経済学部の勉強に役立つ本のおすすめ人気ランキング25選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
佐藤さん、今回のテーマは「経済学部の本」ですよね。私、経済学部じゃないので、どこから手をつけていいのか正直わからなくて……。
佐藤メバル
その迷い、読者のほとんどが同じだと思うよ。経済学部の本は、小説みたいに「面白そうだから」で選ぶと大体失敗する。理由はシンプルで、同じ「入門」と書いてあっても、前提知識の要求水準がまったく違うからなんだ。
橘ナナミ
同じ「入門」なのに、ですか?
佐藤メバル
そう。たとえば『ミクロ経済学入門の入門』は数式を一切使わず、シンプルな図だけで基本を説明する本。一方で『クルーグマン 入門経済学』は分厚い本格教科書で、名前は「入門」でも読みごたえは相当ある。書店員時代、この違いを説明しないまま売ってしまって、同じ本がすぐ売りに戻ってきたのを何度も見たよ。
橘ナナミ
なるほど……! じゃあ最初に知るべきは「どの本が良いか」より「自分は今どの段階か」なんですね。
佐藤メバル
まさにそれ。もう一つ大事なのが、「経済学」と「経済(時事)」を分けて考えること。経済学は需要と供給、均衡、効用といった“世の中を見るための道具”を教えてくれる学問。経済(時事)は円安やインフレ、金融政策といった“いま起きている出来事”を扱う読み物だ。道具を持ってからニュースを読むと、理解の速さがまるで変わるよ。
経済学部の勉強に役立つ本の選び方
目的別 — 講義・独学・資格・時事・就活
橘ナナミ
目的によって選び方って変わるんですか?
佐藤メバル
大きく変わる。大学の講義についていくのが目的なら、まず薄い入門で全体像をつかむ。『高校生のための経済学入門[新版]』は需要と供給、金利、GDP、インフレ、為替までを一冊で見渡せるから、講義前の地図づくりに向いている。独学なら『経済学・入門 第3版』が、戦後の日本経済を通観したうえでミクロ・マクロの基礎に入る構成で、一人でも迷いにくい。資格試験なら、公務員試験で必須のマクロを扱う『やさしいマクロ経済学』が日経文庫でコンパクトだね。ニュースを追いたいだけなら『たった1つの図でわかる!【図解】新・経済学入門』のように、需要供給曲線ひとつで説明してくれる本が速い。
橘ナナミ
独学で挫折した人はどうすればいいんでしょう。
佐藤メバル
その場合は『ミクロ経済学入門の入門』に戻るのがいい。無差別曲線や限界効用、ナッシュ均衡でつまずいた人が、数式なしで“自分はどこで何をやっていたのか”を取り戻せる本だよ。
レベル別 — 数式・グラフの前提知識
橘ナナミ
「入門」の中でもレベル差があるんですよね。
佐藤メバル
ある。入門の定番を挙げるなら、マンキュー入門経済学、スティグリッツ入門経済学、クルーグマン入門経済学、アセモグル/レイブソン/リスト 入門経済学がある。マンキューは「経済学の10原則」から始まり、ミクロとマクロを一貫して学べる王道。スティグリッツは情報の経済学の視点を多く取り入れ、日本語版のために書き下ろされたグローバル危機の章も入っている。クルーグマンは具体例で読ませる“アカデミックエンターテインメント”で、コロナ禍や物価上昇、ウクライナ侵攻も題材になる。アセモグルらは「最適化・均衡・経験主義」の3原理から入り、フェイスブックが無料なのはなぜか、という問いから始まる“新しい・やさしい”教科書だね。一段上を狙うなら『ミクロ経済学の第一歩〔新版〕』で練習してから、神取道宏『ミクロ経済学の力』へ。こちらは経済学部2年生から大学院生が主な対象で、ゲーム理論まで含む決定版だ。
橘ナナミ
グラフが苦手でも大丈夫でしょうか。
佐藤メバル
大丈夫。最初は図を眺めるだけでいい。読みながら手でグラフを写すと、段違いに頭に入るよ。
形式別 — マンガ・図解/新書/教科書/読み物
橘ナナミ
形式で選ぶのもありですか?
佐藤メバル
あり。とにかく取っかかりが欲しいなら『この世で一番おもしろいミクロ経済学』。全編マンガなのに、需要と供給が後半まで出てこない構成が逆にわかりやすい。図解なら阿部誠『ビジネス教養 行動経済学』や池上彰『池上彰の行動経済学入門』が、身近な事例から入れて読みやすいよ。新書なら『マクロ経済学を学ぶ』や『ミクロ経済学入門の入門』。読み物として骨太なのは長沼伸一郎『現代経済学の直観的方法』で、資本主義の仕組み、インフレとデフレ、ケインズ経済学、貨幣の本質まで一気につかめる。
使う場面別 — 予習復習・ゼミ・レポート・試験対策
橘ナナミ
ゼミやレポートで使うなら、どれがいいんでしょう。
佐藤メバル
用語の正確さが問われる場面では、教科書に戻るのが基本だよ。マクロの流れを体系的に追うならマンキュー マクロ経済学I 入門篇が、理論を実際の経済に照らしあわせて学べる。行動経済学をレポートテーマにするなら、行動ファイナンスや幸福の経済学まで幅広く網羅した『行動経済学入門』が土台になる。予習は新書、復習は教科書、と役割を分けると無理がない。
続けやすさ・情報の鮮度 — ページ数・価格・版の新旧
橘ナナミ
続けられるかどうかも大事ですよね。
佐藤メバル
大事。まずは薄い新書で「最後まで読めた」という体験を積むのが、結局いちばん速い。情報の鮮度も見てほしい。教科書は改訂で内容が更新されるから、マンキュー、スティグリッツ、クルーグマンのように版が新しくなっているものは新しい版を選ぶ。逆に古典や思想史の本は、鮮度ではなく“いま読む意味”で選ぶ。この判断ができると、書店で迷わなくなるよ。
経済学部の勉強に役立つ本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、25冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
経済学部の勉強に役立つ本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい

マンキュー入門経済学(第4版)
N・グレゴリー・マンキュー 著|発行元:センゲージ・ラーニング株式会社 発売元:TKDラーニング/東京化学同人
¥3,960(税込)
マンキューの入門は、まず「経済学の10原則」という骨格を渡してくれる。そのうえで「経済学者らしく考えよう」「相互依存と交易の便益」と、考え方の型を先に仕込み、需要と供給から市場の効率性、生産コスト、国民所得の計測、貯蓄・投資と金融システム、総需要と総供給、開放経済の基礎まで一冊で通す。2025年の新版ではB5判になり、図版と用語説明の視認性が上がった。迷子になりにくい設計が、分厚い教科書との大きな違いだ。
こんな人におすすめ
大学の経済学の授業についていく教科書を探す1年生、独学でミクロとマクロを一度に通したい人、資格試験の基礎を作りたい社会人。予習と復習の軸として手元に置いておきたい一冊。
良い点
- 10原則という骨格で迷いにくい
- ミクロとマクロを一冊で通せる
- 新版で図版と用語説明が見やすい
気になる点
- 504ページで持ち歩きにくい
- 価格はやや高め
- 演習問題の量は多くない
出版社
発行元:センゲージ・ラーニング株式会社 発売元:TKDラーニング/東京化学同人
発売日
2025年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
経済学部に入った友達が、最初にマンキューを買わされるって言ってました。分厚いイメージがあるんですけど、本当に一人で読めるんでしょうか。
佐藤メバル
いい質問だね。マンキューは「経済学の10原則」という骨格から始まるのが強い。まず1章で10の原則を渡されて、そのあと「経済学者らしく考えよう」「相互依存と交易の便益」と、考え方の型を先に仕込まれる。
だから分厚くても迷子になりにくい。2025年の新版ではB5判になって、図版と用語説明が見やすくなったのも大きいよ。
橘ナナミ
なるほど、骨組みが先にあるんですね。でもミクロとマクロの両方って、一冊で足りるものなんですか?
佐藤メバル
入門としては十分だと思う。需要と供給から消費者・生産者・市場の効率性、生産コストまでがミクロ。国民所得の計測、生活コスト、生産と成長、貯蓄・投資・金融システム、総需要と総供給ときて、開放経済の基礎まで。
ここまで一冊で通せると、後の専門書がどこを深掘りしているのか分かるようになる。全部覚えようとしなくていい。地図として使うのがコツだよ。

スティグリッツ入門経済学 第4版
ジョセフE.スティグリッツ 著|東洋経済新報社
¥2,772(税込)
スティグリッツは、市場メカニズムを重視しつつ、その不完全性と限界を明確に認識する立場をとる。著者自身がノーベル経済学賞を受賞する理由となった情報の経済学の分析を多く取り入れ、さまざまな問題に応用しているのが特徴だ。ミクロとマクロを統一的に展開し、マクロ部分が充実。日本語版だけのために書き下ろされた第12章「グローバル危機」では、2008年の金融危機やユーロ危機を本人が論じる。市場がうまくいかない場面から経済を見る目が育つ。
こんな人におすすめ
市場の失敗や格差、情報の偏りに関心がある人、金融危機のニュースを理論で読み直したい人、理論の前提を疑う視点を持ちたい学生。教科書のもう一つの顔に触れたい人に向く。
良い点
- 情報の経済学を軸にできる
- マクロ部分が充実している
- 日本語版だけのグローバル危機章
気になる点
- 記述量が多く重い
- 訳文にやや癖がある
- 通読には時間がかかる
出版社
東洋経済新報社
発売日
2012年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
スティグリッツって名前は聞いたことがあるんですが、マンキューと何が違うんでしょう?
佐藤メバル
一番の違いは、市場をどう見るかだね。スティグリッツは市場メカニズムを重視しつつ、その不完全性と限界をはっきり認識する。
著者自身が情報の経済学の研究でノーベル経済学賞を受けた人で、その分析をいろんな問題に応用している。だから「市場がうまくいかないとき何が起きるか」を最初から視野に入れて学べるんだ。
橘ナナミ
情報の経済学……情報が偏っていると市場がうまく働かない、という話ですか?
佐藤メバル
そう、そこが核。売り手と買い手が同じことを知っているとは限らない、という前提から経済を見直す。この本はミクロとマクロを統一的に展開していて、とくにマクロ部分が充実している。
日本語版だけの第12章「グローバル危機」は著者本人の書き下ろしで、2008年の金融危機やユーロ危機を論じている。
ニュースを理論で読み直したい人にはたまらないと思うよ。

クルーグマン 入門経済学
ポール・クルーグマン 著|東洋経済新報社
¥3,740(税込)
クルーグマンの入門は、現実のおもしろい事例を先に見せてから理論へ導く「アカデミックエンターテインメント」の手法で知られる。今回の版はコロナ禍や物価上昇、ロシアによるウクライナ侵攻といった事例から経済を学べる構成。理論を学ぶあいまに、第1期トランプ政権時の関税政策の帰結を扱ったコラムを読めば、物語を読むように生きた経済学が身につく。日本版としてはじめて「入門経済学」として刊行され、ミクロとマクロのエッセンスが凝縮されている。
こんな人におすすめ
ニュースと理論を往復したい人、経済学を読み物として面白がりたい人、時事問題を切り口に学びたい高校生から社会人まで。コラムだけ拾い読みするのも楽しい。
良い点
- 事例が新しく豊富
- コラムが読み物として面白い
- 語り口が物語的で引き込まれる
気になる点
- 684ページの大冊
- 価格が高め
- 日本版独自の入門という位置づけ
出版社
東洋経済新報社
発売日
2025年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
クルーグマンの入門経済学って、名前だけで身構えちゃいます。難しそうじゃないですか?
佐藤メバル
それが逆でね。この本の売りは「アカデミックエンターテインメント」という言葉で、おもしろい現実の事例を先に見せて、そこから経済学へ引っ張るやり方なんだ。
今回の版はコロナ禍や物価上昇、ロシアによるウクライナ侵攻といった事例から経済を学べるようになっている。
物語を読むように、生きた経済学が身につくよ。
橘ナナミ
コラムも多いって聞きました。理論の合間に読めるんですか?
佐藤メバル
うん、たとえば理論を学ぶあいまに、第1期トランプ政権時の関税政策の帰結についてのコラムを読む。関税の話は需要と供給の応用そのものだから、コラムと本文が響き合うんだ。
日本版としてはじめて「入門経済学」が出た形で、ミクロとマクロのエッセンスが凝縮されている。分厚いけれど、読み物として引っ張る力がある本だよ。

アセモグル/レイブソン/リスト 入門経済学
ダロン・アセモグル 著|東洋経済新報社
¥3,520(税込)
アセモグルらの入門は、何より入口が身近だ。「フェイスブックが無料でサービスを提供している理由」という問いから始まり、理論を学ぶことより経済を理解することを優先する。軸になるのは最適化・均衡・経験主義という3つの原理と、「根拠に基づく経済学」「データは語る」「選択の結果」という3種類のコラム。ミクロとマクロの入門書から15章を選び直して再構成し、最新の実験経済学の成果も取り入れている。
こんな人におすすめ
データで裏づけながら学びたい人、実験経済学や行動経済学の新しい知見に触れたい学生、現実の問いから理論に入りたい人。シリーズの入口として最初に手に取りたい一冊。
良い点
- 現実の問いから入れる
- 実験経済学の知見が新しい
- 3原理で整理されている
気になる点
- 3原理に慣れるまで時間が要る
- 翻訳書ならではの密度
- 章の取捨選択が必要
出版社
東洋経済新報社
発売日
2020年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
アセモグルって、教科書の最初にフェイスブックの話が出てくるって本当ですか?
佐藤メバル
本当。「フェイスブックが無料でサービスを提供している理由は何か」という身近な問いからスタートする。この本は理論を学ぶことより、経済を理解することを優先している。
そのために最適化・均衡・経験主義という3つの原理と、「根拠に基づく経済学」「データは語る」「選択の結果」という3種類のコラムを軸にしているんだ。
橘ナナミ
「データは語る」というコラム名が気になります。数字を見る練習になるんでしょうか。
佐藤メバル
まさにそこ。現実のデータを議論の根幹に据えて、原因と結果を確かめる。実験経済学の成果も取り入れているから、「人間はこう動くはず」という決めつけをデータで確かめ直す姿勢が身につく。
15章は入門経済学として再構成されていて、後半は金融危機以降に書き換えが迫られた内容にも対応している。
読み終えたあと、経済社会の見え方が変わるはずだよ。

経済学・入門 第3版 (有斐閣アルマ)
塩澤修平 著|有斐閣
¥2,530(税込)
有斐閣アルマのこの定番は、いきなり理論に入らず、まず日本経済を戦後の復興・成長からバブル、リーマン・ショック後まで通観する。そのうえでミクロとマクロの基礎を学び、最後にグローバル化時代の現実問題を考えるヒントへ進む。きめ細かな図解と身近な例による解説で、経済を見る目を養える。理論がなぜ必要かを、日本の歩みと重ねて納得できる構成が持ち味だ。
こんな人におすすめ
日本経済の流れと理論を結びつけて理解したい人、高校生から大学初年次、独学で一冊通したい社会人。通読型の入門を探している人に向く。
良い点
- 日本経済史と理論がつながる
- 図解がきめ細かい
- 入門としてバランスが良い
気になる点
- 時事的な鮮度は限られる
- 網羅的で冗長に感じる箇所
- 演習問題は少なめ
出版社
有斐閣
発売日
2013年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
有斐閣アルマの「経済学・入門」って、まず日本経済の話から入るんですよね。理論より先に歴史なんですか?
佐藤メバル
そう、そこがこの本の個性。戦後の復興と成長からバブル、リーマン・ショック後までを一通り見てから、ミクロとマクロの基礎に入る。
だから「なぜこの理論が必要なのか」が、日本の歩みと結びついて腹に落ちやすい。きめ細かな図解と身近な例で、経済を見る目を養う設計になっているんだ。
橘ナナミ
歴史の後に理論が来て、今度は現実の問題を考えるヒントまで行くんですよね。
佐藤メバル
その通り。基礎を学んだあとで、グローバル化時代の現実問題を考えるヒントを示してくれる。理論と日本経済の往復が一冊で完結するのが強みだね。
ただ、網羅的だからこそ、最初から全部を覚えようとすると疲れる。まずは日本経済のパートを通読して、その後で気になった理論に戻る読み方を勧めるよ。

ミクロ経済学入門の入門 (岩波新書)
坂井豊貴 著|岩波書店
¥968(税込)
ミクロ経済学のつまずきは、無差別曲線や限界効用、ナッシュ均衡といった言葉の迷宮から始まる。この本は数式を一切使わず、シンプルな図だけで基本を説明する176ページの新書だ。「僕はコーラが好きだ」の一文から始まり、標準的な均衡理論からゲーム理論、IT社会を理解するためのネットワーク外部性、格差と不平等の概念と測り方まで扱う。薄さが武器で、完読の充実感が次の一歩につながる。
こんな人におすすめ
ミクロ経済学の授業でつまずいた人、学び直しをしたい社会人、通勤や通学のすきま時間でまず全体像をつかみたい人。最初の避難所として手元に置きたい。
良い点
- 数式ゼロで読み切れる
- 薄くて完読しやすい
- 応用トピックまで触れている
気になる点
- 演習問題は収録されていない
- 計算力を鍛える用途には不向き
- 深掘りには別の本が必要
出版社
岩波書店
発売日
2017年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ミクロ経済学でつまずいて、無差別曲線のところで完全に止まりました。この「入門の入門」なら戻れるでしょうか。
佐藤メバル
そのために書かれた本だよ。著者が本文で「経済学の入門書にちょっとした革命を起こしたい」と書いている通り、数式は一切なし、シンプルな図だけで説明する。
176ページの新書だから、まず最後まで行き着ける。完読の充実感が次の一歩の燃料になるよ。
橘ナナミ
第1章が「僕はコーラが好きだ」で始まると聞いて、意外だと思いました。
佐藤メバル
そこがいいんだよね。コーラが好きでも好きでなくても読み進められる、という入口の設計。内容はけっこうきっちりしていて、標準的な均衡理論からゲーム理論、ネットワーク外部性、格差と不平等の概念と測り方まで扱う。
数式がないぶん、言葉で概念をつかむ訓練になる。授業が分からなくなった人の避難所として、手元に置いておくといいよ。

ミクロ経済学の第一歩〔新版〕 (有斐閣ストゥディア)
安藤至大 著|有斐閣
¥2,310(税込)
初めて学ぶ人がつまずきやすい箇所にポイントを絞り、イメージしやすい具体例とイラストをふんだんに盛り込んだ入門書の新版。2色刷で、新版では新しいコラムを多数追加し、初学者がミクロ経済学の勉強で感じるモヤモヤを徹底的に解消しようとしている。グラフの読み方や用語の引っかかりを、本文の流れを止めずに拾える。背伸びしない範囲を丁寧に固める設計だ。
こんな人におすすめ
大学の授業と並行して読む1年生、独学の最初の一冊を探している人、つまずきポイントだけ手元で確認したい人。モヤモヤの解消を優先したい人に向く。
良い点
- イラストと2色刷で読みやすい
- コラムが疑問を先回りする
- 分量が適正で挫折しにくい
気になる点
- 上級トピックは扱わない
- 計算練習は別途必要
- 価格は新書より高め
出版社
有斐閣
発売日
2021年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「ミクロ経済学の第一歩」って、タイトルが優しそうで逆に不安なんですけど、本当に初めてでも大丈夫ですか?
佐藤メバル
初めての人がつまずきやすい箇所にポイントを絞っているのが、この本の設計なんだ。イメージしやすい具体例とイラストをふんだんに盛り込んで、2色刷で整理している。
新版ではコラムがたくさん追加されて、初学者が感じるモヤモヤを潰しにいっている。「第一歩」は謙遜じゃなくて、本当に第一歩のための本だよ。
橘ナナミ
モヤモヤを潰す、というのはどういうことでしょう?
佐藤メバル
たとえば、グラフの軸は何を表しているのか、なぜこの形になるのか、といった疑問で止まりがちなところに、コラムで先回りして答えてくれる。
授業と並行して読むと、先生が説明を省いた部分を補ってくれる感じだね。ただ、上級のトピックは扱わないから、ここで自信をつけてから次の一冊に進むのがいいよ。

マンキュー マクロ経済学I 入門篇(第5版) (マンキュー マクロ経済学シリーズ)
N・グレゴリー・マンキュー 著|東洋経済新報社
¥4,400(税込)
マクロ経済学の超スタンダードなロングセラーテキストの第I巻、最新改訂版。トランプ大統領の貿易政策の帰結や、新型コロナ不況時の失業保険制度といった最新トピックスが新たにケース・スタディで取り上げられ、新型コロナ不況については新たに節を設けて深く分析する。「富裕層と貧困層の格差の拡大」を分析する補論も追加された。マクロ理論と実際の経済を照らし合わせながら学ぶのに絶好の書だ。
こんな人におすすめ
マクロだけを体系的に固めたい人、時事と理論を突き合わせて考えたい人、経済学専攻で中級への準備をしたい学生。事例から入るマクロを求める人に向く。
良い点
- ケース・スタディが最新
- 格差を扱う補論が追加
- 説明の安定感がある
気になる点
- 入門篇と応用篇に分かれる
- 価格が高め
- 分量が多く通読は重い
出版社
東洋経済新報社
発売日
2024年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
マクロ経済学って、ニュースとつながっているようでつながらない気がします。この入門篇はどうですか?
佐藤メバル
そこを突きつけてくる改訂になっているよ。原著第11版を反映した最新改訂で、トランプ大統領の貿易政策の帰結や、新型コロナ不況時の失業保険制度といったトピックスが新たにケース・スタディで取り上げられている。
新型コロナ不況については新しく節を設けて深く分析している。マクロ理論を実際の経済に照らして学ぶには絶好だね。
橘ナナミ
格差の話も入ったって聞きました。マクロで格差なんですか?
佐藤メバル
「富裕層と貧困層の格差の拡大」を詳しく分析する補論が追加された。マクロってどうしてもGDPや物価の話に見えがちだけど、分配の問題は避けて通れない。
この本は超スタンダードなロングセラーで、説明の安定感がある。第I巻と第II巻に分かれているから、まず入門篇から始めるといいよ。

マクロ経済学・入門〔第6版〕 (有斐閣アルマ)
福田慎一 著|有斐閣
¥2,750(税込)
生きたデータを用いて、現実の経済とマクロ経済学の関係を体系的に説明する定番テキストの最新版。統計の改定や制度の変更を反映してデータを更新し、コロナ不況後の近年の動向も盛り込んでいる。二色刷でわかりやすく、日本経済の学習にも役立つ。GDPや物価、雇用の数字がどう動いているかを追いながら理論を確認できるので、数字を読む習慣が自然に身につく。
こんな人におすすめ
日本の統計に触れながらマクロを学びたい人、データの読み方を身につけたい学生、公務員試験の基礎を作りたい人。日本の経済を自分事として捉えたい人に向く。
良い点
- 日本のデータが中心
- 改訂で情報が新しい
- 二色刷で読みやすい
気になる点
- 理論の深掘りは限定的
- 数値は改定で変わる
- 独学には補助が欲しい
出版社
有斐閣
発売日
2023年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
日本のデータでマクロを学べる本を探しています。この有斐閣アルマの本はどうでしょう?
佐藤メバル
ぴったりだと思う。生きたデータを使って、現実の経済とマクロ経済学の関係を体系的に説明する本で、統計の改定や制度の変更を反映してデータを更新している。
コロナ不況後の近年の動向も盛り込まれた最新版だよ。二色刷で、日本経済の学習にも役立つ。
橘ナナミ
データが更新されるって、地味ですけど大事ですよね。
佐藤メバル
すごく大事。マクロは数字が変わると印象が変わるからね。同じ失業率でも、定義や集計方法が変われば見え方が違ってくる。
この本はそこを丁寧に扱っている。ただし理論の深掘りは限定的だから、数式でがっつりやりたい人は別の本と組み合わせるといい。
データの読み方を身につけたい人に向いているよ。

たった1つの図でわかる!【図解】新・経済学入門
髙橋洋一 著|あさ出版
¥1,650(税込)
需要供給曲線という1つの図から出発し、モノの値段の決まり方からマクロ経済学、金融政策、財政政策まで説明しきろうとする本。金融政策は「金利とお金の量のシーソー」、財政政策は政府がお金を「取る・借りる・分配する」と整理し、マイナス金利や日銀総裁の任期終了といった話題にも触れる。著者は大蔵省で要職を歴任した人で、政策の現場感覚が語りににじむ。
こんな人におすすめ
ニュースの経済を自分の頭で考えたい人、図解で全体像を先につかみたい人、時間のないビジネスパーソン。入門書の前の一冊としても使える。
良い点
- 一つの図で通す構成
- 図解中心で分かりやすい
- 金融・財政の話題が新しい
気になる点
- 理論の網羅性は低い
- 著者の立場が前面に出る
- 教科書代わりには不向き
出版社
あさ出版
発売日
2023年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「たった1つの図で経済の9割がわかる」って帯に書いてあったら、さすがに疑いますよね……。
佐藤メバル
疑うのは正しい。ただ、この本の「1つの図」は需要供給曲線のことだ。経済理論のなかでもっともシンプルで汎用性が高い図を、徹底的に使い回す。
モノの値段の決まり方から金融政策、財政政策まで具体例で説明していく。著者は大蔵省で理財局資金企画室長などを務めた人で、政策の現場を知っている語りが持ち味だよ。
橘ナナミ
金融政策と財政政策のところが最新情報らしいですね。
佐藤メバル
マイナス金利や日銀総裁の任期終了といった話題まで触れている。金融政策は「金利とお金の量のシーソー」、財政政策は政府がお金を「取る・借りる・分配する」と整理していて、ニュースを読むときの物差しになる。
教科書としての網羅性は高くないから、入門書の前の心の準備か、ニュースの副読本として使うのがいいと思うよ。
![高校生のための経済学入門[新版] (ちくま新書 1779)](https://img.shelf-y.com/items/20334.jpg)
高校生のための経済学入門[新版] (ちくま新書 1779)
小塩隆士 著|筑摩書房
¥1,012(税込)
需要と供給、市場メカニズム、金利、格差、効率と公平、景気、物価、GDP、人口減少と経済成長、インフレ、金融政策、税金と財政、社会保障、円高と円安、比較優位、貿易と世界経済。経済学の全体像を一気につかむことを狙った入門書の新版で、キーワード索引が付いて検索性が上がった。知っているようで説明できない用語を、ニュースの言葉として理解し直せる。
こんな人におすすめ
経済ニュースの用語を人に説明できるようになりたい人、高校生から大学生、学び直しの社会人。索引から引く辞典のようにも使える。
良い点
- 全体像を一気につかめる
- キーワード索引で引ける
- 新書で手頃な価格
気になる点
- 図解は最小限
- 数式はほぼ出てこない
- 深掘りには別の本が必要
出版社
筑摩書房
発売日
2024年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「高校生のための」って付いていると、大学生が読んでも大丈夫なんでしょうか?
佐藤メバル
むしろ大人にこそ効く本だと思う。需要と供給、市場メカニズム、金利、格差、効率と公平、景気、物価、GDP、人口減少と経済成長、インフレ、金融政策、税金と財政、社会保障、円高と円安、比較優位、貿易と世界経済。
経済学の全体像を一気につかむための地図になっている。
橘ナナミ
キーワード索引が付いたのが新版の売りなんですよね?
佐藤メバル
そう。ニュースで見た言葉を索引から引いて、その項目だけ読む、という使い方ができる。GDPデフレーター、異次元の金融緩和、プライマリー・バランス、マネタリーベースといった、知っているようで説明できない用語を押さえられる。
新書サイズで手頃だから、学び直しの一冊目にもちょうどいいよ。

現代経済学の直観的方法
長沼伸一郎 著|講談社
¥2,640(税込)
資本主義はなぜ止まれないのか、農業経済はなぜ敗退するのか、インフレとデフレのメカニズム、貿易が拡大する理由、ケインズ経済学とは何だったのか、貨幣はなぜ増殖するのか、ドルはなぜ国際経済に君臨したのか、仮想通貨とブロックチェーン、そして資本主義の将来まで。理系に衝撃を与えた著者が、図と文章の直観で資本主義の本質に迫る。ビジネス書大賞2020特別賞を受賞した読み物だ。
こんな人におすすめ
経済をなんとなく避けてきた読書人、理系の視点で経済をとらえたい人、資本主義の行く末を考えたい人。教科書の前に読む教養書として最適。
良い点
- 直観で本質に迫る
- 扱う論点が大きい
- 読み物として面白い
気になる点
- 教科書的な網羅性はない
- 主張が強い箇所がある
- 初学者にはやや難解
出版社
講談社
発売日
2020年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「現代経済学の直観的方法」って、経済を避けてきた人向けだと聞きました。それって私のことです……。
佐藤メバル
その言葉は的を射ているね。著者はもともと「物理数学の直観的方法」で理系に衝撃を与えた人で、この本では資本主義の本質を直観的につかみにいく。
資本主義はなぜ止まれないのか、農業経済はなぜ敗退するのか、インフレとデフレのメカニズム、貿易が拡大する理由、ケインズ経済学、貨幣はなぜ増殖するのか、ドルはなぜ君臨したのか、仮想通貨とブロックチェーン、そして資本主義の将来まで。
橘ナナミ
教科書とは毛色が違うんですね。
佐藤メバル
違う。これは読み物としての経済書で、ビジネス書大賞2020の特別賞も受けている。数式で詰めるのではなく、図と文章で「なるほど、そういうことか」という納得を狙う。
教科書的な網羅性はないし、主張の強い箇所もあるけれど、経済を避けてきた人が最初に読んで面白がれる本は貴重だよ。

クルーグマン ミクロ経済学 第3版
ポール・クルーグマン;ロビン・ウェルス 著|東洋経済新報社
¥4,620(税込)
2025年8月刊の「入門経済学」に続く待望の改訂版教科書で、ノーベル経済学賞を受賞した著者による「アカデミックエンターテインメント」が貫かれている。現実のおもしろい事例から理論へ入る手法は、分厚い教科書を最後まで読ませるための仕掛けだ。ミクロ経済学を体系的に、かつ読み物として進められる。事例と理論の往復が、この本ならではの体験になる。
こんな人におすすめ
入門書の次にミクロを本格的に学びたい人、授業の指定教科書として使う学生、事例から理論を理解したい人。机に置いて参照する使い方に向く。
良い点
- 事例が豊富で引き込まれる
- 最新版への改訂
- ミクロを体系的に学べる
気になる点
- 944ページで持ち歩けない
- 価格が高い
- 入門書の後に読む位置づけ
出版社
東洋経済新報社
発売日
2026年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
クルーグマンのミクロ経済学って、入門経済学のあとに読む位置づけですか?
佐藤メバル
そう考えていい。2025年8月刊の「入門経済学」に続く待望の改訂版教科書で、ノーベル経済学賞を受賞した著者による「アカデミックエンターテインメント」の手法が貫かれている。
事例から入って理論に着地する流れは、分厚い教科書を最後まで読ませる工夫なんだよね。
橘ナナミ
944ページと聞いて、さすがに心が折れそうです。
佐藤メバル
全部を一度に読む必要はないよ。授業で指定された章から入って、事例の部分で全体像をつかんでから理論に戻る。
持ち歩くというより、机に置いて参照する辞書的な使い方が現実的だね。価格もそれなりにするから、まず図書館で手に取って、自分の学び方に合うか確かめてから買うのも手だよ。

クルーグマン マクロ経済学 第3版
ポール・クルーグマン 著|東洋経済新報社
¥4,620(税込)
ノーベル経済学賞を受賞した著者による、マクロ経済学の決定版と位置づけられる一冊。「アカデミックエンターテインメント」という言葉通り、現実の事例を軸に理論へ導く手法で、マクロの論点を読み物として追える。ミクロ編と同じ設計なので、シリーズで揃えると学び方の一貫性が生まれる。事例から入る勇気をくれる教科書だ。
こんな人におすすめ
マクロを事例で学びたい人、ミクロ編と揃えて学びたい人、入門書の次の段階に進む学生。シリーズの一貫性を活かしたい人に向く。
良い点
- マクロの決定版という位置づけ
- 事例軸で読み進めやすい
- ミクロ編と設計が揃う
気になる点
- 分量が多く通読は重い
- 価格が高い
- 入門書を先に読むと良い
出版社
東洋経済新報社
発売日
2026年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ミクロ編とマクロ編が揃っているなら、まとめて買ったほうがいいんでしょうか?
佐藤メバル
揃えると学びやすいのは確かだね。同じ著者の同じ手法で書かれているから、ミクロで身につけた読み方がマクロでもそのまま使える。
ノーベル経済学賞を受賞した著者による、マクロ経済学の決定版という位置づけで、事例を軸にした「アカデミックエンターテインメント」の語りが特徴だよ。
橘ナナミ
でも、いきなり二冊は勇気が要ります……。
佐藤メバル
そこは順番を考えればいい。入門書で全体像をつかんでから、必要性を感じたほうを先に選ぶ。ミクロの理論に物足りなさを感じたらミクロ編、ニュースの金融や物価の話が気になったらマクロ編、という選び方で十分だよ。
どちらも分量があるから、揃えることより、読み続けられるほうから始めるのが大事だね。

スティグリッツ ミクロ経済学(第4版) (スティグリッツ経済学シリーズ)
ジョセフ・E・スティグリッツ著 著|東洋経済新報社
¥4,180(税込)
スティグリッツ経済学シリーズのミクロ編最新版。2001年のノーベル経済学賞の受賞理由となった非対称情報の経済学の研究から、情報・不完全市場・イノベーション・技術を強調する。第4版では行動経済学の考え方をより取り入れ、消費者選択や資本市場の分析を大きく取り上げた。CEA委員長や世界銀行チーフエコノミストを歴任した著者による、情報の偏りから見るミクロが際立つ。
こんな人におすすめ
情報の非対称性や行動経済学をミクロで学びたい人、政策と理論をつなげて考えたい学生、標準理論に物足りなさを感じる人。市場の限界を知りたい人に向く。
良い点
- 情報の経済学が軸
- 行動経済学を取り入れている
- コラムが充実している
気になる点
- 736ページの大冊
- 価格が高い
- 訳文にやや癖がある
出版社
東洋経済新報社
発売日
2013年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
スティグリッツのミクロ編は、情報の経済学が軸って聞きました。それって他の教科書と何が違うんですか?
佐藤メバル
ノーベル経済学賞の受賞理由になった非対称情報の経済学の研究から、情報・不完全市場・イノベーション・技術を強調している点が大きな違いだね。
現実の市場は情報が偏っているのが普通で、そこを出発点にする。第4版では行動経済学の考え方をより取り入れて、消費者選択や資本市場の分析を大きく取り上げている。
橘ナナミ
コラムも充実しているそうですね。
佐藤メバル
「Thinking Like an Economist」のような定番コラムが並んでいて、理論の合間に経済学者の考え方を練習できる。
著者はCEA委員長や世界銀行チーフエコノミストも歴任した人で、政策の現場と理論の両方を見ている。736ページと重いから、章を絞って読むのが現実的。
情報や行動の視点に惹かれるなら、最初に選ぶ価値のある一冊だよ。

アセモグル/レイブソン/リスト マクロ経済学
ダロンアセモグル 著|東洋経済新報社
¥4,180(税込)
経済学の核心を最適化・均衡・経験主義の3つの原理で表し、現実の実証的な質問を最初に提示してデータを使って理論を学ぶ。理論とエビデンスのマッチングに重点が置かれ、3種類のコラム「根拠に基づく経済学」「データは語る」「選択の結果」が現実社会の直観的な理解を助ける。答えより確かめ方を身につけさせる、新しいタイプのマクロ入門だ。
こんな人におすすめ
実証的な問いから学びたい人、入門経済学の次にマクロへ進む人、データで議論する練習をしたい学生。数字を疑う力を伸ばしたい人に向く。
良い点
- データと理論を往復できる
- 実証的な問いから入れる
- 3種類のコラムが揃う
気になる点
- 数値は更新されていく
- 抽象化は少なめ
- 演習の補助が欲しい
出版社
東洋経済新報社
発売日
2019年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
アセモグルたちのマクロ編は、入門経済学とどう使い分けるんでしょう?
佐藤メバル
入門経済学で3つの原理に慣れたら、マクロ編でそれを具体的な問いに当てはめていく。この本は現実の実証的な質問を最初に提示して、データを使って理論を学ぶ。
理論とエビデンスのマッチングに重点が置かれているのが、他のマクロ教科書との違いだね。
橘ナナミ
データから入ると、答えを覚えるんじゃなくて考え方を覚える感じになりますね。
佐藤メバル
そう、まさにそこ。3種類のコラム——「根拠に基づく経済学」「データは語る」「選択の結果」——が、現実社会を直観的に理解する入口になる。
著者たちがまえがきで「経済学の考え方はシンプルだが、世界の出来事を説明し、予測し、改善するのに役立つ」と書いている通り、道具としての経済学を渡そうとしている。
データが更新されたら数字は変わるから、そこは自分で確かめる習慣もつくよ。

アセモグル/レイブソン/リスト ミクロ経済学
ダロン・アセモグル 著|東洋経済新報社
¥4,180(税込)
個人、家計、企業、政府がどのように選択し、その選択が価格、資源配分、他の主体の幸福にどう影響するかを学ぶミクロ経済学の入門テキスト。4部18章で、基盤から実験経済学と行動経済学の知見まで幅広く扱い、第IV部では時間とリスク、情報の経済学、オークション、さらに心理学や歴史学、人類学、社会学、政治学の知見を動員する。学際的な広がりが魅力だ。
こんな人におすすめ
行動経済学や実験経済学に惹かれる人、オークションや情報の経済学まで学びたい学生、経済学を現実社会と結びつけたい人。理論の拡張を体感したい人に向く。
良い点
- 実験経済学の知見が厚い
- 4部18章の体系性
- 学際的な広がりがある
気になる点
- 758ページと大冊
- 価格が高い
- 前提知識が要る箇所がある
出版社
東洋経済新報社
発売日
2020年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ミクロ編のほうは、行動経済学が前面に出ているって本当ですか? ちょっと意外でした。
佐藤メバル
本当だよ。監訳者も「本書の最も優れた特徴は、実験経済学と行動経済学の知見を前面に出して活用していること」と書いている。
個人、家計、企業、政府がどう選択するか、その選択が価格や資源配分、他人の幸福にどう響くかを学ぶ。4部18章の構成で、最後の第IV部では時間とリスク、情報の経済学、オークション、さらに心理学や歴史学、人類学、社会学、政治学の知見まで動員する。
橘ナナミ
オークションまで教科書に入るんですね。身近なのに急に難しそうです。
佐藤メバル
身近だからこそ入口になるんだよね。経済学の理論が現実社会へ拡張されていく過程を見せてくれる。ただ、758ページと大冊だから、第I部と第II部で基盤を作ってから先へ進むのが安心だよ。
基盤を飛ばすと、拡張の部分が単なる雑学に見えてしまうからね。

入門マクロ経済学 第6版
中谷巌 著|日本評論社
¥3,080(税込)
マクロ経済学の基礎理論を体系的に学べる入門テキストの大幅改訂版。GDPの理解と「短期」「長期」の区別から始まり、短期モデルではGDPの決まり方、貨幣の需給と利子率、IS-LM分析と財政金融政策、国際マクロ経済学、その後は長期均衡への調整、物価水準、インフレとデフレ、経済成長の理論、消費と貯蓄、投資決定へと進む。エピローグでは現代貨幣理論(MMT)とパンデミックまで扱う。
こんな人におすすめ
マクロの理論を段階的に積み上げたい人、IS-LMから成長論まで通したい学生、MMTまで視野に入れたい人。独学の道筋が欲しい人に向く。
良い点
- 短期と長期を分けて解説
- IS-LMから成長論まで網羅
- 最終章が現代的
気になる点
- 記述はやや硬め
- 図の読み解きに慣れが要る
- 独学には時間がかかる
出版社
日本評論社
発売日
2021年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
中谷巌の「入門マクロ経済学」って、息が長い本ですよね。第6版ではどこが変わったんですか?
佐藤メバル
入門テキストの原点に立ち帰って、よりわかりやすい記述へ大幅に改訂されたとされている。構成はしっかりしていて、GDPの理解、マクロ経済学における「短期」と「長期」の区別から始まり、短期モデルではGDPの決まり方、貨幣の需給と利子率、IS-LM分析と財政金融政策、国際マクロ経済学。
そのあと長期均衡への調整、物価水準、インフレとデフレ、経済成長の理論へと進む。
橘ナナミ
最後にMMTが出てくるって聞いて、今っぽいと思いました。
佐藤メバル
エピローグで「現代貨幣理論」とパンデミックを扱っている。ケインジアン・マネタリスト以降のマクロ経済学や、マクロ経済政策の有効性の議論も含めて、論点の現在地まで見せてくれる。
短期と長期を分けて積み上げる構成は、独学でも道筋が見えやすい。ただし記述は硬めだから、図を写しながら読むと理解が進むよ。

やさしいマクロ経済学 (日経文庫)
塩路悦朗 著|日本経済新聞出版
¥946(税込)
GDP、財政政策、金融政策、為替といったマクロ経済学の基本を、やさしい事例で解説する一冊。頭から理論を押しつけるのではなく、「なぜ税金が必要なのか」「なぜGDPから考えるのか」と読者に寄り添って進む。章末にはニュースを題材として取り込み、理解を深める工夫がある。著者は日本経済学会・石川賞を受賞した日本経済学研究の第一人者だ。
こんな人におすすめ
ニュースとマクロ経済学を結びつけたい人、文庫サイズで通勤中に読み進めたい人、公務員試験の入門に取り組みたい人。マクロを身近に感じたい人に向く。
良い点
- 文庫で手軽に読める
- 章末ニュースが実践的
- 読者に寄り添う語り
気になる点
- 分量は限られている
- 数式はほとんど出ない
- 網羅性は教科書に劣る
出版社
日本経済新聞出版
発売日
2019年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
日経文庫の「やさしいマクロ経済学」って、文庫でマクロが本当に分かるんでしょうか?
佐藤メバル
分かる範囲を絞り込んでいるから分かる、という本だね。GDP、財政政策、金融政策、為替をやさしい事例で解説して、章末にはニュースを題材として取り込んでいる。
著者は日本経済学会の石川賞を受賞した人で、理論を頭から押しつけるのではなく、「なぜ税金が必要なのか」「なぜGDPから考えるのか」と読者に寄り添う形で進める。
橘ナナミ
ニュースが章末にあると、復習しやすいですね。
佐藤メバル
そう、学んだ言葉がその日のニュースに接続する。文庫サイズの手軽さもあって、通勤や通学のすきま時間に読み進められる。
網羅性は教科書に譲るけれど、マクロを身近に感じられない、という人の最初の一冊としてはとてもよくできているよ。

マクロ経済学を学ぶ (ちくま新書)
岩田規久男 著|筑摩書房
国民総生産、国内総生産、経済成長、雇用、物価、国際収支、金利、為替レート。こうした国民生活に深く関わる経済変数がなぜ変動するのか、財政政策や金融政策で安定化させられるのか、成長率を引き上げて生活を豊かにできるのか。著者はマクロ経済学を「きわめて実践的な経済学」と位置づけ、政策に直結する問いから組み立てていく。
こんな人におすすめ
政策の効果を自分の頭で考えたい人、新書でマクロの輪郭をつかみたい人、経済学の学び直しをしたい社会人。問いの立て方を学びたい人に向く。
良い点
- 政策に直結する論点
- 新書で読みやすい
- 問いの立て方が明快
気になる点
- 数値例は限られる
- 演習問題は収録されない
- 図表は最小限
出版社
筑摩書房
発売日
1996年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ちくま新書の「マクロ経済学を学ぶ」って、どういう入り口の本ですか?
佐藤メバル
問いの立て方が明快な本だよ。国民総生産、国内総生産、経済成長、雇用、物価、国際収支、金利、為替レート。
こうした国民生活に深く関わる経済変数が、なぜ変動するのか。財政政策や金融政策で安定化させられるのか。
経済成長率を引き上げて、国民の生活を豊かにできるのか。この三つの問いを軸にしている。
橘ナナミ
政策の話に直結するんですね。理論のための理論じゃない感じがします。
佐藤メバル
著者はそれを「きわめて実践的な経済学」と表現している。新書だから、まずマクロの輪郭をつかむのに向いている。
細かい数値例や演習問題は期待しないほうがいいけれど、「何を明らかにしようとする学問なのか」を先に知っておくと、分厚い教科書に入ったときに迷わない。
順番として、こういう本を先に読むのはとても理にかなっているよ。

行動経済学入門
筒井義郎 著|東洋経済新報社
¥2,500(税込)
人間の非合理な感情や行動を体系的に解き明かす、日本初の入門テキストとされる一冊。行動ファイナンス、幸福の経済学、実践的な内容まで幅広く網羅し、思いつきではなく学問としての行動経済学を渡してくれる。標準的な経済学の前提に違和感を覚えた人が、次の一歩を踏み出すための土台になる。網羅性の高さが最大の武器だ。
こんな人におすすめ
人の意思決定のクセを体系的に学びたい人、マーケティングや人事に携わる人、標準理論に物足りなさを感じる学生。最初の体系書として選びたい。
良い点
- 幅広く網羅している
- 体系的に学べる
- 実践的な内容まで含む
気になる点
- 図解中心ではない
- 204ページで圧縮されている
- 事例の詳細は限られる
出版社
東洋経済新報社
発売日
2017年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
行動経済学に興味が出てきたんですけど、最初の一冊はどれがいいんでしょう?
佐藤メバル
体系的に学ぶなら、この筒井さんの「行動経済学入門」がいい。日本で最初の入門テキストとされていて、行動ファイナンス、幸福の経済学、実践的な内容まで幅広く網羅している。
人間の非合理な感情や行動を、思いつきではなく体系として解き明かす設計になっているのが強みだね。
橘ナナミ
幸福の経済学、という言葉が気になります。経済学で幸福を扱うんですか?
佐藤メバル
扱うんだよね。お金やモノの量だけでは説明できない満足をどう測るか、という論点がある。この本はそのあたりも視野に入れている。
204ページでコンパクトに圧縮されているから、まず全体像をつかんで、気になったテーマを専門書で深掘るという使い方がいい。
図解中心の本ではないので、そこは好みが分かれるところだね。

ビジネス教養 行動経済学 (サクッとわかるビジネス教養)
阿部誠 著|新星出版社
¥1,340(税込)
行動経済学の基本となる考え方をイラスト図解で示し、それをビジネスや生活に生かす方法を豊富な実例とともに紹介する。宿泊予約サイトがリアルタイムの閲覧者数を表示して予約を促す仕組みなど、身のまわりにある活用例が次々と登場する。著者は東大教授で、個人の心理に着目したマーケティング研究の第一人者。会議で使える語彙が増える一冊だ。
こんな人におすすめ
企画や営業の提案に行動経済学を生かしたい人、知識ゼロから始めたいビジネスパーソン、会議で説明する機会が多い人。実務の引き出しを増やしたい人に向く。
良い点
- イラスト図解で分かりやすい
- 実例が豊富
- 説明や提案に使いやすい
気になる点
- 理論の深掘りは少ない
- 学術的な厳密さは控えめ
- 167ページで概要中心
出版社
新星出版社
発売日
2021年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
仕事で企画を出すときに使える行動経済学の本を探しています。これは実務向けですか?
佐藤メバル
実務向きだね。12万部突破のシリーズで、行動経済学の基本をイラスト図解で示して、それをビジネスや生活に生かす方法を豊富な実例で紹介している。
たとえば宿泊予約サイトがリアルタイムの閲覧者数を表示して、「これだけ注目されているならいいホテルに違いない」「急がないと埋まってしまうかも」と思わせる仕組み。あれは行動経済学の活用なんだ。
橘ナナミ
それ、見たことあります。知らずに動かされてたんですね……。
佐藤メバル
誰でも動かされる。だからこそ、こちら側が仕組みを知っておく価値がある。著者は東大教授で、マーケティング研究の第一人者。
「見るだけで会話・説明ができる」というシリーズのコンセプト通り、会議で提案するときの語彙が増えるよ。
理論を厳密に詰める本ではないから、そこは役割分担だね。

池上彰の行動経済学入門 (働く君に伝えたい「本物の教養」)
池上彰 著|学研プラス
なぜ、人はほぼ当たらない宝くじを買ってしまうのか。なぜ、1980円の値付けが好まれるのか。コンビニがおにぎり100円セールを実施する理由とは何か。身近な事例を通して、行動経済学の基礎がいっきにわかる入門書。数字や理論を暗記するのではなく、自分の経験に引きつけて「あ、これか」と納得しながら読める。日常の入口から入るのが持ち味だ。
こんな人におすすめ
行動経済学を物語として読みたい人、具体例から入りたい初学者、経済学に苦手意識のある人。最初の一冊として拒否反応が出にくい。
良い点
- 身近な事例が豊富
- 語り口が読みやすい
- 入門として親切
気になる点
- 学術的な網羅性は低い
- 実験設計までは扱わない
- 概説にとどまる
出版社
学研プラス
発売日
2022年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
池上彰さんの行動経済学入門って、他の入門書とどう違うんでしょうか?
佐藤メバル
入口がとにかく身近なんだ。なぜ、人はほぼ当たらない宝くじを買ってしまうのか。なぜ、1980円の値付けが好まれるのか。
コンビニがおにぎり100円セールを実施する理由とは何か。こうした日常の疑問を通して、行動経済学の基礎がいっきにわかる作りになっている。
橘ナナミ
1980円の話は、私も無意識に選んでます。理由があったんですね。
佐藤メバル
そう、値付けの心理にはちゃんと名前がついている。数字を覚えるというより、「あ、これか」と自分の経験に結びつけて読めるのがこの本の良さだね。
学術的な網羅性や実験設計の細部は他の本に譲るけれど、最初の一冊として拒否反応が出にくい。読んだあとに、体系的な入門へ進むと二段構えで理解が固まるよ。

ミクロ経済学の力
神取道宏 著|日本評論社
¥3,520(税込)
圧倒的な文章のわかりやすさ、図解による直観的な理解、理論を裏付ける豊富な実例。この三つで、市場メカニズムの特長と問題点からゲーム理論、情報の経済学、社会思想の話までを一本の道としてつなぐ。TPPとコメの輸入自由化を供給曲線の推計から丁寧に分析し、ナッシュ均衡から逆淘汰とシグナリングまで扱う。入り口から頂点までを一冊で見通せる決定版だ。
こんな人におすすめ
経済学部2年生から大学院生、経済政策を担当する公務員やジャーナリスト、エコノミック・リテラシーを身につけたい人。腰を据えて学びたい人に向く。
良い点
- 説明が圧倒的に明快
- 実例が豊富で具体的
- ゲーム理論も厚い
気になる点
- 552ページで骨が折れる
- 数学の補論がある
- 完全な初学者には難所
出版社
日本評論社
発売日
2014年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「ミクロ経済学の力」って、タイトルからして気合いが必要そうですが、どのくらいのレベルなんですか?
佐藤メバル
メインの対象は経済学部2年生から大学院生。ただ、学生だけでなく、経済政策を担当する公務員や政治家、ジャーナリストなど、経済の正しい理解を持っておくべき人に勧められている。
圧倒的な文章のわかりやすさ、図解による直観的な理解、理論を裏付ける豊富な実例が三本柱だね。
橘ナナミ
TPPとコメの輸入自由化の分析が入っているって聞いて、具体的だと思いました。
佐藤メバル
そこがこの本の気持ちよさでね。供給曲線をどう推計するのか、自由化でコメの値段はどのくらい下がるのか、得をするのは誰か、そもそも自由化すべきか、と一歩ずつ進む。
ゲーム理論もバランスよく盛り込まれていて、ナッシュ均衡から逆淘汰とシグナリングまで扱う。厚いけれど、入り口から頂点までの本質が一本の道としてつながっている。腰を据えて読む価値のある一冊だよ。

この世で一番おもしろいミクロ経済学――誰もが「合理的な人間」になれるかもしれない16講
ヨラム・バウマン 著|ダイヤモンド社
¥1,650(税込)
全編おバカなマンガとシニカルな笑いで突っ走りながら、べらぼうに役に立つ構成の入門書。最大の工夫は、「需要と供給」の話を後半まで意図的に出さないこと。まず合理的な個人の意思決定とリスク、次にゲーム理論や公平の問題、最後に抽象的な枠組みへ進む。著者は自称「お笑いエコノミスト」で、マンキューもマスキンも絶賛した。つまずかない順番が設計されている。
こんな人におすすめ
ミクロ経済学に拒否反応がある人、マンガから入りたい読者、最初に笑いながら全体像に触れたい人。とっつきやすさ最優先の人に向く。
良い点
- マンガでとっつきやすい
- 構成の順序が工夫されている
- 経済学者の絶賛が並ぶ
気になる点
- 理論の網羅性は低い
- ギャグの好みが分かれる
- 演習問題はない
出版社
ダイヤモンド社
発売日
2011年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ミクロ経済学に拒否反応があるんですけど、マンガなら読めるかなと思って。これって本当に中身があるんですか?
佐藤メバル
中身はあるよ。著者は自称「世界でただ一人のお笑いエコノミスト」で、マンキューの「経済学の10大原理」をパロったプレゼンで笑いを取り、マンキュー本人から絶賛された人なんだ。
そして一番すごいのは、なぜミクロ経済学がおもしろくないかを考え抜いて、構成を工夫していること。「需要と供給」の話を後半まで意図的に出さないんだよ。
橘ナナミ
え、いきなりそこから始めないんですか? 市場の話が最初だと思ってました。
佐藤メバル
そう、そこがミソ。まず市場を構成する「合理的な個人」の意思決定やリスク、次に数人のやりとりであるゲーム理論や公平の問題、最後に需要と供給を含む抽象的な枠組みへ進む。
だから抽象的でイメージしにくいところで最初につまずかない。マスキンも「これは偉業だ」と評している。ギャグの好みは分かれるけれど、入口として最強の一冊だよ。
学年別・目的別の読書ロードマップ
橘ナナミ
経済学部って、学年ごとに読むべき本が変わるんでしょうか。
佐藤メバル
変わる。大学のカリキュラムは「経済学の考え方→ミクロ→マクロ→統計・計量→応用」という順番で組まれていることが多い。1年生は全体像、2年生でミクロとマクロの理論、3年生で統計や計量とゼミ、4年生で論文。だから1年生のうちに分厚い教科書へ突っ込むと、たいてい途中で止まってしまう。
橘ナナミ
具体的にはどう進めれば?
佐藤メバル
1年生は新書か図解で全体像をつかみ、講義の予習復習に教科書を使う。2年生は講義と並行して定番教科書を1冊通しで読む。ここで初めて数式やグラフが本格的に出てくる。3年生は統計やデータの本、そしてゲーム理論や情報の経済学へ。4年生で古典や思想史に手を伸ばす。『資本論』や『一般理論』のような古典は、基礎がない状態で開くとただの難解な文章になる。タイミングを設計してから読むほうが、はるかに面白いんだ。
橘ナナミ
独学なら、何ヶ月くらいを目安にすればいいんでしょう。
佐藤メバル
目安として、最初の1〜2ヶ月で入門書を1冊読み切り、次の2〜3ヶ月で定番教科書を1周、その後の2〜3ヶ月で演習問題、というイメージ。急がず「1冊を最後まで」を優先してほしい。
定番教科書の横断比較と“再入門”の設計
橘ナナミ
マンキューとクルーグマンとスティグリッツ、並べると何が違うんでしょう。
佐藤メバル
切り口が違うんだ。マンキューは「経済学の10原則」という骨格から積み上げる教科書型。クルーグマンは具体例とコラムで物語のように読ませる型。スティグリッツは情報の不完全性という視点を軸に、ミクロとマクロを統一的に展開する型。アセモグルらは「最適化・均衡・経験主義」の3原理と、現実のデータを議論の根幹に据えるコラムで読ませる型だね。だから「どれが上」ではなく、自分の講義の進め方や、理論から入りたいか事例から入りたいかで選ぶといい。
橘ナナミ
ちなみに、定番教科書を買うときの注意点はありますか?
佐藤メバル
版の新旧だけは必ず確認して。教科書は改訂でトピックが入れ替わるから、古い版だと講義とページがずれることがある。逆に、名著と呼ばれる読み物や古典は版が古くても価値が落ちない。この違いを意識しておくと、中古や図書館を上手に使えるよ。
経済数学・計量への橋渡しと、読了後のアウトプット
橘ナナミ
数学が出てくるところで毎年挫折する人がいると聞きます。
佐藤メバル
だから順番を間違えないでほしい。『ミクロ経済学の第一歩〔新版〕』のように、初学者がつまずきやすい箇所に絞って具体例とイラストで説明してくれる本で慣らしてから、神取道宏『ミクロ経済学の力』のような本へ進む。あの本には補論として必要な数学の解説がついているから、文系でも橋を渡れる。グラフを読む→微分の意味をつかむ→データを読む、の順だね。
橘ナナミ
データや統計に強くなりたい場合、どの本から入ればいいんでしょう。
佐藤メバル
いきなり計量経済学の専門書に行かず、まず講義で指定された統計のテキストを1冊。そのうえで、アセモグル/レイブソン/リスト ミクロ経済学やマクロ経済学にある「根拠に基づく経済学」「データは語る」といったコラムが、現実のデータをどう使うかを体感させてくれる。データに触れる入口としてはとても良いよ。
橘ナナミ
入手方法はどう選べば? 全部買うのは大変そうで……。
佐藤メバル
定番教科書は図書館にあることが多いから、まず借りて「自分のレベルに合うか」を確かめ、合ったら手元に置く。新書や図解本は電子でも読みやすい。中古は安いけれど、改訂版が出ている教科書は版だけは必ず確認して。
橘ナナミ
読んだ後は何をすればいいんでしょう。
佐藤メバル
アウトプットしてほしい。ゼミなら「この主張はどのデータで支えられているか」を確認する。レポートなら、読んだ本の図を自分の言葉で描き直す。読書会なら1冊を分担して要約し合う。行動経済学やデータの話は議論が弾むから、入口としてもいいよ。簿記や会計、公務員試験、就職活動と経済学をつなげたい人は、入門書で用語を押さえてから専門書に進むと、面接で「なぜそうなるのか」を説明できるようになる。
よくある質問
経済学部1年生はまず何を読めばいいですか?
橘ナナミ
経済学部1年生はまず何を読めばいいですかについて教えてください。
佐藤メバル
最初は分厚い教科書ではなく、全体像がつかめる薄い1冊から始めるのがおすすめです。『高校生のための経済学入門[新版]』は需要と供給、金利、GDP、物価、為替までを一冊で見渡せるので、講義の地図づくりに向いています。講義で教科書が指定されているなら、それを予習復習用に使い、通読は薄い入門書で済ませると挫折しにくくなります。
マンキュー経済学と伊藤元重「入門経済学」はどちらがおすすめですか?
橘ナナミ
マンキュー経済学と伊藤元重「入門経済学」はどちらがおすすめですかについて教えてください。
佐藤メバル
まず、受講する講義でどちらが指定されているかで決めるのが最短です。独学なら、マンキュー入門経済学は「経済学の10原則」から始まり、ミクロとマクロを一貫して学べる構成で、図版と用語説明が見やすくなっています。伊藤元重さんの入門書も同じく入門の定番として名前が挙がる一冊なので、書店で並べて、目次と索引の使いやすさで選ぶと納得しやすいです。
数学が苦手でも経済学の本は読みこなせますか?
橘ナナミ
数学が苦手でも経済学の本は読みこなせますかについて教えてください。
佐藤メバル
読みこなせます。コツは、数式中心の本にいきなり挑まず、図だけで説明してくれる本を1冊はさんでから進むことです。『ミクロ経済学入門の入門』は数式を使わずシンプルな図だけで基本を説明しますし、『ミクロ経済学の第一歩〔新版〕』はつまずきやすい箇所に絞って具体例とイラストで解説しています。その後に進む本にも、必要な数学を補論として解説してくれるものがあります。
経済学の入門書で挫折しました。次に読むべき本はありますか?
橘ナナミ
経済学の入門書で挫折しました。次に読むべき本はありますかについて教えてください。
佐藤メバル
一度レベルを下げるのが正解です。『ミクロ経済学入門の入門』は、無差別曲線や限界効用、ナッシュ均衡といった“つまずきの石”を、数式なしで説明し直してくれます。あるいはマンガ形式や図解形式の入門で、需要と供給の考え方を直感的につかみ直すのも有効です。再入門で「わかった」を取り戻してから、教科書に戻れば大丈夫です。
「経済学」と「経済(時事)」の本はどちらから読むべきですか?
橘ナナミ
「経済学」と「経済(時事)」の本はどちらから読むべきですかについて教えてください。
佐藤メバル
先に経済学の考え方を少しだけ仕込むのがおすすめです。需要と供給、均衡、金利といった道具を持っていると、日銀の金融政策や円安のニュースが「なぜそうなるのか」まで読めるようになります。逆に時事の本から入って経済学に興味を持つ流れも自然なので、まずは薄い入門か図解を1冊、そのあと時事の本を並行して読むと理解が定着します。
独学で経済学を学ぶ場合、本を読む順番はどうすればいいですか?
橘ナナミ
独学で経済学を学ぶ場合、本を読む順番はどうすればいいですかについて教えてください。
佐藤メバル
全体像→理論→演習の順が基本です。最初の1〜2ヶ月で新書か図解の入門を1冊読み切り、次の2〜3ヶ月で定番教科書を1周、その後の2〜3ヶ月で練習問題に取り組むイメージです。ミクロとマクロを同時に進めると混乱しやすいので、どちらか一方を軸にして、もう一方を後から重ねるほうが頭が整理されます。
行動経済学を学ぶなら最初に読む1冊は何ですか?
橘ナナミ
行動経済学を学ぶなら最初に読む1冊は何ですかについて教えてください。
佐藤メバル
取っかかり重視なら、イラスト図解で基本から実例までを見せる『ビジネス教養 行動経済学』や、身近な事例から入る『池上彰の行動経済学入門』が読みやすいです。体系的に土台を作りたいなら、行動ファイナンスや幸福の経済学まで幅広く網羅した『行動経済学入門』が一冊目に向いています。読みやすさから入って、理論書で肉付けする順番がおすすめです。
レポートや論文に役立つ統計・データ分析の本はありますか?
橘ナナミ
レポートや論文に役立つ統計・データ分析の本はありますかについて教えてください。
佐藤メバル
まずは講義で指定された統計のテキストを1冊きちんと通すのが近道です。加えて、アセモグル/レイブソン/リスト ミクロ経済学やマクロ経済学には「根拠に基づく経済学」「データは語る」といったコラムがあり、現実のデータをどう議論に使うかを具体的に体感できます。理論書と並行して読むと、レポートで資料をどう扱うかの感覚がつかめます。
まとめ
橘ナナミ
今日の話、けっこう衝撃でした。「良い本」より「今の自分に合う本」なんですね。
佐藤メバル
そう。経済学部の本は、地図と道具と冒険記の3種類に分かれると思ってほしい。
橘ナナミ
地図と道具と冒険記……?
佐藤メバル
新書や図解は地図で、どこに何があるかを教えてくれる。教科書は道具で、使い方を練習しないと身につかない。古典や読み物は冒険記で、地図と道具を持ってから読むと景色がまるで変わる。順番を変えるだけで、同じ1冊の意味が変わってしまうんだ。
橘ナナミ
なるほど……。私、まずは『ミクロ経済学入門の入門』から始めてみます。数式なしなら、たぶん最後まで読めそうなので。
佐藤メバル
いいね。経済学の本は、山に登る装備と一緒で、いきなり冬山の一式を買い揃える必要はない。まずは町の丘から。一冊読み切った経験が、次の一冊を呼んでくれるよ。経済学部の4年間は、その小さな登頂の積み重ねでできているんだ。
