)
自分の奏でる音楽で自分を癒し、大切な人を癒し、それを広げて世界を癒す——そんな「ヒーリングミュージシャン」になる方法を紹介する一冊です。難しい曲を上手に弾くことよりも、ハートから音楽を奏で、音楽にスピリットを込めることに重点を置く。音楽配信まで視野に入れた、行動を後押しする入門書です。
こんな人におすすめ
趣味で楽器を再開したい人、癒しの音楽を大切な人に届けたい人、音楽活動をライフワークにしたい人、仲間とチームを組んで発信したい人に。癒しを役割にする生き方に関心がある人にも。
良い点
- 具体的な行動を後押し
- 音楽配信まで視野に入る
- 読みやすい語り口
気になる点
- 医学的な根拠は示さない
- PODのため書店に並びにくい
- 内容は精神面に偏る
出版社
デザインエッグ株式会社
発売日
2018年09月17日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「癒しの音楽」というと聴く側の話かと思っていたら、演奏して届ける側になるための本なんですね。
佐藤メバル
そう、ヒーリングミュージシャンは、ピュアで優しいエネルギーを音楽を通じて表現するエキスパートと位置づけられます。
自分が癒され、身近な人を癒し、世界を癒す。上手に弾くことより、音楽にスピリットを込めることに重点を置くのが特徴です。
橘ナナミ
「今すぐ」というタイトルどおり、やりたいと思っている人が背中を押される感じがありそうです。
佐藤メバル
そこがこの本の役割でね。子ども時代に習った楽器をもう一度、という願いから、癒しの音楽を自分なりに作って配信する、仲間を増やす、ライフワークにする、までを視野に入れています。
音楽療法というより、音楽で人とつながる実践の入り口です。
音楽効果の俗説と、研究が示していること
橘ナナミ
モーツァルト効果って、結局ほんとなんですか? 「集中できるBGM」はあふれてますよね。
佐藤メバル
「音楽を聴くと頭が良くなる」という言い切りは、条件を落としすぎている。研究では課題の種類、曲への慣れ、歌詞の有無、音量、そして本人の覚醒度——退屈で眠いのか、緊張しすぎているのか——で結果が変わる。覚醒度が中間にあるとき成績が良くなりやすい、という整理のしかたがよくされる。だから「音楽のせいで上がる」より「音楽が覚醒度を整え、その状態が課題に効く」と考えるほうが正確なんだ。
橘ナナミ
読書や作業なら、どんな曲がいいんでしょう。
佐藤メバル
言語を扱う作業では、歌詞つきの曲は干渉しやすい。ここを踏まえずに「音楽で集中!」と書いてある本は、出典が体験談だけのことも多い。エビデンスの層を見分ける目を持つこと自体が、この分野のいちばんのリテラシーなんだよ。
全体像と、どこが更新されたか
橘ナナミ
全体像をつかむには、何冊くらい読めばいいんでしょう。
佐藤メバル
三層で考えるといい。第一層が「音楽と脳・聴覚のしくみ」で『音と脳』と『音楽・情報・脳』。第二層が「音楽と感情」で『音楽と感情の心理学』と『絆の音楽性』。第三層が「臨床・ケア」で『音楽療法はどれだけ有効か』『標準音楽療法入門(上)理論編』『最新研究による 高齢者音楽療法』。この三層を意識すると、一冊の主張に振り回されにくくなる。
橘ナナミ
新しさはどこを見れば?
佐藤メバル
『音楽療法はどれだけ有効か』は最新の知見を盛り込んで文庫化されたもの、『最新研究による 高齢者音楽療法』は2020年代の研究を章に立てている。一方『標準音楽療法入門(上)理論編』や『音楽と感情の心理学』は、理論と枠組みの古典として読む。定番と最新を並べると、何が更新され、何が変わっていないかが見えてくるよ。
橘ナナミ
『五臓の音符』みたいな本は、どこに置けばいいんでしょう。
佐藤メバル
あれは峨眉山を発祥とし800年の歴史を持つ養生学派の功法で、五臓に対応する音符を発声して気血の流れを整えるという、西洋の音楽療法とは別系統の理論。CD付きで、実践の手引きとして読む本だね。キャリアや活動に近いのは『今すぐ「ヒーリングミュージシャン」になる方法』で、これは効果の検証本ではなく、癒しの音楽を届ける活動の入り口を示す本。同じ「音楽の効果」でも系譜が違うと押さえておこう。作曲の技術を体系立てて学ぶ楽典の本はこのリストには無いから、そちらは別途探すといい。
読む順番と、読んだあとにやること
橘ナナミ
順番をつけるなら、どう読み進めます?
佐藤メバル
前提知識ゼロなら『音楽療法はどれだけ有効か』から。エビデンスの読み方を同時に教えてくれるから、その後の本を疑いながら読める。次に『音と脳』で、音が感覚・運動・感情・思考にどう関わるかを押さえる。ケアの現場に入るなら『最新研究による 高齢者音楽療法』、演奏するなら『音楽療法で使う即興・伴奏・作曲』、曲を選ぶなら『音楽療法の必須100曲(高齢者編)』へ。『絆の音楽性』や『音楽と感情の心理学』は、心理学の素養がある人が後半に回すのが無理のない順番だね。
橘ナナミ
読んだあとに何をすればいいんでしょう。
佐藤メバル
自分のBGMを条件つきで設計してみること。作業用、休憩用、入眠前用を分けて、歌詞あり/なし、音量、慣れた曲かどうかを変え、集中が続いたかをメモする。発声や体操に踏み込む本なら、朝の体操や食前の口腔ケアと結びつける。読んで終わりにせず、選曲と生活の設計に戻す。これがこのジャンルでいちばん成果が出る使い方だよ。
橘ナナミ
紙と電子はどう使い分けますか?
佐藤メバル
楽譜や図版、脳画像を含む本は紙が向く。『音楽療法の必須100曲(高齢者編)』のように譜面を開いて使う本は特にそうだね。参照頻度の高い専門書も、索引や用語一覧を行き来するなら紙が楽。電子版や音声版の有無は、版元や各ストアの表示で都度確認してほしい。このリストは通読より「必要な章から読む」タイプが多いから、目次を先に見て自分の課題の章から入るのも手だよ。
よくある質問
音楽の効果を学ぶなら、最初に読むべき本はどれですか?
橘ナナミ
音楽の効果を学ぶなら、最初に読むべき本はどれですかについて教えてください。
佐藤メバル
前提知識がなくても読み進めやすいのは『音楽療法はどれだけ有効か』です。エビデンスとは何か、コクラン・ライブラリーのような信頼できる情報源、ハゲタカジャーナルへの注意まで触れているので、効果そのものより「何を信じていいか」を先に学べます。ここで身につけた物差しは、この後に読むどの本にも効きます。
音楽で集中力や記憶力が上がるのは本当ですか?根拠のある本は?
橘ナナミ
音楽で集中力や記憶力が上がるのは本当ですか?根拠のある本はについて教えてください。
佐藤メバル
「上がる」と断言するより、条件つきで考えるのが正確です。課題の種類、曲への慣れ、歌詞の有無、音量、本人の覚醒度で結果が変わります。しくみから押さえるなら『音と脳』、臨床での検証を確かめるなら『音楽療法はどれだけ有効か』が参考になります。体験談だけの本は、いったん脇に置いて読むのが安全です。
音楽療法を学ぶための入門書はどれがいいですか?
橘ナナミ
音楽療法を学ぶための入門書はどれがいいですかについて教えてください。
佐藤メバル
流れをつかむなら『音楽療法はどれだけ有効か』、養成課程の科目を体系的に押さえるなら『標準音楽療法入門(上)理論編』が向いています。後者は総説・歴史・理論・音楽心理学・臨床心理学・医学的知識をバランスよく扱う構成で、独学の人が全体像を確認するのにも使えます。
モーツァルト効果は本当にあるのですか?検証した本はありますか?
橘ナナミ
モーツァルト効果は本当にあるのですか?検証した本はありますかについて教えてください。
佐藤メバル
単純に「音楽を聴くと頭が良くなる」という言い切りは条件を落としすぎています。覚醒度が中間にあるときに課題成績が良くなりやすい、という整理がよくされます。研究知見との距離を測る物差しとしては、音楽と言語・読字の関係を神経科学の側から扱う『音と脳』が役立ちます。
読書や作業におすすめのBGMと、その効果を学べる本は?
橘ナナミ
読書や作業におすすめのBGMと、その効果を学べる本はについて教えてください。
佐藤メバル
言語を扱う作業では、歌詞つきの曲は干渉しやすいので歌詞なしが無難です。設計の考え方を学ぶなら『音と脳』、音楽が感情や覚醒にどう関わるかの理論を深く知るなら『音楽と感情の心理学』。自分で作業用・休憩用・入眠前用を分け、音量や慣れを変えてメモすると、自分専用の条件が見えてきます。
翻訳の音楽心理学書で読みやすいのはどれですか?
橘ナナミ
翻訳の音楽心理学書で読みやすいのはどれですかについて教えてください。
佐藤メバル
『音と脳』は巻末に原注・索引・用語一覧が付き、訳者あとがきと解説もあるので、行き来しながら読めます。『音楽と感情の心理学』は原書名 Music and Emotion: Theory and Research の翻訳で章立てが原著に対応しており、参照しやすい構成です。どちらも通読より、必要な章から入る読み方が向きます。
音楽の効果本はKindleやオーディオブックでも読めますか?
橘ナナミ
音楽の効果本はKindleやオーディオブックでも読めますかについて教えてください。
佐藤メバル
電子版や音声版の有無は、版元や各ストアの表示で都度確認してください。ただし楽譜や図版、脳画像を含む本は紙が向きます。『音楽療法の必須100曲(高齢者編)』のように譜面を開いて使う本、索引を行き来する専門書は、手元に置ける形のほうが扱いやすいです。
睡眠や運動に音楽の効果を使うには、どの本が参考になりますか?
橘ナナミ
睡眠や運動に音楽の効果を使うには、どの本が参考になりますかについて教えてください。
佐藤メバル
睡眠障害や痛み、呼吸器疾患をテーマごとに整理しているのは『音楽療法はどれだけ有効か』の第6章です。高齢者の運動やフレイル、認知機能の変化まで含めて2020年代の研究を追うなら『最新研究による 高齢者音楽療法』が参考になります。目的と対象を先に決めてから選ぶと迷いません。
まとめ
橘ナナミ
佐藤さん、今日の話を聞いて、最初に読む本が決まった気がします。
佐藤メバル
どれにした?
橘ナナミ
『音楽療法はどれだけ有効か』です。エビデンスの見分け方から入れるなら、あとで他の本を読んでも振り回されにくいかなと思って。
佐藤メバル
いい選び方だね。エビデンスの源やハゲタカジャーナルの注意まで書いてある本は、効果そのものより「何を信じていいか」を教えてくれる。読書や作業のBGMを自分で設計するなら、そこに『音と脳』を足すと、なぜ歌詞つきの曲が読書とぶつかるのかが腑に落ちるよ。
橘ナナミ
ケアの現場で働く友人には、何をすすめましょう。
佐藤メバル
『最新研究による 高齢者音楽療法』か『歌うことが口腔ケアになる』。前者は2020年代の研究とエンドオブライフ・ケア、後者は誤嚥性肺炎の予防という生活に近いテーマ。相手の現場に合わせて選んであげて。
橘ナナミ
なるほど…。音楽って、イヤホンの音量をひとつ変えるだけで、その日の集中も眠りも変えてしまう、いちばん身近な環境のつまみなんですね。
佐藤メバル
その言い方、いいね。本で仕組みを知って、つまみを自分で回せるようになる。それが音楽の効果を学ぶということだと思うよ。
