音楽本棚本のおすすめ人気ランキング25選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
佐藤さん、今回のテーマは「音楽の本棚」ですか。でも、それって楽譜を収める棚のことですよね? 普通の本と一緒にしていいのか迷います。
佐藤メバル
いい質問だね。楽譜も本も、同じ棚でいいんだよ。ぼくが書店で音楽の棚を担当していたとき、最初に決めていたのは「聴く・弾く・調べる・読む」の4つを一直線に並べることだった。この4つが揃うと、棚が急に“使える”ものになる。今日はその設計から選書まで話していこう。
橘ナナミ
4つ……。じゃあ、いきなり「どの本を買うか」より先に、棚のことを考えたほうがいいんですか?
佐藤メバル
順番は逆でもいいよ。ただ、わりと多くの人が、A3の楽譜を買ってから「入らない」と気づくんだ。だから最初に、どんな判型がうちの棚に入るかを一度測っておく。それだけで失敗がぐっと減る。
橘ナナミ
なるほど! 測ってから選ぶ。それ、本の選び方にも効きますか?
佐藤メバル
効くよ。たとえば伊東乾さんの『人生が深まるクラシック音楽入門』は新書サイズで、通勤の鞄にも入る。一方で『西洋音楽史大図鑑』のような大判の図鑑は、書斎の見える棚に置いてこそ値打ちが出る。同じ「音楽の本」でも、住む場所が違うんだ。
音楽本棚本の選び方
目的別で選ぶ——聴く/弾く/調べる/読む
橘ナナミ
「聴く」の棚って、どんな本から始めればいいんでしょう。
佐藤メバル
聴くなら、まずは名盤ガイドだね。『新時代の名曲名盤500+100』は複数の選者が投票で選ぶ形式で、誰か一人の好みに寄りすぎない。ジャズなら中山康樹さんの『ジャズの名盤入門』。BGMとして流していた曲が、急に輪郭を持ちはじめるよ。
橘ナナミ
弾く棚は教本ですよね。調べる棚は……辞書ですか?
佐藤メバル
調べるは楽典や理論書。『最もわかりやすい楽典入門』は千円を切る値段で、譜表から和声まで一通り触れられる。読む棚は評伝や自伝だ。坂本龍一さんの『音楽は自由にする』は、幼稚園での初めての作曲から『ラストエンペラー』での苦闘までを語りおろしで追う自伝で、読み物として強い。
レベル別で選ぶ——入門/中級/専門
橘ナナミ
楽典の本って、見た目がみんな同じに見えます……。
佐藤メバル
難易度で選ぶといい。入門なら『最もわかりやすい楽典入門』。一段上がるなら音楽之友社の『楽典 音楽家を志す人のための』で、これは音大入試問題と解答まで付いた実用の教科書だ。ポピュラー方面ならリットーミュージックの『ポピュラー音楽理論』が、読譜とコードの基礎を実用的な視点でまとめている。
橘ナナミ
ジャズ理論はもっと難しそう……。
佐藤メバル
『ジャジーランドのジャズ理論講座』は上下巻構成で、著者自身のイラストと鍵盤図を多用しながら「1日目・2日目」と進んでいく。楽譜が読めない人向けではなく、分析力と応用力を鍛えるために図を使っている、という作りが面白いんだ。
判型・サイズ別で選ぶ——文庫からA3大判まで
橘ナナミ
さっきの「測ってから買う」の話、具体的にどれくらい違うんですか?
佐藤メバル
文庫や新書は奥行きが浅くて済むけど、『世界の音楽大図鑑』のような図鑑は見開きで写真を楽しむ作りだから、開いたときの余白まで考える必要がある。楽譜はA4変形やA3もある。棚板の厚みと段の高さを先に決めておくと、並べ替えが楽になるよ。
橘ナナミ
大判は寝かせて置く、という手もありますよね。
佐藤メバル
それもあり。ただ、頻繁に開く本は立てたほうが手に取る回数が増える。手に取る回数が、そのまま本の値打ちになるからね。
形式別で選ぶ——紙/楽譜/電子/音声
橘ナナミ
全部紙で揃えるべきですか?
佐藤メバル
そうとは言い切れない。たとえば『楽器の音色がすぐ聴ける 世界の民族楽器図鑑』は、オールカラーの写真とQRコードの音源が連動している。紙の本なのに、音をスマートフォンで鳴らせる。この「紙+音」の形は、音楽の本ならではだと思う。
橘ナナミ
逆に電子に向くものは?
佐藤メバル
検索したい事典や、持ち歩く教本は電子が便利。付録CDが付いた『読んでわかる!きいてわかる!クラシック音楽の歴史』のような本は、音と文字が最初からセットで設計されているから、紙で持つ意味がある。住み分けでいいんだ。
予算・巻数別で選ぶ
橘ナナミ
予算が少ないとき、どこから買えば……。
佐藤メバル
千円以下でも『最もわかりやすい楽典入門』や中山康樹さんの『ロックの歴史』のように、内容の濃い入門書がある。逆にベルリオーズとR.シュトラウスによる『管弦楽法』は、オーケストラの歴史まで俯瞰できる原典で、まとまった出費になる。まず安い一冊で自分の興味の向きを確かめてから、高い一冊に進むのが失敗しない順番だよ。
版元別で選ぶ
橘ナナミ
出版社で選ぶ、というのもあるんですか?
佐藤メバル
あるよ。音楽之友社は楽典・管弦楽法・名盤ガイドと、いわば本格派の教科書を揃えている。ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングスは教則本と図鑑の両方に強く、リットーミュージックはポピュラーとジャズの実用書が厚い。春秋社の『〈裏〉日本音楽史』のような、切り口の尖った一冊を出してくる版元もいる。棚に複数の版元が混ざると、視点が偏らなくなるんだ。
橘ナナミ
版元を見るだけで、はずれが減りそうですね。
音楽本棚本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、25冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
音楽本棚本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい
人生が深まるクラシック音楽入門
伊東乾 著|幻冬舎
¥946(税込)
クラシックは聴くだけでも楽しいが、ツボを押さえれば味わいが何倍にもなる——その「ツボ」を、作曲家であり指揮者、さらに音響の脳科学研究プロジェクトを率いた著者がやさしく説く入門書です。ベートーヴェンの交響曲第五番を「猛然と勇気が湧いてくる曲」、ブラームスの第四番を「過ぎ去った日々への愛惜」と捉え、名曲を人生の季節に置き直してくれる。西洋音楽300年の歴史、楽器とホールの響きの秘密、名指揮者・演奏家の素顔まで語られ、リスニングガイド付きで音と往復できる。曲目解説集ではなく、聴き手の側の感受性を耕す一冊です。
こんな人におすすめ
クラシックを聴き始めたいが、どの曲から手をつければいいか分からない人。落ち込んだとき、頑張りたいとき、それぞれに合う曲を探したい人。ホールの響きや指揮者・演奏家の話にも興味がある人。曲目解説ではなく聴き方の地図がほしい人に向きます。
良い点
- 聴き方のツボが具体的で再現しやすい
- 作曲家・指揮者ならではの音響の解説
- リスニングガイドで音と往復できる
気になる点
- 2011年刊で演奏家の記述は当時のもの
- 楽譜や理論の解説が中心ではない
- 入門者には人名が多いと感じる場面も
出版社
幻冬舎
発売日
2011年07月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
クラシックって、聴いてみたい気持ちはあるんですけど、どこから手をつけていいのか分からないんです。いきなり交響曲って、ハードルが高そうですよね。
佐藤メバル
いい質問だね。この本のいいところは、曲を“人生の季節”に置き直してくれることなんです。たとえばベートーヴェンの交響曲第五番は、猛然と勇気が湧いてくる曲として紹介される。
ブラームスの第四番は、過ぎ去った日々への愛惜。つまり名曲を、いまの自分の状況に引き寄せて聴ける。著者は作曲家であり指揮者、さらに音響の脳科学研究プロジェクトも率いた人で、ホールの響きの秘密や名指揮者・演奏家の素顔まで語ってくれます。
橘ナナミ
人生の春夏秋冬に寄り添う、という言い方がいいですね。落ち込んでいるときと、張り切っているときで、聴きたい曲が変わりそうです。
佐藤メバル
そう、まさにそこなんですよ。しかもリスニングガイドが付いているから、読んでから実際に音を確かめられる。
西洋音楽300年の歴史の流れも押さえられるので、最初の一冊としても、聴き慣れた人がもう一段深く味わうのにも使えます。
音のひみつがすべてわかる! すごすぎる音楽の図鑑
反田恭平 著|KADOKAWA
¥1,485(税込)
『すごすぎる図鑑』シリーズの音楽編で、ピアニスト・指揮者の反田恭平と、彼が主宰するジャパン・ナショナル・オーケストラが全面協力しています。五線譜がいつできたか、ドレミが決まったおどろきの理由といった基本から、1万円から20億円まで幅があるヴァイオリンの価値、ボタン3つなのにたくさん音が出る楽器、モーツァルトはどこが天才なのか、指揮者とコンマスの役割、リハーサルあるある、拍手のタイミングまで。現役の演奏家の感性が入ったトリビア満載で、子どもも大人も同じように夢中になれる一冊です。
こんな人におすすめ
子どもと一緒に音楽の話で盛り上がりたい大人。楽器を習っている子どもを持つ人。五線譜やドレミの成り立ち、ヴァイオリンの値段、指揮者とコンマスの役割、拍手のタイミングなど、雑学として音の話を楽しみたい人。クイズ感覚でクラシックに親しみたい入門者にぴったりです。
良い点
- 現役演奏家の視点のトリビアが豊富
- 基礎から拍手のタイミングまで範囲が広い
- 図鑑なので子どもと一緒にめくれる
気になる点
- あくまで入門から中級の読み物
- クラシック中心で他ジャンルは少なめ
- 気になる項目だけ拾う読み方になりがち
出版社
KADOKAWA
発売日
2025年07月26日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
これ、表紙からして楽しいんですけど、“すごすぎる図鑑”って子ども向けなんですか? 大人が読んでもいいんでしょうか。
佐藤メバル
むしろ大人にこそ刺さると思う。反田恭平と、彼が主宰するジャパン・ナショナル・オーケストラが全面協力していて、現役の演奏家ならではの視点がふんだんに入っているんです。
たとえばヴァイオリンの価値が1万円から20億円まで幅があるという話、ボタン3つなのにたくさん音が出る楽器の話。
五線譜がいつできたか、ドレミが決まった理由といった基礎もきちんと押さえています。
橘ナナミ
ジャジャジャジャーン!は運命だけじゃない、っていう見出しも気になります。なんか、クイズみたいに読めそうですね。
佐藤メバル
そう、リハーサルあるあるや拍手のタイミング、作曲家に愛されたシェイクスピア、音楽家がこれを食べない、なんてトリビアまで入っています。
シリーズ累計60万部の図鑑シリーズで、絵画に続く音楽編です。読み物として面白く、かつ基礎が抜けない。入り口として非常に良い一冊ですよ。
読んでわかる!きいてわかる!クラシック音楽の歴史 大人の音楽史入門 【CD付】
長沼由美 著|ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
¥1,980(税込)
各時代の概説とおもな作曲家の紹介から成る音楽史入門で、付録のCDによって本文で取り上げた作品を実際に聴きながら確かめられます。古代から中世、ルネサンス、バロック、古典派、ロマン派、近・現代までを一本の線で追える構成。世界史・日本史のおもなできごとと対照できる簡略な年表が添えられているので、音楽だけを切り離さず、時代の空気と一緒に理解できるのが強みです。名前と年号の暗記になりがちな分野を、流れとして捉え直したい人に向きます。
こんな人におすすめ
音楽史を年号の暗記ではなく流れとして理解したい人。クラシックを聴きながら、その作品が生まれた時代の世界史や日本史も一緒に押さえたい人。付録のCDで音を確かめながら、古代から現代までを見渡したい独学の学び直しに向いています。
良い点
- CDで音を確かめながら読める
- 世界史・日本史と対照できる年表付き
- 古代から現代まで一冊で通せる
気になる点
- 概説中心で各作曲家の記述は簡潔
- 聴ける作品はCD収録分に限られる
- 2007年刊で記述は当時のもの
出版社
ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
発売日
2007年04月13日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
CD付きっていうのが、いまとなると逆に貴重ですよね。音楽史を“読んで”だけでなく“聴いて”確かめられる。
佐藤メバル
そこがこの本の強みです。各時代の概説と主要な作曲家の紹介という構成で、文中に出てくる作品を付録のCDで実際に聴ける。
古代から中世、ルネサンス、バロック、古典派、ロマン派、近・現代まで、紀元前から20世紀までを一本の線で追えます。
橘ナナミ
年表が付いているのも助かります。世界史と日本史のできごとと並べて見られるんですよね。音楽だけ切り離して覚えると、頭に入らなそうですし。
佐藤メバル
まさに多角的にとらえるための工夫です。世界史や日本史と対照できる簡略な年表があるから、この作曲家が生きていた時代には何があったかが同時に見える。
音楽史の本って、名前と年号の暗記になりがちなんですが、これは流れとして入ってくるんです。
音楽ってかんたん! おもしろい! オーケストラ大図鑑
(財)東京フィルハーモニー交響楽団 著|PHP研究所
¥3,080(税込)
「オーケストラって何?」という素朴な疑問から、音楽の聴き方、演奏会の進め方、音楽の表現までを豊富な写真で解説する一冊です。東京フィルハーモニー交響楽団の協力のもと、実際の演奏会の流れに沿って始まりから終わりまでを追う誌上演奏会が中心で、会場準備やリハーサルとゲネプロ、楽団員が数時間前に集合する舞台裏、指揮者の役割、本番で使われた楽器の解説まで見えてきます。第3章では「ピーターとオオカミ」「運命」「蝶々夫人」を例に表現と演奏形態を学べます。
こんな人におすすめ
これから演奏会に行ってみたい人。子どもと一緒にオーケストラの仕組みを知りたい人。本番の前に何が起きているのか、舞台裏も含めて知りたい人。演奏会デビューの予習として最適で、写真を眺めるだけでも楽しめる作りです。
良い点
- 写真が豊富で舞台裏まで見える
- 演奏会の流れを誌上で追体験できる
- 代表曲の鑑賞ポイントが具体的
気になる点
- 価格が高めで子ども向けには勇気が要る
- 楽器の練習法を学ぶ本ではない
- 2008年刊で楽団の記述は当時のもの
出版社
PHP研究所
発売日
2008年05月27日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
オーケストラの図鑑って、けっこう大きいですね。写真も多そうですけど、どんな流れで読むんですか?
佐藤メバル
東京フィルハーモニー交響楽団の全面協力で作られていて、まず第1章が小学校の音楽教室、そこから誌上演奏会の形で演奏会の最初から最後までを追う。
企画、リハーサルとゲネプロ、楽団員が数時間前に集合する話、指揮者の役割、それから本番で使われた楽器の解説まで入ります。
橘ナナミ
舞台裏が見えるのが面白そう! 演奏会って、聴く側は始まってから終わるまでしか見えないですもんね。
佐藤メバル
そう、そこなんです。第3章では音楽の表現と演奏形態を代表曲で鑑賞していく。自然の美しさなら「ピーターとオオカミ」、人の心の動きなら「運命」、地域性や民族性ならオペラの「蝶々夫人」。
写真が豊富だから、演奏会に行く前にめくると解像度がぐっと上がりますよ。
西洋音楽史大図鑑
スティーヴ・コリッソン 著|ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
¥4,840(税込)
イギリスのDorling Kindersleyが手がける「BIG IDEAS SIMPLY EXPLAINED」シリーズの一冊で、はじめて真の「オペラ」を書いたのは誰か、記譜法のシステムの起源はどこか、作曲家はどう交響曲を作るのか——といった問いを立てながら、重要な作品とその影響を分析していきます。作曲家の人生、作曲技法の変遷、作品の成り立ちを図版とイラストで解説する作りで、初期の音楽からルネサンス、バロック、古典派、ロマン派、ナショナリズム、近代、現代へ。辞書的に引くことも、通読することもできる大図鑑です。
こんな人におすすめ
クラシックをたまに聴く程度だが、そろそろ全体像をつかみたい人。熱心なファンで、作曲技法や作品の成り立ちまで踏み込みたい人。気になる時代や作曲家を辞書的に引きたい人。手元に一冊置いて長く使いたい読者に向いています。
良い点
- 図版とイラストで作曲技法まで見える
- 疑問から入るので読み物として進む
- 辞書的に引いても使える作り
気になる点
- 価格が高く気軽には手が出ない
- 翻訳本で用語にやや癖がある
- 入門者には情報量が多め
出版社
ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
発売日
2021年12月27日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
西洋音楽史の大図鑑……ずいぶん厚そうで、値段もそれなりですね。ちょっと身構えてしまうんですが。
佐藤メバル
これはイギリスのDorling Kindersleyが出している「BIG IDEAS SIMPLY EXPLAINED」シリーズの一冊で、図版とイラストで作曲家の人生から作曲技法の変遷までを解説する作りなんです。
はじめて真の「オペラ」を書いたのは誰か、記譜法のシステムの起源はどこか、作曲家はどう交響曲を作るのか——こうした問いを立てて答えていく構成なので、読み物として進みます。
橘ナナミ
問いから入るんですね。年号順の教科書だと、どうしても順番に覚える感じになっちゃって。初期の音楽、ルネサンス、バロック、古典派、ロマン派、ナショナリズム、近代、現代、という並びなんですけど、これは辞書的に使ってもいいんでしょうか。
佐藤メバル
両方いけます。通読すれば流れがつながるし、気になる時代を開けばその場で答えが出る。クラシックをたまに聴く人も熱烈なファンも、理解が深まるように作られています。
手元に置いて長く使えるタイプの一冊ですよ。
世界の音楽大図鑑【コンパクト版】
ロバート・ジーグラー 著|河出書房新社
¥4,950(税込)
古代の楽器からデジタル音源まで、交響曲から多様な民族音楽まで、作曲家の生涯からポップス、ロック、ジャズの歴史までを一冊で見渡せる万能図鑑です。1200点の写真や図版で楽しめるオールカラーの作りで、大型の元本を全面改訂しコンパクト版として最新情報に更新。クラーラ・ヴィーク・シューマン、アメリカの音楽、変革の時、音楽による抵抗、アフリカ東部・中央部、西部・南部といった新しい見開きテーマが加わり、J-POPや韓流までカバーします。西洋にかたよらない音楽史の地平を総観できる一冊です。
こんな人におすすめ
クラシックだけでなく、世界の民族音楽からポップス、ロック、ジャズまでを一冊で見渡したい人。調べもので西洋以外の音楽も知りたい人。写真や図版を眺めながら世界の音楽の見取り図を手に入れたい読者に向いています。
良い点
- 1200点の図版で世界の音楽を総観
- 西洋にかたよらない編集方針
- 最新のシーンまで改訂済み
気になる点
- 価格は高めで気軽ではない
- 一冊で全部は覚えられない
- コンパクト版でも厚みがある
出版社
河出書房新社
発売日
2022年11月22日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
“世界の音楽”って、クラシックだけじゃないんですね。ポップス、ロック、ジャズの歴史まで入っているって、欲張りすぎでは?
佐藤メバル
それがこの本の凄みで、古代の楽器からデジタル音源まで、交響曲から多様な民族音楽まで、作曲家の生涯からポップス・ロック・ジャズまで、1200点の写真と図版で楽しめるオールカラー図鑑なんです。
コンパクト版として大型の元本を全面改訂し、新しい見開きテーマを加え、J-POPや韓流までカバーしています。
橘ナナミ
クラーラ・ヴィーク・シューマン、アメリカの音楽、音楽による抵抗、アフリカ東部・中央部、西部・南部……見開きのテーマが聞いたことのないものばかりで、めくってみたくなります。
佐藤メバル
西洋にかたよらない音楽史の地平を総観しようという編集方針なんです。北欧から南米まで、日本を含むアジアからアフリカまで。
メソポタミアから続く人類の音楽史をまとめた図鑑と言っていい。価格は張りますが、一冊で世界の見取り図が手に入りますよ。
楽器の音色がすぐ聴ける 世界の民族楽器図鑑
民音音楽博物館 著|河出書房新社
¥2,475(税込)
「民族楽器」とは世界各地の民族によって演奏される楽器のこと。それぞれの民族が長い時間をかけて育ててきた、固有の文化と密接に結びついた存在です。この図鑑はオールカラーの写真と、音色が聴けるQRコードが連動していて、スマートフォンで貴重な音源をその場で確かめられるのが画期的。仕組みや弾き方、歴史の解説を読んでから音を聴くと、同じ楽器の印象がまるで変わります。写真を見て、音を聴いて、また本文に戻る——その行き来そのものが音楽の楽しさになります。
こんな人におすすめ
世界各地の楽器の音を実際に聴いてみたい人。図鑑を眺めるのが好きで、写真と音を往復しながら楽しみたい人。旅先や音楽の授業の予習として、土地と楽器の関係を知りたい人。スマホを片手にめくるのに向いています。
良い点
- QRコードで音をその場で確認できる
- オールカラー写真が豊富
- 仕組み・弾き方・歴史まで解説
気になる点
- スマートフォンがないと音を聴けない
- 網羅性より読み物寄りの構成
- 楽器の演奏法を学ぶ本ではない
出版社
河出書房新社
発売日
2018年07月26日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
QRコードで音が聴ける図鑑! 民族楽器って、名前は聞いたことあっても、音は全然知らないものばかりですよね。
佐藤メバル
そこが画期的なところで、オールカラーの写真と民族楽器の音色が連動している。スマートフォンですぐ聴けるので、写真を見て、音を確かめて、また本文に戻るという行き来ができるんです。
民音音楽博物館の所蔵と研究に基づいた貴重な音源が使われています。
橘ナナミ
楽器の仕組みとか弾き方も書いてあるんですか?
佐藤メバル
書いてあります。それぞれの民族が長い時間をかけて育ててきた楽器だから、音を聴いて、その楽器がたどってきた歴史に思いをはせる、というのがこの本の読み方なんですね。
仕組みや演奏方法に触れてから音を聴くと、まったく印象が変わりますよ。
最もわかりやすい楽典入門
坪野春枝 著|ケイ・エム・ピー
¥880(税込)
楽譜の読み方と音楽の基礎を、薄く、価格も手頃な一冊にまとめた入門の定番です。第一部「楽譜のきまり」では譜表、音符と休符、音名、拍子、発想をあらわすことば、速さをしめすことば、省略記号その他を扱い、第二部「音楽のべんきょう」では音程、音階、転調、移調、和声、対位法、楽式、声楽、器楽、そして作曲家年表へと進みます。巻末に復習と索引と解答が付くので、独学でも合っているか確かめながら進められるのがありがたいところです。
こんな人におすすめ
楽譜がなんとなく読めるが、用語や仕組みを基礎から整理したい人。独学で音楽を学んでいて、答え合わせができる教材を探している人。短時間で全体像をつかめる最初の一冊を探す人に向いています。
良い点
- 第一部と第二部で段階的に学べる
- 復習・索引・解答付きで独学向き
- 価格が手頃で始めやすい
気になる点
- 項目ごとの記述は簡潔
- 問題演習の量は多くない
- 2002年刊で表記は当時のまま
出版社
ケイ・エム・ピー
発売日
2002年03月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
楽典……楽譜の読み方の本ですよね。私、五線譜がなんとなく読めるくらいで、用語はほぼ分からないんです。
佐藤メバル
それで十分です。この本は第一部が「楽譜のきまり」で、譜表、音符と休符、音名、拍子、発想をあらわすことば、速さをしめすことば、省略記号まで。
第二部が「音楽のべんきょう」で、音程、音階、転調、移調、和声、対位法、楽式、声楽、器楽、そして作曲家年表という並びなんです。
橘ナナミ
あ、最後に復習と索引と解答が付いているんですね。独学だと、合っているかどうか分からないまま進んじゃいそうです。
佐藤メバル
そこが「最もわかりやすい」と銘打っている所以ですね。薄くて価格も手頃なので、最初の一冊として気軽に試せます。
これで物足りなくなったら、より本格的な楽典に進む、という段取りがいいと思いますよ。
楽典 音楽家を志す人のための
菊池有恒 著|音楽之友社
¥3,421(税込)
発刊以来、実用的な楽典書として広く愛用されてきた定番の新版です。稿を改めて各種の索引や表が加わり、さらに理解しにくいとされているL'istesso tempoや調性判断、和声などに新たな方式や法則を加えて解説しています。ここが類書との決定的な違いで、難しいとされる箇所から逃げずに踏み込む。巻末には音大入試問題と解答も付き、学んだことを確認できます。辞書として引き、必要になったら問題で試す。ある程度学びが進んだ人が手元に置いておきたい一冊です。
こんな人におすすめ
楽典を学び直したい人、音楽を専門的に学ぼうとしている人。用語の意味を辞書的に引き、必要に応じて問題で確認したい人。実用的な楽典書を手元に置きたい読者に向いています。
良い点
- 実用的な楽典書として改訂を重ねた定番
- 索引や表が充実し引きやすい
- 難所とされる項目に踏み込む
気になる点
- 価格が高く入門には不向き
- 初学者には難度が高い
- 音大入試を意識した内容を含む
出版社
音楽之友社
発売日
1988年02月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
同じ楽典でも、こちらは“音楽家を志す人のための”って書いてあります。やっぱりレベルが違うんですか?
佐藤メバル
まず目的が違います。こちらは発刊されて以来、実用的な楽典書として広く使われてきたもの。新版で稿を改めて、各種の索引や表が加わり、さらに理解しにくいとされているL'istesso tempoや調性判断、和声などに新しい方式や法則を加えて解説しています。
つまり、現場で使える形に磨き続けられている本なんです。
橘ナナミ
音大入試問題と解答が付いているのも、そういうことなんですね。私には敷居が高そうですが……。
佐藤メバル
付録として付いているという位置づけなので、普段は普通の楽典として読めます。辞書的に引きながら、必要になったら問題で確認する。
ある程度学びが進んだ人が、手元に一冊置いておくのに向いていますよ。
ポピュラー音楽理論改訂版
北川祐 著|リットーミュージック
¥2,750(税込)
ポピュラー音楽を理解するための理論を、実用的な視点からまとめた定番の教科書です。読譜と音楽理論の基礎から始まり、コードについての基本的知識、コード・スケールの基本と相互関係、そして一歩進んだ活用方法へと進んでいきます。クラシック理論の翻案ではなく、ポピュラーを弾き、作り、アレンジする場面でそのまま使える形に整理されているのが持ち味。TAB譜で押さえ方だけ覚えてきた人が、なぜその音が気持ちいいのかを説明できるようになる一冊です。
こんな人におすすめ
ギターやキーボードでコードを押さえてきたが、理屈を飛ばしてきた人。コード進行を自分で組み立てたり、アレンジをしてみたい人。ポピュラー音楽を作る側に回りたい読者にぴったりです。
良い点
- 読譜からコード活用まで一冊で
- 実用視点でまとまった定番教科書
- コードとスケールの関係が整理される
気になる点
- ポピュラー寄りでクラシックには不向き
- 2004年刊で事例は当時のもの
- 実践課題は自分で補う必要
出版社
リットーミュージック
発売日
2004年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ポピュラー音楽理論、というのは、クラシックの音楽理論とは違うんですか?
佐藤メバル
共通する土台はあるんですが、重心が違います。この本はポピュラー音楽を理解するための理論を、実用的な視点からまとめた定番の教科書。
読譜と音楽理論の基礎から始まって、コードについての基本的知識、コード・スケールの基本と相互関係、そして一歩進んだ活用方法まで進みます。
橘ナナミ
コードって、ギターのTAB譜で押さえ方だけ覚えちゃって、理屈は飛ばしてきたんですよ。だから一曲弾けても、次に応用できない感じがして。
佐藤メバル
まさにその層に向いています。コードとスケールの相互関係を押さえると、なぜその音が気持ちいいのかが説明できるようになる。
作曲やアレンジをしたい人にも、演奏の引き出しを増やしたい人にも効きますよ。
ジャジーランドのジャズ理論講座 上巻
中島久恵 著|JAZZYLAND
¥2,970(税込)
ジャズの演奏やアレンジに必要かつ十分な“活きた理論”を、上下巻で体系的に学べる本の上巻です。1日目はメジャー・スケール、3日目はコードって何だ?、13日目は裏コードとターン・バック、15日目は8分音符を歌おう、と15日分の講座形式で進みます。自筆のイラストや鍵盤図を多く用いたのは、楽譜が読めない人向けではなく、分析能力やクリエイティブな応用力を鍛えるため。もとは好評だったピアノ教則本の復刻で、ポップスやロックへの応用のヒントも得られます。
こんな人におすすめ
ジャズを弾いたりアレンジしたりしたい人。理論をきちんと学びたいが、教科書的な硬さは苦手という人。ポップスやロックにジャズの要素を取り込みたい人。15日分の講座として通読したい読者に向いています。
良い点
- 15日構成で段階的に進められる
- 自筆イラストと鍵盤図が豊富
- ジャズ以外のジャンルにも応用可
気になる点
- 上下巻で上巻だけでは完結しない
- やさしくはない内容だと明記されている
- カジュアルな紙面は好みが分かれる
出版社
JAZZYLAND
発売日
2022年11月25日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ジャズ理論、しかも上巻から。イラストや鍵盤図が多いらしいですけど、楽譜が読めないと無理なやつですか?
佐藤メバル
そこを心配する人のために、と著者も書いています。イラストや鍵盤図を多く使っているのは、楽譜が読めない人向けというより、分析能力やクリエイティブな応用力を鍛えるためなんです。
1日目がメジャー・スケール、2日目インターバル、3日目コードって何だ?、と15日目まで段階を踏んで進みます。
橘ナナミ
1日目、2日目……って、講座みたいに区切ってあるのがいいですね。カジュアルな文体とも聞きました。
佐藤メバル
ええ、決してやさしくはないジャズ理論を楽しく読み進められるように書かれています。もとは好評だったピアノ教則本を復刻したもので、索引も加わって使いやすくなりました。
ポップスやロック、クラシックにジャズの要素を取り込みたい人にもヒントが転がっていますよ。
管弦楽法
エクトール・ベルリオーズ 著|音楽之友社
¥13,200(税込)
ピリオド系管弦楽法の原典であり、オーケストラの歴史を俯瞰できる歴史的名著です。大胆な切り口で管弦楽を変革したベルリオーズの名著を、緻密な分析でまとめ上げたR.シュトラウスが改訂する——この二人のコラボレーションがついに完訳されました。どの楽器に何を弾かせるかを設計する技術の出発点がここにあり、後世の作曲や編曲の前提になっています。実作者向けの専門書ではありますが、オーケストラの音の成り立ちを知りたい読者にも効く一冊です。
こんな人におすすめ
作曲や編曲を学んでいる人。オーケストラの音の設計に関心がある人。管弦楽法の原典を自分の本棚に置きたい人。オーケストラ史を俯瞰したい読者にも手に取ってほしい専門書です。
良い点
- 管弦楽法の原典を完訳で読める
- オーケストラ史の俯瞰にも使える
- ベルリオーズとシュトラウスの共作
気になる点
- 専門書価格で気軽には買えない
- 実作者向けで入門には不向き
- 楽譜が読めないと厳しい
出版社
音楽之友社
発売日
2006年02月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
管弦楽法……って何ですか? オーケストラの本なのは分かりますけど、価格を見てびっくりしました。
佐藤メバル
管弦楽法は、簡単に言えば“どの楽器に何を弾かせるか”を設計する技術のこと。この本はその原典なんです。
ベルリオーズが大胆な切り口で管弦楽を変革し、それをR.シュトラウスが緻密な分析でまとめ上げた。その二人のコラボレーションがついに完訳されたのがこの一冊です。
橘ナナミ
原典、という言い方にロマンを感じます。でも、素人が読んで分かるものでもないですよね。
佐藤メバル
正直、実作者向けです。ただ、オーケストラの歴史を俯瞰できる歴史的名著でもあるので、ピリオド系管弦楽法の原典として、聴く側が手に取って眺めるだけでも得るものはあります。
作曲や編曲をする人の本棚には、確実に効きますよ。
大人のための音感トレーニング本
友寄隆哉 著|リットーミュージック
¥2,090(税込)
音感は才能ではなく訓練で伸びる——その前提で組まれた大人向けのトレーニング本です。メロディを聴いてすぐ楽器で再現できる、正しいピッチで歌える、耳に入ってきたコード進行をその場で分析できる、難しいキーの曲をすぐ簡単なキーに移調できる、思いついたメロディを楽器なしで譜面に書ける。耳コピーの効率が飛躍的に向上すると掲げる通り、目標がすべて具体的です。楽器がなくてもできる練習が混ざっているので、独学で音楽をやってきた人が順番に穴を埋めていけます。
こんな人におすすめ
耳コピができるようになりたい人。音程やリズムの聴き取りに自信がない人。楽器がなくてもできる練習を探している人。独学で音感を鍛え直したい大人に向いています。
良い点
- 目標が具体的で練習法が明確
- 楽器がなくてもできる訓練がある
- 耳コピから移調まで一冊で
気になる点
- 毎日の継続が前提の内容
- 音源は自分で用意する必要
- 理論の説明は最小限
出版社
リットーミュージック
発売日
2011年04月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
音感トレーニング、これ気になります! 耳コピができる人って、生まれつきの才能だと思ってたんですけど、鍛えられるんですか?
佐藤メバル
鍛えられます。この本の目標は具体的で、メロディを聴いてすぐに楽器で再現できる、正しいピッチで歌える、耳に入ってきたコード進行をその場で分析できる、といったところ。
耳コピーの効率が飛躍的に向上すると書かれていて、まさに実務的です。
橘ナナミ
譜面を見ながら正しいメロディで歌える、とか、簡単なキーに移調できる、とかも書いてありますね。楽器がなくてもできる練習があるのが助かります。
佐藤メバル
そう、そこなんです。思いついたメロディを楽器なしで譜面に書けるようになる、メロディを聴きながら即興で伴奏をつけられるようになる。
独学で音楽をやってきた人が、いちばん欲しい能力を順番に埋めていける構成になっていますよ。
ジャズの名盤入門
中山康樹 著|講談社
¥924(税込)
この50枚を聴けばジャズの真髄がわかる——そう言い切る名盤ガイドです。BGM代わりに聴くだけでは気づかない名盤ならではの魅力とは何か、その聴きかたをつぶさに教えてくれます。PART1は新しいメディアが生んだ「名盤の時代」、PART2は60年代に頂点を迎えた「レコード芸術としてのジャズ」、PART3はフュージョンの時代を経て一巡したジャズの歴史。レコードというメディアがジャズをどう変えたかという視点が通底し、単なるおすすめ盤の列挙で終わらない構成になっています。
こんな人におすすめ
ジャズをこれから聴き始めたい人。BGMとして流していた曲を、聴き込む対象に変えたい人。名盤が生まれた背景から知りたい人。最初の50枚を効率よく選びたい読者にぴったりです。
良い点
- 50枚という絞り込みが明快
- 名盤が生まれた背景から説く
- 価格が手頃で手に取りやすい
気になる点
- 選盤は著者の基準による
- 2005年刊で以後の動向は別途
- 音源そのものは別に用意する必要
出版社
講談社
発売日
2005年09月17日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
50枚を聴けばジャズの真髄がわかる、って言い切られると、逆に気になります。BGMで聴いてるだけじゃダメってことですか?
佐藤メバル
この本の出発点がまさにそこなんです。BGM代わりに聴くだけでは気づかない名盤ならではの魅力を、その聴きかたごと教えてくれる。
PART1が新しいメディアが生んだ「名盤の時代」、PART2が60年代に頂点を迎えた「レコード芸術としてのジャズ」、PART3がフュージョンの時代を経て一巡したジャズの歴史です。
橘ナナミ
なるほど、単に名盤を並べるんじゃなくて、なぜそれが名盤になったかの背景から入るんですね。
佐藤メバル
レコードというメディアがジャズをどう変えたか、という視点が通底しているのが面白いところです。同じ著者のロックの歴史と並べて読むと、20世紀の音楽産業の見え方が変わりますよ。
至高の日本ジャズ全史
相倉久人 著|集英社
¥814(税込)
アメリカ・ニューオーリンズでジャズが生まれてわずか一、二年後の大正年間の日本に、すでにジャズを演奏する日本人がいた。そこから始まる日本ジャズの来歴を、戦後の混乱期から現場に居合わせた著者自身の視点でたどる一冊です。ジャズ喫茶やナイトクラブに渦巻いた熱狂、コルトレーンやモンクら著名ミュージシャン来日の舞台裏、新たな潮流、山下洋輔の登場、若きミュージシャン同志の対立と別離まで。各時代別に厳選した参考音源リストと、菊地成孔との対談も収録しています。
こんな人におすすめ
日本でジャズがどう根づいたかに興味がある人。ジャズ喫茶やナイトクラブの時代の空気を追いたい人。来日ミュージシャンの舞台裏を読んでみたい人。日本ジャズの来歴を一冊で押さえたい読者に向いています。
良い点
- 現場に居合わせた著者の証言で読ませる
- 時代別の参考音源リスト付き
- 菊地成孔との対談まで収録
気になる点
- 人名と出来事が多く集中が必要
- 情報量が多く気軽な読み物ではない
- ジャズの入門書ではない
出版社
集英社
発売日
2012年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
日本にジャズが入ってきたのって、戦後だと思っていました。大正年間にはもう日本人が演奏していた、というのは驚きです。
佐藤メバル
ニューオーリンズでジャズが生まれて、わずか一、二年後の日本にすでに演奏する日本人がいた。この本はそこから始まるんです。
著者の相倉久人は戦後の混乱期からその現場に居合わせていて、ジャズ喫茶やナイトクラブに渦巻いた熱狂を当事者として書いている。
コルトレーンやモンクの来日の舞台裏、山下洋輔の登場、若いミュージシャン同士の対立と別離まで。
橘ナナミ
現場にいた人が書いてるんですね。しかも参考音源リスト付きというのがありがたい。読んで終わりじゃない。
佐藤メバル
最後には菊地成孔との対談も入っていて、現在進行形の日本ジャズまで視野に入ります。並行して読むなら、同じ著者のジャズの名盤入門と。
あちらは盤の話、こちらは土地と人の話です。
マイルス・デイヴィス大百科
小川隆夫 著|シンコーミュージック・エンタテイメント
¥5,500(税込)
生誕100年、没後35年を迎えたジャズの帝王マイルス・デイヴィスについて、「マイルスにもっとも肉薄した男」として世界的に知られる著者による論考を集大成した一冊です。インタヴュー、ライナーノーツ、評論、討論、レヴューなど全168本を収録し、同じ対象を別の角度から何度も照らし出すことで立体像が立ち上がります。巻末には『マイルス・デイヴィス大事典』の補遺も収載。入門書ではなく、音源と並べて読み込むための、読む側のための決定版です。
こんな人におすすめ
マイルスを聴き込んでいる人。評論やインタヴューを通して、音の向こう側を知りたい人。大事典的に引きながら論考を読み進めたい人。マイルス論をまとめて読む準備ができた読者に向いています。
良い点
- マイルス論168本の集大成
- インタヴューから評論まで横断
- 巻末に大事典の補遺を収載
気になる点
- 価格が高く気軽ではない
- 入門書ではなく前提知識が要る
- 読み進める前に音源の予習が要る
出版社
シンコーミュージック・エンタテイメント
発売日
2026年05月26日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
マイルス・デイヴィス大百科……価格も高いし、168本も論考が入っているんですか。これは相当な人向けですよね。
佐藤メバル
生誕100年、没後35年という節目に出る本で、集大成という言葉がふさわしい。著者の小川隆夫は「マイルスにもっとも肉薄した男」として世界的に知られる人で、インタヴュー、ライナーノーツ、評論、討論、レヴューまで、ジャンルを横断したマイルス論が並びます。
橘ナナミ
巻末に『マイルス・デイヴィス大事典』の補遺が付くっていうのも、すごい作りですね。事典と評論集が一冊になってる感じですか。
佐藤メバル
そういうことです。入門書ではないので、まずは一枚聴いてから、ですね。音と並べて読むと、同じテイクの聴こえ方が変わりますよ。
新時代の名曲名盤500+100
レコード芸術 著|株式会社音楽之友社
¥2,640(税込)
『レコード芸術』の定番「名曲名盤」の最新版で、前回から6年ぶりの刊行です。個人が選んだ名盤ガイドが多いなか、8名という複数の投票によって選定する方式を採っているのが最大の特徴で、他に例を見ない信頼度の高さにつながっています。各曲でベスト1に選ばれたディスクはジャケット写真と選者のコメントが付き、投票結果についての講評も収載。さらに掲載後に発売されたディスクも含めて投票が見直されており、最新の名盤ガイドの決定版として使えます。
こんな人におすすめ
同じ曲の複数の演奏を聴き比べたい人。個人の好みではなく、複数の評価を踏まえて選びたい人。ベスト1が選ばれた理由まで読みたい人。名盤ガイドを一冊に決めたい読者に向いています。
良い点
- 8名の投票で選ぶ信頼性の高い方式
- ベスト1はジャケットと講評付き
- 最新ディスクまで見直し済み
気になる点
- 選者が多い分、好みは分かれる
- 価格は手頃とは言えない
- 収録はクラシック中心
出版社
株式会社音楽之友社
発売日
2023年01月20日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
名曲名盤のガイドって、個人が選んだものが多いじゃないですか。これは違うんですか?
佐藤メバル
そこが最大の違いです。この本は8名の選者による複数の投票で名盤を選定する方式を採っていて、個人の好み一本ではない。
だから信頼度が高いと評価されています。各曲でベスト1に選ばれたディスクはジャケット写真と選者のコメントが付き、投票結果についての講評も書かれているんです。
橘ナナミ
なぜその盤なのかが説明されるんですね。それなら自分で聴いて比べても面白い。しかも2020年から2022年の特集が底本で、掲載後に出たディスクも含めて見直しているんですよね。
佐藤メバル
そう、そこが2023年時点の最新版たる所以です。6年ぶりの刊行ということで、以前の版を持っている人にも買い替える価値がありますよ。
ONTOMO MOOK クラシック不滅の名盤300
レコード芸術ONLINE 著|株式会社音楽之友社
¥2,750(税込)
これまでの膨大なクラシック録音の中から、定評ある名盤300点を選び、その演奏の特徴を紹介する一冊です。録音の選定を満津岡信育と山崎浩太郎、音楽史を矢澤孝樹が担当し、ディスク紹介は豪華な執筆陣が担当。1点あたりの紹介文をたっぷりとっているため、なぜその演奏が選ばれるのか、不滅の名盤たる所以がよくわかります。オールカラーページで、手持ちの一枚を見直すのにも、次に聴く一枚を選ぶのにも使える構成です。
こんな人におすすめ
名盤の紹介文をじっくり読みたい人。オールカラーでジャケットを見ながら選びたい人。300点に絞られた定番から次の一枚を探したい人。録音の選定と執筆の体制を信頼したい読者に向いています。
良い点
- 1点あたりの紹介文がたっぷり
- オールカラーページで見やすい
- 選定と執筆の担当が明確
気になる点
- 300点に絞られている
- 価格は手頃とは言えない
- 入門的な基礎解説は少ない
出版社
株式会社音楽之友社
発売日
2026年03月27日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
こちらも音楽之友社の名盤ガイドですね。300点って、先ほどの500+100より絞られている感じですか?
佐藤メバル
性格が違います。こちらは膨大なクラシック録音の中から、定評ある名盤300点を選んで、1点あたりの紹介文をたっぷりとっているのが特徴。
選定を満津岡信育と山崎浩太郎、音楽史を矢澤孝樹が担当していて、ディスク紹介の執筆陣も豪華です。
橘ナナミ
オールカラーなのも嬉しいです。ジャケットを見ながら選びたい派なので。
佐藤メバル
それに、ただ並んでいるだけじゃなくて、不滅の名盤たる所以が読み取れる書き込みになっています。手持ちの一枚を見直すのにも、次の一枚を選ぶのにも使える。
名盤ガイドを二冊持つなら、選び方の違うこの二冊がちょうどいい組み合わせになりますよ。
[ONTOMO MOOK]ショパンとショパンコンクール ショパン国際ピアノコンクール創設100年記念
株式会社音楽之友社
¥2,420(税込)
1927年に始まったショパン・コンクールが創設100周年を迎えるにあたって編まれた一冊です。20世紀の往年のショパン演奏家として名を馳せた歴代の入賞者から現代の最前線までを紹介しながら、コンクールをめぐる100年の歴史をたどります。同時に作曲家ショパンの生涯を紹介しつつ、主要曲の名盤紹介も掲載し、作品の本質に迫る。コンクールと作曲家、その作品から演奏までが一冊で見渡せるダイジェスト的な作りになっています。
こんな人におすすめ
ショパン・コンクールを観て興味を持った人。往年の演奏家から現代の演奏家までを辿りたい人。ショパンの生涯と主要曲の名盤をまとめて押さえたい人。コンクールと作品の両方を知りたい読者に。
良い点
- コンクール100年の流れが追える
- 作曲家の生涯と名盤紹介も収録
- 演奏家から作品へ入っていける
気になる点
- 保存版の作りで価格はやや高め
- ショパン以外は扱わない
- コンクールの予備知識があると尚可
出版社
株式会社音楽之友社
発売日
2025年09月18日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ショパン・コンクールって、1927年に始まったんですね。創設100年記念の一冊ということは、歴史をまるごと追うんですか?
佐藤メバル
そういう構成です。20世紀の往年のショパン演奏家として名を馳せた歴代の入賞者から、現代の最前線までを紹介しながら、コンクールをめぐる100年の歴史をたどります。
同時に作曲家ショパンの生涯を紹介しつつ、主要曲の名盤紹介も入る。作品の本質に迫る作りです。
橘ナナミ
コンクールの話と作曲家の話と名盤の話が一冊に入っていると、何から読めばいいか迷わないですか?
佐藤メバル
むしろダイジェストとして便利なんです。コンクールを見て好きになった人が、演奏家から入って作品に降りていく。
逆に曲が好きな人が、誰がどう弾いてきたかを知る。コンクールと作曲家、作品から演奏までを一冊で行き来できますよ。
J・S・バッハ
礒山雅 著|講談社
¥1,034(税込)
眠れぬ夜に「ゴルトベルク変奏曲」、謎をはらんだ「フーガの技法」、最高傑作「マタイ受難曲」。平易と優美の時代に抗い、生と死の問題を見つめ続けた最後の音楽職人J・S・バッハを、豊富な資料と自筆譜、名盤・名曲案内まで備えて描く決定版の入門です。「ツィターを弾くパン職人」「妻のための楽譜帳」「洋服を着た勤勉」「不均等の美学」といった章立てが示す通り、作品論に閉じず、暮らしと信仰のなかの音楽家としてバッハを立ち上げています。
こんな人におすすめ
バッハの作品を聴き込んできた人。作曲家の生涯と信仰、暮らしまで知りたい人。名盤案内を頼りに次の一枚を選びたい人。音楽を超える視線を追いたい読者に向いています。
良い点
- 自筆譜や資料に基づく記述
- 名盤・名曲案内まで付く
- 章立てが読み物として面白い
気になる点
- 1990年刊で盤の情報は古い
- 信仰や象徴の話は好みが分かれる
- 入門には踏み込みが深い
出版社
講談社
発売日
1990年10月17日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
礒山雅さんのバッハ、引用がすごく強いですね。“バッハは、相手によってランクを落とすという意識のまったくない人であった”。
佐藤メバル
そこがこの本の核心です。バッハを、人間を超えたものへ向けて書いた最後の音楽職人として描いている。眠れぬ夜の「ゴルトベルク変奏曲」、謎をはらんだ「フーガの技法」、最高傑作「マタイ受難曲」。
豊富な資料と自筆譜、名盤・名曲案内まで備えた決定版の入門になっています。
橘ナナミ
章の見出しが面白いんですよ。“ツィターを弾くパン職人”“妻のための楽譜帳”“洋服を着た勤勉”“不均等の美学”。
音楽の話というより、人の暮らしの話みたいで。
佐藤メバル
そこなんですよ。ジャズ化される生命力、燃え立つ即興精神、といった切り口で、音楽家としてだけでなく生活者としてのバッハに迫る。
楽譜に書き込まれた象徴図形の話まで含めて、聴き方が変わる一冊です。
〈裏〉日本音楽史
齋藤桂 著|春秋社(千代田区)
¥2,640(税込)
西洋化と日本らしさの確立に揺れた近代。その過程で、神話や都市伝説、怪談を持ち出して大真面目に「日本音楽とは何か」を説く音楽家や学者が現れました。非合理なのに魅惑的な言説の数々——この本はそこから何が見えるのかを問います。伝統音楽、軍歌、唱歌、民謡を題材に近代を捉え直す構成で、名曲を並べる通史ではありません。音楽をめぐる思考そのものを歴史として扱う、異色の一冊です。
こんな人におすすめ
日本の近代音楽史に関心がある人。唱歌や軍歌、民謡がどう語られてきたかを知りたい人。音楽をめぐる言説そのものを読み物として楽しみたい人。通史とは違う角度から近代を眺めたい読者に向いています。
良い点
- 音楽史を言説の側から捉え直す
- 軍歌・唱歌・民謡まで射程に入る
- 近代史の読み物としても面白い
気になる点
- 扱う言説は非合理なものが多い
- 通史としての整理はされない
- やや硬派な話題が続く
出版社
春秋社(千代田区)
発売日
2015年04月24日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
〈裏〉日本音楽史。神話、都市伝説、怪談を持ち出して“日本音楽とは何か”を説く人がいた、というのがもう物語みたいです。
佐藤メバル
近代の日本は西洋化と日本らしさの確立のあいだで揺れていた。その過程で、非合理なんだけど魅惑的な言説がたくさん生まれたんです。
この本は伝統音楽、軍歌、唱歌、民謡を題材に、その言説から近代を捉え直す。音楽史というより、音楽をめぐる思考の歴史なんですね。
橘ナナミ
大真面目に語られていた、というのが逆に怖いような面白いような。軍歌や唱歌が入ってくるのも、避けて通れないところですよね。
佐藤メバル
そう、そこを避けないのが誠実なんです。音楽史の本は名曲の話になりがちですが、これは“何を日本音楽と呼ぶのか”という問いの側から書かれている。
読み終わると、いつもの唱歌の聴こえ方が少し変わりますよ。
ロックの歴史
中山康樹 著|講談社
¥990(税込)
イギリスとアメリカが互いの音楽を「洋楽」として受容し、ときに誤読しながら進化、統合、分化させていく過程として、現在のロックが生まれるまでを明快に説く一冊です。エルヴィス・プレスリーの限界、ビートルズが生まれた瞬間、なぜリヴァプールだったのかなど、章題からして従来の枠組みに挑んでいます。クリフ・リチャード&シャドウズ、マディ・ウォーターズ、レオン・ラッセルなど、既存の解釈では脇役になりがちだったミュージシャンにも光を当て、ロック史の地図を描き替えます。
こんな人におすすめ
ロックがどう生まれ、どう広がったかを筋道立てて知りたい人。ビートルズやプレスリーの位置づけを捉え直したい人。脇役とされてきたミュージシャンの役割を知りたい人。ロック史の地図を描き替えたい読者に。
良い点
- 英米の相互受容という明快な視点
- 脇役のミュージシャンにも光を当てる
- 新書で手に取りやすい価格
気になる点
- 2014年刊で以降の動向は別途
- 音源は自分で探す必要がある
- 人名が多く最初は戸惑う
出版社
講談社
発売日
2014年06月18日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
中山康樹のロックの歴史! さっきジャズの名盤入門を紹介していたのと同じ人ですよね。ロックも同じ人が書いてるんですか。
佐藤メバル
そう、同じ著者です。面白いのは視点で、イギリスとアメリカが互いの音楽を「洋楽」として受容し、ときに誤読しながら進化・統合していく過程としてロック史を説くんです。
第一章のイギリス・ロック史とアメリカから、ビートルズが生まれた瞬間、黒いブルースから白いロックへ、と十五章まで続きます。
橘ナナミ
エルヴィス・プレスリーの限界、って章題が挑戦的ですね。あと、なぜリヴァプールだったのか、という問いも気になります。
佐藤メバル
そこがこの本の持ち味です。クリフ・リチャード&シャドウズ、マディ・ウォーターズ、レオン・ラッセルなど、これまでのロック史では脇役になりがちだった人たちの役割に光を当てている。
読み終わるとロックの地図が描き替わりますよ。
音楽は自由にする
坂本龍一 著|新潮社
¥2,090(税込)
幼稚園での初めての作曲。厳格な父の記憶。高校でのストライキ。YMOの狂騒。『ラストエンペラー』での苦闘と栄光。同時多発テロの衝撃。そして辿りついた、新しい音楽——2年2カ月にわたるロング・インタヴューに基づく、初の語りおろし自伝です。音楽家としての軌跡だけでなく、戦後日本から世界へ出ていった一人の人間の記録として読めます。作品解説ではなく本人の言葉そのものが並ぶから、聴き方が静かに更新される一冊です。
こんな人におすすめ
坂本龍一の音楽と生き方を本人の言葉でたどりたい人。YMOや『ラストエンペラー』の時期の空気を知りたい人。音楽家の自伝を読みたい人。作品の背景を本人の語りで知りたい読者に。
良い点
- 本人の語りおろしによる自伝
- 音楽以外の時代の空気も入る
- 長期インタヴューが土台にある
気になる点
- 内容は本人の視点に限られる
- 文庫ではなく価格はやや高め
- 作品論を求める人には物足りない
出版社
新潮社
発売日
2009年02月27日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
坂本龍一の自伝……これは読んでおきたいです。2年2カ月のロング・インタヴューに基づく、初の語りおろしなんですよね。
佐藤メバル
そう。幼稚園での初めての作曲から始まって、厳格な父の記憶、高校でのストライキ、YMOの狂騒、『ラストエンペラー』での苦闘と栄光、同時多発テロの衝撃、そして辿りついた新しい音楽まで。
本人の言葉で一直線に語られるので、伝記というより、長い一人語りを聴いている感覚です。
橘ナナミ
高校でのストライキ、というのが妙に気になります。音楽家の伝記なのに、時代の空気がそのまま入ってきそうで。
佐藤メバル
そこがいいんです。音楽だけを切り出した話ではないから、戦後日本から世界に出ていく一人の人間の記録としても読める。
音楽は自由にする、というタイトルが最後に効いてきますよ。
もう一度基礎からはじめたい 大人のためのピアノ悠々塾 基礎編[ 改訂]
ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
¥1,320(税込)
「ピアノは昔習ったけれど、もう一度復習しながら学びたい」という大人のための独習書シリーズの基礎編です。右手のメロディが入門編より少し細かくなり、リズムも複雑に。短音の上でほとんど動かなかった左手が簡単な和音を押さえ、伴奏らしく動き始めます。一拍目から始まらないアウフタクトや臨時記号も登場し、到達地点は誰もが弾きたい「エリーゼのために」。全18曲を収載し、音楽用語や知識も取り入れて、指だけでなく頭からも学べる構成です。
こんな人におすすめ
昔ピアノを習っていたが、もう一度弾き直したい人。独学で両手で弾けるようになりたい人。音楽用語や知識もあわせて学びたい人。「エリーゼのために」を目標にしたい大人にぴったりです。
良い点
- 3段階のレベル設定が明確
- 教則編とレパートリー編の2本立て
- 到達点が「エリーゼのために」
気になる点
- 独学前提で指導者の確認はない
- 全18曲で曲数は多くない
- ピアノ以外の楽器には不向き
出版社
ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
発売日
2021年07月28日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
これ、私のための本かもしれない……ピアノ、昔ちょっと習ってたんですけど、もう全然弾けなくて。独学で大丈夫なんでしょうか。
佐藤メバル
そこを想定して作られたシリーズなんです。入門編・基礎編・初級編の三段階、それぞれ教則編とレパートリー編の二本立て。
この基礎編では、右手のメロディが入門編より少し細かくなり、リズムも複雑になって、短音の上でほとんど動かなかった左手が簡単な和音を押さえ、伴奏らしく動き始めます。
一拍目から始まらないアウフタクトや臨時記号も出てきます。
橘ナナミ
到達点が「エリーゼのために」なんですね。誰でも弾きたい曲。しかも音楽用語や知識も入れているって書いてあるので、頭からも学べるのがいいです。
佐藤メバル
収載曲は全18曲で、四季の「春」、「ます」、「埴生の宿」、ムーンリバー、愛の夢、そして「エリーゼのために」まで。
改訂版で一曲入れ替わって、いまの内容になっています。忘れていた音楽の楽しさ、演奏の楽しさが蘇る、という触れ込みは伊達じゃないですよ。
うまくなろう!トランペット
板倉駿夫 著|音楽之友社
¥1,540(税込)
初めてトランペットやコルネットを手にした初心者に向けた教本です。なにごとも最初が肝腎——楽器の持ち方、吹き方を正しく学ぶことが技術の進歩にとって大切だと説き、「音」を文章で表す難しさに向き合いながら、できるだけやさしく具体的に書く姿勢が貫かれています。必要なことは十分に入っていると著者が言い切るとおり、遠回りせず基礎を固められる。直接先生について学ぶことのできない人でも十分学べるように作られています。
こんな人におすすめ
これからトランペットやコルネットを始める人。独学で基礎を固めたい人。楽器の持ち方や吹き方を正しく学びたい人。先生につかずに始める人の最初の一冊に向いています。
良い点
- 初心者向けに書き方が具体的
- 持ち方や吹き方を一から学べる
- 先生につけない人を想定している
気になる点
- 音を文章で表す限界はある
- トランペットとコルネット専用
- 1999年刊で図版は当時のもの
出版社
音楽之友社
発売日
1999年10月01日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
トランペットの教本、1999年の本なんですね。楽器の教則本って、古くなっても使えるものなんですか?
佐藤メバル
楽器の持ち方や息の使い方というのは、そう簡単に変わりませんからね。この本は初めてトランペットやコルネットを手にした初心者に向けて書かれていて、「音」を文章で表すのは難しいけれど、できるだけやさしく具体的に書く、という姿勢が貫かれています。
橘ナナミ
最初が肝腎、という一文が冒頭にあるんですね。独学だと、変な癖がついたらどうしようという不安があるんです。
佐藤メバル
だからこの本は、直接先生につくことのできない人でも十分学べるように作られています。必要なことは十分に入っている、と著者が言い切っている。
逆に言えば、遠回りせずに基礎だけを固めたい人向けの一冊ですよ。
6つの棚をどう分けるか——並べ方は思考の整理
橘ナナミ
本が増えてくると、どこに何を置いたか分からなくなります……。
佐藤メバル
ぼくが勧めているのは、棚を6つに分けること。評伝、音楽史、理論、小説、絵本、写真集・図鑑。この6つは、探しやすさのためだけじゃない。自分の関心がどこに偏っているかが、棚を見た瞬間に分かる。並べ方は思考の整理なんだよ。
橘ナナミ
作曲家順か、ジャンル別かで迷うんですけど。
佐藤メバル
聴く棚と調べる棚は作曲家順、読む棚はジャンル別、が使いやすい。図書館のNDC分類をまねてラベルを貼るのも手だね。コピー譜だけは別にして、作曲家順のファイルにまとめておくと、レッスン前の数分が救われる。
橘ナナミ
最初の1冊から次の3冊への道筋も知りたいです。
佐藤メバル
たとえば『人生が深まるクラシック音楽入門』で聴き方のツボをつかんだら、次は音楽史へ。『読んでわかる!きいてわかる!クラシック音楽の歴史』は付録CDで実際に音を確かめながら時代を追える。そこから『J・S・バッハ』のような評伝、名盤ガイドへ、と進む。誰かに薦めるときも、この順番なら無理がない。
棚の寸法・安全・環境——楽譜と本を守る
橘ナナミ
棚そのものは、どう選べばいいんでしょう。
佐藤メバル
形式で使い分ける。壁一面の壁面収納は量を入れるのに向く。突っ張り式は穴を開けずに済むが、耐荷重を必ず確認する。ロータイプは部屋を広く見せるが、下段は湿気がこもりやすい。回転式は出し入れが楽な代わりに、入る冊数は限られる。
橘ナナミ
ピアノの下にワゴンを置く、というのはどうですか?
佐藤メバル
実用的だよ。ただ、埃と湿気、そして踏板の動きには注意したい。カート式は移動できるのが強みで、キャスターストッパーを付けておけばレッスン中に動かない。転倒防止は、突っ張りでもL字金具でも、必ず一つは入れておいてほしい。棚が倒れたら、本も楽譜も終わりだからね。
橘ナナミ
湿気や直射日光の話も気になります。
佐藤メバル
楽譜と紙の本は、湿気と紫外線に弱い。窓際の直射日光は避けて、除湿剤を棚の隅に。あと、スピーカーの真横は意外と見落とす。音響機器の振動と熱は紙に良くない。聴く場所としまう場所は、少し離しておくといいよ。
橘ナナミ
量販店の既製棚でも大丈夫ですか?
佐藤メバル
ニトリや無印良品、イケアのような棚は寸法が公開されているから比較しやすい。ただ音楽用途では、奥行き・棚板の厚み・耐荷重の3点を必ず見てほしい。A3の楽譜や大判の図鑑は、思っている以上に重いからね。
増やす・手放す・紙と電子の共存
橘ナナミ
ずっと増え続けるわけにもいきませんよね。
佐藤メバル
手放す基準を先に決めておくといい。「同じ作曲家の入門書が3冊あったら、いちばん手に取った1冊を残す」。それだけで棚が呼吸しはじめる。絶版になった楽譜や初版本は、状態が良ければ残す価値があるけれど、迷うなら一年触らなかったかどうかで決める。
橘ナナミ
電子書籍やサブスクとは、どう共存させるんでしょう。
佐藤メバル
検索する本は電子、聴くための音源はサブスク、そして何度も開く本だけ紙で持つ。全部を紙で揃えようとすると、棚が先に悲鳴を上げる。スキャンしてデータ化するのは、すでに手に入らない楽譜や、書き込みのないコピー譜から始めるのが現実的だよ。
橘ナナミ
属性によって、揃える本も変わりますか?
佐藤メバル
変わるね。音大生なら『楽典 音楽家を志す人のための』と『管弦楽法』、親子なら『オーケストラ大図鑑』や『すごすぎる音楽の図鑑』のように写真と誌上演奏会で読める本、評論好きなら『至高の日本ジャズ全史』や『〈裏〉日本音楽史』。誰の、どんな場面に効くか。棚も選書も、そこが起点だよ。
橘ナナミ
レッスン室なら、どう並べます?
佐藤メバル
生徒が座る位置から見える棚には絵本と図鑑。手を伸ばす棚に教本と楽典。そして先生の手元に評伝と名盤ガイド。この三段配置は、そのまま入門・実用・深掘りの順番になっているんだ。
よくある質問
音楽の本棚にはどんな本を並べればいいですか?
橘ナナミ
音楽の本棚にはどんな本を並べればいいですかについて教えてください。
佐藤メバル
評伝、音楽史、理論、小説、絵本、写真集・図鑑の6つに分けると整理しやすくなります。まずは聴くための名盤ガイドを一冊、弾くための教本を一冊、調べるための楽典を一冊。この3冊が揃うと棚が機能しはじめます。
楽譜と普通の本は同じ本棚に収納できますか?
橘ナナミ
楽譜と普通の本は同じ本棚に収納できますかについて教えてください。
佐藤メバル
同じ棚で問題ありません。ただし楽譜はA4変形やA3もあり、本より重いものが多いので、棚板の厚みと段の高さを確認しておきましょう。コピー譜は別ファイルにまとめ、作曲家順にしておくとレッスン前が楽になります。
音楽の本を初めて買うなら、どの1冊から始めるべきですか?
橘ナナミ
音楽の本を初めて買うなら、どの1冊から始めるべきですかについて教えてください。
佐藤メバル
聴くことが目的なら『人生が深まるクラシック音楽入門』のように新書サイズの入門書から。調べたいなら『最もわかりやすい楽典入門』が手頃です。まず薄くて安い一冊で、自分の興味の向きを確かめるのが失敗しない順番です。
A3サイズの楽譜や大判の写真集が入る本棚はどう選べばいいですか?
橘ナナミ
A3サイズの楽譜や大判の写真集が入る本棚はどう選べばいいですかについて教えてください。
佐藤メバル
奥行き・棚板の厚み・耐荷重の3点で選びます。大判は開いたときの余白まで考える必要があり、見開きで楽しむ図鑑は平置きも想定しておくと安心です。棚を買う前に、手持ちの最大判型を測っておくことが何より大切です。
音楽の本棚は作曲家順とジャンル別、どちらで並べるのがおすすめですか?
橘ナナミ
音楽の本棚は作曲家順とジャンル別、どちらで並べるのがおすすめですかについて教えてください。
佐藤メバル
聴く棚と調べる棚は作曲家順、読む棚はジャンル別が使いやすい組み合わせです。図書館のNDC分類をまねてラベルを貼ると、増えても戻す場所が迷いません。並べ方そのものが、自分の関心を映す地図になります。
紙の楽譜や本は電子化したほうがいいのでしょうか?
橘ナナミ
紙の楽譜や本は電子化したほうがいいのでしょうかについて教えてください。
佐藤メバル
検索したい事典や持ち歩く教本は電子が便利です。一方で付録CDやQRコードの音源と連動する本は、紙で持つ意味があります。すでに手に入らない楽譜や書き込みのないコピー譜からデータ化を始めるのが現実的です。
ピアノ下ワゴンと壁面本棚、どちらを選ぶべきですか?
橘ナナミ
ピアノ下ワゴンと壁面本棚、どちらを選ぶべきですかについて教えてください。
佐藤メバル
すぐ使う楽譜はピアノ下ワゴン、蔵書は壁面本棚と役割を分けるのがおすすめです。ワゴンは移動できる代わりに埃と湿気がたまりやすく、踏板にも注意が必要。キャスターストッパーと転倒防止は必ず併用しましょう。
限られた部屋で音楽の本棚スペースを確保するコツはありますか?
橘ナナミ
限られた部屋で音楽の本棚スペースを確保するコツはありますかについて教えてください。
佐藤メバル
背の高い壁面収納を一面だけ決め、そこに6つの棚をまとめてしまうのが効率的です。出し入れの頻度が高い教本だけ手元のカート式に逃がし、残りは上へ伸ばす。床に置く量を減らすと、音も響きやすくなります。
まとめ
橘ナナミ
今日の話、思っていたよりずっと広いんですね。棚の話から始まって、選書と手放し方まで。
佐藤メバル
そう。音楽の本棚は、ただの収納じゃない。自分が何を聴き、何を弾き、何を考えてきたかの記録なんだよ。
橘ナナミ
私、まだ一冊も持っていないので、まずは入門書を1冊買ってみます。それから、本棚の奥行きを測ります。
佐藤メバル
いい順番だね。測ってから買う。その習慣は、たぶん一生使える。
橘ナナミ
でも、本を手放すのは寂しいです……。
佐藤メバル
寂しいよ。ぼくも書店員時代、売り場の棚を入れ替えるたびにそう思った。ただ、空いた棚には必ず次の一冊が来る。本棚は、あなたが指揮者で、本が楽団員だ。どの楽器を、どこに座らせるか。その編成を考える時間こそが、いちばん楽しい練習なんだよ。
