ロシア経済を学べる本のおすすめ人気ランキング25選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
佐藤さん、次は「ロシア 経済 本」で記事を組むんですよね。でも私、ロシア経済ってニュースで制裁とか資源価格の話を眺めるくらいで……そもそも何から読めばいいのか、まったく見当がつかないんです。
佐藤メバル
いいところに気づいたね。ロシア経済は、入門書で現在地をつかむ → 体制移行の歴史を押さえる → 資源と国家資本主義を深掘りする、この順で読むと頭の中に地図が描ける。逆にいきなり分厚い専門書から入ると、ソ連崩壊後の混乱とプーチン期の国家主導がごちゃ混ぜになって、途中で本を閉じちゃう。書店員時代、そういう読者をたくさん見てきたんだよ。
橘ナナミ
なるほど! じゃあ一冊目は何がいいですか?
佐藤メバル
まずは大島梓『最新ロシア経済入門』。日本評論社から出ている266ページの入門で、全体像を一冊でつかむのに向いている。ここで現在地を確認してから、目的に合わせて次の本を選ぶのが、失敗しない順番だよ。
橘ナナミ
それ気になります! 岩波新書にもロシア経済の本があるって聞いたんですが、古い本でも読んで大丈夫なんですか?
佐藤メバル
小川和男『ロシア経済事情』は岩波新書の216ページ。金融危機や不透明な地下経済、荒廃する農業の一方で、活況を呈する商業・流通や各国資本による資源開発も描いていて、当時の空気がそのまま手に取れる。ただし発行が古いので、現在を知る本とセットで読む。これが鉄則だね。
ロシア経済を学べる本の選び方
目的別に選ぶ — 教養か、研究か、ビジネスか
橘ナナミ
同じ「ロシア経済」でも、読む目的で選ぶ本は変わりますよね。
佐藤メバル
大きく三つに分かれる。教養・時事理解なら入門書、研究・論文執筆なら学術書、ビジネスや投資判断なら実務書だ。実務なら浅元薫哉『ロシア経済の基礎知識』がわかりやすい。ジェトロから出ている176ページ、1760円の一冊で、企業が取引先や投資先としてロシアを見るときの土台になる。研究なら溝端佐登史『現代ロシア経済 国家主導経済を読み解く』で、256ページ、3080円。国家主義システムの歴史と理論、国民経済の諸相、世界経済における位置づけを体系的に分析していて、経済学の発展にも貢献する内容だ。
レベル別に選ぶ — 入門・教科書・モノグラフの三段階
橘ナナミ
難易度の目安も欲しいです。いきなり専門書はつらいので。
佐藤メバル
三段階で考えるといい。新書や入門書 → 学部の教科書 → 専門モノグラフ。真ん中なら吉井昌彦『現代ロシア経済論』(ミネルヴァ書房、286ページ、3850円)のようなシリーズの教科書が使いやすい。その上を行くのが安達祐子『現代ロシア経済 資源・国家・企業統治』で、名古屋大学出版会、424ページ、5940円。ソ連解体からエリツィンを経てプーチン体制へと至る流れを、資源だけでなく企業統治から説明していて、移行経済におけるインフォーマルな国家・企業間関係の意味に迫る。書評も複数出ている本格的な一冊だよ。
テーマ別に選ぶ — 資源、企業統治、経済史
橘ナナミ
資源と経済の関係を扱った本は多そうですね。
佐藤メバル
資源だけでも何冊も並ぶ。田畑伸一郎『石油・ガスとロシア経済』は開発・生産・輸送の現状を分析し、対外関係への影響力まで扱う。久保庭真彰『ロシア経済の成長と構造』は、石油価格の高騰と暴落に揺れる資源依存経済を「ロシア病」と呼んで診断する。企業統治なら安達祐子の本、軍産複合体が依然として主要産業を形成している側面に光を当てるなら塩原俊彦『ロシア経済の真実』。経済史なら、ペレストロイカからソ連邦解体までを軍事・科学技術・経済の三領域から構造的に解明する中山弘正『ロシア疑似資本主義の構造』が効く。
形式と入手性で選ぶ — 新書、単行本、学術書、ブックレット
橘ナナミ
電子書籍や古書のことも記事で触れたいです。
佐藤メバル
形式は読者の体力に直結する。新書なら岩波新書の『ロシア経済事情』、講談社現代新書の陸口潤『ロシア市場経済の迷走』。岡田進『新ロシア経済図説』は63ページのブックレットで、移動の合間に読める軽さが魅力だ。逆に学術書は分厚く値も張るから、まず図書館で確かめてから手元に置くかを決める。古い定番は在庫が薄いこともあるので、図書館と古書店を組み合わせて探すのが現実的だよ。
視点で選ぶ — 日本・欧米か、ロシア側か
橘ナナミ
ロシア側の視点で書かれた本もあるんですか?
佐藤メバル
ある。ヤブリンスキー『ロシア・CIS経済の真実』は、ロシア側の論者による「これまで何があったか/これからどうなるか」を語る一冊だ。欧米の目で資源を追うならゴールドマン『石油国家ロシア』や『強奪されたロシア経済』。同じ出来事でも書き手の立場で評価が変わるから、片方だけ読んで結論を出すと視野が狭くなる。二冊並べて読むのがいちばん勉強になるんだよ。
ロシア経済を学べる本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、25冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
ロシア経済を学べる本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい

最新ロシア経済入門
大島梓 著|日本評論社
ロシア経済の全体像を、用語の暗記ではなく一本の筋としてつかめる入門書。日本評論社から出た266ページで、基礎から積み上げる構成になっている。専門書はテーマごとに分かれているが、こちらはまず地図を描く役割に徹しているのが違い。ニュースで見かける言葉の位置関係が分かり、次の一冊を選ぶ基準ができる。最初の一冊を迷っている人ほど効果が大きい。
こんな人におすすめ
ロシア経済に興味を持ち始めた社会人、ニュースを追いたい学生、投資や事業の前提知識を整えたい人。専門書の前に読む一冊として最適で、通勤時間や休日の午後に、まず全体の地図を手に入れたい場面に向く。
良い点
- 入門として全体像をつかめる
- 266ページで挫折しにくい
- 次に読む本の基準ができる
気になる点
- 個別産業の深掘りは別の本
- 刊行後の最新動向は補完が必要
- 統計データの詳細は専門書向き
出版社
日本評論社
発売日
2000年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「ロシア経済」って、ニュースで見るたびに言葉が難しくて。「制裁」「資源」「国家資本主義」…全部ばらばらに見えるんですけど、まず何から読めばいいんでしょう。
佐藤メバル
いい質問だね。あの言葉たちは実は一本の幹でつながっているんだ。大島梓さんの『最新ロシア経済入門』は日本評論社から出た入門書で、266ページ。
用語を並べるだけでなく、ロシア経済がどんな部品で組み立てられているかを順番に示してくれる。まず地図を手に入れるつもりで読むといい。
橘ナナミ
地図、ですか。じゃあこの一冊を読めば、次に専門書を開いても迷わずに読めるようになるんでしょうか。
佐藤メバル
少なくとも「どこを歩いているか」は分かるようになる。逆に地図なしで専門書に入ると、統計や制度の名前だけが積み上がって迷子になりがちなんだ。
書店員時代、そうやって挫折したお客さんを何人も見てきたよ。入門は最短ルートじゃなくて、迷わないルートなんだね。

ロシア経済の基礎知識
浅元薫哉 著|日本貿易振興機構(ジェトロ)
¥1,760(税込)
ジェトロという貿易・投資の実務機関が出している点が、他のロシア経済本と決定的に違う。浅元薫哉さんによる176ページのコンパクトな一冊で、学術的な理論よりも、貿易・投資の現場で必要になる基礎知識を手早く押さえる性格が強い。制度や用語を確認する用途にも向き、実務の目線で書かれているぶん、大学の教科書とは読後感がはっきり違う。
こんな人におすすめ
ロシアと取引のある企業の担当者、商社や貿易実務に携わる人、海外事業の下調べをするビジネスパーソン。短時間で基礎を固めたい場面や、社内資料を作る前の確認、出張前のインプットに向く。
良い点
- 実務機関ならではの視点
- 176ページで短時間に読める
- 用語確認に使いやすい
気になる点
- 理論的な掘り下げは少なめ
- 政治史の前提は別途必要
- 学術研究の土台には別書が要る
出版社
日本貿易振興機構(ジェトロ)
発売日
2012年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ジェトロって、たしか海外との貿易を支援する機関ですよね? 経済の専門機関が出している本だと、学者の先生が書くのと何が違うんですか?
佐藤メバル
浅元薫哉さんの『ロシア経済の基礎知識』は、まさにそこが読みどころ。ジェトロ、つまり日本貿易振興機構が出しているから、貿易や投資の実務の目線が土台にある。
176ページと薄いのも実務者向けで、通勤の電車の中で基礎用語を確認する、という使い方ができる。
橘ナナミ
なるほど! じゃあ大学の勉強というより、仕事でロシアに関わる人が手元に置く感じの本なんですね。学生が読んでもためになりますか?
佐藤メバル
もちろん。学術書が「なぜそうなっているか」を掘るのに対して、こちらは「どうなっているか」を手早く押さえる性格が強い。
両方読むと立体的になるよ。研究の前に制度の形だけ知っておきたい、という学生にもちょうどいい。

現代ロシア経済: 国家主導経済を読み解く
溝端佐登史 著|法律文化社
¥3,080(税込)
なぜ制裁下でも成長を維持するのかという現在の最大の疑問に、歴史と理論から答えようとする一冊。法律文化社から出た256ページで、国家主義システムの成り立ち、国民経済の諸相、世界経済での位置づけを体系的に分析する。単なる現状紹介ではなく経済学の議論にも貢献する構成で、国家主導経済という言葉を自分の言葉で説明できるようになる。
こんな人におすすめ
大学のゼミや講義でロシア経済を扱う学生、政策と経済の関係を理論から考えたい社会人。ニュースの背後にある仕組みを知りたい場面や、レポートの骨組みを作る場面、人に説明する前の整理に向く。
良い点
- 制裁下の成長を理論から説明
- 国家と経済の関係を体系的に
- テキストとして使いやすい構成
気になる点
- 前提知識ゼロだと重い
- 個別企業の話は少なめ
- 図表中心の入門ではない
出版社
法律文化社
発売日
2026年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「国家主導経済」って言葉をよく見かけるんですが、国が経済を動かすって、具体的にはどういうことなんですか?
国営企業が多いとか、そういう話でしょうか。
佐藤メバル
溝端佐登史さんの『現代ロシア経済』は、まさにその問いを正面から扱っている。法律文化社から出た256ページで、最大級の経済制裁を加えられながらも成長を維持するロシア経済を解剖し、国家主義システムの歴史と理論、国民経済の諸相、世界経済における位置づけまで体系的に分析している。
橘ナナミ
制裁を受けているのに成長している、というのがまず不思議です。そこは本の中で説明されているんですか?
佐藤メバル
そこを「不思議だね」で終わらせず、歴史と理論に戻して説明しようとするのがこの本の強さ。経済学の発展にも貢献する内容で、ゼミのテキストにも向く。
感情的な評価より、仕組みを先に知りたい人に合う一冊だね。

現代ロシア経済―資源・国家・企業統治―
安達祐子 著|名古屋大学出版会
¥5,940(税込)
資源だけを見るロシア理解に、企業統治という角度から切り込む424ページの大著。安達祐子さんが、ソ連解体からエリツィン、プーチン体制へと至る過程をたどりながら、国家と企業のあいだのインフォーマルな関係に光を当て、ロシア型資本主義の特質に迫る。複数の学術誌で書評が載ったことからも、移行経済の議論にきちんと接続した内容だと分かる。
こんな人におすすめ
研究者や大学院生、企業統治や移行経済に関心のある読者。長く使える一冊として、参考文献をたどりながら時間をかけて読み込む場面や、論文の土台づくりに向く。通読より章ごとに手を動かす読み方が合う。
良い点
- 国家と企業の関係を深く扱う
- 学術誌の書評で裏づけ
- ロシア型資本主義に迫る
気になる点
- 424ページで覚悟が要る
- 入門には向かない
- 専門用語が多め
出版社
名古屋大学出版会
発売日
2016年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
同じ「現代ロシア経済」でも、名古屋大学出版会の本は424ページ。ずいぶん厚いですけど、いったい何がそんなに書かれているんですか?
佐藤メバル
安達祐子さんの本は、資源だけを見るのではなく、国家と企業のあいだのインフォーマルな関係に焦点を当てているのが特徴だ。
ソ連解体からエリツィン、プーチン体制へという流れを追いながら、企業統治の独自のかたちを通してロシア型資本主義の特質に迫る。
学術誌で書評を集めているのも納得の厚みだよ。
橘ナナミ
インフォーマルな関係…つまり、法律に書かれていないつながり、みたいなことですか? それが経済を動かしているんでしょうか。
佐藤メバル
そう考えると近い。制度だけを読んでも見えない部分を、ガバナンスという角度から描いている。移行経済を研究している人には外せない一冊だね。
書評が複数の学術誌に載っているというのは、議論の土俵に乗っている証拠でもある。

現代ロシア経済論 (シリーズ・現代の世界経済 第 4巻)
吉井昌彦 著|ミネルヴァ書房
¥3,850(税込)
ミネルヴァ書房の「シリーズ・現代の世界経済」に置かれた一冊で、ロシアを孤立した国としてではなく、世界経済の中の位置から論じる。吉井昌彦さんによる286ページ。単独の国史ではなく比較の物差しを持てるのが、類書との違い。世界の中のロシアという視点で読むと、特殊に見えていた現象の意味が変わってくる。講義や演習の副読本としても使いやすい構成だ。
こんな人におすすめ
経済学や国際関係を学ぶ学生、講義の副読本を探している人。比較の視点を持ちたい場面や、世界経済の枠組みの中でロシアを位置づけたいときに向く。シリーズで他国と並べて読むのも面白い。
良い点
- 世界経済の中に位置づける
- シリーズで比較しやすい
- 講義の副読本に向く
気になる点
- シリーズ前提の構成
- ロシア内部の細部は薄め
- 単独では物足りない読者も
出版社
ミネルヴァ書房
発売日
2011年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ミネルヴァ書房の「シリーズ・現代の世界経済」の一巻だそうですね。シリーズの一冊だと、単独で読んでも大丈夫なんですか?
佐藤メバル
大丈夫。吉井昌彦さんの『現代ロシア経済論』は、ロシアを世界経済の中に置いて論じる構成で、286ページ。
単独の国史としてではなく、世界のなかでロシアがどこに座っているかを確かめながら読める。シリーズの第4巻という位置づけも、視点の整理に役立つよ。
橘ナナミ
世界経済の中に置く、という発想が新鮮です。ロシアだけ見ていると、特殊な国に見えてしまいそうで、比較する相手が必要なんですね。
佐藤メバル
まさにその通りで、比較の物差しを持つと「特殊」の意味が変わってくる。単独で読んでも成立するけれど、シリーズの他巻と並べるとロシアの輪郭がはっきりする。
講義や演習の副読本としても使いやすい一冊だよ。

ロシア経済事情 (岩波新書 新赤版 589)
小川和男 著|岩波書店
岩波新書という身軽な形で、ロシア経済の光と影を同時に見せてくれる216ページ。金融危機や政局の混迷、地下経済、農業の荒廃といった暗い面と、商業・流通の活況や各国資本による資源開発という明るい面を並べ、旧ソ連各国の現況まで含めてデータと分析で示す。新書サイズで本格的な内容に触れられるのが最大の利点だ。
こんな人におすすめ
通勤や就寝前に、まずロシア経済の空気感を知りたい人。手軽な本格書として、暗い面と明るい面の両方を短い時間で見渡したい場面や、専門書に入る前の肩慣らしに向く。
良い点
- 新書で手に取りやすい
- 光と影の両面を扱う
- 旧ソ連各国にも触れる
気になる点
- 刊行時点の情報である
- 現在の動きは別書で補う
- 統計の更新はされていない
出版社
岩波書店
発売日
1998年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
岩波新書でロシア経済の本が出ているんですね。新書だと、やっぱり入門という扱いになるんでしょうか。専門の内容には届かないのかな、と。
佐藤メバル
小川和男さんの『ロシア経済事情』は新赤版の216ページ。金融危機、混迷する政局、不透明な地下経済、荒廃する農業といった暗い面が並ぶ一方で、活況を呈する商業・流通や各国資本による資源開発にも触れている。
旧ソ連各国の現況も含めて、データと分析で当時の最新状況を伝える一冊だ。
橘ナナミ
「地下経済」って、聞き慣れない言葉です。それも経済のうちなんですか? 統計に表れないお金の動き、ということでしょうか。
佐藤メバル
表の統計に乗らない取引や生産が大きな比重を占める、という見方だね。新書の身軽さでそこまで踏み込むのが面白い。
ただし刊行時点の話なので、現在の動きは別の本で補う必要がある。そこはセットで考えておこう。

ロシア経済の真実
塩原俊彦 著|東洋経済新報社
¥3,110(税込)
成長の明るい面だけを語らず、軍産複合体が依然として主要産業を形成しているという影の側面に光を当てる286ページ。塩原俊彦さんが、発展の軌道を探ろうとするロシアの現実を着実に分析し、非近代的な部分から目をそらさない。成長と影を同時に置く構成が、似た題名の入門書との決定的な違いになっている。
こんな人におすすめ
ロシア経済の明るいニュースに違和感を覚えている読者、産業構造から国のかたちを考えたい人。バランスを取りたいときに手に取る一冊として向く。似た題名の本と読み比べるのもいい。
良い点
- 成長と影を同時に扱う
- 産業構造から迫る
- 著者名で選べる一冊
気になる点
- 暗い話が多め
- 数値の更新は要確認
- 入門書ではない
出版社
東洋経済新報社
発売日
2005年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ロシア経済って、成長しているという話と、古い体質が残っているという話を両方聞きます。ニュースではどっちも言っている気がして、どっちが本当なんでしょう。
佐藤メバル
その両方を同時に扱うのが、塩原俊彦さんの『ロシア経済の真実』。東洋経済新報社から出ていて286ページ。
6年連続のプラス成長という明るい面を認めたうえで、軍産複合体が依然として主要産業を形成している点に光を当てる。
橘ナナミ
成長しているのに、非近代的な部分が残っている、と。その二つは同時に成り立つものなんですね。読みながら頭がこんがらがりそうです。
佐藤メバル
こんがらがるのが正しい反応だと思うよ。必死に発展の軌道を探ろうとする現実を着実に分析しながら、その影の側面から目をそらさない。
成長の話だけ読みたい人には少し重いかもしれないけれど、バランスを取るにはいい。似た題名が多いので著者名で選ぶといいよ。

ロシア経済 (世界思想ゼミナール)
小野堅 著|世界思想社教学社
¥4,468(税込)
「世界思想ゼミナール」というシリーズに置かれた286ページ。小野堅さんによる、学習の場で使うことを想定した構成で、ロシア経済の論点を順に整理していく。独学でも論点の地図として機能し、ゼミの報告や課題に取り組むときに、何を調べるべきかが見えてくる。入門と専門のあいだを埋める位置づけの一冊だ。
こんな人におすすめ
大学でロシア経済を学ぶ学生、ゼミで報告を担当する人、独学で論点を整理したい読者。演習の準備や課題図書として手に取る場面に向く。先生の話を聞く前に読んでおくと理解が早い。
良い点
- 学習を想定した構成
- 論点の整理に役立つ
- 独学の道しるべになる
気になる点
- 硬い印象がある
- ストーリー性は薄い
- 最新動向の更新は別途
出版社
世界思想社教学社
発売日
1998年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「世界思想ゼミナール」というシリーズ名がついています。これは大学のゼミで使う前提の本なんですか? ひとりで読んでも大丈夫でしょうか。
佐藤メバル
小野堅さんの『ロシア経済』は、そうした学習の場を想定した作りで286ページ。ゼミで報告を担当するときに、論点の整理に困ったら開く、という使い方ができる。通読して基礎を積むにも向くよ。
橘ナナミ
ゼミの本って、一人で読むには硬いイメージがありました。独学で手に取っても、ついていけるものでしょうか。
佐藤メバル
硬さはあるけれど、論点が並んでいるのは独学でも助けになる。僕が書店員だったころ、課題図書を探しに来た学生さんに「わからないところを探すために読む」と説明したら、少し安心してくれたのを覚えているよ。

ロシア・CIS経済の真実: これまで何があったか/これからどうなるか
G.ヤブリンスキー 著|東洋経済新報社
¥6,137(税込)
ロシア単体ではなくCIS、つまり独立国家共同体の範囲まで射程に入れた一冊。「これまで何があったか」「これからどうなるか」という時間軸を、250ページで一冊に収めているのが特徴。G.ヤブリンスキーさんによる整理で、移行期の来歴と展望を切り離さずに眺められる。隣国との差が見えてくる点が、ロシア国内だけの本との違いだ。
こんな人におすすめ
旧ソ連諸国を含めて地域全体を把握したい読者、国際情勢を広い視野で追いたい人。CIS全体を見渡したい場面や、ロシアと周辺国の関係を整理するときに向く。各国の違いを比べながら読むのも楽しい。
良い点
- CISまで射程に入れる
- 過去と今後を一冊で
- 隣国との差が見える
気になる点
- ロシア内部の細部は薄め
- 地域ごとの濃淡がある
- 入門にはやや硬い
出版社
東洋経済新報社
発売日
1992年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
タイトルに「CIS」と入っています。これって何の略で、ロシアだけじゃなくて周辺の国も入っているんですか?
佐藤メバル
CISは独立国家共同体のこと。G.ヤブリンスキーさんの『ロシア・CIS経済の真実』は、ロシア単体ではなく旧ソ連圏のまとまりまで射程に入れている。
しかも「これまで何があったか」「これからどうなるか」という時間軸を、ひとつの本で扱う構成になっているんだ。
橘ナナミ
過去と未来を一冊で扱うのは欲張りな気がします。その欲張りさが、この本のいいところなんですか? CISの国々はそれぞれ違うのに、まとめて語れるんでしょうか。
佐藤メバル
移行期の混乱を経験した地域を語るには、来歴と展望を切り離せないんだね。ロシアだけを読んでいると見えない、隣国との差も見えてくる。
国ごとの温度差を確かめながら読むと、地域全体の地図が頭に残るよ。

ロシア・CIS経済ハンドブック
小川和男 著|ぜんにちパブリッシング
¥3,260(税込)
同じ小川和男さんによるハンドブックで、349ページを辞書のように引く用途に特化している。読み通す本ではなく、用語や国ごとの状況を確認する参照用。手元に置く一冊として、ニュースで出てきた名前をその場で確かめたいときに強い。岩波新書の入門と役割がはっきり分かれているのがいいところだ。
こんな人におすすめ
ロシアやCISのニュースを追う社会人、用語をすぐ確認したい記者や学生。参照用として机の横に置き、必要なときに開く使い方に向く。通読より、辞書的に使う人ほど価値が出る。
良い点
- 事典的に引ける
- CIS諸国もカバー
- 用語確認に強い
気になる点
- 通読には向かない
- 索引頼みになる
- 入門としては不向き
出版社
ぜんにちパブリッシング
発売日
2002年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
さっきの小川和男さんの名前をまた見ました。同じ方が書いているんですね。この二冊はどう使い分ければいいんでしょう。
佐藤メバル
そう、『ロシア・CIS経済ハンドブック』も小川和男さん。こちらは349ページで、性格はまったく違う。
読み通す本ではなく、辞書や事典のように手元に置いて引く本だ。用語や国ごとの状況を確認したいときに開く。
橘ナナミ
岩波新書を先に読んで、そのあとこのハンドブック、という順番がよさそうですね。手元に置いておくの、いいかもしれません。
佐藤メバル
いい順番だと思う。入門で流れをつかんでから参照用を持つと、ニュースで出てきた名前をその場で引ける。理解の途中で立ち止まれる道具があるのは、地味だけど大きいんだよ。

現代ロシアの経済構造
塩原俊彦 著|慶應義塾大学出版会
塩原俊彦さんが慶應義塾大学出版会から出した445ページ。ニュースの実像に迫る前著と違い、こちらは経済の骨格そのものを組み立て直す学術寄りの一冊。産業や制度、所有の形がどう組み合わさっているかを、長い時間をかけて扱う。構造から読むという姿勢が、点で追うニュース理解を線と面に変えてくれる。
こんな人におすすめ
大学院生や研究者、産業構造からロシアを理解したい読者。腰を据えて読みたい場面や、論文やレポートの下地を作る場面に向く。時間を区切って章ごとに進めたい一冊だ。
良い点
- 構造を正面から扱う
- 学術書として信頼できる
- ニュース理解が立体的に
気になる点
- 445ページで重い
- 入門には不向き
- 結論より分析が中心
出版社
慶應義塾大学出版会
発売日
2004年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
塩原俊彦さんの本はさっきも見ました。同じ著者で、こちらは445ページ。いったい何が違うんですか?
佐藤メバル
東洋経済新報社の本が今のロシアの実像に迫るのに対して、慶應義塾大学出版会の『現代ロシアの経済構造』は、もっと骨格を扱う。
445ページを使って、経済の構造そのものを組み立て直すような本だ。学術の土台に置くことを意識して読むと、面白さがはっきりする。
橘ナナミ
構造、というのは工場や産業の配置のことですか? それとももっと広い意味なんでしょうか。つかみどころがない気がします。
佐藤メバル
産業や制度、所有の形がどう組み合わさっているか、という広い意味だね。ニュースを点で追うのではなく、線と面で捉えたい人に勧めたい。
同じ著者の別の本と読み比べると、視点の切り替えも見えてくるよ。

ロシア経済の成長と構造――資源依存経済の新局面 (一橋大学経済研究叢書58)
久保庭真彰 著|岩波書店
¥5,500(税込)
久保庭真彰さんが、資源依存経済の症状を「ロシア病」と名づけ、成長と産業構造の視点から調査・診断する248ページ。石油価格の高騰によるバブルと、サブプライム危機後の価格暴落による大不況を、同じ病の現れとして捉える。資源の罠という言葉の意味が、読み終えるころには具体的な像になる。
こんな人におすすめ
資源と経済の関係を理論的に知りたい学生、資源国を比較して考えたい読者。資源の罠という言葉を自分の言葉で説明したい場面や、資源国研究の入口として向く。
良い点
- 資源の罠を体系化
- 好況と不況を一貫して説明
- 学術叢書の裏づけがある
気になる点
- 統計の理解が前提
- 入門には難しい
- 現在への更新は別途
出版社
岩波書店
発売日
2011年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
久保庭真彰さんの本に「資源の罠」という言葉が出てくるんですが、資源があるのに罠だなんて、どういう意味なんでしょう。
佐藤メバル
いい質問だね。資源が豊かだと、かえって産業が多様にならず、価格の上下に経済全体が振り回される。この本はそれを「ロシア病」と名づけて、成長と産業構造の視点から調査・診断する。
石油価格の高騰によるバブルと、サブプライム危機後の価格暴落による大不況の両方が、その症状として描かれる。
橘ナナミ
好況と不況が同じ原因から来ている、というのが皮肉ですね。治せるものなんでしょうか、それとも性質のようなものですか。
佐藤メバル
そこを診断しようとするのがこの本だよ。システムの大転換から20年を経たロシアを248ページで扱い、岩波書店の一橋大学経済研究叢書という位置づけも、学術的にきちんと裏づけられた内容だという安心材料になる。

石油・ガスとロシア経済 (北海道大学スラブ研究センタースラブ・ユーラシア叢書) (北海道大学スラブ研究センタースラブ・ユーラシア叢書 3)
田畑伸一郎 著|北海道大学図書刊行会
¥3,080(税込)
世界最大級の石油・ガス大国であるロシアについて、開発・生産・輸送の現状分析、影響の数量的・統計的分析、対外関係での影響力拡大までを、289ページで多角的に扱う。田畑伸一郎さんの手による、数字で語る一冊。印象論で資源を語りたがる場面に、冷たい水を差してくれる。
こんな人におすすめ
資源と政治の関係を数字で確かめたい読者、エネルギー分野を調べる学生や実務者。統計から入りたい場面や、資源外交の議論を検証したいときに向く。図表を追いながら読み進めたい。
良い点
- 輸送や生産まで扱う
- 数量的な分析が土台
- 対外関係まで視野に入る
気になる点
- 数字が多く読み応えがある
- 入門には不向き
- 政治史は前提知識が要る
出版社
北海道大学図書刊行会
発売日
2008年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
石油とガスの話になると、どうしても数字が多くなりそうで身構えてしまいます。統計が苦手でも読み切れるんでしょうか。
佐藤メバル
田畑伸一郎さんの『石油・ガスとロシア経済』は、開発・生産・輸送の現状分析に加えて、その影響を数量的・統計的に分析していく。
289ページで、対外関係への影響力の拡大まで視野に入っている。数字が多いのは、それだけ議論の土台を固めているからなんだ。
橘ナナミ
なるほど。感覚で語らない、ということですね。統計が苦手でも、主張は追えるんでしょうか。図は多いですか。
佐藤メバル
図表を手がかりに追える構成だよ。世界最大級の石油・ガス大国を、いろいろな角度から明らかにする。資源の話を印象論で終わらせたくない人には、ちょうどいい一冊だね。

石油国家ロシア: 知られざる資源強国の歴史と今後
マーシャルI.ゴールドマン 著|日本経済新聞出版
¥3,128(税込)
世界最大の産油国、世界第2位の石油輸出国としてのロシアを、歴史的・政治的観点から描く367ページ。マーシャルI.ゴールドマンさんが、国有化状態にある資源ビジネスの今後と、資源マネーの行方を追う。資源と政治を切り離さずに見る姿勢が、経済分析だけの本との違いになっている。
こんな人におすすめ
資源と外交を合わせて理解したい読者、エネルギー企業や政策に関心のある人。資源マネーの行方を追いたい場面や、ニュースの背景を厚くしたいときに向く。同じ著者の別の著作と並べると理解が深まる。
良い点
- 歴史と政治から描く
- 資源マネーの行方を追う
- 読み物として進む
気になる点
- 数値分析は控えめ
- 刊行後の変化は別途
- 入門書ではない
出版社
日本経済新聞出版
発売日
2010年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ゴールドマンという著者名に見覚えがある気がします。同じ人が別の本も書いていますよね。
佐藤メバル
そう、あとで出てくる『強奪されたロシア経済』と同じ著者だ。こちらは日本経済新聞出版の『石油国家ロシア』で367ページ。
世界最大の産油国、世界第2位の石油輸出国としての姿を、歴史的・政治的観点から解説している。
橘ナナミ
石油の本なのに、政治の話が入ってくるんですね。資源を持つことが、そのまま力になるわけではないんでしょうか。
佐藤メバル
資源は政治と切り離せないからね。国有化状態にある資源ビジネスの今後と、資源マネーがどこへ流れていくのかまで描く。
経済と政治を同時に眺める練習になる一冊だよ。

資源大国ロシアの実像 (ユーラシア選書 11)
酒井明司 著|東洋書店
¥1,150(税込)
ユーラシア選書の一冊として、資源大国ロシアの実像を261ページで描く。酒井明司さんが、資源を持っているという事実だけでなく、国としてそれをどう扱っているかに踏み込む。資源国の中身を見る構成で、埋蔵量の多さを語るだけで終わらない。他の資源国と比べたときのロシアの違いが浮かび上がってくる。
こんな人におすすめ
資源国を比較して理解したい読者、ロシアの産業構造に関心のある学生。資源と国家の関係を確かめたい場面や、選書シリーズを続けて読みたいときに向く。手頃な厚さで入りやすい。
良い点
- 資源と国家の関係を扱う
- 選書で手に取りやすい
- 比較の視点が得られる
気になる点
- 刊行時点の情報である
- 専門統計は少なめ
- 最新動向は別書で補う
出版社
東洋書店
発売日
2008年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「資源大国」という言い方をよく聞くんですが、資源大国って、具体的にどんな点で強いんでしょう。埋蔵量が多いということですか?
佐藤メバル
酒井明司さんの『資源大国ロシアの実像』は、まさにその実像に迫る。ユーラシア選書の一冊で261ページ。
資源を持っているという事実だけでなく、それを国としてどう扱っているかを見ていく本だね。
橘ナナミ
資源がある国はたくさんありますもんね。ロシアが特別なのはどこなんでしょう。量だけの話ではない気がします。
佐藤メバル
量と輸出の規模、そして国家が関与する度合い。そこを確かめていくと「資源大国」という言葉が急に具体的になる。
他の資源国の本と並べて読むと、違いがよく見えるよ。

新ロシア経済図説 (ユーラシア・ブックレット No. 159)
岡田進 著|東洋書店
東洋書店のユーラシア・ブックレットに収められた63ページ。岡田進さんが、図を頼りにロシア経済の見取り図を短時間でつかめるようにしている。分厚い専門書の前の肩慣らしとして、入口を軽くする役割がはっきりしているのが特徴。通勤や移動の合間に一冊読み切れる身軽さが何よりの武器だ。
こんな人におすすめ
まず全体像を短時間でつかみたい人、厚い本に入る前に助走がほしい読者。移動中や待ち時間に、図を見ながら流れをつかむ場面に向く。学生の予習にも使いやすい。
良い点
- 63ページで読み切れる
- 図で全体像をつかめる
- 入口として最適
気になる点
- 詳細な分析はない
- 単独では物足りない
- 次の一冊が必須になる
出版社
東洋書店
発売日
2010年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
63ページって……これは本というより小冊子に近いですよね? そんなに短くて、内容は大丈夫なんでしょうか。
佐藤メバル
東洋書店のユーラシア・ブックレットというシリーズで、この薄さが持ち味なんだ。岡田進さんの『新ロシア経済図説』は、図を頼りに全体像を短時間でつかむための一冊。
通勤や移動の合間に、まず見取り図を手に入れる使い方ができる。
橘ナナミ
分厚い本の前に、こういう軽いものを挟むのはよさそうですね。63ページなら、今日中に読めそうです。
佐藤メバル
僕も書店の棚では、厚い本の隣にこういう小冊子を置いていたよ。入口が軽いと、次の一冊に進みやすくなるからね。
全部をこの一冊で済ませるのではなく、助走として使うのが正解だ。

現代ロシアの市場経済: その特殊性と異質性
中津孝司 著|嵯峨野書院
¥2,838(税込)
標準的な市場経済の理論とロシアの現実を照らし合わせ、その特殊性と異質性を分析する202ページ。中津孝司さんは、違いを欠点として断罪せず、違いそのものを研究対象にしている。嵯峨野書院からの一冊で、制度が移植されても動き方は変わるという当たり前を、丁寧に確かめられる。
こんな人におすすめ
制度と経済の関係を考えたい学生、市場経済の理論を学んでいる読者。比較の視点を持ちたい場面や、ロシアを遅れた国と片づけたくないときに向く。理論書の副読本としても使いやすい。
良い点
- 特殊性を理論から考える
- 欠点視しない視点
- 短めで読みやすい
気になる点
- 理論の前提が必要
- 具体例は少なめ
- 最新の動きは扱わない
出版社
嵯峨野書院
発売日
1996年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「市場経済の特殊性と異質性」という副題が気になります。異質って、いったい何と比べてなんですか?
佐藤メバル
中津孝司さんの本は、標準的な市場経済の理論と照らし合わせたときに、ロシアの市場がどこでずれているのかを見ていく。
202ページで嵯峨野書院から出ている。普通の市場経済と違うから失敗だ、と決めつけず、違いそのものを分析対象にするのが面白いところだね。
橘ナナミ
違いを欠点ではなく特徴として見る、ということですか。なんだか大人な読み方ですね。私だと、すぐ遅れていると決めつけてしまいそうです。
佐藤メバル
その決めつけを一度外してくれる本だよ。制度が移植されても動き方は変わる、という当たり前を丁寧に確かめられる。比較の視点を持ちたい人にちょうどいい。

ロシア経済10年の軌跡: 市場経済化は成功したか (MINERVA BUSINESS LIBRARY 3)
二村秀彦 著|ミネルヴァ書房
¥4,400(税込)
「市場経済化は成功したか」という大きな問いを、10年の歩みをたどって検証する291ページ。二村秀彦さんの手で、単純な成功か失敗かではなく、何がどこまで進んだのかを確かめる構成になっている。どこで線を引くかという評価の技法そのものを学べるのが、他の入門書にない収穫だ。
こんな人におすすめ
経済改革の評価に関心のある学生、移行経済を学ぶ読者。10年という区切りで整理したい場面や、成果と課題を同時に押さえたいときに向く。講義の予習にも使いやすい。
良い点
- 10年の歩みを検証
- 評価の視点を学べる
- 論点が整理されている
気になる点
- 刊行時点で止まっている
- 個別企業の話は少ない
- 入門にはやや硬い
出版社
ミネルヴァ書房
発売日
2002年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「市場経済化は成功したか」という問いがタイトルに入っているんですね。答えは本の中に書いてあるんでしょうか。
佐藤メバル
二村秀彦さんの『ロシア経済10年の軌跡』は、ミネルヴァ書房のビジネスライブラリーの一冊で291ページ。
10年の歩みをたどりながら、その問いを検証していく。単純な成功か失敗かではなく、何がどこまで進んだのかを確かめる構成だ。
橘ナナミ
10年、という区切りにも意味がありそうですね。区切り方で見え方が変わる、というのが面白いです。
佐藤メバル
移行期の評価は、どこで線を引くかで見え方が変わる。その線引きの仕方自体を学べるのが、この本のいいところだよ。
自分が評価する側になったときに効いてくる一冊だね。

ロシア経済改革の失敗: ガイダリズムの終焉とその後
森本忠夫 著|ダイヤモンド社
急進的な市場改革、いわゆるガイダリズムの終焉とその後を、380ページで追う。森本忠夫さんが、改革を前提なしに検証し、何が起きたのかを経過から確かめる。強いタイトルの割に、中身は経過の確認に力を使っているのが特徴で、反対の立場の本と読み比べると立体的になる。
こんな人におすすめ
ロシアの市場移行を批判的に検証したい読者、経済改革の歴史を学ぶ学生。両論を知りたい場面や、改革の成否を自分で判断したいときに向く。対になる本と並べて読むのがおすすめだ。
良い点
- 改革の経過を丁寧に追う
- 批判的視点が得られる
- 読み比べの軸になる
気になる点
- タイトルが断定的
- 刊行後の変化は別途
- 前提知識があると良い
出版社
ダイヤモンド社
発売日
1995年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「ガイダリズム」って、人名から来た言葉なんですか? 聞いたことがなくて、はじめて目にしました。誰のことなんでしょう。
佐藤メバル
そう、急進的な市場改革を進めた路線を指す言葉だ。森本忠夫さんの『ロシア経済改革の失敗』は、その終焉とその後を追う380ページ。
改革を肯定も否定も前提にせず、失敗したとされる過程を具体的に検証している。
橘ナナミ
失敗とタイトルに書いてあると、結論が決まっているように見えてしまいます。中立に読めるんでしょうか。
佐藤メバル
タイトルは強いけれど、中身は経過の確認に力を使っている。反対の立場の本と読み比べると、より立体的になる。
一冊で結論を決めず、対になる視点を持つといいよ。

ロシア市場経済の迷走: 改革と混乱の500日 (講談社現代新書 1160)
陸口潤 著|講談社
講談社現代新書で読める252ページ。陸口潤さんが、改革と混乱の500日という短い期間を濃く描く。新書の身軽さを生かしつつ、予定と現実のずれを順を追って見せていく。専門書の前に読んでおくと、その後の議論がすっと入る。移動時間の読書にも向く厚さだ。
こんな人におすすめ
通学や通勤の時間を読書に使いたい学生、改革期の混乱を具体的に知りたい読者。新書から入りたい場面や、専門書の助走として向く。500日という区切りを追いかける読み方も面白い。
良い点
- 新書で手に取りやすい
- 短期間を濃く描く
- 専門書の助走になる
気になる点
- 扱う期間が限られている
- 現在までの接続は別途
- 分析の深さは控えめ
出版社
講談社
発売日
1993年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
講談社現代新書で読めるのはうれしいです。「500日」というのは何かの期間なんですか? 日数を数えた記録なんでしょうか。
佐藤メバル
陸口潤さんの『ロシア市場経済の迷走』は、改革と混乱の500日を追う252ページ。新書の身軽さで、短い期間に何が起きたかを濃く描く。
改革が予定通り進んだのか、混乱が先に来たのか、順を追って見ていける。
橘ナナミ
新書だと、通学の電車でも読めそうです。専門書の前に読んでも大丈夫なんでしょうか。先に結論を知ってしまわないか心配です。
佐藤メバル
むしろ先に読むのが向いている。専門書の前に読んでおくと、後の議論がすっと入る。迷走という言葉の重みも、読後は違って見えるはずだよ。

ロシア疑似資本主義の構造
中山弘正 著|岩波書店
¥3,716(税込)
ペレストロイカからソ連邦解体に至る過程を、軍事、科学・技術、経済という三領域から構造的に解明する315ページ。中山弘正さんが、独立国家共同体諸国が向かう市場移行はそもそも可能なのかという問いを立て、疑似資本主義という概念で内包する問題を分析する。岩波書店からの骨太な一冊だ。
こんな人におすすめ
ソ連解体の過程を構造から理解したい読者、比較経済体制を学ぶ学生。移行の可能性そのものを考えたい場面や、論文の理論枠組みを作るときに向く。三領域それぞれの章を時間をかけて読みたい。
良い点
- 三領域から構造的に解明
- 独自の概念を提示
- 将来まで展望する
気になる点
- 315ページで硬い
- 用語が難しい
- 入門には向かない
出版社
岩波書店
発売日
1993年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「疑似資本主義」という言葉、はじめて聞きました。にせもの、という意味なんでしょうか。
佐藤メバル
中山弘正さんの『ロシア疑似資本主義の構造』は、ペレストロイカからソ連邦解体に至る過程を、軍事、科学・技術、経済という三つの領域から構造的に解明していく。
315ページ。独立国家共同体の諸国が向かう市場移行はそもそも可能なのか、という問いが底にある。
橘ナナミ
だから、にせもの、という言い方になるんですね。軍事や科学技術まで入ってくるのが意外です。経済の本なのに、なぜ三つも分野があるんでしょう。
佐藤メバル
経済だけを見ても解体の理由は見えないからだね。ラベルとしての資本主義と、実際の動きの落差をどう捉えるか。岩波書店から出た、骨太な一冊だよ。

強奪されたロシア経済
マーシャル・I.ゴールドマン 著|NHK出版
マーシャル・I・ゴールドマンさんが446ページをかけて、国の資産が一部の人の手に渡っていく過程に焦点を当てる。NHK出版からの一冊で、強奪という強い言葉が指す中身を、経過を追って確かめられる。石油国家としての姿を描いた同じ著者の本と並べると、視点の幅がよく見えてくる。
こんな人におすすめ
民営化や資産分配の実態を知りたい読者、経済と政治の交差点に関心のある人。強い主張を自分で検証したい場面や、同じ著者の本と読み比べる場面に向く。章ごとに区切って進めたい。
良い点
- 資産移転の過程を追う
- 著者の視点の幅が見える
- 読み物として厚みがある
気になる点
- 446ページで重い
- 評価が強い言葉づかい
- 客観統計は別途必要
出版社
NHK出版
発売日
2003年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
先ほどの石油の本と同じ著者の本ですね。こちらはNHK出版で446ページ。同じ人が書いているのに、何を扱っているんでしょう。
佐藤メバル
マーシャル・I・ゴールドマンの『強奪されたロシア経済』は、国の資産が一部の人の手に渡っていく過程に焦点を当てる。
446ページの厚さで、その経過を丁寧に追う。石油国家としての姿を描いた本と並べると、同じ著者の視点の幅が見えてくる。
橘ナナミ
「強奪」という言葉が強いですね。評価が入っているタイトルに感じます。そういう本は信用していいんでしょうか。
佐藤メバル
強い言葉だけに、読むときは根拠を確かめながら進めたい。感情的な言い方かどうかを自分で判断する材料として読むのがいい。
厚い本だから、章ごとに区切って進めるのが現実的だよ。

どこへ行くロシア: 変貌する国家資本主義
阿部文明 著|オリオン
¥3,172(税込)
「変貌する国家資本主義」という副題で、国家が市場に関わる形の変化を追い、行き先を問う282ページ。阿部文明さんは、答えを断定するのではなく、問いを立てることで読者に考える材料を渡す。国家資本主義という言葉が、批判のレッテルではなく分析の道具として立ち上がってくる一冊だ。
こんな人におすすめ
国家と市場の距離を自分で測りたい読者、ニュースの言葉に振り回されたくない人。言葉の使い方を確かめたい場面や、議論の前提を整えるときに向く。他の国家資本主義論と読み比べるのもいい。
良い点
- 国家資本主義を整理する
- 問いの立て方を学べる
- ニュース理解に効く
気になる点
- 答えは提示されない
- 前提知識があると良い
- 最新データは別途
出版社
オリオン
発売日
1994年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「国家資本主義」という言葉も、さっきから何度も出てきます。これって学問の用語なんですか、それとも批判の言葉ですか?
佐藤メバル
両方の使われ方があるから厄介なんだね。阿部文明さんの『どこへ行くロシア』は「変貌する国家資本主義」という副題で282ページ。
国家が市場に関わる形がどう変わってきたのかを追いながら、行き先を問う。
橘ナナミ
答えを出すというより、問いを立てる本なんですね。国家資本主義という言葉も、人によって意味が違いそうで怖いです。
佐藤メバル
そう受け取っていい。国家と市場の距離を自分で測るための材料が並んでいる。ニュースの言葉に振り回されにくくなるよ。

ロシア経済に何が起こっているか: 新しい資本主義の実験
I.ツェリッシェフ 著|日本経済新聞出版
¥2,136(税込)
「新しい資本主義の実験」という副題を軸に、ロシアで何が起きているのかを整理する299ページ。I.ツェリッシェフさんは成功談でも失敗談でもなく、試行の中身を見ようとする。日本経済新聞出版からの一冊で、変化そのものを主役に据える視点が、他のロシア経済本との違いになっている。
こんな人におすすめ
変化の過程を追いたい読者、資本主義の多様な形に関心のある学生。実験という視点でロシアを見たい場面や、比較制度論の入口として向く。日経の本なので読み口も整っている。
良い点
- 実験という視点が新鮮
- 変化を主役に据える
- 読みやすい構成
気になる点
- 結論は保留される
- 計量分析は控えめ
- 入門書ではない
出版社
日本経済新聞出版
発売日
1995年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「新しい資本主義の実験」という副題がついています。ロシアを実験場のように見る、ということですか?
佐藤メバル
I.ツェリッシェフさんの『ロシア経済に何が起こっているか』は、299ページで、その実験という視点を軸にしている。
日本経済新聞出版から出ていて、起きていることを整理しながら、何を試してきたのかを見せてくれる。
橘ナナミ
実験なら、失敗もデータになる、ということですね。失敗を失敗として数えるの、大事な気がします。日本にいる私たちにも関係あるんでしょうか。
佐藤メバル
あると思うよ。成功談でも失敗談でもなく、試行の中身を見る。他の本と違って、変化そのものを主役にしている感じがある。
資本主義の形は一つではない、という当たり前を実例で見せてくれる一冊だね。

さまよえるロシア―破局の経済改革の下で
森本忠夫 著|NHK出版
¥3,388(税込)
破局の経済改革の下で何が起きたのかを、492ページをかけて描く。森本忠夫さんがNHK出版から出した一冊で、改革の失敗を扱った別の著作と対をなす。長い時間をかけて書かれた記録としての厚みがあり、方向を失った時期の空気まで伝わってくる。章ごとに区切って読むのが現実的だ。
こんな人におすすめ
改革期の混乱を記録として読みたい読者、同じ著者の本を続けて読みたい人。時間をかけて向き合いたい場面や、失敗の内実を確かめたいときに向く。通読より部分読みも有効だ。
良い点
- 厚い記録として価値がある
- 著者の問題意識が通底する
- 時代の空気が伝わる
気になる点
- 492ページで長い
- 刊行後の変化は別途
- 入門には向かない
出版社
NHK出版
発売日
1993年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
森本忠夫さんの名前も二度目です。492ページと厚いですが、こちらはどんな位置づけなんですか?
佐藤メバル
『さまよえるロシア』は、破局の経済改革の下で何が起きたのかを、492ページをかけて描く。NHK出版から出ている。
改革の失敗を扱った先ほどの本と対に読むと、同じ著者がどこを問題だと見ているのかが、よりはっきりする。
橘ナナミ
「さまよえる」という題名が、なんだか切ないですね。492ページ、読み切れるか少し不安です。どこから読むのがいいんでしょう。
佐藤メバル
方向を失った時期の記録だからね。長いけれど、それだけの時間をかけて書かれた価値がある。厚さに怯まず、章ごとに区切って読んでいくといいよ。
気になる章から入って、前後に広げる読み方もできる。
ソ連崩壊から現在までを一本の線でつなぐ
橘ナナミ
ロシア経済の本って、扱っている時代がばらばらな気がします。どう並べればいいんでしょう。
佐藤メバル
だから「線」に並べ直すと整理できる。スタートは陸口潤『ロシア市場経済の迷走 改革と混乱の500日』や二村秀彦『ロシア経済10年の軌跡 市場経済化は成功したか』で、移行期の迷走を追体験する。次の層が森本忠夫『ロシア経済改革の失敗 ガイダリズムの終焉とその後』で、改革そのものの評価を問う。そこからプーチン期に入り、阿部文明『どこへ行くロシア 変貌する国家資本主義』や溝端佐登史『現代ロシア経済 国家主導経済を読み解く』で国家主導の形が見えてくる。制裁下のいまを知りたいなら、最大級の経済制裁を加えられながらも成長を維持するロシア経済を解剖する溝端の一冊が軸になる。
橘ナナミ
企業統治やオリガルヒの内実は、どのあたりで押さえますか?
佐藤メバル
中津孝司『現代ロシアの市場経済 その特殊性と異質性』は、市場経済がどんな形で根づいたかを見るのにいい。荒っぽい時期の内実を知るならゴールドマン『強奪されたロシア経済』(NHK出版、446ページ)、森本忠夫『さまよえるロシア 破局の経済改革の下で』(NHK出版、492ページ)のような厚い記述が向いている。塩原俊彦『現代ロシアの経済構造』(慶應義塾大学出版会、445ページ)は、体制そのものを構造として捉える一冊だ。資源という切り口から入るなら、酒井明司『資源大国ロシアの実像』も軽くて使いやすい。
数字で確かめる — 統計・データブックという併読の武器
橘ナナミ
経済の本を読んでいると、統計の話がよく出てきます。自分で確認したくなります。
佐藤メバル
その発想は大事だね。解説にはどうしても著者の解釈が入る。小川和男『ロシア・CIS経済ハンドブック』は349ページ、3260円で、辞書のように手元に置いておくと裏取りに使える。岡田進『新ロシア経済図説』の63ページも、図と数字で全体像をつかむ入口になる。久保庭真彰『ロシア経済の成長と構造』のように、成長と産業構造を統計から診断する本を併読すると、「誰が言っているか」と「数字が何を示すか」を分けて読めるようになる。
著者の立場を見分ける、古い本の扱い方
橘ナナミ
本によって言っていることが真逆で、戸惑うことがありそうです。
佐藤メバル
そこで立ち止まれる人は、もう十分に読み手だよ。見分け方は、まず著者がどこに力点を置いているかを見ること。塩原俊彦なら軍産複合体や非近代的な側面、ゴールドマンなら国有化状態にある資源ビジネスの今後と資源マネーの行方、中山弘正なら構造そのもの。扱う国や地域の範囲も違うから、ロシア一国かCIS諸国まで見るのかでも選び方が変わる。
橘ナナミ
古い本は避けたほうがいいんでしょうか。
佐藤メバル
いいや、古い本には古い本の役割がある。小川和男『ロシア経済事情』や田畑伸一郎『石油・ガスとロシア経済』は、その時点で何が問われていたかを教えてくれる資料でもある。当時の予測がどう外れたかを検証するのは、いちばん面白い読み方なんだよ。
よくある質問
ロシア経済の初心者におすすめの、難しすぎない入門書はどれですか?
橘ナナミ
ロシア経済の初心者におすすめの、難しすぎない入門書はどれですかについて教えてください。
佐藤メバル
まずは大島梓『最新ロシア経済入門』(日本評論社、266ページ)が読みやすい入口です。もっと薄いものを試したいなら、岡田進『新ロシア経済図説』の63ページのブックレットや、岩波新書の小川和男『ロシア経済事情』も手に取りやすい。全体像をつかんでから目的別に次の一冊へ進むと迷いません。
ロシア経済の本は古いものばかりで大丈夫ですか?
橘ナナミ
ロシア経済の本は古いものばかりで大丈夫ですかについて教えてください。
佐藤メバル
古い本は古い本で役に立ちます。小川和男『ロシア経済事情』や田畑伸一郎『石油・ガスとロシア経済』は、当時の問いの立て方や予測を確認できる資料です。現在を知る本とセットで読めば、変化の幅まで見えてきます。
ウクライナ戦争後のロシア経済を学べる本はありますか?
橘ナナミ
ウクライナ戦争後のロシア経済を学べる本はありますかについて教えてください。
佐藤メバル
溝端佐登史『現代ロシア経済 国家主導経済を読み解く』(法律文化社、256ページ、3080円)が軸になります。最大級の経済制裁を加えられながらも成長を維持するロシア経済を解剖し、国家主義システムの歴史と理論、国民経済の諸相、世界経済での位置づけを体系的に分析した一冊です。
プーチン体制と経済の関係を理解するには何を読めばいいですか?
橘ナナミ
プーチン体制と経済の関係を理解するには何を読めばいいですかについて教えてください。
佐藤メバル
阿部文明『どこへ行くロシア 変貌する国家資本主義』と、安達祐子『現代ロシア経済 資源・国家・企業統治』(名古屋大学出版会、424ページ、5940円)を並べるのが効果的です。後者は資源だけでなく、インフォーマルな国家・企業間関係に着目してロシア型資本主義の特質に迫ります。
ロシア経済を学ぶのに統計・データブックは必要ですか?
橘ナナミ
ロシア経済を学ぶのに統計・データブックは必要ですかについて教えてください。
佐藤メバル
あると強いです。小川和男『ロシア・CIS経済ハンドブック』(349ページ、3260円)は辞書的に使え、岡田進『新ロシア経済図説』は図と数字で全体像をつかむ入口になります。久保庭真彰『ロシア経済の成長と構造』のような統計ベースの分析と併読すると、解釈と数字を分けて読めるようになります。
ビジネスや投資目的で読むならどの本がいいですか?
橘ナナミ
ビジネスや投資目的で読むならどの本がいいですかについて教えてください。
佐藤メバル
浅元薫哉『ロシア経済の基礎知識』(ジェトロ、176ページ、1760円)が実務の土台に向きます。資源や輸送の実態まで押さえたい場合は、田畑伸一郎『石油・ガスとロシア経済』やマーシャルI.ゴールドマン『石油国家ロシア』を足すと、取引や投資の判断材料が厚くなります。
絶版・中古でしか買えない本はどうやって探せばいいですか?
橘ナナミ
絶版・中古でしか買えない本はどうやって探せばいいですかについて教えてください。
佐藤メバル
まず図書館で読むのが現実的です。大学図書館や地域の図書館、古書店を組み合わせれば、小川和男『ロシア経済事情』のような新書から、二村秀彦『ロシア経済10年の軌跡』のような古い単行本までたどれます。手元に置きたい本だけを古書で探すと失敗が少ないです。
ロシア側の視点で書かれた本はありますか?
橘ナナミ
ロシア側の視点で書かれた本はありますかについて教えてください。
佐藤メバル
ヤブリンスキー『ロシア・CIS経済の真実』が挙げられます。欧米の視点で書かれたゴールドマン『石油国家ロシア』や『強奪されたロシア経済』と並べて読むと、同じ出来事への評価の違いがはっきり見えて、理解が一段深くなります。
まとめ
橘ナナミ
佐藤さん、今日の話を聞いて、読む順番がようやく見えました。入門書で現在地、移行期の本で歴史、資源と国家の本で内側、そしてデータで裏取り、ですね。
佐藤メバル
そう、その順番でいい。途中で難しくなったら岡田進『新ロシア経済図説』のような薄い本に戻ればいいし、研究を深めたくなったら安達祐子『現代ロシア経済 資源・国家・企業統治』や溝端佐登史『現代ロシア経済 国家主導経済を読み解く』に進めばいい。読書は階段みたいに、一段ずつ上がるほうが結果的に遠くまで行けるんだ。
橘ナナミ
でも、候補がたくさん並ぶと迷いませんか?
佐藤メバル
迷っていいんだよ。大事なのは順位の一番を探すことじゃなくて、自分のいまの問いに合う一冊を選ぶこと。時事を知りたいのか、企業統治の内実を知りたいのか、それとも数字を自分で読みたいのか。問いが決まれば、選ぶべき本は自然に絞られる。
橘ナナミ
それ気になります! じゃあ私、まず入門書を一冊買って、付箋だらけにしながら読みます。
佐藤メバル
いいね。ロシア経済の本は、マトリョーシカに似ている。いちばん外側の殻を開けると入門書の全体像があって、その次の層に体制移行の混乱、さらに奥に資源と国家という核が入っている。いきなり核まで手を伸ばさず、層をひとつずつ開けていく。そうやって読めば、遠い国の経済がちゃんと手のひらの上で像を結ぶよ。
