看護師の薬剤に関する本のおすすめ人気ランキング15選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
佐藤さん、今回のテーマは「看護師の薬の本」ですよね。正直に言うと身構えています。添付文書も院内のマニュアルもあるのに、看護師さんは、わざわざ薬の本を買うものなんですか?
佐藤メバル
いい質問だね。添付文書は「その薬ひとつについての公式な説明」、院内の採用薬マニュアルは「その病院の決めごと」。でも現場で必要なのは、その間にある「この患者さんに、いまこの薬を投与するとき、何を見るか」なんだ。投与前・中・後の観察の視点や、同じ効き目の薬をどう使い分けるかは、添付文書だけでは組み立てにくい。そこを埋めるのが薬の本だよ。
橘ナナミ
なるほど……。でも書店に並ぶ薬理学の本って、どれも同じに見えて、自分に必要な一冊が選べなくて。
佐藤メバル
書店員時代、看護師の方を売り場で案内したんだけど、みんな最初に同じ壁にぶつかる。学生時代の教科書と、現場で開く本は別物なんだ。たとえば『疾病のなりたちと回復の促進[3] 薬理学 第16版』は、薬物治療における看護師の役割、薬力学、薬物動態を押さえたうえで、各論に「投与時の看護のポイント」を置いている。学ぶ本であり、引く本でもある。一方、『看護・栄養指導のための治療薬ハンドブック 第3版』は、与薬のプロセスや服薬指導、疾患別の薬の使い方という実務の流れで構成されている。同じ「薬の本」でも役割が違うんだ。
橘ナナミ
なるほど! 「学ぶ本」と「引く本」を分けて考えるんですね。
看護師の薬剤に関する本の選び方
持ち歩き方(白衣のポケット/ナースステーション据え置き/自宅で学習)
橘ナナミ
実際、みなさんどこで本を開くんでしょう?
佐藤メバル
白衣のポケットなら、まず厚みが問題になる。分厚い事典はポケットに入らないから、ナースステーションの棚に置いて夜勤の前後に引く「据え置き」になる。逆に自宅学習なら、書き込みのできる余白がある本が向く。たとえば『看護学生のための薬理学ワークブック』は空欄に書き込んで知識を整理し、章末の国家試験形式の問題と別冊解答で確認する作りだから、家で机に向かう時間の本だね。
担当科で頻出する薬をカバーしているか
橘ナナミ
配属科によって、選ぶ本って変わりますか?
佐藤メバル
大きく変わる。ICU・救急なら『看護師・研修医必携 ER・ICUの薬剤137』のように、薬剤ごとの必須ポイント、使い分けと考えかた、投与前・中・後の注意点、典型的なケースをまとめた本が効く。感染症を多く見る科なら『結論からわかる抗菌薬』のように、疾患ごとにどう考え何を選ぶかが結論からわかる構成が強い。泌尿器科なら『疾患別 泌尿器科の薬物療法と患者管理』のように、薬剤の特性を生かした治療戦略と患者管理、副作用への対応まで踏み込んだ一冊が要る。
検索方式(一般名・商品名・五十音順・薬効別)
橘ナナミ
「あの薬、なんだっけ」というとき、探しやすさも大事ですよね。
佐藤メバル
ここは購入前に必ず確認してほしい。商品名で覚えているのに一般名でしか載っていない本だと、急いでいるときに引けない。索引の充実も大事だね。『疾病のなりたちと回復の促進[3] 薬理学 第16版』は索引を充実させ、気になる薬物をすぐ調べられるようにしている。一般名で処方が出る場面も増えたから、両方から引けるかを確かめておくと失敗が少ない。
情報の更新性(最新版か・電子版やアプリ連動の有無)
佐藤メバル
薬は、新しい薬が出て、古い使い方が見直される。だから版と改訂の履歴を見てほしい。『疾病のなりたちと回復の促進[3] 薬理学 第16版』のように版を重ねている本は、改訂のたびに記述が見直されている。『臨床薬理学 第7版』も、漢方薬やゲノム創薬を加え、臓器別の章立てに刷新したと明記されている。電子版やアプリとの連動の有無は、最新版を追う負担を軽くしてくれる要素だよ。
網羅性と深さのバランス(引く事典か読み込む解説書か)
橘ナナミ
網羅的なら安心、でも読み切れない……というジレンマがあります。
佐藤メバル
だから「引く事典」と「読み込む解説書」を分けて考える。『疾病の成り立ちと回復の促進3 薬理学 第2版』は各論の記述を充実させ、救急時の薬物や漢方薬の章を設け、章ごとに主な薬剤の名称・用量・禁忌を表にまとめている。一方で『新版 超図解 薬はなぜ効くか』は、豊富な図解と読みやすい文章で薬理学の基礎を説明する読み物寄り。前者で引き、後者で「なぜ効くか」を腹に落とす順番がおすすめだね。
価格と改訂頻度から見た買い替え前提の総コスト
橘ナナミ
予算も気になります。高い本を買って使わなかったら悲しいので……。
佐藤メバル
見てほしいのは値段そのものより改訂のペース。改訂が速い本は、買い替えを前提に予算を組む。逆に『超入門新薬理学』のような入門書は、読みたい章から読み進められる作りで、全体像をつかむ用途なら長く手元に置いても役割が変わりにくい。まずは学ぶ本1冊、引く本1冊の2冊から始めて、科が変わったときに足す。これが無理のない買い方だよ。
看護師の薬剤に関する本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、15冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
看護師の薬剤に関する本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい
疾病のなりたちと回復の促進[3] 薬理学 第16版
吉川雄朗 著|医学書院
¥2,750(税込)
看護師が薬を学ぶ土台になる教科書です。第1部の総論では、臨床における薬物治療と看護師の役割、薬力学、薬物動態学をコンパクトにまとめ、今版では各論とのつながりがよりわかるように記述を見直しました。第2部の各論は、疾患・病態の概略、薬物の作用機序、代表薬を豊富な図表で説明し、成人看護学につながる知識を定着させます。本文で主作用・副作用・投与経路を整理し、投与時の看護のポイントもまとめている。索引が充実していて、実習中に薬を引くのにも向きます。
こんな人におすすめ
看護学生として薬理学を一から体系立てて学びたい人、実習前に成人看護学と薬の知識をつなげたい人、国家試験前に索引から辞書的に引き直したい人。最初の一冊を迷っているなら、ここから始めるのが素直です。
良い点
- 総論と各論のつながりを意識した構成
- 投与時の看護のポイントを本文に明記
- 索引が充実し調べ直しやすい
気になる点
- 分量が多く通読には向かない
- 薬剤すべてを網羅する辞典ではない
- 図表を追うには基礎用語の予習が要る
出版社
医学書院
発売日
2026年01月07日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
看護師さんの薬の本って、種類が多すぎて選べません。棚の前で毎回固まってしまいます。佐藤さん、最初の一冊はどれですか?
佐藤メバル
いい質問だね。まず土台になるのがこれ。第1部の総論で、臨床での薬物治療と看護師の役割、薬力学、薬物動態学をコンパクトに押さえて、第2部の各論で疾患・病態の概略から作用機序、代表薬へと進む。
今版は総論と各論のつながりが見えるように記述を見直しているんだ。投与時の看護のポイントも本文にあって、暗記で終わらない。
橘ナナミ
総論と各論がつながっている、というのが大事なんですね。でも図表が多い教科書って、途中で眠くなったりしませんか?
佐藤メバル
そこは読み方の工夫で変わるよ。各論は疾患や病態の概略から入って、作用機序と代表薬を図表で追う流れだから、理屈で覚えられる。
索引も充実しているから、実習中に「この薬なんだっけ」と引く使い方もできる。アニメーションも収載されていて、作用をイメージしながら学べる。
分厚いので、章を決めて往復するのが現実的だね。
臨床薬理学 第7版
赤瀬智子 著|メディカ出版
¥3,740(税込)
漢方薬やゲノム創薬を追加し、新カリキュラムはもちろん看護学教育モデル・コア・カリキュラムにも対応した内容です。序章「看護学生が臨床薬理学を学ぶ意義」で薬物療法における看護師の役割を解説し、学生の当事者意識を育みます。より疾患を意識した臓器別の章立てに刷新したので、実習や臨床に出てからも調べやすい。臓器の解剖・疾患の病態を押さえながら薬物療法を解説するため、体系だった知識が定着します。総論から積む教科書とは入口が違い、疾患から逆に引けるのが持ち味です。
こんな人におすすめ
実習や臨床で「この疾患にこの薬はなぜ」と臓器から考えたい人、漢方薬やゲノム創薬まで視野に入れたい人、看護学教育モデル・コア・カリキュラムに沿って学びたい人に向きます。
良い点
- 臓器別で実習・臨床でも引きやすい
- 漢方薬やゲノム創薬まで追加
- 序章で看護師の役割を解説
気になる点
- 旧版とは章立ての対応が異なる
- 解剖・病態の前提知識が要る
- 全薬剤を網羅する辞典ではない
出版社
メディカ出版
発売日
2022年12月02日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
さっきの本は王道の教科書って感じでしたけど、同じ薬理学でも切り口が違う本があるんですね。臓器別って、聞いただけで現場っぽいです。
佐藤メバル
そう、そこが違いなんだ。序章で「看護学生が臨床薬理学を学ぶ意義」を置いて、薬物療法における看護師の役割から入る。
そのうえで臓器別の章立てに刷新されているから、実習で担当患者さんをみたときに「この臓器のこの病態だからこの薬」と結びつけやすい。
漢方薬やゲノム創薬も追加され、コア・カリキュラムにも対応しているよ。
橘ナナミ
漢方薬まで入っているのが意外でした。看護師さんが漢方に関わる場面って、あるんでしょうか?
佐藤メバル
処方されるものを知らずに投与はできないからね。臓器の解剖や病態を押さえながら薬物療法を解説する構成なので、理論と現場のあいだを行き来しやすい。
ただ、臓器別ゆえに全体像は別の本で補う必要がある。最初の一冊というより、二冊目に置くと力を発揮する本だと思うよ。
新版 超図解 薬はなぜ効くか 医師・看護師・薬剤師へ
田中正敏 著|講談社
¥2,860(税込)
およそ四半世紀にわたり医療関係者の座右の書として愛されてきた『薬はなぜ効くか』の改訂新版です。豊富な図解はそのままに、薬理学の基礎的な知見を読みやすい文章で徹底解説します。序章「薬のなぜなぜ」で薬がどのように効いているのか、薬でおこる困った問題を扱い、神経系、器官系、代謝性医薬品、抗炎症薬と化学療法薬、免疫抑制薬や診断用薬物へと続く。医学部・薬学部の学生から現役の医療従事者の復習まで、用語の基礎からていねいに教える。名前の暗記ではなく「なぜ」から入るのが最大の違いです。
こんな人におすすめ
薬の名前を覚えても理屈が腹に落ちない人、現役の医療従事者でちょっとした復習や確認をしたい人、薬に興味のある一般読者にも開かれています。
良い点
- 図解が豊富でイメージしやすい
- 「なぜ」から入るので記憶に残る
- 学生から現役まで幅広く使える
気になる点
- 最新の新薬情報は別途確認が必要
- 網羅的な薬剤辞典にはならない
- 通読するとそれなりの時間がかかる
出版社
講談社
発売日
2009年07月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
四半世紀にわたって読まれてきたって、すごくないですか。そんなに長く愛される本が、薬の世界にもあるんですね。
佐藤メバル
書店員時代、この本は医療書の棚でずっと定位置にあったよ。売れ続けるのには理由があって、図解が豊富で、しかも「薬はなぜ効くのか」という一番知りたいところから入る。
序章で薬でおこる困った問題まで触れるから、効く話と危ない話がセットで頭に入るんだ。
橘ナナミ
一般の人にも読みやすいとありますけど、私みたいな文系でも大丈夫でしょうか。薬理学って聞くと、いきなり壁がありそうで。
佐藤メバル
用語の基礎からていねいに教えてくれるから、いきなり専門用語の壁にぶつかることは少ないよ。薬に興味のある一般の方にも読みやすいと謳っている本だからね。
ただ薬理学の本であることは変わらないので、全部を一気にではなく、気になる章からつまむ読み方が現実的だと思う。
疾病の成り立ちと回復の促進3 薬理学 第2版
植松俊彦 著|メヂカルフレンド社
¥2,530(税込)
第1編「薬理学の基礎知識」で薬理学に必要な基礎をコンパクトにまとめ、薬の体内運命と薬効、生体の調節機能と薬物、薬物の相互作用、小児・妊婦・授乳婦・高齢者の薬物療法まで触れます。第2編「薬物療法の実際」は末梢神経系から中枢神経系、心・血管系、血液、呼吸器、消化器、内分泌・代謝、抗感染症薬、抗腫瘍薬、抗炎症薬、抗アレルギー薬と続き、「救急時の薬物」「漢方薬」の章を独立して設けている。各章の「看護の視点」でケアの注意点を明確にし、用量・禁忌をまとめた表と充実した脚注が読み進める助けになります。
こんな人におすすめ
薬をケアとセットで理解したい看護学生、救急時の薬物や漢方薬まで見ておきたい人、用語でつまずきがちで脚注を頼りに読みたい人に向きます。
良い点
- 各章に「看護の視点」がある
- 用量・禁忌をまとめた表つき
- 救急・漢方を独立した章で扱う
気になる点
- 刊行からの年数分、新薬情報は弱い
- 表中心で流れを追いにくい箇所がある
- 全章を通読するには時間が要る
出版社
メヂカルフレンド社
発売日
2011年12月15日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「看護の視点」が各章に入っているの、いいですね。薬の知識だけだと、現場でどう動くのかが見えない気がしていました。
佐藤メバル
そこがこの本の核だね。薬理学総論はコンパクトにまとめつつ、各論では実践に役立つよう記述を充実させている。
章で登場した主な薬剤の名称や用量・禁忌を表にまとめてあるから、学習のまとめにも使える。薬を覚えるだけでなく、投与するときに何に気をつけるかまで一続きで書かれているんだ。
橘ナナミ
「救急時の薬物」と「漢方薬」が章として独立しているのも気になります。普通の教科書だと、おまけみたいになりそうなのに。
佐藤メバル
そこを章として立てたのが、この本の実践寄りなところ。救急の場面と漢方の処方は、現場では出会うのに総論の流れの中では埋もれがちだからね。
難しい用語には説明を加え、脚注も充実しているから、初学者が投げ出しにくい。中古で買うなら書き込みの状態だけ確認しておくといいよ。
看護・栄養指導のための治療薬ハンドブック第3版
奈良信雄 著|医歯薬出版
¥2,970(税込)
薬物療法の基本として、薬物療法の位置づけ・意義、実施するうえでの注意点、与薬のプロセス、服薬指導、薬物の種類を扱い、後半は疾患別に薬の使い方を消化器、肝・胆道・膵、心臓・循環系、呼吸器、代謝性疾患と並べます。看護・栄養指導のための、とタイトルにあるとおり、薬を投与して終わりではなく、患者さんが続けられるように支える視点が軸。作用機序を掘り下げる理論書ではなく、与薬と指導という手順に落とし込むための実務ハンドブックです。
こんな人におすすめ
与薬の手順や服薬指導を確認したい看護師、栄養指導や生活指導と薬を結びつけたい人、疾患別に薬の使い方をさっと引きたい人に向きます。
良い点
- 与薬のプロセスと服薬指導を扱う
- 疾患別に薬の使い方を整理
- 実務で引くハンドブックとして使える
気になる点
- 薬の作用機序は深く踏み込まない
- 理論 background より手順が中心
- 通読向きの構成ではない
出版社
医歯薬出版
発売日
2013年02月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
タイトルに「栄養指導」って入っているのが不思議でした。看護師さんって、栄養の話もするんですか?
佐藤メバル
するよ。薬は飲んでもらえて初めて効くわけで、食事や生活のリズムと切り離せない場面が多い。この本は、薬物療法の位置づけや与薬のプロセス、服薬指導といった基本を押さえたうえで、疾患別に薬の使い方を並べている。
目の前の患者さんが続けられる形に落とすための、実務の手引きだね。
橘ナナミ
「与薬のプロセス」って、そこまで細かく決まっているものなんですか? 渡して飲んでもらうだけではだめなんでしょうか。
佐藤メバル
手順として整理されているからこそ、抜けに気づけるんだよね。確認すべきこと、伝えるべきことを一つずつ追える。
ただ、作用機序をじっくり学ぶ本ではないから、薬理の教科書と並べて使うのがいい。書店員時代、実習前の学生さんがこの手のハンドブックを一冊持っていると、現場での質問が具体的になると感じたよ。
看護・医療系のためのくすりと治療の基礎知識
鳥澤保廣 著|東京化学同人
¥2,860(税込)
Ⅰ「くすりの基礎」で看護目線でながめるくすりの基礎と身近なくすりの化学を扱い、Ⅱ「くすりと治療の実践」で重要なくすりと治療、くすりの効き方のメカニズム、リスクから見たくすり、臨床検査を並べます。「実例に学ぶくすりの危なさ」という切り口が特徴で、効く仕組みと同じだけ、危なさの側から薬を見る。付録には本書収載の医薬品一覧表、よく用いられる腫瘍マーカー、癌検診で行われるおもな検査を収める。化学とリスクという別の入口を用意している点が、作用機序から入る教科書との違いです。
こんな人におすすめ
薬を暗記ではなく理屈で納得したい看護・医療系の学生、副作用やリスクの見方を実例から学びたい人、検査値と薬をあわせて押さえたい人に向きます。
良い点
- 身近なくすりを化学から解説
- リスクを実例で学べる章立て
- 付録の医薬品一覧と検査情報
気になる点
- 化学が苦手だと序盤は重い
- 疾患別の網羅性は高くない
- 実務の手順を学ぶ本ではない
出版社
東京化学同人
発売日
2013年09月12日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「身近なくすりの化学」って、そこから入る薬の本は珍しい気がします。化学って聞くだけで身構えちゃうんですけど、大丈夫でしょうか。
佐藤メバル
そこを入口にしているのが面白いところでね。看護目線でながめるくすりの基礎を置いてから、身近な薬を化学の言葉で見直す。
すると、なぜ同じ飲み方でも効き方が変わるのかが見えてくる。後半は重要なくすりと治療、効き方のメカニズム、リスクから見たくすり、臨床検査と続く構成だよ。
橘ナナミ
「実例に学ぶくすりの危なさ」、ここが一番気になります。研究でも、うまくいった例より失敗例のほうが頭に残るんですよね。論文を読んでいてもそう思います。
佐藤メバル
その感覚は大事だね。成功談より失敗談のほうが役に立つ場面は多い。この本は効く話と危ない話を同じ重さで扱っているから、副作用やリスクを「怖いもの」ではなく「予測するもの」として見られるようになる。
付録に医薬品一覧表や検査の情報を置いているのも、手元で照らし合わせるためだと思うよ。
看護学生のための薬理学ワークブック
食見忠弘 著|医学書院
¥1,760(税込)
「(系統看護学講座)薬理学」にそった構成で、空欄に書き込んで知識を整理し、章末の国家試験形式の問題で実力チェックができます。わかりやすい別冊解答つき。1部の総論は薬物治療の基礎知識、医薬品が作用するメカニズム、薬物の体内動態、薬効に影響を与える因子などを扱い、2部の各論は抗感染症薬、抗がん薬、免疫治療薬、抗アレルギー薬・抗炎症薬と並びます。教科書を読んで終わりにせず、手を動かして確認するための相棒です。
こんな人におすすめ
教科書を読んだあとに手を動かして定着させたい看護学生、国家試験形式で力試しをしたい人、授業の進行に合わせて復習のリズムを作りたい人に向きます。
良い点
- 教科書に対応した構成で進めやすい
- 章末に国家試験形式の問題
- 別冊解答で答え合わせがしやすい
気になる点
- 書き込み式なので中古は不利
- 対応する教科書がないと進めにくい
- 解説の深さは問題数に左右される
出版社
医学書院
発売日
2012年07月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ワークブックって、受験生の頃を思い出します。書き込むだけでやった気になるやつですよね……って、それは私の言い訳ですかね。
佐藤メバル
いや、よくわかるよ。僕も書店員時代、棚の前でワークブックを選んでいる学生さんに「書き込む時間がもったいない」と言われて、返事に困ったことがある。
ただ、手を動かして空欄を埋めると、読んだだけでは気づかない抜けが見つかるんだ。この本は教科書にそった構成で、章末に国家試験形式の問題がついている。
橘ナナミ
章末に国家試験形式の問題、というのは、やっぱり本番を意識できるのがいいんでしょうか。
佐藤メバル
そう。覚えたつもりと解けるは別だからね。別冊解答がわかりやすくついているから、間違えた理由まで戻れる。
使い方としては、授業で扱った章をその日のうちに埋める。それだけで定着の速さが変わるよ。対応する教科書とセットで使うのが前提だという点だけ、頭に置いておいてね。
ニューワークブック薬理 薬物と看護
鈴木正彦 著|サイオ出版
¥1,320(税込)
たくさんある薬の知識をコンパクトにまとめて解説し、薬理が苦手な多くの学生から長年にわたり支持されてきたとされる参考書です。総論、神経系作用薬、各種器官作用薬、物質代謝関連薬、病原微生物・寄生虫に作用する薬物、予防・診断薬、薬物中毒への処置という並びで、最後に総合練習問題を置いています。分厚い教科書の前に、まず全体像をつかむための一冊。コンパクトさを武器に、最初のハードルを下げてくれる本です。
こんな人におすすめ
薬理でつまずいてまず全体像をつかみたい学生、教科書の副読本を探している人、短い期間で復習の見通しを立てたい人に向きます。
良い点
- 知識をコンパクトに整理している
- 総合練習問題で確認できる
- 苦手な学生の支持が長い一冊
気になる点
- 詳しい作用機序は教科書に譲る
- 練習問題の量は多くない
- 用語は別途調べる必要がある
出版社
サイオ出版
発売日
2013年04月01日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「薬理が苦手な多くの学生から長年支持」って、救いの言葉です。私も統計の授業で、そういう「わかる側に寄ってくれる本」に何度も助けられました。
佐藤メバル
その経験がある人は強いよ。苦手な人に必要なのは、詳細より先に地図だからね。この本は総論から神経系、各種器官、物質代謝、病原微生物・寄生虫、予防・診断薬、薬物中毒への処置までをコンパクトに並べている。
全体の見取り図を先に手に入れてから、教科書に戻る読み方ができる。
橘ナナミ
総合練習問題が最後にまとめてついているんですね。章ごとに置くのではなく、最後にどんと置くのはなぜでしょう?
佐藤メバル
通しで力试すためだろうね。章ごとの確認は教科書や他の問題集でやり、この本では最後に一気に点検する。そういう役割分担だと思う。
分厚い本を開く前に、まずこの一冊で流れをつかむ。それだけで、その後の勉強の速度が変わるよ。
超入門新薬理学
小山岩雄 著|照林社
¥1,980(税込)
「健康であること」「病気であること」のしくみがわかると、病気のからだに対する「薬」の作用が理解できる、という入口に立つ一冊です。中枢神経、末梢神経、心臓・血管、血液、呼吸器、胃腸にはたらく薬のメカニズムをわかりやすく解説し、読みたい章から読み進めてもすぐにわかる構成にしています。からだの働きを先に置き、薬の名前は後からついてくる。薬理学にこれから触れる人でも、筋道を見失わずに進めるのが持ち味です。
こんな人におすすめ
薬理学にはじめて触れる看護学生、からだの仕組みから薬を理解したい人、苦手意識が強くて薄い本から始めたい人に向きます。
良い点
- からだの仕組みから入る構成
- 章単位で読み進められる
- 用語のハードルが低い
気になる点
- 収載される範囲は広くない
- 最新の薬の情報は期待できない
- 国家試験対策の主軸にはならない
出版社
照林社
発売日
2006年05月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「読みたい章から読み進めても、すぐにわかる」って書いてあるの、ありがたいです。頭から読まなきゃいけない本って、それだけで挫折しちゃうので。
佐藤メバル
その一文は、この本の性格をよく表しているね。中枢神経、末梢神経、心臓・血管、血液、呼吸器、胃腸と、からだの側から章が分かれているから、気になるところから入れる。
健康と病気のしくみを先に置いてから薬の作用に入るので、丸暗記にならないんだ。
橘ナナミ
「超入門」って、逆に物足りなくならないですか? 基礎だけやって、あとで足りないと気づくパターンが怖くて。
予備校のテキストで一度それで痛い目を見たんです。
佐藤メバル
いい質問だね。この本は最初の一歩の壁を下げる役割で、その先は別の教科書が受け持つ。だから、これ一冊で完結させようとしないこと。
読んで「薬はからだの働きの延長にある」と腹に落ちたら、あとは各論の本に移ればいい。入門書は、次に進むための体力を残してくれる本だと思っているよ。
看護師・研修医必携 ER・ICUの薬剤137
大野博司 著|メディカ出版
¥4,620(税込)
ER・ICUで使う薬剤を取り上げ、各薬剤ごとに「1分でわかる必須ポイント」、アプローチ・使い分け・考えかたを解説する「もっとわかるパワーアップポイント」、投与前・中・後で時系列に一目でわかる「ナースの注意点」、使い方が実践的にわかる「ER・ICUでの典型的なケース」、パッとわかるまとめ表を配置しています。ビジュアル満載で、時間がない現場でも必要な情報にたどり着ける構成。その場で使うための本で、覚えるための教科書とは役割がはっきり違います。
こんな人におすすめ
救急・集中治療の現場に出る看護師や研修医、投与前後の観察ポイントを時系列で押さえたい人、急変対応に備えて手元に置いておきたい人に向きます。
良い点
- 投与前・中・後の注意点が時系列
- 典型ケースで使い方が見える
- まとめ表で素早く確認できる
気になる点
- 慢性期の薬剤はカバー外
- 網羅的な薬理学の教科書ではない
- 現場経験がないと実感しにくい
出版社
メディカ出版
発売日
2026年01月27日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「ナースの注意点」が投与前・中・後で分かれているの、現場の本だなって感じがします。急いでいるときに探しやすいんでしょうね。
佐藤メバル
そう、そこが設計の肝だね。1分でわかる必須ポイントで概要をつかんで、もっとわかるパワーアップポイントで使い分けと考えかたを押さえる。
時系列の注意点と典型ケースがついているから、読むというより、必要なときに開く。まとめ表があるのも、忙しい現場を想定してのことだと思うよ。
橘ナナミ
ER・ICUって、私にはまだ遠い世界なんですけど……。そういう現場じゃない人にも意味はありますか?
佐藤メバル
あるよ。救急の場面は、薬の効き方と危なさが一番凝縮して出るところだから、そこで何を見るかを知ると、一般病棟の観察の解像度も上がる。
ただ、慢性期の薬や日常の服薬指導は範囲外だし、薬理の基礎を体系的に学ぶ本でもない。救急の現場に入る前の備えとして、あるいは配属が決まった人への一冊だね。
結論からわかる抗菌薬
山口裕崇 著|羊土社
¥3,960(税込)
感染症に出合ったとき、どう考え、何を処方すべきかが結論からわかる構成です。グラム染色と抗菌薬選択に基づく著者オリジナルの「細菌マップ」で原因菌のイメージをつかみながら、選ぶべき抗菌薬を解説します。市中発症の肺炎から院内発症の肺炎、腎盂腎炎、感染性心内膜炎、皮膚軟部組織感染症、胆管炎、腹膜炎、カテーテル関連血流感染、髄膜炎、敗血症、婦人科感染症まで疾患別に並ぶ。さらに輸液製剤との相性や院内在庫、投与する順序など、明文化されていない実臨床の作法まで扱います。
こんな人におすすめ
感染症で抗菌薬選択に迷う看護師・薬剤師・研修医、細菌マップで原因菌のイメージをつかみたい人、現場の細かな作法まで知りたい人に向きます。
良い点
- 細菌マップで菌のイメージを掴める
- 疾患別に結論から示す構成
- 輸液との相性など現場の疑問も扱う
気になる点
- 感染症領域にテーマが限定される
- 微生物の前提知識が要る箇所がある
- 看護ケア全体を扱う本ではない
出版社
羊土社
発売日
2026年09月02日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「結論からわかる」ってタイトル、強いですね。普通は経緯から説明されて、結論までたどり着く前に疲れちゃうじゃないですか。
佐藤メバル
そこを逆にしたのがこの本の狙いだね。まず何を選ぶかを見せて、そのうえで細菌マップで原因菌のイメージをつかませる。
市中発症の肺炎から髄膜炎、敗血症、婦人科感染症まで疾患別に並んでいるから、目の前の症例から引ける。抗菌薬の本は多いけれど、結論を先に置く整理は珍しい。
橘ナナミ
「明文化されていない多くのこと」という章が気になります。教科書に書かれていないことを書いている、ということですよね。
佐藤メバル
そう。輸液製剤との相性、電解質の考え方、院内在庫、他職種の手間、内服へのステップダウン、ルート確保が難しいときの対応。
こういうのは正解が教科書に載らないけれど、現場では必ずぶつかる。そこに筆を割いているのが、この本がいちばん実践に近いところだと思うよ。
ナースによるナースのためのがん患者のペインマネジメント新装版
高橋美賀子 著|日本看護協会出版会
¥2,200(税込)
疼痛マネジメントの教科書として臨床現場で長年受け継がれてきた、あの赤本が内容をアップデートし装いを新たに再登場した一冊です。がん患者のペインマネジメントの重要性と看護師の役割から始まり、なぜ根拠に基づいた援助が必要か、痛みの起こるメカニズム、痛みのアセスメント、がん疼痛に対する薬物療法と看護師の役割、役立つ看護技術、精神面・社会面・スピリチュアルな側面の理解、患者・家族教育、その他の緩和療法、チームアプローチ、退院調整と自宅で活用できるサービスまでを並べます。薬だけで閉じない構成が看護の本らしいところです。
こんな人におすすめ
がん疼痛のケアに携わる看護師、緩和ケアの病棟や外来で薬物療法と援助を結びつけたい人、チームアプローチや退院支援まで見通して動きたい人に向きます。
良い点
- アセスメントから看護技術まで一冊
- 精神・社会・スピリチュアル面も扱う
- 退院調整と在宅サービスまでカバー
気になる点
- 薬剤ごとの細かい使い分けは薄い
- 現場経験がないと実感しにくい
- がん疼痛にテーマが限定される
出版社
日本看護協会出版会
発売日
2014年02月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「赤本」って呼ばれる本があるんですね。現場でそう呼ばれて受け継がれているの、ちょっと憧れます。研究室内でも愛称で呼ばれる文献、ありますし。
佐藤メバル
愛称で呼ばれる本は、それだけ現場に根づいている証拠だね。この本は痛みの起こるメカニズムとアセスメントから入って、薬物療法と看護師の役割、役立つ看護技術へと進む。
さらに精神面・社会面・スピリチュアルな側面、患者・家族教育、チームアプローチ、退院調整まで含んでいる。
痛みを薬だけで終わらせない構成になっているんだ。
橘ナナミ
痛みのアセスメントって、数字で測れるものなんですか? 患者さんが「痛い」と言うのを、どう扱うのかが気になります。
佐藤メバル
そこが看護の腕の見せどころでね。第4章でアセスメントを独立して扱っている。数値だけでなく、表情や動き、訴えの背景まで含めて見ていく。
この本は、なぜ根拠に基づいた援助が必要なのかという章をわざわざ置いている。感覚だけに頼らず、根拠を持って動くための土台を作る本だよ。
オピオイドの使い方
森田達也 著|南江堂
¥2,750(税込)
緩和ケアを「森」にたとえ、そこに生える木を一冊ずつ扱うシリーズのオピオイド編です。オピオイドの基本から使い方まで噛み砕き、使用の手順・考え方、スイッチングや突出痛への対応、副作用マネジメント、困ったときの対応、他職種との連携を軸に記します。各項の冒頭に初心者がつまずきやすいポイントがまとまり、監修者による吹き出しには豆知識やコツが添えられる。ガイドラインには書ききれない著者らの臨床実践とエビデンスに基づく工夫も収録されています。
こんな人におすすめ
オピオイドを使い始めたばかりの医療者、緩和ケアに足を踏み入れる看護師、副作用や突出痛の対応に不安がある人に向きます。
良い点
- つまずきポイントが冒頭にまとまる
- 副作用や困ったときの対応が充実
- 多職種連携の視点がある
気になる点
- オピオイドにテーマが限定される
- 基礎薬理の解説は最小限
- 情報量が多く通読には時間が要る
出版社
南江堂
発売日
2023年06月28日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
うさぎにふくろう!? 薬の本なのにすごくかわいいって聞いて開いてみたら、本当でした。森の動物たちが並ぶと聞いただけで、ちょっと和みます。
佐藤メバル
可愛らしい装丁だけど、中身は本気だよ。オピオイドの概要と使い分けから始まって、始めるとき、内服できなくなったとき、スイッチング、突出痛への対応と続く。
副作用の章では眠気・せん妄、悪心・嘔吐、がんこな便秘まで個別に扱う。初心者がつまずくところを先回りして並べてあるんだ。
橘ナナミ
「つまずきやすいポイント」が各項の最初にあるの、親切ですね。先に落とし穴を教えてくれる感じで、安心して読み進められそうです。
佐藤メバル
そこがこのシリーズの設計のうまさだね。さらに監修者の吹き出しに、経験者ならではのコツや豆知識が入っている。
ガイドラインや教科書には書けない部分を、エビデンスと一緒に置いている。看護師にも医師にも開かれた一冊だよ。
ただ、オピオイドに絞った本だから、薬理学全体の学びは別で補ってね。
血糖コントロールに係る薬剤投与関連
一般社団法人地域医療機能推進学会(JCHS) 著|メディカ出版
¥2,640(税込)
一定の診療の補助(特定行為)を実施できる看護師の養成を目的に始まった、看護師の特定行為研修制度。その区分別科目をわかりやすく解説する教科書シリーズの一冊で、糖尿病とインスリン療法に関する病態生理やフィジカルアセスメント、病態に応じたインスリン製剤の調製の判断基準を学びます。血糖コントロールに係る薬剤投与関連という行為に絞っているので、判断の基準まで踏み込むのが一般的な薬理学の本との違いです。
こんな人におすすめ
特定行為研修で血糖コントロールを学ぶ看護師、インスリン療法の判断基準を押さえたい人、糖尿病看護の実践をもう一段深めたい人に向きます。
良い点
- 研修の区分別科目に対応している
- インスリン製剤の調製判断まで踏み込む
- フィジカルアセスメントも扱う
気になる点
- 血糖管理にテーマが限定される
- 一般の薬理学の代わりにはならない
- 研修の前提知識がないと難しい
出版社
メディカ出版
発売日
2018年11月26日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「特定行為研修」って、恥ずかしながら初めて聞きました。看護師さんが薬の投与を判断するための研修、という理解で合っていますか?
佐藤メバル
いい質問だね。一定の診療の補助を実施できる看護師を養成するための制度で、その区分別科目を解説したのがこの本。
糖尿病とインスリン療法に関する病態生理、フィジカルアセスメント、そして病態に応じたインスリン製剤の調製の判断基準を学ぶ。
手順をなぞるだけでなく、なぜその判断になるのかまで扱っているよ。
橘ナナミ
インスリン製剤の「調製」の判断基準って、そこまで細かく決まっているんですか。薬を混ぜたり薄めたりする作業まで、看護師さんが担う場面があるんですね。
佐藤メバル
その行為を担うからこそ、判断の根拠が要る。この本は血糖コントロールに係る薬剤投与関連という範囲に絞っているぶん、研修で必要になる知識に集中できる。
ただし、薬理学全体を学ぶ本ではないから、土台になる教科書と並べて読むのがいい。研修が始まる前に一度目を通しておくと、講義の入り方が変わると思うよ。
疾患別 泌尿器科の薬物療法と患者管理
北村寛 著|メディカ出版
¥5,280(税込)
泌尿器科の薬物療法では、治療とケアの多様化とともに新しい薬剤が次々と開発され、各種ガイドラインも見直されています。本書は、薬剤の特性を生かした治療戦略と患者管理、副作用への対応について、医師・看護師・薬剤師が最新の情報をまじえて解説します。疾患別に編まれているので、担当する患者さんの疾患から逆引きしやすい。職種をまたいだ視点でまとめているのが持ち味で、一般的な薬理学の教科書ではページが割かれにくい領域を補ってくれます。
こんな人におすすめ
泌尿器科の病棟や外来で働く看護師、薬剤師、泌尿器科の薬物療法と患者管理を疾患別に押さえたい人、副作用への対応まで見通しておきたい人に向きます。
良い点
- 疾患別で逆引きしやすい構成
- 医師・看護師・薬剤師の視点
- 副作用への対応まで扱う
気になる点
- 泌尿器科にテーマが限定される
- 一般薬理の教科書にはならない
- 専門用語の前提知識が要る
出版社
メディカ出版
発売日
2020年04月23日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
泌尿器科って、ちょっと聞きにくいテーマというか……。でも、そういう領域こそまとまった本があると助かるんでしょうね。
佐藤メバル
まさにそこだね。泌尿器科は新しい薬剤が次々に出て、ガイドラインも見直され続けている領域。この本は薬剤の特性を生かした治療戦略と患者管理、副作用への対応を、医師・看護師・薬剤師が最新の情報をまじえて解説している。
疾患別に編まれているから、担当患者さんの疾患から逆に引けるのが使いやすいところだよ。
橘ナナミ
医師・看護師・薬剤師が一緒に書いているのって、珍しいんですか? 専門が違うと、見ているポイントも変わりそうです。
佐藤メバル
そこがこの本の価値でね。同じ薬でも、医師は治療戦略から、看護師は患者管理と観察から、薬剤師は薬剤の特性から見る。
その三つの視線が一冊に入っているから、受け持ちの患者さんをめぐる会話の前提がそろうんだ。ただ、泌尿器科に絞った専門書だから、薬理学全体は別の本で土台を作ってから読むといいよ。
添付文書・PMDA・院内採用薬マニュアルと本の役割分担
橘ナナミ
無料で見られる情報と、買った本はどう使い分けるんでしょう?
佐藤メバル
役割で分けるといい。添付文書は「その薬の公式な説明」、PMDAの情報は「公式な安全情報の原典」、院内採用薬マニュアルは「自施設の採用薬と手順」。ここまでは“正しさ”の情報だね。それに対して本は“判断”の情報。『看護師・研修医必携 ER・ICUの薬剤137』は、投与前・中・後で時系列に注意点を示し、ER・ICUでの典型的なケースまで置いている。これは添付文書には書かれない、場面の情報なんだ。
橘ナナミ
なるほど。正しさは無料の情報、判断は本、と。
佐藤メバル
そう。とっさの場面はアプリや院内マニュアル、少し落ち着いて「なぜこの選択なのか」を考えるときに本。この併用が現実的だよ。
配属科の処方傾向から逆算する選書と、改訂サイクルの見極め
橘ナナミ
科ごとの選書、もっと具体的に聞きたいです。精神科や在宅ではどうでしょう?
佐藤メバル
精神科のように向精神薬を長く扱う科は、作用機序の理解が効いてくる。『新版 超図解 薬はなぜ効くか』は神経系に作用する薬、向精神薬を含めて章立てされているから、導入として読みやすい。在宅は、薬を“渡し続ける”視点が要る。『オピオイドの使い方』は、使用の手順と考え方、副作用マネジメント、困ったときの対応、多職種との連携を軸に、内服できなくなったときや突出痛の対応まで扱っている。小児は、小児・妊婦・授乳婦・高齢者の薬物療法を総論の項目として立てている本を軸にすると抜けが出にくい。『疾病の成り立ちと回復の促進3 薬理学 第2版』はそこを押さえているね。がんは『ナースによるナースのためのがん患者のペインマネジメント 新装版』のように、痛みのアセスメントから薬物療法、患者・家族教育、退院調整まで一連で追える本が要る。
橘ナナミ
科が変わると、本も変わるんですね。
佐藤メバル
変わる。ただ、買い替えの判断は「改訂されたか」と「自分の科が変わったか」の2つで足りる。改訂が入った本は古い版を机の奥に残さず置き換える。逆に基礎を図解で説明するタイプは、版が古くても“考え方”の部分は長く使える。そこを分ければ総コストは抑えられるよ。
疑義照会・インシデント予防と、キャリア別の学習ロードマップ
橘ナナミ
本が「事故を防ぐ」ことにもつながるんでしょうか。
佐藤メバル
つながる。疑義照会は、処方の意図を薬剤師に確認する行為だけど、聞く側に知識の軸がないと、聞くべきことすら浮かばない。『疾病のなりたちと回復の促進[3] 薬理学 第16版』は投与時の看護のポイントをまとめているし、『看護・医療系のためのくすりと治療の基礎知識』は「リスクから見たくすり:実例に学ぶくすりの危なさ」という章を置いている。実例で危なさの形を覚えておくと、違和感に気づけるようになるんだ。
橘ナナミ
中堅になってから読み直すと、また違うんでしょうね。
佐藤メバル
そう。新人は総論を学ぶ本、中堅は科に特化した引く本、そして薬の投与管理を一段深く担う特定行為研修へ。『血糖コントロールに係る薬剤投与関連』は、研修の区分別科目として、糖尿病とインスリン療法に関する病態生理やフィジカルアセスメント、病態に応じたインスリン製剤の調製の判断基準を学ぶ教科書になっている。本は、その段階ごとに置き場所が変わるものなんだよ。
よくある質問
新人看護師が最初に買うべき薬の本はどれ?
橘ナナミ
新人看護師が最初に買うべき薬の本はどれについて教えてください。
佐藤メバル
まずは基礎を体系的に押さえられる教科書タイプを1冊。『疾病のなりたちと回復の促進[3] 薬理学 第16版』は薬物治療における看護師の役割から始まり、各論に「投与時の看護のポイント」があるので、実習から配属直後まで使えます。書き込みながら整理したい人は『看護学生のための薬理学ワークブック』のような空欄補充と章末問題のタイプを併せて。最初の1冊は「学ぶ本」から選ぶのがおすすめです。
ポケット事典と解説書はどちらを先に買うべき?
橘ナナミ
ポケット事典と解説書はどちらを先に買うべきについて教えてください。
佐藤メバル
先に解説書です。事典は「引く」ものなので、引く前提となる枠組みがないと使いこなせません。『臨床薬理学 第7版』のように臓器別で疾患を意識した章立ての本で全体像を作り、現場で頻繁に引くようになってから、持ち歩ける事典やアプリを足す。順番を逆にすると、事典が眠りがちになります。
紙と電子書籍、どちらが現場で使いやすい?
橘ナナミ
紙と電子書籍、どちらが現場で使いやすいについて教えてください。
佐藤メバル
白衣のポケットと夜勤を考えると電子は強いです。ただ、書き込みながら覚えたい学習期は紙が向く。『看護学生のための薬理学ワークブック』は空欄に書き込んで整理する作りですし、図解をじっくり眺めたい『新版 超図解 薬はなぜ効くか』も紙で手元に置きたい一冊です。紙で覚えて、現場は電子という併用が現実的です。
古い版しか持っていない場合、買い替えるべき?
橘ナナミ
古い版しか持っていない場合、買い替えるべきについて教えてください。
佐藤メバル
改訂の中身次第です。たとえば『臨床薬理学』は第7版で漢方薬やゲノム創薬が加わり、臓器別の章立てに刷新されています。こうした更新は買い替えの価値があります。一方、薬が効く仕組みを図解で説明する本は、版が古くても基礎の理解には長く使えます。「改訂されたか」「担当科が変わったか」の2つで判断してください。
添付文書やアプリがあれば薬の本は不要?
橘ナナミ
添付文書やアプリがあれば薬の本は不要について教えてください。
佐藤メバル
不要にはなりません。添付文書は薬単体の公式な説明、アプリは検索の速さに強い。でも「この患者さんに、いま投与するとき何を見るか」という場面の情報や、薬をどう使い分けるかの考え方は本が担います。『看護師・研修医必携 ER・ICUの薬剤137』は投与前・中・後の注意点を時系列で示し、典型的なケースを置いています。正しさは無料情報、判断は本です。
配属科(ICU・精神科・在宅)でおすすめは変わる?
橘ナナミ
配属科(ICU・精神科・在宅)でおすすめは変わるについて教えてください。
佐藤メバル
変わります。ICU・救急はER・ICUの薬剤を場面ごとにまとめた本、感染症が多い科は抗菌薬の選択を疾患ごとに整理した本、在宅はオピオイドの使い方のように副作用マネジメントや多職種連携まで扱う本が要ります。精神科は向精神薬を含む作用機序の理解が土台になる。科の処方傾向から逆算して選ぶのがコツです。
薬の本は何冊くらい持つべき?予算の目安は?
橘ナナミ
薬の本は何冊くらい持つべき?予算の目安はについて教えてください。
佐藤メバル
まず「学ぶ本」1冊と「引く本」1冊の2冊で十分です。科が変わったとき、あるいは改訂があったときに足す・置き換える。値段そのものより改訂のペースを確認し、買い替えを前提に予算を組むほうが結果的に無駄が少なくなります。増やすのは引き始めてからで遅くありません。
薬が苦手な看護師でも読み切れる本はある?
橘ナナミ
薬が苦手な看護師でも読み切れる本はあるについて教えてください。
佐藤メバル
あります。『超入門新薬理学』は「健康であること」「病気であること」のしくみから入り、読みたい章から読み進めてもわかるように作られています。『ニューワークブック薬理 薬物と看護』は薬の知識をコンパクトにまとめ、総論から薬物中毒への処置までを短い単位で追える構成です。全部を読む必要はないので、必要な章から開いてみてください。
まとめ
橘ナナミ
佐藤さん、今日の話を聞いて、薬の本って「覚えるため」だけのものじゃないんだなと思いました。
佐藤メバル
そうだね。引く回数が増えるほど、判断の解像度が上がっていく。最初は薬の名前を調べるために開いていた本が、そのうち「この患者さんならどうするか」を考えるための本に変わっていくんだ。
橘ナナミ
私はまだ、薬の名前を覚える段階ですけど……。
佐藤メバル
それでいいんだよ。『超入門新薬理学』のように読みたい章から読み進められる本から始めて、現場で開く回数が増えたら引く本を足す。順番を飛ばさなければ、薬はこわいものではなくなる。
橘ナナミ
なるほど……。地道に一冊ずつ、ですね。
佐藤メバル
最後にひとつ。処方箋の上で、薬の名前はただの記号だ。それを「この患者さんの腎機能ならどうなるか」「嚥下が難しいこの人にはどう渡すか」までつなげて読めるのが看護師の力。薬の本は、点で並んだ薬の名前を、その患者さんという一本の線につなぎ直すための道具なんだよ。
橘ナナミ
点を、線に。……その一冊、私も選んでみたくなりました。
