海外の子育てに関する本のおすすめ人気ランキング25選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
「子育て 本 海外」で検索したら、オランダ、フランス、フィンランド、アメリカ、スウェーデン…と国名だらけで、どれから読めばいいのか分からなくなってしまいました。
佐藤メバル
いいところに気づいたね。このテーマの本は大きく二つに分かれる。ひとつは外国の子育て文化を知るための読み物、もうひとつは海外で暮らしながら子育てする家庭のための実務書だ。同じ「海外の子育て」の棚に見えても、読む目的はまったく違う。
橘ナナミ
たしかに、『世界一幸せな子どもに親がしていること』と『海外で安心して子育てをする本』は、同じ棚に並んでいても別の本ですよね。
佐藤メバル
そう。書店員時代、その二つを漫然と一つの棚にまとめてしまって、お客さんを迷わせたことがある。目的が違う本は、並べ方から分けたほうがいい。今日はその整理をしよう。
橘ナナミ
はい、お願いします! 国別ランキングより、自分の状況から逆算する選び方が知りたいです。
海外の子育てに関する本の選び方
目的別で選ぶ
橘ナナミ
目的って、たとえばどんな分け方ですか?
佐藤メバル
言語教育、しつけ、アイデンティティ、生活実務、そして親自身のケア。言語なら中島和子『言葉と教育 海外で子どもを育てている保護者のみなさまへ』が、言語形成期の子を持つ家庭にまっすぐ効く。しつけの枠組みなら『フィンランド式 叱らない子育て』、アイデンティティなら松村亜里『世界に通用する子どもの育て方』、生活実務なら『海外で安心して子育てをする本』、親のケアなら『世界の子育てくらべてみたら、心がふわっとラクになった』だね。
年齢・発達段階で選ぶ
橘ナナミ
同じ家庭でも、子どもの年齢で読む本は変わりますか?
佐藤メバル
変わる。0〜3歳は生活リズムの作り方、就学前は「何をして、何をしなくていいか」の判断。エミリー・オスターの二冊はどちらも就学前が主戦場で、判断の材料をデータで示してくれる。小学生以降なら船津徹『世界標準の子育て』が段階ごとに整理されている。思春期の親の関わり方は、鷹松弘章『世界基準の子育てのルール』のように親の側の指針を扱う本が助けになる。
言語別で選ぶ——原書か邦訳か
橘ナナミ
原書と邦訳、どっちがいいんでしょう?
佐藤メバル
英語で書かれた『Bringing Up Bébé』は原書で読める。ただ邦訳の世界は少し複雑で、パメラ・ドラッカーマンの『フランス人は子どもにふりまわされない』は、同じ著者の本の実践編にあたる位置づけだ。原書は著者の温度がそのまま伝わるが、読む速度は落ちる。まず邦訳で骨格をつかんでから原書に戻る読み方が現実的だよ。
形式別で選ぶ——研究か、ハウツーか、体験か
佐藤メバル
エビデンスの強さで選ぶのも手だ。データ重視ならオスター、脳科学や心理学の知見を短く使いたいなら星友啓『「ダメ子育て」を科学が変える!』、今日から使う言葉が欲しいなら『アメリカ式子育てマジックフレーズ』、息抜きなら織田博子『世界の子育てくらべてみたら、心がふわっとラクになった』のようなコミックエッセイ。
入手性で選ぶ
橘ナナミ
海外に住んでいると、そもそも手に入りにくいですよね。
佐藤メバル
だから入手性は立派な選書の軸になる。現地の書店で買える原書、電子版ですぐ読めるもの、一時帰国でまとめ買いする邦訳、補習校や図書館で借りる。日本のAmazonで買って現地で受け取る手もある。『海外で安心して子育てをする本』のように英文母子手帳を収録した実務書は、紙で手元に置く価値がある。
居住形態で選ぶ——駐在か、移住か
橘ナナミ
駐在と移住でも違いますか?
佐藤メバル
違う。数年で帰る前提なら、帰国後の進路から逆算する本と、現地の学校・医療の実務書をセットで。長期で暮らすなら、現地の文化に親子で馴染むための本、たとえば各国の子育てを比べた『世界の子育てとっておきの知恵650』のような本が長く効く。この二つは混ぜずに、別々の棚として持っておくといい。
海外の子育てに関する本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、25冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
海外の子育てに関する本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい

Bringing Up Bébé: One American Mother Discovers the Wisdom of French Parenting (English Edition)
PamelaDruckerman 著|Penguin Books
アメリカ人ジャーナリストのパメラ・ドラッカーマンが、パリで子育てをするなかで気づいたフランスの子育てを、3年かけて取材・検証した一冊です。2、3か月で夜通し眠る、煮たリーキを食べる、親がコーヒーを飲む横で一人で遊ぶ——それでも子どもは活発で好奇心旺盛。おむつバッグにノートを忍ばせて調べに出た著者の、温かくユーモラスな語り口が魅力です。この英語版には『Bébé Day by Day: 100 Keys to French Parenting』も併録され、日本語の実践編とは役割が異なります。
こんな人におすすめ
英語の原書でフランス式子育ての論点をじっくり追いたい人、育児書を最後まで読み切れないタイプの読者、そして文化の違いから自分の子育てを見直したい親。パリでの観察記録としても読み物としても引き込まれます。
良い点
- 育児ルポとして読み物として面白い
- 3年の取材に基づく具体的な観察
- 100のキーが併録された英語版
気になる点
- 英語のため読むのに気力が要る
- 日本の制度とは前提が異なる
- やや断定的なフランス像
出版社
Penguin Books
発売日
2014年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
え、これ英語の本なんですか?『Bringing Up Bébé』って、タイトルだけは聞いたことがある気がします。
佐藤メバル
そう、パリで子育てを始めたアメリカ人ジャーナリストが書いた原書です。2、3か月で夜通し眠る、煮たリーキを食べる、親がコーヒーを飲んでいる横で一人で遊ぶ。
それでいて子どもは活発で好奇心が強い。なぜ? とノートを持って調べに出た記録なんです。3年かけた取材で、これが全米で論争を呼びました。
橘ナナミ
日本だと、夜泣きで寝られないのが当たり前みたいに言われますよね。同じ本の日本語版って、この後にも出てきます?
佐藤メバル
出てきますよ。ただ、そちらは実践編として100のポイントに絞った形です。こちらは原書の英語版で、『Bébé Day by Day』も併録されているので、著者がどう考え、どう戸惑ったかまで追えます。
読む気力は要りますが、その分、景色が変わります。

世界一幸せな子どもに親がしていること
リナ・マエ・アコスタ 著|日経BP
¥1,760(税込)
ユニセフの子どもの幸福度調査で1位になったオランダ。塾も習い事も宿題もなく、赤ちゃんは早くに夜通し眠り、10点満点中6点で希望の大学に進める——それでもOECDの学力調査では読解・数学・科学で上位です。アメリカ人のリナとイギリス人のミッシェルという2人の著者が、オランダで子育てをしながらその違いを体当たりで調べた一冊。心配しすぎず、比べず、先取りもしないという「オランダメソッド」を、朝食のチョコレートふりかけのような具体場面で描きます。
こんな人におすすめ
「もっと頑張らせなきゃ」と焦りがちな親、習い事や塾の量で迷っている人、そして勉強と幸福は両立するのかという問いに、抽象論ではなく具体例で答えがほしい読者。就学前から小学生の子を持つ家庭に向きます。
良い点
- 驚きの具体例が豊富で読みやすい
- 幸福度と学力の両立を具体的に提示
- 著者2人の当事者目線
気になる点
- オランダの社会制度前提の部分がある
- 日本の受験環境と差が大きい
- 項目が多くやや情報過多
出版社
日経BP
発売日
2018年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
オランダって、塾も宿題もないのに学力が上位なんですよね。それって、いい話に聞こえすぎません?本当なのかなって疑ってしまうんですけど。
佐藤メバル
いい質問だね。この本は、それを“理想論”で終わらせずに、生活の細部で説明しているんです。朝ごはんはパンにチョコレート、夕食は作り置きか残り物。
プレゼントは手づくりか10ユーロ以下。その質素さの中で、子どもは自分で遊びを考える。著者はアメリカ人とイギリス人で、オランダ人ではありません。
外から驚いた側の目で書いているのが強みです。
橘ナナミ
外から見た人が書いてるんですね。だったら、私みたいに海外の子育てに詳しくない読者も、同じ目線で読めそうです。
佐藤メバル
そこが読みやすいところです。ただ、オランダの制度があってこその部分もあるので、そのまま日本に置き換えると無理が出ます。
考え方を持ち帰るつもりで読むと、ちょうどいい距離感になりますよ。

オランダ人のシンプルですごい子育て (日経ビジネス人文庫)
リナ・マエ・アコスタ 著|日経BP 日本経済新聞出版
¥990(税込)
同じ著者によるオランダ式子育ての文庫版です。「手をかけすぎない」という芯はそのままに、質素ながら豊かな暮らし方から描き直した構成で、ママ友を家に呼ばない、おもちゃも洋服もリサイクルが基本、ルールは自転車で学ばせる——といった生活習慣の具体が並びます。単行本版が「なぜオランダの子どもは幸せか」を広く見渡すのに対し、こちらは章立てが暮らし寄りで、通勤や寝る前の細切れ時間に読み進めやすい。
こんな人におすすめ
まずは手軽にオランダ式子育ての輪郭をつかみたい人、暮らしの質素さと幸福度の関係に関心がある人、単行本は重いと感じた読者。寝る前や通勤の合間に少しずつ読み進めたい人にも向いています。
良い点
- 文庫で持ち歩きやすい
- 生活習慣の具体例が中心
- 章立てが暮らしに寄っている
気になる点
- 単行本版と内容が重なる
- 制度面の説明は薄め
- 図版や写真は限られる
出版社
日経BP 日本経済新聞出版
発売日
2025年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
あれ、これさっき紹介したオランダの本と同じ著者ですよね。内容も似てるのに、両方読む必要ってあるんですか?
佐藤メバル
そこは正直に言っておきます。テーマは重なります。ただ、こちらは文庫版で、焦点は「シンプルな暮らし」のほうなんです。
モノを買い足さない、家に人を呼びすぎない、リサイクルを基本にする。子育ての技術というより、生活の設計の話に寄っている。
だから、まず文庫で全体像をつかんで、もっと掘りたくなったら単行本、という順番でもいいと思います。
橘ナナミ
なるほど、いきなり両方そろえなくていいんですね。少し安心しました。
佐藤メバル
そうそう。この文庫版は、暮らしの話として読むと面白いんですよ。プレゼントは手づくりか10ユーロ以下、という習慣ひとつとっても、モノを増やさないことが子育ての余白になるという発想が見えてきます。
まず1冊、と決められない人にはこちらからおすすめします。

フィンランド式 叱らない子育て―――自分で考える子どもになる5つのルール
ベン・ファーマン 著|ダイヤモンド社
¥1,372(税込)
「なぜそんなことしたの!」「ダメ!」と叱っても問題は解決しない——本書はその前提から始まります。問題を起こした子ども自身、理由がわかっていないことがほとんどで、禁止しても望ましい行動にはつながりません。そこで効果的な褒め方、行動を促す方法、大人同士が足並みをそろえる協力、困難を乗り越える手助け、そして叱る代わりにどう支えるかという5つのルールに整理します。152ページと短く、持ち帰りやすい構成です。
こんな人におすすめ
つい声を荒げて自己嫌悪になる親、夫婦でしつけの方針がずれて困っている人、短い時間で具体策を持ち帰りたい読者。子どもの年齢が幼児から小学生くらいまでの家庭で使いやすい内容です。
良い点
- 152ページで読み切れる
- 叱る以外の選択肢が具体的
- 大人同士の協力に触れている
気になる点
- 事例の分量は多くはない
- 北欧の制度説明は最小限
- 年齢別の細かい対応は薄め
出版社
ダイヤモンド社
発売日
2013年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
“叱らない子育て”って、しつけを放棄するのとは違いますよね?そこがいちばん引っかかっていて、手が出せずにいました。
佐藤メバル
そこですよね。この本が言うのは、叱るのをやめる代わりに、望ましい行動のほうを教えるということ。
たとえば褒め方の設計や、行動を促す声かけ、親同士が違うことを言わないためのすり合わせ。叱るエネルギーを、別の場所に振り分けるイメージです。
橘ナナミ
叱るエネルギーを振り分ける、か。感情的になる回数を減らす話なら、私にもできそうな気がしてきました。
佐藤メバル
その感覚でいいと思います。5つのルールのうち、どれかひとつだけ意識するのでも変わります。ただ、フィンランドの制度そのものを解説する本ではないので、仕組みを知りたい人には物足りないかもしれません。
家庭の中で今日から使える言葉を探す本として読むのが向いています。

スウェーデンに学ぶ「幸せな子育て」子どもの考える力を伸ばす聴き方・伝え方 (単行本)
岸田雪子 著|三笠書房
¥2,612(税込)
世界で注目される親支援プログラム「ポジティブ・ディシプリン」と発達心理、そして伝えるプロの経験を掛け合わせた一冊です。核になるのは親の声かけ。「大丈夫?」ではなく「どうしたの?」と聞く、結果や能力ではなく「やったこと」をそのまま認める、「禁止する」ではなく「こうしてほしい、なぜなら…」と具体的に伝える。240ページに場面ごとのケーススタディが並び、「この一言、なんて言えばいい?」に答えてくれます。
こんな人におすすめ
毎日の声かけを具体的に変えたい親、子どものSOSに気づけないと不安な人、カウンセリング的な関わり方を学びたい読者。未就学児から思春期前ごろまでの子を持つ家庭に向きます。
良い点
- 言い換え例が豊富
- ケーススタディ中心で実用的
- 自己肯定感の育て方が具体的
気になる点
- 価格はやや高め
- 北欧の制度解説は少ない
- 読んで実践する手間は要る
出版社
三笠書房
発売日
2021年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
“無条件キャッチ”っていう聴き方、なんか響きます。条件つきで褒められてきた自覚があるので、余計に刺さりました。
佐藤メバル
いいところに目をつけたね。この本の良いのは、抽象語で終わらせず、実際の言い回しまで下ろしてくれるところです。
「大丈夫?」と聞かれると、子どもは「大丈夫」と答えざるを得ない。だから「どうしたの?」と聞く。たった一語の違いですが、SOSを拾えるかどうかはそこで決まります。
橘ナナミ
たしかに“大丈夫?”って、答えを誘導してますもんね。自分が言われたら、大丈夫って答えるしかない。反省します。
佐藤メバル
気づけた時点で、もう半分は変わっていますよ。この本は「結果」や「能力」ではなく「やったこと」をそのまま認める、という言い方も具体的に示してくれます。
禁止ではなく、こうしてほしいと理由まで伝える。指示の形を変えるだけで、子どもの受け取り方はかなり違ってきます。

世界一子どもが幸せな国に学ぶ愛をもって見守る子育て ~わが子を「かまう」から「寄りそう」へ~
リヒテルズ直子 著|カンゼン
ユニセフの子ども幸福度調査でオランダが1位を取ったことを受けて書かれた、6歳までに親ができることをまとめた一冊です。鍵は3つ——困ったときに自ら助けを求められる「自立の心」、心が満たされると優しくなれる「安心の心」、思いやりをもって友だちと接する「共感の心」。塾なし・宿題なしでも学力は十分という前提のもと、「わかるまで教える」教育の基本や、毎日の親子の会話を具体例つきで紹介します。
こんな人におすすめ
未就学児の親、つい先回りして手を出してしまう人、自立と安心の両立に悩む読者。6歳までに親ができることを整理したい人、日本の悩みに引きつけて読みたい人に向きます。
良い点
- 6歳までに絞った構成
- 3つの鍵で整理されている
- 日本の悩みにも答える構成
気になる点
- タイトルが似た類書が多い
- オランダ研究者の視点が中心
- 実践の細部はやや粗い
出版社
カンゼン
発売日
2014年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
“かまう”と“寄りそう”って、何が違うんでしょうか?どちらも愛情から来てるように見えるんですけど。
佐藤メバル
そこがこの本のいちばんおいしいところですよ。“かまう”は、こちらから手を出して先回りすること。“寄りそう”は、その子のペースを待ちながら横にいること。
オランダでは親が答えを先に言わず、「わかるまで教える」が基本とされます。手をかける量は減るのに、心の距離は近い。
その逆説を、3つの心の育て方で説明しています。
橘ナナミ
手を出すのを減らすのに、心の距離は近くなる。難しいですけど、理想の形な気がします。そういう親になれたらいいなと思いました。
佐藤メバル
その願いを、章ごとに具体例へ落としてくれる本です。ただ、似たタイトルの本が本当に多いので、選ぶときは著者がオランダの何を見てきた人なのかを確認するといい。
この本は教育・社会事情の研究者の目から書かれているのが特徴です。

フランス人は子どもにふりまわされない 心穏やかに子育てするための100の秘密
パメラ・ドラッカーマン 著|CEメディアハウス
『フランスの子どもは夜泣きをしない』の著者パメラ・ドラッカーマンによる実践編です。赤ちゃん言葉を使わない、レストランで騒がない、野菜が好き——その背後にあるのは、赤ちゃんを無力な存在ではなく理性を持った一人の人間と見なすという考え方。192ページに100の秘密として畳んであり、辞書のように開いた項目から試せます。長いルポである原書と違い、こちらは拾い読みに向いた短編集です。
こんな人におすすめ
長い育児書が苦手な人、今日から一つだけ試したい人、食事や言葉づかいの場面で困っている親。パリに住む必要はないと明言されているので、日本にいながら試せます。
良い点
- 100項目で拾い読みできる
- コンパクトで実践的
- 住む国を選ばないと明言
気になる点
- 原書の英語版と内容が重なる
- 根拠の説明は簡潔
- 文化差の議論は浅め
出版社
CEメディアハウス
発売日
2015年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
これ、さっき出てきた英語の本とどう違うんですか?著者も同じに見えるし、内容も重なりそうです。
佐藤メバル
同じ著者ですね。原書は“なぜ?”を3年かけて追った取材記、こちらはそこで見つけた知恵を100項目に畳んだ実践編です。
たとえば「なぜフランス人は赤ちゃん言葉を使わないのか」「なぜレストランで騒がないのか」と、疑問が短く並ぶ。通勤中に1項目ずつ試せます。
橘ナナミ
100項目なら、私でも1つくらいは覚えられそう。まずどれから試すのがいいんでしょうか?全部やろうとすると挫折しそうです。
佐藤メバル
本書いわく、フランスに住む必要はないそうです。だから、いま困っている場面の項目から開くのがいちばん。
全部やろうとしないほうが続きますよ。子どもを無力な存在と見なさない、という前提だけ頭に置いておけば、あとは拾い読みで十分です。

世界標準の子育て
船津徹 著|ダイヤモンド社
¥1,210(税込)
日米で20年以上教育現場に関わり、4000名以上のアジア人の育成に携わってきた著者が、各国の子育ての理論と実践を1冊に体系化した本です。前半でアメリカ、イギリス、北欧、シンガポール、インド、中国、韓国などの教育の実情を並べ、後半は実践編として、社交性の育て方、絵本の読み聞かせ方、しつけのタイミング、習い事、つまずき対策、男女の育て方の違い、思春期の向き合い方まで整理します。エリート養成ではなく、地頭と粘りと社交性を育てるのが狙いです。
こんな人におすすめ
子育ての方針を1冊で決めたい人、年齢が上がるにつれての対応まで見通したい親、国際的な視点を持ちたい読者。読み聞かせや習い事、思春期の向き合い方までまとめて確認したい人に向きます。
良い点
- 国別比較と実践編の二部構成
- 年齢ステージ別に整理
- 悩み別の解決策が付く
気になる点
- 主張がやや強め
- 各国の記述はやや駆け足
- 価値観の押しつけ感は人による
出版社
ダイヤモンド社
発売日
2017年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
“世界標準”って言葉、ちょっと強そうですけど、これってエリートを育てるための話なんですか?身構えてしまうんですけど。
佐藤メバル
そこは誤解されやすいところで、著者自身が「エリートにするための本ではない」と書いています。狙いは地頭の良さ、あきらめない心、社交性。
前半で各国の教室の実情を並べ、後半で読み聞かせ方やしつけのタイミングを具体的に落とす。だから“世界標準”というより、各国の知恵を日本の家庭用に編集した本、という読み方が近いです。
橘ナナミ
各国の知恵を寄せ集めて体系化、か。辞典みたいに手元に置いて使えそうですね。読み聞かせのところから見てみたいです。
佐藤メバル
その使い方が合っています。ただ、前半の各国比較はどうしても駆け足なので、ひとつの国を深く知りたいなら別の本が要ります。
この本の価値は後半の実践編、つまり年齢ごとに何をすればいいかの整理にあります。

ブラウン大学経済学者で二児の母が実証した 世界標準の子育て大全
エミリー・オスター 著|PHP研究所
¥2,585(税込)
ブラウン大学の経済学者で二児の母でもある著者が、200以上のデータと自身の経験から「後悔しない子育て」を導いた一冊です。就学前に焦点を当て、ストレスを減らす家族の習慣、決断を誤らないための考え方、睡眠の最新知識、栄養と食事、共働きの現実、子離れの計画、スマホ・テレビ・ゲームの問題までを章立てで扱います。感覚ではなく根拠から選びたい人向けで、同じ著者による別の日本語版も出ています。
こんな人におすすめ
判断の根拠がほしい人、共働きで時間が限られている親、スマホや睡眠などの現代的な悩みに答えがほしい読者。就学前の子を持つ家庭で、方針を決める前に読む一冊です。
良い点
- 200以上のデータが土台
- 就学前に範囲を絞っている
- 共働きの章が具体的
気になる点
- 496ページで重い
- 米国の制度前提の話題がある
- 同じ著者の別版と重複する
出版社
PHP研究所
発売日
2024年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
“4つのF”って何なんですか?章のタイトルにいきなり出てきて、そこで止まってしまいました。気になってます。
佐藤メバル
決断を誤らないための枠組みとして著者が置いたもので、詳細は本文で説明されます。この本の面白さは、経済学者が子育ての定説をデータで選別していくところ。
睡眠や栄養、テレビ、習い事まで、根拠の強いものと弱いものが分けられていきます。育児書を信じ切れない人ほど刺さりますよ。
橘ナナミ
私は育児書を信じ切れない派です。逆に、同じ著者の本がもう1冊ありますよね?どっちを先に読むべきですか?
佐藤メバル
内容が重なる部分もあるので、まずはどちらか1冊からで十分です。こちらは就学前の論点を広く網羅するタイプ、もう1冊はQ&A形式で引きやすいタイプ。
通読するならこちら、必要な項目を引くならもう1冊、という選び方がわかりやすいと思います。

米国最強経済学者にして2児の母が読み解く子どもの育て方ベスト
エミリー・オスター 著|サンマーク出版
¥1,790(税込)
同じ著者エミリー・オスターによる、0歳から就学までをQ&A形式で整理した一冊です。ぐっすり寝るには? おむつを外す良い方法は? テレビは見せて大丈夫? 早期教育に意味はある?——親が知りたい問いに、研究の蓄積と2児の母としての実経験から答えていきます。学力、言葉の早い遅い、寝かしつけ、トイレトレーニング、好き嫌い、予防接種、共働きの影響、産後の母親まで、索引的に引ける構成が持ち味です。
こんな人におすすめ
目次から必要な項目だけ引きたい人、0歳から就学まで長く使いたい読者、研究の結論を手早く知りたい親。夜中の寝かしつけ中に開く、辞書のような使い方に向いています。
良い点
- Q&A形式で引きやすい
- 生まれてから就学までをカバー
- 共働きや産後の話題も網羅
気になる点
- 504ページの分量がある
- 研究の詳細は省かれがち
- 米国のデータが中心
出版社
サンマーク出版
発売日
2021年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
さっき話題に出た本と、出版社もタイトルも違うのに著者は同じ。中身は別物なんですか?同じ本の別バージョンとか?
佐藤メバル
テーマは重なります。ただ、こちらはQ&A形式で、必要なところだけ引けるのが持ち味です。「テレビは見せて大丈夫?」「早期教育に意味はある?」といった、親が実際に迷う問いが並ぶ。
寝かしつけの夜に読むなら、こちらのほうが現実的かもしれません。
橘ナナミ
夜中に検索するみたいに読めるなら、寝かしつけのあとでも手が伸びますね。予防接種みたいな話題も入ってるんですか?
佐藤メバル
入っています。学力や言葉の早い遅い、トイレトレーニング、好き嫌い、共働きの影響、産後の母親の状態まで。
1冊を辞書として手元に置く使い方がいちばん合いますよ。読み通すというより、必要なときに開く本だと思ってください。

「ダメ子育て」を科学が変える!全米トップ校が親に教える57のこと (SB新書 622)
星友啓 著|SBクリエイティブ
¥990(税込)
スタンフォード大学の中高一貫校、スタンフォード・オンラインハイスクールの校長を務める著者が、最新の脳科学と心理学から子育てに使えるものを57項目に整理した新書です。叱り方と褒め方、やる気の伸ばし方、メンタルと知能を同時に育てる方法、そして子育てがつらい理由とその対処まで扱うのが特徴。世界の教育の最前線にいる立場から、「いい子育て」の思い込みを疑うところから始めます。240ページの新書なので、まとまった時間がなくても読み切れます。
こんな人におすすめ
科学の裏づけがほしい人、褒め方・叱り方に迷っている親、自分のイライラの扱い方まで知りたい読者。新書サイズなので、まとまった読書時間が取れない人でも読み切れます。
良い点
- 新書で手に取りやすい
- 57項目で整理されている
- 親自身のケアにも触れる
気になる点
- 項目ごとの深掘りは浅め
- 学校運営の視点が混ざる
- 実践の記録例は少なめ
出版社
SBクリエイティブ
発売日
2023年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
“子育てがつらい科学的理由”っていう章があるの、珍しいですね。これって子どもより、親の側の話なんですか?
佐藤メバル
そこがこの本のいいところで、親がつらいのは根性の問題ではないと科学の言葉で説明してくれます。
イライラしやすい仕組み、疲れの出どころ。そのうえで褒め方、叱り方、やる気の伸ばし方という実践に戻っていく。順番が親に優しいんですよ。
橘ナナミ
先に自分を責めない説明があると、そのあとの実践も素直に聞けそうな気がします。順番って大事なんですね。
佐藤メバル
そうなんです。いきなり「こうしなさい」と言われると身構えてしまう。この本は先に仕組みを説明してから、具体的な関わり方に入ります。
スタンフォードの校内で実践している立場からの発信なので、理論と現場が往復する構成になっているのも読みどころです。

子どもの自己肯定感がぐんぐん上がる アメリカ式子育てマジックフレーズ
シノブ・フィリップス 著|KADOKAWA
在米20年の著者が、アメリカの家庭や学校で実際によく使われるフレーズを集めた一冊です。アメリカの子育てが目標に置くのは、他人と比較せず自分を愛する力、個人を尊重する力、自分で考えて決める力、他者のせいにせず逃げずに取り組む力。日本の「協調する力」と組み合わせれば最強の社会性になるという視点が軸です。公認心理師の解説が付き、ただ真似するのではなく取り入れ方のコツまでわかる構成になっています。
こんな人におすすめ
褒め言葉が思いつかない人、自己肯定感という言葉のもやもやを具体策に変えたい親、フレーズ集を手元に置きたい読者。日本とアメリカの掛け合わせを考えたい人に向きます。
良い点
- 実際に使われる表現が土台
- 公認心理師の解説付き
- 文化比較を優劣にしない
気になる点
- 米国の学校文化が前提
- フレーズ集ゆえ重複感がある
- 日本語での言い換えは要工夫
出版社
KADOKAWA
発売日
2022年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
“マジックフレーズ”って、本当に魔法みたいな一言があるんですか?半信半疑なんですけど。
佐藤メバル
魔法というより、繰り返し使われる定番の言い回しですね。たとえば、結果ではなく過程を認める言い方や、子どもに選ばせる言い方。
20年アメリカで暮らした著者が、カルチャーショックとともに記録したものです。日本の「みんなと協力する力」と掛け合わせたらどうなるか、という視点で読むと面白いですよ。
橘ナナミ
優劣じゃなくて掛け合わせ、という言い方がいいですね。心理師の解説が付いているのも安心できます。真似しすぎる心配が減るので。
佐藤メバル
そう、そこがこの本の誠実なところです。どちらの文化が優れているかという話ではない、と明言されています。
米国の学校文化が前提の表現もあるので、そのまま使うのではなく、自分の言葉に置き換えるくらいの気持ちで読むとちょうどいいですよ。

子育てが一気に楽になる! 海外赴任ママのアメリカ流子育て: 英語教育・幼児教育のプロが伝える 黄金期の子供をぐんぐん伸ばす方法
花崎エリ 著
海外赴任先のアメリカで、2歳の長男との買い物ひとつに疲れ切っていた著者が、乳幼児期の発達には法則があると知ったことで子育てを変えていった体験を綴った一冊です。幼児向け英語教室を運営し、ママたちをサポートしてきた立場から、英語教育と幼児教育の視点を交えて、黄金期の子どもをどう伸ばすかを伝えます。核にあるのは、母親がハッピーであることが子どもを伸ばす一番の鍵という、アメリカのママたちから学んだ考え方です。
こんな人におすすめ
乳幼児期のイライラと罪悪感に疲れた人、成長の差が気になって不安な親、英語や幼児教育も視野に入れたい読者。上の子のときに余裕がなかった人ほど共感できる内容です。
良い点
- 失敗談から始まる親近感
- 発達の法則を軸にしている
- 英語教室運営の実践が入る
気になる点
- 著者の個人体験が中心
- データや研究の提示は少ない
- 内容がやや散らばる
出版社
詳細情報なし
発売日
2022年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
冒頭の、スーパーでの買い物の話がすごく生々しいですね。同じ立場だったら、私もああなると思います。
佐藤メバル
そこなんですよ。著者は長男のとき、子育てに追われて余裕がなかったと正直に書いています。でも乳幼児期の発達には法則があると知ってから、同じ行動が「成長のチャンス」に見えるようになった。
次男のときは違った、という対比が説得力になります。
橘ナナミ
“ママの幸福度”って言葉も出てきますよね。子どものことより先に、親の状態を考えていいんですか?後ろめたさがあるんですけど。
佐藤メバル
この本は、そこを軸に据えています。母がハッピーでいることが子を伸ばす鍵だと、アメリカのママたちから学んだと。
自分のことは二の次、という状態に効く一冊です。まず親が満たされるという順番に、罪悪感を持たなくていいんだよ、と言ってくれます。

アメリカ在住3児ママの気張らない子育て法 子育てに正解はない! 家族が笑顔になる子育て
WHTチャンネル 著|KADOKAWA
アメリカ在住の3児のママとして知られるチャンネルが、動画では語り尽くせなかった子育て論をまとめた一冊です。「姉妹でも同じ子育て法は通用しない?」「習い事は嫌ならやめてもいい?」「ズボラ子育てでもいい?」——日本の親が抱える素朴な悩みに、アメリカ流の視点も交えて答えていきます。軸は子どもは一人ひとり違って当たり前という前提。家族写真や子どものエピソードも収録され、等身大の空気のまま読めます。
こんな人におすすめ
「うちの子、これでいいのかな」と悩む親、完璧にやろうとして疲れている人、SNSの子育て情報に疲れた読者。気持ちを軽くしてから、また考えたいときに開く一冊です。
良い点
- 悩みへの回答形式で読みやすい
- 写真とエピソードが豊富
- 肩の力が抜ける語り口
気になる点
- 体系的な理論書ではない
- 米国の生活前提の話題がある
- 深掘りより共感が中心
出版社
KADOKAWA
発売日
2025年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
YouTuberの方が書いた本なんですね。普段の動画と、この本では何が違うんですか?本でしか読めない話があるなら気になります。
佐藤メバル
動画では見られない家族写真やエピソードが入っていて、悩みへの答えも文章でていねいに整理されています。
「姉妹でも同じ方法は通用しない?」「嫌なら習い事はやめていい?」といった、日本のママが実際に抱える問いの形なんですよ。
橘ナナミ
“気張らない子育て”って、タイトルの言葉だけでちょっと息ができますね。読む前から肩が下がる感じ。こういう本、待ってました。
佐藤メバル
その反応が、この本の狙いそのものだと思います。理論を体系立てて学ぶ本ではないので、がっちりした根拠を求める人には向きません。
まず気持ちを軽くする、そのうえで子どもを見直す。順番として、それがいちばん現実的ですから。

世界基準の子育てのルール 子どもも親も幸せになる本当の子育てとは何か
鷹松弘章 著|ごきげんビジネス出版
アメリカで子育てをし、日本からの留学生や社会人と対話してきた著者が、親が心に留めておくルールという形で子育てを整理した一冊です。「好きなこと探し」を応援する、してはいけないことを教える、他人との違いを素晴らしいと伝える、お金の実体を正しく教える、教育の本質である自立へ向かわせる、徳の循環を育てる、そして親自身の幸せを背中で見せる。7つのルールと状況別の対応をまとめています。
こんな人におすすめ
反抗期の子への接し方に困っている親、男の子の扱いや叱り方に迷う親、お金の教育まで考えたい読者。自立をゴールに置いて子育てを組み立て直したい人に向きます。
良い点
- 7つのルールで覚えやすい
- 男女別の視点がある
- 状況別の対応が付く
気になる点
- 著者の体験に依存する部分
- 公的データの裏づけは薄い
- 抽象度の高いルールもある
出版社
ごきげんビジネス出版
発売日
2019年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
“お金の実体”を正しく教える、っていうルールが気になります。子育て本でここまで踏み込むの、珍しくないですか?
佐藤メバル
珍しいですよね。でも自立をゴールに置くと自然なんです。好きなことを応援する、してはいけないことを教える、違いを素晴らしいと伝える、そしてお金の実体。
順番に読むと、全部が自立につながっているとわかります。
橘ナナミ
反抗期の子への対応も書いてあるんですか?身近にそういう話を聞くと、他人事じゃないなと思って。自分が反抗期だった頃を思い出します。
佐藤メバル
番外トピックとして、状況別・年齢別の対応がまとまっています。男の子の育て方に悩む母親、叱り方を見失った父親、それぞれに向けた記述があるのが親切です。
親も幸せになっていくという立て付けなので、自己犠牲の子育てに疲れた人にも読んでほしいですね。

世界に通用する子どもの育て方
松村亜里 著|WAVE出版
¥1,280(税込)
ニューヨークで話題のウェルビーイングとポジティブ心理学の観点から、2児の母でもある心理学者が書いた子育て論です。「何をするとダメになるか」ではなく、どの関わり方が子どもの幸せにつながるかという視点で貫かれています。統制型——罰や報酬で動かす——の子育てではなく、支援型で育った子のほうが年収も健康も幸福度も高いというエビデンスを軸に、褒め方、甘えられる安全基地、親の批判の影響などを道具箱のように並べます。
こんな人におすすめ
ご褒美シールや罰で動かすやり方に疑問を感じている人、自己決定理論などの考え方を知りたい親、幸せと成功の関係を考えたい読者。科学的な裏づけを求める人に向きます。
良い点
- 科学的根拠が明示される
- ご褒美の弊害を具体的に説明
- 親自身の満たされ方も扱う
気になる点
- 理論寄りで実例は少なめ
- 日本での再現は要工夫
- 章によって密度が違う
出版社
WAVE出版
発売日
2019年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ご褒美って、やっぱりダメなんですか?お手伝いシールとか、私もやってもらってました。否定されるとつらいので、構えてます。
佐藤メバル
この本は報酬が効かない場面をきちんと区別しています。単純作業には効くけれど、創造性が要ることに報酬を出すと、かえって興味が落ちてしまう。
だから一律にダメとは言わない。統制型か支援型か、という軸で考えるのがポイントです。
橘ナナミ
一律にダメと言われなかったら、納得して読めそうです。場面で使い分ける話なら、実践もしやすいですし。
佐藤メバル
そこがこの本の使いどころです。「成功するから幸せ」ではなく「幸せな子が成功する」というエビデンスを出発点に、褒めるときに期待を込めない、強みを見ていれば問題行動は減る、といった具体的な関わり方が並びます。
つらい子育てを楽にする道具箱として読んでください。

世界の一流は「子ども」に何を教えているのか
冷泉彰彦 著|クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
¥1,815(税込)
30年以上アメリカのビジネス・政治・教育を見つめ、自らも3人の子を現地で育てたジャーナリストが、アメリカに集まったビジネスリーダーたちの教育法を紹介する一冊です。自己肯定感の高め方、挑戦心を育む実践的なアプローチ、AI時代に必要な能力の伸ばし方——。忙しい日本の親が家庭で再現できるように、短時間でできるアクションや日常の小さな習慣として提案されるのが特徴です。
こんな人におすすめ
仕事と子育ての両立で迷う親、自己肯定感や挑戦心をどう育てるか知りたい人、AI時代の教育に関心がある読者。海外の教育論を家庭の習慣に落としたい人に向きます。
良い点
- 現地で子育てした経験が土台
- 短時間でできる行動を提案
- ビジネス視点が入る
気になる点
- エリート層の例が中心
- 日本の学校制度との差が大きい
- 抽象的な助言もある
出版社
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
発売日
2026年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
“世界の一流”って、やっぱり特別な環境の話ですよね。普通の家庭には関係ない気がしてしまうんですけど。
佐藤メバル
そこを意識して書かれているのがこの本で、短時間でできるアクションや日常の小さな習慣として提案されているんです。
著者自身、アメリカで3人の子を育てたジャーナリスト。自己肯定感、挑戦心、AI時代の能力と、論点は大きいのに、家庭で今日からできる形に落としてくれます。
橘ナナミ
大きい話を、日常の小さな習慣に落としているんですね。それなら私にも読めそうです。短時間でできるのが助かります。
佐藤メバル
ただ、例の中心はビジネスリーダー層なので、日本の学校制度にそのまま当てはめるのは難しい。家庭の中だけで完結する部分を拾って使うのが現実的です。
巻頭の主張だけ読んで、あとは気になる章からで十分ついていけますよ。

世界の子育てとっておきの知恵650: ママの思いは万国共通
ナタリーウッドマン 著|PHP研究所
2人のオーストラリア人がインターネットを通じて各国の親からシンプルなアイデアを募り、集まった887項目から日本の事情に合うものを650に厳選した一冊です。赤ちゃん・幼児の工夫、しつけ、毎日の生活をシンプルに楽しくする方法、家事、旅行、行事まで、知・徳・体のバランスよく育てるヒントが並びます。読み通す本というより、困ったときに開く引き出しのような本です。
こんな人におすすめ
育児書を1冊読み切る時間がない人、生活の細かい困りごとを解決したい人、海外の家庭の工夫を覗きたい読者。辞書的に手元に置いて、必要なときに開く使い方に向きます。
良い点
- 650項目で拾い読みできる
- 生活・家事まで範囲が広い
- 世界の親の実例がベース
気になる点
- 一つひとつは短い
- 日本の事情に合わせた取捨あり
- 体系的な理論はない
出版社
PHP研究所
発売日
2004年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
650項目って、もはや辞典みたいな量ですよね。いったいどこから読めばいいんですか?最初から通すのは無理そうです。
佐藤メバル
通読する本じゃないんです。困ったときに開く引き出しとして使う。元は887項目あって、日本の事情に合わないものを省いて650に絞ったと書かれています。
赤ちゃん・幼児の工夫から、しつけ、家事、旅行、行事まで幅があります。
橘ナナミ
世界中の親が同じことで悩んでいると思うと、なんだかちょっと安心しますね。自分だけじゃないんだ、って。
佐藤メバル
まさにそこがこの本の効き目です。世界中から集めた知恵の中には、自分にぴったりの方法がきっとある——というのが編者の言葉です。
まず1項目だけ試す、その積み重ねでいい。読破を目標にしないでくださいね。

世界の子育てくらべてみたら、心がふわっとラクになった
織田博子 著|WAVE出版
3人の子育て中のマンガ家が、離乳食、お風呂、寝かしつけ、トイレトレーニング、女性の仕事と子育てといったトピックを、50の国や地域の人々にインタビューして描いたコミックエッセイです。「ねばならない」にとらわれがちな心をほぐすのが狙いで、国によっても個人によっても答えは違うという当たり前の事実を、笑いと実感で伝えてくれます。育児書というより、育児に疲れた日に開く一冊です。
こんな人におすすめ
育児の「こうあるべき」に疲れた人、マンガで気軽に世界を見たい読者、ひとりで抱えている親。離乳食や寝かしつけで息が詰まりそうなときに、笑って息継ぎしたい人へ。
良い点
- コミックで読みやすい
- 50の国と地域を取材
- 笑いと共感のバランス
気になる点
- 情報の網羅性は低い
- エッセイなので主観が強い
- 実践ノウハウは少ない
出版社
WAVE出版
発売日
2025年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
これ、漫画のコミックエッセイなんですね。しかも50の国と地域にインタビューって、相当な手間では。子育てしながら描いたんですよね?
佐藤メバル
著者自身が3人の子育て中ですから、取材の苦労も想像できますよね。離乳食、お風呂、寝かしつけ、トイレトレーニング、仕事と子育て。
どの国にも「ねばならない」が違う形であるのが見えてきて、自分の縛りがゆるみます。
橘ナナミ
“くらべてみたら、心がふわっとラクになった”って、タイトルだけで効きそうですよね。読む前から少し救われています。
佐藤メバル
育児書として情報を取りにいく本ではありません。笑って泣けると紹介されているように、読み物として楽しむもの。
インタビューや連載で話題になっているのも、内容の実感があるからだと思います。疲れた日の夜に、1章だけでもどうぞ。

世界から学ぶ幸せな子育て
ノーラ・コーリ 著|リーブル出版
カウンセラーとして40年間、世界の家族を見てきた著者が、グローバルな視点から子どもの幸せと親の幸せを綴った一冊です。グローバル時代を生きる力を育てる、自分で考え行動し失敗を恐れないように育てる、子どもの自分らしさを尊重できる親になる、人とのつながりに幸せを感じられる子に育てる、そして人生の先輩としてよい手本になる。どんな親を目指すのかという問いを軸にしています。
こんな人におすすめ
子育ての軸をゆっくり考えたい人、カウンセラー視点の助言を求めている読者、海外の家族のあり方に関心がある人。ノウハウより姿勢を問い直したいときに向きます。
良い点
- 40年の臨床経験が背景
- 親のあり方から問い直す
- 国を超えた普遍性を探る
気になる点
- 具体策はやや抽象的
- データ提示は少ない
- 日本の制度の話は出ない
出版社
リーブル出版
発売日
2023年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
40年間、世界の家族を見てきたカウンセラーって、かなりの蓄積ですよね。どんな話が入っているんでしょう。
佐藤メバル
この本はノウハウ集ではなく、親のあり方を問い直す本です。自分で考え、行動し、失敗を恐れないように育てる。
子どもの自分らしさを尊重できる親になる。人とのつながりに幸せを感じられる子に育てる。並べてみると、技術より姿勢の話なんです。
橘ナナミ
技術より姿勢、か。毎日忙しくしていると、いちばん忘れがちなところですよね。そういう本を時々読み返したいです。
佐藤メバル
そういう読み方に向いています。具体的な手順を求める人には物足りないかもしれませんが、どんな親を目指しますかという問いを、世界の家族の姿から考えさせてくれる。
子育ての軸がぶれたときに戻ってくる本として置いておくといいですよ。

世界一しあわせな子育て
クリスティングロスロー 著|柏書房
¥2,035(税込)
柏書房から出ている、タイトルどおり「しあわせな子育て」を主題にした一冊です。ここで扱う類書の多くが海外の家庭の方法論を紹介するのに対し、こちらは同じ問いを別の角度から考えたいときの候補になります。中身の詳細を断定的に紹介できる情報が手元にないため、この記事ではタイトルの主題と版元、299ページという分量、価格だけをお伝えします。世界の子育て本を何冊か読んだあとに読み比べる位置づけです。
こんな人におすすめ
世界の子育て本を複数読んでテーマ全体を見渡したくなった人、タイトルの「しあわせ」という言葉に引っかかりを覚えた読者、類書と読み比べたい人。書店で中身を確かめてから選ぶのがおすすめです。
良い点
- 同じ主題を別角度から扱う
- 299ページでまとまった分量
- 柏書房の企画として読める
気になる点
- 内容の事前情報が少ない
- 類書との違いが判断しにくい
- 実践ノウハウは未知数
出版社
柏書房
発売日
2014年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
この本、内容紹介が見当たらないんですけど…。どう紹介すればいいんでしょう。タイトルは気になるのに、中身の情報が少なくて。
佐藤メバル
そう、ここは正直に行きましょう。著者と版元、ページ数と価格以外の確定情報が手元にない。だから中身を推測で紹介するのはやめておきます。
ただ、同じ「しあわせな子育て」というテーマで別の切り口があるなら、読み比べる価値はある。類書を何冊か読んだあとに開く候補として置いておきます。
橘ナナミ
推測で書かない、というのが佐藤さんらしいですね。読み比べの候補として覚えておきます。
佐藤メバル
そうしてください。書店で手に取って、冒頭と目次を見れば、この本がどの角度から来ているかはすぐわかります。
タイトルに惹かれたら、まず現物を確かめる。それがいちばん確実な選び方です。

Such a difference! World parenting
メイリン・ホプグッド 著|中央公論新社
現役ジャーナリストであり新米ママでもある著者が、悩んで、調べて、試して、納得した各国の子育てを並べた一冊です。寝ない子なら一緒に夜更かしするアルゼンチン、幼児食を作らず2歳児にも親と同じものを食べさせるフランス、ベビーカーなしで移動するケニア、生後6か月からおむつはずしを始める中国、育児を任されるアカ族のお父さん。育児の正解はひとつじゃないことを具体的な場面で示します。
こんな人におすすめ
育児の「常識」に息苦しさを感じている人、国ごとの違いを具体的に知りたい読者、海外生活を控えている家族。寝かしつけや食事の場面で、別の選択肢がほしい人に向きます。
良い点
- 章ごとに国を絞って具体的
- ジャーナリストの取材力が生きる
- コラムも収録されている
気になる点
- 各国の記述はコンパクト
- 統計より体験が中心
- 日本の章は相対的に短め
出版社
中央公論新社
発売日
2014年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
“寝ない子なら一緒に夜更かし”って、アルゼンチン方式なんですね。日本的にはけっこう衝撃です。寝かしつけの常識が崩れます。
佐藤メバル
そこがこの本の面白さで、各国のやり方が生活の形として描かれます。中国では生後6か月からおむつはずしを始める、ケニアではベビーカーなしで身軽に移動、アカ族ではお父さんが育児を任される。
日本の章では、なぜ親が子どものケンカを止めないのかという逆の視点も出てきます。
橘ナナミ
日本の章があるのがいいですね。外から自分たちのやり方も見られそうです。客観視できそう。
佐藤メバル
章ごとに国を絞っているので、記述はコンパクトです。統計を求める本ではないので、そこは期待しないでください。
でも育児の思い込みをくつがえすという目的には、これ以上ないほど具体的に応えてくれます。旅行気分でも読めますよ。

海外で安心して子育てをする本
ノーラコーリ 著|ジャパンタイムズ
¥2,866(税込)
海外で子育てする人の「困った!」「どうしよう!」に答える実務ガイドです。出産直後から6歳ごろまでを月齢別に区切り、育児情報を整理。さらに豊富な用語集と会話表現、巻末には英文母子手帳を収録しています。同じ著者による視点の本とは役割がまったく違い、こちらは現地の医療機関や学校とやり取りする場面で開く本。言葉の壁がある環境で、必要な情報にたどり着くための道具として作られています。
こんな人におすすめ
海外赴任や移住を控えた家族、現地で医療や保育の手続きに向き合う人、英語での会話表現を確認したい読者。出産直後から6歳ごろまでの備えを一冊で整えたい人に向きます。
良い点
- 月齢別に整理されている
- 用語集と会話表現が充実
- 英文母子手帳を収録
気になる点
- 価格はやや高め
- 読んで楽しいタイプではない
- 対象年齢は6歳ごろまで
出版社
ジャパンタイムズ
発売日
1994年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
“英文母子手帳”って、そんなものが巻末に入っているんですか。日本の母子手帳の英語版みたいなもの?
佐藤メバル
巻末に収録されています。この本は、出産直後から6歳ごろまでを月齢別に区切って、現地で必要な情報と、困ったときの言い回しをまとめた実務書です。
読むというより、いざというとき引く。海外赴任が決まった段階で一冊あると安心できます。
橘ナナミ
さっきの『世界から学ぶ幸せな子育て』と同じ著者ですよね。あちらは読み物、こちらは道具、という感じですか?
佐藤メバル
そういう整理でいいと思います。視点と実務、両方そろえておくと心強いですよ。ただ、これは読み物ではないので、渡航前に必要な項目だけ確認する使い方になります。荷物に入れておくタイプの一冊です。

言葉と教育 海外で子どもを育てている保護者のみなさまへ
中島和子 著|海外子女教育振興財団
¥630(税込)
海外子女教育振興財団の通信教育の教材で連載された記事に加筆して刊行された一冊です。二つのことばの習得、海外子女の英語力、バイリンガルと年齢、ことばの保持、家庭でできるバイリンガルの基礎づくりと日本語支援、ことばの習得と異文化理解、そして二言語の習得とアイデンティティまでを扱います。言語形成期の子どもを海外で育てている家庭に向けて、言語学の知見を読みやすく整理した152ページです。
こんな人におすすめ
海外で日本語と現地語をどう育てるか迷う家庭、子どものアイデンティティを考えたい親、帰国後の日本語を心配する人。言語形成期の子どもを持つ家庭に向きます。
良い点
- 言語形成期に焦点を絞る
- 薄くて読みやすい
- 財団の連載がベース
気になる点
- デザインは素朴
- 実践ワークは少なめ
- 事例は限られる
出版社
海外子女教育振興財団
発売日
2020年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
海外で子どもを育てると、日本語をどう保つかが問題になるんですね。日本にいると、考えたこともなかったです。
佐藤メバル
そこを正面から扱った本です。二つのことばの習得、バイリンガルと年齢、ことばの保持、家庭でできる日本語支援。
言語形成期という限られた時期に何が起きるのかが、やさしく整理されています。
橘ナナミ
ことばの習得だけじゃなくて、アイデンティティの話まで入っているのが、いい意味で予想外でした。言語って、そういうことなんですね。
佐藤メバル
そう、語学の問題ではなく、その子が誰であるかという話なんです。財団の通信教育の連載がもとになっているので、実際に海外で子育てしている家庭に向けた言葉づかいで書かれています。
630円という価格も、まず一冊というときに助かりますね。

ー海外子育てガイドー 発達が気になる子供の海外生活
馬渕哲哉;佐々木恭子 著|NextPublishing Authors Press
¥1,980(税込)
障がいのある子やグレーゾーンの子など、特別なニーズのある子を持つ家庭に向けた海外在住ガイドです。特別支援学校で40年勤務した経験を持つ著者が、日本人学校、現地校、インターナショナル・スクール、フリースクールなど進学先の選択肢を整理。後半では、海外在住の発達相談を無料で行う団体の代表が、相談相手がいない、言語の壁、不登校、帰国後の進路といった現地でよくある悩みと解決方法を書いています。
こんな人におすすめ
特別なニーズのある子と海外赴任する予定の家族、相談先が見つからないと不安な保護者、帰国後の進路まで見通したい人。渡航前の準備段階から手元に置きたい一冊です。
良い点
- 進学先の選択肢を網羅的に整理
- 教育と療育の両面を扱う
- 相談事例が具体的
気になる点
- 対象が限定される
- 情報は執筆時点のもの
- 専門用語がやや多い
出版社
NextPublishing Authors Press
発売日
2021年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
発達が気になる子の海外生活、ってテーマ自体を初めて見ました。こういう悩みを抱える家族がいるんですね。
佐藤メバル
あります。しかも相談先がなくてひとりで抱えてしまうケースが多い。だからこの本は、特別支援学校で40年勤務した経験を持つ著者が、日本人学校、現地校、インターナショナル・スクール、フリースクールという選択肢を整理し、後半では無料の発達相談を手がける団体の代表が、現地でよくある悩みに答えています。
橘ナナミ
言語の壁や、帰国後の進路まで書いてあるのが実際的ですね。渡航前に読んでおきたいです。備えになる一冊ですね。
佐藤メバル
そうなんです。適切な療育を受けられないことが二次的な困難につながる、という問題意識が土台にあります。
専門用語はやや多いので、必要な章から拾って読むのが現実的。渡航前の準備段階で、選択肢を知っておくためだけでも価値があります。
学校制度別に読む——現地校・インター・補習校・日本人学校
橘ナナミ
学校の選択って、本でも分けて考えたほうがいいんでしょうか?
佐藤メバル
現地校、インターナショナル・スクール、補習校、日本人学校、フリースクール。進路が変われば必要な情報も変わる。馬渕哲哉と佐々木恭子による『ー海外子育てガイドー 発達が気になる子供の海外生活』は、特別な教育的ニーズのある子を持つ家庭に向けて、日本人学校の現状や日本人学校以外の選択肢、日本語の教育、転校のための書類、発達検査までを章立てで扱っている。教育機関の比較という意味では、この本の整理がいちばん細かい。
橘ナナミ
学校選びの本としても読めるんですね。
佐藤メバル
そう。逆に、標準的な進路を想定した家庭には情報が過剰になる。そこは「向かない家庭」として正直に伝えておきたいところだ。国際結婚のストレスや言語の壁、サポート人材の確保といった相談も扱っているから、ひとりで抱えやすい立場の人ほど助けになる。
実務と心の二軸——医療・会話・アイデンティティ・多様性
橘ナナミ
実務と心、両方いるんですか?
佐藤メバル
両方いる。実務の柱は医療と会話だ。『海外で安心して子育てをする本』は出産直後から6歳ごろまでを月齢別に整理し、用語集と会話表現、英文母子手帳まで収録している。予防接種や受診の場面で言葉が出てこないときの備えになる。もう一つの軸は心で、『言葉と教育』は二言語の習得とアイデンティティを扱い、ノーラ・コーリ『世界から学ぶ幸せな子育て』は自分らしさと人とのつながりを軸に置いている。
橘ナナミ
多様性や人種の話は、どの本で補えますか?
佐藤メバル
海外で子どもを育てるなら、肌の色や出自についてわが子が質問してくる日が来る。『世界に通用する子どもの育て方』はポジティブ心理学の側から、冷泉彰彦『世界の一流は「子ども」に何を教えているのか』は多様な背景の子が集まる現場の視点から、その土台になる。デジタルの時間管理は、オスターの本が章を割いて扱っている。住んでいる国の先生や友人とのやり取りに、この視点があると表情が変わるよ。
読む順番と優先順位、そして限界の見きわめ
橘ナナミ
順番まで決めたほうがいいですか?
佐藤メバル
まず渡航前後に一冊、生活の実務を。次に言語、次にアイデンティティ。文化の読み物は、生活が落ち着いてからでいい。手薄になりがちなのが親自身のケアで、これは後回しにされやすいから、意識して先に置いてほしい。
橘ナナミ
全部読まないと、と思っていました。
佐藤メバル
そこは断言しておく。どの本にも限界がある。オランダやフランスの本は、その国の制度と文化があってこその話で、そのまま別の国や日本の家庭に当てはめると効かないことがある。読みながら「うちの場合は」と置き換える作業が要る。読み物は文化の説明、研究書は傾向の話、体験談は一つの事例。エビデンスの強さはそれぞれ違うと知ったうえで手に取ってほしい。
よくある質問
海外で子育てするなら、まず最初に読むべき本は?
橘ナナミ
海外で子育てするなら、まず最初に読むべき本はについて教えてください。
佐藤メバル
目的で変わります。生活の不安が強いなら『海外で安心して子育てをする本』、これから出産という段階なら同じ本の月齢別パートが役立ちます。日本語と現地語をどう育てるかで悩んでいるなら『言葉と教育 海外で子どもを育てている保護者のみなさまへ』。まずは 今いちばん困っていること から選ぶのが早道です。
バイリンガル教育の本はどれを選べばいい?
橘ナナミ
バイリンガル教育の本はどれを選べばいいについて教えてください。
佐藤メバル
中島和子『言葉と教育 海外で子どもを育てている保護者のみなさまへ』が、二つのことばの習得や年齢ごとのバイリンガル、家庭でできる日本語支援、アイデンティティまでを扱っています。英語の習得だけを目的にした本ではないので、まずこれで全体像を作るのがおすすめです。
原書と邦訳はどちらを買うべき?
橘ナナミ
原書と邦訳はどちらを買うべきについて教えてください。
佐藤メバル
英語で読めるなら原書は著者の語り口がそのまま伝わります。ただし訳書には刊行から時間が経ったものもあり、制度や用語が現在と異なる場合があります。実務書は新しい版を選び、読み物は邦訳で骨格をつかんでから原書に戻る、という順番が無理なく続きます。
帰国子女向けの本はいつ読むのがいい?
橘ナナミ
帰国子女向けの本はいつ読むのがいいについて教えてください。
佐藤メバル
帰国が決まった時点で読むのがおすすめです。実際に、帰国後の進路を章として扱っている本もあります。渡航前に読んでおけば、現地での学校選びや日本語の維持のしかたが変わります。帰国後になってから慌てて探すより、選択肢を先に知っておくほうが動きやすいです。
海外で日本語の育児書はどう入手する?
橘ナナミ
海外で日本語の育児書はどう入手するについて教えてください。
佐藤メバル
電子版、日本のAmazonからの配送、一時帰国でのまとめ買い、補習校や日本人会の図書館、現地の日本語書店などが主なルートです。繰り返し引く実務書は紙、読み物は電子版、と分けると引っ越しの荷物が増えません。
駐在と移住でおすすめ本は変わる?
橘ナナミ
駐在と移住でおすすめ本は変わるについて教えてください。
佐藤メバル
変わります。数年で帰る駐在なら、帰国から逆算した本と現地の学校・医療の実務書をセットで。長期の移住なら、現地文化に親子で馴染むための本や、各国の子育てを比べた本が長く効きます。滞在の長さ で棚を分けて考えると迷いません。
日本と海外のしつけの違いはどう学ぶ?
橘ナナミ
日本と海外のしつけの違いはどう学ぶについて教えてください。
佐藤メバル
叱り方を体系化した本、各国の知恵を集めた本、一つの国の文化を深く見る本、という三つの種類があります。広く浅く知りたいなら『世界の子育てとっておきの知恵650』、叱り方の枠組みを作るなら『フィンランド式 叱らない子育て』、一国をじっくりなら『Bringing Up Bébé』。目的で選び分けてください。
現地校の先生とのやり取りに役立つ本は?
橘ナナミ
現地校の先生とのやり取りに役立つ本はについて教えてください。
佐藤メバル
会話表現と用語集を収録した『海外で安心して子育てをする本』、家庭で使う声かけを集めた『アメリカ式子育てマジックフレーズ』が候補になります。面談や連絡の場面で使う言い回しをあらかじめ持っておくと、いざというときに落ち着いて話せます。
まとめ
橘ナナミ
今日の話を聞いて、順位の上から順に読むより、自分の今の困りごとから選んだほうがずっと早いんだなと思いました。
佐藤メバル
そう。海外の子育て本は、答えを配る本じゃない。日本で当たり前だと思っていたことを、一度疑うための本だ。離乳食の細かさ、寝かしつけの手順、叱り方。それって文化だったんだと気づく。
橘ナナミ
文化だったんだ、というのは大きいですね。日本での「ねばならない」が、世界に出ると選択肢のひとつになる。
佐藤メバル
そういう体験をした親は、子どもにも「これは一つのやり方だよ」と伝えられる。多様性って、まず親が自分の常識を手放すことから始まる気がするんだ。
橘ナナミ
なるほど…。
佐藤メバル
育児書は、家族という船の海図みたいなものだと思っている。海図は何枚あっても、進むのは自分たち。だから今日挙げた本を全部そろえる必要はない。今の海に合う一枚を選んで、湾の形が変わったら、また選び直せばいい。
