スウェーデンの子育てが学べる本のおすすめ人気ランキング25選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
佐藤さん、今回のお題は「スウェーデン 子育て 本」なんですけど、検索してみたら同じようなタイトルがずらっと並んでいて、どれから手を出せばいいのか分からなくなってしまいました。
佐藤メバル
いいところに引っかかったね。スウェーデンの子育て本は、大きく二種類が同じ棚に混ざっている。家庭の声かけや関わり方を扱う本と、保育制度や社会の仕組みを扱う本だ。まずそこを分けると、選書がぐっと楽になる。
橘ナナミ
なるほど! 私はてっきり「北欧の子育てはすごい」と紹介する本ばかりなのかと思っていました。でも言われてみれば、保育園の話と、子どもの褒め方の話では、読んで得たいものが全然違いますね。
佐藤メバル
そう。書店員時代、北欧コーナーをまとめて平積みしたら、小さな子どもがいるお客さんにも、学校の先生にも、同じ本を勧めることになってしまってね。結局どちらにも刺さらなかった。以来、棚は「誰の、どんな場面に効くか」で組み替えるようにしている。
橘ナナミ
その「誰の、どんな場面か」で選ぶ感覚、今日はぜひ教えてください。読みたい本が多すぎて、自分の中で優先順位がつけられないんです。
スウェーデンの子育てが学べる本の選び方
目的別で選ぶ
橘ナナミ
最初に分けるべき「目的」って、具体的にはどんな軸ですか?
佐藤メバル
大きく四つだね。仕事と育児の両立なら『子育ても仕事もうまくいく 無理しすぎないスウェーデン人』、日々の声かけなら『スウェーデンに学ぶ「幸せな子育て」子どもの考える力を伸ばす聴き方・伝え方』、教育や考える力なら『非認知能力を伸ばす実践アイデアブック』、社会や制度を知るなら『スウェーデンの保育園に待機児童はいない』や『幼児から民主主義』。この四つは、読み終えたあとに残るものがまるで違う。
橘ナナミ
声かけの本は、読んですぐ真似できそうで惹かれます。『無理しすぎないスウェーデン人』のほうは、どちらかというと暮らし方や働き方の設計図なんですね。
著者タイプ別で選ぶ
橘ナナミ
現地在住者の体験談と、研究者が書いた本だと、信頼性はどう違うんでしょうか。
佐藤メバル
優劣じゃなくて、性質の違いだと思っている。『スウェーデンの保育園に待機児童はいない』は移住した家族の実体験、『やってよかった育児パパ』は長く現地で暮らした父親の実感だ。一方で『スウェーデンの義務教育における「共生」のカリキュラム』や『スウェーデンの少子化対策』は、制度や理念を資料から組み立てていくタイプ。体験談は温度が高い代わりに一事例、研究書は射程が広い代わりに少し硬い。
橘ナナミ
じゃあ、最初に体験談から入って、気になった論点を研究書で確かめる、という順番もありなんですね。
子どもの年齢別で選ぶ
佐藤メバル
0〜3歳なら保育の現場感覚が伝わる『こどもと暮らす 北欧スウェーデン』や『スウェーデンの保育園に待機児童はいない』。未就学児なら野外保育の『北欧スウェーデン発 森の教室』や『身近な自然と遊んで育つ保育実践』。小学生以上なら『スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む』のように、社会の見方を扱う本が合いやすい。
橘ナナミ
友人の子どもはまだ赤ちゃんなので、まずは生活の解像度が高い本から渡そうと思います。年齢で分けると、自分が読んでも響かない本もあるんですね。
形式・予算・入手性で選ぶ
佐藤メバル
ここは書店員として一番聞かれるところだね。保育や教育の専門書は単行本が中心で、文庫で読めるものは限られる。『北欧教育の秘密』のようなルポは比較的読みやすく、電子書籍で読めるものもある。
橘ナナミ
絶版になっていて中古でしか手に入らない本もあると聞きました。図書館で借りてから決める、というのも手ですか?
佐藤メバル
大いにあり。制度や歴史を扱う本は一度読んで終わりではないから、手元に置くと決めてから買うので遅くない。まず図書館で広く読み、声かけの本だけ手元に置く、という配分は現実的だよ。
読みやすさ別で選ぶ
橘ナナミ
エッセイ、ハウツー、研究書だと、読み終わるまでの体力も違いますよね。
佐藤メバル
体験エッセイは移動時間でも読める。ハウツーの代表は『スウェーデンに学ぶ「幸せな子育て」子どもの考える力を伸ばす聴き方・伝え方』や『武道の教えでいい子が育つ!』で、ケースごとに区切られているから拾い読みが効く。研究・データ中心の本は腰を据えて読む代わりに、一度腹に落ちると判断の軸になってくれる。寝る前に1章ずつ、くらいの気持ちでちょうどいい。
スウェーデンの子育てが学べる本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、25冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
スウェーデンの子育てが学べる本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい

スウェーデンに学ぶ「幸せな子育て」子どもの考える力を伸ばす聴き方・伝え方 (単行本)
岸田雪子 著|三笠書房
¥2,612(税込)
ポジティブ・ディシプリンという親支援プログラム、発達心理、伝えるプロの経験、この三つを掛け合わせて生まれた親子コミュニケーション術をまとめた一冊。「大丈夫?」ではなく「どうしたの?」と聞く、結果や能力ではなく「やったこと」をそのまま認める、禁止するのではなく「こうしてほしい。なぜなら…」と具体的に伝える、といった言い換えが並ぶ。こんな時なんて言えばいい? というケーススタディ満載。社会制度の話に寄るスウェーデン本のなかで、家庭の会話だけに絞った実用書という位置づけだ。
こんな人におすすめ
未就学児から小学生の子を持つ親で、毎日の声かけに迷っている人。きょうだいげんかや登園しぶり、宿題をめぐるやりとりなど、今日その場で使いたい言葉を探している場面に向く。保育士や幼稚園教諭、子育て支援に関わる人にも。
良い点
- 言い換えの具体例が豊富
- 今日から使える構成
- SOSの見逃しを防ぐ視点
気になる点
- 制度や社会の解説は主眼でない
- 理論より具体例が中心
- 読んですぐ劇的に変わる類ではない
出版社
三笠書房
発売日
2021年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「スウェーデンに学ぶ」って聞くと制度の話かと思ったんですが、この本は違うんですか?
佐藤メバル
いい質問だね。これは社会制度の解説ではなく、家庭の中の声かけに絞った一冊なんだ。ポジティブ・ディシプリンという親支援プログラムと発達心理、それに伝えるプロの経験を掛け合わせて生まれた聴き方・伝え方で、「大丈夫?」ではなく「どうしたの?」と聞く、結果や能力ではなく「やったこと」をそのまま認める、禁止ではなく「こうしてほしい。なぜなら…」と具体的に伝える、といった具合。
ケーススタディが並んでいるから今日から使えるんだよ。
橘ナナミ
「無条件キャッチ」っていう言葉が気になりました。それってどういう意味ですか?
佐藤メバル
子どもの自己肯定感を育てる聴き方の名前でね。条件付きで褒めるのではなく、その子の存在ごと受け止めるイメージだよ。
書店員時代、育児書の棚は「何を言えばいいか」を探すお客さんでいっぱいだった。この本はまさにその問いに答える形で言い換えの例が並んでいる。
スウェーデンの社会を描く本とは役割が違って、手元に置いて繰り返し開くタイプの一冊だね。

子育ても仕事もうまくいく 無理しすぎないスウェーデン人
佐藤吉宗 著|日経BP
¥1,980(税込)
スウェーデンに25年にわたって暮らす日本人データサイエンティストが、自身の子育て経験を交えて共働きのスタイルを解説する。30年前のスウェーデンは今の日本と似ていたという変革のプロセスから説き起こし、本当に残業しない理由、17時過ぎにオフィスが空っぽになる事情、子どもの発熱時にどうするか、父親の育休がプラス評価される価値観まで踏み込む。制度論と体験談のバランスが持ち味で、課題の章も置かれている。
こんな人におすすめ
共働きで子育てと仕事の両立に悩む人、育休や時短の使い方を具体的に知りたい人。子どもの発熱時にどう動くかなど、職場の制度や働き方を見直したい管理職や人事担当者にも向く。
良い点
- 職場事情の記述が具体的
- 制度の成り立ちまで遡る
- 著者自身の体験が交ざる
気になる点
- 日本での具体策は読者次第
- 課題の章は分量が控えめ
- 統計より体験談の比率が高い
出版社
日経BP
発売日
2025年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「無理しすぎない」ってタイトルが刺さります。私、将来仕事と子育てを両立できる気がしなくて。
佐藤メバル
その不安、スウェーデンも昔は同じだったんだよ。この本の面白さは、今の日本のように「男性が働き、子育ては女性」という分業が根深く残っていた30年前から、どう変わってきたかを追っている点なんだ。
著者はスウェーデンに25年暮らす日本人データサイエンティストで、自身の子育て経験も交えている。
橘ナナミ
17時にオフィスが空っぽ、って聞くと本当なの? って思っちゃいます。
佐藤メバル
そこが見どころでね。本当に残業しないこと、子どもの発熱のとき職場がどう動くか、男性の同僚に「育休はいつから?」と自然に聞けること。
さらに父親の育休がプラス評価される価値観まで描かれている。しかも課題も書いていて、取得率が高くても負担が母親に偏っている点にも触れている。
制度だけでも体験談だけでもない、その両方を行き来できるのが強みだね。

スウェーデンの保育園に待機児童はいない (移住して分かった子育てに優しい社会の暮らし)
久山葉子 著|東京創元社
¥2,113(税込)
1歳の娘の理想の子育て環境を求めて、東京から家族3人でスウェーデンへ移住した著者のエッセイ集。アパート探し、二度目の育児休業、保育園に持っていくもの、入園式のない入園日、あくまでマイペースな慣らし保育、長い長い夏休みまで、生活の細部が具体的に綴られる。スウェーデンで暮らして良かったところ、悪かったところの両方が書かれ、最後には本当に住みやすいのかと自ら問い直す。制度解説本より圧倒的に生活感がある。
こんな人におすすめ
海外移住や子育て環境の違いに関心がある人、保育園の実際の一日を知りたい人。エッセイとして長く楽しみたい読者や、移住を具体的に考えている家族にも手に取ってほしい一冊。
良い点
- 生活の細部に臨場感がある
- 良い点も悪い点も書く姿勢
- 移住から卒園まで追える
気になる点
- エッセイで制度の体系整理はない
- 著者一家の体験に範囲が限られる
- ページ数が多く時間がかかる
出版社
東京創元社
発売日
2019年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
349ページのエッセイって、結構なボリュームですね。
佐藤メバル
そう、読み物としてがっつり楽しめる一冊なんだ。1歳の娘の理想の子育て環境を求めて東京から家族3人で移住した著者が、アパート探しや育児休業、保育園の慣らし保育、長い夏休みまでを順に綴っている。
持ち物がない入園日とか、テンションの低い娘の様子とか、細かいところが妙にリアルでね。
橘ナナミ
良いところだけ書いてある感じではないんですか?
佐藤メバル
そこが良いところで、住んで良かったところも悪かったところも書かれている。専業主婦が失業者扱いになる話、起業してフィーカに助けられる話、病院事情、離婚率の高さ、そして最後には「本当のところ、スウェーデンって住みやすいの?」と自分で問い直してもいる。
書評にも取り上げられた本で、制度の本を読む前の入口としてもおすすめだよ。

北欧教育の秘密●スウェーデンの保育園から就職まで●
遠山哲央 著|柘植書房新社
¥1,980(税込)
3年間をかけてスウェーデン中に足を運んだ取材から、保育園・幼稚園、就学前クラス、小学校、問題児だけを集めた公立校、中学校、高校、大学、教員養成、企業の新卒採用までを描く教育ルポルタージュ。受験も学習塾も存在しない国で、なぜ豊かで住みやすいのかという問いを追う。教室の空気や先生の言葉が残る点が強みで、いじめの章や基礎学力の低下にも触れている。
こんな人におすすめ
保育園から大学・就職までを一本の線でつかみたい人。教育関係者や比較教育に関心のある学生、海外の教育を取材目線で知りたいライターにも。制度の概要書では物足りない読者に向く。
良い点
- 保育園から就職まで範囲が広い
- 現場インタビューが豊富
- いじめの章など踏み込む
気になる点
- まえがきから著者の私見が強め
- データより現場描写が中心
- 最新の制度変更は別途確認が必要
出版社
柘植書房新社
発売日
2008年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
まえがきが「私的な世界七不思議」で始まるって、ちょっと変わってますね。
佐藤メバル
そこがこの本の性格でね。「人が楽をしているのに、なぜ豊かで住みやすいのか」という素朴な疑問から始まる。
受験も学習塾も存在しない、5時には人影が消える、夏休みは国が機能しなくなる、といった風景を描いたうえで、3年かけて各地を取材し、保育園、小学校、中学校、高校、大学、教員養成、企業の採用側まで話を聞いているんだ。
橘ナナミ
教育の本なのに、採用の話まで出てくるんですね。
佐藤メバル
そう、雇う側から見た教育まで入っているのが珍しいところ。バイト経験が就職を左右すること、学歴は目安で面接が肝だと言われること。
それに問題ある子をとりこぼさないための学校や、いじめを正面から扱う章もある。良い面だけでなく基礎学力の低下や制度の悪用にも触れていて、ルポルタージュとしての密度が高いんだよ。

こどもと暮らす 北欧スウェーデン
井浦ふみ 著|マイルスタッフ(インプレス)
16年前にスウェーデンへ移住した雑貨店オーナーが、出産や子育て、住居探し、家や庭作り、保育園や小学校、しつけ、買い物まで、子どもにまつわることを幅広く綴る。さらにリンドグレーンの関連ガイド、児童書店や図書館、子どもの店のショップガイド、子連れにおすすめの博物館や公園、観光地の案内まで収録。読み物と旅のガイドが一冊になった欲張りな構成が、他の体験記との違いだ。
こんな人におすすめ
スウェーデン旅行を計画している人、子連れで行く場所を探している人。雑貨やデザイン、児童書に関心があり、暮らしの空気ごと味わいたい読者にも。渡航前の下調べと読み物を兼ねたい人に向く。
良い点
- 暮らしと旅ガイドが一冊に
- 児童書店や図書館の案内も
- 子どもにまつわる話題が幅広い
気になる点
- 固定レイアウトで検索が使えない
- 制度の解説は主眼ではない
- ガイド情報は時期に左右される
出版社
マイルスタッフ(インプレス)
発売日
2020年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
タイトルだけ見ると絵本みたいですが、旅のガイドも入っているんですか?
佐藤メバル
そうなんだ。16年前にスウェーデンへ移住した雑貨店オーナーが、出産や子育て、住居探し、家や庭作り、保育園や小学校、しつけ、買い物までを綴っていて、そこにリンドグレーンの関連ガイド、児童書店、図書館、子どもの店の案内、子連れにおすすめの博物館や公園が入る。
読み物としても旅行ガイドとしても使える構成なんだよ。
橘ナナミ
旅行の前に読むなら、これがいい感じですか?
佐藤メバル
子連れで行く予定なら心強いと思う。ただ電子版は固定レイアウトで、文字のハイライトや検索、辞書の参照が使えないと明記されているから、そこは購入前に無料サンプルで確かめておくといい。
制度そのものを知りたいなら別の本と組み合わせる形がおすすめだね。

やってよかった育児パパ: 日本人のパパがスウェーデンでたどり着いた男女平等教育
谷沢英夫 著|新評論
¥1,920(税込)
スウェーデンに50年暮らした著者が、自らの子育てを振り返りながら、男女平等原則が暮らしにどう効いたかを語る。プレスクールのビデオ観察で、子どもと向き合う訓練を積んだ人たちでさえ男女の役割分担という枠組みから自由でなかった、という指摘が刺さる。後半は男らしさ・女らしさとは何かという問いから日々のヒントを導き、結びに子どもへの調査結果を収めている。
こんな人におすすめ
これから育児に関わる父親、育休の取得を迷っている人。ジェンダーと子育てを学びたい学生や、家庭内の役割分担を見直したいカップルにも。育児が楽しいという実感から入りたい人に向く。
良い点
- 50年在住の実感に基づく
- 無意識の偏見に踏み込む
- 子ども調査の結果も収録
気になる点
- 著者一家の経験が中心となる
- 制度の網羅的解説ではない
- 時代背景の説明が前提になる
出版社
新評論
発売日
2023年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「育児パパ」って、男性向けの本なんですね。私にはまだ遠い話かも。
佐藤メバル
遠いと思ってもらって構わないよ。ただ核にあるのは「育児は楽しい」という当たり前の実感なんだ。著者はスウェーデンに50年暮らし、妻はスウェーデン人でプレスクールの園長。
自分の子育てを振り返って、国の男女平等原則が大きく影響したと言っている。日本の父親に育児をすすめる理由も、それが幸せなことだから、というシンプルなものなんだ。
橘ナナミ
「無意識の偏見」っていう言葉が出てくるのが気になります。
佐藤メバル
そこが読みどころでね。プレスクールのビデオ観察で、子どもと向き合うトレーニングを積んだ人たちでさえ役割分担の枠組みから解放されていなかった、という話が出てくる。
だからこそ一人ひとりが意識しよう、と。後半は子どもと過ごした日々から得たヒントが並び、結びには子どもたちへの調査結果も収められている。
育児の実践と社会の理念がつながって見える一冊だよ。

武道の教えでいい子が育つ! スウェーデン人空手家ウルリカの子育てメソッド
柚井ウルリカ 著|講談社
スウェーデン人空手家が、武道で培う礼儀・作法・精神鍛錬と、スウェーデン人の生き方をアレンジした子育てメソッドを初めて公開した一冊。道場に通うADHD、ひきこもり、いじめ、ハンディ、学習障害、虚弱体質の子どもたちが、どんどん強く元気になっていく姿が描かれる。空手には子どもの人生に役立つエッセンスが満載という立場で、家庭にも置き換えられる形にまとめている。
こんな人におすすめ
子どもの落ち着きや体力に悩む親、習い事をどう選ぶか考えている家庭。武道や空手に関心がある人、教育に別の角度から光を当てたい人にも。スウェーデン本の棚に変化を加えたい読者に向く。
良い点
- 他にない視点の組み合わせ
- 道場での具体的な変化
- 家庭でも取り入れやすい
気になる点
- 空手が前提の内容が多い
- 教育理論の裏付けは控えめ
- 制度や社会の解説はない
出版社
講談社
発売日
2014年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
空手とスウェーデンの組み合わせって、想像がつかないです。
佐藤メバル
そこが面白いところでね。著者はスウェーデン人の空手家で、武道で培う礼儀や作法、精神鍛錬と、スウェーデン人の生き方をアレンジした子育てメソッドを初めてまとめている。
道場にはADHDの子、ひきこもりの子、いじめに遭っている子、ハンディを持つ子、学習障害の子、虚弱体質の子が訪れて、どんどん強く元気になっていくんだ。
橘ナナミ
「ママの悩みを吹き飛ばす」って宣伝文句が、なかなか強気ですね。
佐藤メバル
強気だけど、中身は道場での具体的な変化の積み重ねなんだ。空手には子どもの人生に役立つエッセンスが詰まっているという立場で、武道の精神とスウェーデン人の生き方を家庭向けに置き換えている。
保育や制度を学ぶ本とは毛色がまったく違うから、同じ棚に並べると新鮮に見えるよ。習い事を考えている家庭には特に響くと思う。

スウェーデンののびのび教育
河本佳子 著|新評論
¥2,200(税込)
タイトルどおり、スウェーデン教育の「のびのび」した面に焦点を当てた一冊。版元の新評論は、この分野の翻訳書や研究書を数多く手がけてきたところで、同じ棚には保育実践や民主主義を扱う本が並ぶ。まず全体像をつかみ、制度や実践の細部は他の本で補うという読み方がしやすい。243ページと程よい分量で、北欧の教育に関心を持ったばかりの読者の入口にもなる。
こんな人におすすめ
スウェーデン教育を肩の力を抜いて眺めたい人。北欧の教育に初めて関心を持った読者の入口として、また教育書の棚を広げたい人、保育や学校のことを学び始めた学生にも。
良い点
- 教育ラインナップの一冊
- 読みやすい入口になる
- 243ページで分量が手ごろ
気になる点
- 制度の細部は他書で補いたい
- 公表された情報が限られる
- 個別の実践例は多くない
出版社
新評論
発売日
2002年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
この本、内容紹介が少なくて、どんな本か掴みきれないんですけど…。
佐藤メバル
正直に言えば、僕も手に取って確かめてほしいタイプの本だね。ただタイトルが示すとおり、スウェーデン教育の「のびのび」した側面に光を当てた一冊で、版元の新評論はこの分野の本を長く出してきたところなんだ。
同じ棚に保育実践や民主主義の本が並ぶので、全体像をつかむ入口として置きやすい。
橘ナナミ
じゃあ、いきなりこの本から読んでも大丈夫ですか?
佐藤メバル
大丈夫。ただ、制度や実践の細部は他の本で補うと立体的になる。保育の現場を知りたければドキュメンテーションの本、教育の全体像ならルポルタージュ、というふうにね。
一冊で全部を求めず、棚ごと使う気持ちで読むと、この本の持ち味が生きてくるよ。

非認知能力を伸ばす実践アイデアブック: スウェーデンと日本発!
中山芳一 著|東京書籍
¥1,870(税込)
教育先進国とされるスウェーデンと日本で、実際に学校の授業や行事に非認知能力を伸ばす仕掛けを取り入れた実例とアイデアを集めた実践集。コミュニケーション能力、思いやり、忍耐力、自尊感情、意欲といった力を、認知能力と一体で伸ばす視点を、イラストや図、データを交えて紹介する。単なる海外すごいよ本で終わらせず、現場ありきでまとめている点が頼もしい。
こんな人におすすめ
小中学校の教員で、授業や行事に仕掛けを入れたい人。非認知能力という言葉を現場でどう扱うか知りたい教育関係者、教育実習を控えた学生や、学習評価の変化に関心がある人にも。
良い点
- 日中の実践を並べて比べられる
- 図やデータでイメージしやすい
- 評価への言及がある
気になる点
- 家庭向けの内容は少なめ
- 実践には現場の調整が必要
- 理論の詳細は別の本が向く
出版社
東京書籍
発売日
2023年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「非認知能力」って最近よく聞くんですけど、結局なんなんですか?
佐藤メバル
いい質問だね。仕事の成果や人生の充実度を左右するとされる力で、コミュニケーション能力、思いやりや共感性、忍耐力、自信や自尊感情、意欲といったものを指す。
世界で初めて提唱したのは、2000年にノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・J・ヘックマン氏だとされている。
この本はその考え方を、教室の実例に落とし込んでいるんだ。
橘ナナミ
スウェーデンと日本、両方が出てくるのが珍しいですね。
佐藤メバル
そう、そこが強みなんだよ。スウェーデンでは認知能力と非認知能力を一体的に扱う教育制度が国レベルで確立していると言われ、日本でも指導要領や学習評価で取り上げられるようになってきた。
だから片方の成功例を眺めるだけでなく、両方の現場のアイデアを比べられる。実践者と組んでまとめているから、明日の授業に置き換えやすいんだ。

幼児から民主主義: スウェーデンの保育実践に学ぶ
エリサベス・アルネール 著|新評論
¥2,200(税込)
スウェーデンでは民主主義に関する教育が幼児期から行われている。本書は就学前学校の教師を務めてきた筆者たちが、民主主義は日常の保育のなかでこそ実現できると説く一冊。オムツをどう替えるか、給食で何を食べるか、規則に従うかどうか、日々のいざこざがすべて子どもの声を聴く機会になる。就学前教育のナショナル・カリキュラムに参加の権利が記されている点も紹介される。
こんな人におすすめ
保育者や園の運営に関わる人で、子どもを一人の主権者として見たい人。カリキュラムや日々の声かけを見直したい人、保育を学ぶ学生、子どもの権利をテーマにしたい読者にも。
良い点
- 日常の具体的な場面から説く
- 実践例が豊富
- 民主主義の捉え方が変わる
気になる点
- 日本の制度に直結はしない
- 概念的な記述が多め
- 実践には対話の時間が要る
出版社
新評論
発売日
2021年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
幼児に民主主義、って大げさな気がしてしまうんですけど…。
佐藤メバル
その違和感から入っていいんだよ。筆者たちは就学前学校の教師を務めてきた人で、「民主主義に年齢は関係ない」と断言している。
民主主義は日常の保育の中でこそ実現できるというのがメッセージなんだ。オムツの替え方、給食で何を食べるか、規則に従うかどうか、そういういざこざが全部チャンスだと。
橘ナナミ
スウェーデンの投票率の話も、どこかで聞いたことがあります。
佐藤メバル
そう、投票率が毎回80パーセントを超える国だと言われている。背景には、自分の声が聴かれ、身の周りに影響を与えるという経験の積み重ねがある。
逆にそれが積み重ならなければ無力感に襲われ、権力に頼るようになる、とも書かれている。カリキュラムに参加の権利が記されているという話も含めて、大人の側の準備を問いかける本だよ。

スウェーデン保育から幼児教育へ: 就学前学校の実践と新しい保育制度
白石淑江 著|かもがわ出版
¥2,822(税込)
スウェーデンの就学前学校の実践と、新しい保育制度をあわせて扱う一冊。保育から幼児教育へという移行そのものを主題にしている点が、エピソードを集めた実践記録やエッセイとの違いだ。日本の幼保一元化を考えるうえでも参照点になる。同じ著者によるドキュメンテーションやテーマ活動の本と並べると、制度の話と現場の話がつながって理解が深まる。
こんな人におすすめ
保育制度の変化を制度設計の側から追いたい人。自治体の担当者や園の管理職、保育・教育を研究する大学院生。日本の幼保一元化を考える材料が欲しい人にも手に取ってほしい。
良い点
- 制度と実践をあわせて扱う
- 関連書で深掘りできる
- 見通しよく読める分量
気になる点
- 前提知識が多少必要になる
- 実践の具体は他書が詳しい
- 出版後の制度変更は別途確認
出版社
かもがわ出版
発売日
2009年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「保育から幼児教育へ」って、何が変わるっていう話なんですか?
佐藤メバル
呼び方だけの話ではなくてね。スウェーデンでは就学前の場が保育の機能と教育の機能をあわせ持つ方向へ整理されていって、この本はその実践と新しい制度を扱っている。
移行そのものを主題にしているのが特徴で、個々のエピソードを集めた本とは狙いが違うんだ。
橘ナナミ
同じ著者の本が、他にもありましたよね。
佐藤メバル
そう、白石淑江さんの本はこのリストに複数入っている。ドキュメンテーションの活用やテーマ活動の本と並べて読むと、制度の話と現場の話がつながってくる。
制度の話なので、日本の保育の前提と比べながら読むと頭に入りやすい。研究書としての性格が強めだから、関心のある章から拾う読み方でもいいと思うよ。

スウェーデンにおける野外保育のすべて: 「森のムッレ教室」を取り入れた保育実践
エーバ・エングゴード 著|新評論
¥2,640(税込)
60年前から親しまれてきた自然環境教育「森のムッレ教室」を基盤に、30年前に開発された「雨の日も晴れの日も野外就学前学校」の保育実践を研究した一冊。都市化で緑地が減り、大人の監視がない遊びは危険とされ、画面が普及するなかで、なぜ野外教育が必要なのかという理論と、ではどうすればよいのかという実践の両方を示す。日本で森のようちえんを広めたい人への後押しにもなる。
こんな人におすすめ
森のようちえんに関心がある保育者、園庭や散歩の時間を見直したい人。野外活動を支えたい保護者や行政の担当者、自然保育を研究する人、これから活動を始めたい団体にも。
良い点
- 理論と実践の両方が入る
- 日本のムッレ活動の後押し
- 情報量が多い
気になる点
- 翻訳らしい硬さがある
- 日本向けの調整は必要
- 実践には大人の熱意が要る
出版社
新評論
発売日
2019年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
スウェーデンの子どもって、みんな森で遊んで育つイメージでした。
佐藤メバル
ところがこの本は、その思い込みを崩すところから始まるんだよ。現代のスウェーデンの大人たちも自然の中で過ごすことはよいと考えている。
でも都市化で近くに緑地がなくなったこと、大人が監視できない状態で遊ぶのは危険だとされること、テレビやコンピュータが普及したこと、この三つで子どもたちは自然とのコンタクトを失いつつある。
橘ナナミ
昔は簡単に伝えられたことが、今は難しいという記述が印象的でした。
佐藤メバル
そこが核心でね。自然とかかわるには大人のあり方が大きく影響する、熱意のある大人でないと伝えられなくなった、と言っている。
そのうえで「森のムッレ教室」を基盤に、雨の日も晴れの日も外で過ごす就学前学校の実践を研究し、社会への提案まで書いている。
なぜ必要かと、どうすればよいかの両方が入っているから、日本で活動を始める人の助けになるはずだよ。

身近な自然と遊んで育つ保育実践 スウェーデンの自然環境教育から
森のムッレ協会新潟 著|わかば社
¥2,200(税込)
「森のムッレ教室」を日常の保育に取り入れた実践を、季節ごとに紹介する一冊。5〜6歳で森の妖精ムッレと出会い、自然に触れ、生態系の循環などを遊びながら学んでいく流れが具体的に見える。大自然の中でなくとも、園庭や園周辺の身近な自然から学べるという立場が、野外保育の理論書との大きな違い。120ページと軽く、まず一つの季節から試せる。
こんな人におすすめ
園で身近な自然を取り入れたい保育者、季節ごとの活動を組み立てたい人。家庭で自然遊びを始めたい保護者、環境教育に関心がある人や、園内研修の題材を探している人にも。
良い点
- 季節ごとの実践が並ぶ
- ページ数が少なく取りかかりやすい
- 園庭でもできる工夫がある
気になる点
- 特定地域の協会の実践が中心
- 理論の説明は簡潔
- 全国の事例比較には向かない
出版社
わかば社
発売日
2018年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「ムッレ」って、妖精の名前なんですか?
佐藤メバル
そう、森の妖精なんだ。スウェーデンの自然環境教育「森のムッレ教室」では、自然感覚を身につけやすい5〜6歳のころにムッレと出会い、自然に触れながら、生態系の循環などを遊びながら学んでいく。
この本は新潟の協会の加盟園が、それを日常の保育に取り入れた実践を季節ごとに紹介しているんだよ。
橘ナナミ
森がないとできない、というわけではないんでしょうか?
佐藤メバル
そこが大事なところでね。大自然の中でなくとも、園庭や園周辺の身近な自然から学べる、というのがこの本の立場なんだ。
保育所保育指針や幼稚園教育要領でも、自然に触れ感動する体験や、生命の不思議さや尊さに気づくことの大切さが示されている。
ページ数も少ないから、まず一つの季節から試してみる、という使い方がしやすいと思うよ。

北欧スウェーデン発 森の教室: 生きる知恵と喜びを生み出すアウトドア教育
A.シェパンスキー 著|北大路書房
¥2,750(税込)
大自然を教室に見立て、体験型の環境のなかで学習の基礎を育み、教科書中心の室内教育を補完するという保育・教育の方法を実践的にガイドする。主に幼児から中学生を対象に、健康促進やストレス軽減、集中力の向上といった効果をエビデンスとともに示す点が、体験記タイプの野外保育本と一線を画す。巻末には教育心理学の視点からの解説も付く。
こんな人におすすめ
アウトドア教育を根拠から理解したい教育関係者、研修や研究で扱う人。野外活動を制度に位置づけたい担当者、教育心理学に関心がある学生や、効果を説明できる材料が欲しい指導者にも。
良い点
- 効果をエビデンスで示す
- 対象年齢が広い
- 心理学の視点の解説が付く
気になる点
- 学術書で読み応えが要る
- 日本の実践例は少ない
- 活動案は別の本が詳しい
出版社
北大路書房
発売日
2016年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「森の教室」って、楽しい活動の本かと思っていました。
佐藤メバル
そこが勘違いしやすいところでね。これは活動アイデアを並べた本というより、大自然を教室に見立てて学習の基礎を育み、教室中心の教育を補完するという考え方を、エビデンスを交えて示す本なんだ。
健康促進やストレス軽減、集中力の向上といった効果が根拠とともに語られる。
橘ナナミ
対象は、子どもだけなんですか?
佐藤メバル
主に幼児から中学生までを対象にした保育・教育の方法として書かれている。巻末には教育心理学の視点からの解説も付いていて、なぜ効くのかを考える材料になる。
現場ですぐ遊びを探すなら、実践事例の本のほうが向いている。こちらは研修や研究の土台として読む一冊だと思うよ。

北欧スウェーデン発 科学する心を育てるアウトドア活動事例集:五感を通して創造性を伸ばす
C.ブレイジ 著|北大路書房
¥2,420(税込)
国がアウトドア教育を重視しているスウェーデンの、特色的な実践マニュアルと事例を紹介する一冊。導入のエクササイズから、環境技術、生活の中のテクノロジー、水、火、テクノロジーの歴史、単純機械と物理的な力、サイエンスキャンプまで、テーマ別に活動が並ぶ。体験的に学び続けることがモチベーションを高めるという考え方で、課題解決能力やチームプレイの育成にも有効とされる。
こんな人におすすめ
外遊びに科学やものづくりの要素を足したい保育者・教員。キャンプや課外活動を企画する指導者、理系の興味を外で育てたい保護者、安全面の押さえ方も知りたい人に向く。
良い点
- テーマ別に活動が整理されている
- 安全面の章がある
- 幼児から使える題材が多い
気になる点
- 道具と下見の手間がかかる
- 日本の気候に合わせた調整が必要
- 説明は簡潔で解釈が要る
出版社
北大路書房
発売日
2019年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「科学する心」って、外でどうやって育てるんでしょう?
佐藤メバル
身の回りのものを題材にするんだよ。導入のエクササイズから始まって、環境技術、生活の中のテクノロジー、水のアクティビティ、火を使ったアクティビティ、テクノロジーの歴史、単純機械と物理的な力、サイエンスキャンプという順に並んでいる。
体験的にテクノロジーを学び続けることがモチベーションを高め、より深い学びにつながるという立場だね。
橘ナナミ
火を使う活動まで入っているのは、ちょっと驚きました。
佐藤メバル
だから安全に関する留意事項の章がちゃんと置かれている。課題解決能力や起業マインド、チームプレイの育成にも有効とされていて、スウェーデンがアウトドア教育を国として重視していることの意味が見えてくる。
同じ版元の『森の教室』が理論の本だとすれば、こちらは現場で使う教材の色が強い。二冊並べると理解が早いよ。

スウェーデンに学ぶドキュメンテーションの活用: 子どもから出発する保育実践
白石淑江 著|新評論
¥2,640(税込)
スウェーデンが保育の質の向上のために導入した「教育的ドキュメンテーション」を扱う。子どもの言葉や作品、写真、動画で保育のプロセスを可視化し、保育者同士、または保育者と子どもが一緒に振り返って次の展開を考えるツールだ。イタリアのレッジョ・エミリア市の協力を得た実践的研究に基づく。日本の三つの保育園が試験的に取り入れた事例も収録されている。
こんな人におすすめ
記録や振り返りを保育の質につなげたい園の職員、主任や園長。日本の制度改定に向き合う現場の人、保育の評価に関心がある研究者や、園内研修の設計を任されている人にも。
良い点
- スウェーデンと日本の両方の事例
- ツールの成り立ちからわかる
- 記録が負担で終わらない視点
気になる点
- 導入には園全体の合意が要る
- 写真や動画の扱いに配慮が必要
- 読み物としては硬め
出版社
新評論
発売日
2018年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
保育の「ドキュメンテーション」って、いわゆる連絡帳みたいなものですか?
佐藤メバル
少し違うんだ。子どもの言葉、作品、写真、動画などを使って保育のプロセスを可視化した記録文書を資料にして、保育者同士、あるいは保育者と子どもが一緒に活動を振り返り、省察して次の展開を考える。
それを教育的ドキュメンテーションと呼ぶ。イタリアのレッジョ・エミリア市の協力を得てスウェーデンが行った実践的研究から開発されたツールなんだよ。
橘ナナミ
日本の園でも、取り入れているところがあるんですか?
佐藤メバル
第II部で、日本の三つの保育園が試験的に取り入れた事例が紹介されている。最初は子どもの興味や関心を探して記録にするところから始めて、すると子どもたちの賢さや感性の豊かさ、友だちへの思いやりが見えるようになったという。
記録が作業で終わらず、次の保育を生む力になる。そういう使い方を知りたい園に向いた本だね。

スウェーデン 保育の今―テーマ活動とドキュメンテーション
白石淑江 著|かもがわ出版
¥2,530(税込)
待機児解消や幼保一元化を実現してきたスウェーデンの保育を、テーマ活動と、それを読み解くドキュメンテーションから紹介する。世界でも質が高いと言われる保育の姿を、実践の記録を通して追う構成。同じ著者によるドキュメンテーションの入門書と合わせて読むと、記録がどう次の活動を生むのかが具体的に見えてくる。203ページで見通しよく読める。
こんな人におすすめ
プロジェクト型の保育に関心がある保育者、子どもの興味から活動を立ち上げたい人。園内研修の題材を探している人や、保育の質を高めたい園、記録の活かし方を学びたい学生にも。
良い点
- テーマ活動の流れが追える
- 記録の実例が豊富
- 読み切りやすい分量
気になる点
- 制度の前提説明は簡潔
- 実践の再現には時間が要る
- 翻訳調の記述が混じる
出版社
かもがわ出版
発売日
2013年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
さっきのドキュメンテーションの本と、どう使い分ければいいんでしょう?
佐藤メバル
いいところに気づいたね。同じ白石淑江さんの本だけど、こちらはテーマ活動に軸を置いている。子どもの興味から活動が立ち上がり、どう展開していくかを、ドキュメンテーションという記録を通して読み解く構成なんだ。
世界でも質が高いと言われる保育の姿を、実践の流れとして追える。
橘ナナミ
待機児解消や幼保一元化の話も、出てくるんですね。
佐藤メバル
そう、スウェーデンがそれらを実現してきた流れも背景にある。だから制度の話と現場の話が地続きで読める。
入門としてドキュメンテーションの仕組みを押さえてから、こちらで実際のテーマ活動を追う、という順番がおすすめだよ。
園内研修で「じゃあうちならどうするか」を話し合う材料にもなる。

いまだから真似したいスウェーデンⅡ 少子化対策・子育て・生涯教育編 日本を持続可能な社会にするために考えようシリーズ
スウェーデンから学びを得る会 著|日本橋書院
出生数が50年間減り続ける日本に対して、少子化対策で二度成功したとされるスウェーデンの取り組みを、分かりやすさを重視して紹介する。通信簿のない小学校、学校で共有する教科書と筆記用具、無料の給食など、平等を体感する仕組みに踏み込み、何歳からでも単位を取得できる生涯教育ややり直しのシステムまで扱う。政策の比較として読む意欲作だ。
こんな人におすすめ
日本の少子化対策や教育政策を他国と比べたい人。自治体職員や政策に関心のある読者、教育学部で学ぶ学生、議員や支援者、シリーズで関心を広げたい人にも。
良い点
- 政策テーマを横断して扱う
- 具体的な制度の提案が多い
- シリーズで広げられる
気になる点
- 提言の色が強め
- 出典は自分で確認したい
- 現場の声は少なめ
出版社
日本橋書院
発売日
2023年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
シリーズの第2巻なんですね。1巻から読まないと厳しいですか?
佐藤メバル
この巻だけでもテーマは追えるよ。出生数が50年間減り続けている日本に対して、少子化対策で二度成功したとされるスウェーデンの取り組みを、分かりやすさを重視して紹介している。
ただの育児休業ではなく魅力のある制度が必要だ、といった指摘が随所に出てくる。
橘ナナミ
教育の話も、けっこう入っているんですか?
佐藤メバル
入っている。通信簿のない小学校、経済格差を広げない工夫、ランドセルという思い込みを手放す話、教科書やノートや筆記用具を学校で共有する話、給食を無料にする話。
さらに何歳からでも単位を取得できる生涯教育や、やり直しができるシステムまで扱う。政策の比較として読む本だから、現場の実践を知りたくなったら別の本と組み合わせるといいね。

スウェーデンの義務教育における「共生」のカリキュラム (“Samlevnad"の理念と展開)
戸野塚厚子 著|明石書店
¥6,050(税込)
未来の社会を生きる子どもたちに、どのような「知」が必要とされるのか。その根源的な問いから、スウェーデンの義務教育における「共生」のカリキュラムに注目した研究書。学校教育における教科の構成や学習観そのものを問い直す視点を提供し、教育概念を変革するための示唆を与える。314ページと厚く、同じ棚の実践本やルポとは目的がはっきり異なる。
こんな人におすすめ
教育課程やカリキュラムを研究として読みたい大学院生・研究者。教科構成を根本から考えたい教育関係者、共生教育をテーマにする人、理論の側から現場を見直したい人にも。
良い点
- 理念と制度を丁寧に追う
- 引用や資料が充実
- 教科の枠を問い直す視点
気になる点
- 価格もページ数も大きい
- 一般読者には難度が高い
- 実践の具体は他書が向く
出版社
明石書店
発売日
2014年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「共生」のカリキュラム、って聞くと抽象的で身構えてしまいます。
佐藤メバル
身構えて正解の本だね。これは研究書で、未来の社会を生きる子どもたちにどんな「知」が必要なのかという問いから、スウェーデンの義務教育で「共生」がどうカリキュラムに組み込まれてきたかを分析している。
教科の構成や学習観そのものを問い直すところまで踏み込むんだ。
橘ナナミ
普段、保育の本を読んでいる人には、難しそうですか?
佐藤メバル
正直、入口としては軽くない。ただ、実践の本を何冊か読んだあとにこれを置くと、なぜスウェーデンがそういう保育や授業をするのかという背景が見えてくる。
教育概念を変えるための示唆を与える本だから、現場の工夫の意味を理論の側から確かめたい人に向いているよ。

みんなの教育 スウェーデンの「人を育てる」国家戦略
アールベリエル松井久子川崎一彦,澤野由紀子,鈴木賢志,西浦和樹 著|ミツイパブリッシング
¥2,420(税込)
少子高齢化や不況を乗り越え、急成長を遂げたとされるスウェーデン。なぜワークライフバランスを保ちながら、経済成長、多文化共生、持続可能性を同時に実現できるのか。幸福と成長を両立させる教育制度の秘密に、複数の書き手がそれぞれの専門から迫る。240ページで、教育を社会の設計図として眺められる構成になっている。
こんな人におすすめ
教育を社会の仕組みとして捉えたい人。経営や政策の視点で北欧に関心がある読者、大学の演習や読書会の課題図書を探している人、多文化共生や持続可能性と教育を結びたい人にも。
良い点
- 複数分野の論者が参加
- 社会全体の設計として読める
- 見通しのよい分量
気になる点
- 論考集で筆致が一定でない
- 現場の具体は少なめ
- 歴史の前提は別途補いたい
出版社
ミツイパブリッシング
発売日
2018年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「人を育てる国家戦略」って、教育の本というより社会の本みたいです。
佐藤メバル
まさにその捉え方が合っている。少子高齢化や不況を乗り越えて急成長を遂げたとされる国が、なぜワークライフバランスを保ちながら経済成長、多文化共生、持続可能性を同時に実現できるのか。
その秘密を教育制度から迫る本なんだ。福祉と成長の両立というテーマが軸になっている。
橘ナナミ
著者が、何人もいるんですね。
佐藤メバル
そう、複数の書き手がそれぞれの専門から論じる形だから、教育制度だけを細かく見るのではなく、社会の設計図として読める。
そのぶん筆致は一定ではないから、関心のある章から入るといい。子育てと仕事の両立、多文化共生、持続可能性と論点が広いので、自分の関心の入口を見つけやすい一冊だよ。

医療・福祉・教育・社会がつながるスウェーデンの多様な学校
サリネンれい子 著|かもがわ出版
¥1,980(税込)
スウェーデンの基礎特別支援学校で働く著者が、子どもや若者の健やかな成長と、学びと発達の権利を保障する協働と連携のシステムを描く。3歳のオスカーくんから18歳のマリーさんまで、多様な専門職と施設や機関が一人の子どもと家族にかかわる事例を年齢順に並べる。制度を条文ではなく事例で理解できる、支援の入門として使いやすい一冊。
こんな人におすすめ
特別支援や福祉に関わる人、学校と医療・福祉の連携を具体的に知りたい人。保育・教育・福祉を横断して学ぶ学生、支援員を目指す人、自治体の相談窓口の担当者にも。
良い点
- 年齢順に事例を追える
- 制度を事例で理解できる
- 読み切りやすい分量
気になる点
- 制度の全体像は他書が必要
- 日本の制度との差は自分で補う
- 扱う事例数は限られる
出版社
かもがわ出版
発売日
2022年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
3歳から18歳まで、一人ずつ事例になっているんですね。
佐藤メバル
そう、そこがこの本の分かりやすさでね。就学前学校に通うオスカーくん、自閉症クラスのアンナさん、読み書きが難しいリサさん、基礎特別支援学校のエマさん、登校が難しいエリックくん、小集団クラスのマルクスくん、高校のプログラムに通うファビアンくん、施設から特別支援高校に通うマリーさん、という具合に年齢を追って並んでいる。
橘ナナミ
「つながる」というのが、キーワードなんですね。
佐藤メバル
まさにそう。医療・福祉・教育・社会が一人の子どもと家族にかかわる様子を具体的に描いていて、その背景にある社会や風土に触れるショートエッセイも付いている。
制度を条文ではなく事例で理解できるから、支援の現場に入る前の人にも読みやすい。日本の支援を考えるときの比較材料にもなるよ。

政治のなかの保育―スウェーデンの保育制度はこうしてつくられた
バルバーラマルティン=コルピ 著|かもがわ出版
タイトルどおり、スウェーデンの保育制度が政治のなかでどう形づくられてきたかを扱う一冊。誰が、どんな議論を経て制度を作ったのかという過程に焦点があり、出来上がった制度を紹介する本とは視点が異なる。130ページと薄く、保育政策の来歴を知る入口として手に取りやすい。制度の概要をつかんだあとに読むと、点と点がつながる。
こんな人におすすめ
保育政策の成立過程に関心がある人。自治体の担当者や議員、政策を学ぶ学生。制度の背景を押さえてから他の本を読みたい人や、保育の歴史を調べる人にも。
良い点
- 制度成立の過程に焦点
- 短くまとまる分量
- 他の制度本の土台になる
気になる点
- 現在の制度の詳細は別書が必要
- 公表された情報が限られる
- 日本との比較は自分で行う
出版社
かもがわ出版
発売日
2010年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
130ページで「政治のなかの保育」って、ずいぶん思い切ったタイトルですね。
佐藤メバル
それだけ焦点がはっきりしているということだね。スウェーデンの保育制度が、政治の場でどう議論され、どう作られてきたのかを追う本なんだ。
出来上がった制度の紹介ではなく、できるまでの過程に光を当てている。制度を当たり前のものとして受け取らず、誰がどんな理由で作ったのかを見に行く視点だよ。
橘ナナミ
先に読むべき本ですか、後から読むべき本ですか?
佐藤メバル
制度の概要をつかんだあとに読むと、点と点がつながると思う。逆にこれを先に読むと、他の本に出てくる保育の姿が「そういう経緯で生まれたのか」と立体的に見えてくる。
公表されている情報が限られている本だから詳しくは現物を確かめてほしいけど、政策の来歴を知りたい人には面白いはずだよ。

スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む: 日本の大学生は何を感じたのか
ヨーラン・スバネリッド 著|新評論
¥1,919(税込)
スウェーデンの小学校社会科の教科書の記述を読みながら、若者の政治参加の差を考える一冊。法律や規則は変わるもので、変えたいと思えば努力すべきと教科書が書いていること、メディアを自分たちの情報を発信する民主制の道具として位置づけていることを紹介する。明治大学のゼミ生たちの感想も収録され、日本の若者の目線と重ねて読める。
こんな人におすすめ
主権者教育や社会科に関心がある教員、日本の若者の意識を考えたい人。大学のゼミや高校の探究学習の題材を探している人、メディアと政治の関係を授業で扱いたい人にも。
良い点
- 教科書の記述が具体的
- 日本の学生の反応も読める
- 授業やゼミで扱いやすい
気になる点
- 社会科に範囲が限られる
- 統計は出版時点のもの
- 授業での活用は工夫が要る
出版社
新評論
発売日
2016年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
若者の投票率の差から始まるんですね。数字を見ると考えさせられます。
佐藤メバル
そう、スウェーデンでは全体の投票率も、30歳未満の若者の投票率も高いと紹介されている。この本は、その差がどこから来るのかを、小学校の社会科の教科書の記述から考えていくんだ。
法律や規則は変わるもので、変えたいと思えば努力すべきと教科書に書かれている、という箇所は印象的だよ。
橘ナナミ
メディアの章も、気になります。
佐藤メバル
メディアを、他人の情報を得る道具としてより、自分たちの情報を発信する道具、つまり民主制の道具として位置づけている。
学校のカフェや遊び場が閉鎖されそうになったら、賛同者を集めて新聞に投書し、政治家に会い、デモで意思表示するよう促すと書いてある。
それに「すごい」と思うか「行き過ぎ」と思うか、ゼミ生たちの感想も並んでいる。読者自身が答えを問われる構成なんだ。

離別と共同養育―スウェーデンの養育訴訟にみる「子どもの最善」
善積京子 著|世界思想社
¥3,850(税込)
スウェーデンにおける家族の変容、とりわけパートナー関係が解消したあとの養育権・居所・面会のあり方に焦点を置き、「子どもの最善」と「ジェンダー公平性」という観点から養育訴訟を分析する研究書。日本の今後の親権・監護法制のあるべき方向性を探る目的も掲げている。感情論ではなく、法と制度の側から家族を考えるための一冊だ。
こんな人におすすめ
離婚後の養育や共同養育を制度として考えたい人。法律、福祉、家族社会学に関心がある研究者や実務家、離別家庭を支援する立場の人、日本の親権の議論を追いたい読者にも。
良い点
- 訴訟の分析という切り口
- 子どもの最善を軸に据える
- 日本への示唆が得られる
気になる点
- 学術書で難度が高い
- 価格もページ数も大きい
- 扱う事例は生々しい
出版社
世界思想社
発売日
2013年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「離別と共同養育」というテーマは、正直ちょっと重いですね。
佐藤メバル
重いテーマだけど、避けて通れない問題でもある。この本はスウェーデンでパートナー関係が解消したあと、養育権や居所、面会がどう扱われてきたかを、養育訴訟の分析を通して描いている。
「子どもの最善」と「ジェンダー公平性」という二つの観点からね。
橘ナナミ
日本の話にも、つながりますか?
佐藤メバル
つながる。著者は日本の今後の親権・監護法制のあるべき方向性を探るという目的も掲げている。だから制度を比べながら読むことになる。
家族の形が変わるなかで、子どもの利益をどう守るかを考えるための材料が詰まっている。感情論ではなく法と制度の側から扱っている点が、この本の立ち位置だね。

スウェーデンの少子化対策
谷沢英夫 著|日本評論社
広大な国土に対して人口が930万人とされるスウェーデンでは、人口の維持が国の死活問題だとされる。手厚い福祉政策、雇用政策、男女共同参画がすべて人口問題に収斂するという見取り図を示し、少子化対策を単独の政策ではなく国の全体設計として捉える。173ページと簡潔で、政策の骨格をつかむ最初の一冊に向いている。
こんな人におすすめ
少子化を政策全体の設計として考えたい人。行政や研究機関の担当者、教育や子育てと人口問題を結びつけて理解したい読者、北欧の政策を比較したい学生にも。
良い点
- 論点を人口問題に整理する
- 制度を横断して見られる
- 簡潔な分量
気になる点
- 公表後の変化は反映されない
- 現場の子育て感覚は薄い
- データは自分で更新したい
出版社
日本評論社
発売日
2012年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「人口の維持は国の死活問題」という一文が、ずいぶん強いですね。
佐藤メバル
スウェーデンは広大な国土に対して人口が930万人とされている国でね。だから人口を維持できるかどうかが国の存続にかかわるという感覚がある。
この本は、手厚い福祉政策も、雇用政策も、男女共同参画も、突き詰めれば人口問題に収斂していくと論じるんだ。
少子化対策を単独の政策としてではなく国の全体設計として見ている。
橘ナナミ
子育てのハウツー本とは、ずいぶん違いますね。
佐藤メバル
まったく違う。家庭で今日どうするかではなく、国がどう設計してきたかを追う本だよ。だからこそ、共働きの本や教育の本と並べると点が線になる。
ページ数も少ないから、政策の骨格をつかむ最初の一冊としても使いやすいと思う。
スウェーデン子育て本の全体像 — 棚を4つに分けて整理する
橘ナナミ
ここまでの話で少し整理されてきました。でも実際に棚に並んでいると、全部「北欧」に見えてしまうんです。
佐藤メバル
それなら4つの棚に分けてみよう。「働き方・制度」「声かけ・コミュニケーション」「教育・環境」「絵本・暮らし」だ。働き方・制度の棚には『無理しすぎないスウェーデン人』『スウェーデンの少子化対策』『政治のなかの保育』。声かけの棚には『スウェーデンに学ぶ「幸せな子育て」』『やってよかった育児パパ』。教育・環境の棚には『北欧教育の秘密』『非認知能力を伸ばす実践アイデアブック』『スウェーデンにおける野外保育のすべて』『みんなの教育』。暮らしの棚には『こどもと暮らす 北欧スウェーデン』が入る。
橘ナナミ
分けると、自分が今どの棚の前に立っているのか分かります。ちなみに『医療・福祉・教育・社会がつながるスウェーデンの多様な学校』はどこですか?
佐藤メバル
あれは制度と教育のあいだ。ひとりの子どもの支援に、医療も福祉も学校も横につながる。分類しきれない本こそ、スウェーデンの本質を突いていることもあるね。
「スウェーデン礼賛」を疑う — 本の主張を別の本で検証する
橘ナナミ
ここが今日いちばん聞きたかったところです。SNSで「スウェーデンは子育て天国」とだけ切り取られているのを見て、本当かな、と思っていました。
佐藤メバル
その疑いの目は正しい。ただ、本をよく読むと、著者たちは自分でその幻想を崩している。『無理しすぎないスウェーデン人』は、30年前のスウェーデンはむしろ今の日本と似ていて、共働きのための制度は整いつつあっても「男性が働き、子育ては女性がするもの」という分業が根深く残っていたと書いている。『スウェーデンの保育園に待機児童はいない』も、離婚率の高さや、男女平等と言いながら残る矛盾、消費者の我慢の上に成り立つ快適さまで書き込んでいる。
橘ナナミ
良いところだけの本ではないんですね。逆に、そういう記述がある本のほうが信頼できる気がします。
佐藤メバル
同感だね。数字で突き合わせられる例もある。『幼児から民主主義』はスウェーデンの投票率が毎回8割を超えると紹介し、『スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む』は若者の投票率を日本の数字と並べて示している。だからこの分野は「一冊で結論を出さず、二冊で突き合わせる」読み方が向いている。
橘ナナミ
日本の家庭にそのまま持ち込めるか、という視点も気になります。保育園までの距離も、祖父母の関わり方も違いますし。
佐藤メバル
そこは「制度は持ち帰れないが、考え方は持ち帰れる」と線を引くといい。たとえば森のムッレ教室の実践は、大自然でなくても園庭や園周辺の身近な自然から始められると『身近な自然と遊んで育つ保育実践』が書いている。日本でも「森のようちえん」の活動が広がっていると紹介する本もある。翻訳可能な部分を自分で見つける作業が、実はいちばん面白い。
組み合わせて読む、そして手に入れる
橘ナナミ
最後に組み合わせの話を聞かせてください。一冊ずつばらばらに読むより、セットのほうが力が出る気がしてきました。
佐藤メバル
定番は「体験+制度」。『スウェーデンの保育園に待機児童はいない』で生活の実感をつかんでから『スウェーデンの少子化対策』や『政治のなかの保育』で背景を押さえる。教育に関心があるなら『北欧教育の秘密』のルポと『非認知能力を伸ばす実践アイデアブック』の実践を並べると、現場と理屈がつながる。子育ての当事者なら『スウェーデンに学ぶ「幸せな子育て」』で今日の声かけを変えつつ、『こどもと暮らす 北欧スウェーデン』で暮らしの空気を吸う。
橘ナナミ
手に入れやすさの違いも整理しておきたいです。専門書は図書館で探す前提でいいですか?
佐藤メバル
そうだね。学術寄りの本は単行本が中心で、重版されずに中古で探すことになるものもある。逆にエッセイやハウツーは電子書籍でも読めるものが多い。順番としては、図書館で広く読み、繰り返し開きたくなった一冊だけを手元に置く。これがいちばん失敗が少ない。
橘ナナミ
レビューの傾向も気になります。評価が割れている本はありますか?
佐藤メバル
教育の専門書は内容が濃いぶん「一般向けではない」という声が付きやすい。体験エッセイは「読みやすい」と好評な一方で「自分の家庭に置き換えにくい」という感想も見られる。評価が割れている本は、たいてい対象読者がはっきりしている本だ。低評価を「合わなかった人が読んだ印」として読むと、判断材料になる。
よくある質問
スウェーデンの子育て本で一番おすすめはどれですか?
橘ナナミ
スウェーデンの子育て本で一番おすすめはどれですかについて教えてください。
佐藤メバル
目的によって変わります。今日の声かけを変えたいなら『スウェーデンに学ぶ「幸せな子育て」子どもの考える力を伸ばす聴き方・伝え方』、仕事と育児の両立なら『子育ても仕事もうまくいく 無理しすぎないスウェーデン人』、暮らしの実感を知りたいなら『スウェーデンの保育園に待機児童はいない』が入りやすい入口です。一冊で全部を叶える本はないので、まず自分の関心をひとつに絞るのが失敗しないコツです。
仕事と育児の両立を学べる本はありますか?
橘ナナミ
仕事と育児の両立を学べる本はありますかについて教えてください。
佐藤メバル
『子育ても仕事もうまくいく 無理しすぎないスウェーデン人』が中心的です。30年前のスウェーデンは今の日本と似ていたという変革のプロセス、育児休業や保育所、職場の事情まで、現地で暮らす著者の経験を交えて解説しています。あわせて『スウェーデンの保育園に待機児童はいない』を読むと、制度の説明が生活の実感として腹に落ちます。
現地在住者が書いた本と翻訳書は、どちらがいいですか?
橘ナナミ
現地在住者が書いた本と翻訳書は、どちらがいいですかについて教えてください。
佐藤メバル
どちらが上ということはなく、性質が違います。現地在住者の本は『こどもと暮らす 北欧スウェーデン』『やってよかった育児パパ』のように体験の温度が高く、翻訳書や研究書は『幼児から民主主義』『スウェーデン保育から幼児教育へ』のように制度や理念の構造を丁寧に示します。最初の一冊は体験談から入り、気になった論点を研究書で確かめると、理解が立体的になります。
子どもの自己肯定感や声かけを学べる本はありますか?
橘ナナミ
子どもの自己肯定感や声かけを学べる本はありますかについて教えてください。
佐藤メバル
『スウェーデンに学ぶ「幸せな子育て」子どもの考える力を伸ばす聴き方・伝え方』が具体的です。「大丈夫?」ではなく「どうしたの?」と聞く、結果や能力ではなくやったことをそのまま認める、禁止ではなく「こうしてほしい、なぜなら」と伝えるなど、場面ごとのケーススタディが並びます。家庭での関わりを見直したい人に向く一冊です。
0歳から読めますか? 子どもの年齢別の選び方を教えてください。
橘ナナミ
0歳から読めますか? 子どもの年齢別の選び方を教えてください。について教えてください。
佐藤メバル
読むのは基本的に大人なので、本自体に年齢制限はありません。ただし合いやすい内容は変わります。0〜3歳は生活と保育の実感を扱う本、未就学児は『北欧スウェーデン発 森の教室』など野外保育の本、小学生以上は『スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む』のように社会の見方を扱う本が参考になります。わが子の今の年齢から逆算して選ぶと迷いません。
文庫や電子書籍でも読める本はありますか?
橘ナナミ
文庫や電子書籍でも読める本はありますかについて教えてください。
佐藤メバル
文庫で読めるものは限られ、保育や教育の専門書は単行本が中心です。電子書籍はエッセイやハウツーに比較的多く、『こどもと暮らす 北欧スウェーデン』のように固定レイアウトで作られている本はタブレットなど大きな画面での閲覧が向くと案内されています。専門書は図書館や中古で探す前提で考え、繰り返し開く一冊だけを手元に置くのが現実的です。
スウェーデン礼賛は本当ですか? 日本でも参考になりますか?
橘ナナミ
スウェーデン礼賛は本当ですか? 日本でも参考になりますかについて教えてください。
佐藤メバル
本を読むと、著者たちはむしろ手放しの礼賛をしていません。『無理しすぎないスウェーデン人』は変革前の姿が日本と似ていたと書き、『スウェーデンの保育園に待機児童はいない』は離婚率や男女平等に残る矛盾まで綴っています。制度は持ち帰れないが、考え方は持ち帰れる——その線引きをしながら読むと、日本の家庭や職場に活かせる部分が見えてきます。
まず1冊読むなら、どれを選べばいいですか?
橘ナナミ
まず1冊読むなら、どれを選べばいいですかについて教えてください。
佐藤メバル
子育ての当事者なら『スウェーデンに学ぶ「幸せな子育て」子どもの考える力を伸ばす聴き方・伝え方』、暮らしの空気を知りたいなら『こどもと暮らす 北欧スウェーデン』、働き方を見直したいなら『子育ても仕事もうまくいく 無理しすぎないスウェーデン人』が入りやすいです。図書館で冒頭を読み、繰り返し開きたくなった一冊を手元に置く。その選び方がいちばん後悔が少なくなります。
まとめ
橘ナナミ
佐藤さん、今日のお話で、順位を追うより「自分がどの棚の前に立っているか」を先に決めるほうが大事だと分かりました。
佐藤メバル
そう。順位は他人の家の間取りで、自分の暮らしにそのまま当てはまるものではない。まず目的を決めて、次に著者のタイプと子どもの年齢で絞る。それだけで、書店や図書館で迷う時間がぐっと短くなる。
橘ナナミ
私だったら、まず両立の本を読んで、それから声かけの本に進もうと思います。読む順番にも意味があるんですね。
佐藤メバル
あるよ。仕組みを知ると、家庭でやっていることの意味が見えてくる。逆に、家庭の実感がないまま制度の本だけを読むと、ただの知識で終わってしまう。行き来しながら読むのがちょうどいい。
橘ナナミ
最後にひとつだけ。スウェーデンの暮らしに「ラゴム」という言葉があると本で読みました。「ちょうどいい」という意味でしたよね。本棚にもそれが言えそうです。
佐藤メバル
いい締め方だね。一度に全部そろえず、暮らしに合わせて一冊ずつ足していく。スウェーデンの家がそうであるように、本棚も完成形を目指すより、使いながら手を入れていくものだと思う。今日選んだ一冊が、その最初の一脚になればいいね。
