php子育て本のおすすめ人気ランキング25選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
佐藤さん、「php 子育て 本」って検索されているんですが、PHPってプログラミング言語じゃないんですか? 子育てとどうつながるのか、まずそこから分からなくて。
佐藤メバル
いい質問だね。ここでいうPHPは言語ではなく出版社の名前で、PHP研究所のこと。松下幸之助さんが「人間を研究する」という考えのもとで始めた出版社で、その人間観が子育て本の系譜にもずっと流れているんだ。だからPHPの子育て本は、単なる書名の集まりじゃなくて、ひとつの思想の棚として読むと面白い。
橘ナナミ
思想の棚! でも書店の子育てコーナーって、脳科学の本もあれば、マンガのしつけ本もあって、どれが自分に必要か分からなくなります。
佐藤メバル
書店員時代、その棚の前で30分以上立ち尽くしているお母さんを何人も見たよ。だから今日は「並べる」より どの順番で、どの状況で開くか を一緒に整理しよう。
橘ナナミ
なるほど! じゃあ、選ぶときの軸から教えてください。
佐藤メバル
いいね、いこうか。
php子育て本の選び方
子どもの年齢で選ぶ(0-1歳/1-3歳/3-6歳/小学生/思春期)
橘ナナミ
まず年齢で選ぶなら、どこから見ればいいですか?
佐藤メバル
0〜1歳なら佐々木正美さんの『子育てのきほん 新装版』。「過保護でいい」「いくら抱いても、いくら甘やかしてもいい」という言葉が軸で、最初に読む入門書として向いている。1〜3歳は須賀義一さんの『保育士おとーちゃんの「心がラクになる子育て」』、3〜6歳は平井信義さんの『5歳までのゆっくり子育て』。小学生なら親野智可等さんの『「叱らない」しつけ』、思春期は柳沢幸雄さんの『母親が知らないとヤバイ「男の子」の育て方』や長谷川博一さんの『「わが子」の気持ちが分からない! 思春期の子育て』が入口になるよ。
悩みのタイプで選ぶ(夜泣き・授乳・食事・しつけ・きょうだい・発達特性)
橘ナナミ
年齢じゃなくて、いま困っていることから探すこともできますか?
佐藤メバル
できるよ、こちらが実は一番实用的でね。しつけの迷いなら多湖輝さんの『しつけの知恵』、叱りすぎてしまうなら長谷川さんの『魔法の「しつけ」』が「行きすぎたしつけ」に警告を出している。食事や排泄など生活の細かい困りごとは、須賀さんの本が寄せられた質問に沿って答えてくれる。発達の課題が気になるなら岡田尊司さんの『子どものための発達トレーニング』、そして親自身がつらいときは片田珠美さんの『子どもを攻撃せずにはいられない親』のように、親の側を支える本に逃げ道を作っておくといい。
読みやすさの形式で選ぶ(マンガ/図解写真/文章中心/文庫・新書/ムック)
橘ナナミ
正直、育児の合間に長い文章を読む自信がありません……。
佐藤メバル
それなら形式で選ぼう。ドロシー・ロー・ノルトさんの『[新装版]子どもが育つ魔法の言葉』は、見開きで完結する文章に再構成されているから、数分単位で読める。佐々木さんの『子育てのきほん 新装版』はオールカラーで描きおろし漫画も入っていて、開いたページから負担なく入れる。PHP文庫は文庫判で持ち歩きやすく、PHP新書は理論をしっかり読みたいときに向いている、という住み分けだね。
理論派か実践派か(脳科学・心理学の理論 vs すぐ使える具体ノウハウ)
橘ナナミ
「脳科学」って言われると、なんだか強そうに見えてしまいます。
佐藤メバル
そこは性質の違いで見よう。瀧靖之さんの『「賢い子」に育てる究極のコツ』は16万人の脳画像を見てきた脳医学者の本、成田奈緒子さんの『子育てを変えれば脳が変わる』は脳が育つ順番から生活を見直す本。一方で菅原裕子さんの『子どもの心のコーチング』はコーチング技術を応用した実践の本、辰巳渚さんの『子どもを伸ばす毎日のルール』は家庭のルールという具体に落とし込む本だ。理論で腹に落として、実践で手を動かす のが一番強い。
著者の立場で選ぶ(小児科医・臨床心理・保育士・先輩ママ・脳科学者)
橘ナナミ
著者の肩書きがそれぞれ違うのも、選ぶ手がかりになりますか?
佐藤メバル
なるよ。臨床心理士の長谷川さんは問題行動のカウンセリングから、保育士の須賀さんは現場の日々から、精神科医の岡田さんは臨床の最前線から書いている。浜尾実さんの『新装版 子どものほめ方・叱り方』は東宮侍従として養育に携わった経験が土台だし、外山滋比古さんの『子育ては言葉の教育から』は言語の視点、大前研一さんの『「一生食べていける力」がつく 大前家の子育て』はビジネスの視点。誰の経験から出た言葉か を知ると、読み方が変わるよ。
入手性で選ぶ(電子書籍/Kindle Unlimited/価格帯/文庫サイズ/図書館)
橘ナナミ
電子で読めるかどうかも、けっこう大事ですよね。
佐藤メバル
そう。文庫や新書は手に取りやすく、図書館でも見つけやすい。ただし電子書籍や読み放題サービスの対応状況は本ごとに違うから、必ず各販売サイトで確認してね。まずは文庫を1冊、気になったら図書館で試す、という順番が失敗しにくい。
php子育て本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、25冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
php子育て本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい

子どもの心のコーチング 一人で考え、一人でできる子の育て方 (PHP文庫)
菅原裕子 著|PHP研究所
¥836(税込)
コーチングの技術を子育てに応用し、子どもが自分で考え、答えを出せる力を引き出す入門書です。累計100万部を突破した「ハートフルコミュニケーション」を、ワークショップやPTA主催の講演会で支持を得た内容としてわかりやすく解説しています。核になるのは、親が教え込む人ではなく、子どもの才能を花開かせるサポート役に回るという視点。「愛すること」「責任」「人の役に立つ喜び」を伝えること、幸せ気分でするしつけ、親自身の「きき耳」チェックなど、まず親の関わり方を整える構成です。叱り方のハウツー本とは逆向きで、親のあり方から変える一冊です。
こんな人におすすめ
つい先回りして声をかけ、世話を焼きすぎてしまうと感じる親。子どもの自立心や自分で考える力を伸ばしたい人。コーチングという言葉は知っていても、子育てへの使い方がつかめない人。親自身の聞き方や関わり方を見直したい場面に向いています。
良い点
- 親がサポート役に回る視点が明確
- ワーク形式で実践に落としやすい
- 自立と生きる力に焦点を当てる
気になる点
- 即効性のあるしつけ術は少なめ
- 考え方の説明に比重がある
- ワークに取り組む時間が必要
出版社
PHP研究所
発売日
2007年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
コーチングって、もともとビジネスの言葉ですよね。それを子育てに使うと、子どもを目標達成の対象みたいに扱う感じにならないんでしょうか。
佐藤メバル
いい質問だね。ここでのコーチングは、指示して動かす技術じゃなくて、その人の中にある答えを引き出す関わり方なんだ。
この本の核は、親が「教える人」から「サポートする人」に回ること。子どもが自分で考えて答えを出す場面を、どれだけ用意できるかが主題になる。
著者は「愛すること」「責任」「人の役に立つ喜び」を伝えることを軸に、幸せ気分でするしつけや、親自身の「きき耳」チェックまで書いている。
叱り方の本とは逆向きで、まず親の聞き方を変える本なんだよ。
橘ナナミ
きき耳チェック、気になります。私、話を聞いてるつもりで、途中で結論を言っちゃうタイプかも。
佐藤メバル
そこに気づける人は強いよ。書店にいた頃、この本は「子どもが言うことを聞かない」と相談に来た人より、自分の関わり方を見直したい人に手に取られることが多かった。
長く読まれているのは、子どもを変える前に親が楽になれる構成だからだと思う。叱り方のハウツーと並べるなら、先にこちらで視点を作っておくと、後の一冊が効いてくるよ。
![[新装版]子どもが育つ魔法の言葉](https://img.shelf-y.com/items/21120.jpg)
[新装版]子どもが育つ魔法の言葉
ドロシー・ロー・ノルト 著|PHP研究所
¥1,100(税込)
アメリカの子育てカウンセラー、ドロシー・ロー・ノルト博士の名著から、特に重要なエッセンスを選び、見開きで完結する文章に再構成した新装版です。世界22カ国で翻訳され、詩「子は親の鏡」は当時の皇太子殿下が誕生日の記者会見で朗読されたことでも知られています。長い解説を読む時間が取れない人でも、開いたページの数行がそのまま今日のヒントになる構成が核。叱り方やしつけの手順を並べる実用書とは違い、親のまなざしと言葉そのものを静かに整えてくれる一冊です。
こんな人におすすめ
子育てに悩み、まとまった文章を読む余裕がない親。子どもを伸び伸び育てたいと願う人。祖母や祖父など、孫と関わる立場の人。寝る前に一ページだけ開く使い方にも向いています。短い言葉を繰り返し味わいたい場面にぴったりです。
良い点
- 見開き完結で読みやすい
- 世代を超えて読み継がれる定番
- 贈り物にも向く造り
気になる点
- 体系的な手順は載っていない
- 解決策を求める人には物足りない
- 詩的な表現が好みを分ける
出版社
PHP研究所
発売日
2006年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「子は親の鏡」って聞いたことがあります。これ、詩なんですか? 子育てのハウツー本だと思っていました。
佐藤メバル
そう、もともとは詩なんだ。この新装版は、その名著から大切な部分を選んで、見開きで完結する形に組み直したもの。
だから開いたページの数行が、そのまま今日のヒントになる。世界22カ国で翻訳されて、当時の皇太子殿下が記者会見で朗読されたことから広く知られるようになったんだよね。
手順を教える実用書ではなくて、親のまなざしや言葉そのものを整える本。読み終える本というより、何度も開く本なんだよ。
橘ナナミ
何度も開く本かあ。たしかに、子育て中の人に「最初から最後まで読んで」と言うのはハードル高いですよね。
佐藤メバル
そこがこの本の強みだね。書店でも、出産祝いや孫の誕生の贈り物として選ばれることが多かった。ただ、具体的な対処法を求めて開くと物足りなく感じるかもしれない。
手順が欲しいときは別の本、気持ちを立て直したいときはこの本、と使い分けるといいよ。

母親が知らないとヤバイ「男の子」の育て方 (PHP文庫)
柳沢幸雄 著|PHP研究所
¥6(税込)
東大合格者数で知られる開成の校長を9年間務めた著者が、思春期の男の子との向き合い方を説いた一冊です。母親から見れば「理解不能な宇宙人」に見える時期の男子について、母親を毛嫌いするのは本能であること、親子の会話量は親1対子ども2が目安であること、「勉強しないから部活をやめさせる」は逆効果であることなど、悩みへの処方箋をポイントで示します。キーワードは「引き算」。小さい恋人扱いを続けるほど反発が強まるとして、手放しつつ見守るさじ加減を教えてくれます。
こんな人におすすめ
思春期の息子との会話が減り、接し方に迷っている母親。受験や部活をめぐって衝突しがちな家庭。男の子の反発を成長の過程として捉え直したい人。距離の取り方を具体的に知りたい場面に向いています。
良い点
- 男子の反抗の意味が腑に落ちる
- 学校現場の実例が豊富
- ポイント単位で読み返せる
気になる点
- 女の子のケースは扱わない
- 思春期前の子には早い
- 母親向けの語り口が中心
出版社
PHP研究所
発売日
2020年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「うるせぇ」が「ねぇ、母さん」と同じって、衝撃的な一文です。そんなふうに受け取れるものなんですか。
佐藤メバル
そこがこの本の面白さなんだよ。言葉の表面ではなく、その奥にある要求を読むという考え方。思春期の男子は、うまく言葉にできないもどかしさを、乱暴な言い方に乗せてしまうことがある。
著者は開成の校長を9年務めた人で、現場でたくさんの男子を見てきた。だから「親子の会話量は親1対子ども2」のような、量の目安まで踏み込んで書いている。
叱り方や声のかけ方を反射的に選ぶ前に、まず息子の今の状態を理解する本だね。
橘ナナミ
引き算って言われると、何かをやらなきゃという発想と真逆ですよね。何を減らすんですか。
佐藤メバル
干渉や先回り、小さい頃と同じ扱いを減らすということ。この本は、勉強しないから部活をやめさせる、といった罰の使い方が逆効果だと指摘する。
夢を語る子に「できるわけない」と言わないで、という項目もそうだね。手放すけれど見守る。この加減が難しいからこそ、一冊を通して具体例で示してくれる。
思春期に入る前に読んでおくと、心の準備になるよ。

女の子の育て方 「愛され力」「自立力」「幸福力」を育てる83のこと (PHP文庫)
諸富祥彦 著|PHP研究所
¥814(税込)
0〜15歳の女の子を持つ親に向けて、子育てで最低限しておきたいことを83の項目で具体的に示した一冊です。軸にあるのは、ハッピーな女の子の後ろにはハッピーなお母さんがいるという考え方。ほめるよりも「ともに喜ぶ」姿勢を大事にすること、幼少期の食育が品格に関わること、携帯電話や持ち物のチェックは厳禁であることなど、娘ならではの悩みに踏み込みます。母親が娘を「自分の一部」と思い込んでしまう罠にも触れた、愛され力・自立力・幸福力を育てる子育て術です。
こんな人におすすめ
0〜15歳の娘を持つ母親。娘との距離の取り方に悩み、つい干渉してしまう人。習い事や友人関係など、女の子特有の相談ごとに指針が欲しい人。母親自身の幸せ度を整えたい場面に向いています。
良い点
- 項目数が多く辞書的に使える
- 母娘の心理を丁寧に扱う
- お母さん側のケアにも触れる
気になる点
- 父親の視点は薄い
- 女児以外には当てはめにくい
- 項目ごとの記述は短め
出版社
PHP研究所
発売日
2022年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「ハッピーな女の子の後ろにはハッピーなお母さんがいる」って、なんだか救われる言葉ですね。子どもより先に自分? と思いつつ、納得もして。
佐藤メバル
そこがこの本の立ち位置なんだ。子育ての技術を並べる前に、お母さん自身の状態を土台に置いている。著者は「ほめるよりも、ともに喜ぶ姿勢が大事」と言う。
ほめるは評価だけど、ともに喜ぶは一緒に感情を動かすことだからね。それから、幼少期の食育が品格を決めるという話や、携帯電話や持ち物のチェックは厳禁という線引きも書かれている。
女の子の育て方には、男の子とは違う固有の悩みがある。その前提に立った本だよ。
橘ナナミ
「母親は娘を自分の一部と思い込みがち」というのも、ちょっと怖い指摘ですね。
佐藤メバル
そう、そこは注意点として書かれている。娘を自分の延長として見ると、選ぶ服も友人も進路も、つい口を出したくなる。
でもそれは娘の人生を生きることになる。この本は、愛され力・自立力・幸福力という三つの力を掲げて、0歳から15歳までを見通す構成になっている。
同じ著者の男の子版と読み比べると、力の置き方が違うのがよくわかるよ。

男の子の育て方 「結婚力」「学力」「仕事力」を育てる60のこと (PHP文庫)
諸富祥彦 著|PHP研究所
¥814(税込)
0〜12歳の男の子を持つ親に向けて、子育てで最低限しておきたいことを60の項目にまとめた一冊です。乳幼児期と小学校時代の接し方が土台になるという考え方が核で、一生の宝ものになる「ふんばる力」と自己肯定感をどう育てるかを具体的に示します。お母さんとのラブラブが自信を育てること、してほしいことは命令ではなくお願い口調で伝えること、お手伝いが将来を決めること、ゲームは全面禁止よりルールを守らせることなど、すぐ実践できる形で並んでいます。
こんな人におすすめ
0〜12歳の息子を持つ親。小学校に入る前後の接し方を見直したい人。自己肯定感や粘り強さをどう育てるか迷っている人。お母さん自身が穏やかさを取り戻したい場面にも向いています。
良い点
- 乳幼児期の具体策が豊富
- 命令とお願いの違いが明確
- 遊びやゲームの線引きに触れる
気になる点
- 思春期以降は範囲外
- 項目ごとの記述はコンパクト
- 男児中心の内容
出版社
PHP研究所
発売日
2022年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
同じ著者で女の子版と男の子版があるんですね。何が一番違うんですか。
佐藤メバル
対象年齢と、育てたい力の置き方が違う。こちらは0〜12歳で、掲げているのは「結婚力」「学力」「仕事力」。
つまり、乳幼児期と小学校時代の接し方が、その後の人間関係や仕事の土台になるという見立てなんだ。たとえば、お母さんとのラブラブが男の子の自信を育てる、してほしいことは命令ではなくお願い口調で、といった具体策が並ぶ。
著者ははじめにで、子育ての基本は何と言ってもお母さん自身のラブ&ハッピーだと書いている。技術より先に、お母さんの安定を置いているんだね。
橘ナナミ
お手伝いが将来を決める、というのも気になります。うちの親はよく手伝わせてました。
佐藤メバル
いい経験をしてきたね。この本では、お手伝いを単なる労働ではなく、役に立つ喜びを知る場として扱っている。
それと、ゲームは全面禁止よりルールを守らせる、男の子のバカバカしい遊びが発想力を生む、といった線の引き方も参考になる。
禁止で縛るより、枠を作って任せる。男の子の育て方に迷ったときの、実務的な一冊だよ。

「賢い子」に育てる究極のコツ (PHP文庫)
瀧靖之 著|PHP研究所
¥858(税込)
16万人の脳画像を見てきた脳医学者が、子どもの脳力を伸ばす方法を示した一冊です。数例のデータや感覚ではなく、膨大な脳画像から見えた「ぐんぐん伸びる子」とそうでない子の差を軸にしています。小さい頃のプレゼントは図鑑がよいこと、好奇心が脳を育てる一番の栄養であること、年齢ごとの習い事で才能の伸び方が変わることなど、研究の裏づけを伴う具体策が並びます。どんな子でも何歳からでも親の働きかけ次第で賢く育つという前提が、この本の核です。
こんな人におすすめ
知育や習い事の選び方に迷っている親。幼児期に何をしたらよいか手がかりが欲しい人。感覚的な子育て論に納得がいかず、研究の裏づけを知りたい人。図鑑や遊びの意味を捉え直したい場面に向いています。
良い点
- 脳研究の裏づけがある
- 年齢ごとの指針が具体的
- 図鑑という結論が面白い
気になる点
- 脳の話はやや専門的
- 地域や家庭差には触れにくい
- 即効のしつけ術ではない
出版社
PHP研究所
発売日
2020年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
16万人の脳画像って、規模がすごいですね。子育ての本でそこまでデータがあるのは珍しい気がします。
佐藤メバル
そう、そこがこの本の売りなんだ。著者は脳医学者で、感覚や数例のデータではなく、膨大な脳画像から見えた傾向を語っている。
面白いのは、小さい頃のプレゼントは図鑑で決まり、という結論。図鑑は眺めるだけで終わらず、子どもが自分から指をさして質問する。
その往復が脳を刺激するという理屈なんだね。好奇心は脳を育てる一番の栄養だという一文が、全体を貫いているよ。
橘ナナミ
習い事も、年齢によって伸び方が変わるんですか。早ければいいわけではない、と。
佐藤メバル
そこは誤解されやすいところだね。この本は、何歳からでも親の働きかけ次第で賢く育つという前提で書かれている。
だから焦って詰め込む話にはならない。書店でも、知育本を何冊も買う前に、この一冊で軸を作る人が多かった。
図鑑をどう使うか、遊びをどう見守るか。日々の場面に落とせるのが強みだよ。

新装版 子どものほめ方・叱り方 伸びる子が育つ44のヒント (PHP文庫)
浜尾実 著|PHP研究所
東宮侍従として上皇陛下に仕え、天皇陛下や秋篠宮皇嗣殿下、黒田清子氏らの養育係を務めた20年、自身の5人の子の親としての経験、さらに約10年の教員生活からつむぎ出された、ほめ方・叱り方の44のヒントをまとめた一冊です。信念を持って叱ること、ほめる言葉は一言でよいこと、大人が熱心なことに子どもも熱心になること、期待されたときに子どもは伸びることを、やさしい言葉で説きます。正解のない子育てで一人悩む親の心を軽くする、待望の復刊です。
こんな人におすすめ
叱り方が強すぎたかもしれないと振り返っている親。ほめるタイミングや言葉が見つからない人。子育ての基本に立ち返りたい人。長く手元に置いて読み返したい場面に向いています。
良い点
- 養育の現場経験に裏打ちされている
- 叱る覚悟にも触れている
- 一項目が短く読み返しやすい
気になる点
- 時代を感じる表現がある
- 現代の事例研究ではない
- 体系立てた理論書ではない
出版社
PHP研究所
発売日
2019年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
東宮侍従というのは、皇族の養育に関わった立場なんですよね。そんな人が書いた子育て本って、少し緊張します。
佐藤メバル
でも読んでみると、とても穏やかなんだよ。叱り方についても「信念を持って叱る」と書いていて、感情的に怒ることとは違うと伝えている。
ほめる言葉は一言でいい、というのも印象的だね。長々と褒められると、子どもは何がよかったのか分からなくなる。
それから、大人が熱心なことに子どもも熱心になる、期待されたときに子どもは伸びる。この二つは、教員生活と養育の現場の両方から出てきた実感なんだと思う。
橘ナナミ
「愛とは、見返りを求めず行動すること」という言葉も載っているんですよね。親だって不完全だ、という前提が優しいです。
佐藤メバル
そう。この本は親を立派な人として描いていない。不完全で欠点だらけの大人が、子どもと一緒に育っていく。
それが子育てだと言い切っている。書店時代、この手の古典は若い親には手に取られにくかったけれど、一度読むと手放さない人が多かった。
叱り方に迷ったとき、最初に戻る場所になる一冊だよ。

この「言葉がけ」が子どもを伸ばす! (PHP文庫)
汐見稔幸 著|PHP研究所
自分を表現するとは、自分の感情に言葉を与えていくこと。この本はその一点を軸に、子どもの言葉を引き出す関わり方を示します。子どもの感性は豊かでも、使いこなせる言葉は多くありません。無数にある感情にどんな言葉を当てるか、限られた言葉をどう組み合わせるか。そこにその子の個性と人間性が表れます。何気ない一言や、素直に育つためのあいさつ、なんでも「ダメ」と言いたくなる反抗期の接し方まで、親子の会話を具体的に扱った一冊です。
こんな人におすすめ
子どもの気持ちをうまく言葉にできずにいる親。声かけのレパートリーを増やしたい人。反抗期の「ダメ」ばかりが口をつく自分を変えたい人。日常の会話を糸口にしたい場面に向いています。
良い点
- 言葉がけに特化している
- 反抗期の事例も収録
- 短く実践しやすい
気になる点
- 叱り方の体系は薄い
- 発達段階ごとの整理は少なめ
- 生活習慣の話は少なめ
出版社
PHP研究所
発売日
2012年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「自分の感情に言葉を与える」って、けっこう深い話ですよね。うちの研究でも、言語化できるかどうかで扱いやすさが変わるって言われます。
佐藤メバル
そこに気づいたのは鋭いね。この本が言っているのは、感性は豊かなのに語彙がまだ少ない子どもに、どんな言葉を手渡すかということ。
泣いている子に「悲しいね」と返す、うれしそうな子に「うれしいね」と返す。その一言が、その子の感情の地図になる。
だから、何をやってるのかな、おもしろそうね、といった声かけが具体的に並んでいる。この一冊は、もとのタイトルを改めたものなんだよ。
橘ナナミ
なんでも「ダメ」と言いたくなる反抗期の話もあるんですね。つい口が先に出るのは、親も一緒なんだ。
佐藤メバル
そう、そこを認めているのがいいところだね。言葉がけの本というと、きれいな正解を並べるものが多いけれど、これは困った場面の具体例も扱っている。
書店では、しつけ本の棚と並べて、会話に悩む人に薦めることが多かった。叱る言葉を増やす前に、子どもが自分を語る言葉を増やす。順番として、こちらが先だと思うよ。

子育てで悩んだとき読む本: 8歳までのしつけと育児何でも相談室 (PHP文庫 ク 8-1)
黒丸正四郎 著|PHP研究所
タイトルが示すとおり、8歳までのしつけと育児の悩みに応える相談室の形をとった一冊です。子育ては時期ごとに次々と違う壁が現れますが、まとまった本を最初から読む時間はなかなか取れません。そうしたときに、悩みに近いところから開ける構成は心強い味方になります。PHP文庫で刊行されてきた、手元に置いて何度も参照するタイプの本です。手順を順番に学ぶ入門書というより、必要なときに引く辞書として使いたい一冊です。
こんな人におすすめ
8歳くらいまでのしつけや生活面で、その都度悩みが出る家庭。通読する時間が取れず、必要なところだけ参照したい人。長く手元に置ける一冊を探している人。困ったときに開いて引きたい場面に向いています。
良い点
- 悩み別に引ける相談室形式
- 就学前後の幅をカバー
- 文庫で場所を取らない
気になる点
- 通読して学ぶ種類の本ではない
- 新しい知見の更新はない
- 内容の詳細は本文で確認したい
出版社
PHP研究所
発売日
1994年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
この本、内容紹介があまり見つからなくて。どんな本なんだろうって気になっています。
佐藤メバル
正直に言うと、私の手元でも目次や本文の細部までは確認できていない。ただ、タイトルと副題から、8歳までのしつけと育児の相談ごとに応える形の本だとわかる。
この種の本は、最初から最後まで読むものではなくて、困ったときに該当するところを開く使い方に向いている。
書店員時代、こういう文庫は子育て中の常連さんが何冊も持っていて、その日の悩みで選び分けていたよ。
橘ナナミ
なるほど。じゃあ、webで情報を集めるより、一冊を手元に置いて引くほうが落ち着く人向け、ということですね。
佐藤メバル
そういうことだね。ただ、通読して学ぶ本ではないから、最初から読むと物足りなく感じるかもしれない。困った場面で開く、という使い方が前提だと思っておくといい。
情報を集めるというより、一冊を手元に置いて引く。そういう読者に向いた本だよ。

子どもを伸ばす毎日のルール (PHP文庫)
辰巳渚 著|PHP研究所
学歴や容姿に恵まれなくても魅力のある人はいる。その魅力はどう備わったのか。著者は、当たり前のことを日々行なうことが「育ちのいい人」をはぐくむと考え、家庭で親子が守るべき100のルールを並べます。ありがとうと言う、呼ばれたら返事をする、脱いだ靴はそろえる、うそはつかない。家庭の中の50、家の外での25、そして親自身への25という構成が特徴です。生活の中の小さな習慣を、親子一緒に積み上げる一冊です。
こんな人におすすめ
しつけの基準を家族で共有したい親。指示が多くならない伝え方を探している人。祖父母と同居しているなど、価値観をすり合わせたい場面。毎日の行動を手がかりにしたい家庭に向いています。
良い点
- 項目が具体的で真似しやすい
- 外での振る舞いもカバー
- 親へのメッセージも収録
気になる点
- 規範がやや強めに響く場合がある
- 時代に合わない項目もある
- 理論的背景の説明は多くない
出版社
PHP研究所
発売日
2014年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
100のルールって、けっこう多いですね。子どもに守らせるの、大変じゃないですか。
佐藤メバル
そこがこの本の面白いところで、半分は親へのメッセージなんだ。家庭の中の50、家の外での25、そしてお父さんお母さんへ25のこと。
合計100。だから、子どもだけに押しつける構成になっていない。たとえば「だって」と言わない、悪口を話題にしない、ごめんねと言う。
大人ができていなければ、子どもには伝わらないよという視線が通っている。
橘ナナミ
「子どもをほうっておこう」「子どもを待ってやろう」という親向けの項目が、いちばん刺さりました。
佐藤メバル
そこだよね。ルールを増やす本なのに、最後は待つこと、伝えることに着地する。書店時代、しつけ本は「もっと厳しく」系と「もっと自由に」系に分かれがちだったけれど、これは生活の具体から入って、親の姿勢に戻ってくる。
ただし、規範が強めなので、家庭によっては合わない項目もある。全部やる必要はなくて、使えるものを選ぶ読み方でいいと思うよ。

しつけの知恵 手遅れにならないための100の必須講座 (PHP文庫)
多湖輝 著|PHP研究所
悪戯好きな子、約束を守らない子。そうした子どもこそ、正しく接すれば素直で元気な子に育つ——。この本は、しつけの知恵を100の必須講座としてまとめたものです。大反響を呼んだ内容を文庫で読める形にした、いわば定番の知恵袋。個別の場面に答える形で、親が迷いがちなところに指針を与えます。新しい理論を追う本ではありませんが、昔ながらのしつけの勘所をまとめて確認したいときに手に取りやすい一冊です。
こんな人におすすめ
悪戯や約束破りなど、日々の困りごとへの対応に迷う親。しつけの基本を短い単位で確認したい人。家族や祖父母との方針をそろえたい人。一項目ずつ手早く読んでいきたい場面に向いています。
良い点
- 100項目で網羅感がある
- 短い単位で読み進められる
- 古典的な知恵に触れられる
気になる点
- 通読には向かない構成
- 項目ごとの記述は短め
- 内容の細部は本文で確認したい
出版社
PHP研究所
発売日
2003年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
100の必須講座、ってすごい数ですね。これ、読み切れるんでしょうか。
佐藤メバル
講座という形だから、一つずつは短いと思う。悪戯好きな子、約束を守らない子、といった場面が並んで、それにどう接するかが示される。
大反響を呼んだ内容を文庫にしたものだから、当時どれだけ多くの親が同じ場所でつまずいていたか、ということも伝わってくる。
手元の情報では細部までは確認できていないけれど、索引的に使う本だと捉えておくといいよ。
橘ナナミ
なるほど。じゃあ、全部読むというより、今日の困りごとに近いところを開く感じですね。
佐藤メバル
そう。ただ、こうした知恵袋タイプは、言い切りがはっきりしているぶん、今の自分の家庭にそのまま当てはまるとは限らない。
読んで引っかかったら、なぜそう言えるのかを考えてみるといい。書店員時代、古典的なしつけ本は、若い親より、祖父母世代との会話の共通言語として選ばれることも多かったよ。

「叱らない」しつけ ほんの少しの工夫で、「元気な子」「できる子」が育つ (PHP文庫)
親野智可等 著|PHP研究所
叱ることがしつけだと思っていませんか、という問いから始まる一冊です。小学校教師を23年務めた著者が、自らの経験から編み出した「叱らない」しつけのコツを示します。朝、触れ合う時間を作る。やるべきことを紙に書いて貼る。肯定的な物言いをする。叱らなくて済むシステムを作れば、子どもはグングン伸びるという考え方が核です。根性や我慢ではなく、環境と仕組みで解決する発想が、他のしつけ本と一線を画します。
こんな人におすすめ
毎日同じことで叱ってしまい、自分も疲れている親。朝の支度や宿題の声かけに悩む人。怒鳴らずに伝える方法を探している人。叱る回数を減らしたい場面に向いています。
良い点
- 仕組みで解決する発想が実用的
- 教師としての実例が豊富
- 読んだ直後から試せる
気になる点
- 家庭環境によっては調整が必要
- 思春期以降の対応は少なめ
- 理論より実践が中心
出版社
PHP研究所
発売日
2010年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「叱らない」って、甘やかすのとどう違うんですか。そこが気になっています。
佐藤メバル
いい質問だね。この本が言うのは、叱るのを我慢するという話ではなくて、叱らなくて済む状態を先に作るということなんだ。
朝に触れ合う時間を作る、やるべきことを紙に書いて貼る、肯定的な物言いをする。どれも、子どもがつまずく前に手を打つ工夫だね。
著者は小学校の教師を23年やってきた人で、教室で試して効いた手がそのまま書かれている。根性で乗り切る話になっていないのがいいところだよ。
橘ナナミ
紙に書いて貼る、は家でもできそうです。うちの母も、冷蔵庫に貼ってました。
佐藤メバル
そういう、地味だけど効く手が並んでいる。叱る回数が減ると、親の側も余裕が戻ってくる。そこがこの本の狙いなんだと思う。
ただし、家族の人数や生活時間によっては、そのままでは合わない仕組みもある。自分の家の形に合わせて、少しずつ変えて試すといい。
叱り方を磨く本と並べると、役割の違いがはっきり見えるよ。

魔法の「しつけ」 (PHP文庫 は 45-2)
長谷川博一 著|PHP研究所
問題行動を起こす少年少女のカウンセリングを数多く手がけてきた著者が、親の過剰な期待と干渉、いわゆる「行きすぎたしつけ」こそが子どもの心の歪みを作り出していると警告する一冊です。世にあふれる子育て情報に振り回され、しっかり育てなければと管理・支配する一方で、いい母親にならなければと自分を犠牲にする。その両方が、実は同じ構図だと指摘します。しつけを足す前に、引くことを考えさせる内容です。
こんな人におすすめ
しつけに自信が持てず、情報を集めすぎて迷っている親。子どもの問題行動の背景を考えたい人。いい親でいなければと自分を追い込んでいる人。親子関係を見つめ直したい場面に向いています。
良い点
- しつけ信仰に問いを立てる
- カウンセリング事例に基づく
- 親の側の苦しさも扱う
気になる点
- 気持ちが重くなる場面がある
- 具体的な手順は多くない
- 深刻な事例も含まれる
出版社
PHP研究所
発売日
2008年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「行きすぎたしつけが心を歪める」って、けっこう強い警告ですよね。しつけを頑張っている人ほど読むのが怖いかも。
佐藤メバル
そう感じる人も多いと思う。でも、この本が描いているのは、しつけを頑張る親を責めることじゃないんだ。世の中の子育て情報に振り回されて、しっかり育てなければと管理や支配に向かうこと。
同時に、いい母親にならなければと自分を犠牲にすること。その二つが同じ構図だと指摘している。だから、しつけを足す前に、今の関係がどうなっているかを見る。そこが起点になる。
橘ナナミ
「親の言うことを聞いていれば幸せになれる」という思い込み、私もどこかで刷り込まれてきた気がします。
佐藤メバル
その思い込みは、親になったときに急に牙をむくんだよね。著者は少年少女のカウンセリングを数多く担当してきた人で、本書には問題を抱えた親子関係の行く末も書かれている。
書店時代、この手の本は売れ筋ではなかったけれど、必要としている人には深く刺さった。読んでつらくなったら、一度置いて、別の本で息をつくのもいいと思うよ。

「一生食べていける力」がつく 大前家の子育て (PHP文庫)
大前研一 著|PHP研究所
国内外のビジネス事情を知る著者が、二人の息子を育てた実体験から、「一生食べていける力」をどう身につけさせるかを語った家庭教育論です。テレビを消して食事の時間に家族で話すこと、年始に家族の年間計画を立てること、お小遣いをなくして家庭内の利息を出すこと、家族旅行やサマーキャンプまで、自立と自発性を育てる仕掛けが並びます。家庭を小さな社会として設計する発想が、他の子育て本と大きく違う点です。
こんな人におすすめ
子どもに自立した力を身につけてほしい親。有名校や有名企業に入れば安心、という前提に疑問を持つ人。家庭のルールや行事を仕組みとして考えたい人。家族の時間の使い方を見直したい場面に向いています。
良い点
- 実体験に基づく具体策が豊富
- 家族計画や旅行まで範囲が広い
- 息子二人のインタビューも収録
気になる点
- 考え方に好みが分かれる
- 前提に恵まれた環境が感じられる
- ビジネス寄りの語り口
出版社
PHP研究所
発売日
2012年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
お小遣いをなくして、家庭内の利息を出すって、かなり思い切ったことをするんですね。
佐藤メバル
そう、そこがこの本の個性なんだ。名門校や有名企業に入れば安心という前提を、著者ははっきり否定する。じゃあ何を身につけさせるのかというと、自分で考えて動く力。
テレビを消して食事中に家族で話す、年始に家族の年間計画を立てる、家族旅行の計画を子どもに立てさせる。
日常の仕組みとして自立を仕込んでいく話が並んでいる。息子二人のインタビューも収録されていて、上から目線の教育論になっていないところが面白いよ。
橘ナナミ
家族の年間計画、やってみたい気もしますけど、続くかどうか自信がないです。
佐藤メバル
そこは家庭の数だけ形があるからね。この本は、家庭を小さな社会として設計する発想が核で、真似するというより考え方を借りる読み方がいい。
書店でも、教育書の棚とビジネス書の棚の両方から手に取られていた珍しい一冊だった。全部を取り入れる必要はなくて、一つ二つを自分の家の習慣にすることが大事だと思うよ。

子育ては言葉の教育から 幼児教育で忘れてはならない39章 (PHP文庫)
外山滋比古 著|PHP研究所
ことばは放っておいても覚えると思っているお母さん。それなのに文字を教えてくれる幼稚園には早く入れたいと思うお母さん。著者はその矛盾をやさしく突きます。大切な子の最初の言葉の先生は、お母さんであるあなた。人間は言葉で考えるのだから、どんな子に育つかは言葉の教育で決まるという視点で、幼児教育で忘れてはならない39章を並べます。知識を先取りさせる前に、言葉そのものを大切にする一冊です。
こんな人におすすめ
幼児期に何をしてあげるべきか迷っている親。文字や数の先取りに焦りを感じている人。読み聞かせや語りかけの意味を捉え直したい人。家庭での言葉の時間を増やしたい場面に向いています。
良い点
- 言葉と思考の関係から説く
- 幼児期の焦りに一石を投じる
- 短い章で読み進めやすい
気になる点
- 具体的な遊びの紹介は多くない
- 現代のメディア環境には触れにくい
- 年長児以降の話は少ない
出版社
PHP研究所
発売日
1993年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「最初のことばの先生はお母さん」って、プレッシャーになる人もいそうです。
佐藤メバル
そう感じるかもしれないね。でも、著者が言っているのは、特別な教材を用意しろということではない。日常の語りかけや読み聞かせ、そういう当たり前の時間が、実は子どもの思考そのものを作るということなんだ。
人間は言葉で考えるから、語彙が増えれば考えられる範囲も広がる。だから、文字を早く教えるより、言葉を豊かにするほうが先だと説く。
少子社会の今こそ、という問題意識も込められているよ。
橘ナナミ
幼稚園選びで文字を教えてくれるかどうかを気にしていた友だちがいて、その気持ちもわかるんですよね。
佐藤メバル
その焦りは自然なものだと思う。ただ、この本を読むと、何を先に渡すかという順番を考えさせられる。39章という短い単位で、言葉と思考の関係が説明されていく。
書店でも、入園前の保護者に薦めると、他の教材を買う前に一度立ち止まれたと言われることが多かった。幼児教育の入り口を整える本だよ。

「わが子」の気持ちが分からない! 思春期の子育て (PHP文庫)
長谷川博一 著|PHP研究所
思春期を迎え、それまで親の言うことをきく「いい子」だったわが子が、急に口をきかなくなったり反抗的になったりする。本書はその変化を、親が途方に暮れる出来事としてではなく、子どもの自立へ向かうサインとして捉え直します。自由な空間や心のゆとりが少なくなった現代で、仮面をかぶって生きる子どもたちの叫びを、臨床心理士の立場から読み解きます。問題行動の手前にあるグレーゾーンにも目を向ける一冊です。
こんな人におすすめ
思春期の子の急な変化にとまどっている親。反抗や無口さの意味を知りたい人。家庭内の会話が減って不安を感じている人。子どもからのサインを受け取りたい場面に向いています。
良い点
- 臨床心理士の視点で解説
- グレーゾーンにも触れる
- 自立へのプロセスとして描く
気になる点
- 即効の対処法は少なめ
- 事例が重い場面もある
- 年齢が低い子には向かない
出版社
PHP研究所
発売日
2008年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「わが子の気持ちが分からない」って、タイトルからして切実ですね。思春期って、そんなに分からなくなるものなんですか。
佐藤メバル
分からなくなるというより、それまでの接し方が効かなくなる時期なんだ。この本は、口をきかない、反抗的になるといった変化を、自立へ向かうサインとして読む。
著者は臨床心理士で、非行や傷害事件の手前にある、悩みを抱えた子どもたちの多さに心を痛めている。だから親が受け取るべきは、行動の裏にある叫びだという立場をとる。
同じ著者のしつけの本と並べると、対象年齢の違いがはっきりわかるよ。
橘ナナミ
「仮面をかぶって生きている」という表現も気になります。学校で無理してる子、たしかに多いです。
佐藤メバル
そう、そこを見落とすと、家でも仮面をかぶり続けることになる。この本は、子どもが発する多種多様で難解なサインを、どう受け止めるかを扱っている。
それを通じて、親子関係を作り直すチャンスに変えていく。書店時代、思春期の相談を受けたとき、まずこの一冊を薦めていた。
読むと腹が立つ場面も、なるほどと思う場面もある。それでいいと思うよ。

保育士おとーちゃんの「心がラクになる子育て」 PHP文庫
須賀義一 著|PHP研究所
ママとパパから寄せられた27の質問に沿って、なぜ子どもは困った行動をとるのか、どう対応すればいいのかを分かりやすく解説した一冊です。食事、排泄の自立、友達関係、子どもとの距離感など、日々の場面ごとに章が分かれ、従来の「しつけ」の問題点も明らかにします。子育てを通して親の自己肯定感を高めるという視点が特徴で、目の前の困りごとから入って、最後は親自身の心のゆとりに着地します。
こんな人におすすめ
毎日の食事やトイレ、友達関係の悩みを抱えている親。しつけのやり方に疑問を持ち始めた人。子育てで疲れ、肩の力を抜きたい人。自分の自己肯定感を取り戻したい場面に向いています。
良い点
- 実際の質問に沿って読める
- 食事や排泄など具体場面が豊富
- 親側の心のケアに踏み込む
気になる点
- 体系的な発達論ではない
- 項目ごとの分量は短め
- 前著と重なるテーマもある
出版社
PHP研究所
発売日
2015年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
27の質問に答える形なんですね。読者が実際に送った質問だと思うと、親近感があります。
佐藤メバル
そう、そこがこの本の読みやすさなんだ。食事、排泄の自立、友達関係、関わり方、距離感。自分の悩みに近い章から読める。
しかも、ただ対処法を並べるのではなく、従来の「しつけ」の問題点を明らかにしている。たとえば、なぜ子どもが困った行動をとるのかという仕組みから説明する。
叱る前に理解する、という順番を大切にしている一冊だよ。
橘ナナミ
子育てを通して親の自己肯定感を高める、という章が気になります。子どもの話なのに親の話なんですね。
佐藤メバル
そこがこの著者の持ち味だね。同じ著者の叱らない子育ての本が最初の一冊で、こちらは第二弾にあたる。だから、前著で仕組みを作って、こちらで自分の心の状態を見る、という読み方もできる。
書店でも、育児に疲れたと言いながらこの本を手に取る人が多かった。解決策より先に、読んで少し楽になる。そういう役割の一冊だと思うよ。

“A Child Minding Dad’s Good Parenting without Scolding” (Hoiku-shi Oto-chan no ‘Shikaranakute Iikosodate’), Book (PHP Bunko, English Language Not Guaranteed)
須賀義一 著|PHP研究所
¥693(税込)
子育てに悩まない人はいない。一生懸命向き合い、子どものために叱っているのにうまくいかない。そんな人に向けて、保育士としての経験と、毎月多くの読者を集めるブログをもとに書かれた初めての書籍化です。子どもが「叱られる行動」をとるメカニズムを解明し、積み木を投げる、友達のおもちゃをとるといった具体的な場面での対応を示します。叱らなくていい状態を作るヒントが詰まった、文庫書き下ろしの一冊です。
こんな人におすすめ
毎日叱ってばかりで疲れている親。なぜ子どもが困った行動をとるのか仕組みを知りたい人。遊びや片付けの場面での声かけに悩む人。親も子も楽になる方向へ変えたい場面に向いています。
良い点
- 具体的な場面の対応が豊富
- ブログ発の読みやすい語り口
- 遊びの中の声かけにも触れる
気になる点
- 保育の現場寄りの内容
- 体系的な発達論ではない
- 第二弾と重なるテーマがある
出版社
PHP研究所
発売日
2015年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
保育士おとーちゃん、という呼び名がもう親しみやすいですね。ブログがもとになっているんですか。
佐藤メバル
そう、毎月多くの人に読まれているブログが初めて本になったものなんだ。だから語り口がやわらかくて、読者が相談を送るような距離感で書かれている。
中身はしっかりしていて、子どもが「叱られる行動」をとるメカニズムから説明している。たとえば積み木を投げてしまう、友達のおもちゃをとってしまう、そういう具体的な場面でどう動くかが示される。
叱る前に、何が起きているかを見る。そこが核だね。
橘ナナミ
「うるさい」と言わずに子どもが静かになる方法、という項目が気になります。どうやるんでしょう。
佐藤メバル
そこは読んでのお楽しみだけど、要は言葉の選び方と順番なんだ。それから、くすぐりが演技でも子どもの姿を改善する突破口になる、という話も面白い。
遊びを入り口にするのは保育士ならではの視点だね。同じ著者の第二弾と合わせて、こちらを先に読むのがおすすめ。
まず仕組みを知って、次に自分の心のゆとりを扱う。その順番が自然だよ。

女の子が幸せに育つパパの習慣 PHP文庫
清水克彦 著|PHP研究所
女の子はパパしだい——。心やさしく賢く育ってほしいと願いつつ、どう向き合えばいいか分からない父親に向けた60のアドバイスです。自身も娘を育て、教育現場への取材経験を持つ著者が、娘が聴いている音楽を聴こう、許すことを教えよう、娘の風下に立たない、といった今日から誰でも始められることを並べます。お金も手間もかからない。父親の習慣を変えることで娘との関係を整える一冊です。
こんな人におすすめ
娘を持つ父親で、接し方に迷っている人。仕事が忙しく、関わりが薄くなりがちな人。娘との距離を縮めたい人。夫の関わり方に悩む母親が、きっかけとして渡したい場面にも。今日から小さく動きたい人に向いています。
良い点
- 父親向けの視点が珍しい
- すぐ始められる助言が多い
- 母から夫へ渡しやすい
気になる点
- 母子関係の話は中心ではない
- 効果を測るデータは少なめ
- 男児にはそのまま当てはまらない
出版社
PHP研究所
発売日
2016年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「娘の風下に立たない」って、どういう意味でしょう。父親が強くいるべき、ということですか。
佐藤メバル
逆に近いと思う。風下に立たないというのは、娘と同じ目線を保つこと。権威で押さえつけたり、逆に遠慮して黙り込んだりしない。
たとえば、娘が聴いている音楽を一緒に聴く。それは世代を越えて同じものを見ようとする行為だよね。許すことを教える、という項目もある。
叱ることと、許すことを分けて伝えるのは、父親の役割として意識しやすいんじゃないかな。
橘ナナミ
今日から、誰でも、ノーコストで始められる、というのがいいですね。ハードルが低い。
佐藤メバル
そこがこの本の設計なんだ。教育現場への取材経験を持つ著者が、自身の娘との経験も交えながら60の項目を並べている。
だから、特別な習い事や旅行の話ではない。書店でも、女性が夫へのプレゼントとして買っていく姿をよく見たよ。
本人が手に取らなくても、机に置いてあるだけで読む。そういう渡し方も含めて、よくできた本だと思う。

5歳までのゆっくり子育て: 意欲と思いやりのはぐくみ方 (PHP文庫 ヒ 7-2)
平井信義 著|PHP研究所
¥1(税込)
5歳までの時期を、急がずにゆっくり育てることを勧める一冊です。テーマは意欲と思いやりのはぐくみ方。早期教育や先取りに気持ちが傾きやすい時期だからこそ、この時期に何を育てるべきかをあらためて問い直します。できることを増やすのではなく、自分からやろうとする気持ちと、人を思う心。その二つを土台に置く視点が核です。焦らずに関わることの意味を、具体的な場面から考えさせてくれます。
こんな人におすすめ
周りの子と比べて焦りを感じている親。0〜5歳の時期に何を大切にすべきか迷っている人。早期教育に違和感を覚えつつ、判断に迷っている人。ゆっくり育てる覚悟を持ちたい場面に向いています。
良い点
- 意欲と思いやりに焦点を当てる
- 焦りを手放す視点を与える
- 幼児期の関わり方の指針になる
気になる点
- 細かな発達段階の整理は少なめ
- 現代的な情報は多くない
- 内容の詳細は本文で確認したい
出版社
PHP研究所
発売日
1992年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「ゆっくり子育て」という言葉に、ほっとするような、不安になるような、微妙な気持ちになります。
佐藤メバル
その両方の気持ちが、たぶんこの本の入り口なんだ。5歳までという時期は、できることを増やす競争に見えやすい。
でもこの本が掲げるのは、意欲と思いやり。自分からやろうとする気持ちと、人を思う心だ。これは、先取りして知識を詰めても育たない部分だよね。
だから、急がずに関わることを勧める。ただ、手元の情報では本文の細部まで確認できていないので、目次を見て自分の関心に近いところから読むのがいいと思う。
橘ナナミ
意欲と思いやり、って、評価が難しいですよね。できたかどうかが見えにくい。
佐藤メバル
見えにくいからこそ、後回しにされやすいんだと思う。書店時代、幼児期の本は「何ができるようになるか」の棚と「どう関わるか」の棚に分かれていて、この本は後者に置いていた。
数値で測れないものを大切にする本は、売れ行きより読み継がれるかどうかで評価される。そういう意味で、長く参照されるタイプの一冊だよ。

子育てを変えれば脳が変わる こうすれば脳は健康に発達する (PHP新書)
成田奈緒子 著|PHP研究所
¥1,100(税込)
子どもの脳の発達を長年研究してきた著者が、健康な発達を阻害する子育てが増えていると警告し、脳が育つ順番に沿った育て方を示した一冊です。幼い頃から多くの習い事をさせること、親の帰宅が遅いために深夜まで寝かせないこと。それらがなぜ問題なのかを、からだの脳、おりこうさんの脳、こころの脳という三つの区分から説明します。5歳までの早寝早起きが後をラクにすると説く、実践的な脳育ての入門書です。
こんな人におすすめ
習い事や生活リズムに悩んでいる親。睡眠や早起きの大切さを裏づけつきで知りたい人。しつけや知育に疲れて、優先順位を整理したい人。生活の土台から立て直したい場面に向いています。
良い点
- 脳の発達順序から説明する
- 早寝早起きという土台に絞る
- 新書で手に取りやすい
気になる点
- 個別のしつけ術は少ない
- 脳の説明はやや硬い箇所も
- 症状別の対応は扱わない
出版社
PHP研究所
発売日
2024年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「正論は前頭葉の成長を妨げる」という一文が気になりました。正しいことを言うのがダメなんですか。
佐藤メバル
そこは誤解しやすいところで、正しいかどうかより、伝え方と時期の問題なんだよね。頭ごなしに正論を突きつけると、子どもは考える前に反発か沈黙に逃げてしまう。
この本は、脳が育つ順番に沿って関われば、お金も手間もかからないと言う。まず、からだの脳。つまり睡眠や生活リズム。
そこが整って初めて、おりこうさんの脳や、こころの脳が育つ。順番を飛ばすと、いくら知識を入れても定着しにくいという話だよ。
橘ナナミ
早いうちからの習い事は必要ない、というのは、けっこう思い切った断言ですよね。
佐藤メバル
言い切っているぶん、納得できるかどうかは読み手次第だね。ただ、5歳までに早寝早起きの習慣がつけば、あとがラクになるという主張は、毎日の生活に直結する。
書店でも、習い事を増やすか迷っている人に、先にこれを読んでみてと渡すことがあった。脳育ては何歳からでもやり直せる、という一言が、救いになっている本だと思うよ。

子どもが心配 人として大事な三つの力 (PHP新書)
養老孟司 著|PHP研究所
¥1,100(税込)
子どもたちの遊び場が次々に消え、外で体を使って遊ぶ姿を見なくなった。自殺する子どもも後を絶たない。子どもは本来「自然」に近い存在だと論じる解剖学者が、四人の識者と真摯に語り合った対談集です。医療少年院で非行少年と向き合ってきた人、小児科医、脳研究の専門家、自分で野菜を育てる学校の関係者。それぞれの現場から出てくる言葉が、子どもにとって何が大事かを照らし出します。
こんな人におすすめ
現代の子どもの育ちに漠然と不安を感じている人。教育や社会の変化を大きな視点で考えたい人。子育ての前提そのものを問い直したい人。対話から考えるヒントを得たい場面に向いています。
良い点
- 複数の専門家の視点が交わる
- 対談形式で読み進めやすい
- 社会全体の視点で語られる
気になる点
- 具体的な育児手順は載っていない
- 議論の範囲が幅広い
- 結論が一つにまとまらない
出版社
PHP研究所
発売日
2022年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
解剖学者が子育ての本を? と思ったんですが、四人との対談なんですね。
佐藤メバル
そこが面白いところで、著者は子どもは本来「自然」に近い存在だと論じる人なんだ。その視点から、都市化が進んだ現代の子どもを心配して、現場を持つ四人と話をしている。
医療少年院で非行少年の認知能力に向き合ってきた人、小児科医、脳研究の専門家、自分で野菜を育てる学校の関係者。
それぞれ違う場所から来た人が、同じ方向を見ているのが伝わってくる。
橘ナナミ
「親は自分の願望を子に託すな」という言葉が、けっこう刺さります。
佐藤メバル
そう、そこは多くの親が心当たりを持つところだよね。それから「あなたたちが元気に飛び跳ねていてくれればいい」と願えばよい、という著者の言葉で締めくくられる。
何も難しいことはない、というメッセージなんだ。書店でも、育児書の棚より、社会や教育を考える棚に置いていた。
手順は書いていないけれど、前提を立て直したいときに向いている本だよ。

子どものための発達トレーニング (PHP新書)
岡田尊司 著|PHP研究所
¥1,034(税込)
不注意で見落としが多い、忘れやすい、言葉の遅れ、運動が苦手、感情や行動が制御できない。こうした発達の課題に、実際に有効なトレーニングを紹介する一冊です。自転車に乗れなかった子が訓練で乗れるようになるのと同じで、脳に新しい回路ができれば課題は克服できるという考え方が核になります。注意力や社会性、プランニング、怒りのコントロールまで具体例が並び、愛着アプローチで効果を高める視点も示されます。
こんな人におすすめ
発達に気がかりのある子の保護者。発達障害と診断された子の支援に関わる人。園や学校で対応に悩んでいる先生。支援の見通しを立てたい人。家庭でできる手立てを探したい場面に向いています。
良い点
- 具体的なトレーニング例が豊富
- 自宅や学校でも使える内容
- 愛着の視点も取り入れている
気になる点
- まとまった時間と忍耐が必要
- 専門的な前提知識が要る箇所も
- ページ数が多く読み応えがある
出版社
PHP研究所
発売日
2017年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
トレーニングの例に「ゲームの上手な終わらせ方」ってあって、そこまで書いてあるんだと驚きました。
佐藤メバル
そう、ここがこの本の懐の深さなんだ。課題を克服する訓練というと硬くなりがちだけど、子どもが意欲的に取り組めるようにする工夫まで書かれている。
数字つなぎで注意力を、お話名人で伝える力を、閉眼ステッピングで体の連動を。どれも自宅や学校で使えるものを選んである。
長年発達障害や愛着障害の改善に取り組んできた精神科医と、臨床の最前線で成果を上げている心理士が一緒に作っているのが強みだね。
橘ナナミ
「自転車に乗れるようになるのと同じ」という説明は、希望が持てます。
佐藤メバル
その比喩がこの本の核心で、脳に新しい回路ができれば課題は克服できる、という立場なんだ。だから診断の有無にかかわらず、気がかりのある子にも取り組んでほしいと書いている。
書店でも、専門書の棚と育児書の棚の間で迷う人に薦めてきた。ページ数は多いけれど、症状別に引けるから、全部を一度に読む必要はないよ。

子どもを攻撃せずにはいられない親 (PHP新書)
片田珠美 著|PHP研究所
¥946(税込)
言うことを聞かないなら何も買わないと脅す。あなたのためと言いつつ世間体を優先する。罵倒する、必要なものを与えない、兄弟で格差をつける、しつけと称して暴力をふるう。なぜ我が子にそんな仕打ちができるのか。精神科医が、子どもは自分のものという所有意識や、攻撃者との同一視といった心理メカニズムから読み解きます。自分がそうならないためにという視点まで含んだ一冊です。
こんな人におすすめ
親との関係に生きづらさを感じてきた人。自分の子育てに不安を覚えている人。しつけと称する暴力の構図を知りたい人。支援の立場で関わる人にも。連鎖を断ち切りたいと考えている場面に向いています。
良い点
- 心理メカニズムの解説が明快
- 身近な例から入る
- 著者自身の経験にも触れる
気になる点
- 読後に重い気持ちが残る
- 回復の方法は中心ではない
- 専門的な支援の紹介は限られる
出版社
PHP研究所
発売日
2019年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「子どもを攻撃せずにはいられない親」って、読むのがつらそうなタイトルです。
佐藤メバル
そう感じるよね。でも、この本が描くのは特別な怪物の話じゃない。「いい学校に入ってほしい」と願う親の心に、自慢したいという思惑が潜んでいないか。
そういう、よくある例から入っていく。だから他人事ではない。著者は精神科医で、脅す、罵倒する、必要なものを与えない、兄弟で格差をつける、といった行為の背景を、所有意識や攻撃者との同一視という視点で説明する。
親は自分は正しいことをしていると思い込む、という指摘が重いんだ。
橘ナナミ
自分がこんな親にならないために、という視点もあるんですね。そこが救いというか。
佐藤メバル
そう、そこがこの本の出口なんだ。読んで「うちの親だ」と思った人にも、「自分もやってしまうかも」と思った人にも、同じ方向を向かせてくれる。
書店時代、この手の本は売れ筋ではないけれど、必要としている人を確実に救っていた。つらくなったら、途中で閉じていい。戻ってこられる本だと思うよ。

子育てのきほん 新装版 (一般書)
佐々木正美 著|ポプラ社
¥1,540(税込)
児童精神科医として50年活躍した著者がたどり着いた、圧倒的にシンプルで限りなくやさしい子育ての心構えを55のメッセージでまとめた一冊です。子育ては過保護でいい、いくら抱いてもいくら甘やかしてもいい、親が望む子に育てるのではなく、子どもが望む親になってください。家庭とはほかのどこにもないほど居心地のいい場所だと伝えること。かわいがられるからいい子になるという言葉が全体を貫きます。
こんな人におすすめ
子育ての入り口に立つ人。最初に読む育児書を探している人。甘やかすことへの罪悪感を手放したい人。日々の関わり方に迷ったとき、何度も開きたい場面に向いています。
良い点
- メッセージが短く読みやすい
- オールカラーで漫画も収録
- 入門書として最初に読める
気になる点
- 具体的な手順は載っていない
- つまずきの解決策は多くない
- 我流が固まった人には物足りない
出版社
ポプラ社
発売日
2025年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「いくら抱いても、いくら甘やかしてもいい」って、けっこう思い切った言い方ですね。甘やかすのはよくない、と聞いたことがあります。
佐藤メバル
そこをはっきり否定しているのがこの本なんだ。著者は児童精神科医として50年、子どもたちを見てきた人で、かわいがられるからいい子になる、と書いている。
逆ではないんだよ。かわいい子だからかわいがるのではなく、かわいがられることでその子が育つ。たくさん喜びと笑顔を重ねた子は、やがて人の悲しみも知るようになる。そこまで見通してこの言葉が出ている。
橘ナナミ
「親が望む子どもに育てるのではなく、子どもが望む親になる」というのも、順番が逆で、はっとします。
佐藤メバル
そう、その一文にこの本の性格が出ているよね。新装版では描きおろしの漫画が加わってオールカラーになっているから、開いたときの印象もやわらかい。
10年読み継がれてきたロングセラーで、入門書として最初に手に取るのに向いている。書店でも、子どもが生まれる前に買って、育児書として最初に読む人が多かった一冊だよ。
PHPの子育て本を「三つの層」で読む
橘ナナミ
ここまで聞いて思ったんですが、PHPの子育て本って、性格の違う本が同じ棚に並んでいる感じがします。
佐藤メバル
まさにそう。整理すると三つの層になる。一つ目は脳科学・発達研究の層で、瀧靖之さんや成田奈緒子さん、発達の課題に取り組む岡田尊司さんの本。二つ目は臨床・カウンセリングの層で、佐々木正美さん、長谷川博一さん、須賀義一さん、片田珠美さんの本。三つ目は生活実践の層で、辰巳渚さん、親野智可等さん、多湖輝さん、浜尾実さん、大前研一さんの本だね。
橘ナナミ
エビデンスの強さで選ぶ、という見方もできそうですか?
佐藤メバル
できるけど、性質が違うと理解するのが正確だよ。脳画像のような大規模研究は「なぜ」を説明してくれる。臨床の積み重ねは「この子の場合どうするか」に強い。家庭の実践記録は「明日からどうするか」に強い。強弱ではなく役割の違い として読むと、偏らずに使える。
橘ナナミ
理論本と実践本は、どちらか一つでいいんですか?
佐藤メバル
できれば1冊ずつ。成田さんの本で「脳が育つ順番」を知ってから、須賀さんの本で具体的な声かけを確かめる。この往復が、頭でっかちにも、その場しのぎにもならないコツだよ。
読む順番 — 1冊目と2冊目のロードマップ
橘ナナミ
たくさんありすぎて、結局どれから読めばいいのか分からなくなりそうです。
佐藤メバル
順番を決めてしまおう。1冊目は「心が軽くなる本」。佐々木正美さんの『子育てのきほん 新装版』か、須賀義一さんの『保育士おとーちゃんの「心がラクになる子育て」』がいい。読んで気持ちが重くなる本を最初に選ぶと、子育てそのものが苦しくなるからね。
橘ナナミ
2冊目は?
佐藤メバル
いま困っていることに合わせて選ぶ。夜泣きや食事なら生活のQ&A型、しつけの迷いなら多湖輝さんの『しつけの知恵』や長谷川博一さんの『魔法の「しつけ」』、叱り方に悩むなら浜尾実さんの『新装版 子どものほめ方・叱り方』。3冊目に、成田奈緒子さんや瀧靖之さんの理論本を置くと、判断の軸ができる。
橘ナナミ
同じ著者の本が複数あると、違いが分からなくなります。須賀さんの本は2冊ありますよね。
佐藤メバル
いいところに気づいたね。『保育士おとーちゃんの「心がラクになる子育て」』は寄せられた質問に沿って答えるQ&A型で、『叱らなくていい子育て』は子どもが叱られる行動をとるメカニズムを解き、ケース別の対応を示す型。同じ考え方の「悩み別」と「仕組み解説」と捉えるといい。諸富祥彦さんの男の子版と女の子版は、対象年齢も育てたい力も違うから、対で読むと立体的になるよ。
橘ナナミ
月齢から逆引きするなら、どこを見れば?
佐藤メバル
目次と「はじめに」を最初に読むのが最短だよ。たとえば成田さんの本は5歳までに早寝早起きを、という形で年齢の区切りを示してくれる。辰巳渚さんの『子どもを伸ばす毎日のルール』は家の中・外・親へのルールという場面ごとの索引になっている。
読んで終わりにしない — 実践ワークと併読の組み合わせ
橘ナナミ
読んでも、すぐ忘れてしまいそうで怖いです。
佐藤メバル
だから「読む目的」を一つに絞る。菅原裕子さんの『子どもの心のコーチング』には「あなたの『きき耳』チェック」という自己点検がある。外山滋比古さんの『子育ては言葉の教育から』は、最初のことばの先生はお母さんだという視点だ。叱る・ほめるを 声かけの言語化スキル として練習問題のように使うと、読みっぱなしにならない。
橘ナナミ
実践しても変わらない悩みもあります。しんどいときはどうすれば。
佐藤メバル
そのときは、子どものためにではなく自分のために本を選んでいい。片田珠美さんの本は親自身の内側を扱うし、須賀さんの本には子育てを通して親の自己肯定感を高める章がある。読んでも変わらないと感じたら、本のせいではなく、いまは読む時期ではないだけ。閉じて、また開けばいい。
よくある質問
子育て本は何冊くらい読めばいいですか?
橘ナナミ
子育て本は何冊くらい読めばいいですかについて教えてください。
佐藤メバル
冊数より順番が大事です。まずは心が軽くなる入門書を1冊、次にいま困っている悩みに合った本を1冊、余裕があれば脳科学や心理学の理論書を1冊。同時に何冊も抱えないことが続けるコツです。
初めての育児、どの本から読むべき?
橘ナナミ
初めての育児、どの本から読むべきについて教えてください。
佐藤メバル
佐々木正美さんの『子育てのきほん 新装版』か、須賀義一さんの『保育士おとーちゃんの「心がラクになる子育て」』が最初の1冊に向いています。どちらも読者を責めずに、抱いても甘やかしてもいいという前提から始まります。
育児書は実際に効果がある?」
橘ナナミ
育児書は実際に効果がある?」について教えてください。
佐藤メバル
本が子どもを変えるのではなく、親の見方と声かけを変えます。菅原裕子さんの「きき耳」チェックや成田奈緒子さんの「脳が育つ順番」のように、行動を変える手がかりが得られるかどうかが効果の分かれ目です。
忙しくて読む時間がない、短時間で読める本は?
橘ナナミ
忙しくて読む時間がない、短時間で読める本はについて教えてください。
佐藤メバル
ドロシー・ロー・ノルトさんの『[新装版]子どもが育つ魔法の言葉』は見開きで完結する構成なので数分で読めます。PHP文庫やPHP新書は文庫・新書判で持ち歩きやすく、移動中の細切れ時間にも向いています。
電子書籍やKindle Unlimitedで読める子育て本は?
橘ナナミ
電子書籍やKindle Unlimitedで読める子育て本はについて教えてください。
佐藤メバル
電子書籍や読み放題サービスの対応状況は本ごとに異なり、時期によっても変わります。本文で挙げた本も含め、購入前に各販売サイトで配信形式を確認するのが確実です。迷ったら図書館で試す手もあります。
マンガで読める子育て本は?
橘ナナミ
マンガで読める子育て本はについて教えてください。
佐藤メバル
佐々木正美さんの『子育てのきほん 新装版』はオールカラーで描きおろし漫画が加えられた版です。文章が苦手な時期でも、絵から入って55のメッセージに触れられる構成になっています。
パパ向けのおすすめは?
橘ナナミ
パパ向けのおすすめはについて教えてください。
佐藤メバル
清水克彦さんの『女の子が幸せに育つパパの習慣』は、取材経験と自身の子育てから今日から始められる助言を並べています。須賀義一さんの本もブログ由来でパパとママ双方の支持を集めており、大前研一さんの『「一生食べていける力」がつく 大前家の子育て』は父親の視点で書かれた一冊です。
PHPの子育て本にはどんな特徴がある?
橘ナナミ
PHPの子育て本にはどんな特徴があるについて教えてください。
佐藤メバル
PHP研究所は松下幸之助の人間観を土台にした出版社で、子育て本にも「人間をどう見るか」という視点が通底しています。脳科学の理論書からPHP文庫の実践本まで幅広く、同じ思想の棚として読み比べられるのが特徴です。
まとめ
橘ナナミ
佐藤さん、今日の話を聞いて、子育て本って「正解を教えてくれる本」ではなくて、「自分の見方を変える本」なんだと思いました。
佐藤メバル
そうだね。佐々木正美さんが書いていたのは「親が望む子どもに育てるのではなく、子どもが望む親になってください」という言葉だった。本を読んで最初に変わるのは、まず親の側なんだよ。
橘ナナミ
読む順番を決めておくだけで、書店の棚が急に歩きやすくなった気がします。1冊目で心を軽くして、2冊目で悩みに向き合う。
佐藤メバル
書店員時代、「どの本が正しいんですか」と聞かれたことがある。でも正しさで選ぶと、だんだん苦しくなる。いまの自分に効く1冊 から選べばいいんだよ。
橘ナナミ
なるほど……! 焦らず選んでみます。
佐藤メバル
子育て本は、子どもの進む道を描く設計図じゃない。夜道を歩く親の足元を、そっと照らしてくれる小さな灯りだと思う。一冊で全部を照らそうとしなくていい。次の一歩が見えたら、また別の灯りを選べばいいからね。
