マガジン恋愛漫画本のおすすめ人気ランキング25選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
佐藤さん、今回のテーマは「マガジンの恋愛漫画」ですよね。でも並んでいる作品を見ると、少年誌のラブコメもあれば、ずっと昔の少女漫画の名作もあって……これ、同じ棚に並べていいんですか?
佐藤メバル
いいところに気づいたね。ここは編集判断が要る。ぼくは今回、「マガジン」を雑誌名の枠ではなく“漫画雑誌の棚で恋を読む”という意味で受け取ることにした。少年誌で育ってきたラブコメの系譜と、少女誌で読み継がれてきた恋の名作を、読者にとっての読み味で並べる。雑誌名より「どんな恋か」のほうが、一冊を選ぶときに役に立つからね。
橘ナナミ
なるほど! 書店で棚を見るときも、雑誌の名前より「ドキドキの種類」で選べたほうが嬉しいです。
佐藤メバル
そう。書店員時代、恋愛漫画の棚は何度も組み替えたけれど、結局よく売れたのは誌面の並びではなく「好みの並び」だった。ドキドキの質、切なさの濃さ、笑いの量。今日はその選び方を、軸ごとに具体的な作品を挙げながら説明していくよ。
橘ナナミ
お願いします! まず何から見ればいいんでしょう。
佐藤メバル
最初に見るのは「自分が今どんな恋を読みたいか」。そこから逆算していこう。
マガジン恋愛漫画本の選び方
完結済みで一気読みしたいか、連載中を追いかけたいか
橘ナナミ
私は結末まで一気に読みたい派です。途中で止まると、気になって眠れなくて。
佐藤メバル
それなら完結している作品から。たとえば『なのに、千輝くんが甘すぎる。』は、進路志望を変えた千輝くんの理由を知った真綾が、彼の夢をかなえるために別れを告げる——そこまで描かれて完結している。逆に「これからどこへ向かうのかを一緒に走りたい」なら連載中で、『太陽よりも眩しい星』は高校三年生に進級し、クラスが離れ、転校生が現れる。まさに、これから、という地点にいる。
橘ナナミ
完結は安心、連載中は“一緒に生きている”感じがするんですね。
巻数の規模で選ぶ(手軽に読むか、長く浸るか)
橘ナナミ
長い作品って、途中で挫折したことがあります……。
佐藤メバル
正直に言ってくれてありがとう。巻数は「読了コスト」だから、ここは失敗しやすい。短く濃く読みたいなら『ホットロード』や『下弦の月』のように、一冊の密度が高い作品。何年もかけて浸りたいなら、長く読み継がれてきた『イタズラなKiss』や『ベルサイユのばら』、源氏物語を漫画化した『あさきゆめみし』のような大著が向いている。
恋愛テイストで選ぶ(純愛・ハーレム・すれ違い・ラブコメ)
橘ナナミ
ここがいちばん迷います。「ハーレム」と「すれ違い」って、読後感も違うんでしょうか。
佐藤メバル
まったく違う。にぎやかさを楽しむなら『To LOVEる』や『ニセコイ』、三角関係が加速する『恋とシンクロニシティ』。胸が締めつけられるすれ違いなら『椿町ロンリープラネット』や『君を忘れる恋がしたい』。頭脳戦のラブコメなら『かぐや様は告らせたい』、勘違いが笑いを生む『私のこと好きじゃなかったのかよ!?』。純愛の芯を読みたいなら『聲の形』や『モエカレはオレンジ色』がいい。
主人公の視点で選ぶ
橘ナナミ
主人公が男の子か女の子かでも、読み心地は変わりそうです。
佐藤メバル
変わるね。男子の視点で振り回されるなら『To LOVEる』や『I"s』、『ニセコイ』。女子の気持ちを追うなら『モエカレはオレンジ色』や『たまらないのは恋なのか』。『私のこと好きじゃなかったのかよ!?』は男子が主人公だけれど、周囲の女子がそれぞれ勘違いしていて、視点が重なる面白さがある。誰か一人に寄り添いきれない群像劇なら『聲の形』や『こどものおもちゃ』が向いている。
読む媒体で選ぶ(紙・電子・試し読み)
橘ナナミ
まず無料で試したいです。買ってから合わないと、けっこうへこむので。
佐藤メバル
その慎重さは正しい。電子書籍は各巻に試し読みの範囲があり、漫画アプリなら無料で読める話数が設定されていることが多い。まず試し読みで絵と台詞の“間”が自分に合うかを確かめて、合ったら揃える。この順番が失敗が少ない。紙にも価値があって、たとえば『To LOVEる』はカバーを外すとイラストが現れる仕様になっている。手元に置く意味が変わってくるよね。
アニメや実写から入ったか、原作から入ったか
橘ナナミ
映像で先に知った作品を、今から原作で読むのはありですか?
佐藤メバル
あり、どころかおすすめだよ。映像はどうしても心情を圧縮する。原作には、登場人物が何を考えて黙っていたかが残っている。『聲の形』の作者は「点と点で生きている人たち。遠く、離れ離れの小島のように生きている人たちを描きたくて、この物語を描きました」と語っている。その“点と点”が、原作では一人ひとりの内面として描かれていく。映像から入った人は、そこを探しながら読むと面白い。
マガジン恋愛漫画本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、25冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
マガジン恋愛漫画本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい
俺物語!!(7)
アルコ 著|集英社
¥440(税込)
「俺物語!!」は、強面で不器用な猛男を主人公に据えた少女マンガの異色作です。この巻では、砂川に毎年届いていた差出人不明のチョコの届け主・天海悠紀華が、砂川への10年来の恋心を猛男に打ち明けるところから物語が動きます。恋しているのは猛男ではなく、親友の砂川。猛男は自分を脇に置いて悠紀華の応援を買って出る——この献身が作品の核です。勇気を出して声をかけた悠紀華に、砂川がどう応えるのか。主人公が「報われない側」に立つ構図は、同じ恋愛マンガでも読後感をまったく違うものにします。
こんな人におすすめ
恋に奥手で一歩を踏み出せない人、友情と恋の板挟みを経験した人、少女マンガの王道に少し飽きた人に向きます。心のきれいな読後感を求めて、寝る前に少しずつ読み進める場面にぴったりです。
良い点
- 主人公の不器用さがとにかく愛おしい
- 友情と恋の両方を丁寧に描く
- 脇役の恋にも物語の厚みがある
気になる点
- 絵柄の濃さに最初は面食らうかも
- 話の進みはじっくりめ
- 既刊の人間関係を知っている前提
出版社
集英社
発売日
2014年11月13日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「俺物語!!」って、タイトルからすると主人公がモテまくる話かと思っていました。でも紹介を読むと、好きなのは親友の砂川のほうなんですよね。それって切なくないですか?
佐藤メバル
いいところに気づいたね。この巻の芯はまさにそこなんだ。砂川に毎年届いていた差出人不明のチョコ、その届け主が天海悠紀華で、彼女は10年越しの想いを猛男に打ち明ける。
普通なら猛男が落ち込むところだけど、彼は自分の気持ちを脇に置いて悠紀華の応援を引き受ける。その不器用なやさしさが一番おいしいところなんだよ。
橘ナナミ
なるほど! 応援する側に回るって、ふつうはつらい立場なのに、猛男はそれを自然にやっちゃうんですね。じゃあ砂川がどう答えるかが気になって仕方ないです。
佐藤メバル
そう、そこが引き。同じ少女マンガでも、主人公が「報われる側」にいる作品とは読後感がまるで違う。たとえば『太陽よりも眩しい星』のように幼なじみの両想いを追う話とは立ち位置が反対なんだ。
読み比べると、恋の物語の幅がぐっと見えてくるよ。
聲の形(1)
大今良時 著|講談社
¥594(税込)
耳の聞こえる少年・石田将也と、耳の聞こえない転校生・西宮硝子。将也は硝子をいじめ、やがて教室の犠牲者は硝子から将也へと移っていきます。幾年の時を経て、将也はもう一度硝子に会わなければいけないと強く思うようになる。被害と加害が入れ替わる教室を、作者は逃げずに描きました。巻末には番外編「7か月前」「クソったれ西宮」などが並び、将也の荒れた内面が先に見えてきます。作者・大今良時は「遠く、離れ離れの小島のように生きている人たちを描きたくて」と語っています。
こんな人におすすめ
学校の人間関係に息苦しさを覚えた経験のある人、恋愛だけでは収まらない人間ドラマを読みたい人、実写化の前に原作で確かめたい人に向きます。読後にしばらく考え込む時間を取りたい場面に。
良い点
- テーマの重さに正面から向き合う
- 少年誌連載とは思えぬ繊細な線
- 番外編まで含めて人物像が立体的
気になる点
- 気軽なラブコメ気分では読めない
- つらい場面が続く巻もある
- 心情の揺れが長く続く
出版社
講談社
発売日
2013年11月15日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
これ、恋愛マンガのランキングに入れるにはちょっと重い気がするんですけど……。でも内容紹介を読んだら、目が離せなくなってしまいました。
佐藤メバル
そう感じるのは正しいよ。この作品は「恋」よりも、伝わること・謝ることの難しさを描いている。将也はかつて硝子をいじめていた側で、やがて教室の犠牲者は彼のほうへ移っていく。
被害と加害が入れ替わる教室を、作者は逃げずに描いた。だから娯楽としてだけでなく、痛みとして残るんだ。
橘ナナミ
作者のコメントに「遠く離れ離れの小島のように生きている人たちを描きたくて」ってありました。それって、隣にいるのに届かない、という意味ですよね。
佐藤メバル
うん、まさに。だから収録順も効いていて、本編のあとに番外編「7か月前」「クソったれ西宮」と続き、将也の荒れた内面が先に見える。
読み返すと最初の印象が変わるんだ。同じく学校を舞台にした『こどものおもちゃ』が表の明るさで描くのに対して、こちらは影の側から入る作品だね。
かぐや様は告らせたい 18 〜天才たちの恋愛頭脳戦〜
赤坂アカ 著|集英社
¥770(税込)
会長・白銀御行と副会長・四宮かぐや。両想いなのに互いに告らせようと権謀術数を尽くす「恋愛頭脳戦」として始まった本作が、ここで大きく局面を変えます。遂に2人は付き合い始め、3学期を迎える——でもその事実は絶対に誰にもバレてはいけない。かぐやは生徒会室でもいちゃつきたくなるほど緩み、舞台は修学旅行の京都へ。専属近従・早坂愛との絆が試される「修学旅行編」が開幕します。頭脳戦から一歩進んだ、関係の変化を楽しむ巻です。
こんな人におすすめ
第1巻から追いかけてきた読者、両想いの先——付き合ったあとの関係の変化を読みたい人、京都という舞台に旅情と恋の両方を求める人に向きます。シリーズの節目を味わう一冊です。
良い点
- シリーズの転換点をしっかり描く
- 京都編で舞台が大きく広がる
- 早坂愛ら脇役の見せ場が多い
気になる点
- 未読だと人間関係の把握が大変
- 頭脳戦の趣旨は薄まりつつある
- いちゃつき展開の好みが分かれる
出版社
集英社
発売日
2020年04月17日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「かぐや様」って、お互いに告白させようと策を張り合う話だと聞いていたんですが、18巻ではもう付き合ってるんですね!
それって当初のコンセプトと変わってきているんですか?
佐藤メバル
そこが面白いところでね。「告らせたい」という題名のゲームが終わって、付き合った後の二人を描く段階に入っている。
しかも「バレてはいけない」という新しい枷が加わるから、緊張感はむしろ別の方向に働くんだ。かぐやが場をわきまえず緩んでしまう落差も笑いどころだよ。
橘ナナミ
なるほど、秘密の恋になるわけですね。あと、専属近従の早坂愛さんとの絆が試される、というのが気になります。脇の関係が主軸に上がってくるんですか?
佐藤メバル
うん、修学旅行編はかぐやと早坂の関係が物語の中心に来る。支えてきた側の物語が動くのがこの巻の読みどころだね。
同じく恋の読み合いを描くなら、『私のこと好きじゃなかったのかよ!?』が「勘違い」を笑いに変えるのに対して、こちらは互いを読みすぎる繊細さが笑いにも切なさにもなる。方向が正反対だよ。
To LOVEるーとらぶるー 1
矢吹健太朗 著|集英社
¥913(税込)
デビルーク星の王女・ララが地球にやってきて、偶然出会った結城リトを本気で好きになる。そこから毎日が「To LOVEる」だらけになる——という出発点の第1巻です。カバーを外すとララのイラストが現れる「脱がすカバー」仕様という、造本そのものが仕掛けになっているのがこの版の特徴。ラブコメの勢いと、矢吹健太朗の描く線の華やかさが同時に楽しめます。王女と地球の少年という振り切った身分差も見どころです。
こんな人におすすめ
とにかく明るく勢いのあるラブコメを読みたい人、造本の遊び心まで含めて紙の本を楽しみたい人、長いシリーズを記念すべき第1巻から始めたい人に向きます。気分を切り替えたいときにも。
良い点
- 勢いとテンポがとにかく軽快
- カバー仕掛けなど造本が楽しい
- 第1巻で世界観が一気に掴める
気になる点
- お色気表現の好みが分かれる
- 話の起伏はギャグ寄り
- 長編なので追う根気が要る
出版社
集英社
発売日
2016年11月18日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「脱がすカバー」って何ですか? カバーを外すとイラストが現れる……って、それは紙の本じゃないと味わえないやつですよね。
佐藤メバル
そう、そこがいいんだよ。電子で読むと素通りしてしまう仕掛けを、造本そのもので遊んでいる。書店員時代、こういう本は平積みにすると手に取ってもらいやすかった。
中身も、デビルーク星の王女ララが地球に来て、偶然出会った結城リトを本気で好きになる、という振り切った導入で一気に引き込むよ。
橘ナナミ
王女と地球の少年って、身分差がすごいですね。しかも第1巻でそこまで振り切るんですか。読者はそこでついていくしかない感じがします。
佐藤メバル
まさに振り切りが持ち味。ただのハーレムものだと思って読むと、案外ラブコメの型が丁寧なのに気づくよ。同じく設定が飛んでいる作品でも、『かぐや様は告らせたい』が頭脳戦で引っ張るのに対して、こちらは勢いとテンポで押す。第1巻はその速度を確かめる巻だね。
ニセコイ 3
古味直志 著|集英社
¥946(税込)
蔵の中で子供の頃の写真を見つけた楽。鍵を持って一緒に写っている女の子に、まったく覚えがありません。この巻では、10年前に交わした約束の謎がさらに深まります。そこへ父親から許嫁の存在を聞かされ、翌日クラスに転入してきた橘万里花が、いきなり抱きついて「許嫁」だと言い出す。過去の約束と、今現れた許嫁という二つの糸が同時に動き出すのが第3巻の面白さです。古味直志の、にぎやかさと切なさの配分が効いています。
こんな人におすすめ
謎が少しずつ解けていく構成が好きな人、多重関係のにぎわいを楽しみたい人、過去と現在をつなぐ伏線を追いたい人に向きます。第1巻から積み上げてきた読者ほど味わいが深い一冊です。
良い点
- 謎と新キャラが同時に動く
- 万里花の登場で空気が一変
- テンポよく読める構成
気になる点
- 既刊の伏線を忘れると迷子に
- ヒロインが多く好みが分かれる
- 謎の解決はまだ先
出版社
集英社
発売日
2023年07月18日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
写真に写っている女の子に覚えがない、っていう出だしがもう気になります。10年前の約束って、覚えていないのに約束だけ残っている状態なんですよね。
佐藤メバル
そう、そこがこの作品の上手いところでね。覚えていないのに、確かにあった約束が物語を引っ張る。
さらに父親から許嫁の話を聞かされ、翌日には橘万里花が転入してきて、いきなり抱きついて「許嫁」と言う。過去と現在が同じ巻でぶつかるんだ。
橘ナナミ
万里花さん、すごい勢いで来ますね……。楽くんはその両方を抱えたまま、どう動くんでしょう。というか、10年前の女の子と許嫁は別人なんですか?
佐藤メバル
そこは読んでのお楽しみ。ただ、この巻の魅力は「にぎやかさ」と「切なさ」の配分だと思う。同じく過去の約束を軸にするなら『イタズラなKiss』が一直線の片想いを描くのに対して、こちらは糸を何本も絡めていくタイプ。第3巻はその絡みが一気に増える回だね。
イタズラなKiss 2
多田かおる 著|集英社
¥968(税込)
琴子のことを気に入り、嫁にと望む母をよそに、直樹は相変わらず冷たい。それでも近頃、2人に接近のきざしが見えてきた——というのがこの第2巻です。大学入試センター試験の当日、琴子は直樹に手作りのお守りを渡します。すると、それが直樹に次々と災難を呼んでしまう。想いが空回りするほど、なぜか距離が縮まる。多田かおるの描く、一方的な恋の熱量と、冷たい相手の揺れの描写が読みどころです。
こんな人におすすめ
片想いの切なさと可笑しさを同時に味わいたい人、古い少女マンガの熱量に触れたい人、センター試験という季節感を懐かしむ人に向きます。長く読み継がれてきた王道を確かめる場面にどうぞ。
良い点
- 片想いの熱量がとにかく濃い
- 冷たい相手のわずかな揺れが効く
- 長く愛されてきた王道の安心感
気になる点
- 現代の感覚だと展開が大胆
- 相手の冷たさが序盤つらい
- 巻数が多く持ち歩きが重い
出版社
集英社
発売日
2004年01月16日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
センター試験の日に手作りのお守りを渡したら、そこから災難が続くって……。せっかくの想いが裏目に出るの、かわいそうです。
佐藤メバル
うん、でもそこがこの作品の愛され方でね。空回りするほど一生懸命な琴子を、読者は応援したくなる。
直樹のほうも冷たいままでは終わらない。母が琴子を嫁にと望むのをよそに、二人の距離に少しずつ変化のきざしが出てくるのが第2巻なんだ。
橘ナナミ
なるほど。古い作品だから展開が大胆、という評価もありますか? 今読むとどうなんでしょう。
佐藤メバル
そう、今読むと少々強引なところもある。でもその分、感情の振れ幅がまっすぐで気持ちいいんだよ。このランキングの中でも、『俺物語!!』が「自分を脇に置く恋」なら、こちらは「自分を顧みず突っ込む恋」。対極にあるから読み比べると面白いね。
ベルサイユのばら 4
池田理代子 著|集英社
¥484(税込)
戦争から帰国したフェルゼン。その間、アントワネットは2児の母になっていた——迎えるオスカルは、自分の気持ちに気がついてしまいます。さらに貴族の財産を狙う盗賊「黒い騎士」が登場し、オスカルはアンドレに協力させて逮捕に乗り出す。史実の大きなうねりと、個人の恋心が同時に動く。豪華な衣装と時代背景、ジェンダーを越えて生きる主人公の造形。少女マンガ史に残る作品に、この巻から触れても十分に引き込まれます。
こんな人におすすめ
歴史ものと恋愛の両方を楽しみたい人、古典的名作をまとめて読んでおきたい人、長く読み継がれる作品を自分の棚に置きたい人に向きます。大人になってから読み返すのにも向く一冊です。
良い点
- 史実と恋を高い密度で両立
- オスカルとアンドレの関係が濃い
- 衣装や画面の華やかさ
気になる点
- 時代背景の前提知識があると安心
- 巻数が多い
- 恋の進みはゆっくり
出版社
集英社
発売日
1973年07月25日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ベルサイユのばら、名前は知っているんですけど、読んだことがなくて。4巻からでも大丈夫なんでしょうか?
佐藤メバル
大丈夫だと思うよ。この巻は戦争から帰ってきたフェルゼンと、2児の母になったアントワネット、そして迎えるオスカルの気持ちが軸になっている。
自分の気持ちに気づいてしまった瞬間が、歴史のうねりと重なる。黒い騎士のエピソードもあって、間口は広いんだ。
橘ナナミ
オスカルさんって、男女どちらとして見られるかが複雑なキャラクターですよね。そこが今読むと新鮮に感じそうです。
佐藤メバル
そう、そこが古びないところなんだ。書店員時代も、10代の子が手に取って驚いていたよ。歴史ロマンを土台にしつつ、恋は静かに進む。
『あさきゆめみし』が平安の古典を読みやすく引き寄せるのに対して、こちらは革命前夜のフランスで同じことをやっている。並べて置くと棚が締まるよね。
ホットロード 1
紡木たく 著|集英社
¥770(税込)
子どもらしいやさしさと正義を持ちながら、自分自身のことすら見えず、ただひたすらテイルランプの光を追う主人公・和希。欠落した恐怖心と生意気な顔を持つ少年ハルヤマ。細いうしろ姿は、追いかける瞳を笑うように、一瞬の狂気を抱えて走っていく——。言葉にできない孤独を、速度で描いた作品です。恋愛マンガの枠に収まらない青春群像で、ときに評判の無垢さが胸に刺さります。第1巻でその空気に一気に浸れます。
こんな人におすすめ
10代の閉塞感を覚えている人、疾走感のある青春ものを読みたい人、説明の少ない余白を味わいたい人に向きます。名作と呼ばれる作品を、今こそ手に取りたい場面に。
良い点
- 圧倒的な速度と空気感
- 少女マンガの枠を大胆に超える
- 第1巻で世界観が完成している
気になる点
- 展開が断片的で好みが分かれる
- 救いの少ない描写もある
- 古い時代の価値観を含む
出版社
集英社
発売日
1995年08月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
テイルランプの光を追う、っていう表現がすごく詩的ですね。暴走族の話だと聞くと、ちょっと身構えてしまうんですけど。
佐藤メバル
身構えなくて大丈夫、というより、これは暴走族の話というより孤独の話なんだ。和希は子どもらしいやさしさと正義を持ちながら、自分のことすら見えていない。
ハルヤマは恐怖心が欠けていて、生意気な顔をしている。二人の走り方の違いが、そのまま心情になっているんだよ。
橘ナナミ
なるほど。説明が少ないからこそ、読者が自分で補って読む感じなんですね。それは今のマンガだと逆に新鮮かも。
佐藤メバル
そう、余白の多い作品だね。書店員時代、これを勧めた子が「なんか、うまく言えないけど刺さった」と言って返してきて、その言葉が忘れられない。
同じく10代の心を描くなら『聲の形』が関係の傷を正面から扱うのに対して、こちらは走りながらしか語らない。
ときめきトゥナイト 1
池野恋 著|集英社
¥803(税込)
吸血鬼と狼女を両親に持つ江藤蘭世は、可愛い中学2年生。人間との恋は禁止されているけれど、同級生の真壁俊くんに夢中です。そんなある日、蘭世に超能力が芽生えてしまいます——かみついた相手に変身してしまうのです。恋の禁令と、変身という能力。この二つが重なることで、素直に想いを伝えられない切なさが物語の原動力になります。不思議な設定がふわっと日常に溶け込む、長く愛されてきたラブコメの第1巻です。
こんな人におすすめ
設定の遊び心があるラブコメを読みたい人、少女マンガの原点を押さえたい人、かみついた相手に変身するという発想を楽しめる人に向きます。かつて夢中だった大人にも、今の10代にも届く一冊です。
良い点
- 設定の遊び心が抜群
- 初恋の初々しさが濃い
- 家族設定が物語を支えている
気になる点
- 現代の感覚だと展開が素朴
- 能力の扱いは軽やか
- 全巻揃えると冊数が多い
出版社
集英社
発売日
1998年10月16日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
かみついた相手に変身してしまうって、すごい設定ですね。でも人間との恋は禁止、だとするとその能力が恋の邪魔をするんでしょうか。
佐藤メバル
まさにそうでね。素直に想いを伝えられないという障害を、能力が象徴している。吸血鬼と狼女の間に生まれた蘭世が、同級生の真壁俊くんに夢中になる。
その気持ちは普通の中学生と何も変わらないのに、家の事情が足を引っ張る。古典的な構図だけど、初々しさが強いんだ。
橘ナナミ
中学2年生の恋って、ちょうどそういう時期ですもんね。ファンタジーが日常に混ざっている感じが、今読むと逆に新鮮です。
佐藤メバル
うん、ファンタジーが特別扱いされずに日常に転がっているのがこの作品の味だね。同じく変身を持ち出すなら、『姫ちゃんのリボン』が秘密を共有する人数に緊張感を置くのに対して、こちらは家族と恋の板挟み。どちらも設定の立て方が鮮やかだよ。
下弦の月 上
矢沢あい 著|集英社
¥946(税込)
父親の再婚で、新しい母とその連れ子との生活に馴染めない美月。渋谷のストリートでギターを爪弾く、青い瞳の男性・アダムと出会い、強く惹かれていきます。もう一度会いたい——その想いが物語をどこへ連れていくのか。時空を超えた魂の愛という言葉が、作品の骨格をそのまま表しています。矢沢あいの描く、閉じた日常と開かれた出会いの対比が印象的です。文庫版オリジナルのイラストギャラリーも収録されています。
こんな人におすすめ
矢沢あいの繊細な線と情感を味わいたい人、家庭に居場所のなさを感じた経験のある人、ふわっとした設定の恋愛を読みたい人に向きます。上下巻を続けて一気に読むのがおすすめです。
良い点
- 情緒と画の美しさが際立つ
- 文庫版のギャラリーがうれしい
- 家庭と恋の両方を描く
気になる点
- 上下巻なので途中で止まれない
- 設定の曖昧さが好みを分ける
- 展開は静かでじっくり系
出版社
集英社
発売日
2013年03月19日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
親の再婚で新しい家族に馴染めない、っていう設定から入るのがリアルですね。そこでストリートでギターを弾くアダムに出会う……落差がすごい。
佐藤メバル
その落差がこの作品の肝だよ。居場所のなさを抱えた美月が、渋谷の路上で青い瞳のアダムと出会って強く惹かれていく。
時空を超えた魂の愛、という言葉がついているように、恋というより魂の話として描かれている。文庫版にはオリジナルのイラストギャラリーも入っていて、造本としても見どころがあるよ。
橘ナナミ
なるほど……。矢沢あい作品って、恋の相手が「現実の人」じゃない感じの話もありますよね。ここでもその手触りなんでしょうか。
佐藤メバル
そう、現実の延長に置かないのが持ち味だね。読み終わったあとに残るのは出来事じゃなくて感情。同じく現実から少し浮く恋を描くなら、『椿町ロンリープラネット』が暮らしの中で距離を測るのに対して、こちらは最初から距離そのものがテーマになっている。
こどものおもちゃ 6
小花美穂 著|集英社
¥924(税込)
遭難事件も片づき、ようやく想いが通じ合った紗南と羽山。長くつらかった片想いが実った反動か、紗南は一気に色ボケ全開になります。ラブラブのイブを過ごして幸せいっぱい——その中で、羽山の父のロサンゼルス転勤が決まってしまう。幸せの絶頂と、離れるかもしれない不安を同時に置いてくる。これが少女マンガの上手さです。巻末には「おポンチ モンキーズ」や特集「こどものおもちゃ箱」も収録され、読み応えのある一冊です。
こんな人におすすめ
想いが通じた後の二人を読みたい人、片想い期を越えた読者、幸せと不安が混ざる瞬間を味わいたい人に向きます。連載当時に読んでいた大人が、続きを確かめるのにも向く一冊です。
良い点
- 想いが通じた後の描写が丁寧
- 紗南の振れ幅がとにかく楽しい
- 巻末特集まで含めて満足感
気になる点
- 序盤の重い展開を越えた先の話
- テンションの落差が大きい
- 転勤という現実が急に来る
出版社
集英社
発売日
2007年05月18日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
片想いが実ったら「反動で色ボケ全開」って、それすごく分かります。私も試験が終わったあと、しばらく何も手につかなかったので。
佐藤メバル
はは、その感覚に近いかもね。紗南は長くつらい片想いをしてきたから、実った瞬間の浮かれ方が極端になる。
そこを笑いとして描きつつ、羽山の父のロサンゼルス転勤が決まるという現実が差し込まれる。甘さと不安の配合が絶妙なんだ。
橘ナナミ
遭難事件、というのも気になります。この巻って、シリアスな山を越えたところから始まるんですね。
佐藤メバル
そう、そこを越えたご褒美のような巻。しかも巻末に「おポンチ モンキーズ」や特集「こどものおもちゃ箱」がついていて、本としての満足度が高い。
同じく両想いを描くなら『太陽よりも眩しい星』が幼なじみの日常を続けていくのに対して、こちらは「やっと」の後に何が来るかを突きつけるんだ。
姫ちゃんのリボン 2
水沢めぐみ 著|集英社
¥946(税込)
リボンの秘密を共有する仲間になった小林大地。けれど、あと一人に知られると姫ちゃんの記憶は消されてしまう——というルールが、この巻の緊張感を生みます。そこへ有坂静という転校生がやってきて、姫ちゃんに近づこうとする。彼の目的は何なのか。秘密の人数という制限が、恋と友情の両方を縛っていく。パラレルな世界を舞台にした、ドキドキ感の強いストーリーです。
こんな人におすすめ
設定にルールがある物語が好きな人、少女マンガのファンタジーを読みたい人、記憶が消えるかもしれないという緊張を楽しめる人に向きます。パラレル世界の仕掛けを味わいたい場面に。
良い点
- 設定のルールが物語を締める
- 転校生の存在で緊張が上がる
- パラレル世界の描き方が楽しい
気になる点
- 前巻までの流れを知りたい
- 秘密の扱いがもどかしくも感じる
- 展開は王道で読みやすい
出版社
集英社
発売日
2003年01月17日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「あと一人に知られると記憶が消される」って、ルールがはっきりしているのが逆に怖いですね。誰に話すかを選ぶだけで、関係が変わってしまいそうです。
佐藤メバル
そう、秘密の人数という制限が、この作品のドラマを作っている。リボンの秘密を共有する仲間になった小林大地がいるのに、そこへ有坂静という転校生が近づいてくる。
彼の目的が何なのか、読者は姫ちゃんと同じ情報量で気をもむことになるんだ。
橘ナナミ
なるほど。パラレルストーリーって書いてありますけど、現実とは違う世界に行けるんですか?
佐藤メバル
うん、そこが舞台の面白さ。現実と別世界を行き来するから、日常の関係と別世界の関係が並行して動く。同じく秘密を抱える話なら『こどものおもちゃ』が芸能と学校を両立させるのに対して、こちらは世界そのものが二つある。第2巻はそのルールが効き始める回だよ。
あさきゆめみし(1)
大和和紀 著|講談社
¥726(税込)
源氏物語をコミカライズし、シリーズで1600万部を売り上げたとされる大和和紀の代表作。文庫化にあたって統一デザインが施され、保存しておきたくなる造本になっています。千年の物語を、恋の物語として読めるようにした功績は大きく、光源氏の周囲の女性たちの心情を丁寧に描いています。古典の予習としても、純粋にラブストーリーとしても読める。この第1巻は、その世界への入口です。
こんな人におすすめ
古典に苦手意識がある人、日本文学の背景を知りたい人、壮大な恋の物語をじっくり読みたい人に向きます。学生時代に敬遠してしまった人こそ、最初の一冊にどうぞ。
良い点
- 古典のハードルを大きく下げる
- 文庫の統一デザインが美しい
- 女性たちの心情が丁寧
気になる点
- 登場人物が多く最初は混乱しがち
- 原作の長さゆえ巻数が多い
- 現代的なテンポではない
出版社
講談社
発売日
2001年07月31日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
1600万部って数字がまずすごいです。源氏物語をマンガにするって、相当ハードルが高そうなのに。
佐藤メバル
そのハードルを下げたからこそ、これだけ読まれたんだね。千年の物語を恋の物語として読めるようにした功績は大きい。
そして文庫化にあたって統一デザインが施されていて、保存しておきたくなる造本になっている。古典の導入としても、純粋な恋愛マンガとしても成立しているんだ。
橘ナナミ
私、大学で文学をかじっているんですけど、源氏物語は登場人物が多すぎて途中で投げてしまって。これなら最後まで行けそうな気がしてきました。
佐藤メバル
それはいい入り方だよ。原作の人間関係を追うのが大変なら、絵で人物を掴めるのは強い。このランキングで唯一、平安の恋を扱う作品だから、現代の恋愛マンガを読んだ後に挟むと、恋の描き方そのものの歴史が見えてくるよ。
アシガール 5
森本梢子 著|集英社
¥484(税込)
現代から戦国時代へ渡った唯と、若君の関係が動く第5巻。現代に生還した若君は以前より唯にやさしくなり、2人きりの馬の遠乗りに誘われます。両想いかもしれない、という予感が走る。ところが若君は側室・鐘ケ江の姫のところにも行くという。期待と不安のあいだで、唯がついに本音をぶつける。戦国の空気と現代の感覚を往復する痛快さと、恋の切なさが同居する作品です。
こんな人におすすめ
タイムスリップものと恋愛の両方が好きな人、戦国時代の空気を軽やかに味わいたい人、じれったい関係を応援したい人に向きます。早く言ってしまえ、と心の中で叫びながら読みたい場面に。
良い点
- 戦国と現代の往復が楽しい
- 若君の優しさの理由が気になる
- 本音をぶつける場面が痛快
気になる点
- 時代設定の把握に少し慣れが要る
- じれったさが長く続く
- 史実との突き合わせは不要
出版社
集英社
発売日
2015年01月23日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
馬の遠乗りに誘われて「もしかして両想い?」と思ったら、側室の姫のところにも行くんですね。これは唯さん、耐えられないですよ。
佐藤メバル
そう、その期待と不安のあいだに置かれるのがこの巻なんだ。現代から戦国へ渡った唯が、若君の気持ちを測れずに、ついに本音をぶつけてしまう。
タイムスリップものは設定で引っ張りがちだけど、こちらは関係の揺れで引っ張る。そこが強いんだよ。
橘ナナミ
タイムスリップものって、どうしても歴史の説明が多くなりがちなイメージがあるんですけど、これは恋の比重が大きいんですか?
佐藤メバル
うん、恋の比重が大きい。戦国の空気はしっかりあるけど、軸は唯と若君の距離だね。似た設定でも『下弦の月』が時空を超えた魂の話として描くのに対して、こちらは時代を越えて「今の気持ち」をどう伝えるかに重心がある。
第5巻はその重心がはっきり見える回だよ。
I”s<アイズ> 4
桂正和 著|集英社
¥792(税込)
季節はめぐって冬。長く強く慕われてきたことに気づいた一貴は、秋葉いつきに告白することを決心します。ところが——告白デートと同じ日に、水着グラビア撮影に向かった葦月伊織が、偽の撮影隊に襲われてしまう。自分の大事な一歩と、相手の危機が同時に走る。この並走が第4巻の緊張感です。桂正和の描く、揺れる心と身体の距離感。恋愛マンガの王道を丁寧に積み上げた一冊です。
こんな人におすすめ
片想いから一歩進みたい人、ヒロインの危機に心を締めつけられたい人、青春の甘さと危うさを同時に味わいたい人に向きます。丁寧な心理描写をじっくり読みたい読者にも。
良い点
- 心理描写の密度が高い
- 告白と危機の並走が巧い
- 桂正和の画面が美しい
気になる点
- お色気描写の好みが分かれる
- 主人公の優柔不断さがもどかしい
- 前巻までの関係を知りたい
出版社
集英社
発売日
2012年10月18日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
告白デートの日に、好きな人が偽の撮影隊に襲われるって……タイミングが残酷すぎませんか。電話が来て、一貴くんはどうするんでしょう。
佐藤メバル
そこが見せ場だね。自分の大事な一歩と、相手の危機が同時に走る。どちらかを選ばなければならない瞬間に、その人の本質が出る。
一貴は秋葉いつきに告白する決心をしていて、葦月伊織は別の場所で危機にある。読者はページを速くめくることになるよ。
橘ナナミ
桂正和さんの絵って、繊細な心理を描くのに向いているんでしょうね。ちょっと読んでみたくなりました。
佐藤メバル
うん、線の繊細さがそのまま心情の繊細さになっている。同じく揺れる距離を描くなら『たまらないのは恋なのか』が一方通行の感情の暴発を描くのに対して、こちらは丁寧に積み上げていくタイプ。第4巻はその積み上げが試される回だね。
太陽よりも眩しい星 15
河原和音 著|集英社
¥572(税込)
平均より頑丈な女子・岩田朔英は、幼なじみの神城光輝とお付き合い中。いよいよ高校3年生に進級し、受験を意識するふたり——ところがクラスが離れてしまい、さらには転校生・阿波山という台風の目が現れます。同じ方向を向いていた二人の進路が、少しずつずれていく。河原和音が、等身大の高校生活と恋の重なりを丁寧に描くシリーズの第15巻です。
こんな人におすすめ
高校生や受験期の読者、幼なじみの恋を応援したい人、進路と恋の両立に悩む人に向きます。学生時代の教室の空気を思い出したい大人が、懐かしさとともに読むのにも向きます。
良い点
- 等身大の高校生活が丁寧
- 受験という現実を避けない
- 朔英の明るさが読み心地よい
気になる点
- 長期シリーズの途中
- 大きな事件は起きにくい
- 転校生登場で先が読めない
出版社
集英社
発売日
2026年09月25日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
クラスが離れる、っていうだけでけっこう大きな出来事ですよね。私も進学で友達とバラバラになったので、そこは身にしみます。
佐藤メバル
そうだね、同じ方向を向いていた二人の進路がずれていくのがこの巻の主題なんだ。受験を意識するようになって、教室の位置も変わる。
そこに阿波山という転校生が来る。河原和音は、こういう日常の揺れを大げさにせず描くのが上手いんだよ。
橘ナナミ
幼なじみでお付き合い中、っていうのが安心できる設定です。でも15巻まで続くとなると、けっこう山もありそうです。
佐藤メバル
うん、積み重ねがあるからこそ、この巻の「ずれ」が効くんだ。似た題材なら『アシガール』が時代を越えて想いを伝える話なのに対して、こちらは同じ教室の中で少しずつ変わる。
河原和音は『俺物語!!』の原作も手がけているから、読み比べると視点の幅が見えるよ。
椿町ロンリープラネット 9
やまもり三香 著|集英社
¥440(税込)
療養中の悟郎に代わって、暁の担当になった女性編集者・畝田。誠実でまっすぐな畝田と暁が、ふみにはお似合いに見えてしまい、ひそかに焦りと不安を覚えるようになります。そして畝田と暁が2人きりで京都へ取材旅行に行くと聞いて——。恋の障害が、他人ではなく自分の内側に生まれる。やまもり三香の描く、静かな心情の揺れが持ち味の第9巻です。
こんな人におすすめ
年の差や立場の違う恋を読みたい人、不安になる自分の気持ちに覚えがある人、静かな心理描写を味わいたい人に向きます。京都という土地の空気も、物語の一部として効いてきます。
良い点
- 嫉妬の描き方が丁寧
- 編集部という舞台設定が効く
- 京都編で景色が広がる
気になる点
- 大きな事件は少なめ
- じれったい展開が続く
- 前巻までの関係把握が必要
出版社
集英社
発売日
2017年11月24日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
恋のライバルが出てくる話かと思ったら、焦りや不安を感じるのはふみさん自身なんですね。相手が悪いわけじゃないのに苦しくなるの、分かります。
佐藤メバル
うん、障害が外からではなく自分の内側に生まれる。畝田は誠実でまっすぐな人だからこそ、余計に不安になる。
そして京都への取材旅行という具体的な予定が、想像をふくらませてしまう。やまもり三香は、この種の感情をとても静かに描くんだよ。
橘ナナミ
暁さんって漫画家なんですよね。編集者との距離って、そういう意味でも繊細なものが生まれそうです。
佐藤メバル
そう、そこが舞台設定の妙だね。仕事の関係と恋の関係が重なるから、嫉妬の対象が「仕事相手」でもある。誰も悪くないのに胸がざわつく。
同じく不安を描く作品でも『キミと越えて恋になる』が身体の異変を軸にするのに対して、こちらは日常のなかの小さな揺れ。対比が面白いよ。
なのに、千輝くんが甘すぎる。(15)
亜南くじら 著|講談社
¥594(税込)
進路志望を医学部から法学部に変えた千輝くん。その理由を知ろうと、真綾は千輝くんの祖父を直撃し、志望変更が自分を守るために行われたという事実を知ります。そこで真綾は、千輝くんの夢をかなえるため、別れを告げる——。好きだからこそ離れるという選択を描く完結巻です。片想いごっこから始まった関係が、ここで大きな決断に行き着きます。
こんな人におすすめ
完結まで一気に読みたい人、すれ違いと決断の物語を味わいたい人、相手のために選ぶという難しさに向き合いたい人に向きます。映画やドラマから入った人が結末を確かめるのにも。
良い点
- 完結巻としての満足感
- 甘さと切なさの配分が巧い
- 真綾の決断に説得力がある
気になる点
- 途中の巻を飛ばすと感情が追いにくい
- 切ない展開が中心
- 好みが分かれる結末
出版社
講談社
発売日
2026年09月11日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
自分のために進路を変えたと知って、それで別れを告げるって……まっすぐすぎます。真綾さん、つらかっただろうな。
佐藤メバル
そう、好きだからこそ離れるという選択を描いた巻だね。千輝くんが医学部から法学部に志望を変えた理由を、真綾は祖父を直撃して知ってしまう。
知らなければ別れずに済んだかもしれない。でも知ってしまったから、動いてしまう。そこが切ないんだ。
橘ナナミ
「片想いごっこから始まった」っていう出だしが効いてきますね。遊びのつもりが本気になっていく、その先がこれなんですか。
佐藤メバル
うん、15巻かけて積み上げたものが、ここで試される。甘いだけの話ではなくなっているのがこの完結巻の読みどころだね。
同じく「離れる」を扱うなら『君を忘れる恋がしたい』が棘を確かめ合う方向に進むのに対して、こちらは相手を思って身を引く。対の構図だよ。
モエカレはオレンジ色(9)
玉島ノン 著|講談社
¥594(税込)
冬のイベントを消防士の蛯原と過ごし、「女子として意識してもらう」と決意した萌衣。バレンタインには、蛯原と風間に手作りチョコレートを渡すことにします。期待でいっぱいな一方で、救命士の多岐川の存在が気になり、消防王子の姫野とも接近——そして蛯原の態度が、ついに大きく変わる。じっとしていた恋が動き出す巻です。
こんな人におすすめ
消防士という職業設定に惹かれる人、じれったい恋の進展を待っていた人、冬のイベントに季節感を求める人に向きます。バレンタインに読む一冊を探している読者にもぴったりです。
良い点
- 蛯原の態度変化が読みどころ
- 冬のイベントが話を動かす
- 三角関係の緊張が高まる
気になる点
- 登場人物が多く整理が要る
- 序盤のじれったさが長い
- 途中巻からの把握が望ましい
出版社
講談社
発売日
2020年01月10日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「モエカレ史上No.1ドキドキ巻」って紹介文にあるの、すごく気になります。蛯原さんの態度がついに変わるんですか。
佐藤メバル
そう、じっとしていた恋が動き出す巻だね。萌衣は冬のイベントを一緒に過ごして、「女子として意識してもらう」と自分で決める。
バレンタインに手作りのチョコを渡すという具体的な行動に移る。その矢先に蛯原の態度が変わるから、読者は止まれなくなるんだ。
橘ナナミ
救命士の多岐川さん、消防王子の姫野さん……周りの人物も気になります。三角関係というより、もっと複雑な感じですか?
佐藤メバル
そう、複数方向に線が伸びていく。だからこそ、誰が誰を意識しているかが読みどころになる。同じく職業ものを並べるなら、『椿町ロンリープラネット』があちらは編集者と漫画家の距離、こちらは消防士と恋。
守る仕事の人が恋に不器用なのが、この作品の魅力だね。
たまらないのは恋なのか(7)
空華みあ 著|講談社
¥594(税込)
祭りに行って、はぐれてしまった真田を見つけた美澄。急に抱きしめられ、真田の本音が耳にこだまします。北原が来て引きはがしてくれたけれど、真田は北原を軽くあしらってその場を去ってしまう。行動の意味が分からないまま夏休みに入る——この宙ぶらりんの感覚が第7巻の中心です。恋の熱と、読めない相手の不気味さが同時に残ります。
こんな人におすすめ
相手の本音が読めない恋に揺れた経験のある人、感情の起伏が強い物語を読みたい人、夏休み前の停滞を味わいたい人に向きます。胸がざわつく展開を好む読者にも向く一冊です。
良い点
- 感情の振れ幅が大きい
- 真田の不可解さが引力になる
- 夏休みという区切りが効く
気になる点
- もどかしさが続く
- 北原の立場が気にかかる
- 前巻までの関係把握が要る
出版社
講談社
発売日
2026年07月13日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
抱きしめられて本音を聞いたのに、そのまま去られてしまう。それで夏休みに入るって、美澄さんは何も整理できないままですよね。
佐藤メバル
そう、行動の意味が分からないまま時間だけが過ぎる。これがこの巻のリアルなところだね。真田は北原を軽くあしらって去ってしまう。
読者も美澄と同じ場所に置き去りにされる。だから続きが気になって仕方なくなるんだ。
橘ナナミ
「友達でいられない」っていう言葉が冒頭にあるのが刺さります。関係が変わる瞬間って、たしかにそういう一言だったりします。
佐藤メバル
うん、その一言にこの巻のすべてが入っている。同じく関係の限界を描くなら『I"s』が丁寧に積み上げた上での決断を描くのに対して、こちらは突然の身体的な距離の縮まりから入る。
対照的で、読み比べると恋の描き方の幅が見えるよ。
恋とシンクロニシティ 2
ことのは紬 著|集英社
¥572(税込)
恋愛初心者ののら、天然タラシ男子の陽、ひねくれ女装男子のアキ——混ぜるな危険の三角関係が加速する第2巻です。陽に良いところを見せたくて体育祭のチア練習を頑張りすぎたのらは、疲労と熱で倒れてしまい、アキが付きっきりで看病してくれます。ふたりきりの部屋で、距離が急接近。描きおろしまんがも収録されています。
こんな人におすすめ
三角関係ものを読みたい人、距離が縮まる瞬間に胸を高鳴らせたい人、第1巻から続けて追っている人に向きます。描きおろしも含めて新刊を楽しみにしている読者にもおすすめです。
良い点
- 三角関係のバランスが絶妙
- 体調を崩す場面の緊張感
- 描きおろし収録がうれしい
気になる点
- 第1巻から読まないと人物像が掴みにくい
- 好みが分かれる関係性
- 展開はやや速め
出版社
集英社
発売日
2026年08月25日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「混ぜるな危険」ってあおり文句が強いですね。恋愛初心者と天然タラシとひねくれ女装男子って、もうそれだけで揉めそう。
佐藤メバル
はは、そうだろうね。ただ、この巻の見どころは体調を崩したときに誰がそばにいるかというところなんだ。
陽に良く見せようとチア練習を頑張りすぎたのらが倒れて、看病したのはアキ。ここで読者の推しが動く人も多いはずだよ。
橘ナナミ
アキさんって女装男子なんですよね。そういうキャラクターが出てくると、関係の読み方が一気に複雑になりそうです。
佐藤メバル
うん、だから三角関係が単純な二択にならない。誰が本気で、誰が演じているのかが見えにくいのが面白さだね。
同じく三人の関係を描くなら『ニセコイ』が過去の約束で引っ張るのに対して、こちらは今の距離感で揺らす。第2巻はその揺れが強くなる回だよ。
私のこと好きじゃなかったのかよ!? 1
昆布わかめ 著|集英社
¥770(税込)
高校2年生の岡部かずあきは、過去のトラウマにより、二度と恋愛で勘違いしないと誓っていました。ところがクラスメイトの佐野さんが何故か見つめてきて、勘違いしそうになってしまう。しかも岡部の周りの女子たちは、それぞれ「岡部の好きな人は自分だ」と勘違いしていて——。自意識過剰をこじらせた勘違いラブコメディの第1巻です。
こんな人におすすめ
ラブコメの新作を第1巻から追いたい人、すれ違いの笑いを楽しみたい人、自意識過剰な主人公に共感する人に向きます。軽快な掛け合いを味わいたい読者にもおすすめです。
良い点
- 勘違いの重なりが笑える
- 第1巻から入りやすい
- 主人公の懊悩が共感を呼ぶ
気になる点
- 勘違いネタの好みが分かれる
- 恋の進展はゆっくり
- すれ違いが長引く
出版社
集英社
発売日
2026年07月17日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「二度と恋愛で勘違いしないと誓った」のに、見つめられて勘違いしそうになる……その誓い、もう崩れかけているじゃないですか。
佐藤メバル
そこが笑いどころでね。しかも周りの女子たちが、それぞれ自分が好かれていると勘違いしている。岡部だけが自意識過剰なんじゃなくて、周囲も同じ方向にこじれているから、会話が全部かみ合わないまま進む。昆布わかめのテンポが気持ちいいよ。
橘ナナミ
新連載の1巻って、登場人物の紹介が多くなりがちですけど、これは勘違いという装置が一つあるだけで読ませますね。
佐藤メバル
そう、装置が一つあると強い。同じく勘違いを扱うなら、『かぐや様は告らせたい』が互いを読みすぎる高度な勘違いなのに対して、こちらはもっと素朴で等身大。第1巻はその温度差を確かめる巻だね。
のあ先輩はともだち。 9
あきやまえんま 著|集英社
¥792(税込)
ついに28歳の誕生日を迎えたのあ先輩。理人くんが渡したプレゼントによって、のあ先輩の恋愛脳がやっぱり大暴走してしまいます。この"特別"ってどの"特別"なのか——乱高下する感情に、遠近を無視した距離感。二人の関係は、友達のままではいられないのか。年齢と立場の違いから生まれる、笑いと切なさが同居する第9巻です。
こんな人におすすめ
年下・年上の関係ものを読みたい人、言葉の定義に揺れる恋を味わいたい人、シリーズを追っている読者に向きます。大人の片想いの温度を、笑いとともに楽しみたい場面におすすめです。
良い点
- 年齢差の緊張感が生きている
- 感情の乱高下が読みどころ
- 節目の誕生日が物語を動かす
気になる点
- 感情の振れ幅が大きい
- 序盤巻から読むのが無難
- 進展はゆっくり
出版社
集英社
発売日
2026年01月19日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
28歳の誕生日って、なんとなく節目ですよね。そこでもらったプレゼントで恋愛脳が暴走するの、ちょっと分かってしまう自分がいます。
佐藤メバル
そうだね、「特別」という言葉がどの意味の「特別」なのか、そこがこの作品の中心にある。誕生日という区切りが、その曖昧さをあぶり出すんだ。
理人くんの距離感は遠近を無視しているように見えて、実はまっすぐだったりする。
橘ナナミ
「友達のままではいられない…のか…?」っていう紹介文の三点リーダーが、すごく効いています。答えを出さない感じが。
佐藤メバル
うん、そこが読みどころ。この作品は関係に名前をつけることを急がない。同じく年齢や立場の差を描くなら『椿町ロンリープラネット』が揺れを内側に抱えるのに対して、こちらは外に暴走させる。対照的で面白いよ。
キミと越えて恋になる 11
柚樹ちひろ 著|集英社
¥572(税込)
冬を迎え、万理が進路に悩む一方、繋は原因不明の咳と激しい発情という身体の異変を感じていました。万理を傷つけることを恐れた繋は、距離を置くことを決断します。触れ合いたいのに、そばにすら居られない理不尽な現実——そんな孤独に戦う繋を救うため、一緒にいる未来をつかむため、万理が動き出します。愛情が葛藤に、勇気が選択に変わる第11巻です。
こんな人におすすめ
身体や運命に翻弄される恋を読みたい人、思いやりがすれ違いに変わる過程を味わいたい人、シリーズを追う読者に向きます。相手を守るために離れる選択を考えたい人にも。
良い点
- 葛藤の描き方が濃い
- 進路と身体の二重の悩み
- 万理の行動力が物語を進める
気になる点
- 設定の把握に前巻が必要
- 重たい展開が続く
- 好みが分かれる題材
出版社
集英社
発売日
2026年03月24日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
原因不明の咳と激しい発情、っていうのが気になります。身体の変化がそのまま恋の障害になっているんですね。
佐藤メバル
そう、触れ合いたいのに、そばにすら居られないという状態を作っている。繋は万理を傷つけることを恐れて距離を置く決断をする。
でもそれって、相手を思っているからこその選択なんだよね。そこに万理がどう動くかが第11巻の見どころだよ。
橘ナナミ
「正解はいつだって好きな人とどう生きたいか」っていう一文が、宣伝文句としてずるいです。読む前から刺さります。
佐藤メバル
うん、これは作品の芯をそのまま言っている言葉だね。同じく「離れる」選択を描くなら、『なのに、千輝くんが甘すぎる。』が相手の夢のために身を引くのに対して、こちらは自分の中の異変が理由になる。
動機が違うと、切なさの質も変わるんだよ。
君を忘れる恋がしたい 8
結木悠 著|集英社
¥572(税込)
志乃の誕生日よりもライブリハを優先した瀬名。結果、日向との時間を過ごした志乃は、複雑な気持ちのまま瀬名のライブを見に行くことになります。はじめて出来てしまった「言えないこと」。見えないフリをしても、確かに心に刺さっている棘。誰より相手を傷つけてしまうという、どうしようもない愛の確かめ方を描く第8巻です。
こんな人におすすめ
恋の中の小さな綻びに敏感な人、言えないことを抱えた経験のある人、すれ違いの物語を読みたい人に向きます。音楽と恋が重なる物語を、しっとり味わいたい場面にぴったりです。
良い点
- 棘という比喩が効いている
- すれ違いの描き方が丁寧
- 音楽の要素が物語を支える
気になる点
- 重たい感情が続く
- 前巻までの経緯把握が要る
- 読後に少し引きずる
出版社
集英社
発売日
2026年05月25日
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「はじめて出来てしまった、"言えないこと"」っていう表現に、はっとしました。恋人同士でも全部言えるわけじゃないですもんね。
佐藤メバル
そう、見えないフリをしても、確かに刺さっている棘という比喩がこの作品の上手さだね。瀬名が志乃の誕生日よりライブリハを優先した、という具体的な出来事から始まって、志乃は日向と時間を過ごしてしまう。
取り返しのつかないことではないのに、確実に何かが変わるんだ。
橘ナナミ
タイトルが「君を忘れる恋がしたい」なのが重いですね。忘れたいと思ってしまうくらい、ということですよね。
佐藤メバル
うん、その願いが切ない。同じくパートナーの事情が絡む話でも、『キミと越えて恋になる』が身体の異変を抱えるのに対して、こちらは生活の中の優先順位がずれていく。身近なぶん、よけいに刺さる作品だね。
少年誌はなぜ恋を描くのか — マガジン恋愛漫画の系譜
橘ナナミ
そもそも、なぜ少年誌にこんなに恋愛漫画があるんですか?
佐藤メバル
もともと少年誌といえば不良やスポーツの誌面だった。それが少しずつ、ラブコメを看板に掲げるようになっていく。週刊少年マガジンでは春場ねぎ『五等分の花嫁』のような作品が誌面の顔になり、吉河美希、瀬尾公治といったラブコメを背負う作家が育っていった。少年向けの誌面で恋を描くと、主人公の不器用さがそのまま読者の等身大になる。少女漫画の恋とは、そこが違う味になるんだ。
橘ナナミ
少女漫画の系譜が同じ棚に並ぶのは、変ではないんですか?
佐藤メバル
変ではないよ。恋の描き方は時代とともに移ってきた。運命に翻弄される恋——『ベルサイユのばら』や『下弦の月』、『あさきゆめみし』。等身大のすれ違い——『イタズラなKiss』や『こどものおもちゃ』、『ホットロード』。そして今は、駆け引きと距離感の恋——『かぐや様は告らせたい』や『太陽よりも眩しい星』、『君を忘れる恋がしたい』。同じ棚に並べると、恋の描き方の変化そのものが読めてしまう。ここがこの企画のいちばん面白いところだね。
恋の「型」とヒロイン分類で、推しを見つける
橘ナナミ
「推しキャラから作品を選ぶ」って、アリですか?
佐藤メバル
大いにアリ。恋愛漫画は構造で読むと選びやすい。一人をめぐる三角関係なら『恋とシンクロニシティ』、複数から想われるハーレムなら『To LOVEる』『ニセコイ』、噛み合わないすれ違いなら『椿町ロンリープラネット』『君を忘れる恋がしたい』、駆け引きと矜持のラブコメなら『かぐや様は告らせたい』『私のこと好きじゃなかったのかよ!?』、運命や約束を軸にした純愛なら『下弦の月』『あさきゆめみし』。自分がどの型で泣けるかを知っていると、外れがぐっと減る。
橘ナナミ
ヒロインで選ぶなら、どう見ればいいんでしょう。
佐藤メバル
距離の詰め方で見るといい。ぐいぐい来る天然型なら『To LOVEる』のララ、『ときめきトゥナイト』の蘭世。努力で近づく型なら『モエカレはオレンジ色』の萌衣——「女子として意識してもらう」と決めて、バレンタインに手作りチョコレートを渡そうとする。年上に翻弄される型なら『のあ先輩はともだち。』の二十八歳の先輩。こじらせた自意識で空回りする型なら『私のこと好きじゃなかったのかよ!?』だ。推しの“動き方”で選ぶと、読みたい場面が先に見えてくるよ。
課金前に知っておきたい注意点と、試し読みの活用法
橘ナナミ
失敗しないために、気をつけることはありますか?
佐藤メバル
三つある。一つ目、連載中の作品は結末が決まっていない前提で読むこと。二つ目、長期の作品は展開が大きく動くことがあるので、試し読みで絵柄と雰囲気の変化まで確かめること。三つ目、巻数が進んでいる作品はいきなり最新刊から入らず、一巻の試し読みから始めること。
橘ナナミ
お金の使い方としては、どう動くのがいいんでしょう。
佐藤メバル
電子ストアの試し読みで数話ぶん読み、漫画アプリの無料範囲で続きを確かめ、面白ければセールのタイミングでまとめて買う。この順番なら、「買ったけれど合わなかった」がほとんど防げる。書店員時代、返品の山を見るたびに「試し読みを勧めていれば」と思っていたんだ。あれは今でも少し、悔いが残っているよ。
橘ナナミ
その失敗談、ちょっと親近感があります……。
よくある質問
マガジンのラブコメといえば何がおすすめ?
橘ナナミ
マガジンのラブコメといえば何がおすすめについて教えてください。
佐藤メバル
駆け引きそのものを楽しみたいなら『かぐや様は告らせたい』です。エリートの集う学園の生徒会で出会った会長と副会長が、互いに惚れさせようと日常のすべてで権謀術数を尽くす。第18巻まで積み重ねて二人は付き合い始めますが、その事実は絶対に誰にもバレてはいけない——付き合った後も続く緊張感が、この作品を長く読ませる理由です。
五等分の花嫁以外で面白いマガジンの恋愛漫画は?
橘ナナミ
五等分の花嫁以外で面白いマガジンの恋愛漫画はについて教えてください。
佐藤メバル
『私のこと好きじゃなかったのかよ!?』と『のあ先輩はともだち。』を挙げます。前者は、過去のトラウマから恋愛で勘違いしないと誓った高校二年生の岡部かずあきが、なぜか見つめてくる佐野さんに揺れる話。周囲の女子はそれぞれ「岡部が好きなのは自分だ」と勘違いしていて、自意識過剰がそのまま笑いになります。後者は、二十八歳の誕生日を迎えた先輩との距離感が乱高下する作品です。
マガジンのラブコメで完結済みのおすすめは?
橘ナナミ
マガジンのラブコメで完結済みのおすすめはについて教えてください。
佐藤メバル
『なのに、千輝くんが甘すぎる。』は「完結」と明記されている、最後まで走り切った一作です。進路志望を医学部から法学部に変えた千輝くんの理由を知った真綾が、彼の夢をかなえるために別れを告げる——片想いごっこから始まった関係の着地点が気になる人は、そこから読んでみてください。
ハーレム系のマガジン恋愛漫画はどれが面白い?
橘ナナミ
ハーレム系のマガジン恋愛漫画はどれが面白いについて教えてください。
佐藤メバル
『To LOVEる』と『ニセコイ』です。デビルーク星の王女ララが地球にやってきて、偶然出会った結城リトを本気で好きになったことで毎日が大変になる。ニセコイは、蔵で見つけた子供の頃の写真と鍵、そして突然現れた許嫁・橘万里花——謎と恋が同時に動きます。にぎやかさの質が違うので、両方の試し読みを並べて比べるのがおすすめです。
アニメ化されたマガジンの恋愛漫画は?
橘ナナミ
アニメ化されたマガジンの恋愛漫画はについて教えてください。
佐藤メバル
映像化された作品は多く、アニメや実写から入った読者も少なくありません。ただし映像化の状況は時期によって扱いが変わるため、本記事では原作の内容を基準に選んでいます。映像で先に知った作品こそ、原作で心情の描写を確かめると満足度が上がります。たとえば『聲の形』は、作者が「点と点で生きている人たち」を描きたかったと語った作品で、原作には登場人物それぞれの内面が残っています。
大人・社会人でも楽しめるマガジンのラブコメは?
橘ナナミ
大人・社会人でも楽しめるマガジンのラブコメはについて教えてください。
佐藤メバル
『椿町ロンリープラネット』と『のあ先輩はともだち。』です。椿町は、療養中の悟郎に代わって暁の担当になった女性編集者・畝田の存在が、ふみの焦りと不安を呼び覚ます。仕事の事情が恋の距離を動かすので、社会人のほうが刺さります。のあ先輩は二十八歳の誕生日を迎えた先輩の恋愛脳が暴走する話で、年齢を重ねた側の照れが丁寧に描かれます。
マガジンの恋愛漫画を無料で読む方法は?
橘ナナミ
マガジンの恋愛漫画を無料で読む方法はについて教えてください。
佐藤メバル
電子書籍ストアの試し読みと、漫画アプリの無料話が基本です。巻数が進んだ作品でも、一巻の試し読みから入れば雰囲気はつかめます。連載中の作品は無料で読める範囲が定期的に切り替わることがあるので、気になる作品は一度チェックしておくといいですよ。
恋愛漫画初心者におすすめのマガジン作品は?
橘ナナミ
恋愛漫画初心者におすすめのマガジン作品はについて教えてください。
佐藤メバル
まずは短く読めるものから。『俺物語!!』は、猛男が友人・砂川に毎年届いていた差出人不明のチョコの主・天海悠紀華の恋を応援する側に回る話で、恋する人と応援する人の両方の気持ちが同時に味わえます。誰かの恋を応援するという構造は、恋愛漫画の“型”をつかむのにうってつけです。
まとめ
橘ナナミ
今日の話を聞いて、選び方の軸って「順位」じゃなくて「自分の今の気分」なんだと分かりました。
佐藤メバル
そうだね。恋愛漫画は、読む人の状態で同じ一冊が別の顔になる。片想いの最中に読む『イタズラなKiss』と、ずっと後で読み返すそれとでは、刺さる台詞が違う。だからランキングは入口で、出口は読者それぞれにある。
橘ナナミ
私だったら、まず『太陽よりも眩しい星』で“いま進んでいく恋”を追って、落ち着いたら『あさきゆめみし』で千年の恋を読んでみたいです。
佐藤メバル
いい順番だ。ひとつだけ伝えるなら、恋愛漫画は他人の恋を読む練習でもある。登場人物がなぜ言えなかったのか、なぜ誤解したのかを追ううちに、自分の言葉にならない気持ちにも名前が見えてくる。それは棚を眺めているだけでは得られないものだよ。
橘ナナミ
なんか……読む前から、ちょっと切ないです。
佐藤メバル
その“ちょっと切ない”が、たぶんこの棚の入口だ。雑誌の棚の前で一冊を選べずに立ち尽くす時間——あの迷いこそが、恋愛漫画の最初のページなんだと思うよ。
