少女漫画でキュンキュンできる本のおすすめ人気ランキング25選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
佐藤さん、今日のテーマは「少女漫画でキュンキュンしたい」ですよね。でも書店に並ぶ数が多すぎて、どこから読めばいいのか分からなくなっちゃいます。恋愛の物語構造を考えるのは好きなんですけど、いざ選ぶとなると完全に迷子です。
佐藤メバル
いい入り口だね。書店員時代、少女漫画の棚は担当がいちばん悩む棚だった。毎月新刊が出て、名作は文庫や新装版になって戻ってくる。だから「どれが面白いか」より先に、自分はいま、どの種類のキュンを欲しがっているのかを決めるのが近道なんだ。
橘ナナミ
種類……ですか。キュンって全部同じじゃないんですか?
佐藤メバル
そこが核心だよ。たとえば『君に届け』は、爽子が風早に憧れて少しずつ変わっていく過程のじれったさが主役。『ハニーレモンソーダ』は両想いになったあとの「付き合うってどういうこと?」という戸惑いと喜びが芯になっている。同じ胸の苦しさでも、苦しさの正体が違うんだ。
橘ナナミ
なるほど……! じゃあ今日は、その「キュンの正体」を分類しながら選び方を教えてください。
佐藤メバル
任せて。まずは選び方の軸から整理しよう。
少女漫画でキュンキュンできる本の選び方
目的別で選ぶ——どの感情を浴びたいかを先に決める
橘ナナミ
目的別って、具体的にはどんな分け方ですか?
佐藤メバル
四つに分けると分かりやすい。超絶キュンなら『ハツコイと太陽』。一条との距離が縮まって、勇気を出して再告白する。返事はまさかの結果になるけれど、秋葉に励まされて「あきらめないのが私」だと立ち上がり、恋の舞台は小学生最後の運動会へ進む。まっすぐさがそのまま刺さる。ほっこり癒しなら『グッドモーニング・コール』。一人暮らしのはずが同級生の上原くんと同居になってしまう話で、生活の温度がそのまま恋の温度になる。切ない泣きなら『思い、思われ、ふり、ふられ』。由奈が理央を好きになり、その理央が告白できなかった相手は朱里——四角形の中で誰かが必ず傷ついていく。溺愛依存なら『花野井くんと恋の病』。恋がわからない女子と、愛が重すぎる男子の組み合わせだね。
橘ナナミ
溺愛、聞くだけで少し頬がゆるみます……。
相手キャラ属性で選ぶ
橘ナナミ
「年上に引っ張られたい」「執着系がいい」みたいな好みで選んでもいいんでしょうか。
佐藤メバル
いいどころか、いちばん外れが少ない選び方だよ。年上・許嫁なら『はいからさんが通る』。大正、17歳の花村紅緒のもとに許嫁の陸軍少尉・伊集院忍が現れる。じゃじゃ馬な自分を面白がる笑い上戸の彼が気に入らず、破談にしようとするところから関係が動く。クール系なら『氷の城壁』。小雪はヨータが好きだと勘違いしているミナトが、二人を見ているうちに自分の気持ちを自覚してしまう。四人の距離が一気に縮まる混線ぶりが持ち味だ。重ための執着なら『お姉ちゃんの翠くん』。翠くんと菖のどちらも選ばないと決めたスイに、菖が「どちらにも本気で向き合っていない」と詰め寄る場面がある。心が痛む展開も覚悟して読んでほしい。
橘ナナミ
それは「キュン」より「ぎゅっ」って感じですね……。
ステータスで選ぶ——完結済みか、連載中か
佐藤メバル
一気読みしたい人にとって、ここは最重要の軸だ。完結まで到達した作品は安心して没入できる。『君に届け』は全巻セットが用意されているし、『ふたりで恋をする理由』も全巻で揃う。『ときめきミッドナイト』は、冥界の女王に捕われたシュンを取り返し、三つの世界を救うため過去の冥界へ向かうところまで描かれる完結巻がある。長い物語を最後まで一緒に走れるのは完結ものだけの体験だよ。
橘ナナミ
逆に、連載中を追う楽しさもあるんですか?
佐藤メバル
あるよ。『太陽よりも眩しい星』は高校3年に進級してクラスが離れ、さらに転校生の阿波山が現れる。『うるわしの宵の月』は、ようやく正式に付き合えたのに先輩が家の事情で留学し、別れることになってしまう。先が読めない状態を毎巻待つのは、連載ならではの贅沢だね。
加速ポイントで選ぶ——1巻から即キュンか、途中から沼か
橘ナナミ
1巻で判断していいのか不安です。合わないと思って手放したら、実は後半がすごかった、みたいなことが起きそうで。
佐藤メバル
それ、書店員時代に何度も相談された。『アオハライド』は、双葉が中学時代にはぶられた経験から自分を偽って過ごしていて、忘れられない「田中くん」を思わせる男子に出会うところから始まる。偽っていた自分が崩れていく過程そのものが見どころだから、序盤の息苦しさは必要な助走だと思ってほしい。逆に『きらめきのライオンボーイ』は、同じ学校の桐敦に突然「つきあって」と言われ、まっすぐな彼に惹かれていく——告白から始まるので加速は早い。
橘ナナミ
助走が要る作品は、どこで折り返すんですか?
佐藤メバル
『ストロボ・エッジ』なら、蓮が自分と変わらず接してくれるのは恋愛対象外だからだと気づく場面。仁菜子が「カノジョ」になろうと決意する瞬間が来る。そこで一度、心が切り替わるんだよ。
試し読みの量と絵柄の相性で選ぶ
橘ナナミ
無料で読める範囲が作品ごとに違うなら、それも選び方に入れていいんですよね。
佐藤メバル
入れるべきだよ。試し読みは「絵柄が自分に合うか」を確かめる時間でもある。まず数話読んで、線や目の描き方に違和感がないか見てみる。クラシックな絵柄が平気なら『ときめきトゥナイト』——吸血鬼と狼女を両親に持つ蘭世が、かみついた相手に変身してしまう設定で、不思議などきどきが続く。『美少女戦士セーラームーン』の文庫コレクションのように、装いを新めて手に取りやすくなったものもある。『こどものおもちゃ』のように、想いが通じ合った後の展開まで描かれる長い物語は、読み進めるほど没入が深くなる。
橘ナナミ
絵柄より「話の温度」で選びたい気もします……!
佐藤メバル
それなら『恋のようなものじゃなく』。千耀への告白を決意した未仁が想いを伝え、かけがえのない気持ちを確かめ合う。焦れったい時間が長かった分、一気に距離が縮まる。待たされた分だけ甘い、という体験ができる作品だよ。
少女漫画でキュンキュンできる本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、25冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
少女漫画でキュンキュンできる本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい
【全巻セット】君に届け 1-30巻セット
椎名軽穂 著|集英社
¥17,160(税込)
陰気な見た目で怖がられ、謝られてしまう爽子。そんな彼女に分けへだてなく接する風早に憧れ、夏休み前の肝試しでお化け役を引き受けるところから物語が動き出す。言葉にできない気持ちが少しずつ届いていく過程を、30巻分じっくり追えるのが全巻セットの醍醐味。一巻で決着する学園ラブと違い、すれ違いと成長を長い時間軸で描く点が際立っている。
こんな人におすすめ
片想いの途中で自信をなくしている人、相手の何気ない一言を何度も思い返してしまう人に。一気に読了したい長期休暇のお供や、誰かを好きだった頃を思い出したい夜、思春期の子どもと感想を分かち合いたい親にも向く。
良い点
- 陰気な少女の変化を丁寧に追える
- 肝試しなど日常の事件が効いている
- 30巻分を途切れず読める
気になる点
- まとめ買いは金額が張る
- 序盤はじれったさが続く
- 長編なので時間が必要
出版社
集英社
発売日
2023年03月上旬
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
佐藤さん、30巻セットって最初から最後まで一気に買う人いるんですか? 私、長い話は途中で挫折したことがあって……。
佐藤メバル
いい質問だね。セットで買う人ほど「途中で止まれない」タイプなんだ。爽子は陰気な見た目で怖がられ、謝られてしまう少女。
そんな彼女に分けへだてなく接する風早に憧れ、夏休み前の肝試しでお化け役を引き受ける。ここから言葉にできない気持ちが少しずつ届いていく。
1冊ずつ買い足すより、彼女の変化を途切れず見届けられるのがセットの値打ちだよ。
橘ナナミ
なるほど、止まれないからこそセットなんですね。爽子って、最初は自分から動けない子なんですよね。
佐藤メバル
そう。受け身の子が、肝試しのお化け役という不器用な一歩を踏み出す。そこで風早がどう反応するかが見どころでね。
書店員時代、この巻を「読むと胸が苦しくなる」と言いながら棚に戻すお客さんを何人も見たよ。派手な事件ではなく、日常の小さな勇気を積み上げる話だからこそ長く読まれるんだ。
アオハライド 1
咲坂伊緒 著|集英社
¥572(税込)
中学時代に女子からはぶられた経験から、本当の自分を隠して高校生活を送る双葉。忘れられない初恋の人「田中くん」を思わせる男子に出会うところから、偽りの自分が少しずつ剥がれていく。咲坂伊緒が描く青春は、恋の甘さより「自分をさらけ出す怖さ」に重心があり、同作者の他作と並べても痛みの濃度が際立つ。巻末には初期読み切り「unwritten」も収録。
こんな人におすすめ
高校時代に無理をして“キャラ”を作っていた人、本当の自分を出すのが怖いと感じている人に。新学期や進学のタイミングで読み返すのもよく、友達付き合いに疲れた夜にそっと開きたい一冊。双葉に自分を重ねるほど刺さる。
良い点
- 等身大の高校生の痛みが丁寧
- 初恋の続きを丁寧に追える
- 読み切りで作家の原点も見える
気になる点
- 1巻は導入で止まる
- 過去の傷の描写が重い
- 続巻前提の作り
出版社
集英社
発売日
2011年04月13日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「アオハライド」ってタイトルだけ聞くと爽やかな青春ものかと思ってました。でも双葉は自分を偽ってるんですね。
佐藤メバル
そこがこの作品の肝でね。双葉は中学時代にはぶられた経験から、高校では“好かれる自分”を演じている。忘れられない初恋の「田中くん」を思わせる男子に出会い、その仮面が揺らぎ始める。
爽やかさより、自分を隠す苦しさを正面から描いている点が他の学園ラブと一線を画すところだよ。
橘ナナミ
仮面が揺らぐ、という言い方、すごく刺さります。私も大学で“ちゃんとした自分”を演じてた時期がありました。
佐藤メバル
その感覚があるなら、きっと双葉の痛みが他人事に思えなくなる。咲坂さんの描く男子は、優しいだけじゃなく不器用で、そこが妙にリアルなんだ。
巻末の「unwritten」は連載前の原型で、作家の出発点を覗けるおまけとして貴重だよ。
ストロボ・エッジ 8
咲坂伊緒 著|集英社
¥572(税込)
蓮が自分と変わらず接してくれるのは、恋愛対象外の「友達」だから——。その気づきが仁菜子の心を揺らす。誰かと恋する蓮を見るくらいなら「カノジョ」になれるよう頑張ると決意した矢先、安堂の元カノ・真央が入学してくる。真央はかつて蓮と安堂の仲を離れさせた原因を作った人物。友情の枠に収まるか、壊すか。恋の痛みを丁寧に描く第8巻。
こんな人におすすめ
「友達のままが楽」と恋を諦めかけた人、幼なじみや男友達への気持ちに悩む人に。関係性の変化を覚悟するタイミングで読むと、仁菜子の選択が他人事に思えなくなる。失恋の痛みを越える過程を追いたい時にも向く。
良い点
- 揺れる心情の描写が繊細
- 元カノ登場で緊張感が増す
- 恋愛と友情の線引きを問う
気になる点
- 途中巻からだと前提がある
- 三角関係が長引く
- じれったさが続く
出版社
集英社
発売日
2010年03月12日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ストロボ・エッジの8巻って、いきなり元カノが出てくる巻なんですね。途中から読むと人間関係が複雑そう……。
佐藤メバル
そこがこの巻の見せ場なんだよ。仁菜子は、蓮が自分を特別扱いしないのは「恋愛対象じゃない友達」だからだと気づいてしまう。
それなら「カノジョ」になるしかないと決意した直後に、安堂の中学時代の元カノ・真央が入学してくる。友達という安全な枠を壊すのか守るのか、恋の痛みが濃い巻だよ。
橘ナナミ
決意した瞬間に邪魔が入るの、つらすぎますね……。真央さんって、何をした人なんですか?
佐藤メバル
中学時代、特別な友達だった蓮と安堂の仲を離れさせた原因を作った人物なんだ。だから彼女の言葉は、仁菜子の決意を根底から揺らす。
咲坂さんの作品は、恋の相手だけでなく“過去の登場人物”が現在を動かすのが巧みでね。この巻はその典型だよ。
ハニーレモンソーダ 8
村田真優 著|集英社
¥484(税込)
三浦くんと両想いになった羽花だが、「両想い=付き合う」なのか、「付き合うってどういうことなのか」で立ち止まる。大きな喜びと小さな不安が同時に押し寄せる、その等身大の戸惑いがこの巻の核。片想いの成就で終わる話が多いなか、成就した後にこそ揺れる心を描くのが本作らしさで、教室の空気まで含めた甘酸っぱさの密度が濃い第8巻。
こんな人におすすめ
片想いが実って「次に何をすればいいのか分からない」人、恋の進め方に戸惑う10代に。付き合いたての不安を言葉にしたい時や、友達と恋の話で盛り上がる夜に開くと、自分だけじゃないと安心できる一冊。
良い点
- 両想い後の心理を丁寧に描く
- 羽花の成長がまっすぐ
- 甘さと不安のバランスが良い
気になる点
- 8巻からだと関係把握が難しい
- 展開は王道寄り
- 大きな事件は少なめ
出版社
集英社
発売日
2018年08月24日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「両想い=付き合う」じゃないかも、って考えるの、私には新鮮でした。付き合うって改めて何なんでしょう?
佐藤メバル
そこを正面から描いたのがこの巻だね。羽花は三浦くんと両想いになったけれど、「付き合う」の意味で立ち止まる。
喜びと不安が同時に来る感覚を、村田真優さんは丁寧にすくい上げている。告白で終わらせず、その先を描くのがこの作品の強みだよ。
橘ナナミ
告白の後を描くって、実は少ないですよね。そこにページを割くの、勇気がいる気がします。
佐藤メバル
そう、そこが差別化になっている。読者は「自分だけが分からないのかも」と不安になりがちだけど、この巻はその戸惑いを否定しない。
書店でも「付き合った後の話が読めて安心した」という声をよく聞いたよ。第1巻から順に読むと、羽花の変化がよく分かる。
思い、思われ、ふり、ふられ 2
咲坂伊緒 著|集英社
¥484(税込)
絵本の王子様以外で初めて男子を好きになった由奈。その相手・理央が告白できなかったのは朱里だった——。大事な秘密を打ち明けてくれた理央に、由奈は気持ちを隠せない。好意が一直線に進まない構成で、四つの視点が少しずつ噛み合っていく。同作者の作品のなかでも、誰も悪者にしないまま関係が複雑化する点が際立つ第2巻。
こんな人におすすめ
好きな人の“別の好きな人”を知ってしまった人、人間関係のモヤモヤを言葉にしたい人に。気持ちの整理がつかないときに、登場人物と一緒に考えるつもりで読むのがおすすめ。友情と恋の境目に悩む時にも。
良い点
- 四人の視点が丁寧に交差
- 誰も悪者にしない設計
- 恋が周囲を動かしていく
気になる点
- 関係が複雑で混乱しやすい
- 2巻からだと前提が必要
- 切なさが続く
出版社
集英社
発売日
2016年02月25日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
タイトルの「思い、思われ、ふり、ふられ」って、四人の関係をそのまま表してるんですね。読む前にちょっと身構えました。
佐藤メバル
まさにその通りでね。由奈が初めて好きになった理央は、朱里に告白できずにいた。その秘密を教えてくれた理央に、由奈は気持ちを隠せなくなる。
片想いが一直線に進まないもどかしさを、四人それぞれの視点から描いているのが巧いんだよ。
橘ナナミ
誰かが報われない構図になりそうで、読むのが怖い気もします……。でも、そういう話こそ刺さるのかな。
佐藤メバル
怖がる気持ちはよく分かる。でも咲坂さんは誰も悪者にしないまま関係を動かすのが上手い。変わっていく由奈を見て、朱里も気になっていた人へ動き出す。
人の変化が連鎖していくのがこの作品の見どころで、読後は不思議と前向きになれるよ。
ときめきトゥナイト 1
池野恋 著|集英社
¥803(税込)
吸血鬼と狼女を両親に持つ江藤蘭世は、人間との恋を禁じられた中2。それでも同級生の真壁俊くんに夢中で、ある日かみついた相手に変身してしまう超能力が芽生える。設定の奔放さと、恋の初々しさが同居するラブコメの原型。現代の作品と比べても、変身という仕掛けを恋の障害として使う発想が鮮やかで、読み継がれる理由が分かる第1巻。
こんな人におすすめ
昔の少女漫画の空気を味わいたい人、ファンタジー設定の恋を読みたい人に。懐かしさを求める再読にも、子どもと一緒に読んで感想を話すのにも向く。長いシリーズの入口としても気軽に手に取れる一冊。
良い点
- 変身設定が恋の障害になる
- 昭和〜平成の空気が濃い
- コメディと恋の配分が良い
気になる点
- 絵柄の古さを感じる人も
- 時代背景が前提になる
- 続編と合わせて読みたい
出版社
集英社
発売日
1998年10月16日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
佐藤さん、これ「吸血鬼と狼女の娘」って設定からもう凄いですね。しかも人間との恋は禁止って。
佐藤メバル
いいところに気づいたね。蘭世は中2で、同級生の真壁俊くんに夢中。そして、かみついた相手に変身してしまう超能力が芽生える。
恋の障害が“種族”と“変身”の二重になっているのが面白くて、後の少女漫画にも通じる型を作った作品なんだよ。
橘ナナミ
なるほど、変身がただの能力じゃなくて恋を揺らす仕掛けなんですね。今読んでも面白いんでしょうか?
佐藤メバル
絵柄や時代の空気は古いと感じる人もいるけれど、恋の初々しさは色あせない。書店員時代、この作品を「子どもに勧めたい」と手に取る親御さんが多かったのを覚えているよ。
シリーズが長く続いているので、1巻から入るのがおすすめだね。
美少女戦士セーラームーン(2) 武内直子文庫コレクション
武内直子 著|講談社
¥913(税込)
『美少女戦士セーラームーン』をはじめとした武内直子の作品を文庫で読めるコレクションの第2巻。表紙はセーラーマーキュリが飾る。文庫サイズならではの手軽さで、単行本を持ち歩くより気軽に何度も開けるのが利点。戦う少女たちの物語でありながら、恋や友情の線も太く描かれている点は、後年の少女漫画にも大きな影響を与えている。
こんな人におすすめ
セーラームーンを原典で読み直したい人、コレクションとして揃えたい人に。持ち歩きながら少しずつ読みたい時や、1巻と並べて棚に置き、巻ごとに変わる表紙を眺めるのも楽しい。アニメから入った人の逆輸入にも。
良い点
- 文庫で持ち歩きやすい
- 表紙が巻ごとに楽しみ
- 原典を手軽に再読できる
気になる点
- 1巻からの購入が前提
- 文庫判で絵が小さい
- 巻ごとに表紙が違う
出版社
講談社
発売日
2018年09月28日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
セーラームーンってアニメの印象が強いんですけど、文庫で読めるんですね。第2巻の表紙がマーキュリーなのも可愛いです。
佐藤メバル
そう、武内直子さんの作品を文庫でまとめたコレクションなんだ。表紙が巻ごとに変わるのも楽しいところでね。
戦う少女の物語として語られがちだけど、恋や友情の描き方も丁寧で、後年の少女漫画に与えた影響は計り知れないよ。
橘ナナミ
なるほど。文庫だと絵が小さくなるのは気になりますが、持ち歩いて読み返すには良さそうですね。
佐藤メバル
そこは好みが分かれるところ。ただ、何度も開いて線の美しさを確かめたくなる作品だから、手元に置ける形は嬉しい。
原典で読むと、当時の読者が何に胸をときめかせたのかがよく分かるよ。
はいからさんが通る 新装版(1)
大和和紀 著|講談社
¥605(税込)
時は大正、花村紅緒17歳。恋も結婚も自分で選びたいと願うハイカラ娘の前に、許嫁の陸軍少尉・伊集院忍が現れる。自分のじゃじゃ馬ぶりを面白がる笑い上戸の彼が気に入らず、破談にしようと動き出す。自分の意思で生きる紅緒の痛快さが軸で、70年代に空前のブームを巻き起こした作品の新装版。時代設定の厚みも読みどころ。
こんな人におすすめ
主体的に生きたいと思っている人、大正という時代の空気を味わいたい人に。新装版で初めて手に取る人にも、昔読んだ人が読み返して紅緒の痛快さを再確認するのにも向く。時代ものの入口としても頼れる一冊。
良い点
- 紅緒の痛快さが気持ちいい
- 大正の空気が濃厚
- 新装版で入りやすい
気になる点
- 当時の価値観に戸惑う場面も
- 時代背景の前提がある
- 続巻前提の作り
出版社
講談社
発売日
2016年12月13日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「はいからさん」って名前だけは聞いたことがありました。大正時代の話なんですね。紅緒は17歳で許嫁がいるのに破談にしようとするんですか?
佐藤メバル
そう、そこが痛快なんだよ。紅緒は明るく元気なハイカラ娘で、恋も結婚も自分で選びたいと夢見ている。ところが許嫁の陸軍少尉・伊集院忍が、彼女のじゃじゃ馬ぶりを面白がる笑い上戸でね。
気に入らないから破談にすると動き出す姿が、今読んでも気持ちいい。
橘ナナミ
相手を面白がる人って、嫌なタイプにも見えるし、実は惹かれるタイプにも見えます……。
佐藤メバル
まさにその揺れが物語を引っ張るんだ。70年代に空前のブームを起こした作品で、新装版として読みやすくなっている。
当時の価値観に戸惑う場面もあるけれど、自分の人生を自分で選びたいという紅緒の姿勢は、今の読者にもまっすぐ届くよ。
ご近所物語 1
矢沢あい 著|集英社
¥770(税込)
デザイナーを目指して矢澤芸術学院に通う実果子。お隣さんのツトムとは生まれてからずっと一緒の幼なじみだ。やがてツトムがひとりで新しい世界を広げていくなか、実果子は淋しさを隠せなくなる。夢と恋の両立という、思春期ならではの難しさを正面から描く。矢沢あい作品のなかでも、服や街の空気まで含めた“時代の熱”が濃い第1巻。
こんな人におすすめ
幼なじみとの関係が変わりはじめた人、夢と恋のどちらも大事にしたい人に。創作や進路に悩む時期に読むと、置いていかれる側の感情まで肯定された心地になる。服や街の空気を味わいたい時にも。
良い点
- 幼なじみの距離感が丁寧
- ファッションの描写が楽しい
- 夢と恋の両立を描く
気になる点
- 巻末企画は本編外
- 続巻で関係が動く
- 時代の空気が濃い
出版社
集英社
発売日
2011年05月18日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「ご近所物語」って、幼なじみの話なんですね。しかもデザイナーを目指して専門学校に通ってる実果子が主人公で。
佐藤メバル
そう。実果子は矢澤芸術学院に通いながら、お隣さんのツトムと生まれてからずっと一緒に育ってきた。でもツトムがひとりで新しい世界を広げ始めて、実果子は淋しさを隠せなくなる。
夢と恋の両立という、逃げられないテーマが軸なんだよ。
橘ナナミ
幼なじみが先に進んでいくの、つらいですね。私も友達が先に社会に出たとき、置いていかれた気持ちになりました。
佐藤メバル
その感覚、よく分かる。この作品は、置いていかれる側の感情を丁寧に描いている。巻末にはファッションのミニ企画も付いていて、当時の服の空気まで味わえる。
矢沢あいさんの作品のなかでも、街と服の熱量が濃い一冊だよ。
ママレード・ボーイ 2
吉住渉 著|集英社
¥748(税込)
高1の小石川光希と、同居することになった松浦遊。遊は学校でも人気者だが、勝手に敵対してくるライバルが現れ、周囲が落ち着かない空気になっていく。光希の中学時代からの友人・銀太の様子も、どこかおかしい。同居という極端な設定から生まれる距離の縮まり方と、周囲を巻き込む恋の波紋が同時に進む第2巻。
こんな人におすすめ
恋と友情の板挟みに悩んだ経験がある人、周囲を巻き込む恋の物語を読みたい人に。人間関係の変化を追いたい時や、友人関係がぎくしゃくしている時期に、誰の立場で読むかを考えながら味わうのも面白い。
良い点
- 同居設定が距離を縮める
- 周囲の感情も丁寧
- 恋の波紋が広がる
気になる点
- 2巻からだと前提が必要
- 設定がやや強引
- 銀太の心情が重い
出版社
集英社
発売日
2008年05月16日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「ママレード・ボーイ」ってタイトルは知ってましたけど、同居から始まる話だったんですね。高1でそれは大事件では。
佐藤メバル
そう、そこが出発点なんだ。光希と同居することになった松浦遊は学校でも人気者。でも遊に勝手に敵対するライバルが現れたり、周囲が落ち着かなくなる。
距離が近いからこそ起きる摩擦と、友人・銀太の変化が同時に進んでいくのが第2巻の読みどころだね。
橘ナナミ
銀太くんの様子がおかしくなる、というところが気になります。恋の話って、当人たちだけじゃ終わらないですもんね。
佐藤メバル
まさにそこ。吉住渉さんは、主人公カップルの周りにいる人の感情を丁寧に描く作家でね。だから読んでいて「自分の友達もこう感じていたかも」と考えさせられる。
恋を当事者だけで完結させない構成が、長く読まれる理由だよ。
こどものおもちゃ 6
小花美穂 著|集英社
¥924(税込)
遭難事件が片づき、ようやく想いが通じ合った紗南と羽山。長いつらい片想いが実った紗南は、その反動で一気に色ボケ全開になり、幸せいっぱいのイブを過ごす。ところが羽山の父のロサンゼルス転勤が決まる。報われた直後に置かれる試練という構成が巧みで、コメディの軽さと別れの予感が同居する第6巻。読みきりと巻末特集も収録。
こんな人におすすめ
片想いが実った人、恋人との距離や進路の話に直面している人に。幸せの直後に揺らぐ心情を味わいたい時や、別れの予感を抱えながら日常を過ごす感覚を確かめたい時に向く。読みきり目当てでも満足できる。
良い点
- 成就後の展開が濃い
- コメディと切なさの同居
- 読みきり収録で満足度が高い
気になる点
- 6巻からだと流れが分かりにくい
- 転勤展開が切ない
- 巻末特集は番外
出版社
集英社
発売日
2007年05月18日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
紗南が「色ボケ全開」って可愛い表現ですね。やっと両想いになったところなんですよね? でも羽山くんのお父さんの転勤が決まるって、急に切なくなってきました。
佐藤メバル
そう、そこがこの巻の巧さなんだ。遭難事件を経て想いが通じ合った直後だからこそ、ラブラブのイブが輝いて、その後の転勤が重くのしかかる。
幸せのピークで揺らす構成は小花美穂さんならでは。コメディの軽さがあるから、余計に切なさが際立つよ。
橘ナナミ
甘いだけの巻じゃないんですね。読みきりの「おポンチ モンキーズ」も入っていて、巻末特集も付くのが嬉しいです。
佐藤メバル
そう、読みきりと巻末特集が付いていて1冊の満足度が高い。ただ6巻から読むと人間関係の前提が多いから、できれば序盤から追いたいところ。
それでも、報われた後のリアルを描いた巻として貴重だよ。
グッドモーニング・コール 1
高須賀由枝 著|集英社
¥704(税込)
両親の都合で、卒業までの半年間だけマンションで一人暮らしをすることになった中3の菜緒。ところが引っ越しの日に、同じ部屋に別の男の子・上原くんが引っ越してきて、結局同居することになる。期間限定の同居という設定が、日常の何気ないやり取りを丁寧に積み上げる。巻末には著者のエッセイ漫画も収録された第1巻。
こんな人におすすめ
これからひとり暮らしを始める人、日常の小さな恋を読みたい人に。生活の距離感が近づいていく過程を味わいたい時や、短めの巻数を気軽に追いたい時、家で過ごす時間が長い休日のお供にも向く。
良い点
- 期間限定の同居が効く
- 日常の積み上げが丁寧
- エッセイ漫画で人柄も見える
気になる点
- 大きな事件は少ない
- 設定はベタ寄り
- 続巻前提の作り
出版社
集英社
発売日
2008年01月18日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
これ、私のひとり暮らしと少し重なるかも。でも同居相手が同じ中学の男の子って、そんな偶然あります?
佐藤メバル
あらためて聞くと飛躍があるよね。でも菜緒は卒業までの半年だけ、両親の都合で一人暮らしをすることになっていた。
そこへ引っ越しの日に上原くんが同じ部屋に来てしまう。期間限定の同居という枠が、日常の何気ないやり取りを丁寧に見せる仕掛けになっているんだよ。
橘ナナミ
期間限定だからこそ、余計に一日一日が大事に見えそうです。巻末のエッセイ漫画も気になります。
佐藤メバル
そこも嬉しいところでね。本編は派手な事件が起きるタイプじゃないけれど、だからこそ生活の温度がそのまま伝わる。
これから一人暮らしを始める人が読むと、妙に納得する場面が多いと思うよ。
花野井くんと恋の病(6)
森野萌 著|講談社
¥550(税込)
ついに初めてのキスをしたほたると花野井くん。その帰り道、花野井くんは小学校時代の「友達」に思いを馳せる。一方ほたるはキスに戸惑いながらも、彼をもっと幸せにしたいと願い始める。恋がわからない女子×愛が重すぎる男子という組み合わせが軸で、よそと違うのは「好き」の重さを欠点にせず、二人で調整していく過程を描く点。
こんな人におすすめ
好きの加減が分からない人、相手の愛情の強さにとまどう人に。関係を育てる感覚を味わいたい時や、恋の温度差に悩んだ夜、重いと言われる自分の気持ちを否定したくない時にも手に取ってほしい。
良い点
- 恋の温度差を丁寧に描く
- 花野井の重さが魅力になる
- 周囲が増える展開が楽しい
気になる点
- 6巻からだと関係の前提が多い
- 花野井の重さが人を選ぶ
- キス後で落ち着き気味
出版社
講談社
発売日
2020年06月11日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「恋がわからない女子×愛が重すぎる男子」って、すごく今っぽい組み合わせですね。重すぎるって、重いだけじゃないんですか?
佐藤メバル
そこがこの作品の面白さでね。花野井くんは確かに重いんだけど、その重さを欠点として切り捨てず、ほたるが少しずつ受け止め方を学んでいく。
初めてのキスの帰り道、花野井くんが小学校時代の「友達」を思い出す場面も、彼の重さの理由を透かす大事なところなんだ。
橘ナナミ
重さの理由が過去にあるんですね。ほたるはキスに戸惑ってるのに、もっと幸せにしたいとも思い始める。その並走がリアルです。
佐藤メバル
そう、戸惑いと願いが同時にあるのがいい。そこから「いい彼氏彼女になろう」と誓い合い、二人の周りに少しずつ人が増えていく。
恋を二人だけの密室にしないのが、この作品の風通しの良さだよ。
うるわしの宵の月(11)
やまもり三香 著|講談社
¥594(税込)
容姿端麗でスマートなふるまいから「王子」と呼ばれる滝口宵は、同じく「王子」と呼ばれる市村先輩とお試しの付き合いを始める。夏祭りで素直に気持ちを打ち明け正式に付き合うが、新学期に先輩が学校に来なくなり、家の事情で留学、そして別れることに。同じ呼び名を持つ二人が対等に惹かれ合う構成が心地よく、幸福のあとの急落が効いた第11巻。
こんな人におすすめ
対等な関係に憧れる人、「かっこいい自分」を演じてしまう人に。別れと再出発の物語を追いたい時や、幸福のあとに訪れる試練をどう越えるかを見届けたい夜に向く。宵の変化を前の巻から追うとより深い。
良い点
- “王子”同士の対等さが魅力
- 幸福と急落の落差が効く
- 宵の変化が丁寧に描かれる
気になる点
- 11巻からだと前提が多い
- 別れの展開が重い
- 続き前提の引き
出版社
講談社
発売日
2026年09月11日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
女子が「王子」と呼ばれるって、ちょっと想像がつきませんでした。宵はその呼ばれ方をどう思ってるんでしょう?
佐藤メバル
そこがポイントでね。宵は容姿端麗でスマートなふるまいから自然と「王子」と呼ばれてしまう。同じく「王子」と呼ばれる市村先輩と出会い、お試しの付き合いが始まる。
同じ呼び名を持つ者同士だから、見栄を張らずに対等でいられる。その心地よさがこの作品の核なんだ。
橘ナナミ
夏祭りで正式に付き合って、クリスマスも過ごしたのに、先輩が留学して別れる……急すぎませんか。
佐藤メバル
その急さが第11巻の主題なんだよ。家の事情で学校をやめ、留学すると聞かされて、さらに別れることになる。
幸福のピークを見せた直後に落とすから、読者は宵と一緒に立ちすくむ。そこで二人の絆が戻るのか、という引きになっている。やまもり三香さんの構成力が光る巻だね。
太陽よりも眩しい星 15
河原和音 著|集英社
¥572(税込)
平均より頑丈な女子・岩田朔英は、幼なじみの神城光輝と付き合っている。いよいよ高校3年生になり受験を意識し始めるが、クラスが離れてしまう。さらには転校生・阿波山という台風の目が現れる。進路と恋の同時進行という、誰もが通る難所を丁寧に描く。河原和音さんの作品らしく、登場人物の言葉足らずな部分まで愛おしく書かれた第15巻。
こんな人におすすめ
受験や進路で恋との距離に悩む高校生、学生時代を思い返したい人に。クラスが離れる不安を抱えている時や、転機に立たされて気持ちが揺れている時に読むと、朔英の頑丈さが支えになってくれる。
良い点
- 受験期の恋をリアルに描く
- 朔英の頑丈さが魅力的
- 転校生で空気が変わる
気になる点
- 15巻からだと前提が多い
- 焦れったさがある
- 受験の重さがのしかかる
出版社
集英社
発売日
2026年09月25日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「平均より頑丈な女子」って、すごくいい紹介の仕方ですね。でも高校3年でクラスが離れて、転校生まで来るとなると、恋どころじゃない気もします。
佐藤メバル
そこがこの巻のリアルでね。朔英は神城光輝と付き合っているけれど、3年生になって受験を意識し、クラスも離れてしまう。
さらに転校生・阿波山という台風の目が現れる。進路と恋が同時に揺れる時期を、河原和音さんは丁寧に描いているんだよ。
橘ナナミ
クラスが離れるだけでも不安なのに、転校生まで。でも、そういう時期の恋って一番覚えてますよね。
佐藤メバル
そう思うよ。書店員時代、この作品を「受験前に読んで元気が出た」と買っていく高校生が多かった。朔英の頑丈さは、繊細なだけでは終わらない強さとして書かれていて、そこが読者の支えになるんだね。
氷の城壁 5
阿賀沢紅茶 著|集英社
¥990(税込)
小雪がヨータを好きだと勘違いしているミナトは、二人を見ているうちに自分の気持ちを自覚してしまう。一方、ミナトの気持ちに気づかない小雪は、中学時代の因縁の相手・五十嵐と遭遇する。思い違いが連鎖する構成が巧みで、誰の視点で読んでも切ない。青春の混線をここまで丁寧に描く作品は珍しく、第5巻で一気に距離が縮まる。
こんな人におすすめ
友達関係のなかで自分の気持ちが分からなくなった人、勘違いや誤解を経験した人に。関係が動く瞬間を追いたい時や、静かな青春ものをゆっくり読みたい夜、4人の誰に自分を重ねるか考えながら読むのも楽しい。
良い点
- 勘違いの連鎖が巧い
- 4人の視点が生きている
- 静かな空気が魅力
気になる点
- 5巻からだと人間関係が複雑
- 大きな事件は少ない
- もどかしさが続く
出版社
集英社
発売日
2023年10月04日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ミナトくんって、小雪がヨータくんを好きだと勘違いしてるんですよね。その状態で自分の気持ちに気づいちゃうの、つらすぎませんか。
佐藤メバル
そこがこの巻の胸苦しさでね。小雪はそんなミナトの気持ちに気づかないまま、中学時代の因縁の相手・五十嵐と遭遇してしまう。
思い違いが重なるほど距離が縮まっていく構成が巧くて、誰の立場で読んでも切なくなるんだよ。
橘ナナミ
誰の立場でも切ないって、すごいバランスですね。静かな絵の印象もあって、余計に沁みそうです。
佐藤メバル
そう、静かなぶん感情が浮き上がる。書店で「派手じゃないけど刺さる」と薦められて買っていく若い読者が多かったのを覚えているよ。
4人の距離が一気に動く巻なので、ここから一気に読む人も多いんだ。
お姉ちゃんの翠くん 11
目黒あむ 著|集英社
¥572(税込)
「いつまでひとりだけ綺麗なところにいようとしてんの?」——翠くんと菖のどちらも選ばないと決めたスイに対し、菖は「どちらにも本気で向き合っていない」と責め、無理やりキスをする。混乱するスイを桃が旅行に誘う。選ばないという選択を突き崩す展開が重く、目黒あむさんの描く感情の生々しさが際立つ第11巻。
こんな人におすすめ
誰かを選べずにいる人、優柔不断な自分に苛立っている人に。決断できない心情を言葉にしたい時や、重めの恋愛ものを覚悟して読みたい夜に向く。前巻から追うと、スイの置かれた状況がより刺さる。
良い点
- 選べない心情の描写が濃い
- 脇役の介入が効いている
- 感情の圧が強い
気になる点
- 11巻からだと関係把握が難しい
- 強引な場面がある
- 重さが続く
出版社
集英社
発売日
2026年04月23日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「どちらにも本気で向き合っていない」って、すごく刺さる言葉ですね。誰も選ばないのは、優しさじゃないんだって。
佐藤メバル
まさにその指摘がこの巻の中心なんだ。スイは翠くんと菖のどちらも選ばないと決めたけれど、菖はそれを逃げだと責め、無理やりキスをしてくる。
選ばないという選択が通用しなくなる瞬間が、容赦なく描かれているよ。
橘ナナミ
無理やりキス、は読んでいてつらそうです。でも、そこでスイの本心が動くんですね。桃さんが旅行に誘うのも気になります。
佐藤メバル
そう、桃の介入で流れが変わる。目黒あむさんは、こういう押しの強い展開のなかでも、動揺する側の気持ちを丁寧にすくい上げる。
重めだけど、目を背けたくない作品だよ。できれば前巻から読んでほしいね。
ハツコイと太陽 4
木下ほのか 著|集英社
¥506(税込)
一条との距離が縮まることに胸を躍らせた小春子は、勇気を出して再告白する。ところが返ってきた答えはまさかの結果だった。落ち込む彼女を秋葉が励まし、小春子は「あきらめないのが私」と自分を取り戻す。恋の舞台は小学校最後の運動会へ。小学生の初恋をここまで真剣に描く作品は少なく、まっすぐさが痛いほど伝わる第4巻。読みきりも収録。
こんな人におすすめ
告白して振られたばかりの人、何度でも挑みたい人に。あきらめない自分を確認したい時や、小学校時代の記憶を辿りたい時に。運動会の季節に読むと、あの日の熱がよみがえって胸が締めつけられる。
良い点
- 小学生の初恋がまっすぐ
- 再告白の描写が真剣
- 読みきり収録で満足できる
気になる点
- 4巻からだと経緯が要る
- 展開がじれったい
- 子ども向けに見えて深い
出版社
集英社
発売日
2020年01月24日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
小学生の恋で「再告白」って、本気度が凄いですね。しかも返事がまさかの結果って書いてあって……。
佐藤メバル
そう、そこが小春子の凄さでね。一条との距離が縮まって心が躍るなか、勇気を出して再告白する。でも返ってきた答えは思い通りにならない。
それでもあきらめないと自分を見つめ直す姿が、この巻の中心なんだよ。
橘ナナミ
落ち込んだときに秋葉さんに励まされるの、いい関係ですね。私だったら友達に救われるタイプです。
佐藤メバル
友達の存在が効いているよね。励まされて「あきらめないのが私」と戻っていく。そして恋の舞台は小学校最後の運動会へ。
ここまで真剣に小学生の恋を描く作品は珍しい。読みきりも収録されていて、1冊の満足度も高いよ。
誰か夢だと言ってくれ 1
みっしぇる 著|集英社
¥693(税込)
低身長が悩みの高校生・星川小夜は、片想いしていた女子が高身長の真柴にフラれる現場を目撃する。勝負を挑むもことごとく惨敗し、追い打ちのように「可愛い」と言われて余計に腹が立つ。ところが、誰かに抱きしめられる不思議な夢を見るようになる。ライバルから始まる関係と、夢という非日常の混ざり方が独特な第1巻。番外編も収録。
こんな人におすすめ
コンプレックスを抱えている人、恋のライバルに勝ちたいと思っている人に。逆転の予感を味わいたい時や、一風変わった設定の恋を読みたい時に。1巻から気軽に試せて、夢の意味を考えながら読むと余計に楽しい。
良い点
- 夢と現実の混ざりが新鮮
- 小夜の負けん気が気持ちいい
- 設定が他にない
気になる点
- 1巻は導入中心
- 設定の説明が多め
- 続き前提の作り
出版社
集英社
発売日
2022年03月25日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「誰か夢だと言ってくれ」ってタイトルが気になります。夢を見るようになるって、どういうことなんですか?
佐藤メバル
そこがこの作品の仕掛けなんだ。小夜は低身長が悩みで、片想いしていた女子が高身長の真柴にフラれる現場を見てしまう。
勝負を挑むけれど惨敗続き。しかも真柴に「可愛い」と言われて余計に腹が立つ。そんな彼女が、誰かに抱きしめられる不思議な夢を見るようになる。
夢が現実の関係を揺らすのが面白いところだよ。
橘ナナミ
ライバルから始まる関係って、今までの少女漫画だと少ない気がします。ムカつく相手が気になり始める流れですか?
佐藤メバル
そう読んでいいと思う。みっしぇるさんは、小夜の負けん気を活かしたまま気持ちが動くように描いていて、そこが新鮮なんだ。
1巻は導入の色が濃いけれど、番外編も収録されていて、この先の広がりを感じさせるよ。
【全巻】ふたりで恋をする理由 1-12巻セット
ひろちひろ 著|集英社
¥5,852(税込)
電車で自分を助けてくれた男性が、同じ学校の生徒・岡庭愛慈だと知った安堂うららは、これを運命の恋だと思う。仲良くなろうとするが、なぜかクラスメイトの美園純から妨害が入る。しかも「あんたに愛慈くんは渡さない」と言われて——。妨害の理由が気になって一気に読ませる構成で、12巻を通して関係が動いていく。
こんな人におすすめ
運命の出会いを信じたい人、ライバルの思惑にハラハラしたい人に。まとめて読了したい連休や、続きを忘れずに追いたい時に。登場人物の気持ちの変化を一気に確かめられるのがセットの強み。
良い点
- 妨害の理由が気になる導入
- 全巻で関係の変化を追える
- 運命という題材が楽しい
気になる点
- セットはまとめ買い前提
- 途中の展開は王道寄り
- 12巻分の時間が必要
出版社
集英社
発売日
2023年06月中旬
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「あんたに愛慈くんは渡さない」って、クラスメイトの男子が言うんですよね。どういう意味なんだろう……。気になりすぎます。
佐藤メバル
その一言がこの作品の引きなんだよ。うららは電車で助けてくれた相手が同じ学校の岡庭愛慈だと知り、運命の恋だと思う。
仲良くなろうとするけれど、美園純から妨害されてしまう。妨害の理由が明かされるにつれて、恋の構図が変わっていくんだ。
橘ナナミ
12巻セットということは、そこから長く関係が動くんですね。一気に読むと忘れずに追えそうです。
佐藤メバル
そう、そこがセットの利点だね。登場人物の気持ちの変化を途切れずに追えるから、美園の言動の意味もすっと入ってくる。
王道の流れを楽しみつつ、誰が何を思っているのかを考えながら読むと、ぐっと深くなるよ。
恋のようなものじゃなく 7
南塔子 著|集英社
¥528(税込)
「僕の彼女になってください」——千耀への告白を決意した未仁は、ナイトプールに誘って想いを伝え、かけがえのない気持ちを確かめ合う。焦れったい時間が長かったぶん、二人は一気に距離を縮めていく。長い停滞の先の加速が読みどころで、ここまでの巻を追ってきた読者ほど報われる。両想いのときめきに満ちた第7巻。
こんな人におすすめ
じれったい関係が続いている人、やっと気持ちが通じ合った人に。報われる瞬間を味わいたい時や、夏の夜に恋の続きを読みたい時に。ここまでの巻を追った人ほど嬉しさが大きく、告白の場面をゆっくり噛みしめたくなる。
良い点
- 焦れったさの解消が気持ちいい
- 告白シーンの描写が濃い
- 距離が縮まる加速感
気になる点
- 7巻からだと経緯が要る
- 前半は停滞が長い
- 続き前提の作り
出版社
集英社
発売日
2023年03月24日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
焦れったい時間が長かった分、一気に縮まるって、読んでる側も報われますね。ナイトプールって舞台も夏っぽいです。
佐藤メバル
そう、そこが7巻の気持ちよさなんだ。未仁は「僕の彼女になってください」と伝える決意をして、ナイトプールに千耀を誘い、想いを確かめ合う。
長く止まっていた分だけ動き出す勢いがあって、追いかけてきた読者ほど嬉しくなる巻だよ。
橘ナナミ
逆に、ここから読み始めると勿体ない感じがしますか? 積み重ねがあってこその第7巻な気がします。
佐藤メバル
正直、前の巻を読んでいたほうが何倍も刺さる。南塔子さんは、すれ違いや間の時間を丁寧に描く作家だから、そこを飛ばすとこの巻の加速が伝わりにくい。
逆に言えば、じれったさを我慢した人へのご褒美のような巻だよ。
つばさとホタル(6)
春田なな 著|集英社
¥462(税込)
鳥羽くんにイジワルをされながらも、顕との距離が縮まっている気がする。そう感じたつばさは、バレンタインにもう一度顕に告白しようと決心する。ところが当日、彼女が向かったのは鳥羽くんの家だった。一方で顕も、ついに動き出す。告白の行き先がねじれる構成が巧く、三角関係のもどかしさと甘さが同時に来る第6巻。
こんな人におすすめ
気持ちが揺れている人、三角関係の物語を読みたい人に。バレンタインの季節に読むのはもちろん、決心が揺らぐ瞬間を味わいたい時や、短い巻数を一気に追いたい時にも向く。つばさの選択を自分のことのように考えてしまう。
良い点
- 告白のねじれが巧い
- 三角関係のもどかしさ
- 鳥羽の存在感が強い
気になる点
- 6巻からだと前提が多い
- つばさの行動が切ない
- 続き前提の引き
出版社
集英社
発売日
2015年12月25日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
告白しようと決心した日に、違う人の家に向かっちゃうって……。つばさ、自分の気持ちが分からなくなってるんですね。
佐藤メバル
そう、その揺れがこの巻の見せ場なんだ。鳥羽くんにイジワルをされながらも、顕との距離が縮まっている気がする。
だからバレンタインにもう一度告白しようと決心する。でも当日向かったのは鳥羽くんの家。行動が心を裏切る瞬間が、丁寧に描かれているよ。
橘ナナミ
一方で顕くんも動き出すんですよね。二人のタイミングがずれるの、もどかしすぎます。バレンタインに読むと余計刺さりそう。
佐藤メバル
タイミングのずれこそが、この作品の持ち味だね。春田ななさんは、甘さのなかに必ず引っかかりを残す。だから読者は次の巻を手に取らずにいられない。
短めの巻数なので、気軽に追いかけられるのも魅力だよ。
きらめきのライオンボーイ 2
槙ようこ 著|集英社
¥484(税込)
目の前の世界よりも漫画の世界が好きなみわは、同じ学校の桐敦に突然「つきあって」と言われる。最初はとまどっていたけれど、まっすぐな桐敦に惹かれていき、ついにお付き合いがスタートする。好きなものに夢中な主人公が恋を始めるまでの不器用さが可愛らしく、槙ようこの描く空気のやわらかさが際立つ第2巻。
こんな人におすすめ
何かに夢中で恋に疎い人、まっすぐな人に惹かれた経験がある人に。恋のはじまりをゆっくり味わいたい時や、あたたかい気持ちになりたい夜、優しい話を読みたい気分の時に手に取ってほしい。
良い点
- 主人公の不器用さが可愛い
- 桐敦のまっすぐさが良い
- 作品の空気がやわらかい
気になる点
- 2巻からだと出会いを飛ばす
- 大きな事件は少ない
- 展開は穏やか
出版社
集英社
発売日
2017年03月24日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「まんがの世界が好き」な女子って、すごく身近に感じます。恋より推し、みたいな時期ってありますよね。
佐藤メバル
そこに共感する読者は多いと思う。みわは目の前の世界より漫画が好きなのに、桐敦に突然「つきあって」と言われて戸惑う。
でもまっすぐな彼に少しずつ惹かれていく。自分の世界から出ていく過程が、槙ようこさんらしく柔らかく描かれているよ。
橘ナナミ
押しが強いわけじゃなく、まっすぐなだけの人って、返事に困りつつも心が動きますよね。第2巻でお付き合いが始まるのが楽しみです。
佐藤メバル
そう、そこがこの巻の明るいところ。ついに付き合い始めるけれど、みわは急に恋上手になれるわけじゃない。
その不器用さを笑いながら応援できるのがいい。穏やかな話を読みたいときにぴったりの巻だよ。
君がトクベツ 10
幸田もも子 著|集英社
¥484(税込)
「運命の王子様は私が迎えに行くよ」——えみかがシンデレラの世界に迷い込んでしまう。さらに皇太と叶翔の出会いのエピソード、えみかの過去編まで、特別な話が詰まった第10巻。番外編的な楽しさと本編の背景が同時に味わえる構成で、芸能界ラブコメとしての華やかさもそのまま。キャラクターの来し方が分かる一冊。
こんな人におすすめ
登場人物の過去を知りたい人、番外編やパロディ回が好きな人に。キャラクターの背景を補完したい時や、気軽に笑いたい時に。本編を追ってからのほうが何倍も楽しいので、順番に読むのがおすすめ。
良い点
- 過去編で人物の解像度が上がる
- シンデレラ回が楽しい
- 芸能界の華やかさ
気になる点
- 10巻からだと前提が多い
- 本筋は進みにくい
- 番外編中心の構成
出版社
集英社
発売日
2022年08月25日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
えみかがシンデレラの世界に迷い込むって、急にファンタジーになるんですね。芸能界の恋の話なのに、遊び心があります。
佐藤メバル
そう、そこがこの巻の楽しいところ。しかも皇太と叶翔の出会いのエピソードや、えみかの過去編まで入っている。
本編を支える背景がまとめて読めるので、登場人物への解像度が一気に上がるんだよ。
橘ナナミ
過去編が入っているのは嬉しいですね。でも第10巻ということは、先に読んでおくべき前提がかなりありそう。
佐藤メバル
そこは正直に言っておくと、本編を追ってからのほうが断然楽しい。幸田もも子さんは芸能界の華やかさと素の表情の落差を描くのがうまい人で、その魅力は積み重ねの上でこそ効く。
気軽に笑いたいときにも向くけれど、順番に読むのをおすすめするよ。
ときめきミッドナイト(6)
池野恋 著|集英社
¥902(税込)
冥界の女王に捕らわれたシュンを取り返し、魔界・冥界・人間界の三つの世界を救うため、蘭世たちは過去の冥界へ向かう。鍵を握る「魂の部屋の番人」を見つけた蘭世は、彼の恋を後押しするが、それが未来に重大な影響を及ぼす。過去が未来を動かす構成で締めくくる完結巻。番外編と描き下ろしエッセイも収録。
こんな人におすすめ
長く追ってきたシリーズを締めくくりたい人、過去編や番外編が好きな人に。完結巻をじっくり味わいたい時や、読み返して余韻に浸りたい夜、シリーズの記憶を辿りながら読みたい時にも手に取ってほしい。
良い点
- 完結巻としての満足感
- 番外編とエッセイ収録
- 過去と未来のつながり
気になる点
- 6巻からだと前提が多い
- 設定が複雑
- エッセイは本編外
出版社
集英社
発売日
2012年03月16日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「ときめきトゥナイト」の続きのシリーズなんですね。それにしても、三つの世界を救うために過去へ行くって、スケールが大きいです。
佐藤メバル
そう、そこが完結巻の見せ場でね。冥界の女王に捕らわれたシュンを取り返すため、蘭世たちは過去の冥界へ向かう。
鍵を握る「魂の部屋の番人」を見つけた蘭世は、彼の恋を後押しするけれど、それが未来に重大な影響を及ぼす。
過去の行いが未来を決めるという構成で締めくくられるんだ。
橘ナナミ
誰かの恋を応援したら未来が変わる、って素敵だけど怖いですね。番外編やエッセイも入っているのが嬉しいです。
佐藤メバル
完結巻にふさわしい厚みだよね。書き下ろしのエッセイでは、作品にまつわる記憶にも触れられていて、長く読んできた人ほど沁みる。
設定は複雑だから、できればシリーズを通して読んでからこの巻を開いてほしい。
「キュン」は5種類ある——きゅん・ぎゅん・じれったい・溺愛・狂愛のマッピング
橘ナナミ
さっきから氣になっていたんですけど、ひと口にキュンと言っても、種類を分けられるんですよね。
佐藤メバル
分けられる。しかも、自分の好みはだいたいこの5類型のどれかに寄る。きゅんは、素直に嬉しい感情が前に出るもの。『ハニーレモンソーダ』が代表で、両想いになった羽花が「付き合うって、どういうことなの?」と小さな不安と大きな喜びを抱える、その揺れそのものがきゅんだ。ぎゅんは痛みを伴う強い締めつけ。『こどものおもちゃ』で、遭難事件を経てようやく想いが通じ合った紗南と羽山の、その直後に羽山の父のロサンゼルス転勤が決まる流れは、喜びのピークで胸が掴まれる。じれったいは『君に届け』『つばさとホタル』。後者はバレンタインにもう一度告白しようと決心したつばさが、なぜか鳥羽くんの家へ向かってしまう——この行き先のズレがじれったさの本体だ。溺愛は『花野井くんと恋の病』。そして狂愛は、少女漫画では表現が限られる。あえて挙げるなら同作の「愛が重すぎる男子」の描き方がいちばん近い。ここは好みがはっきり分かれるから、自分がどちら側か自覚してから選ぶといい。
橘ナナミ
溺愛と狂愛は紙一重、ということですね。
既読作から次の1冊へ——系統でつなぐレコメンドチェーン
橘ナナミ
「好きな作品はあるけれど、次に何を読めばいいか分からない」という人、多いと思うんです。
佐藤メバル
そのための道筋を、系統ごとに用意しておこう。じれったい系なら『君に届け』→『ハツコイと太陽』→『きらめきのライオンボーイ』と進む。片想いの距離が少しずつ縮まる順に並んでいるから、読後感がつながる。青春の痛み系なら『アオハライド』→『ストロボ・エッジ』→『思い、思われ、ふり、ふられ』。同じ作家の作品を軸にすると、描き方の変化も楽しめる。幼なじみ・同居系なら『ご近所物語』→『ママレード・ボーイ』→『グッドモーニング・コール』。デザイナーを目指す実果子と隣のツトム、親の再婚で同居することになった光希と遊、そして部屋を間違えて同居してしまう菜緒と上原くん。距離の近さが恋に変わる瞬間を並べて味わえる。混線・四角関係系なら『ふたりで恋をする理由』→『氷の城壁』。後者は小雪・ヨータ・ミナトの思い違いから始まるから、前者で「誰が誰を好きか」に振り回された人ほど刺さる。非日常・設定ものなら『ときめきトゥナイト』→『ときめきミッドナイト』で、変身と異世界の物語を続けて読むといい。
橘ナナミ
同じ系統でつなぐと、外れを引く確率がぐっと下がりますね!
挫折しやすいポイントと、映像から入る人への案内
橘ナナミ
逆に「これは注意が必要」という作品もありますか?
佐藤メバル
あるよ。まず切ない系。『思い、思われ、ふり、ふられ』は四角関係の構造上、誰かが必ず報われない。気分が落ちているときに読むと重くのしかかるから、元気な日に開くのがおすすめだ。次に重ための執着。『お姉ちゃんの翠くん』は、どちらも選ばないと決めたスイに菖が無理やりキスをする場面があり、心地よさより痛みが先に来る。絵柄も立派な地雷になりうる。『ときめきトゥナイト』や『はいからさんが通る』はクラシックな線で、現代風の絵に慣れた人だと最初は戸惑う。そこは試し読みで確認してほしい。連載状況も同じだ。続きが気になる状態を楽しめるかどうかで、完結ものと連載もののどちらを選ぶかが変わる。
橘ナナミ
無料で読むときの考え方も教えてください。
佐藤メバル
電子書店の試し読みや無料キャンペーンは時期で条件が変わるから、読みたい作品のページで最新の状態を確かめるのが確実だ。ただ、試し読みの使い方にはコツがある。無料話数は「絵柄の相性」と「語り口が自分に合うか」を測る時間として使うと失敗が減る。アニメや実写ドラマから入った人は、映像で省かれていた心情の描写が原作では丁寧に積まれていることが多いので、結末を知っていても十分に楽しめる。『はいからさんが通る』のように、劇場版の新作アニメが公開された作品は、映像を先に見てから原作に戻ると、人物の表情の意味が違って見えるはずだよ。
橘ナナミ
結末を知っていても読む価値がある、というのは心強いです。
よくある質問
少女漫画は初心者だと何から読めばいい?
橘ナナミ
少女漫画は初心者だと何から読めばいいについて教えてください。
佐藤メバル
最初の一冊は、感情の種類がいちばん分かりやすいものを選ぶといいです。王道なら『君に届け』。陰気な見た目のせいで怖がられたり謝られたりしてしまう爽子が、分けへだてなく接してくれる風早に憧れ、変わっていく物語です。もう少し軽やかな入口なら『ハニーレモンソーダ』や『きらめきのライオンボーイ』のように、関係が動き出すのが早い作品が向いています。自分の「読む体力」に合わせて、助走の短い作品から始めるのが挫折しないコツです。
超絶キュンキュンする少女漫画のおすすめは?
橘ナナミ
超絶キュンキュンする少女漫画のおすすめはについて教えてください。
佐藤メバル
「まっすぐな告白」を浴びたいなら『ハツコイと太陽』。一条との距離が縮まるなか勇気を出して再告白し、小学生最後の運動会へと恋の舞台が移ります。両想い後の戸惑いを味わうなら『ハニーレモンソーダ』、じれったさの先の甘さなら『恋のようなものじゃなく』が合います。千耀への告白を決意した未仁が想いを伝え、焦れったい時間が長かった分だけ一気に距離が縮まる構成は、待たされた分だけ甘いの見本のような作品です。
無料で胸キュン漫画を読む方法はある?
橘ナナミ
無料で胸キュン漫画を読む方法はあるについて教えてください。
佐藤メバル
電子書店には試し読みや期間限定の無料キャンペーンがありますが、条件は時期で変わるため、読みたい作品のページで最新の状態を確認するのが確実です。おすすめの使い方は、無料の範囲を「絵柄と語り口が自分に合うか」を測る時間にすること。クラシックな線が大丈夫かどうかは、文章だけでは判断できないので、ここで確かめておくと後悔が減ります。試し読みは節約ではなく相性の確認だと考えてください。
完結済みで一気読みできる胸キュン漫画は?
橘ナナミ
完結済みで一気読みできる胸キュン漫画はについて教えてください。
佐藤メバル
最後まで走り切りたい人には、全巻セットが用意されている『君に届け』や『ふたりで恋をする理由』が安心です。『ときめきミッドナイト』は、冥界の女王に捕われたシュンを取り返し、三つの世界を救うために過去の冥界へ向かうところまで描かれる完結巻があり、長い物語を締めくくりまで味わえます。逆に『太陽よりも眩しい星』のように連載中ならではの展開を毎巻待つ楽しみもあるので、自分の「待てる度合い」で選ぶのがおすすめです。
絵がきれいで読みやすい少女漫画はどれ?
橘ナナミ
絵がきれいで読みやすい少女漫画はどれについて教えてください。
佐藤メバル
絵の好みは人それぞれですが、現代的な線で読みやすいものを挙げるなら『氷の城壁』『うるわしの宵の月』『ハニーレモンソーダ』あたりです。一方で『はいからさんが通る』『ときめきトゥナイト』はクラシックな描線で、慣れるまで少し時間がかかる代わりに、時代の空気ごと楽しめます。『美少女戦士セーラームーン』の文庫コレクションのように、装いを新めて手に取りやすくなった版もあるので、まず試し読みで線の相性を確かめるのが確実です。
年下男子が出てくる胸キュン漫画のおすすめは?
橘ナナミ
年下男子が出てくる胸キュン漫画のおすすめはについて教えてください。
佐藤メバル
今回挙げた作品では、相手が「年下」と明記されているものは限られるため、属性で選ぶなら年上・許嫁の『はいからさんが通る』、同級生の『君に届け』『ハニーレモンソーダ』、執着系の『花野井くんと恋の病』『お姉ちゃんの翠くん』を起点にするのが確実です。年下男子の魅力は、こちらが引っ張られる側に回る逆転の心地よさ。書店や電子書店の「年下男子」特集で最新の候補を足すと、好みを外しにくくなります。
20代・30代の大人でも楽しめる少女漫画は?
橘ナナミ
20代・30代の大人でも楽しめる少女漫画はについて教えてください。
佐藤メバル
学生の恋だけでなく、進路や自立が重なる作品が向いています。『ご近所物語』はデザイナーを目指してヤザガクに通う実果子が、一歩先へ進む幼なじみのツトムに淋しさを隠せなくなる話。『ストロボ・エッジ』は、蓮が自分と変わらず接してくれる理由に気づく場面が効きます。『ママレード・ボーイ』や『思い、思われ、ふり、ふられ』も、家族や友情が絡むぶん読み応えがあります。恋の話ではなく、人生の途中の話として読めるのが大人向けの選び方です。
アニメや実写ドラマから入って原作も読みたい作品は?
橘ナナミ
アニメや実写ドラマから入って原作も読みたい作品はについて教えてください。
佐藤メバル
映像から入った人には、心情描写の細かさが原作の醍醐味になります。『はいからさんが通る』は劇場版の新作アニメが公開された作品で、紅緒と伊集院忍の関係を映像で知ってから読むと、表情の意味が違って見えます。『美少女戦士セーラームーン』の文庫コレクションも、改めて読み直したい人に向いた造りです。結末を知っていても、映像が省いた心の動きを拾う読み方ができるので、原作は十分に楽しめます。
まとめ
橘ナナミ
佐藤さん、ここまで聞いて、自分の好みが「じれったい」寄りなのか「溺愛」寄りなのか、かなり見えてきました。でも一つだけ怖いのが、読んでみて合わなかったときのことです。
佐藤メバル
合わないと分かるのも収穫だよ。大事なのは、1巻で全部を決めつけないことと、自分が苦手な系統を覚えておくこと。しんどい日に『思い、思われ、ふり、ふられ』を開くと、四角形の中で誰かが傷つく場面が重くのしかかる。そういう日は『グッドモーニング・コール』のように、生活の音が聞こえる作品のほうが合う。
橘ナナミ
気分で選び分けていいんですね。私、テスト期間は甘いのが欲しくなりそうです。
佐藤メバル
それでいい。追い込まれているときは『ハツコイと太陽』の再告白にハラハラするくらいがちょうどいい。逆に時間があるときは、『はいからさんが通る』や『美少女戦士セーラームーン』の文庫のように、腰を据えて読める作品へ戻ってみる。
橘ナナミ
佐藤さん、最後にひとこと。この記事を読んでいる人に、どんなふうに棚を見てほしいですか?
佐藤メバル
「名作だから」ではなく「今日の自分に効くか」で選んでほしい。少女漫画は、まだ言葉になっていない自分の気持ちに、先に名前をつけてくれる辞書のようなものだ。『君に届け』を読んで「これが今の私だ」と思えるなら、それはもう、あなただけのきゅんの見出し語だよ。
