国際政治と経済が学べる本のおすすめ人気ランキング25選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
佐藤さん、今回のテーマは「国際政治経済」ですよね。調べていて思ったんですけど、『国際政治経済学』『国際政治経済学入門』『国際政治経済論』……書名が似すぎていて、どれがどれだか分からなくなりました。
佐藤メバル
はは、その迷子、書店員時代の僕も何度もやったよ。国際政治経済学は英語で International Political Economy、略して IPE。政治と経済を別々の棚に分けず、その接点から世界を見る学問で、教科書が本当にたくさん出ている。
橘ナナミ
なるほど。じゃあ「どれが良いか」より先に決めることがあるんですか?
佐藤メバル
そう、まず決めるのは「何のために読むのか」。ニュースの裏を読みたいのか、授業や研究で必要か、教養として眺めたいのか。入口が違えば、最適な一冊は変わるんだ。
橘ナナミ
それ気になります! 入口の見分け方を教えてください。
佐藤メバル
いいよ。軸ごとに、実際の書名を挙げながら見ていこう。
国際政治と経済が学べる本の選び方
目的別に選ぶ
橘ナナミ
目的別だと、どう変わりますか?
佐藤メバル
ニュース理解が目的なら、『やさしく学べる国際政治経済』や『30分でわかる!国際政治経済学入門』のような、予備知識なしで読める入門から。『はじめての国際政治経済学』は経済学の専門知識がない人向けに書かれ、開発や環境、ビジネスと人権、経済安全保障まで扱っている。逆に試験やレポートなら、最初から『国際政治経済学・入門 第3版』のような体系書へ。「理論と歴史」「事例分析」「展望」の3部構成で、金融と移民の章が新しく足されている。
レベル別に選ぶ
橘ナナミ
レベルで分けると、どうなりますか?
佐藤メバル
前提知識ゼロなら『はじめての国際政治経済学』や『やさしく学べる国際政治経済』。学部生なら『国際政治経済学・入門 第3版』、あるいは飯田敬輔さんの『国際政治経済』——通商や金融に加えて開発や環境、人の移動まで、日本の事例を多く使って解説している。院生・専門なら田所昌幸さんの『国際政治経済学[第2版]』、ギルピンの『世界システムの政治経済学』、コヘインの『覇権後の国際政治経済学』が視野に入る。背伸びして上から入ると用語の壁で折れるから、一段下を恥ずかしがらずに踏むほうが結局は速いよ。
形式別に選ぶ
橘ナナミ
新書・文庫・教科書、どれがいいんでしょう?
佐藤メバル
手軽さなら新書の『国際経済の政治学』、文庫ならストレンジの『国家と市場』がちくま学芸文庫で読める。腰を据えるなら有斐閣アルマや有斐閣ブックスの教科書。辞書として置くなら田中明彦さんの『新・国際政治経済の基礎知識』で、基本テーマを百六十余り選び、第一線の研究者が項目ごとに簡潔に解説している。「関心のあるものから始め、わからないことに出合うたびに最小限の知識を得る」ためのハンドブックで、通読用というより座右の一冊だね。
理論的立場別に選ぶ
橘ナナミ
著者によって言うことが違う、と聞きました。
佐藤メバル
そこが面白いところ。大きく三つあって、権力と国益を軸にするリアリズム、国際制度や相互依存を重んじるリベラリズム、理念やアイデンティティが国益を作ると見るコンストラクティビズム。コヘインの『覇権後の国際政治経済学』は国際レジームの役割を解明した制度主義の名著で、リアリズムとは立つ位置が違う。ストレンジの『国家と市場』は「構造的権力」という独自の概念で読み解いた本で、教科書の常識を横から揺さぶってくれる。一冊に絞らず、わざと立場の違う本を並べて読むといい。
テーマ別に選ぶ
橘ナナミ
経済安全保障や地域研究から入るのは、ありですか?
佐藤メバル
あり。経済安全保障や地政学なら、田所さんの『国際政治経済学[第2版]』が経済的関与、経済援助、経済制裁、経済安全保障、武器生産と移転、地経学と新興技術まで章で追っている。米中なら『世界政治経済と日本・米国・中国』、ゲーム理論で考えたいなら石黒馨さんの『グローバル政治経済のパズル』——米朝核交渉や移民受入の疑問をゲーム理論で読み解く本だ。ただし中国・ロシア・中東・EU・東南アジアの地域研究は、今回のリストでは薄い。地域の個別研究は別の棚で補ってほしい。
入手性別に選ぶ
橘ナナミ
買えるかどうか、も気になります。
佐藤メバル
電子は形式に注意。『入門・国際政治経済の分析』のKindle版はプリント・レプリカ形式で、Kindle PaperwhiteなどのリーダーやCloud Readerでは読めず、タブレットやPC・スマホのアプリが必要になる。買う前に自分の端末で読めるか確認してほしい。絶版・品切れも珍しくないから、図書館や相互貸借、古書店も組み合わせて。手に入らない一冊に固執するより、同じ論点の別の本で先に進むほうが学びは速い。
国際政治と経済が学べる本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、25冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
国際政治と経済が学べる本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい

国際政治経済学・入門 第3版 (有斐閣アルマ)
野林健 著|有斐閣
¥2,090(税込)
政治と経済の相互作用に着目し、「理論と歴史」「事例分析」「展望」の3部構成で現代の国際社会が抱える問題を解説する有斐閣アルマの定番入門。新版以降の国際社会と国際政治経済学の変化をふまえて各章がヴァージョンアップされ、新たに「金融」「移民」の章が設けられたのが大きな違いだ。理論だけ、歴史だけに偏らず事例分析を挟んで展望まで見渡せるので、ニュースで見た出来事がどの論点に接続するのかを确かめながら読み進められる。通学かばんに入る351ページの一冊。
こんな人におすすめ
これから国際政治経済学を体系的に学びたい大学1・2年生、就活や院試を控えて基礎を固め直したい人、ニュースの経済と外交のつながりを一度整理したい社会人。最初の一冊として通読し、関心のある章から拾い読みする使い方も向く。
良い点
- 理論・事例・展望の3部構成で全体像がつかめる
- 金融・移民の章が新たに加わった更新版
- 351ページで通読しやすい分量
気になる点
- 入門とはいえ用語の密度は高め
- 前提知識ゼロだと章によっては重い
- 事例が多く読み込みに時間がかかる
出版社
有斐閣
発売日
2007年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
佐藤さん、国際政治経済の最初の一冊って、やっぱり教科書みたいなものから入るべきなんですか? 私はニュースを追うだけでは頭がごちゃごちゃになるタイプで……。
佐藤メバル
いい質問だね。一冊で全部、と考えると身構えてしまうけれど、この本は「理論と歴史」「事例分析」「展望」の3部構成になっていて、どこから読んでも現在地が確かめられる。
新版以降の変化をふまえて各章が更新され、新たに「金融」「移民」の章も設けられた。政治と経済の相互作用を軸にしているから、断片的なニュースが一本の線につながりやすいよ。
橘ナナミ
金融と移民の章が足されたんですね。移民って、経済の話と安全保障の話が混ざる感じがして難しそう……。
佐藤メバル
そこが今の国際政治経済学らしいところだね。人の移動は労働市場の話であり、同時に国境管理や政治の話でもある。
この本は政治と経済の相互作用を最初に据えているので、どちらか一方の言葉だけで説明しようとすると足りなくなる、という感覚がつかめる。
351ページ、通読できなくても、気になる章をつまみ読みするだけで地図が手に入るよ。

新・国際政治経済の基礎知識 新版 (有斐閣ブックス 97)
田中明彦 著|有斐閣
¥3,361(税込)
国際政治経済の理解に不可欠な基本テーマ164項目を精選し、第一線の研究者46人が各テーマのポイントを簡潔・的確に解説するハンドブックの新版。通読する本ではなく、「関心のあるものから始め、わからないことに出合うたびにそれらについての最小限の知識を得る」ための辞書的な一冊だ。著者一人の視点で貫かれた入門書とは違い、複数の専門家の手による項目が並ぶので、論点ごとに何が争点なのかを素早く確認できる。
こんな人におすすめ
レポートや論文で用語の定義を確認したい学生、ニュースで出てきた言葉をその場で調べたい社会人、ゼミや勉強会の発表準備で論点を整理したい人。通読せず、辞書代わりに手元に置く使い方がいちばん向いている。
良い点
- 164項目を辞書的に引ける
- 46人の研究者が分担し視点が多彩
- 1項目が短く調べものが速い
気になる点
- 通読向きの構成ではない
- 項目間のつながりは自分で補う必要
- 価格は3361円とやや高め
出版社
有斐閣
発売日
2010年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
さっきの本を通読する前提で考えてたんですが、辞書みたいに使う本もあるんですね。索引を引く感じですか?
佐藤メバル
そう、まさに索引から入る本だね。基本テーマが164項目、それを第一線の研究者46人が分担して簡潔に解説している。
わからないことに出合うたびに、そこだけ最小限の知識を足していく——という使い方を想定したハンドブックなんだ。
読破する本ではなく、隣に置く本。レポートを書くときは、まずここで論点の名前を確認すると迷子になりにくいよ。
橘ナナミ
46人も書いていると、文体がバラバラで読みにくかったりしないんですか?
佐藤メバル
そこは項目が短く整理されているから、むしろ視点の違いが見えてくる。一人の著者が貫く入門書は筋道を追いやすい代わりに、その人の切り取り方に寄る。
これは逆で、項目ごとに何が争点かをつかむのに向いている。値段は張るけれど、長く使えるタイプの一冊だよ。

国際政治経済の基礎知識 新版 (有斐閣ブックス 52)
高坂正尭 著|有斐閣
¥3,580(税込)
高坂正尭の名で読む『国際政治経済の基礎知識』の新版。有斐閣ブックスのシリーズに連なる298ページの一冊で、国際政治経済の基礎事項を確認する用途を想定した書名がついている。同じ書名・同じシリーズの本が並ぶこの分野では、著者名と版元で選ぶことが何より大事になる。手に取ったら目次と奥付を確かめ、自分が必要としている版かどうかを確認してから買う——そんな基本動作を教えてくれる本だ。
こんな人におすすめ
基礎知識を手元の一冊で確認したい人、同じ書名の本を比較して選びたい人、有斐閣ブックスのシリーズで揃えたい人。書店や図書館で著者名を確認する習慣をつけたい初学者にも向く。
良い点
- 基礎知識をまとめて確認できる書名
- 有斐閣ブックスで版元が明確
- 298ページで扱いやすい厚み
気になる点
- 同じ書名の本が複数あり紛らわしい
- タイトルだけでは中身の違いが判断しにくい
- 価格は3580円と高め
出版社
有斐閣
発売日
1993年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
あれ、さっきの『基礎知識』とタイトルがそっくりなんですけど……しかも著者が違う。これ、間違えて買っちゃいそうで怖いです。
佐藤メバル
そこに気づいたのはえらい。同じ分野には似た書名の本がたくさんあって、著者も版元も違う。この本は高坂正尭の名前で出ている有斐閣ブックスの298ページ。
書名だけで選ばず、著者名で選ぶ——通販でも店頭でも、目次と奥付を確かめる癖をつけておくと失敗が減るよ。
橘ナナミ
目次と奥付……。私、表紙とタイトルだけで買っちゃってました。
佐藤メバル
新人のころのぼくも同じだよ。書店員になって、同じ棚に似たタイトルが並ぶ光景を毎日見て、はじめて気づいた。
基礎知識系は特に、自分が何を知りたいのかを先に決めてから選ぶといい。そうすると、この本と「新・」のついた本のどちらが自分に合うかも、自然に見えてくるからね。
![国際政治経済学[第2版]](https://img.shelf-y.com/items/19272.jpg)
国際政治経済学[第2版]
田所昌幸 著|名古屋大学出版会
¥2,970(税込)
政治学と経済学の専門分化が進む一方で、現実の世界では政治と経済がいっそう密接に結びついている——その広大な領域にどう向き合うのかを問う決定版入門書の第2版。社会科学の古典や歴史的知見に学びつつ、大国間の角逐が激化する時代のエコノミック・ステートクラフトの動向も織り込んで改訂された。第6章では国際人口移動、安全保障貿易管理、地経学と新興技術まで扱い、目次を眺めるだけで今の争点が並んでいるのがわかる。
こんな人におすすめ
政治と経済の両方を視野に入れて学びたい学部生・院生、経済安全保障や地経学に関心のある社会人、古典と歴史から考えたい読者。教科書として腰を据えて読みたい人に向く一冊。
良い点
- 目次を見るだけで論点の全体像がわかる
- 地経学・経済安全保障まで射程に入る
- 古典と歴史を土台にした記述
気になる点
- 360ページで通読には覚悟が要る
- 政治学・経済学の基礎がないと重い
- 前の版と内容が重なる部分がある
出版社
名古屋大学出版会
発売日
2024年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
佐藤さん、この本の目次がすごく細かいんですけど、章のタイトルに「地経学」ってあって。地経学って何なんですか?
佐藤メバル
地理と経済を合わせた言葉で、経済の手段を使って国の影響力を競う見方を指すんだ。この第2版は、大国間の角逐が激化する時代のエコノミック・ステートクラフトの動向を織り込んで改訂されている。
経済制裁や安全保障貿易管理、新興技術まで第6章で扱うので、理論と今の争点が地続きになっているのが強みだね。
橘ナナミ
同じ田所昌幸さんの名前の本が、もう一冊ありますよね。あちらと何が違うんでしょう?
佐藤メバル
こちらは第2版で、目次に移民や安全保障貿易管理、地経学が並んでいる。もう一冊と並べて目次を見比べると、扱う章の違いがはっきり見えるよ。
新版を選ぶかどうかは、移民や経済安全保障の章が自分に必要かで決めればいい。何が書き加えられたかを眺めるだけでも、この分野の関心がどこへ移ってきたかがわかって面白い。

入門 国際政治経済学
小尾美千代 著|法律文化社
¥2,750(税込)
国際社会の出来事の多くは、政治と経済が相互に作用し、国家の枠を越えて複雑に絡みあっている。この本はそうした課題を対象にする国際政治経済学を、基礎から応用、つまり具体的な課題まで体系的に詳解する入門書だ。理論の説明で終わらせず、グローバルな諸課題を読み解くところまで連れて行ってくれるのが特徴で、268ページという講義一コマ分ずつ読める分量も魅力になっている。
こんな人におすすめ
授業の予習復習に使いたい大学生、グローバルな課題を体系的に整理したい社会人、入門書を一冊だけ選ぶならと迷っている人。基礎から応用へ順に進みたい読者や、ニュースの背景を自分の言葉で説明できるようになりたい人に向く。
良い点
- 基礎から応用まで体系的に構成
- 268ページで通読しやすい
- 具体的な課題まで踏み込む
気になる点
- 一冊で全分野はカバーしない
- 著者一人の視点に寄る面がある
- 応用の章は前提知識が要る
出版社
法律文化社
発売日
2026年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
小尾美千代さんの『入門 国際政治経済学』って、書名に「入門」とあるのに応用まで扱うんですよね。基礎だけで終わらないって、どういうことなんですか?
佐藤メバル
国際社会の出来事は、政治と経済が相互に作用して、国家の枠を越えて絡みあっている。だから基礎を説明しただけでは足りなくて、具体的な課題に当てはめるところまで行かないと理解したことにならない。
この本は基礎から応用まで体系的に詳解する構成で、268ページ。講義一コマ分ずつ進められる厚みなのがありがたいね。
橘ナナミ
なるほど。理論を覚えて終わり、じゃないんですね。私、授業で覚えた用語をニュースに当てはめるのが苦手で……。
佐藤メバル
それこそ応用の章の出番だよ。グローバルな諸課題を読み解くための理解を深める、というのがこの本の狙いだから、用語の暗記ではなく、目の前の出来事に理論を当ててみる練習になる。
他の入門書が理論と歴史の整理に力を割くのに対して、こちらは応用への橋渡しを意識している。読み終えたら、ニュースを自分の言葉で説明できるか試してみるといい。

国家と市場: 国際政治経済学入門 (ちくま学芸文庫 ス 24-1)
スーザン・ストレンジ 著|筑摩書房
¥1,870(税込)
国際関係を「構造的権力」という概念で読み解いた歴史的名著の文庫版。誰が誰を従わせるかという直接的な力だけでなく、何が問題とされ、どんな選択肢が用意されるかという枠組み自体を動かす力を構造的権力と呼び、その視点から国家と市場の関係を考え直させる。経済のグローバル化で秩序が揺らぐ今こそ必要な視点だとされ、ちくま学芸文庫で560ページ、解説を鈴木一人が担う。文庫で手に入るのがありがたい。
こんな人におすすめ
入門書を一冊読んだあとで、理論そのものを深く知りたい人、権力という言葉を経済の文脈で考え直したい人、名著を文庫で読んでおきたい読者。古典に戻る一冊として手元に置きたい人に向く。
良い点
- 構造的権力という独自の概念
- 文庫で560ページの読み応え
- 鈴木一人による解説つき
気になる点
- 原著が古く事例も古い
- 560ページは気軽ではない
- 訳語に慣れが要る
出版社
筑摩書房
発売日
2020年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
スーザン・ストレンジって名前、聞いたことがあります。「構造的権力」って言葉が気になるんですが、権力って国家が持つものじゃないんですか?
佐藤メバル
いいところに目をつけたね。ストレンジは、誰が誰を従わせるかという直接的な力だけでなく、何が問題とされ、どんな選択肢が用意されるかという枠組み自体を動かす力を構造的権力と呼んだ。
それが国際関係を読み解く鍵になる。この本はその概念を打ち立てた歴史的名著で、ちくま学芸文庫で文庫として読める。解説は鈴木一人が書いているよ。
橘ナナミ
文庫で560ページ! 名著って聞くと身構えちゃいますけど、文庫なら挑戦できそうな気がしてきました。
佐藤メバル
経済のグローバル化で秩序が揺らぐ今こそ必要な視点、と言われ続けている本だ。国家と市場のどちらが強いか、ではなく、両者がどう絡むかを見る目をくれる。
入門書を一冊読んだあとに開くと、そこに書いてあった議論の背景が見えてくるよ。最初から全部理解しようとせず、気になる章からでいい。

国際政治経済学
田所昌幸 著|名古屋大学出版会
¥3,080(税込)
今日の国際政治は経済問題と、国際経済は政治と切っても切れない——その広大な領域に挑んだ一冊。一つの一般理論でばっさり切るのではなく、社会科学の古典や歴史的知見に学びながら、多角的な記述とポイントをおさえた資料で複雑なリアリティをすくい上げていく。第27回「政治研究櫻田會奨励賞」を受けた学問としての骨格を持ち、覇権・制度・理念の関係をじっくり考えたい人に向いている。
こんな人におすすめ
理論を一本の枠組みで割り切りたくない読者、卒論や院試で先行研究を押さえたい学生、賞を取った研究書から学びたい社会人。腰を据えて読む一冊として、目次を手がかりに章を行き来したい人に向く。
良い点
- 受賞歴のある研究書
- 古典と歴史を丁寧に参照
- 章立てが論点整理に便利
気になる点
- 3080円で気軽ではない
- 専門分化した議論は重め
- 事例はやや前の時代
出版社
名古屋大学出版会
発売日
2008年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
この本、受賞歴があるんですよね。第27回の政治研究櫻田會奨励賞……賞を取った本って、やっぱり難しいんでしょうか。
佐藤メバル
賞の名前がつくと身構えるけれど、中身は「一つの一般理論で切らない」という姿勢が貫かれている。社会科学の古典や歴史的知見に学びながら、多角的な記述とポイントをおさえた資料で複雑なリアリティをすくい上げていく。
割り切らないことを選んだ本だから、答えより考え方を求める人に向いているね。
橘ナナミ
答えを教えてくれる本じゃないんですね。じゃあ、読み終わったあとに何が残るんでしょう?
佐藤メバル
自分の頭で整理するための材料だよ。目次を見ると、政治・経済・国際関係、史的概観、市場経済とその限界、国策としての経済、社会構造と経済、グローバル化の諸問題と論点が並んでいる。
どれか一つでも自分の関心とつながれば、そこから先は自分で調べられる。索引があるから、気になった言葉から入るのも手だよ。

国際政治経済を見る眼
川田侃 著|東京書籍
書名からもわかるように、個別の知識よりも、世界の出来事をどう捉えるかという「見る眼」のほうを主題にした一冊。川田侃の名で東京書籍から出た340ページで、同じ著者の『国際政治経済学をめざして』と並べると、この分野にどう向き合ってきたかが伝わってくる。見る眼を鍛えるという言い方は、理論と事例の間で迷ったときの道しるべになってくれる。
こんな人におすすめ
理論書の前に、世界を見る構えのようなものを知りたい人、同じ著者の本を並べて読んでみたい人、視点そのものを学びたい読者。ものの見方を先に知りたい初学者にも入口になる。
良い点
- 視点・ものの見方を主題にしている
- 340ページのまとまった厚み
- 東京書籍から出た一冊
気になる点
- 内容紹介が乏しく選びにくい
- 入手しにくい可能性がある
- 類書と書名が混同しやすい
出版社
東京書籍
発売日
1991年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『国際政治経済を見る眼』……タイトルがかっこいいですね。でも内容紹介がないので、どんな本なのか想像するしかなくて。
佐藤メバル
書名がそのまま主張になっているタイプだね。個別の知識を詰め込むというより、世界の出来事をどう見るかという視点のほうを主題にしている。
340ページ、東京書籍からの一冊だ。見る眼という言葉を、理論と事例の間で迷ったときの道しるべとして受け取ると読みやすいよ。
橘ナナミ
同じ川田侃さんの本がもう一冊ありますよね。そっちと合わせて読むと、何か見えてきたりします?
佐藤メバル
並べると、この学問にどう向き合ってきたかという筋が見えやすい。片方は視点、もう片方は「めざして」という構えの書名になっている。
研究の出発点と見方、という順番で読むと、後から読む理論書がぐっと立体的になるよ。古い本なので、入手できるかどうかは書店や図書館で確かめてからにしよう。

国際政治経済を学ぶ―多極化と新しい国際秩序
野林健 著|ミネルヴァ書房
¥3,300(税込)
「多極化と新しい国際秩序」という副題がついた、野林健による国際政治経済の一冊。ミネルヴァ書房から293ページで出ており、同じ著者の『国際政治経済学・入門 第3版』が理論と歴史を3部構成で並べるのに対し、こちらは秩序がどう変わるかに焦点を寄せたタイトルになっている。同じ著者の本を読み比べると、入門と問題提起の使い分けが見えてくる。
こんな人におすすめ
多極化という言葉を自分のテーマとして追いたい人、同じ著者の入門書を読み終えた人が次に手に取る一冊として、秩序の変化を考えたい大学院生や社会人。秩序の変化を軸に読む人に向く。
良い点
- 多極化という切り口が明確
- 入門書と同じ著者でつながる
- 293ページで扱いやすい
気になる点
- 内容紹介がなく選びにくい
- 理論の網羅性は入門書次第
- 価格は3300円
出版社
ミネルヴァ書房
発売日
2011年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「多極化と新しい国際秩序」という副題に惹かれました。多極化って、よくニュースで聞くんですけど、漠然としすぎていて……。
佐藤メバル
一極でも二極でもなく、複数の力が並び立つ状態を指す言葉だね。野林健がミネルヴァ書房から出した293ページの一冊で、同じ著者の『国際政治経済学・入門 第3版』が理論と歴史を3部構成で並べるのに対して、こちらは秩序がどう変わるかに焦点を寄せたタイトルになっている。
秩序の変化を自分のテーマとして追いたいなら、こちらから入るのもいい。
橘ナナミ
入門書を先に読むか、こっちを先に読むか、迷います。順番ってありますか?
佐藤メバル
迷ったら入門書から、とぼくは答えるかな。全体の地図を持ってから個別の論点に入ると、置き場所がわからなくなりにくい。
ただ、多極化という言葉を追いかけたい気持ちが強いなら、先にこちらを読んで「わからないところ」を入門書で埋める進め方もある。読書は順番どおりでなくてもいいからね。

グローバル政治経済のパズル: ゲーム理論で読み解く
石黒馨 著|勁草書房
¥2,970(税込)
「米朝核交渉は成功するのか」「移民受入はなぜ反対されるのか」——そんな素朴な疑問を、ゲーム理論という道具で鮮やかに読み解く一冊。228ページと薄く、数式の山に登るのではなく、交渉や政策の場面をパズルとして組み立てるところから始まる。同じ著者の『入門・国際政治経済の分析』が理論と事例分析の教科書だとすれば、こちらは問いの立て方そのものを楽しむ本だ。
こんな人におすすめ
数式アレルギーはあるけれど理屈で考えたい人、ニュースの交渉ごとを構造で捉えたい社会人、ゼミで議論の題材を探している学生。パズル感覚で読みたい読者に向く。
良い点
- 身近な問いから入れる
- 228ページで読み切りやすい
- ゲーム理論の敷居が下がる
気になる点
- 数式が苦手だと一部つまずく
- 事例の網羅性は高くない
- 入門書の代わりにはならない
出版社
勁草書房
発売日
2019年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
これ、タイトルに「パズル」って入ってるんですか。国際政治経済でパズルって、どういうことでしょう?
佐藤メバル
米朝核交渉は成功するのか、移民受入はなぜ反対されるのか——そういう素朴な疑問を、ゲーム理論という道具で鮮やかに読み解いていく本なんだ。
228ページと薄いから、数式の山を登るというより、状況を組み立てて考える感覚で読める。問いの立て方を楽しむ本だね。
橘ナナミ
ゲーム理論って聞くと、数学が苦手な私はちょっと身構えちゃいます。私でも読めますか……?
佐藤メバル
その不安はよくわかる。ただ、この本の売りは、答えを暗記するのではなく、なぜそうなるのかを筋道で追えるところにある。
同じ著者の『入門・国際政治経済の分析』が理論と事例分析の教科書だとすれば、こちらはもっと軽やかな入口だ。
わからない箇所が出てきたら、立ち止まらずに先へ進んで、あとで戻ってくればいい。

世界システムの政治経済学: 国際関係の新段階
ロバートギルピン 著|東洋経済新報社
国際関係の新段階を、世界システムという単位で捉えようとしたギルピンの一冊。東洋経済新報社から447ページで出ており、監修を佐藤誠三郎と竹内透が担っている。国家だけを見るのでも、市場だけを見るのでもなく、その両方を含んだ系として世界を描く視点は、覇権と市場の関係を考える土台になる。厚い本だが、その厚みがそのまま議論の射程になっている。
こんな人におすすめ
世界システム論という言葉に惹かれる人、古典的な国際政治経済学の支柱を押さえたい学生、壮大な枠組みで考えたい社会人。読書会の課題本として分担して読みたいグループにも向く。
良い点
- 世界システムという大きな枠組み
- 447ページの骨太な議論
- 監修者が明記されている
気になる点
- 分量が多く時間が要る
- 内容紹介が少なく選びにくい
- 価格は購入時に確認を
出版社
東洋経済新報社
発売日
1990年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ロバート・ギルピン……名前は聞いたことがあります。監修に佐藤誠三郎と竹内透の名前がありますね。
佐藤メバル
うん、447ページの大著でね。国家だけを見るのでも、市場だけを見るのでもなく、世界システムという単位で政治と経済をまとめて捉えようとする視点が土台になっている。
国際関係の新段階をどう描くか、という問いが書名に置かれているよ。
橘ナナミ
世界システム、という単位……国でもなく世界でもなく、システムなんですね。その発想自体が新鮮です。
佐藤メバル
そう、そこが面白いところだ。一国の政策の足し算では説明できない動きを、システムとして見る。厚い本だから、最初から最後まで一気に、ではなく、序盤で枠組みをつかんでから各章を行き来する読み方が向いている。
読書会の課題本にすると、議論が弾むタイプの一冊だよ。

覇権後の国際政治経済学
ロバートコヘイン 著|晃洋書房
¥4,950(税込)
一国によるヘゲモニーが成立しにくくなった分権的な国際社会で、国際レジーム——原則・規範・意思決定手続などの集合——が果たす役割を解明した不朽の名著の完訳。情報の非対称性や限定合理性といった用語を駆使して新しい分析手法を提示し、調和・協調・対立を区別しながら協調がどう生まれるかを説く。目次には覇権安定論の評価や囚人のジレンマ、消費国の石油レジームまで並び、理論と現実が往復する構成だ。
こんな人におすすめ
国際協調はなぜ成立するのかを理論で考えたい院生・研究者、覇権安定論を批判的に押さえたい人、価格が高くても長く参照する一冊が欲しい読者。理論と事例を往復したい人に向く。
良い点
- レジーム論の原典を完訳で読める
- 事例編で石油危機まで追える
- 人名索引・事項索引・訳者あとがきつき
気になる点
- 4950円で最も高価な部類
- 理論編は難度が高い
- 348ページを精読する覚悟が要る
出版社
晃洋書房
発売日
1998年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
国際レジームって言葉が出てくるんですが、レジームって政治体制のことですよね? 原則とか規範って言われると、余計にわからなくなります。
佐藤メバル
ここでのレジームは、原則・規範・意思決定手続などの集合、つまり国と国が協調するときの「ルールの束」を指す。
コヘインは、一国によるヘゲモニーが成立しにくくなった分権的な国際社会で、そのルールの束がどんな役割を果たすのかを解明した。
不朽の名著の完訳として、理論編と事例編が往復する構成になっているよ。
橘ナナミ
目次に石油の話が何章もあって。理論の本なのに、なぜそこまで具体的なんでしょう?
佐藤メバル
理論は現実に当ててみて初めて使えるかどうかがわかる。覇権安定論の評価、囚人のジレンマ、消費国の石油レジーム——抽象と具体を行き来しながら、協調がどう生まれ、どこで崩れるのかを確かめていく。
人名索引と事項索引、訳者あとがきもついているから、辞書的に引きながら精読するのもいいよ。

国際政治経済学とは何か
坂井昭夫 著|青木書店
書名どおり、国際政治経済学という学問が何を問うのかを正面から扱う一冊。坂井昭夫の名で青木書店から270ページで出ており、個別のトピックを並べるのではなく、学問の輪郭そのものを確かめたいときに手に取るタイプの本だ。入門書を何冊か読んだあとで「では、この学問は何を明らかにしようとしているのか」と立ち止まったときに効いてくる。
こんな人におすすめ
方法論や学問の成り立ちに関心がある人、卒論のテーマ設定で分野の輪郭を確かめたい学生、学問の問いを先に知りたい読者。地図の凡例を先にもらうような読み方もできる一冊。
良い点
- 学問の輪郭を正面から扱う
- 270ページで見通しがよい
- 方法論の入口になる
気になる点
- 内容紹介がなく選びにくい
- 具体的事例は多くないとみられる
- 入手性は購入時に確認を
出版社
青木書店
発売日
1998年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『国際政治経済学とは何か』……これ、内容というより、学問そのものの話ですか?
佐藤メバル
そう、正面から学問の輪郭を扱うタイトルだね。坂井昭夫の名で青木書店から270ページ。個別のトピックを並べるのではなく、この学問は何を明らかにしようとしているのかを確かめたいときに手に取る本だ。
立ち止まって考えるための一冊と言っていい。
橘ナナミ
入門書を何冊か読んだあとに読む感じでしょうか。私、まだ一本も読んでないんですけど……。
佐藤メバル
先に読んでもいいけれど、効果が出るのは少し慣れてからだと思う。理論や事例をひと通り見たあとだと、「あれは何のための議論だったのか」がここで回収される感覚がある。
逆に、これから学ぶ人が読むと、地図の凡例を先にもらうような読み方になる。どちらでも成立する本だよ。

国際政治経済の構図: 戦争と通商にみる覇権盛衰の軌跡 (有斐閣新書 A 82)
猪口孝 著|有斐閣
書名どおり、戦争と通商という2つの面から覇権の盛衰の軌跡をたどる一冊。有斐閣新書の323ページで、第4回サントリー学芸賞の政治・経済部門を受賞している。貿易の動きと戦争の局面を並べて眺めることで、経済秩序と安全保障がまったく別の話ではないことが見えてくる。新書サイズの受賞作として、通商史から国際政治経済に入ってみたい読者にちょうどいい。
こんな人におすすめ
歴史から国際政治経済に入りたい人、受賞作を新書で読んでみたい読者、通商と戦争の関係を筋道立てて知りたい社会人。読み物として楽しみたい人や通学・通勤のお供を探している人に向く。
良い点
- サントリー学芸賞の受賞作
- 新書判で手に取りやすい
- 戦争と通商の2軸で追える
気になる点
- 扱う時代がやや前
- 理論の整理は最小限
- 現在の事例はカバーしない
出版社
有斐閣
発売日
1982年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
サントリー学芸賞を受賞した本なんですね。しかも有斐閣新書で323ページって、新書サイズでこの厚みはすごい。
佐藤メバル
書名のとおり、戦争と通商という2つの面から覇権の盛衰の軌跡をたどる本だ。経済秩序と安全保障は別々の話ではなく、互いに影響し合うという見方を、歴史の流れの中で確かめられる。
新書で読める受賞作というのは、意外と貴重なんだよ。
橘ナナミ
戦争と通商、って並べられると、やっぱり貿易が戦争の原因になったりするんでしょうか。
佐藤メバル
その問いを立てられるなら、もう読み手として合格だね。答えをここで決めてしまうより、著者がどう組み立てているかを追いかけてほしい。
通商史から国際政治経済に入るのは、用語が先に来るよりずっと頭に入りやすい。読み物として楽しめるタイプだから、通学の電車のお供にもいいよ。

国際経済の政治学 (1977年) (岩波新書)
¥4,500(税込)
国際経済を政治の言葉で捉えようとした、岩波新書の一冊。書名のとおり経済と政治を切り離さずに論じる構えで、1977年と添えられた時期の視点から、その後この分野がどう展開してきたかを測る物差しにもなる。価格は4500円と新書としては高めなので、古い新書をあえて読むという楽しみ方を知っている人に向く。
こんな人におすすめ
古い新書から現在の論点の原型を探したい人、岩波新書を棚ごと読んできた読者、時代の目盛りを確かめたい社会人。今の議論との差を見たい人に向く一冊。
良い点
- 岩波新書で手に取りやすい判型
- 経済と政治を一体的に扱う
- 古い視点と比較できる
気になる点
- 価格4500円は新書として高め
- 扱われる事例は当然ながら古い
- 在庫状況は購入時に確認を
出版社
詳細情報なし
発売日
詳細情報なし
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
1977年の岩波新書で、4500円……新書なのに、けっこうなお値段ですね。これはどういうことなんでしょう?
佐藤メバル
古い本は、当時の定価では出回っていないことが多い。手に入れるときは、書店や古書店で状態と価格を確かめるのが前提になるね。
中身は書名のとおり、国際経済を政治の言葉で捉えようとした一冊だ。古い新書をあえて読むと、今の論点がどこから来たのかが見えてくる。
橘ナナミ
今の本を読むほうが効率はいいですよね。それでも古い本を読む意味って、あるんでしょうか。
佐藤メバル
あると思う。この分野がどう問いを立て始めたかがわかると、今の議論のどこが新しいのかが逆に見えてくるんだ。
当時の関心と今の関心を並べるだけで、自分の視点が一段深くなる。値段と相談しながら、図書館で見つけてから考える、というのでも十分だよ。

世界政治経済と日本・米国・中国
秋葉弘哉 著|東洋経済新報社
¥1,472(税込)
世界政治経済を、日本・米国・中国という3つの国の関係から見ていく一冊。東洋経済新報社から197ページ、価格も手頃で、日米中の動きを並べて追いたいときの入口になる。理論書を読む前に、3か国という具体的な軸で世界を眺めておくと、あとで理論がどの現実を説明しようとしているのかをつかみやすくなる。
こんな人におすすめ
日米中の関係をニュースより一歩深く知りたい社会人、授業やゼミで3か国を扱う学生、短時間で全体像をつかみたい読者。まず一本の軸で世界を見る練習をしたい人に向く。
良い点
- 日米中という明確な軸
- 197ページで短時間に読める
- 1472円で手に取りやすい
気になる点
- 3か国以外は視野に入りにくい
- 全体像は他の入門書で補う必要
- 刊行時点の情報が前提になる
出版社
東洋経済新報社
発売日
2010年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
日本・米国・中国、この3か国に絞って世界を見るんですね。197ページで1472円なら、手を出しやすそうです。
佐藤メバル
3か国という軸で世界政治経済を眺める本だね。東洋経済新報社から出ていて、ページ数も価格も控えめだから、まず一本の軸で世界を見る練習に向いている。
理論書を読む前に、具体的な国の動きを並べておくと、あとで理論がどの現実を説明しているのかがつかみやすくなるよ。
橘ナナミ
日本が入っているのがいいなと思いました。教科書だとアメリカと中国の話が中心で、日本は出てこないことも多くて。
佐藤メバル
身近な国が入っていると、ニュースと直結するからね。ただ、3か国に絞った分、それ以外の地域は自分で補う必要がある。
この本で骨格をつかんでから、関心のある地域を別の本で足していく。そういう積み上げ方をすると、知識が散らばらずに残るよ。

世界を読む国際政治経済学入門 改訂版
澤喜司郎 著|成山堂書店
「世界を読む」という副題がついた国際政治経済学の入門書の改訂版。成山堂書店から198ページと薄めにまとまっており、改訂版ということは、初版の内容に手が入って更新されているということでもある。厚い教科書を開く前に、薄い一冊で地形を眺めるという入り方ができる。似た書名の本と迷ったら、ページ数と改訂の有無を基準に選ぶとよい。
こんな人におすすめ
まず薄い本で全体像をつかみたい人、改訂版で更新された記述を確認したい読者、短い時間で世界を読む練習をしたい社会人。読み切れる一冊から始めたい人に向く。
良い点
- 198ページで読み切りやすい
- 改訂版で更新されている
- 書名どおり世界を読む入門
気になる点
- 内容紹介がなく選びにくい
- 深い理論は別途必要になる
- 扱う事例の範囲は広くない
出版社
成山堂書店
発売日
2016年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「世界を読む」という副題がいいですね。198ページで改訂版ということは、今の状況も入っているんでしょうか。
佐藤メバル
改訂版というのは、初版の内容に手が入って更新されているということだね。198ページと薄いから、厚い教科書を開く前に薄い一冊で地形を眺めるという入り方ができる。
成山堂書店からの一冊で、書名どおり世界を読むための入門になっているよ。
橘ナナミ
似た書名の入門書がたくさんあって、どれを選べばいいのか正直わからなくなってきました……。
佐藤メバル
その迷いは健全だよ。迷ったら、ページ数と改訂の有無、そして自分がどこまで読み切れるかを基準にするといい。
最初から分厚い本を選んで途中で止まるより、薄い本を一冊読み切るほうが力になる。この本を足がかりにして、次に厚い本へ進む。そういう順番でいいんだ。

入門・国際政治経済の分析
石黒馨 著|勁草書房
国際政治経済を理解するための理論をわかりやすく説明し、その理論を使った事例分析のお手本を示す一冊。国際通商交渉・国際通貨協力・国際地域紛争という3つの分野を扱い、各章末には練習問題と文献案内がつく。読みっぱなしにせず、自分で分析してみるところまで連れて行ってくれる構成で、レポートや卒論の作法を学びたい人に向く。
こんな人におすすめ
事例分析の型を身につけたい学生、レポートや卒論で理論を使う必要がある人、同じ著者のゲーム理論の本とセットで読みたい読者。手を動かして学びたい人に向く一冊。
良い点
- 章末に練習問題と文献案内
- 3分野を理論で分析する実例
- 分析手順が真似しやすい
気になる点
- 電子版は閲覧端末が限られる
- 理論の網羅性は高くない
- 事例は3分野に絞られる
出版社
勁草書房
発売日
2007年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
各章末に練習問題と文献案内がついているんですね。これ、自分で手を動かすタイプの本ですか?
佐藤メバル
そう、理論を説明して終わりにせず、それを使って事例を分析するお手本を示す構成なんだ。国際通商交渉、国際通貨協力、国際地域紛争という3つの分野を扱い、章末の練習問題と文献案内で次の一歩が示される。
自分で分析してみるところまで連れて行ってくれる本だよ。
橘ナナミ
レポートを書くときに、理論をどう当てはめればいいのか毎回固まってしまうんです。そういう使い方に向いていますか?
佐藤メバル
まさにその用途だね。お手本を真似するところから始めれば、構成の作り方が身につく。一つ注意なのは、電子版がプリント・レプリカ形式で、閲覧できる端末が限られること。
文字の拡大やハイライトにも制限があるので、買う前に自分の環境を確かめておくといいよ。

はじめての国際政治経済学: アクティブ・ラーニングで学ぶ理論と政策の基礎
吉沢晃 著|法律文化社
¥2,970(税込)
経済学の専門知識がない人でも理解できるよう書かれた入門書。国際政治経済学の基本理論にはじまり、貿易、海外直接投資、金融という従来の分野にくわえて、SDGsと深く関わる開発や環境、ビジネスと人権、経済安全保障まで取り上げる。アクティブ・ラーニングに最適化した教材としての工夫もあり、調べる・話し合う・書くという流れにそのまま乗せられる。
こんな人におすすめ
経済学に苦手意識がある文系の学生、SDGsや人権と国際経済の接点を学びたい人、グループ学習や演習のテキストを探している教員や学生。前提知識なしで始めたい人に向く。
良い点
- 経済学の前提知識が不要
- 開発・環境・人権まで扱う
- アクティブ・ラーニング向けの工夫
気になる点
- 網羅的ゆえ一つ一つは簡潔
- 数理的な分析は少なめ
- 価格は2970円
出版社
法律文化社
発売日
2025年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「経済学の専門知識がない人でも理解できる」って書いてある……これ、私のことですかね。経済学の授業は途中で諦めた記憶があります。
佐藤メバル
それなら、まさに想定読者だね。基本理論にはじまり、貿易、海外直接投資、金融という従来の分野だけでなく、SDGsと深く関わる開発や環境、ビジネスと人権、経済安全保障まで扱っている。
経済学の前提を置かないと明言している入門書は貴重なんだ。
橘ナナミ
SDGsや人権まで入っているのが意外でした。国際政治経済って、もっと貿易とお金の話だと思っていて。
佐藤メバル
今の国際政治経済は、環境も人権も安全保障も全部つながっているからね。この本はアクティブ・ラーニングに最適化した教材としても工夫されているから、グループで調べて話し合う授業にもそのまま使える。
一人で読むときも、章ごとに問いを立てながら進めると、ただ読むより残るよ。

やさしく学べる国際政治経済
孫根志華 著|文眞堂
¥2,420(税込)
コロナを契機とした技術革新がグローバル社会のあり方を大きく変えていく——という問題意識から書かれた入門書。時代の変化に対応するために「時代の先を読み解く力」が不可欠だとして、国際政治経済の基礎と応用を系統的に学べるようにしている。222ページと短く、分かりやすさ・読みやすさに重点を置いた勉強し直したい人のための一冊だ。
こんな人におすすめ
社会人になってから国際政治経済を学び直したい人、まず読みやすい本で挫折したくない人、基礎から応用へ無理なく進みたい読者。短く読み切れる本からやり直したい人に向く。
良い点
- 222ページで読みやすい
- コロナ後の変化を意識した内容
- 基礎と応用を系統的に扱う
気になる点
- 深い理論には別の本が必要
- 扱う範囲は絞られる
- 演習問題は多くない
出版社
文眞堂
発売日
2021年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「コロナを契機とした技術革新がグローバル社会のあり方を変えていく」という一文が気になりました。コロナの話から始まる入門書って珍しい気がします。
佐藤メバル
時代の変化に対応するために、「時代の先を読み解く力」が不可欠だ——という問題意識から書かれた本だね。
222ページで分かりやすさと読みやすさに重点を置いている。基礎から勉強し直したいという読者をまっすぐ想定しているんだよ。
橘ナナミ
私、一回授業で挫折してるので、「勉強し直したい」にすごく刺さります。読みやすい本からやり直すのって、遠回りじゃないんですか?
佐藤メバル
遠回りにはならないよ。分厚い本で心が折れるより、短い本で最後まで走り切った経験のほうが次につながる。
この本は基礎と応用を系統的に扱うから、読み終えたときには世界を読み解く手がかりが手元に残る。読みやすさを選ぶのは、逃げではなく戦略だよ。

30分でわかる!国際政治経済学入門: 知識ゼロから読み解く「世界経済」と「国家」のしくみ
リベラル・プレス 著
経済ニュースの裏に潜む「国家の思惑」を読み解くための入門書。重商主義・リベラリズム・構造主義という3つの理論のレンズと、パックス・ブリタニカから現代の米中対立に至る歴史の縦糸を組み合わせ、断片的なニュースを論理的につなげていく。予備知識なしでもスラスラ読めることを狙った、短時間で全体像をつかむタイプの教養書だ。
こんな人におすすめ
通勤や休憩の合間に世界の見取り図が欲しい社会人、厚い教科書の前に一度ざっと流したい学生、予備知識ゼロから始めたい人。最初の一冊に軽さを求める読者に向く。
良い点
- 理論3つと歴史の縦糸で整理
- 予備知識がなくても読める
- 章立てが明確で短時間で読める
気になる点
- 掘り下げは浅くなる
- 一次資料や議論の詳細は薄い
- 学術的な引用は少なめ
出版社
詳細情報なし
発売日
2026年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「30分でわかる!」って、さすがに盛りすぎでは……と疑ってしまうんですけど、どうなんでしょう。
佐藤メバル
時間の長さそのものより、構成の軽さを表したタイトルだと受け取るといい。重商主義・リベラリズム・構造主義という3つの理論のレンズと、パックス・ブリタニカから現代の米中対立へという歴史の縦糸、この2本で世界を整理していく。
予備知識なしでも読めることを狙った教養書だよ。
橘ナナミ
理論3つ、というのは覚える数としては少ないですよね。これなら私にもついていけそう。
佐藤メバル
経済ニュースの裏にある「国家の思惑」を読み解く、というのがこの本の狙いだ。断片的なニュースが論理的につながる体験をさせてくれる。
ただし、30分で終わるのはあくまで全体像の話で、掘り下げは別の本が要る。最初の一冊にして、次に何を読むかを決めるための一冊、という位置づけがちょうどいい。

アクセス国際政治経済論
河野勝 著|日本経済評論社
¥3,255(税込)
「アクセス」という書名のとおり、国際政治経済論への入り口を意識した一冊。河野勝の名で日本経済評論社から285ページ、価格は3255円。論点への入り口を整理して示すタイプの本なので、入門書を一冊読んだあとに論点の地図をもう一枚手に入れたいときに役立つ。どの章から開いても、次に何を読むべきかが見えやすい構成になっている。
こんな人におすすめ
論点の一覧が欲しい人、ゼミで複数のテーマを横断したい学生、次の一冊を選ぶ基準が欲しい読者。二枚目の地図を持つつもりで読みたい人に向く。
良い点
- 論点への入口を整理した構成
- 285ページで見通しがよい
- 日本経済評論社の学術系シリーズ
気になる点
- 内容紹介がなく選びにくい
- 価格は3255円で高め
- 事例の深掘りは別書が必要
出版社
日本経済評論社
発売日
2003年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『アクセス国際政治経済論』……アクセスって、入り口を整えてくれるという意味ですよね。285ページで3255円。
佐藤メバル
書名からうかがえるように、論点への入り口を整理して示すタイプの本だね。河野勝の名で日本経済評論社から出ている。
入門書を一冊読んだあとに論点の地図をもう一枚手に入れたい、というときに役立つ。どの章から開いても、次に何を読めばいいかが見えやすい構成になっているよ。
橘ナナミ
地図をもう一枚、という言い方がいいですね。私、最初の一冊で頭がいっぱいになりがちなんです。
佐藤メバル
それなら尚更いい。一冊目で得た知識は、地図が一枚しかないと使いどころがわからなくなる。二枚目があると、同じ出来事を別の角度から置き直せるようになる。
値段は張るから、まず図書館で見て、手元に置きたいと思ったら買う、という順番でも遅くないよ。

国際政治経済 (シリーズ国際関係論 3)
飯田敬輔 著|東京大学出版会
¥2,750(税込)
グローバル化する世界で、政治と経済はいかに連関しているのか。通商・金融にはじまり、開発や環境、人の移動といったテーマを題材に、国際政治経済論の主要理論を解説する。東京大学出版会のシリーズに連なる一冊で、日本の事例を多く取り上げるのが特徴だ。理論を身近な現実に引きつけて確かめられるので、海外の事例が頭に残りにくい人にも向く。
こんな人におすすめ
日本の政策と国際政治経済をつなげて考えたい人、シリーズで体系的に読みたい学生、身近な事例から理論へ入りたい読者。自分の国の事例で確かめたい人に向く。
良い点
- 日本の事例が豊富
- 主要理論を一冊で押さえる
- 256ページで扱いやすい
気になる点
- 扱うテーマは絞られる
- 理論の詳細は原典にあたる必要
- 事例の年代は刊行時点が基準
出版社
東京大学出版会
発売日
2007年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
東京大学出版会のシリーズなんですね。「日本の事例を多くとりあげながら」というところが気になります。教科書の事例って海外のものが多くて、ピンとこないことがあって。
佐藤メバル
そこがこの本の持ち味だね。通商・金融にはじまり、開発や環境、人の移動といったテーマを題材に、主要理論を解説しながら、日本の事例で確かめていく。
身近な事例から理論へ入れるから、抽象的な議論が頭に残りやすい。256ページで見通しもいいよ。
橘ナナミ
日本の事例で理論を確かめるって、逆に難しくないんでしょうか。事例が特殊すぎて、理論が当てはまらないこともありそうです。
佐藤メバル
その違和感こそ学びの入口だよ。当てはまらないなら、なぜ当てはまらないのかを考える。それが理論を道具として使うということだからね。
シリーズの一冊として、他の巻と組み合わせて読むと、国際関係論全体の中での位置づけも見えてくる。まずは自分の関心のある章から開いてみるといい。

国際政治経済論 (世界思想ゼミナール)
坂本正弘 著|世界思想社教学社
世界思想ゼミナールというシリーズに連なる国際政治経済論の一冊。坂本正弘の名で世界思想社教学社から286ページ、シリーズ名からもうかがえるように、一人で読み切るというより、議論しながら読み進める使い方が似合う。類書と並べたときに、どの章を自分のテーマに引き寄せられるかを確かめながら選ぶとよい。
こんな人におすすめ
ゼミや読書会のテキストを探している学生、基礎から議論の形で学びたい人、286ページを分担して読みたいグループ。他人の読み方から学びたい人に向く。
良い点
- ゼミナール向けシリーズの一冊
- 286ページで分担しやすい
- 国際政治経済論の通しの構成
気になる点
- 内容紹介がなく選びにくい
- 独学だと補助が欲しくなる
- 入手性は購入時に確認を
出版社
世界思想社教学社
発売日
1993年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
世界思想ゼミナール、というシリーズに入っている本ですね。ゼミナールってことは、教室で使う前提なんでしょうか。
佐藤メバル
シリーズ名からうかがえるように、一人で黙々と読むより、議論しながら読み進める使い方が似合う本だね。
坂本正弘の名で世界思想社教学社から286ページ。分担して読んで、章ごとに発表するような使い方もできる。
類書と並べて、自分のテーマに引き寄せられる章があるかを見て選ぶといいよ。
橘ナナミ
ゼミで本を読むのって、正直ちょっと緊張します。ちゃんと理解してから行かないと、と思ってしまって。
佐藤メバル
わからなかったところを持ち寄るのがゼミだから、心配しなくていい。むしろ全部分かってから行くと、議論が生まれない。
この本のように章が分かれている本は、担当を決めて読むと、他人の読み方から学べるのがいちばんの収穫になる。
ひとりで読むより、ずっと速く深くなるよ。

国際政治経済学をめざして (御茶の水選書)
川田侃 著|御茶の水書房
¥3,000(税込)
「国際政治経済学をめざして」という、分野そのものの出発点を思わせる書名の一冊。御茶の水選書に連なる329ページで、同じ川田侃の『国際政治経済を見る眼』と並べると、この学問にどう向き合ってきたかという筋が見えてくる。完成した学問ではなく学問の途中を書いた本だから、方法論に関心がある人ほど面白く読める。
こんな人におすすめ
国際政治経済学という学問の成り立ちに関心がある人、同じ著者の本を並べて読みたい読者、方法論から入りたい大学院生。基礎を学んだあとに戻ってくる一冊としても向く。
良い点
- 学問への構えを主題にした書名
- 329ページのまとまった厚み
- 同じ著者の別書と読み比べられる
気になる点
- 内容紹介がなく選びにくい
- 価格は3000円
- 刊行後の展開は別書で補う必要
出版社
御茶の水書房
発売日
1988年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『国際政治経済学をめざして』……めざして、というのがいいですね。完成した学問ではなく、途中だという感じがして。
佐藤メバル
そこに目をつけたのは鋭いね。御茶の水選書に連なる329ページの一冊で、同じ川田侃の『国際政治経済を見る眼』と並べると、この学問にどう向き合ってきたかという筋が見えてくる。
学問の途中を書いた本だから、方法論に関心がある人ほど面白く読める。
橘ナナミ
だとすると、入門書を読んでからじゃないと、ついていけなさそうですね。
佐藤メバル
先に読んでもいいけれど、基礎をひと通り知ってからのほうが味わいは深い。理論や事例を学んだあとに、その議論がなぜ必要だったのかを振り返る。
そういう順番で読むと、知識が点ではなく線になる。値段は3000円だから、まず図書館で確かめてからでもいいよ。
3大理論とIPEの地図 — 政治学と経済学をつなぐ
橘ナナミ
佐藤さん、改めて聞きたいんですけど、3大理論とIPEって、どうつながるんですか?
佐藤メバル
3大理論は世界を見る眼鏡で、IPEはその眼鏡を貿易・金融・投資という経済の現実にかけてみる学問。同じ貿易摩擦でも、リアリズムなら国益のぶつかり合い、リベラリズムなら制度でどう収めるか、コンストラクティビズムなら「何を脅威と見なすか」がどう変わったか、という見え方になる。正解探しではなく、同じ現象を別角度から照らす道具だと思ってほしい。
橘ナナミ
理論って、暗記するものだと思ってました……。
佐藤メバル
それだと、もったいない。そしてIPEの前提には国際政治史の通史がある。田所さんの『国際政治経済学[第2版]』は第2章で、グローバル政治経済システムの登場と西洋近代、自由貿易の展開とイギリス、戦間期の国際経済秩序の混乱、パックス・アメリカーナ、冷戦の終わりとグローバル化、そしてグローバル化の夢と挫折までを一直線に並べている。主権国家が並ぶ世界がどう組み上がったかを押さえると、ニュースの「なぜ」が腑に落ちるよ。
橘ナナミ
国際経済学の教科書とは、どう違うんでしょう?
佐藤メバル
いいところに気づいたね。貿易論や国際金融論の教科書は、為替や関税の仕組みを丁寧に説明してくれるけれど、政治の動きは原則として外に置く。IPEはその外側——なぜ関税が下がらないのか、なぜ制裁が効いたり効かなかったりするのか——を扱う。両方を並べると、経済の理屈と政治の現実がどこでずれるかが見えてくる。
古典と名著の現在地 — 何が古びて、何が古びないか
橘ナナミ
古典って、やっぱり古くて役に立たないんでしょうか?
佐藤メバル
半分は本当で、半分は嘘。前提が変わって検証に耐えなくなった部分はある。でも問いの立て方は古びない、というのが僕の実感だよ。国際政治学の側ではカーやモーゲンソー、ウォルツ、ナイといった名前が定番として挙がるけれど、今回のリストはIPEの棚なので、そちらはまた別の棚として歩いてみてほしい。
橘ナナミ
この25冊にも、古典は入っているんですか?
佐藤メバル
入っている。ギルピンの『世界システムの政治経済学』は国際関係の新段階を論じた本。コヘインの『覇権後の国際政治経済学』は、一国によるヘゲモニーが成立しにくくなった分権的な国際社会で、国際レジーム——原則や規範、意思決定手続きの集合——が果たす役割を解明した完訳の名著だ。ストレンジの『国家と市場』も、経済のグローバル化で秩序が揺らぐ今こそ必要な視点をくれる。古典は「答え」より「問い」を借りるものだと思って読むと、急に面白くなる。
逆引きの棚と実務 — 地域研究・英語原著・書評の読み方
橘ナナミ
現代の争点から逆引きしたいときは、どう探せばいいですか?
佐藤メバル
経済安全保障、地政学、米中対立あたりは、田所さんの『国際政治経済学[第2版]』や『世界政治経済と日本・米国・中国』から入れる。ゲーム理論で読みたければ石黒馨さんの本。中国やロシア、中東、EU、東南アジアの地域研究は別の棚になるけれど、理論の眼鏡を持ってから地域に入ると、各国の動きが「国情の説明」ではなく「構造の現れ」として見えてくる。
橘ナナミ
英語の原著と翻訳は、どちらを選ぶべきですか?
佐藤メバル
基本は翻訳から。確認するのは三点で、完訳か抄訳か、訳者が誰か、原著のいつの時点を反映しているか。コヘインの本は完訳で出ているし、田所さんの本も改訂版が出ている。原著は、専門用語の定義を自分の目で確かめたい院生以上になってからで十分。翻訳で全体をつかんで、原書で一点を深掘りする順番が失敗しないよ。
橘ナナミ
書評やレビューは、どう読めばいいんでしょう?
佐藤メバル
鵜呑みにしないこと。評者がどの理論的立場に立つかで、同じ本の評価は正反対になりうる。だから「この本はダメだった」という書評も、その人がどこに立っているかの証言として読む。できれば立場の違う二冊を並べて読み、自分の中で衝突させてほしい。政治理論や民主主義、政治思想の基本書を先に固めておくと、その衝突がもっと楽しくなる。
橘ナナミ
電子やオーディオで学ぶのはどうですか?
佐藤メバル
入門や概説は耳からも入る。ただ教科書や注の多い専門書は、紙か電子のほうが行き来しやすい。電子はさっき話した形式の注意、サブスクは読み放題に専門書が入っていることが少ない、という前提で、紙・電子・音を組み合わせるのが現実的だよ。
よくある質問
国際政治と国際経済は、どちらから学べばいいですか?
橘ナナミ
国際政治と国際経済は、どちらから学べばいいですかについて教えてください。
佐藤メバル
どちらか一方から入って構いません。ただし政治と経済の接点を扱うのがIPEなので、『国際政治経済学・入門 第3版』のように両方を一冊でつなぐ教科書から入るのが、回り道に見えて近道です。政治と経済は別々の棚ではなく、隣り合った背表紙だと思っておくと、あとで国際経済学の教科書に進んだときに接続しやすくなります。
ニュース理解に一番役立つ本はどれですか?
橘ナナミ
ニュース理解に一番役立つ本はどれですかについて教えてください。
佐藤メバル
前提知識ゼロなら『やさしく学べる国際政治経済』や『30分でわかる!国際政治経済学入門』で全体像をつかみ、『新・国際政治経済の基礎知識』を辞書として手元に置く二冊持ちが実用的です。一冊で「一番」を決めるより、薄い入門とハンドブックを組み合わせるほうが、ニュースで出てくる用語にその場で当たれます。ニュースは点、本は点をつなぐ線です。
前提知識ゼロでも読める入門書はありますか?
橘ナナミ
前提知識ゼロでも読める入門書はありますかについて教えてください。
佐藤メバル
『はじめての国際政治経済学』は、経済学の専門知識がない人でも理解できるよう記述された入門書で、貿易や金融だけでなく開発・環境・ビジネスと人権・経済安全保障まで扱っています。『やさしく学べる国際政治経済』も基礎から学び直したい読者を想定した一冊です。わからない用語は索引で引くだけでも、読了時の理解度が変わります。
古典的名著は古くて役に立たないのでは?
橘ナナミ
古典的名著は古くて役に立たないのではについて教えてください。
佐藤メバル
前提が変わった部分はありますが、問いの立て方は古びません。コヘインの『覇権後の国際政治経済学』は、一国のヘゲモニーが成立しにくくなった国際社会で国際レジームが果たす役割を解明した完訳の名著で、今読んでも示唆が大きい。答えより問いを借りるつもりで読むと、教科書の記述も立体的に見えてきます。
英語の原著と日本語訳は、どちらを買うべきですか?
橘ナナミ
英語の原著と日本語訳は、どちらを買うべきですかについて教えてください。
佐藤メバル
まずは翻訳からで構いません。確認するのは、完訳か抄訳か、訳者が誰か、原著のいつの時点を反映しているかの三点です。原著が要向かうのは、専門用語の定義を自分の目で確かめたい院生以上になってからで十分。翻訳で全体をつかんで、原書で一点を深掘りする順番が失敗しにくいです。
経済安全保障や地政学だけを学びたい場合のおすすめは?
橘ナナミ
経済安全保障や地政学だけを学びたい場合のおすすめはについて教えてください。
佐藤メバル
田所昌幸さんの『国際政治経済学[第2版]』が向いています。経済的関与、経済援助、経済制裁、経済安全保障、武器生産と移転、地経学と新興技術といったテーマが章として並んでいるので、関心のある章から逆に読むこともできます。米中関係から入りたいなら『世界政治経済と日本・米国・中国』も選択肢です。
電子書籍やオーディオブックでも学べますか?
橘ナナミ
電子書籍やオーディオブックでも学べますかについて教えてください。
佐藤メバル
入門や概説は耳からも入ります。ただし電子は形式に注意が必要で、たとえば『入門・国際政治経済の分析』のKindle版はプリント・レプリカ形式のため、Kindle PaperwhiteなどのリーダーやCloud Readerでは読めず、タブレットやPC・スマホのアプリが必要です。買う前に自分の端末で読めるか確認しましょう。サブスクは専門書の読み放題が少ない点も前提に。
絶版・品切れの本は、どうやって入手すればいいですか?
橘ナナミ
絶版・品切れの本は、どうやって入手すればいいですかについて教えてください。
佐藤メバル
古い新書や古典は品切れがちなので、図書館、大学の相互貸借、古書店を組み合わせるのが現実的です。どうしても手に入らない場合は、同じ論点を扱う別の本で先に進むほうが学びは速い。一冊に固執しないことも、読書設計のうちだと考えてください。
まとめ
橘ナナミ
今日の話を聞いて、最初に思っていた「どれを買えばいいか」が、「どの順番で読むか」に変わった気がします。
佐藤メバル
それでいいんだよ。1冊目は薄い入門、2冊目は体系書、3冊目に古典や地域研究。この成長曲線のどこにいるかを意識すれば、順番で迷わない。積読も悪くないけれど、読む順番を設計するほうがずっと身になる。
橘ナナミ
私はまず『やさしく学べる国際政治経済』から始めて、次に『国際政治経済学・入門 第3版』に行ってみます。ニュースの「なぜ」が分かるようになりたいです。
佐藤メバル
いい順番だね。用語でつまずいたら『新・国際政治経済の基礎知識』を辞書として引けばいい。止まらない仕掛けを最初から用意しておくのがコツだよ。
橘ナナミ
あ、でも古典は後回しでいいんですか?
佐藤メバル
急がなくていい。でも、どこかで必ず戻ってきてほしい。教科書は世界を整理して見せてくれるけれど、その整理の枠を疑う視点は古典のほうが持っているから。
橘ナナミ
なるほど……。なんか、貿易の関税みたいですね。壁を作るのも下げるのも、結局は政治と経済の両方が絡んでいる。
佐藤メバル
そう、それだ。政治と経済は同じコインの裏表じゃない。二枚の鏡なんだ。片方だけ磨いても、世界は半分しか映らない。二枚を並べて、行き来しながら眺める——それが国際政治経済を読むということだと思うよ。
