格闘技の本のおすすめ人気ランキング25選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
佐藤さん、今回のお題は「格闘技の本」ですよね。調べてみたら、ボクシングの教則本も、宮本武蔵の『五輪書』も、柔道の歴史研究も、女子プロレスのノンフィクションも出てきて……同じ「格闘技」でくくっていいのか分からなくなりました。
佐藤メバル
いい質問だね。実際の書店でも「格闘技」の棚は、ボクシング、柔道、剣道、空手、武道史、プロレス本がごちゃっと並んでいる。でも読者が知りたいのは棚の分類じゃなくて、その本が自分のどんな場面に効くかなんだ。だから今日は「目的から逆算する」話を軸にしよう。
橘ナナミ
目的、ですか。観るのが好きな人と、自分で稽古する人では、欲しい本が全然違いますもんね。
佐藤メバル
そう。観戦を深くしたい人に技術書を渡しても少し持て余すかもしれないし、逆に明日のパンチを変えたい人に柔道の思想史を渡しても稽古は変わらない。まず目的、次にレベル、最後に形式と入手性。この順で絞ると失敗がぐっと減るよ。
橘ナナミ
じゃあ、その順番で教えてください!
佐藤メバル
任せて。専門用語は都度かみ砕くから、分からなくなったら止めて聞いて。
格闘技の本の選び方
目的別——観戦・稽古・指導・教養
橘ナナミ
目的って、具体的にはどう分ければいいんでしょう。
佐藤メバル
大きく四つだね。ひとつは観戦を深く理解したい人。『ボクシングと大東亜』のような興行と時代を描いたノンフィクションは、リングの外側にあった物語を教えてくれる。二つめは自分の稽古に活かしたい人で、こちらは写真と動画で身体の使い方を追える教則本が強い。三つめは指導・コーチング。たとえば『東海大流 柔道勝利のメソッド』は投げ方の解説ではなく、組手争いや試合展開の設計を扱っている。四つめが教養として読みたい人で、ここに『五輪書』や柔道の思想研究が入る。
橘ナナミ
なるほど……同じ本でも、読む目的が違うと効き方が変わるんですね。
レベル別——未経験・中級・競技者と指導者
佐藤メバル
レベルでいちばん迷うのが未経験から始める人だね。『剣道入門』や『柔道入門』のような入門書は、基礎知識から基本動作、応用動作、稽古法、試合まで段階を踏んで並んでいるから、最初の一冊に向いている。中級者は「自分の技をどう組み立てるか」に踏み込みたい。『洞察と戦略で勝つ!剣道』は打突そのものではなく、駆け引きと戦略の立て方を扱っている。競技者や指導者になると、『全日本剣道選手権者の稽古』のようにトップの稽古法そのものを読む段階になる。
橘ナナミ
逆に、いきなり上級者向けから入るのは危ないですか?
佐藤メバル
危ないというより、読む順番を飛ばすと技術の意味が分からないまま終わる。型の名前だけ覚えて、身体がついてこない状態に近いね。
形式別——紙・電子・QR動画・漫画
橘ナナミ
最近は動画つきの本が多いですよね。『総合格闘技 MMA』はQRコードつきと書いてありました。
佐藤メバル
そう。『もっとも新しいボクシングの教科書』は付録DVDで87分、『剣道入門』や『柔道入門』も写真と動画を並べて確認できる作りになっている。ただ、動画は流れを掴むのに強くて、紙面は止まって確認するのに強い。役割が違うから両方使う前提でいい。電子は検索と持ち運び、紙は書き込みと図版の見やすさ。漫画やビジュアル本は、文字の本にまだ慣れていない人の入口として十分アリだよ。
著者の立場で選ぶ——選手・コーチ・研究者・書き手
橘ナナミ
著者が現役選手か研究者かで、読み味も変わりますか?
佐藤メバル
変わるね。『証言 UWF「道場」の光と影』は、佐山聡さん、藤原喜明さん、鈴木みのるさん、船木誠勝さんといった当事者たちの証言で組まれている。一方『柔道文化論』は、嘉納治五郎の思想を膨大な資料からたどった研究者の遺稿集だ。同じ柔道でも、当事者の体温と研究者の検証では得られるものがまったく違う。両方読むと立体になるよ。
入手性と価格——現行・復刊・古書・読み放題
橘ナナミ
ここが地味に困るところで。昔の名著って、書店で見かけないこともあります。
佐藤メバル
まず現行で買えるものを1冊目にすること。『杖道入門』のように新装版として出ている本は、その時点で入手の安心感が違う。絶版になっている本は古書の相場が動くから、欲しいと思ったら早めに動くのが基本。読み放題の対象になっている本は「試し読みの延長」として使い、手元に置きたい1冊は紙で買う。この使い分けが結局いちばん損をしない。
格闘技の本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、25冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
格闘技の本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい
文庫 決定版 五輪書 現代語訳
宮本武蔵 著|草思社
¥748(税込)
武蔵の肉声にいちばん近い一冊です。底本は福岡・吉田家伝来の書で、現存する中で最も古くオリジナルに近い本文とされています。『空の巻』には心・意二つの心を磨き、観・見二つの目を研ぎ、迷いの雲が晴れたところこそ実の「空」だと記されています。読み解きではなく原典そのものを文庫で持ち歩けるのが強み。解説書が並ぶなか、武蔵の言葉の温度を直接確かめたい人に向きます。
こんな人におすすめ
兵法の原典を自分の言葉で読みたい人、解説書を何冊も買って結局ぼやけてしまった人、通勤や稽古の合間に少しずつ読み進めたい人。原文に近い形で武蔵の思考に触れたいときの一冊です。
良い点
- 最も古い系統の本文を底本にした現代語訳
- 文庫サイズで手に取りやすい価格
- 原文の骨格をそのまま味わえる
気になる点
- 語句の含意は自分で考える必要がある
- 武蔵の生涯や背景の解説は多くない
- 読み解きの手引きが欲しい人には物足りない
出版社
草思社
発売日
2012年10月10日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
格闘技の本って技術書のイメージでしたけど、いきなり三百年前の兵法書が来るんですね。しかもこれ、解説じゃなくて現代語訳なんです?
佐藤メバル
そう、そこがポイントだね。福岡の吉田家に伝わった書を底本にしていて、現存する中で最も古くオリジナルに近い本文とされている。
だから武蔵の言葉が余計なフィルターを通さずに入ってくる。しかも文庫で手に入りやすい。まず本物の声を聞いてから解説書に進むと、理解がぐっと深まるよ。
橘ナナミ
なるほど…! 空の巻の「観・見二つの目」って、目が二つあるって意味じゃないですよね?
佐藤メバル
いいところに気づいたね。見る目と、本質を観る目。表面的な動きを追うだけでは勝てないという武蔵の核心で、そこに鍛錬の先に開ける自由があると書かれている。
難しく感じたら、まずは声に出して読んでみるといいよ。
NHK「100分de名著」ブックス 宮本武蔵 五輪書
魚住孝至 著|NHK出版
¥1,100(税込)
武蔵研究の第一人者である魚住孝至さんが『五輪書』を現代の言葉に引き寄せて読む一冊。13歳で初めて剣の勝負をし、29歳までに60あまりの勝負で一度も敗れなかったという生涯をたどりながら、敵を知る=相手の立場に立つこと、突飛な手法の戒め、鍛錬の先に開ける自由を丁寧に取り出していきます。兵法の道はすべてに通じると説く第1章から、仕事や研究にも置き換えて読めるのが解説書ならではの強みです。
こんな人におすすめ
『五輪書』に興味はあるけれど原文で挫折した人、勝負の前に心の持ちようを整えたい人、後輩の育て方に悩む人。武者修行を命がけのリクルート活動として眺めると、当時の切実さごと武蔵の判断が腹に落ちます。
良い点
- 武蔵研究の第一人者による丁寧な読み解き
- 放送テキストに書き下ろし特別章を追加
- 略年譜と読書案内で次の一冊へつながる
気になる点
- 原文そのものを味わう目的には向かない
- 語りが哲学的で軽い読み物ではない
- 剣術の技術的な手順は含まれない
出版社
NHK出版
発売日
2021年07月26日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
さっきは原文、今度は解説。同じ『五輪書』を並べる意味ってあるんですか?
佐藤メバル
あるよ。原文で輪郭をつかんでから魚住さんの読み解きに進むと、書かれた時代の切実さが見えてくる。武蔵が生きたのは牢人、つまり浪人の時代で、仕官の口を得るために武者修行という命がけの活動をしていた。
29歳までに60あまりの勝負で一度も敗れなかったというのは、そういう場で積み上げた記録なんだ。
橘ナナミ
命がけの就職活動……。剣術の話なのに、妙に今っぽく聞こえます。
佐藤メバル
そこがこの本の面白さ。相手の立場に立つことの重要性や、突飛な手法の戒め、鍛錬の先に開ける自由まで、剣を離れても使える形で語ってくれる。
第1章の「兵法の道はすべてに通じる」は、研究や仕事に置き換えても読めるよ。
もっとも新しいボクシングの教科書
野木丈司 著|ベースボール・マガジン社
¥1,650(税込)
「強いパンチを打つ体の使い方」から「パンチを当てる・効かせる技術」まで、理屈を映像と往復しながら覚える教科書です。ブレーキを意識した動き、消えるパンチ、アッパーを当てる確率を上げる工夫、亀ガードへの対処法など、章立てがそのまま練習メニューの順番になっている。パッキャオ式飛び込みストレートや時間差で打つボラートといった現代の技術まで、付録の映像で確認できるのが決定的な違いです。
こんな人におすすめ
ジムに通い始めた人、独学でミット打ちやサンドバッグを続けている人、試合で手数が止まってしまう人。87分の映像を横に置いて、体の使い方を一つずつ確かめたいときに向きます。
良い点
- パンチングボールの打ち方まで扱う
- パッキャオ等の現代技術を収録
- 章立てがそのまま練習メニューになる
気になる点
- DVDを再生する環境が前提になる
- 防御は攻撃視点からの解説が中心
- 動きの難度は初心者にやや高め
出版社
ベースボール・マガジン社
発売日
2013年08月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ボクシングの教科書って、本だけで動きが伝わるのかなって思ってたんですけど、これ映像が付いてるんですね。
佐藤メバル
付録の映像が87分あって、しかもボクシング界で初めてパンチングボール、S&Wの打ち方まで扱っている。
文字だけだと「ブレーキを意識した動き」と言われてもピンとこないところが、映像だと一発で分かるんだ。
橘ナナミ
消えるパンチ、って書いてあるのも気になります。パンチが消えるって、どういうことなんですか?
佐藤メバル
打つ直前の予備動作を見せない、相手の視界から一瞬消えるように打つ技術だね。本では体の使い方から順に積み上げて説明しているから、急に魔法の話にならない。
ミットを持ってくれる人がいれば、映像を見ながら真似するだけでかなり違うよ。
剣道入門
有田祐二 著|ベースボール・マガジン社
¥1,870(税込)
剣道の特性や基礎知識から、基本動作、しかけ技・応じ技といった応用動作、稽古法、試合までを順番に積み上げる入門書です。段階的にマスターできる構成が持ち味で、つまずいた場所に戻って確認しやすい。写真と動画の両方で動きを確かめられるのが、文字中心の入門書との違いです。試合で勝つためのパフォーマンスを上げたい人まで射程に入れた一冊です。
こんな人におすすめ
これから剣道を始める人、久しぶりに防具を着ける人、後輩や子どもに基本を教える立場になった人。しかけ技・応じ技のパターン練習を、自分のペースで確認したいときに。
良い点
- 基礎から試合まで一本の流れで学べる
- 写真と動画の両方で動きを確認
- 稽古法の章で練習の組み立てが分かる
気になる点
- 基本重視で高度な駆け引きの記述は少ない
- 動画を見る環境が必要
- 競技経験者には物足りない内容も
出版社
ベースボール・マガジン社
発売日
2024年12月04日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
剣道って、教室に通わないと覚えられないイメージでした。本で入門って、実際どうなんですか?
佐藤メバル
この本はPART1からPART6まで、特性・基礎知識・基本動作・応用動作・稽古法・試合という順番で並んでいる。
だから読んだ順に体へ入れていけばいい。特に写真と動画が併記されているのが大きいね。書店員だった頃、入門書は「読んで分かる」より「見て分かる」が大事だと痛感したよ。
橘ナナミ
なるほど。しかけ技と応じ技って、名前は聞いたことがありますけど何が違うんですか?
佐藤メバル
しかけ技は自分から仕掛けていく技、応じ技は相手の打ちに反応して返す技。この本ではそのパターン練習まで扱っているから、基本動作が終わった人が次に何をすればいいか迷わない。
独学の人は鏡の前で動画と見比べるのがおすすめだよ。
総合格闘技 MMA
岡田遼 著|ベースボール・マガジン社
¥2,420(税込)
武道・格闘技の技術書を映像付きで届けるシリーズの二作目で、即重版となったブラジリアン柔術篇に続く一冊です。総論的に浅く広くではなく、重要な技術に絞って解説するのが方針。打撃、テイクダウン、寝技、ケージレスリング、フェイントとドリル、そして試合で勝つための思考・フィジカル・減量まで章が分かれ、技術の進歩が速いジャンルで既存の書籍に載っていなかった最新のセオリーを網羅しています。
こんな人におすすめ
打撃も組み技も一通り練習している人、試合に向けて技術を整理したい人、ケージという環境を前提に組み立て直したい人。QRコードの映像と本文を見比べながら、自分の抜けを確認したいときに。
良い点
- 重要技術に絞った濃い内容
- QRコードで映像をすぐ確認できる
- 減量やフィジカルまで戦略編で扱う
気になる点
- 完全な初心者には前提知識が要る
- 網羅的な辞書としては使えない
- 映像の視聴に通信環境が必要
出版社
ベースボール・マガジン社
発売日
2025年08月04日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
MMAって技がものすごく多くて、本で追いきれる気がしないんですけど……。
佐藤メバル
だからこの本は、総論的に浅く広くではなく、重要な技術に絞るという方針をはっきり打ち出している。打撃、テイクダウン、寝技、ケージレスリング、フェイントとドリルと章が進んで、最後に思考・フィジカル・減量の戦略編が来る。
技術の進歩が速いジャンルだから、最新のセオリーを押さえる意味が大きいんだ。
橘ナナミ
ケージレスリングって章があるのが意外でした。リングとは違うんですか?
佐藤メバル
金網があると、体を預けたり押し付けたりという選択肢が増える。ケージ際の攻防は独学だと抜けやすいから、章として独立しているのはありがたいね。
第一弾がすぐ重版になったというのも、この絞り方が支持されたということなんだろうね。
ムエタイ 動画サイトでは公開されない本当に必要な技術
中川夏生 著|ベースボール・マガジン社
¥2,420(税込)
「動画サイトでは公開されない」を掲げ、基本技術とコツ、短期間でうまくなる練習法と付け焼き刃でない技術を身につける練習法を両面から扱う一冊です。構え・距離・位置取りからパンチとヒジ、キックとヒザ、首相撲、ディフェンスと返し、そして吉成名高式コンビネーションまで、ラジャダムナン3階級を制した現役王者の実演による写真と動画を収録。ルールの違いにも論説で触れています。
こんな人におすすめ
ムエタイを始めたばかりの人、キックボクシングから一歩踏み込みたい人、首相撲やヒジの扱いを体系的に知りたい人。トップの実演を見ながら、自分の構えと距離を見直したいときに。
良い点
- 現役王者の実演を写真と動画で収録
- 首相撲やヒジまで章立てで扱う
- ルールの違いまで論説で解説
気になる点
- 競技経験がないと難所が多い
- 映像の視聴が前提の構成
- 短期で仕上げる内容ではない
出版社
ベースボール・マガジン社
発売日
2026年09月04日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
タイトルがすごいですね。「動画サイトでは公開されない本当に必要な技術」って。
佐藤メバル
そこがこの本の立ち位置。基本技術とコツ、それに短期間でうまくなる練習法と、付け焼刃でない技術を身につける練習法という両面を、映像と一緒に解説している。
実演しているのは吉成名高選手で、ラジャダムナンで3階級を制した現ONEムエタイ世界アトム級王者。写真も動画もその人自身の動きなんだ。
橘ナナミ
なるほど……! 首相撲って、組み合う感じですよね。あれも技術として細かく書いてあるんですか?
佐藤メバル
章として独立しているよ。構え・距離・位置取りから始まって、パンチとヒジ、キックとヒザ、首相撲、ディフェンスと返しと進む。
そのルール特有の技術まで扱っているから、見るだけでは分からない部分が拾えるんだ。
杖道入門(新装版)
松井健二 著|体育とスポーツ出版社
¥3,666(税込)
神道夢想流杖術の歴史から、全日本剣道連盟杖道制定の経緯、修錬の心得、基本十二法、一本目から十二本目までを網羅した杖道の教科書です。礼法や構え、太刀の基礎知識、間と拍子、足捌き、止心と残心といった修錬の前提になる心得を丁寧に説明してから形に入る構成。剣道や居合、合気、空手など他武道を学ぶ人の学習も増えているとされ、巻末には全国稽古場ガイドも付いています。
こんな人におすすめ
杖道を始めた人、他武道から杖道に踏み込みたい人、中高年や女性で護身と健康を兼ねた運動を探している人。全国稽古場ガイドで自分の地域の稽古場を探したいときにも。
良い点
- 基本十二法と十二本の形を体系的に収録
- 歴史と制定の経緯まで押さえられる
- 全国稽古場ガイド付き
気になる点
- 写真だけでは間合いの体感は掴みにくい
- 価格はやや高め
- 完全な独学には向かない
出版社
体育とスポーツ出版社
発売日
2011年05月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
杖道って、聞いたことはあるんですけど、何をするものなのか正直よく分かっていなくて。
佐藤メバル
杖、つまり棒を使って相手の太刀に対応する武道だね。この本は神道夢想流杖術の歴史や、全日本剣道連盟杖道が制定されるまでの経緯から始まる。
中高年の方や女性に適した護身術・健康法として静かなブームになっていて、剣道や居合をやっている人が深奥を求めて学び始めるケースも増えているそうだよ。
橘ナナミ
なるほど! で、中身は形の解説が中心なんですか?
佐藤メバル
形の前に、修錬の心得がかなり厚いのが特徴。武器の握り方、手の内、打突部位、間と拍子、足捌き、止心と残心まで書かれている。
基本十二法から一本目「着杖」以下十二本目まで並んでいる。近くに稽古場がない人は、まず巻末のガイドで探してみるといいよ。
おうちで居合道
末岡志保美 著|体育とスポーツ出版社
¥1,540(税込)
オンライン講座「おうちで居合道」で積み上げた自宅学習のメソッドを、そのまま一冊にした本です。道着の着方や礼法、刀の部分名称から始まり、柔軟運動、一文字腰や居合腰といった基礎鍛錬、腰の落とし・腰の入れなどの体捌き、納刀抜刀、素振り、型、組太刀へと段階を追います。家でできる稽古に絞っているので、道場に通う前の一歩にも、経験者の復習にも使えます。
こんな人におすすめ
道場に通う時間が取れない人、居合を始める前に体の使い方を確かめたい人、オンラインで学び直したい経験者。参加者の声やコラムを読みながら、ひとりでも続けられる形を探したいときに。
良い点
- 自宅でできる稽古に絞った構成
- 柔軟運動から型まで段階的に進む
- 組太刀やコラムまで収録
気になる点
- 指導者との確認は別途必要になる
- 刀や道着の準備が前提になる
- 対人の感覚は独学では補いにくい
出版社
体育とスポーツ出版社
発売日
2022年01月08日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ひとり暮らしの部屋で居合道って、さすがに無理があるような……。畳もないですし。
佐藤メバル
そこを前提に作られた本なんだよ。オンライン講座で培ったメソッドを「おうちで居合道」と名付けて、柔軟運動や股割り、前屈から入って、一文字腰や居合腰といった基礎鍛錬、腰の落とし・腰の入れといった体捌きへ進む。
体の使い方を育ててから刀の動きに移る順番なんだ。
橘ナナミ
なるほど、まず体づくりからなんですね。型の練習はどのあたりで出てくるんですか?
佐藤メバル
実践編で納刀抜刀と素振り、そのあとに順抜、有残、打止といった型が続く。最後には組太刀まで扱うから、ひとりで終わらせない構成になっている。
言葉の壁を超えた武士道精神というコラムもあって、読み物としても面白いよ。
少林拳術羅漢拳
松田隆智 著|つちや書店
¥2,420(税込)
少林拳術の代名詞ともなっている羅漢拳を、基礎知識と基本技、個人で練習する套路、対人の対練、自然治癒力を高める練功まで、実演写真で徹底的に解説した一冊です。豊富な写真と貴重な資料で套路の流れを目で追いながら覚えられる構成。型の紹介で終わりがちな中国武術の入門書のなかで、対練と練功まで含めて一冊で見渡せるのが違いです。
こんな人におすすめ
少林拳を学び始めた人、套路を写真で確認しながら自主練したい人、中国武術の練功や対練まで知りたい人。実演写真を頼りに、道場で習った動きを家で反復したいときに。
良い点
- 套路・対練・練功まで一冊で網羅
- 実演写真が豊富で流れを追いやすい
- 資料的な価値もある内容
気になる点
- 写真だけでは細かい力の流れが掴みにくい
- 発売から時間が経ち入手しにくい
- 独学では型の良し悪しが判断しづらい
出版社
つちや書店
発売日
2005年08月01日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
少林拳って映画のイメージしかないんですけど、羅漢拳っていうのは流派の名前なんですか?
佐藤メバル
少林拳術の代名詞になっている拳法の名前だね。この本は松田隆智さんが、基礎知識と基本技から、個人で練習する套路、相手と組んで行う対練、そして自然治癒力を高める練功までを実演写真で解説している。套路だけで終わらないのが特徴なんだ。
橘ナナミ
練功って、体を強くする練習のことですか?
佐藤メバル
そう。健康や治癒力の面にも触れているのが面白いところだよ。実演写真と貴重な資料で羅漢拳の世界を詳述していて、中国武術の本を何冊か読んだ人が全体像を掴むのに向いている。
写真を見ながら、道場で習った動きを思い出して反復する使い方がいいね。
キャッチアズキャッチキャン入門
鈴木秀樹 著|日貿出版社
¥3,960(税込)
キャッチアズキャッチキャン、略してCACC。現在のプロレスの源流とされている組み技系格闘技を扱った、世界でも類を見ない技術書です。著者の鈴木秀樹さんが名プロレスラー、ビル・ロビンソン氏から直接学んだ技術を、精密な分解写真で構成しているのが最大の特徴。レスリングや柔術の本とは違い、関節や締めの応酬ではなく「キャッチ」という考え方から入るので、組み技の歴史と理屈を同時に辿れます。
こんな人におすすめ
プロレスや組み技の成り立ちに興味がある人、レスリング経験を別の形で活かしたい人、技術書として手元に置きたい人。分解写真を追いながら、ひとつずつの動きを確かめたいときに。
良い点
- ビル・ロビンソン直伝の技術を収録
- 精密な分解写真で動きを追える
- プロレスの源流を技術面から学べる
気になる点
- 価格が高めで気軽には買いにくい
- 競技経験がないと前提が難しい
- 類書がなく比較対象がない
出版社
日貿出版社
発売日
2017年01月19日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
キャッチアズキャッチキャン……って、名前からして何なのか分からないです。キャッチって野球ですか?
佐藤メバル
捕まえる、つまり組むという意味だね。CACCは現在のプロレスの源流とされている組み技系格闘技で、この本は名プロレスラーのビル・ロビンソン氏から直接学んだ鈴木秀樹さんが書いている。
精密な分解写真で構成されていて、世界でも類を見ない技術書なんだ。
橘ナナミ
世界でも類を見ない、というのは、それだけ先行する本がないってことですよね。
佐藤メバル
そう。レスリングや柔術の本はたくさんあるけれど、キャッチの考え方から入る本はほとんどない。だから「強くなりたい」というより、組み技の歴史と理屈を技術で確かめたい人に向く。
手元に置いて何度もめくるタイプの一冊だよ。
女子のための柔道の教科書
木村昌彦 著|つちや書店
¥1,650(税込)
目次が「1時間目」「2時間目」と授業の形で並んでいて、正しい基本動作、痛くない受身、初歩的な女子投げ、得意技にしたい華麗な女子投げ、女子の固技、打込と乱取、課外授業の基礎トレーニングへと進みます。受け身から丁寧に始める構成なので、投げられる怖さを抱えている人でも入りやすい。競技としての柔道と体づくりの両方を見ているのが、技術書中心の柔道本との違いです。
こんな人におすすめ
柔道を始めた女性、投げられるのが怖くて踏み出せない人、久しぶりに道着を着る人。痛くない受身から確認して、自分の得意技を育てたいときに向きます。
良い点
- 授業形式で順番が分かりやすい
- 受身を丁寧に扱っている
- 基礎トレーニングまで収録
気になる点
- 乱取は練習相手が必要になる
- 基本から丁寧なぶん初級者向け
- 女性向けに内容が絞られている
出版社
つちや書店
発売日
2014年04月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
女子のための、と銘打ってあるのが気になります。何が違うんでしょう?
佐藤メバル
構成が親切なんだよ。「痛くない受身をマスターしよう」という2時間目から始まって、初歩的な女子投げ、得意技にしたい華麗な女子投げ、女子の固技と進む。
投げられる怖さを抱えたまま技に入るのが一番危ないから、この順番はよくできている。著者は木村昌彦さんと斉藤仁さんだね。
橘ナナミ
なるほど! 授業みたいになっているのは読みやすいですね。課外授業って何をやるんです?
佐藤メバル
基礎トレーニングと練習メニューのポイント。体づくりを別枠で置くことで、技の練習と補強を分けて考えられる。
打込や乱取は相手が必要だから、道場の仲間と予定を合わせながら進めるといいよ。
柔道入門
久保田浩史 著|ベースボール・マガジン社
¥1,870(税込)
柔道の基本から、受け身をはじめとする技術を段階的に覚えられる入門書です。投げ技、寝技、連続技や変化技まで進み、試合で勝つためのパフォーマンスを上げる構成。著者考案のコーディネーションゲームで俊敏性・瞬発力・バランス能力を育てるパートがあるのが、他の入門書と大きく違うところです。写真とあわせて動画でも確認できるので、受け身のように文章では伝わりにくい動きも追いやすい。
こんな人におすすめ
柔道を始めたばかりの人、子どもと一緒に基本を確認したい人、受け身をきちんと覚え直したい経験者。写真と動画を見比べながら、投げ技と寝技の手順を確かめたいときに。
良い点
- 受け身から連続技まで段階的に学べる
- コーディネーションゲームを収録
- 写真と動画の両方で確認できる
気になる点
- 寝技の深い攻防は限られる
- 動画を見る環境が必要
- 競技経験者には基本中心に見える
出版社
ベースボール・マガジン社
発売日
2025年06月04日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
同じ「柔道入門」でも、さっきの女子向けとはやっぱり違うんですか?
佐藤メバル
こちらは男女を問わない入門書で、柔道の基本、投げ技、寝技、連続技と変化技、練習方法という並びになっている。
特徴は、著者の久保田浩史さんが考案したコーディネーションゲームで俊敏性や瞬発力、バランス能力を高めるパートがあること。
技の前に体を動かせるようにする発想なんだ。
橘ナナミ
体を動かすゲームから入るの、楽しそうですね。受け身も載ってますか?
佐藤メバル
そこから始まるよ。受け身は文章だけだと順番が分かりにくいから、写真と動画の両方で確認できるのは安心だね。
道場で習ったあとに家で復習する使い方がいちばん効率的だと思う。
東海大流 柔道勝利のメソッド
上水研一朗 著|誠文堂新光社
¥1,980(税込)
東海大学男子柔道部を率いる上水研一朗さんが、柔道と指導法、試合に勝つための練習方法を語る一冊です。投げ方の解説はありませんと明言されていて、代わりに組手争いで優位に立ち、もつれた場面や試合の展開ごとに技をかけるまでの試合運びを扱います。提唱する6区画理論を軸にシチュエーション別に切り取っていく構成で、巻頭には田知本遥さんとの対談も収録されています。
こんな人におすすめ
試合で勝ちたい中高生や学生、組み手争いで毎回消耗してしまう人、指導者の立場で練習を組み立てたい人。6区画理論で自分の柔道を棚卸ししたいときに。
良い点
- 組手争いと試合運びに特化
- シチュエーション別の切り取りが具体的
- 田知本遥さんとの対談を巻頭に収録
気になる点
- 投げ方そのものの解説はない
- 競技志向でないと響きにくい
- 前提となる技の習得が必要
出版社
誠文堂新光社
発売日
2019年08月02日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「投げ方の解説はありません」って、柔道の本なのに思い切ってますね。
佐藤メバル
そこがこの本の狙いなんだよ。技の手順は他の本で覚えればいい。ここでは組手争いでどう優位に立つか、技をかけるまでをどう運ぶか、負けない柔道をどう作るかに絞っている。
中心にあるのが上水研一朗さんの6区画理論だね。
橘ナナミ
6区画理論って、畳を区切って考えるみたいな話ですか?
佐藤メバル
試合の状況を整理して自己分析するための枠組みだと考えればいい。第1章で基礎知識と自己分析、第2章でシチュエーションへの準備、そこから組手争い、もつれた場面、試合場所や展開別と進む。
展開ごとに切り取るから自分の負けパターンが見えてくる。田知本遥さんの対談も読み応えがあるよ。
柔道文化論 柔道の歴史と心
芳賀脩光 著|雄山閣
¥5,940(税込)
講道館の創設者・嘉納治五郎を、近代日本の思想家として捉え直した畢生の大著です。柔道家であり筑波大学名誉教授でもあった著者の遺稿集で、膨大な資料から成長期の学び、柔術修行、講道館の創設、国際性と世界観の育成、武士団社会や徳川期の柔術諸流、そして『老子道徳経』や儒教、易の思想との関わりまでを辿ります。柔道を技ではなく思想から見たい人に応える一冊です。
こんな人におすすめ
柔道の歴史と理念を体系的に知りたい人、指導者として「柔道とは何か」を考えたい人、嘉納治五郎の教育者としての姿に関心がある人。膨大な資料をたどりながら読み解きたいときに。
良い点
- 嘉納治五郎を思想面から探究した大著
- 古代中国思想との関わりまで踏み込む
- 貴重な遺稿集として読める
気になる点
- 価格が高く学術書に近い
- 気軽な読み物ではない
- 実技の解説は含まれない
出版社
雄山閣
発売日
2025年05月27日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
5940円……これはけっこう覚悟がいる価格ですね。どんな人が読む本なんですか?
佐藤メバル
柔道を競技としてだけでなく、思想として捉えたい人だね。嘉納治五郎を近代日本の思想家として見て、成長期の学び、柔術修行、講道館の創設、国際性の育成へと、膨大な史料から丁寧に探究している。
著者は柔道家で筑波大学名誉教授だった芳賀脩光さん。遺稿集としてまとまった本なんだ。
橘ナナミ
老子道徳経とか儒教とか、目次を見ると哲学書みたいです。柔道とつながるんですか?
佐藤メバル
そこが面白いところで、徳川期の柔術と古代中国思想が講道館柔道にどう影響したかを追っている。「柔」と「道」への歩みを思想の側から照らす本だから、実技の本を何冊か読んだあとに手に取ると、視界がぐっと広がるよ。
女子柔道の歴史と課題
山口香 著|日本武道館
¥2,640(税込)
山口香さんが、女子柔道の夜明けから競技化への軌跡、世界のトップへ出ていく過程、柔道先進国と後進国それぞれの事情、女子選手特有の問題、引退後のキャリア、そして未来までを一冊にまとめています。競技としての発展と課題を資料編まで含めて追えるのが特徴。強さだけでなく選手の環境まで扱うのが、技術書中心の柔道本との違いです。
こんな人におすすめ
女子柔道の成り立ちを通して競技の現在を知りたい人、指導者や保護者として選手の環境を考えたい人、引退後のキャリアに関心がある人。女子選手特有の問題まで視野に入れて考えたいときに。
良い点
- 草創期から現在までを一冊で追える
- 選手を取り巻く課題に踏み込む
- 資料編で記録を確認できる
気になる点
- 技術書ではないため実技の助けにはならない
- 扱う範囲が広く専門的な記述もある
- 柔道経験がないと前提が要る
出版社
日本武道館
発売日
2012年03月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
女子柔道の「課題」って、具体的にどういうことなんでしょう?
佐藤メバル
目次を見ると分かりやすい。女子柔道の夜明け、競技化への軌跡、世界のトップへ、柔道先進国と後進国それぞれの事情、女子選手特有の問題、引退後のキャリア、そして未来を探るという並びになっている。
競技として強くなる過程と、選手が抱える問題を同じ本で扱っているんだ。
橘ナナミ
引退後のキャリアまで書いてあるの、珍しい気がします。
佐藤メバル
そこが山口香さんの視点だね。競技の歴史を書くだけではなく、選手がその後どう生きるかまで見ている。日本武道館から出ている本だから、記録や資料もきちんと整理されている。
研究や指導の下調べにも使いやすい一冊だよ。
沖縄空手道の歴史
新垣清 著|原書房
¥5,280(税込)
琉球王国時代に沖縄で生まれた空手の、初めての本格的な歴史書とされる一冊です。琉球王国の成り立ちや大和との交流、大和手、明・清との交流と中国武術、海の武装商人や倭寇、琉球王国の軍事力、そして侵攻までを視野に入れ、空手が武術として形づくられる前史から描きます。「ヒキについての私考」のような著者自身の考察も収録され、詳細な歴史年表が付いています。
こんな人におすすめ
空手の流派を超えて源流を知りたい人、沖縄の歴史と武術を重ねて読みたい人、指導者として成り立ちを説明したい人。歴史年表を手がかりに、時代を追いながら確かめたいときに。
良い点
- 沖縄空手の歴史を初めて体系化
- 詳細な歴史年表付き
- 中国武術や交易の文脈から描く
気になる点
- 価格が高く学術書寄り
- 技の解説を求める人には不向き
- 前提となる歴史の知識が要る
出版社
原書房
発売日
2011年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
空手の歴史の本って、意外と少ないんですか?
佐藤メバル
この本は、琉球王国時代に沖縄で誕生した空手についての初めての歴史として出されたものでね。大和との交流、大和手、明や清との交流と中国武術、海の武装商人、倭寇、琉球王国の軍事力、そして侵攻まで、武術が形になる前の風景から描いている。
詳細な歴史年表も付いていて、調べものにも使えるんだ。
橘ナナミ
武術の前に、貿易や海賊の話から入るのが面白いですね。
佐藤メバル
空手は島の政治と交易の中で育ったからね。著者の私考として「ヒキ」についての考察を挟んでいるのも読みどころ。
流派の稽古とは別に、自分のやっている武術の来歴を知りたい人に効く一冊だよ。
義珍の拳
今野敏 著|集英社
¥935(税込)
空手を本土に伝えた富名腰義珍の生涯を描く長編小説です。琉球の下級武士の家に生まれた義珍が、かつて武家の秘伝だった唐手を教育に取り入れることを考え、古伝の精神を本土へ広めようと努めた軌跡を追います。小説だからこそ、資料では埋まらない人物の迷いや熱が立ち上がる。歴史書で骨格を押さえたあとに読むと、同じ出来事がまるで違って見えます。
こんな人におすすめ
空手の歴史を人物から感じたい人、技術書や歴史書に少し疲れた人、小説として武術家の生涯を読みたい人。富名腰義珍の人生を物語として追いかけたいときに。
良い点
- 空手普及の起点を小説で追体験できる
- 人物の内面が丁寧に描かれる
- 押井守さんの解説を収録
気になる点
- 史実の確認には別の資料が要る
- ノンフィクションを求める人には不向き
- 技術的な内容は含まれない
出版社
集英社
発売日
2009年05月25日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
小説が一冊入るんですね。『義珍の拳』って、あの船越義珍さんのことですか?
佐藤メバル
そう、空手を本土に伝えた富名腰義珍の生涯を描いた長編だね。琉球の下級武士の家に生まれて、かつて武家の秘伝だった唐手を教育に取り入れようと考え、古伝の精神を本土へ広めようと努めた。
その人が何に悩んだかが、資料だけでは見えてこない形で書かれている。
橘ナナミ
歴史の本と小説、両方読むとやっぱり違いますか?
佐藤メバル
まるで違うよ。年表で押さえた出来事に体温が入るから、次に史実を読んだときの解像度が上がる。解説を押井守さんが書いているのも嬉しいところ。
空手の本を何冊か読んだあとに、息抜きがてら手に取るのがおすすめだね。
有信館剣道(神道無念流)の歴史と文化
内藤常男 著|ブックウェイ
¥1,870(税込)
戦前の民間剣道場・有信館から生まれた中倉範士九段は、昭和の武蔵とも異名され、70〜80代になっても全日本チャンピオンクラスを圧倒し続けたとされます。その強さと異色さの源泉を、有信館を創建した根岸信五郎、最後の武芸者と称される中山博道にも求め、自由闊達な身心技法の特徴を抽出。力とスピードに傾斜する現代剣道との違いを浮かび上がらせています。
こんな人におすすめ
剣道の競技化にどこか違和感を持つ人、年齢を重ねても強さを保ちたい人、稽古の考え方を見直したい指導者。生涯スポーツのルーツを剣道の歴史から探したいときに。
良い点
- 中倉範士の強さの背景を掘り下げる
- 根岸信五郎・中山博道まで射程に入れる
- 現代剣道との違いを明確にする
気になる点
- 有信館という特定流派の話が中心
- 現代の試合技術を求める人には不向き
- 剣道経験がないと前提が掴みにくい
出版社
ブックウェイ
発売日
2018年09月02日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「昭和の武蔵」って、すごい呼び名ですね。
佐藤メバル
中倉範士九段のことだね。戦前から戦後にかけて、剣道界で抜群の強さと実績を誇った人で、70代、80代になっても全日本チャンピオンクラスを圧倒し続けたと伝えられている。
この本は、その強さと、剣道界では異色とされた理由を、有信館という道場の身心技法から解き明かそうとしているんだ。
橘ナナミ
年を取っても強かった、というのが気になります。普通は体力が落ちますよね。
佐藤メバル
そこに自由闊達な稽古の源泉があると著者は見ている。根岸信五郎、中山博道といった人たちの系譜をたどりながら、生涯スポーツのルーツが戦前の有信館にあったと論じている。
力とスピードに頼る稽古に疑問を持ったときに読むと、考え方が変わるよ。
相伝 国士舘剣道
氏家道男 著|講談社
¥3,300(税込)
創立以来100年にわたり受け継がれてきた国士舘剣道の技と心を、豊富な写真と付録映像で公開する一冊です。「大きく」「正しく」「烈しく」「強く」という4つの軸で章が分かれ、基本の握りや足さばきから、一本打ち・連続技・払い技・引き技・出ばな技といった技の理合い、稽古法、年齢を重ねて結果を出す考え方までを扱います。森島健男範士の証言や全日本選手権・世界選手権を制したOBの言葉も収録。
こんな人におすすめ
試合と昇段審査の両立に悩む人、基本を徹底して組み直したい人、生涯剣道をどう続けるか考えている人。国士舘の稽古メニューを眺めながら、自分の稽古を組み替えたいときに。
良い点
- 基本から試合・審査まで一貫して学べる
- OB選手の証言を多数収録
- 付録映像で模範演技を確認できる
気になる点
- 大学剣道の色が強く独学には重い
- 実践には道場の仲間が必要
- 映像を見る環境が前提になる
出版社
講談社
発売日
2020年05月15日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
100年分の稽古が一冊に入るって、なかなかすごいことですよね。
佐藤メバル
しかも「大きく」「正しく」「烈しく」「強く」と章が分かれていて、それぞれが基本の確認になっている。たとえば大きくの章では、竹刀の握り方、手の内、足さばき、正面の素振り、面・小手・胴・突きの打ち方と順番に積み上がっていく。
徹底的に基本を繰り返すという国士舘の姿勢が、そのまま目次になっているんだ。
橘ナナミ
OBの人の証言も入っているんですね。読んでみたいです。
佐藤メバル
森島健男範士をはじめ、全日本選手権や世界選手権を制した人たちの言葉が並んでいる。試合で勝つことと昇段審査に合格すること、その両立は永遠のテーマだけど、この本は稽古メニューと映像の両方から答えようとしてくれるよ。
剣道 一本を取るための 「体づくり」 実戦力向上トレーニング
高橋健太郎 著|メイツ出版
¥1,848(税込)
柔軟性を高めてしなやかで大きな動きを実現し、認知・判断力を上げて反応スピードを伸ばし、ケガ防止と疲労回復のコンディショニングまでを扱うトレーニング本です。監修者は全日本剣道連盟の強化訓練講習会に携わる立場で、トレーニングは稽古を最大限効率よく行う体をつくるためにあると明言しているのが誠実。剣道の動作と結びつかなければ効果は半減するという指摘も、他の体づくり本との違いです。
こんな人におすすめ
怪我で稽古を休みがちな人、スタミナ切れで試合の後半に崩れる人、指導者として補強メニューを組みたい人。稽古を休まないための体づくりとして読みたいときに。
良い点
- 柔軟性・反応・コンディショニングを網羅
- 競技動作との結びつきを重視
- 指導者向けの視点も豊富
気になる点
- 技そのものの上達本ではない
- 自分でメニューを組む必要がある
- 競技レベルによって必要度が変わる
出版社
メイツ出版
発売日
2022年08月31日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
体づくりの本って、筋トレすれば強くなる、みたいな話かと思ってました。
佐藤メバル
この本は逆でね。監修者は「トレーニングによって強い剣士が育つとは思っていない」と書いている。むしろ上達には稽古しかないと考えていて、トレーニングは怪我しにくい体をつくり、稽古を最大限効果的にするためのものだと位置づけているんだ。
橘ナナミ
じゃあ筋力だけ上げても意味がない、ということですか?
佐藤メバル
獲得した運動能力が踏み込みや足捌き、打突と結びつかなければ効果は半減する、とまで言っている。だから柔軟性、認知・判断力、コンディショニングという順番で、剣道の動きに効く形で紹介している。
休まず稽古を続けたい人ほど読む価値があるよ。
洞察と戦略で勝つ! 剣道
鈴木剛 著|誠文堂新光社
¥1,540(税込)
剣道は競技色が強くないため、試合に勝つことを目的にした教本が多くないなかで、打突そのものではなく、技を出すまでの過程や状態、考え方、相手との駆け引き、戦略を扱った一冊です。著者の鈴木剛さんは過去に全日本剣道選手権を制した千葉県警の剣士。シチュエーション別に、相手を制し崩し、読みを外して一本に結びつける道筋を解説し、一本を先取された苦しい局面の立て直しにも触れています。
こんな人におすすめ
試合で実力が出し切れない人、有段者として勝ち筋を考えたい人、指導者として試合の組み立てを教えたい人。先取された場面の考え方まで知りたいときに。
良い点
- 駆け引きと戦略に特化している
- 全日本制覇者の経験に基づく内容
- 劣勢の局面まで言及する
気になる点
- 打突技術の解説は含まれない
- 基本が未熟だと活かしにくい
- 試合志向でない人には不要かも
出版社
誠文堂新光社
発売日
2018年01月10日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
剣道って「勝つことだけが目的じゃない」と言われる競技なのに、戦略の本が出ているのが面白いですね。
佐藤メバル
そこを著者も認めていてね。剣道は競技色が強くないから、勝つための教本が他の武道より少ない。でも技を出すまでの過程や状態、駆け引き、戦略を学ぶことは、剣道を深く理解することにつながるという立場なんだ。
著者の鈴木剛さんは全日本剣道選手権を制した千葉県警の剣士だよ。
橘ナナミ
先に一本取られちゃったときの話も書いてあるんですか?
佐藤メバル
書いてある。相手の剣道を読み、裏をかいて一本に結びつける考え方にまで触れている。劣勢からの組み立ては、勝っているときより難しいからね。
試合に出ている人ほど、読みながら線を引きたくなる一冊だと思う。
全日本剣道選手権者の稽古
剣道時代編集部 著|体育とスポーツ出版社
¥1,980(税込)
全日本選手権をはじめ各種大会で栄冠を手にした4名の剣士、高鍋進・寺本将司・原田悟・近本巧が実践する稽古法を収録した一冊です。素振り、切り返し、打ち込み稽古、かかり稽古、追い込み稽古、技の開発、そして残り30秒の局面設定まで、一人ひとりの言葉で語られる稽古の中身が並びます。巻末には第51回全日本剣道選手権大会での近本巧の6試合の攻防も再録されています。
こんな人におすすめ
稽古の質を上げたい高校生・大学生、素振りや切り返しの意味を問い直したい人、指導者として練習メニューに悩む人。トップの稽古法を自分の道場に持ち帰りたいときに。
良い点
- 4人の稽古法を本人の言葉で収録
- 切り返しや素振りの着眼点が具体的
- 試合の攻防の再録付き
気になる点
- 基本技術の手順説明はない
- 前提となる稽古量が必要
- 競技志向でない人には遠い内容
出版社
体育とスポーツ出版社
発売日
2015年10月31日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
素振りとか切り返しって、地味なイメージがあるんですけど、そこにページを割くんですね。
佐藤メバル
むしろそこが核心だよ。たとえば原田悟さんは「一本目の素振りと百本目の素振りが変わらないように気をつけている」と語っている。
寺本将司さんは稽古の8割が基本稽古の繰り返しで、その基本が技を生み出すと考えている。同じ基本でも着眼点が人によって違うのが読んでいて面白いんだ。
橘ナナミ
同じことをやっていても、意識が違うと別の練習になるんですね。
佐藤メバル
その通り。高鍋進さんは攻め崩しを意識して単調なリズムで打ち込まないようにする、近本巧さんは左足裏の湧泉に体重を載せて打てる構えをつくる。
巻末には近本さんの全日本選手権6試合の攻防も再録されているから、稽古と試合がつながって見えてくるよ。
ボクシングと大東亜
乗松優 著|忘羊社
¥2,420(税込)
復興期の日本を熱狂させたボクシング興行を入口に、見果てぬアジアへの夢を託した男たちを描く、もうひとつの昭和史です。鉄道王・小林一三の実弟で「聖地」後楽園を率いた田辺宗英、フィリピン人興行師ロッペ・サリエル、正力松太郎、岸信介らが入れ替わり、東洋選手権が戦後処理に先駆けて関係修復に寄与していく。テレビ史上最高視聴率96%を記録した白井義男戦の熱も、資料と証言から立体的に浮かびます。
こんな人におすすめ
スポーツと政治の関係に関心がある人、昭和の興行史やメディア史を読みたい人、白井義男や金子繁治の時代を知りたい人。年表と巻末資料を手がかりに、時代を追いたいときに。
良い点
- 証言と資料に基づく濃密な記述
- 年表と巻末資料を収録
- スポーツ史と政治史を横断する
気になる点
- 読むのに相当な集中力が要る
- ボクシング技術の話は出てこない
- 昭和史の前提知識があると読みやすい
出版社
忘羊社
発売日
2016年06月22日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ボクシングの本なのに、正力松太郎さんや岸信介さんの名前が出てくるのが不思議です。
佐藤メバル
そこがこの本の独自さでね。復興期の日本のボクシング興行に、見果てぬアジアへの夢を託した男たちが集まっていた。
後楽園を率いた田辺宗英、フィリピン人興行師のロッペ・サリエル、そしてメディアと政治の側の人間が入れ替わり立ち替わり登場する。
もうひとつの昭和史として読めるんだ。
橘ナナミ
東洋選手権って聞き慣れないんですけど、どんな位置づけだったんでしょう?
佐藤メバル
戦争犯罪が裁かれ、賠償交渉が難航する時期に全盛期を迎えた興行で、政府ですら手が着けられないほど傷ついた信頼の回復を、民間レベルで後押ししたと著者は見ている。
白井義男の試合がテレビ史上最高視聴率96%を記録したという記述からも、当時の熱が伝わってくるよ。
証言 UWF「道場」の光と影
藤原喜明 著|双葉社
¥1,980(税込)
伝説として語り尽くされてきたUWFの、これまで触れられてこなかった「道場」に焦点を当てた証言集です。第一次UWF道場で「最強」を試した実験室の内実を佐山聡さんと藤原喜明さんが語り、新生UWF道場の自由と無秩序、強さの追求が生んだ代償を鈴木みのるさんや船木誠勝さんらが証言します。デビューを目指しながら夢破れた人の言葉まで収めているのが、他の回想本と決定的に違うところです。
こんな人におすすめ
UWFに憧れた人、格闘技とプロレスが交わった時代を知りたい人、道場という場所の意味を考えたい人。選手と挫折した人の両方の証言を読み比べたいときに。
良い点
- 当事者の証言を立場を分けて収録
- 未公開の道場の内実に迫る
- 第一期と新生の両方を扱う
気になる点
- 予備知識がないと人名が追いにくい
- 技術書ではなく人間の記録
- 重い内容が続く
出版社
双葉社
発売日
2026年09月16日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
UWFって名前は聞いたことがありますけど、道場に焦点を当てた本は珍しいんですか?
佐藤メバル
珍しいどころか、これまでほとんど語られてこなかった領域だね。だから「証言」という形を取っている。第一次UWF道場を「最強」を試した実験室として佐山聡さんと藤原喜明さんが語り、新生UWF道場の自由と無秩序、強さの追求が生んだ代償を、山崎一夫さんや中野巽耀さん、船木誠勝さん、鈴木みのるさんたちが証言している。
橘ナナミ
デビューを目指しながら夢破れた人、という紹介が気になりました。そこまで聞くんですね。
佐藤メバル
そこがこの本の誠実さだと思う。青春と憎悪が同居していたという言葉どおり、立場の違う男たちの証言を並べることで、あの場所の光と影が立体的に見えてくる。
肉体と技術がどんな練習から生まれたのかも、生々しい言葉で残されているよ。
落城 実録 全日本女子プロレス「熱狂」と「極悪」の37年史
伊藤雅奈子 著|宝島社
¥1,999(税込)
Netflix『極悪女王』のモデルとなった全日本女子プロレス興業の、1968年の創始から解散までの37年を描くノンフィクションです。マッハ文朱、ビューティ・ペア、クラッシュ・ギャルズと極悪同盟、団体対抗戦と、4度のブームを巻き起こし、170人以上の選手を輩出した団体が、なぜ37億円もの借金を背負って解散したのか。創業者の松永4兄弟の姪である影かほるの視点から綴られます。
こんな人におすすめ
『極悪女王』を見て当時の団体を知りたくなった人、女子プロレス黄金期の裏側を読みたい人、興行と経営の両面に関心がある人。創始から解散までを一本の線で追いたいときに。
良い点
- 創始から解散までを一冊で追える
- 関係者の視点から内幕に迫る
- 4度のブームを時代ごとに描く
気になる点
- 興行と経営の話が中心になる
- 選手名の予備知識があると読みやすい
- 重い内容が続く
出版社
宝島社
発売日
2026年10月29日頃
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
37年で4度もブームが来て、170人以上も選手が出て、それでも解散したんですか。
佐藤メバル
そこがこの本の核心だね。マッハ文朱さん、ビューティ・ペア、クラッシュ・ギャルズと極悪同盟、団体対抗戦とブームを重ねながら、最終的には37億円もの借金を背負って団体が終わる。
なぜ勝ち続けても残らないのかという問いが、興行の裏側から描かれているんだ。
橘ナナミ
創業者の松永4兄弟の姪、という立場の人が書いているのが気になります。身内の視点ってことですよね。
佐藤メバル
そう。影かほるさんという内側の視点から綴られているから、外から見た熱狂と、中の人の実感が重なってくる。
Netflixの『極悪女王』を見て「あの団体は何だったのか」と思った人が、その続きとして読むのに向いているよ。
名著の技術的見どころと、挫折しない読む順番
橘ナナミ
名著と呼ばれる本ほど、どこを読めばいいのか分からなくなりそうで。『五輪書』なんて、いきなり読んで大丈夫ですか?
佐藤メバル
そこは翻訳と解説の助けを借りるのが賢い。草思社の文庫版は吉田家伝来の書を底本にした原典に忠実な現代語訳で、武蔵の言葉そのものに触れられる。一方で魚住孝至さんの『NHK「100分de名著」ブックス 宮本武蔵 五輪書』は、武者修行という当時の事情から説き起こして、「敵を知る(相手の立場に立つ)」といった読みどころを懇切に整理してくれる。原典と解説の二段構えが、いちばん挫折しにくい。
橘ナナミ
先に解説、後で原典でもいいんですか?
佐藤メバル
もちろん。むしろそちらのほうが入りやすい。同じことは技術書にも言えて、たとえば『キャッチアズキャッチキャン入門』は、現在のプロレスの源流とされる組み技系格闘技を精密な分解写真で追う構成になっている。写真を1枚ずつ見ていくだけで、腰の位置や相手との角度の作り方が見えてくる。文字を追うより、写真の順番を追うほうが技術書は速いことも多いんだ。
買って後悔しないために——失敗パターンと回避策
橘ナナミ
逆に、買って後悔しちゃうパターンってあります?
佐藤メバル
よくあるのは三つ。ひとつは、観戦を楽しみたいだけなのに競技者向けの技術書を買ってしまうパターン。二つめは、動画つきの教則本を買って紙面を読まずに終わるパターン。映像が長くても、見終わったあとに紙面の写真で止めて確認しないと身体には入らない。三つめは、絶版の本をいきなり高値で買ってしまうパターン。まず図書館や読み放題で内容を確かめてから、手元に置くと決めて買う。順番を変えるだけで無駄遣いはかなり減るよ。
橘ナナミ
あ、それ私やりそう。ジャケット買いしちゃいます。
佐藤メバル
表紙がいい本は、それだけで手に取る理由になる。ただ、格闘技の本は「読む前に身体が動くか」が肝心だから、目次で稽古に直結する章があるかを先に確認するといい。
読了後、稽古と観戦にどうつなげるか
橘ナナミ
読んだあと、どう活かせばいいんでしょう。読んで満足しちゃいそうで。
佐藤メバル
おすすめは、読んだ章をその週の稽古にひとつだけ持ち込むこと。『剣道 一本を取るための「体づくり」』なら、しなやかさや反応スピードの項目から一つ選んで、素振りの前に試す。『おうちで居合道』は、その名のとおり自宅でできる柔軟運動や体捌きから順に並んでいるから、道場に行けない日でも読んだ内容をそのまま身体で確認できる。観戦派なら、試合を見ながら「この組み手は何を狙っているのか」を本で照合する。これだけで画面の見え方が変わる。
橘ナナミ
読む→稽古→観戦、が一周するんですね。『少林拳術羅漢拳』みたいな写真中心の本も、同じ使い方でいいですか?
佐藤メバル
いいよ。あれは基礎技から套路、対練、練功まで実演写真で追える構成だから、ページをめくる順番がそのまま練習の順番になる。読む速度を稽古の速度に合わせるのがコツだね。
よくある質問
格闘技の本は初心者や未経験者でも役に立つ?
橘ナナミ
格闘技の本は初心者や未経験者でも役に立つについて教えてください。
佐藤メバル
役に立ちます。『剣道入門』や『柔道入門』のように、基礎知識から基本動作、応用動作、稽古法、試合へと段階を踏んで並べた入門書があり、写真と動画で確認しながら進められます。まずは自分が始めたい競技、あるいは観たい競技の入門書を1冊選ぶのがおすすめです。
動画QR付きの技術書があれば紙の本は不要?
橘ナナミ
動画QR付きの技術書があれば紙の本は不要について教えてください。
佐藤メバル
不要にはなりません。動画は動きの流れをつかむのに強く、紙面は止めて確認するのに強い。『総合格闘技 MMA』のようにQRコードで映像を補う本でも、なぜそう動くのかを写真と文章で確かめる役割は残ります。行き来するほうが結果的に上達は早いです。
Kindle Unlimitedで読める格闘技本はある?
橘ナナミ
Kindle Unlimitedで読める格闘技本はあるについて教えてください。
佐藤メバル
読み放題の対象作品は時期によって入れ替わるため、断定はできません。読み放題で内容を確かめて、手元に置きたい1冊を紙で買う使い分けが現実的です。同じ本でも形式によって使い道が変わると考えておくといいでしょう。
絶版になった名著はどうやって入手すればいい?
橘ナナミ
絶版になった名著はどうやって入手すればいいについて教えてください。
佐藤メバル
まず図書館や読み放題で内容を確かめ、それでも手元に欲しければ古書を探す流れが安全です。『杖道入門』のように新装版が出ている本は、そちらを選ぶと入手しやすく、価格の変動にも振り回されません。
格闘技観戦が面白くなる本はどれ?
橘ナナミ
格闘技観戦が面白くなる本はどれについて教えてください。
佐藤メバル
『ボクシングと大東亜』は興行と時代の関係を描いたノンフィクションで、リングの外側の物語が観戦の解像度を上げてくれます。技術面から見え方を変えたいなら、映像87分でパンチの意図まで追える『もっとも新しいボクシングの教科書』が効きます。
指導者やコーチにおすすめの本は?
橘ナナミ
指導者やコーチにおすすめの本はについて教えてください。
佐藤メバル
『東海大流 柔道勝利のメソッド』は投げ方ではなく組手争いや試合展開の設計を扱い、『相伝 国士舘剣道』は基本重視の稽古法と関係者の証言を収録しています。何を教えるかより、どう組むかを考える本が指導者の視野を広げます。
漫画から格闘技にハマるのはアリ?
橘ナナミ
漫画から格闘技にハマるのはアリについて教えてください。
佐藤メバル
アリです。ビジュアルや物語から入って技術書や評伝に進む流れは自然な導線です。『義珍の拳』のような評伝なら、空手が本土に伝わった経緯を物語として読めるので、文字の本への入口になります。
格闘技の本は何冊くらい、どの順番で読めばいい?
橘ナナミ
格闘技の本は何冊くらい、どの順番で読めばいいについて教えてください。
佐藤メバル
最初は1冊で十分です。入門書で全体像をつかみ、2冊目で目的に応じて技術書か歴史・評伝を選ぶ。3冊目に指導法や思想の本を足すと、同じ競技が立体的に見えてきます。
まとめ
橘ナナミ
今日の話、けっこう目からウロコでした。格闘技の本って、強い人が読むものだと思っていたんです。
佐藤メバル
全然そんなことない。観戦が好きな人、道場に通い始めた人、指導する立場の人、歴史として読みたい人。それぞれにちがう1冊がある。柔道ひとつとっても、入門書、勝利のためのメソッド、女子柔道の歴史、嘉納治五郎の思想研究と、入口はいくつもあるんだ。
橘ナナミ
まずは自分の目的をひとつ決めて1冊目を選ぶ。2冊目で、違う立場の人の視点を足す。それだけで同じ競技が立体的に見えてきそうですね。
佐藤メバル
そう。本は代わりに戦ってはくれないけど、自分の見えない角度から声をかけてくれるセコンドみたいなものだよ。まず1冊、リングサイドに置いてみることから始めよう。
