大学の経済学の本のおすすめ人気ランキング25選【2026年版】

監修

佐藤メバル

佐藤メバル

@shelfy_mebaru

編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ

橘ナナミ

@medias_nanami

編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。

最終更新: 2026年10月

橘ナナミ

橘ナナミ

佐藤さん、今日は「大学 経済 本」の特集ですよね。正直に言うと、私のなかの経済学は池上彰さんの本で止まっています。経済学部に進んだ人たちは、そのあと何を読むんですか?

佐藤メバル

佐藤メバル

いい質問だね。経済学は「入門の入り口」と「学部の教科書」のあいだに大きな段差がある学問なんだ。『池上彰の経済学入門』や『池上彰のやさしい経済学[令和新版]』、小塩隆士『高校生のための経済学入門[新版]』で全体像をつかんで、次に『マンキュー入門経済学』のような教科書に渡る。これが王道の流れだよ。

橘ナナミ

橘ナナミ

教科書って、分厚くて数式だらけ……というイメージがあるんですけど。

佐藤メバル

佐藤メバル

そこが今日のいちばん大事なところ。同じ「入門」でも性格がまったく違う。坂井豊貴『ミクロ経済学入門の入門』は数式を一切使わず新書サイズで基本を説明する。一方で神取道宏『ミクロ経済学の力』は、経済学部2年生から大学院の入口までを見渡せる本で、TPPやロンドン混雑税のような実例が理論を支えている。学年と数学の準備で選ぶ本は変わるんだ。

橘ナナミ

橘ナナミ

なるほど……! じゃあ、選び方から教えてください。

佐藤メバル

佐藤メバル

任せて。書店員時代、経済書の棚は新学期にいちばん動く棚だった。その現場の感覚も混ぜながら話すね。

大学の経済学の本の選び方

目的別に選ぶ——教養・試験・研究・実務・データ分析

橘ナナミ

橘ナナミ

目的って、そんなに分かれるものですか?

佐藤メバル

佐藤メバル

分かれるよ。教養として経済ニュースを読み解きたいなら『高校生のための経済学入門[新版]』や『大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる』が速い。研究なら『マンキュー マクロ経済学I 入門篇』や神取道宏『ミクロ経済学の力』で理論の骨格を入れてから実証へ。データ分析を仕事にしたいなら山本勲『実証分析のための計量経済学』が入門から大学院レベルまで一冊でつながる。目的が違えば、同じ「おすすめ」でも中身は別物なんだ。

レベル別に選ぶ——高校生・学部1年・中級・上級・院志望

橘ナナミ

橘ナナミ

学年で変わる、というのは具体的にどうですか?

佐藤メバル

佐藤メバル

高校生や入学前なら『高校生のための経済学入門[新版]』か『池上彰の経済学入門』。学部1年なら『マンキュー入門経済学』『クルーグマン 入門経済学』『スティグリッツ入門経済学』『アセモグル/レイブソン/リスト 入門経済学』という主要な入門教科書から、講義に合う一冊を選ぶ。中級へ上がる段階で西村和雄『ミクロ経済学 第3版』や金栄緑『ミクロ経済学入門 第2版』、浅田統一郎『マクロ経済学基礎講義』に移る。院を視野に入れるなら神取道宏、という順番が自然だよ。

数学の前提で選ぶ——数式なしから微積・統計まで

橘ナナミ

橘ナナミ

数学が苦手でも読めるものはありますか?

佐藤メバル

佐藤メバル

あるよ。『ミクロ経済学入門の入門』は本当に数式なし。『世界一わかりやすいミクロ経済学入門』は無差別曲線や効用関数、微分をばっさり削ってビジネスの題材に絞っている。『大学の人気講義でよく分かる「ミクロ経済学」超入門』も、早稲田大学政治経済学部の講義で使われるグラフと数式をできるだけ簡略化し、具体例とたとえ話で運ぶ本だ。逆に『ミクロ経済学入門 第2版』は巻末に微分・偏微分・期待値の補論を置いていて、数式に慣れながら進める設計になっている。数式の量は「読めるかどうか」を左右するから、必ず立ち読みで確かめて。

形式で選ぶ——新書・図解・教科書・問題集・原書

橘ナナミ

橘ナナミ

新書と教科書は、どう使い分けるんですか?

佐藤メバル

佐藤メバル

新書は「地図」、教科書は「道」だね。『ミクロ経済学入門の入門』や『池上彰のやさしい経済学[令和新版]』で地図を頭に入れてから、演習のある教科書に進む。西村和雄『ミクロ経済学 第3版』はコラムと練習問題が充実していて、読みっぱなしにならない。問題集を買う前に、教科書側に解答が付いているかを確認するのが先だよ。

大学の講義(シラバス)に対応させる

橘ナナミ

橘ナナミ

大学ごとに使う教科書が違うんですよね。

佐藤メバル

佐藤メバル

そう。だから最初にシラバスを見る。ミクロで神取道宏や西村和雄、マクロで中谷巌『入門マクロ経済学 第6版』や浅田統一郎、マンキューが指定されていれば、まずそれを軸にするのが最短ルート。指定本が重ければ、同じテーマを扱う薄い本を併読して講義の前に一度通しておく。放送大学の柴山桂太『現代経済理論』のように、経済史と思想を横断して組まれた科目もあるから、副題まで読んでおくと迷わない。

版・翻訳・電子版・中古の実務的な注意

橘ナナミ

橘ナナミ

古い版の中古でも大丈夫ですか?

佐藤メバル

佐藤メバル

理論の骨格は古びないけれど、事例とデータは古びる。『クルーグマン 入門経済学』はコロナ禍や物価上昇、ウクライナ侵攻の事例が更新されているし、『マンキュー マクロ経済学I 入門篇』も最新のケース・スタディが差し替わっている。試験対策で指定版があるなら必ずその版を。電子版は文字検索ができない固定レイアウトの教科書もあるので、購入前にプレビューで確認して。翻訳書は訳語のクセがあるから、図書館で本文を一度読んで相性を見るといい。

大学の経済学の本をひと目で比較

橘ナナミ

橘ナナミ

えっ、25冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?

佐藤メバル

佐藤メバル

焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず

#画像名称おすすめ対象価格一言
1
マンキュー入門経済学(第4版)
マンキュー入門経済学(第4版)大学の経済学の講義にこれから出る1年生、教科書が配られたけれど読み方が分からない人、独学でミクロとマクロを通して押さえたい人。講義の予習復習の軸として手元に置きたい。数式より言葉と図で概念を確認したい場面に向く。¥3,960経済学の地図を最初に渡す本
2
クルーグマン 入門経済学
クルーグマン 入門経済学ニュースで見た出来事を経済学の言葉で説明できるようになりたい人、定義の暗記で飽きてしまうタイプの学生、ミクロとマクロを短時間で俯瞰したい社会人。読み物としての手触りを重視する場面に向く。¥3,740事例から入る生きた入門
3
スティグリッツ入門経済学 第4版
スティグリッツ入門経済学 第4版市場は万能ではないと感じている人、金融危機や格差を経済学で考えたい人、情報の経済学に触れてみたい学生。ジャスミン革命やウォール街のデモを題材に、グローバル経済の見取り図を得たい場面に向く。¥3,080市場の限界から学ぶ一冊
4
アセモグル/レイブソン/リスト 入門経済学
アセモグル/レイブソン/リスト 入門経済学理論より先に「経済を理解する」ことを優先したい学生、データで考える練習をしたい人、実験経済学に関心がある読者。身近なサービスの仕組みを経済学で読み解きたい場面に向く。¥3,520データで考える新しめ入門
5
経済学・入門 第3版 (有斐閣アルマ)
経済学・入門 第3版 (有斐閣アルマ)日本の経済史と理論を同時に押さえたい人、新聞の経済面を読む前に背景を知りたい人、教養科目で経済学を学ぶ学生。戦後から現在までの流れを軸に整理したい場面に向く。¥2,530日本経済史から入る入門

大学の経済学の本のおすすめ人気ランキング

橘ナナミ

橘ナナミ

一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!

佐藤メバル

佐藤メバル

よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい

マンキュー入門経済学(第4版)
1

マンキュー入門経済学(第4版)

N・グレゴリー・マンキュー 著|発行元:センゲージ・ラーニング株式会社 発売元:TKDラーニング/東京化学同人

¥3,960(税込)

4.8

「経済学の10原則」に始まり、需要と供給、消費者・生産者・市場の効率性、生産コスト、GDPの計測、生産と成長、貯蓄・投資・金融システム、貨幣とインフレ、総需要と総供給、開放経済までを一冊で通す教科書。第I部イントロ、第II部ミクロ、第III部マクロという並びなので、経済学の地図を最初に一枚もらえるのが最大の利点です。弾力性、租税のコスト、消費者選択、貨幣量の成長とインフレといった付論が厚く、授業で詰まりやすい箇所を自分で補える。クルーグマンやスティグリッツより「標準の型」を素直に学べる一冊です。

こんな人におすすめ

大学の経済学の講義にこれから出る1年生、教科書が配られたけれど読み方が分からない人、独学でミクロとマクロを通して押さえたい人。講義の予習復習の軸として手元に置きたい。数式より言葉と図で概念を確認したい場面に向く。

良い点

  • ミクロとマクロを一冊で通せる構成
  • 付論が厚く授業の詰まりを補える
  • 目次が体系的で独学の道筋になる

気になる点

  • 分量が多く通読は骨が折れる
  • 演習中心なら別途問題集が欲しい
  • 事例の更新は自分で追う必要がある

出版社

発行元:センゲージ・ラーニング株式会社 発売元:TKDラーニング/東京化学同人

発売日

2025年2月

ページ数

詳細情報なし

橘ナナミ

橘ナナミ

「経済学の10原則」って、最初に唱える呪文みたいなものですか?

佐藤メバル

佐藤メバル

唱えるというより、この先ずっと使い回す道具箱です。目次を見ると、第I部で10原則と「経済学者らしく考えよう」、第II部で需要と供給から市場の効率性、生産コスト、第III部でGDPの計測、貯蓄と投資、貨幣とインフレ、総需要と総供給と続く。

骨格が先に見えるので、今どこを歩いているかを見失いにくいんですよ。

橘ナナミ

橘ナナミ

分厚いと聞いて、開く前に心が折れそうです。

佐藤メバル

佐藤メバル

それなら一周しようとしないことです。まず第1章と第2章だけ、次に4章と5章だけ、という区切りで読む。

弾力性や租税のコストは付論に独立しているので、講義で詰まった回だけ拾いに行けます。図版と用語説明の視認性を高めたと案内されている版なので、前より目は疲れにくいはずです。

クルーグマン 入門経済学
2

クルーグマン 入門経済学

ポール・クルーグマン 著|東洋経済新報社

¥3,740(税込)

4.7

コロナ禍、物価上昇、ロシアによるウクライナ侵攻といった現実の事例から経済学に入っていく「アカデミックエンターテインメント」。理論を学ぶ合間に、第1期トランプ政権の関税政策の帰結を扱うコラムが挟まり、物語を読むように生きた経済学が身につくと紹介されています。今回は日本版として初めて「入門経済学」が刊行され、ミクロとマクロのエッセンスを凝縮した初学者向けの一冊になった点が、分厚い原書との違い。理論の前に物語がある独特の順番です。

こんな人におすすめ

ニュースで見た出来事を経済学の言葉で説明できるようになりたい人、定義の暗記で飽きてしまうタイプの学生、ミクロとマクロを短時間で俯瞰したい社会人。読み物としての手触りを重視する場面に向く。

良い点

  • コロナ禍や物価上昇など事例が新しい
  • コラムが物語のようで読み進めやすい
  • 日本版として初の入門書という位置づけ

気になる点

  • 分量が多く持ち歩きには重い
  • 事例中心で理論の網羅は絞られる
  • 数式の演習は別途必要になる

出版社

東洋経済新報社

発売日

2025年9月

ページ数

詳細情報なし

橘ナナミ

橘ナナミ

「アカデミックエンターテインメント」って、教科書にその言葉を使うんですね。

佐藤メバル

佐藤メバル

ええ、そこがこの本の性格です。現実におもしろい事例を出して学習意欲を高める手法が貫かれていて、コロナ禍や物価上昇、ロシアによるウクライナ侵攻まで題材に入っている。

理論の前に物語がある構成なんです。第1期トランプ政権の関税政策の帰結を扱うコラムを、理論の合間に読めるのも大きい。

橘ナナミ

橘ナナミ

分厚いのに読み物として進むなら、逆に初心者向きですか?

佐藤メバル

佐藤メバル

向き不向きはあります。定義を順番に積み上げたい人には落ち着かないかもしれない。でも、ニュースの「なぜ」から入りたい人には刺さります。

日本版として初めて入門経済学が出たという点も見逃せなくて、ミクロとマクロのエッセンスを凝縮した形になっています。

スティグリッツ入門経済学 第4版
3

スティグリッツ入門経済学 第4版

ジョセフE.スティグリッツ 著|東洋経済新報社

¥3,080(税込)

4.6

市場メカニズムを重視しながら、市場の不完全性と限界をはっきり認める立場で、ミクロとマクロを統一的に展開する教科書。著者がノーベル経済学賞の受賞理由とした「情報の経済学」の分析を多く取り入れ、さまざまな問題に応用しているのが特徴です。日本語版だけの第12章「グローバル危機」では、2008年の金融危機とユーロ危機を著者自身が書き下ろしている。情報の非対称性というレンズが最初から入っている点が他書との違いです。

こんな人におすすめ

市場は万能ではないと感じている人、金融危機や格差を経済学で考えたい人、情報の経済学に触れてみたい学生。ジャスミン革命やウォール街のデモを題材に、グローバル経済の見取り図を得たい場面に向く。

良い点

  • 情報の経済学の視点が随所に入る
  • 日本語版だけのグローバル危機の章
  • ミクロとマクロを統一的に扱う

気になる点

  • 刊行からの年数ぶん事例は新しくない
  • 立場の色が濃いと感じる人もいる
  • 図表の分量はやや多め

出版社

東洋経済新報社

発売日

2012年3月

ページ数

詳細情報なし

橘ナナミ

橘ナナミ

「情報の経済学」って、聞いたことはあるんですけど何を調べる学問なんですか?

佐藤メバル

佐藤メバル

売り手と買い手が同じことを知っているとは限らない、という前提から始める考え方です。中古車でも保険でも、片方だけが質を知っていると市場が歪む。

スティグリッツはその分析でノーベル経済学賞を受けた人で、この教科書にもその視点が多く織り込まれています。

市場の不完全さを出発点にするのが大きな違いです。

橘ナナミ

橘ナナミ

それって、教科書なのに主張が強い本ということですか?

佐藤メバル

佐藤メバル

主張はあります。ただ、市場を重視しながら限界も認める、という一貫した姿勢なんです。日本語版だけの第12章「グローバル危機」は、2008年の金融危機とユーロ危機について著者自身が書き下ろしたもの。

ジャスミン革命やウォール街のデモを入口に、混迷する世界経済を考えたい人に向きます。

アセモグル/レイブソン/リスト 入門経済学
4

アセモグル/レイブソン/リスト 入門経済学

ダロン・アセモグル 著|東洋経済新報社

¥3,520(税込)

4.4

『ミクロ経済学』『マクロ経済学』から基本概念を学ぶ15章を抜き出して再構成した一冊。3つの原理「最適化」「均衡」「経験主義」を軸に、実験経済学の成果も取り入れた「新しい」内容で、金融危機以降に書き換えを迫られた経済学にも対応しています。3種類のコラム「根拠に基づく経済学」「データは語る」「選択の結果」が現実のデータと理論をつなぐ。フェイスブックが無料なのはなぜかという問いから始まります。

こんな人におすすめ

理論より先に「経済を理解する」ことを優先したい学生、データで考える練習をしたい人、実験経済学に関心がある読者。身近なサービスの仕組みを経済学で読み解きたい場面に向く。

良い点

  • 3つの原理で全体が貫かれている
  • データを根拠にするコラムが豊富
  • 実験経済学の成果を早い段階で使う

気になる点

  • 原著からの抜粋構成で重複感はある
  • 数式による演習は少なめ
  • シリーズ他巻と併せると出費が増える

出版社

東洋経済新報社

発売日

2020年9月

ページ数

詳細情報なし

橘ナナミ

橘ナナミ

最初の問いが「フェイスブックが無料なのはなぜか」って、いきなりつかまれました。

佐藤メバル

佐藤メバル

そこが上手いところです。無料で提供されているという経済現象の原因と結果を解明する、という宣言になっている。

著者たちは「経済学の考え方はシンプルだが、世界の出来事を説明し、予測し、改善するのに役立つ」とまえがきで書いている。

経済を理解するために経済学を学ぶ、という優先順位が全編を貫きます。

橘ナナミ

橘ナナミ

「経験主義」って、要するにデータ重視ということですか?

佐藤メバル

佐藤メバル

そう受け取って大丈夫です。「最適化」「均衡」「経験主義」の3つが原理として置かれ、それを「根拠に基づく経済学」「データは語る」「選択の結果」という3種類のコラムが支える。

読後には現実の経済社会の見方が違ってくる、と監訳者が書いているほどです。

経済学・入門 第3版 (有斐閣アルマ)
5

経済学・入門 第3版 (有斐閣アルマ)

塩澤修平 著|有斐閣

¥2,530(税込)

4.3

きめ細かな図解と身近な例で、経済を見る目を養う入門書。日本経済を戦後の復興・成長からバブル、リーマン・ショック後まで通観したうえで、ミクロとマクロの基礎を学び、それらを踏まえてグローバル化時代の現実問題を考えるヒントを示す構成です。理論だけを先に詰め込まず、日本の歩みとセットで基礎が入るのが独自の順番。定番テキストの改訂版として、図解の細かさも安定しています。

こんな人におすすめ

日本の経済史と理論を同時に押さえたい人、新聞の経済面を読む前に背景を知りたい人、教養科目で経済学を学ぶ学生。戦後から現在までの流れを軸に整理したい場面に向く。

良い点

  • 図解が細かく独学でも追いやすい
  • 日本経済の通観から入る構成
  • 定番テキストの改訂版で安定感

気になる点

  • 現実問題の扱いはヒント止まり
  • 数理的な演習は少ない
  • 事例の更新は版に依存する

出版社

有斐閣

発売日

2013年5月

ページ数

詳細情報なし

橘ナナミ

橘ナナミ

経済学の本なのに、戦後の復興から話が始まるんですね。

佐藤メバル

佐藤メバル

そこがこの本の入り口です。いきなり効用関数ではなく、日本経済がどう歩いてきたかを通観してから、ミクロとマクロの基礎に入る。

理論と歴史を行き来するので、金利や物価の話が体に染みやすいんですよ。最後はグローバル化時代の現実問題を考えるヒントまで連れていってくれます。

橘ナナミ

橘ナナミ

書店員さん時代、こういう本はどんな人が買っていきました?

佐藤メバル

佐藤メバル

教養科目で経済学を取った1、2年生が多かったですね。あと、新聞を読み始めた社会人。図解がきめ細かいので、独学の人が途中で投げ出しにくい。

分厚い教科書に挑む前の一冊としても機能します。

大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる
6

大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる

井堀利宏 著|KADOKAWA/中経出版

¥1,650(税込)

4.1

著者が東大で20年以上教えてきたミクロとマクロのエッセンスを、1日30分×20項目で学べる形に凝縮した一冊。需要と供給、消費者と企業の行動、独占と規制、外部性と市場の失敗、不完全情報、GDP、財政政策、金融政策、景気と失業、インフレとデフレ、経済成長、国際経済までが20の項目に整理されています。教養としての経済学を短時間で通過できる設計で、用語の地図を先に手に入れたい人に向きます。

こんな人におすすめ

通学・通勤のスキマ時間で全体像をつかみたい人、資格試験や就活の前に用語を整理したい学生、数式から逃げつつ考え方を知りたい社会人。まず地図がほしい場面に向く。

良い点

  • 20項目で全体像を短時間で把握
  • 項目が細かく区切りやすい
  • 用語の整理に向いた構成

気になる点

  • 深い理解には別の一冊が必要
  • 計算演習はほぼ期待できない
  • 10時間で終わるかは人による

出版社

KADOKAWA/中経出版

発売日

2015年4月

ページ数

詳細情報なし

橘ナナミ

橘ナナミ

「10時間でざっと」って、本当にそれで身につくものですか?

佐藤メバル

佐藤メバル

身につくのは全体の地形です。断片的に流れてくる経済ニュースを、需要と供給、財政政策、金融政策といった引き出しに振り分けられるようになる。

著者は「ただ流れていく情報をインプットしているだけでは本当の教養は身に付かない」と書いていて、枠組みを持つことを狙っています。

橘ナナミ

橘ナナミ

じゃあ、これ一冊で講義の代わりにはなりませんか?

佐藤メバル

佐藤メバル

ならないですね。でも講義の前に読むと、話の座標が分かって聞き取りやすくなる。東大で20年以上教えてきた内容が20項目に整理されているので、目次を眺めるだけで経済学が何を扱う学問かが見えます。

通学の電車で1項目ずつ、という使い方がいちばん合います。

高校生のための経済学入門[新版] (ちくま新書 1779)
7

高校生のための経済学入門[新版] (ちくま新書 1779)

小塩隆士 著|筑摩書房

¥1,012(税込)

4.1

需要と供給、市場メカニズム、金利、格差、効率と公平、景気、物価、GDP、人口減少と経済成長、インフレ、金融政策、税金と財政、社会保障、円高と円安、比較優位、貿易と世界経済まで、経済学の全体像を一気につかめるようにした新書。毎日の経済ニュースの捉え方や見方を高校生に理解できるよう徹底的に噛み砕いています。キーワード索引が付き、学び直しにも使える検索性が新版の売りです。

こんな人におすすめ

経済ニュースの用語をその場で調べ直したい人、高校生の子どもに経済を説明したい親、大学入学前に見取り図がほしい受験生。知っているようで説明できない言葉を潰したい場面に向く。

良い点

  • 新書サイズで持ち歩きやすい
  • キーワード索引で逆引きできる
  • ニュースの用語を一通り網羅する

気になる点

  • 数式や計算の練習はできない
  • 専門的な議論には踏み込まない
  • 図表は最小限にとどまる

出版社

筑摩書房

発売日

2024年2月

ページ数

詳細情報なし

橘ナナミ

橘ナナミ

「高校生のための」って書いてあると、大学生の私が読んでもいいのか迷います。

佐藤メバル

佐藤メバル

まったく問題ないです。むしろビジネスパーソンの学び直しにもぴったりだと紹介されている本で、GDPデフレーター、プライマリーバランス、マネタリーベースといった、知っているようで説明できない言葉を潰していく用途に向いています。

索引から逆引きできるのが新版のありがたさですね。

橘ナナミ

橘ナナミ

逆引きって、ニュースを読んでから開く使い方ですか?

佐藤メバル

佐藤メバル

その使い方がいちばん効きます。円高と円安、比較優位、市場の失敗など、その日に引っかかった言葉を索引で探して数ページ読む。

読み通さなくても、辞書のように何度も戻ってこられる。新書なので鞄に入れても邪魔になりません。

池上彰の経済学入門 (ちくまプリマー新書, 481)
8

池上彰の経済学入門 (ちくまプリマー新書, 481)

池上彰 著|筑摩書房

¥880(税込)

3.9

物の値段はどう決まるのか、お金はなぜ価値があるのか、景気やインフレとは何か、金利はどう決まるのか、円安と円高のどちらがいいのか、資本主義はみんなを幸せにするのか——キホンの仕組みを身近な例から解説します。市場、貨幣、景気、資本主義、株式会社までをたどり、社会主義の失敗や新自由主義の誕生にも触れて、最後は「買い物は投票行動だ」で締める。仕組みと歴史を同時に行き来する構成です。

こんな人におすすめ

経済の言葉をゼロから身近な例で理解したい人、資本主義や株式会社の成り立ちを知りたい学生、社会科の学び直しをしたい大人。ニュースの背景をやさしく知りたい場面に向く。

良い点

  • 身近な例から入るやさしい語り
  • 株式会社の仕組みまで一冊で
  • 歴史の流れも同時に追える

気になる点

  • 深い理論には踏み込まない
  • ページ数が少なく駆け足に感じる
  • 数式による説明はない

出版社

筑摩書房

発売日

2025年2月

ページ数

詳細情報なし

橘ナナミ

橘ナナミ

目次に「社会主義の失敗」と「新自由主義の誕生」が並んでいて、経済学の本というより歴史の本みたいです。

佐藤メバル

佐藤メバル

池上さんの本はいつもそうで、経済の仕組みを歴史の流れの中に置いてくれるんです。市場、貨幣、景気、資本主義、株式会社という順に、身近な例から積み上げていく。

西ドイツと東ドイツの格差やレーガン大統領の「小さな政府」まで出てくる。仕組みと歴史が同時に頭に入るのが強みです。

橘ナナミ

橘ナナミ

株式会社のところで「船を建造し船長を雇ったのが始まり」とあって、そこは意外でした。

佐藤メバル

佐藤メバル

そう、株式会社を金融の仕組みとしてだけでなく、リスクを分散する知恵として説明している。最後は「買い物は投票行動だ」という言葉で締められます。

お金をどこに使うかが社会の形を決める、という視点まで連れていってくれるのが、この薄さにしては贅沢なところです。

池上彰のやさしい経済学[令和新版] 1 しくみがわかる
9

池上彰のやさしい経済学[令和新版] 1 しくみがわかる

池上彰 著|日経BP 日本経済新聞出版

¥1,760(税込)

3.9

貨幣の誕生、アダム・スミスの「見えざる手」、マルクスの「資本主義は失業者を生み出す」、ケインズの公共事業、フリードマンの「お金の量」、比較優位と自由貿易・保護貿易まで、経済学の基礎を人物と学説の流れでたどる一冊。景気が悪いと何が売れないのか、中国は本当に日本より豊かなのか、といった問いを入口に、用語解説やイラストでかみ砕いています。経済学者の名前と主張が整理される構成です。

こんな人におすすめ

経済学史の入り口に立ちたい人、教科書の人名が覚えられない学生、円安や物価高のニュースを落ち着いて考えたい社会人。学説の違いをゆるくつかみたい場面に向く。

良い点

  • 主要な経済学者の主張が並ぶ
  • イラストと用語解説で読みやすい
  • シリーズ第1巻として導入に最適

気になる点

  • この巻だけでは完結しない
  • 理論の数理的扱いはない
  • 次の一冊の選び方に迷いやすい

出版社

日経BP 日本経済新聞出版

発売日

2023年6月

ページ数

詳細情報なし

橘ナナミ

橘ナナミ

アダム・スミス、マルクス、ケインズ、フリードマン……名前は聞いたことがあるけど、主張はごちゃ混ぜです。

佐藤メバル

佐藤メバル

それを章ごとに仕分けてくれるのがこの本です。「見えざる手」が経済を動かす、資本主義は失業者を生み出す、公共事業で景気回復、お金の量が問題だ、と各章のタイトルがそのまま主張になっている。

誰が何を言ったかが一本の流れとして見えてきます。

橘ナナミ

橘ナナミ

「景気が悪いと何が売れない」みたいな問いも書いてあるんですね。

佐藤メバル

佐藤メバル

そういう素朴な問いから入るのが池上さんのやり方です。円安や物価高で不安な時代こそ経済学の基礎を知っておきたい、というのが改訂の狙いで、「経済のしくみは時代が変わっても意外に大きな変化はない」と「はじめに」で書いています。学び直しの人にも入りやすい。

ミクロ経済学入門の入門 (岩波新書)
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ミクロ経済学入門の入門 (岩波新書)

坂井豊貴 著|岩波書店

¥968(税込)

3.9

無差別曲線、限界効用、ナッシュ均衡——ミクロ経済学の迷宮でやる気をなくす前に読む「入門の入門」。数式は一切使わず、シンプルな図だけで基本を説明し、タテ書きの新書で「僕はコーラが好きだ」の一文から始まります。標準的な均衡理論からゲーム理論、IT社会を理解するためのネットワーク外部性、格差と不平等の測り方まで扱う。薄さと内容の密度のギャップが魅力です。

こんな人におすすめ

ミクロ経済学の授業でつまずいた1、2年生、数式を見ると固まってしまう文系の読者、学び直しで全体像を短時間で確認したい人。最初の一冊と二冊目の間を埋めたい場面に向く。

良い点

  • 数式なしで図だけで説明する
  • 新書で短時間に読み切れる
  • ゲーム理論や外部性まで触れる

気になる点

  • 演習量は期待できない
  • これだけでは試験対策に不足
  • 扱いは応用の手前まで

出版社

岩波書店

発売日

2017年4月

ページ数

詳細情報なし

橘ナナミ

橘ナナミ

「無差別曲線でつまずいたら最後」って、まさに私がそうなりかけたんですけど。

佐藤メバル

佐藤メバル

そのために書かれた本です。著者は経済学者だけれど、自分でも数式や複雑な図を追うのは面倒だと認めている。

だから数式は一切なし、簡単な図とくだけた文章で進む。完読の充実感を味わいやすい薄さで、内容は標準的な均衡理論からゲーム理論、ネットワーク外部性、格差の測り方まで届きます。

橘ナナミ

橘ナナミ

「コーラが好きだ」から始まる第1章は、かなり気楽ですね。

佐藤メバル

佐藤メバル

気楽だけど手抜きではないんです。読んだあとに授業のスライドへ戻ると、記号の意味が急に腑に落ちる。教科書が難しくて心が折れそうなとき、先にこちらで地形をつかんでから戻る使い方がいちばん効きます。

世界一わかりやすいミクロ経済学入門 (KS専門書)
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世界一わかりやすいミクロ経済学入門 (KS専門書)

小島寛之 著|講談社

3.7

定番教科書からビジネスに不要な部分を削り、無差別曲線・効用関数・微分をばっさり落とした一冊。需要曲線と供給曲線、価格弾力性、オークションの仕組み、余剰、直接交渉のシミュレーション、手番のあるゲーム、戦略としての価格付け、なぜ企業が倒産するまで値下げ競争をするのか、ナッシュ均衡まで講義形式で進みます。仕事で使える見方だけを残した構成です。

こんな人におすすめ

経済学部で学んだことを仕事に活かせていない社会人、ゲーム理論を具体例から入りたい学生、値下げ競争やオークションの仕組みを知りたい人。ビジネスの現場と理論をつなぐ場面に向く。

良い点

  • 微分や効用関数を思い切って削除
  • オークションや値下げ競争が題材
  • 講義形式で読み進めやすい

気になる点

  • 学術的な網羅性は低い
  • 電子版は固定レイアウトで扱いにくい
  • 証明や数理はほぼ扱わない

出版社

講談社

発売日

2019年10月

ページ数

詳細情報なし

橘ナナミ

橘ナナミ

著者が「学部で学んだミクロが仕事で役立ったか」と問いかけてくるのが、ちょっと痛いです。

佐藤メバル

佐藤メバル

そこが出発点なんですよ。定番教科書が役立つのは大学院に進むごくわずかな人だけで、多くの人には無用の長物だと著者自身が言い切っている。

だからビジネスに不要な部分を削り、実際に使える見方だけを残した。第3講のオークション、第9講の値下げ競争あたりは、読んですぐ身の回りの話に接続できます。

橘ナナミ

橘ナナミ

ナッシュ均衡も出てくるんですね。難しくないんですか?

佐藤メバル

佐藤メバル

無差別曲線や微分を落としているぶん、ゲーム理論は事例で入ります。手番のあるゲーム、戦略としての価格付け、直接交渉のシミュレートと並んでいるので、自分の損得をどう読むかという実務の言葉で理解できる。

解いて楽しい練習問題を入れたと著者が書いているのも、独学の人にはありがたいところです。

スタンフォード大学で一番人気の経済学入門 ミクロ編
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スタンフォード大学で一番人気の経済学入門 ミクロ編

ティモシー・テイラー 著|かんき出版

¥1,650(税込)

3.7

スタンフォード大学とミネソタ大学で「学生が選ぶ講義が上手な教師」の1位を獲得した著者が、経済の基本を身近な具体例で説く講義を一冊にしたもの。むずかしいと言われる経済学を、簡単に理解できる本はないだろうか、という声に応える形で書かれています。経済学の基礎が身につけば世の中の仕組みが見えてくる、どんな政策が必要かもわかってくる、という立場が全編を貫く。講義のうまさがそのまま文章になっている一冊です。

こんな人におすすめ

大学で経済学部・経営学部・商学部に進む前に予習したい高校生、経済学を一般教養として押さえたい大学生、就職活動の前に基礎を持っておきたい人。肩慣らしの一冊として向く。

良い点

  • 具体例が豊富で読みやすい
  • 講義経験に裏打ちされた説明
  • 予習や学び直しの入口に最適

気になる点

  • ミクロ編のみでマクロは別巻
  • 深い理論には踏み込まない
  • 数式の演習は用意されていない

出版社

かんき出版

発売日

2013年2月

ページ数

詳細情報なし

橘ナナミ

橘ナナミ

「学生が選ぶ講義が上手な教師」の1位って、その人が書いた本なら安心できますね。

佐藤メバル

佐藤メバル

教え方のうまさが本文からそのまま伝わってきます。経済学の基礎を知れば世の中の仕組みが見えてくる、国民のためにどんな政策が必要かもわかってくる、というのが著者の立場。

具体例を引きながら鮮やかに説くので、記号が出てくる前に経済学とは何を見る学問かが腹に落ちます。

橘ナナミ

橘ナナミ

監訳者のまえがきに、就活する学生にも持っておいてほしいと書いてありました。

佐藤メバル

佐藤メバル

そうなんです。経済新聞を読むのもいいけれど基礎がないと理解できない、まずはこの本で肩慣らしを、という趣旨ですね。

ミクロ編なので需要と供給や価格の話が中心ですが、そのぶん一冊の見通しがよく、通読しやすい。

大学の人気講義でよく分かる「ミクロ経済学」超入門
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大学の人気講義でよく分かる「ミクロ経済学」超入門

田中久稔 著|SBクリエイティブ

3.7

早稲田大学政治経済学部の必修講義「ミクロ経済学入門」の、授業中のおしゃべりを書籍化した一冊。実際の講義では多くのグラフと数式が出ますが、それらはできるだけ簡略化し、具体例とたとえ話を中心に取り出しています。プリンは誰のものか、マスクの転売はなぜいけないのか、タバコの税金はなぜ高いのか、どうすればサイは助かるのか、と章タイトルが問いになっている。身近な問いから市場と制度へ入る構成です。

こんな人におすすめ

経済学は何の役に立つのか知りたい高校生・大学生、数式が多くて諦めた経験のある人、価格や税金の仕組みを具体例で考えたい読者。とっつきやすさを最優先したい場面に向く。

良い点

  • 章タイトルが身近な問いになっている
  • グラフと数式を極力簡略化している
  • 授業の語り口で読み進めやすい

気になる点

  • 網羅的な教科書代わりにはならない
  • 電子版は固定レイアウト型
  • 数理的な訓練はできない

出版社

SBクリエイティブ

発売日

2022年9月

ページ数

詳細情報なし

橘ナナミ

橘ナナミ

「そのプリンは誰のもの?」「マスクの転売はどうしていけないの?」って、章タイトルがクイズみたいです。

佐藤メバル

佐藤メバル

だからこそ入りやすいんですよ。実際の講義ではグラフと数式がたくさん出るけれど、それらはできるだけ簡略化して、具体例とたとえ話を中心に取り出している。

抽象の手前にある問いから、需要と供給、余剰、外部性へ連れていってくれます。早稲田の授業アンケートで「面白い」1位になった講義が元になっているだけのことはあります。

橘ナナミ

橘ナナミ

タバコの税金の話も、ニュースで見たことがあります。

佐藤メバル

佐藤メバル

課税が誰の負担になるのか、という話につながっていきますね。第10章の「どうすればサイは助かるの」は、希少な野生動物を守る仕組みを経済学で考える回です。

読んでから講義に出ると、数式の意味を取り違えにくくなります。

入門マクロ経済学 第6版
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入門マクロ経済学 第6版

中谷巌 著|日本評論社

¥20(税込)

3.7

マクロ経済学の基礎理論を体系的に学べる入門テキスト。GDPを理解する、マクロ経済学の「短期」と「長期」、GDPはどのように決まるか、貨幣の需給と利子率、IS-LM分析と財政金融政策、国際マクロ、物価水準、インフレとデフレ、経済成長の理論、消費と貯蓄、投資決定の理論、そしてケインジアン・マネタリスト以降の議論や現代貨幣理論とパンデミックまで扱います。短期と長期を分けて考える枠組みを最初に教えてくれるのが強みです。

こんな人におすすめ

マクロ経済学の講義についていきたい大学生、IS-LM分析から経済成長まで一本の線で理解したい人、現代貨幣理論まで含めて論点を押さえたい読者。理論の骨組みを自分で組み立てたい場面に向く。

良い点

  • 短期と長期の枠組みから丁寧に始まる
  • IS-LM分析や成長理論まで網羅
  • 現代貨幣理論とパンデミックまで触れる

気になる点

  • 版によって入手しやすさが変わる
  • 演習問題は別途必要になる
  • 事例の新しさは版に依存する

出版社

日本評論社

発売日

2021年3月

ページ数

詳細情報なし

橘ナナミ

橘ナナミ

「マクロ経済学における『短期』と『長期』」という章が独立しているのが不思議なんですけど。

佐藤メバル

佐藤メバル

そこがマクロの勘所です。短期では価格が動きにくいと仮定して需要がGDPを決める、長期では価格が調整して供給側が決める。

同じ経済を別の時間軸で見るという発想を最初に置いてくれるので、後のIS-LM分析も成長論も迷子になりにくい。

第16章では現代貨幣理論とパンデミックまで扱うので、議論の現在地も見えます。

橘ナナミ

橘ナナミ

経済成長の理論まで行き着くんですね。

佐藤メバル

佐藤メバル

消費と貯蓄、投資決定の理論を挟んで、ケインジアン・マネタリスト以降の議論へ進みます。マクロ経済政策の有効性を最後に問い直す構成なので、教科書で学んだ道具を自分で評価する目が育ちます。

ミクロ経済学 第3版 (現代経済学入門)
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ミクロ経済学 第3版 (現代経済学入門)

西村和雄 著|岩波書店

¥3,080(税込)

3.7

ミクロ経済学の基礎を無理なく理解し、応用できることを念頭に置いた、初めて学ぶ人のためのテキスト。図表を多用したわかりやすい説明で、不確実性と情報、ゲームの理論、動学理論といった分野までカバーしています。内容をより深く理解するためのコラムと練習問題も充実し、本文は2色刷り。入門の天井を高く取ってある構成で、基礎から応用まで一冊で見渡したい人に向きます。

こんな人におすすめ

ミクロ経済学を基礎から応用まで通したい経済学部生、ゲーム理論や情報の経済学に早めに触れたい人、図表で視覚的に理解したい独学者。講義の副読本として手元に置きたい場面に向く。

良い点

  • 情報・ゲーム・動学まで射程に入る
  • 図表が多く2色刷りで見やすい
  • コラムと練習問題が充実している

気になる点

  • 説明の密度が高く軽い本ではない
  • 前提知識が要る箇所がある
  • 解答の扱いは別途確認が必要

出版社

岩波書店

発売日

2011年1月

ページ数

詳細情報なし

橘ナナミ

橘ナナミ

入門と名乗りながら、不確実性と情報や動学理論まで入っているんですね。

佐藤メバル

佐藤メバル

そこがこの本の野心です。基礎を無理なく理解したうえで応用できることを念頭に置いているので、消費者と企業の話で終わらず、ゲームの理論や情報の非対称性まで視野に入る。

入門の天井を高く取ってあるイメージですね。本文が2色刷りなのも、図中の動きを追うときに助かります。

橘ナナミ

橘ナナミ

練習問題が充実しているのは、独学だと助かります。

佐藤メバル

佐藤メバル

ええ、コラムと練習問題が併せて置かれているので、読みっぱなしにならない。ただ、説明の密度は高いので、まったくの初めてなら他の薄い入門で地形をつかんでから戻ってくるほうが挫折しにくいです。

ミクロ経済学入門 第2版 トリアーデ経済学2 (トリアーデ経済学 2)
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ミクロ経済学入門 第2版 トリアーデ経済学2 (トリアーデ経済学 2)

金栄緑 著|日本評論社

¥2,640(税込)

3.5

はじめてミクロ経済学に接する大学生向けの入門書。需要と供給、弾力性とその応用、消費量の決定、生産者の理論、市場と経済厚生、不完全競争と独占、寡占とゲーム理論、外部性と環境問題、公共財、不確実性と情報、労働市場のミクロ分析、国際貿易まで、講義で扱う順番に沿って並びます。年間4単位の大学講義でより使いやすいように再構成された。半期の講義に寄り添う目次が特徴です。

こんな人におすすめ

大学のミクロ経済学の講義と並走して学びたい1、2年生、独学で一通り順番に学びたい人、労働市場や国際貿易まで入門で押さえたい読者。試験範囲を見渡したい場面に向く。

良い点

  • 講義の進行に沿った章立て
  • 労働市場・国際貿易まで含む
  • 独占からゲーム理論へ自然につながる

気になる点

  • 数学の補論には心構えが要る
  • 事例の鮮度は版に依存する
  • 独学だと解答確認が課題になる

出版社

日本評論社

発売日

2021年9月

ページ数

詳細情報なし

橘ナナミ

橘ナナミ

目次の最後に「ミクロ経済学で使う数学」の補論があるんですね。逃げ場がない感じがします。

佐藤メバル

佐藤メバル

でも順番が親切なんです。関数、微分、偏微分と、必要になったときに戻れる位置に置かれている。本編は需要と供給から始まり、弾力性、消費者の決定、生産者、市場と経済厚生、独占、寡占とゲーム理論、外部性、公共財、不確実性と情報、労働市場、国際貿易と進みます。

講義の流れをそのままなぞる構成です。

橘ナナミ

橘ナナミ

労働市場の章があるのは、少し珍しい気がします。

佐藤メバル

佐藤メバル

賃金と雇用量がどう決まるかを、需要曲線と供給曲線の応用として扱う章ですね。国際貿易では比較優位と関税の効果まで。

年間4単位の講義で使いやすいように再構成したと案内されているので、通年で隣に置いておく教科書という性格が強いです。

マクロ経済学基礎講義 <第3版>
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マクロ経済学基礎講義 <第3版>

浅田統一郎 著|中央経済社

¥4,470(税込)

3.5

初級マクロ経済学の標準的な構成をとるテキスト。第3版では「日本経済とマクロ経済学」の章が追加され、30年以上にわたる日本経済の動向をマクロ経済学の理論を用いて解釈します。理論を学んで終わりにせず、日本の長期停滞や物価の動きを同じ道具で読み解こうとする。理論と日本経済の往復がこの版の新しい柱になっている一冊です。

こんな人におすすめ

マクロ経済学の標準的な流れを一冊で押さえたい学生、日本の経済動向を理論で説明したい社会人、講義の予習復習をしたい人。日本のデータに当てはめて考えたい場面に向く。

良い点

  • 初級マクロの標準的な構成
  • 日本経済の章が追加された
  • 長期の動向を理論で解釈する

気になる点

  • 価格はやや高めの部類に入る
  • 演習量は別途確認が必要
  • 初学者には密度が高めに感じる

出版社

中央経済社

発売日

2016年6月

ページ数

詳細情報なし

橘ナナミ

橘ナナミ

「日本経済とマクロ経済学」という章が追加されたのが気になります。理論の本なのに日本経済の話なんですか?

佐藤メバル

佐藤メバル

そこが第3版の狙いです。30年以上にわたる日本経済の動向を、マクロ経済学の理論で解釈する章を足している。

学んだ道具を目の前の経済に当てる練習になるんですよ。低成長や物価の動きを教科書の言葉で説明し直せるかどうかは、理解の良い物差しになります。

橘ナナミ

橘ナナミ

初級向けと聞いて安心したんですが、実際はどうですか?

佐藤メバル

佐藤メバル

構成は標準的で、初級マクロの定番の流れを踏みます。ただ説明は密度が高めなので、講義と並走させるか、薄い入門で一度地形をつかんでから挑むほうが進めやすい。

手元に置いて何度も参照するタイプの一冊です。

マンキュー マクロ経済学I 入門篇(第5版) (マンキュー マクロ経済学シリーズ)
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マンキュー マクロ経済学I 入門篇(第5版) (マンキュー マクロ経済学シリーズ)

N・グレゴリー・マンキュー 著|東洋経済新報社

¥4,400(税込)

3.5

マクロ経済学の超スタンダードなロングセラーテキストの第I巻。最新改訂ではトランプ大統領の貿易政策の帰結や新型コロナ不況時の失業保険制度をケース・スタディとして新たに取り上げ、「富裕層と貧困層の格差の拡大」を詳しく分析する補論を追加しています。新型コロナ不況については新たに節を設けて深く分析し、理論を実際の経済に照らし合わせながら学べる。理論と時事の往復が売りです。

こんな人におすすめ

マクロ経済学をじっくり体系的に学びたい経済学部生、格差や失業保険の制度を理論で考えたい人、政策の評価に関心がある読者。ケーススタディから理論に戻りたい場面に向く。

良い点

  • 貿易政策やコロナ不況を事例で扱う
  • 格差拡大の補論が追加された
  • 定番テキストの安定した構成

気になる点

  • 分量が多く通読に時間がかかる
  • 分冊なので姉妹巻が必要になる
  • 版によって章立てが変わる

出版社

東洋経済新報社

発売日

2024年1月

ページ数

詳細情報なし

橘ナナミ

橘ナナミ

トランプ大統領の貿易政策とか、新型コロナ不況の失業保険とか、教科書にこんなに新しい話が入るんですね。

佐藤メバル

佐藤メバル

そこが改訂の肝です。理論を実際の経済に照らし合わせながら学ぶには絶好の書、と紹介されている。ケース・スタディが理論の座標になるんですよ。

格差の拡大を詳しく分析する補論が追加されたのも、この十数年で関心が移り変わったことを映しています。

橘ナナミ

橘ナナミ

分冊になっているのは、重さの問題ですか?

佐藤メバル

佐藤メバル

実用的な理由が大きいと思いますが、入門篇と応用篇で役割が分かれているとも言えます。まずこの第I巻で基礎を固めて、必要になったら次へ進む。

コロナ不況には独立した節が設けられていて、理論と現実の距離が近い一冊です。

現代経済理論
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現代経済理論

柴山桂太 著|放送大学教育振興会

¥3,080(税込)

3.5

現代という時間軸を、二度の世界大戦と大恐慌を経験した20世紀以後と幅広く捉え、この100年あまりの出来事を振り返りながら、経済学や経済思想がどんな課題に直面し発展してきたかを概説します。規制緩和、ゼロ金利、量的緩和政策といった現代経済史の知識に加え、自由主義、社会主義、価格メカニズムなどの基本概念を、主流派のみならず異端派も含めて解説する。経済学の思想史として読める一冊です。

こんな人におすすめ

経済学を歴史と思想の側面から理解したい人、プラザ合意や金融政策の実験を理論と結びつけたい読者、放送大学で学ぶ社会人学生。理論の背景にある思想を知りたい場面に向く。

良い点

  • 主流派と異端派の両方を扱う
  • 現代史と理論を往復できる
  • プラザ合意や長期停滞まで射程に入る

気になる点

  • 問題演習向きの本ではない
  • 数式による訓練はできない
  • 前提となる歴史知識が要る

出版社

放送大学教育振興会

発売日

2026年3月

ページ数

詳細情報なし

橘ナナミ

橘ナナミ

「GDPという発明」という章題にびっくりしました。GDPって発明だったんですか?

佐藤メバル

佐藤メバル

そうなんです。測る道具自体が歴史の中で作られたものだと教えてくれる。この本は二度の世界大戦と大恐慌を経験した20世紀以降を幅広く捉えて、100年あまりの出来事を振り返りながら、経済学がどんな課題に直面してきたかをたどります。

思想と政策の地図を渡してくれる本ですね。

橘ナナミ

橘ナナミ

異端派も含めて解説しているというのは、珍しい気がします。

佐藤メバル

佐藤メバル

そこが放送大学のテキストらしいところで、自由市場対計画経済、産業政策の是非、格差社会は必然か、長期停滞が意味するもの、と問いが並びます。

規制緩和やゼロ金利、量的緩和といった現代史の知識と基本概念が結びつくので、ニュースの奥行きが変わります。

近代経済学 新版: 経済分析の基礎理論 (有斐閣大学双書)
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近代経済学 新版: 経済分析の基礎理論 (有斐閣大学双書)

新開陽一 著|有斐閣

3.5

有斐閣大学双書に連なる、経済分析の基礎理論を掲げる教科書。提供されている情報では内容紹介の本文が読み取れないため、細部には踏み込まず、書名とシリーズから読み取れる性格に絞って紹介します。経済分析の枠組みを基礎から積み上げる位置づけの一冊であり、標準的な理論構成を求めて古典的な定番に当たりたい読者に向く。骨太な基礎を長期で参照するタイプです。

こんな人におすすめ

経済分析の基礎を古典的な定番で固めたい学生、理論の枠組みを長く手元に置きたい人、定番テキストを探して書店や図書館を回っている読者。息の長い参照用として本棚に置きたい場面に向く。

良い点

  • 有斐閣大学双書の定番シリーズ
  • 基礎理論を体系的に扱う
  • 長期の参照に耐える構成

気になる点

  • 内容紹介が十分に得られない
  • 初学者には硬い印象を与える
  • 事例や演習の量は不明

出版社

有斐閣

発売日

1987年2月

ページ数

詳細情報なし

橘ナナミ

橘ナナミ

この本、オンラインの説明文が読み取れなくて中身がよく分からないんです。どう紹介すればいいんでしょう。

佐藤メバル

佐藤メバル

無理に中身を想像で埋めないほうがいいですね。分かるのは、有斐閣大学双書の系列で「経済分析の基礎理論」を掲げているということ。

定番の座を長く占めてきた教科書の性格です。書店員時代も、こういう本は試験が終わっても捨てられない棚に残っていました。

橘ナナミ

橘ナナミ

じゃあ、どんな人に勧めればいいんでしょう。

佐藤メバル

佐藤メバル

流行の入門書をひと通り読んだあと、理論の骨格そのものをじっくり固めたい人ですね。逆に、はじめて経済学に触れる人が最初に開くと硬く感じるかもしれません。

まずは薄い入門で地形をつかんでから戻る順番がおすすめです。

明解 経済理論入門
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明解 経済理論入門

高橋洋一 著|あさ出版

¥1,650(税込)

3.5

経済理論を「経済を語る上でのフレームワーク」として、オークンの法則、フィリップス曲線、貨幣数量理論、マンデル=フレミングモデル、課税平準化理論、政策割り当て定理、足による投票、補完性原理、統合政府バランスシート、賦課方式と保険数理、行動経済学・実験経済学まで、具体的な論点と結びつけて解説します。理論には現象を普遍的な法則として説明する役割と、政策手段の根拠になる役割があるとする立場。理論を使って議論する練習になる一冊です。

こんな人におすすめ

経済政策のニュースを自分の頭で評価したい社会人、年金や消費税の議論に関心がある人、データとロジックで考える癖をつけたい学生。主張の根拠を確かめたい場面に向く。

良い点

  • 理論と政策論点が直結している
  • 年金や税の論点を扱う章がある
  • 行動経済学まで触れる

気になる点

  • 著者の立場の色が濃い
  • 教科書的な網羅性はない
  • 数式による導出は省略気味

出版社

あさ出版

発売日

2020年4月

ページ数

詳細情報なし

橘ナナミ

橘ナナミ

「年金は、将来、もらえないから払わない」は愚の骨頂、ってかなり強い言い方ですね。

佐藤メバル

佐藤メバル

この本は言い切ります。賦課方式と保険数理という理論を当てると、その主張が成り立たないと説明される。理論を武器に議論するタイプの入門書なんです。

オークンの法則、貨幣数量理論、マンデル=フレミングモデル、課税平準化理論と、名前だけ知っていた理論が具体的な政策の場面に接続されていきます。

橘ナナミ

橘ナナミ

読む側は、著者の意見に同意しないといけないんでしょうか。

佐藤メバル

佐藤メバル

そこは注意が必要です。立場の色が濃いので、賛成でも反対でも、根拠として何を使っているかを確かめながら読む。

最後に「ポジティブな議論」と「ノーマティブな議論」を切り分けておくのが大切、と書いているのがこの本らしい締め方です。

ミクロ経済学 (現代経済学のコア)
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ミクロ経済学 (現代経済学のコア)

江副憲昭 著|勁草書房

¥3,190(税込)

3.5

勁草書房の「現代経済学のコア」シリーズに連なるミクロ経済学のテキスト。提供されている情報では内容紹介の本文が示されていないため、細かな構成には踏み込まず、シリーズ名と書名から読み取れる性格に絞って紹介します。標準的なミクロ経済学の理論を、シリーズの枠組みの中で体系的に扱う位置づけの一冊。定番シリーズの一冊として棚に残るタイプです。

こんな人におすすめ

ミクロ経済学の標準的な理論をシリーズで揃えたい学生、講義で指定されたテキストを丁寧に読み込みたい人、独学の副読本を探している読者。息の長い参照として手元に置きたい場面に向く。

良い点

  • 定番シリーズの一冊である
  • 理論を体系的に扱う位置づけ
  • 講義の指定テキストにもなり得る

気になる点

  • 内容紹介が十分に得られない
  • 初学者には硬い可能性がある
  • 事例の量は不明

出版社

勁草書房

発売日

2001年6月

ページ数

詳細情報なし

橘ナナミ

橘ナナミ

これも内容紹介が載っていない一冊ですね。困りました。

佐藤メバル

佐藤メバル

こういうときは、分からないことを分からないまま紹介するのが誠実です。分かるのは、勁草書房の「現代経済学のコア」というシリーズのミクロ経済学だということ。

シリーズで揃える前提の教科書ですね。書店では、同じ棚に並んで揃っていく種類の本です。

橘ナナミ

橘ナナミ

じゃあ、最初の一冊には向かないですか?

佐藤メバル

佐藤メバル

講義で指定されていれば別ですが、独学の一冊目としては、まず薄い入門で地形をつかんでからのほうが安全です。

逆に、理論をきっちり積み上げたい人が、シリーズで揃えて長く使うには向いています。

ミクロ経済学の力
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ミクロ経済学の力

神取道宏 著|日本評論社

¥3,520(税込)

3.5

圧倒的にわかりやすい文章、図解による直観的な理解、理論を裏付ける豊富な実例で、市場メカニズムの特長と問題点をきちんと理解させます。ゲーム理論もバランスよく盛り込み、消費者行動、企業行動、市場均衡、市場の失敗、独占から、同時手番のゲームとナッシュ均衡、時間を通じたゲームと戦略の信頼性、保険とモラル・ハザード、逆淘汰とシグナリングまで届く。TPPとコメの輸入自由化、ロンドン混雑税、エスカレーターの右空け、サッカーのペナルティキックなど事例が具体的。入り口から頂点までを一本で見せる教科書です。

こんな人におすすめ

経済学部2年生から大学院生まで、ミクロ経済学を本気で一本通したい人、公務員やジャーナリストなど経済の理解を仕事で使う人、ゲーム理論と情報の経済学まで到達したい読者。一冊を長く使いたい場面に向く。

良い点

  • 図解と実例が圧倒的に豊富
  • ゲーム理論と情報まで一冊で届く
  • TPPや混雑税など事例が具体的

気になる点

  • 分量が多く通読には覚悟が要る
  • 補論の数学は別途の努力が必要
  • 初めての一冊には重い

出版社

日本評論社

発売日

2014年9月

ページ数

詳細情報なし

橘ナナミ

橘ナナミ

エスカレーターの右空けやサッカーのペナルティキックまで、事例に入っているんですね。

佐藤メバル

佐藤メバル

そこがこの本の力です。理論を裏付ける実例が豊富で、TPPとコメの輸入自由化では供給曲線の推計から誰が得をするかまで踏み込む。

抽象と具体を行き来するので、ナッシュ均衡や部分ゲーム完全均衡が、そういうことかと腹に落ちます。

橘ナナミ

橘ナナミ

対象が2年生から大学院生と聞くと、私には早いでしょうか。

佐藤メバル

佐藤メバル

序章で経済学の目的と方法から始まるので、読み方さえ間違えなければ大丈夫です。ただし量は多いので、講義と並走させるか、薄い入門を一冊挟んでから挑むと進めやすい。

経済政策を担当する公務員や政治家、ジャーナリストにも勧められている本です。

統計学からの計量経済学入門
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統計学からの計量経済学入門

藤山英樹 著|昭和堂

3.5

昭和堂から出ている、統計学を入口に計量経済学へ進む入門書。提供されている情報では内容紹介の本文が示されていないため、細かな章立てには踏み込みませんが、書名から、統計学の基礎を足がかりに計量経済学の考え方へ橋を架ける構成であることが読み取れます。データを扱う前に統計の言葉を整えておきたい読者にとって、理論と実践の間を埋める位置づけの一冊。統計から計量へ渡る橋として紹介したい本です。

こんな人におすすめ

統計学を学んだあとに計量経済学へ進みたい学生、データ分析の授業の前に基礎を固めたい人、独学で回帰分析の手前まで辿りたい読者。つまずきを減らしたい場面に向く。

良い点

  • 統計から計量への橋渡しを狙う
  • 独学の順番づくりに使える
  • データ分析の前提を整えられる

気になる点

  • 内容紹介が十分に得られない
  • 演習環境は自分で用意が必要
  • 実証事例の量は不明

出版社

昭和堂

発売日

2007年7月

ページ数

詳細情報なし

橘ナナミ

橘ナナミ

統計学から入る計量経済学、という順番は理にかなっている気がします。

佐藤メバル

佐藤メバル

そうですね。回帰分析でつまずく人の多くは、実はその手前の統計の言葉でつまずいている。橋を先に架ける発想の本です。

内容紹介が十分に得られないので細部は控えめにしますが、書名から役割ははっきりしています。

橘ナナミ

橘ナナミ

うちの研究でもデータを扱うので、気になります。

佐藤メバル

佐藤メバル

ナナミさんのように研究で数字を扱う人こそ、統計の基礎を先に固めておくと、計量の教科書が急に読めるようになります。

逆に、いきなり実証分析の本から入ると、係数の意味を暗記で済ませてしまいがちです。

実証分析のための計量経済学
25

実証分析のための計量経済学

山本勲 著|中央経済社

¥2,860(税込)

3.5

推定結果を多数紹介しながら、理論や数式展開を極力省略し、直感的・実践的に解説するテキスト。最小二乗法の仕組みと適用条件、加重最小二乗法と一般化最小二乗法、プロビットモデルと最尤法、順序ロジット・多項ロジット、トービットとヘーキット、操作変数による因果関係の特定、パネル分析と固定効果モデル、サバイバル分析まで、入門から大学院レベルまで幅広くカバーします。推定結果から逆算して学ぶ構成です。

こんな人におすすめ

卒論や研究でデータを分析したい大学生・大学院生、因果関係の特定に関心がある人、実証論文を読めるようになりたい実務家。手を動かしながら学びたい場面に向く。

良い点

  • 推定結果を多数示して直感的に説明
  • 操作変数やパネル分析まで届く
  • 入門から大学院レベルをカバーする

気になる点

  • 数式展開は省略されている
  • 分析環境は自分で用意が必要
  • 統計の基礎がないと辛い箇所がある

出版社

中央経済社

発売日

2015年10月

ページ数

詳細情報なし

橘ナナミ

橘ナナミ

「理論や数式展開を極力省略して、直感的・実践的に」って、私にはありがたいです。

佐藤メバル

佐藤メバル

ただ、省略されているぶん、統計の基礎がないと逆にきつい箇所もあります。この本は推定結果を多数紹介しながら進むので、数字の読み方から逆算して理論に入る形なんです。

操作変数、パネル分析と固定効果モデル、サバイバル分析まで一冊で届くのは強い。

橘ナナミ

橘ナナミ

研究でアンケートデータを扱っているので、固定効果のところは特に気になります。

佐藤メバル

佐藤メバル

そこは第III部の因果関係の話につながりますね。効果・影響の測定という章もあって、政策や制度の効果をどう測るかという実務的な関心にまっすぐ応えてくれる。

第I部で具体例を挟んでから第II部の最尤法へ進む順番なので、独学でも迷いにくい構成です。

経済学の全体像と応用分野——地図を持ってから専門へ

橘ナナミ

橘ナナミ

経済学って、ミクロとマクロ以外に何があるんですか?

佐藤メバル

佐藤メバル

分野の地図を持つと選書がぐっと楽になる。土台がミクロ(消費者・企業・市場)とマクロ(GDP・物価・成長)で、その上に公共・国際・労働・産業組織・金融・環境・開発・医療・教育・都市といった応用分野が乗る。金栄緑『ミクロ経済学入門 第2版』は外部性と環境問題、公共財、労働市場のミクロ分析、国際貿易まで章立てで扱っていて、応用への入口が一冊で見える。

橘ナナミ

橘ナナミ

行動経済学はどうなんですか?

佐藤メバル

佐藤メバル

『アセモグル/レイブソン/リスト 入門経済学』は、最適化・均衡・経験主義という三つの原理を軸に、最先端の実験経済学の成果を取り込んだ入門書。無料で使われるフェイスブックの仕組みを経済学で解き明かすところから始まるのが象徴的だね。高橋洋一『明解 経済理論入門』も終盤で「経済×心理学」として行動経済学と実験経済学に触れていて、短時間で視点だけ持ち帰れる。

経済史・経済思想史と非主流派——公平に押さえる

橘ナナミ

橘ナナミ

マルクスとか、主流じゃない話は読まなくていいんですか?

佐藤メバル

佐藤メバル

読んでおいたほうがいい。柴山桂太『現代経済理論』は、二度の世界大戦と大恐慌を経験した20世紀以降を幅広く捉え、自由主義・社会主義・価格メカニズムといった考え方を、主流派のみならず異端派も含めて解説する。規制緩和やゼロ金利、量的緩和といった実史と理論が並ぶので、思想の位置関係がつかめる。『池上彰のやさしい経済学[令和新版]』もアダム・スミス、マルクス、ケインズ、フリードマンと人物ごとに章を割いていて、入門の段階で見取り図が手に入る。新開陽一『近代経済学 新版』のような理論テキストは、思想史を押さえたあとだと読み味が変わるよ。

橘ナナミ

橘ナナミ

なるほど、先に地図ですね。

4年間のロードマップと、挫折したときの代替本

橘ナナミ

橘ナナミ

1年から4年まで、どう並べればいいですか?

佐藤メバル

佐藤メバル

1年前期は全体像。『高校生のための経済学入門[新版]』や『大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる』、あるいは講義指定の『マンキュー入門経済学』。1年後期から2年前期でミクロとマクロの教科書を一冊ずつ、演習を回す。2年後期は計量の準備で、藤山英樹『統計学からの計量経済学入門』のように統計から入る本で確率・推定・検定を押さえる。3年で応用と実証、山本勲『実証分析のための計量経済学』で操作変数やパネル分析、因果関係の特定へ。4年で卒論や院進に向けて神取道宏『ミクロ経済学の力』や新開陽一『近代経済学 新版』のような厚い理論書に戻る。この往復が効くんだ。

橘ナナミ

橘ナナミ

途中で分からなくなったら?

佐藤メバル

佐藤メバル

戻る勇気が大事。数式で詰まったら『ミクロ経済学入門の入門』、グラフで詰まったら『スタンフォード大学で一番人気の経済学入門 ミクロ編』、マクロで詰まったら『マクロ経済学基礎講義』に戻る。中谷巌『入門マクロ経済学 第6版』は短期モデルから長期均衡、消費・投資、さらにケインジアン以降や現代貨幣理論まで並んでいるので、講義で扱った章だけ拾い読みしても戻り先になる。

橘ナナミ

橘ナナミ

併読っていいんですか?

佐藤メバル

佐藤メバル

むしろ推奨。理論書と事例の多い本——『クルーグマン 入門経済学』や『アセモグル/レイブソン/リスト 入門経済学』——を並べると、式の意味が現実と結びつく。江副憲昭『ミクロ経済学』のように現代経済学のコアを章立てで整理した本を、辞書代わりに横に置くのも手だよ。

実務・院進・データ分析への接続と、よくあるつまずき

橘ナナミ

橘ナナミ

就職や院進に効く読み方は?

佐藤メバル

佐藤メバル

実務なら『明解 経済理論入門』のように政策や制度を理論で切る本、院進なら数学と実証の接続だね。山本勲『実証分析のための計量経済学』は最小二乗法から最尤法、プロビット、順序ロジット、パネル分析、サバイバル分析まで、推定結果を多数紹介しながら数式展開を抑えて進む。データサイエンス側から来た人は、藤山英樹『統計学からの計量経済学入門』で統計を固めてから渡ると道が途切れない。つまずきの典型は「入門書を何冊も買って教科書に進まない」「指定版でない中古で章番号が合わない」「練習問題の解答がなくて手が止まる」の三つ。どれも、目的と学年を決めてから一冊に絞れば避けられる。

よくある質問

大学の経済学は何から読めばいいですか?

橘ナナミ

橘ナナミ

大学の経済学は何から読めばいいですかについて教えてください。

佐藤メバル

佐藤メバル

講義が始まる前なら『高校生のための経済学入門[新版]』や『池上彰の経済学入門』で全体像をつかむのが先です。そこから講義指定の『マンキュー入門経済学』『クルーグマン 入門経済学』『スティグリッツ入門経済学』『アセモグル/レイブソン/リスト 入門経済学』のどれか一冊に渡ると、用語と理論の対応が取りやすいです。最初の一冊は薄くても、次に進む前提で選ぶのがコツです。

マンキュー入門経済学の次に読むべき本は?

橘ナナミ

橘ナナミ

マンキュー入門経済学の次に読むべき本はについて教えてください。

佐藤メバル

佐藤メバル

講義がミクロ中心なら西村和雄『ミクロ経済学 第3版』や金栄緑『ミクロ経済学入門 第2版』、マクロ中心なら浅田統一郎『マクロ経済学基礎講義』や中谷巌『入門マクロ経済学 第6版』、『マンキュー マクロ経済学I 入門篇』へ進む流れが自然です。理論の骨格を入れたら、並行して山本勲『実証分析のための計量経済学』でデータの扱いを学ぶと、式の意味が定着します。

数学が苦手でも読める経済学の本は?

橘ナナミ

橘ナナミ

数学が苦手でも読める経済学の本はについて教えてください。

佐藤メバル

佐藤メバル

坂井豊貴『ミクロ経済学入門の入門』は数式を一切使わず、シンプルな図だけで均衡理論からゲーム理論、ネットワーク外部性まで扱います。小島寛之『世界一わかりやすいミクロ経済学入門』も無差別曲線・効用関数・微分を削り、ビジネスで使う題材に絞っています。『大学の人気講義でよく分かる「ミクロ経済学」超入門』も数式を簡略化し具体例とたとえ話で進みます。

ミクロ経済学のおすすめ教科書は?

橘ナナミ

橘ナナミ

ミクロ経済学のおすすめ教科書はについて教えてください。

佐藤メバル

佐藤メバル

1年次は『マンキュー入門経済学』などの入門教科書で需要と供給から。2年次以降は西村和雄『ミクロ経済学 第3版』や金栄緑『ミクロ経済学入門 第2版』、江副憲昭『ミクロ経済学』で演習を回し、院を視野に入れるなら神取道宏『ミクロ経済学の力』へ。講義で扱う範囲と演習の有無を基準に選ぶと、買い直しが減ります。

マクロ経済学のおすすめ教科書は?

橘ナナミ

橘ナナミ

マクロ経済学のおすすめ教科書はについて教えてください。

佐藤メバル

佐藤メバル

入門段階は『マンキュー入門経済学』や『アセモグル/レイブソン/リスト 入門経済学』のマクロ部分で、GDP・物価・成長の見方を押さえます。本格的に学ぶなら中谷巌『入門マクロ経済学 第6版』、浅田統一郎『マクロ経済学基礎講義』、『マンキュー マクロ経済学I 入門篇』が定番です。短期モデルから長期均衡へ順に進む構成なので、途中の章を飛ばさず読むほうが理解が続きます。

経済学部1年生におすすめの本は?

橘ナナミ

橘ナナミ

経済学部1年生におすすめの本はについて教えてください。

佐藤メバル

佐藤メバル

まず『高校生のための経済学入門[新版]』か『大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる』で全体像を。その後、講義指定の入門教科書(『マンキュー入門経済学』など)を一冊決めて、章末の確認問題まで手を動かします。数学に不安があれば『ミクロ経済学入門の入門』を併読し、指定本で詰まったときの戻り先を先に確保しておくのが安全です。

経済学の本は古い版でも大丈夫ですか?

橘ナナミ

橘ナナミ

経済学の本は古い版でも大丈夫ですかについて教えてください。

佐藤メバル

佐藤メバル

理論の骨格は古びませんが、事例とデータは更新されます。『クルーグマン 入門経済学』はコロナ禍や物価上昇、ウクライナ侵攻の事例が反映され、『マンキュー マクロ経済学I 入門篇』もケース・スタディが差し替わっています。試験対策で指定版がある場合は必ずその版を。中古や電子版を選ぶときは、章立てと収録範囲の一致を確認してから購入してください。

独学で経済学を学ぶロードマップは?

橘ナナミ

橘ナナミ

独学で経済学を学ぶロードマップはについて教えてください。

佐藤メバル

佐藤メバル

入門書で全体像→ミクロとマクロの教科書を一冊ずつ→統計・計量の準備→応用と実証、という順番が組みやすいです。具体的には『高校生のための経済学入門[新版]』→『マンキュー入門経済学』などの教科書→藤山英樹『統計学からの計量経済学入門』→山本勲『実証分析のための計量経済学』。詰まったら『ミクロ経済学入門の入門』に戻り、思想史は柴山桂太『現代経済理論』で補うと全体がつながります。

まとめ

橘ナナミ

橘ナナミ

佐藤さん、最後にまとめてもらえますか?

佐藤メバル

佐藤メバル

大事なのは「一冊を選ぶ」より「順番を決める」こと。『高校生のための経済学入門[新版]』や『池上彰の経済学入門』で地図を描き、『マンキュー入門経済学』や『クルーグマン 入門経済学』で骨格を入れ、詰まったら『ミクロ経済学入門の入門』に戻る。2年以降は神取道宏『ミクロ経済学の力』や浅田統一郎『マクロ経済学基礎講義』で理論を厚くし、山本勲『実証分析のための計量経済学』でデータに向き合う。思想史と歴史は柴山桂太『現代経済理論』で補う。これで4年間は十分渡れる。

橘ナナミ

橘ナナミ

なんか、地図を持って旅する感じですね。

佐藤メバル

佐藤メバル

まさにそれ。経済学の本は、地図とコンパスとルートマップの三種類だ。地図は入門書、コンパスは数学と統計、ルートマップは講義のシラバス。どれか一つが欠けても迷うけれど、三つそろえば知らない街でも道は見つかる。経済学は4年かけて歩く街のようなもので、最初から全部の道を知っている必要はないんだよ。

橘ナナミ

橘ナナミ

私も、まず地図になる一冊から買ってみます!

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Editorial Team

編集に関わる専門家