子育てのベストセラー本のおすすめ人気ランキング25選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
佐藤さん、子育て本って検索すると「ベストセラー100冊」みたいなまとめがいくつも出てくるんですけど……正直、読む前にお腹いっぱいになりませんか?
佐藤メバル
いいところに気づいたね。100冊ぶんの情報を一度に流し込まれても、明日の朝の子どもの対応は変わらないんだよ。書店員だったころ、育児書の棚を作るたびに思っていたのは、大事なのは冊数じゃなくて「いま、この人が困っている一点」に刺さるかどうかだってことだった。
橘ナナミ
じゃあ、この記事でも100冊をぜんぶ並べる必要は……?
佐藤メバル
全体像は見せる。でも同時に、自分の状況から逆算して絞り込む道も用意する。地図を見てから、自分の現在地に近い一冊を選ぶ二段構えだね。だから先に「選び方の軸」を持っておくのが大事なんだ。
橘ナナミ
なるほど、地図と現在地。それ気になります!
子育てのベストセラー本の選び方
目的別——しつけ・自己肯定感・勉強・食事・睡眠・メンタル
橘ナナミ
子育ての悩みってごちゃまぜな気がするんです。目的別に選ぶって、実際どう分けるんですか?
佐藤メバル
声かけで迷っているなら『子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉』。NHK「すくすく子育て」の元司会を務めた天野ひかりが、よかれと思った一言が実は子どもの自己肯定感を下げていた、という視点から「認める(≠ほめる)」を軸に、場面ごとの言葉を整理している。ゲームをやめさせたい、片付けない、そういう具体的な場面が並ぶから、目的がはっきりしている人ほど使いやすい。睡眠や体の心配なら『東大医学部卒ママ医師が伝える科学的に正しい子育て』。世界の研究をもとに「気にしなくていいこと」まで示してくれる。
年齢別——0〜1歳・1〜3歳・3〜6歳・小学生
橘ナナミ
年齢でも、そんなに変わるものですか?
佐藤メバル
変わるよ。0〜3歳なら『最新! 初めての育児新百科』。新生児から3才まで月齢別に、毎日のお世話、予防接種や乳幼児健診、事故・けがの予防まで写真で追える。育児書というより取扱説明書に近い。3〜12歳なら『自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方』で、モンテッソーリとレッジョ・エミリアを踏まえたほめ方・叱り方を長く使える。対象年齢の幅が広いぶん、買い替えが少なくて済むね。
形式別——活字中心・漫画・イラスト・図解
橘ナナミ
マンガの育児書って、内容が薄いんでしょうか。
佐藤メバル
そんなことはない。『マンガでよくわかる アドラー流子育て【新版】』は、1987年から続くアドラー流の子育て講座「SMILE」がベースで、感情的にならずに伝える言い方を漫画で追える。『0〜3歳の これで安心 子育てハッピーアドバイス』も○×マンガとあるあるマンガで、忙しい合間にパッと読める。逆にじっくり掘り下げたいなら、356ページを割いて自分がどう育てられたかを正面から見つめる『子どもとの関係が変わる 自分の親に読んでほしかった本』のような読み物もある。分厚さは情報量ではなく、覚悟の量だと思って選ぶといい。
著者属性別——日本人専門家・翻訳・現役ママパパ・教育者
橘ナナミ
翻訳の本と日本人の著者の本は、どう違うんですか?
佐藤メバル
翻訳は原理を学ぶのに向いている。『私たちは子どもに何ができるのか』は、ノーベル経済学賞のヘックマンの研究をはじめ、非認知能力と貧困の連鎖を海外の事例と研究から描いていて視野が広い。ただ、そのまま日本の園や学校に当てはめると合わない部分もある。明日の行動を変えたいなら、3人の子育て真っ最中の著者が166の言い換え例を並べた『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』のような本が早い。
関与度別・入手性別——すぐ実践したい人/じっくり学びたい人
橘ナナミ
すぐ実践したい人と、じっくり考えたい人で分かれるんですね。
佐藤メバル
すぐ動くなら『1日5分で親子関係が変わる!育児が楽になる!PCITから学ぶ子育て』。2〜7歳で効果が論文で示されている心理療法のスキルを、1日5分の特別な時間として家庭に持ち込む設計だ。原理から考えたいなら『子育ての大誤解〔新版〕上』。双子を対象にした統計データやニューギニアの部族の記録まで動員して、子育ての通説を疑っていく。
橘ナナミ
図書館で借りるのはありですか?
佐藤メバル
あり。ただし育児書は改訂版が出るジャンルだから、版の新しさは必ず確認して。月齢別に引く本や、声かけを辞書代わりに使う本は、手元に置けると強いよ。
子育てのベストセラー本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、25冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
子育てのベストセラー本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい

子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり
加藤紀子 著|ダイヤモンド社
¥1,230(税込)
200以上の資料と膨大な取材から「本当にためになる」方法を100に厳選し、すぐ使える421の超具体策まで落とし込んだ一冊です。コミュニケーション、家での勉強、遊び、習い事、ほめ方叱り方、読書、スマホ、ゲーム、食事、睡眠、運動まで、子育てのあらゆるテーマを横断する構成が特徴。一冊で全体像を俯瞰できるので、特定の悩みに絞った本と違い、迷ったときの辞書として使えます。
こんな人におすすめ
とにかく子育ての情報が多すぎて、何から手をつけていいか分からない親。教育や非認知能力といった言葉をまとめて押さえておきたい人。書店で最初に買う一冊を探している人。辞書代わりに長く使いたい家庭にも向いています。
良い点
- テーマの網羅性が高く辞書的に使える
- 具体策421と裏付け情報が豊富
- 研究やデータを確認した上で厳選
気になる点
- 344ページで通読はやや重い
- 個々の話題は深掘りしきれない
- 子が小さいうちは全部使えない
出版社
ダイヤモンド社
発売日
2020年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
タイトルに「ベスト100」ってあると、つい手に取っちゃいます。でも100個も覚えられない気がして、正直迷うんですよね。
佐藤メバル
いい質問だね。この本は100個を暗記する本じゃなくて、辞書として棚に置いておく本なんだ。200以上の資料と取材から、著者が「これは本当にためになる」とふるいにかけた方法と、すぐできる421の超具体策が並んでいる。
勉強、遊び、習い事、ほめ方、睡眠、食事まで一度に全体像が見えるから、まず地図がほしい人に向いているよ。
橘ナナミ
なるほど、最初から全部やろうとしなくていいんですね。気になったところだけ拾う感じで。
佐藤メバル
そうそう。叱り方に悩んだ日に開いてもいいし、習い事の章だけ読んでもいい。ひとつの悩みを深く掘る本とは役割が違うんだ。
ただ344ページあるから、寝る前に一気に読むより、リビングに置いておくのが向いていると思う。花まる学習会の高濱さんも絶賛していて、21世紀型スキルや非認知能力という言葉の整理にも役立つよ。

子育て本ベストセラー100冊の「これスゴイ」を1冊にまとめた本 - 「AERA with Kids」 元編集長が選ぶ -
江口祐子 著|ワニブックス
¥1,360(税込)
「AERA with Kids」元編集長が、幼児・小学生の親向けのベストセラーと名作100冊を読み込み、23のキーワードに整理した一冊です。「自分で選ばせる→自己決定力が育つ」「失敗OKにする→自己肯定感がつく」のように、複数の本で繰り返し出てきた要点を短くまとめてくれる。〇×形式の対比が明快で、中学受験や金融教育など誤解しやすい論点も整理されます。
こんな人におすすめ
どの育児書から読むか決められない人。すでに数冊読んでいて、共通する原則をつかみたい人。仕事と育児でまとまった読書時間が取れず、短時間で要点だけ知りたい人にも向いています。幼児から小学生の子を持つ親が中心です。
良い点
- 100冊分の要点を短時間で把握
- 〇×の対比で誤解が整理される
- キーワード別で後から引ける
気になる点
- 各本の詳しい記述は薄い
- 原書を読んだ方が内容は濃い
- 幼児から小学生中心の内容
出版社
ワニブックス
発売日
2022年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
これ、子育て本を100冊まとめた本なんですよね。要約本って、なんだかずるい気もしちゃうんですけど……。
佐藤メバル
そこは正直に言うと、原書を読むほうが濃いよ。でもこの本の価値は別のところにある。100冊を並べると、どの本にも繰り返し出てくる原則が見えてくるんだ。
たとえば「些細なことでも自分で選ばせる」「基本は失敗OKにする」。一点の助言ではなく共通項だから、自信を持って取り入れやすい。
橘ナナミ
たしかに、一冊だけだと「この先生の主張」で終わっちゃいますもんね。
佐藤メバル
そう。それと〇×の対比が効いていて、「なんでもほめよう」ではなく「ほめ方を工夫する」、「中学受験は塾に入れればなんとかなる」ではなく「親の知識とサポートが必須」と、勘違いしやすいところを正してくれる。
まずは親がお金の価値観を見直す、学校に行かない選択肢を知る、といった項目まで入っている。元編集長ならではの整理のうまさだね。

モンテッソーリ教育・レッジョ・エミリア教育を知り尽くした オックスフォード児童発達学博士が語る 自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方 3歳 〜 12歳 の子ども対象
島村華子 著|ディスカヴァー・トゥエンティワン
¥1,760(税込)
モンテッソーリとレッジョ・エミリアを研究してきたオックスフォード児童発達学博士が、ほめ方・叱り方をエビデンスで組み直した一冊です。「すごい!」「さすがお姉ちゃんだね」といった声かけが自主性を奪う理由、罰や褒美の落とし穴、アクティブ・リスニングの4つのポイントまで、3〜12歳を対象に具体的に示します。声かけだけに絞った焦点の鋭さが持ち味です。
こんな人におすすめ
つい感情的になって自己嫌悪を繰り返してしまう親。子どもへの声かけを根本から見直したい人。3歳から12歳の子どもと日々向き合っている家庭で、ほめる叱るの基準を一つ持ちたい人に向いています。
良い点
- エビデンスに基づく声かけが学べる
- Q&Aで場面別の対応が分かる
- 叱り方の具体例が豊富
気になる点
- 対象は3〜12歳に限定される
- 図解中心で読み物としては淡々
- 実行には親の習慣化が必要
出版社
ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日
2020年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「すごい!」ってほめるのがよくないって聞いたことがあるんですが、ほんとうなんですか? 褒めて育てるって言うじゃないですか。
佐藤メバル
そこがこの本の核心だね。問題は褒めること自体じゃなくて、条件付きの褒め方になりやすいことなんだ。
「すごい」が評価になると、子どもは評価されるために動くようになる。この本はほめ方を3種類に分けて、どれが自分でできる子につながるかを整理している。
橘ナナミ
じゃあ叱り方も、怒鳴るのがダメというだけではないんですね。
佐藤メバル
うん。罰を与える叱り方がNGな理由を4つ挙げて、褒美と罰それぞれの落とし穴も説明している。後半はアクティブ・リスニングという聞き方で、子どもが話しやすい場の作り方を4つのポイントで示している。
著者はオックスフォードで児童発達学を学んだ人で、モンテッソーリとレッジョ・エミリアの両方を見てきた視点が土台にあるよ。

子どもとの関係が変わる 自分の親に読んでほしかった本
フィリッパ・ペリー 著|日経BP 日本経済新聞出版
¥2,420(税込)
英国の心理療法士が、親子の実例をもとに「子どもの言動にイラッとする原因は、自分が子どもだった頃の親との関係にあるのでは」と問いかける一冊です。46カ国で読まれ、感情の扱い方、アタッチメント、妊娠・出産期の悩み、思春期の距離感、行動が変わる指針まで扱います。子育てマニュアルではないと著者自身が明言しており、世代を超えた連鎖を断ち切る視点が際立ちます。
こんな人におすすめ
実の親との関係をどこかで引きずっている自覚がある人。妊娠中から子育て期まで、長く手元に置いて読み返したい人。パートナーとの関係や職場の人間関係にも応用したい人。自分の育ちを見つめ直したいすべての人に向いています。
良い点
- 生育歴と子育てのつながりを丁寧に解く
- 感情や愛着の扱いが具体的
- 思春期以降まで射程が長い
気になる点
- 読むと動揺する箇所がある
- 即効のハウツーは少ない
- 356ページで時間が必要
出版社
日経BP 日本経済新聞出版
発売日
2023年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
タイトルが「自分の親に読んでほしかった本」……って、ちょっと身構えちゃいます。親を責める話なんですか?
佐藤メバル
責める話ではないよ。著者は英国で長く親子関係の悩みに向き合ってきた心理療法士で、目の前の子どもへの怒りの出どころを自分の育ちに探しにいく。
たとえば、あなたが子どもの言動にいらだつとき、原因は子どもではなく、自分が子どもだった頃の関係にあるかもしれない、という問いかけから始まる。
橘ナナミ
読んでると、つらくなったりしませんか。
佐藤メバル
本人もまえがきで、これは単純な子育てマニュアルではないし、読むと動揺したり怒りを覚えたりすることもあると書いている。
でもその分、感情をあるがまま受け入れることや、断絶と修復の繰り返し方まで具体的に語られる。妊娠・出産の章から思春期の境界線の引き方まで続くので、夫婦や職場の人間関係にも効くという声が多い本だよ。

世界標準の子育て
船津徹 著|ダイヤモンド社
¥1,210(税込)
日米で20年以上教育現場に携わり4000名以上の育成に関わってきた著者が、各国の教育の実情を比較しながら、子育ての理論と実践を体系化した一冊です。前半で日本式の思い込みを洗い直し、後半は読み聞かせ方、しつけのタイミング、習い事、男の子と女の子の違い、思春期の向き合い方まで実践編として整理。国ごとの違いから逆算する構成が独特です。
こんな人におすすめ
日本の子育ての常識に疑問を持ち始めた親。地頭や社交性、あきらめない心といった土台を育てたい人。目の前の悩みだけでなく、長期的な方針を一本立てたい家庭に向いています。教育に関心のある祖父母世代にも渡しやすい一冊です。
良い点
- 海外比較で視野が広がる
- 年齢ステージ別に実践が整理
- 悩み別の解決策が丁寧
気になる点
- 実際の環境差は考慮が必要
- 内容が広くやや拡散的
- 結果を急ぐ人には遠回り
出版社
ダイヤモンド社
発売日
2017年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「世界標準」って言い切られると、日本の子育てはダメなのかなって身構えてしまうんですが。
佐藤メバル
そこは誤解のないようにしたいね。この本の著者は日米で20年以上教育現場にいて、4000名以上のアジア人の育成に関わってきた人。
前半はアメリカ、イギリス、北欧、シンガポール、インド、中国、韓国などの教育の実情を並べて、日本の思い込みを相対化していく。
比べることで見える型があるんだ。
橘ナナミ
後半は具体的なノウハウなんですか?
佐藤メバル
そう。子育てのノウハウを体系化していて、社交性の伸ばし方、絵本の読み聞かせ方、しつけの正しいタイミング、習い事、勉強でつまずかない方法、やる気のない子への接し方までステージごとに整理している。
エリート養成の本ではなくて、変化の激しい環境にも負けない子どもを育てるための基本方針として読む本だよ。

子育ての大誤解〔新版〕上――重要なのは親じゃない (ハヤカワ文庫NF)
ジュディス・リッチ・ハリス 著|早川書房
¥924(税込)
「親が愛情をかければ良い子が育つ」という子育て神話を、双子の統計データやニューギニアの部族の記録など多様な調査から問い直した論争的な一冊です。子どもは家と学校で性格が変わる、英才教育を受けた神童の多くは悲惨な末路をたどる、といった事例を並べ、性格形成における仲間集団の影響を論じます。親の責任を重くしすぎない視点が反響を呼びました。
こんな人におすすめ
子育ての責任を一人で背負いすぎて疲れている親。教育やしつけの前提そのものを考え直したい人。通説を疑うのが好きな読者。気楽に構えていい根拠がほしい人に向いています。逆に、すぐ使える実践ノウハウを求める人には向きません。
良い点
- 子育ての重圧を軽くする視点
- 統計や事例が豊富で刺激的
- 文庫で入手しやすい
気になる点
- 上下巻構成で上巻のみ
- 主張の賛否が分かれる
- 実践ノウハウはほぼない
出版社
早川書房
発売日
2017年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「重要なのは親じゃない」って、書名がかなり挑発的ですよね。子育てしてる人が読んだら傷ついたりしないんでしょうか。
佐藤メバル
最初はぎょっとするよね。でも読むと逆で、親が全部背負わなくていいというメッセージなんだ。双子の統計データやニューギニアの部族の記録まで動員して、性格や将来を決める要因を検証していく。
子どもが家と学校で性格ががらりと変わる、移民の子が家では母国語、外では第二言語を話す、といった例が分かりやすい。
橘ナナミ
じゃあ何が影響するって言ってるんですか?
佐藤メバル
仲間集団の影響を重視している。これは賛否が分かれる主張で、文庫化にあたっても議論を呼んだけど、子育てに励む人を重圧から解放してきた本でもある。
心理学史に転機をもたらしたと評する声もあるよ。実践のハウツーはほぼないから、ノウハウを求めるなら別の本と組み合わせるといい。これは考えるための本だね。

「自分でできる子」に育つスゴい習慣 スタンフォード大学博士が教える最新脳科学×子育てメソッド
キム・ボギョン 著|U-CAN
¥1,760(税込)
スタンフォード大学で博士号を取得した脳科学研究者が、最新の脳科学と自身の育児経験を交えて「行動を変えるのは意志の力ではなく習慣」と説く一冊です。100回言っても変わらない3つの理由、3〜10歳の脳の育ち、よくできましたシール作戦が失敗する理由など、叱るでもご褒美でもない第三の道を示します。集中・勉強・幸せの3つの脳という整理が明快です。
こんな人におすすめ
何度言っても片づけない、宿題をしない子どもに疲れている親。声かけを増やすのではなく、仕組みを変えたい人。3歳から10歳ごろの子どもを持つ家庭で、叱らずに習慣を変えたい人に向いています。
良い点
- 習慣づくりの手順が具体的
- 脳科学の説明がやさしい
- 韓国でロングセラーの実績
気になる点
- 習慣化には時間がかかる
- 文化的な違いを感じる箇所も
- 360ページとやや厚い
出版社
U-CAN
発売日
2025年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「何度言っても片づけない」って、まさに私の姉が毎日言ってるんですよ。これ、意志が弱いからじゃないんですか?
佐藤メバル
そこを脳科学から説明してくれるのがこの本だね。行動を変えるのは意志の力でも、叱ることでも、ご褒美シールでもなくて、日々の小さな行動のくり返しだという立場なんだ。柔らかい子どもの脳は習慣で変わる、と。
橘ナナミ
ご褒美シールって、わりと定番の手だと思ってました。
佐藤メバル
著者はそこに一章を割いて、シール作戦が失敗する理由を説明している。表面的なご褒美だと行動が根づかないんだね。
悪い子はいない、悪い習慣があるだけ、という言い方も印象的だよ。著者はスタンフォードで博士号を取ったシリコンバレー在住の研究者で、自身の育児も織り交ぜているから説教くさくない。
3〜10歳で大成する脳をつくる時期、という見取り図も分かりやすい。

東大医学部卒ママ医師が伝える科学的に正しい子育て (光文社新書)
森田麻里子 著|光文社
¥990(税込)
東京大学医学部卒の医師が、妊娠中の予防接種、ワクチンの同時接種、テレビや動画、体罰など、世間で常識とされる項目を最新研究と照らし合わせて検証する一冊です。ネット上にあふれる体験談や極端な意見ではなく、具体的な研究内容を示しながら「本当に気をつけること」と「それほど気にしなくていいこと」を切り分けます。新書サイズで根拠が追いやすいのが利点です。
こんな人におすすめ
祖父母の世代の常識とぶつかって困っている親。ネットの体験談や極端な意見に振り回されたくない人。予防接種や動画、体罰などの判断に迷ったとき、根拠のある物差しがほしい人に向いています。
良い点
- 医学研究ベースで安心材料になる
- 新書で手頃に読める
- 祖父母世代にも渡しやすい
気になる点
- 子育て全般の網羅本ではない
- 分野により研究者の見解が分かれる
- 行動指針は自分で選ぶ必要
出版社
光文社
発売日
2020年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
テレビや動画は「悪」って言われがちですけど、この本はそこも疑ってるんですか?
佐藤メバル
そう、常識として並べられた項目を、世界の最新研究と一つずつ突き合わせていく本なんだ。予防接種、同時接種、ジェット式ハンドドライヤー、市販薬、動画、体罰。
個人体験ではなく研究の内容を示しながら話が進む。
橘ナナミ
お医者さんが書いてるなら、安心して読めそうですね。
佐藤メバル
著者は東大医学部を出て、麻酔科で勤務しながら子育てをした人。自分の子どもの夜泣きに悩んだことがきっかけで睡眠の研究を調べ始めた、という動機も書かれている。
育児の分野と医療の分野のはざまは詳しい専門家が少なくて混乱しやすい、と指摘しているのが印象的だよ。じいじもばあばも読めるように書かれている。

マンガでよくわかる アドラー流子育て【新版】
岩井俊憲 著|かんき出版
¥1,540(税込)
アドラー心理学をベースにした子育て法を、マンガで読み進められる一冊です。感情的に怒鳴らずに伝える方法、子どもの行動をどう理解するか、勇気づけ、自立心、チャレンジ力の培い方まで、PARTごとに会話の場面で示されます。著者が主宰する講座「SMILE」をベースにしており、20万人の家族が実践してきた内容が土台になっています。
こんな人におすすめ
文章で理屈を追うより、まず具体的な場面で理解したい人。つい怒鳴ってから落ち込むのをやめたい親。子育ての心理学に初めて触れる人。マンガで入門したい人に向いています。短い時間でも読み進められます。
良い点
- マンガで情景がつかみやすい
- すぐ実践できる言い方が多い
- 巻末のQ&Aが助けになる
気になる点
- 理論を深く知るには別書が必要
- 話の展開はやや優等生的
- 対象年齢の幅は広め
出版社
かんき出版
発売日
2024年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
アドラー心理学って、ビジネス書でもよく見ますけど、子育てに使うとどうなるんですか?
佐藤メバル
この本のいちばんの売りは、マンガで場面が想像できることだね。感情的にならずに伝える、叱るのではなく勇気づける、という話は、文字だけだと「分かるけどできない」になりがち。
会話の絵があると、自分の家の場面に置き換えやすい。
橘ナナミ
20万人って数字が帯に書いてありますけど、それだけの人がやった方法なんですね。
佐藤メバル
そう。著者が主宰するヒューマン・ギルドで1987年から開発・普及してきた「SMILE」という講座がもとになっている。
アドラーはもともと教育分野で効果が高いとされてきた心理学で、その入り口としてこの本はちょうどいい。ただ、理論をもっと知りたくなったら、次は文章で読む入門書に進むといいよ。

最新! 初めての育児新百科 (ベネッセ・ムック たまひよブックス たまひよ新百科シリーズ)
ベネッセコーポレーション 著|ベネッセコーポレーション
¥10(税込)
新生児から3才までの毎日の成長と、ママ・パパがそのとき何をすればいいかを月齢別にまとめた育児実用書です。お世話の基本、生活習慣づけとしつけ、予防接種と乳幼児健診、事故・けがの予防、病気の受診の目安まで写真と図解で網羅。切り取って使える発育・発達見通し表が付いており、手元に置いて引くタイプの一冊です。
こんな人におすすめ
初めての育児で、これから何が起きるのか先に知っておきたい人。実家が遠く、困ったときにすぐ聞けない家庭。0カ月から3才まで、月齢別に確認したい人に向いています。出産準備の時期に買っておくと安心です。
良い点
- 写真と図解でお世話が分かる
- 健診や予防接種の予定が整理できる
- 付録の見通し表が実用的
気になる点
- 心の育て方の記述は少なめ
- 月齢が進むと次の本が必要
- 電子版には付録が不向き
出版社
ベネッセコーポレーション
発売日
2020年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
育児実用書って、いまはスマホで調べればいいんじゃないかと思うんですけど、紙で持つ意味ってあるんですか?
佐藤メバル
新生児期はスマホを開く余裕すらない、というのが現実なんだよね。だからこの手の本は月齢別に引けることが大事で、この本は0カ月から3才まで、体・心・言葉の発達と関わり方が月齢順に並んでいる。
お風呂の入れ方、予防接種、健診、事故の予防と対策、受診の目安まで一冊で確認できる。
橘ナナミ
なるほど、困ってから探すんじゃなくて、先に読んでおく感じですね。
佐藤メバル
切り取って使える発育・発達見通し表が付いているのも、この種の本ならではだね。ワンオペのお風呂の手順など、ママ・パパの「困った」を具体的なテクで解決する項目も多い。
ただ、心の育て方をじっくり知りたいなら、同じ棚の別の本と組み合わせるといいよ。

はじめてママ&パパのしつけと育脳 ― 0-3才までに絶対しておきたい「脳育て」のコツがよくわかる! (実用No.1シリーズ)
成田奈緒子 著|主婦の友社
¥1,980(税込)
小児科医で発達脳科学者の監修のもと、0〜3才でできる「脳育て」をまとめた一冊です。0才からの脳育てルール、時期別の発達とコツ、しつけ、頭のいい子が育つ食事、親子遊び、家庭教育と習い事まで、専門用語を避けてイラストと図解で整理。生活習慣が脳を育てるという立場が全体を貫いています。
こんな人におすすめ
しつけと知育を別々に考えるのが不安な人。早寝早起きや食事といった生活リズムから見直したい親。0歳から3歳までの過ごし方を、先の見通しを持って設計したい人。最初に読む育脳本として向いています。
良い点
- 発達カレンダーで先が見通せる
- しつけと育脳を一体で扱う
- 読者実例が多く具体的
気になる点
- 3才以降は対象外
- 専門的な議論は浅め
- 情報量が多くやや忙しい
出版社
主婦の友社
発売日
2017年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「育脳」って言葉、なんだか競争をあおる響きがあるんですけど、この本はそういう感じなんですか?
佐藤メバル
いや、ここでいう育脳は、早期教育で先取りする話ではないんだ。監修は小児科医で発達脳科学者の成田奈緒子先生で、生活習慣そのものが脳を育てるという考え方。
早寝早起き、食事、親子の関わりが土台になっている。
橘ナナミ
しつけの章があるのも意外です。育脳としつけって別物かと思ってました。
佐藤メバル
そこをつなげているのがこの本のいいところだね。イヤイヤ期の困った、はしの持ち方、歯みがき、トイレトレーニングといった具体例を、脳の発達と結びつけて説明している。
巻頭には0〜5才まで見通せる発達カレンダーもあって、先を見ながら日々を送れる。累計25万部を超えるシリーズの一冊だよ。

子どもが伸びるスゴ技大全 カリスマ保育士てぃ先生の子育て〇×図鑑
てぃ先生 著|ダイヤモンド社
¥1,760(税込)
現役の保育士が、現場で試して効果のあった関わり方を〇×形式のマンガで紹介する一冊です。「ママお茶」「ママはお茶ではありません」のようなよくある会話を少し変えるだけで親子が変わる、というのが基本の切り口。落ち着きがない子がピタッと止まる方法、叱る場所の重要性、怒鳴らなくなるテクニックまで、明日から使える粒度で並びます。
こんな人におすすめ
理屈は後回しでいいから、今すぐ使える手がほしい人。寝かしつけの前など、数分しか読む時間がない親。保育の現場の目線に親しみを感じる人。今日から試せる技を探している人に向いています。
良い点
- 一つひとつが短くて実行しやすい
- 〇×形式で判断に迷わない
- マンガで状況がつかめる
気になる点
- 体系的な理論は少ない
- 年齢が低い子向けの技が多い
- 笑いを狙う箇所は好みが分かれる
出版社
ダイヤモンド社
発売日
2021年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
SNSでたくさんフォローされてるてぃ先生の本ですよね。SNSの人が書いた本って、薄いこともあるじゃないですか。
佐藤メバル
そこは安心していいよ。著者は現役の保育士で、保育園で実際に試して効果があったものを厳選している。しかも脳科学や心理学の根拠に基づいていることを大事にしている人なんだ。
読んで笑って、すぐ試せるのが強みだね。
橘ナナミ
「ママ、お茶」「ママはお茶じゃありません」って、たしかにうちの姉も言われてます。
佐藤メバル
そういう日常の一言をどう変えるかが具体的に書いてある。叱ると逆に増える行動、叱り方より叱る場所が大事、息を吐くだけで怒鳴らなくなる、といった項目は、忙しい親でも今日からできる粒度なんだ。
前の本が10万部を超えた続編だから、シリーズで揃えるのもいいよ。

子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉【「考える子どもに導く7つのステップ〜小学校までに親にできること」DL特典付き】
天野ひかり 著|ディスカヴァー・トゥエンティワン
¥1,870(税込)
NHK「すくすく子育て」の元司会を務め、講座や講演で累計56,000人以上の親子の悩みに接してきた著者が、子どもの自己肯定感を下げてしまう「実は否定している言葉」を並べ、伸ばす言葉に言い換える一冊です。カギは子どもを「認める(≠ほめる)」こと。ゲームをやめさせる、片付け、きょうだいゲンカ、登園拒否などの場面がマンガと事例で整理されています。
こんな人におすすめ
よかれと思って言った言葉が、子どもに響いていない気がしている親。つい怒ってしまい罪悪感を抱える人。ゲームや片付け、きょうだいゲンカなど、目の前の場面の言い方を変えたい人に向いています。
良い点
- 場面別に言い換えが分かる
- マンガで親子の視点差がつかめる
- 読者から寄せられた悩みが幅広い
気になる点
- 理論的な深掘りは少なめ
- 全部を覚えるのは難しい
- 対象は主に小学校まで
出版社
ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日
2023年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「認める」と「ほめる」って、私の中では同じ意味だったんですけど、違うんですか?
佐藤メバル
そこがこの本の芯になる考え方だね。著者はNHK「すくすく子育て」の元司会で、講座や講演で5万6千人以上の親子の悩みに接してきた人。
ほめるのは評価、認めるのは存在そのものを受け取ること。ほめるつもりが条件付きになっていると、逆に自己肯定感を下げてしまうことがある。
橘ナナミ
言葉ひとつで、そんなに変わるものなんですね。
佐藤メバル
ゲームばかりやっているとき叱らずにやめさせる、やりたがらない練習にどう声をかける、片付け、買って買ってが止まらない、きょうだいゲンカ。
日常で本当に起きる場面が並んでいて、マンガで親と子の見え方の違いが示される。読み終わったあと、自分の口ぐせに気づくはずだよ。

男の子の一生を決める 0歳から6歳までの育て方 (中経の文庫)
竹内エリカ 著|KADOKAWA
¥880(税込)
20年間で12,000人の子どもを見てきた著者が、男の子に合った育て方を0歳から6歳に絞ってまとめた一冊です。幼い男の子の行動はお母さんをはらはらさせてばかりですが、むしろ好きにやらせて失敗を繰り返させたほうが好奇心旺盛でやる気のある子に育つ、という立場。特に2歳、4歳、5歳は手がかかるが、この時期を頑張れば後が楽になると説きます。性別で分けて論じるのが特徴です。
こんな人におすすめ
男の子の行動に戸惑い、つい「ダメ!」を連発してしまう親。きょうだいで反応が違うと感じている人。就学前の関わり方を見直したい人。失敗させる覚悟を持ちたい人に向いています。文庫なので気軽に手に取れます。
良い点
- 手がかかる時期が年齢で分かる
- 文庫で手頃に読める
- 失敗させる重要性を説く
気になる点
- 性別による一般化が苦手な人も
- 女の子版と重なる箇所がある
- 根拠の提示は控えめ
出版社
KADOKAWA
発売日
2015年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
男の子と女の子で、そんなに育て方って違うんでしょうか。私、きょうだいがいないのでピンとこなくて。
佐藤メバル
そこは個人差が大きいから、決めつけるのはよくないね。ただこの本は、20年間で1万2千人を見てきた著者が、男の子に多い行動の傾向を前提に組み立てている。
「ダメ!」と言いすぎないほうがいい、失敗を繰り返させたほうが好奇心とやる気が育つ、というのが基本の主張だよ。
橘ナナミ
2歳、4歳、5歳が大変って書いてあるらしいですけど、本当ですか。
佐藤メバル
著者はまさにその3つの時期を山場として挙げている。大変だけど、ここで関わり方を整えれば後の子育てがぐっと楽になる、という励ましの構成になっているね。
姉妹本に女の子版もあるから、両方読むと対比が面白いよ。

女の子の一生を決める 0歳から6歳までの育て方 (中経の文庫)
竹内エリカ 著|KADOKAWA
¥880(税込)
同じ著者による女の子版で、こちらは「やさしい表情と語りかけが女の子の心を豊かにします」という視点から、0歳から6歳に合った明るい子になる育て方をまとめた一冊です。男の子版が行動の傾向と失敗経験に重心を置くのに対し、こちらはやさしい表情と語りかけという日々の接し方に焦点がある点が対照的。女の子の繊細な反応にどう言葉を返すかのヒントが中心になります。
こんな人におすすめ
女の子の繊細な反応に、どう言葉を返せばいいか迷っている親。男の子版と読み比べて、きょうだいの違いを整理したい人。0歳から6歳までの語りかけ方を見直したい人に向いています。文庫サイズで手に取りやすい一冊です。
良い点
- 語りかけの具体が中心にある
- 文庫で手に取りやすい
- 姉妹本として比較できる
気になる点
- 内容量は男の子版と同じ
- 性別による一般化を含む
- 根拠の提示は控えめ
出版社
KADOKAWA
発売日
2015年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
同じ著者が男の子版と女の子版を出してるんですね。内容はそんなに変わるものですか?
佐藤メバル
結論から言うと、重心が違う。男の子版は行動の傾向を前提に、失敗を経験させることを勧めていた。こちらはやさしい表情と語りかけが女の子の心を豊かにする、という方向から書かれている。
同じ0歳から6歳でも、親が意識するポイントが変わるんだね。
橘ナナミ
じゃあ、両方読む意味はありますか。
佐藤メバル
あると思う。きょうだいで育て方が違うと感じたときに、その違いを言葉にしてくれるからね。ただ、ここで扱われる傾向はあくまで一般的なもので、目の前の子が必ず当てはまるとは限らない。
うちの子はどっち寄りかな、と照らし合わせながら読むのがいいよ。

3歳までの子育ての教科書
アスコム 著|アスコム
¥965(税込)
脳科学者、脳神経外科専門医、教育カウンセラー、臨床心理士、ファイナンシャルプランナー、フードコーディネーター、収納カウンセラーまで、総勢19名の専門家が3歳までの子育てのコツを語る形式の一冊です。3つの本能を育てる、親の心の安定のために1日数時間の子離れを、といった具合に立場の違う視点が並ぶのが面白さです。
こんな人におすすめ
一冊を一人の先生の主張で読むのに、少し飽きてきた人。食事や片づけ、お金の話まで含めて子育てを眺めたい人。いろいろな専門家の視点を短い単位で拾いたい人に向いています。通読より拾い読みが向いています。
良い点
- 専門分野が横断的で視野が広い
- 各テーマが短く読みやすい
- 知らない切り口に出会える
気になる点
- 章ごとのつながりは弱い
- 内容の深さにはばらつきがある
- 拾い読み中心の使い方になる
出版社
アスコム
発売日
2012年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
19人も専門家が出てるって、逆にまとまりがない本にならないんですか?
佐藤メバル
そこは長所と短所がはっきりしているね。立場の違う人が並ぶから、脳科学の話の次に収納の話が来たりする。
茂木健一郎さんの「子育ては親子で楽しむ宝探し」、林成之さんの3つの本能、汐見稔幸さんの引っ込み思案にさせない7つのポイントなど、切り口がまったく違うんだ。
橘ナナミ
たしかに、ぜんぶ同じ先生だと視野が狭くなっちゃいますね。
佐藤メバル
そう。前の「10歳までの子育ての教科書」に寄せられた「生まれたばかりの赤ちゃんに何をしてあげたいか知りたい」という声に応えて作られたのがこの本なんだ。
夜ふかしの話のように、まずお母さんの生活を変えるという指摘もあって、読み物としても面白いよ。

子育てのきほん 新装版 (一般書)
佐々木正美 著|ポプラ社
¥1,540(税込)
児童精神科医として50年活躍した著者がたどり着いた、圧倒的にシンプルな子育ての心構えを55のメッセージで伝える一冊です。「子育ては過保護でいい」「いくら抱いても、いくら甘やかしてもいい」「子どもが望む親になってください」と、原則がぶれません。新装版では描きおろしマンガが加わりオールカラーになっています。最初に読む育児書として推薦されています。
こんな人におすすめ
「甘やかしてはいけない」と自分を縛ってしまっている親。育児書を何から読めばいいか迷っている人。子育ての土台になる考え方を、一つだけ持ちたい人。疲れたときに開いて安心したい人に向いています。
良い点
- メッセージが一貫してぶれない
- オールカラーで読みやすい
- 悩んだとき開ける構成
気になる点
- 具体策より心構えが中心
- 制度や社会の話は少ない
- 物足りないと感じる人もいる
出版社
ポプラ社
発売日
2025年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「子育ては過保護でいい」って、正直びっくりしました。甘やかすとわがままになるって言われますよね。
佐藤メバル
この本はそこに正面から反論している。著者は児童精神科医として50年活躍した人で、かわいがられるからいい子になる、かわいい子だからかわいがるのではない、と書いている。
いくら抱いても、いくら甘やかしてもいい、というのが軸なんだ。
橘ナナミ
50年って、ものすごい現場を見てきたんですね。
佐藤メバル
そう。悩みに寄り添う55のメッセージが並んでいて、子育て協会が推薦している本でもある。新装版で描きおろしマンガが加わってオールカラーになったから、開いたときの圧迫感が減った。
家庭とはほかのどこにもないほど居心地のいい場所だと伝えてあげてほしい、という言葉が胸に残るよ。

子育てのためのアドラー心理学入門〈新装版〉: どうすれば子どもとよい関係を築けるのか
岸見一郎 著|アルテ
¥1,650(税込)
子どもが生きていく力を身につけるには、親が子どもと対等の関係を築く必要がある——その考えを、アドラー心理学の「勇気づけ」から説き起こす入門書です。マンガ版が場面で理解させるのに対し、こちらはなぜ対等なのかという理屈の部分を丁寧に扱います。子どもとの関わりを具体的に考察しながら、子育ての基本を明らかにしていきます。
こんな人におすすめ
アドラー心理学の考え方を、マンガではなく文章で読みたい人。マンガ版を読んで理屈をもう少し知りたくなった人。子どもとの関係を対等という言葉から考え直したい人に向いています。ページ数が多くないので通読もしやすいです。
良い点
- 原理から丁寧に説明される
- 比較的薄く読み切りやすい
- 関わり方の具体が示される
気になる点
- 実践の場面集は少ない
- 全体像には他の本が必要
- 抽象度がやや高め
出版社
アルテ
発売日
2025年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
さっきのマンガのアドラー本と、これ、何が違うんでしょうか。同じアドラーですよね。
佐藤メバル
同じアドラーだけど、役割が違う。マンガ版は場面で分からせる本で、こちらはなぜ対等でなければならないのかから説き起こす本だね。
子どもが生きていく力を身につけるには、親が上から教える関係ではなく、対等の関係を築く必要がある、という主張が軸になっている。
橘ナナミ
対等って、親なのに? と思うんですが、叱らなくていいんですか?
佐藤メバル
叱らないのではなく、勇気づけという言い方で関わりを組み直す、というのが岸見一郎さんの立場だね。この本は子どもとの関わりを具体的に考察しながら、子育ての基本を明らかにしていく。
まず理屈を押さえてから日常で試したい人に向いているよ。

0~3歳の これで安心 子育てハッピーアドバイス
明橋大二 著|1万年堂出版
¥1,493(税込)
心療内科医で子育てカウンセラーの著者が、0〜3歳でいちばん大切なことを伝える決定版です。3歳までは「自分は大切にされている」という気持ちを育む時期だとし、抱っこ・話しかける・一緒に遊ぶ・話を聞く・まるごとほめるという心の育て方を示します。甘えさせることと甘やかすことの違いを明確に分け、泣きやまない、イヤイヤ期などのQ&Aも収録しています。
こんな人におすすめ
初めての育児で不安が尽きない人。甘やかすのが怖くて抱っこをためらっている親。イヤイヤ期や後追い、夜泣きに疲れている人。マンガで息抜きしながら心の育て方を学びたい人に向いています。
良い点
- マンガと〇×で読み進めやすい
- 甘えと甘やかしの区別が明快
- Q&Aが実用的
気になる点
- 0〜3歳に限定される
- 専門的な深掘りは控えめ
- 他巻と重なる内容もある
出版社
1万年堂出版
発売日
2017年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
甘えさせるのと甘やかすのは違うって、よく聞くんですけど、境界線がよく分からないんですよね。
佐藤メバル
そこをはっきり説明してくれるのがこの本だね。著者は心療内科医で子育てカウンセラー。自分は大切にされているという気持ちを育むのが3歳までの役割で、小さいときにしっかり甘えた子ほど自立していく、という立場なんだ。
橘ナナミ
「5人に1人はひといちばい敏感な子」という項目も気になります。
佐藤メバル
そう、そういう細やかな配慮もある。イラストとマンガがたっぷりで、〇×マンガで納得、あるあるマンガで苦笑いしながら読める。
イヤイヤ期にキレてしまう、後追いがひどくて家事ができない、私も虐待してしまうかも、といったQ&Aや、親自身の自己肯定感を上げるためのアドバイスも入っているよ。

1日5分で親子関係が変わる!育児が楽になる!PCITから学ぶ子育て (実用単行本)
加茂登志子 著|小学館
¥1,540(税込)
NHKで紹介され大反響を呼んだ子育てスキル「PCIT(親子相互交流療法)」を初めて書籍化した一冊です。プレイセラピーと行動療法に基づき、特に2〜7歳で多くの科学論文が効果を証明しているとされる療法を、家庭でできる形に落とし込みます。1日5分の特別な時間を軸に、大声を出さず、怒らずにしつけができるようになる手順を示します。
こんな人におすすめ
言うことを聞かない、乱暴、落ち着かないといった姿に悩み、育児困難を感じている親。心理療法の裏付けがある方法を試したい人。1日5分から関係を変えたい人に向いています。2歳から7歳ごろの子どもが中心の内容です。
良い点
- エビデンスに基づく手順が具体的
- 1日5分で始められる
- 子ども側の変化も説明される
気になる点
- 2〜7歳が中心の内容
- 特別な時間の継続が必要
- 実践できる施設は限られる
出版社
小学館
発売日
2020年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
PCITって聞き慣れないんですけど、それってどんなものなんですか?
佐藤メバル
親子相互交流療法のことだね。プレイセラピーと行動療法を組み合わせた心理療法で、アメリカで開発されて、特に2〜7歳への効果が多くの科学論文で確かめられている。
ヨーロッパやオーストラリア、台湾にも広がっていて、日本でもメンタルクリニックや療育施設、児童相談所で採用されている。
橘ナナミ
「1日5分」で変わるっていうのは、本当なんですか?
佐藤メバル
論より証拠、というのがこの本の調子だね。特別な時間の作り方から具体的に案内してくれる。一生懸命やっているのにうまくいかない、と感じている親ほど試しやすい設計になっているよ。
ただ、しつけの技法としては継続が前提だから、数日やって合わないと決めつけずに続けてみてほしい。

改訂新装版 子どもの脳を発達させるペアレンティング・トレーニング: 育てにくい子ほどよく伸びる
成田奈緒子 著|合同出版
¥1,870(税込)
発達が気になる、不登校、すぐキレる——どんな子も「生活環境の改善」で変わります、という立場から、脳育てのメソッドをイラストで示した一冊です。ブレない生活習慣の確立、調和の取れたコミュニケーション、親子が互いを尊重する体制づくりなど6つのメソッドを、家庭や学校・園で取り組みやすく整理。育てにくい子ほどよく伸びるという題が軸です。
こんな人におすすめ
発達が気になり、病院や園で相談しても解決しきれないと感じている親。生活リズムから立て直したい人。家庭と園で同じ言葉を使って、支援の入り口に立ちたい人に向いています。年齢を問わず読める構成です。
良い点
- 生活習慣から整える順序が明確
- イラストで取り組みやすい
- 家庭と園の両方で使える
気になる点
- 医学的な診断の話は範囲外
- 即効を期待すると物足りない
- ページ数はやや少なめ
出版社
合同出版
発売日
2023年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「育てにくい子ほどよく伸びる」って、題名に救われる人がいそうです。
佐藤メバル
そうだね、ここは生活環境の改善で変わりますと断言している本だ。著者は小児科医で発達脳科学者。
ブレない生活習慣、調和の取れたコミュニケーション、親子が互いを尊重して協力しあう体制、怒りやストレスへの対処を共有する、といった6つのメソッドを挙げている。
橘ナナミ
「脳育て」って、特別なトレーニングをするのかと思っていました。
佐藤メバル
むしろ逆で、生活の組み立て方を整えるところから始まる。家庭でも学校や園でもかんたんに取り組めるようにイラストで示しているから、担任の先生と共通の言葉で話しやすくなるのも利点だね。
何歳からでもどんな状態でも伸びていく、というメッセージが全体を支えているよ。

最新の医学・心理学・発達支援にもとづいた子育て法 発達特性に悩んだらはじめに読む本: 1歳から入学準備まで 言葉の遅れ かんしゃく 多動・・・病院や園では解決できない“困った”に対応!
西村佑美 著|Gakken
¥1,760(税込)
一般の小児科と発達専門外来でのべ1万組以上の親子を診てきた医師が、医学・発達心理学・発達支援の知識と、発達特性のある長男を含む3人の子育て経験を交えて書いた一冊です。言葉の遅れ、かんしゃく、多動、園の行きしぶりなど、病院や園ではすくいきれない困りごとに、1歳から入学準備まで対応。子どもを伸ばす関わり方を具体的に示します。
こんな人におすすめ
発達障害かもしれないと不安を感じている親。診断の前後でどう関わればいいか知りたい人。園や病院で相談しきれなかった困りごとを抱えている人。医師と親、両方の目線がほしい人に向いています。
良い点
- 医療と家庭の橋渡しになる
- 医師の実体験に基づく記述
- 1歳から入学準備まで幅広い
気になる点
- 網羅的で通読には根気が要る
- 個別の事情には個別対応が必要
- 専門用語はやや多め
出版社
Gakken
発売日
2024年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「もしかしたら発達障害?」って思ったとき、最初に読む本として選ばれてるんですね。
佐藤メバル
著者は小児科医で、一般の診察と発達専門外来でのべ1万組以上の親子を診てきた人なんだ。しかも発達特性のある長男を含む3人の子育ての実体験がある。
だから医師の目線と親の目線が両方入っている。
橘ナナミ
病院と家とで、言われることが違って迷うこともある気がします。
佐藤メバル
まさにその隙間を埋める本だね。言葉の遅れ、かんしゃく、多動、園の行きしぶりなどを、1歳から入学準備までの時期ごとに扱っている。
基本は子どもの行動を見て肯定的な注目、つまりアイコンタクトと笑顔を与えることだと繰り返し述べている。
診断の有無にかかわらず使える考え方だよ。

発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換
大場美鈴 著|あさ出版
¥1,760(税込)
発達障害&グレーゾーンの3きょうだいを育てる著者が、ネットで14万シェアを超えた「声かけ変換表」を大幅に追加して書籍化した一冊です。「ここができてないよ」→「ここまでできてるね」、「ちょっと待って」→「あと◯分待ってね」のように、166の言い換えを具体例つきで紹介。ちょっとした変換の積み重ねが親子を楽にします。
こんな人におすすめ
同じことを何度言っても伝わらないと感じている親。感情的に怒ってしまう自分を変えたい人。療育やサポート、ペアレントトレーニングの入口を探している人。今日の一言から変えたい人に向いています。
良い点
- 166例を場面から引ける
- 変換表のダウンロードが付く
- 怒りすぎた経験から書かれている
気になる点
- 発達特性のある子向けが中心
- 全ての子に同じ効果とは限らない
- 項目が多く全部は覚えられない
出版社
あさ出版
発売日
2020年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「声かけ変換表」が14万シェアって、ネットですごく広まったんですよね。そんなに効くものなんですか?
佐藤メバル
効くというより、試しやすいんだと思う。「〇〇しちゃダメ!」を「〇〇しよう」にする、「空気読んで!」を「今、みんなで〇〇しているところだよ」にする。
怒る前に一つ変換するだけで、場面が変わる。166例あるから、今日の夕方に使えるものが必ず見つかる。
橘ナナミ
自分が怒ってばかりだった経験から書かれた本だというのも気になります。
佐藤メバル
そこが読みどころだね。著者は3人の子育て真っ最中で、長男はASDの診断とLD+ADHDの傾向、次男と長女はいくつかの凸凹があるグレーゾーン。
だから理想論ではなく、うまくいかなかった日の記録として読める。本書版の声かけ変換表をダウンロードできるのも助かるよ。

科学的根拠(エビデンス)で子育て 教育経済学の最前線
中室牧子 著|ダイヤモンド社
¥1,980(税込)
世界的な学術論文誌の中から信頼性の高いエビデンスを厳選し、将来の収入に効く幼少期の経験、学力テストでは測れない非認知能力、時間投資の効果、早生まれ、競争と順位、別学と共学、男女差まで、教育経済学の最前線を一冊にまとめた本です。学校の外の人生で役に立つ教育とは何かを問い、短期の成績ではなく長期の成果から考え直します。
こんな人におすすめ
教育にお金と時間をかける価値を、根拠から知りたい親。習い事や受験の判断材料がほしい人。教育政策の議論にも関心がある人。通説をデータで確認したい人に向いています。数字を読むのが苦でない人向きです。
良い点
- 論文ベースで根拠が明確
- テーマが広く議論の材料になる
- 政策の論点も押さえられる
気になる点
- 数字が多く読みごたえがある
- 個別の家庭事情には及ばない
- 結論は一律に当てはまらない
出版社
ダイヤモンド社
発売日
2024年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
教育経済学って、なんだか難しそうなんですが、子育てにどう役立つんですか?
佐藤メバル
たとえば将来の収入を上げるために子どもの頃にやっておくべきこと、学力テストの点数は将来の収入のほんの一部しか説明できないこと、時間投資は子どもの年齢が小さいときほど効きやすいこと。
データが示す傾向を知ると、焦って足すべきか、手を離すべきかの判断が変わるんだ。
橘ナナミ
「早生まれは損をするのか」なんて項目もあるんですね。気になります。
佐藤メバル
そういう素朴な疑問にも答えてくれる。順位は前回と比べてどれだけ伸びたかを伝えるのが正解、ご褒美で釣ると逆効果になることもある、第1志望のビリと第2志望の1位のどちらが有利か、といった話まで扱う。
前作から9年分の研究の進展が反映されているから、以前読んだ人にも新しい内容が多いよ。

私たちは子どもに何ができるのか――非認知能力を育み、格差に挑む
ポール・タフ 著|英治出版
¥1,654(税込)
「やり抜く力」「好奇心」「自制心」といった非認知能力をどう育むかを、最新の科学的根拠と先進事例から解き明かす一冊です。ノーベル経済学賞を受賞したヘックマンの研究をはじめ、逆境にある子どもにとって非認知能力の育成がその後の学歴や健康、年収に大きく影響することを示します。貧困と教育格差という社会課題に踏み込む点が特徴です。
こんな人におすすめ
非認知能力という言葉をもう一歩深く知りたい人。教育格差や子どもの貧困に関心がある人。家庭の中だけでなく、社会として何ができるかを考えたい人。教育関係者にも向いています。実践の手順書ではない点は押さえておきましょう。
良い点
- 研究と事例のバランスがよい
- 幼児期から思春期まで扱う
- 政策提言の視点も持てる
気になる点
- 海外事例が中心で距離を感じる
- 実践の手順書ではない
- 176ページで密度が濃い
出版社
英治出版
発売日
2017年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
非認知能力って、最近よく聞くんですけど、結局どうやって伸ばすのかはっきりしない気がします。
佐藤メバル
まさにそこに答えるために書かれた本だね。著者は2年にわたって新しい研究や事例を取材して、幼少期の親子関係のストレスをどう和らげるか、問題行動のある子がいるクラスの成績をどう上げるか、自信のない子にどんなフィードバックが効くかを具体的に示している。
橘ナナミ
貧困の話も入ってくるんですね。子育ての本というより、社会の本みたいです。
佐藤メバル
そこがこの本の射程の広さだよ。ノーベル経済学賞のヘックマンの研究をはじめ、逆境にある子どもにとって非認知能力の育成がどれだけ効くかを扱っている。
家庭の問題だけでなく、園や学校、地域の大人の接し方で変わる部分があるとされている。176ページだけど中身は濃いよ。
「100冊の地図」とエビデンスのものさしの作り方
橘ナナミ
全体マップって、結局どう見ればいいんでしょう。1冊で全部まるわかり、みたいな本はどうなんですか?
佐藤メバル
『子育てベスト100』は、教育学・生理学・心理学・脳科学などの資料と膨大な取材から、コミュニケーション、家での勉強、遊び、習い事、ほめ方・叱り方、読書、スマホ対策、ゲーム対策、食事、睡眠、運動までを1冊に落とし込んだ本だ。ベスト100の方法に加えて421の具体策がついている。同じ「全体像」型でも、『世界標準の子育て』はアメリカ、イギリス、北欧、シンガポールなどの教育の実情を並べたうえで日本人の子育ての思い込みを指摘し、読み聞かせ方やしつけのタイミングを体系化している。日本の中の全体像と、世界との比較。入口が2つあると思えばいい。
橘ナナミ
地図だけ先に借りる、という使い方もできそうですね。でも、その地図はどこまで信じていいんですか?
佐藤メバル
そこが肝心。私はエビデンスの強さを★で見るように勧めている。『科学的根拠(エビデンス)で子育て』は、世界的な学術論文誌から信頼性の高いものを厳選し、成績や受験だけでなく、学校を卒業した後の人生の本番で役立つ教育を問う。研究に近い本ほど★は高い。逆に体験談が中心の本は★は低いが、明日の具体策としては強い。どちらが上ではなく用途が違う。100冊を1冊にまとめた『子育て本ベストセラー100冊の「これスゴイ」を1冊にまとめた本』は、「AERA with Kids」元編集長が名作・ベストセラーを23のキーワードに整理した地図として使える。
家族の形と、多様な子に効く一冊
橘ナナミ
ここ、まとめ記事だと抜けがちなところですよね。共働きとかワンオペとか。
佐藤メバル
そう。時間がない家庭に分厚い理論書を勧めるのは不親切だよ。1日5分で完結する設計の本や、漫画で要点を追える本のほうが現実的。声かけの変換表のように、必要なところだけ開けばいい構造の本も強い。性差で迷ったら、20年間で12,000人の子どもを見てきた著者による『男の子の一生を決める 0歳から6歳までの育て方』『女の子の一生を決める 0歳から6歳までの育て方』という手がかりもある。
橘ナナミ
発達が気になる子や、不登校の子については?
佐藤メバル
『発達特性に悩んだらはじめに読む本』は、のべ1万組以上の親子を診た小児科医が、言葉の遅れ、かんしゃく、多動、園の行きしぶりといった「病院や園では解決しきれない困った」に、医学と発達支援、そして自身の子育て経験を重ねて答えている。生活環境の改善から入る『子どもの脳を発達させるペアレンティング・トレーニング』も、同じ困りごとの入口になる。不登校については、学校に行かない選択肢があると知るだけで偏見が減る、と先ほどの100冊本も一章を割いている。わが子が多数派でないときこそ、本は助けになる。
育児書を読みすぎないための処方箋——原著・要約・図書館・電子の使い分け
橘ナナミ
正直、読みすぎて余計に不安になることもあるんです。
佐藤メバル
その感覚は正しい。育児書には「こうすべき」が山ほど書いてあるから、読むほど足りない自分が見えてしまう。だから原著と要約本は分けて考えてほしい。考え方を深く知るなら原著、要点だけ先に掴むなら要約。そして何より、一冊を決めて数か月試すほうが、10冊を流し読みするより効く。『子育てのためのアドラー心理学入門』や『子育てのきほん』のように、対等な関係や甘えの意味といった原理を説く本は、繰り返し開いて薄く長く付き合うタイプだよ。
橘ナナミ
図書館や電子書籍の使い分けは?
佐藤メバル
試し読みの延長は図書館、辞書的に何度も引くなら電子か紙で手元に。改訂版が出やすいジャンルなので版の古さだけは必ず見てほしい。口コミは「その人の子の年齢と気質」をセットで読むこと。条件が違えば評価も変わる。読まない勇気、閉じる勇気も、立派な子育ての技術だよ。
よくある質問
子育て本は何冊くらい読めばいいですか?
橘ナナミ
子育て本は何冊くらい読めばいいですかについて教えてください。
佐藤メバル
冊数より「一冊を決めて数か月試す」ほうが効果的です。100冊本は選択肢の地図であって、宿題ではありません。読むほど足りない自分が見えて不安になるなら、いま困っている一点に対応する一冊だけを手元に置いてください。
0歳児の親が最初に読むべき子育て本は?
橘ナナミ
0歳児の親が最初に読むべき子育て本はについて教えてください。
佐藤メバル
月齢別に毎日のお世話を引ける『最新! 初めての育児新百科』が実務の土台になります。心の育て方を先に知りたいなら、抱っこや話しかけ、甘えと甘やかしの違いをやさしく説く『0〜3歳の これで安心 子育てハッピーアドバイス』が入口になります。
叱らない子育ての本で本当に効果があるのは?
橘ナナミ
叱らない子育ての本で本当に効果があるのはについて教えてください。
佐藤メバル
『自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方』は、オックスフォードで児童発達学の博士号を取得した著者が、モンテッソーリとレッジョ・エミリアを踏まえて3〜12歳の声かけを組み立て直した本です。罰やごほうびの落とし穴にも触れており、叱らない=放置ではないことが具体的にわかります。
子育て本は漫画と活字どちらがおすすめ?
橘ナナミ
子育て本は漫画と活字どちらがおすすめについて教えてください。
佐藤メバル
時間が取れない時期は漫画が合理的です。『マンガでよくわかる アドラー流子育て【新版】』は講座「SMILE」がベースで、伝わる言い方を漫画で追えます。逆に自分がどう育てられたかを見つめたいなら、読み物として腰を据える本のほうが向いています。
中学受験対策に役立つ子育て本はありますか?
橘ナナミ
中学受験対策に役立つ子育て本はありますかについて教えてください。
佐藤メバル
『子育て本ベストセラー100冊の「これスゴイ」を1冊にまとめた本』には勉強・受験の勘違いを扱う章があり、塾任せではなく親の知識とサポートが要るという整理が読めます。学習と将来の関係を研究から見直したいなら『科学的根拠(エビデンス)で子育て』が材料になります。
翻訳の子育て本と日本人著者の本はどう違いますか?
橘ナナミ
翻訳の子育て本と日本人著者の本はどう違いますかについて教えてください。
佐藤メバル
翻訳は原理を学ぶのに向き、日本人著者は明日の行動を変えるのに向きます。たとえば『私たちは子どもに何ができるのか』は非認知能力と貧困の連鎖を海外の研究と事例で描く本で、視野は広い一方、制度や文化の違いは自分で読み替える必要があります。
子育て本は図書館や電子書籍で借りても十分ですか?
橘ナナミ
子育て本は図書館や電子書籍で借りても十分ですかについて教えてください。
佐藤メバル
試し読みの延長なら図書館で十分です。ただし育児書は改訂版が出やすく、予防接種や健診の情報は版が古いと役に立たないことがあります。月齢別に引く本や声かけを辞書代わりに使う本は、電子か紙で手元に置くと強みになります。
自己肯定感を伸ばす本で特におすすめは?
橘ナナミ
自己肯定感を伸ばす本で特におすすめはについて教えてください。
佐藤メバル
『子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉』は、よかれと思った一言が自己肯定感を下げていたという視点から「認める(≠ほめる)」を軸に、場面ごとの言い換えを示します。ゲームや片付け、登園拒否など、日常で起きる具体的な場面が並ぶので実践しやすい一冊です。
まとめ
橘ナナミ
今日の話、けっこう救われました。100冊読まなくていいって聞けて。
佐藤メバル
100冊は「選択肢の数」であって「宿題の数」じゃないからね。書店員時代、育児書の平台を作りながら、手に取る人の表情が「もっと知りたい」より「これで合ってるのかな」に見えていることが多くて、少し心配になったのを覚えている。
橘ナナミ
本が味方じゃなくて、採点表になっちゃう感じ……わかります。
佐藤メバル
だから、一冊を選んで、わが子で試して、合わなければそっと棚に戻す。それでいい。児童精神科医の佐々木正美が『子育てのきほん』で繰り返し書いていたのは、要は「子どもが喜ぶこと」をしてあげること、そしてそれを自分自身の喜びにしていい、ということだった。本はそのための道具だよ。
橘ナナミ
道具。いい言葉です。
佐藤メバル
育児書は、地図と懐中電灯に似ている。地図は全体を教えてくれるけれど、足元は照らしてくれない。懐中電灯は、目の前の一段だけを照らす。両方持てる人は強いけれど、手がふさがって抱っこできないなら、今日は懐中電灯だけ持って歩けばいい。いちばん正確な現在地は、あなたの腕の中にいるその子だから。
