経済を知るための本のおすすめ人気ランキング25選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
佐藤さん、ひとつ聞いてもいいですか。経済の本って、書店に山ほど並んでいますよね。入門書、新書、教科書、ビジネス書……正直どれから手を出せばいいのか分からなくて、毎回立ち読みで終わってしまうんです。
佐藤メバル
いい質問だね。その「選べない」こそが、経済の本で最初の壁なんだ。書店員時代、経済書の棚の前で腕組みしているお客さんを何人も見てきたよ。
橘ナナミ
やっぱりみなさん迷うんですね。なんとなく、分厚い教科書を買わないといけないのかなって身構えてしまいます。
佐藤メバル
そこが最初の誤解なんだ。経済の本は、理論を扱う本と時事を扱う本でまったく別物。まず自分がどちらを欲しいのかを見極めるのが出発点になる。今日はここに並んだ25冊を、選び方の軸ごとに整理していこう。
橘ナナミ
地図を作るみたいで、わくわくします!
経済を知るための本の選び方
目的別
橘ナナミ
目的別って、具体的にはどう分けるんですか?
佐藤メバル
大きく3つだね。理論を体系で学ぶなら『大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる』や『この1冊でミクロとマクロが同時にわかる経済学』。ニュースを読み解くなら『経済の仕組み 学び直しの教科書』や『イングランド銀行公式 経済がよくわかる10章』。家計や資産に活かすなら『お金のむこうに人がいる』が起点になる。
レベル別
橘ナナミ
レベル別だと、何段階くらいに分かれるんですか?
佐藤メバル
図解・マンガなら『経済ってなんだ? 世界一たのしい経済の教科書』、新書入門なら『池上彰の経済学入門』や『高校生のための経済学入門[新版]』、大学の教科書なら『マンキュー入門経済学』や『アセモグル/レイブソン/リスト 入門経済学』、その先の専門書は『世界最高峰の経済学教室』。この4段階を意識するだけで選びやすくなる。
形式別
橘ナナミ
形式って、そんなに違いが出るものなんですか?
佐藤メバル
出るんだよ。物語・対話形式なら『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』、1見開き完結の図解型なら『今さら聞けない!経済のキホンが2時間で全部頭に入る』、教科書型なら『クルーグマン 入門経済学』、新書の読み物型なら『現代経済学』。読む体力に合った形式を選ぶのが、いちばん長続きする。
負荷別
橘ナナミ
負荷は、ページ数を見ればいいんですか?
佐藤メバル
ページ数と図解の比率、そして数式の有無の3点で見るといい。200〜300ページ前後で数式がほとんど出ないのは『お金のむこうに人がいる』や『今さら聞けない!経済のキホンが2時間で全部頭に入る』。逆に500ページを超えて数式も扱うのは『マンキュー入門経済学』だ。ここを先に確かめるだけで挫折率がぐっと下がる。
鮮度別
橘ナナミ
古い本は読まないほうがいいんでしょうか?
佐藤メバル
そんなことはない。ただ、現実の経済を説明する力は出版年で変わる。『池上彰のやさしい経済学』が令和新版として改訂されているのはその証拠だね。古典で骨組みを学びつつ、今のニュースを追うなら『経済の仕組み 学び直しの教科書』のような新しい本を併せる。これが鮮度の使い分けだ。
コスト別
橘ナナミ
いきなり買うのは、やっぱり勇気がいります。
佐藤メバル
まず図書館で借りて、手元に置きたいと思ったら買う。電子なら試し読みで相性を確かめる。『経済の考え方がわかる本』のようにジュニア新書で軽く試すのも手だよ。借りて試す→買って再読するの順番なら失敗が少ない。
経済を知るための本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、25冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
経済を知るための本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい

父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。
ヤニス・バルファキス 著|ダイヤモンド社
¥1,617(税込)
元財務大臣の父が十代の娘に語りかける形で、資本や資本主義という言葉を使わずに経済の本質を解き明かす一冊です。ギリシャ神話や小説、映画まで動員して『なぜ一部の人に富が集中するのか』『すべての富は借金から生まれる』といった核心に迫り、読み終えた瞬間に世界の見え方が変わる。経済書なのに一気に読めるのが最大の魅力で、用語暗記型の入門書とは一線を画します。
こんな人におすすめ
経済に苦手意識があり、まずは物語のように読める一冊から入りたい人。ニュースで格差や公的債務、仮想通貨の話題に触れてモヤモヤしている社会人。中学生から大人まで、経済を教養として一度つかまえ直したい読者に向きます。
良い点
- 物語のように一気に読める
- 資本や資本主義の語を使わず本質を語る
- 格差・債務・環境まで射程が広い
気になる点
- 用語の厳密な定義は学べない
- 体系的な教科書ではない
- 娘への語りという形式に好みが分かれる
出版社
ダイヤモンド社
発売日
2019年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
佐藤さん、これタイトルからしてもう気になります。『父が娘に語る』って、経済の本なのに物語みたいじゃないですか?
佐藤メバル
そこがこの本の仕掛けなんです。元財務大臣の著者が、資本や資本主義という言葉を一切使わずに、十代の娘に語りかける形で経済を説明している。
ギリシャ神話や映画まで動員して、なぜ富が一部に集中するのか、すべての富は借金から生まれるという話まで運んでいく。
経済書なのにページをめくる手が止まらないという声が多いのも納得です。
橘ナナミ
言葉を使わないで説明するって、逆に難しそうですけど……。でもそれなら、私みたいに用語でつまずく人間でも読めそうですね。
佐藤メバル
そう、そこが狙いなんですよ。用語を覚える本ではなく、世界の仕組みを物語として腹に落とす本。だから教科書的な入門書を一冊読んだ後にこれを読むと、点と点がつながります。
逆に厳密な定義を求める人には向かないので、そこは使い分けですね。

経済ってなんだ? 世界一たのしい経済の教科書
山本御稔 著|SBクリエイティブ
¥1,551(税込)
小学3年生の領太が、大学で経済学を教えていた亡き祖父と再会し、円高・円安、貿易、銀行、日銀、景気、インフレ・デフレ、税金、保険、年金、資産運用、仮想通貨、環境経済までを対話形式で学んでいく物語です。解説がすべて祖父と孫の会話なので、勉強している感覚なしにキホンが入る。ラスト10ページは涙なしには読めないと評される構成で、経済入門書としては異色のエンターテインメント性を持ちます。
こんな人におすすめ
経済用語を何度も調べ直しては挫折してきた人。テレビの経済ニュースを少しでも理解したい社会人。わが子に経済を教えたいと考えている人や、小学生から大人まで幅広い年齢層で読める入門書を探している人にも向きます。
良い点
- 対話形式でスラスラ読める
- 経済のキホンを一通り網羅
- 物語としての感動がある
気になる点
- 用語の深い定義までは踏み込まない
- 物語の好みが分かれる
- 網羅的ゆえ一つ一つは浅め
出版社
SBクリエイティブ
発売日
2021年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
小学生が主人公の経済の本って、正直どういう層に向けて書かれてるんですか? 私には関係ないのかなって。
佐藤メバル
これね、表向きは子ども向けの物語なんですけど、大人が読んでも十分すぎる内容です。領太が亡きおじいちゃんと再会して、円高や銀行、年金、仮想通貨まで順番に教わっていく。解説が全部、祖父と孫の会話なんですよ。
橘ナナミ
亡くなったおじいちゃんと再会って……なんだかもう泣けそうなんですけど。それで経済が学べるんですね。
佐藤メバル
そこなんです。ラスト10ページは涙なしには読めないと評されるほどで、『覚えなきゃ』と身構えるのが苦手な人ほどこの柔らかさが効きます。
ただ、やさしく噛み砕いた分だけ一つ一つは浅めなので、その先を知りたくなったら次の一冊に進む。そういう入口の本です。

お金のむこうに人がいる 元ゴールドマン・サックス金利トレーダーが書いた 予備知識のいらない経済新入門
田内学 著|ダイヤモンド社
¥1,980(税込)
元ゴールドマン・サックスの金利トレーダーが、専門用語も難しい数式も使わずに書いた経済入門です。『なぜ紙幣をコピーしてはいけないのか』『なぜ家の外ではお金を使うのか』といった身近な問いから、貿易黒字でも生活が豊かにならない理由、大量に借金しても潰れない国がある理由まで、お金ではなく人の視点で考えていきます。足し算と引き算以外の数式は出てこないと明言された構成で、経済を自分で考える力が残ります。
こんな人におすすめ
経済学者や評論家の言っていることが分からずモヤモヤしている人。金融の仕事に就いたり、投資や資産形成を考え始めた社会人。経済の問題は専門家に任せきりでいいのかと考えたことのある読者に向きます。
良い点
- 専門用語と数式をほぼ使わない
- 身近な問いから積み上げる構成
- 最後に答えのない謎を投げかける
気になる点
- 数式で厳密に学びたい人には物足りない
- 著者の主張の色が濃い
- 制度の細部までは扱わない
出版社
ダイヤモンド社
発売日
2021年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
元ゴールドマン・サックスって聞くだけで身構えちゃうんですけど、この本はやさしいんですか?
佐藤メバル
そこが面白いところで、著者自身が『経済を考えるのに専門用語は必要なかった』と書いているんです。政府の借金である日本国債などを扱う現場に長くいて、出てくる数式は足し算と引き算くらいだと明言している。
お金を取っ払って人を見れば、経済はシンプルになるというのがこの本の芯です。
橘ナナミ
じゃあ、ふわっとした精神論じゃないんですね。ちゃんと現場の人が書いてる経済の話なんですね。
佐藤メバル
そう。資本主義のど真ん中で働いたからこそ、経済はお金ではなく人を中心に考えないといけないと確信したと書いています。
しかも最後に、答えがまだ見つかっていない謎を読者と一緒に考えようとする。読み終わったあとに、自分で考え続ける余白が残る本です。

この1冊でミクロとマクロが同時にわかる経済学
加藤真也 著|かんき出版
¥1,980(税込)
YouTube『はじめよう経済学』で人気の大学教授が、大学経済学部の教養を一冊にまとめた入門書です。前半で日本経済の循環と市場の秩序を押さえ、マクロではGDP、45度線分析、貨幣市場、IS-LM分析、マンデル=フレミング・モデル、ミクロでは余剰分析、効用最大化、費用最小化、独占・寡占、市場の失敗、情報の非対称性、比較優位と自由貿易まで扱います。難しい数学知識は不要と明言され、図解中心で理論の骨格がつかめます。
こんな人におすすめ
投資の基礎知識として経済学を知りたい人。仕事で金利や為替の話についていけず、一度体系的に学び直したい社会人。資格試験や大学の講義でつまずいた人が、独学で立て直すための一冊にも向きます。
良い点
- ミクロとマクロを一冊で通せる
- 図解中心で独学しやすい
- 講義形式で論点が整理される
気になる点
- 数式アレルギーが強いと後半は重い
- 問題演習の量は多くない
- 初学者には進度が速い箇所がある
出版社
かんき出版
発売日
2026年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ミクロとマクロって、名前は聞くけど何が違うんですか? そこから説明してもらえると嬉しいです。
佐藤メバル
いい質問だね。ざっくり言えば、マクロはGDPや金利、為替みたいに経済全体の動きを見る視点、ミクロは消費者や企業がなぜその選択をするのかを見る視点です。
この本は日本経済の循環から入って、マクロ、ミクロの順に並べている。45度線分析やIS-LM分析なんて言葉も出てきますが、著者は数学知識は不要だと明言しています。
橘ナナミ
YouTube発の本なんですね。動画で予習してから読むと、頭に入りやすそう。
佐藤メバル
そういう使い方が一番効率的です。動画で流れをつかんでから本文を読むと、講義の板書を眺めている感覚に近い。
逆に、数式でがっつり演習したい人には物足りないので、そこは目的次第で選び分けてください。

今さら聞けない!経済のキホンが2時間で全部頭に入る
吉田泰史 著|すばる舎
¥1,760(税込)
河合塾で高校生に経済を教えてきた公民科講師が、16年間で5000人以上の『経済が理解できない』という悩みに向き合った経験から書いた一冊です。構成は『1見開き・1トピックス』で、片方のページに見出しと要点と図解をまとめ、経済の本質から資本主義、市場の機能、経済成長、財政、金融、国際経済までを網羅します。時間のない人は要点ページだけ読めばツボがつかめると著者自身が書いており、腹落ちする例え話が随所に仕込まれています。
こんな人におすすめ
経済ニュースや経済用語に苦手意識があり、まず全体像を短時間でつかみたい人。通勤や休憩のすきま時間で少しずつ読み進めたい社会人。講義や研修の前に、用語の整理をしておきたい学生にも向きます。
良い点
- 1見開き完結で読み進めやすい
- 図解と例え話で記憶に残る
- 基礎から国際経済まで網羅
気になる点
- 各テーマの深掘りは少ない
- 読了後の実践問題はない
- 紙面の都合で説明が簡潔
出版社
すばる舎
発売日
2019年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
二時間で全部頭に入るって、さすがに言い過ぎじゃないですか? 私、三回くらい挫折してるんですけど。
佐藤メバル
はは、そこは冷静に受け取ってください。全部を暗記する本ではなく、全体の地図を短時間で描く本です。1見開きに1トピック、片方のページに見出しと要点と図解がまとまっていて、著者自身が時間のない人は要点ページだけ読めばツボがつかめると書いています。
橘ナナミ
あ、地図を描く本か。それなら挫折した私でも入れるかも。例え話があるのも助かります。
佐藤メバル
この著者は河合塾で16年、5000人以上の『経済が理解できない』という相談に向き合ってきた人なんですよ。
だから説明が受験生的に腹落ちする。例え話と図解で二度と忘れないように作られています。深掘りは少ないので、そこは次の一冊に任せましょう。
![池上彰のやさしい経済学[令和新版] 1 しくみがわかる](https://img.shelf-y.com/items/19861.jpg)
池上彰のやさしい経済学[令和新版] 1 しくみがわかる
池上彰 著|日経BP 日本経済新聞出版
¥1,760(税込)
シリーズ累計48万部超という経済学入門の定番が、十年ぶりに改訂された令和新版の第一巻です。『お金とは何か』から始まり、需要と供給、ケインズ経済学、行動経済学まで、これだけは知っておきたい基礎を用語解説とイラストで整理します。アダム・スミス、マルクス、ケインズ、フリードマン、比較優位と、経済学の系譜を章立てで追える構成が特徴で、いったん基礎を学べばずっと役に立つという著者の言葉どおり、息の長い一冊です。
こんな人におすすめ
経済学を初めて学ぶ学生。円安や物価高のニュースに不安を感じ、基礎から理解したい社会人。かつて読んだ入門書をアップデートしたい学び直し層にも向きます。
良い点
- 経済学の系譜を章で追える
- 用語解説とイラストが親切
- 改訂で近年の話題に対応
気になる点
- 入門としてはやや厚め
- 数式による厳密な説明はない
- シリーズの他巻と併読が前提
出版社
日経BP 日本経済新聞出版
発売日
2023年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
池上彰さんの経済学の本って何冊かありますよね。これと他のとはどう違うんですか?
佐藤メバル
これはシリーズの第一巻で、しくみがわかるほう。お金とは何かから入って、需要と供給、ケインズ、行動経済学まで、経済学の歴史をたどりながら基礎を並べています。
シリーズ累計48万部超の定番が十年ぶりに改訂された令和新版で、円安や物価高の話題も踏まえて更新されています。
橘ナナミ
十年ぶりってことは、私が生まれる前の版を読んでた人がいるってことですよね。息が長い……。
佐藤メバル
そう、そこがこの本の価値です。著者は、経済のしくみは時代が変わっても意外に大きく変わらないから、いったん基礎を学べばずっと役に立つと書いています。
流行を追う本ではなく、土台をつくる本なんですよ。厚みがあるので、焦らず章ごとに進めるのがおすすめです。

池上彰の経済学入門 (ちくまプリマー新書, 481)
池上彰 著|筑摩書房
¥880(税込)
物の値段はどう決まるのか、なぜお金に価値があるのか、景気やインフレとは何か、金利はどう決まるのか、円安と円高はどちらがいいのか。身近な例から経済のキホンの仕組みを解説するちくまプリマー新書です。市場、貨幣、景気、資本主義、株式会社という順に、コーヒー一杯の値段から銀行の信用創造、新自由主義、株式市場まで視野を広げ、買い物は投票行動だという結論に着地します。
こんな人におすすめ
新書サイズで手軽に経済の全体像をつかみたい高校生・大学生。通学や通勤の移動時間で読書をしたい人。経済用語に苦手意識のある大人が、まず一冊読み切るための入門としても向きます。
良い点
- 新書で持ち歩きやすい
- 身近な例から入る構成
- 株式会社や新自由主義まで触れる
気になる点
- ページ数が限られ深掘りは少ない
- 図表は多くない
- 時事的な話題の更新はない
出版社
筑摩書房
発売日
2025年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
これ、目次に『買い物は投票行動だ』ってあって。なんか刺さりました。どういう意味なんですか?
佐藤メバル
お金を払うという行為が、どの店やどの商品を残すかを選ぶことになる、という見方です。この本は物の値段の決まり方から始まって、貨幣の誕生、景気、資本主義、株式会社までを身近な例でつないでいく。最後にそこへ着地するんですよ。
橘ナナミ
値段の話から始まって、最後は自分の買い物の話になるんですね。距離感がすごい。
佐藤メバル
そう、それがこの本の狙いです。コーヒー一杯の値段から銀行の信用創造、新自由主義や株式市場まで一気に視野が広がる。
経済は自分の生活と地続きだと感じられるように書かれています。ページ数が限られているので深掘りはできませんが、最初の一冊としてはとてもバランスがいいですよ。
![高校生のための経済学入門[新版] (ちくま新書 1779)](https://img.shelf-y.com/items/19863.jpg)
高校生のための経済学入門[新版] (ちくま新書 1779)
小塩隆士 著|筑摩書房
¥1,012(税込)
需要と供給、市場メカニズム、金利、格差、効率と公平、景気、物価、GDP、人口減少と経済成長、金融政策、税金と財政、社会保障、円高と円安、比較優位、貿易と世界経済。経済学の全体像を、高校生にも理解できるように整理した定番入門の新版です。キーワード索引が付いて検索性が上がり、ビジネスパーソンの学び直しにもと明記されているように、用語の確認辞典としても使えます。
こんな人におすすめ
毎日の経済ニュースの見方を身につけたい高校生・大学生。会議で飛び交う経済用語を調べ直したい社会人。資格や試験の前に、経済学の輪郭を一気に押さえたい人にも向きます。
良い点
- 全体像を一冊で押さえられる
- キーワード索引で調べやすい
- 政治や社会保障まで射程が広い
気になる点
- 数式による厳密な理解には不足
- 演習問題は中心ではない
- 読み物としての起伏は少ない
出版社
筑摩書房
発売日
2024年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
高校生のための、ってついてると大人が読むのは変ですかね……。
佐藤メバル
全然。むしろこの本は、高校生以外の学び直しにもぴったりだと版元が明記しているくらいで、社会人が用語を確認するのにも向いています。
需要と供給から、GDP、金融政策、税金と財政、社会保障、貿易と世界経済まで、経済学の全体像を一冊で通せる。
橘ナナミ
ニュースで見た言葉を索引で引く、みたいな使い方もできそうですね。辞書みたいに。
佐藤メバル
そこが新版の改良点です。キーワード索引が付いて、用語を探しやすくなった。知っているようで説明できない言葉を一つずつ自分のものにしていく。
読み物としての派手さはありませんが、長く手元に置ける教科書的な一冊です。

大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる
井堀利宏 著|KADOKAWA/中経出版
¥1,650(税込)
東大で20年以上教えてきた著者が、ミクロとマクロのエッセンスを一冊に凝縮した入門書です。消費者はどう行動するのか、企業はどう行動するのか、価格メカニズム、所得分配、独占と規制、寡占、外部性と市場の失敗、不完全情報、GDP、財政政策、金融政策、景気と失業、インフレとデフレ、経済成長、国際経済まで全20項目を、1日30分ずつ進める設計。情報を流し読みするのではなく思考の枠組みを身につけることを狙った一冊です。
こんな人におすすめ
経済ニュースを『なんとなく』で流している自覚がある人。投資や仕事の判断軸として経済学の枠組みを持ちたい社会人。大学の講義についていけなかった学生が、独学で立て直すのにも向きます。
良い点
- 20項目で全体を区切って学べる
- ミクロとマクロの要点が濃い
- 理論の枠組みが身につく
気になる点
- 項目ごとの説明は簡潔
- 数式の導出は追わない
- 初学者には密度が高い
出版社
KADOKAWA/中経出版
発売日
2015年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
10時間で大学4年間って、さすがに盛りすぎでは……と疑ってしまいます。
佐藤メバル
もちろん4年間の講義そのものではありません。ただ、著者が東大で20年以上教えてきた内容から、教養として必要なところを20項目に絞ってある。
1項目30分×20で10時間という設計なんです。
橘ナナミ
なるほど、範囲を絞った圧縮版なんですね。読む側に覚悟が要りそう。
佐藤メバル
そこは素直にそうで、情報を流し読みするだけでは本当の教養は身に付かないよと著者も書いています。経済の動きがどんな意味を持つのかを自分で考える枠組みを持つための本。
だから読むスピードより、一つずつ立ち止まる使い方が合います。厚みで挫折しそうな人は、何週間かに分けるといいですよ。

マンキュー入門経済学(第4版)
N・グレゴリー・マンキュー 著|発行元:センゲージ・ラーニング株式会社 発売元:TKDラーニング/東京化学同人
¥3,960(税込)
経済学の10原則から始まり、相互依存と交易の便益、需要と供給、弾力性、政府の政策、消費者・生産者・市場の効率性、生産コスト、国民所得と生活コストの計測、生産と成長、貯蓄と投資、貨幣システム、総需要と総供給、開放経済まで、教科書としての骨格を丁寧に積み上げます。経済学者らしく考えるという章を置いているのが特徴で、答えを覚えるのではなく考え方を訓練する構成になっています。
こんな人におすすめ
大学の経済学の講義に備えたい学生。独学で教科書レベルの基礎を固めたい人。資格試験や院試の土台として、定義と枠組みを正確に押さえたい学習者に向きます。
良い点
- 教科書としての骨格が堅牢
- 定義と用語が正確
- 章末まで含め学習設計が整う
気になる点
- 分量が多く通読は重い
- 価格帯はやや高め
- 演習は別途の用意が必要
出版社
発行元:センゲージ・ラーニング株式会社 発売元:TKDラーニング/東京化学同人
発売日
2025年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
教科書、って聞いただけで眠くなりそうなんですけど……。読み物として面白いですか?
佐藤メバル
面白さで読む本ではないですね。ただ、経済学を一度きちんと土台から積み上げたいなら、これくらい骨格がはっきりした本が必要です。
最初に経済学の10原則を置いて、そこから需要と供給、市場の効率性、貨幣システム、開放経済へと進んでいく。
橘ナナミ
10原則から始まるの、いいですね。全体の地図が先にある感じがする。
佐藤メバル
そう、しかも『経済学者らしく考えよう』という章まであるんです。答えを暗記するのではなく考え方を訓練する。
定義の正確さで選ぶならこの一冊です。分厚いので、通読よりも講義や試験の範囲に合わせて章を選ぶ使い方が現実的ですよ。

クルーグマン 入門経済学
ポール・クルーグマン 著|東洋経済新報社
¥24(税込)
現実にみられる面白い事例を示して学習意欲を高める手法で知られるクルーグマンの入門書の日本版です。コロナ禍や物価上昇、ロシアによるウクライナ侵攻といった事例から経済を学べるようにアップデートされ、理論の合間に第一期トランプ政権時の関税政策の帰結を扱うコラムを挟むなど、物語を読むように生きた経済学に触れられます。アカデミックエンターテインメントと評される所以です。
こんな人におすすめ
教科書の退屈さで経済学を諦めたことがある人。ニュースの出来事と理論をつなげて理解したい社会人。ミクロとマクロのエッセンスを、事例とともに一冊で押さえたい初学者に向きます。
良い点
- 最新事例で理論を学べる
- コラムが読み物として面白い
- ミクロとマクロの要点を凝縮
気になる点
- 分量が多く重い
- 事例の記述が中心で演習は薄い
- 版による情報の更新が前提
出版社
東洋経済新報社
発売日
2025年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
アカデミックエンターテインメントって、経済学の本にかける言葉なんですか?
佐藤メバル
この人の本はそう呼ばれます。面白い現実の事例を先に示して、そこから理論に入っていく。今回はコロナ禍や物価上昇、ウクライナ侵攻なんかも素材になっていて、第一期トランプ政権の関税政策の帰結を扱うコラムが理論の合間に入る。
小説を読むように経済学が入ってくるんですよ。
橘ナナミ
教科書が退屈で挫折した人間としては、その入口の作り方がありがたいです。
佐藤メバル
まさにそのために作られた本です。面白い事例から入って理論に着地する順番なので、頭に残りやすい。
ただし分量はしっかりあるので、通読を目標にせず、興味のある章から拾い読みするのも手ですよ。

アセモグル/レイブソン/リスト 入門経済学
ダロン・アセモグル 著|東洋経済新報社
¥3,520(税込)
同じ著者たちのミクロ・マクロの教科書から、基本概念を学ぶための15章を抜き出して再構成した入門書です。最適化・均衡・経験主義という三つの原理を軸に、根拠に基づく経済学、データは語る、選択の結果というコラムで現実のデータと結びつけます。フェイスブックがなぜ無料でサービスを提供しているのか、という身近な問いから始まり、経済を理解するために経済学を学ぶことを優先した構成が特徴です。
こんな人におすすめ
データや実験から経済を考えたい学生。身近なサービスの仕組みを経済学で説明できるようになりたい人。金融危機以降に書き換えが迫られている経済学に触れたい社会人に向きます。
良い点
- 実験経済学の成果を取り入れる
- 現実のデータで議論する
- 身近な題材から入る構成
気になる点
- 著者らの本編と重なる部分がある
- 網羅性は本編に譲る
- 前提知識が少し要る箇所がある
出版社
東洋経済新報社
発売日
2020年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
フェイスブックが無料なのはなぜか、ってところから始まるんですか。そこ、普通に私も不思議に思ってました。
佐藤メバル
そこから入るのがこの本の面白さです。無料で提供されているという現象の原因と結果を、経済学で解き明かしていく。
最適化、均衡、経験主義という三つの原理を軸に、現実のデータを議論の根幹に据える構成になっています。
橘ナナミ
データ重視って聞くと、がちがちの統計の本かと思ってたんですけど、そうでもなさそうですね。
佐藤メバル
そう、監訳者が『新しい』と『やさしい』の両方だと書いているとおり、理論を覚えることより経済を理解することを優先している。
現実の経済社会に対する見方が変わるように作られています。分厚い教科書の前に、この入門で感触をつかむのがいいですよ。

イングランド銀行公式 経済がよくわかる10章
イングランド銀行 著|すばる舎
¥2,200(税込)
1694年設立のイギリスの中央銀行、イングランド銀行が自ら立ち上げた経済の入門書です。『食べたい朝ごはんを選べるのはなぜ?』『どうすれば賃金は上がる?』『そもそもお金って何?』という10の平易な問いを軸に、景気、金利、インフレ・デフレ、GDPの基本から、経済危機、貿易摩擦、気候変動までを扱います。巻末には経済学に関する51の質問が付き、世界10カ国以上で刊行されています。
こんな人におすすめ
教科書ではなく問いから経済を考えたい人。中央銀行の視点で金融政策や経済危機を理解したい社会人。ビジネスパーソンの学び直しや、ニュースの背景を知りたい読者に向きます。
良い点
- 問い形式で読み進めやすい
- 中央銀行の一次情報に触れられる
- 気候変動まで射程が広い
気になる点
- 分量はしっかりある
- 英国の事例が中心になる
- 日本の制度は自分で補う必要
出版社
すばる舎
発売日
2023年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
中央銀行が自分で入門書を出すって、ちょっと意外です。宣伝みたいになっちゃわないんですか?
佐藤メバル
そこが面白くて、多くの人が経済をよくわかっていないという現状を打破すべく、イングランド銀行が自ら立ち上がったと書かれているんです。
しかも10の平易な質問から入る。朝ごはんの選択から始まって、賃金、経済成長、貿易、お金とは何か、そして中央銀行がどんどんお金を刷れないのはなぜか、というところまで進みます。
橘ナナミ
質問が生活に近い。教科書の目次とは全然違いますね。
佐藤メバル
巻末には経済学に関する51の質問も付いていて、考える材料が尽きない。中央銀行の視点で経済を見るという、他では得にくい角度が手に入ります。
英国の事例が中心なので、日本の金融政策は別の本で補うと立体的になりますよ。

世界最高峰の経済学教室
広野彩子 著|日経BP 日本経済新聞出版
¥1,980(税込)
ベッカー、セイラー、アリエリー、ミルグロム、ロス、リスト、ヘックマン、バナジー、アセモグル、スティグリッツ、ロドリック、ラジャン。ノーベル賞受賞経済学者からその有力候補まで、第一級の経済学者へのインタビューを軸に、人的資本論、行動経済学、マーケット・デザイン、教育、開発経済学、グローバル経済、イノベーションまでを横断します。経済学という人間行動の探究が社会を変える力を実感させる教養書です。
こんな人におすすめ
経済学者の考え方や人間像に惹かれる読者。経済学の最前線で何が議論されているか知りたい社会人。研究テーマを探している大学院生や、経済学を少し遠くから眺めたい人に向きます。
良い点
- 第一級の学者の言葉を直接読める
- 研究の背景まで解説される
- 分野の広がりが実感できる
気になる点
- 体系的な入門にはならない
- インタビュー形式に好みが分かれる
- 前提知識があるとより楽しめる
出版社
日経BP 日本経済新聞出版
発売日
2023年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
経済学者のインタビュー集って、研究者じゃない私が読んでも面白いんでしょうか?
佐藤メバル
むしろ経済に詳しくない人こそ、と推薦の言葉が寄せられている本です。研究の動機や成果、政策への提言が本人の言葉で語られるので、読み物として引き込まれる。
人的資本論から行動経済学、マーケット・デザイン、開発経済学、イノベーションまで、分野の広がりも一気に見渡せます。
橘ナナミ
研究の話だけじゃなくて、人間ドラマとして読めるのがいいですね。そこが入り口になりそう。
佐藤メバル
そう、世界を変えた研究と人間ドラマという推薦の言葉がぴったりです。ただ、体系立てて学ぶ教科書ではないので、入門書を一冊読んだあとに読むと、点と点がつながって何倍も楽しめますよ。

現代経済学-ゲーム理論・行動経済学・制度論 (中公新書 2501)
瀧澤弘和 著|中央公論新社
¥968(税込)
二〇世紀半ばから急速に多様化した経済学の見取り図を示すことを狙った新書です。マクロ経済学はもとより、行動経済学やゲーム理論、制度論といった大きな潮流を捉え、現代の経済学が何を問題意識としてきたのか、そして今後どこへ向かうのかを描きます。理論を一本にまとめず複数の潮流を並べる構成で、入門書の次の一冊として現代の経済学の地形を確認できます。
こんな人におすすめ
入門書を一通り読んだあと、現代経済学の全体像を知りたい人。ゲーム理論や行動経済学、制度論という言葉に関心がある学生・社会人。経済思想の流れを新書サイズで整理したい読者に向きます。
良い点
- 複数の潮流を並べて整理する
- 新書サイズで見取り図が得られる
- 現代経済学の展望に触れる
気になる点
- 初学者には少し難しい
- 各理論の詳細は深くない
- 前提となる入門知識が要る
出版社
中央公論新社
発売日
2018年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ゲーム理論、行動経済学、制度論。名前は聞いたことあるけど、どういう関係なのかは全然わかってません。
佐藤メバル
それを整理するための本です。二十世紀半ばから経済学は急速に多様化して、一つの理論で全部を説明する形ではなくなった。
その見取り図を示そうとしている。マクロから始まって、ゲーム理論や行動経済学、制度論といった大きな潮流を並べていくんです。
橘ナナミ
地図を描く本なんですね。じゃあ最初の一冊には向かないですか?
佐藤メバル
そう、入門書を一冊読んだあとの二冊目がちょうどいい。現代の経済学の問題意識や今後の展望が見えてくると書かれているとおり、学問としての現在地をつかむ本です。
新書サイズなので、通読よりも気になる章から入るのもいいですよ。

スタンフォード大学で一番人気の経済学入門 ミクロ編
ティモシー・テイラー 著|かんき出版
¥1,650(税込)
経済学者であり、アメリカ経済学会発行の雑誌の編集にも長年携わってきた著者による、ミクロ経済学の入門です。スタンフォード大学とミネソタ大学で『学生が選ぶ講義が上手な教師』の一位を獲得した講義のエッセンスを、身近な具体例を引きながら鮮やかに説きます。経済学の基礎が身につけば世の中のしくみが見えてくるという立場から、どんな政策が必要かを自分で考えられるように導きます。
こんな人におすすめ
大学で経済学を学ぶ前に概観しておきたい高校生・受験生。一般教養として経済学を身につけたい社会人。就職活動や仕事の前に、基礎を肩慣らししておきたい人にも向きます。
良い点
- 講義のうまさが読みやすさに出る
- 具体例が身近で分かりやすい
- ミクロの基礎を一冊で押さえられる
気になる点
- ミクロ編のみでマクロは別巻
- 数式による厳密さは控えめ
- 事例が米国のものが多い
出版社
かんき出版
発売日
2013年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
監訳者の前書きに、就活する学生さんならこの程度は知っておいてほしい、みたいなことが書いてあるんですね。ちょっと怖いです。
佐藤メバル
はは、でもそれがこの本の性格をよく表しています。経済学の基礎が身についていれば、政策転換の意味や今後の見通しを自分で描けるようになる。
そのための肩慣らしとして書かれているんですよ。
橘ナナミ
肩慣らし、いい言葉ですね。いきなり分厚い教科書に行く勇気はないので。
佐藤メバル
この著者はスタンフォードとミネソタで『学生が選ぶ講義が上手な教師』の一位を獲得した人で、身近な例を引きながら説いていく。
講義のうまさがそのまま読みやすさになっています。ミクロ編なので、需要と供給や市場の話を中心に、まずはここから始めるのがおすすめです。

行動経済学が最強の学問である
相良奈美香 著|SBクリエイティブ
¥1,870(税込)
行動経済学の主要理論を初めて体系的に整理した一冊です。認知のクセ、状況、感情という三つの切り口から、ナッジ理論、システム1とシステム2、プロスペクト理論、身体的認知、アフェクト、不確実性理論までを並べ、バラバラに暗記しがちだった理論をつなぎます。ビジネスパーソンが最も身につけるべき教養という立場で書かれ、世界の企業で行動経済学チームが生まれている背景にも触れます。
こんな人におすすめ
マーケティングや商品設計、組織づくりに行動経済学を活かしたいビジネスパーソン。理論を断片ではなく体系で理解したい人。MBAのような教養として学び直したい社会人に向きます。
良い点
- 主要理論が体系化されている
- ビジネスへの応用を意識した構成
- 認知・状況・感情で整理される
気になる点
- 学術的な厳密さは簡略化される
- 事例の出典が気になる箇所がある
- 入門書を読んだ後がより効果的
出版社
SBクリエイティブ
発売日
2023年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
行動経済学って、なんとなく面白そうで本を何冊か読んだんですけど、用語がバラバラで頭の中でつながらないんですよね。
佐藤メバル
まさにその悩みに応える本です。行動経済学は新しい学問だからこれまで体系化されてこなかった、と著者が指摘していて、主要理論を認知のクセ、状況、感情という切り口で並べ直している。だから断片が線になる。
橘ナナミ
プロスペクト理論もナッジも、同じ棚に並ぶんですね。それは助かる。
佐藤メバル
しかも世界のトップ企業が行動経済学を学んだ人材を奪い合っている、という現場の話から入るので、ビジネスの教養としての位置づけがよくわかります。
学術的な厳密さより使いやすさを優先した本なので、論文寄りの一冊と組み合わせるのもいいですよ。

経済は感情で動く : はじめての行動経済学
マッテオ・モッテルリーニ 著|紀伊國屋書店
¥1,654(税込)
日常の買い物からレストランの食事、株式投資やビジネスの判断、病院や選挙での選択、競馬や宝くじまでを題材に、行動経済学と神経経済学のエッセンスをクイズ形式で説く一冊です。三つあると真ん中を選ぶ、自分のものになると値が上がる保有効果、進むも地獄退くも地獄のコンコルドの誤謬、会議がまとまらないアンカリング効果、交渉は最後の一言で決まるピーク・エンドの法則。お金をめぐる常識が覆る感覚が味わえます。
こんな人におすすめ
心理学と経済の境目に興味がある読者。売る側と買う側の心理を同時に理解したいビジネスパーソン。行動経済学を、クイズや具体例から気軽に味わいたい人に向きます。
良い点
- クイズ形式で飽きずに読める
- 日常の題材が豊富
- コラムと教訓で要点が残る
気になる点
- 理論の網羅性は高くない
- 古い事例も含まれる
- 学術的な厳密さは求めない方向け
出版社
紀伊國屋書店
発売日
2008年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
クイズ形式って書いてありますけど、答えられなかったら落ち込むやつですか……?
佐藤メバル
落ち込むより、当たったと思ったら外れる、そのズレが学びになる本です。たとえば寿司屋のランチで特上・上・並とあれば真ん中が選ばれやすい、通販の試供品は手元に来ただけで返品されにくい、会議がまとまらないのは最初の発言に引っ張られているから。
日常の一場面が全部、心の法則の実例になっています。
橘ナナミ
なるほど、知らずに引っかかってる側だったんだ、って気づけそう。ちょっと怖いけど面白い。
佐藤メバル
しかも著者は、恋人とのデートは別れ際の一言が最重要、なんて例えまで出す。経済は心理学だという推薦の言葉どおり、読みながら自分の癖に気づいていきます。
理論を体系的に学ぶ本ではありませんが、入口としてはとても楽しい一冊ですよ。

目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】
中野剛志 著|ベストセラーズ
¥1,300(税込)
デフレとは何か、合成の誤謬とは何か、貨幣とは負債の一種であること、銀行が貨幣を創造できること、財政赤字と民間貯蓄の関係、税は財源確保の手段ではないこと、そして日本の財政破綻シナリオと財政再建シナリオ。第一部で基礎知識を組み替え、第二部では経済学者たちの主張がなぜ間違うのかを検証します。経済常識が180度変わる衝撃という触れ込みどおり、通説を疑う視点を鍛える一冊です。
こんな人におすすめ
財政や税のニュースにどうしても違和感を覚えてきた人。通説を一度疑ってみたい読者。経済学の教科書に物足りなさを感じ、別の見方を知りたい社会人に向きます。
良い点
- 財政と貨幣の議論を徹底して掘る
- 通説を疑う視点が得られる
- 用語の再定義が丁寧
気になる点
- 主張の強い論争的な内容
- 他の立場との比較は自分で必要
- 前提知識があると読みやすい
出版社
ベストセラーズ
発売日
2019年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
読まれると経済学者・官僚が困る本、って帯がすごいですね。こんなに挑発的で大丈夫なんですか。
佐藤メバル
この本は議論を呼ぶことを前提に書かれています。まず第一部で、デフレとは何か、貨幣とは負債の一種であること、銀行が貨幣を創造できること、税は財源確保の手段ではないこと、と基礎から組み替えていく。
第二部では、なぜ経済学者たちは間違うのかを検証していきます。
橘ナナミ
財政破綻って言葉、ニュースで聞くたびに不安になるんですけど、その前提から疑うんですね。
佐藤メバル
そう、経済常識が180度変わるという触れ込みは伊達じゃない。ただ、主張の強い本なので、これを唯一の答えにせず、他の立場の本と並べて読むのが大人の読み方です。
通説にどうしても違和感がある人ほど、刺さるはずですよ。

世界の経済学 50の名著 (5分でわかる50の名著シリーズ) (ディスカヴァーリベラルアーツカレッジ)
T・バトラー=ボードン 著|ディスカヴァー・トゥエンティワン
¥2,970(税込)
アダム・スミスの国富論からピケティの21世紀の資本まで、経済学の古典と近年の話題書の要点を一冊でたどれる名著ガイドです。資本主義に希望はあるのか、格差拡大に処方箋はあるのか、経済成長は不可欠か、なぜ人はカネに翻弄されるのか、経済学は現実世界に太刀打ちできるのか、という大きな問いで章を組み、50冊を読む時間を節約する本ではないと評されるほど思想をしっかり解説します。
こんな人におすすめ
経済思想の古典に一度は触れたいが、何から読めばいいかわからない人。読書の羅針盤がほしい社会人。経済学者の名前と主張を整理したい学生やビジネスパーソンに向きます。
良い点
- 古典から現代まで幅広く拾える
- 章立てが大きな問いで整理される
- 次に読む本の地図になる
気になる点
- 原著そのものの読書量には代わらない
- 分量が多く通読は重い
- 各解説は簡潔にまとまる
出版社
ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日
2018年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
50冊分って、逆にすごく時間かかりそうな気がするんですけど……。
佐藤メバル
はは、そこは著者も先回りしていて、これは50冊を読む時間を節約したい人のための本ではないと評されているんです。
有名な経済学者でさえ表面的に通り過ぎてしまう思想の数々を、しっかり解説している。
橘ナナミ
なるほど、読書の羅針盤か。国富論からピケティまで並んでるの、壮観ですね。
佐藤メバル
しかも章立てが『資本主義に希望はあるのか』『格差拡大に処方箋はあるのか』という大きな問いで組まれている。
経済思想の流れを問いでつかむ構成なんです。分厚いので通読より、気になる名著から拾い読みする使い方が合いますよ。

経済学なんて教科書だけでわかるか!!…でもちょっと知りたいかも。 (知的生きかた文庫 さ 58-1)
さくら剛 著|三笠書房
¥891(税込)
ドラクエの世界で景気対策をやったらどうなるか、インドのぼったくりタクシーで神の見えざる手を検証する、セクシーDVD鑑賞のコスパを合理的に考える、アイドルを観察すれば通貨の三つの働きが見えてくる。経済学者には絶対に書けない例え話を武器に、景気、GDP、金融緩和、株や投資といった用語を笑いながら覚えられる超入門書です。
こんな人におすすめ
経済の本を開くたびに眠くなってしまう人。笑いながら基礎に触れたい学生や若手社会人。堅い入門書の前の、ウォーミングアップを探している読者に向きます。
良い点
- 例え話がとにかく身近
- 用語のハードルが低い
- 読み物として笑える
気になる点
- 厳密な理論の学習には不向き
- ネタの好みが分かれる
- 網羅性は高くない
出版社
三笠書房
発売日
2024年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ドラクエで景気対策って……もう意味がわからないんですけど、でも読みたくなりました。
佐藤メバル
そこが狙いでしょうね。インドのぼったくりタクシーで神の見えざる手を検証してみたり、アイドルを観察して通貨の三つの働きを見つけたり。
経済学者には絶対に書けない例え話を積み上げていくんです。
橘ナナミ
笑いながら覚えられるなら、私みたいな人間にはありがたいです。真面目な本だと三ページで寝るので。
佐藤メバル
そういう読者を想定している本ですからね。バカバカしいけどためになるという推薦の言葉がそのまま当てはまります。
ただし理論をきちんと固めるには向かないので、これで興味を持ってから別の入門書に進む順番がおすすめですよ。

経済の考え方がわかる本 (岩波ジュニア新書 511)
新井明 著|岩波書店
¥7(税込)
一個のケーキを二人で分ける方法は、オーダーメイドの手工芸店を開くには、ゴミにはどんな値段がつくのか。『こづかいの使い方こそ経済の原点』という立場から、身近なことがらを題材にした、子どもも参加する経済教室の情報や意見を紹介しながら、経済とはどんなものかを考えていくジュニア新書です。問いから一緒に考える形式で、答えを押し付けない構成が特徴です。
こんな人におすすめ
経済を暗記ではなく考え方として身につけたい小中学生とその周辺。子どもに経済の話をどう伝えるか悩んでいる大人。ジュニア新書で気軽に思索を楽しみたい読者に向きます。
良い点
- 身近な題材で考える練習になる
- 問いかけ中心で押し付けない
- ジュニア新書で取り組みやすい
気になる点
- 現代の制度の解説は中心でない
- 読み物としての起伏は控えめ
- 大人向けの網羅性はない
出版社
岩波書店
発売日
2005年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
一個のケーキを二人で分けるって、もう算数の問題みたいですね。経済とどうつながるんですか?
佐藤メバル
分け方をめぐって交渉し、納得する線を探す。それが資源の配分を考える入口になるんですよ。この本はこづかいの使い方こそ経済の原点という立場で、ゴミの値段や手工芸店の開き方みたいな身近な題材を並べていきます。
橘ナナミ
大人向けの入門書とは全然違う入口ですね。答えは書いてあるんですか?
佐藤メバル
いえ、教室で出た情報や意見を紹介しながら一緒に考えていく形式です。答えを押し付けないところがこの本の誠実さで、だから思考の練習になる。
制度の解説が目的ではないので、大人が網羅的に学ぶなら別の一冊と組み合わせるといいですよ。

経済のことが基礎からわかる本
山口雅生 著|日本能率協会マネジメントセンター
¥2,824(税込)
不景気、バブル、リーマンショック、サブプライムローン。日頃よく見聞きするのに、いざ説明しようとすると難しい言葉を、経済学者の立場から学生に教え諭すように基礎からていねいに解説する一冊です。経済のしくみがどうなっているかがすぐにわかるように、用語を単独で覚えるのではなく、その背景にある仕組みから積み上げていく構成になっています。
こんな人におすすめ
ニュースで見聞きする経済用語を、人に説明できるようになりたい社会人。金融や経済の基礎を独学でやり直したい人。研修前に用語の背景を押さえておきたい若手社員にも向きます。
良い点
- 用語の背景から説明される
- 語りかけるように丁寧
- 金融の基本に強い
気になる点
- 価格帯はやや高め
- 図表の多さは期待できない
- 話題の新しさは優先していない
出版社
日本能率協会マネジメントセンター
発売日
2011年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
リーマンショックとかサブプライムローンって、言葉だけは知ってるんですけど、説明しろと言われると固まります。
佐藤メバル
それを自覚できているなら、この本は向いています。経済学者の立場から、学生に教え諭すように、基礎からていねいに説明していく。
用語を単体で覚えるのではなく、その背景にある仕組みから積み上げる構成なんです。
橘ナナミ
背景から、か。用語集を丸暗記するより、ずっと覚えていられそう。
佐藤メバル
そう、経済のしくみがどうなっているかがすぐにわかると銘打っているとおり、仕組みから入るのがこの本の強みです。
図表がたくさん欲しい人には物足りませんが、読み物としてじっくり理解したい人には合いますよ。

経済の仕組み 学び直しの教科書 波乱の時代、株・金利・為替はどう動く?
原田亮介 著|日経BP
¥1,870(税込)
家を買うべきか借りるべきか、ローンは固定金利型か変動金利型か、NISAで投資を始めるときに押さえるべき点は何か。人生設計や投資の判断を左右する『経済の先行きを読む力』を鍛える一冊です。市場、金融政策、景気、企業、人口減少、地政学という六つの切り口で、法則性を理解できるようになれば一歩先の経済が見えてくると説きます。断片的な知識を体系的な教養に変える構成が特徴です。
こんな人におすすめ
住宅購入やローン、資産形成の判断材料を持ちたい人。ニュースを自分の意思決定につなげたい社会人。金利・為替・株価の動きを原理から理解したい読者に向きます。
良い点
- 6つの切り口で整理されている
- 意思決定と直結する題材
- 人口減少や地政学まで扱う
気になる点
- 投資の個別ノウハウ本ではない
- 前提知識が多少必要
- 予測を断定する内容ではない
出版社
日経BP
発売日
2025年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
住宅ローンとかNISAとか、いきなり生活の話が出てくるのが新鮮です。経済の本なのに。
佐藤メバル
そこなんですよ。著者は、人生設計や投資を考えるときに判断の成否を分けるのは経済の先行きを読む力だと書いています。
市場、金融政策、景気、企業、人口減少、地政学まで、六つの切り口からその力を鍛えようとしている。
橘ナナミ
金利や為替を原理から理解できたら、ニュースの見方も変わりそうです。
佐藤メバル
そのとおりで、断片的な知識を体系的な教養に変えるのが狙いです。ただし個別の投資ノウハウを教える本ではないので、そこは期待しないこと。
住宅や資産形成の判断材料として、骨格を自分のものにする読み方が合いますよ。

図解 90分でわかる経済のしくみ
長瀬勝彦 著|ディスカヴァー・トゥエンティワン
モノの値段はどう決まっているのか、ブランドとは一体何なのか、経済が回るとはどういうことなのか、株の値段は何を基準に決まるのか。やさしい図解と解説で経済のしくみを理解できる入門書です。経済を知ればビジネスの基本がわかるという立場から、お金の賢い使い方や世の中の流れまで、短時間で全体像に触れられるようにまとめ、最初の一冊として使いやすくしています。
こんな人におすすめ
ビジネスの基本として経済を押さえたい若手社会人。まず全体像を短時間でつかんでから詳しい本に進みたい人。図解で視覚的に理解したい読者に向きます。
良い点
- 図解中心でとっつきやすい
- 短時間で全体像に触れられる
- ビジネスとの接続を意識している
気になる点
- 深い理論には踏み込まない
- 電子版は端末の制約がある
- 物足りなさを感じる人もいる
出版社
ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日
2018年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
90分って、映画一本分ですね。それで経済のしくみがわかるなら、コスパよすぎませんか。
佐藤メバル
そこは期待値の調整が必要で、90分で身につくのは骨格です。モノの値段はどう決まるのか、ブランドとは何か、株の値段は何を基準に決まるのか。
図解で要点を並べていくから、短時間で地形が見える。
橘ナナミ
地形が見えるだけでも、その後の勉強が全然違いますよね。地図なしで歩くの、しんどいので。
佐藤メバル
まさにその役割です。経済を知ればビジネスの基本がわかるという立場で書かれていて、仕事との接続を意識した内容になっています。
深い理論は他の本に譲るとして、最初の90分をここに使うのは悪くない投資ですよ。
挫折しない経済の本の読み順ロードマップ
橘ナナミ
選び方は分かってきました。でも何冊も読んでいると、途中で分からなくなってきそうで怖いんです。
佐藤メバル
その不安は正しい。だから理論系と時事系を交互に読む往復学習を勧めている。『高校生のための経済学入門[新版]』で需要と供給を押さえたら、同じ週に『経済の仕組み 学び直しの教科書』で金利や為替の記事を読む。抽象と現実を行き来すると記憶が定着しやすい。
橘ナナミ
交互に、ですか。片方を集中して読むほうが効率が良さそうに思えるんですけど。
佐藤メバル
一見遠回りだけど、抽象だけを続けると「これは何の話か」が分からなくなる。逆に時事だけでは原理がないから応用がきかない。1冊目に入門、2冊目に理論の教科書、3冊目に『世界の経済学 50の名著』で思想史の見取り図を置く順番が、現場ではいちばん離脱が少なかったよ。
橘ナナミ
途中で読めなくなったら、どうすればいいんでしょう。
佐藤メバル
読み飛ばしていい。『クルーグマン 入門経済学』のような分厚い本は、目次から興味のある章だけ拾う読み方で構わない。積読は罪ではないからね。
名著の賞味期限と、1分野1冊の整理
橘ナナミ
『世界の経済学 50の名著』みたいな本を見ると、古典も全部読まないといけない気がしてきます。
佐藤メバル
そこは構えなくていい。名著には賞味期限がある。スミスやケインズの議論は教養として価値があるけれど、古典だけでは今の金融政策や仮想通貨は説明できない。地図として『世界の経済学 50の名著』を使い、現在の仕組みは『イングランド銀行公式 経済がよくわかる10章』のような現代の入門書で補う。これが新旧の補完関係だ。
橘ナナミ
同じ分野の本を何冊もそろえる必要はないんですか?
佐藤メバル
ミクロの入門なら『スタンフォード大学で一番人気の経済学入門 ミクロ編』、行動経済学なら『行動経済学が最強の学問である』と『経済は感情で動く』のどちらか、という具合に1分野につき軸になる1冊を決める。重複して買うお金は次の分野に回したほうが、学びは広がるよ。
橘ナナミ
専門書とビジネス書は、どう使い分けるんでしょう?
佐藤メバル
専門書は理論の骨格、ビジネス書は現場での応用を担当する。『この1冊でミクロとマクロが同時にわかる経済学』で枠組みを入れてから、『行動経済学が最強の学問である』のような実務寄りの本を読むと、知識が仕事の場面に落ちてくるんだ。
学んだ経済を、ニュース・仕事・家計につなげる
橘ナナミ
でも佐藤さん、せっかく読んでも忘れてしまったら意味がない気がします。
佐藤メバル
忘れるのは前提でいい。大事なのは、読んだ知識を自分の生活のどこに置くかを決めることだ。ニュースなら円安の記事を見たときに『高校生のための経済学入門[新版]』の比較優位の章に戻る。仕事なら『経済の仕組み 学び直しの教科書』の損益計算書の章を自社の決算と照らし合わせる。家計なら『お金のむこうに人がいる』の問いを、毎月の支出を見ながら自分に投げ返す。
橘ナナミ
読むだけで終わらせない、ということですね。
佐藤メバル
そのとおり。『経済の考え方がわかる本』は「こづかいの使い方こそ経済の原点」という立場から書かれていて、その入口にちょうどいい。行動経済学まで含めた教養の地図を持ちたいなら、最後に『現代経済学』のような見取り図の本を置く。読了後は統計やデータ読解の本へ、あるいは資格の学び直しへ進むと知識が残りやすいよ。
よくある質問
経済の本は初心者は何から読めばいいですか?
橘ナナミ
経済の本は初心者は何から読めばいいですかについて教えてください。
佐藤メバル
まずは図解か物語形式から始めるのがおすすめです。『経済ってなんだ? 世界一たのしい経済の教科書』は対話形式の物語で、円高・インフレ・年金までやさしい言葉で扱っています。読み物として深いものを求めるなら、元財務大臣が娘に語る形の『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』が向いています。いきなり教科書から入らないことが続けるコツです。
経済学と経済(時事)の本はどちらから読むべきですか?
橘ナナミ
経済学と経済(時事)の本はどちらから読むべきですかについて教えてください。
佐藤メバル
どちらか一方に決めなくて大丈夫です。『高校生のための経済学入門[新版]』のような理論の入門で需要と供給や金利といった言葉を押さえ、同じ時期に『経済の仕組み 学び直しの教科書』のような時事の本で実際のニュースを追う。抽象と現実を往復すると、どちらの理解も深まります。
数式が苦手でも読める経済の本はありますか?
橘ナナミ
数式が苦手でも読める経済の本はありますかについて教えてください。
佐藤メバル
あります。『お金のむこうに人がいる』は、著者自身が専門用語や難しい数式を一切使わず、出てくる数式は足し算と引き算くらいだと書いています。『今さら聞けない!経済のキホンが2時間で全部頭に入る』も1見開き1トピックで図解中心です。数式の有無は買う前に必ず確認しましょう。
マンガや図解の入門書だけで経済は理解できますか?
橘ナナミ
マンガや図解の入門書だけで経済は理解できますかについて教えてください。
佐藤メバル
全体像をつかむには十分ですが、それだけでは一歩先の議論に届きません。図解で言葉を覚えたら、『池上彰の経済学入門』のような新書で仕組みの理由を補い、必要なら『大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる』で骨組みを入れる。図解は入口、理論は二歩目と考えると順序が組みやすいです。
ミクロ経済学とマクロ経済学はどちらを先に学ぶべきですか?
橘ナナミ
ミクロ経済学とマクロ経済学はどちらを先に学ぶべきですかについて教えてください。
佐藤メバル
両方を1冊で往復できる本から入るのがおすすめです。『この1冊でミクロとマクロが同時にわかる経済学』は第2部でマクロ、第3部でミクロを扱い、価格や需要と供給の話から始まります。『マンキュー入門経済学』もミクロとマクロを1冊に収めています。片方に決め打ちしなくていいのが経済学の入門です。
名著・古典は今読んでも役に立ちますか?
橘ナナミ
名著・古典は今読んでも役に立ちますかについて教えてください。
佐藤メバル
役に立ちますが、万能ではありません。『世界の経済学 50の名著』はアダム・スミスからピケティまで50冊の要点を紹介する見取り図で、思想の流れをつかむのに向いています。ただし古典だけでは現在の金融政策や仮想通貨は説明できません。現代の入門書とセットで読むのが現実的です。
経済の本を読んでも内容を忘れてしまうのですがコツはありますか?
橘ナナミ
経済の本を読んでも内容を忘れてしまうのですがコツはありますかについて教えてください。
佐藤メバル
忘れる前提で、知識の置き場所を決めておくのがコツです。円安のニュースを見たら『高校生のための経済学入門[新版]』の比較優位の章に戻る。決算を見たら『経済の仕組み 学び直しの教科書』の損益計算書の章を開く。読書を生活の一場面と結びつけると記憶が残ります。
社会人が最短で経済の基礎を身につけるには何冊読めばいいですか?
橘ナナミ
社会人が最短で経済の基礎を身につけるには何冊読めばいいですかについて教えてください。
佐藤メバル
まずは3冊で骨格が作れます。1冊目に『今さら聞けない!経済のキホンが2時間で全部頭に入る』のような短時間で全体をなぞれる入門、2冊目に『この1冊でミクロとマクロが同時にわかる経済学』のような理論の本、3冊目に『経済の仕組み 学び直しの教科書』のような時事の本。理論と時事を1冊ずつ持つのが最短ルートです。
まとめ
橘ナナミ
佐藤さん、今日の話を聞いて、経済の本はいきなり1冊を選ぶというより、順番と組み合わせの話なんだなと思いました。
佐藤メバル
そう。25冊を並べると壮観だけど、全部を読む必要はない。図解で全体像をつかんで、新書で言葉を手に入れて、教科書で骨組みを入れる。この3段階を意識するだけで、書店の棚の見え方が変わるよ。
橘ナナミ
私、最初は『マンキュー入門経済学』みたいな分厚い本から始めなきゃいけないのかと身構えていました。でも『経済の考え方がわかる本』のように、こづかいの使い方から入っていいと知って、ちょっと安心しました。
佐藤メバル
それでいいんだ。むしろ身近なところから入ったほうが、需要と供給や金利の話が「自分の話」になる。分からなくなったら戻ればいい。経済の本は一度読んで終わりじゃなく、何度も開くものだからね。
橘ナナミ
何度も開く。図書館で借りて、手元に置きたくなったら買う、という選び方も今日の収穫でした。
佐藤メバル
うん。最後にひとつだけ。経済の本は、路線図と実際の運行状況の組み合わせに似ている。理論書が路線図なら、時事の本は今どの列車がどこを走っているか。片方だけでは旅はできない。まず自分が乗りたい路線を決めてから、最初の一冊を選んでみて。
橘ナナミ
路線図と運行状況……。じゃあ私は、自分の乗りたい路線を探すところから始めます!
