デンマークの子育てが学べる本のおすすめ人気ランキング14選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
佐藤さん、この前SNSで「デンマークの親は子どもを褒めない」って見かけて、びっくりしたんです。褒めないのに子どもの自己肯定感が育つって、どういうことなんだろうって。
佐藤メバル
いい質問だね。そこが一番誤解されやすいところなんだ。『デンマークの親は子どもを褒めない 世界一幸せな国が実践する「折れない」子どもの育て方』は、著者にジェシカ・ジョエル・アレキサンダーとイーベン・ディシング・サンダールの二人の名前が並ぶ一冊で、書名だけ読むと「放置するの?」と思われがちなんだけど、中身はむしろ逆なんだ。結果ではなく、プロセスを見る。それがこの本の核なんだよ。
橘ナナミ
結果を褒めるんじゃなくて、過程に目を向ける、ということですか。じゃあ「褒めない」というより「評価を手放す」に近いんですね。
佐藤メバル
そうそう。この本は「PARENT(親)」の頭文字で6つのキーワード——Play、Authenticity、Reframing、Empathy、No Ultimatums、Togetherness——を立てて構成していて、たとえば「子どもが失敗したりミスしたりしても『よくやった』『頑張った』とは言わない」という項目も入っている。日本の「褒めて伸ばす」とは発想が違うからこそ、前提を知らずに読むと戸惑うんだ。書店員時代、この手の本を「叱らない育児」のコーナーに並べて、後から直したことがある(笑)。
橘ナナミ
でも、書店やネットを見ると似たタイトルがたくさんあって、どれが自分に必要か全然わからなかったんです。
佐藤メバル
そこは棚を作ってきた経験が効くところでね。目的と子どもの年齢、それに「実践か知識か」で分けると、必要な一冊がすっと見えてくる。
橘ナナミ
14冊もあると、もう途方に暮れちゃいます。
佐藤メバル
大丈夫、軸は6つだけ。順番に見ていこう。
デンマークの子育てが学べる本の選び方
目的別——入門か、実践か、制度理解か
橘ナナミ
まず目的からなんですね。「デンマークって何が違うの?」を知りたいだけなら、どの本でしょう。
佐藤メバル
全体像をさっと掴むなら、入門として『デンマークの親は子どもを褒めない』が読みやすい。研究データと著者自身の経験を交えて、この国の子育ての特徴を紹介してくれる。日々の声かけを今日から変えたいなら、『デンマークのすごい教育 競争のない国に学ぶ『幸せな子育て戦略』』のように、15分の対話、家事の共有、教えすぎない勇気といった具体的な習慣を章立てで示す本が向いている。制度や福祉まで行きたい人は、『デンマークの子育て・人育ち: 「人が資源」の福祉社会』や『あたりまえの暮らしを保障する国デンマーク: DVシェルター・子育て環境』へ進むと一気に解像度が上がるよ。
橘ナナミ
なるほど、「知りたい」「変えたい」「背景まで知りたい」で棚が分かれるんですね。
子どもの年齢別——乳幼児期とティーン期
橘ナナミ
年齢でも変わるんですか? 私、子どもがいないので想像がつかなくて。
佐藤メバル
そこは素直に分けて考えていいところだね。乳幼児期なら『デンマークの親は子どもを褒めない』、思春期なら同じ著者の『デンマーク流ティーンの育て方』と使い分けるのが基本。ティーン版は、人間関係、学業、性、ネットリテラシー、外見コンプレックスといった、もう子どもではないけれど大人でもない時期の不安に向き合い、超えてはならない「境界線」の示し方を10の心得としてまとめている。幼児期とティーン期は、同じ「見守る」でも中身が違う。ここを混ぜて読むと、逆に混乱するんだよね。
形式別——新書・単行本・電子書籍
橘ナナミ
通勤中に読みたいと思ったら、やっぱり新書が便利ですよね。
佐藤メバル
そう、軽さは正義。『デンマーク流ティーンの育て方』は集英社新書で288ページ、鞄に入れても苦にならない。じっくり学ぶなら、『デンマークの教育を支える「声の文化」: オラリティに根ざした教育理念』や『欧州福祉国家の自由・平等教育』のように、現地視察や教育理念を丁寧に扱った本が合う。電子書籍やオーディオブックは対応状況がタイトルごとに違うから、購入前に必ず確認してほしい。僕も紙だと思い込んで出張の新幹線で開けずに後悔したことがある(笑)。
原著か翻訳かで選ぶ
橘ナナミ
原著で読むか翻訳で読むか、というのも選び方なんですね。
佐藤メバル
『デンマークの親は子どもを褒めない』は世界的なヒット作で、アメリカ、イギリス、ブラジル、トルコ、ハンガリー、ロシア、韓国など全15か国以上で刊行が決まっている。だから英語圏向けの原著も存在する。原文のニュアンスを確かめたいなら原著、読みやすさと日本語の文脈を優先するなら翻訳、という選び方でいい。版が更新されると内容に手が入ることもあるから、購入前に版の情報を確かめておくといいよ。
著者・訳者でまとめ読みする
橘ナナミ
訳者で選ぶって、小説では聞いたことがありましたけど、子育て本でもアリなんですね。
佐藤メバル
アリだよ。『デンマークの親は子どもを褒めない』の訳は鹿田昌美で、『フランスの子どもは夜泣きをしない——パリ発「子育て」の秘密——』や『最高の子育てベスト55』など、海外の子育て本を数多く手がけている。翻訳の語感が自分に合うかどうかを基準に、鹿田訳の子育て本をまとめて読む、という楽しみ方もある。著者で追うなら、サンダールの幼児期版とティーン版を続けて読むと、考え方の一貫性が見えて面白いよ。
実践重視か、知識重視か
橘ナナミ
最後の軸は何でしょう?
佐藤メバル
具体的な声かけの例が欲しいのか、研究や統計の裏付けが欲しいのか、という軸。後者なら『デンマークの人づくり: 個性に応じた社会参加を支援する』や『世界に学ぼう!子育て支援: デンマーク・スウェーデン・フランス・ニュージーランド・カナダ・アメリカに見る子育て支援』のように、複数の国を並べて比較する本が効く。体験記一冊だけだと「デンマークはすごい」で終わりがちだけど、比較の視点が入ると、日本のどこが課題で、何が真似できて何ができないかが見えてくる。これが選書のいちばん面白いところなんだ。
デンマークの子育てが学べる本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、14冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
デンマークの子育てが学べる本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい

デンマークの親は子どもを褒めない 世界一幸せな国が実践する「折れない」子どもの育て方 (新書企画室単行本)
ジェシカ・ジョエル・アレキサンダー 著|集英社
「幸福指数世界一」を40年以上キープするデンマークの秘密を、子育てから描いた一冊です。著者はアメリカ出身の作家で、デンマーク人の夫と暮らすうちに文化の違いに関心を持った人。共著者は家族と子どものカウンセリングを専門とする心理療法士です。PARENT(親)の6文字——遊ぶ・ありのままを見る・視点を変える・共感力・叩かない・仲間とつながる——に沿って構成され、好きなだけ遊ぶ時間、必要でなければ手を貸さない姿勢、異年齢の集団で交渉術を学ぶこと、ハッピーエンドに慣れさせないこと、結果ではなくプロセスを褒めることなど、具体策が並びます。15か国以上で刊行された世界的ヒット作です。
こんな人におすすめ
未就学児から小学生の親で、つい先回りして手を出してしまう人。褒め方に迷い、わが子の折れない心を育てたい人。国際的な子育て論を比較したい読者や、保育・書店の現場で保護者に本を薦める立場の人にも。
良い点
- 6つのキーワードで整理され実践しやすい
- 研究データと体験談の両方が入る
- 15か国以上で読まれた定番
気になる点
- 共著で情報量が多く感じる人も
- 日本の制度との差は自分で補う必要
- 褒めない方針に抵抗を感じる人も
出版社
集英社
発売日
2017年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
タイトルからしてびっくりです。デンマークの親は、子どもを褒めないんですか?
佐藤メバル
いい質問だね。ここでいう「褒めない」は、放っておくという意味ではないんだ。この本は、結果ではなくプロセスに注目することを勧めている。
そして、子どもが失敗したときに反射的に「よくやった」「頑張った」と言わない、という考え方も紹介される。
褒めることより、信じて待つことを重んじる姿勢なんだよね。
橘ナナミ
なるほど……でも、それで子どもの自己肯定感は育つんですか?
佐藤メバル
そこがこの本の面白いところで、デンマークでは異なる年齢の集団で遊ぶ時間が、自制心と交渉術を育てるとされている。
親は必要でなければ手を貸さないし、ハッピーエンドの物語に慣れさせないから、子どもは人生には起伏があると知る。
PARENTの6つの頭文字に沿って、具体例と研究データが並んでいるよ。

デンマークの子育て・人育ち: 「人が資源」の福祉社会
澤渡夏代ブラント 著|大月書店
¥1,836(税込)
タイトルに掲げられた「人が資源」という言葉が、この本の核です。デンマークの子育てを、家庭の中のテクニックとしてではなく、社会が人をどう育て支えるかという福祉の視点から捉え直した一冊。大月書店から出た237ページの読み応えある本で、保育や福祉を学ぶ人のテキストとしても手に取りやすい価格帯です。子育て本を何冊か読んだあとに「ではその背景にある社会の仕組みはどうなっているの?」と知りたくなったとき、橋を架けてくれます。家庭の外側に目を向けさせてくれる点が、実践書との大きな違いです。
こんな人におすすめ
保育士・幼稚園教諭をめざす学生や、福祉政策に関心のある社会人。子育て本を読んで「なぜデンマークはそうなのか」と背景を知りたくなった人。国際比較や社会保障の視点から子育てを考えたい読者に。
良い点
- 子育てを社会の仕組みから見られる
- 保育・福祉の学習テキストになる
- 実践書の次の2冊目にちょうどいい
気になる点
- 家庭内のハウツーを求める人には不向き
- 制度や歴史の話が中心になりやすい
- 子育て中の忙しい人にはやや重ため
出版社
大月書店
発売日
2005年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
タイトルにある「人が資源」って、どういう意味なんでしょう。人を資源と言うと、少し冷たくも聞こえます。
佐藤メバル
そこに引っかかるのは鋭いね。デンマークでは、社会を支えるのは人そのものだという考え方が根底にある。教育も福祉も、人を育てて支えることが国の土台になるという発想なんだ。
この本は、子育てを家庭の中の技術としてではなく、社会がどう人を育てるかという視点から書いている。子育て本を何冊か読んだあとの2冊目に向いているよ。
橘ナナミ
なるほど。じゃあ、明日から使える育児のコツを探している人が読むと、ちょっと違うかもしれないですね。
佐藤メバル
そう、そこは期待値を合わせたいところ。声かけの具体例が欲しいなら実践書のほうがいい。でも「なぜデンマークはそうなのか」を知ると、実践の意味が変わってくるんだ。
保育や福祉を学ぶ学生のテキストとしても読み応えがある。237ページ、腰を据えて読む一冊だよ。

デンマークのすごい教育: 競争のない国に学ぶ『幸せな子育て戦略』
見和明澄 著
競争や比較に疲れた日本の親に向けて書かれた、家庭から始める実践書です。著者は教育の専門家ではなく「ふつうの会社員家庭」の目線から、教師でも専門家でもない親が明日から取り入れられることを並べています。15分の対話、家事の共有、教えすぎない勇気。第3章の「できる子より幸せな子を育てる7つの親の視点」、第4章の9つの習慣、第5章の10の仕掛けと、章ごとに数字で整理されていて手が出しやすい。比べない・急がない・教えすぎないという3つの軸が全編を貫く、生活の設計図に近い一冊です。
こんな人におすすめ
共働きで、子どものために何かしたいのに正解が見えない人。教育熱心ゆえに疲れや罪悪感を抱えている親。学力だけでなく心の安定や生きる力を育てたいと考え、まず家庭の時間の使い方から変えたい読者に。
良い点
- 章ごとに数字で整理され実践しやすい
- 共働きの会社員家庭の目線で書かれている
- 日本の暮らしに置き換えやすい具体策
気になる点
- 理論や研究データは少なめ
- すでに実践中の人には基本的内容
- 深い教育論を求める人には軽め
出版社
詳細情報なし
発売日
2026年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
これ、著者が教育の専門家じゃなくて、ふつうの会社員家庭の人なんですよね。そこが気になります。
佐藤メバル
そう、そこがこの本の持ち味なんだ。先生でも専門家でもない人が、明日から取り入れられることを並べている。
15分の対話、家事の共有、教えすぎない勇気といった具合にね。第3章の7つの視点、第4章の9つの習慣、第5章の10の仕掛けと、数字で整理されているから手が出しやすいんだよ。
橘ナナミ
15分の対話なら、私でもできそう……って、私ひとり暮らしですけど。
佐藤メバル
はは、そういう読者も歓迎だよ。将来の家庭像を思い描くのにもいいし、比べない・急がない・教えすぎないという軸は、子育て以外の場面でも効くんだよね。
共働きで罪悪感を抱えている人ほど、読むと肩の力が抜けると思う。

デンマーク流ティーンの育て方 (集英社新書)
イーベン・ディシング・サンダール 著|集英社
¥1,320(税込)
『デンマークの親は子どもを褒めない』の共著者でもある心理療法士が、思春期に的を絞って書いた一冊です。ティーンはもう子どもではないけれど、まだ大人でもない。人間関係、学業、性、ネットリテラシー、外見のコンプレックス——成長期の不安は世界共通だと述べたうえで、あたたかく見守りながらも超えてはならない「境界線」を示し、明確な価値観と規範を教える方法を10の心得として紹介します。幼児期の子育て本とは扱う論点がまるで違うので、前の本を読んで「うちの子はもう大きい」と感じた人の続きとして最適です。
こんな人におすすめ
中学生・高校生の子を持つ親で、見守りとしつけの線引きに悩んでいる人。SNSや友だち関係など、子どもが自分で判断する場面が増えて戸惑う保護者。教育関係者やスクールカウンセラーが思春期対応の視点を得たいときにも。
良い点
- 思春期に特化した10の心得で整理
- 心理療法士の専門的な視点が入る
- 新書サイズで読み進めやすい
気になる点
- 未就学児の親には対象が合いにくい
- 日本の受験環境とは前提が違う
- 心得を実践するには根気が要る
出版社
集英社
発売日
2024年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
これ、さっきの本の共著者の人が書いているんですよね。ティーン向けということは、だいぶ対象が違うんですか?
佐藤メバル
まるで違うよ。ティーンはもう子どもではないけれど、まだ大人でもない。人間関係、学業、性、ネットリテラシー、外見のコンプレックス——扱う論点が一気に増えるんだ。
この本は、あたたかく見守りながらも超えてはならない「境界線」を示し、価値観と規範をどう伝えるかを10の心得にまとめている。
橘ナナミ
見守るだけでもダメ、介入しすぎてもダメ、ということですか。
佐藤メバル
そう、その線引きがテーマなんだよね。著者はデンマーク生まれの心理療法士で、家族と子どものカウンセリングが専門。
だから抽象論ではなく、どこで線を引くかという実務的な話になる。前の本を読んで「うちの子はもう大きい」と感じた人は、ここに続きがあると思っていいよ。
![デンマーク人の自由な生き方 暮らし方 [子育て編]](https://img.shelf-y.com/items/21417.jpg)
デンマーク人の自由な生き方 暮らし方 [子育て編]
クッター・エミ 著
デンマーク人の考え方を、暮らしと子育ての具体的な場面から描いた11章構成の一冊です。「戦いごっこ」は教えない、保育園は四時が最終お迎え、キリンの解剖——見出しだけでも日本の常識との差がくっきり見えてきます。著者はデンマーク人の考え方がどこから来るのかを長く考え続けてきた人で、民主主義を守るためだったのか、個人の尊重だったのかと、時間をかけて腑に落ちていく過程も書かれています。「こんな子育てをしている国もある」と気楽に読めるのが、学術書や実践書との違いです。
こんな人におすすめ
デンマークの暮らしや文化に興味がある人。子育て中でない人も読み物として楽しめるのが特徴で、日本の常識に少し疲れた読者や、別の価値観を覗いてみたい人、雑談のネタになる本を探している人にも。
良い点
- 11章の見出しが魅力的で読みやすい
- 暮らしの具体例が豊富で情景が浮かぶ
- 子育て以外の読者も楽しめる
気になる点
- 体系的な理論書ではない
- エッセイ寄りで数字の裏づけは控えめ
- 日本にそのまま当てはめるのは難しい
出版社
詳細情報なし
発売日
2021年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
目次を見ただけで笑ってしまいました。「戦いごっこ」は教えない、保育園は四時が最終お迎え……。
佐藤メバル
見出しの力が強いよね。キリンの解剖から現実主義の子育ての話になるのも面白い。この本は11章で、デンマーク人の考え方がどこから来るのかを、暮らしの場面から描いている。
民主主義を守るためだったのか、個人の尊重だったのかと、著者自身が時間をかけて腑に落ちていく過程が読めるんだ。
橘ナナミ
子育て中の人じゃなくても読めそうですか?
佐藤メバル
そこがいいところで、著者も「子育て中の方も、そうでない方も、ひとつの国の面白い話として読んでほしい」と書いている。
こんな子育てをしている国もあると気楽に読める。理論書とは違って、肩肘を張らずに開ける一冊だよ。

あなたの子どもは、あなたの子どもではない: デンマークの30年-仕事・結婚・子育て・老後
宮下孝美 著|萌文社
¥3,249(税込)
タイトルにある「あなたの子どもは、あなたの子どもではない」という言葉が、この本の立ち位置をそのまま表しています。親であることを否定するのではなく、子どもを自分の所有物として扱わないという姿勢です。副題には「デンマークの30年」とあり、仕事・結婚・子育て・老後という人生の各段階を横断して描く構成。子育てだけを切り出した本ではなく、子どもが育つ社会の時間軸をまるごと見たい人に向いています。183ページと厚すぎないので、デンマークを人生の長いスパンで捉えたいときの入口になります。
こんな人におすすめ
子育てだけでなく、仕事・結婚・老後まで含めた人生全体に関心がある人。社会福祉や生活史を学ぶ学生・研究者。長い目で日本のこれからを考えたい読者や、ライフステージの変化に不安を感じている人に。
良い点
- 人生全体を30年という長い軸で見られる
- 183ページで読み切りやすい
- 福祉・生活史の視点が得られる
気になる点
- 子育ての即効策は載っていない
- 社会の仕組みの話が中心になる
- デンマークの歴史に関心がないと重い
出版社
萌文社
発売日
2005年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「あなたの子どもは、あなたの子どもではない」……このタイトル、ちょっとドキッとします。
佐藤メバル
そうだね、親であることを否定する言葉ではなくて、子どもは自分の所有物ではないという立ち位置を表している。
副題を見ると「デンマークの30年 仕事・結婚・子育て・老後」とあって、子育てだけを切り出した本ではないんだ。
橘ナナミ
人生の段階をぜんぶ通して見る感じなんですね。
佐藤メバル
そう。仕事も結婚も老後も含めて、ある国の30年を見る。だから「子どもをどう育てるか」より「人はどう生きていくのか」に関心がある人に向いている。
183ページと厚すぎないから、長い目で日本のこれからを考えたいときの入口になるよ。

デンマーク発 ジェンダー・ステレオタイプから自由になる子育て――多様性と平等を育む10の提案
セシリエ・ノアゴー 著|ヘウレーカ
¥1,980(税込)
「女の子だからお手伝いして」「男の子なんだから泣かないの」——つい口にしてしまう言葉から出発する一冊です。著者はデンマークで20年以上ジェンダー平等の啓発に取り組んできた人で、民主的で幸福度が高いとされるデンマークでもジェンダーギャップ指数は32位、ステレオタイプは根強いと指摘します。学校の「男の子会議」「女の子会議」を例に、分けることに合理的な理由がないのに誰も疑問を言わない空気を解きほぐしていく。提案1から10まで、言葉の選び方、おもちゃ、部屋のカーテンの色、物語の語り直しまで具体策が並びます。
こんな人におすすめ
就学前から思春期の子どもに関わる親・祖父母・保育士・教員。自分自身が子どものころに性別の言葉でモヤモヤした経験のある人。多様性と平等をテーマにした絵本や教材を選びたい人、研修を担当する人にも。
良い点
- 10の提案ごとに具体策がある
- 無意識の思い込みに気づける
- 北欧の一次情報として貴重
気になる点
- 日本と制度・文化の差は大きい
- すでに意識的な人には基本的内容
- 話題が重く読後に考え込むことも
出版社
ヘウレーカ
発売日
2022年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「女の子だからお手伝いして」って、私も子どものころ言われた記憶があります。ちょっと痛いところを突かれました。
佐藤メバル
そのモヤモヤが、この本の出発点なんだ。著者はデンマークで20年以上ジェンダー平等の啓発に取り組んできた人で、幸福度が高いと言われるデンマークでもジェンダーギャップ指数は32位、ステレオタイプは根強いと指摘している。
学校の「男の子会議」「女の子会議」を例に、分けることに合理的理由がないのになぜ誰も疑問を言わないのか、と問いを立てるんだよ。
橘ナナミ
提案が10個あるんですね。おもちゃや部屋のカーテンの色まで。
佐藤メバル
そう、身近なところから変えていくのがこの本らしさ。言葉の選び方、物語の語り直し、性のあり方を決めるのは子ども自身だということ。
読み終えると、自分の言葉づかいに少し敏感になると思うよ。

デンマークの教育に学ぶ生きていることが楽しい (子どもとともに生きる幸せ)
江口千春 著|フリーダム
¥1,870(税込)
127ページと小ぶりで、「生きていることが楽しい」というまっすぐなタイトルが印象的な一冊です。副題に「子どもとともに生きる幸せ」とあるように、教育を制度や技術としてではなく、日々の幸福感として捉える視点が中心。長時間かけて読み込む研究書というより、すきま時間に少しずつ開くタイプです。原点に立ち返るための読み物として、デンマークの教育に最初に触れる一冊にも、子育てに疲れたときに気持ちを立て直す相棒にもなります。
こんな人におすすめ
子育てや教育に疲れ、原点に戻って「生きていることが楽しい」と感じたい人。短めの読み物でデンマークの教育に触れてみたい読者。保育・教育を学ぶ学生の副読本としても使いやすい。
良い点
- 127ページで読み切りやすい
- タイトルどおり幸福感がテーマ
- 教育書が苦手な人にも入りやすい
気になる点
- 網羅的な情報量は多くない
- 制度やデータの解説は少なめ
- 深掘りしたい人は別の本も必要
出版社
フリーダム
発売日
2010年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『生きていることが楽しい』というタイトル、いいですね。127ページと短めなのも嬉しいです。
佐藤メバル
そう、小ぶりな一冊でね。副題に「子どもとともに生きる幸せ」とあるように、教育を制度や技術としてではなく、日々の幸福感として捉える視点が中心なんだ。
長時間かけて読み込む研究書というより、すきま時間に少しずつ開くタイプだよ。
橘ナナミ
子育てで疲れているときに読むと、よさそうですね。
佐藤メバル
まさにそういう読み方を想定していいと思う。原点に戻るための一冊だね。網羅的な情報量は多くないから、制度やデータを知りたいなら別の本と組み合わせるといい。
保育や教育を学ぶ学生の副読本としても使えるよ。

デンマークで保育士: デンマークの子どもたちからもらったステキな時間
遠藤祐太郎 著|ビネバル出版
¥2,310(税込)
タイトルどおり、デンマークで保育士として過ごした日々を綴った一冊です。制度や政策の解説ではなく、目の前の子どもたちとの時間が真ん中にあります。152ページという分量で、現場の空気を持ち帰るように読めるのが特徴です。保育の現場で何が起き、何が心地よいと感じられたのか。保育士や幼稚園教諭をめざす人、海外で働いてみたい人にとっての疑似体験になります。理論書や研究書を読む前後に挟むと、理解が立体的になります。
こんな人におすすめ
保育士・幼稚園教諭をめざす学生や現役の保育者。海外の保育現場で働くことに興味がある人。制度や理論の前に、現場のリアルな空気に触れてみたい読者や、日々の保育に疲れて元気をもらいに来た人にも。
良い点
- 現場の体験談として読みやすい
- 152ページで気軽に読める
- 保育者をめざす人の背中を押す
気になる点
- 制度の解説が中心ではない
- 個人の体験に基づく記録である
- 研究目的には物足りないかもしれない
出版社
ビネバル出版
発売日
2018年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
デンマークで保育士をしていた人の本なんですね。制度の話ではなく、現場の話ですか?
佐藤メバル
そのとおり。タイトルに「子どもたちからもらったステキな時間」とあるように、目の前の子どもたちとの時間が真ん中にある。
152ページという分量で、現場の空気を持ち帰るように読めるのが特徴だよ。
橘ナナミ
保育士をめざしている友だちに、ちょうどよさそうです。
佐藤メバル
うん、保育者をめざす人や、海外の現場で働いてみたい人にはいい疑似体験になる。制度や理論の本を読む前後に挟むと、理解が立体的になるんだよね。
ただ、制度の解説が中心ではないから、研究目的なら別の本も必要だよ。

あたりまえの暮らしを保障する国デンマーク: DVシェルター・子育て環境
上野勝代 著|ドメス出版
¥3,344(税込)
副題に「DVシェルター・子育て環境」とあるように、デンマークを「幸せな国」として持ち上げるのではなく、あたりまえの暮らしが保障されるとはどういうことかを正面から問う一冊です。DV被害からの避難所と子育て環境という、ふだんの子育て本では見過ごされがちな論点を並べているのが特徴。230ページと厚みがあり、学術系の版元から出ていることからも、制度や支援の仕組みを丁寧に扱う内容だとわかります。キラキラした北欧像に少し疑問を持ったときに読むと、視界が変わります。
こんな人におすすめ
子育て支援やDV被害者支援に関わる仕事をしている人、社会福祉を学ぶ学生。デンマークの「幸せ」なイメージをそのまま受け取らない読者。自治体の政策づくりに関わる立場の人にも向いている。
良い点
- DVシェルターという独自の切り口
- 支援制度を丁寧に扱う学術系の一冊
- 幸せな国像を相対化できる
気になる点
- 実践的な子育て術は扱わない
- テーマが重く読むのに体力が要る
- 一般向け読み物より文体が硬い
出版社
ドメス出版
発売日
2013年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
副題に「DVシェルター」とあって、少し身構えました。子育て環境の本なのに、どうしてDVなんだろう。
佐藤メバル
いいところに気づいたね。この本は、デンマークを「幸せな国」として持ち上げるのではなく、あたりまえの暮らしが保障されるとはどういうことかを正面から問うている。
そのために、避難所と子育て環境という、ふだんの子育て本では見過ごされがちな論点を並べているんだ。
橘ナナミ
なるほど。キラキラした北欧像に、ちょっと疑問を持ったときに読む感じですか。
佐藤メバル
そうだね。学術系の版元から出ている230ページの本だから、制度や支援の仕組みを丁寧に扱う。支援の実態まで知りたい人に向いているよ。
テーマが重いぶん読むのに体力は要るけど、視界が変わる一冊だと思う。

デンマークの人づくり: 個性に応じた社会参加を支援する
谷雅泰 著|ひとなる書房
¥2,420(税込)
学習困難、不適応、貧困、障害——。インクルーシブ教育の先進国とされるデンマークでも、学校からの巣立ちを前に立ちすくむ若者がいます。この本はその現実から目をそらさず、20年余にわたる教育改革を現地調査で跡づけた記録です。前著『転換期と向き合うデンマークの教育』に続く共同調査レポートで、若者に伴走する人びとの肉声と思想に迫ります。誰もが個性を発揮できる社会はどうつくられるのか。理想論ではなく、制度と現場の往復で考えたい人に向いています。
こんな人におすすめ
教育・福祉・就労支援の現場で、生きづらさを抱える若者に関わっている人。インクルーシブ教育や特別支援を研究する大学院生・研究者。デンマークを理想化せず課題まで学びたい読者や、日本の教育改革を考えたい人に。
良い点
- 現地調査に基づく具体的な記録
- 若者の声と支援者の思想が入る
- 前著からの継続で信頼感がある
気になる点
- 専門的で一般読者には難しい
- 明るい子育て本を期待すると違う
- 支援制度の前提知識があると読みやすい
出版社
ひとなる書房
発売日
2024年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
インクルーシブ教育の先進国でも、学校を出るときに立ちすくむ若者がいるんですね。
佐藤メバル
そう、そこを正面から扱っている。学習困難、不適応、貧困、障害——。理想的なイメージだけでは語れない現実があって、この本は20年余にわたる教育改革を現地調査で跡づけている。
前著『転換期と向き合うデンマークの教育』に続く共同調査レポートなんだ。
橘ナナミ
「誰もが個性を発揮できる社会」という言葉が、ずっしりきます。
佐藤メバル
若者に伴走する人びとの肉声が入っているのが大きいね。制度の説明で終わらせず、現場の思想に迫っている。
教育や福祉、就労支援の現場にいる人に向いているよ。デンマークを理想化せずに学びたい人ほど、読む価値がある。

世界に学ぼう!子育て支援: デンマーク・スウェーデン・フランス・ニュージーランド・カナダ・アメリカに見る子育
汐見稔幸 著|フレーベル館
¥2,824(税込)
デンマークだけでなく、スウェーデン・フランス・ニュージーランド・カナダ・アメリカの6か国を並べて子育て支援を比べる一冊です。保育・幼児教育の版元から出ている207ページの読み物で、複数の国を横に並べることで、デンマークの特徴がかえってくっきり見えてきます。1か国を深く掘る本とは違い、日本の支援をどう考えるかの材料を集めるタイプ。保育や幼児教育に関心がある人が、国際比較の地図を1枚手に入れるための本です。
こんな人におすすめ
保育・幼児教育を学ぶ学生や、子育て支援の仕事に就きたい人。日本以外の支援制度を横並びで比較したい読者。デンマークを相対化して見たい人や、自治体・施設で研修の題材を探している人にも。
良い点
- 6か国を並べて比較できる
- 保育・教育の版元から出ている
- 国際比較の全体像がつかめる
気になる点
- 1か国あたりの記述は深くはない
- 制度説明が中心で物語性は少ない
- 最新の制度改定は別途確認が必要
出版社
フレーベル館
発売日
2003年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
これはデンマークだけじゃなくて6か国なんですね。デンマークを探していたのに、横道にそれちゃいますか?
佐藤メバル
むしろ逆でね、複数の国を並べるとデンマークの特徴がくっきり見えてくるんだ。スウェーデン、フランス、ニュージーランド、カナダ、アメリカと比べるから、何がデンマーク固有なのかがわかる。
保育・幼児教育の版元から出ている207ページの一冊だよ。
橘ナナミ
1か国を深く掘る本とは、使い方が違いそうですね。
佐藤メバル
そう、これは地図を1枚手に入れるタイプ。国際比較の全体像をつかんでから、気になった国を深掘りすればいい。
保育を学ぶ学生や、子育て支援の仕事をめざす人の入口として使いやすいと思う。

デンマークの教育を支える「声の文化」: オラリティに根ざした教育理念
児玉珠美 著|新評論
¥2,640(税込)
アンデルセン、レゴ、福祉、デザイン——デンマークのイメージはいろいろありますが、この本が注目するのは「声の文化」、つまりオラリティです。活字の文化であるリテラシーに対する概念で、想像力や共同性に大きく影響するとされます。鍵になるのが、牧師であり哲学者・教育者・政治家でもあったグルントヴィ。「生きた言葉による対話と相互作用」という理念が、今日の教室にどう息づいているかを、授業の様子や関係者へのインタビュー、写真とともに紹介します。国連の世界幸福度調査で1位となった国の土台を、思想から辿る一冊です。
こんな人におすすめ
教育思想や学級づくりに関心がある教員・保育者。デンマークがなぜ対話を重んじるのかを歴史から知りたい読者。教育学・保育学を学ぶ学生や、語り合いを軸にした授業設計を考えている人にも。
良い点
- グルントヴィの理念から理解できる
- 写真と現場の声が豊富
- オラリティという独自の切り口
気になる点
- 思想の話が中心でやや硬め
- すぐ使える実践ノウハウは少ない
- 北欧教育の前提知識があると読みやすい
出版社
新評論
発売日
2016年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「オラリティ」って、聞き慣れない言葉です。それってどういう意味ですか?
佐藤メバル
いい質問だね。オラリティは「声の文化」と訳される概念で、活字の文化であるリテラシーに対するものなんだ。
想像力や共同性に大きく影響すると言われている。この本は、デンマークの教育を支えてきたのがこの声の文化だと説いている。
国連の世界幸福度調査で1位となった国の土台を、思想から辿る一冊だよ。
橘ナナミ
鍵になる人物がいるんですか?
佐藤メバル
グルントヴィだね。牧師であり、哲学者、教育者、政治家でもあった人物で、「生きた言葉による対話と相互作用」という理念を唱えた。
その理念が今日の教室にどう息づいているかを、授業の様子や関係者へのインタビュー、写真とともに紹介している。
思想から入る北欧教育の本として貴重だよ。

欧州福祉国家の自由・平等教育——オランダ、デンマーク、フィンランドの歴史と実践に学ぶ
成清美治 著|明石書店
オランダ・デンマーク・フィンランドの3か国を、自由・平等・民主主義という共通の軸で並べた研究書です。長年にわたる現地視察調査をもとに、オランダの学校選択制やオールタナティブ教育、デンマークのグルントヴィとフォルケホイスコーレ、フィンランドの教員養成やラヒホイタヤまで、制度と実践の両方を丹念に追っています。「考える教育」への転換という日本の教育改革の問いまで視野に入り、1冊で北欧の教育地図を持ち帰れる構成です。目次を見るだけでも論点の多さが伝わります。
こんな人におすすめ
教育学・社会福祉を専攻する学生・研究者、教員志望者。北欧の教育制度を1冊で俯瞰したい読者。教育政策や学校運営に関わり、海外の制度を比較材料にしたい人。学術書に慣れている読者に向く。
良い点
- 3か国の制度を体系的に比較できる
- 現地視察に基づく具体的な記述
- 日本の改革まで論点がつながる
気になる点
- 学術書で通読には根気が必要
- 子育てのハウツーは期待できない
- 専門用語が多く前提知識が要る
出版社
明石書店
発売日
2022年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
オランダ、デンマーク、フィンランドの3か国を1冊で扱うのは、ずいぶん欲張りですね。
佐藤メバル
欲張りだけど、軸がはっきりしているから散らからないんだ。「自由・平等・民主主義」という福祉国家の基本に沿って、長年の現地視察調査をもとに制度と実践を追っている。
オランダの学校選択制やオールタナティブ教育、デンマークのグルントヴィとフォルケホイスコーレ、フィンランドの教員養成やラヒホイタヤまで、目次を見るだけでも論点の多さが伝わってくるよ。
橘ナナミ
日本の教育改革の話まで入っているんですね。
佐藤メバル
そう、「考える教育」への転換という問いまで視野に入っている。教育学や社会福祉を専攻する学生、教員志望の人に向いているよ。
学術書なので通読には根気が要るけれど、北欧の教育地図を1冊で持ち帰れる構成になっている。
「褒めない」はどこで誤解されるのか
橘ナナミ
さっきの「褒めない」の話、もう少し教えてください。SNSだと「子どもを褒めないのが正解」みたいに切り取られていて、それはちょっと乱暴だなと思ったんです。
佐藤メバル
そこは言葉の切り取りに注意が必要だね。本に書かれているのは、まず「結果ではなく、プロセスを褒めるのがデンマーク流」ということ。そのうえで「子どもが失敗したりミスしたりしても『よくやった』『頑張った』とは言わない」——つまり、できなかった結果にまで無理に肯定の言葉をかぶせない、という感覚なんだ。無関心とはまったく違う。プロセスを見ているからこそ、結果に評価を足さない。この順番を入れ替えて「褒めなければいい」と受け取ると、ただの放置になってしまう。
橘ナナミ
なるほど……。「褒めない」じゃなくて「評価を足さない」なんですね。日本だと「褒めて伸ばす」が定着しているから、真逆に見えちゃうのか。
佐藤メバル
そう。しかも背景には「人とのつながりを大切にする」というデンマーク社会の考え方がある。個々のテクニックだけ抜き出すと、日本の家庭の文脈とズレる。たとえば「絶対に必要ではない限り子どもに手を貸さない」という項目も、異なる年齢の集団で遊ぶ場や、見守る大人が複数いる环境があってこそ成り立つ面がある。家庭ひとつで真似しようとすると、けっこうしんどい。だから「なぜそれが成り立つのか」まで一緒に読んでほしいんだ。
データと版の見方——編集者としての注意点
橘ナナミ
幸福度世界一ってよく聞きますけど、毎年同じなんですか?
佐藤メバル
いいところに気づいたね。幸福度の国際調査は年ごとに順位が動くし、調査主体や設問によって結果も変わる。デンマークは「幸福指数世界一」を40年以上キープしてきたと言われる一方で、国連の世界幸福度調査で1位になった年を取り上げる本もある——『デンマークの教育を支える「声の文化」: オラリティに根ざした教育理念』は、そうした文脈からグルントヴィの理念と現場を考察している。大事なのは「1位」という肩書きだけを鵜呑みにせず、いつの、どの調査の数字なのかを確認しながら読むこと。この検証の目を持つと、デンマーク本は一段深くなるよ。
橘ナナミ
ランキングの数字も、出典を見るクセをつけたいです。
福祉・教育・ジェンダー、そして他国へ広げる
橘ナナミ
デンマーク以外の国や、福祉・ジェンダーの本にもつながるんでしょうか。
佐藤メバル
つながる。むしろそこが面白い。ジェンダーなら『デンマーク発 ジェンダー・ステレオタイプから自由になる子育て――多様性と平等を育む10の提案』。著者のセシリエ・ノアゴーは、デンマークが民主的で幸福度の高い国と知られながら、ジェンダーギャップ指数は32位だと指摘している。日本よりはるかに上でも固定観念が根強いと著者自身が言う。だから「デンマーク=完成形」ではなく、途中の国として見る視点が得られるんだ。
橘ナナミ
「すごい国」で終わらせない読み方ですね。
佐藤メバル
そう。現場から入るなら『デンマークで保育士: デンマークの子どもたちからもらったステキな時間』『デンマークの教育に学ぶ生きていることが楽しい』『デンマーク人の自由な生き方 暮らし方 [子育て編]』のように、暮らしの実感が読める本がある。社会の仕組みまで行くなら『あなたの子どもは、あなたの子どもではない: デンマークの30年-仕事・結婚・子育て・老後』。他国比較なら、オランダ・デンマーク・フィンランドを並べた『欧州福祉国家の自由・平等教育』や、フランスも含む『世界に学ぼう!子育て支援』が役に立つ。フランスの子育て本は鹿田昌美訳の『フランスの子どもは夜泣きをしない』が有名で、デンマーク本と読み比べると「見守る」の意味の差が見えてくるよ。
よくある質問
デンマークの子育て本はどれから読めばいいですか?
橘ナナミ
デンマークの子育て本はどれから読めばいいですかについて教えてください。
佐藤メバル
全体像をつかむなら『デンマークの親は子どもを褒めない』が入口に向いています。日々の声かけを変えたいなら『デンマークのすごい教育』のような習慣を扱う本、制度や福祉まで理解したいなら『デンマークの子育て・人育ち』や『あたりまえの暮らしを保障する国デンマーク』へ進むと迷いません。まずは入口を一冊と決めて、そこから関心の方向へ広げるのが失敗しない読み方です。
『デンマークの親は子どもを褒めない』と『デンマーク流ティーンの育て方』は何が違いますか?
橘ナナミ
『デンマークの親は子どもを褒めない』と『デンマーク流ティーンの育て方』は何が違いますかについて教えてください。
佐藤メバル
対象年齢が違います。前者は乳幼児期までの子育てを、PARENTの6つのキーワードで構成して紹介する一冊。後者はティーンエイジャーを対象に、人間関係、学業、性、ネットリテラシー、外見コンプレックスといった悩みに触れ、超えてはならない境界線の示し方を10の心得としてまとめています。同じ著者の本なので、続けて読むと一貫した考え方が見えてきます。
デンマーク子育て本は原著と日本語訳のどちらを買うべきですか?
橘ナナミ
デンマーク子育て本は原著と日本語訳のどちらを買うべきですかについて教えてください。
佐藤メバル
原文のニュアンスを確かめたいなら原著、読みやすさと日本語の文脈を優先するなら翻訳です。『デンマークの親は子どもを褒めない』は全15か国以上で刊行が決まった世界規模のヒット作で、英語圏向けの原著も存在します。版が更新されると内容に手が入ることもあるため、購入前に版の情報を確認しておくと安心です。
「褒めない子育て」は日本でも実践できますか?
橘ナナミ
「褒めない子育て」は日本でも実践できますかについて教えてください。
佐藤メバル
誤解しなければ、取り入れられる部分は多くあります。本で書かれているのは「結果ではなくプロセスを褒める」ことで、失敗した結果にまで無理に肯定の言葉をかぶせないという感覚です。放置とはまったく違います。ただし「絶対に必要ではない限り手を貸さない」といった項目は、見守る大人が複数いる環境があってこそ成り立つ面があるので、日本では一部分から始めるのが現実的です。
幼児向けとティーン向け、子どもの年齢に合った本はどれですか?
橘ナナミ
幼児向けとティーン向け、子どもの年齢に合った本はどれですかについて教えてください。
佐藤メバル
乳幼児期なら『デンマークの親は子どもを褒めない』、思春期なら『デンマーク流ティーンの育て方』が基本の対応です。就学前の暮らしや遊びに関心があるなら『デンマーク人の自由な生き方 暮らし方 [子育て編]』、学校生活の実感を知りたいなら『デンマークで保育士』も選びやすい。年齢をまたいで混ぜて読むと「見守る」の意味が混ざるので、まずは一つずつがおすすめです。
デンマークの子育て本は電子書籍やオーディブルでも読めますか?
橘ナナミ
デンマークの子育て本は電子書籍やオーディブルでも読めますかについて教えてください。
佐藤メバル
対応状況はタイトルごとに違います。新書サイズの『デンマーク流ティーンの育て方』は通勤の鞄に入れやすいため紙も便利ですが、電子やオーディオブックで読みたい場合は、購入前に各ストアで配信の有無を確認してください。同じ本でも形式で入手できるかが変わるので、書店で現物を確かめてから電子版を探す、という順番も有効です。
幸福感や自己肯定感を高めたい親におすすめの1冊は何ですか?
橘ナナミ
幸福感や自己肯定感を高めたい親におすすめの1冊は何ですかについて教えてください。
佐藤メバル
まずは『デンマークの親は子どもを褒めない』を挙げます。結果ではなくプロセスを見る、意見の違いを尊重する、よその子にレッテルを貼らない——こうした具体的な項目を通じて、子どもへのまなざしを変えるヒントが得られます。あわせて『デンマークの教育に学ぶ生きていることが楽しい』のような暮らし寄りの本を読むと、親自身の気持ちがゆるむ感覚もつかみやすくなります。
フランスやオランダの子育て本と比べて何が違いますか?
橘ナナミ
フランスやオランダの子育て本と比べて何が違いますかについて教えてください。
佐藤メバル
デンマーク本の軸は「人とのつながり」と「見守る」ですが、フランス本はしつけや生活リズム、オランダ本は自由と平等を基盤にした教育制度に重心があります。フランスの子育て本は鹿田昌美訳の『フランスの子どもは夜泣きをしない』が知られ、読み比べると「見守る」の意味の差が見えてきます。制度まで比べたいなら、オランダ・デンマーク・フィンランドを扱う『欧州福祉国家の自由・平等教育』が比較の土台になります。
まとめ
橘ナナミ
今日の話を聞いて、最初に読むなら『デンマークの親は子どもを褒めない』、思春期なら『デンマーク流ティーンの育て方』、制度まで知りたくなったら福祉や教育の本、という順番が見えました。
佐藤メバル
その順番でいいと思う。読了のロードマップとしては、幼児期版で「見守る」の考え方に触れ、ティーン版で境界線の引き方を学び、そのあと制度・社会背景の本で「なぜそれが成り立つのか」を確かめる。最後に他国と比べると、日本で何ができるかが自分の言葉で考えられるようになる。
橘ナナミ
焦って全部読まなくてもいいんですね。一個ずつ積み上げれば。
佐藤メバル
そう。この本には「絶対に必要ではない限り子どもに手を貸さない」という一節がある。読者も同じで、本に手を貸しすぎないほうがいい。答えを全部もらうのではなく、自分の家庭の絵を描きながら読む。子育て本は地図というより、灯りをひとつ増やす道具だと思っているんだ。
橘ナナミ
灯り……いいですね。今日はどの本から灯りをもらおうか、本屋さんに行くのが楽しみになりました!
佐藤メバル
うん。子育ては、部屋を一気に明るくする照明を探す作業じゃなくて、ろうそくを一本ずつ増やしていく作業に近い。灯りが増えるほど、子どもの顔も、自分の顔も、よく見えるようになる。今日の一冊が、あなたの食卓の最初の一本になればいいね。
