韓国経済を学べる本のおすすめ人気ランキング25選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
佐藤さん、調べものをしていて「韓国経済」の本を検索したら、財閥の話、IMF危機の検証、経済史の通史、そして『崩壊本』と呼ばれるようなベストセラーまで一気に出てきて、どれから読めばいいのか分からなくなってしまいました。
佐藤メバル
いいところで止まっているね。韓国経済の本は、テーマより先にその本がどの立場から書かれているかで分けると整理しやすい。たとえば裵海善さんの『韓国経済がわかる20講【改訂新版】』は、解放後の援助経済から高度成長、IMF経済危機、そして経済大国になるまでの歩みを20の講で追う講義型の入門書で、財閥や金融市場、労働市場、社会保険まで章立てで並んでいる。まず一本、背骨を通したい人に向く。
橘ナナミ
講義形式だと、何をどんな順番で学ぶのかが見えるのが安心ですね。じゃあ、新聞の経済面みたいに「今どうなっているか」を知りたいだけの場合は?
佐藤メバル
それなら高安雄一さんの『解説 韓国経済-第二版』がいい。経済規模・成長、企業・労働、国際金融・貿易、財政・社会保障、金融・物価、生活・社会という6分野に整理して、60のテーマを最新データと図表で説明する構成なんだ。第2版ではコロナ禍後の急速な回復や為替・金利の変動、主力産業の変化まで反映している。テーマごとに辞書のように引けるから、ニュースの背景確認にも強い。
橘ナナミ
辞書みたいに引ける本、ひとつ持っておくと安心かも。でも、経済学をちゃんとやっていない私でも置いていかれませんか?
佐藤メバル
そこが選び方の軸になる。李允福さんの『入門テキスト 現代韓国経済』は、経済学の素人でも理解できるように基本的な知識の解説を挟みながら、諸外国との比較や数量データを豊富に使い、随所で日本経済と並べている。大学1年生を主な読者に想定した作りだから、用語でつまずきにくい。逆に、制度設計や労働政策の政治過程まで踏み込みたくなったら、金三洙さんの『韓国資本主義国家の成立過程1945―53年』のような研究書の領域になる。同じ「入門」でも段差は大きいんだよ。
橘ナナミ
段差……書店の平台だと表紙が似ていて気づけないです。
韓国経済を学べる本の選び方
目的別に選ぶ
橘ナナミ
目的別だと、選び方はどう変わるんですか?
佐藤メバル
基礎理解なら『韓国経済がわかる20講【改訂新版】』か、渡辺利夫さんの『韓国経済入門』。後者はちくま学芸文庫で、通史を文庫サイズでたどれる。ビジネス実務なら、百本和弘さんの『韓国経済の基礎知識』のようにジェトロが出している本は貿易や投資の実務目線が入っている。投資判断なら高沢修一さんの『韓国財閥のファミリービジネス 第2版』で企業統治やファミリービジネスの構造を押さえてから、という順番が現実的だね。レポートや論文なら深川由起子さんの『韓国・先進国経済論』のように分析の枠組みを明示した本が引用に耐える。
レベル別に選ぶ
橘ナナミ
レベル別だと、最初の一冊はどのあたりですか?
佐藤メバル
最初は新書か講義型の入門。木宮正史さんの『韓国: 民主化と経済発展のダイナミズム』はちくま新書で、民主化と経済発展をひとつながりに扱う。次が大学テキストで、『入門テキスト 現代韓国経済』や『解説 韓国経済-第二版』。その上に専門モノグラフが来る。安倍誠さんの『韓国財閥の成長と変容』、鄭章淵さんの『韓国財閥史の研究』、原朗さんの『韓国経済発展への経路』といったあたりだね。専門書は1冊目にしないほうがいい。
データの鮮度で選ぶ
橘ナナミ
古い本をつかんでしまうのが、いちばん怖い気がします。
佐藤メバル
だから改訂版かどうかを最初に確認する。『韓国経済がわかる20講』は改訂新版、『解説 韓国経済』は第二版、『韓国財閥のファミリービジネス』は第2版。版が動いている本は、それだけ数字を入れ替える必要があったということ。逆に版が更新されていない本は、歴史や構造の解説として読むと強い。役割を分けて棚に置くイメージだね。
論調の立場で選ぶ
橘ナナミ
悲観的な本と中立的な本、どう使い分ければいいんでしょう?
佐藤メバル
環日本海経済研究所の『現代韓国経済: 進化するパラダイム』や『韓国経済の現代的課題』は、研究者が構造を積み上げるタイプ。当事者・内部の視点なら、蔵相を務めた司空壹さんの『韓国経済新時代の構図』、金正濂さんの『韓国経済の発展』、永野慎一郎さんの『韓国の経済発展と在日韓国企業人の役割』がある。崩壊系のベストセラーは「そう主張する本」として一冊読み、数字の出典を自分で確かめる。読み比べが前提だと思っておくことだね。
形式と入手性で選ぶ
橘ナナミ
電子書籍で読めるかどうかも気になります。
佐藤メバル
配信状況は変わるから版元で確認してほしいけど、入手性という軸は大事だ。手軽さなら新書・文庫、たとえばちくま新書やちくま学芸文庫。『韓国財閥の成長と変容』は岩波オンデマンドブックスという形で入手できる。専門書は絶版や中古価格の変動もあるから、図書館も最初から選択肢に入れておくといい。
韓国経済を学べる本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、25冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
韓国経済を学べる本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい

韓国経済がわかる20講【改訂新版】――援助経済・高度成長・経済危機から経済大国への歩み
裵海善 著|明石書店
¥2,750(税込)
韓国が第二次大戦後の援助経済から高度成長、IMF経済危機を経て世界10位圏の経済大国になるまでの歩みを、全20講で体系的に追う入門書の改訂新版です。第1部は基本情報と政治、第2部は解放からIMF危機後の経済政策、第3部で世界の中の韓国、第4部で貿易と為替、第5部で財閥と中小企業、第6部で金融市場、第7部で労働と社会保険という構成。年表と索引を備え、辞書的にも使えるのが強みです。
こんな人におすすめ
韓国経済にほぼ知識がない状態から、政治・貿易・財閥・労働まで一通り地図を作りたい社会人。大学の講義の副読本として、あるいは経済ニュースの背景を確認したいときの手元の一冊として。索引があるので、必要な講だけ拾い読みする使い方もできます。
良い点
- 全20講で通史を体系的に追える
- 年表と索引で辞書的に使える
- 前提知識がなくても読み進められる
気になる点
- 20講あり通読には時間がかかる
- 制度・政治の解説が中心で軽くはない
- 企業の内側の話は財閥の講に限られる
出版社
明石書店
発売日
2022年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「20講」って聞くと大学の講義みたいで身構えちゃうんですが、韓国のことをほとんど知らない私でも着いていけますか?
佐藤メバル
いい質問だね。この本はまさに、韓国に関する知識がほとんどない読者を想定して書かれた入門書です。第1講と第2講で基本情報と行政区域、人口を押さえてから政治、そして経済の流れへ進む。順番どおりに読めば置いていかれません。
橘ナナミ
なるほど。でも政治の話が前半にまとまっていると、経済だけ知りたい人は飛ばしてもいいんでしょうか。
佐藤メバル
索引があるので、関心のある講から拾い読みもできます。ただ財閥やFTAの話は政治の流れと切り離せないので、第1部だけは目を通しておくと後半がぐっと楽になりますよ。
年表があるので、出来事の前後関係を確認するのにも使えます。

解説 韓国経済-第二版
高安雄一 著|学文社
¥2,310(税込)
6分野60テーマという形で韓国経済を整理した解説書の第2版です。経済規模・成長、企業・労働、国際金融・貿易、財政・社会保障、金融・物価、生活・社会という切り口ごとに、最新データと図表で説明していきます。一部だけを切り取った偏った解釈に注意を促す姿勢が一貫しており、半導体産業や財閥の動向、雇用、物価、生活実態まで多角的に確認できる。コロナ禍後の回復や為替・金利の変動も反映されています。
こんな人におすすめ
ネットやニュースで見かける韓国経済の断片的な情報に、一度データの裏づけを取りたい人。ゼミや勉強会で特定テーマを調べる前に、数字の出典を確かめたい場面にも。図表が多いので、通読より辞書的に使うのも手です。
良い点
- 6分野60テーマで網羅性が高い
- 最新データと図表が豊富
- 偏りを排す姿勢が明快
気になる点
- 144頁で各テーマは要点中心
- データ更新は改版待ちになる
- 物語としての通史は追えない
出版社
学文社
発売日
2026年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「一部だけを切り取った偏った解釈も少なくない」という一文が刺さりました。私、SNSで見た切り取りをそのまま信じちゃうこと、ありそうです。
佐藤メバル
そこがこの本の出発点なんですよ。韓国経済の情報は多いけれど、数字の期間や前提が抜けていることがある。
だから6分野60テーマに分けて、図表とデータを添えて説明する形を取っている。読む側が自分で確かめられるようにしているんですね。
橘ナナミ
60テーマってことは、最初から最後まで通して読む本ではないんでしょうか。
佐藤メバル
通読してもいいですが、気になるテーマから引く使い方が向いています。第2版ではコロナ禍後の回復や為替・金利の変動、主力産業の変化が反映されているので、少し前の記事を読んだ後に確かめ直すのにも向いていますよ。

入門テキスト 現代韓国経済
李允福 著|柘植書房新社
¥2,750(税込)
韓国経済を客観的に捉えるため、諸外国との比較と豊富な数量データを重視した入門テキストです。体系的に学べるよう構成され、一通り読めば偏りのない全体像がつかめる。経済学の素人でも読めるよう基本知識の解説を添え、さらに日本経済との比較を随所に散りばめて両国を相対化しているのが特徴です。大学1年生を主な読者に想定しつつ、高校生やビジネスパーソンにも開かれています。
こんな人におすすめ
韓国経済を初めて学ぶ大学生や高校生で、教科書として順を追って理解したい人。日本経済と並べて考えたいビジネスパーソンが、比較の物差しを持って韓国のニュースを読み直す目的にも向きます。
良い点
- 数量データが豊富で客観的
- 日本との比較が随所にある
- 経済学の基礎解説つき
気になる点
- テキスト性格上、通読前提の構成
- 事例の物語性は薄め
- 刊行からの時間差は意識したい
出版社
柘植書房新社
発売日
2013年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
日本経済との比較を「随所に散りばめてある」というところが気になります。韓国の話を読んでいるのに、日本の姿が見えてくるということですか?
佐藤メバル
そう。両方を並べることで、韓国の特徴が「韓国だけの特殊なもの」なのか「東アジア共通のもの」なのかが見えてくる。
著者はそのために数量データを豊富に使い、日本の数字も随所に置いている。相対化して客観性を強める狙いがあるんです。
橘ナナミ
大学1年生向けとあると、社会人の私でも大丈夫でしょうか。
佐藤メバル
経済学の基本的な知識にも解説が添えられているので、専門用語で止まる心配は少ないですよ。むしろ仕事で数字を扱う人が、基礎から順番に確認するのに向いています。高校生が読んでも面白いと思います。

韓国経済入門 (ちくま学芸文庫 ワ 6-1)
渡辺利夫 著|筑摩書房
ちくま学芸文庫に収められた、韓国経済の入門書です。専門書の多くが大きな判型で刊行されるなか、文庫という形で手に取れるのが何よりの違い。読んで流れをつかむタイプの一冊として、通史の入口に置いておきたい存在です。262頁という分量も、通読を諦めずに済む範囲に収まっています。
こんな人におすすめ
韓国経済の通史を、まず一冊さらっと読み通してみたい人。難しい専門書に入る前に全体の流れをつかんでおきたい入門期や、通勤・通学の鞄に入れて少しずつ読む場面に向きます。
良い点
- 文庫サイズで持ち歩きやすい
- 価格帯が手頃で試しやすい
- 入門として通読しやすい分量
気になる点
- 図表やデータは限られる
- テーマ別の深掘りには向かない
- 最新の統計は別途確認が必要
出版社
筑摩書房
発売日
1996年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ちくま学芸文庫ということは、電車の中で読めるんですね。韓国経済の本で文庫って、ちょっと珍しい気がします。
佐藤メバル
そう、そこは大きいです。専門書は判型が大きく重いものが多くて、書店員時代も「読みたいけど持ち歩けない」という声をよく聞きました。
文庫なら通勤の往復で少しずつ進められますし、値段も手頃です。
橘ナナミ
ということは、データ量は少なめだと考えていいんでしょうか。
佐藤メバル
入門として流れをつかむのが主目的だと考えてください。数字を細かく突き合わせたいときは、図表の多い概説書と組み合わせる。
最初の一冊と二冊目を分けて考えるのがおすすめですよ。

韓国経済の基礎知識
百本和弘 著|日本貿易振興機構(ジェトロ)
¥2,461(税込)
日本貿易振興機構、いわゆるジェトロから出ている韓国経済の基礎知識です。大学の研究者ではなく、貿易や投資の実務を支える機関が編んでいる点が他の概説書との大きな違い。ビジネスの現場で必要になる論点を意識した構成で、基礎を押さえながら実務の前段に橋を架けられます。228頁という厚さも、通読を現実的にしてくれます。
こんな人におすすめ
韓国企業との取引や、韓国市場への進出を検討している担当者。商談の前に基礎を固めたいときや、社内で前提知識をそろえるための一冊として。経済の専門家でなくても読み進められる分量です。
良い点
- 貿易・投資の実務目線で選ばれている
- 基礎を体系的に押さえられる
- 228頁で見通しよく読める
気になる点
- 学術的な議論の深さは求めにくい
- 文化や社会の話題は中心でない
- 最新の制度変更は別途確認したい
出版社
日本貿易振興機構(ジェトロ)
発売日
2012年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ジェトロという名前は聞いたことがあります。大学の先生が書いた本とは、何が違うんでしょう。
佐藤メバル
刊行している主体が違うんです。ジェトロは貿易や投資を実際に支えている機関で、現場で必要になる論点が先に来る。
だから「制度がどうなっているか」「取引の前提は何か」という整理の仕方になるんですね。
橘ナナミ
なるほど。じゃあ、いきなり専門書に挑むより先に読むほうがよさそうですね。
佐藤メバル
そう思います。書店員時代、海外赴任が決まったお客さんに、まずこの種の基礎を一冊とおすすめしていたのを思い出します。
肩肘張らずに読める厚さなのも助かりますし、専門書に入る前の助走にもなりますよ。

最新韓国経済のすべて
矢島鈞次 著|日本経済通信社
タイトルどおり、韓国経済の全体像を一冊にまとめた概説です。日本経済通信社という経済系の出版社から出ており、新聞や経済メディアの読者を想定した語り口が特徴。テーマを絞った財閥本や産業本と違い、範囲の広さで全体を見渡したいときに効きます。244頁という分量も、通読を諦めずに済む範囲に収まっています。
こんな人におすすめ
韓国経済の話題を、まず広く一冊で押さえておきたい人。個別テーマの財閥本や産業本を選ぶ前に、地図の全体を手に入れておきたい場面に向きます。ニュースを読む前の予習としても使えます。
良い点
- 幅広いテーマを一冊で見渡せる
- 経済メディア目線で読みやすい
- 通読できる分量に収まっている
気になる点
- テーマごとの深掘りは薄くなる
- 図表の充実は期待しすぎない
- 刊行後の変化は自分で補う必要
出版社
日本経済通信社
発売日
1987年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「すべて」ってタイトル、かなり強気ですね。本当に全部が入っているんでしょうか。
佐藤メバル
そこは期待の仕方なんです。一冊で「すべて」を掘り下げるのは物理的に無理がある。でも、どのテーマがどうつながっているかの見取り図は得られます。
まず地図、次に個別の専門書。その順番が失敗しにくい。
橘ナナミ
なるほど。いきなり財閥の専門書に行くと、木を見て森を見ずになりそうですね。
佐藤メバル
まさに。書店でも「財閥の本を一冊」と言われたとき、先に全体像の本を挟んだほうが読了率が上がるんですよ。
薄すぎず厚すぎない244頁というのは、そういう意味で絶妙なんです。

現代韓国経済: 進化するパラダイム
環日本海経済研究所 著|日本評論社
¥4,250(税込)
環日本海経済研究所という、日本海を挟んだ地域の経済を継続して見てきた研究機関による一冊です。単著の概説ではなく、研究の蓄積を背景にした論考として読めるのが持ち味。タイトルにある「進化するパラダイム」という捉え方は、韓国経済を固定した姿ではなく変化する枠組みとして見る姿勢を示しています。価格帯は高めですが、その分だけ論の密度があります。
こんな人におすすめ
入門書を何冊か読んだあとに、一段深い議論へ進みたい人。韓国経済の変化を研究の言葉で追いたい大学院生や、調査担当の社会人に向きます。同じ研究所による課題編と並べて読むのも手です。
良い点
- 研究機関の蓄積に基づく論考
- 変化を枠組みとして捉える視点
- 同じ研究所の続編と併読できる
気になる点
- 価格帯が高め
- 入門書としての易しさは優先されない
- 通読には問題意識が必要
出版社
日本評論社
発売日
2005年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
環日本海経済研究所って、名前だけだと少し硬い印象です。どんな立場の人が書いているんでしょう。
佐藤メバル
日本海を挟んだ地域の経済を、長く継続して見てきた研究機関です。単発のルポではなく、蓄積の上に立った論考として読める。
だから入門書を何冊か読んだ人が次に進む先として向いています。肩書きより、蓄積の差が出る本なんです。
橘ナナミ
「進化するパラダイム」という題は、どう受け取ればいいんでしょうか。
佐藤メバル
韓国経済を止まった写真として見るのではなく、枠組みそのものが変わっていくものとして捉える、という宣言だと読めます。
同じ研究所の『韓国経済の現代的課題』と並べると、視点の幅がよくわかりますよ。

変貌する韓国経済 (世界思想ゼミナール)
朴一 著|世界思想社教学社
¥2,930(税込)
「世界思想ゼミナール」というシリーズに収められた、変貌する韓国経済を扱うテキストです。ゼミで読むことを想定した構成なので、答えを暗記するのではなく、議論のたたき台として使えます。290頁としっかりした厚みがあり、財閥や産業だけを切り出した本とは違って、変化の全体を複数の論点から眺められるのが持ち味です。
こんな人におすすめ
大学のゼミや勉強会で韓国経済をテーマに発表する学生。担当を割り振って議論の土台にしたいときや、教科書より踏み込んだ素材が欲しい場面に向きます。読書会の課題図書にも向いています。
良い点
- ゼミ向けに論点が整理されている
- 290頁で扱う範囲が広い
- 単著の概説と違う多角的な視点
気になる点
- 独学の入口としてはやや重い
- 価格は手頃とは言えない
- 通読より章単位の利用向き
出版社
世界思想社教学社
発売日
2004年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
タイトルの「変貌する」って、出版された時点の変化を指しているんですよね。今読んでも古びないんでしょうか。
佐藤メバル
そこは読み方なんです。その時点で何が変わりつつあると見えていたか、そして実際にどうなったか。両方を突き合わせると、予測の当たり外れまで含めて勉強になります。
ゼミの教材として作られているのは、そういう使い方を想定しているからです。
橘ナナミ
なるほど、答え合わせができる教材なんですね。
佐藤メバル
そう。シリーズ名に「ゼミナール」とあるとおり、一人で読み切るより、誰かと話しながら読むと輪郭がはっきりします。
発表の担当を決めて、章ごとに突っ込み合う読み方がいちばん似合う本ですよ。

韓国経済新時代の構図
司空壹 著|東洋経済新報社
韓国で蔵相を務めた人物が書き下ろした韓国経済論です。経済発展の要因、将来の韓国像、そして日韓経済協力の道までを多面的に論じており、政策の内側にいた人の視点が通底します。学者による分析とも、ジャーナリストのルポとも違う、当事者の構図の描き方。日韓関係を経済の側から考えたいときに、独特の座標軸を与えてくれます。
こんな人におすすめ
日韓の経済関係を、政策立案者の視点から考えてみたい人。ビジネスで両国をまたぐ立場の人が、長期の見取り図を持ちたいときに。マクロな議論を好む読者や、日韓の将来像を考えたい人に向きます。
良い点
- 政策当事者の視点が得られる
- 日韓経済協力まで射程に入る
- 発展要因と将来像を一冊で扱う
気になる点
- 著者の立場ゆえの偏りは意識したい
- 学術的な実証より論考が中心
- 刊行時点の将来像である点に注意
出版社
東洋経済新報社
発売日
1994年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
蔵相を務めた人が書いた本って、やっぱり説得力が違うんでしょうか。
佐藤メバル
説得力というより、見えている景色が違うんです。どの数字が政策の現場で重視されたか、どの選択肢が現実的と見られていたか。
分析の外側にある判断の話が入ってくる。そこが学者の本との差です。立場が違えば、同じ統計でも重みが変わりますからね。
橘ナナミ
将来の韓国像まで書かれているんですね。今読むと、当たった外れたの検証にもなりそうです。
佐藤メバル
そういう読み方が一番楽しいと思います。日韓経済協力の道という論点は、今の貿易や投資の関係を考えるときの下敷きにもなりますよ。
バランスを重視した書き方なので、日韓どちらかに肩入れした本が苦手な人にも向きます。

韓国経済の現代的課題
環日本海経済研究所 著|日本評論社
¥4,470(税込)
環日本海経済研究所による、韓国経済が抱える現代的な課題を正面から扱った一冊です。成長の記録をたどる本ではなく、何が問題として残っているかを論点として並べる構成。同じ研究所の『現代韓国経済』と対をなす関係で、あちらが変化の枠組みを描くのに対し、こちらは課題に焦点を寄せています。価格は高めですが、その分だけ論考の密度があります。
こんな人におすすめ
韓国経済の成果より、残された論点に関心がある人。研究の蓄積に基づいて課題の整理をしたい大学院生や調査担当者に向きます。同じ研究所の概説書から入って、こちらへ進む順番も自然です。
良い点
- 課題に焦点を絞った構成
- 研究機関による論考の厚み
- 同研究所の概説書と併読できる
気になる点
- 価格帯が高い
- 初学者には前提が要る
- 明るい話題は少なめ
出版社
日本評論社
発売日
2010年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
同じ研究所の本が2冊あるんですね。どう使い分けるんでしょう。
佐藤メバル
方向が逆なんです。一方は変化の枠組みを描き、こちらは残された課題を正面から並べる。成長の物語を読んだあとに、では何が残ったのかを確認する。
その順番が自然ですし、同じ研究所の本なので用語も揃っていて行き来しやすいんです。
橘ナナミ
課題から入るほうが、ニュースは理解しやすい気もします。
佐藤メバル
それも正解ですよ。関心のある課題から入って、必要になったら枠組みの本に戻る。どちらからでも入れます。
ただ、こちらは課題を並べる本なので、読後感は決して明るくはありません。そこも含めて覚悟して開くといいですよ。

韓国経済発展への経路: 解放・戦争・復興
原朗 著|日本経済評論社
¥5,280(税込)
植民地を経験した韓国経済が、解放後に朝鮮戦争からの復興を模索する困難なプロセスを経て、どのように経済発展の基盤を築いたのかを、経済制度設計の観点から実証的に描く研究書です。1960年代半ば以後の成長の前提を問い直すのが狙いで、韓国と日本の経済発展の相違にも注目。日韓の最新研究の成果が反映され、通史の入門書では省略される時期を厚く扱っています。
こんな人におすすめ
高度成長はどこから始まったのか、その手前を知りたい人。経済史や制度設計に関心のある大学院生・研究者、そして通史の入門書では物足りなくなった読者に向きます。文献リストをたどる起点にもなります。
良い点
- 制度設計の観点から実証している
- 日韓の最新研究を踏まえている
- 成長前史を厚く扱う
気になる点
- 価格帯が高い
- 学術書で通読の負荷は大きい
- 現代の政策論は直接扱わない
出版社
日本経済評論社
発売日
2013年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「解放・戦争・復興」って、どちらかというと経済というより歴史の入口ですよね。なぜこれが経済の本なんでしょう。
佐藤メバル
いいところに気づきました。経済成長の話は、たいてい1960年代から始まります。でもその前に、制度をどう設計するか、誰が担うかという下準備があった。
そこを飛ばすと、なぜ急に成長できたのかが説明できないんです。
橘ナナミ
なるほど。庭を耕す話を飛ばして、花だけ見ていたような感じですね。
佐藤メバル
その比喩、いいですね。実証研究なので読みごたえはありますが、その分、通史の入門書がさらっと流した部分が立体的に見えてきます。
韓国と日本の発展の違いに注目しているのも、この本ならではの切り口ですよ。

産業史からみる朝鮮韓国経済史入門
李光宰 著|柘植書房新社
朝鮮・韓国経済史を、産業史という切り口から見通す入門書です。序章に続いて朝鮮経済、植民地朝鮮経済、韓国経済、北朝鮮経済という順に並べ、主要な課題と論点を絞って紹介していきます。植民地期を含む長い射程を一冊でたどれるのが持ち味で、戦後だけを扱う概説書とは視野の広さが違います。研究入門として、これから論文を読む人の道案内にもなります。
こんな人におすすめ
韓国経済を戦後からだけ見るのに物足りなさを感じた人。植民地期を含む長い時間軸で産業の移り変わりを押さえたい学生や、これから研究の入口に立つ人に向きます。目次がそのまま論点の地図になります。
良い点
- 朝鮮・植民地・韓国・北朝鮮を順に扱う
- 産業史という切り口が明確
- 研究入門としての道案内になる
気になる点
- 断定より論点整理が中心
- 学術的な記述で軽くはない
- 目次順に読む前提の構成
出版社
柘植書房新社
発売日
2021年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「朝鮮韓国経済史」という書き方に、少しドキッとしました。国名というか、時代を分けて書いているんですね。
佐藤メバル
そこはとても誠実な構成なんです。朝鮮経済、植民地朝鮮経済、韓国経済、北朝鮮経済を順に置き、一つの物語として混ぜずに、時代と政治の区分を保ったまま産業を見ていく。
だからどこで何がつながっているかを、読者自身が確かめられるんです。
橘ナナミ
産業史から見ると、何が変わるんでしょう。
佐藤メバル
モノを作る技術や担い手の連続性が見えるんです。政治の区切りで分断してしまうと、工場や人の流れが見えなくなる。
そのつながりを確認できるのが、この本の面白さですよ。研究を始める人の最初の一冊としても使いやすい構成です。

韓国資本主義国家の成立過程1945―53年: 政治体制・労働運動・労働政策
金三洙 著|東京大学出版会
¥5,834(税込)
1945年から53年という、韓国の資本主義国家が形づくられる時期を、政治体制・労働運動・労働政策の三点から分析した研究書です。労働を軸に据えることで、制度が上から降りてくるだけではなく、現場の運動とのせめぎ合いの中で成立したことを示そうとしています。346頁の本格的な学術書で、通史の概説では一行で終わる時期を、まるごと一冊使って掘り下げられるのが魅力です。
こんな人におすすめ
韓国の経済発展を、企業や政策ではなく労働の側から見直したい人。国家と労働の関係を実証的に追いたい政治経済史の院生や、労働問題に関心のある読者に向きます。腰を据えて読む時間が取れるときに。
良い点
- 労働運動・労働政策を軸に据える
- 346頁で一時期を掘り下げる
- 大学出版会の本格的な学術書
気になる点
- 価格帯が非常に高い
- 専門外には難解
- 戦後の経済成長期は扱わない
出版社
東京大学出版会
発売日
1993年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
1945年から53年って、ちょうど解放から戦争を挟んだ時期ですよね。そこに一冊まるごと使うというのが、まず驚きです。
佐藤メバル
それだけ濃い時期なんです。どの体制で、誰が働き、どんな政策が組まれたか。ここが固まらないと、その後の成長も語れません。
政治体制・労働運動・労働政策の三つを同時に扱っているのが要点です。一つだけ抜くと像が崩れます。
橘ナナミ
労働から見るのは、珍しい切り口なんでしょうか。
佐藤メバル
経済成長の本は企業や政策から語られがちです。労働の側から積み上げると、同じ時期がまるで違って見える。
読み手を選ぶ本ですが、選んだ人には強い一冊になりますよ。目次を見ただけで、扱う範囲の濃さが伝わってきます。

韓国の経済成長と工業化分析
韓福相 著|勁草書房
韓国の経済成長を、工業化の過程に焦点を当てて分析した研究書です。タイトルが示すとおり、成長そのものより工業化という現象をどう捉えるかに重心があります。197頁という分量で、財閥の物語や政策の通史とは違う角度から、製造業が立ち上がる過程を追えるのが持ち味。産業構造の変化を数字と論理で確かめたいときに向いています。
こんな人におすすめ
韓国が何を作り、どう工業国になっていったのかを、分析の言葉で追いたい人。経済史や産業論を学ぶ学生が、レポートや論文の出発点にするのにも向きます。入門書を一冊読んだ後の二冊目として。
良い点
- 工業化に焦点を絞った分析
- 197頁で見通しよく読める
- 成長論とは違う角度から見られる
気になる点
- 刊行後の産業変化は別途補いたい
- 統計の読み方を前提とする箇所がある
- 財閥の内情は中心でない
出版社
勁草書房
発売日
1995年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「経済成長と工業化」って、同じことのように思えるんですが、分けて考える意味はあるんですか?
佐藤メバル
そこは分ける価値があります。成長は結果の数字、工業化は中身の変化です。何を輸出するようになり、どの産業が太っていったか。
数字だけ追うと見えない部分を、分析で埋めにいくのがこの本です。197頁でその全体を追えます。
橘ナナミ
197頁なら、私でも手が出せそうです。
佐藤メバル
手頃な厚さですよね。ただ統計の読み方にある程度慣れている前提はあるので、入門書を一冊読んでからのほうが楽ですよ。
逆に、数字を扱う仕事をしている人なら、案外すらすら進みます。

韓国経済の発展: 漢江の奇跡と朴大統領
金正濂 著|サイマル出版会
韓国経済の発展を、漢江の奇跡という言葉と、当時の政治指導の下でそれがどう進んだかという問いから描いた一冊です。293頁という厚みで、発展の過程そのものを正面から扱っています。同じ時代を扱う研究書が構造や制度から分析するのに対し、こちらは成長のドラマに近い距離感で読めるのが違い。あの時期をどう評価するか、読者それぞれの議論の出発点になります。
こんな人におすすめ
韓国の高度成長を、政策と指導者の関係から考えてみたい人。評価の分かれるテーマだけに、賛否の材料を集めたい読者や、戦後の日韓を並べて考えたい人に向きます。タイトルに引っかかりを覚えた人ほど面白がれます。
良い点
- 漢江の奇跡を正面から扱う
- 293頁で発展過程を厚く描く
- 研究書とは違う距離感で読める
気になる点
- 指導者評価に踏み込むため議論が割れる
- 実証より叙述が中心になりがち
- 刊行時点の評価である点に注意
出版社
サイマル出版会
発売日
1991年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「漢江の奇跡」って聞いたことはあります。川の名前がつくほど、開発がすごかったということですか。
佐藤メバル
そう、ソウルを流れる漢江の周辺が、短期間で産業の街に変わっていった。その勢いを一語にしたのがこの呼び方です。
ただ、その裏で何が起きていたかまで含めて読むと、見方がぐっと深くなります。
橘ナナミ
朴大統領の名前がタイトルに入っていると、評価が気になります。
佐藤メバル
賛否が分かれるところです。だからこそ、まず何が起きたのかを押さえてから自分の評価を下す。この本はその材料になりますよ。
同じ時代の研究書と並べて読むと、叙述と分析の違いも見えてきて面白いです。

韓国の経済: 革新と安定の開発戦略 (waseda libri mundi 17)
金宗ヒョン 著|早稲田大学出版部
早稲田大学出版部の「waseda libri mundi」シリーズに収められた一冊で、開発戦略を革新と安定という二つの軸から捉えています。大学出版部のシリーズらしく、政策の設計思想に踏み込んだ整理が持ち味。219頁と比較的コンパクトで、革新を優先すれば不安定になり、安定を重んじれば変化が遅れるという、開発戦略が抱える緊張を意識しながら読めます。
こんな人におすすめ
韓国だけでなく、新興国の開発戦略一般に興味がある人。政策のジレンマを言語化したい学生や、経済政策に関わる仕事をしている読者に向きます。叢書の他の巻と並べて読むと、比較の視点が育ちます。
良い点
- 革新と安定という軸が明確
- 大学出版部のシリーズで信頼できる
- 219頁で扱いやすい分量
気になる点
- 図版中心の読みやすさは優先されない
- 個別企業の話題は少なめ
- 最新の統計は版による
出版社
早稲田大学出版部
発売日
1995年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「革新と安定」って、二つ同時に追うのは矛盾しているように聞こえます。政策って、どちらかを選ぶものでは?
佐藤メバル
そこが難しさなんです。革新ばかりを求めれば社会が揺れる。安定ばかりを重んじれば競争から遅れる。開発戦略とは、その間で毎回バランスを取り直す作業なんですね。
だから政策の文書は、しばしば相反する言葉を並べて書かれます。
橘ナナミ
なるほど。韓国に限らず、他国の政策を読むときにも使えそうな見方です。
佐藤メバル
その通りです。早稲田大学出版部のシリーズに入っているのも頷けます。世界のいろいろな経済を並べて読む前提の叢書なんですよ。
だから韓国を一本釣りで理解するより、相対的に位置づけたい人に向いています。

韓国・先進国経済論: 成熟過程のミクロ分析
深川由起子 著|日本経済新聞出版
¥2,640(税込)
韓国経済が先進国の段階に入っていく成熟過程を、マクロの集計値ではなくミクロの分析で捉えた一冊です。企業や産業の内側で何が起きているかに焦点を当て、成長が一巡した後も続く変化の力学を追います。368頁と読みごたえがあり、経済紙系の出版社から出ているだけに、分析と読み物のバランスも取れています。
こんな人におすすめ
入門書を卒業して、企業や産業のレベルで韓国経済を考えたい人。ミクロの見方を身につけたいビジネスパーソンや、他国との比較研究をする学生に向きます。368頁ですが、読み物としても進みます。
良い点
- 成熟過程をミクロから分析する
- 368頁で分析に厚みがある
- 分析と読み物のバランスがよい
気になる点
- マクロの全体像は自分で補う必要
- 専門用語は入門より多い
- 財閥史そのものは主題でない
出版社
日本経済新聞出版
発売日
1997年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「ミクロ分析」というのは、具体的に何を見るんでしょう。
佐藤メバル
集計された国の数字ではなく、企業や産業の単位で何が起きたかを見るんです。成長率が下がった後も、産業の中身は入れ替わり続ける。
その変化は平均値では見えませんし、ニュースの見出しにも出てきません。
橘ナナミ
なるほど。マクロの数字だけ見ていると、中で起きていることが消えてしまうんですね。
佐藤メバル
そう。だから入門書を読んだ次の一冊としておすすめしたい。ただ前提として、基本的な用語は理解しているほうが読みやすいですよ。
逆に言えば、そこさえ押さえれば368頁は一気に進みます。

韓国: 民主化と経済発展のダイナミズム (ちくま新書 426)
木宮正史 著|筑摩書房
民主化と経済発展という二つを、切り離さずに一冊で捉える新書です。ちくま新書という造本で、204頁と手に取りやすい。政治と経済の相互作用を軸に据えているので、経済を制度や政治の文脈に戻して考えられます。堅い学術書をいったん置いて、まず流れを頭に入れたい人への入口として使いやすい一冊です。
こんな人におすすめ
韓国の民主化と経済成長がどう結びつくのか、まず新書で流れを摑みたい人。通勤の合間や、次に専門書を選ぶ前の予習としても向きます。政治に関心がある読者にも手に取りやすい。
良い点
- 新書で手に取りやすい
- 民主化と経済を一体で扱う
- 204頁で流れをつかめる
気になる点
- 図表やデータは限られる
- 研究書ほどの深さは求められない
- 最新の情勢は別途補う必要
出版社
筑摩書房
発売日
2003年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
民主化の話と経済の話って、別々に語られることが多い気がします。一緒に読むと、どうなるんですか?
佐藤メバル
むしろ一緒じゃないと見えないんです。経済が伸びるなかで社会がどう動き、それが政治をどう変えたか。逆に政治の変化が経済政策をどう変えたか。
その往復がダイナミズムです。片方だけ追うと、どちらも腑に落ちません。
橘ナナミ
なるほど。新書なので、まず全体の流れを頭に入れるのに良さそうですね。
佐藤メバル
そう、その使い方がいいと思います。204頁なら通勤の合間でも読み切れる分量ですよ。ここで流れをつかんでから、専門書に進むと迷子になりにくい。順番として非常におすすめの一冊です。

韓国は日本を追い越す: 韓国経済発展の戦略
ソンビョンナック 著|リバティ書房
「韓国は日本を追い越す」という強い題を掲げ、韓国経済発展の戦略を論じた一冊です。302頁と厚みがあり、キャッチーな題の裏で何を根拠に語っているかを確かめながら読むのが面白い。穏当な概説書とは違って、読者の側で賛否を判断する余地が大きい本です。日韓の比較を考えたいときのたたき台になります。
こんな人におすすめ
日韓の経済比較を、遠慮なく論じたい人。題に引っかかりを覚えた人が根拠を確かめるために読むのも、講義やゼミの議論の素材にするのも向きます。結論に賛成か反対かを、自分の言葉で言えるようになります。
良い点
- 日韓比較を正面から論じる
- 302頁で論を展開する厚み
- 題に引きのある一冊
気になる点
- 結論を読者側で吟味する必要
- 刊行時点の予測を含む点に注意
- 中立的な概説を求める人には不向き
出版社
リバティ書房
発売日
1995年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
タイトルがすごく強いですね。これ、主張がかなり偏っている本なんでしょうか。
佐藤メバル
強い題がついていると、書店でも手に取られやすい。でも大事なのは、その題を支える根拠がどれだけ示されているかを読み手が見極めることです。
賛成するために読むより、根拠を確かめるために読むほうが得るものが多い。
橘ナナミ
なるほど。読む側の態度が試される本なんですね。
佐藤メバル
そういう一冊は、自分の考えを固めるのにも向いています。誰かと議論する前提で読むと、いちばん力を発揮しますよ。
302頁あるので、読みながら引っかかった箇所に付箋を貼っていくのがおすすめです。

韓国の経済発展と在日韓国企業人の役割
永野慎一郎 著|岩波書店
戦後日本に残った朝鮮人のなかから、企業家として成功した人々がいました。彼らは事業の成功後、故郷である祖国の支援活動を始め、それが韓国経済発展の礎ともなった。しかしその貢献の大きさは、日本でも韓国でもほとんど知られていない——その実態を日本・韓国・在日の研究者が共同で研究した一冊です。経済の数字にも人の物語にも偏らず、両方を同時に扱えるのが強みです。
こんな人におすすめ
韓国経済の発展を、数字ではなく人の物語から知りたい人。在日コリアンの歴史や、日韓をつないだ人々に関心のある読者、関係史を調べる学生や、共生をテーマにする人に向きます。
良い点
- 日韓在日の共同研究という体制
- 知られざる人物の貢献を掘る
- 経済と人の物語を同時に扱う
気になる点
- 個人の記録収集ゆえ網羅は難しい
- 学術書で通読の負荷がある
- 企業分析が主目的ではない
出版社
岩波書店
発売日
2010年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
在日の企業家の方が、韓国の経済発展の礎になった。それがあまり知られていないというのは、なんだか切ないですね。
佐藤メバル
そこがこの本の眼目です。日本でも韓国でも、語られる場所がなかった。それを日本・韓国・在日の研究者が共同で掘り起こした。
国境をまたいだ共同研究だからこそ、できた作業です。
橘ナナミ
経済の本なのに、人の物語が中心なんですね。
佐藤メバル
数字の裏には必ず人がいます。この本は、その当たり前を思い出させてくれます。書店員時代、在日の方の伝記や企業史を探しているお客さんに、なかなか一冊を渡せなかった記憶があるんです。
だからこういう研究が出たときは嬉しかったですね。

韓国財閥のファミリービジネス 第2版
高沢修一 著|財経詳報社
¥1,980(税込)
韓国GDPの4分の3を占めるとされる財閥を、ファミリービジネスと企業統治という角度から検証した第2版です。成長戦略や税務戦略を駆使して外貨獲得のためにグローバル化を進めてきた経営の根幹に踏み込み、その現状と課題、将来性までを扱います。167頁と軽く、財閥の入門としても、企業統治に関心がある人の副読本としても使える構成です。
こんな人におすすめ
財閥を、事業の中身より「誰がどう経営しているか」から知りたい人。企業統治や事業承継に関心のあるビジネスパーソンや、韓国企業と取引する担当者に向きます。167頁なので、まず全体像をつかむのにも。
良い点
- 167頁で負担が少ない
- ファミリービジネスと統治に焦点
- 第2版で現状と課題を扱う
気になる点
- 個別企業の網羅的な会社史ではない
- 専門用語はやや多め
- 統計は版の時点に依存
出版社
財経詳報社
発売日
2022年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
GDPの4分の3を財閥が占めているというのは、インパクトがありますね。でも「ファミリービジネス」って、何を見るんでしょう。
佐藤メバル
誰が株を持ち、誰が経営を決めているか、です。事業が強いという話の手前に、一族と企業の関係がある。そこを企業統治という言葉で解剖していくのがこの本で、事業ポートフォリオの話とはまた違う角度から財閥を見られます。
橘ナナミ
167頁なら、入門としても読めますか。
佐藤メバル
読めます。むしろ財閥の名前は知っているけれど中身は知らない、という人が最初に読むのにちょうどいい。第2版なので現状と課題まで追えていますよ。

アジア経済研究所叢書 7 韓国財閥の成長と変容 四大グループの組織改革と資源配分構造 (岩波オンデマンドブックス)
安倍誠 著|岩波書店
¥3,960(税込)
1960年代半ばからの開発政策と輸出振興策に呼応して急速に拡大した韓国財閥が、その後の政策転換や1997年の通貨危機という環境変化にどう対応し、成長を続けたのかを分析した研究書です。上位四グループの組織管理機構と、その下で人材と資金がどう配分されたかに着目するのが独自の切り口。4社に絞ることで、逆に解像度が高くなっています。
こんな人におすすめ
財閥を、組織と資源配分という経営の内側から理解したい人。比較経営や組織論に関心のある大学院生や、企業研究を仕事にする読者に向きます。上位4グループの意思決定を追う、数少ない一冊です。
良い点
- 上位4グループに絞った解像度
- 組織と資源配分に着目する
- 通貨危機への対応まで追う
気になる点
- 価格帯が高め
- 研究書で前提知識が要る
- 4社以外は扱いが薄い
出版社
岩波書店
発売日
2017年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
4つのグループに絞っているんですね。数が多いほうが網羅的に見えるのに、あえて絞る意味は何でしょう。
佐藤メバル
絞ると解像度が上がるんです。人材をどこから採り、資金をどの事業に寄せたか。組織の管理機構まで踏み込める。
全部を薄く見るより、深く見たほうが共通の構造が見えてきます。
橘ナナミ
なるほど。1997年の通貨危機の前後で、その配分が変わったのかどうかも気になります。
佐藤メバル
そこが読みどころです。環境が変わったとき、財閥がどう組織と資金の流れを組み替えたか。通貨危機の前後を追うだけでも、企業の意思決定というものが見えてきます。
206頁のなかに、その変化が詰まっています。

韓国財閥史の研究: 分断体制資本主義と韓国財閥
鄭章淵 著|日本経済評論社
¥5,720(税込)
韓国財閥の歴史を、分断体制資本主義という枠組みから論じた433頁の研究書です。財閥を単なる企業集団としてではなく、南北に分かれた体制のなかで形づくられた存在として捉える視点が持ち味。個別の企業史や経営分析の本とは違い、歴史と構造の側から財閥を位置づけ直そうとしています。腰を据えて読みたい人の一冊です。
こんな人におすすめ
財閥の成り立ちを、経営ではなく歴史と構造から考えたい人。分断という条件を軸に朝鮮半島の経済を読み解きたい研究者や、院生の基本文献探しに向きます。手元に置いて必要な章を引く使い方も。
良い点
- 433頁の圧倒的な厚み
- 分断体制という独自の枠組み
- 個別企業史とは違う歴史的視点
気になる点
- 価格帯が非常に高い
- 通読には相当の時間が要る
- 実務的な関心には応えにくい
出版社
日本経済評論社
発売日
2007年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「分断体制資本主義」という言葉、初めて聞きました。財閥と分断って、どうつながるんでしょう。
佐藤メバル
韓国の資本主義は、南北に分かれた状態を前提に組み立てられた面があります。財閥もその条件のなかで育った。
だから企業の話だけを切り出しても、成り立ちの半分は説明できないんですね。
橘ナナミ
433頁というのは、なかなかの覚悟が要りますね。
佐藤メバル
要ります。でも、財閥を語る本のなかで、ここまで歴史の側から正面きって論じたものは多くありません。全部を一度に読む必要はなく、参考文献として手元に置いて、必要な章を引く使い方も現実的ですよ。
研究室の本棚に一冊あると心強いタイプです。

韓国―経済力の読み方―財閥と産業の本当の力をさぐる
間部洋一 著|日本実業出版社
韓国の経済力を、財閥と産業という二つの入口から読み解く一冊です。日本実業出版社からの刊行で、ビジネス書としての読みやすさが持ち味。学術書のように概念から入るのではなく、実際の産業と企業を見ながら「本当の力はどこにあるのか」を確かめていきます。278頁で、財閥の名前と産業の地図を同時に頭に入れたいときに向いています。
こんな人におすすめ
韓国企業の名前は知っていても、産業としての力がわからない人。数字の読み方を身につけたいビジネスパーソンや、業界研究の入口に立つ就活生に向きます。取引先を調べる前の下調べとしても。
良い点
- 財閥と産業の両方を扱う
- ビジネス書として読みやすい
- 278頁で実務的な視点が得られる
気になる点
- 学術的な実証の深さは求めにくい
- 刊行後の産業変化は別途確認したい
- 引用文献の網羅性は薄め
出版社
日本実業出版社
発売日
1986年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「本当の力をさぐる」という言い方に、少し含みを感じます。建前の数字と、実際は違うということでしょうか。
佐藤メバル
そこです。売上や規模の数字は見えても、その中身が強いのか弱いのかは別問題。産業構造と企業の位置づけを重ねて見ていくと、数字の意味が変わってくる。そこを丁寧にほどいていく本なんです。
橘ナナミ
なるほど。数字を読む練習になる本なんですね。
佐藤メバル
そう思います。日本実業出版社の本なので、用語の説明も親切で、数字の見方を実務の言葉で教えてくれます。
業界研究を始める人や、取引先を調べる前の下調べにもちょうどいい。入門書と専門書の間を埋める一冊ですよ。

韓国財閥の通信簿: 韓国ファミリービジネスの企業診断
高沢修一 著|財経詳報社
¥1,870(税込)
韓国の財閥を、ファミリービジネスの企業診断という切り口で見る一冊です。129頁と非常にコンパクトで、診断という視点が明確なのが持ち味。同じ著者による『韓国財閥のファミリービジネス』が現状と課題を整理するのに対し、こちらは個々の企業をどう見るかに寄っていて、二冊を並べると理解が深まります。
こんな人におすすめ
財閥の個別企業をどう評価すればいいのか、判断の軸が欲しい人。短時間で要点をつかみたいビジネスパーソンや、同著者の概説書とセットで読む人に向きます。129頁なので移動中にも読み切れます。
良い点
- 129頁で短時間で読める
- 企業診断という視点が明確
- 同著者の概説書と補完関係
気になる点
- 扱う範囲は限定的
- 前提となる用語はやや多い
- 統計は版の時点による
出版社
財経詳報社
発売日
2018年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「通信簿」って、成績をつけるという意味ですよね。財閥を採点するような本なんでしょうか。
佐藤メバル
採点というより、どういう目で見ればいいかを示す本です。規模は大きいけれど統治はどうか、成長は続くのか。
判断の物差しを持てるかどうかが大事なんですね。
橘ナナミ
129頁なら、まず手に取れそうです。同著者の本と一緒に読むと良さそうですね。
佐藤メバル
ええ。分厚いほうで現状と課題を押さえて、こちらの薄いほうで個別の見方を確認する。順番はどちらからでも構いません。
同じ著者なので用語の使い方も揃っていて行き来しやすいんですよ。129頁なら移動中にも読めます。
『崩壊本』と学術書のバランスをどう取るか
橘ナナミ
崩壊本は読むべきか、避けるべきか、ずっと迷っています。
佐藤メバル
避ける必要はないけど、順番がある。先に土台を作ってから読むと、主張のどこが事実でどこが解釈かが見えるようになる。土台は『韓国経済がわかる20講【改訂新版】』の貿易構造や為替制度の章、あるいは『解説 韓国経済-第二版』の図表。そのうえで崩壊系を読めば、「この数字はこうも読める」と自分で戻せる。逆に最初に読むと、印象だけが残ってしまう。
橘ナナミ
なるほど……。トンデモ本を見分けるコツはありますか?
佐藤メバル
出典の示し方を見ること。統計の出所と時点が書かれているか、一次資料に当たっているか。あと、断定の強さと根拠の薄さが釣り合っていない本は危ない。同じ主張でも、安倍誠さんの『韓国財閥の成長と変容』のように分析手法を明示して結論を出す本は、同意できなくても検証できる。信頼できる一冊かどうかは、この検証可能性で選別していい。
読む順番——歴史・構造・現在の3層で組み立てる
橘ナナミ
ロードマップを立てるなら、どう並べますか?
佐藤メバル
まず歴史の層。原朗さんの『韓国経済発展への経路』や李光宰さんの『産業史からみる朝鮮韓国経済史入門』で、解放前後から復興までの土台を知る。次に構造の層で、財閥と金融、労働を押さえる。ここは安倍誠さんや高沢修一さん、労働運動と労働政策なら金三洙さんの本。最後に現在の層で、環日本海経済研究所の本やジェトロの実務書を足して今の論点を補う。この3層を行き来すると、ニュースの一言がどこに刺さっているか分かるようになる。
橘ナナミ
日本経済との比較で読める本はどれですか?
佐藤メバル
『入門テキスト 現代韓国経済』は随所で日本と比べる作りだし、原朗さんの本も韓日比較を意識した研究。日本の企業や投資家の実務判断に接続したいなら、比較の視点は必須だよ。それと、韓流やK-POPの本と経済本は同じ棚に置かないこと。アイドル産業の分析と、財閥・貿易・財政の分析は別物だからね。
2020年代の現在地とデータの読み方
橘ナナミ
2020年代の韓国経済の現在地を知るには、どの本を見ればいいんでしょう。
佐藤メバル
第二版・改訂版を選ぶのが基本。『解説 韓国経済-第二版』はコロナ禍後の回復や為替・金利、主力産業の変化を反映している。環日本海経済研究所の『現代韓国経済』は進化するパラダイムを軸に現在の論点を整理する。ただし、どの本もデータには時点があるから、本文を読む前に「いつの数字か」を確認してほしい。
橘ナナミ
数字の時点、見落としがちです。
佐藤メバル
それと、財閥という言葉で一括りにしないこと。『韓国財閥のファミリービジネス 第2版』はファミリービジネスと企業統治、『韓国財閥の成長と変容』は上位グループの組織改革と人材・資金の配分、間部洋一さんの『韓国―経済力の読み方―』は産業の実力をさぐる内容、高沢さんの『韓国財閥の通信簿』は企業診断というように、同じ財閥でも切り口が違う。個別企業の話に入る前に、まず財閥という仕組みを扱う本で全体像を押さえるのがおすすめだ。
よくある質問
韓国経済の入門書はどれがおすすめですか?
橘ナナミ
韓国経済の入門書はどれがおすすめですかについて教えてください。
佐藤メバル
流れを一本通したいなら、解放後の援助経済から高度成長、IMF経済危機、経済大国への歩みを20の講で追う裵海善『韓国経済がわかる20講【改訂新版】』。辞書的に引ける形がいいなら、6分野60テーマを最新データと図表で整理した高安雄一『解説 韓国経済-第二版』。経済学の基礎から丁寧にという人は、日本経済との比較を随所に散りばめた李允福『入門テキスト 現代韓国経済』が向いています。最初の一冊は講義型かテーマ別解説かで選ぶと失敗しにくいです。
韓国経済の『崩壊本』は読む必要がありますか?
橘ナナミ
韓国経済の『崩壊本』は読む必要がありますかについて教えてください。
佐藤メバル
読む価値はありますが、順番が大切です。先に『韓国経済がわかる20講【改訂新版】』の貿易構造・為替制度の章や『解説 韓国経済-第二版』の図表で土台を作ってから読むと、どこが事実でどこが解釈かを自分で切り分けられます。統計の出所と時点が明示されているか、一次資料に当たっているかもチェックを。学術書と読み比べる前提で手に取るのがおすすめです。
最新の韓国経済を学べる本はどれですか?
橘ナナミ
最新の韓国経済を学べる本はどれですかについて教えてください。
佐藤メバル
まず改訂版・第二版・第2版といった版の新しい本を選ぶことです。『解説 韓国経済-第二版』はコロナ禍後の急速な回復、為替・金利の変動、主力産業の変化を反映しています。環日本海経済研究所『現代韓国経済: 進化するパラダイム』は現在の論点を構造から整理する一冊。ジェトロの『韓国経済の基礎知識』のような実務系も、貿易や投資の現場感覚を補うのに役立ちます。本文の数字がいつの時点かは必ず確認してください。
韓国経済と日本経済を比較できる本はありますか?
橘ナナミ
韓国経済と日本経済を比較できる本はありますかについて教えてください。
佐藤メバル
『入門テキスト 現代韓国経済』は諸外国との比較という視点を重視し、日本経済との比較を随所に散りばめています。原朗『韓国経済発展への経路』も韓日の研究を踏まえ、両国の経済発展の相違に注目した内容です。深川由起子『韓国・先進国経済論』は成熟過程をミクロに分析するので、日本企業の実務や投資の判断に接続したい人に向きます。
サムスンや財閥について学べる本はどれですか?
橘ナナミ
サムスンや財閥について学べる本はどれですかについて教えてください。
佐藤メバル
個別企業に入る前に、財閥という仕組みを扱う本で全体像を押さえるのが先です。高沢修一『韓国財閥のファミリービジネス 第2版』はファミリービジネスと企業統治の現状と課題を検証。安倍誠『韓国財閥の成長と変容』は上位四グループの組織改革と人材・資金の配分を分析しています。鄭章淵『韓国財閥史の研究』は歴史から、間部洋一『韓国―経済力の読み方―』は産業の実力から、高沢『韓国財閥の通信簿』は企業診断から迫る一冊です。
韓国経済の本はKindleや電子書籍で読めますか?
橘ナナミ
韓国経済の本はKindleや電子書籍で読めますかについて教えてください。
佐藤メバル
配信状況は出版社や時期によって変わるため、一律には言えません。購入前に版元のページや各ストアで電子版の有無を確認するのが確実です。紙で入手しにくい専門書でも、岩波オンデマンドブックスのような形で入手できるものもあります。新書・文庫は比較的手に取りやすく、図書館も含めて入手ルートを複数持っておくと選書の幅が広がります。
韓国経済史を学ぶならどの本から読めばいいですか?
橘ナナミ
韓国経済史を学ぶならどの本から読めばいいですかについて教えてください。
佐藤メバル
通史の入口なら李光宰『産業史からみる朝鮮韓国経済史入門』が、朝鮮経済から植民地朝鮮経済、韓国経済、北朝鮮経済へと順に整理してくれるので全体像をつかみやすいです。原朗『韓国経済発展への経路』は解放・戦争・復興のプロセスを経済制度設計の観点から実証しています。労働運動や労働政策まで踏み込むなら金三洙『韓国資本主義国家の成立過程1945―53年』へ進むとよいでしょう。
韓国経済の本を読むおすすめの順番はありますか?
橘ナナミ
韓国経済の本を読むおすすめの順番はありますかについて教えてください。
佐藤メバル
歴史・構造・現在の3層で組み立てるのが分かりやすいです。まず原朗『韓国経済発展への経路』や李光宰『産業史からみる朝鮮韓国経済史入門』で歴史の層、次に財閥・金融・労働の構造の層を安倍誠『韓国財閥の成長と変容』や高沢修一『韓国財閥のファミリービジネス 第2版』で固め、最後に『解説 韓国経済-第二版』や環日本海経済研究所の本で現在地を確認します。この順番なら、崩壊本を読むときも立ち位置を見失いません。
まとめ
橘ナナミ
今日は「どの本を読むか」より「どの順番で読むか」のほうが大事だと分かった気がします。
佐藤メバル
そう。韓国経済は、援助経済から高度成長、IMF経済危機、そして経済大国へという流れが一本あるから、同じ出来事でもどの層から見るかで見え方が変わる。20講で流れをつかみ、『解説 韓国経済-第二版』で現在地を確認する。そこから財閥や労働、日本との比較へ枝を伸ばす。この順番なら迷いにくい。
橘ナナミ
崩壊本も、最初に読むんじゃなくて、土台のあとに読むんですね。
佐藤メバル
うん。強い主張の本は、土台がある人にとっては考えるための材料になる。土台がないと、結論だけが残ってしまう。書店員だった頃、平台で売れている本をそのまま勧めて、あとで「読んだけど分からなかった」と言われたことがあってね。それからは、その人の今の立ち位置を先に聞くようにしている。
橘ナナミ
それ、読者にとっても優しいです。私もまず一冊、背骨を通してみます。
佐藤メバル
韓国経済の本を読むのは、増築を繰り返した家の間取り図を年代ごとに重ねて見ていく作業に似ている。新しい図だけ見ると、なぜ壁がそこにあるのか分からない。古い図と重ねたとき、はじめて部屋の理由が見えてくる。だから一冊で終わらせず、二冊目、三冊目に進んでほしい。
